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2002-04-18 第154回国会 参議院 総務委員会 第12号 公式Web版

  1. 会議録情報

    平成十四年四月十八日(木曜日)    午前十時開会     ─────────────    委員の異動  四月十六日     辞任         補欠選任      吉川 春子君     宮本 岳志君  四月十八日     辞任         補欠選任      岩城 光英君     後藤 博子君      渡辺 秀央君     平野 貞夫君     ─────────────   出席者は左のとおり。     委員長         田村 公平君     理 事                 景山俊太郎君                 谷川 秀善君                 浅尾慶一郎君                 伊藤 基隆君     委 員                 小野 清子君                 久世 公堯君                 沓掛 哲男君                 後藤 博子君                 日出 英輔君                 森元 恒雄君                 山内 俊夫君                 高嶋 良充君                 高橋 千秋君                 内藤 正光君                 松井 孝治君                 魚住裕一郎君                 木庭健太郎君                 八田ひろ子君                 宮本 岳志君                 平野 貞夫君                 松岡滿壽男君                 又市 征治君    国務大臣        総務大臣     片山虎之助君    副大臣        総務大臣    若松 謙維君    大臣政務官        総務大臣政務官  滝   実君    事務局側        常任委員会専門        員        入内島 修君    政府参考人        消防庁長官    石井 隆一君        消防庁次長    北里 敏明君        消防庁審議官   東尾  正君        厚生労働省雇用        均等児童家庭        局長       岩田喜美枝君        中小企業庁事業        環境部長     久郷 達也君     ─────────────   本日の会議に付した案件 ○政府参考人出席要求に関する件 ○消防法の一部を改正する法律案内閣提出、衆  議院送付)     ─────────────
  2. 田村公平

    委員長田村公平君) ただいまから総務委員会を開会いたします。  まず、政府参考人出席要求に関する件についてお諮りいたします。  消防法の一部を改正する法律案審査のため、本日の委員会消防庁長官石井隆一君、消防庁次長北里敏明君、消防庁審議官東尾正君、厚生労働省雇用均等児童家庭局長岩田喜美枝君及び中小企業庁事業環境部長久郷達也君を政府参考人として出席を求め、その説明を聴取することに御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  3. 田村公平

    委員長田村公平君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。     ─────────────
  4. 田村公平

    委員長田村公平君) 次に、消防法の一部を改正する法律案を議題といたします。  本案の趣旨説明は去る十六日に聴取しておりますので、これより質疑に入ります。  質疑のある方は順次御発言願います。
  5. 谷川秀善

    谷川秀善君 おはようございます。自由民主党の谷川秀善でございます。  今回の消防法改正は、昨年の九月一日に発生をいたしました新宿歌舞伎町ビル火災教訓を踏まえまして、再発を防止しようということで検討をされ、違反是正徹底消防管理徹底避難安全基準強化罰則引上げ等を主な内容としているものと考えております。  そこで、二、三質問をさせていただきたいと思いますが、時間の関係もございますので、できるだけ簡潔に御答弁お願いをいたしたいと思います。  昭和五十七年にホテルニュージャパンで大変な火災が起こりました。あれだけの大きな火災で、死者が三十三名でございました。ところが、昨年の歌舞伎町ビル火災は、延べ面積がせいぜい五百平米足らずの小さなビルで四十四人という大変な犠牲者を出したわけでございます。  この原因はいろいろあろうと思いますけれども、やはりいわゆる法令を遵守していなかったと同時に、法令を遵守させる努力が少々足りなかったのではないかなと、こういうふうに思っておりまして、多くの犠牲者を出したということでございますが、その点に関しまして総務大臣、ちょっとまず御感想をお伺いをいたしたいと思います。
  6. 片山虎之助

    国務大臣片山虎之助君) 谷川委員の言われるとおり、消防法令をしっかり守らせるということにおいて私は不十分な点があったと思いますね。  ただ、ホテルニュージャパンの方はホテルということと、比較的大きなビルはまあまあ守っているということはあるんですよ。ホテルニュージャパン火事の後、また消防法令をちょっと強化しましたからね。ところが、この雑居ビルみたいに小さいやつはそこまでは行き届いていなかったということでございまして、大変私も遺憾に思っております。  したがいまして、是非この消防法改正をやりたいと、こういうことでございますので、ひとつよろしくお願いいたします。
  7. 谷川秀善

    谷川秀善君 今、大臣のおっしゃったとおりでございまして、もう非常に雑居ビルがたくさんできてきたと。しかも、それがペンシルビルみたいに非常に小規模でありながらたくさんの人が出入りするような状況であったことが最大の被害者を増やしたという残念なことになったんだろうというふうに思っておりますが、それを踏まえまして、消防庁の方で昨年の九月、十月に小規模雑居ビル対象全国一斉立入検査をされたと聞いております。その結果はどういう状況でございましたんでしょうか、お伺いをいたします。
  8. 北里敏明

    政府参考人北里敏明君) お答えを申し上げます。  新宿区の歌舞伎町ビル火災発生を踏まえまして、今、先生御指摘のとおり、昨年の九月の三日、全国消防機関消防庁長官通達を発出いたしまして、三階以上の階が娯楽、飲食等の用途に用いられております小規模雑居ビルの一斉立入検査を実施いたしました。  結果につきましては、調査項目のうち、消防計画の未策定、約六五%、消防訓練の未実施、約八二%など、また、そういう防火管理関係項目につきましては、すべての項目について違反が半数を超えていると。また、九割を超える調査対象物に何らかの違反があったというようなことが判明しているわけでございます。
  9. 谷川秀善

    谷川秀善君 今、御説明をいただきましたが、九割という言わばほとんどの雑居ビルにおいて何らかの形で、何といいますか、違反といいますか、そういう状況があったということでございますが、これでは、いざ何かが起こったときには大変なことになるということは、これはもう間違いないことでございまして、その辺のところを、どうしてこういう小規模雑居ビル違反是正が進まなかったのか、その辺のところをどうお考えでございましょうか。
  10. 北里敏明

    政府参考人北里敏明君) 先ほど大臣も申し上げましたように、旅館とかホテルなど営業目的の宿泊を伴う施設、あるいはデパートなど極めて多数の者が出入りをいたします施設につきましては、過去に発生をいたしました火災時におきまして極めて大きな被害発生させたという教訓にかんがみまして、消防機関が一年に一回立入検査を行いまして、その結果を審査して適マークを交付いたします適マーク制度、こういうものを実施するなど、こういう大規模な防火対象物につきまして重点的に違反是正措置というのを講じてきたところでございます。  他方、昨年の九月一日の歌舞伎町ビル火災のように、小規模のビルにつきましてはこういう定期的に法令違反等状況をチェックするという体制が構築をされておりませんで、また結果として措置命令発動というようなことも非常に少なかったというようなこともございまして、そういう理由違反是正が進んでいなかったというふうに思っております。
  11. 谷川秀善

    谷川秀善君 いろいろ原因理由があるのだと思いますけれども、これまでの是正命令発動する件数が少なかったというのは、現場消防機関がその措置命令発動するための、何といいますか、基準ですね、基準が明確でなかったというような声を私も聞くわけでございます。  と申しますのは、火災予防上必要があると認められる場合というような非常に漠然としたような内容になっておりまして、その要件がはっきりしていないと。そういうことで、是正命令発動するのにも非常に発動しにくいというような声が聞けるわけでございますが、今回のこの法の改正でその辺のところが、はっきり是正命令が、措置命令発動できるという基準がはっきりするのでしょうか。その辺のところをちょっとお伺いをいたしたいと思います。
  12. 滝実

    大臣政務官滝実君) 御指摘のとおり、現行消防法の五条でその辺の措置命令の条件を定めているわけでございますけれども、少し抽象的に過ぎると、こういうような御批判がございましたので、今回、そこら辺の考え方を整理いたしているのが第一点でございます。  それからもう一つは、例えば階段避難階段に物を置くとか、そういうことについても、そこに立ち至った消防職員がその場でもって命令が出せると、こういうようなことで、従来、消防長あるいは消防署長権限とされていたことも、軽微な問題は消防職員がその場でもって命令が出せると、こういうようなことで措置命令権者拡大をしたと。  こういうようなことで、合計二点について今回改正をいたしておりますので、今御指摘のようなことは随分改善されるものというふうに考えております。
  13. 谷川秀善

    谷川秀善君 できるだけ現場で適切な対応ができるようにしていただくことが、是正を速やかに行うと、行えるようになるんだろうと思います。そういう意味では、是非ともよろしくお願いをいたしたいと思います。  それと同時に、是正命令徹底をさせるというと同時に、それでも聞かぬのはたくさんおりますわ、悪質なのも相当おるわけですから、その悪質なそういう業者に対しては、やっぱりある程度罰則強化して守らせるということが必要だろうと思いますが、その辺、罰則強化についてはどのようにお考えでしょうか。
  14. 石井隆一

    政府参考人石井隆一君) お答え申し上げます。  委員指摘のとおり、違反抑止力を高めますために罰則強化、有効だと考えております。  具体的に申しますと、まず第一に、防火対象物使用禁止命令違反につきましては、現行、一年以下の懲役又は五十万円以下の罰金となっておりますのを、三年以下の懲役又は三百万円以下の罰金とすると。また、防火管理業務に関する命令違反ですとか消防用設備等の設置にかかわる命令違反につきましては、現行六か月以下の懲役又は三十万円以下の罰金となっておりますのを一年以下の懲役又は百万円以下の罰金としております。  それから第二に、どうしてもビル管理者の方が営業優先といったような観点から消防法令を少し軽視するというようなことがあると言われていることを踏まえまして、例えば防火対象物使用禁止命令違反等につきましては、新たに両罰規定を設けまして、法人事業主に対して一億円以下の罰金を設けるということにしております。また、従来から両罰規定があるものもございますが、それも強化するということにいたしている次第でございます。
  15. 谷川秀善

    谷川秀善君 その辺のところを十分よろしくお願いを申し上げたいと思います。  そこで、ちょっと話は変わりますが、救命救急士制度ができまして、これは平成三年に創設をされたわけですけれども、大変な御活躍でいろんな急病の人たちが命を救われたということで、私は大変この救命救急士制度については非常にありがたいなと、このように思っておるわけでございますが、この救命、ドクターズカーも最近出てきておりますけれども、これは別として、いわゆる一般の救急車では、救命救急士がその救急車の中でできる仕事というのは非常に簡単なことで三つに限られているわけですね。それで、いろいろ、それをもうちょっと業務拡大ができれば救命率が相当高まるのではないかということが最近言われているわけです。  それで、消防庁の方としても、いわゆる厚生労働省医師会との関係がございますから、打合せをしていただいているようでございますが、私は、今のままではちょっと医師法だとかいろんな関係がございますからいろいろ問題があろうかと思いますけれども、できれば研修制度充実をするとかなんとかして、これは事は命にかかわりますから、できるだけそういう業務がある程度拡大ができるようにしてもらえればなと思っておりますが、その辺について、消防庁、どうお考えでございましょうか。
  16. 石井隆一

    政府参考人石井隆一君) 今、委員がおっしゃいましたように、救命救急士処置範囲拡大人命にかかわることでございますので、今おっしゃいましたように、何とか処置範囲拡大を早く実現したいと考えておりまして、具体的には、まずお医者さんの具体的な指示が今ないと除細動電気ショックというのはできないことになっていますが、これは一刻を争うものですから、医師の具体的な指示がなくても除細動ができるというふうにしていただきたいと。それから、原則として医師の具体的な指示の下ですけれども一定の薬剤の投与、あるいは気管内挿管といったものを中心に処置範囲拡大を図っていきたいと思っておりす。  何といっても、これ、厚生労働省さんが救急救命士法の御所管でありますので、厚生労働省にも強くお願いをしまして、昨日、救急救命士業務の在り方に関する検討会というのも第一回目、両省で開催いたしております。委員の御趣旨も踏まえまして、真剣に、早期に実現するように努力してまいりたいと思っております。
  17. 谷川秀善

