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国務大臣(
大木浩君)
小宮山議員から私の勘定では十七御
質問をいただいたと思っておりますので、順次お答えをしたいと思います。
まず、
京都議定書を
批准して、
環境分野で
日本が大いに
リーダーシップを発揮すべきだという
お話でございました。
京都会議では
日本が
議長国でございましたし、また、
環境ということは
日本にとりましてもこれから大いに重要な
議題だと
考えておりますので、まずは、ただいま
提出しておりますこの
地球温暖化のための
対策法案、そして
議定書自身を、
国会で御
協力をいただきまして、できるだけ早くまず通させていただきたいと。
その上でまた、これからまだ、それぞれの行
政府の中では
批准の意図を持っておるということを言っておりますけれ
ども、必ずしもその手続が十分に早く行われていない。例えば
ロシア、そういうような国々もございますから、私
どもの方でまず自分のところを済ませましたら、これからひとつそういった国に対してもできるだけ早く
条約、
議定書の
批准を進めるようにということを強く働き掛けまして、同時に私
どもも
国内対策を進めて、これから大いに
環境分野での
リーダーシップを国際的にも発揮できるように、ひとつ
体制を整えてまいりたいと思っております。
次に、この
法案の
内容につきまして、これで本当にちゃんと
議定書の的確な
実施ができるのかということでございますけれ
ども、本法の
改正によりまして、
京都議定書目標達成計画というのも
作成し、
温室効果ガス別に、それぞれの
ガス別に
排出削減目標を定めるとともに、個々の方策につきまして、また我が国全体における
導入目標量、
排出削減見込み量及び
対策を促進するための
施策を盛り込んで、これを
節目節目に定量的に評価し、必要な
追加的対策・
施策をも講じていくこととしておりますので、六%の
目標は十分に
達成されると
考えております。
次に、
京都議定書の的確な
実施のために、
目標数値を
目安とするのではなくて、しっかりとした定量的な
目標とすべきではないかという
お話がございました。
これは、
地球温暖化対策推進大綱、これも
法案とともに一緒に
皆様方にお示ししておるわけでございますけれ
ども、
達成しなければならない各
部門の
目標数値を
目安ではなく定量的な
目標にすべきということにつきましては、確かに、
産業、
民生、
運輸と、それぞれの各
部門の
排出削減目標は諸条件の下でこれから
達成できるものと試算される、一応の試算はしておりますけれ
ども、細かなところでは、これから実際に
実施していく場合にいろいろな動きがあるわけでございます。いろいろな
数字というものは、これから十年ほどの
数字でありますから、その中ではやっぱり全体としての
目標はぴしっと立てておりますけれ
ども、その間の
状況によりましては、言うなればいろんな
数字の
移替えとか修正とか、そういうことは別に排除をしなくてもいいと思っておりますので、全体といたしましては、今申し上げました三
部門を合わせまして
エネルギー起源の
二酸化炭素全体としては一九九〇年
比プラス・
マイナス・ゼロというところに抑えるということが一つの
数値目標として定められているところでありまして、この
目標を
基礎にいたしまして、今後、
京都議定書の
実施は十分にできると、定量的にそういうふうに
考えております。
次に、
国民、
市民の自主的な
参加によって
計画の
策定、
見直しを行う、どういうふうにするんだと、こういう
お話でございました。
目標達成計画の
作成に当たりましては、もちろんその案の
段階から
公表いたしまして、あるいは
公聴会あるいは
パブリックコメント等々の方式によりまして、
市民団体も含めて、
国民各界各層の御意見を幅広く徴し、それを十分に尊重して
計画の
作成に生かしてまいります。そのように御理解いただきたいと思います。
次に、
計画全体の
国会承認の
お話がございましたが、これは、本
法案に基づく
計画は、いろいろとこの種の
計画というのは
政府が作ってお示しするというのが慣例になっておりますけれ
ども、取りあえず
政府の
責任において
作成させていただきまして、
計画に盛り込まれた
対策の
進捗状況についてはいろいろな
機会にいろいろな場を通じて
国会で御審議いただけるように、そのようにして、また必要に応じて
対策の
見直しにも生かしてまいりたいというふうに
考えております。
次に、いろんな
ステップでの
区切りということを申しておるわけでございますが、これを随時
見直しをして
追加的な
対策も
実施できるようにということでございますが、御承知のとおりに、これは
平成十六年と十九年に総合的な
見直しを行うということを、これは一応法的にきちっと定めまして、ひとつそれを
意識しながらいろいろな
計画の方もきちっと
見直しなりあるいはその
