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フォラツェン参考人(
通訳) まず、私は医者であります。
医療上の診断として、
北朝鮮の市民は恐怖のもとで
生活しておりますし、その結果としてうつ病態になっている人が多いわけであります。しかし、医学的な治療法としては、もちろん抗うつ剤やほかの治療法も考えられるわけですけれども、それよりもやはり今の現状を見た場合、私は一
医師でもありますけれども、にもかかわらず、やはり政治的なマンデートという次元で考えていかなければなりません。そういう
意味では、一時的に
政治家になり、また
外交官になったつもりで、私は、あえて挑発的な行動をとってこなければならないという、緊急
医療医師としても挑発的なことをやらなければならない
状況に今までありました。
そして、今皆様にも訴えたいことは、この
子供たち、今飢餓に苦しんで、今死ぬところにいるわけでありまして、五十年後の
朝鮮半島の統一などを待つ暇が、時間が彼らにはないんです。
また、私、
ピョンヤンでの
生活で学んだわけですけれども、
北朝鮮の政策の一部として、本当に
北朝鮮はプロパガンダにたけております。
世界チャンピオン級だと言えるほどプロパガンダにたけているわけですし、メディアの操縦また洗脳の策にも非常にたけています。
私、この
友好メダルというのをもらいました。それは皮膚を移植したということだったわけですけれども、この出来事を
北朝鮮のメディアはプロパガンダとして大々的に取り上げて、新聞、テレビに
報道されたわけでありまして、非常に大きなストーリーとして宣伝されました。しかし、その持っていき方、その方向性というのは、私は
金正日を余りにも尊敬している余りに皮膚を提供したということになっているわけです。
しかし、これに対抗する唯一の政治的に可能な
方法というのは、彼らと同じ策を使う、すなわち、同じプロパガンダという手法を使ってマスコミを活用させていただくことではないかと思います。
私は、そのような観点から、やはり北京やほかの
中国の都市での大使館で壁をみんな越えるという
状況を、例えばCBS、CNN、AP通信や
日本のジャーナリズムがとらえる、それも結局
世界の脚光を浴びるという
意味ではいいのではないかという考え方を持っております。また、非常に勇敢な
日本のジャーナリストが
北朝鮮に入って、そして実際収容所のビデオを撮って見せる、このようなこともいいのではないかと思います。
私自身、板門店で国境を越えるということを試み、それも結局テレビに注目してもらって、
世界のマスコミに多く取り上げてもらうことによって、この人類の今起きている惨事に
世界に注目してもらう、これが重要なのではないかと思います。
そこで、私は今いろいろなアイデアを考えつこうと
努力しているわけですけれども、例えば、
食糧物資などを大量に積んだ汽車の車両を本当に連ねて板門店の方に向かう、または
日本の複数の船に米などを載せまして船隊にして
北朝鮮の港に向かう。ですから、これらの大量の食品物資を
北朝鮮に供与いたします、しかし、必ず
一つの条件を守ってくださいと。
イラクでほかの国がやってきたのと同じように、自由なアクセスを我々
査察官に対して確保してください、
査察官のみならずジャーナリスト、
外交官、自由に
北朝鮮にアクセスを確保して、
子供たちに本当にこの物資が届くか、その確認をしていきたい。ですから、汽車でもいいですし、船でもいいですし、元山港などに
日本の船を複数行かせて、CNN、CBS、APなどが見ている前で、とにかくジャーナリストを入れてください、そうでしたらこれだけの物資を渡しますよと。
ですから、
北朝鮮は
世界に対して今までいろいろな脅迫をしてきたわけです、こうしないとこうしますよと。逆に、彼らと同じショーを我々が逆手にとって、これを受け入れないとこういうふうになりますよと、我々の方から
北朝鮮をある
意味では脅迫していかなければならないのではないかと思います。
私、強く確信していることですけれども、
日本は
経済力を持っているわけです。ですから、その
経済力を使って
北朝鮮に対してプレッシャーを
日本はかけることができるわけですし、
日本の
国民の皆様は、
北朝鮮で現在飢え、死のうとしている、本当に国の奴隷として扱われている
人たちを解放する助けができるのではないか。すなわち、
北朝鮮の
国民が自由な社会に生きられるように、
日本の市民は策をとれると思います。
瀬戸際政策や脅迫という手法は、相手側が恐怖感を抱いているときのみ通用する策であります。確かに今、
北朝鮮は
核兵器を持っているということなので、周りの国は恐れを抱かざるを得ない
状況ではありますけれども、では、ロシア、
中国の今の行動を見てみますと、以前に比べて変わってきております。ロシア、
中国も、今
北朝鮮が
核兵器を持っているということを非難しているわけであります。
ですから、
日本、
韓国、
米国、ロシア、
中国などの国が国際的な連合を形成して
北朝鮮にプレッシャーを与えていくべきだと思いますし、脅迫、また古い形での
瀬戸際政策は、今はもう通用しないのだということを伝えるべきだと思います。
中国やロシアは今までと変わってきております。それぞれの国の
北朝鮮との国境付近でも見た
変化でありますけれども、
中国側、ロシア人側のビジネスマンが、やはり経済
関係、取引などに関心が今向いているということで、例えば、北京からソウルに鉄道を敷きたいとか、
日本との取引をより活発にしたい、ウラジオストクからソウルまたは
日本へトンネルを掘りたい、そういうような経済活動を促進していきたいと思っているロシア、
中国ですから、そういう
意味でもこの
両国の外交政策は変わってきているわけでありまして、そのような国と
日本は一緒になって
北朝鮮にプレッシャーを与えていくことができると思います。