    谷川秀善君 いろいろあると思いますけれども、事は命にかかわることでございますから、できるだけ早急に対応をしていただいて、具体的に実施できるような形にしていただきたい、これを要望をいたしておきます。  時間も来ましたので最後になりますが、いわゆる火災予防ということは、これだけ都会がもうビル化すれば、これは事すぐ人命にかかわるわけでございますので、やっぱりしっかり、備えあれば憂いなしということがあると思いますので、少々うるさいぐらいに、うるさいぐらいにやっぱり事業者措置徹底をさせて法令を守っていただく、違反者に対してはしっかりと対応するということでお願いをいたしたいと思いますが、大臣の御決意をお聞かせをいただきまして、私の質問を終わらせていただきたいと思います。
  18. 片山虎之助

    国務大臣片山虎之助君) 委員の言われるとおり、備えあれば憂いなしでございますので、備えを十分にやる。特に消防機関に思い切ってやってもらうと。疑わしきはもう罰するというぐらいの、そういうことでやってもらう、踏み込んでやってもらうということと、事業者にもやっぱりよく分かってもらわにゃいけませんので、その周知徹底を一生懸命やらせていただきます。
  19. 谷川秀善

    谷川秀善君 ありがとうございます。どうぞよろしく。  終わります。
  20. 高橋千秋

    高橋千秋君 民主党・新緑風会の高橋でございます。  今日は、昨年の新宿火事を受けての改正、いろいろ質問させていただきたいと思いますが、冒頭、昨年の多くの被害が出ました新宿火事で亡くなられた方々に御冥福をお祈り申し上げたいと思います。  この火事は、私、NHK予算質問のときも言ったんですが、中国でたまたまNHKで見ていまして、向こうに四十人ぐらいの日本の方々と行っていたときに、朝、ニュースで見ました。大変衝撃的でございましたし、NHK国際放送で見ただけでしたので具体的な中身がよく分かりませんでしたが、帰ってみて改めて非常に問題が多いなということを実感をいたしました。是非、今回の改正に伴ってそういう環境が整えればいいなというふうに思っておりますし、基本的には今回の改正は非常に必要なことだというふうに考えています。ただ、今回の改正を実行していくために、やはりいろいろまだまだ不備な部分があると思いますので、その点について聞いていきたいというふうに思っています。  まず冒頭、今回のこの改正勉強会を私、地元の方で消防職員の方三十名ぐらい集まっていただいて、いろんな話を聞かせていただいた上でこの質問をさせていただきますけれども、ずっと出ていたのが、消防職員が慢性的に不足をしていると。やっぱり非常に大変な仕事の中で消防職員が足らないというふうに聞いているんですけれども、その現状と対応についてお伺いをしたいと思います。
  21. 石井隆一

    政府参考人石井隆一君) 消防職員の人員の問題でございますけれども地方財政、御承知のように大変厳しい中でございますけれども消防職員につきましては、ちょうど十年前の平成三年に十三万五千人ほどでございましたが、現在、平成十三年ベースで言いますと、十五万四千人弱というふうに、大体率で言いますと一三・九%伸びておりまして、それなりに着実に増えてきていると考えております。また、十四年度の地方財政計画におきましては、雑居ビル等への立入検査体制強化目的としまして、予防要員の千七十七人を含みまして千九十八人の増員措置ということをしております。  こういった措置を踏まえて、是非とも私どもとしますと、市町村に、地域の事情ももちろんありますが、消防職員の確保に努めていただきたいと思っておるわけでございますが、今後とも市町村に対してこういった措置もしているということも十分徹底しまして努力をしてまいりたいと考えております。
  22. 高橋千秋

    高橋千秋君 適正なというか、必要と思われる人数に対して何か三万人ぐらい足りないとか、そういう話を聞いたことがあるんです。それは本当でございましょうか。
  23. 石井隆一

    政府参考人石井隆一君) 私ども消防庁としましては、各消防機関消防職員を確保していただくときの目安としまして消防力基準というものをお示ししております。  それで言いますと、率直に申しまして、単純に、例えばこういう種類のビルが幾つあればとか防火対象物が幾つあれば予防職員は何人だというような、一応その目安でございますから、それを機械的に計算しますと、例えば十三年度ベースですと二十万人ぐらい必要だというような計算にもなるわけでございますが、実際には個々の市町村がそれぞれ、例えば防火対象物が例えば百ある二百あるといっても、その態様はまちまちでございますので、実情に応じて市町村が人員確保しておりまして、実員としては確かに十五万四千人ほどですからかなり差はあるんですけれども、ただいま申し上げましたように、十年前にはこの数字が十三万五千人ぐらいだったわけでございますから、この十年間で消防職員が約一万九千人近く増えてきている。大変厳しい地方財政事情また行政改革も一方で進めなきゃいかぬという中で、それなり市町村も頑張ってくれているんじゃないかと思います。  しかし、私どもとしては、消防としますと、もう少し充実してもらってもいいんじゃないかということで、さっき申し上げましたように、予防職員充実地方財政上の措置をしたりいたしております。今後とも努力してまいりたいと思っております。
  24. 高橋千秋

    高橋千秋君 公務員が減ってきている中で増やしていただいているということで一定の評価はできると思うんですが、やっぱり普通の公務員と違って住民の方が不便を被るというようなレベルではなくて、やはり生命を守っていただく、財産を守っていただくということは大変重要なことだと思いますので、是非これの充実に努めていただきたいと思います。  大臣は三重県におられたのでよく分かると思いますが、私の家は県庁から十分ぐらいのところなんですが、私の町には消防署がありません。お隣の津から火事のときは来ていただいて、私も消防団に入っておりましたが、消防団対応するというような本当に貧困な情勢でございますので、是非これは充実を図っていただきたいなというふうに思っております。  それで、今回の消防法の見直しで一つのポイントというのは、措置命令権拡大するということだというふうに思うんです。現場消防の方がすぐに対応できるということが今回大きな改正部分だというふうに思うんですけれども、まずこの命令権拡大する理由というものを冒頭確認をしておきたいと思います。
  25. 若松謙維

    ○副大臣若松謙維君) これまで、屋内におきましてはビル管理者等による防火管理体制が整備されておりまして、消防吏員による緊急の命令発動する必要性が少なかったという理由から、消防吏員による措置命令野外に限定されていたということでございます。  しかし、この委員会でも取り上げられました新宿歌舞伎町ビル火災では四十四名の死者発生している大惨事になったということで、その主な要因として、階段及び防火戸周辺ビールケース等の物品が存置されていたことが判明して、それの結果、逃げ遅れ原因になって、またその後、全国の一斉立入調査の結果におきましても同様な事例が見られた次第でございます。  そういうことでありまして、今回、消防法令違反等を迅速、的確に是正できるようにするために、野外のみならず、避難経路となる廊下や階段に放置された物件の除去や火災予防上危険な火気設備器具等使用禁止等一定命令についても消防吏員にでも発動できるようにしたものでございます。
  26. 高橋千秋

    高橋千秋君 そういうことで、今回改正するということで、それについてはやはり必要だというふうに思うんですが、去年の新宿ビル火事でもそうなんですけれども、非常に所有権なり複雑な中で、そしてまた風俗営業だとかそういう商売をしてみえるところで、そういう行政措置を出すということになると結構いろんなケース発生してくると思うんですね。  その中で、営業上不利益になるとか、いろんなことがあって文句を言ってくるところはかなり出てくるだろうと。そのときに、先日、地方自治法改正もありましたけれども国家賠償法ということが発生してくるのではないかなという懸念があるんですが、そうなると、現場のそういう消防職員の方が、一人では行かないにしても、何名かで行くにしても、今まで消防署長なんかが出していたようなことを現場職員の方がやられるということになると、かなり措置命令を出すのに慎重にならざるを得ないんではないか。  これ、ひょっとして出したらまた文句を言われるんじゃないかなと思うとちょっと考えてしまうようなことが発生してくると思うんですが、そのことについてどういうふうにお考えでございますでしょうか。
  27. 田村公平

    委員長田村公平君) ちょっと答弁は整理して、委員長の許可を得てやってください。
  28. 北里敏明

    政府参考人北里敏明君) 失礼いたしました。  消防吏員によります措置命令につきましては、委員指摘のように、不服審査とか取消し訴訟あるいは国家賠償法対象となります。したがいまして、権限の濫用にわたる運用というようなことを避けるためにも適切な判断というのが非常に重要になってまいります。  そこで、こういう判断を支援をいたしまして消防吏員による措置命令が迅速かつ的確に講じられるようにということで、私どもといたしましては、火災危険性あるいは違反悪質性等を勘案いたしました命令発動要件、これの具体例等を盛り込みました違反処理マニュアルというようなものを作りまして、これを消防機関に配付をいたし、これにより客観的、統一的な運用を図るというようなことを目指しますとともに、これらのマニュアルを活用いたしまして、消防職員に対しまして講習会を実施し、また消防学校等におきましても講義内容に取り入れるというようなことで、研修体制充実を図りまして、消防吏員が適切な判断ができるような資質向上が図れるようにしてまいりたいというふうに考えております。
  29. 高橋千秋

    高橋千秋君 当然、その研修というのは必要だと思うんですが、危険状況の客観性の判断というのはなかなか個人によっても差があると思うんですね。そんなマニュアルどおりいくのかなという心配があるんですけれども、研修というのはどの程度のレベルを考えておみえになるんでしょうか。
  30. 石井隆一

    政府参考人石井隆一君) 今回、新たに消防吏員発動することができる措置命令内容につきましては、今、次長からも申し上げましたが、もう少し具体的に申しますと、その対象を、避難に支障となる物件の除去でございますとか火災予防上危険な火気使用設備、器具等の使用禁止命令といったように、定型的で客観的なものに限定をしております。  それから、今申し上げましたような違反処理マニュアルを作成、配付して研修もするわけですけれども、研修内容につきましては、各都道府県単位に消防学校もございますし、そういったものも活用する、それからそれぞれの消防署内において必要な研修をその事情によってやっていただく、研修を受ける方もかなりベテランの消防署員もいらっしゃると思いますし、それから就任して間もない消防吏員もいらっしゃると思いますから、研修の内容はその人によって大分差があると思いますけれども、そういったふうに考えております。  また同時に、いずれにしても、本当に判断を迷う場合は消防吏員の方が、それは当然、消防署長さんとかベテランの方に、あるいはそういう知識、経験が十分ある方に相談して判断していただくわけでございますので、元々消防吏員に今回できることにしました命令の範囲がかなり客観的、定型的なものでございますから、実務上、混乱が生ずることはないんじゃないかと、こういうふうに考えている次第であります。
  31. 高橋千秋

    高橋千秋君 聞いたところによると、現行消防法においても措置命令を出すことができるんだけれども、現状、消防機関行政措置権の行使ができない背景というのは、いろんな法的な知識、措置発動における行政事件訴訟法だとか行政不服審査法だとかいろいろ難しい法律があるわけですけれども、そういう知識がほとんどないと、現場職員にとって。そういうことから、非常に不安があるんでというようなことも今回聞いてまいりました。  こういういろんな消防署へ行っても、今、査察なんか入るにしても普通の仕事をしながらその査察を兼務するというようなことが続いているわけですね。さっきの、冒頭に申し上げましたように、消防職員は少ない中でやってもらっているわけですので、そういう兼務でやらざるを得ない、そうするとやっぱり、研修を受けるにしてもマニュアルがあるにしても、非常にそういう法的な部分で不安がありますということを皆さんが言っておられました。  この点についてどうでしょうか、是非そういう専門官を置いてほしいというような声もあったんですけれども
  32. 石井隆一

