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2002-03-19 第154回国会 参議院 総務委員会 第4号 公式Web版

  1. 会議録情報

    平成十四年三月十九日(火曜日)    午前十時開会     ─────────────   出席者は左のとおり。     委員長         田村 公平君     理 事                 景山俊太郎君                 世耕 弘成君                 谷川 秀善君                 浅尾慶一郎君                 伊藤 基隆君     委 員                 岩城 光英君                 小野 清子君                 久世 公堯君                 沓掛 哲男君                 南野知惠子君                 日出 英輔君                 森元 恒雄君                 山内 俊夫君                 高嶋 良充君                 高橋 千秋君                 内藤 正光君                 松井 孝治君                 魚住裕一郎君                 木庭健太郎君                 八田ひろ子君                 宮本 岳志君                 松岡滿壽男君                 渡辺 秀央君                 又市 征治君    国務大臣        総務大臣     片山虎之助君    副大臣        総務大臣    若松 謙維君    大臣政務官        総務大臣政務官  滝   実君    事務局側        常任委員会専門        員        入内島 修君    政府参考人        総務省自治行政        局長       芳山 達郎君        公正取引委員会        事務総局官房審        議官       伊東 章二君        法務大臣官房審        議官       小池 信行君     ─────────────   本日の会議に付した案件政府参考人出席要求に関する件 ○地方自治法等の一部を改正する法律案(第百五  十一回国会内閣提出、第百五十三回国会衆議院  送付)(継続案件) ○行政制度公務員制度地方行財政、選挙、消  防、情報通信及び郵政事業等に関する調査  (平成十四年度の地方財政計画に関する件) ○地方税法の一部を改正する法律案内閣提出、  衆議院送付) ○地方交付税法等の一部を改正する法律案内閣  提出衆議院送付)     ─────────────
  2. 田村公平

    委員長田村公平君) ただいまから総務委員会を開会いたします。  まず、政府参考人出席要求に関する件についてお諮りいたします。  地方自治法等の一部を改正する法律案の審査のため、本日の委員会総務省自治行政局長芳達郎君、公正取引委員会事務総局官房審議官伊東章二君及び法務大臣官房審議官小池信行君を政府参考人として出席を求め、その説明を聴取することに御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  3. 田村公平

    委員長田村公平君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。     ─────────────
  4. 田村公平

    委員長田村公平君) 次に、地方自治法等の一部を改正する法律案を議題とし、前回に引き続き質疑を行います。  質疑のある方は順次御発言願います。
  5. 日出英輔

    日出英輔君 自由民主党の日出英輔でございます。  今日は地方自治法等の一部を改正する法律案につきまして御質疑をさせていただきます。ちょっと時間が今日はたくさんいただき過ぎまして、うれしい悲鳴を上げながらやりますが、伺いたいところはしっかりと伺ってまいりたいと思っております。  最初に、まず市町村合併の話を伺いたいわけでございます。  最近、市町村合併大分各地でそういった機運が醸成されてきているということは新聞その他でもよく出ているわけでありますが、今一体、全体的に見てこの市町村合併動きというのはどういうふうになっているかということを総務省ではどういうふうに受け止めていますでしょうか。まず、滝政務官から伺いたいと思います。
  6. 滝実

    大臣政務官滝実君) 現状は、各都道府県地域合併パターンをお決めいただいて、それを基に各地域がいろいろ御検討をいただいていると、こういうことでございますけれども、現在検討中の市町村が大体二千ぐらいに上っているということからいたしますと、少なくても今の段階ではかなりの関心を持ってこの問題について各地域議論をしていただいていると、そういうような認識を私どもは持っております。
  7. 日出英輔

    日出英輔君 私も仕事柄全国を歩いておりますが、どちらかというと西高東低といいますか、中四国、九州あるいは東海、この辺はかなり機運が進んでいるような気がしますし、若干東の方は西に比べますと少し機運が、この醸成がまだまだという感じも実は見受けられるわけであります。  そこで、具体的な話を伺います前に、よく話が出てまいりますのが、この市町村合併でいいますと、明治の大合併昭和の大合併の話がよく出てくるわけであります。参考資料等もいただきまして読んでみたんですが、少し現実的な、現実感といいますか、そういうのがないんですが、まず明治の大合併というのは一体どういうような背景でどういうような形で進められたのか伺いたいと思います。これは芳山政府参考人に。
  8. 芳山達郎

    政府参考人(芳山達郎君) お答えいたします。  明治合併でございますけれども、明治維新後におきまして我が国の町村江戸時代から引き継がれた自然の集落を基礎とした地縁的な共同生活生活共同体でありました。そして、明治二十一年末の町村数は七万一千三百十四でありました。それで、明治政府としては、明治二十二年に初めての近代的な地方自治制度であります市制町村制というのをしきまして、その中で市町村が戸籍や小学校などの事務を処理するためにそれ相応の行財政機能を充実することは不可欠であるというようなことで考えたわけでございます。  そういうことで、内務大臣訓令によりまして、三百戸から五百戸を標準としまして全国一律に町村合併を断行したということでございまして、明治二十二年末にはただいまの七万余が一万五千八百二十ということで、約五分の一に減少したという具合に聞いております。
  9. 日出英輔

    日出英輔君 この明治の大合併歴史は私もよく知りませんが、ただ伝えられるところによりますと、江戸時代のいわゆるそのときは村というか自然発生的な村に近いのかもしれませんが、一応の行政能力はかなりあったというふうにも私は聞いておりまして、今の三百から五百をベースにしてこの市町村合併を図ったということについて、やや上からの近代国家たらんとする日本の意志というのが感じるような気がいたすわけですが、もう一つ昭和の大合併というのが戦後に行われておりますが、これについての背景なり状況についてはいかがでしょうか。
  10. 芳山達郎

    政府参考人(芳山達郎君) ただいまの昭和の大合併でございますけれども、戦後に制定された新憲法の下におきまして地方自治の確立が大きな課題となったということでございます。それで、新しい義務教育制度の実施に伴う新制中学校設置でありますとか、市町村消防自治体警察、そういうような事務市町村で処理しなければならないということを受けまして、人口八千人未満の小規模町村の解消を目的に進められたということでございます。  その背景、同時に当時の町村財政状況が非常に厳しい状況があった、また一方で新たな今言いましたような事務、権限を受け入れなきゃならないというようなことが喫緊の課題であったという具合指摘をされています。  したがいまして、昭和の大合併におきましては、昭和二十八年十月の市町村数九千八百六十八というのが、三十二年、三十六年を経て、三十六年には三千四百七十二市町村ということで、全体の三分の一になっておるというような状況でございます。
  11. 日出英輔

    日出英輔君 この辺になってまいりますと、少し各地で具体的な歴史といいますか昭和の大合併背景等々が各地でまだ語り継がれているところがあるように思います。私も詳しくは分かりませんが、この昭和の大合併で大変いろんな問題が一部で起きていたという話も聞くのでありますが、その辺についてはどういうふうな御認識でしょうか。
  12. 芳山達郎

    政府参考人(芳山達郎君) 昭和合併でございますけれども、ただいま申し上げましたように、新たな自治下における社会福祉保健衛生、新たな事務市町村事務となった、そして規模合理化が図られたというようなことでございますけれども、一方、今御指摘がありましたように、市町村合併の進行に伴いまして、一部では役場の位置ないしは財産処分をめぐる問題、分村問題ということが生じたということも言われておりますが、翻って今考えてみますれば、全体的に見て当時の住民の皆様の理解関係市町村努力によりまして全国民的な運動として展開されたということで、その後おおむね達成されて多大な成果を上げたという具合理解をしております。
  13. 日出英輔

    日出英輔君 大変な、こういった大合併は大変なことだったということは、今、芳山政府参考人お話で私も理解できるところであります。  今、全国町村だけでいいますとざっと二千五百ぐらいありますでしょうか。その中で、この昭和の大合併では八千人以上の住民最低基準とするというようなことがちょっと書いてありますが、現実に八千人以下の町村というのはこの二千五百の町村の中で半分近くあるんじゃないかという気がいたします。よく地方を回りますと、このときの大分大混乱がその後の合併推進に非常にある意味ではマイナス面も残しているというようなことも言われることがございますので、よくよく心に留めていただきたいというふうに思うわけであります。  そこで、今回、平成十一年ごろからこの市町村合併というのが大分言われ始めましたが、今回の、平成の大合併になるのかどうか分かりませんが、こういった明治の大合併あるいは昭和の大合併から学ぶべきものがあるとすればどういうことがあるだろうというふうに御認識でしょうか。もし副大臣、よろしければ御答弁いただきたいんですが。
  14. 若松謙維

    ○副大臣若松謙維君) 私は、大変参考になると思っております。明治昭和それぞれその時に応じたやはり行政に求められるもの、そういったことを反映して、例えば明治ですと、先ほど局長も申し上げましたが、本当にいわゆる自治体基礎となる教育とか徴税、これが始まったと。昭和につきましては、いわゆる新制中学校ということで戦後の教育の向上、そして経済の発展に寄与したということであります。  この明治昭和の大合併から、じゃ、平成の大合併はどうすべきかと、これは幾つかの示唆があるのではないかと考えております。それにつきましては、もし委員質問ございましたら、適時答えさせていただきたいと思います。
  15. 日出英輔

    日出英輔君 追々、私も伺いたいと思うわけでありますが、私はちょっと、この明治の大合併なり昭和の大合併から学ぶべきものは、ややこれは、この二つとも上からの合併という声が強かったんではないかという気がするわけであります。私の理解が間違っておりますれば、どうぞ正していただいていいと思いますが、今回は、ある意味では前二回の大合併に比べますと、やっぱり下からの、市町村からの合併するという意欲を上手にかき立てていただいて、指導をしていただいて、そういった形で引っ張っていくべきではないかというふうに思いまして御質問したわけであります。  そこで、今各地でいろんな合併についての検討動きが出ているわけでありますが、こういった合併検討しようというこの動き原動力といいますか、そういう中に幾つかあるわけでありますが、一つは、私が聞いている限りにおきますと、この合併特例法期限が十七年の三月だということで、言わば乗り後れまいという、そういう空気があるように思います。  ここら辺については、総務省としてはこの市町村合併特例に関する法律期限の辺りをどういうふうに考え、また今のような市町村合併が進んでいく過程でこの特例法期限を更に延ばすということもあるのかもしれませんが、この法律については、今合併推進との関係でどういうふうにとらまえられておられますでしょうか。副大臣、お願いします。
  16. 若松謙維

    ○副大臣若松謙維君) まず、実は私が住んでおります埼玉県の上尾市、これが全国初の条例による住民投票が行われまして、大変大騒ぎをしたところであります。  そんな体験も踏まえながら、現在の合併の在り方、いわゆる地域からの動きということに大変総務省といたしましても大事に、大切にしながら進めているわけでありますが、今市町村合併に向けた検討動きを支える原動力というところでの御指摘でありますが、何といっても地方分権推進、これが地方分権推進法等の施行によりまして、これが自治体に求められていると。さらには、少子高齢化社会への対応。御存じのように、介護保険、これが導入されて、いわゆる地方自治体自らが自らの努力でこの介護保険に対応しなければいけない。また、住民生活圏域の拡大。御存じのように、今モータリゼーションということで住民活動範囲が大変広くなっております。  また、そうは言いながらも、各自治体、大変厳しい財政の中でいわゆる赤字体質が強いられていると。これを乗り越えるためのやはり行政改革地方行政改革が必要となっておりまして、このような事情から今市町村合併が非常に真剣に議論されているということでありまして、じゃ、この二十一世紀の基礎的自治体はどうあるべきかと、やはりこの本質的な議論が今この場でなされるべきではないかと思っておりますし、現実地方制度調査会、これも昨年末から第二十七次が開始したところでありますが、そういった様々な有識者、また国会等々での議論是非とも活発化していただきたいと考えております。  いずれにしても、平成十七年三月のやっぱり合併特例法期限というところまでに、総務省といたしましては、先ほどの原動力を基にしっかりと、大変合併が盛り上がっているときでありますので、着実にかつ見える形で市町村合併というものを進めてまいりたいと考えております。
  17. 日出英輔

    日出英輔君 市町村合併動き、あるいは盛り上がっているということ自体は、今、副大臣お話しのように、それはそのとおりなんですね。  ただ、どうも一皮めくりますと、実はこの十七年三月までの合併特例法切れちゃったときが大変だと。あるいは、総務省のホームページの中に市町村合併相談コーナーというのがありますね。これで合併、どことどこが合併するとどういう形で合併特例債等が出るか、試算等、これはなかなかによくできておると言って褒めていいのかどうか分かりませんが、これが一皮めくりますと実は心配の種になるわけであります。これまでに乗らないとうまくないのかなという、そういう空気があります。是非、こういったことは表と裏が実はありまして、じっくりと各地市町村議論ができますように御配慮を賜りたいというふうに思う次第でございます。    〔委員長退席理事世耕弘成君着席〕  それから二つ目は、段階補正の話でございます。  今日、実は政府参考人として担当の局長をお呼びしておりませんから、滝政務官にお答えをいただきたいんでありますが、人口が少ないところほど一人当たりの行政経費というのはやっぱり掛かります。そういう意味で言いますれば、掛かり増しの分を係数化する。これは私は、やっぱり生きとし生けるもの、あるいはこの国土で生きるものにとって当然の措置だと思いますが、これが実は昨年、強烈に段階補正見直しということが出てきたわけでありまして、市町村長の大会などに参りますと、この話を随分と懸念する方が多うございました。  今、この段階補正係数につきましてはこちらの総務委員会でも御質問の中であったようでありましたが、職員の兼務化が進んでいるとか外部委託が進んでいるとか、そういったことで合理的、効率的な財政運営に努めている団体もあるんで、そういった実態を反映したこの割増し係数見直し作業をやっているんだというようなことを御答弁になっていた部分を拝見をいたしたわけでありますが、この作業は今一体どんなふうに進んでいて、どういう形で出てくるのか、この辺について政務官から御説明をいただきたいと思います。
  18. 滝実

    大臣政務官滝実君) 各市町村とも、御指摘のように、特に規模の小さい市町村ではこの段階補正の問題に対して大変御関心をいただいているわけでございますけれども、この問題は実は今日このごろ始まったわけじゃありませんで、ずっとこの数年間掛けて実は段階補正見直しを少しずつやってきたわけでございますけれども、昨年、特に改めてこの段階補正の考え方を整理し直そうということで、今着手し掛かっているわけでございます。  従来の町村人口規模による補正というのが、大体全国市町村の、町村の平均的な数字を基にして段階補正数字を割り出してきたんでございますけれども、やはり中には非常に経費効率化ということについて熱心に取り組んでいる市町村もある。  そういう中で考えてまいりますと、やはり従来のようにただ平均的では、市町村の姿勢というものも考慮する必要があるんじゃなかろうかというような御指摘もございまして、上位三分の二ぐらいのところの町村数字一つ目標数字として置いて、それに基づいた平均的な、要するに上位三分の二のところの平均的な数字に合わせて段階補正に取り組もうと、こういうことでございまして、それもしかも一挙にはなかなか難しいものですから、数年掛けてやっていくというのが平成十四年度からの取組と、こういうふうに御承知をいただいたらよろしいんじゃないかと思っております。
  19. 日出英輔

    日出英輔君 この段階補正見直しの適用を受けるところは財政力の低いところでございますね。かなり一生懸命こういった合理的な財政運営をしようと言えば、一生懸命やればやるほど今の見直しによってまた減らされると、こういうことではたまらないという声があります。  今、政務官から逐年この見直しをやってきたんだというお話がありましたが、昨年の話は大分今までと違った受け止め方をされているように思います。これは、当然のことながら、先ほどから申し上げております合併動きとの関係でそういった方向を総務省が強烈に取るのではないかという懸念から出ているように思いますので、この辺につきましてもよろしく御配慮を賜りたいというふうに思う次第でございます。  そこで、十一年から総務省、いろいろ研究会をお開きになったりして、具体的な、合併推進のためにいろんな具体的な取組をなさっておられるようでございますが、恐縮でございますけれども、芳山政府参考人に、具体的にこういうような取組を十一年ごろからやってきたということを、ちょっと概要を御説明を賜りたいと思います。
  20. 芳山達郎

    政府参考人(芳山達郎君) 合併に対する国の取組でございますけれども、十一年から具体的に指針を設けて各都道府県、各市町村への取組支援をしてまいりました。  まず始めに、都道府県に対して合併パターンを含む合併の要綱をお作りいただきたいということをお願いをいたしました。各県、各都道府県地方交通圏医療圏買い物圏等々を参考にしながら、一つの目安となる合併パターンというのができ上がったわけでございます。  それを受けまして、昨年、各都道府県における合併支援本部設置でありますとか合併重点支援地域指定ということで都道府県における支援体制を取っていただきたいというのをお願いしてまいって、逐次できております。  それで、それを踏まえまして、政府としても、政府全体の合併取組を、昨年三月に、総務大臣本部長として各省庁の副大臣をメンバーとします市町村合併支援本部を立ち上げました。そして昨年の八月に、全省庁連携施策であります市町村合併支援プランというのが、五十八項目等でございますけれどもでき上がったわけでございます。  それと併せて、昨年八月から各四十七県におきまして重点地域中心合併のためのリレーシンポジウムを開催しまして、副大臣政務官にも御出席いただきまして具体的な合併論議を進めてまいっておるわけでございます。    〔理事世耕弘成君退席委員長着席〕  そういうことで、現在では、各都道府県合併重点支援地域指定状況でございますけれども、ただいま三十一県、七十九地域、三百四十七市町村地域指定になっておりますし、また先ほどお話ありましたように二千二十六の市町村が具体的に合併論議を進めておるというような状況理解しております。
  21. 日出英輔

    日出英輔君 今の芳山参考人お話の中で出てきて、私もちょっと一言だけ伺っておきたいと思いましたのは、今の市町村合併パターンなどを作ります中で、都道府県知事が入ってきて、都道府県調整というそういう作業が入っておりますですね。これは、今の市町村都道府県の間、実際上のこの関係を考えますと、適切なような気もいたしますし、一方で、余り強く入られると市町村も身動き付かなくなってしまうという、実は二面性があるんじゃないかという気がいたします。  こういった都道府県のようなお産婆さんといいますか仲介人がいないとこの種の話は進まないということは、私もそういうものであろうという気はいたしますが、具体的にこの都道府県調整役割というのは、どういう点とどういう点について総務省としては期待をしておられるんでしょうか。
  22. 芳山達郎

    政府参考人(芳山達郎君) 都道府県役割は、平成七年の合併特例法の延長以降、非常に重要な役割を担ってきているという具合に思います。  もとより、市町村合併市町村の自主的な合併が主でございますけれども、同時に、都道府県においても地域の実情を熟知して、広域的自治体としての都道府県の果たす役割というのは非常に重要だろうということで、また合併特例法でもそういう位置付けがなされている。  そういうことから、先ほど御説明申し上げましたが、市町村合併についての支援ないし人的支援、また財政支援等含めて、都道府県としても自主的なそういう取組をしていると。国の方も都道府県を通じて市町村支援をすると、そういうような仕組みと理解しておりまして、是非とも、都道府県でそういうような取組是非していただきたい。また、現実にそういう取組をされておると思います。
  23. 日出英輔

    日出英輔君 それから、もう一つ伺いたいのは、合併がなかなか進まないであろう地域、だれが見ても進まないだろう地域、あるいは私も回って歩くのは結構離島だとか比較的山村に近いところであります。  例えば、地方の中核の都市があればその都市中心合併というのは比較的動きがあるように思いますが、はかばかしいそういった中核的な市なりあるいは町といったところがないようなところ、こういったところについては、これはなかなか合併制約というのは非常に大きいんだと思いますが、これについてはどういうような指導総務省としてはこれからなさっていくというおつもりでございましょうか。どなたでも結構でございますが。
  24. 芳山達郎

    政府参考人(芳山達郎君) 我々の市町村合併指針を作るときに、いろいろそういう方面を含めて合併制約の強い地域もあり得るとは思いますけれども、今後の情報通信の発達でありますとか、ないしは交通条件の改善とかいうのをトータルとして合併可能性について是非とも検討していただいて、そういう中から合併についての適否を御判断していただきたいということで、初めから難しいという形で除くんではなくて、そういうような将来の条件、将来のネットワークの整備情報通信網整備、ITの整備というのを含めて、全体として合併を考えていったらいかがなものかという具合に考えまして、なおかつ、今後そういう一島一村という地域とか、地域によっては山間奥地でありますとかいうような小規模町村における対応というのが十七年三月の期限までには顕在化してくるのかなという具合に思いまして、そこらのものを含めて小規模、小規模町村の在り方などの基礎的自治体の在り方について我々も検討していかにゃならぬという具合に思います。  昨年十一月に発足した二十七次地方制度調査会も今後具体的な検討を進めることになりますが、当然、今、先生御指摘の小規模市町村の在り方でありますとか、ひいては県の在り方も含めて、そういうようなのも論議になるだろうという具合に思っております。
  25. 日出英輔

    日出英輔君 政府は十二年の十二月に閣議決定、行政改革大綱の中で市町村合併後の自治体数を千を目標とするという方針を掲げておられるように思いますが、この当時、千がいいとか六百がいいとかかなり数字が躍りまして、そのたびごとにまた地方が翻弄されたというようなこともあったように思います。  政府として千ぐらいを目標にという、この千というのは一体どこから出てきた数字なのか、これは副大臣是非お聞きしたいと思います。
  26. 若松謙維

    ○副大臣若松謙維君) 実は、ちょうどおととしの与党の行財政改革推進協議会、ここでの議論が今回の閣議決定の千になった次第であります。  私は、そのときその協議会の一人の委員として、やはりこの市町村合併というのは、委員も大変御心配のようになかなか進みにくいところも全国的に多いと。果たして、このまま自発的な形で、国としてただ地域動きだけを見守るだけでいいのかどうか、こういった議論になりまして、やはり政治主導でしっかりと日本の国の在り方というものを議論していこうと、そういう議論がおととしの末に掛けて議論がなされまして、結果的に、与党行財政改革推進協議会でやはり千を当面目指すべきであると、こういった議論を今回閣議決定として記載した次第でありまして、やはりこの千が正しいかどうかという議論もまたしなければいけないと考えております。  先ほどの、特に離島とかという合併しにくいところ、それにつきましては、たしか昨年の六月だったでしょうか、経済財政諮問会議が、やはりいわゆる県への直轄とかそういった議論もすべきではないかと、こういった意見も出る時代になってきておりまして、私は、この市町村合併というのはいろんな角度から積極的に議論すべきではないかと考えております。
  27. 日出英輔

    日出英輔君 私も千というものの根拠がいま一よく分からなかったわけであります。  今の道路事情等を考えますと、かつての車を前提にしない集落、あるいはそれの集落連合、あるいは市町村連合といいますか、そういったもの、これは今、広域市町村連合なんかもそうだと思いますが、道路事情が変わりますと一挙に変わってまいります。千ですと、机の上で線を引く分には千というのは多過ぎるような気もしますし、現実のプロセスを考えますと千というのは随分大胆だなという気もいたしますが、是非とも余り、かつての大合併と言われたときのように、上から一つ数字目標を作って、先ほど申し上げましたような特例法の話でありますとか段階補正の話でありますとか、そういうことがややもしますとあめとむちというような話として取られますので、是非とも慎重な機運の醸成に努めていただきたいと思っている次第でございます。  今回、直接伺いませんが、今度の法律改正の中で、住民投票制を、この合併協議会の是非について住民投票制を図るとか、こういったことも書いておりまして、書かれておりまして、非常にタイムリーなことだというふうに思っている次第でありますが、今のこの動きを見ておられまして、そもそも市町村合併というのは今後どの程度進むんだろうかという、そういったような見通しといいましょうか、そういうものはございますか。滝政務官
  28. 滝実

    大臣政務官滝実君) 具体的なその見通しというものを今の段階でつかむというのはなかなか難しいとは思います。  ただ、今まで議論が出ておりますように、目標としての一千という市町村も、都道府県が各地域割りにお作りになった合併パターン、それを見てまいりますと、大体七百とか一千二百とか、そのパターンによっては大体千を中心にして各地域でそのような絵をかいておられるわけでございます。  したがって、そういう中からこの合併の具体的な動きが今出てきているわけでございますので、私どもは、やっぱり住民発議ということも片や踏まえながら、いずれはもう少し情報が浸透してくる、あるいは世論が盛り上がってくる、そういう中で、むしろ住民サイドの方から推進という動きが出てきておりますので、そういうものにこれから展開がシフトしていくんじゃなかろうかな、そういうようなことも考えております。
  29. 日出英輔

    日出英輔君 思った以上に時間が掛かりましたのでこれ以上ちょっと申し上げませんが、例えばこの市町村合併支援プランなどをお作りになりますときもそうでありますが、是非とも、当該市町村がやっぱり一緒に仕事をしていく、あるいは一緒に暮らしていく、そういうこととしてのメリットというものを自分たちが探し出せるような、そういうようなこととして合併支援というのを是非とも後ろから支援していただきたいということを申し上げておきたいというふうに思います。  次に、住民監査請求と住民訴訟についてちょっと伺いたいと思っております。  この住民訴訟の問題につきましては、党派の別なく、大変新聞その他をにぎわしていることもありますし、いろいろと一人の国会議員として考えさせるところがありますので、私も今日、今までの議論の積み重ねを十分勉強したわけではありませんけれども、少し二、三伺ってみたいと思っております。  前回、この委員会で各先生方のお話を大変恐縮ですが私は伺えませんでしたが、議事録を読ませていただきまして、松井先生なり木庭先生なりのお話、森元先生のお話なども伺わせていただきましたので、少しどういう御議論をされたかということは実は若干知った上での質問ではございますが、ただ臨場感がございませんので、あるいはダブって先生方の御質問と同じような質問をするということになりましたら御容赦を賜りたいというふうに思っている次第でございます。  この住民訴訟の議論の前に住民監査請求の話をちょっと伺いたいんでございますが、今の住民監査請求制度というのは本当に十全に機能しているんだろうかという問題がどうもあるのではないかというふうな気がしておるわけであります。  最近五年間でどのくらいの請求件数があって、どういう請求内容がおおむねなっているのかという辺りをまず先に伺いたいというふうに思います。
  30. 芳山達郎

    政府参考人(芳山達郎君) 住民監査請求制度に係ります直近の調査でございますが、平成七年度から平成十年度までの四か年の実績を対象として十一年度に調査を行いましたけれども、それによりますと、都道府県で八百五十三件、市区町村で二千十三件、計二千八百六十六件住民監査請求がなされております。  請求内容は様々でありまして、一概にその傾向を言えませんけれども、主に違法又は不当な公金の支出、財産の管理、契約の締結というのが住民監査請求でなされておる状況でございます。
  31. 日出英輔

    日出英輔君 今の二千八百件という件数は五年間の件数でありますね。一年間に直しますとこれの五分の一ということになりますが、今の監査委員さん、こういった制度がしかれてから久しいわけでありますが、きちんとした方がきちんとした定数でいるんだろうかという辺りも実は伺いたいわけではありますが、やや、この監査委員さんなりあるいは監査委員事務局のこういった監査に対する取組、特に最近はもう市町村、こういった行政の世界でも民間の経営というものを大いに導入すべしという話があったり、あるいは住民に対するサービスというのをきちんと客観的につかまえてこれを示すべきであるといった議論があったり、こういった種の議論は最近非常に進んでいると思います。  そこで、伺いたいんでありますが、この監査請求制度を、地方自治法が予定しているような機能を果たしていくために、私は、もう少しこの制度をうまく運用できるようないろいろな指導あるいは運用上の努力といったものが必要だというふうに思いますが、この辺についてはいかがお考えでございましょうか。お三方のどの方でも結構です。
  32. 芳山達郎

    政府参考人(芳山達郎君) 監査制度の充実についての御質疑でございます。  今回、いろいろ住民訴訟の前の前置であります監査請求制度についていろいろ改善策を講じておると思います。  まず初めに、一つは行為の停止等を求める監査請求の実効性を担保したいというようなことで、その審査段階で監査の結果が確定するまでの間に暫定的に当該行為の停止を勧告することができる制度を構築したい、そういうことで、地方団体に対して、事後の措置ではなくて、事前にそういう損害を生じさせないということで、行政自らの判断でそういう対処ができるように期待をしたいというのが一点でございます。  もう一点は審査のやり方でございまして、これまで以上に透明性ないしは審査能力の強化等を図るために、審査のやり方、審査の際に監査委員の判断によりまして請求人及び関係機関又は職員を立ち会わせる、対審制にするというようなことで陳述の聴取を行わせるようにすると。また、必要に応じて専門家の御意見も聞くというようなことも今度の改正で入れておりまして、いずれにせよ、こうした改正によりまして、今後なお一層住民監査請求制度が、前置であります請求制度が機能し充実されますように、我々も努力してまいりたいという具合に思っております。
  33. 日出英輔

