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2002-11-20 第155回国会 参議院 国会等の移転に関する特別委員会 第2号 公式Web版

  1. 会議録情報

    平成十四年十一月二十日(水曜日)    午後一時開会     ─────────────   出席者は左のとおり。     委員長         島袋 宗康君     理 事                 国井 正幸君                 山下 善彦君                 江本 孟紀君     委 員                 大島 慶久君                 太田 豊秋君                 河本 英典君                 沓掛 哲男君                 保坂 三蔵君                 松田 岩夫君                 佐藤 泰介君                 長谷川 清君                 平田 健二君                 和田ひろ子君                 草川 昭三君                 浜田卓二郎君                 井上 美代君                 西川きよし君    事務局側        常任委員会専門        員        鴫谷  潤君    参考人        大阪大学大学院        工学研究科助教        授        吉村 英祐君        日本銀行システ        ム情報局参事役  原   徹君        日本銀行考査局        考査課企画役   富永  新君     ─────────────   本日の会議に付した案件 ○国会等移転に関する調査  (災害対応力構築と首都機能移転問題に関す  る件)     ─────────────
  2. 島袋宗康

    委員長島袋宗康君) ただいまから国会等移転に関する特別委員会を開会いたします。  参考人出席要求に関する件についてお諮りいたします。  国会等移転に関する調査のため、本日の委員会大阪大学大学院工学研究科助教授吉村英祐君、日本銀行システム情報局参事役原徹君及び日本銀行考査局考査課企画役富永新君の出席を求め、その説明を聴取することに御異議ありませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  3. 島袋宗康

    委員長島袋宗康君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。     ─────────────
  4. 島袋宗康

    委員長島袋宗康君) 国会等移転に関する調査を議題とし、災害対応力構築と首都機能移転問題に関する件について参考人から御意見を承ることにいたします。  この際、一言ごあいさつ申し上げます。  参考人におかれましては、御多忙のところ当委員会に御出席賜りまして、誠にありがとうございます。  本日は、忌憚のない御意見を拝聴し、今後の調査参考にしたいと存じますので、よろしくお願いしたいと思います。  本日の議事の進め方でございますが、まず、吉村、原両参考人からそれぞれ二十分程度意見、御説明を述べていただき、その後、三名の参考人の方には八十分程度委員質疑にお答え願いたいと存じます。  なお、発言は着席のままで結構でございます。  まず、吉村参考人から一極集中都市防災について御意見をお願いしたいと思います。吉村参考人、よろしくお願いします。
  5. 吉村英祐

    参考人吉村英祐君) まず、私は、専門都市防災ではありません。元々は建築の避難、安全のことをやっております。例えば、火災に強い建物は、階段二つ以上取る、できるだけお互いを離すというのが原則です。そうしないと、火災が発生したときに二つ階段が同時にやられますと避難できなくなるというのがあります。そういうことをずっと研究しておりましたところ、平成七年に阪神淡路大震災が起きまして、私の家は大したことなかったんですが、神戸は大被害を受けたということで、それ以来、火災だけでなく、もっと広い視点で安全というものを考えるべきだというふうに思いました。  その中で、特に関心がありましたのが東京であります。東京は我々の専門から見ますと一つの巨大なシステムであると。しかし、余りにも大きくなり過ぎてブラックボックスになっていると。例えば、災害も、関東大震災が起きたころはまだラジオもなかった、地下鉄もなかった、ガスも余りなかったと、そういう時代ですが、今は一体大きな地震が来たときにどういうことが起きるか、いろいろ専門家シナリオを書いていますが、恐らくまだまだ想像が付かないシナリオがいっぱいあるだろうということであります。  東京震災が襲ったらどうなるかという観点から首都移転という議論が、これも昔から行われていますが、それに関して、たまたま「人と国土」という雑誌に寄稿を申し込まれましたので、いい機会だと思って整理したのが今日のペーパーであります。主に二十分はこれを中心説明させていただいて、質疑の中で更に付け加えさせていただくということにしたいと思います。  もう御承知のように、東京圏は一極集中がますます進んでおります。東京圏人口三千万超というのは世界的に見ても恐らく最大人口集中であろうと。しかし、それが地震多発地域にあるというところが私は問題であろうと思います。にもかかわらず、日本人口があと数年、二〇〇六年から減ろうと言われているときに、東京圏だけはそれ以降もしばらくは増え続けるだろうという予想があります。これは東京震災リスクを正しく認識していないからであるというふうに私は思っているわけであります。それはある意味で当然でして、先ほど言いましたように巨大なブラックボックスになっておりますから、一体どんなリスクがあるのか、またそれはどの程度規模なのかということをだれも正しく認識できない、専門家でも分からないわけですから、一般の人はもちろん分からないということであります。  そもそも物の大きさというものはすべて上限があります。生物などはこの辺は非常にはっきりしておりまして、主に重力の影響で大きさが決まると。鯨は海に潜ったために浮力が付いたためあれだけ大きくなりましたが、いったん砂浜に打ち上げられますと呼吸ができなくなって死ぬ、あるいは浮力という守られた中で生存できるということであります。豆腐も水の中に入れてあるからこそ何段も積めるわけで、上に上げるとつぶれてしまうということで、都市も普通にしておけば上限があると。それは、過去の歴史を見ますと百万人というのが一つの目安であります。  百万人を超えた都市は昔はなかったんですが、近代以降、交通の発達とか、特に交通の便が良くなったということもありまして、一千万を超えるような人口ができたと。それは日本の、先ほど言いましたように地震国であるというところに大きな問題があるということであります。東京は、関東大震災、空襲と二度にわたって壊滅的な被害を受けましたが、その都度よみがえってきた。東京の魅力は何かということはもうこれも数多く語られていますので、今日は省略させていただきます。  私の小学校のころは、東京大阪眼レフ構想なんというのを習った覚えがあります。まだ大阪は相対的に力があって、相場で東京の七掛け、実質はもっと下だったと思いますが、それで東京大阪二つ中心があるということで、そのときは多分、震災という視点はなかったと思います。しかし、その後大阪がどんどん衰退していった。これは交通の便が発達すると東京独り勝ちになるという構造があるんですが、そうしますと、いつの間にか大阪東京バックアップ機能というのを言われなくなった、もう能力もないというようになってしまったわけです。しかし、災害が起きたときのリスクはどんどんどんどん高まっていっているわけであります。  ここで、まず、どんなリスクがあるかということを整理してみました。まず、物は大型化しますと、特にタンカーのようなものですね、大型化しますと輸送効率が大変上がりますが、いったん油漏れ事故などが起きますと大変な災害になります。