○平野達男君 私は、
国会改革連絡会を代表して、ただいま議題となりました二
法案につきまして
質問いたします。
その前に、昨日、外務省より発表された鈴木宗男
議員の秘書とされるムルアカ氏の件に関して重大な疑義が生じましたので、一点
質問いたします。
外務省によれば、同氏は、九八年、コンゴ政変に伴って、それまで取得していた公用パスポートが失効、同年、外交官パスポートを取得したとのこと。ところが、これが偽造であったということであります。とすれば、ムルアカ氏には九八年以降は不法滞在ではないかという疑義が生じてまいります。
さらに、我が方の調べでは、ムルアカ氏は昨年八月に
日本の永住権を申請、十月には永住権を取得しております。偽造パスポートであることを見抜けず、これを長年放置しておいた外務省の
責任もさることながら、不法滞在の疑義がある者に対し、しかも普通なら、どんなにまじめに働いている人でも取得に最低半年から一年掛かると言われる永住権の取得を、わずか二か月の短期間で付与したことは重大な問題であります。法務
大臣の所見を伺います。
経済対策についてお伺いします。
総合的な物価の指標であるGDPデフレーターは十五四半期連続マイナス、年ベース、実体的には七年連続で下落しております。先進国の中でこれほど長引くデフレを経験したところはほかにありません。最近発表された
景気動向でも、個人消費はプラスに転じたものの、輸出はマイナス、設備投資は大きく落ち込むといった厳しい結果が報告されています。
改革には痛みが伴うといってスタートした
小泉構造改革ですが、ほとんど
改革が進まないうちに
景気は悪化の一途をたどりました。今、痛みそのものを治療しなければデフレスパイラルという破局に突入しかねない厳しい状況になっています。
こうした中、先月の末に、あたかもブッシュ大統領の指示を受けるかのように、
政府はやっと総合デフレ対策なるものを打ち出しました。しかし、その中身たるや、
金融中心の従来の施策をちょっといじった
程度のもの、辛うじて株の空売り規制の強化が功を奏しているかのように見える
程度であります。デフレから脱却するためには、
金融に重点を置いたデフレ対策ではなく、規制
改革あるいは
税制改革等を含む抜本的かつ総合的な経済対策の早急な
確立と実行が急務であります。
政府内には、株価がちょっと持ち直したことや在庫調整が進んだことなどから、
景気の先行きに薄明かりが出てきたといった観測が一部に出てきたことに気をよくして、新たな対策を打ち出すことに慎重になったとの報道もあるようですが、とんでもないことです。
現状の
景気認識及び現行の総合デフレ対策に代わる総合的な経済対策の打ち出しに向けた
竹中大臣の所見を伺います。
公債特例法案に関連して
質問いたします。
まず、
外国為替特別会計から一千五百億円を
一般会計に繰入れする
特別措置についてであります。これは、本来、
平成十五年度
予算に充てるべき
財源、精密な計算をして算定するそうでありますが、
平成十四年度においてつまみ食い、先食いしてしまおうという極めて行儀の悪い
措置であります。形だけの三十兆円枠の堅持を優先させるための後年度への負担の転嫁であり、事実上の
隠れ借金を作ることにほかなりません。
次に、
国債整理基金特別会計法の適用の
特例等についてであります。
平成十七年度までに返済しなければならない交付税に関連した国の
借金一・一兆円を、
国債と同じ六十年償還の
借金に換えてしまおうという
措置であります。ここでも形だけの三十兆円を堅持するため、返すべき
借金の支払いを先送りし、二千九百七十億円の
財源を浮かせることをやっています。やはり結果として、後年度への負担転嫁、事実上の
隠れ借金を作る
措置にほかなりません。
さらに、JRAが生み出す
平成十三年度
剰余金から五十億円を
国庫に納付させる
特別措置についてであります。
今年はうま年であります。馬の勢いをかりて
景気も一気に回復したいところであります。しかし、三十兆円を守るために、まさか本当に塩川
大臣が馬の力までかりるとは思いませんでした。馬も悲鳴を上げているのではないでしょうか。と言われても、御本人にとっては馬耳東風、それどころか、うまい話と思ったかもしれません。しかし、正につじつま合わせで編成した
