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北側委員 竹中
大臣に申し上げたいと思うんですが、この
不良債権処理対策というのは、これまでもう累次にわたってやってきたんですね。その積み重ねの上に今があるわけなんですよ。私が申し上げたいのは、
政府の
金融政策の継続性、それをやはり重視されないといけないということと、
金融政策に対する信頼性というものを大切にしないといけないというふうに思うんですね。少なくとも、定めたルールを突然変更するのは、これはもう
金融界初め、市場関係者初め、無用の混乱を起こしてしまいますよ。
今、税効果会計、きょうは
国民の皆さん見ていらっしゃいますから詳しくやりませんけれ
ども、この問題も、アメリカの場合と
日本の場合とは前提が違うわけでしょう、会計
制度も税
制度も。アメリカの
制度をそのまま
日本に持ち込んでいいという前提じゃないんじゃないでしょうか。また、銀行の国有化の話も、銀行を国有化したら
不良債権問題が解決するなんかとんでもない話です。私は、やはり今伝えられているお話については少し疑問があるというふうに言わざるを得ないと思っておるところでございます。
もう一点申し上げたいのは、こうした
不良債権処理の
加速策だけで本当に
不良債権問題は解決するのかということでございます。さっきも
大臣は、デフレと
不良債権の悪循環というふうな言葉をおっしゃっていましたけれ
ども、そのとおりです。先ほどの表にあったように、新規の
不良債権の発生が増加しているんです。この間の日銀の報告によれば、バブル崩壊の
不良債権処理はもう終わっている、今は新しい事態だ、こういうふうに言っているわけですね。なぜ新規の
不良債権の発生が増加しているのか。それは、その大きな要因は、やはりデフレが深刻化しているからではありませんか。土地とか株等の資産価額が低下がとまらない、そういうことが大きな背景にあるんじゃないですか。
私は、
不良債権処理の
加速化ということを言うならば、一方で、同時にデフレ阻止に向けての政策を総動員しないといけない、デフレを退治しないと
不良債権問題そのものも解決しないということを強く申し上げたいというふうに思っております。
引き当ての強化をする、これは一方では間違いなく貸し渋りとか貸しはがしが一段と深刻化します。
金融が逼迫します。
企業倒産、
失業者が増加します。
不良債権処理の
加速化と言うならば、同時に強力なデフレ
対策と、もう一方では
雇用、
中小企業に対する
セーフティーネット、これを万全に張りめぐらしていく。この両輪がなかったら、
日本の
経済は大変なことになってしまいますよ。そういう認識を
政府はきちんと持ってもらいたい、私はそれを強く主張したいと思っております。
そこで、きょうも与党で、ぜひ
政府の皆さんにデフレ
対策を示したいということで、ぜひきょうじゅうに与党三党で取りまとめたいというふうに思っておるんですが、ちょっと二枚目の、時間もございませんので、私なりに八つの総合
対策というものを提案させてもらいたいと思っているんです。
一つは、
中小企業の
セーフティーネット、後で少しやらせてもらいます。
雇用の
セーフティーネット、この二つはもう絶対必要です。それから、都市
再生の推進とか都市基盤整備公団を活用した土地の流動化、こうした資産デフレ
対策も必要です。今やっている
構造改革特区の推進などの規制改革もやっていく。
構造改革を
加速する社会インフラの整備というのはあるわけですよ。
例えば、高齢化に備えた介護関連施設、どっちにしてもこれは必要なんです。今、待っている高齢者の皆さん、いっぱいいるわけですよ。こういう介護関連施設をつくれば
雇用の創出にもなるわけでございます。保育施設の整備、待機児童ゼロ作戦をやろうというわけですから、この整備もやっていかないといけない。耐震化など学校施設の整備。この間の文科省の発表では、小中学校、耐震化に問題があるのが四割あるというじゃないですか。耐震化など学校施設の整備、また、
環境保全や防災にとって重要な
意味を持つ間伐などの森林整備、また、バイオ、ナノテクノロジーなど先端技術
開発などのための
研究所、大学などの施設整備、さらに東海、東南海地震
対策等々、社会資本整備で、やっても
国民から文句も言われない施設、社会資本整備というのはあるはずなんです。