今朝の新聞でも、スペインの沖でタンカーが座礁したというのがありますが、たくさん積むと便利ですが、いったん油漏れを起こしますともう保険でもカバーし切れないとんでもない被害が起きるということです。あるいは、ジェット機もジャンボになるほどいったん落ちたときは大きな災害になるということがありますが、そういう災害が起きたときのことを余り考えずに、とにかく大きくすればいいというのが実態ではないかと思います。  次に、例の二としまして、拠点集中化によるリスクというのがあります。これは産業の分野でよく言われるんですが、大体、生産拠点は一か所で巨大な工場を造るのが一番効率がいいと言われていますが、それがたまたま世界的なシェアが非常に高いというときには、もしその工場が止まりますと大きな影響を及ぼすということで、本来その企業が何らかのバックアップを考えるべきなのですが、しかし企業というのは利益を追求するものでありますから、なかなかそういうことまで対応できないというところがあります。  もう五年ほど前になりますが、トヨタ子会社アイシン精機ブレーキ工場火災が起きました。アイシン精機というのはトヨタブレーキ部品を一〇〇%作っておりますが、トヨタ在庫ゼロというのでやっておりますので、部品が一個欠けますと日本じゅうラインが止まってしまうということで、一工場の火事でトヨタ全国工場ラインが止まった。被害は二百億とか数百億と言われておりますが、しかしトヨタにとっては二百億払って済むならということで、じゃ工場を分散しようかという、調達を分散しようかということになかなかならないようでありますが。  一方で、ソニー子会社ソニー・エナジー・テックというパソコン電池などを作っているところがありますが、ここは震災の後、第二工場を造らにゃいかぬと思って造った直後に第一工場火災があったということで、パソコン電池がなかったら動きませんから、出荷が止まるところだったんですが、かろうじて在庫でしのいだというふうなことがあります。拠点集中するということはそれだけ社会的に責任が伴うのですが、実態はなかなかそこまで意識が行っていないということではないかと思います。  もう一つは、経路集中というのがあります。  阪神淡路大震災では神戸—大阪間の交通機関が切れましたが、ふだんはJR阪神阪急、それからその他新幹線道路網がありますが、非常に幅の狭いところに集中していますから、そこが切れますとすべて切れてしまうということです。しかし、そこを通すのが一番効率がいいわけです。これは一見複数のルートを用意しているようですが、JR一本が止まったときは代わりに例えば阪急に乗るというのはいいんですが、災害が起きたときはほとんど無力であります。これは東京—横浜間も多分同じ状況だろうと思います。  少し古い話ですが、日航ジャンボ機が御巣鷹山に墜落したときも、尾翼制御系統は三系統に分けてあるんですが、尾翼のところでどうしても最後は一本に、一か所に集まってくると。そこをたまたまやられたということでシステムが働かなかった、バックアップが働かなかったというようなことで、バックアップという言葉はよく知られているんですが、実態は必ずしもうまく設計されていないというのが私の感想であります。  それに対して、じゃそういうリスクをどういうふうに回避していくかということがあります。これはもう既に専門分野でよく言われていることですが、まず今申し上げましたバックアップ機能を備えるということであります。新幹線総合運転指令所もようやく新大阪駅にもできましたので、一応、東京指令所がダウンしても対応できるというようになりました。それに、拠点を分散して相互にバックアップをするというのはもう危機管理の基本であるということです。阪神淡路大震災神戸新聞社というのが被災しましたが、たまたま京都新聞社と災害時の印刷協力協定を結んでおりましたので震災の日の夕刊も発行できたというように、ふだんから備えておくと最低限のことは対応できるということです。  これは銀行システムもそうでありまして、世田谷のケーブル火災というのがありましたが、このときにたまたまその近くにセンターのあった銀行オンラインがほぼ全国で使えなくなったと。しかし一方で、大阪系銀行関西系銀行は元々大阪関西拠点でしたから、大阪にちゃんとコンピューターセンターを持っている。東京に進出したときに新たに東京に作るというようなことで結果的に二つを持っているということがありまして、ダウンしても西日本だけとか東日本だけとかいうことで、コストは掛かるんですが災害が起きたときの被害を最小限に食い止めることができる。これをもっともっと細かくしていけばいいんですが、そうしますとコストが上がるということがあります。  二つ目が、経路を多重化するということであります。  東名の日本坂トンネル火災があったときには中央高速道代わりになりました。ふだんから経路を多重化しておく、しかもそれはお互い離しておかないといけないわけですが、そうしますと災害時には非常に有効であるということがあります。  神戸ポートアイランドという人工島がありますが、そこに神戸中央市民病院というのが新神戸駅の近くから引っ越してきたんですが、災害時には拠点病院になるはずだったんですが、ポートアイランドに橋が一本しか架かっていなくて、そこが通れなくなったということで、せっかく造った病院がうまく初期は機能しなかったというようなことがあります。  要するに、ここは災害時の拠点になるといいながら実態はそうなっていなかったということですが、そういう意味東京を見ますといろいろまだまだ盲点があるんではないかということです。  三つ目が、分割をするということです。  これは、建築で言いますと防火区画というのがありまして、これを細かくしますと火災が発生してもその区画内で食い止めることができる。都市で言いますと、大きな道路で市街地を分断して、火災が発生してもその区域で食い止めるというようなことがあります。  しかし、この構想関東大震災、それから戦災の後、一部実現しましたが、結局うまく最後まで実現しなかったり廃止になった案もたくさんあったようです。  四つ目分散化を徹底する。  これが非常に、やりやすいようでなかなか人間にとって苦手なところであります。  アメリカの大リーグは主力打者を絶対同じ飛行機に乗せないというのがあります。墜落したときにチームがつぶれてしまうからということですが、一回で運ぶ方が本当はいいわけです。  O157という集団食中毒大阪の堺でありましたが、このときも食材一括発注しますとコストダウンが図れますが、いったんそこが汚染されますと被害が拡大する。昔は学校単位で給食を作っていましたから、食中毒が起きてもその学校だけにとどまっていた。ついには感染源もよく分からないというようなことになってしまうわけです。  こういう視点東京を見てみますと、たまたま東京は、戦後、地震静穏期高度成長期がぴったり一致してしまった。これは幸と言うべきか不幸と言うべきか、そのうちにリスクに対する意識が低下したといいますか麻痺してしまって、メリットの方ばかり享受しているように見えるわけです。地震が起きたらという被害想定もたくさん出ていますが、なぜか余り注目されないわけです。しかし、もし今本当に東京災害に遭えばもはや一国だけで済まない。関東大震災のときとは全然違います。まず国家機能がかなりの期間停止する可能性がある。神戸のときは神戸でしたからよかったですが、東京がなるとどうなるかということであります。  そうしますと、最悪のシナリオですと、国家予算の破綻とか国際金融市場への連鎖的波及等があるということですが、これはリスク軽減のための十分な投資日本は怠ってきたというふうに国際的に非難されても仕方ないです。  もう一つは、神戸での地震で八年分の廃棄物が一挙に出た、一日で出たといいますが、東京でそのような大きな地震がありますと、一体その廃棄物をどこに捨てるのか、どう処分するのかという問題ですね。産廃の残りが一年分ぐらいしか捨てる場所がないとか言っているときにそういうことが起きたらどうなるのかとか、いろいろ心配することがあります。  そうしますと、今すべきことは何かといいますと、例えば耐震改修をすると。今あるものをどう守るかということで、どんどん華やかなプロジェクトを進めるのもいいんですが、例えば地震で一番被害に遭うのは一般の方々であります。その人たちを守る、財産を守るということにもう少し投資をすべきではないかということで、時間が来ましたので、残り質疑の方で受けたいと思います。
  6. 島袋宗康