    政府参考人石井隆一君) 今回の法改正に当たりまして、例えば使用停止命令等が出しにくいというような話もございますが、これは消防吏員であるかどうかにかかわらず、その場合は消防長とか消防署長になるわけですけれども、そういう命令発動要件を今回明確にした、法文上、ということが一つあります。  それから、吏員の問題でいいますと、先ほど申し上げましたように、できるだけ吏員が判断して一人でもその場で命令できるというものは定型的なもの、客観的なものに限ったわけですけれども、それでも先生がおっしゃるような心配もあろうかと思いますので、例えば今の行政不服審査法ですとか、取消し訴訟の問題ですとか、国家賠償の仕組みというのはどうなっているかとか、万一何か問題があったときにその辺は地方自治体が責任をどこまできちっとカバーしてくれるのかとかいったようなことは、先ほど申し上げたマニュアルを作って、個々の消防吏員の研修をやりますときにそういった法制度の内容なんかにつきましてもきちんとしていきたいと思っております。  それから、専門官を作れというお話がございました。先ほど申し上げましたように、地方財政もなかなか厳しい中ですけれども、できるだけ私ども予防行政の充実を図っていきたいという気持ちでおりますので、御指摘の点も踏まえて今後とも、これは第一線の消防機関の意見も聞きながら勉強してまいりたい、真剣に取り組んでまいりたいと思っております。
  33. 高橋千秋

    高橋千秋君 消防というのは、彼らが一方的に思っているだけかも分かりませんが、財政的にも職員の配置でもどうも市町村の中で、こう言ったら変ですが、外様的に置かれているんだと言われるんですね。是非そういう配慮をしてやっていただければ有り難いなというふうに思います。  それで、今回の改正の中で、三十五条の十のところで、ほかの関係機関と協力をするという部分があります。関係のある官公署に対して照会、協力を求めることができるという部分があります。  今回、私が行ってきた消防の方は、四日市とか亀山だとか鈴鹿だとかあの辺の消防職員に集まっていただいたんですが、今回の改正対象になってくるのはやっぱり町ですね。特に、風営法のような、ペンシルビルと言われるような、ああいうぐちゃぐちゃしたビルなんですが。  質問通告はしていないんですが、今回、特別査察を例の火事を受けてやられたと思うんですが、結果は分かりますでしょうか。
  34. 北里敏明

    政府参考人北里敏明君) 先ほどもお答えいたしましたが、昨年九月に調査をいたしました。  その結果、調査全般ということでございますれば、消防計画を策定がしていないところが六五%、あるいは消防訓練未実施のところが八二パーなど、この防火管理関係項目につきましてはすべての項目について半数以上の違反がございますし、調査対象物につきましてそれぞれ九割を超える対象物で何らかの違反があったということでございます。
  35. 高橋千秋

    高橋千秋君 同じように、私が行った消防署でも、四日市市内で対象になるようなところが二十二のビルがあったそうです。それで、違反していたのが二十一だったそうです。だから、良かったのが一だけというのが実態ではないかなというふうに思うんですが、今回対象になるような、そういう風営法でやっているような、商売をやっているようなところというのは、はっきり言って中にはいかがわしいところも多いわけですね。後ろには暴力団が付いているというようなところも多分多いと思います。そうすると、査察が入るにしても、この消防署職員たちが言うのは、身の危険を感じるときもあるというふうに言うんですね。  今回、この「協力を求めることができる。」という部分なんですけれども、今まででもやはりお互いに情報交換はやりながらやってきているけれども、特にそういうさっき申し上げたような怖いというような、身の危険を感じるようなところへ行くに当たってはやっぱり警察に一緒に行っていただきたいとか、警察からいろんな情報をもらいたいとか、やはりそういうことがあると思うんですが、なかなか警察も、これまた地方の警察人数が少ないものですから、そういうことに付き合っていられないと、消防署の方だけでやってくれというようなことをよく言われるそうなんですね。  今回のこの「協力を求めることができる。」というそういう書き方でいくと、やはり今までと余り変わらないんじゃないかということを言われたんですが、これをもっと、しなければならないような、もっと強くできないのかということなんですが、これについてはいかがでございましょうか。
  36. 片山虎之助

    国務大臣片山虎之助君) 今回、条文上、明らかに協力要請ということをさせてもらったんで、今までの事実上の協力要請よりは大分違うと思うんですね。それで、高橋委員が言われるように、できるでなくて義務付けろと、こういうことなんですが、これがまたなかなか難しいんですよね。相手の立場、仕事があります。特に警察なんかは秘密を守るというようなこともありまして、義務付けをやるということはなかなか難しいんですが、気持ちは、協力要請したらしっかりと応じてもらうと、尊重してもらうと、こういうことでございまして、警察の方も大変人手不足だという話でございますんで、平成十四年度は四千五百人増員認めましたから、警察は。そういうことで警察、特に風営法の関係ですよね、身の危険だとか。警察との協力体制は緊密に取ってまいりたいと。  それから、やっぱり建築基準法も関係ありますよね。建築基準法上の違法建築もかなりありますから。こういうところも連携を取っていきたいと。そのための場を作るというようなことも三者の、これから検討いたしたいと、こう考えておりますんで、条文は要請ですけれども、気持ちはしっかりやっていくと、こういうことでございます。
  37. 高橋千秋

    高橋千秋君 是非、指導もしていただきたいと思うんですが、聞くところによると、警察と消防というのは余り仲が良くないというのもあったりして、お互いの連携は余りうまくいっていないと、これは私の聞いた範囲だけかも分かりませんが。やはり警察四千五百人増員したといっても、単純計算すると一県に百人ぐらいで、一市にしたら二、三人ということになると、それの対応できるとはとても考えにくいんで、消防方々にとってみればそういうちょっと怖いようなところへ行っても、消防の立場としては余り強いこと言えないんですよね。  この近所の赤坂辺りの飲み屋ビル行っても、階段通るともうめちゃくちゃな状態のところが非常に多いんですね。大臣は余りそんな安い飲み屋行かないかも分かりませんが、我々が行くようなところへ行くと、階段通るとすごいんですよ。エレベーターでぴゅっと行けば分からないんですが、ちょっと階段通ると物が一杯置いてあったりして、その中にはちょっとこれはどうかなと思うような店もその中にはたくさんあったりして、消防の方がこれをのけろとか、そういうのはなかなか言いづらいと思うんですね。  ですので、そういう警察との連携についても是非とも指導していただきたいと思いますし、さっきの建築基準法の問題でも、新宿のあのビルなんか完璧に違反だと思うんですが、そういうそれぞれの省庁ですね、縦割りではなくて、やはり横の、是非風営法の問題はいろんな関連してくる法律が一杯あると思いますので、消防法だけではなくてほかの法律の対応も是非考えていただきたいというふうに思っています。  次に、テナントビル、先ほど申しましたように、特に赤坂の飲み屋の話じゃありませんが、いろんなビル一つビルの中にいろんな形態の店が入っていますが、これの入退店の情報の把握というのはできているんでしょうか。これはどこが主にやられるんでしょうか。
  38. 北里敏明

    政府参考人北里敏明君) テナントビルの入退店の状況でございますが、消防機関の側では、消防法で防火管理者の選任届あるいは市町村の条例によりまして防火対象物の使用開始届、こういうものによりまして情報把握に努めているわけでございますが、なかなかテナント等からの届出が十分に行われないというような状態もあるようでございます。  他方、警察あるいは建築行政機関、警察でございますと風俗営業法の営業許可、それから建築基準法の確認申請手続におきまして情報が把握できるということでございますが、それぞれが今努力をしております。ただ、その意味では、この関係機関の連携というのは非常に重要だろうというふうに思っているところでございます。
  39. 高橋千秋

    高橋千秋君 この防火対象物の使用開始届、これは市町村の条例で義務付けられているというふうに聞いたんですけれども、先ほど、なかなか提出してもらえないというお話がありましたが、現実は、新築以外はほとんど出されていないということらしいんです。特に風営法で商売をしているような店の場合はほとんど提出しない。この前の新宿火事でもどんな状態になっていたのか全く把握できていなかったというふうにも聞いています。  これについて、是非消防法でそういう把握ができるような対応が必要ではないかというふうに思うんですが、これについていかがでございましょうか。
  40. 石井隆一

    政府参考人石井隆一君) 今お話がございましたように、防火対象物の使用開始届につきましては、全国的に各市町村条例で定めておりまして、その実態を把握することになっております。  また、消防法におきましては、防火管理者の選任義務のある防火対象物の使用開始時に、今お話が出ましたように、消防法八条に基づいて、防火対象物の管理権原者から防火管理者の選任届がなされると、こういうふうになっております。  したがいまして、防火対象物の実態の把握という点でいいますと、法制度面では一定の確保がなされているわけで、問題は、結局こういった届出が励行されていない、そういう実行面での違反是正だと考えておりまして、今回の法改正で、先ほどもお話に出ましたが、防火管理者の選任命令違反に対しての罰則強化すると、それから今後、建築確認申請時に、これ関係省庁協力しろというお話もございましたが、建築確認申請時における、消防に当然協議がありますので、その同意をする際、あるいは防火対象物の使用届出のそれを効果的に使ってやるとか、それから先ほども話題に出ました立入検査の際のマニュアル、それから違反処理が、違反があった場合の違反処理マニュアル、こういったものについて、それぞれ防火対象物の使用実態の把握をより有効にできるような方策を、これは現場の第一線の消防機関ともよく相談しながら考えまして周知徹底を図っていきたいと、こういうふうに考えております。
  41. 高橋千秋

    高橋千秋君 新宿火事を見るまでもなく、起こってからでは遅いんで、やっぱり予防ということが大事だというふうに思うんですね。  この防火対象物使用開始届なんですけれども、やはり違反状態が起きるまでにある程度チェックができれば、店を経営される側からとっても、二重の手間も要らないし、お金も要らない。そういう部分では費用的な面でもメリットが出てくると思うんですね。ですので、今回そういう御答弁ですけれども、是非、現実的にここはこういうふうに変わってるんだということが把握できるような方策をやっぱり取っていかないと、責任者の届けをしないと罰則強くしますよと言っても、なかなかああいう風営法のような商売をやっているところがそれにちゃんと対応するかどうかというのは分からないんですね。  その意味でも、この使用開始届の対応も是非考えていただきたいなと思うんですが、特に防火管理者の選任義務の生じるような防火対象物、共同防火管理についての協議の必要な防火対象物の権原者に届出を義務付けるようなことをした方がいいんではないかと思うんですが、いかがでしょうか。
  42. 北里敏明

    政府参考人北里敏明君) 御指摘の防火管理者の選任義務のございます防火対象物の管理権原者は、消防法の第八条の第二項に基づきまして、防火管理者を定めましたときには、遅滞なくその旨を消防長又は消防署長に届けなければならないというふうにされております。また、共同防火管理が必要な防火対象物につきましては、消防法の八条の二第二項に基づきまして、管理権原者が共同防火管理の協議事項、これを消防長又は消防署長に届け出なければならないというふうにされております。  したがいまして、いずれの場合におきましても、管理権原者につきましては、通常このような届出が義務付けられているところでございまして、その届出の際に把握ができるというふうに考えておりまして、そういうような中で管理権原者の指導をしてまいりたいと考えております。
  43. 高橋千秋

    高橋千秋君 次に、共同防火管理制度の見直しについてお伺いをしたいと思うんですが、さっき申し上げましたように、雑居ビルのような場合、いろんなオーナーさんが入っていまして、入るに当たっては不動産の管理会社がほとんどそれを対応しているのが実態だと思うんです。ビルのオーナーが直接その店のオーナーに対してお金のやり取りをするとかいうことではなくて、間に管理会社が入ってくるわけですね。  借りている方からすると、そのビルの共益費という形で賃貸料とは別に共益費を払っていろんな部分を任せているわけですけれどもビルのオーナー側から見ると、間に不動産管理会社が入っていますから、金が入ってくるだけで、はっきり言ってほとんど関知していないのが現状だと思うんです。  そういう中で、階段だとかそれからエレベーターだとか、いろんな共同で使っている部分、ここの管理責任というのが非常に特定が不明確になってきているというふうに聞いております。これについて、それを明確にしていくべきだというふうに思うんですが、いかがでございましょうか。
  44. 石井隆一

