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服部三男雄君 次に、アフガン支援国際
会議、これは緒方貞子さんという国連高等難民弁
務官としての実績、信用、そういう非常にネームバリューがあった方が我が特別代表ということもあり、また、自民党から元
総理始め何名かの方がわざわざ周辺国へ協力に行かれたという努力もあった。そこで
総理自身も非常に重視されていた。こういうことで、大成功だったと、
日本外交ここにありという、私は本当に大成功だったと思います。といいますのは、過去の
日本国際
会議で、六十一か国、二十一国際機関の代表が集まって、あれだけの
世界的評価を受ける
会議はなかったと思うんです。そういう意味では本当に大成功だったと。
ただ、その後、その一つの
参加者である
NGOをめぐる問題で、外相と
事務次官が言った言わないという問題の方が、どっちかというとそっちの方が大きくなり過ぎまして、せっかくの
日本における、
日本外交ここにありと示すような国際
会議の成功の、今後どういうふうに持っていくかという議論をすべき大事な
国会の
審議がほかの方に焦点が移るという、非常に残念な
事態になったわけでありますが、ここで一つ私は強調したいのは、幾ら緒方さんが、あるいは
総理自身が、あるいはいろんな人がやっても、六十一か国、二十一の関係代表、関係機関を事前調整、連絡というのは、これは
外務省の職員がやらなきゃできないわけです。
外務省がこの一、二年大変なスキャンダルに恵まれ、クレディビリティー、
国民を始め外国のクレディビリティーを失墜させたということで、
野上事務次官以下総力を挙げてこのアフガン支援国際
会議の、対処していったと。このこと一事をもっても、
日本の
外務省というのはそれなりに有能な連中がそろっているんだと私は今度自信を持ったんですけれども。先ほど申し上げたとおり、継続と信頼というものは、この国際
会議の成功をきっかけにして、是非
総理直率の下にもっと充実していただきたいとお願いするわけでありますが。
さて、このアフガン問題なんですけれども、確かにそれはテロの問題、アルカイダの問題あります。でも、もう一つ僕は、私
自身は別の問題があるなということを思ったことがあるんです。といいますのは、例えばアフガン支援の中で、ブレアさん、英軍をトルコへ派遣しているんですね。そしてNATOは、シュレーダーさんのドイツを含め、AWACS、早期管制機を、警戒管制機をアメリカからの振替の分に米本土へ派遣すると。
私は、これを見まして、トルコというのは非常に今後の、二十一世紀の地政学的に大きい要素を占める場所だと思う。といいますのは、御案内のとおり、外交の考え方には二つありまして、アメリカ流の集団安全保障あるいは自由と民権という原則を強く出す国と、ヨーロッパのようにバランス・オブ・パワーの考え方ですね。古く言えばリシュリューとかビスマルクとかメッテルニヒとかいろんな人がいます。代表的な外相もいますけれども。そのバランス・オブ・パワーの考え方。
カスピ海周辺に石油が猛烈に埋蔵しているということははっきりしているわけですね。今、OPECだけに偏在している石油というのは非常に危険だと、カスピ海とか、そういう石油のバランスを取った方がいいというのはヨーロッパの考え方だと思うんです。EUは特にできまして、通貨の統合までしましたから。
こういう問題を考えますと、アフガン戦争というのはテロ対テロだけでなくて、裏にはいろんな各国の思惑、資源というものが絡んできている、地政学的な問題も絡んできている。そういうのに対して、ブレアさんとかシュレーダーさんはもうアフガン戦争時からちゃんと手を打ってきている。
日本の外交もこういうふうに複眼的に、視野を高く見て、大きな
世界の流れの中でやっていくべきだと私は思っておりますが、
総理の御意見をお伺いしたいと思います。