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2002-06-04 第154回国会 参議院 内閣委員会 第13号 公式Web版

  1. 会議録情報

    平成十四年六月四日(火曜日)    午前十時開会     ─────────────    委員異動  五月二十三日     辞任         補欠選任      松井 孝治君     川橋 幸子君  五月二十四日     辞任         補欠選任      岩佐 恵美君     筆坂 秀世君  五月三十日     辞任         補欠選任      西銘順志郎君     木村  仁君  五月三十一日     辞任         補欠選任      木村  仁君     西銘順志郎君  六月四日     辞任         補欠選任      森本 晃司君     続  訓弘君      筆坂 秀世君     八田ひろ子君     ─────────────   出席者は左のとおり。     委員長         佐藤 泰介君     理 事                 斉藤 滋宣君                 松村 龍二君                 森田 次夫君                 長谷川 清君                 吉川 春子君     委 員                 亀井 郁夫君                 竹山  裕君                 西銘順志郎君                 岡崎トミ子君                 川橋 幸子君                 山根 隆治君                 白浜 一良君                 続  訓弘君                 森本 晃司君                 八田ひろ子君                 島袋 宗康君                 田嶋 陽子君                 黒岩 宇洋君    国務大臣        国務大臣     石原 伸晃君    副大臣        内閣府副大臣   熊代 昭彦君        国土交通大臣  月原 茂皓君    大臣政務官        国土交通大臣政        務官       菅  義偉君    事務局側        常任委員会専門        員        舘野 忠男君    政府参考人        内閣官房道路関        係四公団民営化        推進委員会設立        準備室長     坂野 泰治君        総務省自治行政        局選挙部長    大竹 邦実君        国土交通省道路        局長       大石 久和君        環境省環境管理        局長       西尾 哲茂君        環境省自然環境        局長       小林  光君    参考人        中央青山監査法        人理事      高木 勇三君        法政大学法学部        教授       五十嵐敬喜君        ジャーナリスト        前特殊法人労連        事務局長     堤  和馬君        日本道路公団総        裁        藤井 治芳君     ─────────────   本日の会議に付した案件 ○道路関係公団民営化推進委員会設置法案(内  閣提出、衆議院送付) ○政府参考人出席要求に関する件 ○参考人出席要求に関する件     ─────────────
  2. 佐藤泰介

    委員長佐藤泰介君) ただいまから内閣委員会を開会いたします。  委員異動について御報告いたします。  本日までに、松井孝治君及び岩佐恵美さんが委員辞任され、補欠として川橋幸子さん及び八田ひろ子さんが選任されました。     ─────────────
  3. 佐藤泰介

    委員長佐藤泰介君) 道路関係公団民営化推進委員会設置法案を議題とし、参考人方々から意見を聴取いたします。  参考人を御紹介いたします。  中央青山監査法人理事高木勇三君、法政大学法学部教授五十嵐敬喜君及びジャーナリスト・前特殊法人労連事務局長堤和馬君、以上三名の方々でございます。  参考人方々に一言ごあいさつを申し上げます。  本日は、御多用のところを当委員会に御出席をいただき、誠にありがとうございます。  本法案につきまして、皆さんから忌憚のない御意見をいただき、審査の参考にしたいと存じますので、よろしくお願い申し上げます。  次に、議事の進め方について申し上げます。  まず、参考人皆さんから、高木参考人五十嵐参考人堤参考人の順に、お一人十五分以内で順次御意見をお述べいただき、その後、各委員からの質疑にお答えいただきたいと存じます。  なお、参考人の御発言は着席のままで結構でございます。  それでは、まず高木参考人からお願いします。高木参考人
  4. 高木勇三

    参考人高木勇三君) ただいま御紹介いただきました高木でございます。着席したままでお話しさせていただきますが、このような場は初めてでありまして緊張しておりますので、よろしくお願いいたします。  さて、私、公認会計士でございまして、道路関係について必ずしも学問的に考察しているような者ではございません。私の専門会計であり監査でありまして、会計といいますのは経済事象金銭的数値に置き換えまして表現するものでありますし、また監査というのは外部に対しての言明、これに対して保証を与えるという性格のものでありますが、この十年ほどパブリックの世界会計及び監査につきましていろいろ考察しております。その関係で、政策評価ですとか民営化についてなどもいろいろ考えておりまして、本日、そのような立場にある者の発言ということで御理解いただきたいというふうに思います。  これから申し上げますこと、少々、いろいろ御慎重に御検討いただきたいということを申し上げますが、私、個人的には、どちらかと申しますと、行財政改革に対して大いなる賛意を送る者でございます。私も一九六〇年代に思春期を過ごしたものですので、あの期間の民間の爆発的なエネルギー、これによって社会の変化がもたらされたというところを見ておりまして、当時のいろいろな現象及び社会に関しまして非常に賛意を持って見ておったということでございまして、自由主義経済社会を強く支持しておるような立場の者でございますけれども、政府部門見直し民営化、基本的にそういった意味で賛成するものではありますけれども、社会資本ですとか社会的共通資本、これ宇沢先生言い方でございますけれども、そういった範疇民営化ということに関しましては慎重なる検討が必要ではないかというふうに考えております。  お手元の方に配付されておりますかと思いますが、一枚のレジュメのところに、社会資本制度資本のところの代表的なものを記させていただいておりますけれども、このところをごらんいただいてもお分かりのように、現在、完全に民間ベースでやられているというふうな範疇のものもかなり多くの法律的な制約が掛かっておるというところが御理解いただけるのではないかなというように思っております。  それで、これらについての共通的な特徴というようなところを改めて申し上げておきたいと思うんですが、不完全な競争市場において行われる事業であるか、あるいは外部経済が非常に重視され単純に交換取引と呼ばれるようなとらえ方ができない部分が含まれている事業であるという点です。  先ほど民間で行われている事業に関しても種々制約が課せられているというふうに申し上げたのは、正に今申し上げたような不完全競争市場における事業、あるいは外部経済が重視されている事業ということが自由というように言えるわけですが、道路公団民営化に関しましても、道路公団事業といいますのは、後で述べますけれども、不完全競争市場におけるやはり事業でありますし、外部経済が重視される事業というふうに言えますので、やはり種々制約を御検討いただくことが適切なのではないかというふうなことをまず最初に申し述べておきたいと思います。  さて、今回の民営化基本的考え方、改めて確認の意味で述べておきたいと思いますが、昨年の十二月の特殊法人等整理合理化計画、あちらのところで民営化ということにつきましての考え方が述べられておりますが、事業採算性が高いこと、これを前提とされまして、かつ国の関与必要性が乏しい法人、あるいは企業的経営による方が事業をより効率的に継続実施できる法人、さらに、あるいは民間でも同種の事業の実施が可能な法人、このいずれかに該当するものというように基本的考え方として示されておりますとともに、民営化の形としまして非常に幅広く考えられておるのが今回の特殊法人等整理合理化計画の大きな特徴というふうに考えております。すなわち、特殊会社民間法人化された特殊法人認可法人地方共同法人、こういったものまで含んで民営化というものが考えられていると。  私は、このような幅広の形の民営化が考えられたというのは誠に適切な対応方針であったというふうにとらえておるところでございますけれども、欧米の言うところの民営化とは異なるという点はやはり確認しておく必要があるかというふうに思っております。  欧米におきまして民営化と言いますと、端的に申しましてオーナーシップが官から民に移るということというふうに言われておりますので、欧米における議論を考えますときにはそのような前提を大きく置いて考えることが適当と言えるわけですけれども、整理合理化計画のところでは、先ほど申し上げたような幅広な形になっておると。この辺が、私は今後考えていくに当たりましての一つ留意点であろうというふうに思っております。  さて、一般論は以上といたしまして、道路公団に関しまして具体的に言及させていただきたいと思います。  道路関係公団につきましては、見直しが強く主張され、結果として今回の、昨年十二月の方針民営化というふうなところになったというふうに理解しておりますが、見直しがではなぜ主張されたのかというようなことにつきまして私なりに振り返ってまとめさせていただきましたけれども、一昨年十二月の行財政改革のいろんな議論、以前より特殊法人問題というのはかなり強く言われておりまして、道路公団はその筆頭に挙げられてきたと、このことが一つの大きな理由というふうに言えるかと思うんですが、以前に道路公団についていろいろ取り上げられていた観点といいますのは、天下りの問題ですとかあるいはファミリー企業の問題ですとか、こういったところが大きな論点というふうに言えるのではないかというふうに私とらえておりますが、一昨年ぐらいから昨年に掛けまして非常に大きな問題というようなことで言われておりましたのは、巨額なる債務償還可能性に対する危惧からであったのではないかというふうに私とらえておるところでございます。  私、御高承のように、昨年の十月末から十一月に掛けまして国土交通省において設置されました研究会正式名称高速自動車国道の整備のあり方検討委員会、ジャーナリズムなどでは諸井委員会というような言い方もされておりますが、そこにおいて、参加させていただきましていろいろ具体的に数値検討させていただきましたが、確かに財政的観点に立ちますとき、現在の状況は、私の言い方からすればかなり危機的な状況にあるのではないかというように思っておるところでございます。  財政損益状態が最も良好なのは日本道路公団と言えるわけでございますけれども、その日本道路公団においてさえ、よく言われる数値ではありますけれども、収入が約二億ちょっと、維持費が四兆円、これ減価償却費を除きます。それから金利が、これ平成十二年度で〇・八兆円ですね。維持費先ほど四兆円と申し上げましたけれども、〇・四兆円の間違いでございます。  それで、その結果、業務関係キャッシュフローとしましては〇・九兆円というところでございますけれども、長期債務日本道路公団二十七兆ございます。それから、償還主義で考えますと資本金もこれも償還対象というふうに考えられるべきでございますけれども、資本金が約二兆円ございます。したがいまして、二十九兆円の償還先ほど営業状況の中で、キャッシュフローの中で考えていかなければならないという状況にあるということでございます。  国土交通省の方で当時試算されたいろいろな資料を拝見いたしましたけれども、交通需要増減がゼロ、金利水準が五年内に五%まで上昇という仮定の下に、国費投入ゼロ、新規着工ゼロという前提でこの債務償還について考えますと、三十年を少々超えたところでようやく全額の償還が可能になるというところでございますし、四公団合計で考えますと五十年は掛かるという計算になります。この五十年といいますのは私の方で試算した数値でございます。  先ほど交通需要増減ゼロというふうに申しましたけれども、しかしながら、我が国の経済社会を考えてみますと、交通需要はむしろ減少するリスクが高いのではないかというふうに私個人的に考えております。それはもうGDPの成長力が、かつてのバブル経済崩壊前までのような成長力が望めないというところがまず大きくございますけれども、人口減少少子高齢化、それからさらに、今現在経済構造の変革というものが強く叫ばれておりますし、私もその必要はあるというように考えておりますが、それらを考えますと、交通需要減少に関しましてはかなりリスクがあると考えざるを得ないのではないかというふうに思っております。  それからまた、金利水準先ほど五年内に五%というところを申し上げましたけれども、これ以上に上昇することも十分考えられるわけでございます。今の金利水準はいろんな考え方の中で決定されておりますけれども、五%まで上昇、近い将来上昇するというのは可能性としましては低い可能性ではないですし、先ほど申しましたように数十年という単位の中では更に上昇することも考えられます。  このような道路公団状況というものは、通常の企業体で考えますと、アンコントローラブルと申しますか、もう極めて危機的な状況にあるというふうに言えまして、こういった組織をマネジメントするに当たって何を考えるべきかというようなことをアドバイスするとしますと、とにもかくにも、一刻もこの巨額債務状態を減じて脱することではないかというふうなアドバイスをせざるを得ませんです。今の状況というのは、債務債務を呼びまして雪だるま式に膨れ上がっていく状態になりかねない状況でございます。  住宅ローンをお考えいただければと思うんですけれども、今の住宅ローンも、約、収入の五倍という範囲まで貸しておりますけれども、これ低金利だから成り立つところでありまして、金融界では、これが金利上昇しますと、債務者の方は金利だけの返済で元本の返済に至らない状態に至ってしまう可能性が高いというふうに読んでおりますけれども、それと同じようなことが起きる可能性道路公団関係についてはあるということでございます。  もうそうなってしまいますと、かつての国鉄清算事業団のような、結果的に債務国民負担というふうな事態も、なりかねませんですし、今の財政状態国家財政状態を考えますと、十兆円単位債務の増加より財政運営の困難さをもたらすというふうに申しますので、このような観点に立って考えることが必要ではないかというようなことを改めて感じた次第でございますし、そのように考えますと、経営方針の抜本的な転換と言えるわけでございますので、そのような抜本的な転換という観点から、今回の民営化フレッシュスタートというものをとらえることが適当ではないかというふうに感じておるところでございます。  しかしながら、高速道路事業、これはやはり、先ほど申しましたけれども、いろいろ制約を課すことが適当と言える事業というふうに私考えております。民間化されるということは、純粋な意味民間化されるということは永遠に有料化ということになりますけれども、次のような問題が指摘されます。  独占に近い不完全競争市場というようなことから、道路料金についての問題、災害復旧についての問題、維持補修についての問題などが指摘されます。それから、使用について所有主の判断によって左右されるという事態も考えられております。それからまた、路線の敷設に関しまして、外部経済は無視されがちでありますし、新規敷設土地収用の問題を考えなければならないというわけでございます。  道路インフラの最たるものというふうに考えられておりますし、高速道路もそれに準ずるものというふうに考えるわけでございます。公会計の国際的な世界でもインフラ資産筆頭に挙げられておりますので、単純な民営化というのはやはり私も感覚的に戸惑いを覚えるというところでございます。  ということで、留意点としまして、今後の民営化に関しましての留意点ということで幾つか申し上げましたけれども、採算性という観点、本四はもうかなり採算性マイナスでございますので、これは十分慎重に考える必要があるだろうと。それから、先ほど申しました国の関与、それから所有権の問題、これも慎重に議論する必要があるだろうと。それから、先ほど申しました債務弁済を第一に考えた運営方針を取られるということが強く望まれるのではないかと。IPOという、株式公開という話がございますけれども、これは債務弁済遅延化、困難化させる要因というふうに思いますので、慎重にやはり検討する必要があると思っております。それから、巨額の借換え資金の調達原資、これについての考慮、それから法人税固定資産税納付義務が発生することについての考慮、それから最後に、弾力的なマネジメントを可能とするようなフレキシブルな議論、こういったことが今後必要であろうというふうに思っております。  なお、検討委員会におきましては、国民が納得する、質、量の両方の観点から見たときの十分なる議論が期待されると思いますし、そのような方々で構成されることが強く望まれるところでありまして、以上をもちまして私の話を終わりにさせていただきます。
  5. 佐藤泰介

    委員長佐藤泰介君) ありがとうございました。  次に、五十嵐参考人にお願いいたします。五十嵐参考人
  6. 五十嵐敬喜

    参考人五十嵐敬喜君) 五十嵐です。私は、今回の法案について、大きく言いまして二つの観点から意見を述べさせていただきたいと思います。  一つは、民営化というものに含まれる問題点について、公共事業観点から問題点を指摘させていただくというのが第一点であります。  第二点は、公共事業としての道路というものを考えた場合に、今後、二十一世紀、道路はいかにあるべきかという観点についてお話をさせていただくということであります。  まず、最初の方からお話しさせていただきたいと思いますけれども、当初、道路公団民営化に関して様々な意見が述べられておりました。しかし、一定の政治プロセスを通過していく中で、ある種の民営化委員会での守備範囲というものがどんどん絞られていっているように感じます。その中で、私としては、今から申し上げます三つのことについてはもう一度民営化委員会の行うべき役割と併せて考えていただければというふうに思っております。  第一点は、今、高木参考人からお話のありました借金というものをどうするかということであります。  これは、道路公団だけではなくて、いわゆる特殊法人全体にまたがりまして、私の推計ではおおよそ三百兆円を超えるぐらいの借金になっておるんじゃないかと思っておりますけれども、取りあえず道路公団公団に絞っても相当、今、高木参考人意見がありましたように、二十数兆円の債務は確実であります。計算によっては三十兆円を超えるという計算もあるようでありますけれども、少なくとも二十数兆円あるということです。  さらに、これをどのように償還するかということを考えますと、最も有利な条件を設定してもなお五十年掛かるということであります。つまり、半世紀掛かっても返せるか返せないかということでありまして、やや危機的状態というのを超えておりまして、ほぼ破産に近い状態と言っていいというふうに私は理解しております。  問題はこの債務処理の仕方でありますけれども、先ほど言いましたように、政治プロセスの中でいろんな議論が様々に交わされながら、しかし、だれがどういう方法でこれを償還するかということに関しましては、民営化という論点と併せて必ずしも明瞭ではないというふうに私は感じます。  非常に端的に言いますと、もうかる道路民営化にしまして、もうからないところは国が負担すると。その借金はいずれどこかで、かつての国鉄と同じように、言わば清算事業団を通しまして最終的には国民の税金で賄うというような流れのように見えました。果たしてそれがよろしいかどうかということであります。  国鉄清算事業団についてもいろいろな論点がありますけれども、それをちょっと外しまして、今回の道路公団借金国民転嫁については清算事業団と同じようにしてはいけないと私は思っております。  その理由は、言わば法的に言いますと、こういう赤字が膨れ上がることを前提に、それを十分に知りながら、故意と言うと少し強いかもしれませんけれども、重大なる過失のまま、だれも責任を取らないでずっとこういうことを継続してきたということであります。これに対する責任構造というものをやっぱりはっきりさせないで国民にそのまま転嫁させるというのは、国民としては承知できないということであります。  せめて、株主訴訟における代表訴訟による取締役の責任とか、あるいは地方自治体の場合には監査請求ってありますけれども、そういう形でそれぞれの当事者に責任を取らせるというようなことがありまして、その上でどうしても足りない部分国民への転嫁ということはあると思いますけれども、こういうプロセスを全く抜きにしたまま、後で堤参考人からもお話があると思いますけれども、言わば天下りのえじきにされたままその借金国民転嫁するというのは許されないと私は思いまして、民営化委員会では、是非この借金処理の仕方について、勧告権もあるようでありますから、この勧告権を行使するよう、はっきりと民営化委員会議論していただきたいというのが第一点であります。  第二点は、道路を考える場合、あるいはその他の公共事業を考える場合に、極めて重要な宿痾と言うべき病気があります。これについてはさすがに小泉内閣も気付いておりまして、これについて見直しをしたいというふうに発言しておりますけれども、これは今回も非常に重要な論点になるだろうということです。  その宿痾というのは長期計画のことでありまして、現在、日本には公共事業関連で十六本の中長期計画がございます。道路は、現在、第十二次道路長期五か年計画になっておりまして、これは今年で十二次は終了し、今年以降は第十三次に掛かるということであります。  ここでは、御存じのとおり、高規格道路として一万四千キロということを目標設定しておりまして、五年間で七十八兆円という、言わば一般国家会計に匹敵するような巨大な金がつぎ込まれておりまして、言わば、言葉で言いますと、官僚さんたちはこれをどのように消化するか、達成するかという形でこの七十八兆を使い尽くすことに全力を挙げてきたというふうに外側から見ると見えます。これが不必要で無駄な公共事業の最たる元凶でありますし、これらを総合的に見直すべき時期に来たのではないかというふうに私は思っていますし、小泉内閣方針でもそのようになっております。  ところが、この民営化委員会になりますと、何となくそれがぼやけてしまいまして民営化の形だけに収れんするような感じがいたします。しかし、この長期計画にメスを入れないで民営化することは全くできません。その際、長期計画について、およそ法治主義にあるまじき事態、ほとんど違憲状態、憲法違反のような状態が続いておりますので、見直しに当たってはこれを含めて再検討してほしいというふうに私は考えております。  何が極めておかしいかといいますと、一つは、道路については道路整備緊急措置法というのがありますけれども、急傾斜地とかあるいは空港などについては根拠法すらなしに長期計画が立てられているということであります。これは明らかに法治主義違反であります。  第二番目の論点は、道路を含めましてこういう法律はすべて緊急措置法という名前が付いていることから分かりますように、戦後、社会資本が非常に不足しておりまして、特別対策としてこれを取り上げて社会資本を充実しなければいけないという暫定的な法律として作られた法律が、いつの間にか第十二次というふうに見られますように永久法に変わっているということであります。暫定的な緊急的な一時的な法律がいつの間にやら永久法に変わっているというのは法の変質でありまして、これを抜本的に見直す必要があるだろうというふうに思います。  三番目の論点は、こういう長期計画がすべて閣議決定に終わっておりまして、国会では一切論議されることがないということであります。  七十八兆円というのは、正に、先ほど言いましたように、日本一般会計に匹敵するぐらいの大きな巨大な額でありますけれども、これが一切国会で論議されないというのも極めて奇妙であります。単に金額が大きいというだけではなくて、道路をどうするか、あるいはもう全体広げて公共事業をどうするかというのは、国民生活の隅々まで言わば影響を与える決定的なことでありますし、財政負担も極めて大きなものがあります。それが今もって閣議決定で済んでいるということについては、ほとんど理解を超える、想像を絶するような状態になっておりまして、見直しの際にはこれを抜本的に見直すべきであると私は思います。  なお、最近、ちょうど、先ほど言いましたように、十六本の中長期計画のうち十本が今年度が改定期になっておりまして、これをどうするか。今後五年、あるいは大きい計画で言いますと十年というのもありますけれども、今後五年の間どうするか。公共事業日本の国家財政を含めまして日本全体のシナリオをどうするかということにかかわっておりまして、これについて民営化委員会でも検討すべきではないかというふうに私は思っています。  その参考として、つい過日、第九次漁港整備長期計画が改定されました。そこでは、従来の発想と異なっておりまして、事業費のトータルというものを外して計画を立てております。それを含めまして、道路などについても七十八兆円というような事業費トータルを外す。あるいは、端的に言いまして、いったんこの緊急措置を全部サンセット、廃止しまして、改めて公共事業中長期計画、あるべき姿はどういうものかということを考えたらよろしいと私は思っております。  更に言いますと、五全総もこれで最後になりそうで、六全総はないと言われておりますので、全体的にこの中長期計画を見直すちょうど良い時期に来たのではないかというのが第一点であります。  第二点は、個別道路をどうするかということであります。  たまたま今日、参考資料として配られております、同じような審議会に長野県でダム審議会というのがありますけれども、個別のダムなり道路なりに入らないで、検討に入らないでダムのあるべき理念とか道路のあるべき理念と言っても問題は簡単に済まされません。しかし、今回は幸か不幸か、私にとっては不幸だと思いますけれども、個別道路については何か聖域を設けられまして、民営化委員会ではこれに触れないということになっているようであります。しかし、これに触れないで民営化の形を考えることはほとんど不可能じゃないかというのが第一でありまして、この点に関して、民営化委員会の権限についてもう一度見直すべきではないかということであります。  二番目は、個別道路に入りますと、具体的にやっぱり道路事業を中止しなければいけない事業というものが出てまいります。ここが最大の問題でありまして、日本公共事業システムを見ますと、物事を作ることに関しては非常にたくさんの法律や手続がありますけれども、そういう事業を中止した場合の処置をどうするかということについては全くお手上げの状態であります。長野でも同じようなことが問題になっておりまして、特に、いったん着手された事業について中止するについて非常に多くの混乱を生んでおります。  道路でいいますと、とりわけ高規格道路については都市計画、それぞれの自治体の都市計画と連動しておりまして、この都市計画はすべて高規格道路が通過するということを前提として作られております。私も現地調査をいたしましたけれども、大抵は区画整理や都市の再開発ということがワンセットになっておりまして、自治体の計画と非常に連動しております。  これら個別道路をやめる場合に、これは都市計画との整合性をどうするかとか、あるいは事業者に、事業を中止する場合には、ゼネコンに対する補償とかあるいは住民に対する補償などをどうするかについてきちんとしたルールというものを定めておかないと混乱が生じます。これらについても、民営化委員会などで情報を発信し、新しい公共事業中止に関するモデルというものを発表して世論に対して大いな問題提起をすべきではないかと。そういう意味でも、個別道路について一切タッチしないという民営化の在り方はおかしいのではないかと私は思っております。  最後に、残された時間で、そもそも道路を含めて今後二十一世紀、日本公共事業をどのように考えるべきかということに関しまして、道路関係する範囲内で少し私の意見を述べさせていただきます。  一つは、このままでの公共事業はあっちこっちに大きな問題を起こしております。単に今国会で有名になりましたあの秘書を通じた汚職というだけじゃありませんで、財政圧迫や環境圧迫が言わば頂点に達しております。この道路公団民営化をきっかけにして、そういう全体的な、戦後日本の制度疲労とでもいうべき公共事業システムについて新しいイメージを再構築すべきであるというのが私の意見であります。  一つは、補助金という制度を使いまして霞が関が地方自治体を支配していく、逆から言いますと、地方自治体は霞が関に補助金をもらうために陳情を繰り返すという構図はもうやめた方がいいということであります。  その際、道路に関して言いますと、はっきりと国が行うべき事業と都道府県及び市町村が行う事業を分けまして、この関係で補助金という方法で関与することを一切やめるということであります。高規格道路、国道については、先ほど言いましたように、単に国土交通省道路局が決めて閣議決定するという方法ではなくて、国会で第二東名高速道路は通したらいいか通さなければいいかというプロジェクトごとに審議するという方法に改めたらいいというふうに思います。  それから、都道府県等にゆだねられた言わば生活道路については、これは非常に要望が強いということはあらゆる世論調査で表れております。その際、自治体ごとに、道路を優先するのか、ダムを優先するのか、あるいは道路やダムといった公共事業よりも福祉を優先するのか、教育を優先するのか、それらを含めて一切を自治体にゆだねるべきではないかということです。  公共事業といいますと、いわゆる縦割り行政の典型でありまして、特に補助金を通じていろいろ局、課、係までつながるというふうに言われていますけれども、一切それを断ち切って、道路を含めて全体として都市計画として考え直すというイメージに転換すべきであるということを思います。  私はこの関係でヨーロッパを視察してまいりましたけれども、公共事業を上から補助金を通じて縦割りで支配するという時代ははっきりもう越えておりまして、都市計画として公共事業を行っております。都市計画として公共事業を行うということはどういうことかといいますと、要するに分権型社会を徹底する、そこに住民と議会を参加させる、それからその地域の自主産業を育成するということであります。最終的に自己決定及び自己責任を取るということでありまして、これは今までの公共事業に全くない観点であります。  しかし、考えてみれば、どのような社会資本をどういう費用でだれがやるのかということは最も身近な自治体が一番分かるはずですから、こういうことに転換するのは当然だろうというふうに私は思います。  システムとしましては、言わば都市計画は非常に充実、最近しておりまして、マスタープランというものに自分たちの町のあるべき姿はどうあるべきかということを書き込んで、事業と土地利用規制とを両方書き込んで点検していくというシステムになっています。システムとしてマスタープランに公共事業を全部書き入れる、それを議会や住民参加で行う、それを住民が点検していくということになりますと、言わば汚職もなくなりますし無駄な公共事業もなくなりますし、さらに本当の意味でその当該市民たちが欲している事業というものが醸成されますし、また、それに伴う結果についても責任を取るというシステムが出てくるんだろうというふうに私は思っております。  最後に一つだけ申し上げたいと思いますけれども、このまま公共事業を展開していきますと、日本はいずれ挫折すると思います。新しい子供たちに新しい未来社会を打ち立てるために公共事業転換を迫る、転換をするということは非常に重要でありまして、国会でも本当に重要なことの一つだと思います。道路民営化委員会がそういうことについて国民に問題提起し、官僚に問題提起し、国会に問題提起できるようになれば非常にいいことだというふうに思っております。  以上です。
  7. 佐藤泰介

