○田嶋陽子君 驚きました。すばらしくいい答弁をしてくださったと思います。そこまで理解してくださったらあと一歩だと思うんですが、そのあと一歩がなぜできないかというと、私は、やっぱり
リーダーシップ取っていらっしゃる
総理に問題があるように思うんですね。
なぜかというと、本当にあと一歩なんですけれども、やっぱり
総理は、うっかり涙は女の武器だと言ってしまう、どの男性も持っていらっしゃる
女性は
自分より下だという差別意識ですね。でも、一方で
総理は、
女性の
大臣を五人もお作りになりました。これは歴史に残る快挙だと思うんですね。男の人の中にあるこの乖離、この溝ですね、これが私は少子化対策を進ませていない一つの原因だと思うんですね。
それというのは、少子化対策というのは、今も
総理もおっしゃったように、男は外に女は内にという性別役割分担を解消しなきゃいけないわけで、性別役割分担の抜本にあるのは
女性差別なんですね。
女性差別って何かというと、フランスのフェミニストはこう言いました。女は最後の植民地であると。最後の植民地ということは、もうマカオも香港も植民地ではなくなりました。これは、国の
関係では植民地はないわけですが、男と女の
関係で言うと、女は男の植民地なんですね。これは如実に、そういうふうに皆さんもよくお分かりになると思います。胸に来ると思うんですが。
なぜ女が植民地化されたかというと、女は子供が産めたから。男は
自分が産めない、子宮が欲しかったんですね。政治の一番
最初は、男が女をどう支配するかということが政治の一番
最初だったと言われています。この政治は今もって続いていまして、ちょうど黒人たちは綿摘みの労働力のために奴隷化されたのと同じように、女の人は子産みができるから、その子宮管理のために、奴隷という
言葉はもうないですけれども、それでも奴隷化されてしまった。
奴隷というのは主権が持てない人たちのことですよね。労働力、資源を搾取されて、そして現に今、
日本の主婦たちは大変元気で、そして皆さん大事になさっているようですが、あれはペットを大事にするのと同じで、やはり
女性の労働力は、家事労働としては、経済企画庁でも出したように月二十三万円に相当する労働力が毎日毎日搾取されています。それは
国連統計で見ると、やっぱり女の人の財産は、男が一〇〇なら女は一という。
日本は夫婦別産制なんですけれども、この性別役割分業があるせいで
女性は
自分の財産ができない。それでも、均等法作っていただいたおかげで、
女性が、今、
総理がおっしゃったように働けるようになりましたから、
女性たちはやっと
自分のものを、お金を手に入れるようになったわけですね。
でも、結婚制度というのは差別の制度化であって、植民地の制度化というふうに
考えてくださるとよく分かると思います。すなわち、結婚というのは、女は結婚すれば幸せだとみんなうそで言いくるめて女を不払労働に追い込んで、そして国が子宮を管理しているわけ。
今もって厚生労働省は女の子宮管理していますね。そうでしょう。女の人は
自分の体を
自分で管理できないんです。なぜなら、バイアグラはたった半年で皆さん使い出したでしょう。
女性の低用量ピルは十年掛かっても許可下りなかったんですね、十年。
審議なんかしていないですね。女の子宮は女のものなのに女が管理できない。国が今もって管理しているということは、幾ら女が強くなったって、元気になったって、肝心の女の体を女が管理していない。これはまだ女の人が植民地化されている、そういう
状況なんですよね。
ですから、
女性が子宮を管理する最たる場所が家庭、結婚制度なわけです。今、
女性が結婚しなくなりました。子供も産まなくなりました。なぜかというと、結婚制度の中身が男と女の上下
関係で、今もって、皆さんも
自分の妻さんに皆さんのことを主人なんて呼ばせていませんか。主人と呼んだら、呼んでいる人は奴隷か下女か下男か何かなんですよね。召使なんですよね。それって身分制度ですよね。でも、戦後、身分制度はなくなったはずなんですが、結婚制度の中だけではその身分制度が生きている。皆さんが幾ら奥様を大事になさったって、制度そのものが結局
女性を差別するような形でできている。だから、結婚した
女性は名なし家なし子なしになります。
