○小泉親司君 私は、
日本共産党を代表して、
中国瀋陽総領事館事件の
外務省報告について
質問をいたします。
今回の問題では、
事件の本質的な部分で
日本側と
中国側の
説明が食い違っており、事実の解明が必要であります。そこで、幾つか事実
関係をただしたいと思います。
昨日、
総理は、我が党の
質問に対し、本年三月以降、
北朝鮮から脱出する者の事案が頻発していることも踏まえ、これらの者が
在外公館に侵入した場合を念頭に
対処を準備し、
関係公館に伝達していたと答弁されました。侵入というのは、押し入るという意味でありますが、これへの
対処というのは
受入れ阻止の
措置を取るということではないのですか。もしそうでないというなら、どういう
対処措置を取るように
指示していたのですか。明確にしていただきたいと思います。
現に、阿南
中国大使は、不審者が大使館
敷地に許可なく侵入しようという場合には侵入を阻止すると述べています。もし、そうでないというなら、どういう
対処措置を取るよう
指示していたのか、
説明すべきであります。
また、
総理は、
難民認定申請について個別に審査すると述べました。ということは、その人物が不審な侵入者かそうでないのかを個別に判定するということになります。しかし、一般的に侵入者として
受入れ阻止をしながら、どうやって個別審査をするのですか。また、これまで
日本の
在外公館に
北朝鮮からの脱出者が何人来たことがあるのですか。そのうち、何人受け入れたのですか。この際、明らかにしていただきたいと思います。
外務大臣は、領事館の門扉が少し開いていたことに関して、閉めておけばよかったと記者会見で述べています。ということは、今回の
ケースのような場合、一切門を閉ざしておく、つまり一切受け入れないというのが
日本外務省の方針なのですか。
また、
北朝鮮脱出者五人のうちの一人が警備担当副領事に手紙を渡したが、副領事はその手紙を読んだ後、本人に返したことが明らかになっています。この手紙には脱出者の
希望が書かれていたはずです。それを返したということは、事実上
受入れ拒否の意思表示をした、もっと言えば、手紙ごと
中国側に引き渡したということになるではありませんか。しかも、この重要な事実が
外務省報告ではなぜか記載されていません。それはなぜなのですか。答弁を求めます。
川口外務大臣も、十三日の記者会見で、
北朝鮮からの
亡命希望者に対する
対応策について、
対処ぶりあるいは
考え方ということは作ってある、
関係の
公館にはそれを伝えてあると述べています。
外務省は、この文書を公表しないということですが、なぜ公表しないのですか。
外務大臣はどのような
対応を
指示してきたのですか。この中には、
北朝鮮から脱出した
人々についての
対応が含まれているのですか。
瀋陽総領事館の今回の
対応は、この
考えに明確に沿っていたものなのですか、それとも違った
対応であったのですか。併せて答弁を求めるものであります。
次に、
中国側警察官が
総領事館に立ち入ることに
日本側が
同意していたのかどうかの問題であります。
最初の立入りについて、
外務大臣は昨日、
中国側警察の
総領事館立入りの際、我が方
総領事館員は、いずれもそのことを明確に
認識しておらずと答弁しました。なぜ立ち入ったと
認識しなかったのですか。
政府は、
中国側警察官が
公館敷地内に入り
女性ら三名を
敷地外に連れ出した今回の
行為が、
領事関係ウィーン条約第三十一条の
不可侵の規定には入らないと解釈するのでしょうか。あるいは査証待合室まで立ち入れば
条約違反と
考える見解なのでしょうか。
説明していただきたいと思います。
さらに、
中国側警官が
敷地内を通って査証待合室にまで立ち入り二人の男性を
連行する際、
総領事館員はどういう
対応をしたのかという問題であります。
報告書では、
中国側警官は副領事の横をすり抜け、副領事が言葉を発する間もなく査証待合室から門外に連れ出したと
説明しています。
しかし、男性二人が座っている間、あるいは査証待合室から玄関までの約三十メートルの間
連行されていく後を追ったにもかかわらず、副領事は本当に一言も抗議の声を発しなかったのですか。時間的ゆとりがあったはずなのに、警察官に抗議を行い、
引渡しを要求することを全くしなかったのですか。
説明を求めるものであります。
最後に、
日本は
難民の
受入れについて、国際的に最も門の狭い国として、時代後れと指摘されております。今回の
事件からの教訓として、このような現状を打開する必要があります。
総理は、
難民条約の適正な運用に配慮するということに終始していますが、
難民問題や他国からの出国者問題については一切見直しをしないというのですか。この点についての
総理の答弁を求めて、
質問を終わります。(
拍手)
〔
内閣総理大臣小泉純一郎君
登壇、
拍手〕