    日出英輔君 今回のこの監査請求制度に関する新しい制度につきましては大変時宜を得たものだというふうに思いますが、それ以前の話としまして、私がちょっと御質問をしたかった趣旨は、これは常勤制を取ることができるという規定になっておりますね。常勤制ではありませんね、端的に言いますと。取ることができるということになっている。私は、やっぱりこの時代、この監査委員が常勤制でなければ、私はもう時代には合わないんではないかという気がいたします。  そういう意味で言いますと、もっと常勤制を取るとか、あるいは職務権限についてのもう少し具体的な規定を作るとか、あるいは資質の向上を図るための具体的な、監査委員の方々の履歴の問題でありますとか、もう少しこの制度について、今法律制度で決まっているからというふうにおっしゃらずに、あるいは定数もそうであります。例えば市町村で言いますと、二名、常勤でない。こういうことで本当に問題が出てきたときに対処し切れるのかどうかということもあります。  私は、その辺についての御検討も、これは急にはまいりませんけれども、やはりしなければならないんじゃないかという実は問題意識で申し上げたんですが、いかがでございましょうか。
  34. 若松謙維

    ○副大臣若松謙維君) いわゆる、御存じのように商法の世界では今コーポレートガバナンスという議論が盛んに議論されておりまして、昨年から今年に掛けてかなりの法改正が行われました。正に地方自治体のそのガバナンスというんでしょうか、私はパブリックガバナンスと申し上げておりますし、またニュー・パブリック・マネジメントとかという言葉があるわけでありますが、いかにこの地方自治を効率的にチェックしていくか、この議論は今本当に真剣にしなければいけないという理解をいたしておりまして、今、監査委員の常駐化、やはりこれも一つの方法であろうかと思いますし、しかし商法の例を見ますと、じゃ、いわゆる監査役というのがございました。なかなか日本の監査役は余り機能していない、いわゆる常駐が余り生かされていないという、こういった反省も含めて、いわゆる社外取締役とか、そういった制度も議論されて、それを地方自治に当てはまりますと、やはり、じゃ地方自治の先ほどのガバナンスの在り方をどうすべきか。常駐ということも一つの選択肢でしょうし、包括外部監査制度、これも十一年から自主的に試行されておりまして、やはりそういった組合せの中で一つ一つまた丁寧にかつ網羅的に検討しなければいけないと考えておりまして、是非委員の貴重な御提言でもありますし、引き続き総務省としては前向きな、また効果的な方策というものを検討していきたいと考えております。
  35. 日出英輔

    日出英輔君 今、副大臣に先に言われてしまいましたけれども、私もこの監査委員の仕事の中身を見ますと、やっぱり当該市町村地方公共団体の財務に関する事務の執行でありますとか、あるいは経営に関する事業の管理でありますとか、こういった議論を本格的にやらなければならない時代だと思います。もう民間の会社がこうだから地方公共団体もこうあるべきだとまでは申し上げられません。それは会計制度も、やっぱり民間の通常の会計からしますと公会計というのは、公の会計ですね、これは制約も多いし、一見分かりにくい。しかし、逆に言いますと、問題が起きたときにはかなり大きな問題が出てしまったりすることもありますから、私は監査制度についてはもう少し抜本的に、この事務局体制もそうだし、監査委員の資質もそうでありますし、これから何をしなきゃいけないかということも含めて御検討いただきたいというふうに思う次第でございます。  そこで、この住民訴訟の話にちょっと行くわけでありますが、今度の新しい訴訟類型でいきますと、前も同じでありますけれども、この監査請求制度を通ってきて、前置主義で、その上での訴訟ということになるわけでありますが、これは改正法じゃなくて現行の制度の考え方をちょっと先に伺いたいんでありますが、この監査委員会というのも一つ地方公共団体の機関だと思います。これは執行機関ではありませんが、一つの機関ですね。この地方公共団体の一つの機関としての監査委員会一つの意思を発して、発しないときにももちろんできるわけでありますが、一応発した場合を考えますと、その意思を発して、適正であるか適正でないかというような議論をして一定の答えを出して、それについて、今度四号訴訟になりますと、途端に、その前置主義を通ってきたにもかかわらず、今度は個人を相手とした議論をするというのは、どうも私は木と竹をつなぐ以上につながっていないんじゃないかという気がするわけであります。  制度であるとすれば、これは監査委員会議論を通じて一つのフィルターに掛けて、地方公共団体の意思として発したものであれば、それは四号訴訟というのは個人ではない話でやるべきではなかったのかという気がするんでありますが、これは私の浅はかな理解なのかどうか、滝政務官
  36. 滝実

    大臣政務官滝実君) おっしゃるとおり、現行法の条文の立て方はそういうことになっているんですね。監査請求におきましては、要するに機関の長を対象にして言わば監査請求するような仕組みになっている。ところが、四号訴訟になると、それが消えて、個人を対象にするふうに仕組みが変わってきている、こういうことであるわけでございます。  これは前々から指摘されていますように、昭和三十八年の自治法の改正の際に条文整理する段階で、言わば民事法の手続、代表監査の制度と申しますか、民事法の言わば訴訟ですね、それに基づいてもう一遍仕組み直したというところからそういうような違いが出てきているように思います。  したがって、そこのところが要するに今回のこの制度改正の一番のポイントということになるわけでございまして、そういう意味ではおっしゃるとおりだと思います。
  37. 日出英輔

    日出英輔君 この住民訴訟の議論の各先生方の御発言要旨等々伺い、いろんな物の本を読んでみますと、理解するのに、全体像を理解するのに若干気も狂わんばかりのようなところもあるのは、例えば今のような点が通常の物の考え方ではないなという感じがしております。  それからもう一つ、この新しい制度に入る前に伺いたいのは、これは芳山参考人に伺いたいんでありますが、この三号の訴訟と四号の訴訟というのは、これはダブって出ることがあり得るんでしょうか、ないんでしょうか。
  38. 芳山達郎

    政府参考人(芳山達郎君) 三号の訴訟は怠る事実の違法確認でございます。具体的には、財産の管理を怠る、又は課税処分を怠るというのの違法の確認で争われるわけでございます。それで、今回の改正後におきましても、同様、三号につきましては、執行機関を相手に怠る事実の確認をするということでございます。  四号につきましては、個人に対する訴訟でございますので、近時、最高裁の判決におきまして三号訴訟、四号訴訟は併合できるというような判決が出ております。
  39. 日出英輔

    日出英輔君 それから、ちょっとこれも条文の理解をするときによく分かりませんのは、この住民訴訟の前提となりますこの監査請求の規定の方は、「違法若しくは不当に公金の賦課若しくは徴収若しくは財産の管理を怠る事実」、怠る方の話でありますが、書いてあるんですけれども、これは違法又は不当ということでフィルターに掛かってまいりますね、監査請求の方は。  この住民訴訟の方になりますと、この書き出しのところが、前条「第一項の請求に係る違法な行為又は怠る事実につき、」と書いてありますが、これは違法な行為又は怠る事実というのの、この怠るところには違法なというのが係っているのか、あるいは係っていなくて、二百四十二条で「以下「怠る事実」」ということで、前の条ではこれは違法若しくは不当と、又は不当というのを含めて怠る事実と書いてありますが、この二百四十二条の二の一項の方ではこれは違法だけなのか不当も入るのか。これも、後でこの住民監査請求の個別の具体例を見たときに実はこの違法と不当というのはなかなかはっきりしないところがありますが、この辺の解釈はどういうふうになっているんでしょうか。
  40. 芳山達郎

    政府参考人(芳山達郎君) 前置であります住民監査請求は、行政の内部で是正させるというようなことでございますので、先生言われるように、違法又は不当な行為について是正をするというのが根幹でございます。  それで、それを受けまして住民訴訟になりますと、当然、訴訟でございますので、違法な行為を裁判所が認定をすると。そしてそれは、違法な行為又は怠る、違法な怠る事実についての認定をするということで、不当はもちろん行政行為じゃありません、行政判断じゃありませんので、訴訟ですので、違法でございます。
  41. 日出英輔

    日出英輔君 それで、少し中身に入ってまいりますと、この住民訴訟の、特に四号訴訟でありますが、これはやっぱり、私も詳しくは知りませんが、プラス面と若干マイナス面があるような気がいたします。プラス面についてはどういうふうな御認識で、またマイナス面についてはどういった御認識に立たれておられるのか、ちょっと総括的に伺いたいと思います。
  42. 芳山達郎

    政府参考人(芳山達郎君) プラスの面というか、これまで四号訴訟が担ってきた役割ということは、当然、違法な財務会計行為の是正、防止ということでございますので、これまで情報公開制度と相まって違法な食糧費の支出でありますとか不正経理でありますとか、そういう面で一定の役割を果たしてきたという具合に我々も認識をしております。  また、今度の地方制度調査会の答申を受けて、今回、四号訴訟について執行機関を被告とすべきであるというようなことでございますが、地方分権時代になって、自己責任、自己決定ということで、地方団体の説明責任を明確にしろというようなのを前提にしながら今回の答申がなされたという具合に考えておりますが、その、今、先生言われた意味でのマイナス面というか、これまで足りなかったと思いますのは、これまで個人が訴訟の相手になるものですから、当該執行機関というものが相手にならないということであります。そうしますと、説明地方公共団体が直接の訴訟の当事者とならないために、地方団体の説明責任が必ずしも十分に果たしてこれなかったというのが一つ問題として指摘されるわけでございます。  そして、もう一つ思いますのは、職員としてまた長として職務の中の一環としてまた政策の一環として行為を行ったというのが、四号訴訟の段階ではその行った行為について個人として訴えられると、自己負担で訴訟をしなければならないという意味での、何と申しますか、割り切れなさと申しますか、そういう点があったというようなこともまた言われておるわけでございます。  また、そういうような一環として、個人で負担する場合の弁護士の費用の問題でございますけれども、そういうこともありまして、平成六年の地方自治法の改正におきまして、四号訴訟で仮に勝訴をした場合には地方団体はその報酬額を負担することができると、議会の議決を経て負担することができるという具合な規定はできたわけでございますけれども、それでもなお、先ほど申しました職務で行った行為と個人との関係というのは引き続き問題として残っておるというようなことも含めていろいろ指摘をされているという具合認識をしてございます。
  43. 日出英輔

    日出英輔君 衆議院の方の総務委員会でのこの法案に対する審議等の審議録も読ませていただきました。なかなかに、個人を相手にするということで、受ける方からすると大変だと。あるいは、言葉をそのまま使っておられましたけれども、衆議院の民主党の方の法案修正の中で、民主党の先生方の中からやっぱり乱訴という言葉なども出てきている、こういうのも一部事実だろうというふうには思います。  先ほどのそういったマイナス面の中の弁護士費用の話について、今、芳山参考人は触れられたわけでありますが、この弁護士費用を、平成六年に被告職員のために地方公共団体が訴訟費用を負担することができることとされたこの何か趣旨として、解説書をちょっと読ませていただきましたら、勝訴した場合には被告職員の応訴費用は適正な職務行為に関して生じた費用と位置付けることができるのでそのような費用を地方公共団体において負担することができることとしたと、こういうくだりがございました。  これは一見そういうふうに思うんでありますが、これは勝訴した場合もそうでありますが、敗訴した場合でも、実は職務をした当事者からすれば職務に、職務行為に関して行ったんでありまして、勝ったときだけが職務行為に関して生じた費用であって負けたときはそうではないというのは、何か私はここも少し、この平成六年の改正というのはどういう意味で改正というのを言ったんだろうかと。気の毒であるというのは分かります。気の毒であるというのは分かりますが、その趣旨が今申し述べたような話だとしますと、これは個人の議論と機関の長との議論の何か混同しておられるような議論のような気がしますが、この辺はどういうふうに考えたらよろしいんでしょうか。芳山参考人
  44. 芳山達郎

    政府参考人(芳山達郎君) 確かに当時いろいろ御議論があったと思います。思いますが、当時、平成六年の自治法改正の中で、勝訴した場合には負担することができると、議会の議決をもって負担することができるといった趣旨は、長や職員が適法に職務を執行していたということが訴訟上明らかになったというようなことで、その限りにおいて措置をしたわけでございます。このような場合には、職員の応訴費用は適正な職務行為に関して生じた弁護士費用であると、適正な職務行為に関連した費用であるというような位置付けでありまして、当然それについては地方団体が負担してもいいではないかというようなのが背景にあったと聞いております。  それで、一方、先生言われましたように、敗訴した場合どう考えるのかと。結果として、被告である長でありますとか被告である個人、職員が財務会計行為を適正に行っていなかったということから、当該弁護士費用を負担することは公益にかなわないのではないのかというようなことでございまして、いろいろ考え方はあるかもしれませんが、当時、長や職員が勝訴した場合のみその弁護士費用は地方団体が負担することができるという形で、議会の議決を経た上で補助することができるという規定止まりになっておるというのが現行でございます。
  45. 日出英輔

    日出英輔君 それから、この四号訴訟で地方自治体の訴訟参加という話が、の道がありますですね。今の住民訴訟を受けている中で、地方自治体はどの程度訴訟参加をしておられるのか。具体的なちょっと数字を教えていただきたいと思います。
  46. 芳山達郎

    政府参考人(芳山達郎君) これも財団法人自治総合センターの調べでございますが、平成六年度から十年度までの五か年に提起された住民訴訟の件数が八百七十八件でございます。そのうち、地方団体が民事訴訟法に基づく補助参加ないしは行政事件訴訟法に基づく行政庁の参加をしておりますのは二百四件、二三%という具合になっております。
  47. 日出英輔

    日出英輔君 そうしますと、今、芳山参考人は、二三%について住民訴訟事案で自治体が訴訟参加をしたと。そうすると、残りはしなかったということになるわけですね。  衆議院の審議録を読ましていただいておる中で、千葉の市長さんでしたか、清掃工場の建設に絡む訴訟で二百何十億、二百六十億でしたか、損害賠償請求をこの四号訴訟で受けたときに、千葉市は訴訟参加をしていないということを何かおっしゃったくだりがありました。  ちょっと私もびっくりしてしまったんでありますが、この今の二三%という訴訟参加というのは、これは一体何を意味しているのかというのがちょっとよく分からないわけであります。実態上は大部分、総務省のこの法案の提案理由等を読ましていただきますと、政策判断が伴っていると、表向きは公金の支出だけれども政策判断が伴っているのが圧倒的に多いんだという議論をしておられます。そうだとしますと、この四号訴訟の相手方になりました個人の方に当該自治体が訴訟参加する方が圧倒的に多いはずだというふうに通常は思うんですが、そうでないのは一体どこら辺にこの辺の理由があるというふうに推察されるんでしょうか。もしお答えできるのであればお答えいただきたいと思いますが。
  48. 芳山達郎

    政府参考人(芳山達郎君) 地方団体やその機関が訴訟参加をしていない理由というのは、数字上確かではありませんけれども、現行四号訴訟が住民が団体に代位して訴訟をしておるというような訴訟構造になっております関係上、被告である長や職員個人の側に参加をするというようなことは、判例上、学説上、法理論的に問題があるのではないかというような指摘もまた一つはされております。  もう一つは、長が個人として被告になっている場合でございますけれども、団体や機関としての長が訴訟参加をその人にすると、同一人にするということについては、なかなか住民から理解が得られないというか、お手盛りではないのかというような住民感情に配慮するというようなこともいろいろあるのかもしれませんが、いずれにせよ、訴訟の実態は七十数%が参加を現実にはしていないというような資料になっております。
  49. 日出英輔

    日出英輔君 何ともはや、訴えられたこの個人はお気の毒の一語だというふうに気がするわけですよね。実際には、その大部分が憲法の、憲法上の判断まで問われるような話だったり、あるいはいろんな政策判断、議会の同意その他を経てきているにもかかわらず訴えられた。ところが、それを聞かれているにもかかわらず、この訴訟の形というか、あるいは住民感情というのもありましょうか、そういった中で当該地方公共団体が訴訟参加しないというのは、お気の毒というのか地方公共団体がずるいというのか分かりませんが、私は何かちょっとここの辺が制度論なのか感情論なのか何なのか、ちょっとここのところの整理が付きにくいような点ではないかというふうに思いました。  さらに、ちょっと進みますと、ある団体のホームページをちょっと見さしてもらいましたら、この住民訴訟のいろんな類型を書いてございました。特に住民側の方が勝訴をした、そういった勝訴判決のリストみたいなものでありました。目次だけをちょっと簡単に読ましていただきますと、公費天国を是正する住民訴訟、議長や首長らの視察旅行、議員野球大会、架空の接待、高額な飲食、空出張・やみ手当、放漫財政と闘う住民訴訟、公有財産の格安売却、私有財産の高価買上げ、民間法人に派遣した職員の給与負担、違法な補助金交付、ずさんな契約管理、巨悪と闘う住民訴訟なんという言葉もありますね、談合による不当利得、暴力への屈服、人権侵害と闘う住民訴訟。  これはある種の団体が書かれたことでありますから、この言葉を一々取り上げて申し上げる気はありませんが、拝見をいたしますと、政策判断をやりながら出したもの、あるいは先ほどちょっと伺った違法か不当かというふうなところにも関連いたしますが、これを違法と言うのだろうか、普通の社会的な付き合いその他でいって、これは違法と言うには少し広過ぎるのではないかといったような点もいろいろと実は例示されているわけであります。  こういった今読み上げた幾つかの類型、あるいは先ほど伺いました住民訴訟の件数等々を考えましたときに、最初にこの法案を作りますときの地方制度調査会の中に、余りにも個人、訴訟を受けた個人が非常に気の毒だというようなことで、またこういったことを直さないと職務がなかなかスムーズにいかない、萎縮する、そういったことが挙げられているわけでありますが、私は、今、現実住民訴訟のこの実態から見ますと、新しく訴訟類型を変えること自体、私は変えた方がいいんじゃないかというふうに思います。  思いますが、ちょっとこの地方制度調査会の書き出しのところがちょっと私とすれば大げさなんではないかという感じもしないではないんですが、例えばこの答申の中で、「長や職員がたとえ適法な財務会計行為を行っているとしても、住民が違法であると判断すれば、長や職員個人を被告として訴えることができること、また、長や職員は裁判に伴う各種負担を個人として担わざるを得ないことから、長や職員に政策判断に対する過度の慎重化や事なかれ主義への傾斜による責任回避や士気の低下による公務能率の低下が生じ、」と書いてあるんですが、実際のこの住民訴訟の実態から見て、私はちょっとこの答申の書き方がやや誇張をされていると言うと言い過ぎかもしれませんが、そういう気もしないではないんです。適切に職務をしっかりやっている数多くの、圧倒的多くの市町村長さんから見れば、私は本当にこんな表現をしていいのかどうかということについては少し疑問を感じますが、副大臣、この辺はいかがでございましょうか。
  50. 若松謙維

    ○副大臣若松謙維君) いや、今回の住民訴訟で、現行のいわゆる個人訴訟ですか、で、かつ、改正の機関訴訟、このやるのはともに人、人なわけなんです。ただ、先ほどの委員のいわゆる住民監査請求の流れから、やはり今これだけ住民監視の厳しくなっている時期に、個人としてそんなに勝手にやれるもんではないというふうに認識しております。それだけに、やはり機関としての理論的な一貫性が私、大事であろうかと思っておりまして、かつ、大方は大変住民のニーズの厳しい、いろんな要望がありながらも、万が一のミスをなくそうという大変な細心の注意を払いながら機関としてやっているわけでありまして、私はそういう意味での今回のその新四号ですか、機関として受けると、かつ、機関として説明をすると、これが私は本来の姿ではないかと考えております。
  51. 日出英輔

    日出英輔君 片山総務大臣においでいただきましたので、最後でございますが、二、三御質問をさせていただきたいと思います。  実は、伺ってきましたのは、今の四号訴訟について、私は、自由民主党の議員ではありますが、国民ひとしく、あるいは国会議員としては大変関心を持っておりますので、これについて少しく質問させていただいているわけでありますが、今の四号訴訟の実態から見ますと、やはり少し乱訴と言うとなんでありますが、本来、憲法判断あるいは行政としての政策判断をきちんと通っているにもかかわらず、表向きは公金の支出でありますので四号訴訟という形を取ってきたという実態もよく分かります。これに対して、現実の訴訟の実態を見ますと、訴訟参加というのが、先ほど参考人の方から伺いましたが、自治体が訴訟参加をしているのは二三%だというわけです。残りは訴訟に対して自治体としては見ているだけと、こういうスタイルであります。  本来、政策判断とか憲法判断まで含めての議論でありますと、もっと地方自治体が、今の制度でも、自分たちの政策判断はこうであったということをちゃんと説明をするというやっぱり義務があったんじゃないだろうかと。私は、この四号訴訟については、訴訟をする側の方も少し私は無理なことを言っていたようなちょっと気がしますし、それから、訴えられた、本当に訴えられているはずの地方自治体も今の現行制度の下でもやっぱりちゃんとした説明責任を果たしていなかったんじゃないかという実は気もいたします。  そういう意味で、今の住民訴訟の中で政策判断に余りかかわらないような、どちらかというと、制度的にはそうではないという議論がありましたが、違法とは言えないような行政慣行のようなものは、あるいはこれは個人という議論が、まだ世界があってもいいような気がしますが、一般的に、政策判断を伴うしっかりしたものについては、やっぱり現行のまず運用が少しおかしかったんじゃないかという気がいたします。  それから、先ほどちょっと申し上げましたのは、弁護士の費用でありました。これも、勝訴のときには職務に関連して、職務行為に関連して生じた費用だということなんですが、負けたときにはそうではないということですっと下がってしまう。これも、千葉の清掃工場で二百六十億の何か建設費用に関連しての訴訟なんかになりますと、これはとんでもないことでありますから、個人としても防戦相努めるでありましょう。  こういうようなこともありますと、今までのこの現行の四号訴訟も、運用として私はもう少し考えるべき点があったんではないだろうかと。あるいは住民訴訟でいいますと、原告側が亡くなったときにはこの住民訴訟はなくなってしまうという議論をしておられるようでありますが、解釈論はそういうふうになっているようでありますが、被告側の方は、被告が亡くなってもその訴訟は承継すると、遺族が請求されると、こういうスタイルになっているようであります。  こういう面も、立法論としますと、何か損害賠償額の話もそうですし、今の被告、原告の適格性の問題なんかもそうでありますが、もっと制度で明らかにしておくべきではなかっただろうかと。そういう議論がありますれば、今度の新しい制度、この訴訟類型は比較的分かりやすかったんではないかと思いますが、何か二段跳び三段跳びのような、もう少し運用について立法的に整理していくことは整理した上でこういうところに行けばもう少し理解が進んだんではないだろうかという気がいたしまして、るる実は副大臣政務官参考人に、お三方ともベテランでありますのでいろいろ伺ったわけであります。  私はそういうような気持ちで伺ったんでありますが、片山大臣から私のような考え方についての御感想を伺いたいと思います。
  52. 片山虎之助

    ○国務大臣片山虎之助君) 日出委員の今御意見を聞きまして、私もかなり共感するところはございます。  運用上いろいろそれはあるいは改善する余地はあったと思いますけれども、もうこれで、戦後、自治法ができてから五十何年これでやってきましたので、この四号訴訟というやり方自身がかなりこれはこれで決まってきちゃったんですね。そこで、今言いました、ほとんど地方団体に関する仕事でやりながら個人の責任を問われる、地方団体は後ろに引っ込んでしまうと。これじゃ、地方団体の責任もなければ住民に対する説明責任もないんですよね。  そういう意味では、前から議論があった今回の四号訴訟が地方制度調査会の答申をいただきましてこういう形になるのは、私は一歩も二歩も前進じゃなかろうかと、こういうふうに思っております。現に、これがあって脅かされるんですよ、地方団体の首長さん、職員さんが。おまえ、場合によっては訴訟を起こすぞと。これは一人でもできますからね。  そういうことで、そういう悪い弊害もやや出てきたなと、こういうふうに思っておりまして、今回、こういう形になりましたのは、いろんな今までから見れば議論はありますよ。ありますけれども、私は、前よりはこの制度の方がいいんで、是非この制度をうまく活用して、地方団体の透明性を高める、あるいは財務会計行為における違法性を少なくとも是正していくと。こういうことのためには是非この制度に御理解を賜りたいと、こういうふうに思っているわけでありますし、この制度も、やっぱりできてからの運用だと思いますね。そういう意味では、我々も、できるだけいい運用ができるような協力を考えていかなければならないと、こう思います。  日出委員のような御意見も十分ありますので、それを私は共感させていただきながらの答弁とさせていただきます。
  53. 日出英輔

    日出英輔君 私のたまたま知人でも、実は本当の手持ち、手弁当でこの住民訴訟の方をやっている方も実はたまたまおりまして、長々の、六十年も生きておりますといろんな人がおるものですから、大変これはこれで自分の仕事をなげうってやっているようでありました。それなりに大変まじめなことでありました。  片山大臣にもう一つ伺いたいのは、大臣おいでになる前に、実はこの住民訴訟に行く前の監査請求の方を少し申し上げたわけです。いかにも監査請求を前置して訴訟に行きますときに、完璧な自治体の意思がそこできちっとして、その上で争われているというようなふうに一見取られますが、現実に、もう監査委員の人数、あるいは常勤でもない、あるいはこれからの訴える方といいますか住民側の方の見る目は、地方自治体の財務内容なりあるいは経営に対するかなりきつい目もあります。これは、当然いろんな民の方のこの辺の議論の進み方もあります。私は、それから、さっきは申し上げませんでしたけれども、議員が入っておられるというようなこともありますね。  やっぱりこの監査委員制度が余りにも弱体だというのがこの四号訴訟の、乱訴という言葉は余り使いたくないんですけれども、これに至る一つの基本的な原因ではないだろうかという気もいたします。立法論を含めて実は少しお考えいただけないだろうかということを実は申し上げたんですが、これにつきましては、片山大臣、いかがでございましょうか。
  54. 片山虎之助

    ○国務大臣片山虎之助君) 今の監査委員さんの監査というのは内部監査なんですね。だから、内部監査としての良さも悪さもあると、こういうことでございまして、大分前の議論で、内部監査だけじゃ不十分じゃなかろうかというので外部監査を、公認会計士さんや税理士さんを外部監査人に任命しまして外部監査をしてもらうということを入れたわけでございますが、それはそれとして、内部監査でありましてもなおやっぱり機能するように考える必要があると思いますね。大分、前よりは制度を直してきたんです。  しかし、それじゃ今の監査委員さんの数や、質と言ったら怒られますけれども、そういう構成で十分かどうか、あるいは事務局の問題等いろいろございまして、今回の新しい四号訴訟と内部監査である監査委員の監査と外部監査と、こういうものの組合せで是非地方団体の公正を確保していく、あるいは透明性をはっきり打ち出していくということが必要かと思いますけれども、是非監査制度の充実についても我々の大きな課題として検討させていただきます。
  55. 日出英輔

    日出英輔君 時間が参りましたので質問をやめさせていただきますが、やはり今、私も外部監査の方まで時間があればちょっと伺いたいと思っておりました。なかなかに、始まりましたが、水と油のようであります、内部監査の方と外部監査ですね。これも上手に育てていただいて、将来は、同格のというのはちょっと言い過ぎかもしれませんが、両々相まった監査制度の充実というものを是非お心掛けていただきたいと思っております。  それから、この住民訴訟の件につきましては、余り実はそんなに大きな党派その他によっては違わないような気がするんですが、申し上げましたように、受ける方もそれから出す方もそうでありますが、それなりのルールがやっぱり崩れていたというところを私は大変残念に思いますし、今回の新しい制度でその辺がきちんと軌道が修正されるようお心を持っていただきたいということを申し上げまして、終わりにします。  ありがとうございました。
  56. 高嶋良充

    ○高嶋良充君 民主党・新緑風会の高嶋良充でございます。  私は、住民投票制度について数点にわたって御質問をいたしますので、よろしくお願いを申し上げます。  今回提案をされているのは、市町村合併の法定協議会の設置について住民投票制度を導入しようというふうにされているわけでございますけれども、この住民投票の制度そのものは、現時点では条例で定めて実施することができると、こういうことになっているわけでありますけれども、既に多くの自治体住民投票条例の制定を求める直接請求が行われて、この条例を制定するところがかなりあるというふうに思うんですけれども、どういう実態になっているか、お知らせをいただきたいというふうに思います。
  57. 芳山達郎

    政府参考人(芳山達郎君) 住民投票条例を制定している団体の状況でございます。現在、総務省で把握している団体数でございますけれども、二十五団体、一県、十市、十二町、二村、二十六条例という具合に聞いております。その内容は、原子力発電所に関するものが七団体、八条例、産業廃棄物処分場に関するものが六団体、六条例、その他、これは市町村合併とか公共事業等でございますけれども、が十二団体、十二条例というのが我々が把握している状況でございます。
  58. 高嶋良充

    ○高嶋良充君 確かに、住民投票制度、ある程度進んでいるところと、まだまだ進められていないという部分があるんです。そういう意味では、いろんな方に聞きましても、制度化が必要だという積極的な意見と、しかし、やっぱり間接民主制という部分等々も含めて、いろんな問題点もあるんではないかと言われる意見もあるわけですけれども、この住民投票制度について、メリットとデメリットですね、その点、総務省としてはどのようにお考えなのか、お答えをいただきたいと思います。
  59. 芳山達郎

