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参考人(
河瀬一治君) 今日は、
経済産業委員会の大変貴重な時間の中で、
参考人としてお招きをいただきまして、私
ども原子力発電所を持っております
地域の実情でありますとか、また、その考え方を聞いていただくということでありますので、大変うれしく思っておる次第でございます。感謝を申し上げます。
私、
全国に
原子力発電所が二十七の
自治体に
立地をしておりますけれども、そこの
立地と
周辺の準
立地の
地域がございまして、その
自治体で構成をいたします
全国原子力発電所所在市町村協議会という大変長い名前でございますので、これからは全
原協というように略させていただきますけれども、その
会長を仰せ付かっておるところでございます。
先般、
東京電力株式会社によります
自主点検作業記録の不正につきましては、
国民の
原子力に対します
信頼を根底から覆すものでありまして、大変遺憾なことだったというふうに思っております。また、国におきましても
公表に約二年要する等々、
原子力安全・
保安院の対応は極めて不適切であったと言わざるを得ないところでもあります。
私ども全
原協といたしましても、今回の不祥事に対しまして、九月二日、十月三十一日と二度にわたりまして申入れを行ったところでございます。
その申入れの中身は、
信頼回復のために国に対しまして、総
点検の
実施、
維持基準や
自主点検の
在り方などの
制度化、
原子力安全・
保安院と資源エネ庁を独立的
関係に見直すとともに、
安全規制体制の大幅な拡充、情報公開や透明性の
確保、内部告発
制度の
適正化などを要望したところでございます。
また、敦賀市といたしましても、日本
原子力発電株式会社と核燃料開発
機構、御承知のとおり敦賀市には日本原電の一、二号機がございますし、「もんじゅ」、「ふげん」も来年の三月で廃炉になりますけれども、核燃料サイクル
機構のそういう
施設がありまして、四つございます。敦賀は少し特殊でありまして、すべて型の違う炉を四つ持っているような
地域でございます。
そういうことで、総
点検の指示を行いました。そして、先月の十一月十五日に各電力から総
点検の中間
報告がなされたわけでございます。その中間
報告の中では、日本原電株式会社一号機のシュラウドのひび割れの兆候を
報告をしていなかった等、品質管理上改善すべき事項があったわけでありますけれども、不正また
技術適合義務違反、
報告義務違反に係る事実はないとの結果でございまして、
福井県とともに立入りの
調査を行いました。そして、中間
報告が妥当であるという旨も確認をしたところであります。
この問題につきましては、
国民の
信頼を回復するために、国及び
事業者におかれては厳正なる
調査と再発防止など、適切な処理を取っていただきたいというふうに考えておるところであります。
そこで、今回、
電気事業法及び
原子炉等
規制の一部
改正の案ということで今
審議がなされている最中でございますけれども、やはりこれは再発防止というその反省の上に立ったことで、国として
法律をもってしっかりやろうという表れでございまして、私ども
立地地域にとりましては安全をより
確保できるものだということで大変喜んでおるところでございます。
そういうことで、この
検査制度改善の一環として検討されております
電気事業法及び
原子炉規制法の一部
改正、また
独立行政法人原子力安全基盤機構法案につきましての全
原協の
会長としての立場で、また
敦賀市長という立場で
意見を述べさせていただきたいというふうに思います。
電気事業法及び
原子炉等
規制法の一部
改正案におきましては、
自主点検の法的位置付けの明確化、国によります確認など
検査の
実効性の
向上、
設備の
健全性評価の義務化、罰則の
強化などが盛り込まれております。この
法改正によりまして再発防止がなされることをやはり期待をするわけでありますけれども、より
国民の視点に立った
規制になるようにということを考えております。
そういう中で、定期
事業者の
検査というのがございますけれども、この全
原協におきましても
自主点検の
在り方を
制度化することを要望を、先ほど言いましたけれども、しておりまして、現行の
自主点検を
法令上の定期事業
検査と位置付けまして、
検査結果を
記録、保存、
報告を義務化をしているということは私どもの要望に即しているというふうに思っております。
しかし、法定
点検の一部、
定期事業者検査につきましては、
原子力安全
基盤整備機構が
実施するということになっておりまして、決してこれは他人任せにならないように、国としても
責任のある厳正な監督できる体制にしていただきたい、このように要望いたします。
また、
健全性の
評価の義務化でございます。
これにおきましては、その
評価の手法につきまして
民間規格の活用を含めまして省令で
整備するとしているわけでありますけれども、
安全性の後退を懸念する声もございます。要するに、新品同様ですとこれは
安全性は高いわけでありまして、それを少し古くなってもという
基準を作ることによって、要するに今までの
安全性よりも少し後退しているなというふうに感じられる
部分がございます。
そういうことで、やはり
技術的な検討をしっかりと行っていただきまして、その必要性でありますとか、また科学的な根拠を示すことによりまして、またそういうことが
国民の理解を得やすいというふうに思いますし、得るための
一つの前提でなかろうかなというふうに考えております。
