○渡辺秀央君 国会
改革連絡会の皆さんの御同意を得て
発言させていただきます、自由党渡辺秀央であります。
許された時間内に、さきに
開催された
カナナスキス・サミットに出席された
小泉総理に数点の
質問を申し上げます。
まず、
小泉総理、御苦労さまでございました。一九七五年十一月十七日、ジスカールデスタン・フランス大統領の提唱でランブイエで
開催されて以来二十八回目の
開催でありましたが、今回は、昨年九月十一日、
アメリカにおける
同時多発テロ後、初めての
先進七か国の最高
責任者が一堂に集まり意見を交わし合う
機会で、極めて重要な討議の場であり、
各国首脳はそれなりに十分な準備と各種の
情勢の分析を明確に行って出席したものと思われます。
グローバリゼーションの
言葉が使われて久しく、
世界に対して、人類に対して、同時に
歴史に対しての
責任を担った
各国指導者が真剣に
議論し合ったことは敬意を表するものであります。
しかし、私たちは、お互い
国民を代表する立場から、大事な
政治要件は見逃してはならないことは言うまでもないことであり、先ほど来、各党御
質問と若干の重複をいたしますが、お許しをいただいて
質問をさせていただきたいと思います。
残念ながら、今回
サミットの
小泉総理の
評価は必ずしも私から見た場合に良い点数を上げられないことを最初に申し上げておかざるを得ません。
第一は、
経済情勢問題についてであります。
サミットでは、
世界経済の
回復基調は続いている、ただ、短期的には
世界的な
株安や
テロ不安など不確実性があるという
認識で一致した見方が示されました。
しかし、
世界経済の
現状はそんなものなのでしょうか。
アメリカのさきに破産したエンロン社の二倍の総資産と言われるワールドコムの粉飾決算が発覚したことも加わって、
アメリカの
株安とドル下落による
経済の
現状と、
我が国の
経済は
回復兆しの見えてきたどころか逆の現象が見られる国内
経済の実態を
小泉総理はどう
認識して
サミットに出席したのか。
ただオウム返しの
改革なくして
成長なしの路線を
評価されたなどとはほど遠く、本当は厳しい
評価で、
各国はむしろ小泉政権が一年たった今後は、このままでは
理解せず、より厳しく
日本経済の方向を見守るというのが本音だったと聞いております。
主要国の
首脳が年一回会うのに、厳しい
評価を避け合い、仲よし写真撮影とパフォーマンスのイベントであってはならないと思いますが、いかがですか。
経済問題こそが
サミットの生命線であるのに、
各国の思惑や利害対立を慎重に十分
議論して、むしろ検討内容をオープンにすることこそが自由
経済市場の活力をよみがえらせることに連動することになるのではないでしょうか。
今回こそ
経済問題が激しく意見を闘わし合い、問題点を
各国が
認識し、それぞれその
責任を果たす政策を発表し合うことが明るい将来の展望が開けるはずであったのに、逆に無難に終わった
ように見えることが今後に不気味な影を落としていると感ずるのは私だけでしょうか。
総理の御見解を求めます。
第二に、
政治関係において
質問をいたします。
中でも
テロ対策を今回
サミットの
重要課題ととらえ、国際的な
テロリズムの根絶のため、団結して
取組を強化していくことを確認したことは至極当然のことであります。
しかし、この
テロ対策の柱として、
ロシアの
大量破壊兵器で
拡散のため、G8は
グローバル・
パートナーシップという新たな
支援枠組みを作ることで一致し、
我が国は取りあえず二億ドル余りを
拠出し
貢献すると表明しましたが、
日本はこれまで既に十年近く約百五十億円の
拠出を決めてあったのであって、ここでは二重の負担を強いられ、
アメリカ外交に追従するだけの姿をまたもや内外に示し、しかもその間に度々問題視された
懸念材料は解消されたのかどうか、今後有効に
拠出金は使われていく保障はあるのか、その
懸念材料について
総理の御見解をお聞きいたしたいと思います。
とりわけ、
ロシアはG8の完全メンバーになることが決まったが、
日本はこれまで歴代内閣は、
ロシアとの領土問題は日ロ二国間協議の場と、ほかには最もこの
サミットの場を重視して
我が国の立場を
各国首脳に真剣に働き掛けて、
各国も
理解を示してきた経過であるけれども、
ロシアの
完全参加となった雰囲気の中で、今後、北方領土問題を
サミットで取り上げることができなくなるのではないか、
懸念せざるを得ないのであります。
総理は、今年十二月又は来年一月には
ロシアへ
訪問するとのことを申しておられますが、その際、両国は領土問題を抱えながらもそれを乗り越えて
関係を発展させると