実施状況を検索するということでございますが、
計画の
進捗状況については常にフォローいたしまして、必要があればそれ以外にも、今言いました十六年、十九年以外にも随時
見直しを行うことを排除するということではございません。
次に、
一定規模以上の
事業者には
計画の
策定と
温室効果ガスの
排出状況の
公表を義務付けるべきではないかと、こういう
お話もございます。
これは、取りあえず、まず第一
ステップといたしましては、
事業者のできるだけ
自主性、
創意工夫を生かし、自主的な
計画の
策定と
排出量の
公表等、
公表も含めてでありますが、
公表等についても促進することが適当と
考えております。
ただ、
事業者が一体どういう形でどういうふうに
公表するんだというようなこと、あるいはどういうふうに計算してその
数字を
皆様方にお示しするというのも、余りばらばらでは駄目ですから、そういうものにつきましては、
公表のための、あるいはいろいろと
数字を積み上げるための手引の
策定等の形では、私
どもとしても、
環境省としても
協力をしてまいりたいと
考えております。
次に、
地域における具体的な
排出実態の
公開と
事業者の
取組の
第三者評価についての御
質問でありました。
地域における
排出量の
把握と
公開につきましては、既に多くの
地方公共団体、例えば三十五の
都道府県において行われておりますし、今後とも、各
地域の実情に応じて積極的に進めてまいりたい、また積極的に進めていただきたいというふうに
考えております。
環境省としても、
排出量の
把握の手法の
開発等については、これから
協力をしてまいりたいと思います。
それから、
第三者評価の問題でありますが、
取組内容の
透明性、
信頼性、
実効性の
確保のために非常に有意義だと思います。また、
事業者にとっても
企業イメージの向上につながるというようなことでありますから、これは、まず第一
ステップといたしましては、
事業者に積極的に自主的にそういった
第三者評価というようなものも活用するように、これからまたそういうことを促進してまいりたい、またそういうことを訴え掛けたいというふうに
考えております。
また、
環境省といたしましても、先ほ
どもちょっと触れましたけれ
ども、
評価方法の
開発等、そういうものについてはこれから自らも研究し、また
関係地方団体等との
協力を進めてまいりたいと思っております。
次に、
ライフスタイルを変えるためには、
ソフトの面の
意識の
変革ばかりではなくて、そのための基本的な
環境教育ということが必要じゃないかという御
質問もありましたが、誠にその
教育というのは必要だと思います。
ただ、
教育と申しましても、狭い
意味の、例えば
学校教育とかそういうことだけではなくて、やはりもう小さな
子供、幼児から
高齢者に至るまでのすべての年代を
対象に、多様な場を通じて、もちろん
学校もありますけれ
ども、例えば
地域社会でのいろいろな会合というようなものもありますから、そういったような多様な
機会を生かして
環境教育を積極的に
推進することが重要でありまして、
環境省としても、
関係省庁と連携を図りながら、例えば、授業で使えるような
環境学習プログラムの提供とか、あるいは
こどもエコクラブの
事業等環境教育に係る
事業を自らも強化してまいりたいと
考えております。
次に、
地球温暖化対策地域協議会、これは、
日常生活だけに限らず、
地域でのあらゆる
排出削減の
取組について幅広く
協議する場にすべきじゃないかと、こういう
お話でございました。
確かに、別に
日常生活、狭い
意味の
日常生活に限ることはないんで、個々の家庭の中だけでの議論ということではなくて、これはやはり、
地域協議会は、
地域公共団体が中心となって、いろんな立場の住民の方、あるいは地元の商店とか工務店とかそういった方々も入っておられますから、例えばですけれ
ども、建物の断熱化、あるいは自転車の利用のための自転車道の
整備等の街づくりなど、
地域の実情に応じた具体的な
取組を企画して、
実施するための場として組織していきたいと
考えております。
次に、
国民各界各層による更なる
地球温暖化防止活動についてということでございますが、この
皆様方にお示ししております
大綱におきましても、
国民による個々の行動の例とそれによる数量的な
削減量を示すとともに、これらを促すための
温暖化対策診断、
環境家計簿などの手法を明らかにしております。こうした
取組も
民生部門の
削減の貴重な手段でありまして、こうした
取組が
国民に定着するように、これからまた
環境省としても、
政府全体としても普及
活動に努めてまいりたいと
考えております。
次に、
森林整備等による吸収源の問題でありますが、
日本は六%の約三分の二に当たる三・九%を
森林に依存するのかと、こういう
お話でございますが、実はこの六%と三・九%の関係というのは、もう少し細かく言いますと、現在、既に一九九〇年に比較しまして実際の
