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佐藤(謙)
委員 おはようございます。民主党・無所属クラブの
佐藤謙一郎でございます。
私は、全国の
公共事業の評価をして百カ所ぐらい回ってきたわけでありますけれども、
公共事業に対する批判が大変大きい。中には、市民の方の誤解ですとか、あるいは、現場に行くと、この
公共事業は
推進しなければいけないなというものもあるんですけれども、しかし、その批判の大きさを
考えると、この原因というのは何なんだろうかと。
最初に質問通告を申し上げた、その原因を何と
考えるかという質問は、きょうは、質問項目が多いので割愛させていただきますけれども、私は三つに絞って議論を進めていきたいと思います。
一つは、実施主体の方々に、
環境に対する無理解があるんじゃないのか。
二つ目には、安全というものに対する鈍感さ。そして三つ目に、民主的手続の不備。これは、
制度の問題もあれば、あるいは
国土交通省の姿勢の問題もあるわけですけれども。
その中で、安全への鈍感さというのは、きょうは時間がないので、問題提起だけにさせていただきます。
例えば、全国を走り回りますと、静岡空港、我々が毎日のように使っている東海道新幹線の真上に滑走路をつくる。安全だと、安全神話というものを振りかざしていますけれども、そうした立地の問題ですとか。あるいは群馬県の八ツ場ダム。これは草津温泉から流れてくる吾妻川の水をためるわけですけれども、大変酸性度の強い水を、毎日何十トンという石灰をぶち込んで中和して、千葉や埼玉あるいは
東京へ飲料水として調達しようとする、そうしたダムのあり方。
それから、茨城県の、これは
国土交通省の所管ではないんですけれども、ふじみ湖という湖が
産業廃棄物の最終処分場になろうとしています。これは採石場跡地にわき水がわいて、本当に見事な湖を、石で埋めて、そしてその上に遮水シートを張って最終処分場にする。これは不等沈下で必ず事故が起きると専門家が言っているわけであります。ドイツでは水源の上に処分場をつくるなんということはとんでもないことといって規制されているものが、現実に進められようとしている現実。
〔
栗原委員長代理退席、
委員長着席〕
あるいは小豆島。あの「二十四の瞳」で有名になっている小豆島の内海ダム。これは、私は行って実はびっくりしたのは、つくられる予定の堰堤の直下に、六、七十メートルのところに人家が百軒ぐらいある。これを見て、災害時の危険性というものから
考えると、本当にこういう
計画がなぜできてしまうんだろうか。災害でダムが崩壊したのは、世界でたった一件だというのがよりどころのようでありますけれども、ダムの下に住む一部の
住民を見殺しにするような、そういう
計画じゃないか。ダムを建設する場合に、流域
住民の十分な安全
確保というものが
日本の場合義務づけられていないんじゃないか、この辺はひとつ
大臣も、よく徹底して安全
確保というものに力を尽くしていただきたいというふうに思うわけであります。
扇大臣が
環境に対して非常に御理解をしてくださっていることに心から敬意を表するわけでありますし、
大臣は事あるごとに、私
たちは
環境というものを
考えなくては物事ができない時代になったとか、あるいは、あらゆる点で
環境が二十一
世紀になくてはならない価値なんだということを言っていただいております。私は、そうした
大臣の姿勢に心から敬意を表するところでありますけれども、果たして、実際に
公共事業をやっている主体の方々に、その
考えが十分伝わっているんだろうかと。
一例を挙げますと、十月の初めに私は日高山脈を横断する広域幹線
道路計画を見てまいりました。既に、日高山脈は、狩勝峠、日勝峠、そして天馬街道と黄金
道路という四つの
道路で横断されている。そこにさらにもう
一つ横断
道路ができようとしている。百一キロメートルの道道と、それから一部
開発道路、そういう
計画であります。
そこの地元の方に、私はそれとなく水を向けて、この
道路はトンネルが非常に多いので
東京のゼネコンが仕事をするのであなた方には本当に何のメリットもないんじゃないかと、こう申し上げましたら、いやいや、毎日どっかで崩落が起こってくれる、その崩落を管理するだけで孫、子の代まで食いっぱぐれがないと言われました。つまり、そういうことが現実にあって、そういう話が伝わって、
公共事業というのは本当に必要なんだろうかという、どんどんそういう話だけが伝わっていくわけですね。なるほど、私が行ったときには、災害復旧工事といって、七カ所ののり面にべたべたとそういう工事が進められていたわけでありますけれども。
ここでひとつ
大臣によくお聞きいただきたいのは、このときに道の副知事と議論をさせていただきました。非常に率直な副知事で、特定
政策評価というのを今やっていて、もうこの
道路は必要ないんじゃないかという流れが今できつつあるところなんですけれども、そうした副知事に私が、日高山脈というのはこれはすごく重要な自然の価値があるんだけれども、その価値がどういう価値があるものなのか副知事御存じですか、こう申し上げたら、残念ながら、その価値について何も知りませんという答えが返ってきて、十月十二日の北海道新聞にはそれが大きく出てしまう。
つまり、
国会では、
国土交通省とか
環境省とか、それぞれの価値を大切にしている役所が対等な立場で議論をして
一つの答えを出していく。ところが、
地方自治体、先ほど
地方の皆さんの知恵を出してほしい、そういうお話がありましたけれども、
地方分権になっていくと、どうも、
地方自治体というのは、大統領制、市長や知事があって、その中に
開発部局と
環境部局がある、今までは
開発先行で、
環境保全という部署は非常に肩身の狭い思いをしていて、なかなか発言する機会がなかった。そこから、悪意ではないんでしょうけれども、副知事が、これはまさに
日本で最大の原始的な自然
環境というものを持っていて、世界遺産登録しようという運動があるような、そういう自然
環境を知らないで、
開発を進めるかどうかだけを、その是非の議論をしているということ。そういうことを
考えると、
地方分権を前に、この一例から、
大臣はどんなことをお感じ取りになられるかということが一点。
もう
一つ。これはきのう
国土交通省の担当の方に、全国の
公共事業で今いろいろと市民グループとのあつれきがある、そういう事例というのをリストとして出してくれないか、それは膨大なものになるかもしれないから、とりわけ
環境関係でいろいろと問題があって工事がストップしたり、そこで
地方整備局とのいろいろなやりとりがあったりというようなものがあったら見せてくれと言ったら、一切そういうものはつくっておりませんということなんですね。
これは
環境省が全国自然保護問題事例マップということで、全国にこれだけ
公共事業と希少野生動植物の調整
事業が今あるんですということを我々に見せてくれている。
環境を重視するのであれば、こうしたリストはすぐにでもつくって、そして、その分析を始めていっていただかないと
環境問題というのは看板倒れで終わってしまうんじゃないかと思いますが、この辺について、
大臣の御見解をお伺いいたします。