    委員長島袋宗康君) 吉村参考人、ありがとうございました。  次に、原参考人から、決済システム防災対策現状課題について御説明をお願いしたいと思います。よろしくお願いします。原参考人
  7. 原徹

    参考人原徹君) 日本銀行の原でございます。  本日は、決済システム防災対策につきましてお話しできる場を賜りまして、厚く御礼申し上げます。  本日、決済システムの話ということと、私、現在担当しております職務がコンピューターシステムということもありまして、技術的な用語を使います点、何とぞ御容赦のほどをお願いいたしますが、私としてはできる限り分かりやすくお話しさせていただこうと思います。  本日お話しする内容につきましては、お手元にございます資料「本日ご説明する事項」ということでお配りいたしました資料について、ございますように、まず「決済システム中核としての日銀ネット」についてお話をさせていただきます。  一般的に決済システムと申しますと、様々なところでいろいろな意味で使われることがございますが、広い意味では個々の金融機関それぞれが提供する機能意味するというような使い方もございますが、本日は、金融機関が集まりました全体としての決済システムということで、日本銀行日銀ネット日本銀行金融ネットワークシステムというのが、これが正式の名前でございますが、この日銀ネットが全体の決済システムの中では中核を成す位置付けということでございますので、この話をさせていただければと思っております。  次に、「日銀ネットにおける防災対策現状」、その中で「基本的な考え方」と「具体的な防災対策」、そして最後に「今後の課題」ということでお話をさせていただければと思っております。  お手元資料ページの二ページ目でございます資料一でございます。「決済システムにおける日本銀行役割」というところを見ていただければと思います。  ここでは、決済システムにおきます日本銀行役割を簡単に図式化しております。皆様方御存じのとおり、日本銀行銀行銀行という役割を行っておりまして、自ら決済手段であります日本銀行当座預金、これを金融機関に提供いたしまして、金融機関間の決済を行っております。ここにございますように、この日本銀行当座預金日銀当預ということでございますが、これを電子的に振り替える仕組み日銀ネットでございます。一日当たりの決済金額は現時点で約八十兆円の金額がこの仕組みによってお金が動いているということでございます。  なお、ここで日本銀行が提供する決済機能は、コンピューターの中で当座預金の帳簿に振替の金額を受け払いという形で書き込むという形でのコンピューターの中でのお金のやり取りでございます。  実際には、ここにも書いてございますように、現金日本銀行銀行券を発行しております。国民の皆様方が日常使う安全で便利な決済手段であるわけですが、災害時にはこの現金銀行券を円滑に発行するということも極めて重要な役割でございます。阪神淡路大震災の際は、日本銀行神戸支店におきまして、被災地への現金供給につきまして全力で努力いたしましたし、今も全国にございます日本銀行三十二の支店はこうした現金供給につきまして万全の体制で臨んでおるということでございます。  次に、日銀ネットの具体的なネットワーク構成を見ていただきます。  お手元資料ページをめくっていただきまして、三ページ目でございます。資料二、「日銀ネットネットワーク構成」ということでございます。  この日銀ネット、昭和六十三年から運行を開始しております。北は北海道から南は沖縄の金融機関までの間をオンラインで結びまして、当座預金受渡し、それから国債の受渡しなどを行っております。現在、全国で四百四十七の金融機関等利用先となっております。  利用先では日銀ネット専用端末を利用する、これは端末接続という具合に呼んでおりますが、それから利用先が保有するコンピューター日本銀行コンピューターとを接続する、これはCPU接続と申しております。技術的な用語で恐縮でありますが、これらの方法でオンライン取引を行っております。また、この図にありますように、東京大阪センターがございまして、両者の間を太い線で結んでおります。これは、山側、日本海側を通る緑のルートと、それから東海道側を通る赤いルート二つルートでつながっているということでございます。  以上のような日銀ネット構成を前提に防災対策を考えてみますが、言うまでもないことでございますが、日本銀行としましては、災害が生じてもこの日銀ネット運行を確保するということを最大の任務であるということで、そのように考えて防災対策にも抜かりのないように努力をしております。  お手元資料の四ページ目でございます資料三でございます。「防災対策の基本的な考え方」でございます。  先ほど吉村先生の方からあったお話と共通するものでございますけれども、一つは、地震に対する対応力をまず高めておくということでございます。堅牢な建物とか、そういったものを用意しておくということでございます。それから、災害が発生した場合の影響を極力回避するという、そのようなための措置としまして、二つ目といたしまして機器や回線通信回線でございます、そういったものを二重化、多重化する。それから三番目に、データ等分散保管を図る。それから四番目に、大規模災害に備えましてバックアップセンターを整備するといった、このような考え方で臨んでおります。また、災害時におきまして、業務継続のための体制整備を行ったり、業務復旧の具体的な手続を定めておくこと、いわゆるコンティンジェンシープラン、緊急時対応計画ということでございますけれども、その計画の策定も欠かせないところでございます。  こうした基本的な考え方に基づきまして具体的にどのような対策を講じているかにつきまして、簡単に続けさせていただきます。  お手元資料ページ目、資料四「日銀ネット防災対策」というところを見ていただければと思います。  まず、この右側の方に、東京メーンセンターを設けております。これは東京都下府中市にございます。府中でございます。我々これをメーンセンターと呼んでおりますが、このメーンセンター被災等により使用できなくなった場合に備えまして、この左側の方でございますが、大阪バックアップセンターを造っております。東京府中センター平成五年に完成しております。  日本銀行の本店は、東京中心日本橋にございますが、この府中はここから離れておりまして、直線距離にしまして約三十キロの離れた場所に置いております。防災対策という観点から見た場合、ここは地盤の面から見て問題がなく、コンピューターセンターを建設するには適当な場所であるという、そのような事情で建設したということでございます。  建物は、関東大震災規模地震に耐え得る強固な構造としております。特にコンピューターを置いております場所は、地震の際にも揺れを吸収するいわゆる免震構造の床にしております。また、被災等に伴う停電に備えまして自家発電装置を備えております。約一週間分の自家発電用の燃料も確保しております。  この府中メーンセンター大阪バックアップセンターを設けておりますが、この間は高速の専用線で結んでおります。この紙の下の方に金融機関利用先でございますが、これらの利用先はこの二つセンターとそれぞれ通信ネットワークでつながるという、そのような形になっております。  大阪バックアップセンターにつきましては、これは平成八年に完成しております。バックアップセンター大阪に置いておりますのは、関東の広域に及ぶような大きな災害が仮に起こったとしても距離的にまず同時被災ということはあり得ない、そのような場所であること、それから、関連機器のコンピューター等でございます、そういった機械を置くスペースや要員、人を確保しやすい、そのようなことを総合的に考えまして大阪バックアップセンターを置いております。  なお、この大阪バックアップセンター建物につきましても、関東大震災規模地震に耐え得るものとして置いております。  通常、この大阪バックアップセンターに置いておりますコンピューターはどのような形で動いておるかということでございますが、メーンセンターからリアルタイムでデータを大阪に転送するというような、そのような仕組みになっております。メーンセンターにあるホストコンピューターが処理し、その処理済みのデータは速やかにバックアップセンターへ送られまして、バックアップセンターでもこれらの取引データを同時に保管するという、そのような仕組みになっております。ですから、データは東京大阪の双方で保管されているという形でございます。この仕組みを我々はリモートロギングという具合に呼んでおります。技術的な用語で恐縮でございます。  メーンセンターが被災しまして稼働できなくなった場合は、通信を、それまでのメーンセンターにつながっておったものを切り離しまして、バックアップセンターと接続しましてバックアップセンターコンピューターを稼働させて、それまでの間にバックアップセンター側でメーンセンターから送られてきたデータを使いましてシステム全体の運行を再開させることになります。バックアップセンターにおきまして日銀ネットオンライン取引を再開させるまで、システムの切替え作業を開始してから二時間強の時間を要するという、そういう状況にございます。  なお、こうしたバックアップセンターを保有しているといたしましても、万一のときにやはりスムーズな切替えというものを確保するためには、日ごろの訓練が欠かせません。日本銀行では日ごろから内部での訓練を行っているだけではなく、利用先であります金融機関にも参加していただきまして、実際に近い形での大規模な訓練を例年九月ごろに実施しております。  このような形で大阪バックアップセンターシステムが移行していくというそういう対応、その対応力の強化に努めておるということでございます。  以上がバックアップセンターにつきましての概要でございますが、局所的な被災とかシステムの障害ということが発生することも想定されるため、そうした場合に備えた対応策も講じております。  例えば、ハードウエア、コンピューター等の機械でございますとかデータベース、これはデータでございますが、そういったものを多重化あるいは分散化することによりまして、被災時における比較的軽度な障害あるいは局所的な障害への対応力を強化しております。日銀ネットにつきましては、メーンセンターバックアップセンターいずれにつきましても、ホストコンピューターや通信制御装置、データベースなどにつきましては二重化しております。  なお、これらのネットワークのかなめになります通信ネットワークでございますが、これはセンターがどのように立派な形で造られ、これが仮に生き残ったとしても、通信ネットワークがやられてしまいますとシステム全体が機能しなくなるという問題がございます。言わば頭脳は生きていても神経が切られてしまったという、そのような状態でございます。  そこの点についてどのように対応を取っておるかといいますと、日銀ネットの場合は、端末で接続する先につきましては、パケット交換回線、DDX—P回線網、このようにここに書いてございますが、これが網接続、モウといいますのは網でございます、網状になっております通信ネットワークということでございますが、通信網の中のどこかがやられても自動的に迂回路をたどって通信はつながるという、そのような仕組みでございます。これは網の中がメッシュ状の通信線になっているという、そういう特性によるものでございます。したがって、網の中でどこか局所的に切られてもどこか迂回してつながっていくという、そのような形でございます。  とはいっても、今度はこの網の出入口というところがございまして、そこがやられますと全体が停止するという形になってしまいます。過去、先ほど先生からお話もありました世田谷ケーブル火災のように、ネットワークの局所的な被災、これは電話局の近くが被災したというケースでございましたが、そういったケースに備える必要がございます。したがいまして、センターからネットワークへの出入口につきましては、二重化した上で複数の電話局と接続する、通信局と接続し、異なる経路で接続するということを行っております。  以上、概略お話ししたところが現状防災対策でございます。  それで、今後の課題ということにつきましてお話しさせていただきますが、このように現状防災対策は、私どもとして、日本銀行としましては極めて高いレベルの技術を使用して対策を講じているというところでございますが、現在の技術レベルの壁といったような制約から、バックアップ機能の強化という面で若干の課題を残しております。この点をお話しいたします。  先ほど申し上げましたとおり、東京府中メーンセンターが被災した場合、大阪バックアップセンターを立ち上げて、立ち上げるという言葉は動かしてということでございますが、立ち上げて日銀ネットを稼働させるためには二時間強の時間が必要となります。切替えにそれだけ時間差があるということでございます。  日本銀行といたしましては、万一メーンセンターが被災した場合、極力早く日銀ネットの業務再開を行うために、この二時間強の時間をなるべく短縮したいという、そのように思っております。IT技術、通信技術のレベルが向上すれば、極力早くこれらを取り入れまして、大阪バックアップセンターの立ち上げまでの時間の短縮を実現したいと考えております。  以上で私の御説明を終了いたします。  どうもありがとうございました。
  8. 島袋宗康

    委員長島袋宗康君) どうもありがとうございました。  これより参考人に対する質疑を行います。  本日は、あらかじめ質疑者を定めず、委員には懇談形式で自由に質疑を行っていただきます。質疑を希望される方は、挙手の上、委員長の指名を待って質疑を行っていただきます。  また、委員の一回の発言はおおむね三分程度とし、御発言は着席のままで結構でございます。  それでは、質疑のある方は挙手をお願いいたします。
  9. 国井正幸