排出量が七%程度上がっておりますから、言うなればその中の、一三%の中の三・九%をこれから
森林の吸収によって
達成していくという計算になると思います。
いずれにいたしましても、こういった
数字は、別に勝手に
日本が思い付きで
数字を出しているわけでございませんので、基本的には、
気候変動に関する
政府間パネル、IPCCの中での科学的な
検討結果等も踏まえて、COP7の場で国際的にそういった
数字が妥当だということで合意をされておるものでございますので、そのように御理解いただきたいと思います。
それから、その
吸収量の今の三・七%から三・九%に何か話をしているうちに少しずつ変わっていったと、こういう
お話でございますが、実は三・七%という
数値は、九八年当時の
計画におきまして
森林の成長量やら木材伐採量等を用いて我が国の二〇一〇年ころの全体の
吸収量がどうなるかということを推計したものでございまして、片や三・九%という
数字は、二〇〇一年、昨年の十月に
策定されておりまして、
森林・林業基本
計画、こういうのを作っておるんですが、この
目標どおりに
計画が
達成されたとすれば、それを前提として、その際の
森林成長量やら木材伐採量の
計画数値等を基に推計をして三・九という
数字を出したわけでありまして、多少の差はありますけれ
ども、時期的に少し動いておるということも御理解いただきたいと思っております。
それから、
森林吸収源についての基本的な
考え方ということでございますが、これは農水省の方からもいろいろとまた御意見があると思いますし、私
ども協力してこれから実際の
対策は進めていくわけでありますけれ
ども、
森林の
整備等の
吸収源対策というのは、やはり
温室効果ガスの
削減、要するに、いずるものを抑えるのと出たものをまた吸収するのと同様にこれはやはり重要な
施策であると
考えておりまして、
京都議定書の
約束を
達成するためには、両方上手に掛け合わせて、結び合わせて
推進していくことが必要だと
考えております。
目標の、先ほど申し上げましたが、三・九%というのは、
森林・林業基本
計画に基づきまして、現状を上回るペースで
森林整備や木材の利用等を進めることによりまして
達成されるものと理解しております。
次に、
環境税等についての御
質問でございました。
環境税についてなぜ触れていないのかということでございますが、実は今度の
法案には直接
環境税云々ということは申しておりませんけれ
ども、
地球温暖化対策のこの
推進大綱の方では、
環境税を含めたいろいろな経済的な手法が必要だということは言及しておるわけでございまして、
地球温暖化対策推進、今の申し上げましたこの
大綱におきまして、
環境税ばかりじゃなくいろいろと課徴金等の経済的な手法によって、言うなれば、一方において温暖化ガスの
排出は抑える、抑える方の手法もありますし、いろいろと新しいエネルギーの
開発といったような促進する方の
インセンティブの手法もありますから、経済的な手法というのは当然これからも一生懸命勉強させていただきたいと思っておりますし、
環境税自体について申し上げますと、目下、私
どもの方の中央
環境審議会で、具体的にどういう形で、仮に
提出するとすれば、するのが望ましいのか、いろいろと勉強をしていただいておる
段階でございます。
それから、
京都議定書が発効するためには
ロシアの
批准が本当に間に合うのかというところでありますが、
日本としては、今申し上げましたように、まずは
日本としてのまず
会議を始めるということで
議定書及び
法案の御審議をいただいておりますわけでありますから、これが終わりましたら、先ほどからも申し上げましたように、今後、
ロシア等々に対しても積極的に
批准を早めるように働き掛けを行ってまいります。
最後に、
アメリカは、
京都議定書に代わる
米国案というのを先般出してきたということでありまして、これは、私
どもとしては
京都議定書に代わるものとしては受け止めていないで、
アメリカは
アメリカとしての今の
段階でやれることを
説明してきたというふうに理解はしておりますけれ
ども、本年四月の日米ハイレベル
協議あるいはG8の
環境大臣会合の場におきまして、私からも米国のハイレベルの相手に対しまして、
京都議定書はもちろん、それはできるだけ早く戻ってもらいたいということは申し上げておりますけれ
ども、それと同時に、今、
アメリカとして何ができるんだというようなことについては、つまり、日米で具体的にバイの形であるいはマルチの形で、
アメリカとしても
参加できるものについては積極的に
推進してもらいたいということも申し上げておるわけでございますので、今後とも
アメリカとの話合いというものは強力に進めたいと
考えております。
以上でございます。(
拍手)
〔
国務大臣福田康夫君
登壇、
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