    政府参考人石井隆一君) 今お話に出ましたように、小規模雑居ビルのような権原の分かれております防火対象物については、それぞれの部分の管理について権原を有する者を管理権原者としております。  ただ、階段等の共用部分の管理権原者につきましては、これまでその部分につきましての権利関係者の調査がちょっと行き届かない面が実態としてありまして、消防機関がなかなか十分に把握できていなかったということがあろうかと思います。  そこで、昨年十二月の消防審議会の答申でも、共同防火管理の協議事項において階段等の共用部分の責任者を明示させる必要があるというふうな答申をいただいております。これを踏まえまして、今後、今回法改正をお認めいただきますれば、共用部分に係る管理権原者に対しまして、防火管理者の選任を明確に義務付けるといったようなことにつきまして、消防法八条の二に基づく省令改正等できっちりと必要な措置を講じてまいりたいと、こういうふうに考えております。
  45. 高橋千秋

    高橋千秋君 措置命令出すにしても、だれに命令出すのか分からないというような実態だというふうにも聞いておりますので、是非この辺についてもしっかり特定できるようにしていただきたいというふうに思います。  それから、共同防火管理制度が創設されて三十年以上たつというふうに聞いているんですけれども、実効が上がっていない状況にあると聞いています。これについて、なぜ実効が上がってこなかったのか、それからこの制度を見直していく必要があるんじゃないかというふうに思うんですが、いかがでございましょうか。
  46. 北里敏明

    政府参考人北里敏明君) 権原が分かれております建築物の総体につきまして一人の防火管理者に管理させるというのは非常に難しいということもございまして、消防法八条の二によりまして、複数の権原を有する者に協議をさせまして、それで共同で防火管理を行わせると、これが共同防火管理の制度でございます。  ただ、その際、共同防火管理協議会の例えば代表者につきまして、限られた権原しかないテナントというのが代表者に選ばれるとか、そういう意味では共同防火管理協議会の代表者としてはふさわしくない方が選ばれるというような例もございます。  他方、小規模雑居ビルにつきまして見ますと、階段等の共用部分につきましては、今、長官も申し上げましたように、防火管理について責任を有する管理権原者が必ずしも明確にされていないとか、あるいは所有者とかテナントの変更が非常に頻繁にございまして、そもそも防火管理者の選任率が低いと。それで、そういう意味で防火管理体制が構築できていないというような問題点が原因になっているのではないかというふうに考えております。
  47. 高橋千秋

    高橋千秋君 時間が来ましたので最後にしたいと思うんですが、やはりさっき申しましたように、共用部分も含めてそのビルのオーナーの責任というのがなかなか明確になっていないというふうに思うんですね。そのビルのオーナーとテナントの方との関係が、僕は民法の問題もあると思うんですが、非常に横の関係になっていて、命令ビルのオーナーから出せないんですね。こうしてほしいということもなかなか言いづらい。ですから、是非こういう部分を、民法の改正ということにもなってくるのかもわかりませんが、縦の関係にしてやはり防火に努めていかなければいけないというふうに思います。  最後に、大臣にそのことも含めてお伺いをして、私の質問を終わりたいと思います。
  48. 片山虎之助

    国務大臣片山虎之助君) 委員の言われるとおりなんですね。オーナーがはっきりしないで後ろに引っ込んでおって、それでテナントはぐるぐるぐるぐる変わるし、ここも部分ごとに分かれていると。これを少しでも今度改めようというので、共同防火管理協議会の代表者にはできるだけオーナーみたいな人をしてくれと、こう言っているんですが、だれが出てくるかわかりませんわね。  こういうことは一遍にはなかなかいきませんけれども、実態を詳しく調べながら私は直していかないかぬと思っています。特に、小規模雑居ビルというのはそういう種類のものが入っているんですよね。今後、十分御趣旨を踏まえて、検討させていただきたいと思います。
  49. 高橋千秋

    高橋千秋君 終わります。
  50. 木庭健太郎

    木庭健太郎君 消防法質疑に入る前に、一点というか、三月十二日でございますけれども、宮崎県の延岡市にあります旭化成のレオナ工場というのがございます。ここで出火がございまして、工場大火災と結局はなりました。工場内に放射性物質のコバルト60があるというようなこと、有毒ガスが発生するおそれがあるというようなこともございまして、この火事では工場から半径約一キロの三千六百九十八世帯、九千四百七人に避難勧告が出されるというような事態にもなりました。  この火事を見ておりまして、一応、火災発生からいろんな機関を通じながら、いわゆる発火確認から通報までに、工場内部の問題ではございますけれども、これ十四分ぐらい掛かっております。もう一つは、やはり通報がこうやって少しずれたことと、コバルト60があるということで放射能漏れというような問題もあって、それが直接原因かどうか分かりませんが、結局、消火活動自体は少してこずっておりました。そういう意味で大火災、で、大避難というような形になったんだろうと思われます。  ただ、こういうコバルト60を始めとする放射性のこの同位元素というようなものを取り扱っている全国の医療機関とか教育機関とか研究機関、民間企業合わせますと、全国で約五千か所ぐらいで利用されているとも言われております。ですから、こういうものを含んだ、いわゆる放射性同位元素等を持っているような施設から出火した場合という、そういう場合の消火活動というのが一体どんなふうに一つのそういう消防庁として形を持っていらっしゃるのかと、一体どんなふうに消火活動がなっているのかということをまずお伺いをしておきたいと思うんです。
  51. 東尾正

    政府参考人東尾正君) お答え申し上げます。  この放射性同位元素等取扱施設などを含みます原子力施設等におきましては、原子力施設等における消防活動対策マニュアルというものを持っておりまして、これは、東海村のウラン加工施設における臨界事故を契機といたしまして、十三年の五月に全面的に改定いたしまして、都道府県消防本部に通知いたしました。  この内容は、ただいま御指摘のような放射性物質の特殊性を踏まえまして、消防隊員の安全確保、消防活動をどうするかと、このようなことを定めているものでございまして、特に被曝防止のための警防計画の整備ということを重点に置いております。また、それに先立つ隊員等に対する防災教育、訓練の実施なども定めております。  各消防本部におきましては、このマニュアルに基づいて適切に消防活動を行っているものと承知しておりますけれども消防庁といたしましては、今後もこの円滑な消防活動と隊員の安全の確保のためにこのマニュアル周知徹底に努めていきたいと、このように考えております。
  52. 木庭健太郎

    木庭健太郎君 そういう体制は取られているんだろうと思うんですけれども、実際、今回その火災が起こってみて感じた点は、じゃ、その放射性同位元素が、そういうものを、コバルト60があると。ある場所が、本当に保管場所とかまたその量などの把握というのが実際の現場で行われていたのかどうかというのが一つの大きな問題だったんじゃないかなと思っています。そういう意味で、一体、具体的にどういう形になっているのかという掌握を地元の消防署というのが実際なさっているのかどうかという点もお聞きしたいし、もちろん隊員の訓練ということも必要でございます。やっていただかなくちゃいけない。  ただ、それと同時に、やはり住民の皆さんとの関係の問題で、こういうことが起きた場合どうするんだと、言わば、しょっちゅう共同訓練をやれとは言いません。ただ、そういう体制がしかれるような形というのがなければ、今回は幸い、本当に死亡者が出るとかそういう事態にならなかったんでよかったんですけれども、そういった意味では、そういう地元住民との合同訓練みたいな問題も含めてもう少し検討なさらなくちゃいけない点があるんじゃないかと感じておりますが、いかがでしょうか。
  53. 東尾正

    政府参考人東尾正君) お答え申し上げます。  まず、この保管場所などの情報が地元に届いているかどうかということでございますけれども消防庁といたしましては、放射性同位元素等による放射線障害の防止に関する法律というものがございまして、この四十七条に基づきまして文部科学省から通知を受けます。これを都道府県に通知をいたしまして、また都道府県はこの内容関係消防機関に伝達するということになってございます。このようなことで、情報の流れというものは地方団体に届いているということでございます。  また次に、訓練でございますけれども、これは先ほど申し上げましたマニュアルによりまして、やはり事前対策の一環としまして警防計画などに基づき適時このアイソトープの取扱施設と合同の訓練を実施するということにしております。  今回の事故に遭いました延岡の施設でございますけれども、ここでも三月二十八日に市消防本部は事業所と合同訓練を実施することと予定しておりましたところでございました。先ほど御指摘の、住民を含めた避難訓練などの在り方につきましては現在のマニュアルでは定められておりませんけれども、今後、関係行政機関と協議の上、そのようなことも含めて検討してまいりたいと考えております。
  54. 木庭健太郎

    木庭健太郎君 この問題でもう一点、これは報道でございましたけれども、延岡市さんは、今おっしゃったように、本来ならばこれはコバルト60は文部科学省の所管と、放射性障害防止法四十七条とおっしゃいましたかね、それに基づいて、この問題は、消防庁は文部科学省から連絡を受けて都道府県を通じて通知するというふうになっていると。ところが、報道によりますと、延岡市自体がこのことをよく分かっていなかったという点が報道もされておりました。  しかも、これは会社側と市の方で協定を結ぶんですね、公害防止協定とか。そういう問題の中にもこういう問題がある意味ではなくて、今回、この火災を受けて新たに協定の見直しをしなくちゃいけないというようなことが論議されていると、こんな話になっているわけですよ。  だから、法律はきちんとあるんだけれども実際にそれが市の方で徹底されていたかどうかというような問題が逆に指摘されているような事態になっていると。規定されていることと実際に行われていることが違うじゃないかというようなイメージもこれ受けると思うんですよ。やはり、その点はきちんとこういう問題についてはしておかなければならないと、こう感じたものですから、その点について、この問題については最後、伺っておきたいと思います。
  55. 石井隆一

    政府参考人石井隆一君) 放射性同位元素に関する情報ですけれども、ただいま東尾審議官からも御説明申し上げましたとおり、文部科学省から通知を受けましたものを消防庁が都道府県に対して関係市町村に周知願うように通知すると、都道府県はそれを受けてその通知の内容市町村に知らせると、こういうふうになっておりまして、今回の延岡市につきましても、私どもも念のため確認いたしましたが、宮崎県が延岡市に通知をし、それから延岡市も一般行政の方が延岡市の消防本部に伝達しているというふうに聞いております。  ただ、今、委員が御指摘のような御懸念もほかにもあるかもしれませんので、この機会に消防庁といたしましては、この放射性同位元素等の取扱施設における火災発生した場合の対応、これはやっぱり大事でございますから、消防機関市町村関係部局が連携をきちんとする、そして的確な措置が講じられているということが大事でございますから、今回、改めまして各都道府県それから都道府県を通じまして市町村関係部局に十分この制度の仕組みや、それから単に制度どおり形が整っていればいいということじゃありませんので、しっかり内実のあるような対応を取ってもらうように周知徹底をしたいと思っております。
  56. 木庭健太郎

    木庭健太郎君 さて、消防法改正の問題でございますけれども、もちろんこれは例の新宿歌舞伎町ビル火災を受けてこの改正がなされているわけでございますけれども、各委員のお話もお聞きしながら、一番の今回のこの目玉というのは立入検査という問題をどう強化するかということを改正の主眼になっているわけでございます。  ただ、そうはいうものの、この立入検査の実施率という問題、御指摘もございました。この予防要員数が横ばいの中でこの対象物はどんどん増加するというようなことで、平成十二年度で三〇・九%ですか、とにかくこれを向上していくしかないわけでありますし、そのための法改正をやっていくわけだと思うんですけれども、もう一つこの問題でお聞きしておきたいのは、これ、どういうふうにしてそういうものに重点的に立入検査を実施できるような仕組みを消防庁としても仕上げていくかということが大事になっていくんだろうと思います。どうこの立入検査というものの強化について取り組んでいくつもりでいらっしゃるのか、改めてきちんと伺っておきたいと思います。
  57. 石井隆一

