○千葉景子君 私もその役割はそのとおりだというふうに思います。元々この
更生保護施設というのが、言わば
更生保護事業の中で、
出所をし、直ちに住まうところがない、あるいは引き受けてもらえるところがすぐにはない、そういうときに基本的には住まいと寝食を提供する、ここが
更生保護施設のまず基本のスタートだったようでございます。今はそれだけでは十分ではない、それ以上のいろいろな活動をされておりますけれ
ども、まずは住まいと食べることということが基本にスタートをしたというふうに受け止めています。
ただ、今、
お話がございましたように、
社会との橋渡しということになりますので、一定の
期間食べて寝て、あとは知らぬよということではなくて、そこから出るときにはできる限り
自立更生ができるというところへ橋渡しをしていくということなんだろうというふうに思うんですけれ
ども、現行の制度上でそういう役割が十分にやっぱり果たし得ているのか、今の
体制で。今後の課題、今の
現状の中から見えてくる
更生保護制度あるいは
施設の課題みたいなものはどんなふうに受け止めておられるでしょうか。多分、そういう認識の下に今回の
改正ということにつながるんだろうというふうに思うんですけれ
ども、その点はどんなものでしょうか。
実は、ちょっと先ほど申し上げました、視察をさせていただきまして、それぞれの
施設の
状況を伺ってきたんですけれ
ども、例えば静修会の足立寮というところは男子が入っている
施設でございます。定員が四十人ということで、ほぼ、出入りがありますけれ
ども、おおよそ
収容率八〇%台で
推移をしているということなんですけれ
ども、退所するときにどんな
状況かということを見ましたところ、円満に退所をするという人がおおよそ六割ぐらいはおいでです。ただ、それと反面、無断で退所しちゃうという人も二五、六%おりますし、いろいろここにいてはトラブルになるというので勧告して退所してもらうというのも数人おいでだと、こういう
状況でございます。
退所先にはいろいろな、
親族とか、あるいは借家を借りるとか、
就業先とか
社会福祉
施設とか、多様なんですけれ
ども、ただ、じゃ退所時のときに本当に
自立した
生活ができる
体制かなと思いますと、やはりなかなか、仕事に就いている方ばかりではなくて、退所のときに無職という人がやっぱり三割ぐらいいらっしゃいますし、分からない、どうなっちゃったか分からないという人が二割ちょっといますから、約半数はなかなかきちっと仕事に就いて出ていく、あるいは方向が決まって出ていくというわけにはいかないと、こんな実情でございました。
すべての
施設でそうかどうかというのは分かりませんけれ
ども、もう一方の荒川寮というのは女性でございますけれ
ども、これ男性と女性をこういうところで比較するというのも変ですけれ
ども、どちらかというと女性の方がその間でかなり
自立した、何か職に就いたり、あるいは円満にそういう方向を見いだして退所をしていくという方が多いようでございまして、分からないとかそういう人は本当に数としては少ない、こんな
状況です。
これ、この一
施設だけですべてを量るということにはなりませんけれ
ども、東京の足立、荒川という、こういう地域で努力をされている
更生保護施設ですけれ
ども、こんな実情を見ましても、本当に
更生保護制度、目的は大変な重要なことですし、それが一〇〇%といいますか、全うされれば、私も本当にこの上ないことだというふうに思いますけれ
ども、なかなかそうはいかないというところに難しさがあるんだろうというふうに思います。
その辺の、今の現行上の問題点とか今後の課題みたいなものをどういうふうに受け止めてこの
改正に臨まれたのでしょうか。