○中馬副
大臣 一川
委員御
指摘のとおり、この不況のかなり大きな影響を受けているのが建設業でございます。全倒産件数の三分の一は建設業ということになっておりますし、その
一つの背景としましても、建設投資が、ピークの
平成四年の八十四兆円から、現在五十七兆円まで三割も減少しているわけでございます。そうする中で、ではこれをどうするかということ。
先ほどおっしゃいましたように、不況の
一つの原因といいましょうか、これをしたのも、バブルがはじけて以降、かなり建設が、緊急経済対策ということで公共投資に依存したことも事実です。それぞれ八兆円、十三兆円といったような、毎年毎年、公共投資を中心としてかなりの発注をしてまいりました。地方におきましても、単独事業を思い切ってやりなさいということで、景気浮揚の
一つのネタにしてきたことも、これまた事実でございます。
そうしますと、それに基づいてかなり、一九八七年から九七年までのこの十年間に、不況の中でずっと建設従
業者がふえてきているんですね。ですから、これがその間において少なくとも失業率を余りふやさなかった
一つの大きな原因かもしれません。しかし、それがもう限界に来て、
一つの政策転換をしたことは御承知のとおり。国民も小泉さんを支援して、三十兆円の枠を守る、いいじゃないかということで現在に至っております。
したがいまして、公共投資そのものは、景気浮揚対策としての大きな役割を今度はおりる形になりましたけれ
ども、そうする中で、経済的な
一つの市場原理といたしまして、中小、中堅企業も再編淘汰が迫られていることは事実でございます。とはいいながら、技術と経営にすぐれた企業までも全部つぶしてしまいますと、これはいろいろ問題がございますから、ここは何とか伸ばしていくという形をとらなければなりません。
同時に、従来の個々の建設業に携わっておられた方々も、ひとつ、現代の需要に合わせた形での工事といいましょうか、事業の方に転換していただかなければなりません。
これはいろいろ考えられるわけでございまして、今、政府の方の投資はそのような形で減ってきておりますけれ
ども、民間が下がってきていることはそれ以上に大きいです。しかし、民間の方でこれまで以上に物の生産を上げてといっても需要がないわけですが、ただ
一つ、皆様方も御認識いただいているように、日本の住宅事情というのは非常に悪いんですね。欧米先進国に比べウサギ小屋と言われているこの住宅をもう少しゆとりあるものにしていくことが、大きくこの日本の社会状況までも変えていくのじゃなかろうか。そういうことから、
国土交通省といたしましても、これをこれから大きく、ゆとり住宅の推進ということで、今大きな施策にしているところでございます。
これには政府が大きく財政投資することはないんですね。御承知のとおり、国民は非常に豊かになりまして、蓄えが非常にふえております。現在では千四百兆と言われておりますね。千四百兆の蓄え。しかも、現預金という形で自由になるお金が七百五十兆もあるんです。これを自分
たちのゆとりある住宅に使っていくときには、しかしかなり大きなお金を、もう自分はローンも払い終わって
一つの住宅に住んでいる、しかし子供
たちが狭いところに住んでいる、もう少し広いところに住まわせてやったらいいじゃないか。今度孫が結婚する、そのときに自分が持っている個人金融資産を
一つぽんと出したら、これはもう現在の税制では大変な贈与税がかかるわけでございますが、これを少なくとも、今言いました緊急的な
意味も含めて、三年間なら三年間、三千万円という
一つの枠を決めてでもいいから、これを贈与した場合には一切相続税をかけないという形を今一生懸命提言しているところでございますが、なかなか財務当局の方のガードがかたいようでございます。
ともかく、それをいたしますと、町の中小の方々は、個人住宅がどんどんと建っていく形になりますし、この場合には、私
たちは、ただ新築だけではなくて、中古住宅の、あるいはまたリフォームもバリアフリーも結構ですと言っておりますから、こうしたことは、中小の方々の、建設業も含めた中小建設土建
業者の事業を非常にふやしていくんじゃなかろうか。そういうことも、今私
たちが大きく推進していることの
一つの施策でもございます。
と同時に、電線の地中化とか、町の中のいろいろな景観を変えていくとか、まちづくりをやっていく。これは大手のゼネコンが出てくる問題じゃありません。小さなところが逆にいろいろな
仕事場をふやすことになるでしょう。
そういうことも含めて、私
たちは、現在の状況の中で、ただつぶしたらいいということではなくて、その方々が新しい国民の需要に沿った方向に事業を展開してもらうことを
一つの施策といたしている次第でございます。