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国務大臣(大木浩君) 江本議員から御
質問の方は、たしか六つのパラに分けて御
質問がありまして、その中には、
一つのパラの中に複数の御
質問がありますので、私が勘定しますと十ぐらいの御
質問ということになっておりますので、御
質問の順序に応じまして順番にお答えをさせていただきたいと思います。
まず、土壌の汚染を
防止するための
法律案ではないんじゃないか、リスク管理地に指定される前に汚染土壌が搬出されて汚染が拡散してしまうと、こういうような御心配を述べられたわけでございますが、土壌汚染の
未然防止につきましては、既に水質汚濁
防止法等の
規制によりまして
所要の
措置が一応図られておるということでありまして、本法案ではこれまでに法制度化されていなかった汚染対策というものを定めるものであります。
また、指定区域に指定される前の土壌の搬出につきましては、
処分のために搬出された汚染土壌について廃棄物として取り扱うというようなことも考えておりますから、廃棄物・リサイクル制度の一環として今後できるだけ実効ある制度を
整備してまいりたいと考えております。
次に、都道府県知事が
調査を指示できる
範囲はどの程度だと、どういう
範囲であるかというお話でございますが、本法案では、まず、有害物質を取り扱う工場等の廃止の場合に
調査を行う、これが
一つ。それから、これと同様に、汚染の
可能性が高く、また、汚染があるとすれば健康被害のおそれがある土地を
調査命令の
対象とすることにしております。
このような問題を考えてみますと、御
指摘の工場跡地や廃棄物処理跡地等についても、要するに考え方は、健康被害のおそれのある場合というときには
調査命令ができると、こういうふうに申し上げてよいかと思います。
次に、工場の閉鎖あるいは農地の汚染についての
調査の実効性について御
質問がありましたが、有害物質を取り扱う工場等が廃止される場合の
調査につきましては、一般住民に対する健康リスクの
防止の
観点から重要なものでありまして、その適正な
実施が必要であることは当然でありますけれども、そういった面からの
調査の義務をきちっと厳正にやっていただくというのがこの
法律の
趣旨でございますので、そういうふうに
調査の義務を
規定しております。
また、本法案におきまして、汚染の
可能性が高く、汚染があるとすれば健康被害のおそれがある土地であれば、これは農地であっても
調査命令の
対象になり得るものであります。
次に、土地の開発許可、地目変更等の際に
調査を行うべきであると、こういうお話がございました。
有害物質を取り扱う工場等が廃止されて用途変更される場合等には
調査を行わせる、また、地下水モニタリング等により汚染の
可能性が極めて高い場合には
調査命令を行うこととしております。このように、健康リスクの高い一定の契機をとらえて確実に
調査を行うと。そして、汚染が判明した場合には、その土地の対策や管理を次のステップとして行わせるということが適切であると考えておりまして、これが今回の
法律の
趣旨でございます。
次に、不動産売買に関して、不動産の売主責任について御
質問がありましたが、本法案は、健康被害の
防止を目的として、健康被害のおそれが生ずるという、先ほども申し上げましたが、健康被害のおそれが生ずるという契機をとらえて、汚染原因者又は土地所有者等に対し必要な
措置を求めておることにしております。本法案によりましては、土壌汚染対策の制度化が図れることによりまして、結果としては、また土地
取引の安定にも資するものと考えております。
次に、土壌汚染に関する情報の信頼性と、浄化後に汚染が発見された場合、その責任についての
お尋ねでありますが、本法案におきましては、指定区域内の土壌汚染の状況、リスク管理の状況等の情報について、まず都道府県において指定区域台帳として調製、保管することとしているところでありまして、指定区域台帳につきましては、本法案に基づいて適切に
実施された土壌汚染の
調査や汚染の除去等の
措置の結果を基に必要な情報をこの台帳に記載することとしているところであります。
また、この台帳は、基準を超える土壌汚染が
存在する土地の情報を記載するものでありますから、浄化
措置が行われて、その状況を的確に確認した上で、指定を除去する状況がある場合には当然指定を除去すると、そして台帳から除去することとしております。仮に、その後新たな汚染が発見されたというような場合におきましては、本法案の
規定に従いまして、また適切な
措置、必要な
調査ということは当然できることとしております。
次に、登記簿で土地履歴情報や汚染情報及び
措置の
内容を知ることができるようにすべきではないかというお話でございましたが、これはやっぱり指定区域台帳と不動産登記簿では制度の
趣旨、効果等が異なるわけでありまして、土壌汚染に関する情報を登記簿に一元的に記載するということはいささか困難ではないかと判断をしております。加えて、指定区域台帳の閲覧に当たりましては、都道府県におきまして管理されて、必要に応じて土壌汚染に関する情報を適宜御説明できるような
体制を整えていただくということが望ましいと考えております。
次に、土地所有者が汚染原因者に求償するに当たって、どのように立証するのかというお話がございました。
本法の
実施に当たりましては、都道府県知事が過去の土地所有者等の関係者から聞き取り、水質汚濁
防止法の届出の状況、それから土地の履歴
調査等に基づいて汚染原因者を特定することとしているところであります。このような
措置によっても汚染原因者が明らかにならない場合、明らかにならない場合は求償の
実施に困難を伴うわけでありますが、都道府県においても関係情報の収集にできる限りの努力を行っていただきまして、土地所有者に助言をしていただく等の制度
運営を図ってまいります。
次に、
米国のスーパーファンド法に言及しての御
質問がありましたけれども、諸
外国の制度、いろいろございまして、
米国のスーパーファンドも
実施をした、なかなか必ずしも百点満点にはできなかったということは先ほどの御
質問の中にもあったように理解しておりますけれども、いずれにいたしましても、どういう制度がいいかということは、その国のいろいろなほかの制度全体とのかかわりもありますし、また土地のいろいろな状況もありますから、欧州におきましては、例えば行政命令を中心とした制度というふうなことになっておりますから、今回の本
法律案の立案に当たりましては、迅速な土地汚染対策の推進を図るために、
調査命令や汚染の除去等の
措置命令、要するに命令を適切に出すということによって結果を、いい結果をもたらしたいというふうに考えております。
いずれにいたしましても、先ほど、大臣は云々というお話もございまして、またこれから委員会でも御質疑があると思いますが、もちろんこれは、やっぱり実際にやってみましていろいろとまた問題が出てくれば、将来の問題として
検討することは当然だと考えております。
最後に、第六に、汚染の
調査対象に関しまして、どうも
調査逃れが行われるおそれがあるんじゃないか、十年の
見直し期間では長過ぎるんじゃないかというような
お尋ねもございました。
本法案に
規定されております土壌汚染の健康リスクを防ぐための
措置につきましては、これはやはりいろいろとこの法案は、やっぱり土地
取引の現実でいろんな
取引にも影響する面もありますから、やはりある程度、
一つ法律を作ればそれが安定的にやっぱり
実施されるという面も必要だと思っております。ということでありまして、一定期間安定的に
実施し、ある程度社会に定着させる必要があるということで、
見直し期間を十年としたのは私どもとしては妥当だと考えております。
ただ、いろいろと汚染の
可能性のある土地から
処分のために搬出された汚染土壌を廃棄物として取り扱うことなど、先ほどもちょっと申し上げましたが、いろいろと
検討の課題はございますので、そういった問題につきましては、その
法律とは別に十分に必要に応じてまた
検討を進めてまいりたいと考えております。
以上でございます。(
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