○堀
利和君 一九六〇年に初めて身体
障害者雇用促進法が制定されるわけです。五五年にILO勧告を受けて制定されて、しばらくの間は努力規定で来まして、先ほど申し上げたように、七六年、昭和五十一年に義務化されるわけです。その後、八七年でしたか、「身体」を外してといいますか、「身体」だけでなくて「知的」、そして今後近い将来「精神」も含めてということで
障害者全体の法体系に発展してくるわけですから、私はそれなりにこの四十年間というものは評価するんですね。
ただ、評価するんですが、どうも今立ち止まって考えてみると、この法律は、先ほど部長も言われたように、事業主間の社会連帯に基づいて
障害者を雇い入れる共同の責務というのが基本理念、政策目標なんですね。つまり、先ほどの
お話のように、
障害者を一人雇うと、一か月健常者を雇ったよりも更に五万円経済的に負担が掛かるんだという考え方で、そうなると、企業間の自由競争の下で
障害者を雇った事業主、企業の負担と、雇わない企業の負担のない、これは不公平、不公正な競争になるので、雇った者と雇わない者との調整をして、言うなれば公正、平等、公平な経済競争をしましょうということに基づいて調整をしようではないかということなんですね。それが社会連帯であり事業主間の共同責務ということになるわけです。
〔理事中島眞人君退席、
委員長着席〕
ですから、そこで私は、これまでの政策目標あるいは施策をするに当たっては、先ほど言いましたように一定評価はしますけれども、どうもそこが私にとっては、限界なのではないか、この制度にもう一度基本的なところにメスを入れるべき時期に来ているんではないかなという、それがどういうふうにしたらいいかということは、私にもまだ結論は分かりませんけれども、どうしても雇った企業、事業主と雇わない事業主、企業とのあくまでもそこの調整ということで、私は、本来一
事業所、一企業が
障害者を雇う直接的な
意味での社会的責任というのを負うべきで、企業全体でその負担を分け合おうというようなところで何かちょっとそこをすり抜けてしまうようなことを感じるわけですね。そういう
意味で、私は、基本的なところをそろそろ見直すといいますか、検討すべき時期に来ているんではないかということをここで申し上げておきたいと思います。
そこで、具体的には、三百人規模以上の法定
雇用率未達成の
事業所から納付金を納付させるといいますか、納付金を上げさせるわけですけれども、五十六人、一・八%の
事業所から
雇用義務があり納付金制度があるんですが、三百人以下の中小企業については、そこは大変だということで免除されておりますから、三百人規模以上の
事業所から、企業から納付金を徴収するわけですけれども、この納付金が今後どの程度納付されてくるのかということで、言うなれば
雇用促進協会の助成制度等の事業運営に大きく左右されるわけですけれども、この納付金の納付の
状況、見通しで安定的な運営、政策助成事業が行えるのかどうか、この辺の中長期的な見通しはどのように考えていますでしょうか。