    政府参考人(芳山達郎君) これまで御論議になった中でお答えさせていただきますと、住民投票制度についての長所と申しますか、メリットと申しますか、につきましては、地方公共団体の行政への住民参加の機会の拡大につながるのではないのか、また、政策形成等において住民意思の反映の方策として有効ではないのかというような点が一方では指摘をされております。  また他方、住民投票制度のデメリットというか、懸念される点と申しますか、そういう点については、現行で、間接民主制を前提とした現行の地方自治制度の中で長や議会の権限を制約するのではないのか、また、住民投票の結果が地域の合意の形成に影響を及ぼす、地域にしこりが残るのではないのか、そもそも住民投票に適する事項とか適さない事項という区分を制度的に行うのはなかなか困難ではないのかというような、そういう点も含めて御議論されているという具合に聞いております。
  60. 高嶋良充

    ○高嶋良充君 総務大臣にお伺いしたいんですけれども、条例で定めて住民投票を行うということについては、私は地域の自主決定という観点、あるいは地方分権の趣旨からいっても望ましいことだというふうに思っているんですね。そういう観点では、この現行の制度上も住民投票というのは可能であるわけですから、今回あえて市町村合併の、それも法定協議会の設置についてのみ法制化しようとするその意図についてお尋ねをしたいと思います。
  61. 片山虎之助

    ○国務大臣片山虎之助君) これはいろんなお考えがあると思いますけれども、我々は、地方分権推進委員会がこういうことをしたらどうかという御提案がありました。その前に地方制度調査会が、合併そのものも住民投票の対象にするということもあるなと、こういう意見がありまして、そういうことを踏まえて、関係団体の意向も聞きまして今回の制度化にいたしたんですが、考え方は、何度も言いますけれども、住民発議を住民がしたものが議会でアウトになる、あるいは長が付議しない、議会と長の意思でそれを葬るということは、住民発議の意味からいってやっぱりおかしいんじゃないかと。住民発議したんだから、もし長や議会が嫌でも、もう一遍住民の意向を聞いて、協議会を作ることだけは住民がオーケーなら作ってもらおうではないかと。協議会を作るということは合併するということじゃありませんから、協議会で合併是非議論するんですから、そこで住民発議制度の一環としてこういうことを考えようと、こういうのが恐らく地方制度調査会地方分権推進委員会の意向だったと思いますので、それをまともに受けて作ったわけであります。  それで、高嶋委員言われましたように、条例で住民投票をやれるじゃないかと。やれるんです、やれるんですが、これは単に住民意思の表明だけですからね、法的な拘束力はその限りではありませんので。事実上の拘束力的なものはありますよ。そういうことなもので、やっぱりこの際、これは法定にして、住民発議システムの完結ということで我々は制度化したらどうだろうかと、こう考えた次第でございます。
  62. 高嶋良充

    ○高嶋良充君 確かに大臣が言われるように、せっかく住民投票をやってある程度の住民の意思が出ても、その法的拘束力がないというのは、確かに今、現行の法的には問題だというふうに思います。  そういう観点であれば、私は、直接やっぱりそういう市町村合併等々についての住民の意見を聞いて、それに法的拘束力を持たせるというふうな形の住民投票制度の法改正の方がよかったんではないかと、こういうふうに思うんですが、私ども民主党も、一般的な住民投票制度の制度化が必要だというふうに思っているわけですけれども、そういう観点から見れば、なぜ今回、法定協議会の設置に限定をしなければならないのかというのが若干理解に苦しむわけであります。  とりわけ、市町村合併というのは住民にとって最重要課題だというふうに思っていますから、直接この市町村合併についての住民の意思を問うようなそういう法改正の方がいいんではないかというふうに思っているんですけれども、その点については総務大臣、どうお考えでしょうか。
  63. 片山虎之助

    ○国務大臣片山虎之助君) いや、これが大変問題なのは、今の地方自治制度の仕組みは代表制民主主義ですよね。当該市町村合併するかしないかなんというのは、存立についての大変な議論ですよね。それを、代表制民主主義を採用しているんですね。それは議会が意思決定するということです。議会を差しおいて住民投票で決めるのはいかがかと、こういう議論があるんですね。  ただ、そんなことを言ったら、昭和の大合併やったじゃないかと。それはそうなんです。そのときは、町村合併促進法の中にいろんな手だてを入れまして、最終的には場合によっては住民投票と、こうやったんですが、今回はなかなかそこまでは、地方制度調査会も一応答申には書いています。合併そのものの可否を住民投票にかけたら、しかしそれは関係団体等、意見を十分聞きなさいと、調整しなさいと書いてあるわけですね。地方分権推進委員会の方は、協議会だけでいいと、合併まではちょっと早いと、こういう御意見でございまして、それで地方六団体と相談しましたら、協議会についても実は一部異論があったんです。しかし、協議会ならいいだろうと、発議、住民発議の仕組みの関係として。しかし、合併はちょっと勘弁してくれ、それは困ると。合併するかしないかは市町村議会の固有の権限だと、こういう御意向でございまして、そこで我々は、今回は協議会にとどめたわけでございます。
  64. 高嶋良充

    ○高嶋良充君 住民投票制度というのはかなりもう古くから議論されてきているわけですね。なかなか実現をしないんですけれども、二十五年ぐらい前、一九七六年に地方制度調査会の第十六次答申を出されている部分でも、この住民投票制度の導入の必要性について触れているわけです。  それ以降も様々な議論が行われてきているというふうに聞いているんですけれども、この間どのような検討が行われてきて、なかなか実現しないというのは先ほども若干、行政局長答えられましたけれども、その実現が非常に難しいというのはどういうところにあるんだろうかということについてお尋ねをしたいと思います。
  65. 芳山達郎

    政府参考人(芳山達郎君) ただいま御指摘がありましたように、昭和五十一年の第十六次地方制度調査会の御答申の中で触れられました以降、第二十四次及び第二十六次の地方制度調査会において住民投票制度に言及をされております。  ちょっと詳しく申し上げますと、第二十四次地方制度調査会平成六年から八年まででございますが、住民投票制度については様々な意見があって、結論を得るに至りませんでした。  八年の四月十六日に専門小委員会の報告が出されております。その中で、地方公共団体の計画策定ないしは行政施策の住民参加への機会の拡大のための方策として住民投票制度の導入を検討するべきではないか、ないしは、議会の活性化の観点からも住民投票制度の導入を検討するべきではないかという意見も見られたわけですが、一方、現行の代表民主制を基本とした住民自治制度の下では、議会、長の本来の機能と責任との関係をどう考えるのかと。また、住民投票地域社会の合意形成に及ぼす影響などについて慎重に考える必要があるのではないかと。また、住民投票に適する事項、適さない事項は何であるのかについて慎重に検討する必要があるのではないかというような慎重意見を出されたというようなことで、これらの両方の意見というか、いろいろの意見を踏まえて、住民投票制度を含めて、住民参加の機会の拡大又は政策形成についての住民意思の反映のための方策について更なる検討を引き続きやるという具合のが二十四次でございます。  続きまして、二十六次の地方制度調査会の答申でございますが、この問題についても、住民自治の更なる充実方策の一環として住民投票についての議論がされました。  平成十二年十月二十五日に答申がなされておりますが、そこでも答申の中に具体的に書いてございますけれども、住民投票の対象とすべき事項、選挙で選ばれた長や議会の権限との関係、投票結果の拘束力の在り方等々、検討すべき論点があることから、一般的な住民投票の制度化について引き続き検討することが必要であるという具合にうたわれたわけです。  ただ、市町村合併については、正に地方団体の存立そのものにかかわる重要な問題である、また地域に限定された課題である、そういうようなことから、その地域に住む住民意思を問う住民投票の導入を図ることが適当であるという具合にされまして、その制度化に当たっては関係の団体の意見を十分聴取の上、円滑な運用が図られるものとすることが適当であるという具合にされたわけでございまして、地方制度調査会のこれまでの論議はそういうことでございます。
  66. 高嶋良充

    ○高嶋良充君 今、地制調の関係についていろいろその経過を御答弁いただいたんですけれども、それ以外でも第二次の行革審や地方分権推進委員会などからも答申が出されているというふうに思うんですけれども、そういう意味では、地制調以外のいろんなところでもこの住民投票制度の意見が出されて検討されてきているということは、私は、基本的に住民投票の一般的な制度化の必要性についてはある程度共通の認識になってきているのではないかなというふうに思うんですけれども、総務省としてはその点、どのように把握されておるでしょうか。
  67. 若松謙維

    ○副大臣若松謙維君) 大きく、今、委員の御質問に対しての議論がなされているのが三つございまして、まず平成元年十二月に行われました第二次行革審、ここの「国と地方関係等に関する答申」、この中におきましてはこう記されております。住民による地方公共団体の行政への参加機会の拡充を図り、自治意識の向上に資するため、住民投票制度や直接請求制度を始め政策形成等における住民意思の反映、吸収の充実方策の在り方について検討すると記載されております。  平成六年九月の地方六団体がまとめました地方分権推進に関する意見書、ここにおきましては、「地方公共団体は、当該地方公共団体の行財政運営の民主性をより一層高めるため、一定の事項を定める条例制定手続に「住民投票制度」を導入するものとする。」、「住民投票制度を適用する事項は、当該地方公共団体の条例で定めるものとする。」と記載されております。  さらに、平成九年七月の地方分権推進委員会第二次勧告におきましては、「住民投票制度については、住民参加の機会拡大のために有効と考えられる一方で、現行の代表民主制との関係に十分留意する必要があり、また、適用対象とすべき事項、その法的効果等についての検討も必要なことから、国は、その制度化については、今後とも、慎重に検討を進める必要がある。」と記載されております。  このような三つの今までの流れを総括いたしますと、いずれも住民投票制度については一定の意義は認めておりますが、その具体的な制度設計については、それぞれいわゆる課題、問題を指摘しておりまして、住民投票の一般的な制度化を必ずしも提言するには至っていないと、そのように認識しております。
  68. 高嶋良充

    ○高嶋良充君 意義を認めながらもまだまだ問題点があるのでなかなか前に進まないと、そういう認識だろうというふうに思うんですが、最後に大臣に積極的な御答弁をいただきたいというふうに思うんですけれども。  地方分権一括法がもう施行されて二年が経過しました。最初はどうなることかなというふうに思ったんですが、ようやく地方自治体の団体だけでなしに、やっぱりそこの住民の皆さん方も、分権という状況の意識の中で行政や政治に対してもかなりの参加意識というのは芽生えてきたというか根付いてきたんではないかなというふうに思っているんですね。  そういう意味では、これからもますます地方分権というのを発展をさせていかなければならないという、推進していかなければならないという観点に立てば、やっぱりこの住民自治の充実というのが非常に重要視をされる。当然、そうなってくると間接民主主義を補完するものとしてこの住民投票制度というのは有効ではないかというふうに思っているんです。  そういう観点では、いろいろ問題点もありますけれども、これを何とか早く解決をして、一般的な住民投票制度というものを実現する必要があるのではないかというふうに思っているんですけれども、大臣としての御答弁をいただきたいと思います。
  69. 片山虎之助

    ○国務大臣片山虎之助君) 今お話しのように、我が国の地方自治制度は代表制民主主義が中心でございますが、それを補完するものとして直接制民主主義も今までも採用してきました。こういう状況の中で、もっとその補完の度合いを広げろと、こういう議論も私は確かにあると思いますね。だから、どこまで、今の時代の状況の中でその補完の程度をどこまでするか。住民投票を一般的な制度として認めるとして、それじゃ何をその対象にするか、そこで長や議会の意思と住民投票の結果が違った場合にどういう調整をするのか、あるいはどこまで拘束力を持たせるか、こういうところの解明が一般的な制度にするためには私は必要だろうと、こういうように思います。  そこで、そのために地方制度調査会等がございますので、そういうところでも大いに議論していただいて、正しい、国民に納得できる結論を出していただくんなら、我々は大いにこの補完としての住民投票制度は検討してもらいたいと、こういうふうに思っております。
  70. 高嶋良充

    ○高嶋良充君 大臣の方から御答弁をいただいたんですが、いずれにしても、非常に重要な問題ですから十分な議論が必要だろうというふうに思うんですが、そういう観点では、住民投票の一般制度化を実現をすべきといういろんな意見を十分に認識をいただいて、それで地方制度調査会等の議論も踏まえてもらうのは当然ですけれども、住民投票制度の在り方について検討していっていただくと、そういう御答弁として受け取らせていただいてよろしゅうございますか。
  71. 片山虎之助

    ○国務大臣片山虎之助君) 地方制度調査会に御検討はお願いしようと思っております。そこで、我々としても研究させていただきます。
  72. 高嶋良充

    ○高嶋良充君 終わります。
  73. 内藤正光

    ○内藤正光君 民主党・新緑風会の内藤正光でございます。  本日、私は八十分もいただいております。じっくり時間を掛けて、特に四号訴訟のところに大きくクローズアップをしまして質問をさせていただきたいと思います。  まずお伺いしたいのは、そもそも論でございますが、住民訴訟というのは地方自治の根幹を成す原理原則なんですね。こういう住民の利害に大きな影響を及ぼす重要法案の改正に当たっては、学者や法曹界の方々のみならず、国民の意見を、住民の意見を幅広く聞いた上で慎重に検討を行っていかなければならない、これは当然のことでございます。    〔委員長退席、理事景山俊太郎君着席〕  そこで、お尋ねいたしたいと思いますが、今回の法改正が一体どのような場で、どのような人たちが集まって、そしてどのくらいの時間を掛けて議論されてきたのか、具体的にお答えいただけませんでしょうか。
  74. 滝実

    大臣政務官滝実君) 今回の住民訴訟の改正の直接的なきっかけになりましたのは、御案内のとおり第二十六次の地方制度調査会、これは平成十年から始まったわけでございますけれども、その地方制度調査会における審議項目の決定におきまして取り上げられたのがきっかけでございます。以後、約一年掛けて、地方制度調査会の中で専門小委員会を作りまして、その中で十数回に分けてこの問題が議論されてきた、それがこの地方制度調査会における審議の経過でございます。  その中には、もちろん、今御指摘のように、調査会の中ではいろんな案を、固まった段階でパブリックコメントに付したり、そういうふうなことをやってまいりましたけれども、基本的にはこの専門小委員会の中で議論を尽くしてきたと、こういうようなのが経緯でございます。
  75. 内藤正光

    ○内藤正光君 制度調査会の答申に基づいて専門小委員会の中で十数回にわたって議論が進められてきたということをおっしゃったわけなんですが、私が知る限りでは、平成十二年六月二十九日の木曜日、午前十時半から午後零時三十分、二時間、議論が行われたと。これ以外に私はちょっと資料を持ち合わせていないんですが、それ以外にいつやったんですか。
  76. 芳山達郎

    政府参考人(芳山達郎君) この住民訴訟制度の改正でございますけれども、平成十一年の七月の専門小委員会におきまして審議項目の決定をいたしました。決定をいたしまして、その中に、住民訴訟制度について検討するということになりまして、その中で、具体的には専門家で具体的に検討していただこうという具合に相なったわけでございます。  その前に、もちろん、それ、ちょっとさかのぼりますと、平成十年十月二十七日の第一回総会で住民訴訟制度の見直しが総会で提議をされました。その後、第一回専門小委員会で市長会長から、住民訴訟制度についての見直し、特に訴訟を個人として遂行する現行の制度について多くの問題点が生じておるということが第一回専門小委員会指摘をされたわけであります。その後、専門小委員会、御議論の後に、第十四回、先ほど言いました十一年七月二十八日、専門小委員会見直しの決定をした、項目の決定をしたと。その後、専門の組織として、行政の監視の在り方に関する研究会ということで、これは具体的には、学者の先生ないしは最高裁の元裁判官、また弁護士の先生という専門家における研究会で、具体的に七回余り御議論しまして、その後、先生言いましたように、第十四回専門小委員会、十二年六月二十九日に専門家の研究会の答申が、答申というか考え方がその場で示されたと。それで御論議をした上で専門小委員会としてはそういう方向でいこうということになりまして総会におかけしたというのが経緯でございます。
  77. 内藤正光

    ○内藤正光君 まず、ちょっとお伺いしたいんですが、この委員会のメンバーというのはどういった面々がそろっているんですか。各層の方々が満遍なく入っているんでしょうか。
  78. 芳山達郎

    政府参考人(芳山達郎君) 先生、始めに総会で論議をされたわけですが、地方制度調査会の総理大臣の諮問の対象は学識経験者二十六名でございまして、これはそれぞれの学者でありますとか、また民間の方ないしはマスコミの方ということでございます。国会議員の皆様方も八名、衆参の皆様が総会に参加されておると。そのほか、地方六団体でございますが、執行三団体、議会三団体が総会のメンバーでございまして、このメンバーの中で総会の始めに審議項目の決定をされるわけでございますが、その中で住民訴訟の在り方についての御議論をされると。    〔理事景山俊太郎君退席、委員長着席〕  先ほど私が申しました研究会のメンバーでございますけれども、座長は地方制度調査会の副会長でありました国立大学の成田先生でございますが、そのほか大学の先生ないしは前最高裁の判事、また弁護士等々九名でございます。
  79. 内藤正光

    ○内藤正光君 私も、ちょっといろいろ、面々、いろいろ伺ったところ、どうも何か偏りが、いわゆる実務者ばっかり、その多くは弁護士であったり大学の先生であったりと、私は、到底この人選、幅広い国民各層の意見を聞くというふうにはなってないんじゃないかな、そんなふうに思うんです。  それはさておき、いろいろこの小委員会、専門小委員会議論を続けてきたと言うんですが、ただ、この第十四回、終盤の専門小委員会ですね、こうあるんですね、二時間しかなかった、この二時間の何か途中で、続いてということで事務局が作った資料の説明を行って、その後自由討議を行ったという議事録が書かれているんですね。  どういうことをテーマにしたかというと、「「住民訴訟制度をはじめとする住民監視制度の充実策」について、事務局が作成した資料の説明を行い、その後、自由討議を行った。」と。その後行われた自由討議で、かなり基本的なものでして、私は、何か議論が深められてきつつあるという、終盤戦というよりも、何かここから議論が始まるのかなと私はこれを見たときに思ったんですが、ところがこれは終盤だと。正直言って、本当に果たしてどこまで議論されたのかというのが私は甚だ疑問でならないんですよ。本当に議論をしてきたのか、しっかりと。何か、突然何かこういう内容の法律がぽっと出てきて、昨年出てきたんですよね、法律が。はっきり言えば、そんなに審議した時間が私は物理的にあったとは思えないんですが、本当にじっくり時間を掛けて審議してきたんですか。
  80. 芳山達郎

    政府参考人(芳山達郎君) この住民訴訟制度の在り方は、従来から地方団体を含めて非常な大論議でございました。この研究会の前の昭和六十三年も、実は財団法人地方自治協会の中にそのような行政監視の在り方に関する研究会を設けまして、その中で、いわゆる現在における個人が訴えられている住民訴訟制度の在り方について地方団体のアンケートを取りつつ議論をしてまいりました。  そのときは集約を見ませんでした。見ませんでしたが、先ほど来御議論ありました、平成六年のせめて職務における弁護士費用について制度改正をしようという形で、そういうような研究成果がそういう形につながったと私は思っておりますが、その後、その後と申しますかそれ以後も、地方団体、特に市長会、町村会、知事会を含めてですけれども、従来からこういう要望強うございました。  それで、第二十六次地方制度調査会の最初の十年十月の総会の中で、住民訴訟制度の見直しを地制調で論議したらどうかというのが第一回目の総会で提案をされ、その後、全国市長会長からも、先ほど同じように申し上げましたけれども、論議をされて、具体的には専門家でもって御論議していただこうということで、その専門家のメンバー、先ほど申しましたが、地方制度調査会の副会長、また地方制度調査会委員も含めて、その他の専門家を入れて一年間掛けて御論議をした上でその案を地方制度調査会の専門小委員会で上げていただいて、その中で御議論をした上でそういう案で行こうということが決まったという具合に我々は思っています。その後、もちろん総会の、最後の断面の総会でも全会一致で御議論はなかったという具合に聞いておりますので、そういう流れと理解をしております。
  81. 内藤正光

    ○内藤正光君 いろいろな意見が出たとおっしゃいますが、そもそもこの住民訴訟の在り方、この枠組みを抜本的に見直すなんという意見も出ていたんですか。
  82. 芳山達郎

    政府参考人(芳山達郎君) 全体を含めて、二つ分けた方がいいと思いますけれども、研究会における御論議は、全体として住民訴訟制度の在り方全体を御議論しようと。訴訟の、いわゆる訴えるその人数を含めてそこはどう考えたらいいのか、ないしは損害賠償責任をどう考えたらいいのかと、全体を含めて御議論をされたという具合に聞いておりますが、結論的に申しますと、今の住民訴訟であります、責任を狭めたり住民の訴える訴権を制限したりしないという形で、そこは変えないと。ただ、地方分権時代に合った形で住民訴訟の体系を変えようというようなことで意見の一致を見たということでございまして、先ほどの研究会は全体を議論した中で現在の方向が出てきたという具合に言われております。  それで、もう一つは、専門小委員会の十四回目で、先ほど来先生が言われます十四回の専門小委員会で主な意見があったわけですが、今度の執行機関を被告とすることで、長や職員の政策的な判断あるいは意思決定の根拠などを明らかにすることができる場が設けられるということで時代の流れに即しているというような意見、また、自己決定、自己責任の時代にあって住民監視を制限することは適当ではないということで、そういうような意見、また、制度を更に充実し、併せて現実に弊害を生じている点について手直ししていくという基本線ででき上がっており、大変慎重な配慮がなされておると、そういうような意見もありました。  ただ、議会の議決事項を除外するべきではないのかという意見と、いや、やっぱり議会と住民との、考えると議会の議決を除外をすることは適当ではないのではないかというような両方の意見が当日の専門小委員会にはあったということを聞いております。
  83. 内藤正光

    ○内藤正光君 この入口のところで余り時間を掛けていたらあと大事なところが議論できなくなってしまいますのでこの程度にしますが、いずれにしましても、どうも何か審議の在り方、またその枠組み自体が余りにもずさんではないのか、そんなふうに思えてならないんです。私は、言ってしまえば、最初から住民訴訟の機能を抑制してしまおうと、こういう考え方ありきで進められてきたような気がしてならないわけです。そのことは一つ意見ということで申し上げさせていただき、その後に進めさせていただきたいと思います。  次に、四号訴訟の現状、現行の四号訴訟の現状についていろいろ議論させていただきたいと思います。  政府は、今回、四号訴訟を改正をするというその背景として、こう言っているわけですよね。個人の責任追及という形を取りながら、当該財務会計行為の前提となっている団体の政策判断や意思決定が争われている事例が多いと、そういったことを挙げていると。確かに、私自身もそのような事例があることは否定はしません。あることは否定はしません。しかし、それ以上に、政策判断だとか意思決定云々以前の問題が実は余りにも多い。そういったことが住民訴訟で争われていることが多いということは、これは、これもまた否定し難い事実なんだろうと思います。  例えばどういうものがあるのか、挙げれば切りがないんですが、例えばいろいろ、九三年一月二十八日、高松高裁で出た判決として、どういうことがテーマになったかといいますと、徳島県の吉野町議十三名らによるバンコクやシンガポールへの四泊五日の買春ツアーだったりとか、あるいはまた九三年二月二十三日、奈良地裁で判決が下りたんですが、奈良県の斑鳩の町長らによるものなんですが、三泊四日のその中身は大半が観光だったという、北海道視察という名前だけの観光ですよね。九四年八月十日、神戸地裁における判決が出ているんですが、町議、兵庫県の稲美町における町議十八名、沖縄に行くんだという命令書を受けながら実は台湾に行っていたとか、そんなようなものがずらずらずらずら出てくるわけです。  これは私は政策判断云々以前の問題だと思います、かなりレベルの低い。そういう問題が一杯起こっていると。議員や首長による視察に名をかりた観光旅行を始め空出張ややみ手当、あるいはまた官製談合等々、いろいろなものが出てくるわけなんです。  住民訴訟で明らかにされた地方公共団体におけるこれら政策判断云々以前の問題に対する御所見をお伺いしたいと思います。
  84. 滝実

    大臣政務官滝実君) おっしゃるとおり、今幾つかの判例を御紹介いただきましたけれども、もちろんその個々の言わば支出の違法行為といいますか、そういうものに該当するというようなものがあることはそのとおりだと思います。ただ、それ以前に、それとともに、やっぱり個々の判断に当たっては、その前提となる政策論議が大体付いているというものもかなりあるわけでございます。  したがって、今回のこの考え方は個々の、個々の職員、個々の町長の違法性、そういうものについての責任を別に除外するわけではございませんで、当然個々の問題は、個人の問題は当然追及するわけでございますけれども、基本的にはそれは機関として追及した中で個人の責任も追及していくと、こういうのが建前でございますから、今回の問題はそういう個別の、個人の問題の違法性というものは当然念頭に置いての改正というふうに御理解を賜れば有り難いと思います。
  85. 内藤正光

    ○内藤正光君 私、全体的に感じるんですが、今回、政府の答弁は、何かある特異な例を持ち出して、だから変える必要があるんだということをよくおっしゃっているように思えてならないんです。政策判断がいろいろ争われると、そういうのが私はあることは否定してはいないんです。ただ、これは特異な例なんでしょう。そしてまた、例えば賠償が遺族に引き継がれてしまう、かわいそうだと、そういうのもあることは否定はしませんが、ただこれが全体のうち大半を占めるのかといったら、ほんの特例的な存在としてあるだけじゃないんですか。  私は、今回の総務省さんのいろいろな、こういう事態があるから法改正が必要なんだという、この挙げられる具体例、余りにも特異な例に偏り過ぎてやしないかと思うんですが、いかがですか。
  86. 滝実

    大臣政務官滝実君) いや、それは基本的にこの問題は各市町村長、あるいは知事ももちろんその中に幾つか入るわけでございますけれども、そういう中で現実に長年掛けてやはり何とかこの制度を見直すということから出てきているわけでございまして、具体的な判例の中で、今お聞きになったところは、なるほどそういうものがかなりあると思います。あると思いますけれども、決してその前提としての政策の不当性あるいは政策の判断、そういうものが極めて例外的だというわけには、そういうものではないだろうと思います。  やはり、この個々の事例の相当部分が政策判断、議会の議決にかかわってきたような、そういうものも改めてこの住民訴訟の対象として個人として争われてきたと、こういうものも相当数あるということでございまして、そういうものが、ごく例外的なものをとらえて今回の改正に踏み切ったというようなものでは私はないと考えております。
  87. 内藤正光

    ○内藤正光君 済みません。これちょっと事前通告ないというか、今ちょっとここで考えた質問なんですがね。  いろいろ住民訴訟を通じていろいろな不正なり問題が明るみに出てきたと、ですね。今回、総務省さんは法案改正する、四号訴訟の在り方を変えるわけですね。その論拠としては、まずこういったものは自治体自らが見付けて問題を正すべきだという、まず根底にこういう考え方があると。  であるならば、なぜこれらの問題、例えば町議らによるバンコクだとかシンガポールの買春ツアーだとか、実質観光旅行と言われる視察に名をかりただけの観光旅行、こういったものを正してくることができなかったんですか。
  88. 芳山達郎

    政府参考人(芳山達郎君) 私、先生が言われるそういうのは非常に少ない例だろうと思っています。  実は、住民訴訟八百七十八件、件数としてはありますけれども、ちょっと分析さしてください。その中で、食糧費の関係でございますが六十五件、空出張の関係二十件、水増し請求等の関係三件、訴訟の形態ですけれども、それと談合に絡むもの十五件でございます。その他七百七十五件については、それ以外でございます。  それで、実は、先生も御案内のとおり、何が一番訴えられているかという今の一番大きいのは、財務会計行為が違法だということで確かに訴えられているんですが、その奥にありますのは、我々が意思決定とか政策判断とか言っています大きなのは、例えば産業廃棄物処理場を建設する、社会福祉施設を建設すると。それに過大に金が掛かっているということを財務会計として訴えているんですが、そういう建設費が、建設が要るのかどうかというような件数が多い。また、公共事業として、道路とか港湾、空港とか下水道とか、また多いのは補助金の支出でございます。第三セクターに対する補助金、また例えば市民団体が主催する熱気球大会に対する補助金というようなもの、又は第三セクターに対する支援というようなのが非常に多いわけでございます。  そういうようなことから、先生言われる意味での、確かにそれがないと私も否定はしません。そういう事例があるのはもちろんあるんですが、仮に例えば食糧費の問題というように考えてみますと、食糧費の問題は確かに平成七年ぐらいには非常に地方団体では大問題でございました。近ごろはもう全くないような状況になっているとは思いますけれども、あの当時の食糧費なりいわゆる官官接待における地方団体の取扱い、すべて悪かといったらそうではなかった。合理的な範囲内であれば、その範囲では認めるというのがあの裁判所の判断でもありました。  その裁判所の判断が、例えばある地裁でもっては一万円とか、ある地裁では八千円とか、ある地裁では五千円と、そういう具合に地裁の判断も、その官官接待、いわゆる不正経理、食糧費についてはいろいろ議論があったわけです。そういうようなことは、個々人の職員がその行為を財務会計の違反として起こしたんではなくて、地方団体全体としてそういうことが職務として成り立つんだというのが当時の判断だったと思うんです。  それが、地方団体としてはやっぱりこれは是正しなきゃいかぬということが当局としての判断だろうという具合に思っていまして、先生言われる意味での事例というのは確かにあることはあるんですが、我々が今問題にしているのは、そういう意味での地方団体の意思決定なり、そういう政策判断なり、議会で議決をしたものまで訴訟の対象になるというようなことをとらえて、我々は問題、今度の訴訟、四号訴訟を考えておるということを是非理解いただきたいと思います。
  89. 内藤正光

