○横光
委員 今私が懸念したようなことは、そういう方向にはそぐわないというような御答弁でございました。
配偶者特別控除や特定扶養控除、この特定扶養控除というのは、十六歳から二十三歳未満までの、非常に家計に出費のかかる家庭に対する控除なんですね。こういった役割が終えた、あるいは廃止するというのであるのならば、まず
現実の
景気との兼ね合いを図りながら、踏まえながら、段階的に進めていくべき問題であろうと私は思うんですね。
そしてまた、そうしていわゆる痛みから生まれた
財源、そういった
見直しによって生まれた
財源は、まさに
小泉不況真っただ中なんですから、
国民生活の再建のために最優先すべきである。要するに介護とかあるいは子育てとか教育とか、こういった拡充推進のため、つまり将来不安の解消とか、かつ未来への先行
投資になり得る分野に充当すべきである、このことを私は申し上げているわけでございます。
国民は今、本当に痛みに耐えに耐えて、さらにこれから控除がなくなれば、その痛みはさらに激しくなる。そうやって生まれた
財源を企業減税に回すということは、到底、今の
国民からは理解も納得さえも得られないであろうということを強く申し上げているわけでございます。
その次に、今、教育の拡充推進ということを言いましたが、これも、
現実ではちょっと逆の方向に進もうとしているような気がしてならないわけです。
地方分権の推進が今大きな懸案事項となっておりますが、これまでの経緯の中で、村山
内閣のときに発足した地方分権推進
委員会、これが果たした役割というのは非常に大きいと思うんですね。そこで出された勧告は閣議決定までされているわけです。ですから、この閣議決定は現在の地方分権
改革推進
会議にも当然引き継がれている、このように理解していたわけですが、この十月に出された意見を見ますと、どうもそういうふうにはなっていない。
例えば一例を挙げますと、義務教育費国庫負担制度の
見直し案が提示されました。このことによって、今、全国の知事会やあるいは市町村長会や、あるいは県議会や市町村議会、要するに地方の行政を中心となって担っている人たちから猛反発が起きておるんですよ。いわゆる地方への
財政のただのツケ回しではないか、負担転嫁ではないかという声が物すごく激しく起こっておるんですね。
地方制度
調査会でも、今、地方分権のあり方が論議されておりますが、その中で、町村会長の山本町長さんがこういう発言をしております。町や村はそれなりに国家的な役割分担を担っている。自然や水を守り、そして食料をつくり都市に供給している。したがって、それを受けた都市は生産をして町や村へ豊かさを供給している。相互扶助の精神が働いている。私も常々、日ごろからこういったことを実感として感じておりましたので、全くそのとおりだなと思うんですね。
こういった地域、地方は、今の全国の国土の七〇%を所有しているんですよ。まさに、こういった地域が
日本を守っていると言っても過言ではないわけなんです。しかし、残念ながら、そういった地域は人口は少ない、そして産業も集中していない、おのずから
財政基盤が弱い。そういった地方で、教育までも地方の
財政基盤に反映させて行えということになるんですか。
そうなりますと、これは、私の町は地方税が少ないから、四十人学級では厳しいから四十五人学級を行うというようなことになれば、その町に住んでいる
子供たちはどうなるんですか。こういったことが放置されていけば、だんだん、多くの住民はより高い受益を求めてほかの地域へ移動、流出したりすることが起こりかねない、ひいては地域の崩壊にもなりかねない。いや、大げさと思うかもしれませんが、必ずこういうことだって起こり得るんです。私は、非常に今、そういうような心配をしております。
そもそも、この義務教育費国庫負担制度というものは、憲法や教育基本法で保障する教育の機会均等の
財政的
措置なんでしょう。すべての
子供たちが全国どこででも平等に教育が受けられる仕組みなんでしょう。この制度、仕組みを、
歳出削減をしなければならない、国の
財政が厳しいからという
理由だけでこれを見直すというようなことがあっては、国の将来を誤った方向に導いてしまうのではないか、私はそんな気がしてならないわけでございます。
教育は国づくりの基本である、このことは
総理も全く異論はなかろうと思うんですね。
その証拠に、
総理就任当時、いわゆる米百俵という精神を引用されましたね。あれは、まさにそこに通じると思うんですよ。あの戊辰戦争で大変な辛酸をなめた長岡藩に、隣の三根山藩から米百俵の見舞いが届いた。時の藩士はその米を分配せよと迫ったんですが、その長岡藩の時の家老小林虎三郎は、学校を建て子供を育英すれば、今は百俵だが、やがては一万俵、百万俵になるとして、この米百俵を換金して学校の資金に充当し、そして人材を育成したわけでございます。これがいわゆる米百俵の精神なんですよ。これを
総理は引用された。
そういった精神からすれば、やはり教育は未来の先行
投資として最も重視すべき課題であろうということだと思いますし、この精神を引用された
総理のお
考えからすれば、やはり義務教育費の地方へのツケ回しはすべきでない、国が責任を持って負担すべきであるというお
考えであろうと思いますが、
総理、いかがでしょうか。