    ○国井正幸君 自由民主党の国井正幸でございます。  今日はお三方の参考人の皆様、本当に御苦労さまでございます。貴重な御意見を開陳いただきまして、厚く御礼を申し上げたいと思います。  それで、まず吉村先生にお伺いをしたいと思いますが、先生の書かれたこの論文の最後のくだり、「おわりに」というところで、首都機能移転の問題、触れられておるわけでございますが、私どもも平成二年に国会決議をして以来、今日まで延々と、もうこれ十二年余にわたって議論をして、いよいよ大詰めの段階にあるわけでございますが、そういう中でいろいろ議論はあるわけでございまして、先生の御指摘のように、金の使い方含めて、フル規格でやる十二兆円の話から、せめて必要最小限の部分何が必要なのか、こういうことをしっかりとあぶり出して、それをまずやったらいいではないかと。  こういう議論とかいろいろあるわけでございますが、率直のところ、先生から見ておって、それぞれ民間等においても危機管理ということでバックアップやっているわけですけれども、アメリカなんかにおいても大統領と副大統領はともに同じ飛行機には乗らないとか、いろんなことをやっておるわけでありますが、我が国の政府、特に行政機関における現在の危機管理、これらについて、外から見ておってどのような御感想を持つか、特に、十分か不十分か、こういうことをやったらいいではないかということがありましたら、その辺を中心にひとつ御意見をお聞かせをいただきたいと。第一点、それでございます。  それから、原参考人にお伺いしたいと思いますが、日本銀行の取られておる防災対策について今御説明をいただきました。先ほどのお話の中に、日本銀行銀行のまた銀行と、こういうふうなお話もあったわけでありますが、私は栃木県でありますが、私が承知する範囲でも、栃木県に三菱信託銀行バックアップセンターもあります。それからあさひ銀行もあります。そういう意味で、既に民間の金融機関もいろいろやっているというふうに思いますが、銀行の中の銀行として、日本銀行から見ておって、日本銀行自らのバックアップ体制というものももちろんでありますが、ほかの金融機関がどういうふうな今危機管理の対応を日銀とともにやっておるのか、その辺の実情について、もし分かっておればお聞かせをいただきたいと。  以上であります。
  10. 吉村英祐

    参考人吉村英祐君) まず、仮に首都移転が実現したとしましても、東京は大きいままであります。ほとんど災害リスクという点からは大差がない。むしろ、政府機関が出ていくことで対応が遅れる、あるいはその被害状況の把握が遅れるという心配があるんではないかと思います。  行政機関の危機管理の件ですが、実はこういう危機管理は、ハードも非常に大事ですが、それと同じぐらいソフトも大事であります。  例えば、災害が夜中に起きたときに、一体平均通勤時間はどのくらいかとか、最低立ち上げに必要な人がどのぐらい要るか。東京都庁の場合は、最低立ち上げに必要な三百人を徒歩圏内に住まわせているということを聞きましたが、恐らく、東京は深さ数十メートルの地下鉄に乗らないと来れない構造になっているということで、私はむしろ人の方の問題が大きいのではないかなと思っています。  もう一つは、国の方でもいろいろ被害想定されていると思いますが、想定外のことがまだまだ起こり得るということで、そのときにどう対応するかというのが問題ではないかなと思います。  それからもう一つは、担当官が二年か三年ですぐ替わるという問題があります。これは私の論文の最後にも書いたんですが、危機管理というのはなかなかセンスを身に付けるのに時間が掛かります。あるいは、本当に何回か災害に遭遇しないと、机の上で理解していることと現場では大きく違いますので。しかし、今の制度ですと、例えば国土庁の場合も二、三年で人が替わっていくんではないかなということですので、本当に政府の中で危機管理のことを理解している人が何人いるかという、そういう心配があります。  以上です。
  11. 富永新

    参考人富永新君) 恐縮です。日本銀行考査局富永でございます。  考査というような立場で、日ごろ民間金融機関のいろいろなシステムリスクの管理等についていろいろとチェックをしたり議論をしたりするという立場で、国井先生の御質問に私の方からお答えしたいと思います。  民間金融機関におきましても、基本的には、先ほど原の方から御説明した日本銀行と同様の考え方の下、各種のバックアップ対応とかコンティンジェンシープラン、いわゆる緊急時の対応計画の整備などに努めているということで理解してよろしいかと思います。すなわち、データのいわゆる遠隔地への分散保管みたいなことは一般化しておりますし、機器や回線の二重化等も相当進んでおります。また、国内の大手銀行では、バックアップセンターもおおむね整備されているということであります。それから、国井先生が御指摘のとおり、センター自体も、かつては東京の割と二十三区内に所在する場合が多かったんですけれども、最近は結構関東近郊の各県に割と分散して立地しているというケースが多いように思われます。  これらの背景としましては、やはりあの阪神淡路大震災とか西暦二〇〇〇年問題への対応、さらには昨年の米国同時多発テロみたいなことで、こういう貴重な経験を踏まえて、危機管理に対する各民間金融機関、特に経営者なんかの意識が強化されてきたということが挙げられようかと思います。  日本銀行としましても、こういう被災時の業務継続に向けた体制整備に関しては、考え方を整理したようなペーパーを今年の三月にも発表して、ホームページとかに、日本銀行の月報に掲載しておりますし、私どもは考査とかあるいはオフサイトモニタリングと呼んでいます日ごろのいろんな接触の機会を通じて、各金融機関がこういった防災対応について更に強化していく、向上していくようなことについて働き掛けておりまして、これらを通じて我が国の金融市場とか決済システム全体が安定性が向上するようにということで努めているところでございます。
  12. 井上美代

    ○井上美代君 日本共産党の井上美代でございます。  何しろ貴重なお話を伺いまして、何か非常に感動した感じで聞いておりました。どうもいろいろ御苦労さまです。  まず私は、吉村英祐先生の論文を読ませていただき、また今御説明をいただきまして、国会等移転審議会は首都機能移転費用をやはり十二兆三千億円と試算しているのですが、「これはあまりにも巨額であり、財政改革にも逆行するという批判も生じよう。」と、「今後優先すべきは、華やかな都市再開発プロジェクトよりも、一極集中によるリスク軽減のための公共投資ではないだろうか。」と、こういうふうに書かれているんですね。私はそこに目が止まりました。  今、東京というのは華やかな都市再開発がやられておりまして、開発そのものだというふうに私は思っているんですけれども、小泉内閣が取り組む重点テーマの一つがやはり都市再生であるというふうに思います。それで、都市再生本部の本部長さんも小泉首相なんですけれども、二〇〇一年五月に都市再生に取り組む基本的考え方というのを発表し、さきの通常国会では都市再生特別措置法、そしてまた都市再開発法、そしてまた建築基準法改正などが行われました。  東京で来年完成する大規模なオフィスビルは、品川そして汐留もそうだと思いますけれども、六本木それから丸の内などに霞が関ビル換算で二十四棟というふうに言われておりまして、これは延べ床面積で言いますと二百十八万平方メートルになるんですね。そして、ピークだった九四年の百八十三万平方メートルを抜いて最高になるということなんですね。  国会移転東京への一極集中をなくすということでしたが、小泉内閣の下で都心に高層ビルそして高層マンションがもう今次々と建築され、そして一極集中が加速しているというふうに思います。一極集中が更に進むための措置というのは次々と取られているというふうに思うんです。その一方で、今度は国会移転で一極集中を是正すると言っているんですけれども、何かとってもむなしい思いになっているんですね。  私は国会移転はもうやめるべきであると、こういうふうに考えているんです。今やることというのは、東京への一極集中をどのようにしたら解消できるのかということ、そして、もう一つやはり重要なのが防災措置、これをどのように取っていくのかというのがもっともっと、今日お話を伺っても思うんですけれども、研究をされ、そしてまた検討もして実施に移していくということが今重要ではないかなというふうに考えております。  参考人は今の状況そして東京都市再開発の状況をどのように見ておられるのかということをまずお聞きしたいと思います。そしてまた、都市防災をどのようにしたら最もいいかということをお考えになっているというふうに思いますので、この機会に是非お聞きをしたいというふうに思います。  もう一つは、日銀の方のお話を伺いながら本当に感心いたしました。ああそのようにやられていたのかということを、ほんの少しのお話でしたとは思いますけれども、非常に感心してお伺いいたしました。  日銀の、金融機関拠点被災を想定した業務継続計画の在り方の留意点というのがありましたけれども、それで、バックアップサイトの所在地について、至近距離にバックアップサイトを設けることは適当ではないと、こういうふうにしながらも、一方で、メーンサイトから要員が駆け付けることを計画している場合には、余りに遠隔地であると業務の再開までに時間を要することとなるので適度に近い距離であることも求められると、こういうふうにしてありました。距離が離れていればよいものではないということを述べておられます。  今、政府は首相官邸を建て替え、そしてまた防衛庁は新築されております。中央指揮所も新たに建てられました。これらは大地震などにも耐えられるものになっているというふうに思いますけれども、バックアップ体制というのは遠距離というよりも、災害などに耐えられるものに作られているかどうかというところが判断の基準になるのかなとも思ったりしているんですけれども、その点がどうなのかということ。日銀もかなりそこをきちんとしておられるというふうに思いますので、その点で日銀はどのようになっているのかということを是非お聞かせ願いたいと思います。  以上です。
  13. 吉村英祐

