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杉浦委員 どうも
制度化までは
考えていないようなのですが、ぜひ検討してほしい、すべきだ、こう思います。
今、あなたもおっしゃったけれ
ども、法学以外のものを学んだ方、経済とか医学だとか
技術だとかあるいは
社会の
経験のある方、広く
人材を各界から求めるというところが大事だというのも、私
どもの
議論の中で一貫しておったことでございました。
法学部を出た者は二年、それ以外の者は三年なんということにいたしますと、学費はかかる、三年も勉強しなきゃいかぬ。非法学の人が来ると思っているんですか。しっかり
考えてほしい。
それから、法学
卒業生、今の
法曹になってくる若い
人たちを見ておって、これは
最高裁も検察庁も
弁護士会もみんな共通に感じていることですけれ
ども、非常識な者が多いといいますか、法学ばかといいますか、非常に視野狭窄的な
人たちが多い。入ってきたとき
左藤先生がおっしゃっていましたが、健全な円満な、
社会のことにもよく理解があり、
社会人から見て本当に尊敬するに足る、幅広い教養を持った
裁判官、
検事、
弁護士という
観点から見ると、偏った方が非常に多いわけであります。むしろ、法学をやってきた
人たちは、もっと広く、経済、歴史、
社会、いろいろと勉強してもらい、実地の研修もしてもらって、二年でなくて三年にするのなら一年間みっちり広く勉強してもらうことが大事だと思うのです。そう思うのです。
この点はこれ以上聞いても、
工藤さんの返事はいつもふにゃふにゃあのとおりだから、答弁を求めませんけれ
ども、ぜひ検討すべきことだと思います。
それで、密接な関連を持ってくるのが
教員の問題でございます。
冒頭、私は、
司法研修所が世間からも評価が高いし
法曹教育の中で重要な役割を果たしていると申しましたのは、教えている方が
実務家であります。
裁判官にしても
検事にしても
弁護士にしても、十年以上
経験を持った優秀な方をそれぞれ選んでおります。人格識見ともに優秀な人をそれぞれ選んでいる。そういう人が
教育に当たっているということが評価の高いゆえんだ、中身がいいゆえんだと思います。
ロースクールもまさにそうだと思います。今
設計されている
制度設計では、この点が極めてあいまいで、到底、私
どもが目指している
ロースクールのいい
教育の成果を上げられるとは思えないということを
指摘申し上げたいと思います。
私の
資料に、
中教審のところで「
教員組織等」とありまして、「専任
教員のうち相当数を
実務家教員とする。(相当数は概ね二割程度以上。)」こうなっております。十二名というのが最低限必要な専任
教員数でありますから、二割というのは二・四人、二・四ということは三ですか、あとは
実務家教員でなくていいということになっております。ということになりますと、
法学部教育をだめにした今の
大学の
先生方が教えるということになるんでしょう。
野崎先生がおっしゃっているように、
先生方が意識を変え、態度を変えて真剣に取り組んでいただくことが基本的に必要なんですが、絶対的に欠けているのはその
方々の
実務経験です。ほとんど
実務経験のある方はいらっしゃらない。中にはありますよ、
弁護士から
教授になった方もいらっしゃいますが、おおむね、ほとんど
実務経験のない
方々ですよ。そういう
方々が中心になって本当に
ロースクールの成果が上がるのかと言いたいわけであります。
いろいろとここのところを強調してまいりまして、非常勤
教員を採れ、
裁判官、
検事、
弁護士から優秀な人に週一回とか半日でもいいから来ていただいて教鞭をとってもらうということもやるべしということで、それも
考えておられるようでありますが、やはり問題は専任
教員です。パートタイムの
先生だけでなくて、やはり専任に教える
先生がどうかということが問題であります。
アメリカの
ロースクールの場合は、もう育ちも違いますが、
実務経験のない人はいないと言っていいと思います。
実務との架橋を図る
教育において、
実務を知らない人が、
先生方は知っているとおっしゃると思いますよ、だが、体験しない、
経験しない人ができるとは思わないわけです。
実務界からそういう人を送り込むとすれば、相当高額の所得が要ります。私、
弁護士会におった際に、一弁の場合、三人
教員を送り込んでおるのですが、受けてくれなくて苦労しました。みんな、物すごい所得がある。三年間ほとんど棒に振るわけです。それでも、研修所の
教育であれば
教育しなきゃいかぬという使命感でみんなやってくれました。今度は七十、八十、百ぐらいできるという話じゃないですか。じゃ、そういう高給を取った
弁護士で専任に、七十人、八十人という人がいるんですか。
裁判官、
検事もどうですか。なおさら、この「概ね二割程度」ですよ。一校一人としても、私、本当にそら恐ろしい感じがする。
これは
制度設計上、文科省専管だから、
協力でいいんですから、どれくらい長続きするか。むしろ
弁護士会なら
弁護士会が
責任を持った
体制にして、二弁がやっているようですが、じゃ、二弁なら二弁が
責任を持ってどこかの
大学と提携して
ロースクールを
つくりますということになれば必死になってリクルートするでしょう、
弁護士会の中から。
協力体制でできるかどうか甚だ疑問に思っております。
最高裁、検察庁、
日弁連に対して、腰を据えて、立派な
実務家教員を送り込むように、三者協議があるみたいだけれ
ども、それから、文科省の方も
協力して受け入れるようにしてほしいと思います。
と同時に、これは答弁を求めたいけれ
ども、十年後見直しとなっていますが、十年以内に、今の
大学の
先生方に、必ず研修所へ一年行って
実務経験三年しなさい、
裁判官でも
検察官でも
弁護士でも、それを義務づける。今すぐ全員というのは無理だから、十年たったら、
司法研修所並びに
実務経験三年なら三年以上ない者は教壇に立てないぐらいの方向を持って臨んでいただかないと、今の
大学教育の、
法学教育の轍を踏みますよ。
文部省の決意のほどをお伺いしたい。