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国務大臣(
柳澤伯夫君) いきさつ的なことを申しますと、
証券監視委員会もそうですし、我が方のこの
検査の
証券関係の当局もそうなんですけれ
ども、できるだけローテーションをしげく取って、
証券会社の
検査あるいは
監視に入るということを当然のことでやっているわけでございます。そういう中で、どうも
空売りについて法令に反するようなことがあるということで、これは看過できないということで一方において
処分もさせていただいたということがきっかけになりました。
空売りについて、これはやはりいろんなことを考えると放置できないので、その
処分は
処分、
処分の元になった現行の
レギュレーションというものは
レギュレーションとして、やはりよりしっかりした
レギュレーションということも考えなきゃいけないということで
検討をいたしたわけでございます。
そもそも
空売りとは何ぞやと、私も全くこの分野、ほかもそうですけれ
ども、
経験がないわけでございまして、そういう
経験がない者が説明するということで余計分かりやすくせざるを得ないわけですけれ
ども、要するに売るんですけれ
ども、
自分の
所有のものではないと、こういうことでございます。具体的には、ですから人から借りてくる、こういうことでございますけれ
ども、その借り先が相対で借りてくるという、多くは
日本の例えば
機関投資家というようなものはたくさん株を保有していますから、そこから借りてくるということが
一つあります。これが
スタートで、人から借りたものを売るものを
空売りと、こういうふうに言うわけです。
もう一方は、
証券金融会社というのが
日本に昔からございます。これは
空売りというのは概していうと
機関投資家が他の
機関投資家から借りてくるということが主なものですから、
一般投資家という
人たちが借りてくる先がないものですから、そこで
金融会社を作って、
証券金融会社を作って、そこからは借りられますよということで
スタートをしたものでございますが、最近では
機関投資家もこの
証券金融会社から借りてくるというようなことになっている。こちらの方はある種の
制度金融ということになっていまして、現物も貸すわけですけれ
ども、
制度的に貸すと、もう申し込めば貸してくれるということなものですから、信用の
世界ということになって、そこで借りたものを売る場合には信用売りというふうになるわけでございます。
いずれにしても、借りた株を売るということでは
空売りという、人のものを売っているということで、後からそれを
市場から買い戻して返さなきゃいけないという
義務を負うわけですけれ
ども、その借りてくる先で、今言ったように
空売りというものと信用売りというものが二つあると、こういうことでございます。
今回私
どもがやったのは、信用売りの
世界で抜けていたところを穴をふさぐと、こういうことでございまして、
一つは
明示義務というのがあるわけです。これは
空売りですよというようなことで、それがどんどん増えているということになると
一般投資家はやっぱりちょっと
注意をしなきゃいけないなということになるという
意味で、
明示をさせる、俗な
言葉で言うと旗立てさせると言うんですけれ
ども、旗を立てさせるという
義務を
空売りは負っているわけですけれ
ども、これを信用売りの方もそのようにした方がいいだろうということで、そういうような言わば
明示をさせる。あるいは、この銘柄については非常に
空売りが増嵩していますよ、かさがのしていますよというようなことを指定して、それを公表するというようなことをやって
一般投資家に
注意を呼び掛けるというようなこともそうなんですが、そういうことを
一つやるということがございます。
それからもう
一つは、この信用売りの方で、株を借りるときに非常に
コストが安いという問題がありまして、これはやっぱり人からものを借りる場合には、そうきちっとした
コストの計算の下で、その言わばサービスに対する料金を払うということが正しいだろうということになりまして、今まだ
検討中の
部分もありますけれ
ども、基本的に借り株による株の
調達コストを本来の適切なレベルにしていこうと、こういうことを信用売りの
世界ではやらせていただいたということが
一つの側のテーマであったわけです。
もう
一つ、
空売りの側、本当の
意味の
空売りの側で
一つ穴をふさがせていただいたんですが、今まで
相場を、
空売りというのは
空売りそのもの、あるいは信用売り
そのものはちっとも悪いことじゃないんですけれ
ども、概して言うと、作為的な
相場形成というものにこれが用いられがちだという欠点もございまして、それを、いかにそういう作為的な
行為をふさいでいくかということが非常に大きなポイントになるわけですけれ
ども、そういう
観点から、今度は
空売りの
値付けの
部分、この
部分について従来よりもそういったことができにくくする。
これは、
直近の
相場と同じ値段だったらいいということが従来の
ルールであったわけですけれ
ども、それを放置していた結果、正に作為的な
相場形成にそのことが悪用されたという事犯が今回の
検査で見付かったというようなこともあって、そこのところはやっぱり
直近の
相場よりはむしろ高い
相場でなければ
空売りの売り付けはできないと、これは
アメリカの
ルールと同じなんですけれ
ども、そういうことにして、今言ったように、
空売りによる
作為的相場形成に結び付く
可能性というものを減殺すると、こういう
観点からの何というか、
制度の改正を行わせていただいた、こういうことでございます。