○春名直章君 私は、
日本共産党を代表して、
独立行政法人国民生活センター法案等特殊法人等改革関連四十六法案すべてに反対の討論を行います。(
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すべての法案に反対する最大の
理由は、今回の特殊
法人改革の多くが看板のかけかえにすぎず、改革の名に値しないものだからであります。
国民が期待する特殊
法人改革の眼目は、むだな部分は思い切って削減する一方、
国民生活に必要な部門は拡大、充実させること、官僚の天下りをなくして利権と癒着構造にメスを入れること、ここにあります。ところが、四十六本の法案には、こうした
内容の改革は皆無であり、むしろ、逆行しております。
むだの削減ではどうでしょうか。
例えば、
独立行政法人緑資源機構法案や水資源機構法案には、緑や自然破壊を引き起こしてきた大規模林道
事業やダム建設
事業など、多大な浪費を生み出してきた公共
事業が依然として引き継がれ、温存されています。
また、
独立行政法人新
エネルギー・
産業技術総合開発機構法案は、現行特殊
法人の頭に「
独立行政法人」の名称を加えただけ、肝心の
業務内容は、同機構が進めてきた大企業奉仕の技術開発
事業のすべてを継承するものとなっています。
既に廃止したとされる石油公団も、
独立行政法人石油天然ガス・金属鉱物資源機構に
業務が引き継がれ、
国民の批判が集中した、油田開発に失敗すれば資金を返す必要がない成功払い制度は、形を変えて温存されたままであります。
このように法案の多くが看板のつけかえの一方、削減すべき企業・業界支援、むだな公共
事業推進部門は、依然として温存されたままなのであります。
国民の大きな批判が集中している官僚の天下りに何らの規制がかけられていないことも、重大であります。
高級官僚が特殊
法人の特定のポストに就職し、数年勤めて高額の退職金を手に入れ、さらに関連ファミリー企業の
役員に天下り、そこへ仕事を回す、この利権の構造こそ真っ先に改革すべきであります。(
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ところが、今回の改正では、天下りを受け入れるかどうかは
独立行政法人側の判断とされ、その規制は全く放棄されています。昨年四月、国の研究機関等が分離されて
独立行政法人がつくられましたが、その
役員数の約九割は、旧組織からの横滑りや天下りで占められています。政府は、今回の
独立行政法人化に当たって
役員ポストを減らしたと
説明しますが、これらの多くが、将来、官僚の天下りによって占められることは想像にかたくありません。
さらに、公務員制度改革大綱では、営利企業への天下りについて、人事院の事前承認を廃止し、大臣承認に切りかえるとしています。これでは、一層天下りがはびこることになりかねません。天下りは、それ自身を
法律によって規制することがどうしても必要であります。(
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一方、看板かけかえの陰で、
国民生活と安全を支える部門を削減していることは許されません。
消費生活が
多様化し、相談件数が急増している中で、
独立行政法人国民生活センター法案は、
国民からの直接の相談
業務を廃止するとしています。国の消費者行政の明白な後退であります。
社会保険診療
報酬支払基金の民間
法人化は、公正で全国一元的な
審査支払い体制を崩壊させ、公的医療保険体制そのものを変質させかねません。
独立行政法人医薬品医療機器総合機構法案は、
法人の名称から「救済」の文字を削るだけでなく、医薬品の研究開発部門と
審査部門、安全対策部門を統合するという、いわばアクセルとブレーキを一体化するもので、薬害エイズからの教訓に全く反するものであります。
他の多くの法案も同様であり、
国民生活と安全を支える分野での明白な後退を
独立行政法人化や民間
法人化の名で強行することは、到底容認できるものではありません。(
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また、
独立行政法人日本芸術文化振興会法案は、国が政策目標を明確にして、厳格な外部評価を
実施するもので、本来自主的で創造的であるべき芸術文化活動に対する権力の介入につながりかねず、許されません。
日本共産党は、
国民の期待する真の特殊
法人改革に向けて今後も全力を尽くすことを申し上げまして、私の反対討論を終わります。(
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