維持基準につきましてはそのような考えを持っておるところでもあります。
また、罰則ということで、大変重い罰則ということのようでございまして、確かにその
強化を行うことによりまして、
法令違反等の抑止力として働くものというふうに考えるわけでございます。併せまして、
法令違反等の指摘がどちらかといいますとマスコミの方から出てくるというような、また極めて、
原子力批判の立場の
方々から出るんじゃなくて、やはり
保安院自身によって確実に行われるような厳しい運用を
お願いしたいというふうに思っておるところでもございます。
また、
独立行政法人原子力安全基盤機構法案でございますけれども、この
法律、この
基盤機構を設置をいたしまして、
原子炉の
検査、設計の
安全性の解析及び
評価、
原子力安全確保のための
基盤の
整備を行うということであります。
特に、
電気事業法でありますとか
原子炉規制法に基づきます
使用前の
検査、
定期検査の一部に加えまして、今般の再発防止策として盛り込まれました
定期事業者検査の
審査につきましても、
原子力安全基盤機構が
実施をしているというふうになっておるわけでありまして、先ほども申し上げましたけれども、決してその安全
規制が後退することがないように、
原子力安全基盤機構は厳正な
検査を行うことのできる機関でなければならないというふうに思っております。
今般の問題で
国民の
信頼が著しく失われております。
原子力安全基盤機構におきましては、業務に
責任を持って、
国民が
信頼し、そして安心して任せられるような、そのような
規制組織になっていただきたいというふうに願っております。
また、
原子力等々の
技術、大変高度でございますし、なかなか一般の
国民には
説明しても分からない
部分が恐らく多くあるというふうに思いますし、私自身も細かい
部分で
説明を受けますと難しいなということを感じます。そういうところで、やはり
原子力の安全、じゃ、どのように分からぬものを理解するんだということございますが、もちろん今の情報公開、より分かりやすい
説明は当然でありますけれども、例えば
法律ですとやっぱり弁護士さん等々、車の
整備ですと
整備をする人とか、また
行政書士とか、要するに代わりにやってくれる人が私どもの社会にはいられるわけでございまして、やはり
国民の立場に立って、
国民が安心して
信頼をして任せられる、そういう
組織というのは私は必要だというふうに思っております。
代理人というようなことで、松井選手も何か代理人を決めたというようなことで、なかなか自分では対応できないことがあるというようなものでございますので、是非
原子力の世界においてもしっかりとした代理人を立てて、
国民が安心をするという、そして
国民が安心して任せられる安全の代理人がやはり
原子力安全・
保安院でなければならないというふうに考えております。この
法律によりまして、
原子力安全規制が大幅に
強化されることを大きく期待をいたしておるところでございます。
特に、私ども日本人の
国民性だと思うんですけれども、隠すとかうそを言うというのは非常に嫌う私は人種といいますか民族じゃないかなというふうに思っておりまして、そういうことが分かった後の批判というのは、私も思うんですけれども、「もんじゅ」もちょうど
平成七年の十月に事故ございましたけれども、あのときにビデオ隠しとか改ざんがなかったら恐らく「もんじゅ」はもっと早く動いていたんじゃないかなというふうに思うわけでありまして、やはり
国民の皆さん方に隠し事をする、またうそをつくということはもう一番いけない、特に日本社会においてはいけないことだというふうに思っていまして、それと情報公開でございます。情報公開をしっかりと行いながら、やはりより透明性を高める、当然私ども
行政としても今そのような形で運営もさせていただいておりますけれども、特に
原子力の世界は先ほど言いました
信頼関係というものが一番大事でございますので、そういうことにやはりしっかりと取り組んでいただきたい、このようにも思っております。
最後になりましたけれども、私ども
地域振興も大切でございまして、もちろん安全、安心は一、二でありますが、やはり
地域振興がございませんと地元としても大変つらいものもございます。
平成十二年の十二月に議員立法によりまして
先生方のお力で
原子力発電
施設等
周辺地域振興特別
措置法を制定いただきまして、その中で私どもも
地域振興にいろいろと頑張っております。
やはり
原子力発電所があってよかったなと言われる、そういう
地域になることも大事でありまして、その基本はやはり安全、安心がありませんと到底成り立たないことでもございます。私どもも全
原協の中ではやはり
原子力発電所とともに共存共栄をしていこうというスタンスの中でいろいろと
活動もいたしておりますけれども、やはり一番身近に発電所を抱える
自治体でございまして、悩みも多いことも事実でございます。また今後とも諸
先生方のいろんな御指導、御支援をいただきながら私ども頑張ってまいります。
特に、
地域振興の諸問題の中では、市町村の核燃料税の創設等々、小泉総理が地方は地方で頑張れと、自分たちのアイデアを出せということを言っておられますし、私ども二十七しか、三千二百以上の
自治体、今度合併で減ると思いますが、二十七しかない
地域でございますので、
一つの発電所を持っているということを特徴付けてこれからも努力していきたいと思っておりますので、今後ともよろしく
お願い申し上げまして、終わらさせていただきます。
ありがとうございました。