    ○内藤正光君 ここではいったんまずちょっと、その政策判断が絡む問題はちょっと除外して、明らかにおかしな不正支出だとか空出張だとか、そういったものをちょっと一回議論させていただきたいんですがね。  そもそもなんですが、今回は自治体がまず、住民が代位して訴えるんじゃなくて、まずは自治体が訴えるべきだとおっしゃるわけですね。でも、考えてみますと、例えば首長が絡んでいる不正問題、あれを組織が訴えろといったって、組織って人ですよね。首長の部下ですよね。果たして部下が訴えられるかどうか、そういう問題もありますし、あるいはまた空出張だとかやみ手当等、いわゆる組織が一丸となった不正事件、あれを組織に訴えろって、これは論理矛盾を起こしていませんか。
  90. 芳山達郎

    政府参考人(芳山達郎君) そこがポイントだろうと思うんです。  我々、今まで、例えば空出張であるとか、そういう不正経理が、これまでは住民の皆様から見て、ある部の、ある課所の、ある人の行為をとらまえて、あなたは不正経理をやっている、あなたは空出張をやっているというところがこれまでは住民訴訟の対象だったわけです。そうしますと、その個人が、仮にそういう行為であればその個人は訴えの被告になりますから個人として争うことになりますが、地方団体は知らないんです。地方団体は是正されないんです。  それで、我々としては、そういう場合には、その部、その課、その人だけじゃなくて、全体として、果たしてそういうようなことが組織として成り立っていないのかどうかということが、組織全体として見直す端緒になるんじゃないかというのが今度の住民訴訟のポイントだろうと我々は思っていまして、これまでは個人をとらえての議論、今度は住民、被告として、地方団体として被告になって、それでもって是正をするということが効果であるという具合理解いたしております。
  91. 内藤正光

    ○内藤正光君 個人を訴えられてもそれが組織全体の反省材料にならないとおっしゃいましたが、やはり普通は一人訴えられたら組織全体として反省しますよ。もしそういうことをしない組織があるとしたら、外務省ぐらいですよ。違いますか。
  92. 芳山達郎

    政府参考人(芳山達郎君) 今度の、先生、訴訟類型は組織を訴えますが、訴訟の仕組みはその組織を通じて個人に請求せよという訴訟ですよね、請求訴訟ですよね。執行機関をもちろん訴えますけれども、訴訟の中身はその個人から金を請求せよという訴えをする。しからば、被告でありますのは確かに執行機関でありますけれども、従来どおり個人であります職員が当事者として参加をすると。両面あると大臣は申されておりますけれども、両面あるということを言っているわけであります。  そういうことであれば、組織全体も見直しのきっかけになる、職員にも追及できるということで、これまでは職員個人ですから、職員個人が自分は悪いことをしていないと、住民はあなたは悪いことをしているんだという議論だったわけです。そのレベルの議論だったわけです。それは組織全体で議論になっていないのじゃないかというのを、我々は今までの、もちろんこれまでの成果はあったと思いますけれども、全体として説明責任なりそこらを果たすためには執行機関が被告になるべきである、また地方制度調査会もそういう御論議をしているということの訴訟、改正のねらいでございます。
  93. 内藤正光

    ○内藤正光君 根本的な考え方が違うのでなかなか議論はかみ合わないようなんですが、まあそれはそれとして、大臣にお尋ねしたいと思いますが、本来、政策判断が絡む問題もそうですが、余りにも低レベルな不正だとかそういったような問題、本来、自治体が自らメスを入れて襟を正すべきものだろうとは思うんですが、残念なことながら、これまで住民訴訟を通じて実際にはこれらの問題が明るみに出て行政改善につながったということは決して少なくないと思います。  幾ら今回法改正するからといって、今までの、現行の住民訴訟制度を否定するようなことは絶対できないかと思いますが、そういった立場で、これまで現行の住民訴訟制度が果たしてきた役割をどのように評価するか、御所見をお尋ねします。
  94. 片山虎之助

    ○国務大臣片山虎之助君) これも既にお答えしたかもしれませんが、現行の住民訴訟制度はそれなりに私は一定の役割を果たしてきたと。特に、今言われましたように、空出張等など違法の財務会計行為の是正や抑止の効果は確かにあったと思います。  ただ、空出張というのは、委員、あれ一人でやるものじゃないでしょう。やはり出張命令を出さないと駄目ですから、経理がお金を渡さないと駄目ですから、そのお金がどこに行くかということはあるんだけれども。だから、これは組織がやるんですよ。だから、その住民の側から見ると、組織を訴えるのがいいんですよ、組織を訴えるのが。当該団体、例えばどこの県でも、東京都なら東京都に損害掛けるんですから、東京都の機関である知事さんを訴えるなり出納長さんを訴えるなり、この個人のAとかBとかをつかまえて訴えても、なかなかこれは私はやっていませんと言ったら済んじゃうんで。  だから、そういう意味では私は、空出張なんかも今回の方が有効だと思いますよ。組織そのものを対象にして、組織に反省させて、こういうことですからね。今までの確かに住民訴訟制度もそれなりの役割を果たしてきたと思いますが、私は今回の方が団体そのものを引きずり出して、これを真っ正面の相手にしてこの責任を問うて、同時に個人も、個人の罪を、個人がやったことをこれをなくすわけじゃないんですから。これも併せて問題にして、そしてもし団体が負ければ団体や個人から求償するわけですから、そういう意味では、今までのものは今までのものとして役割を果たしてきましたが、今回の方が私は本来の住民訴訟の目的からいってもこっちの方が合っているんじゃないかと私は思っております。
  95. 内藤正光

    ○内藤正光君 午前中の質疑はあと七分なんで、ちょっと中途半端だとは思うんですが、じゃ、午前中あと最後は乱訴の問題について議論させていただきたいと思います。  政府は、住民訴訟が乱訴だ乱訴だと、そういう傾向が見られると主張されていますが、実際どれぐらい乱訴の実態が見られるのか。実際乱訴といっても、これ評価が分かれますので、住民訴訟の件数はどれぐらいここ数年あるのか、教えていただけませんでしょうか。
  96. 若松謙維

    ○副大臣若松謙維君) 先ほど局長が一部御説明いたしましたが、正確にこの住民訴訟の提起件数につきまして、平成六年四月一日から平成十一年三月三十一日までの五年間、ここで新たに訴訟を提起された件数が都道府県で二百八十二件、指定都市で五十七件、市町村、市区町村で五百三十九件、合計八百七十八件となっております。これを一年平均で見ますと約百七十六件と、このような状況でございます。そして、その住民訴訟の提起件数は年々増加する傾向にあるわけでありますが、その大部分は四号訴訟ということを認識しておるわけでございます。
  97. 内藤正光

    ○内藤正光君 年間百七十六件ですね、二百件満たない。実際は平成十年度は二百六十一件だというふうに聞いておりますが、ただ、自治体の数、どれぐらいあるかというと、今三千三百あるんですよね。それに対して、まず住民訴訟全部がおかしな内容だとおっしゃるわけじゃないですよね、中にはちゃんとしたものもあるという、そこはもう認められると思います。それと、この三千三百の市町村の数と二百件の住民訴訟の数と比べて、数からいっても私はそんなに多いものじゃないと思うんです。  まず考えなきゃいけないのは、住民が、原告住民がここで勝訴をかち得ても何にも得るものはないんですよ、金銭的なもの。時間を割かなきゃいけない、お金も掛けなきゃいけない。そういったことを犠牲にして原告住民はやっているわけですよ。だから、原理からいって乱訴になり得ようがないんだと思います。やはり本当に問題意識を持って、基本的にはですよ、一部政治的な思惑があってのやり取りもあろうかと思いますが、一般論からすれば、やはり変えなきゃいけないという、自分たちの税金をちゃんと使ってもらわなきゃ困るという、そういう思いがあって、自分の時間なりコストを掛けて裁判に臨むわけですから、そもそも原理的に言って乱訴になり得ようがないんだと思います。実際に数の上からいっても、三千三百の自治体のうち年間平均すると二百。私は到底乱訴だとは言えない。  もっと言うと、実際にその中身、じゃ結末はどうなったかというと、ちゃんと勝訴をかち得ているし、和解も含めたらかなりの数、私は成果をかち得ていると思うんですよね。私は、総務省がおっしゃるように、乱訴の実態とは大きく懸け離れておると思いますが、いかが副大臣、お考えでしょうか。
  98. 若松謙維

    ○副大臣若松謙維君) 住民訴訟の先ほど言った五年間の結果なんですけれども、いわゆる訴えが却下され原告敗訴、また棄却され原告敗訴が全体の七六・四%ございます。そして、請求の一部が容認され原告勝訴、または請求の全部が認容され原告勝訴、これが五・五%ございます。それ以外にも和解とか訴え取下げとかあるわけですが、そういうことで約八割近くが原告敗訴ということになっているのが事実であります。  それと、どうしても乱訴乱訴というお言葉で、私どもは乱訴という言葉は使っておりませんが、いずれにしても御存じのように年々、地方自治体の運営の在り方として、やはり非常に高度的な組織化というのが進んでいるのは恐らく委員もお認めのところだと思います。そういった、かつ従来のいわゆる不正というんでしょうか、自らお金を自分のポケットに入れると、そういったことをやはり回避するための様々なチェック機能というのは、これは年々改善、向上しているわけでありまして、そういったやはり行政努力というのも現実にあろうかと思います。  そういう意味で、その上でかつ何か問題があるというところの住民の訴訟というふうに考えますと、やはり機関としての問題として表面化しているのでないかと。それに対する訴訟があるとすれば、そうであってもやはり個人で、基本的には個人、機関を通じた個人への訴訟というこの原理原則は変わっておりませんので。  私は、委員がいろいろと問題意識をお持ちだと思うんでありますが、我が総務省として今回、法案提出したひとつ今までの経緯、また考え方も御理解いただきたいと思います。
  99. 内藤正光

    ○内藤正光君 八割が敗訴だとおっしゃいますが、じゃ、逆にですね、請求の一部が認められた、認められて原告勝訴だとか、全部が認められて原告勝訴が五・数%だとおっしゃいましたが、やはり和解をなぜ入れないのかというふうに思いますよね。やっぱり行政改善を約束した上での和解だとか、そういったものも結構あるわけですよ。そういったものを含めたら五%どころじゃないですよ。かなり、これは一五、六%行っているはずですよ、それ全部合わせたら。これはかなり私は、この余りリソースがない中で、原告、結構いい成果を残しているんじゃないかと私は思いますが。
  100. 若松謙維

    ○副大臣若松謙維君) 一応、事実だけ申し上げさしていただきますが、裁判上の和解による終了若しくは原告が訴えを取り下げ、これが実は四・四%ございます。そういう意味では、十数%というのは実は当たりませんで、今、原告が訴えを取り下げるのが実は一三・七%ございます。それが八割と先ほどの五・数%以外のところの主要なところということを御理解いただきたいと思います。
  101. 田村公平

    委員長田村公平君) 内藤正光君、いいですか。
  102. 内藤正光

    ○内藤正光君 はい。
  103. 田村公平

    委員長田村公平君) 内藤正光君の質疑の途中でありますが、御協力をいただきまして、午後一時二十分まで休憩し、その後、質疑を続行させてください。よろしくお願いします。ありがとうございました。    午後零時二十二分休憩      ─────・─────    午後一時二十分開会
  104. 田村公平

    委員長田村公平君) ただいまから総務委員会を再開いたします。  休憩前に引き続き、地方自治法等の一部を改正する法律案を議題とし、質疑を行います。  質疑のある方は順次御発言願います。
  105. 内藤正光

    ○内藤正光君 午前に引き続き、午後も質疑をさしていただきます。  公取委と法務省さん、大変お待たせいたしました。まず、公取委そして法務省さんにお尋ねをしたいと思います。  四号訴訟の訴訟類型の変更による弊害ということで質問さしていただきたいと思いますが、今回の訴訟類型の変更により、四号訴訟が代位訴訟でなくなると。このことによって、住民の権利が私は大きく縮減、損なわれてしまうんではないか、そんな思いで質問さしていただきたいんですが、具体的にNKKなどメーカー五社が関与したごみ焼却炉の入札談合事件に係る公取委の審判記録の開示をめぐる一件について、質問をさしていただきたい、議論をさしていただきたいと思います。  独禁法六十九条によりますと、事件の利害関係人に記録を開示できると定め、そしてその利害関係人とは自治体とその関係企業とされているわけですね。では、住民訴訟の原告に対する審判記録の開示は認められるのか否か、すなわち原告住民がその利害関係人であるか否かをめぐって裁判で争われてきたんですが、いったん、昨年の十月十七日だったと思いますが、東京地裁で初めてそれを認める画期的な判決が出されたわけでございます。  それは私はすごくいいと思うんです。これから談合追及の一つの大きな武器になるということで、私は公取委さんの行動もすばらしいものだと思いましたし、それを認めた東京地裁の判決もすばらしいものだったというふうに思います。しかし、この判決の前提となるものとして、こういうのがあると思うんです。原告住民地方自治体に代位すると、そういう構図が大前提だと思いますが、これが今回の法改正に伴って大きく崩れてしまうというわけなんです。  そこで、私はお尋ねしたいんですが、法改正によって、公取委の審判記録の開示、原告住民に対する開示がどうなってしまうのか、お尋ねします。公取委そして法務省の順番でお願いしたいと思います。
  106. 伊東章二

    政府参考人伊東章二君) 御指摘の点でございますけれども、独占禁止法六十九条は、先生御指摘のとおり、利害関係人が事件記録を閲覧、謄写の請求ができるというふうになっておりまして、この利害関係人の中には独禁法違反行為による被害者も含まれるというのが判例でございます。  そういう意味では、地方公共団体が発注いたします入札といいますか、入札、発注に係る入札談合行為につきましては、被害者は地方公共団体ということになるわけでございまして、地方公共団体が被害者として利害関係人に該当するということは確かなところでございますが、一方で、じゃ代位訴訟をしている原告住民はどうなるのかということで、現行制度の下で今裁判になっておるところでございます。  私どもとしましては、代位請求しているということでございますから、利害関係人に該当するということで資料の閲覧、謄写請求を認めるという決定をしたわけでございますが、それが裁判になりまして、御指摘の東京地方裁判所は当方の判断を是認したということでございますけれども、現在控訴審で係属中でございます。  そういう状況でございますが、新しい制度の下でどうなるかということでございますけれども、要は、法律は利害関係人にそういう閲覧、謄写請求権を認めるということでございますから、利害関係人に該当するかどうかということを個別具体的に現在審理が行われております控訴審の六十九条についての考え方等々も踏まえまして判断していくということになろうかと思っております。
  107. 小池信行

    政府参考人小池信行君) 今回の代位訴訟制度の改正によりまして、住民地方公共団体に代位するという地位を有しないということになろうかと思いますが、それでは、住民はいかなる地位において訴訟を遂行することになるのか、そのような方が独禁法六十九条の利害関係人に含まれるかということが問題になろうかと思います。先生の御指摘もその点にあろうかというふうに思います。  この問題は、新制度の下における法解釈の問題でございまして、第一義的には審判手続を主宰いたします公正取引委員会が判断し、第二次的にその決定に対する取消し訴訟が提起された場合に裁判所が個別具体的な事案に応じて判断するということになろうかと思います。  したがいまして、法務省といたしまして、新制度の下での法解釈がどうなるかということにつきまして、一般的に申し上げるということは難しいということを御理解をいただきたいと思います。
  108. 内藤正光

    ○内藤正光君 公取委に重ねてお尋ねしますが、今検討されているということなんですが、一つ確かなことがあるんです。  自治体に代位するというこの大前提が崩れてしまうわけです。そうすると、公取委の審判記録を開示する根拠というのはどこに求められるんですか。
  109. 伊東章二

    政府参考人伊東章二君) 現在、問題になっておりますのは、現行制度を前提とした資料の閲覧、謄写請求でございますから、当然、現行制度を前提にその代位しておるという側面に着目しまして利害関係人というふうに認めたということでございます。  新しい制度の下でどうなるかというのは、繰り返しになりますが、その請求の理由、趣旨あるいは六十九条の趣旨等々を踏まえて個別具体的に判断していくこととなるということでございます。
  110. 内藤正光

    ○内藤正光君 せめて、お答えいただけませんでしょうかね、その方向性だけでも。これは私は、審判記録の開示というのは談合追及の決め手になるわけですよ、立証のための。住民にとっての、原告住民にとっての大変大きな武器になるわけです。それがなかったら、本当裸同然ですよ。ですから、法が新しく改正されて、されることで、何というんですかね離れてしまうのか。つまり、審判記録開示という可能性が小さくなってしまうのか、いや、まだ分からないというのか、あるいは大きくなるのか、その方向性だけでもお答えいただけませんでしょうか。
  111. 伊東章二

    政府参考人伊東章二君) 現行制度の下で住民訴訟の原告が利害関係人として認められるかどうかということも今裁判で争いになっておるところでございまして、それを踏まえて御指摘の点はまた検討さしていただきたいというふうに思っております。
  112. 内藤正光

    ○内藤正光君 さっき法務省の方からも答弁ありましたように、まず公取委がどういうスタンスを持つかですよね。私は、これ住民のことを考えたら、まず出すべきだと思うんですよ。これは本当に何度も繰り返すようなんですが、やっぱり談合追及にとっての決め手になるわけですから。住民は、正直言ってそんな情報収集源持っていないわけですから。私は、是非公取委の方にはこの審判記録を開示していただきたい。  ただ、ここで一つネックになるのがやっぱり法律論なんですよ。代位するという構図がなくなってしまう。だから、それに代わる論拠をどこに見いだすか。何かもうちょっと、検討している云々を踏み越えるものをいただきたいなと思います。これはかなりの多くの住民が見ているんだと思います、インターネット中継か何かで。是非お答えいただきたい。  私は、後退するようなことがあっていいんだろうか。つまり、今、少なくとも公取委さんは現行制度の下で審判記録の開示をしようというふうに一歩踏み込んだわけです。私は、このスタンスはすばらしいものだと思うんです。ところが、法改正によって、いや、やはり審判記録は開示できませんよとなったらば、私はこれは民主主義に逆行するものだと思います。重ねてお尋ねします。
  113. 伊東章二

    政府参考人伊東章二君) 独占禁止法違反行為によって損害を被った被害者、まあ企業、地方公共団体、私人等ございます。そういう被害者が損害賠償請求をするということにつきましては、公正取引委員会行政措置と相まって独禁法違反行為の抑止力を強化するものというふうに私どもも評価しておりまして、いろんな形で可能な限り資料提供等は応じるということで基本的にはやっておるところでございますが、一方で、審判手続というのは、まあやや裁判に類似した準司法手続の下での閲覧、謄写請求の問題でございます。個別に、どういう理由で、だれがどういうタイミングで請求するか、それを踏まえて具体的に判断するということでございます。
  114. 内藤正光

    ○内藤正光君 総務省にお尋ねします。  今の御議論を聞いていただいたかと思いますが、総務省はこれまで法改正によって情報はどんどんどんどん出てくるとおっしゃっていたわけです。ところが、この私と公取委さん、そして法務省さんとのやり取りを聞いて、そうはならないんじゃないのかという懸念が大いにあるわけなんです。この辺のことをどういうふうにお考えですか。
  115. 若松謙維

    ○副大臣若松謙維君) 今、委員、談合事案についてのお尋ねでございますが、本来損害賠償を請求すべき責任を有する者は地方公共団体の執行機関ということでございます。そこで、その新四号訴訟におきましては地方公共団体の執行機関が被告となるものであるわけですが、その際には、独占禁止法上の利害関係人に含まれると解される地方公共団体が談合事案に関する記録の閲覧、謄写等必要な資料を収集しているかいないかを含めて、原告住民は執行機関の説明責任を問うことができる制度となっております。  このことからすると、この改正後の新四号訴訟におきましては、特に談合事案において、本来、損害賠償を請求すべき責務を有する地方公共団体による公正取引委員会への閲覧、謄写の請求と、これに基づく証拠資料の提出が当然期待されるということになっておりまして、地方公共団体が本来有する資料も含めて訴訟資料はより充実すると、このように解釈しております。
  116. 内藤正光

    ○内藤正光君 私が聞きたいのは、じゃ住民が、原告住民地方公共団体に出せと請求をすると、間接的に。そしたら、利害関係人であるところの地方公共団体が公取委から請求をして、そして請求をしたものを原告住民に開示してもらえるんですか。私はそういうことを聞いているんです。
  117. 芳山達郎

    政府参考人(芳山達郎君) 公正取引委員会における判断、利害関係人、六十九条の解釈については先ほど来公正取引委員会の方から御説明のとおりであると思いますが、我々、今度の談合訴訟についての解釈としては、当然原告住民が執行機関に説明責任を追及をするということに、問うことになろうかと。そのときに、本来地方団体におきましては公正取引委員会に対して利害関係人であるということから、当然に謄写、閲覧、謄写の請求をしているだろうと……
  118. 内藤正光

    ○内藤正光君 それは分かっているんです。住民です。
  119. 芳山達郎

    政府参考人(芳山達郎君) そして、証拠の提出をするであろうという具合に思いますので、地方団体としては当然、不利益書類も含めて資料の提出をすると。住民の訴訟はその訴訟体系の中での裁判の指揮との関係があると思いますので、住民と直接の対応じゃないとは思いますけれども、裁判の指揮との中で資料の提出が図れるものと私は思っております。
  120. 内藤正光

    ○内藤正光君 明確にしてください。もう余計なことは結構です。住民地方公共団体に審判記録の開示を間接的に請求したら、地方公共団体は公取委に利害関係人ですから請求できると。で、その得たこの審判記録、原告住民に開示してもらえるんですか、どうですか、これを聞いているんです。イエスかノーで答えればいいことなんです。
  121. 芳山達郎

    政府参考人(芳山達郎君) 非常に微妙な点ですけれども、裁判の、先ほど言いましたけれども、裁判の進行状況に応じて当然地方団体として有すべき資料を出すものは出すという具合に思います。
  122. 内藤正光

    ○内藤正光君 有すべき資料じゃないんです。原告住民の訴えに応じて、例えば地方自治団体がまだ審判記録の開示を求めていなかったとする。で、これはいかぬと、原告住民がそんなことではいかぬということで、直接求められないにしても、地方公共団体をせっついて、ちょっと開示請求しろというこういう主張に基づいて地方公共団体は速やかに公取委に審判記録の開示をしてもらって、それを、受け取ったものを原告住民に開示してくれるのかどうか、オープンにしてくれるのかどうか、この一点なんです、私が聞いているのは。それ以外の修飾語は要らないです。
  123. 芳山達郎

    政府参考人(芳山達郎君) 地方団体が利害関係人になるということは当然であろうと思います。
  124. 内藤正光

    ○内藤正光君 それは分かっています。
  125. 芳山達郎

    政府参考人(芳山達郎君) それで、地方団体としては、訴訟の審理の充実を図るために公取の方に利害関係人として資料の請求をするという具合に思います。そして、住民の方から裁判所の方に提出の要求があった場合には、地方団体として有する資料、既存の資料も含めて、今回の請求も含めて、訴訟の進行に応じて必要書類を提出することもあり得るという具合に思います。
  126. 内藤正光

    ○内藤正光君 何か奥歯に物が挟まっていてよく分からないんですよ。  大臣、どうですか、よくちょっと分からないんです。要は、先ほど、まあ質問は繰り返しませんが、要は原告住民の訴えに応じて出すか出さないか。何度でも言うようですが、これは、この記録は、裁判記録は談合追及にとってのすごく重要な武器なんです、住民にとっての。そして、いったんは公取委さんは開示をするというスタンスを取られた。取られたわけですよ。私は、総務省さん、これまでオープンにします、どんどん情報出していくとおっしゃるからには当然私は出していただけるものだと思いますが、いかがですか。
  127. 片山虎之助

    ○国務大臣片山虎之助君) まあなかなかこれは難しいところなんですが、今、代位訴訟ですから請求できますよね。で、今度は今言いましたように機関が訴えられる。機関が訴えられる、団体の機関ですから、団体が利害関係人だから取れると。私は原則は出すべきだと、こういうふうに思います。ただ、訴訟上のいろんな関係があるから、その点はもう少し我々の方でも整理しますけれども、原則は出すということです。
  128. 内藤正光

    ○内藤正光君 ちょっと確認をさせていただきます。繰り返しなんですが、じゃ、くどいようで恐縮でございますが、原告住民地方公共団体に公取委の審判記録を開示、見せてくれと言ったら、地方自治団体は、その時点でまだ開示してもらっていないようであれば早急に公取委に開示請求をして、そして得た資料を原則原告住民にオープンにしてくれると。ただ、いろいろな諸事情があって例外的にそれを認めない場合もあり得ると。しかし、原則はオープンにすると。そういう理解でよろしいんですね。
  129. 片山虎之助

    ○国務大臣片山虎之助君) まあ地方団体といいますか、その機関が説明責任を果たすという意味では、それは私は出すべきなんだろうと、こう思います。ただ、訴訟上のプラスマイナス、争っているんですから、そういうことの関係での整理を少しさせていただきたいと。これは、私だけではなくて公取や法務省にも関係ありますから。しかし、基本的に今度は団体の説明責任を果たさせるというのが新しい制度の改正の趣旨ですから、その点からいって、大幅に後退するようじゃ私は困ると、こう思っておりますから。どこまでが例外でどこまでが一般的なあれかというのは整理しますけれども、基本的な考え方はそういうことであります。
  130. 内藤正光

    ○内藤正光君 大臣の答弁は評価をさせていただきます。是非、よくあるように例外的に出すというんじゃなくて、原則は出すんだと、しかし何か諸事情があったらまあ出さない場合もあると、そういうスタンスで是非臨んでいただきたいと思います。是非後退するようなことがないよう、是非前向きに進めていただきたいというふうに思います。  では、それで、もう一つ、その理由は、出せないというもし理由があったら、それは早急に明確にして、議論をして、そしてやっぱりこの辺の出せない理由とか何かをオープンにしていただきたいなと思いますが、ちょっとその辺、一言お願いします。
  131. 片山虎之助

    ○国務大臣片山虎之助君) やっぱりそこにお二人来ていますからね、公取委さんと法務省さんが。その辺の今までのいろんな経緯もあるでしょうから、この条文の運用について。そういうようなのを整理して、できるだけ明らかにいたします。
  132. 内藤正光

    ○内藤正光君 是非早急に取り組んでいただきたい、そんなふうに思います。  次に、ちょっとこれ恐縮なんです。事前通告してないんですが、申し訳ございませんが、お尋ねしたいと思います。  情報開示についてちょっとお尋ねしたいと思うんですが、総務省は、情報公開制度がある、あるいはまた文書提出命令がある、そういったことを理由に法改正によって情報開示が促進されると、そんなふうに主張されているわけなんですが、ところが、昨年、第二東京弁護士会の会員を対象にしたアンケート調査によると、文書の、一等に挙げた理由として、文書の存在、不存在を検証する手段がないと。二番目として、要は、どういう文書があるんだか分からない、文書を請求しようにも、情報を請求しようにも、一体どこにどういう文書があるんだと。例えば、出張命令を切るときに、じゃ実際はどういう文書がどの部署に保存されているのかとか、具体的によく分からないというようなこと。それで、二番目として、裁判所が決定を出そうとしない云々とありますが、特にこの文書の存在、不存在を検証する手段がないという訴えに注目した際、行政の情報公開の在り方についてお尋ねしたいんですが、現状のままでよいと考えるのか、いやいや改善すべきと考えるのか、その点、お答えいただけませんでしょうか。もし、改善すべきだというふうに考えでしたらば、具体的にどういうふうに改善すべきなのか。要は、そういう文書が、具体的にどういう文書がどこにあるのか分からないという御主張なんですが。  公取委、結構です。
  133. 田村公平

    委員長田村公平君) 公取委、結構ですから退席してくださいということです。
  134. 芳山達郎

    政府参考人(芳山達郎君) ちょっと所管じゃありませんで、突然の質問で答えができませんですけれども、情報公開制度で、確かに住民から、国民から要求、請求が出た場合に、存在、不存在であるというような決定をする場合もあり得ますが、その理由は、多分情報公開法及びその手続に基づいてその理由が明確にされていると思いますので、法律及びその運用に基づいてそれがなされる、またそれに不服ならば審査会でもって御議論していただくということだろうと思います。それが少ない方がいいか、多い方がいいのか、少ない方がいいとは思いますけれども、軽々しくは私答えられませんので、御答弁御容赦願いたいと思います。
  135. 内藤正光