    政府参考人石井隆一君) 御指摘のように、この違反是正徹底を図りますためには、立入検査のやっぱり実施率をもっと上げなきゃいかぬということはおっしゃるとおりと思います。そのためにいろいろ、先ほど人員の点でも議論がございましたが、努力はしておりますけれども、最近でいいますと、例えば平成十三年度の第一次補正予算で、雇用対策ということで緊急雇用対策特別交付金というのが制度ができましたけれども、これの推奨事業として消防防災支援要員の確保を是非に活用してほしいということで、これを全国の地方団体にお願いをしております。  それから、平成十四年度の地方財政計画におきましては、これは正に立入検査強化を図る観点から、千七十七人分の予防要員の増員をする、地方財政計画上の措置をするというふうにいたしております。  私どもとしては、その都度こういうふうにしましたよと、しっかり予防職員の確保をお願いしますよということでお話ししているんですけれども、今回、消防法改正、御議決いただければ、これを機会に改めまして、消防機関に十分な立入検査体制を確保するための要員確保について十分に配慮するようにお願いをしたいと思っておる次第であります。
  58. 木庭健太郎

    木庭健太郎君 今おっしゃったように、予防要員というのは現実足りないわけで、これをどう強化するかと。もちろん地方財政の厳しさとかいろんな問題がある。でも、現実的にはこれをどれだけどう増やしていけるかということが一番の問題なんだろうと思います。  いずれにしても、法成立すればそこへ更に強化をしていただけるとは思っておりますが、ともかく、人員の増強だけじゃなくて、予防要員の方たちの、どう効率的にやるためにという教育訓練の問題もあるんだろうと思います。また、一つ立入検査マニュアルみたいなものの作成という問題もあるんだろうと思います。さらには、立入検査においてどう、片山総務大臣はITが非常に好きでございますから、そういう活用という問題についても、どうこういうものにも使っていくかというような問題もあると思うんですよ。そういう点について、若松大臣、御見解を伺っておきたいと思います。
  59. 若松謙維

    ○副大臣若松謙維君) 何といっても、この立入検査強化につきましては、予防要員を増やしていく等が極めて効果的でありまして、その点につきましては、先ほど長官が述べましたような、いわゆる人員増の確保を図ったところでございます。  さらに、効率的かつ効果的な立入検査の実施を向上、支援するためにも、立入検査マニュアルというものを作成、特に小規模雑居ビルについて現在この立入検査マニュアルを作成中でありまして、年内、できたら夏か秋口にでも作成をして各消防本部に配付して、この予防事務を担当する職員対応能力の強化のための研修制度充実等を図りながら、今の立入検査強化というものを実効性たらしめたいと考えております。
  60. 木庭健太郎

    木庭健太郎君 最後に、片山総務大臣にお伺いしておきたいんですけれども、いわゆるもうこれ、ずっと今まで皆さんが御論議したのはいわゆる火災予防措置命令、これをどうするかという問題なんですよね。今までのこれ消防庁の発想というのは、これはそういう命令はあると。しかし、やるときは、それを命令を発するということよりは、発動にはどちらかというと消極的で、とにかくやり方としては所有者や管理者の自主的な違反是正を促すという行政指導型でずっとやってきた。  ところが、それでもう駄目になったというか、それだけじゃもう間に合わない事態になっているということが今問われているわけであって、だから消防行政そのものの発想ですよ。つまり、出すんだと、命令を、そこに積極的な行政を行うんだということを主眼に置いた形でやらなければ、幾ら言ったとしても、これ今までどおり行政指導やってきているわけですから、その癖が付いているわけですから、言わば発想の転換そのものが必要になってくる部分があるんだろうと思います。  そういったふうに私は思っておりますが、この点について総務大臣からお伺いして、私の質問を終わりたいと思います。
  61. 片山虎之助

    国務大臣片山虎之助君) 言われるとおりなんですね。今まで消防機関はなかなか命令を出さないんですよ。抜かない竹光みたいなものですよ。抜かないんだから、真剣か竹光か分からない。それがある意味では権力行政的ですから、慎重にやるという姿勢はいいんだけれども、こういうことが起こりますとやっぱり改めて問われるんですね、その姿勢は。だから、私は抜けと言っているんですよ。今度は竹光じゃなくてかなりな真剣を仕込みましたからね。疑わしきは命令を出すという姿勢で消防機関に発想を改めてもらいますように一生懸命努力いたします。
  62. 木庭健太郎

    木庭健太郎君 終わります。     ─────────────
  63. 田村公平

    委員長田村公平君) この際、委員の異動について御報告いたします。  本日、渡辺秀央君が委員辞任され、その補欠として平野貞夫君が選任されました。     ─────────────
  64. 宮本岳志

    宮本岳志君 日本共産党の宮本岳志です。  四十四人もの犠牲者を出した昨年の新宿歌舞伎町の雑居ビル火災は、改めて小規模雑居ビルでの火災の恐ろしさを示しました。私の地元大阪にも、キタとミナミの繁華街がございまして、多数の小規模雑居ビルがございます。早速、大阪市消防局が行った緊急立入検査の結果を見せてもらいましたけれども、遊技場、飲食店などが入居している三階建て以上の複合用途のビル避難階段が一か所のビル、千九百四十九棟を検査して、不備があったのが千五百二十四棟、何と七八%に不備がございました。  ちょっとぞっとする現状ですけれども、今回の消防法改正は、立入検査の制限の見直しで、検査に入りやすくする、措置命令を出しやすくするなど、こういう現状を改善しようというもので、我が党も賛成です。しかし、ただ、この法改正が行われればもう安心だという甘いものでないこともしっかり見ておかなくてはならないと思います。  まず、立入検査をやりやすくするのは結構なんですが、その検査に行く予防職員は足りているのかという問題がございます。まず、現状を消防庁にお伺いいたしますけれども消防庁告示で定められた消防力基準によると、第二十六条に基づく予防職員の数は何人で、それに対して現在の予防職員数は何人か、その差は何人になっておりますか。
  65. 北里敏明

    政府参考人北里敏明君) 消防力基準は、市町村消防の責任を遂行していくために必要とされます消防力を整備するための指針でございます。予防要員につきましては、市町村の人口に十万分の十二を乗じて得た数を基に、各市町村でそれぞれの実情を勘案しながら数を定めるというふうにされております。  各市町村がその勘案する項目としましては、防火対象物の種類と規模、あるいは市町村の管轄区域の面積等がございますが、かかる消防力基準に基づきまして算定をいたしました予防要員数、平成十二年の四月一日現在で一万六千九十九人でございます。現在の予防要員数は一万一千五十六人でございますので、その差は五千四十三人ということになるわけでございます。
  66. 宮本岳志

    宮本岳志君 告示で必要とされた数を五千人下回っているわけです。今回どれだけ増員するのか、人数と、その増員に必要な予算額をお答えいただけますか。
  67. 北里敏明

    政府参考人北里敏明君) 新宿歌舞伎町ビル火災を踏まえまして、立入検査強化を図る、あるいは予防職員充実を図るという必要がございますので、私ども、十四年度の地方財政計画の策定に当たりましてそのことに重きを置きまして、一千七十七人分の予防要員の増員というようなことで約四十八億円の財政措置をしたところでございます。
  68. 宮本岳志

    宮本岳志君 これは千人増やしても、まだ五分の一だと思うんですね、基準までは。四千人足りないと。なぜ基準どおり五千人配置するというふうにしないんですか。
  69. 北里敏明

    政府参考人北里敏明君) これは、消防力基準と、それからそれぞれの現員というのは、それぞれの財政状況、それぞれの地域の状況によりまして現在の実態になっているわけでございまして、今の非常に厳しい地方財政状況の中で何とか予防要員の増員を図りたいということで配慮をし、考えた上での一千人でございまして、今後ともできるだけ増やしていきたいというふうに思っているわけでございます。
  70. 宮本岳志

    宮本岳志君 これは人の命にかかわることでして、私は、少しはましになったということではやっぱりだめだと思うんですね。  三月九日付けの読売は、「日本の防火対策は、大惨事がなければ進まない。」と、こう書きました。三十年前の、私の地元、大阪市の千日デパートビル火災ですね、死者百十八人、これはいまだに過去最大の犠牲者を出した大惨事でした。それを機会に、不特定多数が出入りするビルには年二回の避難訓練が義務付けられる。それから、自動火災報知機の設置基準強化されました。今回の法改正も、四十四人の尊い命と引換えになって出されてきたわけであります。  なぜ事前に防げないのかと。それは、やっぱり検査や指導が追い付かないという声が現場からも出されているわけですね。千人増やして四十八億円であれば、あと二百億あれば五千人と。基準どおりにできるではないかと私は思うんですが、しかし地財措置というのは交付税ですから、だから元々、これは本来地方のお金だと思うんですよ。やっぱり国が責任を持って、こういう配置についてお金も出すし、配置すると。交付税措置を取りましたから増やしてくださいと言っても、地方が増やさなければ一千七十七人の保証というのは今ないわけですから、国がやっぱり財政も含めて国民の命については責任を持ちますという姿勢を示すことが私は非常に大事ではないかと。我が党は受け取っておりませんけれども総務省の予算の中には政党助成金というのが三百億ありますから、三分の二を削っていただけば直ちに基準どおり配置できるということにもなります。  これは、大臣、政治家としての立場で、こういう問題、やっぱりきちっと財政措置も講じながら一層充実すべきであると。そのお立場について御確認願えますか。
  71. 片山虎之助

    国務大臣片山虎之助君) この消防力基準というのは、形式的な計算で人間ははじくんですよ。これは余り、ちょっと形式的過ぎるところもありますし、望ましい基準ですから、それで五千人と。今、一万人おるんですよ。多ければ多いほどいいと言えばいいんです、それは。もう五千人じゃなくて一万人でも二万人でも。しかしなかなか、今の財政の限りがある中でどういうふうな適正な配分をするかということの中で、今回は千人も増やしたんですよ。  だから、そこのところは是非お考えいただきたいと、こういうように思いますし、消防全体では十五万三千人おりますから、その中で、特に予防や査察に力を入れるところはそういうふうにやっていただければいいし、その辺は全体の中でそれぞれの消防機関でお考えいただきたいと、こう思いますし、交付税はあれは計算の基礎ですから、実際、ある市が、例えば大阪市が予防査察をどっと増やそうというのはやっていただいて一向に結構ですから、ひとつ市長の方にもよろしく。
  72. 宮本岳志

    宮本岳志君 望ましい基準なんですから、望ましい状況にしていただきたいと思うんですね。  現場消防職員の方はそれこそ命を掛けて頑張ってくださっております。私も大阪市の消防職員委員会での職員方々の声というのも読ませていただきました。平野消防署からは、近年、火災件数が増加しており、職員の増員をとの切実な声が出されております。それに対して、行財政改革を推進していく中で増員は非常に困難だと、担当者のみの対応が困難なら専任者以外の職員の協力体制でやれというのが消防庁の処置ということになっているんですね。  確かに、地方財政の現状は極めて厳しいと。しかし、本当に生命と財産に直結する問題ですから、これはやっぱり国が責任を持って支援するということを是非お願いしておきたいと思います。  次に、違反者対策の問題です。  我が党の基本的なスタンスは、ビルのテナント業者の営業はもちろん大事ですけれども、それはもう何よりも人の命を守ることが最優先でありまして、悪質な違反者については早急に使用禁止命令を含めて厳正な措置を取る、これはもう当然だと考えております。その上で現場での対応考える必要があると思うんです。  しかし、現場で話を聞きますと、改善の努力は見られるが、どうしても改修経費の負担の関係などで進まないと。結局改善されずに命令に至るまでの措置が先延ばしにされていくというケースもあるようであります。使用禁止命令とでもなればテナント業者も含めて商売はほとんどできなくなり、廃業に追い込まれます。消防が裁判で訴えられるというケースもあるというふうに聞きました。  そこで、やはり明確に悪質業者を区別する必要があると思うんです。そのためには行政として、自己責任を前提としながらも、改善の意思のある業者にはこの不況の下でやはり使いやすい融資制度などを紹介して直ちに改善していただく、その努力が大事だというふうにも思うんです。  今日は中小企業庁に来ていただいておりますけれども、こういう趣旨で中小零細業者が使える無利子の融資制度というのはございますでしょうか。
  73. 久郷達也