    委員長佐藤泰介君) ありがとうございました。  次に、堤参考人にお願いいたします。堤参考人
  8. 堤和馬

    参考人(堤和馬君) 御紹介いただきました堤和馬です。  私、一九八〇年に当時の国民金融公庫の労働組合の書記として採用されて、その後、一九九〇年一月に特殊法人労連事務局次長に就任し、つい去年六月まで特殊法人労連事務局長でありました。故あって今フリーのジャーナリストみたいなことをやっておりますが、何だかんだといいまして約二十年間特殊法人にかかわってきました。  特殊法人改革というのは、この二十年間の間に四回行われました。一九七九年から八〇年、臨調行革が始まるときですが、ここで一回やられました。その後、九四年から九五年、これは自社さ政権のときに行われました。その後、九七年―九八年にも行われました。これはちょうど消費税が引き上げられるときでありました。そして今回、このような小泉政権によって特殊法人改革が行われてきたわけです。  ずっと見ておりまして、特殊法人改革、何で繰り返し繰り返しやらなきゃいけないのかということは、やはり基本的に特殊法人が抱えている問題をそこの改革の中で処理し切れない、転換できないということがあったから繰り返されてきたんじゃないかというふうに思います。  今回のやり方を見ていても、個別特殊法人はそれぞれ政策実行機関でありますからそれぞれの政策があるわけですが、その政策を見直すことなく、経営形態を変えるとか、そういう問題に終始をする。今度の道路公団の問題についても、片方で五全総において一万四千キロの高規格道路を造るという計画があるにもかかわらず、民営化をして、これを造り続けるのか否かという議論を棚上げにして処理していくというようなやり方が取られてきたと思います。  そして、特に問題だと思うのは、九〇年代に入って特殊法人事業がいろいろな形で破綻をしていきます。九八年に行われた日本開発銀行と北海道東北開発公庫の統合というのがありましたけれども、これは、北海道東北開発公庫がむつ小川原開発や苫小牧の開発で約一千億円の債務を抱えて返済不能になったと、そこで日本開発銀行と統合させてこの債務を帳消しにしたという統合でありました。  今回の道路公団のこの件につきましても、本州四国連絡橋の扱いが私はポイントだったんではないかというふうに思っております。今申し上げました開発銀行と北東公庫の統合と同じように、本州四国連絡橋が持っている三兆八千億円の負債を統合によって通行料金で処理をしていくということが画策をされていると思います。五十嵐先生のお話の中でも、個別の責任はどうするんだという話がございました。正に本州四国連絡橋が、いかにして計画が作られ、公団が作られ、実行され、だれの責任でこういうふうになったのかということが明確にされないままこういう処理のされ方をするというのは、非常に問題ではないかというふうに思います。  ですから、これは九七年、八年に行った北東公庫と日本開発銀行の統合を参考にした私は一種の政治的な詐欺のようなものだというふうに言っておるわけですが、いい意味でのそういう策ではないのではないかというふうに思っております。  政策的なことを議論をしないでこういう特殊法人改革をやるということから、もう既に五十年償還でやるということは決められておりますが、自民党の道路調査会では、これ二月の下旬の新聞報道では、七十年から八十年償還で一万四千キロをやろうじゃないかというふうな話がもう既に出ているということから見ると、この民営化が果たして無駄な高速道路をやめていくことの歯止めになっていくのかどうなのかということが非常に私は疑問です。  それと、民営化といっても、結局、財政投融資のお金を使って国が管理をしてやるということにならざるを得ないのではないかというふうに思うわけで、こういう意味からいえば、東京湾横断道路や関西国際空港株式会社などの形態と変わらないものができていくんではないかと。要するに、その看板を掛け替えて、株式会社という、民営化したという実績を残しながらこういうものを続けていくということになるのではないか。こういう意味での民間企業を仮に作ったとしても、東京湾横断道路はアクアライン造ったわけですが、一兆円プロジェクトということでスタートしましたが、実際は一兆五千億円掛かって、しかも計画の三分の一の通行量しかないということで、全く破産をしているわけです。  そういう点から見れば、こういう民営化の方法というのは、非常に国民を欺く内容になるのではないかということを恐れているわけです。  基本的に言えば、道路公団などの事業は、全国総合開発計画に基づいて、道路審議会、国幹審などの審議を経て実行されていきます。五十嵐先生おっしゃったように、国会の審議を必要としていません。しかも、公団などの予算は大臣認可予算でありますので、ほとんど決算の時期にしか国会にかかることはないというような仕組みになっております。  特殊法人改革をいうのであれば、こういう一つ一つの破綻した公団などの調査をきちっとして、ここからどういう問題があるのかということをきちっと研究をして、そこから新しく再発を防止をしていく、こういう破綻した公団が作られないようにしていく、そういう措置が必要なのではないかというふうに思います。  次は、道路公団にかかわって、非常によく言われるのが、利権構造ということが言われています。九八年の一月に大蔵省から天下りをしていた井坂理事というのが収賄で逮捕されました。そのとき、ちょうど子会社の社長が自殺をされているんですが、これ某テレビ局がその後の事態を追及したんですが、この自殺の背景にも政治家の影があったと。また子会社の問題でいえば、日本ハイカというハイウエーカードを売っている会社の背任事件がありました。ここでも政治家の影が指摘をされております。  今回の加藤紘一元自民党幹事長の元秘書の佐藤三郎氏の事件についても、道路公団の、山形だったか秋田だったか忘れましたけれども、建設事務所の方が事情聴取をされているやに聞いております。  そういう意味で、子会社の問題、公共事業の政治と金の問題、そういうものが非常に深く日本道路公団には浸透しているのではないかと以前から私は思っておりまして、いろいろ調べたりいろいろいたしました。いろいろ出てくるのは、やはり道路公団の子会社が直接的な道路公団の要するに資本関係がないということで、子会社からいろいろな政治献金が行われたりしているという実態、そしてまた公団の職員が、公団の職員は国家公務員じゃないですから天下りの規制というのはないわけですが、おびただしい数の天下りが建設会社や関係の取引先の会社に行われております。  ここに一つ資料を持ってきましたけれども、日本道路公団技術者名簿といって、十年ほど前のものなんですが、これのOBのところを見ますと、もうすさまじいばかりの天下りの実態が出ております。幾ら規制がないからといって、片方でみなし公務員としてやられているわけですから、公務員同様に私はこういう天下り規制をきちっと掛ける必要があると思っております。  そして、表向きは余り出てきませんが、公共工事のかなり部分は談合が行われて、そういう中から政治献金が行われるような仕組みが公然の秘密といいますか、業界ではごく常識になっておるわけですが、そういう体質があると。  こういう道路公団などが持っている利権構造の問題に、今度の民営化の政策が有効なのかどうなのかということであります。ほとんどここの議論がないわけでありまして、ほかに今、野党側からいろいろな公共事業関係法案が提出をされておりますが、私、あえて申し上げたいのは、公団の子会社などからの政治献金をやめさせるとか、公団の職員の天下りを規制するとかいうことも付け加えなければきちっとした改革にはならないだろうというふうに思います。  そして、最後にですが、この行政改革、特殊法人改革がこの二十年間、いろいろ行われてきたんですが、私は労働組合の幹部をやっておりまして、春になると春闘アンケートをやるわけですが、特にここ二年ほど前に行ったアンケートでは、行政改革によって非常に雇用不安を感じるというふうに回答された方が八〇%に上るわけです。  特殊法人は、政治的に作られ、政治的に改廃されるというのは昔から言われておりまして、いろいろな政治的な関係でいろんな改革が行われるのは当然なんですが、片方では、働いている職員がおりまして、非常に自分たちがほとんどタッチができない、もう非常に高いところでそういう議論が行われて、決まったものが法律として下りてきて、いろいろなことが行われていくと。そういう中で、議論が進めば進むほど雇用不安が募るという状況になっております。  そして、こういう改革が行われると、当然、人減らしや人員削減、いろいろなことが行われるのではないかというふうにも思われるわけですが、一つ申し上げたいのは、今、民間、失業率が五・数%で、三百五十万も失業者がいるときに、特殊法人の改革と称して公団の職員などの削減を、官の側から失業者を作り出すような政策は是非差し控えていただきたいというふうに思います。  ここ四回の改革を通じて感じることは、様々な法人の経営形態の問題が議論され、今回はかなりのところが独立行政法人化していくことになりましたけれども、私は、この独立行政法人化についても、特殊法人の破綻した事業、破綻した経営などの実態を余り検討しない中で出てきた法人でありますし、しかもまだ発足して間もないのにこういうことに移行をさせていく、非常に無理なことではないかと、やはりきちっとした総括と再発の防止などの政策が取られて初めてこういう公的な機関がきちっと発展をしていくということになるのではないかと思います。  そういう意味で、そういう基本的な政策議論と、やはり情報開示や透明性や責任の所在の明確化などを含めて、道路公団や、今回の道路公団のこの問題でいえば、長期計画から含めて見直されることを要望しておきたいというふうに思います。  以上です。
  9. 佐藤泰介

    委員長佐藤泰介君) ありがとうございました。  以上で参考人からの意見の聴取は終わりました。  これより参考人に対する質疑を行います。  なお、質疑時間が限られておりますので、簡潔に御答弁いただくようお願い申し上げます。  それでは、質疑のある方は順次御発言願います。
  10. 森本晃司

    森本晃司君 公明党の森本でございます。  今日は、三人の参考人の先生、御多忙の中、わざわざ当委員会にお見えいただきまして、先ほど来、大変な貴重な御意見を拝聴できましたこと、大変うれしく思っております。大変ありがとうございます。  同時にまた、私が最初に質問させていただくことにつきまして、森田委員始め同僚の皆さん方に御配慮いただきましたことを感謝申し上げる次第でございます。  それでは、私の方から最初に、それぞれ三人の先生方に、総論的な内容ではございますが、御質問をさせていただきたいと思っております。  それは、高速道路というのはネットワークでつながってこそ私はその役割を果たすものであると、そのように思っておりまして、今日までもそういう思いで高速道路が整備されてきたのではないだろうか、まだそれが不十分であると思います。私は、高速道路の整備をすることによって、国民に与える影響力、地域に与える影響力、それから物流の効率化等々、国際競争力の向上や地域発展につながるものであると、このように思っております。  今度、民営化になっていくわけでございますけれども、その中にありましても、やはり高速道路のネットワークの、高速道路を進めていく地域の決定についてはやはり、あるいはその整備についてもきちんと国の責任でやっていかなければならないのではないかと、このように思っております。この国の責任について、ネットワークと国の責任について、三人の先生方の御意見をお伺いしたいと思います。高木先生、五十嵐先生、堤先生という順番にお願いいたします。
  11. 高木勇三

    参考人高木勇三君) 今、森本先生から、ネットワークの話と国の責任で行うべきかという二点御質問いただきましたけれども、正しくこういった幹線道路に関しましてはネットワーク化されませんと十分なる効果は発揮できないと思います。今いろいろ言われておりますのは、一つ財政的観点からのプライオリティーの付け方という話であろうと思いますし、それから、先ほど堤参考人おっしゃられましたような、いろいろ疑念を持たれるような部分種々感じられるというようなところから言われているんだろうというふうに私は理解するところですが、基本的にはやはりネットワークでつながる必要があるというふうに思っておるところでございます。もうお金があればどんどん造った方がよろしいんではないかというふうに思っている次第でございますけれども。  あと、国の責任で行っていくべきかどうかというようなことに関してですが、これ公共財というふうに私とらえておりますので、やはり基本的に国の責任で行っていくべき話だと思いますし、もし他の形で行うとしましても、先ほど申しましたように、種々制約を課した上での運営というものが考えられなければならないのではないかと、このように考えておるところでございます。
  12. 五十嵐敬喜

    参考人五十嵐敬喜君) まずネットワークでございますけれども、私は少し意見が違います。ネットワークは必ずしも高速道路でつなぐ必要はない。船もありますし飛行場もありますし、それから鉄道等、公の移動施設もございます。あるいは情報というのもありまして、国の隅々まで、いわば北海道の一番奥から鹿児島の一番奥まで全部高規格道路でつなぐという発想は時代後れだと私は思っております。これが一点です。  二番目は、お金があればどんどん造ればいいということでありますけれども、これも反対です。要するに、高規格道路を含めて何が問われているかといいますと、それが財政に与える影響が決定的になってきた、あるいは環境に対する影響が決定的になってきた、それから市民は必ずしもそういうものを望んでいないということが決定的になってきたということであります。したがって、すべてを国の費用でやるという前に、それが財政にどういう影響を与えるか、環境にどういう影響を与えるか、あるいは市民は何を望むかということをもう一回問い直すことが重要であるということです。もっとせんじ詰めて、国か自治体か、あるいは国か市民かといいますと、こういうことを決める、決定するのは一体だれかということが今最大に問われているんだろうと申し上げます。  今日、参考資料に配らせていただきました私の「世界」に書いた論文が正にそのことを言っておりまして、従来は、これらのすべてについて、国と称しまして実は官僚が、中央省庁が公共性の判断、公益性の判断というものを独占的に行ってきました。しかし、今言ったような問題点が指摘されるにつれて、徐々に、国だけではなくて国会も議会も入る、あるいは国だけではなくて自治体も入る、自治体も議会も入る、それから更に市民も入るということになっておりまして、究極的には官僚が決めた方がいいか住民投票で決めた方がいいかということの公共性の判断について非常にベクトルが動いているというのが今の事実、実態だろうと思います。  諸外国の道路計画について見ても、この住民、市民が何を望むかというのは非常に重要な事態になっておりまして、国が決めるというときにも、市民が公共性の判断ができる状態になってきているということを組み入れて今後の道路計画を考えていくべきではないかというふうに思っています。
  13. 堤和馬

    参考人(堤和馬君) 私、その前に、要するに日本公共事業というのはいかに道路に偏重しているのかと、大体、中央、地方で約四十五兆円ぐらいのお金が財政投融資も含めて公共事業に投下をされておりますが、そのうちの約三分の一は道路ですよね。その道路のうちの半分ぐらいが高速道路関係ということになっているわけですよね。十六、七兆円が道路に使われて、しかもそのうちの半分ぐらいが高速道路関係だと、大ざっぱに言えばそういうふうになると思いますが。この予算の規模がもう格段に大きいわけですね。東京都の一般会計の予算が七兆円ぐらいでしたか、そういう点からいうともう格段に大きいお金が使われていると。  ネットワークと言いますけれども、先ほど五十嵐先生がおっしゃったように、ほかの交通機関でやることもあるし、必ずしも高速道路でなくて普通の国道だっていいわけです。普通の、一般の有料道路にするという場合だって考えられるわけですから、何も道路公団関係公団がやるような道路でなくてもいいということになるんだと思います。  一つは、このネットワーク、そこの、国の財政状態の中でどこまで造っていくのかということが当然決まってくるわけですが、やはり今のような状況になれば、必ず高速道路を造ったからといって地方が発展する保証もないわけです。かつて道路公団でいろいろ仕事をしていた人の話を聞く機会があったんですが、やはり昔は高速道路を造れば非常に地域の発展につながって非常に喜ばれた、そういう喜びが今は感じられなくなってきているというようなことを率直に言っておりました。  そういう意味では、どこまでネットワークを作るかというのは正に政治がいろんな形で決める、判断する問題だとは思いますが、今の財政状況からいえば、これは必ずしも全部できるまでやっていくというのがいい選択かどうかというのは、私としては非常に疑問な点です。
  14. 森本晃司

    森本晃司君 ありがとうございました。  今、いろいろ参考人の先生方から御意見を伺ったわけでございますが、五十嵐先生にお尋ねを申し上げたいと思います。  先ほど来、先生は公共事業の汚職の問題等々についてもお触れになりましたし、それから無駄な公共事業ということで道路の話もいただきました。汚職については、政治家と金の在り方ということについては我々も襟を正していくのは当然のことだと思っておりますが、ともすれば、公共事業あるいは道路整備というのは無駄なものなんだ、あるいは悪玉であるというふうな考え方がしばしば私どもは耳にするわけでございます。しかし、私は必ずしもそうではないなというふうに思う点もございます。  そこで、先般、四月九日に行われました社会資本整備審議会道路分科会の基本政策部会において、リチャード・クーさんがこのようなことを言っております。  それは、企業が投資を行わず借金返済に回っているにもかかわらず恐慌が回避されてきたのは政府が景気対策を実施してきた結果であり、日本経済がこの不況から脱却する景気対策として公共事業の実施による政府支出の拡大は最も効率的な手段である、低金利のため将来世代の金利負担が少なくて済む今の日本は必要な公共事業を実施する歴史的なチャンスである、日本道路事情は他の先進国と比べても改善の余地が大きく、隣国のアジアでインフラ整備競争が行われている中で、日本国内のインフラ整備の見直しなしに日本経済の競争力の維持は困難である、こういった理由を挙げて、公共事業国民の生活の上で必要であるということ、それから道路整備もまだ残念ながら未整備の状況である、不十分な状況であるというふうに私も考えておりますが、この点について先生のお考えをお伺いして、私の質問を終えさせていただきたいと思います。
  15. 五十嵐敬喜

    参考人五十嵐敬喜君) 直観的に、日本道路が他の先進資本主義国家と比べて後れているかどうか、直観的にどう思いますでしょうか。  私などは田舎生まれでありますし、たまたま公共事業の勉強をしているものですから田舎に行くこと多いんですけれども、世界じゅうの資本主義国で最も道路整備が進んでいるのは逆に日本じゃないかと思います。  ちなみに、一九九六年度の建設白書及び建設省監修の「日本の都市政策」という資料に基づきまして、可住地面積当たりの高速道路の延長というのはどのくらいになっているかということを調べております。これは私の岩波新書「公共事業をどうするか」の中に所収してありますけれども、それでいきますと、アメリカが一六・〇、西ドイツが五四・四、イギリスが二〇・一、フランスが二六・五です。それに対しまして日本は八〇・八です。ドイツは、ヒトラー以来、高速道路の規格について最も先進的な国家と言われています。これでも五四・五に対して日本は八〇・八ですから、これを一万四千キロにするとそれを更に数倍超えるということでありまして、およそ世界じゅうから見ても非常にオーバーな高速道路の建設になっているというのは私は思います。これが第一点です。  それから第二点は、リチャード・クーさんの話は国土交通省からの資料で読ませていただきました。  しかし、本当にそうかどうかについて、正に小泉政権がそれを否定して公共事業の縮減を言ってきた。つまり、小渕政権時代には景気対策として公共事業が最も有効であるということを決断しまして、私どもから言わせるとばらまきをやりました。それが今回の財政構造の破綻を起こしましたし、地方自治体の財政危機を呼び起こした。またさらに、景気対策にもほとんど役に立たなかったということが実証されて、それを小泉さんが訴えて、それが全体的な支持を受けて公共事業見直しというものを景気対策の観点からも言っているんだろうと私は思います。  経済学的にもそれは正しいと思いますし、私はそれを支持したい。したがって、リチャード・クーさんとは真っ向から意見が異なります。
  16. 森本晃司

    森本晃司君 終わります。
  17. 岡崎トミ子

    岡崎トミ子君 民主党の岡崎トミ子でございます。  参考人の先生方、今日はたくさんの御意見をいただきまして、参考になりました。ありがとうございます。  最初に、公認会計士でいらっしゃいます高木先生にお話を伺いたいと思いますが、道路の建設には採算性やあるいは費用対効果を考えなければならないと思います。私は、その環境というものを考えましたときには必ず環境コストというものが掛かってくるわけですけれども、今回の中で余り環境の問題について議論をされなかったというふうに思っております。この環境破壊というのが道路の建設には非常に大きな問題だというふうに思っています。  山形県の白鷹町に度々伺って、大規模林道を造ったその道をずっと登りながらたどってみると、杉を育てるというふうに言いながら、たくさんの雪が降って、道路ができているところの杉は本当に二、三十センチぐらいしか育っていなくて細々としていて、これはもう本当に木を育てるための道路じゃないなということを思っている間に、何回も何回も道路が壊れて舗装して、それを繰り返している間に梅雨どきには大崩落になって、結局これは止まってしまったということがあるわけなんですけれども、無駄なものを造り続けてきたという印象もございます。  こうした環境破壊の問題についてどのようにお考えでしょうか。コストの面も含めてこれはきちんと考えるべきではないかという方向でお考えいただけるかどうか、お伺いしたいと思います。
  18. 高木勇三

    参考人高木勇三君) もう考えるべきであることは論をまたないというふうに私思っておりますが、環境問題というのは、先ほど外部経済と申しましたけれども、外部不経済の代表的なものだというふうに思います。  ただ、残念ながら環境に関しまして金銭的数値に計測し難いものですので、なかなかそれを冷静な意思決定判断に取り込むことはできないというのが現状でありますけれども、やはりこの環境問題につきましては十分に慎重に評価を行って、公共事業等が行われることが望ましいというふうに思っております。  個人的には、先生お感じになられているようなところ以外でも、果たしていかがなのかなと現実思うようなところなどはございますけれども、やはり先ほど申しましたように慎重なる議論、これがひとえに必要だというふうに思っております。
  19. 岡崎トミ子

    岡崎トミ子君 ありがとうございます。  次に、五十嵐参考人にお伺いしたいと思います。  道路の建設を採算性だけで決めるのは適切ではないという議論があります。野方図な建設は許されない、ルールの確立が必要だと思いますが、その必要とされるルールについてはどのようにお考えか。  それから、地方の声を聞くべしというこの御意見、当たり前のことだなというふうに思います。しかし、各県の知事などは高速道路事業の凍結、廃止ということに関して反対のアピールをする一方で、町村を含めた地域の住民の皆さんたちは必ずしも高速道路は必要だというその建設にこだわっていないという、そういう乖離があるわけですね。  今回の委員会でも地方の意見を聞くというふうになっておりますけれども、この地方の意見についてはどのようにお考えでしょうか。
  20. 五十嵐敬喜

    参考人五十嵐敬喜君) 二点の質問だと思います。  道路建設するか否かについてどのようなルールに基づいて決めるべきかということが第一点と理解いたしました。  正直言いまして、これは非常に難しいです。一定のある種の数式がありまして、これに当てはめて直ちに結論が出るというものではありません。要するに、私が言いたいことは、すべての情報を公開して、とりわけ住民と議会というものの意見を反映して決めるべきであって、官僚だけでその優劣性を決めるべきではないということであります。  その住民や議会を入れた場合に、すべて正しい結論が出るかというとそうでもありませんけれども、少なくとも住民や議会が決めることによって、もし誤りがあった場合、これを修正することができる、ここが非常に重要でありまして、この機会を公共事業の中にも導入すべきであると。政治教育の場としてこれが一番ふさわしいと私は思っております。  もちろん、採算性とか環境アセスメントとか、その他いろいろ道路の機能性に関するいろんな選択の方法あると思いますけれども、いずれにしても、それを情報公開を含めまして、そういう政治機会の場を、政治教育の場を与えるということが一番重要じゃないかと、これが最大のルールであるというふうに思います。もっと言い換えますと、政策に参加させることが一番の大きなルールであるということであります。残念ながら、公共事業というのは全く政策に参加できないということでありました。それが問われているということであります。  もう一つ、地方の声をどう、触れておられますけれども、これも首長さんの言うことあるいは議会議長さんの言うことと地域住民が本当に望んでいることは非常に分裂しているというのが私の認識であります。  一番典型は、例えば吉野川河口堰でありまして、県知事さんや県議会さんあるいは徳島市あるいは徳島市議会は、当初、河口堰建設について推進の立場でありました。住民投票をやりましたら、全く逆転しております。同じような現象がダムについても干拓事業についてもあちこちで起きておりまして、そこに二つの地方の声があると。  本当の声は何かと。やっぱり住民にもう一回戻して、シングルイシューで、情報は全部公開して決めると、必ずしも知事さんが言っているような声にはならないんじゃないかと。むしろ私は、ほぼ直観でありますけれども、また確信に近いですけれども、高速道路が今もって必要だなんという声はほとんどないんだと私は思っています。
  21. 岡崎トミ子

    岡崎トミ子君 続いて五十嵐参考人にお伺いしたいと思いますが、整備計画で決まった九千三百四十二キロメートル、これはもう何が何でも造るのかということですよね。見直しがあり得るのか議論になっているわけなんですが、国土交通省からは未供用部分の六割で既に都市計画決定に伴う権利制限が行われておりましたり、開発計画が始まっていて、見直しは深刻な影響を与えるんだと、だから困るというような印象で、私はその答弁を繰り返されてきたというふうに思っているんですけれども、これ、困難だから改革しなくていいということではないだろうと思いますし、正に都市計画決定の在り方そのものが持つ問題点も多々これまでも指摘をされてきたわけなんですが、既に決まった都市計画を円滑に変更する手続の研究、これを進めるべきではないかというふうに思っています。  それから、町づくりの在り方とこれは一体として見直すべきだというふうに思いますけれども、いかがでしょうか。
  22. 五十嵐敬喜

    参考人五十嵐敬喜君) よく、公共事業に関しましては、特に政府側から、いったん決まった計画は止められないと。それはいろんな理由がありまして、いろんなところに波及効果があるからだということを聞きます。そうすると、今の整備計画、九千三百二十四キロメートルも、あるいは五全総で定めました一万四千キロメートルも止められません。さらに、このまま行きますと、従来の例で行きますと、官僚さんたちは一万四千キロ、更に一万六千キロ延ばすというようなことをやりかねないというふうに思います。  しかし、こういうことは駄目だということがもう既に社会的常識になっている。現に政府もある一定の尺度を決めまして、サンセットいたしました。例えば、計画決定後五年以内に事業に着手されていないもの、あるいは事業を着手されても二十年以内に完成されていないものについてはいったんとにかくやめて、その計画が必要かどうか、事業継続するかどうかを決めましょうということを言っております。これは一般的にサンセットローというふうに言われておりまして、アメリカでNGOが中心として展開して、アメリカで定着している法制度の在り方であります。  日本の場合もちょうど時代の転換期でありまして、公共事業も全体的に見直すというときにそういう新しい発想、つまり一定の条件があった場合にはいったんとにかくやめると。その上で、改めて住民がそれを必要とするかどうか、議会が承認するかどうかを見て、場合によったらそのまま中止する場合もあるし、場合によったらそのまま継続する場合もあるというふうに、いったん頭を切り替えるべきであるというふうに私は思っております。  先ほど言いました緊急措置法というのは正にそのことを要請しておりまして、一応緊急の計画でありましたから、それをいったん終えんして、その上で改めて、もちろん絶対継続すべきでないと言っているわけではありませんで、継続すべきかどうかを含めましてもう一度、官僚以外の、正に民主主義的手続あるいは国民主権の下でもう一度やってみるという発想を取るべきであると。都市計画にもそういうことを導入すれば全く新しい発想が生まれてくるだろう。  ただ、いったん決めたものを廃止しますといろいろトラブルが起きることはもう当然でありますので、その処置の仕方については国なり自治体が全責任を負うということをした上でサンセットすべきであるというふうに思っています。
  23. 岡崎トミ子

    岡崎トミ子君 堤参考人にお伺いします。  政官業の癒着の構造、腐敗の構造を招いてきた天下りの問題などについても例を挙げられたりしてお話をいただきましたけれども、この政官業の癒着の根の深さを考えますと、ただ民営化したから政官業の癒着が解消されるなんというような単純なものとは思われません。  いろいろと先ほどおっしゃってくださいましたけれども、先ほど言い足りないものもあればお教えいただきたいというふうに思います。
  24. 堤和馬

    参考人(堤和馬君) 今回の法案にかかわって言えば、要するに公団の職員など、みなし公務員のところに、一つ天下り規制が何もない、これはこのままでいいのかと。  ここで名簿を紹介しましたが、おびただしい数の方が建設会社や関係の取引先に天下りをしていると。これは法的に一切制限が掛からないということで、これは労働組合の次元からいいますと、もう四十五歳ぐらいから肩たたきをするという形で使われているわけですよね。最近は天下りを受け入れるところがかなり難しくなって、五十歳代まで延ばされたようなんですが、基本的には中身は変わっていないわけですよね。ですから、こういうことを背景にして談合やいろんなことが行われるということから考えれば、こういうことについての一定の歯止めが必要なのではないかというのが一点。  もう一つは、例の子会社の問題で、子会社は直接の資本関係がないということで公団の一部ではないことになっていますよね。そういう点からいうと、実際は公団の、高速道路の上で仕事をしている会社にもかかわらず、公団とは別会社だ、株式会社だ、だから政治献金の自由があるということになるわけですよね。公団本体は、公団ですから政治献金をやったりできないわけですが、そういう子会社を使えば何とでも政治献金が獲得できるということになれば、これは非常にゆゆしき問題だなと。  今までこれが何十年間にもわたってそういう構造が作られてきた、そういう中で様々な事件が起こっているということから考えれば、子会社も公団の一部だということをみなして、ここで政治献金を禁止をすると。そういうことであれば、今法案が出ていると思いますが、公共事業を受注した会社からの政治献金は一時的にやめさせるという案を野党側が出していますよね、そういうのと併せてやればかなり効果があるんではないかというふうに思います。
  25. 岡崎トミ子

    岡崎トミ子君 あと一分、二分ありますので堤参考人にもう一つお伺いしたいんですけれども。  この改革の対象になっている人たちが強い影響力を持つようなことがあってはならないわけですよね。この改革を成功させるためには、あらゆるところで、五十嵐先生も情報公開という、議会ということもありましたが、そういうところで情報が開示されていくことが非常に大事だと。委員会と省庁などとの協議の過程を公開する、そういうこともすごく大事だというふうに思いますけれども、委員会の取組の透明性の確保ということについて参考人のお考えをお伺いしたいと思います。
  26. 堤和馬

    参考人(堤和馬君) その委員会というのはどういう委員会のことなんでしょうか。
  27. 岡崎トミ子

    岡崎トミ子君 七人の。
  28. 堤和馬

    参考人(堤和馬君) 民営化委員会の話ですね、それはもちろん当然の話です。  要するに、国民監視の中で今までやられてこなかったので様々な問題が起きているわけです。ですから、これから改革というのであれば、情報公開、天下りの構図も含めて公開していくみたいなことをやらなければ改革の論議は進まないというふうに思います。
  29. 岡崎トミ子

    岡崎トミ子君 ありがとうございました。
  30. 森田次夫

    ○森田次夫君 自由民主党の森田でございます。  最初高木参考人にお伺いをさせていただきます。  参考人最初に触れられておられましたけれども、全国の高速道路網はインフラ中のインフラといいますか、そういったことで、今まで国家が責任を持って整備に当たるべき社会資本の代表格と考えられてきたと思うんですが、またその整備だとか保有だとかというのは基本的には市場原理になじまない、こういうふうに言われてきたと思うわけでございます。  そこで、道路公団の現状についての、現状に対する認識ですね、これについてお伺いしたいと思うんですけれども、道路公団、今日まで借入金によりまして道路を建設し、料金収入により借入金を償還するという有料道路制度を活用し、少ない国費で早期に高速道路を整備するため大きな使命を果たしてきた、このように考えるわけでございます。  また、道路公団民営化直前の国鉄とよく比較されるわけですが、その事業の効率性や職員構成などには国鉄と大きな違いがあるのではないか、こういったことも指摘をされておるわけでございます。  そこで、道路公団の現状について、参考人は、どこに問題があるのか、特に財務状況等をどのように認識されておられるのか。また、民営化するとすれば、その効果と影響等を視野に入れてどのような方向と手順で進めるのが最もふさわしいと、このようにお考えなられるのか。企業の財務会計において大変詳しい高木参考人でございますので、忌憚のない御意見をお聞かせいただければなと、このように思うわけでございますので、よろしくどうぞお願いいたします。
  31. 高木勇三