名なしというのは、今もって夫婦別姓通りません、自民党が反対しています。この夫婦別姓は、名なしというのは、昔の朝鮮でいったら、植民地化されたところでは創氏改名といって、
国民は全部名前を変えなきゃいけなかったですね。植民地化された
女性たちは結婚したらほとんどの人が名前変えます、九十何%。ですから、女たちは結婚制度の中の植民地制を排除したくて夫婦別姓を訴えているわけですよね。小泉さん、ですから夫婦別姓はどうしても、しかもこちらは妥協して選択的まで言っているんですから、通してほしい。
それから、名なし家なし子なし、子供は産んでいるんですが、その子供は結局だれか知らない男の名字が付いちゃうわけですね。
自分の子供だって女は威張っていますが、全部それは家父長制ですから、男の名前が付いていく。
それから、名なし家なし子なし、家なしというのは、朝昼晩掃除させてもらっている家だって、掃除させてもらったからといって女の人がそれで給料もらっているわけじゃないですね。人を雇えばそれは払わなきゃいけないけれども、妻という名になればただ働きさせられている。そして、女の人はお金がないから
自分の家も買えないから、家の名義は全部男性ですね、ほとんどが。今働き出した
女性たちは
自分名義の家も持つようになりましたけれども。
すなわち、結婚制度というのは本当に言ってしまうと植民地の制度化であって、
女性はそこでは今もって、へそくりは別にして、名なし家なし子なしだというこの
状況をやっぱり小泉さんに見てほしい。だから、結婚は女の幸せだなんというそういううそっぱちはもう言わないで、結婚制度を残しておきたかったら、その中で結婚制度の中の民主化を図る。そのためには、今税制度
改革やりますが、これから
政府やってくださいますよね、ですけれども、そのときに配偶者控除と配偶者特別控除をなくしてほしい。
なぜこれをなくすかというと、女の人も反対しています。なぜかというと、それに慣れているからですね。でも、この配偶者控除と配偶者特別控除が
女性が自由に働くことを抑圧しているんですね。働けないようにしている。ちょっと踏み出すと、
女性が税金を払わなきゃいけなくなるとか、会社での配偶者手当をなくすとか、そういうシステムができ上がっているんですね。
女性はやっぱり
自分のパンは
自分で稼ぐような
状況を国が作ってほしい。
私は、小泉さんの構造
改革をずっと支援してきました。私はこの構造
改革大事だと思ってきたんです。近ごろ疑問があります。大いに疑問がありますから、
道路公団も反対です、
民営化反対の
立場になっちゃいました、
考えていったら。
ですけれども、この構造
改革、すなわち戦後処理とも私は呼んでいますが、そのシステム
改革プラス男の人と女の人の
関係構造を
改革しないと、私は小泉さんがこれから幾ら頑張っても社会は良くならないような気がするんですね。そして、女の人と子供の人たち、
立場の弱い人たちが幸せにならないと、この国はやっぱり戦争からも足を洗えないというふうに思っているわけですね。
そして、この夫婦別姓もそうですが、あと、百三十万円の壁というのがあります。これは
女性が
自分で年金と健康保険の掛金を払わなくても生きていけるシステムなんですね、結婚した
女性は。だから、
女性は百三十万円以上働かないようにしているから
女性が自立できない。やっぱり夫に頼ってしまう。そしてこの百三十万円。その健康保険の掛金と年金の掛金はだれが払うかといったら、
国民全体で、働いている私たちと学生たちや母子家庭のお母さんたちが専業主婦の人たちのそういう保険金掛金と年金の掛金をみんなで払ってあげて専業主婦の人たちを養っているんですね。
専業主婦の人たちはシステムの中に入っちゃったから、個人の専業主婦が悪いわけじゃありません。これは国のシステムが
女性を、男の人に働かせて、その働く男をサポートするシステムを戦後がっちり作ってきた。それが専業主婦システムであって、ここを今、小泉さんは構造
改革なさるんなら、税制度の
改革、年金二〇〇四年の
改革のときに、このことを絶対に忘れないで
女性を自立するように持っていってほしいんですね。
これがない限り、例えば十七歳の少年の殺人もなくなりません。私は学者ですから、そういうことを調べました。