    政府参考人久郷達也君) 中小公庫とか国民公庫、政府系中小企業金融機関が個々の中小企業に貸し出す場合、これは阪神・淡路大震災とかそういう大規模な自然災害の場合は、その中でも特に大きい困難に直面している被害者に対しまして借入金利を実質上無利子にするという措置を講じている事例はあります。ありますが、それ以外の場合においてはそうした措置は講じておりません。  先生御指摘のようなケースの資金の調達というのは、阪神・淡路大震災のようないわば不可抗力で中小企業が被害を被るという場合とは全く異なりますので、その際に国民負担、財政支出によって無利子貸付けという異例の措置を講ずるべき場合には当たらないのではないかなというふうに考えております。  なお、無利子ではありませんけれども、政府系中小企業金融機関、いろんな設備投資、環境の整備を支援をする役割を果たしておりますので、消防法の安全設備につきましても、いろんな貸付制度を活用して資金調達を行うということは可能であろうと思っております。
  74. 宮本岳志

    宮本岳志君 四月十六日の毎日によりますと、政府は、建築基準法の施行令と消防法の施行令を改正してマッサージ店など飲食を伴わない風俗店の防火に関する規制を強化する方針を固めたと、そういう報道もございます。今回の歌舞伎町の火災ではこの風俗店が抜け穴になっていたということが指摘されているだけに、こういう規制の強化は私は妥当だと、必要だと思うんですね。こういう検討なんですけれども、これは行っておられますか。
  75. 石井隆一

    政府参考人石井隆一君) 昨年十二月の消防審議会の答申におきましては、今、委員からもお話ございましたけれども現行では飲食を伴わない風俗店が、飲食店ですとかあるいは物品販売店ですとか、不特定多数の人々によって利用される防火対象物と比べまして防火管理や消防用設備等の設置基準等が緩やかになっていると。一方で、人命危険性という点を考えますと、飲食を伴わない風俗店も飲食店等と同等の危険性があるんじゃないかといったようなことにかんがみまして、同等の義務を課すべきじゃないかといったような指摘をいただいておるわけでございます。  そこで、消防庁といたしましては、こうした答申も踏まえまして、今後、風俗店の用途区分につきまして政令改正を行うという予定でおります。  それからまた、これに関連してですけれども、国土交通省が設置した検討委員会におきましても、避難上支障の大きい新たな形態のこの風俗関係用途、これについては二方向避難を義務付けるべきだといった報告書が取りまとめられておりまして、これを踏まえまして国土交通省としても、今後、建築基準法の政令の必要な改正を行う予定だというふうにお聞きいたしております。
  76. 宮本岳志

    宮本岳志君 私も現場を、大阪を少し見てきたんですけれども、なかなか二方向の階段というのは少ないんですね。今後、やっぱりそういうことも予想されるわけですし、消防設備についても、まあ建物の改造に比べたら比較的負担は軽いとお伺いしているんですが、それでも数十万円というようなものも中にはあるというふうにお伺いをいたしました。  なかなか無利子の融資は難しいという御答弁もあったわけですけれども、やはりさらに低利の融資も含めて、そういった積極的な防災のための中小業者の支援というのは検討すべきだと私は思うんですけれども、これはちょっと大臣に、そういう検討必要性について御答弁いただきたいと思います。
  77. 石井隆一

    政府参考人石井隆一君) 今、委員おっしゃいましたように、確かに、消防法令を遵守していこうとしますとビルの所有者などの事業者の方の経済的な負担がやはり問題になるわけでありまして、私ども消防サイドからいいますと、できればこの違反是正徹底とか防火管理の徹底等を図る観点から、できるだけ有利な融資制度がないものかと思うんですけれども、先ほど中小企業庁からも御答弁がございましたが、やはり無利子融資については大規模な自然災害の場合等に、いろいろ私ども実は調べてみました。しかし、今どこの省庁でもそういう考え方で整理されているようでございます。  なお、現在、さっき中小企業庁からも少しお話がございましたが、多額の費用を要する消防設備等の設置に当たりましては、中小企業金融公庫の中小企業事業展開支援特別貸付というのがありまして、これは利子が、利率一・五%でございます。それから、国民生活金融公庫の環境衛生貸付というのもございまして、これも利率一・五%でございまして、こういったものの活用が可能でございますので、今回、改正によりまして一斉点検、定期点検等も行いますから、当然この管理権原者が設備の設置等を行うケースが増えてくると思いますが、今のような制度融資を利用しまして長期低利の融資が受けられるというふうに考えております。  私どもとしては、せっかくこういう制度もありますから、できるだけこうした制度の周知を図ってまいりたいと思っておる次第であります。
  78. 宮本岳志

    宮本岳志君 このパネルを皆さん見ていただきたいと思います。(パネルを示す)これは大阪市内の繁華街の写真なんですね。二十四時間の保育園、いわゆるベビーホテルのこれは写真であります。見てもらえれば分かるように、バーやスナックなどが入った雑居ビルの何と六階にこのベビーホテルはあるんですね。  このような雑居ビルの中にあるベビーホテルの数と実態、これは厚生労働省、把握しておりますか。
  79. 岩田喜美枝

    政府参考人岩田喜美枝君) 各都道府県等からの報告によりますと、平成十二年十二月三十一日現在の状況ですが、ベビーホテルの数として全国で千四十四か所把握されております。  この中で二階以上にベビーホテルの部屋があるケースについてですけれども、五百強のベビーホテルが二階以上にあるというふうに把握いたしておりますが、お尋ねの雑居ビルの中にあるかどうかといったような建物の形態別の状況につきましては、ベビーホテルを含む認可外保育施設を監督する立場にあります都道府県においては把握されていると思いますけれども厚生労働省においてはその集計をいたしておりません。
  80. 宮本岳志

    宮本岳志君 もう時間がなくなってきましたので私の方で言いますけれども、このベビーホテル基準でいいますと、乳児は三人につき保育に従事する者が一人、それから一、二歳児は六人に一人、三歳は二十人に一人というのが多分厚生省の基準になっていると思います。  仮に万全な体制が取れていたとしても、一歳や二歳の子供は避難路があっても一人では脱出できません、もちろん。それから、保母が乳児を三人抱かれて避難するということも、これはそう簡単にできる話じゃないですね。今回の歌舞伎町では大人でさえ逃げられずに亡くなっているわけですから、こういう場所にベビーホテルがあってそういう事態になったらと思うと、本当にぞっとするわけであります。  それで、このような本当に危険性の高い雑居ビルの中にあるベビーホテル、これについてやっぱりきちっと全部つかむ必要があると思うんですけれども、ちょうど今年十月から、児童福祉法が改正されまして、我が党はこの児童福祉法の改正には反対いたしましたけれども、幸いなことにすべての無認可保育所について届出義務が生じます。だからこれからは分かるわけですね、どこにあるかということはすべて分かります。この機会に直ちに、雑居ビルを始め全国ビル内にある無認可保育所の立入検査厚生労働省とそして消防庁とでやって、事細かい基準がきちっと満たされているかということをしっかり見届ける必要があると思うんですけれども、最後に厚生労働省と、そして総務大臣の御決意をお伺いして、私の質問を終わりたいと思います。
  81. 岩田喜美枝

    政府参考人岩田喜美枝君) ベビーホテルなどの認可外保育施設の質は様々でございまして、認可保育施設に劣らないようなサービスをやっているところもあれば、一方では子供の安全確保の観点から大変懸念される施設もあるわけでございます。そういった劣悪な施設は排除をするという考え方の下に認可外保育施設の指導監督基準というのを設けておりまして、この指導監督基準の中には火災その他非常災害に対する措置についての基準も含めております。この指導監督基準に基づきまして、各都道府県等において、消防部局との連携も図りながら監督指導をやっていただいております。特に、認可外保育施設の中でもベビーホテルについては重点的に、最低年に一回以上立入調査をこれまでもやってきていただいております。  また、委員今御指摘になられましたように、昨年十一月の児童福祉法の改正は本年の十月から施行される予定でございますが、その中で、認可外保育施設の創設時の都道府県知事への届出あるいは毎年一回の定期的な運用状況の報告のシステムも創設いたしましたので、従来以上にベビーホテルなどの認可外保育施設状況の把握を的確にできるようになったというふうに考えております。  今後とも、消防部局ともよく連携を取りながら、防災なども含めて、認可外保育施設の指導監督、しっかりやってまいりたいというふうに思っております。
  82. 片山虎之助

    国務大臣片山虎之助君) 今、厚生労働省局長からるるお話がありましたけれども消防の方も民生部局とよく連携を取ってやります。
  83. 宮本岳志

    宮本岳志君 ありがとうございました。終わります。     ─────────────
  84. 田村公平

    委員長田村公平君) この際、委員の異動について御報告いたします。  本日、岩城光英君が委員辞任され、その補欠として後藤博子君が選任されました。     ─────────────
  85. 松岡滿壽男

    松岡滿壽男君 今回の消防法改正でありますけれども、昨年九月の新宿歌舞伎町での雑居ビルにおきまして四十四名の尊い命が一瞬のうちに奪われたという体験に基づいて、そういう大惨事を未然に防止するために改正がなされたということでありますので、基本的に私も賛成であります。また、先行議員の方から、それぞれいろいろな角度から既に議論もなされておるわけであります。    〔委員長退席、理事景山俊太郎君着席〕  昨年の九月、十月に実施された全国一斉立入検査の結果、九割を超える防災対象物で何らかの法令違反指摘されたということでありますが、結局、九割といったらもうほとんどが法令違反犯しているという実態にあるわけですね。  我が国の状況考えると、あらゆる面で今、今朝もワイドショーで政治向きの話もございました。片方で、偉い役職の方から、週刊誌に取り上げられたやつを全部話をされるべきじゃないかという話があれば、片方から、いやいや、まず自分のことからお話しくださいという話があります。こういうことでは、それぞれの国民の皆さん方に決まったルールを守りなさいということが非常に言いにくい状況の中で、実態的にはこのように九割を超す法令違反。  それにどう対処するかということでありますが、いろいろ立入検査とかあるいはいろんな命令でありますとか罰則規定とか強化をされるわけですが、私は、基本的には今の日本というのは意識の改革というのはもう難しいと思いますよね。だから、制度を変えるか、罰金を、罰を厳しくしていく、罰則を、ということしかないんだろうと思うんですが、この九割を超える違反があったという実態の前にどのようなフォローアップを具体的にされようとしておられるのか、基本的な考え方をまず伺いたいというふうに思います。
  86. 片山虎之助

    国務大臣片山虎之助君) 今お話しのように、去年の十月三十一日現在、これが起こった後調べましたら、約九二%の防火対象物が何らかの違反をやっていると。そこで、十一月末に一斉立入検査をやって指導をいたしました。そうしましたら、平成十四年一月三十一日現在、ということは十月末からいいますと三か月たった後、違反が七九%まで減りました。余り威張れる数字じゃありませんけれども、九三が七九に減っている、立入検査やっただけで。  そういう意味で、今回はこれだけ法律をいじって直して強化して、本気で立入検査や定期点検をやれば、私は相当数減るんではなかろうかと。消防機関のその姿勢ですね、決意と姿勢いかんによるんではなかろうかと。そういう意味で、よく消防機関の協力を仰ぎたいと、こういうふうに思っております。
  87. 松岡滿壽男

    松岡滿壽男君 それと大事なことは、先ほど来の質疑がありましたが、要するに消防と警察と、さっきも厚生労働省、ベビーホテルの話もありましたね、それから建築行政、こういう従来の縦割り行政の弊害がやっぱりあるわけですよね。それをどのようにうまく一つの事故防止のために、国民の安全と財産を守るために集中していくかということが、やっぱり私はシステム的に制度的に必要だというふうに思うんですよね。それがどういう形で今後生かされていくのか。例えば、今のベビーホテルの話も私聞いてびっくりしたんですけれども、それは考えられない話ですよね、その雑居ビルの中にある。それは、厚生労働としては、いや、都道府県がやっていますという話じゃ、これは済む話ではありません。  そういう問題について、どのように今後対応をされようとしておられるのか、お伺いしたいと思います。
  88. 片山虎之助