構造改革をむしろ
加速する社会資本整備があるはずです。これをしっかりやるべきです。
また、新産業創出、産業・
企業再生と書いてございますが、この新産業というのは、バイオとかナノとかITとか
環境とか、重点四
分野と言われているんですが、それだけじゃありません。私は、健康とか文化とか観光とか、こうした
分野も新しいこれからの
日本の
成長分野だというふうに思っているんです。扇
大臣、観光、EUではGDPの一二%、観光産業からですよ。一二%ですよ。
日本はやはり観光政策というのが極めて私は不十分だと思います。もっと観光とか文化とか、そういうものに力を入れていかなあかん。
私、
政府に、
内閣に観光担当
大臣とか文化振興担当
大臣をつくってもいいんじゃないかと思うんですよ。扇さんなんか本当にふさわしいと思います。また、
内閣に戦略
会議をつくって、
経済活性化のために観光をどうするんだ、文化をどうするんだ、そういうことを
内閣府で、
経済財政諮問
会議で今やっていることだけではなくて、こういうこともぜひやってもらいたい。
平成五年から
日本国民の消費傾向は変わっています。物から非物に移っているんです。今までは、物を買う、こういう消費性向が半分以上でした。今は違うんです。非物、ソフトの方に消費をしていくという傾向にシフトしています。そういう
意味では、こういうものにもぜひ力を入れてもらいたいと思いますし、ここで書いてございます産業や
企業再生機能についてもぜひ強化してもらいたいと思いますし、さらなる
金融緩和、物価安定目標の設定など、
金融政策についてもぜひやってもらいたい。こうした総合
対策を一本で、一括で出さないで、
不良債権の
処理の
加速策だけをやってはだめですよ。総合的に私はやるべきだというふうにぜひ訴えたいと思うわけでございます。
そこで、ちょっと三枚目の資料をごらんになっていただきたいんですが、
中小企業の問題についてお聞きをいたしますけれ
ども、
中小企業への貸し渋りの実態を示す統計資料だと私は思っているんですけれ
ども、これは日銀の資料に基づきましてつくりました。国内銀行の貸し出し全体から
企業への貸出分を出しまして、それをさらに大
企業分と中小・中堅
企業分に分けてこういうグラフをつくらせていただいたんです。
皆さん、これ、大
企業の方は、一九九四年の一—三期、当時これは百四兆の貸し出しがありました。中小・中堅は三百八兆の貸し出しがこの九四年の一—三期にはあったんです。それがその後どうなったかといいますと、大
企業の方はこの表のとおり、一時期はこの額を上回っている時期もあるんですね。指数でいっても九四・八、マイナス五%、その程度しか減っておらないんです。一方、中小・中堅の方、この数字は、私はこの表をつくってみて非常にショックだったんですけれ
ども、九四年一—三期に三百八兆あったのが、今、二〇〇二年では二百二十三兆しかない。八十五兆も減っているんですよ、八十五兆も。二七%以上減っておるわけですよ。
大
企業というのは、本来、社債とか株式とか、直接
金融という手段があるわけでしょう。
中小企業の方は、そういう直接
金融の手段がありません、少ないです。間接
金融、銀行からお金を借りるしかありません。そういう、中小・中堅の方はずうっと貸出総額が急速に減っていて、大
企業の方はそんなに減っていないという実態なんです。
この数字を見る限り、私は、やはり弱い立場の
中小企業には貸し渋り、貸しはがしをやっているということは言わざるを得ないと思うんです。
今、
中小企業、中堅
企業というのは、バブルの崩壊とか、デフレの深刻化とか、地価や株価の大幅な下落とか、取引先の倒産とか、もう数多くの中小・中堅
企業はみんな大きな痛手を負っているわけでありまして、リスクを負っているんです。リスクを負っているのがむしろ普通なわけです。そういうリスクを生じる
可能性のある
中小企業にお金を貸さないという状態が生じているわけでございまして、民間
金融機関の本来の
役割でございます資金仲介、リスクテークをとってお金を貸す、これができていないということでございまして、私は、
政府系
金融機関の
役割が高まるのは当然ではないかというふうに思っているわけでございます。
平沼大臣、
中小企業対策を所管されておられます
大臣として、この数字、この資料、どういう御感想をお持ちでしょうか。