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国務大臣(
平沼赳夫君) 田中
議員にお答えをさせていただきたいと
思います。
私に対する御質問は八問であったと思っております。
まず、
中小零細企業の厳しい経営状況について、その痛みがわかっているのか、こういうお尋ねでございました。
私の地元の
選挙区の中でも、
支援者の方が厳しい
経済状況の中で自殺に追い込まれる、大変気の毒な、そして、涙なしでは語れない事例がございました。このデフレの中で
日本の企業が厳しい状況に置かれている、このことを私どもは重く受けとめて、この
国会においても
中小企業対策の
法案を出させていただいております。そして、セーフティーネットをしっかりと構築し、そして、
物づくりが伝承できるような、そういう
経済社会をつくっていくために、これからも
努力をしなければいかぬと思っているわけであります。
次に、これまでの
知的財産政策とどこが異なるかについてのお尋ねであります。
まず、これまでの
知的財産政策につきましては、個別の法律を所管する関係府省によりまして、それぞれの観点から行われてきた、こういう面があったと思っております。
しかし、今後は、
知的財産をてこにして、
我が国産業の
国際競争力の
強化と
経済社会の再活性化を図ることが明確な
国家の
基本理念となり、また、本
法案により設置される
知的財産戦略本部が、
推進計画を策定するなどによりまして、関係府省の
施策も含め、
政府の
知的財産政策を一体的、集中的に
推進することになると
思います。
また、
本部が策定する
推進計画には、個々の
知的財産の
施策につきまして具体的な目標及び達成の時期を定めることといたしておりまして、
施策の達成度合いを明らかにすることを通じて
政府の
政策遂行
責任が明確になる、このように考えているところでございます。
次に、
我が国の
産業競争力の回復に向けた
知的財産戦略についてのお尋ねであります。
知的財産基本法案は、
知的財産の
戦略的
創造、
保護及び
活用による
我が国の
産業競争力の
強化と
経済活性化を目指すものであります。
このためのより具体的な
施策として、
一つは、大学や研究
機関による
知的財産の
創造促進、
二つ目は、迅速、的確な特許審査のための取り組みの
推進、三つ目は、海賊版の海外及び水際における対策の
強化、四つ目は、
営業秘密の
保護強化などがありまして、本
法案により設置される
知的財産戦略本部によって、これらの
施策が
知的財産推進計画の中で位置づけられ、
推進されることに相なります。
こうした
知的財産基本法に基づく諸
施策の実施を通じて、知的
創造サイクルの活性化を図ることによりまして、他の
経済構造改革とあわせまして、速やかに
我が国の
産業競争力の回復を図っていく所存でございます。
次に、これまで
内閣に設置された
本部というのは何ら抜本的な
政策を打ち出していない、したがって
知的財産権庁を置くべきではないか、こういうお尋ねであります。
これまで
我が国の
知的財産政策は、
産業の発達や文化の
発展という観点から、それぞれの省庁において、先ほど申し上げたとおり取り組んでまいりました。
しかしながら、今後は、行政
組織の簡素化が求められる中、
我が国産業の
国際競争力の
強化に向けまして、
政府一体となって
知的財産戦略を実施するため、
内閣総理大臣を
本部長とする
知的財産戦略本部を
内閣に設置いたすことにいたしております。
本部は、
総理のリーダーシップの
もと、すべての省庁の協力を得まして、
知的財産の
創造、
保護及び
活用並びにこれらを支える
人材の
育成に関するすべての
政策を、総合調整の上、
知的財産推進計画にまとめ、これを集中的かつ計画的に
推進するものでありまして、十分に実効的な
知的財産戦略の
推進機関である、このように考えております。
若手研究者に予算を優先的に配分するなど、彼らが自由に研究できるような環境を整備すべきだ、このような御指摘でございます。
若手の研究者が自由に研究できる環境の整備については、
経済産業省といたしましても、
産業につながる革新的な
技術シーズを発掘するためには、大学や独立行政法人を中心とした若手の研究者が柔軟な発想で研究を行うことが重要であると認識しております。
このため、
平成十二年度から、
産業界のニーズを踏まえた
技術シーズの発掘と若手の
人材育成を図るために、大学や独立行政法人等の若手研究者を対象とした
産業技術研究助成
事業を実施してきているところでございます。今後も、若手の研究者がその
創造性を十分に発揮できるように、引き続き本
事業の拡充に努めてまいる所存でございます。
次に、海外への
技術の流出を防いで、新たに出願された特許を使った製品はでき得る限り国内で生産されるように誘導策を講ずるべきだ、こういうお尋ねがありました。
経済のグローバル化が進展する中で、
我が国産業の空洞化を防ぐためには、企業にとって国内の
事業環境を魅力のあるものにすることを通じまして、新たな
技術を
活用した高付加価値分野の国内生産の維持拡大を促していくことが何より重要であると考えております。具体的には、
知的財産戦略の
推進のみならず、高
コスト構造の是正、規制
改革、
産業技術力の
強化など、総合的な
経済構造改革に取り組むことが必要であると考えております。
政府といたしましては、
知的財産に関する諸々の
施策を着実に実施し、他の
経済構造改革とあわせて、すぐれた
知的財産を有する企業が
発展するように環境整備を図っていかなければならない、このように思っております。
また、中国における模倣品対策についてのお尋ねがございました。
模倣品・海賊版対策の
強化は、
知的財産基本法案においても、国が講ずべき
基本的施策の中で位置づけられております。
私どもが昨年行った調査によれば、模倣品の製造の現状を国別で見ると、中国が全体の約三分の一と最も多いだけでなく、被害業種も多岐にわたるなど、被害は一層深刻化をいたしております。
政府といたしましては、これまでも、WTOや二国間協議など各種の通商協議等の
機会を利用した中国に対する働きかけを行ってまいりました。加えて、来る十二月には、民間の反模倣品・海賊版団体、国際
知的財産保護フォーラムの対中国ミッションにハイレベルの者を同行させ、中国
政府に取り締まりの
強化の要請を行うなど、官民一体となった対策をより一層
強化していかなければならないと思っておりますし、御指摘のように、中国がWTOに加盟をいたしましたので、そういった場を通じましても私どもはしっかりとやっていかなければならないと思っております。
また、
知的財産基本法を
国家戦略の柱とすべきとの御指摘であります。
私もそれには全く同感でございまして、
アジア諸国の急速な追い上げの中で、今後
我が国が進むべき道は、すぐれた
発明等の
知的財産を
戦略的に
創造、
活用しまして、これによって
我が国産業の
国際競争力を高め、再び活力ある
経済社会を
実現することであると思っております。
知的財産の
創造、
保護及び
活用に関する
施策を集中的かつ計画的に
推進することを目的といたします
知的財産基本法案が、今
国会の御
審議を経て速やかに成立することを心から希望いたしまして、
答弁にかえさせていただきます。
ありがとうございました。(
拍手)
〔
国務大臣森山眞弓君
登壇〕