総理はコメントされておられます。具体策のない
言葉の遊びで実際は
総理特有の問題先送りで、今までと何も変わらない姿勢であることを見逃すことはできないのであります。
全く何の
懸念もないままに、
アメリカが言うから、また、他の国が同意ならばの
考えで、
日本にとって重大なこの問題の短絡的決定は、
我が国が問題点を指摘し
発言しないままで、事前にも
アメリカより十分な意見を求められないまま決定されてしまったことでは、国益にとって全くマイナスであると
考えられるが、いかがでしょうか、御意見をお聞きしたいと思います。
第三に
質問をいたしたいのは、ブッシュ・
アメリカ大統領の
テロ問題
解決の糸口として
サミット直前に発表したパレスチナ
国家樹立の
必要性であることに、和平構想は、一方では中東問題
解決案の遅きに失した感であり、また、一方では
アメリカ国内の共和党支持基盤の強いイスラエル勢力に対してのブッシュ政権の国内への気配りを示したものであることを他の
サミット参加国
首脳は見抜き、
アラファト議長追放問題については、
パレスチナ人自身が指導者を選択すべきだと慎重な意見が相次いだとのことは当然と言わなければならない。
そのとき、
小泉総理、あなたは一人だんまりを決め込み、
アメリカに都合の悪いことは
日本は言わないという主義、
アメリカには何も言えないのだとこれまでも
各国から言われてきたが、その姿勢こそが
アジアで
日本の期待と信用を失い掛けている原因なのだということをお気付き反省すべきであります。いかがお
考えですか。
第四に、
ロシアの
サミット完全参加することは
世界の
経済の安定と平和の期待に欠くことのできないことは
政治家ならだれもが分かることでありますが、このままでは
サミット参加国の
世界地域面でのバランスが伴わなくなると思います。ましてや、今や
世界の大国としての
存在感から、当然
アジアのもう一方の代表として中国の存在をあなたはどう位置付けており、この問題との整合性を図り、近い将来中国参加を仲介する問題提起をなぜしなかったのか。
アジアの代表としての当然の
責任ある行動であるべきだったのではなかったのか。失いつつある信用を
日本は
アジアの代表であるとの立場で
回復することが極めて大事な局面に来たのではないでしょうか。今後、中国参加に対して提案の意思ありや否や、お伺いをいたしたいのであります。
第五に、これまでの
サミットにおいて、
北朝鮮問題について人道問題という表現で間接的に触れてきた表現を、初めて拉致問題と明記して
各国の
理解を求めたと伝えられているが、その際、
総理は、
日本と
北朝鮮の間には
日本人の拉致問題がある、
国交正常化交渉の中で様々な問題
解決を図るために
努力しているが、
北朝鮮が孤立しない
ようにするため
国際社会の関与が重要だと
発言されたと伝えられております。
拉致問題の
解決と
北朝鮮が孤立化しないことがどう結び付くのか、すなわち、それは拉致問題が
解決しなければ孤立化するぞという
国際社会の関与を促すものと
理解してよいのか、
お尋ねをいたします。
最後に
お尋ねいたしたいことがあります。
サミットの帰途、
政府専用機でドイツのシュレッダー首相を同乗を促し、一緒に
ワールドカップ決勝戦を観戦したことは、一面ほほ笑ましい光景に映るけれども、一国の最高
責任者が他の国の最高
責任者を同じ機内に長時間席を同じくするということは、正に
テロ問題を語り合ったばかりの
会議を終えての接し方にしては問題なしとは言い難いと思います。何かの緊急事態が起きたとき、また、さらに相手の国内で非常事態が起きたとき、しかも相手の国は集団
安全保障条約を結んでいるNATOの加盟国、
我が国は集団的自衛権を認めていない国であり、友好国とはいえども性質がほとんど異なる国だけに、誠に背筋が寒くなる思いであります。
総理、あなたは一瞬危機管理をどう頭をよぎったか。結果何もなかったからよかったではないかでは、
日本人一億二千五百万の生命と財産をすべて託するだけの見識の持ち主だとはとても思えない不用心な人だと言わなければなりません。
過日、新官邸の落成披露にお招きいただき、その際案内された危機管理室の
整備の充実化は見事なものであり、安心感を抱きましたが、どんな立派な設備を備えても、それを使う人、また判断する人、どういう
能力を持ち、決断と実行の
責任の取れる人であるかが危機管理の第一の要諦であるはずです。
すなわち、ふだんの心構えが一番大事な問題であり、リーダーは常に
緊張感を抱かなければならないものだと思いますが、御意見を承って
質問を終わりたいと思います。(
拍手)
〔
内閣総理大臣小泉純一郎君
登壇、
拍手〕