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松井孝治君 おっしゃるとおりだと思うんですね。午前中の
質疑においても
石原大臣が明確におっしゃいましたけれ
ども、やはりこれから従来の発想を変えて、かつては正しかった原理というものも見直して、官から民へ、
民間にできることはできる限り
民間の活力を生かしてというのが、この
道路公団の
改革に当たっても基本理念とすべきものであると思うわけであります。
そこで、
石原大臣にお尋ねしたいんですけれ
ども、本日、理事会の御了承を得まして、お手元に資料を配らせていただいております。二枚紙の資料でございます。
簡単にこの資料を御
説明させていただきたいと
思います。これは
民間団体、衆議院の
内閣委員会でも
参考人として招致された構想
日本の加藤秀樹さんという方が
参考人で呼ばれたわけですが、その方がこれは衆議院の
内閣委員会でも提出された資料でございます。もう
関係者の方々は一々これ、この資料について私が御
説明申し上げるまでもないかもしれませんが、簡単に資料を御
説明しておきたいと
思います。
御承知のように、これまでの高速
道路の
整備というのはプール制そして償還主義という原理にのっとって
整備されてきたんだと
思います。それをじゃ具体的にどういうことが起こっているのかということをある
意味ではシンボリックに示しているのがこの表でございまして、この一ページ目の表にありますように、基本的にはある
道路を
整備するその借入金の残高を縦軸に取って、横軸でその償還期間を取っている。徐々に借入金の償還をしていくというカーブがこの最初の一番上のカーブでございます。
ところが、この
道路公団問題、しばしば
指摘されますように、この投資の金額、これがしばしば過小に見積もられている。そして、実際の
交通需要、この収入の見通しがしばしば過大、現実より過大なものになっているということで、よく起こりますのは一ページ目の
二つ目の表にあるように、この償還というものが順調に進まずに上方に修正されてしまう、下手するとこれは発散する。
そうなってきたときに、これはしばしば言われていますのは、最初の
道路、A
道路の償還が順調に進まない、そのときにある時点でそのA
道路の先にB
道路がつながる。つながることによって当然借入金の残高が増えて、そこからまた新しくA
道路とB
道路がつながったところから償還のカーブが始まる。
そして、二ページ目に移っていただいて、そのA
道路とB
道路がつながった償還カーブが、これがまた需要の見通しあるいはコストの見通しの狂いによって、このカーブ、予定したカーブのとおりに進まない。そうなってきたときに、またA
道路、B
道路の先にC
道路がつながるということで、更に投資が行われて、そこから先、償還がされるという予定が書かれるわけであります。
そういうような流れの中で、実際三十年償還というのが四十年、五十年償還になってくる。そして、いずれは償還されますよ、五十年以内で償還されますよということ、そういうフィクションの下でいろんな計画が決定されていくわけですが、実はこれがどんどんどんどんつながっても、結局のところ、将来見通しというのは狂ってしまう。
これは簡易にするために三十年、四十年、五十年としていますが、実際は五十年償還という今回の
小泉内閣における大きな
方針、五十年以内に、
償還期限を五十年以内にするということにしても、実はこの
償還期限というのは重心がどんどんどんどん先にずれていきますから、今年が二〇〇二年で二〇五二年には全部償還されるということは必ずしも実現されないわけですね、重心が先にずれますから。そうすると、どんどんどんどん先に
道路計画が作られて、その
道路まで含めて交通網が一体的に
整備されたときには交通量が伸びますよという、そういう見積りの下でこの
道路整備計画というのがどんどん先に延びていく、こういう矛盾を何とか解消しなければいけないということで、この
道路公団改革というものが始まったんだと私は認識をいたしております。
その
意味で、今回、
民営化という、
道路公団の
民営化という形でマーケットにある程度歯止めを期待するというのは、私は考え方として正しいことだと
思いますけれ
ども、この償還主義あるいはこのプール制というもの、いっときまでこのプール制と償還主義というのが
日本の高速
道路整備について果たしてきた役割を私も認めるものですが、今どんどんどんどん
道路がつながって、どうしても最初はドル箱
路線のような基幹
路線、そういうものを
整備する、どんどん地方に行くに従ってその交通量というのは
一般的に言えば徐々に下がってくる、そして建設費というのもどんどんむしろ上がってくる、こうした中でこのプール制と償還主義というものでは、今後の
道路整備というのは、本当に高速
道路整備というのがこの従来の考え方にのっとって続けられるのかどうか。
既に衆議院の
内閣委員会や本
委員会においてもこの問題については何度か触れられていると
思いますけれ
ども、簡潔で結構でございます、
石原大臣としてそもそも何でこの
道路公団問題、こうした形で取り上げることになったのかということを原点に立ち返っていただいて、果たしてこのプール制あるいは償還主義というものを見直すおつもりがあるのかどうか。あるいは、それはこの
民営化委員会において議論すべきということかもしれませんけれ
ども、
石原大臣、政治家として、このプール制と償還主義の組み合わさった現在の高速
道路整備の在り方についてメスを入れるというおつもりがあるかどうか、端的にお
伺いしたいと
思います。