    参考人高木勇三君) 幾つか御質問いただいたというふうに考えておりますけれども、国鉄と比較したときという点でございますけれども、私は国鉄のときの数字というのは本当に一部しか覚えておらないんですが、国鉄の場合には人件費の問題、年金も含めた人件費の問題というのが非常に大きかったというふうに記憶しておりまして、たしか私の記憶ですと、当時の国鉄におけるところの費用の六割から七割が人件費であったというふうに記憶しております。  一方、今の道路関係の四公団でございますけれども、各公団の財務諸表を拝見しますと、大体推定で四%から五%の範囲内のところが人件費という状況でございまして、それ以外のところにコストが大幅に掛かっているという状況でございます。ちなみに、職員の数が日本道路公団で九千人弱でございます。全部合わせて一万人強という数というふうに推定されるところでありますけれども、そのような状況の違いというのは国鉄の場合と大きくあるだろうというふうに思っております。  それで、私も先ほど指摘しております財務状況につきましてですけれども、これも先ほど申しましたけれども、かなり危機的と言える状況にあるのではないかというふうに思っておりまして、道路公団長期債務先ほど二十七兆というふうに申し上げましたけれども、三公団の合計で三十六兆弱ですね。本四合わせますと四十兆。それから、資本金も考えなきゃなりませんが、道路の、本四を除いてこの三公団で三兆、本四を合わせて約四兆ですね。すなわち、四十四兆を若干、若干と申しましょうか、正確に言いますと四十三・四兆ぐらいのところというふうなわけですけれども。  一方、今現在のキャッシュフローが、日本道路公団〇・九兆というふうに申し上げましたけれども、四公団合わせましてもやはり〇・九兆しかキャッシュフローがございませんです。このキャッシュフローにつきましては、昨年の十月でしたか、十一月であったと思いますが、財務省の方から公表されました特殊法人等の行政コスト計算書なるもの、これをごらんいただければお分かりいただけるところでありまして、今の行政コスト計算書は、私も財務省の中で財政審の関係でいろいろ基準作りに参加した者ですが、やはり今回のようなときに非常に分かりやすい資料だなというふうに思っておりますけれども、そこのところをごらんいただきますと、先ほど申しましたようなキャッシュフローの金額が分かります。  まあ九千億、〇・九兆という数字、それに対しての債務四十三兆という数字でございますので、返済は、債務償還はもう非常に長い年月が掛かるというのが明らかでありますし、五十年といいますのは、これはあれですね、大卒で入って就職しまして企業を退職する時点でもまだ終わっていないという年限でありますので、これははっきり申しまして通常の経営で言えば危機的な状況というふうに言わざるを得ませんです。  そういうような観点に立っておりますので、民営化の効果というふうなところに関しましては、今のような財務状況の改善に期するところが第一でございます。  では、その効果を得られるようにするにはどうしたらよろしいかということでありますが、一般的な民間の感覚で申しますれば、マネジメントの抜本的な改革ということではないかなというように思います。しかしながら、この道路事業、特に高速道路事業というものに関しましていろいろな制約を課さざるを得ないものですので、そこのところと柔軟なマネジメント感覚との調整、折り合いというのが必要であろうというふうに思っておるわけですが、御質問いただきました手順というものにつきましては、はっきりしたところを、申し訳ありませんが、私、まだイメージできておりませんです。その辺のところは検討委員会議論いただくのが適当なところではないかなというふうに思っておるところでございます。申し訳ございません。
  32. 森田次夫

    ○森田次夫君 それでは次に、高速道路の維持管理における公的関与必要性でございますね。これについてお三方にそれぞれお伺いをさせていただきたいと思います。  公団が整備した高架橋などの構造物は、御承知のとおり老朽化が進んでいるものもあるわけでございまして、適切な維持管理がより重要になってきておると思うんです。民営化によりそこで利潤追求が重視されれば、そこで当然と申しますか、点検だとか更新だとかそういった安全の確保に関する投資がおろそかになってくる、こういうことも懸念されるわけでございます。道路が適正に維持管理され、その機能が十分に発揮されるよう担保するためには、新たな組織に対する一定の公的関与といいますか、規制といいますか、こういったことが必要になってくるんじゃないのかな、こういうふうに思うわけでございます。  さらに、災害の発生だとか、有事といいますか非常時といいますか、そういったことを考慮しますと、高速道路の維持管理については民間企業に完全にゆだねるのではなくて、一定の関与、これは残すべきだと、このように私は考えるわけでございますけれども、参考人それぞれのお方から御意見をお伺いをさせていただきたいと思います。  最初に、高木参考人からひとつお願いを申し上げたいと思います。
  33. 高木勇三

    参考人高木勇三君) 先ほど余り丁寧に申し上げられなかったんですが、まず基本的に、先ほど申し上げましたような公的関与が必要であるというふうな考えでございます。  では、どうしてか、またどのような部分かというようなところでございますが、今、森田先生おっしゃいましたようなところでかなり言及されているというふうに思うところでございますが、まず、先ほど申しましたけれども、独占に近い不完全競争市場というようなことから道路料金の問題が生じます。これはもう経済学の話で言えば簡単な話でございまして、完全な民間であるならば、需要曲線を考えまして収入が最大化される点に料金設定するということになるわけでございますね。しかし、それが果たして国民経済にとっていいのかどうかという疑問が生じる場面というのが当然出てくるわけでございます。  それから、災害復旧の問題、維持補修の問題、これ、完全な民間というようなことであるならば採算で考えざるを得ませんです。したがいまして、災害復旧維持補修も採算ベースで考えるというふうなことになってまいりますので、国民の利便という観点では必ずしも考えないというおそれが十分にございますので、こういったところについて、まず関与と申しますか、規制というものが必要になるであろうというふうに思うところであります。  それから次に、先ほどもちょっと申し上げましたけれども、売却、転用、いわゆる使用の問題でございますね。そういったもののところが突然に所有主の判断によって出てくるという、これが一応、完全な民の財の自由主義の中の考え方でございますので、しかしながら基礎的な財でございますので、それもやはり弊害をもたらすというふうに言えると思います。  それから、新規敷設がいいかどうかという問題は残っているわけでございますけれども、新規敷設を考えました場合には、土地収用の問題がございますために、公権力の介在あるいは権力の付与がなくしては困難という点が指摘されますし、また新規に建設、民がというふうな意見もございますけれども、外部経済はより無視されがちになるというふうに言えます。  岡崎先生、先ほど環境問題をお取り上げいただきましたけれども、そのようなところも異常に制約が掛かりにくくなるというのがございますので、以上のような観点から、公的関与必要性を私は主張したいところでございます。
  34. 五十嵐敬喜

    参考人五十嵐敬喜君) 今の質問は極めて重要だと私も思います。この論点を考えるについて、三つのレベルからアクセスできるし、したいと思っております。  一つは、法的に民有化とは一体どういうことかということでありますが、道路そのものの正に所有権などについて、既存のものをどうするか、あるいは新たに敷設する場合どうするかという問題がありまして、これは非常に重要な問題で、恐らく日本で考えたことがない論点だと思います。  それから二番目に、経済の論点から見ますと、民営化というのは基本的には採算性ですから、補修あるいは災害に対する対応を含めて採算性が取れるかどうかという点から経済的には考えていくということだと思います。多分、それは有料の場合には、その道路、有料の代金は物すごく上がっていくということだろうと思います。  それから、その二つをクリアしたとしても、社会的にそれが許されるかどうか、環境やニーズや需要からありまして、あるんだろうというふうに思います。  この三点を念頭に置きまして道路に関するそれぞれの維持補修に関する世界各国の傾向を見ますと、世界じゅう全部、今実験中というような感じがいたしました。  一つは公的セクター、国や自治体で面倒を見る、そういう意味での公的関与があるべしという意見もありますし、二番目は完全に民有化すべきであると。民有化すべきの場合でも、受益者負担ですね、道路を利用する人に負担させるというやり方もあると思います。それから三番目には、自治体を含めて、地域経済等に寄与するということがあれば、その地域の住民が全体で負担するということがありまして、この三つのアクセスとやり方について、世界じゅうが実験の最中ということです。  先ほど私は冒頭に、個別道路にどのように入るかということの検討なしには民営化というのはほとんど話できないですよと言ったのはここにもかかわっておりまして、とにかく日本モデルを作る以外ないだろうと。一定の、どっちかの結論というのはなかなか難しいんじゃないかと私は率直に思っておりまして、一つ、例えば第二東名なら東名を取り上げて民営化するというのはどういうことかと、事業中止を含めまして、実験、シミュレーションしていただいて、国民に提示して、国会やその他でいろいろ議論すべきことであるというふうに思っています。確定的な一つだけの答えというのはありません。
  35. 堤和馬

    参考人(堤和馬君) 私、ここへ来る前に、何日か前なんですが、公団の職員で技術職の人に二、三、ちょっと意見を聞いてきたんですが、特に言ってくれというのが正に安全性の確保、技術的なことを含めて、民営化したときに安全の確保ができるのかと。今、舗装を高機能のものに取り替えつつ、水はけがいいやつに全部取り替えようということで進んでいるわけですが、そういうものが、民営化したときにきちっとできていくのかと。この間、橋脚の部分のひび割れの話が突然出てきましたけれども、ああいうものに関して、民営化した場合にきちっとやっていけるのかどうなのかということが非常に不安だということは率直に言っておりました。  これは是非言っておいてくれというように頼まれましたので、特にその問題については、それだけお話をしました。
  36. 森田次夫

    ○森田次夫君 終わります。ありがとうございました。
  37. 吉川春子

    ○吉川春子君 三人の参考人の方からそれぞれ、身の引き締まるような御意見をいただきました。ありがとうございました。  まず、高木参考人にお伺いいたしますが、民営化留意点として、所有権の論議を慎重にされるべきだというふうに言われました。事前のレジュメでもこの点について御指摘があったわけですけれども、詳しくというか、もう少しコメントいただきたいと思います。
  38. 高木勇三

    参考人高木勇三君) 先ほど余りこの辺のところにつきましても御説明できなかったんですけれども、先ほど公的関与必要性を申し上げましたけれども、所有権が完全に民の方に移転するという中では、当然のことながら民の方にかなりの裁量を与えるべきだということになるというふうに言えると思いますですね。そこで先ほどの公的関与の問題をどういうふうに考えるかというところが出てくるという話が一点でございます。  それから、道路そのものと申しますのは、私は、鉄道とかバスとかそういったものと時々一緒に議論されるんですが、少々財として異なるものであろうと、質的に異なるものであろうというふうにとらえております。マイカーとか先ほど申し上げましたけれども、そういったものと違うわけでございまして、だれでもいつでも使えるような状況というのが国民の感覚には一番合っておるのではないか。それを完全にある民間の所有物にするということがいいのかどうか。特に、永久に民間の所有物にしてしまうことがいいのかというのは非常に大きな疑問というふうな形で覚えております。論理的にこうだからということよりも、感覚的に大きな疑問を覚えております。  諸外国のところでも、フランス、イタリア、こちらの高速道路民間の方に移転しておりますけれども、フランスは所有権は移転しておりませんですね。それからイタリアの方は、一定期間経過後にまた所有権は行政の方と申しますか国の方に戻るという考え方がされている。もし、今回、これ、土地の所有権も含めて完全に移転して、移転しっ放しということをやったとしますと、日本が少なくとも先進国の中では、と申しますか、世界じゅうでというふうに言っていいと思いますが、初めてということをやるということが言えるかと思います。非常に壮大な実験というふうに言えるのではないかというふうに考えておることを申し上げたいと思います。
  39. 吉川春子

    ○吉川春子君 私は、膨大な予算をつぎ込んで道路を建設したわけで、民営化に伴って高速道路、有料道路民間に移転するということはもう社会正義に反すると、こういう考えを持っておりますので、お伺いをいたしました。  五十嵐参考人にお伺いいたします。  国会がもう本当に関与していないな、ODA予算もそうですけれども、道路予算にも本当に関与していないなということを痛切に感じたわけです。  参考人は岩波新書で、道路を始めとする五か年計画については、資本主義国でこのようなシステムを取っている国はない、社会主義計画経済を超えるものだと、このようにおっしゃっておられます。市場メカニズムを本気で実現しようとするならば、まずこの五か年計画を全廃しなくてはならないと述べておられますが、この五か年計画がどういう弊害があったのか、もうちょっとお述べいただきたいと思います。
  40. 五十嵐敬喜

    参考人五十嵐敬喜君) 既にお話ししておりますが、幾つかあると思います。  一つは、五か年計画の一覧表があるとすぐ分かると思いますけれども、対前年度比で必ず右上がりの成長構図を取っているということです。幾つかの指標で申し上げますと、例えば、治水は三七%増、都市公園は四四%増、下水道は四三%増、海岸は三六%、その他もろもろですね。日本の経済全体がゼロ平均ぐらいで行く、あるいはマイナスになり掛かっているときにこの長期計画は全部何十%増という形で上がっているということです。それが一つです。  二番目は、それがいったん決められますと、それを全部達成する、それがいいかどうかあるいは必要かどうかじゃなくて、それを達成するということが最大の官僚の目標になってきまして、よく言われますけれども、細かく言いますと、毎年年度末になると道路をあっちこっち何回も掘り返すというのは、こういうところが全部表れているというふうに思っています。  こういう方法で今後、十六本のうち十本、来年になるともっと、全部ほとんど来るんですけれども、もう一回繰り返したら本当に日本がなくなってしまうだろうというふうに私は思っております。それが長期計画の弊害です。  私自身も、どうしてこうなっているんだろうかということをいろんな方法を通じて世界じゅうを、すべてとはもちろん言いませんけれども、いろいろ聞いて回りました。アメリカに行きましてもイギリスに行っても、信じ難いというような話でありまして、ほとんど相手にされないぐらいこの長期計画についてはおかしいということを聞いてまいりました。  私の意見では、単に見直しを超えて、二〇〇二年度に、来年、もう一回やるかどうかのちょうど見直し時期ですから、一回全廃したらいい、全部この緊急措置法というのは全廃しまして、改めて、計画論というものを改めてやった方がいいと。  国土交通省が生まれたというそのこと自体がある種の総合的な政策をやるということでありますから、道路についても、道路だけで何年計画作る、漁港で何年計画作るじゃなくて、多分、先ほど言いましたように、飛行機との関係あるいは鉄道や何とかとの関係、その他情報との関係についてネットワークをどうすべきかと、正に総合官庁として国土交通省はあるわけですから、そういう意味でも、今回の行革のメリットを一つ言えば、従来の縦割り行政を廃止するについてふさわしい時期とふさわしい陣容になったということでありまして、私自身は全廃すべきであるというふうに思っています。  なお、更に長期計画の上にあります全国総合開発計画については、政府部内でももう六全総はないだろうと。つまり、全廃をするという方向性が非常に強くなってきておりまして、だとすれば、当然のことながら、この十六本についてもちょうど見直しを超えて全廃すべきであるという意見です。
  41. 吉川春子

    ○吉川春子君 もう一点、短くお答えいただきたいんですが、首都機能移転と高速道路建設について参考人はどのようにお考えでしょうか。
  42. 五十嵐敬喜

    参考人五十嵐敬喜君) 全く必要ないと思っています、首都機能移転については。膨大な、また無駄な公共事業の最たるものが首都移転になりかねないと私は思っております。
  43. 吉川春子

    ○吉川春子君 堤参考人にお伺いいたします。  先ほど、今回の民営化についてアクアラインと変わらない手法だと、こういう指摘をされました。それはどういうことでしょうか。
  44. 堤和馬

    参考人(堤和馬君) 要するに、今後五十年償還道路を造り続けるということが前提になっていますね。  公的関与の話が先ほどありましたけれども、造り続けていくということから見れば、当然、公的な関与がいろいろな形で必要になってくるだろうということになれば、お金は財政投融資のお金を使うと。そういうことであれば、要するに、東京湾アクアラインを造ったような横断道路株式会社、あれは第三セクターで自治体も民間も出資をしておりますが、そういうタイプのものしか、私の狭い経験ですけれども、見ている限りにおいては、そういうものしか想定できないと思うからです。
  45. 吉川春子

    ○吉川春子君 東京湾横断道路株式会社は、公団民間と自治体ですか、三分の一ずつ出資という形ですけれども、実際には七十数社の大企業が入って、工事費も、さっき御指摘あったように、一兆円という計画を四割も増してもう大変なものを造って、その後、所有権公団が買い取って、借金責任はもう全く負わない、企業は、もう大型プロジェクトを請け負わせてもらって、それで大もうけしただけと。  本当に私も怒りを禁じ得ないですけれども、今度の民営化計画がそういうアクアラインの、東京湾横断道路株式会社の二の舞というか、そういうような御指摘ととらえていいわけですか。
  46. 堤和馬

    参考人(堤和馬君) 必ずそういう末路をたどるかどうかというのは、それは分かりませんけれども、一種民営化といえば、そういう国が関与したような、民間法人化といいますか第三セクターといいますか、そういうものしか想定ができないというふうに思っているということです。
  47. 吉川春子

    ○吉川春子君 それから、堤参考人は雇用不安の問題について触れられました。  もう本当に、道路公団で八千人以上いるんですかね、全部四公団合わせると一万人以上の働く方々がおられるわけですけれども、国の政策判断でこれがなくなってしまうと。そういう中で、本当に雇用不安ということがあって、働いている方々にとっては大変な事態だと思うんですが、労働組合というか公団に働いている方々立場に立って公団や政府に対してどういう要求を具体的に提案されているんでしょうか、御説明いただきたいと思います。
  48. 堤和馬

    参考人(堤和馬君) 関係公団の組合は、特に政策的な問題ではほとんど物は言っておりません。要するに、雇用を守れということは非常に盛んに言っているんですが、政策的な問題ではほとんど何も言っていないと。  しかし、もう七、八年前でしたっけ、阪神高速道路公団の組合の大会に行った後にちょっといろいろ話をしておりましたら、私は個人的に首都高速と阪神高速と日本道路公団はかねてから統合した方がいいというふうに思っていたものですから、大体世論もそういう話だよという話を阪神公団の組合の方々にしたら、いや、それは困るというふうに言うんですね。元々就職をしたときに、道路公団に入れば二、三年に一回転勤してもらわなきゃいけなくなると。居住地はどんどん変わっていくわけですよね。首都高速や阪神高速であれば、要するに居住地を伴うような転勤はしなくていいと、だからこっちを選んだんだというふうに言うわけです。それは、国民的には余り意見としては受けないよという話はしたんですが、率直に言えば、労働者の感情からいえば、統合されて一緒になって、今の労働協約を全部ほごにされて全国転勤をやれというふうになるのは、これはちょっと嫌だなというのは率直なところのようです。  ですから、首都高速と阪神高速は統合に反対だということは言っております。それ以外の、民営化の手法がどうだとか今後の高速道路計画がどうだとか、そういうことについては言っておりませんが、統合には反対だということを二つの公団の組合は言っています。
  49. 吉川春子

    ○吉川春子君 もう一問、堤参考人に伺いますが、端的に、国会に対して雇用との関係で御要望があればお聞かせいただきたいと思います。
  50. 堤和馬

    参考人(堤和馬君) 国の政策によって、そういう民営化したり統合したりするわけです。公団の職員というのは、国家公務員ではありませんけれども、様々な形で国の関与があるということから見れば、これは当然、大量の首切りだとかそういうことは差し控えていただきたいというのが率直なところです。基本的に雇用を確保されたいと、労働組合、以前からやっておりまして、これは共通の特殊法人の職員の要望でありますので、特に強調しておきたいと思います。
  51. 吉川春子

    ○吉川春子君 終わります。
  52. 島袋宗康

    ○島袋宗康君 国会改革連絡会の島袋です。  お三名の方々、大変貴重な御意見を賜って、有り難く感謝申し上げます。  そこで、まず高木参考人にお伺いいたします。  今御説明のように、四橋、架橋を始め多くの公団が建設した道路についてほとんどもう赤字財政と、大変な危険的な状況にあるというふうなことで非常にびっくりしているんですけれども、先生は、その四公団採算性の悪化はなぜ起きたのか、そしてどのようにすれば改善できるのか、そして改善の方策は、民営化することによって、選択肢はもう民営化以外にないのかというふうなことで先生の見解を承りたいと思います。
  53. 高木勇三

    参考人高木勇三君) 四公団採算性が悪化した要因については、申し訳ありませんが私よく検討しておりません。私は監査人という立場から、明確なことしか申し上げないという性格がインプットされておりますので、ちょっと四公団採算性の悪化の理由については明確な答えは控えさせていただきたいんですが、感じているということだけ一応申し上げておきたいと思いますが、道路公団の場合には、いろいろ、道路採算性に見合わない、単純に考えて採算性に見合わない道路が建設されていたことというふうに言えるのではないかと思いますし、首都高について、阪神についてそのような状況なのか、ちょっとこの二つについてよく分かっておりません。それから、本四につきましては、振り返ってみますと、これは最初からかなりの困難性が指摘されたのではないかなと、採算といった問題についてですね、というふうに思うところであります。  それから、次の御質問、民営化必要性ということでございますが、先ほども申し上げましたように、今回の民営化というのが非常に幅広な形になっております。それから、私、先ほどフレッシュスタートが必要だというふうに申し上げたわけでございまして、幅広な形の中でやるということであるならばフレッシュスタート必要ですので民営化が必要だというふうに言えるかと思いますが、純粋な意味でのオーナーシップが民に転換するような民営化が適切か否かということについては、私はひどく懐疑的でございます。  それからまた、民であれば効率的で官であれば不効率だということがよく言われております。確かに一般的にそれは言えるわけでございますが、民の効率性にしましても、十年前、二十年前と現在と考えますと、これは飛躍的に変わって良くなっております。じゃ、二十年前の民が不効率なのかということでありますけれども、要はどんどん改善されて、民にしましてもどんどん改善されているものだというようなことが言えますし、官においても政策評価などの導入によりまして徐々に変わりつつあるのではないかというふうに思うところでございます。
  54. 島袋宗康

    ○島袋宗康君 次に、五十嵐参考人にお伺いいたします。  先生は、補助金の陳情政治を改めるべきじゃないかということと、こういう採算性の取れるようないわゆるプロジェクトチームを作って、そこで検討した上で道路を造った方がいいんじゃないかというふうな意味で、大変参考になりますけれども、沖縄でも結局、埋立事業によって自治体の財政を何とか、健全化に行くのかどうか分かりませんが、そういう事業をどんどんどんどん起こすことによって自然破壊にもつながっているような状況で、御指摘のとおりであります。  そこで、今までこういった、進めてきたあらゆる事業に対して、この未整備の部分ですね、こういった高速道路を含めてどういうふうな今後の手法で進めた方がいいのかというふうなことについて、もしお考えがあればお聞かせください。
  55. 五十嵐敬喜

    参考人五十嵐敬喜君) 一般的に、全部に通ずる解決策はないと私は思っています。正しいことは一つだけありまして、官任せにしないで地元で考えてみようと。その場合には、高速道路を継続した方がいいという地域もあるかもしれないし、あるいはやめた方がいいということもあるかもしれない。そういう決定の自由さというものを自治体若しくは住民に保障すべきであると、回答は多様に出てくるだろうというふうに私は思っております。
  56. 島袋宗康

    ○島袋宗康君 じゃ、堤参考人にお伺いいたします。  道路関係公団は、廃止あるいは民営化以外に第三の改善の道はないのかどうか、それについて御見解を承りたいと思います。
  57. 堤和馬

    参考人(堤和馬君) これは、今までの特殊法人改革のいろいろな流れを見ますと、私は非常に、要するに、税金が投入をされている、道路公団の場合は三千億円いわゆる国費が投入をされてきたわけですが、やっぱりそこのところを何としても外したいというのがあって出てきた案ではないかと。最後に、去年の十一月の終わりぐらいですが、要するに政治決着をしていますよね。片方で五十年償還、片方で三千億円の国費投入の中止ということで、そういう中での議論だったんじゃないかと思います。  そういう意味では、今の返済の、償還の期間五十年の場合、三十年でやればもうほとんど大赤字になるということになっておりますので、先へ延ばしていくということになればそれはいろいろな形で事業は継続をしていくということになろうかと思いますが、それと、税金を投入しないということで、特に民営化を打ち出したということは、これはやっぱり経営形態を変えて効率化を図るという側面もありますが、やはり特殊法人改革としての目玉として、特殊法人からほかの法人の形態に変えて政治的な成果を誇るという意味合いが片方ではあったのではないかと。特殊法人改革を見てみますと、必ずそういう目玉になるところが廃止されたり、こういう民営化されたりという案が出てきます。そういう意味では、非常に政治的な一種の着地点だったんじゃないのかなという感じが私はしております。
  58. 島袋宗康

    ○島袋宗康君 終わります。
  59. 田嶋陽子

    ○田嶋陽子君 社民党の田嶋陽子です。よろしくお願いします。  最初に、三人の方にお伺いしたいんですけれども、最初高木さんにお伺いします。  特殊法人では採算性を確保した運営はできないのかどうか。私の考えでは、これは特殊法人という、いわゆる問題は組織形態ではなくて、お金の流れを透明にしてきっちりとチェックすればいいだけの問題であって、もしかしたらこの改革は特殊法人でもできるのではないかと考えていますが、いかがなものですか。
  60. 高木勇三

    参考人高木勇三君) おっしゃるとおりだというふうに私思っております。採算性を確保した運営というのは、どのような形態であっても可能であるというように思います。  ただ、私、フレッシュスタートというふうに申し上げていますが、やはり組織というのはそれまでの動きについて慣性モメントを持っておりますので、なかなかそれまでの動きをすべて見直すということはできにくい。しかしながら、そのような形での今後の運営で果たして財政問題について改善が図れるのだろうかと。そのような観点から、フレッシュスタートがよろしいのではないかというふうに申し上げているわけでございます。
  61. 田嶋陽子

    ○田嶋陽子君 慣性モメントをなくすためのフレッシュスタートとして民営化というのは大変リスクが大きいように思うんですけれども、いかがですか。
  62. 高木勇三

    参考人高木勇三君) 今回提示されています民営化が幅広い形であるということで、私はフレッシュスタートということでよろしいのではないかというふうに実は思っている次第でございます。
  63. 田嶋陽子

    ○田嶋陽子君 お考え、分かりました。  私は、この間の質疑で、日本道路公団総裁の藤井さんからこういう答弁をいただいたんですが、天下り自体が悪いとは思わないということなんですね。  それでは、堤参考人にお伺いします。天下りについて、いい天下りと悪い天下りがあるのか。それから、天下りについて、これは人の問題なのか、金の問題なのか。そのことを具体的に説明していただきたいんです、実態を。
  64. 堤和馬

    参考人(堤和馬君) これはいいとか悪いとかといいますか、私は、公的な権限を使ってやっているということ、そして役所が再就職をあっせんするシステムがあることということからいうと、公的な権限を利用して自らの六十以降であればそういう老後を面倒見るということにつながりますので、私はその天下りのシステムというのは国民から見れば税金の無駄遣いそのものだというふうに思います。  道路公団の総裁のその話ですが、では、じゃ特殊法人の総裁に、じゃ旧建設省、国土交通省の幹部が来なければ経営ができないのかと、そんなことはないと思いますね。これはもう特殊法人労連をやっているときからもう繰り返し言ってきたことでありますが、なくてもできる。道路公団でいえば、もう五十年近くたっているわけですから、幹部の養成だけきちっとやればそれはできるはずです。  なぜできないようにしているのかといいますと、当事者、公団の自主的な権限がほとんどないわけです。まるきしロボット機関になっているわけです。そういう中で、経営感覚を磨くとか公共事業全般のそういう知識を吸収していくとかいうことにはなかなかならないわけですよね。  そういう特殊法人、特に建設、公共工事の関係特殊法人の場合は、もう本当に国の政策を執行するだけのそういう機関になっているという意味で、非常に幹部が育ちづらいと。我々も改革する提言というのを以前まとめたことがありますが、やはり自主的な権限の強化なくして改革にならないわけですね。  あと、透明性が確保されていないと、いつの間にか計画ができて、実際に造ってみたら大赤字になったと、責任も追及されないと、こういうようなやり方を特殊法人という経営体を公共事業の間に挟んで行ってきた、こういうやり方が行き詰まっていると、そういう中での天下りのシステムなんですね。  だから、ある意味で無駄遣いを人的に構造として進めていくということにつながっているのではないかと。特に、公益法人だとか、今も改革が叫ばれていますが、そういうところにいけば、もうなおさら役所がやっていた仕事をどんどんどんどん公益法人に出して自ら天下り先にしていくというようなことが公然と行われていると。そして、この公益法人が非常にすそ野広く厚く数千の規模で存在するようになってしまっているというようなことから見れば、その天下り構造は廃止をするということを目指していただきたいと思います。
  65. 田嶋陽子

    ○田嶋陽子君 お話聞いていると、どうしてもだからこの問題は監督官庁の問題だし、国土交通省の問題だし、国の在り方そのものの問題だしというふうに感じるんですよね。だから、民営化というのは、何かちょっと先ほど高木さんのお話でも、こうすればベターになるとのお話なんですけれども、非常に不安を感じるところです。  今のようなお話を伺った後で、もう一つ、こういう質問はどうかと思うんですけれども、できれば堤さんのお考えとして、いわゆる政財官の癒着構造を断ち切るためには、本当にどこをどうしたら一番いいんだろうと思われますか。
  66. 堤和馬

    参考人(堤和馬君) 一つは、やはり公共事業などを介して政治家に献金が渡ると。もう一つが、その公共工事、公然の秘密でほとんど談合でできているわけですよね。談合をして政治献金をする、その間に天下りが介在をするというシステムになっているわけです。一番典型的だったのは、北海道庁農政部が行った官製談合事件、二〇〇〇年の三月ぐらいに摘発されたやつですが、非常に明らかに三位一体の関係ができ上がっているわけですね。ですから、そこのすべてのところで歯止めを掛けなければ、その癒着を断ち切ることはできないと。天下りの問題もそうですし、政治献金の問題もそうですし、談合が起こらないようなシステムを作るということも併せて考えなければいけないと思います。
  67. 田嶋陽子