    ○内藤正光君 是非大臣にお答えいただきたいんですが、是非とも、何というんですかね、地方公共団体が有無を言わせないような具体的な文書名を提示しなきゃ出してもらえないだとかそういうことがなきよう、どんどんどんどん情報を出すというふうに総務省さんはおっしゃっているわけですから、前向きに情報は原則幅広に出すんだというお考えをお示しいただきたいと思うんですが。
  136. 若松謙維

    ○副大臣若松謙維君) 御存じのように、国の場合にはいわゆる情報公開、いわゆるそういう手続があるわけで、原則公開と。非公開の場合にはそれなりに理由が必要だと。それは当然、書類作成上、必ずチェックして、これは公開、非公開と、これはやるわけなんですよね。  それを、じゃ地方自治体の場合はどうするかということですが、御存じのように、これは条例でやっているわけなんですね。ですから、その条例が、あるところは厳しいところもあるでしょうし、そうでないところもあるでしょう。非常にこれは、個々、何というんでしょうか、ケース・バイ・ケースでありますので、ただ、やはり時代の流れは情報公開の流れだと思いますので、やはり総務省としては各自治体がそういう時代の流れをしっかりタイアップしていただければと、そのように期待しているところです。
  137. 内藤正光

    ○内藤正光君 地方自治体を所管される総務省ですから、それはもう総務省の意思なわけですから、是非、情報公開の流れに、時代の流れに沿ってどんどんどんどん情報開示するよう各自治体指導を努めていっていただきたい、そんなふうに思います。  続きまして、今度は官製談合というものをひとつケースに取り上げて質問をさせていただきたいと思います。  まず総務省さん、そして法務省さんにお尋ねをしたいと思うんですが、去る平成十二年七月のことなんですが、名古屋市のごみ焼却施設に関する名古屋地裁の判決について取り上げていろいろ御議論させていただきたいんですが、この判決はというと、同施設をめぐって入札談合があったとして、建設局次長、市議会議員、そしてゼネコン五社に対して九億円を同市に支払うよう命じたものなんですが、特に建設局次長の役割については、単に落札予定価格をゼネコン側に漏らしたのみならず談合を率先して主導したと指摘し、いわゆる官主導の官製談合であったということを明確にした、そういった裁判、判決だったわけでございます。  現行の仕組みでは個人を被告といたしますので、談合によって損害を受けた被害者である市当局と、損害を与えた加害者であるところの建設局次長やゼネコンとが対立関係に明確に位置付けられているわけなんです。住民は、地方自治体、市当局に成り代わって、代位してそのゼネコンだとか建設局次長をばんと訴えて、そして裁判で争った。  しかし、改正案が通ってしまうとどうなるのか。一つには、建設局次長やゼネコンを直接訴えることができなくなる。そればかりか、被害者であるところの市当局と加害者であるところの建設局次長、そしてゼネコンとが正に一体となって被告になるわけですよね。これはもう極めて矛盾した、ゆがんだ私は形になってしまうんじゃないのかというふうに思うんですよね。ここで容易に想定されるのは、真の被害者である市当局にとって好ましい証拠というのは、実は真の加害者であるところの建設局次長だとかゼネコンにとって逆に不利になっちゃう情報なんですよね。ですよね。  こういった矛盾を抱える中で、総務省が主張するように、情報は何でもどんどんどんどん出るようになりますよという事態は私は到底想定しにくいと思うんです。何となれば、被告は真の加害者と真の被害者が混在しているわけですから、一方にとって有利な情報というのは片方にとっては不利な情報ですから。ですよね。ましてや、この部下が、上司が絡んだ不正問題を追及するために、上司にとって不利になるような情報を部下が率先して出すかどうか、これも私は大いな疑問だと思うんです。  いやいや、それでも、いや、情報は出るようになるんですという主張をされるんであれば、ちょっと私を納得できるような論理的な説明をしていただきたいと思うんですが。
  138. 若松謙維

    ○副大臣若松謙維君) まず、従来の四号訴訟ですけれども、これは長や職員個人が被告になっているということで、地方公共団体が直接の当事者になっていないということで、地方公共団体の資料の活用というのが限られていたわけなんですね。さらに、その地方公共団体から従来ですと資料を請求する場合には裁判所で一定の手続が必要であると。それに対してこの新四号訴訟ですけれども、先ほどのいわゆる談合事例の場合、当然地方自治体もいわゆる住民側からある意味で訴訟を受けて、かつ、機関も地方自治体もいわゆる訴訟参加等をしてその疑いのある企業等に訴訟参加させるわけですね。その際には、従来の四号でいわゆる機関が裁判に必要な情報を提供する場合には裁判所に一定の手続が必要なわけですが、新四号ではそれが必要なくなります。  ということで、さらにこの新四号訴訟でありますが、地方公共団体の執行機関が当事者になるわけですが、それによりまして、不利益文書が存在しながら文書提出命令に従わずに文書を提出しなかった場合、この被告である執行機関に直接不利益な効果を与えることができる場合もあると、そういうことから、むしろ地方公共団体が持っている資料の提出を、どんどん出させる、吐き出させる、こういう効果があるわけでありますので、私は、この新四号の方が裁判等においてはいわゆる不利益情報、不利益文書ですか、そういったものが極めて裁判所の手続も不要、要らずに、いわゆるどんどん出てくる、このような効果を期待しております。
  139. 内藤正光

    ○内藤正光君 どうも、不利益な情報もどんどんどんどん出てくる、どちらにとって不利益かというふうな話もあるんですが、逆に住民側にとって利益のある情報がどんどんどんどん出てくるというロジックが、どうも何かいまいちちょっと、すとんと落ちないんですね。もう一回簡単に説明していただけませんでしょうか。なぜ出てくるのか。例えば、このケースに即して言うならば、なぜゼネコンだとか建設局次長にとって不利益な情報がどんどんどんどん出てくるのか、このロジックがよく分からないんです。
  140. 若松謙維

    ○副大臣若松謙維君) まず、委員の先ほど疑問を呈されたいわゆる部下と上司の関係があって、当事者が例えば部下でした、上司はそれを監督する立場だと。こういう、どちらかというと従来の四号訴訟というのは対個人に対して訴訟ですから、そういう点でやや、従来、機関は、自治体は下がるという傾向にあったわけなんですね。それが新四号が、これからは部下も上司も関係ない、一体となって説明を、しっかりと訴訟に対して対応しなければいけない、こういう流れになっているわけでありますので、そこに談合訴訟等があった場合、必然的に機関が持っている、部下も上司もありません、機関が持っている情報の、いわゆる裁判所の手続なしに情報提供をしていくと、こういう論理体系になっておりますので、私は委員の御懸念は余り当たらないんではないかと思っております。
  141. 内藤正光

    ○内藤正光君 いや、それが当たるんですよ。じゃ、二段階訴訟ありますよね。例えば第一段の訴訟で建設局次長の不利になるような情報をばんばんばんばん出すと。そうしたら今度は二段階目として、今度はその本人を裁判にかけるわけですよね、建設局次長ですよね。だから、単にこれは、最終的には二段階目では建設局次長が裁判でいろいろ追及されるわけですよ。  こういうことを踏まえて、果たしてこの第一段階目のところでそんなに情報が出るとは私は思えないんですが。
  142. 芳山達郎

    政府参考人(芳山達郎君) 先生が言われた事案の場合で、刑事事案として考えますと、刑事事案であります例えば入札の競売の刑事事案とか収賄の事案とかいう場合におきましては、執行機関が当然、当該個人に対して損害賠償請求なり不当利得請求をするというのは、横領にしろ背任にしろ、当然の姿だろうと思います。  ただ、先ほど先生が言われた事案に関して、初めの、当座の訴訟の段階では、まだ談合というのが明らかでない段階の事案である。そういう場合には端緒が明らかになっていないわけです、談合というのを地方団体も認定していないわけです。その前の住民監査請求でも地方団体は談合として認定されていない。住民としては、いやいや、これは談合だと、この職員が何かそういう横領なり、何か談合行為に携わっていたと住民は思っていると。ところが、地方団体の方はそう思っていない段階で訴訟が起こったというような事案なわけですね。  それで、今までの個人訴訟の場合は、個人が被告になりますものですから、その資料としてなかなか出てこないというわけであります。今回の場合は地方団体が被告になりますので、地方団体の執行機関がなりますので、もしも、持っている資料を裁判所の方で住民の要求に応じて出せという形で出したのに、当事者である執行機関が出さないとなった場合には裁判上不利益扱いを被りますよというのが裁判の、法律であり、裁判事例でございますので、持っているのを出さないと負けちゃうんですよね。だからこそ出るということを我々は説明しているわけです。
  143. 内藤正光

    ○内藤正光君 正直言って、地方におけるまだ情報公開制度がしっかりしていない段階で、局長のおっしゃること、どうも何か説得力があるようには思えないんです。中央における情報公開制度、体制の在り方がしっかりした上だったらば私はおっしゃることは分かるんです。ですから、私は、このもし法改正をするんだったら、私は情報公開制度の在り方の抜本的な見直し、これセットであるべきだと思うんですよ。ですよね。先ほど──何かありますか。
  144. 芳山達郎

    政府参考人(芳山達郎君) 先生、その前に情報公開制度というのが今あるわけですよね。個人である職員なり個人である団体が訴えられた場合には、今の場合は、情報公開制度でもって資料の請求しなければ地方団体は協力してくれないんですよね。だからこそ、個人で訴えられている職員は、情報公開請求を地方団体にして、職員でありつつ、して、情報公開請求でもらったのを裁判に出しているというような状況なわけですよね。  今回の場合は執行機関が被告になるわけですから、持っている情報を住民の要求に応じて出さない場合には民事訴訟法上不利益になりますよ、負けますよというのが法律に書いてあるわけです。だから、我々としては、裁判の指揮に応じて資料は前よりも、個人であるよりも執行機関である方がもっと出ますという、不利益にならないために出ますということを言っているわけです。
  145. 内藤正光

    ○内藤正光君 時間もあと残り数分になってしまいました。  先ほど監査請求の話が出ましたので、ちょっとその監査請求の在り方について、請求制度の在り方について簡単に最後質問させていただきたいと思いますが、本法律案が成立してしまうと、住民監査請求に対する監査委員の判断いかんによってはその後裁判に行くと。その裁判には、自治体は、税金と税金によって手当てされている公務員の稼働をつぎ込んで裁判に臨むと。そして原告住民と争うわけなんです。  結果として、結果としてですよ、こういう場合もあり得るということを申し上げたいんですが、例えば談合で懐にお金を入れたゼネコンを第一段階では守ってしまう、こういうことも結果としては、可能性としてはあり得るわけです。私は、これは住民の率直な感情が受け入れられるかというと、私、到底受け入れられないものだと思います。そういったわけで、私は監査請求制度の在り方、もっといえば監査委員の在り方、選び方、選任の在り方を抜本的に見直さないことには、私はこれは住民、国民、納得できないものだと思います。  ところで、今の監査委員の選ばれ方はどうかというと、首長が選ぶ、選任すると。言ってみれば元助役だったりとかそんな人ばかりですよ。言ってみれば仲良しクラブですよ。私はこれは早急に見直さなきゃいけない。例えば選任の在り方に当たっては公選制を取ったりとか、あるいはまた即できることがあるんです。外部監査を今、できる規定になっておりますが、義務付けて、その監査の在り方にやっぱり緊張感をもたらす。私は、そういうことがなければ、私はこの法律、法改正、到底認めることができない。大臣の御所見をお伺いします。
  146. 片山虎之助

    ○国務大臣片山虎之助君) さきの質問で、建設局次長をあれすることは何か被害者同士が争うことになるではないかという、あれちょっとありましたよね。損害を被ったのは団体なんです、名古屋市なんですよ。建設局の次長は機関なんですよ。団体と機関というのは一緒じゃないんですよ。団体に損を与えているから団体の損を取り返すのが住民訴訟制度ですから、団体が機関を指弾して、次長から金を取り上げるのは一向構わないんですよ。団体は勝つために頑張るんですよ。だから、団体の勝つためにいろんな資料を出すんですよ。そこで、もし団体が勝ったら、仮に談合やっておるとすれば、企業と企業でぐるになった建設局次長から取り上げるんです。  そこは団体と機関が違うということをお考えいただきたいので、団体の損を取り返すのがこの制度のあれですよ。団体の損を取り返すために住民が訴訟を起こすんですよ。そうでしょう。だから今までは建設局次長個人だったんですよ。今度は機関の責任を問うんですよ、団体の損を取り返すために。
  147. 田村公平

    委員長田村公平君) 大臣、時間が来ておりますので手短にお願いします。
  148. 片山虎之助

    ○国務大臣片山虎之助君) はい、済みません。  監査委員につきましては、委員がいろいろ言われたことは我々も問題意識は持っておりまして、この監査委員制度の構成や運用をどうするか、あるいは請求の場合に義務付けるかどうするかについては今後とも、今までもいろいろ検討してまいりましたが今後とも検討いたしたいと、こういうふうに思っております。問題意識は持っております。
  149. 木庭健太郎

    木庭健太郎君 私の方は、市町村合併の問題について今日は少し質疑をさせていただきたいと思っております。  午前中も議論がありましたが、総務省調査によりますと、昨年十二月までに二千二十六団体が合併検討しているというようなことで、確かに合併機運があることはあるようではございます。ただ、現実に、平成十七年三月までですか、合併することが有力な市町村はその中の六百九十二市町村だと私は聞いております。その意味では、一応千を目標にと言ってきた数からするならば厳しい状況にあることだけはまだまだ間違いないと思っております。  したがって、これを千へ向かっての達成、ある意味では、今の段階で新たな合併の促進策とか、また、午前中もまたこれ議論になりました合併特例法期限延長、そういう検討もそろそろなされる時期に現在はなっているんじゃないかなと私は思っておりましたが、逆に、二月二十一日でしたか、市町村合併支援本部の会合では、当面はまずこの特例法期限延長を検討しないこと、そして三月中に合併推進について新しい指針を策定することなどが確認されたというような報道を読みました。  この二月二十一日、どういったことの議論と、こういう結論になったのかということもお伺いしたいし、今の現状を踏まえれば、やはり新たないろんなそういう合併を促進するための法が要るんじゃないかと思うんですが、含めて見解を伺っておきたいと思います。
  150. 若松謙維

    ○副大臣若松謙維君) 今、木庭委員から二月二十一日の市町村合併支援本部の会合の中身についてのお尋ねでございますが、ここにつきましては、この会合では、市町村合併状況市町村合併リレーシンポジウムの報告及び市町村合併支援プランに関する平成十四年度予算案の状況の報告がございまして、その後、市町村合併支援についての当面の方針について本部決定がなされたところでございます。  その本部決定の中身でありますが、大きく四点ございまして、一点目が、各省庁は連携して更なる支援プランの拡充に向けて検討を行う、二点目が、特に市町村合併の広報啓発については、平成十四年度においても全国四十七都道府県においてリレーシンポジウムを開催する、三番目として、平成十四年六月を市町村合併広報強化月間とし、市町村合併支援強化シンポジウムの開催等や政府広報を始めとする市町村合併の広報啓発等、集中的な取組を行う、四点目としまして、合併重点支援地域指定を一層拡大することの要請を含めた新たな指針都道府県に通知するといったことが決定されたところでございます。
  151. 木庭健太郎

    木庭健太郎君 市町村合併の進捗状況を見ていますと、全体の印象では、政令市、そういうものについては結構一生懸命いろんな形での動きがあるんですけれども、逆に言えば、本来はこの合併によって行政力とか財政力を向上しなくちゃという本来一番切実なところが、その地域はどうかというと動きが余りない、こんな現象に現実にはなっているんじゃないかなと思うんですよ、現実は。それでキャンペーンやっていりゃ済む問題かと言いたいんですけれども、どういうふうにこの辺を本当に見ていらっしゃるのか、どうすればいいのかというのはもう少し真剣にいろんな手を打たなくちゃいけない時期に来ているんじゃないかと思うんですけれども、いかがですか。
  152. 若松謙維

    ○副大臣若松謙維君) 実は私も先月、大阪の合併リレーシンポジウムに出させていただいたんですが、実は平成十三年度でこの全国四十七都道府県リレーシンポジウムは二巡目になります。お話を聞きますと、やはり去年よりは今年、当然今年よりは来年ということで加速度的に合併に対する認識、また重要性等、非常に熱気が高まってきておりまして、まず、そういった事実を是非認識いただきたいと思っております。そして、何といってもやはり今年が正念場だと理解しております。  ですから、この総務委員会で今日御参加の委員是非とも、この市町村合併の重要性等について積極的な議論をともにしながら、何としても今年度、平成十七年三月の合併特例法が終了するいよいよ直前でありますので、今年度に大きな前進が見られるように頑張っていきたいと考えております。
  153. 木庭健太郎

    木庭健太郎君 そのとおりなんですけれども、私も地元ではそういうことはやっているんですけれども、それでもどうなのかなというのは本当に最近、別に上からお仕着せしてどうこうやれと言うんじゃないんですよ。ただ、まだまだ、議論の中でありましたよ、例えば合併してどんなメリットがあるのか、そういうこともまだまだ理解もされていない。そういうことも含めて、もう少しそういう意味で、総務省としても進めていこうというのであれば、もうちょっと考えた方がいいんじゃないかなという気がするんですけれども、大臣、いかがですか、一言。
  154. 片山虎之助

    ○国務大臣片山虎之助君) 木庭委員の御心配のように、やるべきところがなかなか動きがなくて、やらなくてもいいということじゃありませんよ、全部がやる必要あるんだけれども、いろいろですね、それは。大きいところが全部それじゃそういう機運になっているかというと、そうでもないんですよ。だから、大きいところも中ぐらいのところも小さいところもみんないろいろなんですよ。  ただ、全体的に、何度も申し上げますが、六割以上の市町村合併協議会なり研究会を作って合併検討を始めていることは事実です。それは、私らも地方に行けば、一番の話題は今合併ですよ、どこの都道府県でも。だから、そういう関心認識は持ってきたんですね。  ただ、それがアクションにつながるか、そこが問題なので、これからが、今、若松大臣が言ったけれども、私も正念場だと思っておりますので、きめの細かいいろんな啓蒙や周知や、そういうことをやりたいと思っておりますし、やっぱり都道府県知事さんが熱心なところは全体の空気がいいんですよね。知事さんの姿勢にもよりますので、県にもお願い、都道府県にもお願いしまして、今、合併支援地域というのを何か所か指定してもらっておりますけれども、これをもう少し広げていこう、こう思っておりますし、やっぱりモデルになるような先行的なパイロット的合併については我々もいろんな意味で応援していこうと、物心両面の、こういうふうに考えておりまして、そのための細かいやっぱりプランが要るのかなと今私は考えておりますので、またいろいろ検討しましたものを場合によっては総務委員会の先生方にいろいろ御指導いただきたい、こういうように思っております。
  155. 木庭健太郎

    木庭健太郎君 それから、この委員会でも議論になりましたけれども、合併議論をやっているときにいつも出てくる一つの反対意見というか違う意見というのは何かというと、小さくても元気のある町や村はたくさんあるというようなことがよく言われるわけでございます。確かにそういう自治体があることも事実だと思いますが、どうなんですかね、小さくて元気のある町村というのを見ている場合、結局、その中にたまたま首長さんが非常にそういう問題で一生懸命なのがいる、また町村の職員の中にそういう人たちが何人かいるためにそういうことになっている。言わば、見ていて、個人の卓越した能力とかそんなところに引っ張られる形でできている部分があるんじゃないかなというように私は思えてならないんです。じゃ、それを小さくて元気でいいんだ、だからそういう形をどんどん広げていけばいいんだということにはこれはなかなかならないんじゃないかなと。  なぜ合併ということを言っているのかというと、やっぱり地域の活性化するためには、いわゆる組織としての能力を高める、行政能力を組織的に高めていくというのが正にこの合併をやるときの一番考えるときの大事な点だと思っておりますが、こういう小さくて元気だということに対するもし何か御意見あれば聞いておきたいと思います。
  156. 若松謙維

    ○副大臣若松謙維君) 私は木庭委員の御意見には基本的に大賛成です。  確かに地域一つの町おこし的な産業一つだけをとらえての元気さというものもあるわけでしょうが、御存じのように、今、地方の時代、地方分権ということから考えまして、基本的に住民の様々なニーズは、これからの基礎的自治体はすべていわゆる地方市町村でやると、こういう流れにありまして、その一環として介護保険地方自治体で行うと。ところが、こういったことになると、どうしても最低数万、十万、そういったやっぱり行政規模が必要になってくるんですね。  そこで、今、先ほど小さくて元気がある町村というのはこれからの市町村に対するニーズにはこたえられない、やっぱり限界があろうと、そのように認識しておりまして、地域の将来にわたる活力を維持して、そして住民サービスの維持向上を図るためにはやはり合併により市町村規模を拡大することが大変重要であると、そのように認識しております。
  157. 木庭健太郎

    木庭健太郎君 今、若松大臣、言わずもがなおっしゃったんですけれども、例えば、やっぱり介護の問題辺りは、今のこの小さな単位ではなかなか難しいところがあるわけですよ。  だから、もう少し私は合併の問題としてその効果という意味総務省として国民にというか地方自治体にも、地方自治体の方が実感は本当はしているんですけれども、感じていただきたい、分かっていただきたい点というのは、もちろん市町村合併というのは経費削減という問題に一番貢献はします。貢献はするけれども、それ以上に自治体行政能力という意味でいうならば、今の自治体、小さな自治体から合併する自治体になることによって行政能力というのがどんなふうな変化をするのかと。変化することによって、どんな、今までできなかったどんなものに取り組めるのかといった点をきちんと言っていくことも必要なんだろうと思うんです。  ですから、副大臣で結構ですから、一体これは合併することによって、こういったこういった分野、特にこれについてはこうなんだと。どう行政能力を高めていくという点で、PRをしていかれると思いますが、どういった点が変化をしていくのかという点について見解を伺っておきたいと思います。
  158. 若松謙維

    ○副大臣若松謙維君) まず、合併のメリットをどう伝えていくかという御指摘だと思いますが、御存じのように総務省合併協議会の運営の手引、これは一つのマニュアル的なものを作っておりますし、昨年の八月ごろでしょうか、合併プランのかなり詳細ないわゆる手続書も作っておりまして、それ以外にも先ほど申し上げましたような合併シンポジウムとか市町村合併支援アドバイザー制度、こういった制度を通じてこの合併理解していただく、そのメリット等を理解していただくために努力しているわけですが。  何といっても、これからやはり総務省として考えなければいけないのは非常に財政が厳しいと、そういった観点からやはり管理部門の効率化、これには何といってもIT化なんですね。これをITを更に高度化しますと、もう三十万とか五十万の自治体でもある意味で政令都市並みの事務能力を持てる可能性がある、さらにそういうふうになりますと都市計画等も自分たちでできると、こういうことで、本当に高度化した、かつ効率的な自治体がこれから可能となると。更に今住民参加型の地方自治が求められているわけでありまして、そういった新しいいわゆるニュー・パブリック・マネジメント的な思考も必要でありましょうし、より住民ニーズというのは本当に年々年々高まって複雑になってきております。  それに対応するためにも、やはり多才、多種多才な人材をそろえた地方自治体という構築が早急に求められるところでありまして、そういった観点から市町村合併は本当に必要である、時代の流れに沿った政策であると、そのようなことを様々な形でアピールしていきたいと考えております。
  159. 木庭健太郎

    木庭健太郎君 そうなると、今の地方自治体の職員の皆さん方にとってみると、若松大臣のようにニュー・パブリック・マネジメントというようなことは簡単に言えるような人ならいいんですけれども、言わばその企画立案能力なり、いろんなこと今までやったことないわけですよね、ある意味では、小さな町村の皆さんは。この人たち意識改革もしていかなくちゃいけない。これはじゃ今合併するところだけに任せてできるのかと、これはなかなか難しい。そういうある意味じゃ、そこがまた逆に言うと職員の皆さんが合併ということに対しての一つの抵抗感にもなっていくわけですよ。  そういった意識を変えるために、市町村の職員、言わばそういう人材、どのように意識変革をさせ、やろうとなさるのか。何かお考えになって、こんなことをやろうと思っていらっしゃるなら、是非教えていただきたいと思います。
  160. 若松謙維

    ○副大臣若松謙維君) いわゆる地方公務員の方も私、いろいろな考えがあろうかと思います。やはりどうしても高齢というか、結構偉い方は余り今の制度を変えたくないと。ところが若い方は、やはり町村の役場に勤めるよりは市役所の公務員になりたいと、こういった方々もいらっしゃいまして、大事なのは、そういう本当に時代は変化している、それに私たち地元の役所もしっかり対応したいと、そういったやる気のある公務員の方々に適切なアドバイスをしていくというのが総務省役割ではないかと考えております。
  161. 木庭健太郎

    木庭健太郎君 それと、これも午前中御質問があったんで重ねてと思いましたが、まあ大臣にちょっとお聞きしておきますが、昭和の大合併の問題でございます。これが結局、昭和の大合併、いろんな意味でいい面もあったし、悪い面もあったし、そういう意味では昭和の大合併の傷跡みたいなのを引きずっている自治体もあるんだというような御指摘現実にございました。  ある意味では、うまくいったところはなぜうまくいったのか、悪くいったところはなぜ今もそういうものを残しているかというようなことを、これきちんとやはりこれから進めていく上で、これ総務省として一つのこういうケース、こういうケースという分析をきちんともうなさっているんだろうと思いますが、なさった上で、逆に言えば、やっていく上での今のこの大合併へ向けての一つ参考にもなると思うんで、その辺をどんなふうに認識をなさっていて、こういう点がそうなんだな、こういう点がそうなんだと。それをまた各自治体へも、ある意味では教訓としてお知らせできるようなこともやった方がいいんじゃないかなと思いますが、大臣、どんなふうに昭和の大合併をとらえていらっしゃるか、御見解を伺っておきたいと思います。
  162. 片山虎之助

    ○国務大臣片山虎之助君) あれは特別の法律を作りまして、国、県が相呼応して合併計画を作って、それに基づいて強力に奨励して、最後は住民投票で黒白を決するというようなことでやりまして、ほとんど全国市町村が再編成されたと思いますね。一万ちょっとありましたものが約四千ですね。一万一、二千ありましたものが約四千になりまして、私は大変効果があって、市町村の能力の向上と均質化が進んだと思います。あの六三三四という新しい学制もそれなりに成功したと。  その過程ではいろいろありましたね。例えば旧町村を財産区にするとか、あるいは新しい市町村名をめぐって一部が分離するとか、いろんなことがありましたし、選挙でそれが持ち越されたりいろんなことがありましたけれども、やっぱり十年、二十年たちますともうほとんど一つ自治体としての共通の認識を持つ市町村に私、変わってきたとこう思いますよね。  北九州の合併のときは、もうちょっと後ですけれども、あの五市合併が、今、北九州市ということで大変うまくいっているような気もいたしますし、そういう意味でやっぱり時間というのが一つあるのかなと。  あのときは合併したら十年間で一つ市町村にまとめようと、新市町村建設計画というのを作らせましてやりましたので、あのときのいろんな記録が残っておりますから、今度の平成合併の際のこれを指針にいたしたいと、こういうふうに思っておりますけれども、物すごく世の中が変わっておりまして、ITのアの字もなかったですから、あのころは。やっとカラーテレビの時代ですからね。だから、そういう意味では大分状況は違うなと思っておりますけれども、是非そういう意味昭和合併のプラスマイナス、いろんな反省というか、学習効果を今度の平成合併是非持ち込みたい、こういうふうに思っております。
  163. 木庭健太郎

    木庭健太郎君 それから、これもいつも議論になる一つの論点ですけれども、いわゆる都道府県境を越えた市町村合併の問題でございます。  総務庁の調査を見ましたら、県境を越えた合併研究組織が今全国で初めて長野県、岐阜県において設置されたということでございます。私の地元であります福岡県でも、久留米市と鳥栖市というのがいろんなことを考えながら、まだそこまでは至っておりませんが、ありますし、もう一つ福岡県の大牟田市と熊本県の荒尾市というのも、そういうことを模索する動きがあることも事実でございます。とにかく、そういった言わば旧来からの関係でいけば、都道府県を越えた形での合併をやった方がより効率的でありいろんなことができると考えているところが増えてくるのではなかろうかと思うんです。  ただ、これらの合併が新設合併になる場合は、これはもう皆さんの方がよく御存じですけれども、結局、ある県のA町とある県のB村が廃して新たに一つ設置するというような場合には、これ地方自治法第六条第一項規定によって法律の規定までもが現在では必要になってくるとなっております。しかし、都道府県境を越える合併であっても、やっぱり一番大事なのは、その地元の意向が大事だと、こういつも大臣もおっしゃっていますし、正にそのとおりだと思っておるわけでございます。言わば、法律の規定まで必要とするのでなくて、各市町村レベルである程度柔軟に対応することが可能になるような制度というのを整備、何とか今のうちにした方がいいんじゃなかろうかという気がいたしておるんですが、この辺の見解について総務省に伺っておきたいと思います。
  164. 片山虎之助

