○岩佐恵美君 国は、そのぜんそくと
大気汚染との因果関係を証明する科学的データはないと言い続けているんですけれども、今度の判決では、御存じのように、自動車排ガスで発症する
仕組みが医学的に十分解明されなくても、総合的に検討して自動車排ガスによって病気になったと是認できる高度の蓋然性があれば因果関係があると認めるのが相当だとして、判断基準を具体的に示しているわけですね。
先ほども議論がありました。昼間十二時間の自動車交通量が四万台以上で、大型車の混入率が相当高い道路から五十メーター以内に居住している、そこに住んでいる間かその直後に気管支ぜんそくが発症したり症状がひどくなったという、そういうことから七人について因果関係があると判断をしているわけですね。大阪地裁、神戸地裁、横浜地裁の判決も、幹線道路から五十メーターという同じ判断基準を示しています。
私は、その自動車道路から五十メーターの範囲内に限るというのは承服できないんですけれども、とにかく裁判所が認めた条件に該当する患者さん、これはもう自動車排ガスによる公害患者だと言わざるを得ないんですね。ですから、国は直ちにやるべきだというのは、これはもうだれもがそう思うんじゃないですか。
それで、先ほどの
調査の件ですけれども、これは実は八六年の中央公害
対策審議会の専門
委員会報告では、一般
環境大気の
汚染レベルによる健康被害の因果関係を否定しているんですけれども、それでも局地的
汚染などの場合は除外をしているんですね。十六年も前から局地的
汚染による健康被害の可能性が指摘されていたにもかかわらず、いまだに
調査手法がないというのは全くおかしいんです。
大臣もさっき、先ほど率直に、なぜ今までこのような
調査が行われなかったのかということで疑問に思われたと言われましたけれども、正にそうなんですよ、おかしいんですよ。結局、国は問題を先送りをする、因果関係が出ないようにいろいろ
調査をあれこれいじくっていると言われても私は仕方がないというふうに思うんですね。
で、判決では、千葉大学の、都市部の幹線道路近くに住む児童は道路から遠い児童や田園部の児童よりぜんそくになる危険が数倍高いという
調査結果を採用しています。ところが、国はそれを確認するような
調査やっていないんですね、やろうともしないんです。また判決では、千葉大
調査では、各
調査地点でのSPMやDEP、NO2などの濃度測定をしていないということや、自排局のデータが少ないなどのために排ガス中のどの物質が原因かは特定できないとしているんですね。
であるならば、そういう本当に必要な
調査だとか、あるいは自動車排ガス測定局の増設をするなど、やる気さえあれば私は、これまでに幾らでもやれたはずなんですね。国は被害者救済をまともにしようとしない、時間ばっかり稼いできた、だからこうなったのではありませんか。
大臣、役所の
説明はそうかもしれない。役所の皆さんは、とにかく今どうしのげるかということでずっと
環境省も苦労してきたと
思います、庁の時代からですね。だけれども、それでは済まないんです。もうそれでは済まないときに来ているんですよ。だから、こういう役所の皆さんの
説明もあるけれども、歴史的にやっぱりやるべきことをやらないで来た、そういう
側面もきっちり見て、それで
対応していただきたいと、そう思うんです。
政治家として本当に、
大臣、大変な時期に、私は
鈴木大臣の所信なり、あるいは今日、所信に対するお答えで、対症療法的な
対応じゃなくて
社会経済の
仕組みの中でなぜ出てきたかを
考えていく必要があると、根本問題に目を向けていく必要があるんだと、この答弁は本当に私はそうだなと
思いました。だからこそ期待したいんです。
是非、
大臣、そういう全体を見て判断していただきたい。いかがでしょう。