○山口(わ)
委員 私がこの遺伝子組み換えについて御質問申し上げました大きな理由は、
一つはやはり遺伝子組み換え食品が遺伝子組み換えでない食品にまざってきてしまったという、このことは新聞でも報道されていますし、非常に
消費者の不安を買っているわけです。
特に、大豆には三割近い、輸入の中に遺伝子組み換えがまざっているという実態も出ているというふうに聞いていますし、また、稲も、遺伝子組み換え稲の研究開発が行われているんだそうです。愛知県の
農業試験場ですか、そことアメリカのバイオ多国籍企業のモンサント社との共同開発によって、遺伝子組み換え稲が実際に国内で作付が認められて試験栽培をしているということも、これは市民団体の皆さんからの連絡で入りまして、それに対する不安が出てきているというふうに聞いています。
しかも、この遺伝子組み換え稲というのは、モンサント社がラウンドアップという除草剤を使っているんですが、この除草剤をまきますと全部作物が枯れてしまうものですから、このラウンドアップに強い遺伝子を稲に組み込んで、除草剤をかけても枯れない、そういう遺伝子組み換え稲を開発したんだそうです。しかも、このラウンドアップというのは水に弱いものですから、
水田を使わないで乾いた田んぼで直まき稲作をするという研究が現実に行われているということがありまして、市民団体の皆さんから、大体こんなのを一生懸命やっていいんですか、心配じゃないんですかといういろいろな不安の声が上がってきているということになるわけです。
やはり、遺伝子組み換えにはいろいろな問題が出ていると思うんですが、さっき言ったように、除草剤をまいても枯れない遺伝子を組み込んだ稲をつくるとか、あるいは害虫のガがその茎を食べれば毒性を持っていて死んじゃうんだけれ
ども、人間には本当に害がない遺伝子組み換え食品なのかという問題もありますし、遺伝子組み換えというのは外見を見ただけでは変わらないわけですね。どこが遺伝子組み換えなんということはわからないわけですから、そういったことで、なぜ人間がそこまでして遺伝子組み換えを導入しなきゃいけないのかという点については、やはり非常に不安材料がたくさんあると思うんです。
特に、例えば、仮に科学的に安全性が認められたとしても、将来的に全く予知できない危険性というのが私はあると思うんですね。
農林水産省ではありませんが、厚生労働省の指針によりますと、この遺伝子が導入されたことで、例えば急性毒性だとか慢性毒性だとか、発がん性だとか催奇性だとか、そういったものが全く義務づけられていませんから、将来のそういうことに対する不安も出てきているという問題があるわけです。
時間がありませんので、もうちょっと続けさせていただきますが、私は、
日本では今までいろいろなことがありまして、非常に住民の不安をかき立てられた過ちを過去にいっぱい犯してきたような気がするんですね。今は安全だから大丈夫だと言っていても、何年かたったときに問題が出てくるというような事態が随分あったと思うんです。
ちょっと例を挙げますと、例えば熊本県の水俣病の有機水銀中毒、これなんかは当時は全然わからなかったわけです。かなり患者さんが出てきて、そしてかなり差別をされる中で、有機水銀だということは十年もたってからわかったというようなことがありましたし、例えばエイズウイルスが混入した事件につきましてもなかなかわからなかった。あるいは
BSEにつきましても、まさか
日本に上陸するなんてことはないと思って安心していた結果、
日本に上陸して大騒ぎになってしまったというふうに、当初は安全で安心ということをおっしゃるわけですね。でも、結果的に後になっていろいろな問題を起こすということは、やはり
消費者の不安として、私は当たり前だと思っているんです。
にもかかわらず、遺伝子組み換え食品がもうどんどんふえてきて、ここ五、六年の間に七品目が二十二品目にもふえちゃったということがありますし、今業者の皆さんは、遺伝子組み換え食品でない、そういうものを
市場に提供したいというふうに考えているんですが、現実には検査をするとかなり混入してしまうということがあって、業者の皆さんも不安を抱えているということがあるわけなんですね。
私は、やはりそういう危険性がきちっとしないうちに遺伝子組み換え農作物を
日本に持ち込むことをやめた方がいいんじゃないかというふうに思うんですね。もちろん、田んぼもまだあいているわけですし、あるいは全部輸入に頼らなくても
野菜もつくれるわけですから、何でも科学に頼る、しかも遺伝子組み換えなんということは、本当に人間の一番大事な
基本を奪ってしまうような、大事な遺伝子
そのものを動かすということに対する人間の不遜な心、こういうものを考えたときに、やはりまだ早い、もっときちっと考えた中で、私は
原則として遺伝子組み換えなどということはやらない方がいいというふうに思っている一人ですので、その辺を含めて
農林水産省の御意見を聞かせていただきたいと
思います。