○土田龍司君 私は、自由党を代表して、ただいま
議題となりました
原子力関連
法案について質問いたします。(
拍手)
あってはならない不祥事がまた起きてしまいました。ことし八月末に発覚した東京電力による
原子力発電所の
トラブル隠しでは、信じられない事実が次々と明るみに出ました。
原子炉の圧力隔壁であるシュラウドのひび割れを知りながら数年間運転を続ける、下請である
検査会社の
報告書の図にあったひびの部分を塗りつぶす、こっそり修理して後で交換する、うその記録とは別に本当の情報は内々で引き継ぐ、常識ではあり得ないことであります。
疑惑は、本当にすべて明らかにされたのでしょうか。新たに判明することはよもやないと思いますが、
経済産業大臣の御
所見をまず明確にお聞かせいただきたいのであります。
食中毒問題の対応を誤った雪印乳業、牛肉の買い上げ
制度を悪用した日本ハム、国後島のディーゼル発電施設の入札妨害
事件を引き起こした三井物産など、業界トップ企業での不祥事が続発しております。しかし、
民間企業ばかりが問題なのではありません。事の本質は、もっと根深いところにあるのです。
ことし七月には、
経済産業省・資源
エネルギー庁の特別
機関である
原子力安全・
保安院の技官が、原発を舞台に贈収賄
事件を起こしました。平気で不正を働く職員のいる監督官庁の姿勢が、
電力会社の振る舞いに影響を与えなかったと言い切れるでありましょうか。
また、官僚の振る舞いは、政治家の姿勢に通ずるところがあるのではないでしょうか。公共
事業の口ききをして高額の見返りを得ていた秘書官の
事件が明るみに出た
大臣がいても、けじめをつけることのできない
内閣の姿勢、政治家の気の緩みが、自分さえよければいい、その場さえ取り繕えばいい、自分の身に災いが及ばなければ今のままでいたい、何とかなるだろう、なってほしいという意識を
国民に蔓延させて、この国の病巣となって、取り返しのつかないところまで進んでいる。これが根本の問題なのではないかと思いますが、小泉
内閣にそういう認識がおありかどうか。この国のありようについての基本認識を、まず、福田官房長官にお伺いいたします。
東京電力の不祥事が明るみに出たのも、またも内部
告発によってであります。十三カ月に一度行われてきた国の
定期検査でなぜ発見できなかったのか。また、事実が明らかになるまでに内部
告発から二年もかかった
原子力安全・
保安院の対応は、怠慢と言われても仕方がないのではありませんか。立入
検査もしないで、一体何をしていたのでしょうか。これまでの
原子力安全・
保安院の対応をどう
反省しておられるのか、
経済産業大臣にお尋ねいたします。
このような見て見ぬふり、いわば不作為の作為によって、
経済産業省も重大な罪を犯したのであります。東京電力だけが悪いわけではありません。そして、それを許したのが、政官業のなれ合い、もたれ合いの癒着構造なのです。その意味で、雪印乳業、日本ハムなどの
事件と全く同質のものであると思います。
この不祥事が
原子力分野全体への
信頼をいかに損ねたか、東京電力は、その
責任の重大さを痛感しなければなりません。しかし、万全の
再発防止策が講じられなければ問題の解決にはなりません。
政府が提案された関連
法案で問題が解決されることになるのか、お尋ねしてまいりたいと思います。
まず、
原子力に限らず、国が定めている
安全基準のあり方そのものを見直すべきであります。常に新品同様でなければならないという
原子力施設の
安全基準の非現実性、非合理性が、今回の
事件で明確になりました。
原子力施設と同様に、国が設けている
安全基準に、時代とともに
実態とかけ離れてきているものがないかどうか、国際水準とかけ離れていないかどうか、工業製品や食品、医薬品など、この際、国が
法律によって設けているすべての
安全基準について総
点検をすべきではないかと考えますが、官房長官の御
所見をお聞かせください。
また、
原子力施設については、今回の法
改正で
検査制度がようやく改められることになりますが、これまでこの
検査体制を放置してきたのはなぜなのか、国に
責任はなかったのか、
経済産業大臣の御見解をお聞かせください。
政府案の考え方は、原発の
定期検査制度については
電力会社が一義的に安全に
責任を負い、国は会社の
点検システム全体をチェックするという視点に立つものであると思いますが、この程度の国の関与で安全が保証されるとお考えでしょうか。
電力供給の三分の一、東京・関西圏では四割を賄う
原子力発電所の
安全確保は、国の重要な責務であります。企業任せにして、内部のかばい合いやなれ合いで
原子力施設の
安全性が脅かされることがあっては断じてなりません。日ごろから、
原子力発電施設の警備も自衛隊ができないような