    ○田嶋陽子君 そうなると、やっぱり政治家が悪いということになってきて、いろいろと改革しなければいけないことが出てくると思います。(「政権交代だ、頑張れ」と呼ぶ者あり)はい、頑張ります。政権交代です。もうこんな中身のない法案のことで審議なんかさせられたくないと思います。国会は会期中で終われ。そこまでですが、顔洗って出直してきてほしいと思います。  次、五十嵐さんにまいります。  私は、その民営化推進委員会の独立性と多様性ということについて疑問を持っております。民営化前提にした新たな組織が委員会で審議されるということになるんですけれども、準備室も総務省と国土交通省出身者で占められるわけですね。このまま委員会の事務局体制も関係省庁出身者で占められるということになると、官僚主導ですし、第三者機関としての独立を持つことは非常に難しくなるんじゃないかと思うんですね。  それから、もう一つ多様性ということですが、これは私は女性学のことをずっとやってきましたから、内閣府に所属している男女共同参画社会方針にのっとって二〇%、三〇%の女性が入ってほしいというふうに思うわけですけれども、一方で年齢とか若い人だとか年齢構成も考えた方がいいと思いますし、先ほど五十嵐さんのお話ですと、やっぱり地元の人というもの、地方というもの、地方分権ということ、地方と国が対等でなければいい道路もできてこないという、改革もできないという、そういうお考えを持っていらして、そのお考えをこの推進委員会に生かすとしたら、どのようなメンバーを含められたらいいのか。ということは、いつもこういう委員会には似た顔ぶれの有識者とかいう人たちが顔を連ねていて、それを見るたびに私たちはがっかりしちゃうんですね。ああ、またこの方向でいくのかと。  もし、五十嵐先生がいろんなアドバイスをなさるとしたら、どんなふうな方式でやっていったらいいか、どんなふうなメンバーを入れたらいいとお考えになるのか、教えてください。
  68. 五十嵐敬喜

    参考人五十嵐敬喜君) どういう人選をするかというのは正に権力そのものだと私は思っています。小泉さんは最近、自民党を倒すか、自分が倒されるかということをしばしば言うようになりました。道路族議員、徹底的に反対する委員を七名並べてみたらいいと私は思っています。
  69. 田嶋陽子

    ○田嶋陽子君 ありがとうございました。  時間ですので、終わります。
  70. 黒岩宇洋

    ○黒岩宇洋君 無所属の黒岩宇洋でございます。  今日は参考人の皆様、本当にありがとうございます。  まず、高木参考人にお聞きいたします。  参考人のお考え方の中で、民営化の基本的な大前提事業採算性が高いこととあります。そして、加えて採算性観点からすると、日本道路公団以外はすべてマイナスという認識もお持ちのようです。そうしますと、この四公団一くくりの民営化というのは、事業採算性が高いと言えるのか否か。あわせて、又は採算性が高い民営化のスキームというのは一体どういうものがあるのか、お聞かせください。
  71. 高木勇三

    参考人高木勇三君) 採算性というようなことで四公団について改めて言及させていただきたいと思いますが、先ほどちょっと触れました行政コスト計算書のところで、民間ベースで作られている損益の数値を改めて申し上げたいと思います。  道路公団は利益が五千億です。首都高が約百億のマイナスです。阪神が四百億のマイナスです。それから、本四が千三百億のマイナスということでございます。それから、キャッシュフローを見ますと、先ほど道路公団九千億のプラスと申し上げましたけれども、首都高は七百億ぐらいのプラスです。阪神道が若干の、数十億のプラスというようなところです。それから、本四が七百億のマイナスということでございます。  というような状況でありまして、採算性という観点から見たときに、道路公団はそれなりの採算性が確保されている、首都高、阪神については損益の部分ではマイナスだけれどもキャッシュフローでどうにかプラスを保っているという状況で、採算性という観点からしますと、ぎりぎりの状況にあるというふうに言えるかと思います。本四は、先ほども冒頭の話の中で申し上げましたように、もう完全に採算性は割れているという状況でございます。  という中で、済みません、御質問のもう一点は、民営化するための……
  72. 黒岩宇洋

    ○黒岩宇洋君 一括で、事業採算性が仮に高くないとすれば、要するに四公団のくくり方、例えば個別の民営化であるとか、そういったようなスキームで採算性が高いような、そういったような可能性のある民営化のやり方というのはございますか。
  73. 高木勇三

    参考人高木勇三君) 本四につきましては、橋という部分でありまして、他ともちょっと財の性質が違うというふうに言えるであろうと。それからまた、今の財政、損益状況、それから成り立ちなどを考えますと、本四については私は区別して考えることが適当なのではないかというふうに思うところでありますし、ここの部分につきましては他の三公団と一緒にしますとますます債務償還性が困難になると思いますので、民営化するにしましてもかなり国民的負担というようなことも視野に入れていかなければならないのではないかというふうに思うところであります。  それで、首都高と阪神と道路公団でございますけれども、道路公団単体だけですとまだどうにかなる可能性はそれなりにあると、しかしながらこの三つが一緒になった場合に、先ほど堤先生の方におっしゃられた職員の問題もございますけれども、財政的にもその償還というふうな面にスポットライトを浴びせるとかなり長引いてしまう、ここのところをどのように考えるかというところが指摘できるのではないかなというふうに思うんです。  どうすべきかというようなところは今の段階で申し上げるだけの材料は持ってはおりませんが、問題点としてそのようなことを取りあえず指摘させていただきたいというように思います。
  74. 黒岩宇洋

    ○黒岩宇洋君 こだわるようですが、何せ前提採算性が高いと、こうおっしゃられているので。今お話を聞いていると、日本道路公団でさえぎりぎりだと。そういう中で言いますと、結論から言えば、民営化議論にも上らない、要するに民営化すべきでないと、私にはそう映るんですが、いかがでしょうか。
  75. 高木勇三

    参考人高木勇三君) 採算性が高いというのは、私の主張ではないことはお断りしておきたいと思います。これは昨年十二月の特殊法人等整理合理化計画の中での民営化の基本的な考え方というふうなところで示されておる言葉でございます。  私は、どちらかといいますとマネジメントに関しましてはかなりマージンを持って考えますものですので、どちらかというと保守的な考え方をしますので、先ほどのような表現をしているわけでございますけれども、道路公団と首都高、阪神道を三つ一緒にした場合にはまだ考え得る余地があるかなというふうに、この一緒にしたところでの民営化というのを考える余地があるかなというのが一点でございます。  それからもう一つ、首都高と阪神道につきまして公的な負担を別途用意する、その上での民営化というふうなスキームが考えられるかというふうに思います。
  76. 黒岩宇洋

    ○黒岩宇洋君 分かりました。  そうしますと、整理合理化計画に基づくと余り民営化には即さないということになるんでしょうか。
  77. 高木勇三

    参考人高木勇三君) そこのところは私には分かりませんです。整理合理化計画の方で、先ほどのここのレジュメのⅡの方に書かれておりますし、それからまた整理合理化計画の方で四公団についての民営化検討がうたわれているわけでございますので、私の方で意見を述べる立場にはないと思っております。
  78. 黒岩宇洋

    ○黒岩宇洋君 ありがとうございました。  そうしましたら、五十嵐参考人にお聞きいたします。  今回の民営化推進委員会なんですが、意見、勧告を出すというその文言はあるんですが、どうも実効性の担保がないのではないか。もっと言ってしまえば、この民営化推進委員会の実際の実権というのは一体どこまであるのかというのが大分再三再四、当委員会でも議論されましたけれども、こちらの「世界」の論文でも長野委員会についても触れられていらっしゃいます。  先生の見解で、できましたら、その三条委員会の格上げがなくてもこの意見や勧告というものが実効性を持てるような、そういう委員会の在り方についてお聞かせいただけますでしょうか。
  79. 五十嵐敬喜

    参考人五十嵐敬喜君) 長野でもそうでありますけれども、その委員会の権限や性格をめぐって、非常に生き物だなという感じがします。これは三条委員会、八条委員会というその根拠規定もありますが、それ以上に、だれがどのように運営するかというのが非常に大きいなと思っています。  私自身は民営化委員会について少し期待しております。その前提は、小泉内閣内閣を挙げてサポートすればかなり権威も出てくると思います。ただ、中身が、例えば情報公開できないとか、いろんなトラブルが出てくれば一挙に駄目になるということがありまして、権威と正当性を保つためには、内閣挙げてバックアップすることと、デュープロセスと言っているんですけれども、民主的手続を実践することだと私は思っております。
  80. 黒岩宇洋

    ○黒岩宇洋君 ありがとうございます。  一つ、あと細かいところなんですけれども、こちらの論文で、一番最後なんですが、住民投票等触れて、「民営化委員会の答申がそれにふれた時、官支配の政治が一挙に国民主権の政治に転換する」というこの「それ」というのは住民投票だと思うんですが、ここで具体的に、この住民投票にどのように触れると、どういう形で委員会が触れるとおっしゃるような「官支配の政治が一挙に国民主権の政治に転換する」という形が取られるのかをちょっとお聞かせください。
  81. 五十嵐敬喜

    参考人五十嵐敬喜君) 個別道路を具体的に念頭に置きまして、これを、道路を継続するかどうか、あるいは継続主体として道路公団にするか何々株式会社にするかということに関しまして、あらゆるデータを出して考えたときに、絶対どちらが正しいというのはなかなか難しいと私は率直に思います。  実際に、長野県でダムをやるかやらないかについても、非常に実際は利害を含めまして僅差です。いろんな意見があります。そのときに、何が正しいかということを委員をやっていてもしばしば迷いまして、最終的には国民がこういう形で欲しいと言うかどうかというのが審判だと私は思っているわけですね。  そういう意味で、例えばこの道路について、ある何とか道路だといったときにこれどうするかということで国民投票に掛けよう、その流域住民を含めまして、といったときには、つまり、今までの言っていた建設省、今国土省ですけれども、国土省が国幹審で決めるというものと全く違った、決定者が完全に変わるということになるわけです。  しばしば委員をやっていますと、いろんな議論がふくそうしています。最終的にはこれは国民投票がいいかなと私は時々感じるんですけれども、そういうふうに、もし今回の民営化委員会が、これだけの材料をやっていろいろ議論したけれどもこういう意見がある、それをその流域住民、沿道住民で決めてくれと言ったら、がらっと日本の政治の風景が変わるし政治システムが変わるし、日本が変わるということだと理解しているということです。そういう時期に近づいてきていると私は思っています。
  82. 黒岩宇洋

    ○黒岩宇洋君 ありがとうございました。  そうしましたら、堤参考人にお伺いします。  参考人は、特殊法人改革、人の面からも論じていらっしゃいますけれども、先ほど天下りの禁止、天下りがなくても組織の運営はできるんじゃないかと。逆の言い方で、天下りの禁止をすると特殊法人改革すなわち組織自体は改善されるんでしょうか。
  83. 堤和馬

    参考人(堤和馬君) 例えば、今の特殊法人、例えば道路公団などのシステムをそのままにして、もう政策は国が作る、公団はただやるだけということから見れば、元の政策がうまくないということであれば公団が今のまま存続している限りうまくいかないと。これは、天下りを禁止しても禁止しなくても、今の高速道路を造り続ける特殊法人のシステムがある限りはそんなに大きくは変わらないと思います。  しかし、問題なのは、特殊法人などに天下りをした高級官僚たちが、じゃ次にはどこへ行くのかということの方が問題なわけですよね。そこで経営者としてずっとやっていくんだったら大して問題はないんだと思います。しかしながら、次々に渡り鳥をして、道路公団総裁をやったら道路施設協会の理事長をやって、次に何とかをやって、みたいな形でやっていくことが非常に腐敗やそういうものの温床になっているということからいえば、その渡りをすることも含めて全部規制することがこの問題では重要だというふうに思います。
  84. 黒岩宇洋

    ○黒岩宇洋君 続いて堤参考人にお聞きしますが、やはりこの特殊法人改革という場合、その職員の意識改革、実は余り触れられていないんですが、大変私は重要なことだと思っております。  先ほど、実は、行政改革で雇用の不安があると答えた方が八〇%というところで私、ちょっと、つくづく考えたんですが、私事で恐縮なんですが、私、ついせんだってまで介護福祉の本当に小さな中小企業に勤めておりました。昨今も、ボーナスの時期になると、ボーナスすら出ないんじゃないかといううわさも駆け巡るような会社でして、私自身は事業計画等を立てる役割もしておりましたので、都市銀行に掛け合って自分の事業採算性を訴えて金を貸してくれとやっておったんですが、ほとんどいつも審査ではね付けられ、このままでは会社はもうつぶれるんじゃないかという、そういう危機感をいつも抱いていました。  私は、雇用が失われる必要は決してありません、いつ倒産するかという不安までも要らない、ただ、やはり仕事をしている限り、何らかの危機意識というもの自体はその後の仕事を一生懸命やるモチベーションになるものだと思っております。  そこで、いずれにせよ、雇用について言えば、これは労使の内部の話なので、これから重要なのは、その法人と新しい会社のお客様、対外部との関係、これが一体どうなるのか。道路公団でいえば、やっぱり道路を利用するお客様ですから、堤参考人、以前特殊法人におられたとおっしゃっていらっしゃったので、その内部から見て、果たして市場ないしはお客様に評価される組織になるには意識改革としてはどのようにあるべきかとお考えか、お聞かせください。
  85. 堤和馬

    参考人(堤和馬君) まず、雇用の確保の点で言いますと、確かに民間企業だとか福祉法人、大変なところがたくさんあるんだと思いますが、特殊法人の職員で一番困るのは、自分たちがやっている、そういう勤めている法人の将来について自分たちが責任を持てないわけですよね。政治の場で決められるということなんですよ。ここが一番普通の会社などと違うところで、そこで幾ら労働協約でいろんなことを決めたとしても、結局国が決めてしまえば、統合しろ、民営化しろということになれば、その協約はほごにされるわけです。  特殊法人の職員は、公務員と違いまして労働三権というものがありまして、ストライキ権まで含めてあるわけです。これは、もう民間企業の労働者と同じそういう権利が与えられているわけです。しかしながら、最大の雇用問題について自分たちの交渉相手さえはっきりしなくなる、新しく法人ができるということになれば、要するに、法人の内部で幾ら交渉をやってももう政治の場で次のことが決まっているわけですから雇用確保の相談はだれにしたらいいのか、労働組合であれば雇用を確保するのが最大の使命になりますから当然やるわけですが、そういう窓口もないという、その交渉するときのルールも確立していないという状況にあるわけですね。そういう点からいっても、この特殊法人改革が始まると非常に雇用不安になるというのが基本的にあるわけです。  もう一つ、じゃ、お客様や職員の意識改革についてということなんですが、以前、特殊法人労連をやっていたときにいろいろ、九四年ぐらいだったと思いますが、アンケート調査をやったことがあるんですが、特殊法人の職員というのは、元々就職するときに、やはり国民の役に立とう、役に立ちたいということから就職をする方が非常に多いんですよね。ですから、公共的な仕事をしているわけですから、ここを通じて国民に役に立つ、そういう法人になってもらいたいということが最大の願いなわけで、今のように、やればやるほど赤字が出て、いろいろなものを造れば国民に反発されるというような事業であるのは望まないところなわけですよね。  そういう意味では、そういう政策の中身も含めて、要するに職員が生きがいを持って仕事に当たれるような、そういう政策の遂行機関として生まれ変わることが非常に大事なんじゃないかというふうに思います。
  86. 黒岩宇洋

    ○黒岩宇洋君 三人の先生方、どうもありがとうございました。  終わります。
  87. 佐藤泰介

    委員長佐藤泰介君) 以上で参考人に対する質疑は終了いたしました。  参考人方々には、本日は大変御多忙な中、貴重な御意見をお述べいただきまして誠にありがとうございました。委員会を代表して厚く御礼申し上げます。(拍手)  午後一時三十分に再開することとし、休憩いたします。    午後零時二十六分休憩      ─────・─────    午後一時三十分開会
  88. 佐藤泰介

    委員長佐藤泰介君) ただいまから内閣委員会を再開いたします。  委員異動について御報告いたします。  本日、森本晃司君が委員辞任され、その補欠として続訓弘君が選任されました。     ─────────────
  89. 佐藤泰介

    委員長佐藤泰介君) 政府参考人出席要求に関する件についてお諮りいたします。  道路関係公団民営化推進委員会設置法案の審査のため、本日の委員会政府参考人として、内閣官房道路関係四公団民営化推進委員会設立準備室長坂野泰治君、総務省自治行政局選挙部長大竹邦実君、国土交通省道路局長大石久和君、環境省環境管理局長西尾哲茂君及び同自然環境局長小林光君の出席を求め、その説明を聴取することに御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  90. 佐藤泰介

    委員長佐藤泰介君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。     ─────────────
  91. 佐藤泰介

    委員長佐藤泰介君) 次に、参考人出席要求に関する件についてお諮りいたします。  道路関係公団民営化推進委員会設置法案の審査のため、本日の委員会参考人として、日本道路公団総裁藤井治芳君の出席を求めたいと存じますが、御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  92. 佐藤泰介

    委員長佐藤泰介君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。     ─────────────
  93. 佐藤泰介

    委員長佐藤泰介君) 休憩前に引き続き、道路関係公団民営化推進委員会設置法案を議題とし、質疑を行います。  質疑のある方は順次御発言願います。
  94. 岡崎トミ子

    岡崎トミ子君 民主党・新緑風会の岡崎トミ子でございます。どうぞよろしくお願いします。  国会に送り出していただきましたときに、最初委員会に所属をいたしましたのは環境委員会でございました。たくさんの公共事業がやはり環境破壊を招いているという中で、なかなか議員が関与して公共事業の決定がなされていないということに気付いて、九四年あたりからでしょうか、公共事業コントロール法、国会が関与をして、そして決めていくことが大事ではないかと、そんなことにも取り組んでまいりました。公共事業チェック機構ということで、私たち割と若手が集まったということもありまして、十年以上前のことですので、あれから考えますと、BBC、ビシバシチェッカーズなんというのも作りまして、びしびし公共事業はチェックしていこうと。それが今超党派でもって公共事業チェック議員の会というふうになっているわけなんですけれども。  公共事業は、確かに市民生活に潤いを与えたり、あるいは生活を快適にするという点で大変効果があると思います。経済効果もあったし、雇用も生み出してきたと思います。しかし、マイナス面もあって、第一に環境破壊ですね。次いで、莫大な費用を投入するということで国と地方の財政を圧迫してきたということがあります。そして、今日も参考人質疑、参考人方々の御意見をお伺いするということで午前中行われたわけですけれども、その中でも指摘をされました政官財のトライアングルで癒着の構造から腐敗も生み出してきたと。道路も、これも当てはまる問題だということで、今日は午前中の中で参考人の厳しい御指摘もございました。  政策転換にはこうした問題への視点が反映されなくてはならないというふうに思います。今回のこの道路に関しましても、民営化、この改革は未来の子供たちがあのときの政策転換が本当に良かったんだなと将来思えることが大変大事だと思っております。そういう意味で、私ども政治家の大きな役割、責務というものが大変重いというふうに考えているところでございます。  民主党は、この公共事業に関しましては、ダムというものが一番環境破壊で、これがずっと砂が堆砂していきますと丸ごと産業廃棄物になっちゃうというようなことで、これは現在のダムの造り方から緑のダム構想ということを発表しましたり、その後でポスト公共事業の在り方ということで、これは公共事業基本法案というものも昨年作りました。  その私どもの公共事業基本法の基本理念でありますけれども、これは大臣、お聞きいただきたいと思います。  一に安全で質の高い国民生活の実現、産業の生産性の向上、環境との調和、二つ目に地域の実情に応じて地域住民の理解の下に行われること、三つ目に国が実施する事業を地方公共団体ではできない広域的な事業に限定すること、四つ目に財政の健全性に最大限の考慮民間の能力の活用、最少の費用、最大の効果を上げよう、そして五つ目に環境の保全、六つ目に社会経済情勢に対応すること、七つ目に情報公開、説明責任国民の参加、これを掲げて提案をしているわけですけれども、これ、十六本の公共事業の中で道路整備事業というのは、もう公共事業の中でも横綱格というふうに言われていますが、この道路事業公共事業の中で非常に大きな位置を占めているという点で、大臣、ただいまの私どもの公共事業基本法のこの理念についてどのようにお考えになるのか。  道路問題は、小泉改革においても大変重要な課題だというふうに私も受け止めておりますけれども、この公共事業基本法から考えまして、大事な点をたくさん今列挙いたしましたけれども、この点についての大臣の御見解をお伺いしたいと思います。
  95. 石原伸晃

    国務大臣(石原伸晃君) ただいま岡崎委員が、御党が提出されております公共事業基本法案の理念について意見の御開陳があったわけでございますが、四項目でございますか──七項目でございますか、大筋におきまして正に共通の認識を私は持っていると思っております。  また、特に委員が初当選のとき環境委員会に籍を置かれたということでございますが、私も前職、環境委員会筆頭理事をやっておりまして、これまではともかく作って利便になればいいということで、高度成長の時代、日本がやってきたわけですけれども、それによりまして、多くの生息する自然の動植物が絶滅の危機に瀕しているということも実は日本の国内でも起こっておりますし、ヨーロッパの方では、やはり河川が日本とまた違いまして、河川の洪水によって川が変わることにある程度自然に任せようと、そういうことももうヨーロッパの方では起こっている。そういう世界の流れの中で、これまでのとおり、ともかく人間の利便性だけを求めて物を作っていくということには、やはり成長、環境が保持されたまま人類が成長していけることができるのか、生存していけることができるのかという観点からも、いろいろな問題があるということを私も強く感じております。
  96. 岡崎トミ子

    岡崎トミ子君 ありがとうございます。  これからの民営化推進委員会のことについてなんですけれども、人選が重要なのは指摘をされておりまして、優れた見識を持ち、そして改革の意欲に富んだ人が選ばれるということですけれども、この方たちが十分に力を発揮する、そのためには事務局の在り方が大変重要だというふうに思います。  各省庁から職員が集められることが想定されておりますけれども、どういう集め方がされるのか、委員の意向が事務局の人選構成に反映されるのかどうか、お伺いします。
  97. 坂野泰治

    政府参考人(坂野泰治君) 事務局の職員構成につきましては、法案の成立後、その施行時までに人事その他、各般の準備をいたしたいというふうに考えておるわけでございまして、現在、具体的にまだ申し上げられる段階にはないわけでございますけれども、これもかねて申し上げておりますとおり、事務量等を想定いたしますと、やはり一定規模の職員数を維持する必要があるというふうに考えておりまして、その場合、厳しい定員事情を考えますと、可能な限り関係省庁などからの併任ということによって対処せざるを得ないのじゃないかというふうに考えておるわけでございます。  事務局がどのような構成になるにせよ、この事務局は正に委員方々の審議を補佐する、審議が円滑に進むように必要な資料その他を準備する、そういうために設置されるものでございますし、職員もそういう点で出身その他を離れて事務局の職務に邁進すべきものというふうに考えておるわけでございます。
  98. 岡崎トミ子

    岡崎トミ子君 午前中の参考人五十嵐敬喜先生は、人事は権力だというふうに表現されておりましたけれども、現在仕事をしております委員会の設立準備室、これが拡充されて事務局とされるのかどうなのかお伺いしたいと思いますが。  実は私、どんな人たちがということで昨日この資料をちょうだいいたしました。準備室の職員構成であります。この構成を見ますと、まず室長は総務省の御出身でございますが、十四名の事務局の準備室の構成のうち何と八名が国土交通省の出身でございます。その中で道路局、これは三人です。道路局から三人。それから本四、本州四国連絡橋公団監理室、ここから二人。二人のうち一人は監理室長というふうになっておりまして、あとは総務省の出身が三名、財務省の出身が一名、非常勤で民間の人が二人となっておりまして、これはもう国土交通省に偏り過ぎているというふうに私は思うんですが、これは国民の目から見ますと信頼に欠けることにならないか、私は大変心配です。  ただいまのお話では、各省庁から出身、出ていって、そしてそこにはもう全く出身地のことを忘れるような形で仕事をするんだというようなニュアンスでお聞きしたんですけれども、ここはどうでしょうか、この人選に関して。
  99. 坂野泰治

    政府参考人(坂野泰治君) 現在、準備室におります職員はただいま委員御指摘のようなメンバーで構成をしておるわけでございますが、これが全員そのまま事務局に移行するかどうかはなおこれからの人事判断その他も必要であると考えておりまして、現時点で確定的なことを申し上げる段階でないことは御理解をいただきたいと思っております。  また、関係のある省庁から出向等の併任でやらざるを得ないじゃないかということを申し上げましたが、これについてもできるだけ関係のある省庁から幅広く人材を求めたいというふうに考えておるわけでございます。
  100. 岡崎トミ子

    岡崎トミ子君 今日は午前中の質疑の中で、これは審議会でもないし委員会が決定したわけでもないし、これは準備室なんですけれども、このメンバー見ただけでもははんと、そういうふうに想像できるんだというようなことを田嶋陽子さんはそんなふうにおっしゃっておりましたけれども、私もははんというふうに思いたくなっちゃうんで、是非そうならないように申し上げておきたいというふうに思います。  この過程を明らかにしながら議論することが大変重要だと思うんですけれども、委員会の公開と議事録の公開、それから資料の公開、これは大変重要だというふうに思います。それと省庁からのヒアリングのメモはすべて公開すべきだと、こういうふうにすることによって、ははんと言われないというか、納得というふうに言われるようになるだろうと思いますけれども、大臣、いかがでしょうか。
  101. 坂野泰治

    政府参考人(坂野泰治君) 委員会の運営につきましては、この委員会のみならずいわゆる審議会一般につきまして、原則として会議又は議事録の公開を行うことという方針を定めておるわけでございます。会議に使用いたしました資料も、この原則の下において、運営の透明性の確保の観点からできるだけ公開をすべく各審議会等でいろいろ取り扱われておるところと承知をいたしておるわけでございます。  したがいまして、このような考え方の下に、具体的な方法については委員会の発足後、委員会において御検討いただくことになると思いますが、重ねて申し上げますが、委員会の運営の透明性の確保については政府としても既に方針を持っておるわけでございまして、その方針にのっとって対処いたしたいと考えておるわけでございます。
  102. 石原伸晃

    国務大臣(石原伸晃君) ただいま坂野室長から答弁させていただきましたように、具体的には委員会の人選が行われ、集まられた方の中で委員長が互選で決められて、委員長の御指示をいただきながらできる限り公開していくという形になると思いますが、岡崎委員がははんといい意味で言っていただけるように努力をさせていただきたいと思います。
  103. 岡崎トミ子

    岡崎トミ子君 よろしくお願いいたします。  特殊法人の改革事務局というのは事務局案とそれから各省庁の意見を対比した資料を公表しているんですね。少なくともこうした先例より後退すべきではないというふうに考えております。  利害が対立するあるいは微妙な問題ほど漏れなく明らかにすべきだというふうに思いますが、こうした資料はこの内閣委員会に報告をして、更にホームページに掲載する、広く一般の人たちの目に触れる形で公表すべきだと思いますが、この点については石原大臣、いかがでしょうか。  思いっ切り政治家の御答弁でお願いします。
  104. 石原伸晃

    国務大臣(石原伸晃君) 具体的な方法については委員の人選を待ってということになりますけれども、ホームページというだれでもがアクセスできるところに可能な限り情報を提供するということは行政の側の大切な仕事だと認識しております。
  105. 岡崎トミ子

    岡崎トミ子君 追い打ちを掛けるようですけれども、地域住民が参加をするということが大事だということは私もいろんな委員会の中で言ってまいりました。環境委員会の中でも、この国土交通省の前の建設委員としてもいろんな意見を言ってきました。とにかく住民参加あるいは国民が参画する、計画の段階からこういうことについて参画すればいろんな問題が起きないのだということを言ってまいりましたけれども、このパブリックコメントというのもお願いしたいんですね。  でも、実はこれがスタートしますと、今年のうちにもう決定していかなきゃいけないというのもあって、時間が本当少ないんですけれども、パブリックコメントについてはいかがでしょうか。これはお願いをしたいと思います。
  106. 熊代昭彦

    ○副大臣熊代昭彦君) パブリックコメントの御要求がございましたけれども、委員会でどのように審議していただいて、どのようにコメントをいただくかというのは委員会でお決めいただくということになるわけでございますけれども、御指摘のように、地域住民の関心が非常に高いということは私どもも十二分に承知しておりますので、また、公正な審議が確保される観点からも、広くいろいろな御意見をお伺いしなければならないということは考えているところでございます。  パブリックコメントも一つの方法でもございましょうが、それに加えまして、地域の関係者のヒアリングとか、それから地方公聴会の開催などもお考えいただくということになると思いますが、具体的には委員会発足後に御検討いただくということになると思います。
  107. 岡崎トミ子

    岡崎トミ子君 地方の声を聞けというふうに言われておりますけれども、ただいまお触れになりましたようにヒアリング、公聴会の可能性があるわけですね。この地方の意見とは何かということが非常に大事だというふうに思います。つまり、二つの声があって、例えば議員関係とか首長とか、そういうところははっきりと大きな声で国に対しても物を言うことができるけれども、声が小さくて、思っているけれどもなかなか表現できないという声なき声というのもあるわけなんですが、そういう声も聞いていかなきゃいけないと思いますし、それからこの委員会に対して公正な議論ができるように、是非とも大臣には環境整備、極力いろんな、しにくい議論にならないような、環境整備というのは物すごく大事にしていただきたいというふうに思うんですね。  ところで、今までに、去年のこれは内閣府の調査でありますけれども、町村に限った数字ですが、アンケートを取りました。これまでは都市の人たちだけが見直しが必要だというような声が聞こえてきているように思われておりましたけれども、町村に限ってのアンケートの数字をもう一度私は申し上げたいというふうに思います。  充実すべき交通施設は何ですか。第一位が日常生活、通勤通学などで使う交通ということで、四四・六%ありました。次いで地域の主要都市を結ぶ交通、二三・八%で、全国を結ぶ幹線高速交通というのは一〇・三%でございました。それから、高速道路の拡充の必要性というのでは、必要があると言った人が三五・三%ですが、必要がないという方が上回って四四・四%でございました。  こうした地方の意見というのは、大変にだれに聞くのかということが重要だと思います。つまり、知事に聞けば、これは絶対必要だというふうにして何が何でも造らなくちゃという、こういう意見になりがちでありますけれども、そうじゃないというこのアンケートの結果がここに出ておりますけれども、大臣のお考えになります地方の意見というのはどういうものでしょうか。
  108. 石原伸晃