    参考人吉村英祐君) 大変難しい御質問をいただきました。  実は、この論文を書いてからもう既に五年ぐらいたっていまして、状況も変わって、当たっているところもあれば少し外れていますし、私自身も考えが少し揺れているところもありますが。  まず、現在の東京の状況ですが、必ずしも私はあれは一極集中の加速にはなっていない。といいますのは、恐らくあそこに入ってくる企業は都内から入ってくるわけですね。そうすると、企業の移動が起こりまして、必ずどこかのビルが空くという、そのビルをどうするかというのが問題です。既にもうオフィスを住宅に変えるようなことも国の方で検討されているようです。これが二十年ほど前でしたら、もうそういう古いビルは取り壊したらいいということになっていましたが、今はそんな容易に建物を壊せる状況ではなくなってきています。要するに、今あるストックをどう活用していくかというのが本来の都市再生であるべきです。  今の都市再生のプロジェクトが幾つかありますが、どれほど防災という視点が入っているかどうか、その建物単体の安全性というのは考えられていると思いますが、それを造ることで東京全体の安全性が上がるならまだしも、かえって危険性を増すのか、そういう評価は恐らくされていないと思います。  それから、汐留の方も、これは少し視点が違いますが、土地が切り売りされてしまっていますので、隣のことはお構いなしに建てている感じがします。そうすると、これも同じく、個々は安全でもあれだけ集まると本当に集まっても安全なのかとかいうのはほとんどないです。これはもう民間にすべて任せますとどうしてもそういう限界が出てきますので、今の華やかなプロジェクトは一極集中に必ずしも貢献していない、今は分からないんですが、数年後には、再開発のところはいいけれども、そのしわ寄せが必ずどこかに来るということで、あるいは本当に思いどおり企業間の移動が起こるかということもあります。埋まり切るかという心配もあります。  もう一つの方の御質問ですが、最初に少し申し上げましたが、やはり私は人の問題が大事です。一番まずいと思いますのは、政治的空白が長く続くということです。そのためにも、すべて東京内でバックアップを作ろうということ自体がそもそも難しいんではないかということで、そうしますと、例えば大阪とか、大阪に限りませんが、他の、非常時にどういうシステムにするかということをもっと考えないと、どうもハード中心の議論になっているような気がします。
  14. 原徹

    参考人原徹君) 先生の御質問は、器が遠いところにあっても、いざというときに迅速にそれが立ち上がらないと的確な対応とならないのではないかという御質問かという具合に思います。  それで、日本銀行としましては、災害時において迅速的確な対応のための体制の整備充実ということで全力を尽くしております。  先ほど申し上げましたように、大阪バックアップセンターを置いて、そこを迅速に立ち上げることを想定しておるということでございますが、あらかじめ災害に対応するための要員、人をあらかじめ用意しておりまして、いつでもそういった者が駆け付けられるといいますか、そういう即応体制といいますか、そのような体制をしいております。  それで、大阪バックアップセンターにつきましても、システム情報局、これは私どものシステム部署でございますが、そこから常時出張者を出しておりまして、約十名程度センターには駐在しておるということでございます。そして、いざ有事になりますと、大阪支店の職員が約八十名程度駆け付けてくるという、そのような被災対応を行うという、そのような体制になっております。
  15. 保坂三蔵

    ○保坂三蔵君 参考人の先生方、どうも今日はありがとうございました。東京から出ております自民党の保坂でございます。  個人的な見解からまず申し上げますが、今、たまたま日本共産党の井上先生からお話がございまして、私は政党ののりを越えて正鵠を得た御指摘ではないかと、こうずっと思ってまいりまして、今日ますますその意を深めました。  と申しますのは、個人的な見解ですから、今日こちらにおいでの委員各位からは相当反論があると思うんですが、私自身は、この首都移転問題は既に終わった問題になっているという見解を持っています。したがいまして、審議も消化試合と同じような重みしかないんじゃないだろうかという認識なんです、私個人の。  それは、一つには、そもそもこの問題のスタートが非常に不幸なスタートでございまして、首都移転の発想というのが国民の間から盛り上がって、東京では駄目だ、ならばどこどこがという、そういう議論の盛り上がりではなくて、行政や議会から盛り上がり、それは過去の歴史を振り返りますと、必ず選挙の間際になると我が田に水を引く議論が起きてきた、選挙が終わるとずっと鎮静化していく、その繰り返しでした。しかし、過去における議論は、一極集中を始めまして、全国総合計画などには入れられた方向性でしたから、決して粗末な扱いをする気持ちはございません。  ただ、問題は、今の時代という変化をやはり見てまいりますと、例えば、経済情勢はそのような余裕が一体あるかどうかというような現下の厳しい情勢であります。それから、小泉総理が進めております構造改革が、いろんな見方もあろうとも、全分野で進んでいるということ。そしてこれは、第三の開国あるいは第二の開国と言われるように、どうしても日本国として、国民として乗り切らなくちゃならない大きなウエーブだと思っております。それから、地方分権のきっかけにしようという意見がありましたが、地方分権も極めて速いテンポで、法律の整備も終わりまして進んでおりまして、そういう点ではこれは逆に首都移転の理由がなくなってきていると。  それで、その大きな背景には、ITという情報科学の時代にもう既に入っているということで、首都を移転すればすべて問題解決にはならないというような、そういう時代背景があるんじゃないかと思いまして、私は、首都移転問題は既に古びた審議になっているんじゃないだろうかと、こう思っているんですね。  その証左に、栃木・福島地区では、バックアップ機能をねらったところの東京との二元論、いわゆる重都論に傾いていると私は聞いております。また、ほかの県では、もしこれがこのまましりつぼみでこの議論が終わったらば、今まで努力してきた結果は何なんだと。したがって、何か一つぐらいよこせという分配論に走っているとも言われております。失礼の段がありましたらおわびしますが、こういうことが背景にありまして私は思っているわけですけれども。  それで、質問に入るわけですが、その前段で、ならば過密や安全性だけで問うならば、現下のこのITの時代に何も六十キロから三百キロ圏内で決着する必要はないじゃないかと。空いている北海道や沖縄がなぜ最初から外されているんだと、この思いが一層募るわけです。ならば、北海道苫東だって空いているし、沖縄だって首を長くして待っているし、アジア全体からいえば沖縄が悪いわけない、このような思いがございますが、いずれにいたしましても、審議会はこういう難しい状況から一本に絞れないで国会へ答申してきたわけですね。一本に絞れないのに、国会の委員会や国会でどう絞れというんでしょうかね。  私は、そういう点で、国論が動かない今、やはりこの問題は、古びた議論と言えばしかられますけれども、膠着状態に入っているんじゃないかと。したがって、委員会では私たち反対論はマイノリティーだけれども、国民の間では、無関心を含めて、今、国会・首都移転は必要なしという議論はマジョリティーだと思っております。  そこでお尋ねしたいんですが、まず吉村助教授、先生は建築都市空間の安全化に関する研究者として、一人者として伺っておりまして、日ごろから議論をいろいろ承ってまいりました。今日のお話も、防災上のリスクから東京一極集中を排した方がいいんじゃないかというふうなお話でしたけれども、先生は学生時代から阪大で勉強されて、ずっとこの問題を研究されてきたわけですけれども、阪神淡路大震災を予測されていましたでしょうか。少なくとも、私どもが知る限りでは、あの当時、関西には地震では安全神話論というのがあったんじゃないでしょうか。そのときにああいう活断層や何かがあることは分かっていながら、なぜそういう安全神話みたいなのを野放図に、先生を責めているわけじゃありませんけれども、予測できましたでしょうか。  となると、さっきのお話のように、専門家でもリスクは分からない、そういうフレーズがありましたけれども、私もそう思うんですね。ですから、首都移転をする理由に、絶対安全な場所を決めなくちゃならない、東京は危ないとおっしゃるなら、一体どこが日本じゅうで安全な場所なんでしょうか。このことを一つお尋ねしたい。  それから、先生が言っている東京大阪二眼レフ論、私、大阪に首都代替機能を持たせる、これは賛成なんですが、後で言いますが、このことをひとつ先生に、防災上の観点から、一体東京から安全性を、首都を安全に守るために選ぶとしたらば、先生のお考えでは日本じゅうでどこが一番安全とお考えで、それは少なくとも、東京が過密だとかそういう問題を除いて、ただ自然災害上からいって安全な都市として東京よりもそこは優れているという見方ができますでしょうか。これを一つお尋ねします。  それから、原先生と富永先生にお尋ねしますが、多くの金融機関ではホストコンピューターとそれからサブコンピューターと、主要システム機能回線の障害除去というフェールセーフはもう整っていると言われましたよね。しかし、あの世田谷の事件もちょっとお粗末でしたし、天下の大グループのみずほのあのていたらくもありまして、人間の技術というのは、最後は神の手じゃない限りは不安を伴うのかなと思っているんですが。  しかし、考えてみますと、今私たち議論をしている東京から首都移転をした場合は、多くの議論は東京を経済金融都市に特化しようとしているんですよ。東京を経済金融都市に特化しようと。それじゃ、東京から全部なくした方がいいんじゃないですか、防災上だったらば。私は、そういうことであれば、本当に東京を経済あるいは金融の都市として特化しようというのならば、首都移転なんかというよりも、むしろ待たれるのは震災対策防災対策そのものじゃないかと、こう思うんですね。  そして、バックアップ機能が必要だというのなら、私は、吉村先生がおっしゃる東京大阪二眼レフ論、大賛成でございまして、やっぱり大阪が持っている地勢的な、あるいは人文的な背景から考えれば、大阪東京と並び称する二大都市で、全体を東日本、西日本で引っ張っていくという私は議論は正しいと。ですから、東京大阪でお互いにバックアップ機能を配して、そして地方分権がそれを支えていくという方向が正しいような気がするんですけれども、先生、経済金融都市東京を特化していくのは正しいとお考えでしょうか。  この二点を是非お尋ねしたい。  それから、最後に申し上げます。もう時間ありません。最後に申し上げますが、いつも私、議論長くなるんです。それは、二十数名の委員がいまして、反対論は井上さんと私だけなんですよ。ほとんどの方々は、立場上もありますけれども、賛成論の方がいて、中には大変中立的な議論で助けていただきますが、どうしても私たちはそういう点では、二十倍とは言わないけれども少しは議論をしたいという思いがありまして、いつも委員各位を今日まで困らせてきまして、それは反省はしておりますが、是非御理解をいただきたい、こう思います。  以上です。
  16. 吉村英祐