    国務大臣片山虎之助君) 正にそうなんですね。関係機関との連携をどうやって取っていくか。制度的には協力要請、照会要請というようなことを法案に書かせていただきましたけれども、事実上、今、中央に関係省庁の協議会を作っていまして、これはどういう仕組みにするかの相談でございまして、ここでいろんな結論を得て、それを末端の実施機関に流していきたいと、こういうふうに思っておりまして、正に今回のこの消防法改正が実効を上げるかどうかは警察やあるいは建築基準当局やあるいはいろんな厚生労働・民生関係だとかとの連携いかんによると、こういうふうに思っておりますので、今後とも、その方策について十分協議しながら、適切な方途を探ってまいりたいと思っております。
  89. 松岡滿壽男

    松岡滿壽男君 是非、大臣、そのような方向で、国民の安全と財産を守る方向で頑張っていただきたいというふうにお願いをいたします。  さて、罰則強化については、防火対象物に対する使用停止命令違反、これは懲役一年以下、罰金五十万から、懲役三年以下又は罰金三百万、それから法人については両罰規定なしから罰金一億円以下に引き上げる、それから防火対象物に対する措置、これも大体中身は同じような罰則規定の強化になっておりますが、先ほど来オーナーとテナントとの話も出ておりましたし、その辺の対象者を、大体オーナーとテナント、どういう比率で、もう先行議員がいろいろの御質問をされたものですから、質問通告しておりませんので申し訳ありませんが、その辺踏まえて、ちょっとお答えをいただきたい。どのぐらいの、例えば罰金であればどの程度のものを予測しておられるのか。
  90. 北里敏明

    政府参考人北里敏明君) 罰金につきましては、従来例えば三十万円であったものを二百万にするとか五百万にするとか、そういう形で様々な防火管理義務違反につきましてはレベルを上げておりますし、それから両罰規定におきまして企業に対して一億円の罰を科す、両罰規定を科すというような内容になっております。
  91. 松岡滿壽男

    松岡滿壽男君 だから、当然そういうことで今までの法令違反の実績もあるわけでしょう。そうすると、どのぐらいの金額に換算すれば罰金が入るかということぐらいある程度予測されるわけでしょう。それを聞いているんですよ。
  92. 石井隆一

    政府参考人石井隆一君) これは委員、我々は、まずそういう定期点検それからその後いろいろの問題があるならば立入調査をして、そしてそれに違反すれば罰金を掛けますよ、しかも従来に比べたら相当重いですよと、こうやるので、これはしかし基本的には、それで収入をたくさん取ろうと思ってやっているというんではなくて、御承知のようにそれを抑止力にしてきちんと法令を守ってもらおうということでございますので、まずそのことで私ども、さっき大臣が御説明になりましたけれども、この数か月でも大分是正が減っています。ですから、まずそれを減らすということですので、私どもは、本当に理想からいえば、皆さんが消防法令を守って罰金が全然入らなかったというのが一番いいんじゃないかと思っておりまして、したがいまして、ちょっと金額の計算はなかなかいたしかねますので、御理解賜りたいと思います。
  93. 松岡滿壽男

    松岡滿壽男君 私がそういうことをあえて聞きましたのは、やはり本気でやろうとしているかどうかということを敏感に相手方は感じるんですよ。だから、その辺のしっかりした姿勢を持っていただきたいということを申し上げておるわけです。  それで、防災物品関係違反が約四割あったというんですね。この防災物品関係というのは、防災物品というのは中身も私もよく分からないんですが、この違反については立入検査違反是正措置、これを講ずることになっておるんでしょうかね。防災物品関係というのは具体的にどういうものなのか、そしてその場合に、違反があった場合についてはどういう措置を講ずることに具体的になるのか、その辺を教えてください。    〔理事景山俊太郎君退席、委員長着席〕
  94. 東尾正

    政府参考人東尾正君) ただいま御指摘の防災物品でございますが、これは一般的には私ども防炎物品というふうに言っておりまして、カーテンとかじゅうたんのようなもので、難燃性を持って実際に火災があったときでも火災の延焼を防ぐという機能を持っております。  この問題につきましては、今御指摘のように約四割が違反ということでございましたので、それを発見した場合にはそれを取り替えさせるということで対応をさせております。
  95. 松岡滿壽男

    松岡滿壽男君 さっき間違えました。防災じゃなくて防炎物品ですね。  それを取り替えるだけなんですか、防炎物品というのは。何ら罰則とかそういうものはないわけなんでしょうか。
  96. 東尾正

    政府参考人東尾正君) 防炎物品の使用違反につきましては、当然措置命令対象となりまして、措置命令に従わない者はやはり罰則対象となります。
  97. 松岡滿壽男

    松岡滿壽男君 それでは、全く違う話になりますが、市町村合併に伴う消防本部の体制の整備強化についてお伺いをいたしたいと思うんです。  今、総務大臣平成の大合併ということで音頭を取って各地に赴いておられるわけでありますが、ようやくそういう部分についての関心も高くなってきているんですが、従来広域消防その他で、消防体制、地域の中に根付いたのがあります。新しい枠組みでの合併という形になってきた場合に、それぞれ地域の実情に合った消防本部体制の整備というものが必要になってくるわけでありますけれども消防庁としてはこの問題に対してどのように対処されるおつもりなのか、お伺いしたいと思います。
  98. 石井隆一

    政府参考人石井隆一君) 消防の広域再編を進めて消防対応力の強化を図りたいということを私どもかねて考えておりまして、これまでも消防補助金の優先配分ですとか、無線中継施設の補助対象化ですとか、あるいは庁舎を新改築する場合に交付税措置のある地方債の充当率の引上げをやるとかいったようなことを行ってまいりました。  今お話に出ましたように、一方で市町村合併をどんどん進めるという流れになっております。また、災害の方も大変、今の時代ですから、複雑多様化する傾向があるわけでして、できるだけ迅速的確に対応していく必要があると。両方相まってやはり消防の広域再編を更に進めなきゃいかぬと思っております。  そのために、昨年三月に、都道府県が策定しております消防広域化基本計画というのがありますが、これを見直してほしいということをお願いしておりまして、さらに昨年の十二月には、これまでの財政措置内容を見直しまして、一方で市町村合併進めるために合併重点支援地域といったものを都道府県が指定するようになっておりますけれども、そういった合併重点支援地域等を包含する地域に財政措置対象を絞った上で従来の財政支援の対象範囲を拡大しまして、更にそれを充実させるという広域化重点支援消防といったような仕組みを作っております。  もう少し具体的に言いますと、例えば消防車両ですとかそれから緊急時の通信指令施設に対する補助金の優先配分ですとか、それからいろんなシステム変更などのソフト経費に対する交付税の措置をするとか、あるいはどうしても広域化しますと消防庁舎や何かの新改築ということに合わせて防災センター造るとかいろんなことがありますので、地域総合整備事業債といった特別の起債を配分するとかいったようなことをやっており、あっ、地域活性化事業債を配分するといったような仕組みにしております。  今後とも消防の広域再編、これは必要だと思いますので、しっかり進めていきたいと思っております。
  99. 松岡滿壽男

    松岡滿壽男君 先ほど大臣は、消防職員千人増員ですか、それで十五万三千というお話がありましたが、消防団員の方ですね、今度は。消防団員数が九十四万四千百三十四人と、平成十三年四月一日現在でそういうことになっておるようでありまして、この十年間で四万三千人ほど減少しているんですよね、消防団員の方は。充足されていないんですよ。それから、女性団員が一万七百七十六人で、十年前より七千人増えていると。  地域防災上重要な役割を果たしているこの消防団の団員確保のために、非常に最近サラリーマンが増えておりまして、報酬、出動手当などで処遇されているわけですけれども、この減少していく一方の歯止めをどのような形で考えておられるのか、それをお伺いいたしたいと思います。
  100. 石井隆一

    政府参考人石井隆一君) 委員指摘のとおり、消防団員につきましてやはり減少傾向が見られるわけでございます。  私どもとしましては、まずやはり消防団員の処遇改善を図ろうということで、これは私どもの片山大臣も大変に力を入れていただいておりまして、平成十四年度は報酬や出動手当等の地方交付税の算入額の引上げを図る、それから退職報償金の基準額の改善を図ると。それから、これは議員立法でお願いしていただきましたが、自家用車が防災活動等に関連して損害を受けた場合に見舞金の支給制度を作るといったようなことも行っておるわけでございます。  ただ、全国的にこういうふうに例えば交付税措置等をいたしましても市町村ごとに見ますと消防団員に対する報酬が低い水準にとどまっているところもありますので、これは関係消防機関に対して、せっかく交付税措置もしていますので、まあ最終的にはもちろん自主的判断なんですけれども、できるだけ消防団員の確保に配慮していただくようにお願いをしている次第であります。  また、こういう処遇、狭い意味でのお金に絡むようなところだけではなくて、結局、例えば今サラリーマン化も進んでいるということもありまして、事業所の協力といったことも必要なものですから、そういった点で事業所にできるだけ消防団員出していただくようにお願いするとか、いろんな努力をしておるところでございます。
  101. 松岡滿壽男

    松岡滿壽男君 せっかく、昨年の雑居ビル、ああいう大惨事を再び起こすまいということで今回の消防法改正ということになったわけでありますから、先ほど来の議論のように、今までの消防体制あるいは各役所の縦割り行政の弊害、そういうものを取り除きながら、国民のやはり安全と財産をいかに守るかという立場に立って、是非ひとつ大臣中心で頑張っていただきたいというふうに思います。  以上で私の質問を終わります。
  102. 又市征治

    ○又市征治君 社民党の又市です。  昨年の九月一日に四十四名が亡くなるという痛ましい歌舞伎町の火災事故がありまして、私はその二十一日にこの委員会で事故後の対策について質問をいたしました。その際、私は、同じような事故が起きないうちに短期に集中して違反是正するよう、そのためには、消防力基準に照らして慢性的に不足している消防職員や建築基準法の審査に当たる自治体職員を充足をして増員することを求めたわけです。  同時に、その一つの緊急の方法、臨時の人材活用手段として、小泉不況が深刻化をするという中で、たくさんの失業者を生かす道としても、経験豊富な建設業やあるいは不動産業部門の失業されている方々にこうした消防法違反や建築基準違反の調査や是正指導に当たってもらうことも提案をいたしました。  具体的には、このとき補正予算で提案されようとしておりました緊急地域雇用創出事業の特別交付金を活用してまずは短期でもよいから雇用創出と消防防災を図るという、こういう方法を提起もさせていただきました。その後、補正予算、そして二〇〇二年度の予算が付いて、これが行われつつあるわけですけれども消防防災に関する緊急地域雇用創出特別交付金の活用実績はどういう状況にあるか、まずお伺いをしたいと思います。
  103. 東尾正

    政府参考人東尾正君) お答え申し上げます。  ただいま御指摘の九月における委員の本委員会での御指摘も踏まえまして、緊急地域雇用創出特別交付金につきましては、その実施例の一つとして消防防災支援要員というものが正式に盛り込まれたものでございます。この事業といたしましては、違反是正指導の支援、あるいは定期点検報告制度の趣旨徹底のための啓発、また電子申請等に伴う届出の事務の支援などを行っているところでございます。これの雇用実績でございますけれども平成十四年度、今年度につきましては四十四の道府県におきまして約千七百人の雇用が予定をされているところでございます。
  104. 又市征治