    国務大臣(石原伸晃君) 先ほど熊代大臣から御答弁ありましたように、具体的には委員会委員方々に基本的方向性を決めていただくことになりますけれども、ただいま委員が御指摘されましたように、首長さんが地方の声のすべてを代表しているとは考えておりませんし、様々な公聴会、小泉内閣ではタウンミーティング等も開かせていただいておりますが、そのときは会場の方からアトランダムに意見を拝聴するという形で、地方の生の声というものも十分に配慮をさせていただいているところでございます。
  109. 岡崎トミ子

    岡崎トミ子君 よろしくお願いをいたします。  これまでの審議を聞いておりますと、民営化推進委員会の仕事には縛りが多過ぎるというふうに思いました。総理の最初の意気込みから懸け離れて、民営化推進委員会は新しい組織の在り方と採算性ということが大きく議論をされてきたのではないかというふうに思いますし、その新しい組織の在り方と採算性のみを議論するものに矮小化されているという心配もございます。  この整備計画で決定済みの九千三百四十二キロメートル、さらに事業許可済みの一般有料道路事業について、少なくともすべて建設するということを前提とはしていないということを確認したいと思います。国土交通務官、まず。
  110. 菅義偉

    大臣政務官(菅義偉君) お答えをいたします。  高速自動車国道につきましては、先生御案内のとおり、昭和六十二年に衆参両院全会一致で国土開発幹線自動車道建設法というものが実は成立をいたしております。これに基づいて一万一千五百二十キロメートルが定めておられるところでありますし、また、この整備計画の九千三百四十二キロメートルにおきましては国幹審の議を経て定められているのでありまして、この整備計画前提に、私どもは、インターチェンジへのアクセス道路等の整備や物流拠点開発、宅地開発など各種の開発計画等が現に進められております。  そういう中で、このような効果が期待される自動車国道につきましては、広域的な連携による地域の自立促進、活力ある地域社会の形成に不可欠な根幹的施設であり、その計画に基づいて整備が必要であるというふうに思っておりますので、御理解をいただきたいと思います。
  111. 岡崎トミ子

    岡崎トミ子君 ということは、ほとんど造るというふうに言ったと同じというふうに思いますが、衆議院の方で私ども民主党の前原議員が質問をしておりまして、その中で小泉総理は、九千三百四十二や一万一千五百二十のうち新たな組織でできないものは国が税金でやるというのでは民営化を目指している趣旨と違うのではないかということで、この質問に対しては、どうしても必要な道路であれば財政状況あるいは必要度を勘案して造るべきだというのがこれ総理の考え方でありますが、石原大臣、いかがでしょうか。
  112. 石原伸晃

    国務大臣(石原伸晃君) 私は行革担当大臣でございますので、こういう頭の整理をさせていただいているんでございますが、高速道路を造る、有料道路という形で造るんであるならば、組織形態はこれから変わってくるわけですけれども、新たな組織が確実に借りたお金、債務償還できる、採算性を確保できるように、やはり新規の投資というものには一定の歯止めを掛けるということが大切であるという認識の下に、償還期限に対してこれまでは三十年、四十年、四十五年、五十年と延ばしてきましたけれども、五十年を上限として合理化等々で短縮を目指す、新たに税金であるところの国費は投入しないということを決めさせていただいたわけであります。これによって、計画は、先ほど建設大臣政務官の方から御答弁ありましたように、九三四二も一一五二〇と言われる計画も今残っていることは事実でございますが、歯止めが掛かると、そういうふうに考えております。  そしてまた、総理がおっしゃられたことは、やはり先ほど委員採算性だけにとらわれない、採算性だけにとらわれた矮小化された議論はあってはならないという御指摘がありましたことにも代表されますように、やはり地域事情、ニーズというものにも配慮をする部分はあると思いますが、私は、くどいようですが行革相でございますので、新たな組織がお金を借りて造る、有料道路方式で造るんであるならば必ず返せるような形にしていかなければならないと考えております。
  113. 岡崎トミ子

    岡崎トミ子君 国土交通省、ただいまの石原大臣のお考えを伺って、お分かりですね。うんとうなずかれましたけれども、言葉で言って、議事録に残したいと思います。
  114. 菅義偉

    大臣政務官(菅義偉君) 私どもは、先ほど来申し上げておりますけれども、この法律に基づいて今整備をしていくのが私どもの役割であるというふうに理解をしておりますので、このことにつきましては、この委員会の中でいろんな方向性が出てくると思いますので、それを見ながら私どもとしては検討していきたい、これは当然のことであると思っています。
  115. 岡崎トミ子

    岡崎トミ子君 ありがとうございます。  道路改革に消極的な立場からは、道路建設を採算性の面からのみ評価することに反対する主張がされておりますし、採算性が悪くても必要性が高いから建設すべきだという議論が出た場合に、この必要性の中身が問い直される必要があるだろうと思います。往々にしてその経済的な効果が過大評価されるという傾向がありますので、これは是非評価の手法も含めて見直されるべきだというふうに思います。また、そのほかに、利便性の向上ですとか地域開発など、道路の副次的な効果の評価の仕方を見直すべきだというふうに思います。  それから、道路の副次的な効果の評価の在り方を見直すに当たっては、重要な視点はどんな点にあるというふうにお考えでしょうか。石原大臣にお伺いしたいと思います。大臣、お答えを願います。
  116. 佐藤泰介

    委員長佐藤泰介君) じゃ、道路局長の後、大臣、補足をお願いします。
  117. 大石久和

    政府参考人(大石久和君) 道路事業に関する評価についてお尋ねでございますが、我々は平成九年度より、例えば新規事業の採択時には評価システムを導入してまいりました。その際の評価項目として我々が掲上いたしておりますものは、経済的な効果はもとより、救急医療などの公共サービスの向上、それから災害時の代替路の確保、土地利用の高度化など、多様な効果があるというようには考えながら、しかしこれが定量的な測定が難しいということから、例えば、走行時間の短縮便益あるいは走行経費の減少便益、交通事故の減少便益等を計算いたしまして、これを基に費用便益分析をやっておるところでございます。  しかし、今、先生からもお話ございましたし、私先ほど申し上げましたように、道路の整備効果は、このような直接的に貨幣でカウントできるもの以外に、例えば高規格な道路一般道路から交通を導入することによって沿道の騒音あるいは排気ガスの減少といったようなことが考えられるわけで、そういう環境効果でありますとか、あるいは住民生活に対する交流機会の拡大、あるいは地域分断を緩和するといったような効果、あるいは地域経済に対する影響として雇用創出効果等々が考えられております。  諸外国ではこのようなことをカウントしている部分もございますが、私たちは、現在では、直接的に走行時間の短縮でありますとか走行費用の減少といったものをカウントいたしております。今後、道路事業に対する評価につきましては、多角的に検討していく必要があると考えてございまして、諸外国のこのような先行事例も考慮しながら、更に道路の整備効果について幅広い検討ができるよう研究を加えていきたいと考えております。
  118. 岡崎トミ子

    岡崎トミ子君 私が今のこの質問をいたしましたのは、大臣にどんなことを答えてほしいのかというので、別に私が大臣に代わって言うわけではないんですけれども。つまり、効果の内容が住民の価値観に沿ったものであるということ、そして効果によるその恩恵の及ぶ範囲、負担とのバランスの観点からも公正であるということ、それから客観的に妥当な指標に基づいて評価されるということが大変重要だというふうに私どもではお答えを用意しているわけなんですけれども、大臣、こういう点でございますけれども、いかがですか。
  119. 石原伸晃

    国務大臣(石原伸晃君) ただいまの岡崎委員の御指摘は道路全般に対する評価ということでありまして、道路行政を担当しておりますのが国交省の道路局長であるということで、道路局長の方からこの評価の難しさ、また委員御指摘のような点をこれからいかに評価に入れていくかというような説明があったわけですけれども、個人的には、やはり幹線道路、A地点、Aという大都市とBという大都市を結ぶ幹線道路であるならば客観基準というものは割と明確に出てくると思うんですが、一般道で言いますと、非常に地域的な客観性みたいなものが全国まちまちになってくる。すなわち、それを利用する人が限られてくるとその利用者の主観というものが総体として客観的な意見になりがちなことが私は多いんじゃないかと。日本全国やはり聞いて歩かなきゃいけないということで歩いた結果、そういう印象を強く持っております。そういうものがいかにナショナルワイドで公平公正であるかということを努めていくということがまた道路行政全般の重要なポイントであると認識しております。
  120. 岡崎トミ子

    岡崎トミ子君 そこで、その個別道路なんですけれども、個別道路が必要であるかどうかということ、建設の意義を最終的に判断するのは地域住民であるべきと考えているわけですけれども、住民の価値観に沿う判断がされるかどうかというのは、最終的には住民が決めるんだよというそのことを担保されるかどうかということをお聞きしたいわけなんですね。  つまり、必要だということについての物差しはどこで当てるのか、だれが当てるのかによって当然いろいろ変わってくるわけなんですけれども、住民の価値観に沿うもの、個別道路のことに関して、今回はそうじゃないというふうに言わないで、国幹会議の方でそっちの方はやっていくんだということでしょうけれども、つまりそこまで入れないとこの民営化というのは本当は完結しないんだろうというふうに思いますので、この点に関してはいかがでしょうか。
  121. 菅義偉

    大臣政務官(菅義偉君) 今日までも、道路事業の実施については住民参加というものを幅広く情報公開を行うことによって意見を聞いて行ってきたところでありますけれども、さらに、昨年の十月に国交省において学識経験者で構成する道路計画合意形成研究会、ここにおきましての提言をいただきました。それは、計画決定手続の透明性、客観性を確保するために、構想段階、これは初めてのことでありますけれども、にあるすべての高規格幹線道路を対象にパブリックインボルブメント、いわゆる市民参加を行うことが必要であると、こういう提言をいただいておりますので、これに基づいて取り組んでおるところであります。
  122. 岡崎トミ子

    岡崎トミ子君 小泉内閣は聖域なき構造改革ということで、そういう観点に立ちますと、改革の立場で変更やあるいは見直し、廃止ということが視野に入れられるのだというふうに思うんですが、既にこれまでの議論でずっと議事録などを見ますと、都市計画決定がされているところが多いので見直しができないという議論がございました。  この都市計画決定そのものが地域で多くの問題を引き起こしているケースが少なくありません。確かに、現行制度ではいったん都市計画決定がされると覆すことができないというふうになっておりますけれども、こうした問題を含めた見直しこそ、やはり小泉内閣の聖域なき構造改革の最初の実践であるというふうに私は言えると思うんですけれども、是非とも、制限ですね、権利制限に対する仕組み、それを考えて、万が一これが廃止になったり見直しになったりしていろんな問題が引き起こされてきたときにそうした前向きの研究というのが大事になってくるのではないかと思いますけれども、権利制限に対する研究の、補償の仕組みですね、この点に関して御意見をお聞かせいただきたいと思います。
  123. 菅義偉

    大臣政務官(菅義偉君) 国土交通省といたしましては、去る三月五日に社会資本整備審議会道路分科会を開催をしまして、今日までこの分科会で六回ほどこの道路の在り方についての勉強をされておるわけでありますけれども、これであと四回ですか、十回ほどこの分科会を開催をしていただいて、その提言を実はいただいて、それに基づいて私どもとしてはいろんなことを考えていきたいと、こう思っております。
  124. 岡崎トミ子

    岡崎トミ子君 次は、石原大臣にこれはお聞きしたいと思いますが、優先順位の基準を作るということになっておりますが、道路採算性ばかりではなくて環境というものに関しての、環境の負荷ですね、社会的な影響を判断基準に含めるべきではないか。判断基準の考え方です、環境の負荷ということに関してお伺いしておきたいと思います。
  125. 石原伸晃

    国務大臣(石原伸晃君) 委員の御心配は、組織形態が変わった後に採算性ばかりをこの委員会が提言して、採算性を重視して環境対策がおろそかになることがあってはならないという立場に立たれてのただいまの御質問と聞かせていただいたわけでございますが、道路関係公団民営化を目指しております。そして、今、民間の企業の間では環境基準の、岡崎委員には釈迦に説法でございますが、ISOの14002を私立の学校も取得したり、プロダクトを作っている生産工場自体もこれを取っているんだということを、よく何々工場の門のところに張ってあるように、やはり民間企業として地域にあるいは社会に認知してもらうためには自分たちがいかに環境保全に努力しているかということを自ら宣伝する。そうしないと、受け入れられないというのが今の流れだと思っております。  そういうことを考え合わせますと、民営化される組織、新たな組織形態が必要な環境対策というものはこれまで以上に適切に取っていくと考えられますし、また取っていかなければならないと認識しております。
  126. 岡崎トミ子

    岡崎トミ子君 ありがとうございました。  現在、高速道路の沿道で環境基準を満たしていないというのはどういうところか、環境省にお伺いします。
  127. 西尾哲茂

    政府参考人(西尾哲茂君) 道路沿道におきます環境基準の達成状況のお尋ねでございますが、平成十二年度の全国の自動車排出ガス測定局における大気環境基準の達成状況は、二酸化窒素につきましては八〇%が達成、それから浮遊粒子状物質につきましては六六%余が達成という状況でございまして、引き続き改善を要する状況にあるというふうに思っております。
  128. 岡崎トミ子

    岡崎トミ子君 このSPMに関しましては、多分私もずっと環境委員会のときに指摘をして、なかなか、この測定をしていないという状況にぶち当たって、これをしていないんでは環境アセスメントは不備であるということも指摘をしてきたというふうに思いますが、やはり六六%達成というのはまだまだですね。これからこの点については配慮をしていただかなければいけないというふうに思いますが。道路局長も参議院の委員会におきまして、事業計画がされた区間について環境アセスメントが済んでいるということも強調されておりました。今お聞きしましたように、なかなか、浮遊粒子状物質に関しても六六%の達成ということですから、まだまだ不備であるということを申し上げたいというふうに思いますけれども。  もう一つ、今日、高木参考人も、環境について配慮をすべきだということを公認会計士立場からもおっしゃっておりました。このことを十分に配慮するようなそういう委員会であるべきだということでございました。  やはり、環境対策というのがおろそかになってはいけません。環境省にも意見や協力を求めていく必要がありますけれども、石原大臣、そのことについて今後とも環境省に対して意見を求めるということをなさっていただきたいと思いますが、いかがでしょうか。
  129. 石原伸晃

    国務大臣(石原伸晃君) ただいまの御質問は、今度誕生いたします民営化推進委員会議論の中で、環境省と今の言ったような環境対策を適切に盛り込んだ上で、採算性だけではない形で道路を建設していけというようなことの御趣旨と受け取らせていただいたんでございますが、もしそれであるならば、私もそのように善処させていただきたいと考えております。
  130. 岡崎トミ子

    岡崎トミ子君 環境省も積極的に対応すべきだと思いますけれども、いかがでしょうか。
  131. 西尾哲茂

    政府参考人(西尾哲茂君) この四公団に代わる新しい組織におきまして適切な環境対策の体制が取られるということは重要なことでございますので、そういうようなものになりますようということで、必要な協力がございますれば私ども惜しむものではございません。
  132. 岡崎トミ子

    岡崎トミ子君 そういう意味で、七人の委員の中に是非環境問題に詳しいメンバーを入れて、そしてこういう問題だということを提起していただいて、そして環境省にも働き掛ける、そういうことをしていただきたいわけなんですけれども、新しい組織による道路建設が、是非管理運営において、国民生活を向上につなげるためには、是非そういうメンバーを入れていただきたいというふうに強く願いますけれども、大臣、いかがでしょうか。
  133. 石原伸晃

    国務大臣(石原伸晃君) 参議院の内閣委員会でそのような強い意見が出たということを総理に申し伝えさせていただきたいと思います。
  134. 岡崎トミ子

    岡崎トミ子君 個別の課題について環境問題で触れたいと思いますが、最近、圏央道の沿線でオオタカの営巣が度々確認されました。この間、国土交通省ともずっとやり取りを私はしてまいりましたけれども、圏央道は首都圏五十キロ、この周囲の計画でありますけれども、そこでオオタカの生息と圏央道とは重なっているという場所なわけなんですね。  今年の一月六日に、坂戸インターの建設予定地で大けがのオオタカが保護されました。また、四月二十日の新聞記事によりますと、昨年の十二月二十六日には、桶川市の荒川河川敷でもってオオタカがとらばさみに掛かりました。五日後に死亡いたしました。この絶滅危惧種のオオタカが殺されたのは異例のことでございます。  このわなに掛けた人は、新聞を拝見しますと、鳥獣保護あるいは狩猟に関する法律違反で書類送致、その後、不起訴になったということですけれども、こういう道路計画がある周辺地域におきまして、生態系の保全より早く土地を売りたい、開発をしたいという人も出てくるわけです。  この周辺地域にオオタカがいたということについては、もう少し徹底して知ってほしいということで実は国土交通省ともやってきたんですけれども、オオタカが死んでしまった。このことについて、環境省の見解、今後の対応を聞かせていただきたいと思います。  そちらからはなかなか見えにくいと思いますけれども、拡大して持ってまいりまして、新聞にも取り上げられて、大変りりしいオオタカの姿が、とらばさみに捕まっちゃった。すごいですよ、その後、亡くなってしまったわけですからね。亡くなったことを環境省も国土交通省も知らなかったというのもありましたので、是非、そうした対応、配慮、今後はどうするかということについてお聞かせいただきたいと思います。
  135. 小林光

    政府参考人(小林光君) 昨年十二月に、埼玉県桶川市におきまして、オオタカがわなの一種であるとらばさみに掛かっているという情報があって県で調べました。周辺に複数あるわなで、その一部に所有者の名札が付いていましたので、このことからわなを掛けた人が分かったわけですが、この人は、狩猟免許を持って、狩猟期間中に狩猟行為としてとらばさみを掛けてイタチを捕る目的だったと、こう言っております。その結果としてオオタカが間違って掛かってしまったと、こういうことでございます。本人はカモ猟のための網を仕掛けた、この網に名札が付いていたわけですが、網に掛かったカモを食害するイタチを排除するために網の周辺にとらばさみを掛けたと、こういうふうに主張しています。  このことは、委員御指摘のように、オオタカというのは原則として捕獲が禁止されている鳥でありますし、また鳥を狩猟するためにわなを使用することは禁止されておりますので、この以上二点で鳥獣保護法に反するということはそのとおりでありまして、環境省としても誠に遺憾なことであると、こういうふうに思っています。  容疑者は、県警の取締りを受けまして書類送検をされましたけれども、錯誤捕獲ということもあるし、本人も反省しているということで起訴猶予処分、嫌疑はあるけれども起訴猶予処分になったと聞いております。  ただ、狩猟者は狩猟としてねらった鳥獣以外の鳥獣を捕獲しないように注意を払う義務がございますので、このため埼玉県は、今年一月に本人を呼び付けまして、文書でわなの管理の徹底を求めて厳重注意をしたと、それからまた、管内の、県内の猟友会にも文書で注意を喚起したと聞いております。  環境省としても、このような事態が再発しないように、野生生物行政担当者会議など、機会あるたびに再発防止の周知徹底を指示したいと思っていますし、また狩猟期間が始まる前には、狩猟団体を通じまして関係法令の遵守、わな等猟具の適正な使用、狩猟者の義務の遵守などについて強力に指導してまいりたいと思っております。
  136. 岡崎トミ子

    岡崎トミ子君 国土交通省とは二年前からこれをやっていて、オオタカ、営巣しているよということについては分かっていたわけですね、確認していたわけですね。その保護のための対策を地元住民に徹底していなかったために起きた不幸だというふうに思います。  ところで、五月三十日付けで実は桶川市の地元の土地を売りたい地権者で構成されている対策協議会の文書が配付されたというペーパーが私のところに入ったわけなんですけれども、五月十日に管轄の大宮国道事務所に対策協議会が要望書を出しているんですね。オオタカで事業が遅れているが、オオタカに関係なく土地の買収を早期にしてほしい、価格は昨年十二月に提示された価格でお願いしたいという内容で、文書と口頭の両方で要請をしております。  これに対して大宮国道事務所は、所長の言ったことですけれども、一日も早く事業の展開ができるよう職員一同努力する、調査が今年の九月までなので土地の価格は昨年と同額と説明をしているわけなんです。これでは検討委員会に圧力を掛けることにもなりかねないということで、これはもう土地の買収ありきなんですね。時期も決定されているということでありますから、事務局であります国道の事務所が検討の結果を急がせたり、あるいは環境対策、生態系の保護、こういうことをいい加減に終了してしまうおそれも出てくるわけです。これこそオオタカを殺してしまった一因ではないかと思いますが、環境保護団体の訴えもございます。是非、この絶滅危惧種の保護等、生態系の頂点にあるオオタカの保護が、環境問題がいかに大切かということを地元に理解をしてもらう、これが本当に薄かったということなんですよ。  高速道路計画が環境負荷の元凶となってしまってはいけませんので、国土交通省にこの事態への見解、今後の姿勢を伺いたいと思います。今後どのような道路建設で臨まれますでしょうか。
  137. 大石久和

    政府参考人(大石久和君) 今、先生からお話がございましたように、私たちは、この当該地域の都市計画のアセスメントを完了した後に更に継続して環境調査を進めてまいりましたが、その環境調査の中でオオタカの生息を確認いたしました。そのため、オオタカの保護につきましては、現在、埼玉県がオオタカの保護指針でありますとか、あるいは環境庁が猛禽類の保護の進め方等々の指針や方針をお持ちでございますので、こういった方針に従いながら、平成十四年の五月七日に、オオタカの生息や動植物の生態系、また地元の自然環境に精通した専門家から成ります埼玉圏央道オオタカ保護対策委員会を設立いたしまして、この委員会検討を受けて、調査の進め方や保護対策、あるいは今後の事業の進め方等を考えていきたいというように考えてございます。  ただ、地元の方々、最近の情勢の中で、道路が来るということになれば、用地を売却することによって新たな生活再建策等を模索しておられる方々がおられます。そういった方々に適切な時期に我々、用地を取得する、あるいはそういう申出をするということも事業者としては必要なことでございまして、そういったこと等を兼ね合わせながら、今申し上げましたような委員会での保護対策等を待って、適切な事業の進捗が図れるよう考えてまいりたいと思います。
  138. 岡崎トミ子

    岡崎トミ子君 確認をしておきたいと思いますが、オオタカの保護のために検討会の結論が出るまで工事は中止するということの考え方で今よろしいんでしょうか。検討会の結果を待ちたいということですけれども、やはりそこがすごく大事なことだというふうに思います。
  139. 大石久和

    政府参考人(大石久和君) そのことも含め、オオタカの保護対策検討委員会でしかるべき指針が私たちに示されるものと理解いたしております。
  140. 岡崎トミ子

    岡崎トミ子君 是非、積極的な働き掛けをお願いしたいと思います。  環境対策というのは大変コストが掛かるというふうに思います。今後幾ら掛かるか分かりません。今のオオタカの場合でも、オオタカの保護と道路工事を両立させようとしますと、これは地下化の問題ですとかトンネル化ですね、このトンネル構造にするというと、トンネル構造を作って上にもう一回植物を植えるという形でオオタカが飛べるという、そこに違和感を感じない、そういうことをしなきゃいけないし、また全く路線の変更をしなければならないと。これ、全部本当にお金が掛かる、大変コストが掛かるというものでありますけれども、それでもその事業を行うべきなのかどうなのか。この費用と便益との比較、これをやり直して是非判断すべきだというふうに思うんですけれども、いかがでしょうか。
  141. 大石久和

    政府参考人(大石久和君) 確かに、調査の結果次第によりましては、私どもも過去に道路計画の中でいろんなやり直しを検討したり、あるいはやり直しをしたこともございました。今、先生がおっしゃったことも含めまして、我々、地域の生態系に詳しい方々と設置いたしました委員会の結論を得て、先ほども申しましたが、適切な措置が取れるように検討していきたいと考えています。
  142. 岡崎トミ子

    岡崎トミ子君 個別路線で、国幹会議ですね、国土開発幹線自動車道建設会議、この国幹会議で議論するというふうに聞いているんですけれども、その決定に至るプロセスですね、根拠も、透明性、これがすごく大事だというふうに思いますけれども、この点に関して説明をきっちりとしていくんだということを明確にすべきだと思いますけれども、いかがでしょうか。
  143. 大石久和

    政府参考人(大石久和君) 従来、国土開発幹線自動車道につきましては、国幹審で議論をしてまいりました。そのプロセスについても、私ども、地域の方々に都市計画レベルで御説明しておるものでございますから、つまりは二千五百分の一という個々の家が分かる程度の図面で御説明しておるものでございますし、環境影響評価についても事前に、整備計画の前に公表し、いろいろ地域の方々の御意見を求めているものでございます。  この考え方は国幹審が国幹会議になりましても変わるものではございませんで、道路計画が地域に与える影響の大きさを考えますと、多くの方々計画をお知りいただいて、それと皆さん方の生活との調和をどのようにお考えいただくのか、そのために情報をどの程度、どのように提供していくのか、重要なことだと考えております。今まで以上に情報の提供に努めて、多くの方々の御理解を得られるよう努めていきたいと考えています。
  144. 岡崎トミ子

    岡崎トミ子君 よろしくお願いいたします。  次に、長期計画と全総の見直しについてお伺いしたいと思います。  午前中の参考人質疑の際にも、五十嵐敬喜先生のお話にもありましたが、民営化推進委員会がどういう結論を出しても、長期計画が変わらない限り道路は造り続けられることになると。  長期計画、全総についてはどのように見直していく方向か。そして、この民営化推進委員会で、民営化と一体で議論をしなくては意味がないのではないかというふうに思いますけれども、これは国土交通省の方にお伺いをしたいと思います。
  145. 大石久和

    政府参考人(大石久和君) いわゆる全総計画の担当部局ではございませんが、現在はいわゆる五全総、新全総と言っているようでございますが、四全総の後を受け、四全総が多極分散型交流ネットワーク国土を目指すというのに対して、新しい全総計画が複数の地域連携軸で国土を構成する、このような考え方で整備計画がまとめられておりまして、その実態の一部として、高速道路、高規格幹線道路一万四千キロという構想が掲げられていることは事実でございます。これは昭和六十二年、一九八七年の四全総で打ち出されたものでございますが、平成十年の新しい全総計画でも、そのことをもう一度上書きをいたしております。  我々は、この全総そのものについても今、国土交通省としてはどうあるべきか議論をやっておるところでございますが、そういったことを踏まえながらでもございますけれども、今後、道路に関する長期計画も作っていくところでございます。今、先生がおっしゃったことも踏まえまして、五全総に示されております国土をどのようなネットワークでカバーしていけばいいのか、どのような規格の道路がどの程度必要なのかというふうなことを考えながら、新しい長期計画というものに取り組んでまいりたいと考えております。
  146. 岡崎トミ子

    岡崎トミ子君 今度は、行革大臣のお立場から石原大臣にお伺いしたいと思いますけれども、現行の第十二次道路整備五か年計画は来年が見直しの時期になっているわけですね。道路計画の在り方についても、当然、委員会が重大な関心を持って議論すべき問題となるはずでございますけれども、この点についてはどうお考えでしょうか。
  147. 石原伸晃

    国務大臣(石原伸晃君) 道路公団民営化推進委員会は、道路公団に代わる新たな組織とその採算性の確保についてどうあるべしというような提言を、十四年度中、今年じゅうに総理に御答申をいただくことになっております。  それと併せて、現在、平成十五年度を初年度とする新たな道路整備五か年計画の策定作業が国交省を中心に進められておりますが、委員御指摘のとおり、民営化推進検討委員会の調査審議との整合性というものを取って、両者が相関心を持ちつつ作業が進められていくことになると考えております。
  148. 岡崎トミ子

    岡崎トミ子君 この長期計画の策定を始めた時期とは社会経済状況が変わっている。あるいは財政問題も大変厳しくなってしまっている。また、公共事業の経済効果についても国民の意識の方が変わっている。それから五年単位の財政を縛る長期計画を、これまで緊急措置法に基づいて続けてきた。それが、緊急緊急といって、今朝も参考人が指摘されましたけれども、第十二次になってしまっているわけなんですね。しかも法律がない。  ちょっとここで参考書を見ますと、十六本の中には海岸事業や空港整備などには法律がありません。予算が法律の代わりを果たしているというのがこれまでの官僚の皆さんの弁解だったわけですけれども、財政法定主義、憲法第八十三条の見地から言いますと、これはもう大変いい加減だ、驚くべきだというような指摘もあるわけなんですけれども、法律がない、緊急措置法でやってきた、そして閣議決定で物事は決めていく。つまり国会の関与というのがまるでないわけですね。しかも、閣議の決定といいましても、じゃ大臣たちの政治家で決定するのかといえば、そうではなくて、これはもう前日の事務次官会議でほとんど決定したものについて閣議決定に掛かっていくということですから、一回、コントロールを国会の中ですることが物すごく大事だということで、一番最初に私は公共事業コントロール法の問題についても触れましたけれども、こういういろんな様々な問題がございます。  緊急措置法でずっと続けてきたのだということについての問題意識を持つというのは当然だと思いますけれども、大臣、この点いかがでしょうか。
  149. 大石久和

    政府参考人(大石久和君) 確かに、先生が御指摘ございましたように、現在の長期計画、五か年計画道路整備緊急措置法という法律の裏付けを持って計画が策定されております。昭和二十九年を初年度といたしまして、その後、五年ごと、時期によっては短い期間で改定したことがございますが、現在は十二回目の五か年計画が進行中であるということは事実でございます。  我が国の社会資本整備、道路以外の多くのものがいわゆる緊急的な考え方に基づいてその整備の背景を持っておるということでございますが、特に道路の場合は、これはもう先生よく御存じのとおりでございますけれども、財源システムと極めて密接に関連をいたしておりまして、五か年計画の裏打ちとして道路特定財源の暫定税率が定まる、こういうような仕組みにもなってございます。その緊急性によって暫定税率を確保させていただいている、こういう背景があるものでございますから、私どもも平成十五年から新たに道路整備緊急措置法に基づく長期計画を要求していきたいと考えております。
  150. 岡崎トミ子

