○東(祥)
委員 外務大臣、基本的には僕は同じ
考え方だと思います。
これまでは、例えば日本のODAというのがアジア中心に行われてきた。結果として、例えば元総理
大臣の福田総理の時代における福田ドクトリン、僕は大成功したんだろうと思うのです。アジア地域を中心にして膨大な
政府開発援助を行うことによって、地域における経済発展を推進し、日本との間の二国間関係を推進してきて、その結果として、多くの日本企業が東南アジアに進出することによって、また莫大な利益を得ることができたのではないか。そういう意味においては、ODAが
それなりに寄与してきたことは間違いない、私が申し上げている国益というものの中に、当然、国民の生活、そしてまた国民の経済の繁栄という側面も入っていますから。
しかし、今論じている国益というものは、ただ単に経済的な利益のみならず、一億二千六百万人の生命をどのように守ったらいいのかという安全保障の側面も強く浮かび上がってきているのだろうというふうに思うわけであります。
この数年における日本のODAというものは、先ほど来
議論されているとおり、いろいろな角度から
見直しが
議論されている。そしてまた、
外務省内においてもいろいろとやられているかもわかりません。しかし、いつになったとしても、日本の外交政策の根幹をなすODAだという言葉だけは乱舞しておりますけれども、具体的な日本の外交政策の
方向性なり、また国益を守る外交とは一体どういうことなのかということについては一切方針が示されていない。そういう中で、この
独法化の
議論が出てきているのだろうというふうに思うのです。本質がどこかに行っちゃっているわけであります。
そういう次元から考えたときに、昨年の九月十一日以来、ある意味で、世界じゅうで、いわゆる
政府開発援助あるいはまた援助に対しての
考え方が、国際的な潮流としても大きく変わってきていると思います。アメリカにしてもあるいはまたEUの国々にしても、もう一度改めて、国際社会の不安定な状況を踏まえた上で、この援助問題というものを取り上げよう。
日本の場合、そこで
議論されることは何かといえば、額の問題だけになってしまうわけであります。ともすれば、日本の提出するODAが、世界各国の極めて、まあ、ずるいと言ってしまえばそれまでなんですが、国際政治にたけた
人々がいろいろな国々に出てきて、できることならば、日本から提出されるお金をうまく利用して、そしていろいろなビジネスをやっていこうという動きも出てきているわけであります。
そういう側面からすると、日本の
政府として外交政策をどういうふうにしていったらいいのか、そしてまた、それとの関連におけるODAというものをどういうふうに考えていったらいいのかということを、今こそ至急に結論を出していかなくちゃいけないんだろうというふうに思うわけであります。
先ほど申し上げましたとおり、東南アジアを中心にして、日本のODA政策というのは
それなりの効果を示したかもわからない。しかし、昨今における状況、とりわけ冷戦構造崩壊後の状況、また、近年におけるODA政策というのは必ずしも僕はうまくいっていないのではないのかというふうに思います。
例えば、より具体的な形でもって質問させていただけば、対中国への膨大な日本のODA資金、一説によれば、
政府の無償資金だけでも三兆円、あるいはまた、有償まで入れればプラス三兆円されて六兆円というふうになっている。しかし、そのことを踏まえた上で、日中関係というのは本当にうまくいっているんですか。今、中国市場に向けて全世界が、大きな市場ができたということで、我先に市場進出しております。本来、日本のODAが功を奏しているとするならば、今こそ日本の企業が中国において、本当に国から守られた形でもって進出しながら、そして種々の
事業が、ある意味で芽を吹き、花が咲けるような状況にしていたとしてもおかしくないんだろうと思います。
基本的には、これはODAの原則にもかかわってきます。一九九二年だったと思いますが、ODA大綱が出され、あの四つの諸点を踏まえた上で、二国間関係等を総合的に勘案した上でODAを実施していくんだ。こと
ごとくODA原則に反してきたのが、僕は、対中国に対しての日本のODAだったんじゃないのか。
昨今見られるとおり、例えば、最近の例でいけば、先日行われましたAPECの
会議において、江沢民当時主席から、小泉総理の靖国神社問題に対して、行くな、行くべきではないと、内政干渉まがいのことを言われながら、あるいはまた、瀋陽事件に見られるような形でのあのような応対をし、その後、日本の外交というのは対中国に対して一体何をやっているんですか、そういう思いも出てきていると思います。あれだけの援助をしておきながら、一部の日本の有識者の間、一部の人たちの間には、嫌中感というものも大きく巻き起こってきております。
日中友好三十周年のもとに、一万人以上の
方々が中国を訪問し、国
会議員の
方々も何百人行ったというふうに聞かれておりますけれども、それは形だけの問題でありまして、基本的に、日中間の状況を見たときに、嫌中感が漂い、そしてまた、本当にこれでよかったのかということが改めて今出てきているんだろうと思いますが、最近におけるODAの、対東南アジア、アジアで構いません、とりわけ対中国に対して、それは成功したと
外務大臣がお思いになられるものがあるとするならば、ぜひ教えていただきたいというふうに思います。