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仙谷委員 ここ一年ぐらい、全国的にいうと月三千件ぐらいの相談が持ち込まれるらしいんですが、二千件、三分の二は多重債務者、要するに破産の話だ、こういうふうに言われておるんですね。それで、お金の制限もこれあって、各支部、各県ごとにどんどん件数制限をかけてもらったり、援助
決定をする要件を極めて厳しく絞り込んだり、もうお金が足りなくなって先送りしたり、あるいは援助の停止をしたりという事態に各県の
法律扶助協会がなっておるようであります。
これは、各県の弁護士会と連動しているといいましょうか、弁護士会の費用で雇った事務職員に
法律扶助協会の仕事もさせているというふうなところも多うございまして、弁護士会と連動して仕事をしている扶助協会の支部が多いわけです。要するに、今の予算では、とてもじゃないけれ
ども、申し出のある件数にも対応できない、先送り先送りになってしまったり、本来は援助を
決定しなければならない
人たちを切り捨てるというふうなことにもなっているということで、例えばことし、平成十四年についても、十億程度は追加をしていただけないと対応できないという要望が
大臣のところへも
法律扶助協会から行っているはずでございます。
さらに、先ほど概算
要求の話が出ましたので申し上げますと、本年度予算よりも五億円プラスしているわけでありますけれ
ども、これとても、
法律扶助協会の方からなされた要望というのは、平成十五年度については七十五億円の要望が
最初は出されておったはずであります。国庫補助としては四十億円ぐらいをお願いしたいと。さらに、先ほど申しましたけれ
ども、今、運営費について、つまり
法律扶助の事務をする事務職員の人件費を中心にして、全く運営費が補助されておりませんので、一支部一人ぐらい、つまり一県一人ぐらいは専任を置く、その費用を何とか補助できないだろうかということで、合計七十五億円の要望がなされておるはずでありますけれ
ども、概算
要求は、三十五億ぐらいのものしか今
要求をされていない。
聞くところによりますと、その分についても、去年も概算
要求で三十五億九千四百万ですか、行って、実際についた予算は三十億だったということでありますから、ことしは概算
要求の
段階で昨年よりも合計の金額としてこれは減っておるように私には見えますし、予算そのものも、また全体の予算が収縮する中で減らされるんではないか、これではとても対応ができない。
私は、先ほど申しましたけれ
ども、今、セーフティーネット論議というのが非常に盛んです。何がセーフティーネットかわからない。つまり、銀行のセーフティーネットなのか中小企業という会社のセーフティーネットなのか産業界のセーフティーネットなのか、もうみそもくそも
一緒の議論が現在行われておるわけであります。あるいは個人のセーフティーネットかわかりません。しかし、基本は、セーフティーネットの問題というのは、国家財政に限度があるとするならば、個人がまさに憲法二十五条の健康で文化的な最低限度の生活を営めるようなその
仕組みだけははっきりと守る。つまり、シビルミニマムだけは守るということでないといかぬと思うんですね。
多重債務者の中にもいろいろな方がいらっしゃるとは思いますけれ
ども、
法律扶助協会の方にお伺いしますと、最近は、放蕩のあげく破産をせざるを得ない、あるいは浪費のあげくせざるを得ないというよりも、何らかの経緯で保証をしておったり、あるいは、会社をやめてしまうと住宅ローンすら払えないわけでありますから、そういうことで個人破産をせざるを得ないという方が甚だ多いということであります。
そういう方については、先ほどから申し上げておりますように、ルールに基づいて再出発ができるというのが破産制度であります。破産というと、何かドロップアウトして、奈落の底へ落ちていくんじゃないかというふうに世間一般の方は考えていらっしゃる方が多いんですけれ
ども、破産というのは再出発の制度だと。つまり、従前の債務を棚上げし、そして免責をとれば、これを全く払わなくてもいい、新たにそこから出発ができる、こういうふうにとらえるべき話であります。現に、国家公務員はちょっと調べるのを忘れましたけれ
ども、
地方公務員であれば、破産宣告を受けても、別に懲戒免職事由にも何にもならないんですよ。公務員の地位を続けながら従前の債務を全部カットできるというふうに今
運用もされておるんですね。現に
法律もそうなんです。
つまり、再出発をするための制度として、いかがわしいあるいは暴力的な追及を受けたり、心理的な圧迫を受けたりしないために、そこから切り離れて再出発をするための制度として、個人の自己破産というのを最低限のセーフティーネットというふうにして考えるならば、自己破産といいましょうか多重債務者といいましょうか、これだけ大変な
状況になってきた時点においては、もう少し重点的にここにお金を注ぎ込むということを考えられてもいいんじゃないかと思うんです。私は、そういう意味で、十五年度の予算に対する概算
要求でも、あるいは十四年度の予算については既に執行されておるわけでありますが、これが足りないというふうなことについて、
法務大臣に頑張っていただきたい。
と申しますのは、これは後で申しますけれ
ども、
法務大臣に財務省に対して頑張ってもらいたいという言い方が正しいのかどうなのか、ちょっと疑問に思っているんですね。
といいますのは、
司法制度改革推進本部というのができて、本部のメンバーの中には、総理
大臣が本
部長で、財務
大臣も本部員という格好で入っていますよね。そして、この司法制度改革推進計画の中には堂々と、「(2)民事
法律扶助の拡充」というのが書かれております。「一層充実することとし、本部設置期限までに」、これは十六年の十一月三十日のようでありますが、「所要の措置を講ずる。(本部及び
法務省)」と書いてあります。
本部で
法務大臣が問題提起をして本部で
決めれば、これは要するに
法務省が財務省に交渉をしてお金をいただくような話じゃなくて、本部で
決めて、当然のことながら財務相はその一員でありますから、そういう予算措置を講ずる、こういうふうな
やり方にしないと私はおかしいと思うんでありますけれ
ども、いかがでございましょうか。
まず十四年度予算の追加、そして十五年度の概算
要求、この現在の日本の深刻な
状況を
前提にして、十五年度、もう少し頑張って、この三十五億二千七百万というふうな金額ではなくてもう一遍考え直して、この推進本部の中で議論をして、今困っている
人たちのセーフティーネットをより充実したものにしようというふうにお考えいただけないでしょうか。いかがですか。