    岡崎トミ子君 現在、日本では公共事業長期計画が十六本進行中でありますけれども、それぞれが既に指摘した問題点を抱えている上に、それぞれの間で整合性を欠き、地域に混乱をもたらしているという状況だと思います。この計画の総合化あるいは一本化ぐらいは検討課題になってしかるべきだというふうに考えますけれども、この点についてはどうでしょうか。  それから、計画期間を統一すること、それから計画間の調整、整合性を持たすこと、それから地域別に横断的な主要目標を明示することはできるのではないかと思いますが、この点についてはいかがでしょうか。
  151. 大石久和

    政府参考人(大石久和君) 現在の法律体系で申しますと、先ほど先生から御指摘がございましたいわゆる全総計画の下に長期計画がそれぞれ策定されているというのが背景でございまして、全総計画の中で、国土全体をいろんなインフラを使ってどのように整備していくのか、一応、整合が取れた形になっていると、このように私どもは考えております。  しかしながら、ちょうど五か年計画が改定の時期がそろうという問題でありますとか、あるいは国土交通省という一つの省になった結果として、治水の計画やあるいは港湾、空港の計画道路計画をもう少し整合を取った形で一つ計画にしていく、そういう考え方はないのかといったような議論が今、省内でもいろいろ議論をしておるところでございます。  しかしながら、それぞれに法律の裏付けを持っている、法律の裏付けがないものもございますが、法律の裏付けを持っているというようなことから、どのような検討ができるのか、そういう問題認識を持ちながら今、省内の議論が深められているところだと、このように御認識いただければと思います。
  152. 岡崎トミ子

    岡崎トミ子君 最後に、今回改定されました漁業漁場整備計画参考にしていただきたいと、石原大臣、思うんです。  この漁業漁場整備計画では、今回からアウトカム目標を重視しまして、計画に投資額を書き込むことをやめました。これが非常に、今までは先に書いていろんなことを困難にさせてきたわけなんですけれども、少なくとも計画に投資額を書き込むことの意味を真剣に問い直すことは当然の課題だというふうに思いますけれども、いかがでしょうか。  これで、質問は終わります。
  153. 石原伸晃

    国務大臣(石原伸晃君) 計画の詳細は存じませんが、アウトカムということから推測させていただきますところ、予算が、どれだけのことをやりますよということを最初に決めるんじゃなくて、必要に応じて、例えば防波堤、どこまで延ばすんだ、けれども、必要がないんだったら短くするというようなことでフレキシビリティーを持たせるという意味では、これからの公共事業一つの在り方だと私は考えております。
  154. 岡崎トミ子

    岡崎トミ子君 ありがとうございました。
  155. 吉川春子

    ○吉川春子君 共産党の吉川春子です。  衆参で道路公団民営化の内容について政府に質問いたしましても、新しくできる第三者委員会にゆだねるという答弁が繰り返されておりまして、中身がはっきりいたしません。私は民営化の基本的な考え方を伺いますので、責任ある答弁をお願いしたいと思います。  首都高速、阪神高速公団については、特殊法人整理合理化計画、閣議決定、去年の十二月十九日ですが、国、地方の役割分担の下、適切な費用分担を行うとしています。地方公共団体の適切な費用分担とはどういうことでしょうか。  現在、国と地方公共団体が事業費の二・五%を出資しておりますが、首都高、阪神高速道路公団の地方公共団体の出資金、借入金は幾らになっているでしょうか。まず、具体的な金額をお伺いします。
  156. 大石久和

    政府参考人(大石久和君) 首都公団、阪神公団につきましては、国と地方が一対一の割合で出資をしてきたところでございます。首都高速道路公団につきましては、国及び地方がそれぞれ三千二百十四億円ずつ、これは合計で六千四百二十九億円でございますが、阪神高速道路公団につきましては、国及び地方がそれぞれ二千四百九十九億円ずつ、合計で四千九百九十八億円を負担してきたところでございます。
  157. 吉川春子

    ○吉川春子君 この首都高速あるいは阪神公団民営化についても、この出資金とか借入金は戻ってくるんでしょうか。地方公共団体が負担をかぶってしまうということはありませんね。
  158. 大石久和

    政府参考人(大石久和君) 現在の首都高速道路公団及び阪神高速道路公団償還計画では、それぞれこれらの出資金も償還することといたしておりまして、それぞれに出資者にその出資金が返ると、こういう仕組みでございます。  今後、どのような仕組みがこの首都公団及び阪神公団を引き継ぐ新組織において取られるかは、新たにできますこの委員会で御議論いただいております委員会の結論を待つということになると思いますが、現在の償還スキームは今私が御説明したとおりでございます。
  159. 吉川春子

    ○吉川春子君 現在のは分かっています。民営化後にどうなるかということを聞いております。大臣、これは地方公共団体に負担がかぶらないと、そういうことを明言できますか。
  160. 石原伸晃

    国務大臣(石原伸晃君) ただいま道路局長の方から御答弁させていただきましたように、首都公団並びに阪神公団については、現在の償還計画で出資金等々も返還されるものと承知をしております。
  161. 吉川春子

    ○吉川春子君 時間が余りありませんので、端的に伺います。  民営化後、地方公共団体についてこの出資金等の返還が必ず行われると、こういう保証があるんですか、ないんですか。イエスかノーかで。
  162. 大石久和

    政府参考人(大石久和君) 先ほども御説明申し上げましたように、特殊法人等整理合理化計画におきまして「国・地方の役割分担の下、適切な費用負担を行う。」とされておりまして、この基本方針の下、道路関係公団民営化推進委員会において、今、先生が御指摘の点も含め検討されることとなるというように考えております。
  163. 吉川春子

    ○吉川春子君 要するに、地方公共団体がこの問題で負担をかぶるという可能性が否定できないわけですけれども、石原大臣、それでは、民営化に伴って万一地方公共団体の負担を増やす場合は、この地方公共団体についてどんな方法で同意を得るのですか。
  164. 石原伸晃

    国務大臣(石原伸晃君) 先ほども御答弁させていただきましたように、道路局長から細かい点に触れさせていただきましたが、現在の償還計画がそのまま行けば出資金も含めて返還されるということは計画上間違いがないことだと思いますが、委員の御懸念は、これから組織形態が変わって、特にこの民営化推進検討委員会が費用対効果分析や金利動向の見極め、あるいは道路需要について償還計画と万々が一違う数字を出してきたときにそのような懸念があるというような御指摘ではないかというふうにお話を聞かせていただいたわけでございますが、それは、この委員会がどういうものをどういうふうに分析するかによって事実を積み重ねて出てくるものでございますので、今の段階でそうなるともそうならないとも言えることはできないのではないかと思います。
  165. 吉川春子

    ○吉川春子君 そうなるともそうならないとも言えない、けれども両方の可能性があると。善意に考えまして、両方の可能性があると。そして、もし悪い方の可能性で、これが地方自治体が負担するというふうに、ある程度負担しなくてはならないとなったときには、当然、地方公共団体の同意は得るんでしょう。それとも、そんなことは同意も得ないでおやりになるんでしょうか。その判断までもがこの第三者委員会にゆだねないとこの国会では答弁できないと、こういうことですか。
  166. 石原伸晃

    国務大臣(石原伸晃君) 先ほど委員が御指摘されましたように、整理合理化計画では「国・地方の役割分担の下、適切な費用負担を行う。」という基本方針を示させていただきました。  この基本方針にのっとりまして民営化推進委員会において、債務を確実に償還するための方策を含めて新たな組織の採算性の確保、この中にはもちろん金利動向、金利が仮にですよ、これは分かりませんけれども、一〇%になれば償還できなくなるということはだれの目にも明らかですし、道路交通需要計画の百分の一になった、もう車が全然通らなくなったと、そうしたら債務償還ができなくなる。そういうことも含めて、そういう状態になっても政府として適切な対応をさせていただくと御理解をいただきたいと思います。
  167. 吉川春子

    ○吉川春子君 地方自治体の負担増があり得るということは、今の答弁ではっきりしたと思います。  それで、もう一問、石原大臣、伺いますが、午前中の参考人質問で、高木参考人所有権について慎重に議論すべきだというふうに言われました。鉄道とは違うんだということもおっしゃいました。償還が終了したとき、高速道路は政府が買い戻すと、この点について確認したいんですけれども、民間所有権になってしまうなどということは毛頭ないでしょうね。そこだけ確認します。
  168. 大石久和

    政府参考人(大石久和君) 今、先生がお聞きになった部分もこの民営化推進委員会で御議論される対象範囲だとは考えておりますが、私ども、高速自動車国道やあるいは首都高速道路あるいは阪神高速道路の持つ意味、意義を考えますと、通常の他の道路法の道路と全く独立した存在ということはあり得ないのではないか、むしろ国の種々の多くの道路体系の中の頂点に位置する、そういう道路体系なのではないかというふうに考えております。その道路が国のものやあるいは地方のものと全く懸け離れた存在になるということは想定し難いところでありますし、また、各国におきましても、ネットワークものに有料道路制度を入れている国はフランス、イタリア等ございますが、将来的に国に返らないという仕組みを持っている国はありません。  そういった意味から考えましても、当然、そのようなことを踏まえて御議論、御検討がなされるものと考えております。
  169. 吉川春子

    ○吉川春子君 日本道路公団総裁、お見えいただきましたが、伺います。  道路公団の中で経営が最もいいと言われているのが日本道路公団ですけれども、それでも二十七兆円の債務があって五十年後にすべて償還するという計画になっています。第二東名も、第二東名その他の高速道路も今建設中ですけれども、その償還計画が、国の三千億の投入がないということですので、計画そのものがなかなか成り立ちにくくなっていると思います。  債務について五十年後に償還できるかどうか、この見通しも危ういという指摘が大分午前中も出ましたけれども、採算見通しのない未整備区間を造り続けるかどうかということが問題です。国土交通省計算では、五十年償還の場合、これは国土交通省に伺った方がいいですかね、国費投入なしでどの程度の投資ができることになっているでしょうか。数字をお示しいただきたいと思います。──時間が掛かるみたいですので、前回も聞きました、六・六兆円から最大で十三・六兆円の範囲で投資できるということを国土交通省はおっしゃっています。  それで、国土交通省、伺いますけれども、日本道路公団事業で最大のものは現在建設中の第二東名、第二名神高速道路です。日本道路公団高速道路整備計画の今後の投資額の中に占める第二東名・名神、東京、名古屋、神戸、東京というのはちょっと留保しますけれども、高速道路建設費はどれぐらいになりますか。
  170. 大石久和

    政府参考人(大石久和君) 私どもが整備計画を定めておりますもの、今後整備していくのに必要な資金量、約二十・六兆円必要ではないかというのを前提に幾つかの試算を提供したことは先生も御存じのとおりと思いますが、そのうち、第二東名、第二名神の事業費は約八・五兆と見込んでおります。
  171. 吉川春子

    ○吉川春子君 約四割というふうになるんでしょうか。  そこで大臣、お伺いいたします。  石原大臣は、昨年秋、テレビ番組で、現在建設中の第二東名・名神高速道路について、これは十兆円ぐらい掛かる、これをやめれば地方の整備ができると指摘していました。日本道路公団民営化法案の提案者として改めて伺いますけれども、第二東名を凍結すると、こういうお考えに変わりありませんか。
  172. 石原伸晃

    国務大臣(石原伸晃君) 整理合理化計画の中で新たな組織が債務を確実に償還して採算性を確保できるようにするために新規投資に一定の歯止めを掛ける観点から、実は償還期限は五十年を上限としてコストの削減で短縮を目指し、年間、昨年度予算でいうならば三千億入っていた国費は投入しないというものを縛りとして掛けさせていただいたわけであります。  この結果、先ほど委員が御指摘されましたように、二十兆六千億円掛かると言われていた総事業費のうち、最大でも十三兆円強、最小ですと七兆円弱の新規投資しかできなくなると。そういう形の中で、道路局長から御答弁させていただきましたように、八兆円第二東名・名神に掛かる費用があるとしますと、六兆円、中には入らないわけですから、できなくなるということを言ったまででございます。
  173. 吉川春子

    ○吉川春子君 国土交通省にお伺いします。  第二東名・名神が単独で採算が取れるかどうかという問題です。  大石道路局長は、昨年の十一月二十七日の参議院国土交通委員会で、第二東名について、第三十二回国幹審の償還見通しを基に試算した概略の総収支見通しでは総支出が総収入を上回る見込みだと、現東名と一体として考えると総収入が総支出を上回るというふうに答弁しています。  第二東名が単独では採算が取れないという国土交通省の試算を明らかにしていただきたいと思います。
  174. 大石久和

    政府参考人(大石久和君) 第二東名・名神につきましても、高速自動車国道という全体のネットワークを構成するものでございます。私ども、国幹会議、国幹審を開かれるごとにその新たな整備計画償還見通しを試算し、提出させていただいておりますが、それは全体のネットワークの採算性を検証いたしておるものでございまして、個別路線ごとの採算性議論することが適切かどうかということについてはいろいろ意見がございます。  第二東名道路につきましては、現行の整備計画九千三百四十二キロを前提といたしました、平成十一年十二月の第三十二回国幹審の償還見通しを基に試算いたしました概略の総収支見通しでは、総支出が総収入を上回る見込みでございます。この第二東名・名神につきましては、現在の東名・名神と一体となって考えておるものでございまして、そういう意味では、収支につきましても一体として考えることが妥当であると考えてございまして、先ほど申しました総収入が総支出を上回る状況というのは、このような状況を認識した上で申し上げているものでございます。
  175. 吉川春子

    ○吉川春子君 それでは、私の方から国土交通省からいただいた数字を読み上げますので、御確認ください。  前提条件、第二東名約六・六兆円。交通量、現東名七万八千台一日当たり、第二東名五万台、二〇二〇年時点の予測。収入、現東名二千七百億、平成十二年決算。第二東名、収入は交通量に比例するものと仮定、二千七百億掛ける五万分の七万八千で、千八百億と。利払いは、第二東名、利率を三%と低めに設定、ということで三%で計算をいたしますと二千億円。こういう数字ですね。
  176. 大石久和

    政府参考人(大石久和君) 今、先生から御紹介がございました数字は、私どもが先生に提出させていただいた数字と同じものでございます。
  177. 吉川春子

    ○吉川春子君 要するに、プール制で全体として判断しているということは私も知っています。ただ、局長が去年そういうふうに御答弁されていますので、詳しい数字をいただきたいと申し上げましたらそちらからいただいた数字だと。それは間違いないと今、局長の御答弁でございました。  要するに、利払いが二千億、収入の千八百億を上回る、だから第二東名単独での採算性の確保は困難と、こういうことがあるわけです。プール制、プール制とおっしゃいますけれども、プール制に移行するときの審議会の答申でも、個々の採算性については十分考えなくてはいけないということも併せて付いているでしょう、それは私が言うまでもないことですけれども。  それで、重ねて国土交通省に伺いますけれども、東名に並行して建設される第二東名・名神なんですけれども、これが公団債務返済に深刻な影響を与えるというのは今申し上げたとおりです。私はこの問題を本会議で質問いたしましたところ、扇大臣は、第二東名・名神と合わせて将来一・四倍の交通量になると、このように答弁されました。その根拠をお示しいただきたいと思います。
  178. 大石久和

    政府参考人(大石久和君) 東名高速道路及び第二東名高速道路の将来、これは二〇二一年、平成三十三年でございますが、の平均断面交通量は、東名高速が六万四千台一日当たり、第二東名が五万台一日当たり、合計十一万四千台一日当たりでございまして、と予測いたしておりまして、平成十二年度の実績の東名高速道路の平均断面交通量、七万八千台一日当たりと比較いたしまして一・四倍程度、一・四六二でございますが、その程度の数字となると見込んでおります。
  179. 吉川春子

    ○吉川春子君 数字と見込んでいるというか、実態がそうなるというふうに確信をしておりますか。
  180. 大石久和

    政府参考人(大石久和君) もちろん、先生、将来の交通量でございます、いろんな変動要因もございます。したがって、我々はその変動要因に対して種々のスタビライズする方法を持たなければならないと考えてございますが、現在の我々の交通状況の把握でいきますと、この程度の交通量になると予測をいたしておるところでございます。
  181. 吉川春子

    ○吉川春子君 交通量の予測については、また別途、国土交通省からその全体の予測の数字をいただいておりますけれども、予測を下回っているじゃないですか。これからますます、ぐんと下がるのか徐々にか分かりませんけれども、そうなっている。  問題は、その交通量が一・四倍に増える保証はない、これはもう午前中の参考人質問でもいろんな方がおっしゃいました。同時に、一・四倍に増えると仮定しても、さっきの、利払いが上回るんだと、収入を利払いが上回る。これは一・四と仮定しての数字ですよ、国土交通省がお出しになったのは。そういう深刻な事態にあるわけですね。そして、全体としては交通量が下がっているという数字を私に出しながら、第二東名・名神だけは一・四倍に増えるという、そういうことも私は無責任だというふうに指摘をせざるを得ません。  それで、道路公団総裁にお伺いいたしますけれども、藤井総裁は帝京大学の藤井彌太郎氏との対談で、「第二東名を単独で採算をとろうとしましたら、今の料金の三倍要ります。」、「高速道路と自動車」二〇〇一年一月号で述べておられます。単独では全く採算が取れないわけですよね。国土交通省の試算でも、利払いも払えないという、それも金利を最低の三%に設定し、交通量が一・四倍となる見通しの下でやっているわけなんです。料金収入で建設費を償還するどころか利払いもできないということは、雪だるま式借金が増えるという、こういう路線になるわけですね。  道路公団総裁、それでもあなたは第二東名・名神に巨額の建設費を投入して造る必要があるとお考えなのかどうか、伺います。
  182. 藤井治芳

    参考人(藤井治芳君) まず、二つの論点に分けさせていただきたいと思います。  第二東名・名神が日本にとって必要かどうか、こういう論点でございます。  これに対しましては、道路局長から御説明がございましたように、我が国の関西、関東といいますか、東日本、西日本を結ぶ大動脈として現時点ではもう満杯状態でございますから必要だという視点と、それから、特に第一東名でいえば、静岡の断面は全部、あそこの由比の大地すべりの海側に東海道線も新幹線も第一東名も国道一号もあります。そうなったときに、もし東海地震があればこれで分断されます。といったような、ネットワークの確保という視点からの議論一つございます。  それに対して、じゃ、それをどうやって造るんだというときに、私どもが担当するわけでございますが、我が国の道路財源、国の、国費の状況からどうしても利用者の料金収入に御依存申し上げなきゃならないということで今まで来たのは先生御承知のとおりでございます。  それをやるのに、例えば第一東名・名神では全体が四千五百八十九億円掛かっておりました。キロ当たり九億円でございます。それが第二東名・名神は、全部を足しますと十兆円ほど掛かります。キロ当たり二百四十億円掛かります。なぜか。当然、第一東名・名神は海側で、今まであった平場を使っていますから建設コストも安くなります。トンネル、橋梁が合わせても二〇%しかないのに対して、第二東名・名神は約六〇%以上ある。これでも、そういう借金を使って造るとしたときに二つの問題がございます。  これを、採算を取るためにプール制という全体の、先に造ったところと後で造ったところの費用負担をひとしく国民に御負担いただくという前提での仕組みで造っていったとしても、それを余り依存しないようにしていくにはどうしたらいいか。  造るのにもう一つございます。それは、先ほど金利だとかいろんなことございましたが、造る手順なんです。
  183. 吉川春子

    ○吉川春子君 質問に答えてください。
  184. 藤井治芳

    参考人(藤井治芳君) いや、これを言わないと最後の答えが出ないんです。  なぜかといいますと、造るのに、今までのものは、比較的利用するときに、第一東名も最初、二万台でございました。今七万台ぐらいでございます。要するに、造ったときと実際にどんどん活用するときでは違います。というふうに、第二東名・名神も造り方、どういう手順で造っていくか、これを今、今までのように全線どんどんどんどん造っていくという考え方もありますが、造る手順によって投資パターンが変わる、がらっといわゆる採算の計算が変わってまいります。  それからもう一つ。今、私ども内部で検討して具体的に夏までには何とか出そうと思っておりますが、今六車線で全断面で計画を立てておりますが、これをもっと断面ごとに倹約して、そういう採算に乗るように、しかも地域のニーズに合うようにということで造る断面も考えていくというような、内容の議論は、これは道路公団責任を取るべき内容でございます。  そういうことを全部前提条件として入れさせていただきますと、私どもは、これからの第三者委員会におけるいろんな御議論もございますし、いろんな仕組みの問題もございましょうけれども、そういう努力をしてこのネットワークの整備を、やはり我が国全体として必要なんだから、我々のような経営をする主体もそれに協力していく、こういう立場でこの問題を考えております。
  185. 吉川春子

    ○吉川春子君 必要なんだから造ってきて、今破綻状態に瀕しているんじゃないですか。ここで立ち止まってどうして考えないんですか。  長年にわたって道路審議会の委員であった小倉昌男さん、道路行政の転換を誤ったという記事を日経ビジネスの去年の九月十日号で私は見ました。この方は、七四年から八四年まで道路審議会の委員、八五年から九六年まで道路審議会基本政策専門委員でいらした方です。  第二東名など必要なかった、第二東名高速道路にしてもそのころは審議会で余り議論しなかった、当時の雰囲気は、東名が渋滞で詰まるのならいずれは造らなければならないという程度で、何となく建設するということになりました、僕も結構、結構と言っていましたと。ごめんなさいとこの方は言っているんですけれども、今から思えば、第二東名ではなく東名高速の拡幅にしておけばよかった、やはり先見の明がありませんでした、今になると行き過ぎだったと思いますと、こういうふうに言っています。  道路公団総裁、あなたは建設省の役人として、その建設省の時代から日本高速道路の建設をどんどんどんどん進めてきた方ですよね。第二東名の問題も一貫して推進してきた。今、この小倉さんの発言をどう思いますか。こういう、採算も考えずに必要だということだけで建設をし続けてきて、何千人の働く人たちの運命も狂わせている、日本の財政も破綻に瀕している、こういうことについてあなたは反省はないんですか。
  186. 藤井治芳

    参考人(藤井治芳君) いろいろな意味で私は責任があると思っております。  その今、小倉先生がおっしゃいましたように、私ども、実は拡幅を最初検討いたしました。もし拡幅でできるならば、それも答えの一つだったと思います。しかし、先生御承知のように、現在の第一東名の両サイドには家がびったり、もう土地利用としてあらゆる工場から住宅から付いております。かつ、一つ道路に余りのたくさんの車を集めるということは環境問題があります。  ですから、単に採算性ということじゃなくて、環境問題であるとかいろいろな意味からまず計画の是非を議論していただいて、それをどういう手法で造るかというところで初めて採算性の問題が出てくるわけです。ですから、採算が悪いから造らないとかいうことではなくて、じゃ、採算が合うように造るにはどうしたらいいか、これを今真剣に国土省とともに考えていかなきゃいけませんし、第三者委員会の御指導を積極的に受けながらやっていくべきことだと思っております。  ですから、道路公団が造りたいから造るんではございません。あくまでも国全体として必要なものを採算という切り口で私どもはどう見ていくか、その立場でございます。
  187. 吉川春子

    ○吉川春子君 もう採算は取れないと結論が出ているじゃないですか、採算だけで言うんだったらば。  それで、私はもう一つ指摘したいと思いますけれども、今年の一月、「道路族巻き返し 高速道発注見送りを撤回」の報道を私は見ました。「日本道路公団国費投入打ち切りを理由高速道路建設工事の発注を一部見送ったが、道路族の強い反発で撤回。」、とあります。  昨年十一月末、参議院青木幹雄幹事長は藤井道路公団総裁を電話で怒鳴り付けた。すぐに伺って説明しますと藤井氏。が、青木氏はもう結構と電話をたたき切り、以来、公団関係者の立入りを禁止した。その後、公団は与党幹部に今年度中に発行する予定の一千五百億円の財投機関債が順調に消化できれば、工事の発注を再開すると伝えた。与党側は発注再開と受け止め、青木氏も二十三日に、元へ戻すなら問題ないと歓迎した。  こうして、道路公団は、第二東名伊佐布インターチェンジ橋工事、浜北高架橋東工事をその他の高速道路工事とともに発注をしたわけですね。これは道路族に負けた、こういう新聞の記事なんです。  それで、時間も押してきましたので、石原大臣、伺いますが、さきの当委員会でアクアラインについて私は質問をいたしました。東京湾横断道路は当初一兆一千億余りで、完成したら一兆五千億に膨れ上がっていたんですね。そして、国土交通省によると、九九年の時点で支払額は三・四兆円に膨らんでいるんです。第二東名は、ここは深刻なんですけれども、アクアラインの十倍なんですよ。掛かる費用が十倍なんです。約十一兆円掛かる。通行量を一・四倍に増えると見積もっても採算が取れないと今御答弁がありました。そして、東京湾横断道路の十倍ということは三十五兆円に膨らむかもしれない。大変な国民負担を負わせることになります。  ここで立ち止まって、結局は必要なんだと道路公団総裁のような意見もあるかもしれませんが、ここで一度立ち止まって、第二東名が本当に必要なのかどうか慎重に検討することを私たち日本共産党は提案しているんですけれども、ここで立ち止まって、少なくとも検討するということは当然じゃないですか。アクアラインの十倍の金額の失敗はこれは許されないと思うんです。どうでしょう。
  188. 石原伸晃

    国務大臣(石原伸晃君) 個別の路線に限らず、行革相の立場から先ほど意見を申し述べさせていただいておりますように、採算性の確保というものが最大のポイントでございます。すなわち、プライマリーバランスが均衡していなければ、委員御指摘のとおり債務雪だるま式に増えていくと。そして、その債務雪だるま式に増えていった結果、だれが負担するかといいますと、通行料金に上乗せをするか税金で払うしかない、そういう事態は絶対避けなければならないということで、新たな組織が確実に債務償還し、採算性を確保する観点ができるように新規投資に一定の歯止めを掛けたのが整理合理化計画の基本方針でございます。  この基本方針の下に、これも先ほど委員議論の中に出てきました道路交通需要の見通し、一部にはやはりこの道路需要見通しが都合のいい数字だというような批判も出ているわけでございます。あるいは金利の見通し、先ほど私は一〇%と極端な例を出しましたけれども、十年間の平均金利でいけば少なくとも四、五%にはなる、これが通常の金利でございます。今の低金利というのは極めて有史に入って異常な事態である。  あるいは、費用対効果の分析の考え方に基づいて、新たな組織による高速自動車国道の整備の前提となる採算性の確保の基準について、今現在御審議をいただいておりますこの民営化推進委員会が設立した暁には、その基準についての御意見を総理にちょうだいすることになっております。その結果、第二東名を含めて個別路線の整備については、この委員会意見を踏まえて、最終的に政府として過度の国民負担が発生する事態は極力避けるという方向で決定することになると現段階では考えております。
  189. 吉川春子

    ○吉川春子君 私は、ちょっと前なんですけれども、千葉県のかずさアカデミアパークでパーキンソン病の患者さんの全国大会が開かれて、アクアラインを通っていって、またあそこから帰ってきました。  難病の方たちは、厚生労働省の難病対策費の削減の下、五万人を切ったらその補助金が減らされるかもしれない、こういう危機感を持っているわけですね。そして、昨日は全国の難病の患者の団体の方が国会に陳情に見えました。また、その前は人工透析の全国の団体のところへ行きましたら、医療制度改革、私に言わせれば括弧付きの改革なんですけれども、この中で、人工透析を四時間半やる場合、今まではお食事が出た。ところが、これも個人負担にされてしまうという切実な訴えを受けたんですね。  一年間に公共事業が五十兆、社会福祉費用が二十兆と私たち試算しておりますけれども、こういう中で、本当にもう生きるか死ぬかのところに置かれている人たちの予算が削られざるを得ない、こういうところに立ち至っているんです。  高速道路も、あれば便利でしょう。そして技術の革新、技術は世界的に優れているからどんなものでも日本の技術は造れるかもしれない。しかし、採算性を無視してそういうことを造って、もう一方で本当に泣いている国民もあるんだと、予算が削られて。そのことを私は是非、道路公団総裁にも、国土交通省にも、そして石原大臣にも申し上げておきたいと思います。  それで、今資料をお配りいただきましたけれども、これは総務省に届け出られました自民党に対する政治献金と、それから第二東名・名神高速道路の受注企業の名簿なんですね。  それで、第二東名・名神高速道路工事の五十億円以上の工事契約企業の政治献金について伺いますが、一九九七年から二〇〇〇年の間、大林組の各年の献金額及び鹿島、清水、大成、熊谷、戸田建設など、ゼネコンの四年間の献金の合計はどうなっているでしょうか。総務省、お答えください。
  190. 大竹邦実

    政府参考人(大竹邦実君) ただいま御質問ございました件は、国民政治協会に対する献金でよろしゅうございますね。
  191. 吉川春子

    ○吉川春子君 そうです。
  192. 大竹邦実

    政府参考人(大竹邦実君) 自由民主党の政治資金団体でございます国民政治協会に対しまして、お尋ねのありました六社でございますけれども、平成九年分は官報告示、それから平成十年分から平成十二年分までにつきましては収支報告書により確認してございます。  まず大林組でございますけれども、平成九年に二千三百六十七万二千円、平成十年に二千三百九十七万二千円、平成十一年に二千二百二十七万七千円、平成十二年に一千九百九万円、この四年間の合計で八千九百一万一千円の寄附があった旨記載されてございます。  また、鹿島からは、平成九年から平成十二年までの四年間でございますけれども、合計で六千八百九十一万一千円。同様に、清水建設から八千百七十一万一千円、大成建設から八千六百一万一千円、熊谷組から七千九十五万九千円、戸田建設から八千五百八十六万九千円の寄附があった旨、それぞれ記載されております。
  193. 吉川春子

