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熊代委員 それでは、テレビの入っていない一番手で
質問をさせていただきます。これからが本当に実のある議論になるというふうに思いますので、力を込めて御
質問させていただきたいと思います。
特殊法人等の
改革を、民でできることは民でという大方針のもとで積極的に
推進していただきまして、四十六
法案の提出にこぎつけていただきました
小泉総理並びに
石原行革担当大臣及び関係各
大臣、その命を受けて働かれました副
大臣、
大臣政務官、そして職員諸君の労を多とします。大変に多といたしますが、三権分立でございますので、必ずしも甘い
質問になるというふうに考えていただかない方がよろしいと思います。(発言する者あり)それもありますけれども。
また、
小泉総理が国債発行枠は三十兆円にとどめるんだと設定したことは、最低限の財政規律を重んじようということでありました。財政
改革を進めるという姿勢を天下に宣言したことでございますので、大いに評価すべきことであるというふうに考えております。
しかし、
特殊法人等
改革もこの視点を決しておろそかにしてはならないというふうに思うわけでございます。しかし、それはもろ刃のやいばでありまして、もしも伝統的手法にとらわれるならば、その方針はデフレ圧力を著しく強化することであります。したがって、
改革を進める一方で伝統にとらわれない知恵を発揮することが必須の条件であるというふうに思います。
なぜならば、伝統的に確立された金融財政の手法、それに金融財政の専門家の知識もそうでございますけれども、通貨の価値を保つこと、すなわち、インフレを防ぐためのものであるのですね。ですから、デフレスパイラルを防ぐというのが現在の一番の重要な課題でございますから、伝統的な価値をしっかりと守っていてはだめなわけでありまして、これまで禁じ手とされたことを積極的にやらなければならないということでございます。これこそが伝統にとらわれない知恵であるということであります。
例えば、国債発行三十兆円というならば、新発国債三十兆円のうちの二分の一は日銀で直受けする、そうすれば、今六十七兆円しかない日銀券発行残高は一挙に十五兆円ふえます。新札が出てくる。八十七兆円になるということであります。これは、大原一三衆議院議員が御主張のことでございますし、高橋是清が昭和七年に使った禁じ手と同じ発想でございます。
二番目に考えられますことは、
政府保有の特殊会社等の株式でございますが、現在十兆円、そのうち九兆円は売れないわけでありますけれども、これは
法律を改正して買い戻し条件をつけて、株主権は
政府と日銀が共同して行使する、そういうことで十兆円を日銀に売却する、十年後には買い戻す。こういうことで、そのお金で補正予算を組む。何に使うかという問題もありますけれども、例えば少子化対策、私が主張しております児童手当とか児童年金にずばっと使っちゃおう、こういう話でございます。久間政調会長代理、現在の政調会長代理でございますが、同じお考えだと伺っております。
それから、
政府紙幣の発行、四十兆ないし五十兆円
政府紙幣を発行しようではないか、すべきであると榊原英資氏が毎日新聞で主張しておられました。これは、産業の再生をすると物すごい金が要る、四、五十兆になるのではないか、その金をこれで補おう、いずれも国債を増発しない考え方であります。これは、
法律をつくればできるということは確認してございます。一対一で日銀券と交換するということでありますから、借金にもならないということであります。通貨発行権を
政府が一
部分いっとき取り戻すということですね。
それから、銀行にはお金が十五兆円、今度改正しまして二十兆円当座預金に積んでありますけれども、これは実体
経済に出ていかない。借り手がいない。いいところはすべて、借りてくれと頼むんですけれども、逆に返してくる。それで、貸してくれというところは不良債権になるおそれが極めて高いところが極めて多いということでございます。二十兆円積んで、銀行が要るなら使ってくれ、いわばレッセフェールで通貨供給量をふやそうとしておるけれども、このレッセフェールが動かないんですね。
ですから、そこからお金を借りる、例えばFBを発行して五兆円ぐらい借りて補正予算を組む、それを借りかえていく、三カ月物ですからね。しかし、いずれ