    ○又市征治君 この臨時雇用による支援要員活用の取組を府県別に見ますと、大分凸凹があるようですね。全国平均で対象物の数八千四百件余りに対して、臨時雇用の要員が今お話があった一千七百三人。一人当たり持ち分は四・九件ということですが、私の出身の富山県では一人当たり〇・三件と少なく、つまりそれだけ丁寧に支援、指導ができるということになるんだろうと思うんです。逆に持ち分の多い府県では、同じ北陸地方で見てみましても、一人当たり十三・二件といった府県もあるわけでありまして、ここで全国平均並みに丁寧に活動をしてもらうためには今の二・七倍の要員を雇う必要があるんではないか、こういう計算が出てまいります。  この数値だけではもちろん比較はできませんけれども、今回の趣旨は、個別の物件をやっぱり丁寧に、場合によっては繰り返し支援、指導することにあるわけですから、国としてはこうした点も更に府県に周知をすべきでないかと思うんですが、その点の見解をお伺いしたいと思います。
  105. 石井隆一

    政府参考人石井隆一君) この消防防災支援要員、この交付金制度を活用してやるというのはなかなか、委員の御指摘もありまして、いい事業だと思っておるんでございますが、この消防防災支援要員の業務というのは、違反是正指導を始めとしまして、本来の消防職員とお互いに協力しながらやっていくという性格のものでございますので、今、委員御自身がおっしゃいましたように、必ずしもこの消防防災支援要員の数が多いか少ないかだけでその個別の物件への丁寧な指導ができているかどうかというのは一概には言えないだろうと思いますけれども。  ただ、せっかくのこういう制度でございますから、支援要員の数が極端に少ないような都道府県につきましては、私どもも改めて今回こういう仕組みができたということも周知徹底しまして、恐らく、先ほど来議論出ていますように、予防関係、人が足りないということが割にどこの県、市町村でもあるんじゃないかと思いますので、是非活用していただくように私どもとしても努力してまいりたいと思っております。
  106. 又市征治

    ○又市征治君 ありがとうございました。  先ほど来ありますように、十四年度予算では、今のところ全国で延べ千七百三人、一人当たり約二百万円ということになるわけですけれども、臨時雇用されたのはどういう資格、経験を持った人たちなのか、事業はどのようなルート、つまり自治体の直接雇用なのか指定法人等への委託なのかという問題、そしてどのような研修をしているのかということの概略をお示しをいただきたいと思います。
  107. 若松謙維

    ○副大臣若松謙維君) 消防防災支援要員の確保の具体的な方法等でございますが、まず各県の消防設備保守協会や防災指導協会等の消防防災の分野に一定の実績を有している法人に委託を実施しているなど、各地方公共団体の実情に応じた対応が図られていると認識しております。地方公共団体によっては、消防防災支援要員として消防設備士や消防設備点検資格者等に限らず幅広い人材に門戸を開いている地域が多いとも認識しております。  そして、この消防防災支援要員でありますが、この要員に対しては、基本的に民間人でいわゆる失業中ということで、単年度雇用というのが原則でありますが、当然再雇用も認めているという前提の下に、この要員に対しましては、消防法令や点検制度の概要などについての研修を行うように推奨しておりまして、県によっては若干の差異がありますが、おおむね数日間程度の研修を行っているものと把握しております。
  108. 又市征治

    ○又市征治君 長官に改めてお聞きをいたしますが、消防庁で通知文書を出されておりますけれども、その中に、違反是正支援員が立入検査にならない範囲内でという箇所があるわけですけれども、これはどういう意味なのか、まず一つですね。  つまり、法的権限のない臨時雇いの支援員が立ち入るのに、相手が、先ほど来から出ておりますけれども風俗営業等もあるわけですから、トラブルや御苦労も大変あるんだろうと思うんです。  一方、我々が求めてきた趣旨としては、従来、職員数の不足でできなかったきめ細かな是正指導というものをベテランのこういう人たちが時間を掛けて親切丁寧に行っていただく、説得的な効果があるんだろうと、こう思うんですが、こうした良しあし両面を含めて、現場での運用状況をお伺いをしたいと思います。
  109. 石井隆一

    政府参考人石井隆一君) 消防法の第四条に基づきまして、消防職員については、この防火対象物に対する立入検査を行うことができると、こうされておるわけですが、消防防災支援要員につきましては、今のには当たらないものですから、立入検査を行う権限は残念ながら法律上はないわけであります。  これらの方々は、今話に出ましたが、いろんな消防関係の資料作成でございますとか、それから名あて人の特定などのほか、例えば、防火対象物に係る任意調査ですとか防火対象物関係者への照会への対応など、いろんな事業に、事務に従事していただいておりまして、幸い平成十三年度中にトラブルが生じた例というのはお聞きしておりません。  違反是正支援要員の支援効果というのを全国調査まだしておりませんけれども、例えば山梨なんかで聞きますと、十三年の一月から三月までの間に立入検査の執行率が二倍近くになったと。そういう支援要員を雇用させていただいた結果、本来の消防職員がそれだけ立ち入れるようになったと。  それから、委員の地元の富山県にも念のために聞いてみましたけれども、大変、この台帳整理ですとか防火対象物関係者との連絡といったような内部事務にやっていただいていますけれども、その結果、本来の消防職員が立ち入ったりいろんなことがしやすくなったというふうな報告を受けておりまして、なかなかうまくいっているんじゃないかと、こういうふうに思っております。
  110. 又市征治

    ○又市征治君 せっかくこうした方々を、そういう意味では雇用もし、防災に当たっていただこうということなんですが、権限がないために極めて補助的な、事務的なという、こんな格好で、ここらのところはもう少し何かできないものか。これはひとつ御検討を是非いただきたいなと、こう思います。この意見だけ述べておきたいと思います。  大臣にお伺いをいたしたいと思いますが、最終的に違反が改善をされて町の安全が高まってほしいわけですけれども、これまでのところ、成果は上がっているというふうに御認識されているのかどうか、まず一つ、そんなところ。  それから、職員による是正と支援員による効果とを区別して比較することは不可能だと思いますけれども、この間の取組すべて合わせて、結果としてどれだけの違反の解消につながってきたのかという点。  あわせて、今後の体制整備、先ほど大臣からもお話がございましたけれども平成十四年の地財計画では、予防職員一千七十七人増員して、四十八億円ですか、予算措置をしているというふうにおっしゃっていますが、先ほど来からの各委員指摘からいえば、特に人員について、職員によるものと、もっと増員をすべきだと、あるいは一方ではまた、緊急雇用によるこうした臨時雇用の両面があるんだろうと思いますけれども、今後のそうした体制整備というものをどのように図っていこうとお考えなのか、お伺いしたいと思います。
  111. 片山虎之助

    国務大臣片山虎之助君) この法律を早急に改正が成立しまして施行に入れば、私は相当効果があると思います。  先ほども申し上げましたが、十月末九三%の違反率が、一月末は七九%まで減った。一六、七%、一四、五%ね。これ、立入検査しただけですよ。だから、もう少しこれから計画的に立入検査やる、法律に基づく措置命令も出すと、こういうことなら、私は相当違反は減少していくんではなかろうかと、こういうふうに思っております。  それから、今の消防防災支援要員ですね、今度の臨時雇用の。千、今七百ですか、ぐらいじゃ、私も、県にばらつきがありますからね、少ない県は少し増やしてもらうように努力いたしたいと、十四年度入りましたんで、そういうふうに思います。  それから、消防職員の方は十五万三千人で、私はかなりな数字だと思いますけれども、特に救急が増えているんですね。で、これからは予防、査察を増やす必要があると思いますんで、本年度は千七十七人増やしましたけれども、今後とも、全体の定数の状況を見ながら増やしていきたいと。どうもこのところ、警察と消防はかなり増えているんですよ、警察、消防、福祉が。一般の方はどんどんと減らしていますからね。その辺の見合いがありますが、なお努力いたしたいと、こういうふうに思います。
  112. 又市征治

    ○又市征治君 ありがとうございました。  今お話がございましたけれども違反が一四、五%、相対的には減っているということですけれども、そうはいっても、大変な違反の数があるわけでありまして、余り自慢できる数字ではない、このことだけは率直にお互いに認め合わなきゃならぬのだろうと思うんです。  残念ながらイタチごっこの面もあるわけでありまして、違反を減らす間には、何回も継続して現地を調査をして、あるいは是正勧告や命令を出して、この命令部分はかなり強化をするということでございますから、点検をしていくということが大事なんだろうと思います。  そのためには、今法定されている検査のインターバルを縮める。例えば、六か月となっている対象建築物を三か月にするといったことも必要でもありますし、今度の法改正そのものは私どもは賛成でございます。同時に、これを実効あらしめるためにも、引き続き、やっぱり監視指導要員の確保と究極はその恒常化、正規職員化が必要であるということは先ほど来から他の委員指摘をされておるところでありまして、その点を改めて求めまして、終わりたいと思います。
  113. 田村公平

    委員長田村公平君) 他に御発言もないようですから、質疑は終局したものと認めます。  これより討論に入ります。──別に御意見もないようですから、これより直ちに採決に入ります。  消防法の一部を改正する法律案に賛成の方の挙手を願います。    〔賛成者挙手〕
  114. 田村公平

    委員長田村公平君) 全会一致と認めます。よって、本案は全会一致をもって原案どおり可決すべきものと決定いたしました。  この際、伊藤君から発言を求められておりますので、これを許します。伊藤基隆君。
  115. 伊藤基隆

    ○伊藤基隆君 私は、ただいま可決されました消防法の一部を改正する法律案に対し、自由民主党・保守党、民主党・新緑風会、公明党、日本共産党、国会改革連絡会(自由党・無所属の会)及び社会民主党・護憲連合の各会派共同提案による附帯決議案を提出いたします。  案文を朗読いたします。     消防法の一部を改正する法律案に対する附帯決議(案)   政府は、本法を施行するに当たり、次の事項の実現に努めるべきである。  一、防火対象物避難経路における避難に支障となる物件の存置、消防用設備等の設置維持に関する重大な違反等があり、消防法第五条等の要件を満たす場合において、警告を発した後、履行期限内に違反是正がなされないときは、速やかに措置命令発動すべき旨を地方公共団体に対し、マニュアル、通知等で周知すること。  二、消防法令違反是正等の予防事務を担当する職員対応能力の強化を図るため、研修制度充実等により、職員資質向上に努めるとともに、専門的職員の育成及び研修要員を確保するため、十分な財政措置を講ずること。  三、防火対象物の定期点検報告制度の導入に当たっては、管理権原者による確実かつ円滑な点検の実施に向け、消防機関が、その周知徹底に努めることができるよう、必要な措置を講ずること。  四、雑居ビル等管理権原が分かれている防火対象物の増加にかんがみ、管理権原者により共同して防火管理を行うなど、防火対象物全体の自主的な防火管理の充実のため、消防機関において十分な指導を行うことができるよう、組織や体制の整備を推進すること。  五、多数の死者発生するなど悲惨な事態を招いた火災、燃焼の性状が特殊な火災であり、通常の火災原因調査ではその原因究明が困難と考えられるものが発生した場合等には、消防法第三十五条の三の二による消防庁長官火災原因調査を速やかに求めるべきことについて地方公共団体に対し周知すること。  六、今後、地方公共団体から求めがない場合においても、消防庁長官が大規模火災等の原因調査を実施できるよう、制度や体制の整備に努めること。また、これらの火災を含め大規模な災害等に対し、より迅速・有効に対応できるよう、消防防災体制充実強化策について速やかに具体的な検討を進めること。    右決議する。  以上でございます。  何とぞ委員各位の御賛同をお願いいたします。
  116. 田村公平

    委員長田村公平君) ただいま伊藤君から提出されました附帯決議案を議題とし、採決を行います。  本附帯決議案に賛成の方の挙手を願います。    〔賛成者挙手〕
  117. 田村公平

    委員長田村公平君) 全会一致と認めます。よって、伊藤君提出の附帯決議案は全会一致をもって本委員会の決議とすることに決定いたしました。  ただいまの決議に対し、片山総務大臣から発言を求められておりますので、この際、これを許します。片山総務大臣
  118. 片山虎之助

    国務大臣片山虎之助君) ただいまの附帯決議につきましては、その御趣旨を十分に尊重してまいりたいと存じます。
  119. 田村公平

    委員長田村公平君) なお、審査報告書の作成につきましては、これを委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  120. 田村公平

    委員長田村公平君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。  本日はこれにて散会いたします。    午後零時四分散会