    ○吉川春子君 そういう総務省からの、選挙部長からのお答えがありました。  そこで、前回も私は石原大臣にお伺いいたしまして、政治献金とゼネコン、大企業などの公共事業関係について答弁をいただいたところです。私の調査では、主な工事請負企業四十五社の政治献金の合計は十四億八千万円強となっております。自民党に政治献金を行って、そして採算の見通しの立たない公共事業もどんどん進めてきた、それは最終的にだれがそのツケを払うかというと、国民にそのツケが回ってくるわけですね。  そして、さっきもちょっと新聞記事で指摘しましたけれども、青木参議院幹事長が藤井総裁をどなり付けて、その結果、公共事業の発注は復活したと。  私は、この政治献金について請託があったかなかったかということは知りません。請託があれば別の問題を構成するわけですけれども、今度の国会でも公共事業をめぐる金の問題が大きな問題になって、国会を揺るがしているではありませんか。そして、会期延長の話も出てくるくらい、ほかの審議にも影響を与えたと与党も判断しておられるようです。  工事受注企業からの政治献金は慎むべきだと、こういう通達を国土交通省は最近もお出しになっていますね、それいただきましたけれども。そういう、政府ももろ手を挙げていいことだとはとても言えない状態だと思うんですよね、政府の立場に立っても。ましてや、私たちの立場に立てば、やっぱりこういう企業・団体献金、公共事業の大型の受注企業から繰り返し繰り返し、コンスタントに政治献金が行われる、そういうことはいいはずはないわけなんです。  前回は、石原大臣は総理大臣の言葉を引用してお答えになりましたけれども、石原大臣自身、この問題についてどういうふうにお考えなのか、今後どういうふうにしていこうとされているのか、その点のお考えを聞かせていただきたいと思います。
  194. 石原伸晃

    国務大臣(石原伸晃君) 前回の委員会でであったと思いますけれども、吉川委員から御質問がございまして、総理の御答弁のとおりであるというような御答弁を私させていただきました。  個人的な意見がこの内閣委員会で、この場で申し述べるのが適切かどうかということは別にいたしまして、個人的な考えを申し述べさせていただきますと、政治と金の問題というのは国民皆さん方から厳しい目を向けられている重要な問題でございますし、実は私、議員になりまして十三年たったわけでございますけれども、初当選のときはリクルート事件、その少し前には共和事件、あるいは様々な疑獄事件というものが発覚しております。そういうたびに、国民皆さん方の政治に対する信頼というものが、積み重ねてきた努力が一瞬にして崩れ去るというものも目にしてきたわけでございます。  そんなことを前提に考えさせていただきますと、国民皆さん方の信頼の確保をもう一度、最後のところというぐらいな厳しい気持ちを持ってやっていくには、公共事業受注企業からの献金等につきましても、国民皆さん方、だれが見ても、ああこれはそんなものだなと、これだったらおかしくないなと言われるように踏み込んだものを考えていく必要があると考えておりますが、先ほど、冒頭申しましたように、私は行革担当相でございまして、現在御審議をいただいているのは道路公団等の民営化検討推進の委員会法案の審議でございますので、民主主義のコストを一体国民皆さん方にどういうふうに負担していただくか、やはり各党各会派の皆さん方の御議論をいただきまして、幅広い形で合意が得られて、そのものに私は賛同させていただきたいと考えております。
  195. 吉川春子

    ○吉川春子君 最後に、藤井道路公団総裁、どうですか、このゼネコンからの政治献金についてお考えがあればお聞かせください。
  196. 藤井治芳

    参考人(藤井治芳君) 基本的には私がお答えする立場ではございませんが、いずれにいたしましても、公共事業国民が本当によく見詰めている事業だと思います。したがって、国民に常に見られているということから、ルールに沿って公明正大に今後とも措置すべき問題だと思っております。
  197. 吉川春子

    ○吉川春子君 私は、ゼネコンあるいは大企業からの、受注企業からの政治献金がきちっと規制されれば無駄な公共事業かなり減るんじゃないかと、こういう期待も持っております。  是非、少なくともこういう公共事業の受注企業からの政治献金がどの党に対してであれ規制されるということが、政治の、国民を、から回復をするための大前提ではないかと思いますので、その点も併せて強く、政府、政府の代表である石原大臣に要求をいたしまして、質問を終わります。
  198. 島袋宗康

    ○島袋宗康君 国会改革連絡会の島袋です。  まず、石原大臣にお伺いいたします。  特殊法人等整理合理化計画において、道路関係公団を廃止することとした理由、及びその他の多くの特殊法人に先駆けてこれらの四公団を優先的に処理することとした理由は何なのかをお伺いします。
  199. 石原伸晃

    国務大臣(石原伸晃君) ただいま島袋委員が御質問されました点は、今回の改革案の基本の中でございますので、若干お時間をちょうだいいたしましてお話をさせていただければと思っております。    〔委員長退席、理事長谷川清君着席〕  特殊法人、この四公団も含めてでございますが、やはり、かねてより経営責任が非常に不明確である。また、経営者と言われる会長さん、理事長さんという方々は、全員がいわゆる高級官僚の方の天下りであると、しかも何年かしますと次のポストに行ってしまって、事業がうまくいっていようがいまいが責任を取ったという話は聞いていない。  あるいは、事業全体の運営につきましても、先ほども同僚議員の議論の中に出てきましたように、どうしても、どれだけの事業をやると言っておいて事業が終了した後費用が多く掛かっていたら、その分がまた割増しになってしまう、いわゆる非効率性。そしてまた、なぜ事業量が増えたのか、説明というものが十分なされていないような不透明性がございます。  あるいは、これは行政組織全般に言えることだと思うんですけれども、組織や自分たちのやっている仕事、業務を自ら増やしていくと。もう役目は終わったものであっても、それに附属する業務として同じような事業を引き続いてやっていく。そして、もちろん親方日の丸、パブリックカンパニーでございますので、経営の自律性の欠如といったような問題点が指摘されてきたことは、島袋委員も御存じのことだと思います。こういう問題に対してどういうふうに解決をしていけばいいのかというのが今回の特殊法人改革の原点でございます。  そして、小泉総理が一つ大きな哲学を御提示いただいております。すなわち、民間にできるものは全部民間にゆだねる、地方に任せられることは地方に任せるという原則に基づいて、これまでの特殊法人改革は、ともすれば整理統合、すなわち二つの機関を一つにして数を減らしていくというものに終始してまいりましたけれども、今回初めて事業や組織の徹底した見直しを行った上で、新たな組織は、この道路公団については民営化前提とするというような基本方針を示したと。他の法人につきましても、組織がそのまま変わらないものも含めて事業見直しはやっていただくということでございます。  そして、二番目の御質問でございました、なぜじゃ他の特殊法人、七十七ある特殊法人のうち、このもの、道路公団を始め都市基盤整備公団、住宅金融公庫あるいは石油公団、七法人は先駆けて行ったのかということでございますけれども、これはもう、総理の強いイニシアチブと、この改革を突破口に他の法人も問答言わさず大きく事業見直し等をやっていただくと。そういう意味で、この七法人につきましては昨年十一月にその改革の方向性を示したところでございます。  なぜ七法人がピックアップされたかといいますと、やはり財政支出も非常に大きいものになっております。例えば、住宅金融公庫でいいますと、民間住宅ローン市場を凌駕する七十五兆円も一つの金融機関で住宅ローンに融資をしておりますし、道路公団道路公団につきましても、年間のキャッシュフローが二兆円にならんとする、そしてまた無駄な高速道路が造られているんではないかといったような御指摘や、何で日本高速道路はこんなに高いんだといったような国民の皆様方の関心も高いために、これを先行七法人として最初に方向性を示させていただいたということでございます。
  200. 島袋宗康

    ○島袋宗康君 そこで、現在進められている特殊法人改革では、道路関係公団にしても公団方式よりも民営が優れているとの前提で進められておるようでありますが、それは公団方式が組織として劣っているためではなく運営上の誤り、監督上の問題に起因して現在のような問題点を生じさせているのではないかというふうに考えますが、どうでしょうか。
  201. 石原伸晃

    国務大臣(石原伸晃君) ただいま委員の御指摘されました公団方式と民間株式会社方式、それとこの公団のマネジメント、運営の問題、私は両方問題があるんではないかと率直に思っております。  と申しますのは、先ほど若干触れさせていただきましたように、道路公団を例に取りましても、八千人からの従業員の方が働いていてかなり優秀な方もたくさんいらっしゃいます。しかしながら、そのパブリックカンパニーである道路公団、社長さんはだれがやっているかというと、すべて高級官僚の方の天下りでございます。そうしますと、企業に入って、社長は外からやってくる、自分たちはどんなに出世してもそこそこ天下った人と肩を並べるのがやっとであるという組織が、果たして民間企業と比べてレスポンスが良く、なおかつ事業意欲、発展性を持っているかというと、私はいささかそこにも疑問があると思います。  また、先ほど来これ一番議論の出ている、どうも過大な交通量予測の下に償還計画を立てているんじゃないか、あるいは将来の交通量によって円滑に償還できなくなるんじゃないか、こんなような事業運営の面での問題点も指摘されております。これは公団方式が仮に優れたものであるならば、公団自身の問題でありますので、その点についてもう少し大きい声が聞こえてきてよかったと思いますけれども、残念ながら、これまでのところそういうものが聞こえてきたことはございません。  こんなことをもろもろ考え合わせますと、道路公団の改革については、民営化という新しい手法を採ることによってコスト意識の徹底というものが図られて事業の運営、これは運営面でございますけれども、採算性を重視した経営が行われるという民営化のプラスのメリットというものが生じるのではないかという点に立脚いたしまして、整理合理化計画の中では、必ず借りたお金は返せるように、そして要らないものをどんどん造らないように、ニーズが意外にないようなところにも造らないように、新規投資に一定の歯止めを掛け、基本方針を示させていただいたところでございます。  この基本方針を踏まえまして、経営の効率化や、何といいましても私は民営化が目的ではないと思っております。あくまでこれは手段であって、これが委員の質問のポイントではないかと思うんですけれども、その手段によって利用するユーザー、国民皆さん方へのサービスの向上や、民営化されてその組織が活性化することによって、またビジネスに競争が起こることによってメリットを国民皆さん方が大きく享受できるようにしていかなければならない、そして、どういう形で民営化をすればいいのかということをこの現在御審議をいただいております民営化推進委員会において今年じゅうに採算性の確保等々につきまして御答申をいただきまして、政府として改革の具体化に取り組んでいくと、こういう整理を実はさせていただいております。
  202. 島袋宗康

    ○島袋宗康君 それで、いわゆる民営化推進委員会ができることによってその今の、非常に弱点となっております天下り、その問題について解消できる体制になりますかどうか、それについて御見解。
  203. 石原伸晃

    国務大臣(石原伸晃君) この天下りの問題は、実は行政監視委員会等々でも、昨日も議論になった点でございます。ここにやはり国民皆さん方の不信の目というものが多く寄せられております。  ですから、どういう形の民営化の形になるかということは、もちろんこの民営化推進委員会でお決めいただくことになりますが、これは私の個人的な考えですけれども、やはりどのような民営化された会社になろうとも、その会社の長たる社長はやはり民間の方か、あるいはその特殊法人等で働いてきた優秀な方がなっていただくという形がより健全な姿ではないかと考えております。
  204. 島袋宗康

    ○島袋宗康君 現在、高速自動車国道の中で採算が取れているのは何路線あるのか、そしてどこどこか、また採算が取れないのは何路線あるのか、採算が取れない理由はなぜなのか、収支率が一〇〇以上とか以下とかの基準があるとのことでありますけれども、どのようになっているのか、お伺いいたします。また、利用度数の少ない路線の利用度数を上げる方策はないのかどうか、お伺いいたします。
  205. 大石久和

    政府参考人(大石久和君) 平成十二年度決算におけます営業中路線、三十九路線ございますが、これに関する収支状況を見てまいりますと、収支率が、いわゆる収支率が一〇〇以上の路線、これは百円の収入を得るために百円以上の費用を要している路線、こういうことになるわけでございますが、こういった路線は東海北陸自動車道、東北横断自動車道酒田線等の二十一路線でございます。また、一〇〇を下回る路線、これは百円の収入を得るための費用が百円以下という路線でございますが、これは東名高速道路、東関東自動車道水戸線等の十八路線でございます。  収支率の高い路線は、開通区間が連続していないなど一部供用にとどまっているなど、ネットワークが未完成である等の理由によるものが多うございまして、早期にネットワークとしての完成度を高めることが重要だと考えてございますが、一方で、今、先生からお話ございましたように、現在のネットワークにおいてもより多くの利用の促進を図る必要があると考えておりまして、長距離逓減の割引制度や、あるいは料金別納割引、ハイウエーカード等の各種割引制度を導入してきたところでございます。また、平成十三年九月から、出発地と周遊期間を設定いたしまして、周遊区間内を一定期間乗り放題とする高速道路料金、スーパー割引などを実施するなど、利用促進に資する割引制度の拡充を行ってきたところでございます。  また、先般来、この委員会でもいろいろございますETCが入ってまいりますと、それによる種々の割引あるいは利用拡大制度も導入できると、このように考えているところでございます。
  206. 島袋宗康

    ○島袋宗康君 それから、道路関係公団に代わる新たな組織及びその採算性の確保については、第三者機関を設置して検討させることとし、その具体的内容については平成十四年度中にまとめることとされている。  そこで、まず、これらの四公団に代わる新たな組織、民営化前提とした新たな組織とは公団でもなく民営でもないわけでありますけれども、その組織とはどのような組織なのか、そしてそれは過渡的組織ということなのか、お伺いしたいと思います。また、採算性の確保はどのようにすれば可能になるとお考えになっておられるか、二点目にお伺いします。三点目に、四公団の現在までのそれぞれの累積債務額は幾らですか、そしてそれは新たな組織に引き継がれることになるのですか、その債務処理策はどのようになるのか、お伺いいたします。
  207. 熊代昭彦

    ○副大臣熊代昭彦君) 先生お尋ねの民営化前提とした新たな組織ということでございますが、どのような組織かということでございますので。  民営化の最たるものは完全な株式会社ですね。それから、その途中のものの特殊会社というようなものもあると思います。それを前提とした議論であろうというふうに考えておりまして、総理大臣は、御答弁の中で株式の上場を目指すというふうにおっしゃいましたので、そういうことでお考えであろうというようなことでございます。  採算性の確保についてどのような議論をするのかというお尋ねでございますけれども、具体的に公共用物、公物であります道路でございますので、いろいろな問題があると思いますが、この第三者委員会で御検討をいただくものは、例えば占用許可、通行規制など道路管理権限の行使を今後どうするのかという問題と、業務に対して国はどこまで関与するのか。株式会社、特殊会社であればどこまで関与できるのかという問題とか、それから、いわゆる上下を一体とすべきか、上下を分離とすべきかと。道路、土地を株式会社に持たせるのか、そうではなくて分離するのか。それから、会社は四公団併せまして一つに統合するのか、あるいは統合後に地域分割を考えるのか、直ちに、最初から分割しているのか、そういった問題。  それから、採算性の確保につきまして、道路交通需要の将来見通し、金利の見通し、費用対効果分析の考え方などについても御検討いただくということになると思いますが、特に新たな組織による事業前提となる採算性の確保の基準について御意見をいただかなければならないわけでございますが。  具体的には、将来交通量や将来金利考え方、これはいろいろ既に議論が出ておりますが、それから、料金や償還期間ですね。償還期間は五十年を限度とするというふうにしております。五十年以内に借りたお金はすべてお返しするということが前提でございます。料金はどうするか。五十年したらただにするというのが前提になっておりますけれども、ただ、株式会社ならば、五十年でただなら五十年で会社を廃止するのかと、そういう議論もございますので、そこもやっぱり根本論を考えていかなければ、現在の料金は高くて将来はただというのが、現在の料金も思い切って下げて、将来も減価償却とか管理費をいただくとか、そういうので株式会社が成り立つのかどうかというような観点もお考えいただくことになるというふうに思います。  それから、これも御議論ございましたが、道路を造るときのコスト縮減の在り方、従来のままでいいのか、安く造ることもできるのかということですね。それから、費用対効果分析の考え方。それから、公租公課をどうするのかと。そのまま掛けるのか、特別に対策を考えていただくのか。資金調達、公的助成等の在り方などについて御検討いただくということでございます。  それから、累積債務は新たな組織に引き継がれることになるのかというお尋ねがございました。  累積債務の額は後ほどお答えいただくことといたしまして、本委員会において、特殊法人整理合理化計画に示された基本方針の下で債務を確実に償還するための方策というふうに書いてあるわけでございますので、新たな組織の採算性確保について御審議をいただくわけでございますが、その前提で、債務をどうするのかと。これは一番大きなイシューの一つだと思います。それは委員会で御審議いただきまして、例えば、現物を出資したら株式を引き受けて、債務も国の方が引き受けるのかもしれませんし、それはいろんな考え方があると思います。  そういうことでございまして、本四につきましては既にいろいろと閣議決定の中に書いてもございますが、そういう考え方も踏まえまして委員会で御審議いただく。その最も主要なテーマだろうというふうに考えております。  現在の状況は国交省の方からお答えいただきます。
  208. 大石久和

    政府参考人(大石久和君) 道路関係公団の累積債務がどれぐらいあるかというお尋ねでございますが、道路関係公団の負債につきまして、平成十二年度決算におきます貸借対照表の流動負債と固定負債の合計で申し上げますと、日本道路公団は二十七兆四千億円、首都高速道路公団は四兆九千億円、阪神高速道路公団は四兆円、本州四国連絡橋公団は三兆九千億円、それぞれ概数でございますが、となってございます。  また、営業中路線につきまして、資産総額から償還準備金を差し引くこと等により算出されます平成十二年度の要償還額で見てみますると、日本道路公団高速道路は十九兆六千億円、首都高速道路公団は三兆三千億円、阪神高速道路公団は三兆六千億円、本州四国連絡橋公団は四兆六千億円、それぞれ概数でございますが、となっております。
  209. 島袋宗康

    ○島袋宗康君 政府は、第四次全国総合開発計画で高規格幹線道路網を約一万四千キロで形成するとし、新全国総合開発計画ではこれを二十一世紀初頭に概成することを目指しているとのことであります。    〔理事長谷川清君退席、委員長着席〕  現在までの進捗率及び掛かった費用の総計は幾らなのか、お尋ねいたします。
  210. 大石久和

    政府参考人(大石久和君) 高規格幹線道路一万四千キロの進捗状況及び投入費用の総計についてお尋ねでございます。  高規格幹線道路計画は一万四千キロでございますが、平成十三年度末までにその全体の五七%、八千十七キロメートルを供用いたしておるところでございます。また、本年度は道路整備の長期計画の最終年度に当たるわけでございますので、例年に比べ大幅な供用が予定されております。したがいまして、今年度末、平成十四年度末までの供用延長は全体の約六〇%に当たる八千三百五十七キロメートルになると考えてございます。  高速自動車国道で七千二百キロメートル、本州四国連絡道路で百六十四キロメートル、一般国道の高規格幹線道路で九百九十三キロメートルになるものと見込んでございます。このために投じた費用は、事業中区間も含めまして平成十三年度末までに、これはおおむねの数字でございますが、四十一兆円程度投資してきたところでございます。
  211. 島袋宗康

    ○島袋宗康君 現在までに未整備となっている計画路線を公団の手によって完成させることなく、それを民営化した民間会社の手にその成否をゆだねることになりますけれども、それは国として行政責任を放棄することになるのではありませんか。お尋ねいたします。
  212. 大石久和

    政府参考人(大石久和君) 道路計画全体をどのように整備していくかにつきましては、先ほど菅政務官からも御答弁させていただいたところでございますが、高規格幹線道路一万四千キロのうち、高速自動車国道として整備したいと考えておりました一万一千五百二十キロ、あるいは一般国道の自動車専用道路として整備を考えておりました二千三百キロ及び本州四国連絡道路百八十キロメートルから構成されておりますネットワークでございますが、こういった道路は基幹的な陸上交通網を形成するものでございまして、地域と地域の連携、地域の自立に必要不可欠な路線であると考えてございます。  この路線のうち、枢要部分であります高速自動車国道の整備につきましては、今御議論いただいております民営化推進委員会意見を踏まえまして、個別の議論につきましては国幹会議の議を経て決定することとなっておりますが、昨年十二月に閣議決定されました特殊法人等整理合理化計画におきまして二つに分かれた機軸がございまして、一つには、新たな組織により建設する路線についての考え方及びその他の路線についての考え方、例えば直轄方式による建設は云々と書かれているような部分でございますが、こういった考え方が示されておるわけでございます。  したがいまして、今後の高速自動車国道の整備につきましては、新たな整備手法を含め、種々の整備手法を検討していく必要があると考えてございます。場合によっては国費を用いる公共事業方式も考えられると考えてございます。  いずれにいたしましても、その整備を図ることにより、高規格幹線道路一万四千キロのネットワークの早期完成に努めてまいりたいと考えております。
  213. 島袋宗康

    ○島袋宗康君 最後に、委員会は優れた識見を有する者のうちから内閣総理大臣が任命する七人以内の委員で組織されるとされ、委員の任命に国会の同意を必要としませんが、それはどのような理由によるものですか。お伺いいたします。
  214. 熊代昭彦

    ○副大臣熊代昭彦君) 国家行政組織法第八条に基づく審議会のうち、その委員の任免につきまして両議院の御同意を得ることとされているものは、政治の基盤に関することを扱うもの、例えば衆議院議員選挙区画定審議会のようなものですね。それから国民の権利義務に直接かかわるもの、例えば労働保険審査会のようなものですね。そういうものが主でございまして、本委員会は、道路関係公団の改革につきまして特殊法人等整理合理化計画に非常に具体的なことが既に定めてございます。それに従いまして、その具体化を図るために検討を行うためのものでございますので、委員を国会同意人事とする必要はないのではないかということで法案を出させていただいているところでございます。
  215. 島袋宗康

    ○島袋宗康君 時間ですので、終わります。
  216. 田嶋陽子

    ○田嶋陽子君 社民党の田嶋陽子です。  前回の質疑で、日本道路公団の藤井総裁は、民営化推進委員会の答申を待っているだけではなくて、特殊法人のままでも更に効率的な組織運営ができるように変えることができるとお答えになりました。ただし、この御発言には、民営化が既に閣議で決定されてしまったので日本道路公団としてはそれに従うしかないとのあきらめも含まれているような印象を受けます。それでも藤井さんは、「置かれた状況と世の中の温度というものを考えて、自ら直すべきところは直すということを絶えずしていくのが我々の現在の責務」とおっしゃっています。  ところで、その道路公団のシステム改良のために経営改善委員会の諸井虔委員長が四回にわたって改善すべき点を指摘しています。その中から質問させていただきます。  平成七年十二月の経営改善委員会の第一回意見書の中で、こう言っています。公団の経営上の権限、責任の明確化が不可欠である、そのためには、国の計画策定や施行命令に先立って公団が経営上の観点から自らの意見を述べることができる仕組みを設けるべきということです。その後、平成十年十二月、その経営改善委員会の第三回意見書の中で、こうあります。第一回意見書で指摘した経営合理化方策に対する公団の取組は一定の進捗があるものと認識するとされています。  そこでお伺いします。日本道路公団が改革への意欲を持っていることは分かりました。この三回の意見書を受けてその後どのように改善は進んでいたのでしょうか、お伺いします。
  217. 藤井治芳

    参考人(藤井治芳君) 先生御指摘のようなことで、平成八年三月以降、計画段階では各地方整備局と私どもの支社長、前は建設局長でございました、との間でいろいろな、具体的にどこを通ったらどうだ、環境問題がどうするかというのを、決まってから道路公団にいただきましたらそこで新しい環境問題、またゼロからやらなきゃいけないことになりますから、そういう意味計画の段階から御相談させていただくことができるようになりました。これは非常にコストの縮減にも役立つことだと思います。  さらに、最終的にアセスの手続や都市整備計画を出す段階で、道路局長とJH総裁との間で平成八年以降、毎回整備計画を出す段階では意見を言わせていただいているということでございます。その内容は、例えば、そういうことをやったときの採算性の確認について私どもなりにやって、こうなっているからひとつ国としても検討してほしいというようなことから資金コスト三%路線などが結果的に成り立ってきた、こういうような形があります。  さらに、施行命令段階で、道路局からいただいたときに、それに対してもまた具体的に、例えばオオタカの問題だなと、具体的に出てきますから、そういうことについても国にもいろいろと援助をいただく、こういうようなことでございます。  なお、それ以外にこの経営改善委員会は多岐にわたって御指摘をいただいておりますので、それを可能な限りやっておりまして、その一例だけ、一つだけ申し上げますと、去年の十一月に会計監査というのを外部法人、今までは内部だけでやっておりました。ところが、NHK等がやっているというのを聞き知りましたので、私どもも外部民間団体の法人監査してもらおうということで、十三年度から踏み切りました。  それから、さらに、改善委員会のおかげで、十三年度、十四年度以降の予算の要求の仕方をいわゆるプライマリーバランスを前提として要求させていただいたとか、そういう幾つかのことで非常に私ども助かっております。
  218. 田嶋陽子

    ○田嶋陽子君 藤井総裁は、十二年の六月、すなわち第三回意見書が出された二年後に就任されていらっしゃいます。今いろいろ伺いまして、いろいろな改革が少しずつなされていたということは分かるんですが、それ以前の経営合理化策を踏まえて、今後、更に今お話しなさった以外にどういうことに取り組もうとお考えなんでしょうか。
  219. 藤井治芳

    参考人(藤井治芳君) 非常に難しい御質問ですが、といいますのは、今回の第三者委員会で方向が出てまいります。今年末と聞いておりますけれども、出てまいります。それを受けて、国土省で運営しておられます国幹会議というところで御議論をなさいます。それを経ないと私どもの立場がどういうことになるか非常に不透明なところはございますが、先ほど、吉川先生からも御指摘がありましたように、採算性の確保というのが我々の経営者としての任務でございますから、その面から、例えば同じことを投資するのでも後ろの方に、後の方に送りますと、それだけ金利負担から何から収入がどんどん上がってきてから支出をすれば楽になるんです。早く支出しますとなかなかその金利負担だけがどんどんかさむから大変だといったような、事業の執行のやり方等についても国と今後御相談させていただければいいなと。  計画論は国がお決めになるとしても、少なくとも執行論については国と御相談、積極的にして採算性にそごのないようにさせていただきたいなというふうに現時点では思っております。
  220. 田嶋陽子

    ○田嶋陽子君 私たち一般国民にとっては、道路公団採算性も取れないのに高速道路をばんばん造っているように見えたわけです。でも、実際は、この経営改善委員会が指摘しているように、国土交通省がやれと言ったら道路公団としてはいろんな意味でその方針に従うしかないという状況があるということは分かりました。でも、道路公団としてはそこを改善して自主的に意見を出そうとしてきたことも分かりましたが、何だか遅きに失した気がします。  前回の質疑でも私が申し上げた職員の意識改革について改めてお伺いしますが、そのときに藤井総裁は、コスト縮減の問題を考えるとか、発注の問題を考えるとか、弾力的なサービスをするとか必要度の高くない仕事を天下り官僚のポスト維持のためにわざわざ作らない、それから、組織を変えるというようなことを具体的に挙げていらっしゃいました。しかし、組織が新しくなっても体質が変わらなければ改革も名ばかりだと、だれでもそう思うと思うんです。  その新しい体制作りの前提になる職員の意識改革についてですけれども、実際に具体的にはどんなことをなさっていらっしゃるんでしょうか。
  221. 藤井治芳

    参考人(藤井治芳君) 私ども、具体的な組織としては、経営活性化推進本部という、難しい言葉ですが、ステップ21推進本部というのを作りまして、そこで各種、全職員からインターネットでどんどん意見をいただきます。それを私どもの本社の経営企画課というところが整理して、それをすぐ各担当レベルに渡したりする仕組みもございます。  それから、一番の大きい意識改革は、私は、昨年の四月から、春から始まっているこの民営化の動きだと思っております。このおかげで、いわゆる与えられた予算を執行するという立場の意識から、逆に、もう世間からたくさんやられましたから、もう我々としてはやっぱり自ら、資金というものは経営と密接なんだなということを職員が民営化の動きの中で大分知るようになりました。したがって、私どもは情報の共有化ということで、いろんな情報がありますといろいろと違った情報もありますので、それをなるべく各職員にどんどん伝達していくということ、これが一番の意識改革の前提になります。  それで、そういうことの努力はさせていただいておりますので、先ほど外部監査なんかも私どもが言わなくともやろうじゃないかというのを、普通は総裁がやれよとか言うんですが、自ら言ってくれるようになってきています。  そういうことで、これは目立たないことですが、具体的にこの民営化の動きそのものが意識改革に一番役立っているというふうに認識しております。
  222. 田嶋陽子

    ○田嶋陽子君 今のお話だと、もう民営化しなくてもいいような感じなんですけれども、そういうことにはならないですか。
  223. 藤井治芳

    参考人(藤井治芳君) それとこれとはまた別だと思いますが、職員を少なくとも意識改革をさせること、しておくことがまずすべての前提だと思います。
  224. 田嶋陽子

    ○田嶋陽子君 何だかよく分からないですけれども。  天下りのことで、藤井総裁も天下りでいらっしゃいますから直接こういうことを申し上げるのは気が引けるんですけれども、ずっと日本道路公団で働いてきた人ではない国土交通省からやってきた人がトップに君臨して意思決定権を握るわけですね。これではプロパーな人たちが意見も言いにくいですし、能力を発揮する場が減るわけですよね。  藤井総裁は、前回の質疑で、プロパーの人間を一生懸命育てていらっしゃると、そういうことをおっしゃっていました。育てるということを私なりに理解すると、役職に就けていく、管理職に登用していくということになるんではないかと思うんですね。でも、その役員名簿を拝見しますと、九人の役員のうち理事の三人に道路公団出身の方がいて、六人はしかも天下りの元官僚ということですね。  もっと詳しく申し上げると、二〇〇二年五月十六日現在の日本道路公団の役員と幹部の人事構成見ます。すると、総裁はもちろん藤井さんですね、天下りです。それから、副総裁は建設省からの天下りです。それから、理事は三人が天下りで、プロパーが三人理事でいます。監事は天下り。それから、部長や室長などの管理職は十七人いて、そのうち内部採用は十五人、八八%です。要するに、内部採用は管理職にはなれてもトップにはなれないわけですよね。  そうしますと、天下りという国からの人材供給システムに頼らないことを前提にしますと、今後どのように具体的にプロパーを育てておいきになるんでしょうか。
  225. 藤井治芳