    参考人吉村英祐君) 保坂先生も含め大変皆さんよく勉強されていて、非常に重要なことを聞かれて答弁に大変困るところですが、今の私の考えを申し上げます。  まず第一点目の、阪神淡路大震災のことを予測していたかということであります。  私自身はもちろん予測はしておりませんでした。しかし、その後調べてみますと、地震専門家ははっきりと予測しておりました。一九七〇年代の神戸新聞の一面に、神戸に大きな地震が来るというのがトップに出ておりました。しかし、行政はそれに乗ってこなかったわけです。  神戸市は歴史的に水害が多かったところであります。阪神大水害というのもありました。神戸の方々は災害というと水害を思い出されます。したがいまして、神戸市の地域防災計画震災前の改訂版を見ますと、地震のことはほとんどと言っていいほど書いておりません。  しかし、神戸大学の室崎先生という防災の専門家がおられますが、室崎先生は神戸市の行政の委員会の一員として神戸にも地震が来るということを強く主張されていました。神戸市の地域防災計画は震度五を想定していたんですね。五と六はどう違うかというと、五では家は壊れないんです。六になると家が壊れるということで、六にすると行政は対策に非常にお金が掛かるわけです。これは後でお聞きしたんですが、震度六を想定すべきだと主張しても全く通らなかったということです。しかし、一般市民の方は、大学の先生何して、専門家は何をしていたんだというふうに取られているわけで、この誤解は今もほとんど解けていないと思います。  どこに地震が起きるかというのは、極論を言いますと、何年に一回かというのを問わなかったら日本じゅうどこでも起きるということがあります。ただし、例えば北関東ですと、同じ地震が起きましても震源地が深いというのがありますので、地図では震源地というふうに出ますが、恐らく震源が、地上から数十キロという深いところで発生しますが、神戸のときはもう直下で、本当に地下数キロで起きましたので、同じエネルギーでも被害が大きいと。それと、たまたま人が一番住んでいるところに断層があったということで。  東京も大きな、関東ローム層という分厚い地層がありますので、まだ見付かっていない断層がたくさんあると聞いておりますし、これは日本全国どこもそうだと思いますのでどこが安全かというのは難しいんですが、ただ、国家の視点から見ますと、災害というのは地震だけではありませんので、台風もあります。雪も大きな被害になります。それから洪水もあります。それから、今は少し薄れておりますが、海外からの侵略とかいう視点とかいろいろありますので、どこを安全とするか。  それから、首都だけを守るのはちょっと私はおかしいと思います。海外、アメリカとか旧ソ連ですと意図的に都市を分散しています。これは一か所やられてもほかは残るのでというふうに国全体のことを考えて議論しているんではないかと思いますので、どこが安全かというのは大変難しい。  地震からだけですと、北海道の北の端が一番地震リスクが少ないということになりますが、ほかの視点を入れますと、例えば、冬場どれだけ活動できるかとか、あるいは、首都には必ず大きな空港が必要です。そういうのが造れるかとか、その空港が年間何日稼働するかとかいう視点も大事です。  そうしますと、東京集中は、日本列島を上下逆にしますと、東京は実は日本のほぼ中心なんです、北海道の面積も大きいですから。だから、あそこに集中するのはある意味で必然もあるのかなという気はしていますが、それをどう分散するかというのは今の経済システムが続く限り無理で、こういう言い方していいのかどうか分かりませんが、一度大きな地震に遭わないと私はもう分かってもらえないんではないかというのが正直なところです。  以上です。
  17. 原徹

    参考人原徹君) 東京が金融経済機能を持つ都市として特化した方が良いのではないかという、そのことについてどう思うかという御質問かと承りましたが、なかなか難しゅうございまして、私の立場からしますとそこはお答えしづらいところでございますが、日本銀行としましては、現在の決済システム、これは現実的に金融機関等の、大手銀行や民間決済システム等が東京中心部、大手町周辺に立地しているという、そのような事実はございますが、緊急時への対応としましては、皆様、バックアップシステムの整備、コンティンジェンシープランの策定等に努めておられるというように理解しております。  そうした災害対策につきまして、民間金融機関とも連携をしながら、一層の強化に日本銀行として努めてまいりたいということでございます。
  18. 草川昭三

    ○草川昭三君 日銀さんにちょっと集中して聞きますが、集中というよりも日銀さんにお伺いしますが、ネットの防災対策なんですが、メーンセンターというのは、これ、東京のことを言っているわけですね。東京のことをこちらに言ってみえると思うんです。問題は、各金融機関ですね。各金融機関の端末の接続というのは、いざというときにこのメーンセンターから横には出ないんですね、この絵で言うところの横には。いわゆるこれで見ると、通信ネットワークのDDXの回線網から各地方に流れるという、こういうことになりますね、御説明では。  それで、実際、どのような災害かということにもよりますが、全国金融機関に果たしてどの程度これが、接続というんですか、端末が接続できるのか、あるいは情報を日銀がつかむことができるのか。イメージはどんな程度なんですか、そのイメージは。もちろん、今、直接日銀さんから各金融機関にはないわけでしょう。
  19. 原徹

    参考人原徹君) この網というのはかなり技術的な概念でございまして、通信会社でございますね、通信会社の通信回線の形態としてはこのようなメッシュ状の、網状の網を通って通信線は日本銀行につながってくるわけですけれども、ただ、それは形態としてそういう形だということで、実際は直接つながっているのと同じだという具合に理解していただければと思います。ですから、直結しているようなイメージでございます。ただ、直結しておるんですが、実際の通信線の形態は網状になっておって、どこかが切られても迂回しながらつながってくるということで、そういう意味では、端末でつながっている先は直接日本銀行とつながっているという具合に御理解していただければと思います。
  20. 草川昭三

    ○草川昭三君 いや、ちょっと分かりませんね、それは。  今の現状というのは明らかに、おっしゃるように、網というんですか、ネットでどこからか入るわけですよね、いろんなたくさんのルートがあるわけですから。しかし、あくまでも災害があった場合にそれが現在と同じようにつながりますかねという質問を私はしているわけですよ。大丈夫ですよとおっしゃってみえるのか、あるいは今後更にいろんなやり方というんですか、考えがあるよと言われるのか、ちょっとその点が分からないわけですよ。
  21. 原徹