政府の株を売る。先ほど私の申し上げたことと組み合わせるようなことになると思いますが、これは何と宮澤喜一元
総理大臣が御主張でございます。
こういうことでございまして、とにかく日銀、
政府の閣僚もそうでございましょうけれども、伝統的考え方にとらわれて、こうやったら恥ずかしいんじゃないかと思うことがすべて裏目に出ているということであります。
こういうことを考えて、三十兆と言わず、三十兆でも十年やれば三百兆になりますからね。ですから、どんどん国債を減らしていく。しかし、通貨供給量はふやしていくということがなければならない。しかも、銀行システムの中にとどめるんじゃなくて実体
経済の中に出ていくんだということでございます。一般
国民の中に出ていく。
ちょっと演説が長くなりまして恐縮ですが、最初に全部言わせていただきます。
株価が急落しておりますけれども、これは国際的な要因もありますが、しかし、国内的要因がある。国内的要因が厳しいときには国際的要因は激しく国内に襲いかかってきます。増幅してきます。
何が原因かといいますと、よく言われていることでございますけれども、源泉分離課税をこの際
廃止しようということでありますが、これは、従来から株をやっている人
たちが嫌がる、資産家、
個人の株主が出ていってしまう。あと十二月三十一日まででありますけれども、これを何とかしなければならない。
それから、銀行持ち株の規制の
法律を昨年つくりました。平成十六年九月までに自己資本の範囲内にとどめなければならないということですね。そうしますと、その
法律ができてからことしの三月三十一日までに、銀行は何と八兆円売り続けてきたわけです。これからまた、六兆ないし七兆売り続けなければならない。当初の株価総額は、時価総額は二百五十兆を割りましたね。その中で、ただ売りに売り続ける。しかも、持ち合いですから相手も売るということになりますと、これは株価を下げる極めて大きな要因になります。
個人の株主を勧誘しなければならないというふうにしておりますけれども、
個人が株を持つのならば、
個人は株の危険を
判断してみずから株に投下する。銀行は
自分の頭で考えられないんでしょうか。銀行は
個人よりもはるかにすばらしいスタッフを持っている。これは、過保護ママと申し上げたら過保護ママに怒られるかもしれませんが、何で過保護ママのような規制を加えたのか。一九三三年の
アメリカのグラス・スティーガル法を猿まねしたということであります。タイミングが悪過ぎる。
法律施行の前でありますけれども、これを直していく、こういうことが必要であると思います。思い切った発想の転換、思い切った
政治の決断での行動、そういうことでございます。
また、株式投資比率を制限する規制がいろいろございます。年金はこれ以上しちゃだめだ、それから基本財産はこれ以上やっちゃだめだ、閣僚や副
大臣、
大臣政務官は株を買っちゃいけない。インサイダー取引があるわけでございますから、こんな規制は要らないんじゃないか、インサイダー取引で厳しくやるということでございます。そういうことを考えれば、
総理の方針は立派に守れるんじゃないかということでございます。
今、
目的とすべきことは、一、二%の緩やかな物価上昇のある、すなわちデフレスパイラルを克服した
日本経済をつくることではないでしょうか。そうすれば、
日本国民全体が元気を出して事業に精を出す、景気を回復することができる、その中でこそ不良債権を確実に処理することもできる、また、行政
改革、財政
改革を進めることができます。現在の
日本でITだとか特定業種を
推進すれば、そこにみんなが集中して直ちにバブルになってしまう、こういうことでございます。それほどの規模のある
日本の
経済であります。物価上昇率が仮に四、五%になれば、国債や株の売りオペをかけるということで、インフレを防ぐのは日銀の得意わざであります。これはすぐにできます。
インフレターゲットの導入論がありますけれども、インフレターゲットというのはインフレを防ぐために設けるわけでありますから、まず、私の申し上げたような状態をつくってインフレターゲットを働かせる。そういう意味では、インフレターゲットを導入することも大変いいことだというふうに思います。
そして、円が若干弱含みになるかもしれない。しかし、現在のレートでは、
日本の賃金は世界で一番高いんですね。私は、為替の修正はあってしかるべきであります。給料を削るといっても、これはなかなか厳しい。本当に厳しいことでございます。それよりも、為替レートの修正が当然あるべきであるというふうに思います。