    参考人(藤井治芳君) 私ども、内部的にはプロジェクトチームをたくさん作っております。その中では、部長であろうが課長であろうが調査役であろうが、そういう管理職でない者でもやる気のある人は入れて一緒に議論していただいております。  そういうことで、まず今までの、今までの道路公団は、私自身が地方建設局の工事事務所長もやりましたし現場の出張所長もやった人間ですから分かるんですが、工事という仕事をするという感覚しかないんです。これは事実です。ですけれども、それじゃ駄目なんです。道路公団は、少なくともプラスアルファとして、お金は利息が付くお金だよ、税金は付かないけれども利息の付くお金なんだから、同じでも使い方を考えると利息分が減ることがあり得るんです。その教育をしないでおいて、ただ同じように使うような気持ちの人では経営陣に使えません。  そういうことで、私は今そういう教育をしておりますが、まだまだ、たまたま今、先生がおっしゃった段階、今年の段階では今のような構成になっているのは事実でございます。ですから、この構成が構造的にフィックスするというものでは私はないと思っております。構造的にフィックスするんじゃなくて、前にも申しましたが、適材適所ということで変わってくると。その気持ちがあるから、また私どもの職員はみんなやる気があって一生懸命やってくれていると思っております。
  226. 田嶋陽子

    ○田嶋陽子君 民営化推進委員会ができて、その委員会によって今後の方針が決まってと、少なくとも民営化されるまでには何年か掛かると言われているわけですね。その移行期間中も道路公団特殊法人のままで運営されていくわけですから、その二年、三年の間にそうやって藤井さんは頑張ってプロパーの人たちを教育したり、いろんな意味で内部改革をなさろうと努力していらっしゃると考えてよろしいわけですね。  前回、私は、特殊法人と政府が対等な関係でない限り経営方針に関する対等な議論は成り立たないと申し上げた際に、石原大臣もそのとおりだと御賛同されたような気がします。その上で、石原大臣はこうおっしゃっています。特殊法人という形態ができてもう何十年もたっているわけだから、社長としてやっていくだけの人は必ずいると思う、あるいは外から経営能力に優れた方に当面来ていただくことが必要だということを言っていらっしゃいます。  民営化された暁には、天下りの総裁始め天下りの元役人には御退任いただくということでしょうか。藤井さんは、大変いろんな改革をやっていらっしゃるようなんですが、藤井さんの立場もちょっと気になります。その社長にはプロパーや民間から登用するというのが石原大臣のお考えだと思うんですけれども、ほかの役員ポストに関しては具体的にどのようにお考えでいらっしゃいますか。石原大臣にお伺いします。
  227. 石原伸晃

    国務大臣(石原伸晃君) 人事権があるわけではございませんが、民間会社になった暁には、やはり最終的にはそこの社員の方、現在の公団方々が役員の、先ほど委員の御指摘のとおり三名しか理事、役員の方がいらっしゃらないわけで、残りの六名は天下りなわけですから、少なくともこの九人は公団から育っていくような形が私は望ましいと考えております。
  228. 田嶋陽子

    ○田嶋陽子君 民営化推進委員会で新しい組織についてこれから議論をされるわけですけれども、その出発点は、特殊法人としての日本道路公団の良かった点、まずかった点ということを評価することが前提だと思うんですね。御自身は退いていくとしても藤井総裁は内部改革の成果を出すとおっしゃっているわけで、その時点での監督官庁である国土交通省から政策評価、言わば道路公団の自主的努力の結果に対して評価も行って、その資料を公開していただきたいと思うんですね。  特殊法人時代の日本道路公団の締めくくりとして、国土交通省は政策の総括をなさいますでしょうか。
  229. 大石久和

    政府参考人(大石久和君) 今、先生から御提案がございました。私も初めて聞かさせていただいた御提案でございます。国土交通省として熟慮してまいりたいと考えます。  日本道路公団が設立されまして、先ほど来御議論がございましたように相当な年数がたってございますが、有料道路高速道路の整備主体としてその責任を私は果たしてきたのではないかというように思っております。  しかし、その中で種々の改革すべき点があって、今、総裁先頭に立って種々の効率化、経費節減あるいはサービスの向上等に努めておられるということについては私どもも経営合理化努力として多としたいというように思っております。また、道路公団責任主体として自らの業務について今後とも経営、可能な経営合理化を行っていくということは必要だと考えてございます。  公団業務に関しましては国民からいろんな声が寄せられております。また、いろんな批判もございます。更なる合理化が必要であると考えてございます。国土交通省といたしましてもこういった公団の努力を応援していきたいし、我々もそういった観点から公団を指導していきたいと考えております。
  230. 田嶋陽子

    ○田嶋陽子君 民営化推進委員会は、道路公団民営化されて会社になったらすぐ手を引くんでしょうか。それとも、会社の運営方針に関するオンブズパーソン的な役割を持ちながらフォローしていくんでしょうか。民営化推進委員会の設置期限とフォローアップ体制についてどのように考えていらっしゃるのか、お聞かせください。
  231. 坂野泰治

    政府参考人(坂野泰治君) ただいま御審議いただいております法律案におきましては、この委員会の設置期限は平成十八年三月三十一日限りといたしておるわけでございます。なお、その日よりも前にこの委員会意見を受けて講ぜられる施策に係る法律が施行されるに至ったときは、当該法律の施行に併せて廃止するものとする、すなわち廃止すべく法的措置を改めて取るということになっておるわけでございます。  端的に申し上げれば、新たな組織が発足をするときにはこの委員会は解散をする、そういう趣旨の期限を設けておるということでございます。
  232. 田嶋陽子

    ○田嶋陽子君 午前中に森田議員が参考人に対して質問なさったように、道路の公共性を考えた場合には一定限度の公的関与をするか否かの検討が必要だと思うんですね。一定程度公的関与するとして、民営化された会社をモニタリングするのはどこなんでしょうか。
  233. 坂野泰治

    政府参考人(坂野泰治君) この委員会先ほど申し上げた期限で解散をいたすわけでございますので、その後におきまして国が講じております施策あるいはその施策に基づいて設置されております組織の様々な活動については、例えば政策評価の仕組みその他も活用されることがあるわけでございましょうし、またその他国会でのいろんな御活動の中でもいろいろ監視その他が行われるものと考えております。
  234. 田嶋陽子

    ○田嶋陽子君 特殊法人民営化による一番のメリットは、コスト削減だと思います。例えば、道路公団民営化したらどのくらいコスト削減できるのか試算されておいででしょうか、石原大臣
  235. 石原伸晃

    国務大臣(石原伸晃君) 民営化の形態によっても全体のコストがどれだけ削減されるのかという問題は大きく変わってくると思いますし、一番大きいのは、先ほど議論が出ておりますように、建設工事費用のコスト、次が人件費等々ではないかと思っております。  整理合理化計画の中では、事業コストは、規格の見直し、競争の導入、競争することによりまして安い資材を買うとか、そういうことも起こってまいりますので、引下げを図ると。それと併せて、これも何度も申しておりますように、償還期限を五十年を上限として、今言ったようなコスト引下げ効果を反映させてその短縮を目指すという基本方針の下、この推進委員会では採算性の確保に関する基準などについて御意見をちょうだいすることになっております。  もう委員が御指摘のとおり、このコスト縮減というものは新たな組織の採算性確保にとって実は一番重要な要素でございますので、この推進委員会においても、この点を含めて御検討いただき、数字というものも、もちろん仮定計算になると思いますけれども、どこにどれだけのものを、どういうふうに削ればどういうふうになるというようなことも御議論になるものと考えております。
  236. 田嶋陽子

    ○田嶋陽子君 推進委員会はいろいろすることがあって大変ですね。  熊代大臣にお伺いします。例の話です。山根議員も頑張ってくださったんですけれども、男女共同参画の観点からも民営化推進委員会には是非女性を入れていただきたい。私が考えるに、ただ女ならばいいというわけではないことはよく皆さんも御存じだと思うんですけれども、とりあえず男女共同参画型社会の審議会として、これは国策だと思うんですね。  この間も熊代大臣は、「道路行政、道路の在り方、道路を通しての国の将来の在り方ということに対して大切な識見を持っていらっしゃる改革意欲に富んだ委員を選ぶということでございますので、そういう女性の方がいらっしゃれば二割、三割にこだわらなく大いに選んでいただいても結構だというように思います」とおっしゃってくださっています。  アファーマティブアクションという観点からも一定割合のポストを女性に割り当ててくださるべきだと思いますが、そのことに関して再確認したいと思います。小泉首相とも話し合ってくださったと思いますので、今日は回答をいただきたいと思います。
  237. 熊代昭彦

    ○副大臣熊代昭彦君) 国の審議会の委員の女性参加の男女共同参画社会ですね、積極的に進めているということは御指摘のとおりでございます。  最低限のクオータといいますか、それは御指摘のように定めておるわけでございますけれども、改革意欲に富んだ女性がいらっしゃれば、それ以上ということでございますから何人でも結構だということだというふうに思いますが、ただ委員会の七人の委員の選任につきましては、この法案を成立させていただいて、そしてその御議論を踏まえて七人を決めさせていただきたいということでございますので、先生の御見解はお伝えしてございますけれども、それでどうするかというのは間もなく決まることだというふうに考えているところでございます。
  238. 田嶋陽子

    ○田嶋陽子君 ほとんどここは男性中心社会だから、どこに行っても男性は目立ちます。女性は数少ないですから、女性の委員を探すときには金のわらじを履いて探さなきゃいけないみたいなところもありますので、一生懸命探していただきたいと思います。在野には優れた女性たちが一杯います。ここにも一杯いると同じように在野にも一杯いると思いますので、よろしくお願いします。  先ほど参考人に対する質疑に改革のための様々なヒントがちりばめられていたように感じました。五つほど、感想を言います。  一つ目は、公団あるいは新しい組織の自主的な権限なくして改革なしということ。それから二つ目は、どのような人選をするか。つまり、人事のことが非常に大事だということですね。それから三つ目は、政治家と業者と官庁の癒着構造を是非断ち切っていただかなければいけない。これがある限り改革はなされないということです。それから四つ目は、私たち政治家の利益によって特殊法人などで働く人たちの労働権は奪ってはならないということ。それから五つ目、最後、いいことも悪いことも含めて情報をきちんと出してください。住民は判断ができます。その住民の力を信じて私たちも議論し、地方自治体に決定権を譲ることも考えていかなくてはいけないと思います。  道路公団民営化だけしても、先ほど申し上げたような構造が変わらない限り真の変化には結び付かないと思いますので、石原大臣にもその点を踏まえた改革を進めていただきたいと思います。よろしくお願いします。
  239. 黒岩宇洋

    ○黒岩宇洋君 大分議論も出尽くしてきましたので、恐縮ではございますが、私の地元、新潟の高速道路について質問いたします。  私は、せんだって、五月二十六日、大変晴天の下だったんですが、新潟で行われました日本海東北自動車道、新潟空港インターチェンジから聖籠新発田インターチェンジ間の開通記念式典に出席してテープカットをしてまいりました。  藤井日本道路公団総裁もお見えになりまして、こうおっしゃいました。今後の東北へ通じる自動車道の建設は地元の皆さんに係っている。皆様が道路利用を増やして盛り上げてくださることによって高速自動車道は延びていくと。私も正にそう思います。  式典を新潟空港インターチェンジで行いまして、その後、高速道を渡りまして、祝賀会を新発田市で行いました。新発田市からの帰り道、私は聖籠新発田インターチェンジから日本海東北自動車道には乗りませんでした。と申しますのも、新発田と新潟の間は新新バイパスという非常に快適な道路が通っておりまして、よっぽどの混雑がなければスムーズに新潟市内に入れます。聖籠新発田から乗って新潟亀田インターチェンジまでに高速道路を使いますと七百五十円掛かるんですが、到底私にはそのお金を使う気にはなれませんでした。多くの新潟、そして新発田の地域の方々も同じ考えと聞いております。新潟での別れ際に自分には質問せぬでくれよと言われましたが、あえて藤井総裁に質問いたします。  日本海東北自動車道の新潟空港インターチェンジと聖籠新発田インターチェンジ間、この十六・五キロの区間の年間の収入と経費の予測は幾らになっていらっしゃいますか。
  240. 藤井治芳

    参考人(藤井治芳君) 先生御指摘のこの聖籠インターまでの十六・五キロ、これがほどなく中条まで延びてまいります。非常に短区間の区間でございますから、これだけで云々してまとめるわけにまいりません。したがって、中条まで延びた段階で整理をするつもりでございますが、この区間だけで仮に申し上げますと、開通時の交通量は、豊栄新潟東港間と新潟空港間が四千五百台、それから豊栄新潟東港から聖籠新発田間が三千四百台。私どもが実は予測していたのは、短うございますので、それぞれ三千二百台、千九百台というふうに非常に悲観的に考えておりました。しかし、実際は、一週間の平均でございますが、かなりの数字が乗りました。しかし、しょせんはまだ十六・五キロでございます。中条まで延びませんとまだ何とも言えません。新潟から約七十キロがそれで開通することになるわけでございます。  そういうことで、強いて今の新潟空港と聖籠新発田間だけについて収入を申しますと、約五千台と仮定をいたします。そして、十六・五キロでやりますと、約年間八・二億円の収入に相なります。  しかし、これも、今言いましたように、先まで延ばしませんと──私どもの高速道路は、先生御承知のように、区間で物を考えません。ネットワークとして考えていきます。しかし、いろんなところから、そうは言うけれども、区間ごとの収支状況も考えて、そして償還のチェックをすべきだと、こういう御指摘をいただいております。  私どもは、その場合の区間は、こういう一インター間の区間というふうな理解はいたしておりません。やはり、同じ区間であっても一つの連続性を持った区間として区間を見ますので、そういう状況を見て再度ここのことについても収支状況の把握をさせていただきたいと思っております。
  241. 黒岩宇洋

    ○黒岩宇洋君 収入は八・二億ということでしたが、経費予測はどうなっていますでしょうか。
  242. 藤井治芳

    参考人(藤井治芳君) 維持管理費、業務管理費等を入れますと約五億円、年間に約五億円、こういうことでございます。
  243. 黒岩宇洋

    ○黒岩宇洋君 確かに、おっしゃるとおり、ネットワーク化されたか否かによって全くもって判断が異なるとは思うんですが、しかし、ネットワークといっても、個別路線ないしは今申し上げたようなある区間の総体なわけですから、あえてこの一つのモデルケースとしてこの十六・五キロ区間について私は考えてみたいと思います。  今、総裁おっしゃられました実績交通量、新潟空港―豊栄新潟東港間、今言った豊栄新潟東港というのは新潟空港と聖籠新発田のちょうど真ん中ぐらいにあるところですけれども、その間が四千五百台、そして豊栄から聖籠までが三千四百台。これは、要は開通して沸きに沸いてみんなが道路を通りたがっているときの一週間です。要するに、開通後一週間ですから、この数字ははっきり言って何の意味もないというか、私はむしろ少ないぐらいだと思うんですが、そういう意味では、当初開通、当初交通量という計画の台数を使って私はあえて試算してみました。そうなりますと、先ほどの四千五百台が三千二百台に下がりますし、三千四百台は千九百台に下がります。  これをあえて十六・五キロ間で平均しまして、これ大分あれです、乱暴に計算します。二千五百五十台。そして、その区間の普通車の料金が六百円、大型車が八百五十円ですから、これも大分大ざっぱに平均で七百二十五円。そうしますと、年間で六億七千五百万。八億でも六億七千万でも一緒なんですが、というのは、この区間の建設費は八百五十億です。八百五十億の建設費の一%にも満たない収入なんです、売上げが。とても考えられないんです。そして、これが今おっしゃられたフル規格の一万四千キロの整備がされても交通予測量はこの十倍ということです。  としますと、例えば今の六億七千五百万円の十倍で売上げが六十七億五千万円だとしましょう。そして、減価償却等を含めた営業利益率を非常に高めに見積もって二〇%としても、営業利益は十三億五千万円です。そして、八百五十億円の建設費が借入金だとして、金利四%、これも大変低く見積もったとしても年三十四億円。ですから、全くもって金利すら払うことができないというのがこの現状です。  そして、この区間は、今後、例えば朝日村までは施行命令が下っていますが、山形、東北に延びたとしても、新潟市から出ている区間ですから、本来交通量が最も見込める区間です。ですから、たった一区間という侮ることなくて、このミクロからネットワークという私はマクロが計算できると思っております。  今のようなこの区間の現状、そして最大の目標が今後の交通量が十倍、その程度でも今申し上げた年の営業利益は高く見積もっても十三億、金利が三十四億、このような状況で採算の取れる道路事業を行っていけるとお考えでしょうか。
  244. 藤井治芳

    参考人(藤井治芳君) 今、先生はその区間だけで云々とおっしゃいましたが、具体的な路線を新潟のちょっと上の福島で申し上げますと、磐越道の郡山ジャンクションから磐梯熱海間、ここが最初開通いたしました。このときに一日二千台でございました、平成二年に。そして、十年後、平成十二年には一日一万四千百台になっております。同じことが、九州でいえば、大分道の湯布院から日出間というところだけが開通しました。そのとき二千八百台でございました、平成元年に。それが平成十二年には全通したことによって一万一千台になります。要するに、ネットワークになるのと区間だけで置いておくのとがらっと違うわけでございます。したがって、区間だけで全体を云々するというのは極めて危険でございます。  といいますのは、その新潟の大会のときに私はあえて申し上げましたが、費用対効果というときに私どもは、走行時間の短縮便益、何分短縮したことによってどのぐらい得する、走行経費の減少便益、それから交通事故の減少便益、この三つの要素を数値化いたしまして計算したものが費用対効果分析として出ているわけでございます。これがBバイCとよく言われるもののBなんです。  しかし、現実には、先生もう百も御承知のように、生活の中で、例えば大気汚染だとか環境とか、あるいは災害の代替路とかいったような住民生活に及ぼす効果であるとか、あるいは病院に行けるようになったといったような、そういった一種の雇用や所得の増加等々の生活効果、あるいは地域経済に及ぼす社会的な効果、こういったものは一切評価の対象から外れております。これを単に交通量としてしか見ておりません。そうすると、人口の少ないところ、人の定着度の少ないところは、道路は永久に便利な、我が国の国民として、ひとしい国民の利益を得る立場の人間がいつまでたってもそういう利益は得られないということですから、費用対効果のときに、いわゆる経済効果、生活効果、社会効果というようなものを入れて考えていく。  しかし、採算性という全体のことで国民にまた負担を掛けてはいけませんから、そこで、申し訳ないんですが、全体としてそれを持ってくださいというのがプール制の概念で、そういうことで、そのプール制に早く効果的に入るのにネットワークを何かの形でつなげたい。つなげるのに整備手法を同じにする必要はありませんから、いろんな工夫をしながら国と一緒になってやる。私どもは道路公団としての採算割れが起きないように、だから、プライマリーバランスで採算が、借金がどんどん増えないように投資はやっていくというような、いろんなものを組み合わせてやる。  そういう中での聖籠インターと新潟インターの間の事業効果というものを見ていく必要があると、こういうふうに理解しております。
  245. 黒岩宇洋

    ○黒岩宇洋君 総裁、私が申し上げたのは、ネットワーク化がされて一日三・五万台通っても収入が年約八十億円と。ですから、営業利益率を無視しても金利負担が売上高の四割強を占めるという、このような状況で本当に採算が取れるなどと言えるのかどうかということ。  併せて申し上げますと、通常、ある事業を始めるときに、これは専門家に言わせれば、最終的な年間売上げの目標の二倍以上の借入れがある場合はまずちゅうちょすると。しかし、この路線でいうと、間違いなく十倍以上もう既に建設費という形で将来の借金をしているわけです。このようなもので本当に、先ほどから石原大臣採算性の確保がポイント、そして総裁に至っては採算性の確保は経営者の任務だと、そうおっしゃっていますが、このような数字を目にして本当に採算の取れるようなそういった道路事業の経営ができるのでしょうか。お答えください。
  246. 藤井治芳

    参考人(藤井治芳君) ですから、まず条件としては三つぐらいあると思います。一つは、プール制というのだけは前提にさせてくださいというのを、採算を取る立場から見れば前提になります。それから二つ目は、料金のレベルはある程度確保させてください、これが二つ目です。三つ目は、支出の方で借金を増やさないようにして投資していく分には、その全体の中での採算性の中で弱いところも抱えていけるわけですから、しかし、それで赤字の、借金がどんどん増えていくんではこれは国民の納得を得られません。したがって、そういうプライマリーバランスに沿って投資のいろんな計画を立てていく。さらに、どうにも、もっと厳しいところについては、整備手法について、高速道路のこのネットワークとしての整備手法だけではなくて、もっと別の整備手法で造っていただくところも加えて、そして全体として採算に支障のないようにしていくと。そういう意味のいろいろな組合せの議論前提になろうかと思っております。  そういうことを考えながら、今後、私どもの立場からいうと、あくまでも採算性に対して責任を持たなければいけない立場でございますので、借金が増えないようにしていく、そしてむしろそれを減らすようにしていく、これを前提にいろいろと計画はチェックをいたしてまいります。
  247. 黒岩宇洋

    ○黒岩宇洋君 総裁のお答え、このぐらいに。  いずれにせよ、本当に売上高の、私も民間企業で事業予測とかやっていましたが、売上高の四割が金利で持っていかれるなんということを上司に持っていったら首です、その場で、間違いなく。非常に大変な事業がこの先総裁の前に現れていると今痛感いたしました。  それでは、次の質問に移させていただきます。  そもそも出資形態が日本道路公団とその他の三公団では違いますし、日本道路公団道路は国道です。そして、首都高速道路公団、阪神高速道路公団道路は地方道。また、日本道路公団と本四公団は高規格幹線道路を扱っていますし、首都公団と阪神公団は都市高速道路です。ネットワークの性質からいえば、動脈や静脈とそれに対する毛細血管のような違いがある。  これらの組織を、たまたま特殊法人であるという共通項のみでくくって一括して議論してよいものかどうか、石原大臣にお聞きいたします。
  248. 石原伸晃

    国務大臣(石原伸晃君) これは、今、委員が御指摘されました議論は、この整理合理化計画を取りまとめるときにもございました。  そこで、私どもの整理は、道路関係公団は、いずれも高速自動車国道である、首都高、阪高、本四架橋といった全国的な幹線道路及びこれと整合性を図りつつ整備を進めるべき基幹的な有料道路を整備、管理する、要するにこれをマネジメントしているのはパブリックカンパニーであることから、四公団一体として検討するということに無理はないのではないかと整理をさせていただいたところでございます。
  249. 黒岩宇洋

    ○黒岩宇洋君 もう一点追加してお聞きします。  吉川委員の質問でもあったんですが、この首都高速道路公団、阪神高速道路公団、本四公団には自治体が出資しているわけです。民営化する際に、やはりこの出資自治体の意見をくみ上げなければいけないと私は思います。  推進化委員会ではどのように反映させるのでしょうか、熊代大臣
  250. 熊代昭彦

    ○副大臣熊代昭彦君) このたびは、正確に熊代と言っていただきましてありがとうございます。  私も、岡山が選挙区でございますので、岡山県の知事から、岡山県の出資金はどうなるんだといろいろ言われます。それから、中国銀行に行ったら、これは民間でありますけれども、うちの銀行も出資しているんだ、どうしてくれるんだというような話いろいろありまして、出資金があるところは、本四もございますし、御指摘の首都高、阪神高、いろいろございます。  そういうことでございますから、出資がどうなるのかというのは自治体の極めて大きな関心事だと思います。それに対して十二分におこたえしなければならないわけでございまして、形態によりまして、例えば現物出資で、株式ならば、株式が戻ってくるから、出資金に見合う、その出資金に見合う株式を売ったらば倍ぐらいの収入になるんじゃないかとか岡山県の知事には言っているんですけれども。これは何という、ちょっと楽観的な話でございますが。  いずれにいたしましても、委員会の運営におきまして、そういう御意見をしっかりとお伺いしなければならないということでございますので、例えばヒアリングとか地方公聴会の開催、そういう中でも知事の御意見とか出資されているところの御意見というのは十二分に配慮していただけるものと考えているところでございます。
  251. 黒岩宇洋

    ○黒岩宇洋君 それでは、本四公団についてお聞きします。惨たんたる経営状況の本四公団については、やはりお答えをお聞きしたいと思います。  今、本四公団の財務状況は、平成十二年度で七百五十八億円の損失となっています。平成十一年四月に出されました総務庁行政監察局の報告書によりますと、十二年度の予測は五百三十億円の損失となっていました。その差既に二百五十八億円。同報告書の予測では、十六年度の収支率が一〇〇%になるとしてありますが、十二年度の例を見るまでもなく大変疑わしいものです。民間シンクタンクの予測では、今後毎年、道路公団方式の決算で年間八百五十億円、企業会計方式で千四百億円もの損失を本四公団は出し続けていると試算しています。  このような状況で、本四公団単体で経営を健全化することはできるのでしょうか。
  252. 石原伸晃

    国務大臣(石原伸晃君) 大変頭の痛い点だと思います。と申しますのは、今、委員が御指摘されましたのはいわゆるプライマリーバランスの観点からの御指摘でございますが、このほか、実は国が無利子貸付けという形で、昨年度は八百億円、そして今年度の予算においては一千億プラスで一千八百億円投入しております。  整理合理化計画での整理をもう一度お示しさせていただきたいんでございますが、「債務は、確実な償還を行うため、国の道路予算、関係地方公共団体の負担において処理することとし、道路料金の活用も検討する。」という基本方針を実は示させていただいております。  さらに、道路交通需要の見通し、あの橋は、一番交通量の多い橋でも道路需要見通しのまあ九割ちょっと、一番悪いしまなみ海道では六割ちょっとといったように、交通需要見通しに大きな差がございます。  金利の方は、幸いと言ってはなんでございますが、低水準で推移しておりますが、先ほども御答弁させていただきましたように、十年間の平均金利でいうならば、やっぱり四%、五%というのが普通の姿ですし、先ほどお地元の新潟県の場合に御適用された基準金利四%というものもその世界では常識的な数字である。  こういうものをすべてもろもろ検討していただいて、債務が確実に償還でき、さらに健全に経営できる方策というものを考えていただきたいという大変難しいここの部分検討委員会にお願いをしております。  いずれにいたしましても、改革意欲に富んだ方々で、どなたが委員になるかということはこの法律案が通りました後の話でございますが、熊代大臣から御答弁させていただいておりますように、改革意欲に富んだ方々でございますので、必ずや回答を答申として政府の方にちょうだいすることになると思います。政府としては、その答申を尊重させていただいて、適切必要な対応を取ってまいりたいと考えております。
  253. 黒岩宇洋

    ○黒岩宇洋君 今お聞きしても、どちらにしても処理は、個別に処理する場合は国費を投入する、ないしは、これは多分、他の道路料金等の活用も検討ということは、すなわち四公団の大プール制によって他の地域の人間にまた負担を負わせると、多分これしか解決できないんだと思います。  時間もないので、最後一つ。  民営化形態で、上下分離と一体方式、これは非常に今回の委員会でも議論になりまして、大臣も推進委員会にゆだねると言っています。それ以外にも、御自身でも、この見解については、双方のメリット、デメリットを論じられていらっしゃいます。  しかし、この一体方式か分離方式かというのは大変に重要な問題です。今後、民営化された会社が上場を目指す際に、市場が評価するのは現在の利益水準だけではありません。その企業が将来の発展の可能性をどれだけ秘めているかが重要なわけです。そのためには、新規事業の展開や不必要な資産の売却など、自らの判断で行い得る経営の自由度が保障されていなければなりません。  そのためには、私は、一体方式が不可欠であると考えます。分離方式では、道路自体を公的機関が保有し、民間会社はその使用料をリース料等で払うわけです。リース代金の設定も公的機関が握っている。稼いでも稼いでも利潤を公的機関に吸い上げられるような経営なら、その経営を合理化するインセンティブが生じるわけではありません。  先ほど申し上げましたが、大臣自身もメリット、デメリット挙げていらっしゃいます。あとはそれらをはかりに掛けて御自分で判断なされば答えは出るはずです。大臣としてはどちらの方式が適当とお考えですか。  あわせて、今後、今、藤井総裁は、御自分をもう社長だとおっしゃっています。仮に御自分が新しい組織の会社を引き継ぐとして、総裁のおっしゃるこのBバイCという観点から経営を進めていく上で、一体方式を取るのと分離方式を取るのとどちらが運営しやすいとお考えですか。一体か分離かのこの単語だけで結構なんで、お二方お答えください。
  254. 石原伸晃

    国務大臣(石原伸晃君) 一番重要なポイントでございますので、この点を有識者である第三者機関に御議論をいただくということが今回の法案のポイントでございます。
  255. 藤井治芳

    参考人(藤井治芳君) 今、大臣がおっしゃったように、第三者委員会で出た結論に沿って私どもが一生懸命また努力していくという立場でございます。  しかし、経営という考え方からいえば、収入と支出がばらばらのものは普通の会社ではあり得ないと思っております。そういう意味で、経営判断が広く、創意工夫が最大限発揮でき、いろんな工夫ができるような形態が望ましいというふうに思っております。
  256. 黒岩宇洋

    ○黒岩宇洋君 終わります。
  257. 佐藤泰介

    委員長佐藤泰介君) 本日の質疑はこの程度とし、これにて散会いたします。    午後四時二十九分散会