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中井政府参考人 最近の
受刑者の傾向等について、とりあえず最初に御
説明させていただきたいと思いますけれ
ども、
行刑施設の
収容人員というのはここ数年急激に増加しておりまして、いわゆる過剰
収容の
状況にございます。既決、
受刑者等はこれに該当するわけでありますが、既決の被
収容者だけを見ますと、五年前の
平成九年十月末に比べて一万五千人ふえておりまして、約五万七千人となっております。
収容率は三〇%増加いたしまして、一一六%に現時点で達しているところであります。
また、全般的な傾向を申し上げますと、
委員御案内のとおり、昨今、非常に犯罪が凶悪化傾向にございまして、当然のことながら、刑が長期化する傾向がございます。
その被
収容者の内訳を見ましても、いわゆる暴力団
関係者、これは
名古屋刑務所の場合、特に比率が高いわけでございますけれ
ども、それとか覚せい剤事犯者あるいはこれに伴ういろいろ精神面に問題が生じ得る被
収容者もおるわけであります。あるいは、再犯を犯して入ってくる者という、いわゆる
処遇に困難を伴う
受刑者の占める割合が非常に高いということがございます。
加えまして、いわゆる高齢化社会が進展しておりまして、これは
刑務所の中においても同様でございまして、六十歳以上の
受刑者が、
平成三年末の二千名ぐらいから
平成十三年末には五千二百人にふえております。また、言葉の問題その他ございます外国人
受刑者につきましても、
平成三年末の千三百人から
平成十三年末には三千五百人と、この十年間で約二・六倍に急増しております。
これらは、
処遇上あるいは保安警備を行う上で特段に配慮が必要とされるわけでございまして、これら
受刑者が増加しているということでございます。
私
どもといたしましては、過剰
収容の急場をしのぎますために、一人用の独居に二人入れたり、あるいは六名用の雑居に七名あるいは八名という形でしのいでおりますほか、集会場や倉庫等、これは被
収容者の生活空間になるわけでありますけれ
ども、それを改修いたしまして居室や工場などに転用するなどしております。
結論から申しますと、被
収容者が居住する空間というものが非常に狭くなっておりまして、被
収容者にとりましては、
現場にいる
刑務官が自分たちをどんどん狭いところへ入れているんだ、こういう認識になるものですから、不満やストレスとかが増大いたしまして、
不服申し立て件数や工場に出るのが嫌だという形に伴うところの懲罰
件数もふえておりますし、いわゆる
施設内での
暴行傷害事案というのも急増しております。
職員数は増加しないものですから、必然的に
職員の負担も増加しているという形になっているわけでございます。
特に
名古屋の場合、暴力団比率が高いわけでございますけれ
ども、暴力団
関係者というのは組織への帰属意識が強うございまして、組織間の対立抗争といったものを
行刑施設内に持ち込みます。保安事故が起きる危険性が高いということもありますし、かつて、歴史上、いろいろそういう
案件がございましたけれ
ども、衆を頼んでその
当該施設を我がものに乗っ取りかねないような、そういう
規律、
秩序を乱した事例も過去にはございました。また、他の一般
受刑者に対していろいろ威圧するというようなことがありまして、そういった行刑機能を低下させるような者が非常に多いということでございます。
それから、覚せい剤
事件の
受刑者が非常にふえてまいりますと、これはそもそも、犯罪の罪質上、余り悪いことをしたという意識がございませんし、後遺障害によりまして、突如乱暴な行動に出ましたり、あるいは医療措置が必要になるということもございます。
また、高齢
受刑者につきましては、そもそも、身体的疾患、あるいは運動機能が全般的に低下している例が多うございまして、一般
受刑者とともに集団で
処遇することが困難であるというような
状況になっております。
外国人
受刑者は、当然御理解いただけると思いますけれ
ども、言葉での意思疎通がそもそも非常に容易ではございません。また、食事とか宗教等の面でも相応の配慮をしなければなりません。また、価値観も違う場合もございます。したがいまして、
処遇に対する不平不満が非常に生じがちになってきているわけでございます。
このような
状況が現状でございますけれ
ども、私
ども、治安の最後のとりでと自分たちで自負しておりますので、何とか気合いと根性で頑張っていきたい、かように
考えております。