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海老沢参考人 私が
平成九年に
会長に就任して以来五年半
たちますけれ
ども、私
ども、こういう厳しい経済情勢の中で、受信料の値上げというものは当分できない、そういう判断のもとに、今、業務の見直し、改革と実行、公開と参加という二つの経営理念を掲げてたゆまざる改革に取り組んでいるところであります。
平成九
年度から十四
年度の六年間で七百七十七億の経費の節減をいたしてまいりました。平均年百二十億ぐらいの経費の節減を行って、できるだけ受信料を値上げしない、いわゆる視聴者
国民に新たな
負担をかけないように今努力をしているところでございます。
今お尋ねの
平成十一
年度の
決算では、予算に対して六十億円の収支の改善、つまり六十億の黒字を出したということであります。この六十億円を翌
年度以降の財政安定のための繰越金として計上しております。そして、
平成十二
年度の
決算では、予算に対して二十五億円の収支改善となりました。この二十五億円も翌
年度以降の財政安定のための繰越金としているところでございます。
今、この繰越金は、十三
年度末で五百六十三億円になっております。これを私
どもは、これから始めます地上デジタル
放送の設備に投資するといいますか、それのために使わせていただくということで、十四
年度の予算で百十億を計上しております。今、十五
年度の予算を編成しておりますけれ
ども、十五
年度も百十億程度、繰越金からデジタル推進のための設備に充てようと考えているところであります。そういう面で、私
どもこれから、先ほ
ども答弁しましたように、地上デジタルのためには送信・送出設備を合わせて二千六百億の資金が必要であるわけでありますから、この資金をどう賄うか。繰越金と、同時にまた経費の節減を図りながら、これに充てていきたいと今考えているところでございます。
それと同時に、私
ども、
公共放送の使命として、
日本は非常に自然災害の多いところであります。地震、津波、台風、集中豪雨、この緊急
報道、
国民の生命と
財産を守るための緊急
報道にいろいろな面で整備の強化を図っているところであります。そういうところにさらに資金を投じていかなければならない使命を我々持っているわけであります。そういう面で、私
ども、経費を節減しながら、また受信料を値上げしないということで頑張っているところであって、今受信料を値下げする時期ではないし、ますますそういう厳しい財政の中でやりくりしていかなきゃならない現状を御理解願いたいと思っているところであります。
それから、職員の賃金の見直しを検討したらどうかという御
指摘がありました。
私
ども、
平成十
年度以降、五年連続で人件費の予算は年間千九百九十億円ということで、五年間据え置いてきております。十五
年度はこれをさらに削減するつもりでおります。
特に、毎年これまで二百人前後の人員の削減をしてきているわけであります。そういう中で、こういう最近の経済
状況を見ますと、我々もいろいろな面で今見直しを進めておりますけれ
ども、特に管理職の上位層、いわゆる
局長級については、数%の幅で基本年俸のカットを実施しております。また、普通の管理職につきましては、
平成十一
年度以降四年間、基本年俸を据え置いております。それから、一般職につきましては、
平成十四
年度、今
年度はベアをゼロにしているということで、今頑張っているところであります。
これを同業他社であります在京民放と比較しますと、私
どもNHKは年収で二割程度低い水準になっております。また、初任給につきましても、大学卒業で一万円から五万円程度低い水準になっているということも御理解願いたいと思っているところであります。
それと同時に、やはり私
ども、個性豊かで専門性を持った職員を採用していきませんと、質のいい
番組が当然できません。そういう面で、やはり一定の給与水準を保ちませんと、人材の育成、人材の
確保ができない。そういう中でさらに努力しながら、引き締まった、効率性の高い経営をさらに推進していきたいと思っております。