    ○国務大臣片山虎之助君) 今、木庭委員の言われたように、編入合併だと編入したところの市町村が大きくなるんで、それに属する県境が広がるわけですよね。ただ、新設の場合には、どっちに付くか分からないものですから、これは法律が要るようになるんです、新たに都道府県の境界を決めるということに。そうすると、その法律は特別の都道府県地方団体にだけ適用される法律ですから、必要なら住民投票ということになるんですね。大変な手間になるので、やっぱり一般的な県境を越える合併の、新設合併を含めての手続は要るんでしょうね。  そういうものについても是非検討したいと思っておりますけれども、今それじゃどういう検討をして結果がどうだというと、まだそこまで行っておりません。問題の問題意識は持っておりますので、是非、これも地方制度調査会地方分権改革推進会議ではちょっと大仰になるのかもしれませんが、いずれにせよ、そういう具体の事例が出てくるようなら対応はしっかりしなければなりませんので、当方としても早急な検討をいたしたいと考えております。
  165. 木庭健太郎

    木庭健太郎君 それから、もう一つの論点というか、最近出てきた論点の一つは、段階補正見直しの問題でございます。  地方交付税に関して最近なされている議論の中でも、小規模団体への交付税額の割増し、いわゆる段階補正に対する批判が多く関心を集めております。すなわち、地方交付税の配分は小規模団体に手厚いのではないか、これがひいては合併を阻害しているのではないかというような、そういう一つ論議もなされております。  この段階補正について、既に総務省見直し案が明らかになっているわけでございます。これは、全団体の平均を基礎として割増し率を算出する方法を改め、より効率的な財政運営を行っている上位三分の二の団体の平均を基礎として割増し率を算出しようとするものであると。  この案、先ほどというか午前中のを聞いていましたら、これと市町村合併の問題は別問題だというふうにはおっしゃっておりましたが、やはりこの時期に出てくると、これは合併促進のためのむちじゃないかというようなことも実は批判が出てくるわけですよ。その辺はよく整理をしていただきたいし、やはりこの地方交付税の制度というのは、市町村財政的に保障する制度だということで大事な制度でもあるわけであって、その辺、合併促進を目的とした段階補正見直しなのかどうかということが盛んにマスコミには書かれているわけですから、その辺について説明はきちんと総務省としてやるべきところはやらなければならないと思うのですが、本来どんな思いでこれをやろうとなさっておるのか、きちんとした御説明を改めて伺っておきたいと思います。
  166. 滝実

    大臣政務官滝実君) この問題は、委員指摘のとおり、元々、合併という声が上がってきてから手を付けたものではございませんで、ここ数年来、段階補正の在り方ということでずっと見直しを進めてまいったわけでございます。  基本は、交付税というのは、御案内のとおり、実態をどれだけ反映させるか、その反映させる中で、ある程度の理想型といいますか、そういうものもできるだけ入れ込みたいと、こういうような欲張った考え方があるわけでございますけれども、現実の姿が、小規模町村といえどもかなり技術的な改善あるいは経営的な努力、そういうものが見られる中では、やっぱりそういう実態に合わせた見直しというのはどうしても必要だと、こういうことでやってきているわけでございます。  したがって、今御指摘のとおり、今までは町村の平均的な基準をベースにして段階補正を考えてきたわけでございますけれども、ここへ来るとかなりの町村でいろんな取組をしている、そういうことの努力的な成果というものもこの際やっぱり入れ込みたい、そういうふうなことで、仰せのとおり、上位、経営努力をしている上位三分の二ぐらいの町村の平均的な数値と、こういうことで押さえているわけでございまして、あくまでもやっぱり実態というものを反映させるという交付税の基本的な理念というものを踏まえての話でございまして、そこに合併という問題がちょうどタイミングとして合うものですから、合併をやらないとこの段階補正の不利を被ると、こういうような意見もあるわけでございますけれども、基本的には交付税の実態に即したという、あくまでもそういう理念に基づいて検討してまいったということでございますので、その辺のところはよろしくお願いを申し上げたいと思います。
  167. 木庭健太郎

    木庭健太郎君 もう一つ、これも前回も議論になっておりましたが、市町村の適正規模という問題でございます。  よく、住民一人当たりの行政経費を計算しておおむね人口十五万から三十五万人の規模がその経費が最小となって、これが適正規模だというような論議は実際にあるわけでございます。一人当たりの経費を考えれば確かにそういう適正規模というのは一つの指標になることは指標になるんですけれども、確かに行政サービスの供給の条件を考えたら、人口規模のみでもやれるわけでもないわけです。いろんな地域地域の実情もあるし、歴史的経過もあるし、いろんな問題もあることも事実でございます。  ただ、ある程度のこういう一つの適正規模の目安というものも要るといったら要るんじゃないかなという気も私もしております。やっぱりそういった方向性というか、それを示すことも大事なんだろうとも思うんですけれども、この市町村の適正規模という問題について、総務省としてどんなふうにお考えになっていらっしゃるのか、見解を承っておきたいと思います。
  168. 若松謙維

    ○副大臣若松謙維君) 委員指摘市町村の適正規模議論でございますが、これもいろいろな御意見もありまして、衆議院の総務委員会でも何人かの委員指摘になったところでございます。  特に、たしか山口大学の吉村教授でしょうか、大変大規模調査をやって、その教授の一つの結論として、一人当たりのいわゆる最適な規模ということで人口二十四万人という一つの研究成果がございましたが、いずれにしても、やはりこの適正規模というのはもう、地域の置かれている状況又は地理的条件住民活動範囲、こういった様々な地域の実情を考えますと、これだというものを、一定の基準だけでこの適正規模を設定するというのはかえって強制的な押し付けで終わってしまうのではないかと。  そういうことも考えておりまして、総務省といたしましては、平成十二年の十二月に閣議決定いたしました行革大綱、これにのっとり、市町村合併特例法期限であります平成十七年三月までに十分な成果が上げられるように、今御指摘の、やはり本来のあるべき適正な規模というのも踏まえながら、県、国、都道府県一体となって自主的な市町村合併推進してまいりたいと考えております。
  169. 木庭健太郎

    木庭健太郎君 今からちょっと住民投票の件について何点か細かい点も含めてお伺いしておきたいと思うんです。  この住民投票制度の導入ということが今回盛り込まれたわけです。それは合併協議会の設置という、もう何回も繰り返してやっております。ただ、やっぱり住民にとって分かりにくいのは、なぜこれ合併協議会なんだろうと、どうせ住民投票というのを認めていただけるのならば、合併という問題について住民投票をすりゃいい話であって、何でこれが協議会になっているんだろうなと。これは、実際我々が説明しようとしてもよく分かりにくい点の一つだろうと思います。そして、実際にこれは強制力を持って合併協議会のことに踏み込める住民投票ですけれども、実際に条例で市町村合併の問題についてやっているところもある、これは強制力はありません。  でも、わざわざ今回、そういういろんな、各自治体が取り組んだ過去の経過もいろんな経過がある中で、なぜこの合併協議会の設置ということが住民投票になったのかと、ここについて、もう一度その趣旨をきちんと伺っておきたいと思います。
  170. 滝実

    大臣政務官滝実君) 仰せのとおり、この問題は合併ということを決めるんじゃなくて、合併協議会の設置住民投票でお決めいただくと、こういう趣旨でございます。  基本的には、合併については住民発議というのがあるわけでございますけれども、発議いたしましてもなかなか協議会の設置まで行かないと、こういうようなのが実態でございます。    〔委員長退席、理事谷川秀善君着席〕  そこで、少なくとも住民の方で発議までというような動きがあれば、少なくとも、それが長あるいは議会が途中で握りつぶして合併議論がしないうちに芽を摘まれちゃうと、こういうようなことを避けたいというんで、今回は住民投票によって少なくとも協議会の設置というところまではお認めいただくと、こういうことなのでございます。  ところが、やはりこれがなぜ合併そのものの議論にならないかといえば、やっぱりこれは、日本の場合は地方団体といえどもやっぱり議会制度を取っているわけでございますから、やはり議会の関与は最終的には必要だと、こういうことでございまして、少なくとも議論は、この住民投票によって協議会を設置することによって議論はできる、しかしその結果は最終的には長と議会がお決めになると、こういうような二段構えで行かざるを得ないと。今の日本の議会制度ということを、間接民主主義ということを前提にすれば、そういうような論理構成をさせていただいたというのが今回の考え方だと存じております。
  171. 木庭健太郎

    木庭健太郎君 そういう趣旨だろうとは思いながらも、なかなかこれは、本当もう少しきちんと説明しておいてやらないとなかなか厳しいなという一面を持っておりますので、是非そういう趣旨も住民によく分かるようにしていただきたいなと、こう思っておるんです。  この住民投票なんですけれども、要件を見ますと、合併請求市町村の長からの請求、又は合併請求市町村の有権者の六分の一以上の者の署名によって行われる直接請求というふうに挙げてあるわけでございます。  直接請求という問題、署名数については、現行の他の直接請求制度を見ると、例えば、条例の制定、改廃の直接請求に必要な署名数は有権者の五十分の一以上でございます。また、議会の解散、首長の解職の直接請求は、これは有権者の三分の一以上となっているわけでございます。  したがって、今回提案された住民投票の実施の直接請求の必要な署名数、これは、これとの整合性とかを考えると、どんなところで六分の一ですか、というような数字が出てきているのか。ここについて、それぞればらばらな面もありますし、どういう趣旨から六分の一というような数になってきたのか、これも理由を聞いておきたいと思います。
  172. 滝実

    大臣政務官滝実君) 正にこの三分の一と五十分の一の大体中間程度をねらったと、こういうのが考え方だろうというふうに思っております。  元々、今仰せになりました条例の制定の直接請求、これは五十分の一ですよね。これは要するに、そういうものを制定してくれという請求が五十分の一。ところが、今回のこの協議会の設置は、これで住民投票が成立しますと設置そのものがもう自動的に決定されると、こういうことでございますから、五十分の一の単なる請求では具合が悪いと、こういうことでございまして、五十分の一よりは上だろうと。それから、今も御指摘になりました解職請求、リコールの場合には三分の一でございます。これは個人的というか、役職の、ポストの問題でございますから、これはなかなか重い責任を伴う制度でございます。それが三分の一ですから、三分の一というのはやっぱり厳し過ぎると。中を取って大体六分の一、その辺のところがよろしかろうと。こういうような議論の末、こういうふうな数字に決めさせていただいたということでございます。
  173. 木庭健太郎

    木庭健太郎君 なかなか合理的な理屈じゃないんだろうと思うんですけれども、三分の一にしちゃこれは多過ぎるし、五十分の一じゃこれはちょっとひど過ぎるし、どの辺かなというようなところなんだろうと実際は思うんですよね。  ただ、一つは、今回やっぱり非常に重要な点は何かというと、今回の住民投票の一番重要な点は何かというと、法的拘束力が付与されるということなんですよね。そういう意味では、全く新たな形でこういう仕組みを今回作ったわけです。  その辺が、逆に言うと、今までだって合併の問題で是非を問う住民投票を条例なんかでやったりいろんなこともある。でも、今回は法的拘束力を付けようと、こうしたわけですよね。その辺、ある意味では新たな仕組みを一つ作ったわけですから、それについても、なぜ法的拘束力を今回は持たせようとされたのか、そういう法案を出されたのかと、そこの説明はきちんとしておいてもらいたいと思うんです。
  174. 滝実

    大臣政務官滝実君) これはおっしゃるとおり、やはりそういうようなことも踏まえて、これは合併一つのPRと申しますか、そういうことの意義というものも併せて訴えることによって、合併に対して関心を持っていただくということにおいては御指摘のとおりだと思いますので、そのようなことを踏まえてやっていく必要があるというふうには思っております。
  175. 木庭健太郎

    木庭健太郎君 それから、幾つか具体的なことを聞いていっているんですけれども、住民投票が行われるに際しての投票勧誘の問題についてちょっと伺っておきたいんです。  今回導入が提案されている住民投票については、政令で特別の定めをするものを除くほか、公職選挙中普通地方公共団体の選挙に関する規定が準用されると、こういうふうになっているわけです。ですから、投票勧誘活動についても原則として選挙運動同様の厳格な規制の下に置かれるということが、こうなっているから想定はされるわけです。  もちろん、買収とか供応とか、それはいけませんから、それは避けなければならないんですけれども、余り過度な規制の中に置いた場合に、合併論議、全く選挙と別の問題なんですよね。そういう意味では、真剣な議論が妨げる結果になりはしないかという危惧も抱いているわけでございます。  ですから、住民投票に際して行われる投票勧誘について、実際どのような規制がしかれるのか、その辺も教えておいていただきたいと思います。
  176. 芳山達郎

    政府参考人(芳山達郎君) ただいま御指摘がありましたように、今回の住民投票の手続は、現行の地方自治法に定める住民投票と同じように、基本的には公職選挙法を準用することとしておりますが、詳細な手続については政令により規定することを予定しております。  今回の住民投票では、市町村合併地方公共団体の存立にかかわる、また今後の地域の在り方を決定する重要な問題でありますから、住民自身の意思を問う住民投票制度の導入することとした趣旨を踏まえて、合併協議会設置是非について地域住民の多様な意思が積極的に表明されることが望まれることを考慮すべきものと考えております。  したがいまして、政令におきましては、今後の作業でございますけれども、以上の観点に立ちまして、公平な投票が害されたり、また投票運動が住民の多大な迷惑となったり、買収等がうわさされたりするなどの弊害を防止するための規制を必要最小限で設けることを検討しております。
  177. 木庭健太郎

    木庭健太郎君 住民投票の問題でもう一点、これを質問の最後にしたいと思うんですけれども、伺っておきたい点は、一体住民投票の投票資格者がどうなるかという点でございます。  今回のこの住民投票というのは、地域住民の意向を反映させるということであるならば、その地域住民の意向を反映させるというのであれば、選挙権、いわゆる選挙権を有しない未成年者の問題をどう考えるのか。例えば、住んでいる外国人に対して投票資格をどうするか、そのことだって検討もできるはずだと思うんであります。  例えば、これ田無市と保谷市でしたか、ここで市町村合併に関する市民意識調査をやったとき、お聞きすると、投票資格者が満十八歳以上の者とするというようなことをやったようでございます。滋賀県の米原町でございましたか、ここは永住外国人に対して市町村合併に関する住民投票の投票資格を付与するというようなことを考えたり、いろんなケースがあるようでございますが、私は、やっぱり地域住民の意向をどう反映するかが大事だし、そこをどう考えるかという問題になってくるんだろうと思うんです。  今回、導入が提案されておりますこの住民投票について、総務省として、投票資格者、どんなふうに考えられているのか、それをお聞きして私の質問を終わりたいと思います。
  178. 芳山達郎

    政府参考人(芳山達郎君) 今回の住民投票制度は、投票資格を有する者を公職選挙法の選挙権を有する者としております。    〔理事谷川秀善君退席、委員長着席〕  これは、今回の住民投票制度は、直接請求制度に位置付けられておりますことから、自治法、地方自治法に定める直接請求制度、ほかにございますけれども、ともに地方公共団体の住民の直接請求の一環であるという具合に考えております。したがいまして、地方自治法に定めております議会の解散請求でありますとか、長の解職請求に係る住民投票制度と同じように公職選挙法の選挙権を有する者という具合に考えております。法律上、そう規定しておりますので、よろしくお願い申し上げます。
  179. 木庭健太郎

    木庭健太郎君 終わります。
  180. 宮本岳志

    ○宮本岳志君 日本共産党の宮本岳志です。  本題に入る前に一問だけ、今国会提出される予定の郵政公社法に関してお伺いしたいと思うんです。  というのは、先週末にこれに関係する四法案の提出の遅延理由なるものが配付されました。これには、内容について精緻かつ幅広い検討とか、多数省庁との調整ということが書かれておりました。もちろん検討の不十分な法案を国会に出してもらっては困るんですけれども、かといって法案はいつまでたっても出てこないで、出たと思ったらもう時間がないので急いで審議してくれと、これは国民が法案の内容を知る間もなく採決されるということにもなり、これは重大な問題だと思うんです。そういう意味できちんとした取扱いが必要だということをまず指摘を申し上げたいと思います。  それで、法案の内容について、一部では第三種、第四種郵便が廃止されるという報道もありまして、関係団体の間に疑問と不安が広がっております。  去る三月の七日に日本機関誌協会の主催で開催された懇談会では、この問題への強い危機感が口々に表明されました。例えば、日本消費者連盟は、機関誌を月に三回発送しており、三種郵便がなくなれば運動そのものも危機になると。心臓病の子供を守る会は、障害者団体の運動も機関誌が命だと。埼玉土建組合は、機関誌の発行を続けられるのか組合員に心配の声が広がっている、こういう声でした。  明日の午前中に我が党も準備させていただいているんですが、その懇談会にも既に様々な分野の二十数団体から参加の回答が来ておりまして、改めて関心の強さに驚いております。  片山総務大臣はこの問題について、衆議院で我が党の矢島議員に、公社が料金をまけるのがいいのか、別の公的支援があるのか等を含めて検討していると答弁されておりますけれども、この答弁は、現行の第三種、第四種のサービスが今後どのようになるのかをしっかり示した上で公社関係の四法案が提出されるんだという意味に受け取ってよろしいですか。
  181. 片山虎之助

    ○国務大臣片山虎之助君) まず、郵政公社関係法案の御心配をいただきましてありがとうございます。  四法案を考えておりますが、大変なボリュームがあるんですよね。二百何十の法案を全部直すと。そこで、今週ぐらいからほかの省庁との調整、法制局審査並びに与党との意見のすり合わせを始めておりまして、できるだけ今月中を目指して法案の取りまとめを行いたいと。しかし、大変なボリュームで、本当に毎晩、関係の職員、頑張っておりますが、できるだけ早く法案をまとめたい、御審議を仰ぎたいと、こういうふうに思っております。  そこで、三種、四種の料金の話でございますけれども、現在では国そのものがやっておりますからそういう政策料金を導入いたしております。公社になったときにどう考えるか。  それぞれ意味があって今の三種、四種というのは作っているわけでありますから、この意味については十分重く受け止めなければならないと思いますけれども、一方、公社の経営のこともありますし、それから、ちょっと今、宮本委員引用されましたけれども、政策的な優遇をするにして、料金で優遇するのか助成で優遇するのか、いろんなやり方がございます。その辺を含めて、法律にどこまで書き、政令にどこまで譲るか、これを含めて現在検討中でございますけれども、関係の団体の御心配は私も十分承知いたしておりますので、そういうことを踏まえた上での検討をさせていただきたいと思っております。
  182. 宮本岳志

    ○宮本岳志君 私は、公社自身が三種、四種のサービス水準を維持できるように制度設計するのが筋だと考えておりますけれども、少なくとも全体として国民のサービス水準の切下げにならないように、この点、切れ目がないように是非きちっと進めていただきたいというふうに思っております。  さて、本題の地方自治法の改正案に入ります。  合併協議会の設置手続の中に新たに住民投票の制度を設けるということが提出された法案の中に盛り込まれております。昨年秋の衆議院での議論でも、住民投票の対象をこのような場合に限定する理由として、合併については地方団体の存立そのものにかかわる問題ということで、住民投票になじむという答申がなされたと、こういう答弁がございました。  これは、昨年十月二十五日の地方制度調査会答申の第一の一の括弧一というところに、ただ市町村合併については云々とある、この部分以下の記述を踏まえた答弁だと思うんですが、局長、それでよろしいですか。
  183. 芳山達郎

    政府参考人(芳山達郎君) 御指摘のとおりでございまして、昨年の二十六次地方制度調査会の答申の中で、一般制度の下に市町村合併について、特に、正に地方団体の存立そのものにかかわる重要な問題であること、地域に限定された課題であることから、その地域に住む住民自身の意思を問う住民投票制度の導入を図ることが適当であるとされておるというところを引用したところでございます。
  184. 宮本岳志

    ○宮本岳志君 その地方制度調査会の答申を見ますと、ただ市町村合併については、一、正に地方公共団体の存立そのものにかかわる重要な問題であること、二、地域に限定された課題であることから、その地域に住む住民の意思を問う住民投票制度の導入を図ることが適当であると書かれてあります。この一と二と番号が振られている二点の指摘はだれも否定しないだろうというふうに思います。  政府も、市町村合併地方公共団体の存立そのものにかかわる重要な課題だと、そして地域に限定された課題であるという認識を持っておられると。これは、総務大臣、この認識は大丈夫ですね。
  185. 片山虎之助

    ○国務大臣片山虎之助君) そのとおりでございます。
  186. 宮本岳志

    ○宮本岳志君 それなら、なぜ答申どおりに合併是非についての住民の意思を問う制度を導入しないんですか、大臣
  187. 片山虎之助

    ○国務大臣片山虎之助君) それは、何度もまた御答弁申し上げましたように、関係の団体の意向を十分聞いた上でと、こういうことでございまして、関係団体の意向を十分聞きましたら、合併そのものの是非住民投票にかけるのはいささか問題があると、こういう強い御意見がございまして、地方分権推進委員会合併協議会の設置だけなら住民発議の一環としていいのではないかと、こういう御意見をいただきましたので、それに従ったところでございます。
  188. 宮本岳志

    ○宮本岳志君 確かにこの答申の中に、制度化に当たっては関係団体の意見を十分聴取の上とありますよ。しかし、その関係団体の意見を聞くというのは、この合併の可否についての住民の意思を問う制度を仕組む上で意見を聞けと、そういうことだと思うんですね、この趣旨は、この趣旨は。そんな協議会の設置についての住民投票の意見を聞けとはここに書いていないわけですよ。そういう意味では、この調査会の答申とも私は趣旨が違うと。  そこで、今回のような制度化がいかにこの趣旨からずれるかということを私はお伺いしたいんですけれども、この法案に基づいて、今回の皆さん方の提案している法案に基づいて合併協議会の設置をめぐる住民投票が実施された場合、合併賛成だという、そういう意思を示したい住民はどのような投票行動をすればいいのか。また、合併反対だという住民はどういう投票行動をすればよいのか。これは自治行政局長、お答えいただけますか。
  189. 芳山達郎

    政府参考人(芳山達郎君) 正しく合併協議会の設置の意義だろうと思います。  合併協議会の設置については、合併が前提となるものではありませんで、合併是非を含めて、合併に関するあらゆる事項を検討する場だという具合に位置付けております。  したがいまして、今回の住民投票制度は、このような合併協議会の設置に関して議会と住民の意思とが著しく乖離をすると、例えば、これまで平成七年に住民発議制度が発足して以来、五十一地域百件の発議がなされましたけれども、そのうち十五地域二十七件しか合併協議会ができていないというような状況をかんがみて、議会と住民の意思で著しく乖離がある場合に、住民の意思を尊重する観点から、改めて署名を集めて、署名要件をきつくして、そして住民の意思をもう一回取って、過半数の賛成があれば合併協議会の設置を認めるという住民発議の手続の一環として導入をするという具合に位置付けておるわけでございます。したがいまして、合併そのものの是非ではなくて、あくまで合併協議会の是非について住民投票をするという具合に我々は理解しています。  したがいまして、今後、合併協議会設置後に、先生、今御指摘がありました住民代表の参加を得るとか、ないしは協議内容についての情報公開の、情報の開示でありますとか、また原則公開でありますとか、住民説明会を開くということで様々な住民の皆様の御意見を聞くということがあり得ると、またそうしているという具合理解しております。
  190. 宮本岳志

    ○宮本岳志君 この答申には、住民が投票によりその意思を直接表明するという住民投票の制度化は、地方自治の充実を図るという観点からは重要な課題であると書かれてあるんです。  つまり、住民投票を制度化する意義は、それによって直接に住民の意思が地方行政に反映されて生きることにあるとはっきり認めているんですよ。それにもかかわらず、この答申に基づくと称してあなた方が出してきている住民投票は、自治体住民合併に賛成の意思表示もするわけでもない、反対の意思表示をするわけでもないという、そういうただ単に賛成か反対かを議論する場を置くだけであって、そういう意思表示ではないんだというような制度になっているんですよ。  これは私、住民投票で最も問わねばならないことを問わないでおいて、そして最終的に合併するかどうかという最も住民の意思を問うべき、直接聞くべきことは聞かないと、全くおかしな制度設計になっていると思います。  合併協議会の設置は、設置については、地方公共団体の存立そのものにかかわる重要な課題だが、合併するかどうかは余り重要な課題でないと、総務大臣、そんなふうに総務省はお考えなんですか。
  191. 芳山達郎

    政府参考人(芳山達郎君) 先生、二十六次地方制度調査会の答申で、先ほど先生が引用された、市町村合併について住民投票を導入することが適当である、その場合、自主的合併推進という観点から市町村合併特例法に位置付ける、特例法に位置付けるという形で位置付けて、その制度化をどういう形でするかは関係団体とよく協議をしなさいと。あくまで市町村合併についての手続は、地方自治法上、議会と首長さんの判断に今回任されております。  ただ、合併特例法上の住民合併協議会の中でどう位置付けるかと。これいろいろ地方分権推進委員会の御答申もあって、法案の制度化に当たってどういう形で入れようかという御論議関係団体としました。その中で、住民投票制度はまだ一般化についてはちょっと早いんじゃないかという御意見でございました。ただ、合併協議会については、要件について当初の五十分の一よりも重くした形で、改めて住民の御意見を聞いて制度化することについては御賛成されたということで今回の法案ができたという具合理解しております。
  192. 宮本岳志

    ○宮本岳志君 先週の我が党の八田議員の質問でも、また翌日行った参考人の陳述の中でも、合併の可否の検討は協議会でやるんだと、そういう宣伝を信じて賛成の投票をしたら、さっきキャンペーンという言葉も政務官から出ましたけれども、賛成の投票をしたら、設置の賛成の投票をしたら、その結果で住民合併に賛成しているかのように扱われ、協議会が設置されてもその検討内容はなかなか住民に知らされないという問題点がいろいろ指摘をされました。結局のところ、合併推進のネックになっている部分を解決して、自治体への押し付けを強めるねらいで考えられた法改正としか私どもはもう到底思えません。  去る二月二十日の憲法調査会の公聴会がございました。池上公述人が、地方自治法第七条にある市町村の廃置分合という規定を指摘をしておりました。ここにいる委員の皆さんもこのときの公聴会に出席しておられた方がたくさんいらっしゃいます。池上公述人が指摘した廃置分合という考え方を踏まえるならば、市町村合併手続にだけ住民投票の制度を作るのではなく、分割とか分立にも同様に適用できる制度にしなければ筋が通らないのではないかと私は思いますが、総務大臣、そう思いませんか。
  193. 若松謙維

    ○副大臣若松謙維君) 現在のいわゆる地方自治の在り方という議論の流れからすると、この二十六次の地方制度調査会答申、又は地方分権推進委員会の意見、こういったものを踏まえると、やはり市町村合併は自主的にしっかりやっていこうと、こういった議論が大勢でありまして、その中で住民発議の手続の一環としてこの住民投票制度が導入されたわけであります。  ですから、分割とか分立ということは特にちょっと、今の時代の流れからはちょっと違うのではないかなという、そういう認識をしておりまして、是非理解を賜りたいと思います。
  194. 宮本岳志

    ○宮本岳志君 地方自治というのは、憲法にわざわざ第八章と章を上げて、そして地方自治の本旨に基づいて進めると書いてあるんですよ。地方自治法の中に明瞭に第七条として廃置分合という規定があって、市町村規模をどうするかは地方自治体の固有の正に自治の内容なんですよ。それを、国の勝手な目標を立てて、そして国の価値判断によって制度を作り、一つの方向に誘導するんだと、そんな答弁は重大だと。  それならば、何を住民投票で決めなければならないことで、何は議会の権限に属するべきことか、そんなことはその時々の政府の都合で好き勝手に決めていいんだと、それが総務大臣総務省の考え方なんですか。大臣、いかがですか。
  195. 片山虎之助

    ○国務大臣片山虎之助君) それは正に国会が決めるんですよ。本来の廃置分合の手続は議会でいいんですよ、議会が決めれば。ただ、合併は大きな政策目標だから、合併協議会の発議をした場合に、うまくいかないときは、議会が否決したり長が付議しないときは合併協議会の設置住民投票にかけると、それは国会が国民の意思として決めるんですよ。それは正に立法政策の問題でございまして、国会で大いに議論していただければ十分だと、こういうふうに思います。
  196. 宮本岳志