不良債権を早急に処理すれば、
構造改革ができて
日本経済が再生するだろうという考え方は、検証されていない、根拠のないオブセッション、強迫観念ではないかと、この時点になれば思います。
後で詳しく申し上げますが、
日本の銀行は、既に九二年以来、九十兆円もの不良債権を処理しました。
アメリカは幾ら処理したか。十三兆円弱にすぎません。しかも、デフレ下でなくてインフレ下でありました。
日本は、デフレスパイラル下に九十兆円を処理した。デフレ下だから、処理すれば処理するほどデフレが進行する。不良債権はふえてくる。そういう状況で、さらに会計原則まで無理やり修正して激しく不良債権を処理して、デフレスパイラルをさらに悪化させようとしているというのは、私の
言葉で申し上げれば、正気のさたではないというふうに思います。
不良債権を早急に処理して公的資金もさらに銀行に投入しろという助言は
アメリカから来ているのは周知の事実であります。だから、これを批判する人
たちも何となく歯切れが悪いのでございますが、しかし、ここで私は、
アメリカに対する態度を確立する必要があると思います。
米ロの核軍縮交渉のときに、当時のエリツィン大統領がレーガン大統領に、トラスト・バット・ベリファイ、信頼せよ、しかし検証せよということを言ったことを御記憶の方もいらっしゃると思います。
アメリカに対しては、このトラスト・バット・ベリファイという
言葉がキーワードだ。もう
一つは、
アメリカは悪代官ではない、水戸黄門に出てくる悪代官ではない。この二つのキーワードを持って臨まなければならないと思います。
私は、合計二回、
アメリカに住んでいました。十九世紀のフランス人、トクヴィルが、
アメリカに
アメリカ以上のものを見たと言いましたけれども、私もその一人であります。
アメリカに
アメリカ以上のものを見ました。間違いなく、プロ
アメリカンであります。
アメリカは、基本的には信頼できます。しかし、
一つ一つの
アメリカの要求や助言は、注意深く検証して、正しさを確認してから実行する、
日本の実情に合わなければ、詳しく説明して、丁寧に断ることが大切であります。
アメリカが悪代官だったならば、丁寧に断れば命の保証はないと思います。しかし、
アメリカは悪代官ではありません。理路整然と説明すれば、理解してくれる雅量を持った国であります。パクス・
アメリカーナが長く続いているのは、
アメリカが正義と公平を、理屈を重んずる国であるからでございます。決して力だけではないと思います。それを再確認して議論を進めたいと思います。
総理を除く主要閣僚が
出席していただいている
委員会でありまして、かつ、この議事録は全
国民が読んでいただく可能性がある、ビデオ・オン・ディマンドで全
国民が見ていただく可能性がございます、あくまで可能性でございますが。
日本語の堪能な
アメリカ人などの外国人もたくさんいます。世界の人も読んだり見たりしてくれる可能性が極めて高いと思います。私は、
日本と世界に向かって発言する心意気で
質問をさせていただきます。答弁もその心意気でお願いをしたいと思います。
まず、
石原大臣にお願い申し上げます。
既存の独立
法人は、研究所や訓練学校などがほとんどでございました。しかし、今回は本格的な独法化が行われます。
この際、初心に返って検証する必要があると思います。
特殊法人を
独立行政法人にしたのは、意味もなく名前を変えただけではないかとの批判が、我が自由民主党の議員の中にすらございます。この批判にこたえるために、独法化のメリットを明確に全
国民に向かって明らかにしていただきたい。
特に、次の点については必ず触れていただきたいと思います。第一に、
国民すなわち国会による監視は可能なのか。第二に、予算の
効率的使用はこれで可能になるのか。
効率的経営は可能であろうか。特に、独法の
理事等は、トップはリーダーシップを発揮できるのか。収益を十分上げられるのか。
民間などから寄附金を受けられるのか。
民間企業や大学と協力しやすくなるのか。役職員のやる気を出させることができるのか。天下り批判にこたえられるのか。天下り批判を受けた業者との癒着を排除できるのか。オープンな入札を採用できるのか。そして、財政
改革にどう役立つのか。
大変盛りだくさんではございますが、これを、まず
大臣にお願い申し上げたいと思います。