政府の危機意識のなさ、安全管理の不徹底が
政府案にあらわれているのではないかと思いますが、
原子力安全行政に国がどのように関与すべきだと考えておられるのか、官房長官並びに
経済産業大臣の御
所見を承りたいと思います。
これまで、
原子力発電所の
検査は、マンネリ化とむだの多さが問題とされてきました。
検査項目、
検査手順、判定方法もマニュアル化され、国の
定期検査の前には、
電力会社は予行演習をして備えるのが通例となっているなどと指摘されておりました。今回の
政府案は、こうした形式化した
体制を改めることを
目的にしていると承知しておりますが、
実態がどう変わるのでしょうか。これまでの
電力会社の
検査項目や
検査マニュアルが変わることになるのですか。
新たに国が抜き打ち的な
検査を行うと言いますが、
定期検査を行う際に、予定していないところを
検査するというものであり、立入
検査ではありません。
政府案では
検査の質がどのように向上することになるのか、
経済産業大臣から具体的にお答えをいただきたいと思います。
形式化した
検査体制を改善することは当然ですが、形式的でなくなるにしろ、
検査官のレベルアップが伴わなければ、絵にかいたもちになると言わざるを得ません。肝心の
検査官が
検査をこなせなければ話になりません。新設される
原子力安全
基盤機構にそのような
人材が
確保される保証はあるのか、また、これまでマンネリ
検査を続けてきた国の
原子力安全・
保安院の
検査官の質をどうやって高めていくおつもりなのか、
経済産業大臣のお考えをお聞かせください。
また、今回設立される
原子力安全
基盤機構が行うのは、あくまで
検査体制の
審査であります。
点検そのものを第三者
機関自身が
実施し、問題があれば国に
報告できるような
仕組みをつくるべきではありませんか。
青森県の木村守男知事は、国に、
原子力安全・
保安院の
経済産業省からの分離独立を求めたと聞いております。
原子力行政を推進する立場の
機関が安全
規制をもあわせて所管することについての懸念から、安全
審査の
仕組みを第三者的な
機関で行うように改めるべきであるとの
趣旨だと思いますが、この件について
経済産業大臣の御見解をお尋ねします。
次に、東電の不祥事が
原子力行政に与える影響と、
政府の対応について伺います。
虚偽発覚を受けて、東京電力は、
原子力発電所でプルトニウム燃料を燃やすプルサーマル
計画について、お願いできる
状況にはないと悲観的になっております。国の核燃料サイクル唯一の
利用計画であるプルサーマルが、全く見通しの立たないものとなりました。
福島、新潟、福井と、プルサーマル
計画を予定していた
自治体が、この
事件の発生によってプルサーマル推進に次々と強い拒否反応を示している中で、予定していた、二〇一〇年までに十六から十八基の
原子力発電所で
実施するという
計画は見直さざるを得ないのではありませんか。また、この事態は、核燃料サイクル確立という国の
基本方針を変えざるを得ないような深刻な事態であると認識すべきなのではありませんか。
経済産業大臣の御認識をお聞かせください。
今回の
事件は、また、IAEAが調査団の派遣を示唆するなど、国際的な信用と名誉をも大きく損ないました。このままでは、大量のプルトニウムが処理できなくなり、IAEA総会で
政府がたびたび繰り返してきた、
利用目的のないプルトニウムは持たないという国際公約に違反することになると考えますが、この点について官房長官の御
所見をお聞かせください。
原子力立地を推進するには、
関係自治体の協力が不可欠であります。自由党は、かねてより、公共
事業関係の補助金を地方に一括交付して、その使途を
自治体の裁量にゆだねるべきであると主張しておりますが、せめて、電源立地をサポートするために設けられている電源三法交付金
制度に基づく地域交付金くらいは、国の関与を排し、地元
自治体の権限と
責任で自由に使用できるよう、
制度改正を行うべきだと考えます。
経済産業大臣の前向きの御
答弁を求めます。
次に、電力自由化と原発施設
整備との
関係について伺います。
戦後、九つの
電力会社が地域を分割して、発電から送電、小売までを一貫して独占的に営業してまいりました。今後、これを自由化していくことが重要な課題となっておりますが、小泉
内閣は電力の自由化をどのようなビジョンと原則で進めていこうとされておられるのか、官房長官にお尋ねいたします。
また、無原則に自由化を進めれば、電力の需給
計画は立てられません。とりわけ、投資リスクの大きい原発施設
整備への影響は重大なものとなると思われますが、これをどのように考えておられるのか、
経済産業大臣にお尋ねをしまして、私の質問を終わります。(
拍手)
〔
国務大臣福田康夫君
登壇〕