    参考人原徹君) 理解いたしました。  そういう意味では、網の部分はかなりしっかりとしたものだという具合に理解しておりますが、災害が起こったときに問題となり得るという具合に考えていますのは、先ほど申し上げましたように、網から日本銀行につながってくる出入口の部分が、そこはそのようなメッシュ状のものじゃありませんで、直接的に管としてつながってくるという形でございます。そこの管の部分が切られますと、これはもう網につながっていかないという形になりますから、手足を動かそうとしても動かせないというような、そういう神経が切られたような形になってしまいます。  したがいまして、そこが一つリスクのある場所かなという具合には了解しておりまして、そこにつきまして、異経路経路を変えるという形で、日本銀行の出入口のところの相方となります通信局を別々の通信局という形でつなげておりまして、しかもそこを正副、正回線と副回線というような形で二重化するという形でつないでおります。したがいまして、出入口の相方となります通信局がどちらかが被災しましても、どちらか一方でつなげることができるという形になっております。
  22. 和田ひろ子

    和田ひろ子君 民主党の和田ひろ子です。  国会の決議の重さというのは、私は国会議員自らが否定すべきものではないというふうに思っています。現在いる議員が決めたわけでもないのにということもよく言われますが、私たちは生まれる前からできている法律を守っている国民でありますから、そんなことは絶対にしてはいけないことだというふうにいつも思っています。  それで、一極集中という議論をさせていただければ、もう本当にあのときもっと一極集中について考えていれば、今の地方がこんなに疲弊はしなかった、過疎と過密の問題がこんなに離れなかったというふうに思っていて、とても残念に思っている一人であります。  今、東京は過密の結果、交通が渋滞して温暖化が進んで、その結果、都市の再生という法律が次々と出てきております、地下鉄の下にまた地下鉄を掘らなければいけない大深度法とか。あんなお金がどのくらい掛かるというふうに国民の皆さんが思っておられるか、とっても、議論がされないまま次々決まっていく法律に私は残念な思いがしています。  例えば、首都機能移転は十二兆ということでありますが、都市の再生には百兆円以上掛かるだろうというふうに言われているのですから、十二兆のお金がどんなに大きいか小さいかというよりは、本当に日本の国の危機をいかにして救うか、そして一極集中をいかに是正をするか、そして日本国民はひとしく同じ、文化の程度も、いろんなものを享受できることに議論が進んでいくべきだと思いますが、大変、今お金がないとかそんなことを言っている中で本当に地方が何を望んでいるかを分かっていただきたいなという思いがあって、まずそれは伏せておいて、今日のお話、大変ありがとうございます。  バックアップシステムというのは、東京では関東圏内に、いろんなところに設けているから大丈夫だという話がいろいろありますが、大きな災害があれば関東圏内は一緒に被災に遭うわけですから、バックアップ機能は補完できないというふうに思っています。  吉村先生はどのくらいの距離がバックアップシステムにいいというふうに思われるでしょうか。東京大阪、これだっていいと思います。でも、大阪はすばらしくて地方は悪い、もっと田舎は悪いということにはならないというふうに思いますが、その点もお答えいただきたいなと。  そして、原先生、東京大阪の、何かこれ見せていただいて、日銀コンピューターシステムが、東京バックアップ大阪のことが出ています。二時間ぐらい掛かるというふうに、立ち上げに、言われましたが、日ごろもっと使っていれば二時間というよりは瞬時にできる。これ、コンクリートして、これは何しろバックアップシステムのために何にもさせないでいるというんならそれは二時間掛かるかもしれませんが、もっと活用する方法で考えていけばもう瞬時にできることだというふうに思います。そういう点を教えていただきたいと思います。
  23. 吉村英祐

    参考人吉村英祐君) まず、どのぐらい離れていたらいいかという、これも災害の種類によると思いますが、地震の場合ですと、北関東ですと大きく揺れますが、システムがやられる、あるいは建物が壊れるほどの地震は多分ないだろうということで、経済性とかを考えますと、総合的に考えますと、北関東というのは一つの方法だと思います。  もう一つは、なぜ大阪かということですが、これはやはりかなり高水準の都市のインフラも整備されています。それから、システムを支えるにはやっぱり人が必要ですね。人がいなければただの箱になってしまいます。そうしますと、やはり駆け付け時間とか後々の対応を考えますと、名古屋でもいいんですが、やっぱり大阪がある。それは既にあるものをできるだけ使うということになると思います。  実際、民間企業東京大阪バックアップシステムを持っているところが多いですし、大阪ですと大阪の南港というところがありますが、あるいは千里中央というところにあって、関東ですと最近は幕張なんかに作っているのが多いと思いますが、幕張は少しバックアップ場所としてはちょっと私自身は疑問がある。埋立地であるとか、南関東地震のときは東京と距離差がないんではないかとかあります。  むしろ、こういう場合は失敗した例から学ぶというのが一つの方法でありまして、たしか前に東京証券取引所のコンピューターがダウンしたんですが、バックアップはどこにあったかというと、同じ建物の違うフロアにあったというような報道があったので、担当者にしたらコンピューター二つ作ったからバックアップだというふうな認識ですけれども、出口が一つであったり、要するに想定外のことが起こりますと、もし地震だったら両方ともやられるということがありますので、これは冒頭に申し上げました、バックアップとかいう言葉は皆さん大変よく知っておられるんですが、実際に稼働するようになっているかどうかは全く別であるということで、先生の御心配はもっともなことだと思います。
  24. 原徹

    参考人原徹君) 技術的な話が混じるかと思いますので、その点御容赦願いたいと思いますが、大阪バックアップセンターコンピューターがどのような形で動いておるのかということになってくるわけですけれども、日中、東京のメーンのセンターで処理しましたデータをひたすら受け取るという、そういう処理をしております。ひたすら受け取るという処理をしております。それで、それをバックアップセンター側のデータベースというところにため込んでいるという形でございます。  それで、いざ大阪側が立ち上がらなければいけないという形になったときは、ひたすら受け取るという状態からいったん状態を変えまして、全体のオンラインシステムを動作するというそういうモードにモードを切り替えるという、そのような処理をしております。したがいまして、私どものこれまでの技術、この大阪バックアップセンターができました平成八年当時の技術でございますけれども、このときの技術ではこれが当時としては最新の技術ということでございました。  瞬時に立ち上がるという形のシステムでございますけれども、将来的にはそのような技術的なものもあり得る可能性はございます。ちょっと技術的な話でございますけれども、私どもはこれの二時間強の時間を、瞬時というところまではまだ行きませんでして、できるだけ縮めていくというところで努力したいという具合に考えておるということでございます。
  25. 和田ひろ子

    和田ひろ子君 今日は先生たちが大阪ということに限られておられるので私は大阪と言っただけで、バックアップシステムは必ず備えなければいけないということを言いたかっただけでございますので、よろしくお願いします。  ありがとうございました。
  26. 西川きよし

    西川きよし君 西川でございます。本日は大変御苦労さまでございます。  まず、吉村参考人にお伺いをいたします。  先生のこの「おわりに」というところで、五年前というお話も先ほど来出ておりますけれども、「都市再開発プロジェクトよりも、一極集中によるリスク軽減のための公共投資ではないだろうか。」というふうにおっしゃっておられます。幕張のお話も出ました。素朴な疑問で、そしてまた先生にお答えをいただきたいんですけれども、それなら、その首都圏を広めるというような意味で、例えば東京、神奈川、千葉、埼玉、山梨、茨城、長野というふうに一つは考えてみたらどうかなというふうにも思います。  本日は主にバックアップということがテーマですけれども、引き続いて日銀さんにお伺いしたいのは、去年の九月の十一日のあのニューヨークのテロでございますけれども、世界じゅうが本当に震撼したわけですけれども、今もってお亡くなりになりました皆さん方の御冥福をお祈りさせていただくわけですけれども。そこでお伺いしたいのは、私ども本当にそういったバックアップ体制というものには素人でございますので、あのときに思ったのは、これは一体、金融システムだとか決済システムだとかというものが崩壊してしまうんではないかな、一体どうなるんだろうというふうに心配をいたしておりました。その後の報道を見ておりましても、市場も動いておりますし、これは相当強力なバックアップ体制があるんだなというふうに思いました。  そこでお伺いしたいのは、例えば日本も、今お話をお伺いいたしておりますと、かなり進んではきておりますけれども、世界の主要都市の中央銀行などは過去どういったバックアップ体制を取ってこられたのか。そしてまた、今、大阪というふうに、バックアップ東京が駄目な場合は大阪というふうにお伺いをいたしました。府中お話も出ましたけれども、お伺いいたしました。地元の大阪出身の議員といたしまして是非お伺いをしておきたいんですが、なぜ大阪なのかということを是非お伺いしたいと思います。火山帯であるとか、地下のマグマだとか、阪神淡路大震災などがありましたから、その部分、大変我々、日々不安な生活を送っておるわけですけれども、そういった意味でも大丈夫なのかというようなことも是非、日銀さんにお伺いしてみたいなというふうに思います。  よろしくお願いいたします。
  27. 吉村英祐

