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国務大臣(
武部勤君) 先般、「「食」と「農」の再生プラン」を発表したわけでございまして、その理念といいますか基本になるものは、
消費者に軸足を置いた
農林水産行政に変えますということでございます。これは、じゃ
生産者はどうなるんだという、そういう疑問も残るのでありますが、
生産者は
消費者あって初めて成り立つんだと、私はこう思うんですね。やはり
農産物の
生産振興を考える場合にも、
消費者が求めるものを
供給するということでないと
生産者も成り立ちませんし、
自給率も上げることはできないということだろうと、こう思うのであります。
セーフガードの確定発動とか、あるいは外国からの
輸入農産物の
検疫ですね、残留農薬等の、徹底的にこれを厳しくやるであるとか、そんなことだけで私は解決できないと思うんですね。
やはり
消費者が求めているものは何なんだということは、まず第一にやっぱり安い。
日本は高いでしょう、なぜこんなに値段が違うんですか。我々は、
中国と
日本と比較したら、労賃だけでも二十五倍は違うんですよと、こう言いましてもなかなか、
消費者の人たちはやっぱり安いものを求める。
安くするにはどうするか。低コスト化であると。低コスト化にするためにはどうしたらいいかということは、
生産コストを下げる、あるいは
流通コストを下げると。
流通コストを下げるためにはどうしたらいいかということになれば、やはり直接
契約取引、
流通機構を
生産者から
消費者の間に直接持っていくというようなことが一つとして考えられるわけでございます。
そういうようなことから、
契約取引ということも、特に量販店とは直接この
契約取引ができるように、しかも大量にできるようにというようなことについてのこれを促進する方策が一つ込められているわけであります。
しかし、それだけじゃないと、こう思うんですね。やはり高くても買うと。この間、私、小泉総理がウコッケイの卵が五百円するんだと、それでも売れるんだと。卵一個五百円で売れるんだって、私は、そのウコッケイの卵というのはそれは薬ですよと、そういうふうに、これを食べればエネルギーが倍加するとか、そういうことなんですよと。しかし、総理がそういう話をされた背景に、やはり
農業といいますか
農産物というのは結構ナウい私は産業という一面があるんじゃないかと。いいものであるならば、
日本のようにいわゆる所得水準の高い国であれば、
消費者はそういうものも求める人たちもいると。
安いもの、いいもの、そういったことを考えますと、正に私
どもが「「食」と「農」の再生プラン」で申し上げておりますように、
消費者と
生産者の顔の見える
関係ということを構築していくことが大事だと。まあこれ、
生産者側からすれば、
消費者の
皆さん方にもっと
生産者の苦労を知ってくださいよと。どういう作り方をするか。有機
農業だとか、作り方によってはそういう苦労をし、そういう付加価値を高めるような努力をしているなら、あなたのところのを高くても買いましょうということになっていくんだろうと、このように思うわけでございます。
この
法律の目指すところは、そこに向けて、
出荷規格の簡素化でありますとか、通い容器の利用等による
流通コストの削減でありますとか、
消費者と
生産者の距離をいかに縮めていくかというようなことが一つのねらいになっているわけでありますし、大
規模生産者が農協等をフリーパスで直接量販店等と取引する際にも、これは
野菜価格安定
制度への直接加入を認めて、それが円滑に進むようにしようということと、高付加価値化というのは、「ブランド・ニッポン」というような考え方、先ほど三つの戦略について
野間副
大臣から御
答弁ございましたが、そういうような考え方で進めていきたいと、こう思っているわけでありまして。
また一方、外国と
競争できるかということでありますけれ
ども、私、この間、WTOのムーア事務
局長と話しまして、そのときに向こうのムーアさんから出た言葉で、あれっとこう思ったことは、
中国は十五年後には食料
輸入国になりますよと、時間がありませんでしたから詳しい話はしませんでしたが、ですから
武部大臣も、今、目先のことだけじゃなくて、将来、十年、十五年のアジアにおける社会経済がどうなっていくのか、そういったことも踏まえて
日本の
構造改革というのをしっかりやったらどうだろうと、そういう
お話もありまして、それは一つの注目すべき発言と私は受け止めてきたわけです。
いずれにいたしましても、
検疫等はしっかりやらなくちゃいけません。やっぱり、
消費者が求めているのは何かと、これは安全、安心ですから、我々、
BSEで痛いほどそのことを感じたわけでありますので、そういうこと、あるいはおいしいもの、新鮮なもの、そういったことを考えて今後の
野菜の
構造改革というものをこの
法律に基づいて進めていきたいというふうに考えている次第でございます。