    ○宮本岳志君 法として、私は正に憲法が示している地方自治の本旨に反するようなことは国会といえども決めるべきでないと、これは明瞭に指摘しておきたいと思うんです。  それで、調査会の答申に私は明瞭に反しているということも指摘をいたしました。また、参考人質疑の中でも、自治体の境界は住民自身の意思で決められるべきだと、地方自治の本来の在り方もそういうものだということも示されました。住民投票制度の本来の理念も今回の住民投票はやはりゆがめるものになっているということを指摘をしておきたいというふうに思います。  時間が限られておりますので、住民訴訟制度に次に移っていきたいというふうに思います。  この分野についても、これまでの衆参での質疑及び参考人の陳述によって政府案の問題点が非常にはっきりしてきたと思います。  十五日の与党推薦の参考人である石津弁護士はこう言いました。従前の裁判例を見てみますと、個人を被告とする四号訴訟を提起すると同時に、機関を被告として三号訴訟、つまり個人に対して損害賠償請求をしないことが違法であることの確認を求める訴訟でございますが、この訴訟を併合提起する例も出てきております。中には、四号訴訟を提起できるにもかかわらず、あえて三号訴訟を選んだという例もありますと陳述いたしました。  このような事例を総務省は承知しておりますか。それはどのような事例ですか。
  197. 芳山達郎

    政府参考人(芳山達郎君) ただいまの四号訴訟と三号訴訟との関係でございますけれども、個人を直接に被告とする四号訴訟を提起できる場合に、執行機関を被告として怠る事実の違法確認を求める三号訴訟のみが提起される例はあります。  具体的には、神奈川県のある市町村における住民訴訟におきまして、納税貯蓄組合への補助金支出が違法であるということで、補助金交付決定を行った予算執行職員であります収納課長に対して損害賠償を求める四号訴訟の提起が可能でありますけれども、それではなくて、執行機関としての市長を被告に、当該職員への損害賠償を怠る事実が違法であるという請求がなされた事例があることを承知しております。
  198. 宮本岳志

    ○宮本岳志君 三号訴訟というものがなぜそのように活用できるのか、今の事例に即して簡単に説明していただけますか。
  199. 芳山達郎

    政府参考人(芳山達郎君) 四号訴訟で追及、請求されます損害賠償請求権でございますけれども、地方自治法上の財産に該当するという具合に解されております。  そのため、四号訴訟で住民が追及しようとする損害賠償請求権について地方公共団体の執行機関が請求していない場合に、当該請求権の不行使、行使していないということで財産の管理を怠る事実と構成することによって可能であるという具合に解されておるところでございます。  したがいまして、四号訴訟の対象となる行為についても、三号訴訟により執行機関を被告として怠る事実の違法確認をすることができるという具合に思います。
  200. 宮本岳志

    ○宮本岳志君 大臣、聞いていただけましたか。この石津参考人指摘というのは実に重要なものだったと私は思います。住民訴訟制度というのは非常に柔軟な枠組みを住民の総意でうまく使いながら発展してきたものであります。それがこういう形で使われるというばかりでなく、実際にも行われていることが明らかになりました。  総務大臣は、四号訴訟では機関の責任が追及できないと繰り返し答弁されますけれども、少なくとも機関の責任についてはこのように三号訴訟で追及できるし、それを今までの四号訴訟と併用して提起することもできるということなんです。そうじゃないですか、大臣
  201. 芳山達郎

    政府参考人(芳山達郎君) ただいま申し上げましたように、三号訴訟における被告は当該怠る事実に係る執行機関でありますから、個人ではなくて地方公共団体の執行機関として責任を追及できるということでありまして、三号訴訟と四号訴訟の併合提起、先ほど御質問がこれございましたけれども、最近の事例で最高裁で認められたという具合なのは承知をしております。
  202. 宮本岳志

    ○宮本岳志君 大臣、よろしいですね、事実の確認。
  203. 芳山達郎

    政府参考人(芳山達郎君) ただいま申したとおりでございます。
  204. 宮本岳志

    ○宮本岳志君 大臣が、今度の法改正はやらないと機関の責任問えないんですよと、もう何度も何度も言ったじゃないですか。そうじゃないと。既に三号訴訟でやる、あるいは三号訴訟と四号訴訟を併用してやるということができると、これは与党がお招きした石津参考人が述べたことと今お認めになったわけですから。何かあるんですか。
  205. 芳山達郎

    政府参考人(芳山達郎君) それで、ちょっと舌足らずでございまして、三号、四号訴訟を併用するというのと今度の四号訴訟の意味合いでございます。意味合いでございます。  意味合いは、三号訴訟は被告を相手とするということで、違法であることが確認されるだけでございます。違法であることが確認されるだけでございまして、今回の四号訴訟においては、執行機関を被告としますが、義務付けがなされると。今回の場合は執行機関を相手にして義務付けがなされるということでございますし、義務付けの効果が、訴訟告知をしておりますので、三号はしておりませんけれども四号はしておりますので、一回ですべて執行機関と個人が、一回で解決をされるということが一点でございます。  もう一点は、あくまで四号訴訟がありますから、三号と四号の場合には、四号がありますから、個人の萎縮効果、今回の訴訟の一番のポイントであります萎縮効果、それの効果であります一つ、それも併せての効果、その効果は今回の三号、四号と今回の四号訴訟とは全然違うという具合理解をしております。
  206. 宮本岳志

    ○宮本岳志君 違法が確認されたら、あなた方は性善説に立っているわけでしょう。情報公開でも、いやいやそんなの出しますよと言っているじゃないですか。違法が確認されたら、当然そんなもの、その損害を求めるに決まっているじゃないですか。出しているところが違うなんて言ったって、説明になっていないですよ。  それで、私はこの四号訴訟の、あなたがつまり今回新四号訴訟なるものを作って訴訟類型の再構成などと言っているのは、実はこれまでの三号訴訟の一部を補強したようなものを新四号訴訟と称することによって、結局は現行の四号訴訟を廃止するということにほかならないと。私はこれが今回の改正案の本質だと思いますよ。  ここで、若干そのことをはっきりさせるために質問の角度を変えたいと思います。  大臣局長もこれまで審議の中で行政説明責任ということを今回の法案のメリットとして強調されてまいりました。自治体業務の適正さの確保という、訴訟を提起する側の目的の達成がより確実になるというのが本法案提案の立場だと思います。同時に、十五日の参考人の陳述の中では、先ほど局長お話になった訴えられる側の苦労を改善するということも言われました。  そこで、もう一遍確認しておきますが、今回の四号訴訟の再構成を行う主要な目的はこの二つのどちらにあるのか、訴訟目的の達成なのか、被告側の負担軽減なのか、どちらですか。
  207. 芳山達郎

    政府参考人(芳山達郎君) 今回の住民訴訟の改正でございますけれども、都度都度申し上げておりますが、二十六次の地方制度調査会の答申を踏まえて行うものでございます。この答申では、いわゆる地方分権一括法の施行によりまして、地方公共団体が自主的、主体的な施策の展開が求められる、またその責任を自覚した上で自らを律するという認識の下で、住民自治の一環であります住民による監視機能の強化が必要であるということを理解しております。  それで、今回、そういう観点から、答申の趣旨を踏まえて、差し止めを求める一号訴訟の対象範囲の拡大、原告勝訴の場合の弁護士費用の拡充、四号訴訟における地方団体の機関を被告として真正面に据えて説明責任を果たさせる、損害の補てんを図るというものであります。  今お尋ねありました四号訴訟の再構成は、被告側の負担軽減を主要な目的とするものでありませんが、地方公共団体の説明責任を強化するなど、地方分権の時代にふさわしい制度として再構築をする、併せて萎縮効果等の弊害を除去しつつその機能の強化を図ろうというものであります。
  208. 宮本岳志

    ○宮本岳志君 余りよくすっきりとは分かりませんが、説明責任が果たされるということも皆さん方から繰り返し言われていますから、では、この法改正で本当に行政説明責任が果たされるかどうかを議論したいと思うんです。  衆議院の審議では、昨年の十一月の二十九日、芳山自治行政局長はこう答弁しております。今度の新しい四号訴訟でございますが、地方団体を当事者とすることになりますと、不利益文書が存在しながら文書命令に従わない、文書を提出しないという場合には、被告であります執行機関等に訴訟上の不利益が生じます。法律上生じます。そういうことから、第三者としての参加に比べまして、地方団体に対する文書提出の効果が促されると答弁されております。  自治体が、機関自身が被告になれば、裁判で負けないようにするから文書の提出命令にも従うだろうと、こういう御答弁だと思うんですが、つまり、これからは自治体の機関自身が四号訴訟の当事者になれば、機関には裁判で負けないようにするインセンティブが働くと、このことは議論の前提としてお認めになるわけですね。
  209. 芳山達郎

    政府参考人(芳山達郎君) 今の点は都度都度申し上げておりますけれども、今回、地方等を被告とするということで正面に据えるということでございます。  これは、これまで個人であります職員であるとか長が被告になっておるわけですから、その面では文書も出ないと、出にくいと、ないしは訴訟の類型が個人と住民でございますので、地方団体全体に是正の効果が及ばないというようないろいろの面での不都合がございます。そういう面で、今回、地方公共団体の執行機関そのものを据えることによって説明責任を果たさせると、また是正の効果が地方団体全体に及ぶと。  我々、再三再四言っていますけれども、裁判所において文書の提出地方団体が果たさない場合には不利益の裁判になるというようなもろもろ考えて、今回の訴訟類型の再構成になったという具合理解をしております。
  210. 宮本岳志

    ○宮本岳志君 それは、原告の主張を、もちろんその裁判に負けまいとする自治体は、自分たちに誤りがなかったという証拠は、資料はなるほど従来よりも積極的に出すでしょうよ。しかし、その裁判で被告になることによって、原告の主張を裏付ける内容の資料が果たしておっしゃるように出るかと。それは、隠せば不利になるから出るはずだというのが唯一の答弁なんですよ。  ところが、そのような文書が存在すると裁判官にも分かっていて、おおよそ内容も知れているという場合は、それはそれを隠せば心証が不利になるでしょう。しかし、問題は、どのような問題が存在しているのかという情報自体が行政機関の外からは得られないということにあるんです。先ほど民主党の議員の方からの話もありました。  最近の外務省問題の経過を見ても、そのことはよく分かります。三月十四日の日経にこう書いてあります。鈴木宗男衆議院議員と外務省の関係をめぐる外務省の内部文書が次々と表面化している。十三日には鈴木氏が六年前、外務省職員に暴行を加えたとする文書も明るみに出た。鈴木氏との関係を清算したい外務省と、これを後押しする官邸の思惑も浮き彫りになってきたと。つまり、今まで隠されていた文書が表に出るようになったのは、外務省が宗男氏との関係を清算しようとする立場に転じたからだと。それまでは、ここで言われている暴行事件の存在自体が知られていなかったんですから、それを出すということも、だれももちろんこれ要求するはずもないんですよ。  私が国会に来てからのあなた方総務省、そして旧郵政省、対応もそうだと思います。役所が自分に不利な資料をいつでも誠実に出すというんだったら、我々は質問をするのに苦労しないんです。  昨年は、いわゆる高祖憲治参議院議員派の公職選挙法違反で職員が逮捕されるという事件がありました。その後で大臣は、各郵政局長や郵政監察局長状況を聞いたと。そして、浅尾慶一郎議員の質問にこう答弁しました。極めて顕著な服務規律の違反や公私混同はなかったというふうな報告を受けていると。そう答えたのを大臣、覚えておられますか、覚えておられますね。
  211. 片山虎之助

    ○国務大臣片山虎之助君) いや、話がいろいろ広がってきまして、結構なんですが。今までは個人が訴訟の相手、被告ですからね、地方団体の仕事としてやった、大多数は。にもかかわらず、個人が訴訟の当事者になる。個人の説明責任ですよ。今度は地方団体の機関そのものを相手にするんだから、地方団体の機関としての説明責任を果たすと。それが本来の在り方じゃないかというのが我々の考え方で、今までは地方団体は後ろに引いてますから、資料を出せといったら裁判所が一定の手続をやって、手間も暇も掛かるんですよ。今度は当事者ですから、もっと出やすくなる。それは全部出るか出ないか、それは訴訟のいろんなあれがありますからね。しかし、ずっと出やすい環境になって、ずっと出るというのが、我々が見ておりまして、その方が本来の在り方ではないかと。個人が個人の行為をやったんじゃないんですよ。地方団体の意思として、政策として、判断としてやったこと、これが争われるんですから、その機関なり団体としてのいろいろなやったことの説明は明らかにすべきだろうと、こう言っているわけであります。  それから、三号は怠る事実の違法確認なんですよ。四号とは全く違うんですよ。これはやらないことを違法だから解消しろという訴訟ですよ。四号とは全く違うんで、我々は四号も執行機関の責任にしているわけであります。
  212. 宮本岳志

    ○宮本岳志君 それは三号は四号と違いますよ。しかし、三号は機関相手にやる裁判でしょうということを言っているんですよ。それはそうでしょうと、機関相手に訴えられないとあなたがおっしゃるから、三号で訴えることができるんじゃないですかということを私は言っているんであって、それは違うから三号と四号と番号が違うんでしょうよ。  それで、私の聞いたことに答えていただいていないです。そういう答弁をしたことを覚えておられますかと聞いたんです。
  213. 片山虎之助

    ○国務大臣片山虎之助君) 私は資料がありませんが、あなたが資料を持って言われているんなら、そうでしょう、議事録にあるんなら。
  214. 宮本岳志

    ○宮本岳志君 つまり、あのときもそういう指摘をされても、結局その後、そういうふうにあなたは公私混同はなかったという報告を受けていると言ったけれども、その直後にこの東北郵政局で渡し切り費から裏金作っていたことも明らかになったわけですよ。  そういう一つ一つのことが決して自主的にあなた方から出てきているわけじゃないじゃないですか、大体ここの国会の場だって。それが、地方自治体がこういう事態になったら自分に不利な資料もどんどん出すようになるんですと。そんな説明は私はだれも納得しないと。現場でこの四号訴訟でやっておられる市民団体等々、到底そんなの信用できないというのは、私は明らかだというふうに思っております。  ちょっと事実の問題がいろいろここで問題になったときに、結局明らかにあなた方もしてこなかったということにかかわって聞くんですけれども、ついこの前の木曜日の私の質問についてもそうですよ。私は資料を配付して、NTT東西の説明と、そして総務省が出してきた資料とNTTの内部文書が明確に食い違っているということを指摘をいたしました。  あのとき問題になったことはこういうことなんですよ。あなた方が説明したように、依然として集計中だとNTTが答えたとすれば、二月の二十二日時点で集計中だとNTTが答えたとすれば、NTTは総務省にうその報告をしたと。既に一月の三十日には集計を終わっているのに集計中だとうその報告をしたということになります。そして、もしそうじゃないとすれば、総務省が決してNTTが集計中だと言ってもいないのに、私に集計中だと聞いているとうその資料を出したということになります。  これ、大臣、どちらがうそをついたことになるんですか、はっきり答えていただけますか。
  215. 片山虎之助

    ○国務大臣片山虎之助君) これは私が答弁したんじゃございませんが、委員質問の件につきましては、二月十八日の委員からの照会に基づきNTTに確認を担当の部局が行いまして、NTTから集計中であると回答が来ましたので、それをお答えしたものであります。  なお、三月十四日の総務委員会委員から御提示のあった対処方針の文書については、当方はその文書は承知しておりませんというふうに局長が答弁したのであります。
  216. 宮本岳志

    ○宮本岳志君 郵政のときもそういう内部文書の事実かどうかを確認していないというふうに言い続けたわけですよ。これもいずれ私は明らかになるときが来るだろうということを申し上げておきたいと思います。  大臣行政訴訟制度というのは住民自治体の機関の行動を直接監視すると、そのことで住民が納めた税金が正しく使われるような規律が働くようになることに意味があるんです。それを自治体が裁判の当事者になったときに、自分が負けるような資料を一生懸命出すだろうと。そんな想定が成り立つならば、最初からこんな制度はなくても大丈夫ということになるんですよ。そんなものを全部性善でやっているというんだったら。  十五日の参考人質疑で、私は、司法改革フォーラムという団体から「住民訴訟の見直し案は廃案に」と題する提言が昨年九月に発表されているということを指摘いたしました。このフォーラムのメンバーにはオリックスの宮内会長も名前を連ねておられます。宮内氏は旧総務庁の規制改革委員会委員長であり、あなた方もよく知っている方だと思います。この提言では、冒頭に本法案の内容が住民による地方自治の直接監視機能を空洞化させると指摘した上で、我が国でようやく根付き始めた草の根民主主義を一挙に後退させるものであると、こう指摘をしております。  片山大臣は、衆議院で、改正前の制度だと個人しか責任を問えないから機関の責任が問えないじゃないかと、それをまずはっきり問うて、その上で個人にも責任がある場合には賠償させると答弁しました。つまり、新しい制度では、今度の制度では、矢面に立つのは不正を行った個人ではなく自治体の機関そのものだということでいいですね。大臣、そういうことですね。
  217. 片山虎之助

    ○国務大臣片山虎之助君) そうなんですよ。地方団体の機関が被告になるというのか当事者になるんですよ。今までは個人が当事者だったんですよ。個人が当事者になるのと機関が当事者になるのでは資料の出方が違いますよ、それは。今までは局外者なんだから、訴訟参加しているかどうかは別にして。だから、大変な手間があって出にくい。今度は当事者ですから、そういう意味では大変出やすい環境になったということを我々は言っておるわけでございましてね。  しかも、その機関が仮に負ける、敗訴すると機関が個人に損害賠償するわけでございまして、それはもう委員よく御承知のとおりでございますので、今度は機関と個人を両方つかまえているんですよ。前は個人だけなんですよ。そこに我々は問題があって、地方自治行政の萎縮その他の弊害もあったと、こういう認識から、地方制度調査会の答申を得て、こういう制度を今回お願いしておるわけであります。
  218. 宮本岳志

    ○宮本岳志君 資料が出るかどうかというのは先ほどずっと議論をしましたけれども、自治体にとって不利な資料が出やすくなるというのは到底理解できない話なんですよ、それは。しかも、存在するかどうかはあらかじめみんなに分かっているわけじゃないんですから、それは。そのことは一向に説得力を私は持たないと思うんですけれども、確かに訴えられる側にとっての負担の軽減であることだけは一目瞭然だというふうに思います。  このフォーラムの提言の「自治体が組織をあげて弁護」という言い方の中に訴訟費用の問題も指摘をされております。  新四号訴訟では、被告の自治体が敗訴して個人への損害賠償を義務付けられた場合でも、自治体がその訴訟費用を個人に請求することはしないと。なぜ不正な財務会計行為を行って自治体を裁判に巻き込んだ者に訴訟費用を請求しないんですか。これはどういう理由ですか。
  219. 芳山達郎

    政府参考人(芳山達郎君) 住民訴訟が今度再構成されますけれども、住民訴訟になる前に住民監査請求が前置でなされております。住民監査請求がなされておりまして、住民の方は執行機関の方が違法、不正な財務会計行為をやっているという具合に主張をすると、地方団体の方は住民監査請求の段階では正しいということをしている、住民監査請求の段階では意見が合致していないということでございます。それが住民訴訟、監査委員の結果が出て、それに不服である住民が訴訟に持ち込むというわけでありまして、当然、執行機関である被告の方は、なぜ当該者に対して損害賠償を請求しないかと、しないのが正当かというのを主張するというのは住民訴訟の今度の類型でございます。  そういう意味で、自分の立場を、自分がそうしないという立場を主張する、自分の立場を主張する、正当性を主張するということでございますから、当然その判断、地方公共団体の判断、正当性を主張する判断については地方団体が負担するという具合に考えております。
  220. 宮本岳志

    ○宮本岳志君 だから、自分の立場を主張するというのは、その長なり個人に責任はないんですよという主張をするから自治体が負担するということになるんですよね。つまり、それが敗訴した場合でも、結局その裁判、それは事実、結局は判決が出た場合は、敗訴した場合は、そうじゃなかったと、その個人が悪いと、つまり自治体も被害者なんだということになっても、結局はその裁判費用を自治体が持つというところに、つまり、その個人の責任は明瞭に軽減してやるとか、外してやると、この今回の改悪だと思いますけれども、改悪の性質が如実に示されているというふうに私は思います。  それで、もう一つ提言の中で触れられていることがあるんです。  地方自治体が敗訴して、財務会計職員への賠償命令が出されても、責任を問われた会計職員が取消し訴訟を提起した場合には訴訟が二段階ではなく三段階になってしまうということが指摘されております。このような取消し訴訟を提起することは法的に可能ですか。
  221. 芳山達郎

    政府参考人(芳山達郎君) はい、可能であります。  今回の改正案で訴訟告知を義務付けておりますことから、第一回目の訴訟の効力は原則として長個人に及ぶということでありますが、賠償命令というのは財務会計職員でございまして、財務会計職員に対して第一回目の訴訟で賠償命令を出した、それに対しては職員の方は取消し訴訟をすることは可能であります。可能でありますが、第一回目の訴訟が訴訟告知をしております関係上、争う意味はない、争う実益はないということでございます。
  222. 宮本岳志

    ○宮本岳志君 その可能性はあるということですよね。だから、三段階の訴訟になって引き延ばされる可能性もこの中にはやっぱり法的には残されていると。  さらに、この提言はこういうことを言っております。訴訟の当事者となっている首長が裁判の途中で落選する場合もある。そうなると、一気に天国から地獄へと、これまで組織を挙げて自分を守ってくれていた役所が、今の鈴木宗男氏のように、逆に不利な材料をどんどん出されると。  自治体の首長が敵対的な立場の人物へと交代した場合、賠償請求の義務付けが争われている当事者はどのようにして自分の権利を守ることができるか、これをお答えいただけますか。
  223. 芳山達郎

    政府参考人(芳山達郎君) したがいまして、今回の訴訟においては被告であります地方公共団体の執行機関から個人であります首長さん、職員、その他に対して訴訟告知を義務付けておるわけでございます。訴訟告知を受けた当人については、四号訴訟で自らの法的利益を主張するために訴訟参加をすることができます。  御指摘のように、長が交代した場合にも当然訴訟に参加することができるということでございますので、個人の権利保護の面においても言われるような問題はないという具合に我々は認識をしております。
  224. 宮本岳志

    ○宮本岳志君 絶対政権交代はあり得ないと確信できる首長以外は、これは訴訟告知があった場合には訴訟参加せざるを得ないと。そういうときのためにということになってきて、実はこの提言は、個人が被告とされることの苦痛の軽減という問題についても結局根本的な解決になっていないと、こういう指摘もされています。  そして、提言はそのことを指摘した上で、「以上の分析を前提とすると、違法行為について身に覚えのある首長等以外にこの改正で利益を受ける主体は想定できない。」、これがこの宮内さんも加わったフォーラムの結論なんですよ。私は、こういう法案は、このフォーラムも提言しているように、国会の責任で廃案にすべきだということを強く主張したいと思います。  最後に、議員の派遣に関する規定、法の第百条の十二として整備することについて質問したい。  このような法整備をしなければ国内や海外の調査のための派遣はできないんですか、行政局長
  225. 芳山達郎

    政府参考人(芳山達郎君) 議員の派遣の制度でございますけれども、今回位置付けましたのは、二十六次地方制度調査会の答申の中で、地方議会の活性化を図るために、これまで明文の規定がありませんでした議員の派遣制度、これにつきまして今回法律で、議案の審査、当該団体の事務に関する調査、議会が必要と認める場合には、会議規則の定めるところにより、議員を派遣することができるという根拠規定を設けました。それをすることによりまして、議会の審査、調査機能及び議員研修の一層の充実が図られるという具合理解しております。
  226. 宮本岳志

    ○宮本岳志君 この法案が成立すれば、県議や市議の公費での海外旅行も大いに結構というようなことになるんですか。
  227. 芳山達郎

    政府参考人(芳山達郎君) この法規定は、今まで法規定の明確な根拠ないし規定がなかったわけですが、昭和六十三年の最高裁判決で、地方公共団体の議会の権能、議会の機能を適切に果たすために、その裁量で議員を本会議として派遣することができるということは既に認められております。  ただ、これまで全国三団体、全国都道府県議長会等から、この最高裁の趣旨に沿った法整備を図ってもらうようかねてから要請がございまして、一方、先ほど、地方制度調査会の御答申もありまして、今回法制度化をしました。これは国会法における議員派遣と同じ仕組みでございまして、地方団体の地方自治法にはなかったわけですけれども、今回そういう形で入れさせていただきました。  ただ、今御指摘ありました点は、当然、今回、議員の派遣は、先ほど、法の規定の趣旨にのっとって、議案の審査、事務に関する調査、これに資するような研修ということで、その限りにおいて行われるというわけでございますので、議会、議員派遣の目的が議会において必要と認められる場合に派遣されるということでございます。  今後、各地方団体においても今回の改正の趣旨を踏まえて適切に対応するように、我々としても努力をしてまいりたいと思っています。
  228. 宮本岳志

    ○宮本岳志君 我が党は、海外視察の名目で実際に物見遊山に近いことに公費が使われているということを厳しく批判をしてまいりました。私の地元、大阪の河内長野で八八年から昨年まで毎年、百数十万円の費用を使って議員の海外視察を実施しております。十四年間で二千万円です。もちろん、我が党の市会議員団はこのようなものには参加をしておりません。地方自治体が財政危機に苦しんでいる今、こういう経費こそ削減するべきだということを主張しております。  とにかくそういった批判が全国で巻き起こっているときですから、当然、こういう法改正をやったからといって、適正に調査目的を限定して行われるべきであるということを指摘して、私の質問を終わりたいと思います。
  229. 渡辺秀央

    ○渡辺秀央君 住民訴訟あるいはまた町村合併等々にまつわる議論大分細部にわたって、しかもまた何回かの巡回を得ているようでありますから、私は基本的にこの法律について、大臣、賛成の意を表しながら、若干問題があるところは後で民主党が修正案を出すようでありますから、そこはそことして、その外周りみたいなところを、ちょっと片山大臣の意見をこの機会に聞いておきたい、私の考え方も述べてみたいなと思っております。  許された時間の範囲内で質疑を交わしたいと思うのでありますが、最初に、市町村合併による市町村行政能力強化が行われ、かつ都道府県との関係を、これをどういうふうに考えるかということですよ。  地方自治法改正案の審議では、都道府県市町村の二層制の今後の在り方ということが取り上げられて都道府県市町村関係議論されておりますけれども、本来、市町村地域の公共事務の担い手であるはずなのに、いわゆる自治というのは本当は市町村ですわな。県を決して自治ではないとは言いませんけれども、本来的には自治というのは市町村単位なんであろうと。市町村地域の公共事務の担い手であるはずなのに、現実には都道府県市町村への補助金の配分や許認可の権限を握って、市町村は、余り言いたいこと言えないとは言わないけれども、かなり国に対しても県に対しても、本来の自治体という姿から少しねじれてきてはしないかと、この六十年間。そんな問題意識を私は絶えず今日まで持ってきました。  市町村合併によって市町村地方自治の担い手として行政能力を強化して、都道府県はいわゆる広域的な立場から市町村のサポートに徹するような将来像を考えて、両者の関係を少し整理、精査してみる必要があると考えるんです。それには、後で申し述べますが、税制の問題とか地方財源の確立とか、そういう問題もあるでしょう。  総じて、大臣、ここは政治家同士の議論の場でもありますから、総じて私は今、どうも国にももちろん権限が来てい過ぎるから、一局集中じゃないけれども中央集権ですから、日本は古来から、これは少し分権しようという意識で今始まっている。しかし、県にも、都道府県にもどうも権限が集中しているような感じがしてならない。  市町村会議員の言うならば来年は統一地方選挙もありますよね。やはり市町村、いわゆる地方自治体、これの権威、同時にその権能、権限、こういうものが分権によっても更に、あるいはまた自治体努力によって、あるいはまた地域の人たちとの相乗性によってもちろんでき上がるものでしょう。しかし、中央としての行政指導というか、あるいはまた考え方というものが非常に大事なところに来てやしないかと。  行政改革をやられている最中でありますから、そういった両方にらんだ行政改革をやっていかないと、どうも片手落ちになる心配がしてなりません。どんな考え方を持っておられるか、お聞きをしてみたいと思います。
  230. 片山虎之助

    ○国務大臣片山虎之助君) 今、渡辺委員言われましたように、二十一世紀は地方の時代、その地方都道府県でなくて市町村の時代、市町村中心地方分権地方自治を作りたいと我々は考えております。  権限につきましては、あるいは国の関与の縮小につきましては、二年前の地方分権一括推進法の施行によって大分私は事態は進んだと思いますけれども、しかしまだそれでは十分じゃありません。更なる権限移譲あるいは関与の縮小ということが図られなければならないと思いますし、それとあわせて、やっぱり税財源の移譲、国から地方への税財源の移譲、特に市町村への税財源の移譲というのが必要じゃなかろうかと、こう考えております。  そこで、冒頭委員が言われましたように、今の我が国の地方制度は二層制でございます、都道府県市町村の。この二層制をどうするか。私は、やっぱり相当長い間、二層制の維持はこれはそうでなければいけないと、国と市町村だけになりますと市町村が弱過ぎるということもありまして。今の市町村規模では、例えば公共下水道は市町村の仕事だったんですけれども、今はそんなことでは追い付かぬものですから流域下水道になっているんですよね。水道も水源の問題がありますから広域水道になっている。産廃の処理なんというのは市町村ではとてもできません。そういうことで、どうしても大きな広域的な仕事、市町村でできない補完的な仕事、調整的な仕事は都道府県がせざるを得ない。  そこで、市町村が今回の合併推進によって仮に千なりそれに近い数字に再編成されるとすれば、都道府県の今のままの四十七で残しておく必要があるのかどうか。もっと大きな中間的な広域的な自治体というのが要るんではなかろうかと。道州制だとか連邦制だとかいろんなことが言われておりますけれども、そういう新しい都道府県の在り方について、市町村合併と並行して議論を始めるべきではなかろうかと。  こういうことでございまして、地方分権改革推進会議や今度の第二十七次の地方制度調査会でその議論をお願いいたしたいと。総務省の中には有識者による研究会を作っておりまして、そこで議論を始めておりますけれども、是非今から議論をスタートさせたいと、こういうふうに思っている次第であります。
  231. 渡辺秀央