    参考人吉村英祐君) 先生の御質問、十分理解しているかどうか分かりませんが、東京は、一極集中といいながら、いわゆる展都といいますか、埼玉であるとか千葉であるとかに機能を少しずつ分散していると思いますので、集中といいながら、現実には東京都というよりも東京圏集中という方が正確だろうと思いますが、しかし機能としてはやはり東京が圧倒的に優位であります。特に情報発信とかそういう点ではもうほとんど東京ですので、本当に大事なものがまだ分散されていないという、また出しやすいものだけ出しているという感じが大阪から見ていてします。  一方、大阪はどうかといいますと、先生よく御存じのように、大阪、京都、神戸という三つがいい意味で張り合って、これが災害のときには、先ほど申しましたように、神戸新聞社と京都新聞社、同時被災することはなかったということですし、大阪ガスも大阪の中央指令所バックアップセンターを京都に造ったりしております。神戸へも大阪からたくさんのボランティアが駆け付けた。歩いていける距離だったんですが、東京は余りにも大きいですから、例えば比較的被害の軽かった地域から東京の都心まで歩いていって帰れるのかとかいう、そういう別の心配もある。  要するに、大き過ぎるところに問題があるんですが、これをどうしたら集中を緩和できるかというのは、今の政治経済システムである限り変わらないですし、また、変わらないとしましたら、ここに書いてありますように、具体的にここでリスク軽減のための公共投資というのは、例えば大阪でもやられていますが、高速道路の橋脚に鉄板を巻くとかですが、一方で、一番重要な住宅ですね、個人の住宅、木造住宅の耐震性はほとんど向上していませんので、耐震診断なんかの費用は多少補助で出るようですが、改修には出ないと。皆さん、改修したいのはやまやまなんですが、数百万掛かるということでなかなか踏み切れない。  そうすると、私は政治の素人ですから分かりませんが、原資の貴重な予算の配分を何とか変えられないか。都市再生も本当はそういうのに使っていただけたらそれこそ本当の再生で、それが本当に都民といいますか一般国民の方々のためになるんではないかなと思っております。  以上です。
  28. 原徹

    参考人原徹君) 昨年のテロの際に、米国では相当、連邦準備制度、中央銀行でございますけれども、バックアップ体制を動かしてしっかりとした体制で業務を遂行したという具合に聞いております。  それで、バックアップセンターがどのような状況かという御質問でございますけれども、海外のことでありますのと、やはり各国ごとの事情があるようで、例えばセキュリティーの関係のことを考えて余り詳細が分からないとか、そういうことがございます。したがいまして、具体的に承知していないところがございます。  分かる範囲で申し上げますと、日本銀行の場合は、バックアップセンターを置く考え方が、先ほどからお話ししましたように、関東広域に及ぶような災害があっても大丈夫のような場所に置くという、そのような考え方が入っておるわけですけれども、それは海外の国によってやはりそれぞれ、そういうことを考えなくてもいい国もあるようですし、それぞれの御事情を勘案してバックアップセンター場所を決定しておるというように聞いております。したがいまして、メーンセンターとの距離については、近いところもあれば遠いところもあるというやに聞いております。  それから、大阪になぜバックアップセンターを置いておるのかという点でございますけれども、先ほども申し上げましたように、関東の広域に及ぶような災害が起こりましても、府中市にありますメーンセンターと同時に被災するというリスクがまずないことということでございます。距離的にそれなりに離れているということでございます。それから、バックアップセンターコンピューター等、機械を置くスペースがあることというのが次の理由でございます。それから、万が一そのシステムを動かす事態となった場合に、大阪支店であれば大阪支店職員を中心とする必要な人の手当てが可能だという、そのことが三番目の理由でございます。  これらの点を総合的に考えました結果、大阪に設置することが適当だということで判断したということでございます。
  29. 西川きよし

    西川きよし君 地震、火山、マグマというお答えは。
  30. 原徹

    参考人原徹君) 平成八年にできたときは、ちょうど七年に阪神淡路大震災が起こったところでございますが、ちょうど大阪バックアップセンターは建設中でございましたが、建物には全く被害がなかったということで、恐らく大阪での揺れでございます、神戸ではなく大阪での揺れということで、神戸ほどの揺れはなかったんだろうとは思いますが、一応地震の洗礼は受けて、しっかりとしたものは確認できたというように、そのように思っております。  ただ、じゃ実際に大阪地震がどの程度の確率で起こるのかということにつきましては、申し訳ございません、私も承知しないところでございます。
  31. 西川きよし

    西川きよし君 ありがとうございました。
  32. 長谷川清

    ○長谷川清君 今日は、本当にありがとうございます。  一つは、一極多心型というか、多極型という考え方国会等移転というこの問題と、今おっしゃっているこの例えば銀行さんのように、扱うものはお金の出し入れ、そういうような物の場合には、バックアップといえば、これはケーブルをループにしておけばバックアップ体制が取れるんですね、物であれば。ところが、政治とか行政とか、こういった場合は多極多心型にすることによってバックアップ的な要素も取れるが、常に付いて回っているのは、やはりリスクの問題ですね。  そういうふうに考えていくと、今日のお話を聞いていて、やはり国会等移転をするということの是非を検討するいわゆる要素と、それから多極多心型にしておく、少しでもリスクをという考えの上でと、どうしても今の東京なら東京というものが現実にあるわけですから、東京の中におけるリスクを、いかに計画的にリスクの部分をコストダウンしながら効果を上げるか、そこが非常に大事なんだというようなふうにも今日のお話では感じ取れるんですよね。  つまり、バックアップ体制を考えるということと多極多心というのはイコールではないと。リスクという点においては共通してこれはリスク感覚が必要だと、こういうふうに受け取っておいていいのかと、こういうふうに私は受け止めましたが、それぞれにいま一つ、そのことについてそういう考え方でいいのよとおっしゃるのか、いやそれは違うよとおっしゃるのか、その辺だけ聞いておきたいと思います。
  33. 吉村英祐

    参考人吉村英祐君) 多極多心型がリスク軽減になるというのは確かにそうですが、これは必要条件にすぎない、多極多心にすればリスク軽減になるんではないということで、これ日銀さんのネットも同じですが、人の問題ですね。その人がどれだけ早く駆け付けるか。もっと言いますと、その担当のスタッフの方が被災してしまうと何にもならないわけで、これは神戸の場合も、皆さん結構遠方に住んでおられます。早朝に地震があったということで、職員の駆け付けに非常に時間が掛かったということがありますので。  それから、必要条件にすぎないということだけちょっと念を押しておきたいと思います。それ以外は先生の御認識でほぼよろしいんじゃないかと思います。
  34. 原徹

    参考人原徹君) それぞれやや少し違うところがあるのかなという具合に思っていまして、恐らくダメージコントロールといいますか、実際に被害が起きたときにどのような形でその被害を極小化するのかというそういう大きな枠の中で、被害が生じても直ちにその被害の部分を極小化して別の代替機能でカバーできるというのがバックアップの話で、それからあらかじめ多極化しておいてそのリスクを分散させておくというのも一つのやり方ではありますが、それぞれ少し役割が違うような感じではないかという気がいたします。
  35. 長谷川清

    ○長谷川清君 私が感じるのは、いわゆる国会等のような政治経済的な、あるいは行政的な機能というものを移転しようかというこの委員会としてのテーブル、国会等移転という、こういうものの発想がまず基本にあるわけです。その場合、さっきのお話のように、例えば日銀さんは東京大阪をつないでいて、こちらがつぶれた場合でもこちらが機能するというお話ですよね。これをバックアップ体制と。強電と弱電で言えば、強電で言えばこれ電力、電力は東京大阪をつないでいれば、単線でつないでいると、それが切れれば両方切れちゃう。複線でループにしておく、ループにすれば、これは設備は二重に掛かるけれども安全が確保できる、いつでも電気がつく、お金もしかりだと。  ところが、国会の移転ということになった場合には、の中でもお話としてバックアップというお話がありましたから、だからいわゆるそういう点ではやはりイコールではない。イコールではないんで、やはり共通して言えることは、どこにどう移転させようと、あるいはそのまま東京でやる場合でも、そういうことに対するあらゆる地震災害その他のいろんな、もし万が一という場合のリスク感覚が必要なんだということだけは共通しているんだ、こういうふうに整理をさせていただいていいんだなという意味を申し上げたわけです。
  36. 原徹

    参考人原徹君) そのとおりだという具合に理解いたします。
  37. 島袋宗康

    委員長島袋宗康君) 他に御発言もないようですから、参考人に対する質疑はこれにて終了させていただきます。  この際、参考人に一言御礼を申し上げます。  参考人におかれましては、大変お忙しい中、当委員会のため貴重な御意見をお述べいただき、また質疑に対しましては懇切にお答えいただきまして誠にありがとうございました。委員会を代表して厚く御礼申し上げます。ありがとうございました。  それでは、本日はこれにて散会いたします。    午後二時五十分散会