平成十四年度
予算の馬脚を現した象徴的な
措置であります。
さきの二次補正
予算の
国会審議において、
小泉内閣はNTT株の売却益をへそくりと言いました。今回、
塩川財務大臣は、外為特会の特別繰入れの
措置をちょっと借りたと言っています。(「ちょびっと」と呼ぶ者あり)ちょびっとですか。いずれも、
措置そのものだけではなく、表現としての軽さを感じるのは私だけではないと思います。
塩川財務大臣は、
国債発行額を三十兆円に抑え、
財政の規律、特に節度を確保したと再三にわたって言っています。しかしながら、安易に
財源を本来の目的と違うものに流用する、あるいは償還すべきものを繰延べするといった禁じ手を使い、一方で
国民に分かりにくい
借金を作って
財源を生み出すことが
塩川財務大臣の言われるところの
財政の規律、節度を守ることなのでしょうか。正に
隠れ借金に依存した、入るを量りいずるを制すということになりませんか。
財政の規律と節度を旨とする塩川
財政がこれを許してはばからない
理由を、これまでのような繰り返しのような
説明ではなく、きちんと
説明していただきたい。
ちなみに、
隠れ借金を作ることが
予算技術などというのであれば
技術という名が廃ります。三十兆円枠の堅持が
政治決断というのであれば堂々とやればいいと思うのであります。
租税特別措置法の
改正案に関連して
質問いたします。
欧州では、税金は元々領主に対する援助という
考えから始まったとされています。近代に入っては、国家の
課税に
国民が応ずる代わりに、言わば代償として自由な
企業活動を求める、あるいは国の
政治への
国民参画という要求につながり、議会制民主主義の発展がなされました。
一方、我が国においては、
国民の多くが税金は上から掛かってくる、そして何に使われるのかその目的を知らない。税金は空気のようなもので身の回りに自然にあるように思い込んでいる。こうしたことは世界じゅう余り例がない。税金は
日本の
国民にとってはお上からただ一方的に徴収されるだけの位置付けになってしまっており、こうしたことは世界的にも特異な現象であるという指摘があります。
政府では抜本的な
税制改革に向けた議論がされようとしています。負担の公平性の確保や
景気刺激のための
税制改革といった
観点はもちろん重要であります。こうした
観点とともに、
国民一人一人が租税の意義、
役割をしっかり認識し、税を通じて日常の
社会生活、
地域、国家の
在り方を
考えるように税に対する
国民の意識を
改革する、それを誘導していく仕組みを構築する、こういった点もこれからのあるべき
税制と国家像、
国民像を
考えていく上で重要な柱となるべきではないでしょうか。塩川
大臣の所見を伺います。
仕組みの構築の第一歩は、自由党がかねてから主張してきたように、自分で税額を計算できる簡単で公平な仕組みに申告
制度を改め、全
国民がたとえ少額であってもいい、自らの申告によって税金を納める
制度にすることであると
考えます。自分の所得から天引きという形で税金が引かれるという現在の源泉徴収
制度は、一見、負担する側には便利ですが、その一方で税に対する納税者の意識を希薄なものにしてしまいます。
塩川財務大臣は、自主申告制が望ましいとしながらも、サラリーマン自身が納税手続をすることは大変な事務負担と事務手続上のそごが出てくるから実現には時間が掛かるという旨の発言をしております。であれば、各種の人的控除の原則廃止、税率構造の単純化など、納税者が申告しやすい
制度に改める工夫をすべきであります。
望ましい
制度の実現を先送りすることは、税金はお上が取りやすいところから取るという、徴収する側にとって極めて便利な源泉徴収
制度には手を付けたくないと言っていることと同じであります。これではあるべき
税制に向かう抜本的な
改革とはなりません。
全
国民が自らの申告によって納税する
制度の構築、それとセットになった
税制の見直し、源泉徴収
制度の廃止に対する財務
大臣の所見を併せて伺います。
よどんだ
政治を大きく変えることが滞っているお金の流れ、物流を促進すると確信します。最も効果的な経済対策、それは政権交代であることを申し上げて、私の
質問を終わります。(
拍手)
〔
国務大臣塩川正十郎君
登壇、
拍手〕