    ○渡辺秀央君 今言われたように、かなりの時間は必要とするであろうし、あるいはまた、正に明治維新の廃藩置県じゃありませんけれども、いまだにまだ昔は何々藩であったとか言われているわけですから、なかなか容易ではないと思う。しかし、しかしやはりあるべき国の姿というものの基本は、その市町村あるいは地方の積み上げが日本の国の国体ということになるわけですから、そういう意味ではやっぱり今おっしゃったように今から議論をしていくべきだろうと。  これは絶対に回避してはならない。むしろ積極的に議論をしていくことによって、将来像あるいはその地域による意欲というのが助長されてくる、あるいは地方にそういった一つの大きなパワーというのができるとするならば、後ほども若干述べますけれども、有能な人材がおのずとそこに集約されていく、あるいはまた吸収されていく。中央にだけ優秀な人間集まって、地方は二流、三流だなんというようなことであってはならぬわけで、むしろ地方にこそ一流、二流の人材が集まるということが大事ではないか。そのための一つの問題として、私は、今そうだというわけじゃありませんよ、ありませんが、しかしそういうことを懸念しながら、かつよく聞く話として、いや、先生、町村合併はいいが、それだけの権限を移譲されてもいいけれども、今その権限をさばく人材がいないですと言われますな。これはどこでも言われる。それは、すなわち地方自治体のたゆみない努力が足りない、あるいはまたそういう人材を中央で考えていく。昔のようなただ出向みたいな意味じゃなくて、有能な人材を吸収、呼び込むような、そういう意味で有能な人材を地方に派遣する、そういうことがあっていいのではないか、そういう観点から私は先ほどの意見を申し述べてみたわけであります。大臣の今お考えのように、是非ひとつ進められていくことを期待をいたしてまいりたいと思います。  同時に、市町村合併によって、デメリットとして、合併後の、いわゆる市に町が合併される、村が合併される、中心部と周辺部との地域格差が生ずることが挙げられて、余り賛成しないというようなことがありますよ。余りいい感じを持っていないということが今の状態でしょう。  具体的には、周辺部の行政サービスが低下するのではないかという懸念であります。それに加えて、更に私はもう一つは、治安の悪化が社会不安の増加ということ、これ、懸念いたしますね。同時に、町村合併合理化である。ある意味においては行政改革だ。あるいはスリム化していかなきゃいかぬ。    〔委員長退席、理事景山俊太郎君着席〕  だから、今まで駐在所は一人駐在所があった、これはどうも要らないんじゃないかというようなことによる、今はもう、大臣の里なんかどうか分からぬが、私らの方は昔は年じゅうかぎなんか掛けたことはなかったですよ、本当に、一軒のうちで。奥さんが買物に出るといったって、かぎなんか掛けて出ませんよ。今はどんなところだってかぎ掛けて出なかったら用心ならぬ。要するに治安、これは決して外国の人たちが大勢になったということだけを指して言うわけではありません、断っておきますが。しかし、そういう意味では、社会不安の一つとして、どうも人心が安定していない、政治の責任もあるでしょう。  そういった問題点を考えてみると、やっぱりそういう治安に対する、過疎化のときには一応一人駐在があった、二人駐在があったが、今度はなくなるということにならぬように、住民の不安を是非これは一掃しておかなきゃいかぬのではないかと。町村合併を進める上で国民の生活をしっかり守るという国の基本的な任務にのっとっての、いやしくも地域の警察力を低下させることのないように、これは主務大臣でないにしても、しかし国務大臣としてそういうことも考慮されるべきではなかろうかと思いますが、今は正にそんなことを国会の場で話し合わなきゃならないほど、社会的に治安が維持されている国家と言えなくなってしまった。非常にお互い情けない状態ですけれども、一言意見がありましたら申し述べてください。
  232. 若松謙維

    ○副大臣若松謙維君) 片山大臣はたしか岡山県でありますが、私は実は犯罪率が一番高いと言われます、というよりも警察の配置率が一番少ない埼玉県でありまして、今、委員の御指摘が本当に大事な切実な問題になっているわけであります。  そういった住民の不安に対応するためにも、やはり地方自治の強化というのはいや増して必要なのかなと、そういう認識もしておりまして、やはり総務省、さらには国家公安委員会等、不断の連携等も図りながら治安の向上、強化、そういったものにしっかり対応しなければいけない、そのための自治強化も図っていかなければならない、そのように認識しているところでございます。
  233. 渡辺秀央

    ○渡辺秀央君 いずれこの問題は、警察の最近の不祥事の問題等も多々あり、これは行政監視委員会とかそういうところで一応また別の機会にしたいと思いますが、しかし、町村合併に絡んだ問題として、やっぱり総務省としてテークノートしておくべきことであろうと。非常に小さい問題の指摘でありますが、大変、今の副大臣の答弁で私は満足をいたしております。  今進められている平成の大合併は、あくまでも自治体の自主的な合併をいろんな合併支援策をもって推進するという形で一貫しておられます。進めておられるわけでありますが、しかしながらこの方法では、合併に真剣にならなければそれまでということになりかねない。どっちでもいいよ、住民の考え方でどっちでもいいよと。しかし、私も相当連立のときにうるさく言いまして、当時、自治省、当時の自治省にこの合併推進をもっと積極的にやるように私は申し上げた張本人であります。そういう意味では、真剣に取り組む県とどうもそうでないところとある。だから、それは是非総務省として監視をしていかなきゃいかぬことではないかなと。推進本部を作ったからいいというものでもなかろうというふうに私は思います。町村合併に反対される人たちもいるけれども、私は推進者として、是非、これは真剣に取り組んでいる県に対して、大いに国の行政の方針ということで、重要な国の行政の方針ということで強力に進めていかなければならないことだろうと思うんです。  後ほど、合併推進のための言うならばメリットとデメリットをお聞きしますが、今の状態で三分の二近くが町村合併の協議に乗っているということもよく分かっております。よく承知しておりますが、しかしながら、いわゆるさっき大臣がどなたかの、大臣でしたか副大臣だったか、どなたかの質問でお答えをしておられましたけれども、協議会をやれということを勧めているんだと、何も今すぐ合併をやれということじゃないよと、こういうことを暗ににおわせた答弁をしておられた。私は、そこは、やっぱり合併をして、国としてもうとにかく全国で三千を千にします、あるいは五百にする目的でやりますということを明確に、方向あるわけですから、そうしたらそういう方向で、知事さんだって、一生懸命やっている知事さんと、まあどうでもいいやというような知事さんとは言わないが、比較的控え目な知事さんとありますよ。それじゃちょっと困るんじゃないかなと思うんですけれども、今の段階で、町村合併の現況はよく分かっていますが、そういう問題についてどんな感じを持っておられます。
  234. 若松謙維

    ○副大臣若松謙維君) 御存じのように、地方自治のある意味で自治権とでも言いましょうか、それは憲法九十二条でも保障されたお話でありますが、しかし今非常に財政状況が厳しい、さらに住民のニーズも高まっているという様々な諸要素を考えれば、やはり地方自治体のいわゆる機能、そして能力の強化、これは図らなければならないと、そう認識しております。    〔理事景山俊太郎君退席、委員長着席〕  そういうことを考えますと、やはり今、総務省としても、三千二百の市町村自治体があるわけでありますが、やはり市町村合併等は進めていただくべきであると、そのように認識しておりまして、先ほどの合併支援本部またはリレーシンポジウム等、様々な施策を通じながら市町村合併推進のために各自治体に御努力を願っているところであります。  そういう意味で、都道府県によって市町村に対する取組の姿勢等に差があるのは事実でありますが、総務省としては、可能な限り、先ほど九十二条の話があるわけでありますが、それを踏まえて、しかし時代を見極めて市町村合併しっかりと対応していただきたい、そのような思いでございます。
  235. 渡辺秀央

    ○渡辺秀央君 副大臣、それはもうもちろん分かって質問しているんですけれども、私が言いたいことは、いわゆる国策として取り組んでいるんだから、それは地方自治法があり、憲法でこうなっているというようなことではなくて、国として、今の政府としてこういう方針で臨んでいると。それに対して都道府県知事が賛成するか反対するかあったっていいと思うんですよ。だけれども、賛成するところに対してはしっかりと強力に推進してもらって、そこに対してどういうメリットがあったのかという実証を早く上げていかなけりゃ、後から付いてくる気なんて出てこなくなっちゃうよ。後から一生懸命やろうという県がやる気がなくなってしまったのでは何にもならないので、老婆心ながら申し上げておるわけであります。  現行の地方自治法では、政令指定都市、中核都市特例市という一定の人口規模を有する基礎的自治体について都道府県から権限を移譲する制度があり、政令指定都市の要件、中核市要件の緩和が現在議論されている。政令指定都市要件の緩和については我が新潟県などはその対象に入ってくるようであるけれども、その内容についてちょっと確認をしておきたいと思うんですが、局長、いかがですか。
  236. 芳山達郎

    政府参考人(芳山達郎君) 現行の政令指定都市は三十一年に制度化されましたけれども、これまで、その沿革もありまして、当初の指定五大市において、人口や行財政能力との関係でそれと同等の都市指定するということでこれまで指定をしてきておるわけでございます。  ただ、今度の合併との関係で申し上げますと、政令都市への移行に伴って都市機能の権限移譲が図られるということもありまして、市町村合併特例法が適用される平成十七年三月までの間に大きな、大規模市町村合併が行われ、また関係合併市町村また関係都道府県の要望がある場合には政令都市の弾力的な指定検討するというようなことで、昨年八月の市町村合併支援プランにその旨を盛り込んだところでございます。指定都市の弾力化ということでございます。  具体的に、現在、大きな合併として静岡の清水と静岡の七十万以上の合併がございますけれども、そういうところの強い要望がございますが、今後、今、先生御指摘の新潟市が今後どのような合併を行っていくのか、ないしはどのような規模になるかというのは定かでございませんけれども、具体的には、今後、各地域における合併規模なり関係団体の要望、関係県の意向、そういうのを踏まえながら具体的個々別に御案内してまいろうということで考えております。
  237. 渡辺秀央

    ○渡辺秀央君 それが大事だと思うんです。ありがとう。そういう個別的にやっぱり聞いてみる必要はあると思うんですね。  それで、私はもう一つ都道府県から権限を移譲される市については、最も移譲事項が少ない特例市でも人口二十万人以上なければならない。地方合併を進めてもなかなか、二十万以上の市になるということはなかなか難しいんですよね。市町村合併を進めても都道府県から権限を移譲されるような行政能力の高い市にはなれないとなると、さっき若干申し上げたように、地方市町村合併はなかなか同時に進まなくなってしまう。  そこで、私は、これは前から私が言っていることなんだけれども、これは私の私見であります、十万人以上というのもやっぱり考えたらどうですかと前から、総務省の以前の自治省のときから僕は言ってきているわけだね。それ、何らかの形で考えられませんかということを是非研究、今日はここでもちろん考えますとは言えないでしょうが、それは研究ぐらいしてみていただいたらどうかなというふうに思いますよ。それが現実に大規模合併に進めていく手順になると思う、そういう意味では。意欲は出てきますよ。それ、是非、片山大臣のときに私は期待をしたいなと、こう思っております。合併によって新しい地域づくりが課題になるから、現行の特例市並みに都市計画などに関する事務や環境保全行政に関する事務について一定の権限を移譲しても、この十万人ぐらいのところにですよ、例えば、例えばです、そんなことでいいのではないかというふうに考えております。見解を伺いたいと思います。  それからもう一点、立ったり座ったりもあれですから、もう次のことを申し上げます。  地方において合併が進んでくると、過疎地域とそうでない地域合併というのは私ども新潟なんかではかなり多くなるんですね。ほかのところでもそうだと思う。過疎法上の合併特例によると、過疎地域市町村を含む合併があった場合には、合併市町村が過疎地域に該当しない場合であっても、合併市町村のうち旧過疎地域のみを過疎地域とみなして過疎債など過疎法上の措置が適用される。これは豪雪債も同じだと思う。これらの支援がきちんと旧過疎地域のために活用されるように制度的にこれ保障というか担保をしてやらないと、おれら今まで、村の方が財政楽だったと、過疎債はあるし、それから特別豪雪債もあると。こういうことですよ、はっきり言うと。  だから、それは心配要らないよという、制度は私は分かっているんですが、分かっているんですよ、だけれども、それをやっぱりきちんともう少し分かるように、心配ないように、村長が余り賛成していないからPRしないのかも分からぬが、あるいはまたそういうこともあるかも分からぬけれども、だけれどもそれは地方議員に、地方議員に、村会議員、町会議員だ、そういうところの人たちが、まあ不勉強さもあるけれども、分かるようにそれは総務省で少し県を通じて指導するかなんかしたらどうでしょうか。  以上の二つの点、いかがでしょうか。
  238. 片山虎之助

    ○国務大臣片山虎之助君) 今、二点渡辺委員から御指摘ございました。  今、市町村の制度も全部同じじゃございませんで、政令指定市、それから中核市、特例市と、こうなっておりまして、政令指定市は、法律上は五十万以上でございますが、運用上は百万か百万になる可能性のあるところと。特例市はいろんな要件あります、中核市は、いろんな要件ありますが、人口は三十万以上。特例市は二十万以上と。  そこで、今、渡辺委員は十万を作れと、十万以上を作れと、こういうことでございますが、例の骨太の方針、経済財政諮問会議の骨太の方針では、団体規模に応じて責任や仕事の量を変えたらどうかと、こういう提言をしておりますし、今これだけ人口や力に差がある全国市町村幾つかの制度だけでやるということにはやや無理がありますですね。  だから、そういう意味では、できるだけ、差別化でもないんですが、実態に応じてと、こういうことで仕事や責任を変えてきているわけでありますけれども、十万以上と十万以下というのは一つの、交付税上は十万が標準団体なんですよね、市町村の。そういう意味で、十万以上の市について何らかの差別化といいますか権限や責任の付与を考えるかということは私は研究してもいいと、こう考えておりますから、研究対象にさせていただきたいと思います。  それから、過疎地域と過疎地域でないところが合併した場合に、全体が過疎地域の要件を満たせば過疎地域なんです。これは当たり前ですね。ただ、全体が過疎地域の要件を満たさない場合でも、一定の条件を満たした場合には合併促進の意味で過疎地域にしているんです。過疎地域と一緒になって、過疎地域の要件を満たせばいいんですよ、満たさない場合、そこで、満たさなくても一定の要件以上の場合には、人口だとか財政力指数だとか施設整備の面で過疎地域にしておりまして、しかしそれにも該当しない場合には、申し訳ないんですが、従来過疎地域であったところだけが過疎地域、残りは過疎地域以外の扱いにさせていただくと、こういうことでございまして、一定の要件を満たすものについてそういうことにしましたのは、やっぱり合併促進の意味で、合併特例優遇としてそういうことにいたしているわけでありますから、具体的にいろんなあれがありますれば、十分検討させていただきます。
  239. 渡辺秀央

    ○渡辺秀央君 大臣、ありがとうございます。大変、その十万人以上というのを検討していただけるということは大変うれしいことでありますし、現実的になっていくと思います。  もう一つは、地方分権推進地方公共団体の自主性、自立性を高めて、地域の実情や住民ニーズに合った行政を展開する必要性があるとともに、一方では地域を支えるいわゆる多様な人材、さっきの人材問題でありますけれども、有効活用、育成を図り、簡素で効率的な組織を維持しながら、地方行政の高度化、専門化や行政需要の増大に適切に対処する必要があると思うんです。  近年においては、行政需要の変化、ニーズの変化に対応したスクラップ・アンド・ビルドにより、より地域における行政需要を反映したものとするために適切な職員配置に努める必要がある。少子高齢化社会を迎えて、教育、福祉、介護など、重点的な対応を迫られている分野もあります。  こうした環境変化においては市町村合併は避けられない流れであるけれども、行政効率化はまた同時に至上命題であります。地方分権による権限移譲の次はいわゆる地方財源問題でありますけれども、実際には、その受皿である地方公共団体における、先ほど申し上げた、人材を確保していなければ絵にかいたもちに終わってしまうということだと思うんです。こういう需要に対して、合併に伴う市町村における体制整備に関する基本的な理念をお伺いをいたしたい。  もしも地方での人材育成のための積極的な人材派遣であれば、先ほど私申し上げた、中央から地方への中央官庁職員のこの問題、その中央から地方に人を行かせるということに賛否両論あると思うんですが、先ほど私が言った、有能な人材を誘導する、吸収していく、あるいはまた先兵となって行く、そういう意味の役柄としてこの派遣を大いに考えたらいいんじゃないか。今までは交換でしたよね、地方自治体と中央のね。交換ではなくて、そういう観点で考えてみたらどうだろうかというのが私見であります。  ちょっとお考えがありましたらお聞かせをいただきたいと思います。
  240. 若松謙維

    ○副大臣若松謙維君) 実は私、埼玉の上尾に住んでおりまして、その隣のさいたま市が今政令都市を目指して頑張っておるわけですが、やはりそういう市町村合併をやっているところは有能な人材も集まるようになっているんですね。これは鶏が先か卵が先かの議論もあるわけですが、やはり反対に、市町村人口規模が少ないところはなかなか人材が確保できないと、委員の御指摘のあったところでありますが。  いずれにしても、この市町村合併をしっかりやることによりまして市町村の行財政基盤をしっかり強化すると。あわせて、管理部門の効率化も図られながら、その自治体が提供するサービスは大変良くなると。こういったことが可能となるわけでありまして、どうしても小規模町村では、例えば設置困難な専任の組織とか職員の配置とか、また専門職の採用ですか、増強、こういったところがどうしても限られますので、やはり市町村合併というものをしっかりやって、その基礎的自治体をしっかりと強化するという観点の延長線で私はこの人材の確保は図られるし、そのためにも総務省はしっかり応援していかなければいけない、そのように認識しております。
  241. 渡辺秀央

    ○渡辺秀央君 どうぞ、そういう認識でいいと思うんですが、今、最後におっしゃったそういう認識でやっぱり指導をしていくということが大事だと思うんですね。いい人間をその市役所に例えば行かせたら、そのいい、すばらしい人間がすばらしい人間をまた呼びますよ。そういうものだと思うんですね。是非検討していっていただきたいと、地方分権と絡んで人材の確保ということは至上命題だというふうに思います。  もう一つは、ちょっとこれは少しリアルになるか分からないんですが、大臣、国家公務員の営利事業への再就職については、国家公務員法によって人事院の事前審査があって、一定の規制が掛けられている。しかしながら、地方公務員についても同様の問題が指摘されて、さらに、公務員の中立性、全体の奉仕者性を脅かす問題であって、昨今の贈収賄問題にも類似のケースが目立っておりますが、政府行政改革大綱にも、これは平成十二年のやつですが、地方公務員制度の抜本改革として、国家公務員のみならず地方公務員による再就職に関する合理的かつ厳正な、厳格な規制がうたわれております。  確かに、単に天下りを規制するに当たっては、定年制延長、早期退職勧奨制度など公務員の昇進の仕組みとの絡みもあって、総体的な制度の改革が必要である問題でありますけれども、総務大臣として、これ何らかの指針を作成するなり、国だけでなくて地方も含めた考え方をしないといけないのではないかと。  というのは、具体的に言いますと、大臣地方の県庁の役人が予算配分権を持っている、具体的に言うならば。その持っている人が四月までの予算執行をやる。言うならば、五月に退職です、六月退職ですと。予算執行をやる、その執行の恩恵に浴するというか、浴するその企業に、もう二か月後にその顧問だとか、いや何だとかというので行くんだな。これ、地方はどうしてこういうことが短絡的にやれるのかね。これ、物すごい問題だと僕は思っている。  ちょっと、地方の私は警察がもうお粗末だというのはもう前からあれしているんですが、今度少し行政監視委員会指摘しますけれども、いわゆるこういうことはその公務員のモラルの問題でもありますけれども、同時にこういったことは常識なんですね。しかし、きちんとした歯止めができていないからやられちゃうわけですよ。それはひどい話が、建設関係なんかひどいですよ。新潟県のことを言っているんじゃないですよ、断っておきますけれども。断っておくけれども。それは本当に、私も今や全国区の候補者でありますからね。正に入札をさせてその指名に入れたところに天下りに行く、そんなことが、ちょっと非常識じゃないか。国民をなめている。しかし、地域の人たちは知りませんから文句言わないんですよ。僕はこういうことはいかがかと思うね。だから、ここら辺が正に中央におけるいろんな問題にも波及している、そういう感じがしてなりません。  地方自治地方行政というのを預かる総務大臣として、いかがお考えですか。
  242. 片山虎之助

    ○国務大臣片山虎之助君) 公務員の天下り問題というのは本当に古くて新しい問題でございますが、国の場合には今大変な議論になって、特殊法人改革絡みでいろんな検討がされておりますが、地方公務員の天下りについては法律上の規制はございません。それから、中央と比べてみますと地方にはそんなに物すごくいいポストがたくさんあるわけでもないような気がいたしますし、ほぼ定年近くまでいきますね、地方の場合には。中央はもうかなり早くから間引かれるというんでしょうか、勧奨退職と、こういうことになるんで、中央とは少し違うと思いますけれども、しかし、今、渡辺委員言われたように、大変目に付くようなひどい例もないわけではないと思います。  そこで、今、幾つかの団体では、例えば一定期間はその地方団体に対する営業を自粛するとか、あるいは毎年度の地方団体の退職者の再就職先を公表するとか、情報公開で、そういうことを始めておりまして、私の岡山県庁なんかも一定期間は営業を禁止する、例えば土木部の職員が建設会社に行った場合に県庁への営業は禁止させると、こういう措置を取っているようなところもあって、大分様子は変わってきたなと、こういうふうに思っておりますけれども、今、委員が言われましたように、やっぱり自主的な措置は措置として、当方で何らかの指針的なものを示してそれを周知して、できるだけ地方住民の皆さんから批判されないように、そういうことはこれから検討させていただきたいと、こういうふうに思っております。
  243. 渡辺秀央

    ○渡辺秀央君 これ、本当に大臣にそういう認識を持ってもらっているということはすばらしい。是非その知事に、あるいは県庁から発表させたらいいんですね。この人は何年何月定年、半年ぐらい前になって、一年ぐらい前に、定年です、どこに就職というか再就職の予定であります、顧問であろうと何だろうと。そうすることによって、同じ業界でも監視の目が行き届くんですよ。そうでないと、なめたことをやりおるんですな。やりおるですなというのは、この表現、標準語でなくて悪いですけれども。是非ちょっと検討を約束していただいたんで、大変僕は期待をいたして見詰めてまいりたいと思っております。  最後に、もう時間が迫ってまいりましたので、もう一つ、首長の多選問題を本当は申し上げたかったんですが、前にもこの場で一回大臣にも申し上げていますので、そのことよりも今日は島嶼振興について、島、これは、町村合併をやっていきますと、これは、今度また翻って我がふるさとに帰ると、佐渡島なんというのは、これ全部一つ町村にしようかとやるわけですな、市にするかということですよね。そういう、私は、島にこそ日本が残っている、日本の国が、自然あるいは人情あるいは文化、伝統、もう本当に島にこそ我々の先祖、日本の民族のそういういろんなものが、これは北海道から沖縄の石垣島に至るまで残っていますよ。それらを次の世代に残していくのには、島というものを、これは所管と若干違うにしても、自治体としての考え方の中で是非とらえていただきたいというので申し上げているんですが、私は、島振興議員連盟というのを仰せ付かって今やっているんですよ、超党派で、超党派でやっているんですが。  ヨーロッパは、大臣、消費税取っていないんですよ、島は。それはどういうことかといいますと、どういうことかというと、税は公平なりというでしょう。公平ということは、あくまでも基盤がまず公平でなきゃいかぬ、だから公平感が出るわけでしょう。島というのは、持っていくことによって、輸送することによってコストが上がるわけですよ。上がったところから消費税五%をと、こうくれば本島よりも高い消費税を払っていることになるんです、島民は。いや、その分は交付税で見ていますよ、いや、島振興策の一環として見ていますよといっても、個人の生活と間接的ではあっても直接関係はない。  私は、これだけ西欧化してきたり、あるいはまたアメリカナイズされてきた我が国の将来を考えていくと、本当に文化、歴史、伝統あるいは人間性というものは、島国根性とかということもよく言われてきた、しかし、だけれどもそれは悪い点でもあるし、またいい点でもあるわけですよ。こういうものを残していくのには、やっぱり行政の中で考えていくべきではないかというふうに思うんです。  そういう意味では、この島に対しての、島の合併、島の中での町村合併、これは推進をしながら、かつ手厚いことを全く同じように考えていかないで、局長なんか面倒くさいからみんな同じだなんて言っちゃ困るんだ。そうじゃなくて、そうじゃないと思うけれども。日本の国というのは、大臣、これ官僚社会主義国家だから、みんな同じように考えちゃうんだから楽でいいんだ。  だけれども、もうそんな時代じゃないですよ。やっぱり税金だって地方によって違ったっていいと思う、僕は、極端な話が。あるいはまた観光税だって取ったっていいと思うんですよ。だけれども、それはその地域の判断によっていいと思うのに、そんなのを国が、財務省、抑え付けるのはおかしいと思っている。もっとフリーにしたらいいですね。そういう意味では、島に対して、是非総務省のこれからの島振興に対しての御見解と決意を伺って質問を終わりたいと思います。
  244. 若松謙維

    ○副大臣若松謙維君) 答弁させていただいてよろしいでしょうか。  先ほど、佐渡島の話がありましたが、実は、一昨年でしょうか、衆議院の総務委員会でも利尻島に行って、視察で行ってまいりました。利尻島が丸い島なんですけれども、町の中半分に割れておりまして、同じ規模で町が二つあるんですね。島の活性化ということを考えますと、やはり基礎的自治体はしっかりした方がいいのかなと。そういう意味では、市町村合併はやはりしていただいた方がいいのではないかと理解しております。  もう一つ、じゃ伝統芸能とか伝統文化、これもどうしても自治体が小さくなるともう目先のいろんな細かい住民ニーズの対応に追われて、しっかりともう本当に大事な伝統を後世に残すとか、そこまで余裕ないと。そういうことを考えますと、そういう伝統の保存とかそういったことは、やはり自治体はしっかりした、正に合併も進めた方が私はその保存が強まるんではないかと、そのように理解しております。  そのような考え方から、総務省といたしましても、昨年の八月に政府市町村合併支援本部で決定いたしました市町村合併支援プランというのがあるわけでありますが、そこに離島道路整備事業、また離島推進特別事業、こういった事業を盛り込むことをしておりまして、あわせて、離島の合併について特段の配慮をしているところでございます。  そして、先月の市町村合併支援本部の第四回会合におきましても、この委員会でも申し上げましたが、市町村合併支援についての当面の方針、ここにつきましても、各省庁と連携して更なる島への支援プラン等の拡充についても検討していきたいと、そのように考えております。
  245. 渡辺秀央

    ○渡辺秀央君 時間が参りましたので終わりますが、我が国は七千から成る島ででき上がっているわけですね。大体、人間が住んでいるのが、島に住んでいるのが五十万人ぐらい、非常に少ないですね。しかし、だけれども大事なことだと思うんです。そういう意味で、是非、今、副大臣おっしゃったように、総務省としてしっかりと取り組んでいただきたい、期待を申し上げて質問を終わります。  ありがとうございました。
  246. 又市征治

    ○又市征治君 社民党の又市でございます。  提案されております法案の関係で、まず初めに住民訴訟をめぐる改正についてお伺いをしてまいりたいと思います。多々議論がありまして、残された問題について幾つか確認をしていきたいと、こう思っています。  まず第一番目に、下関フェリー訴訟についてお伺いをいたしてまいります。  よく例に挙げられる今度のこの下関市の日韓フェリーの訴訟については、広島高裁で二〇〇一年五月に出された判決は、元市長に三億四千百万円という莫大な賠償を命じたものと、こういうことに伺っています。この事件は、第三セクターである日韓高速船株式会社という、この会社が作った負債を、市が保証する義務がないにもかかわらず肩代わりをしたということが問われたものだと思います。採算が明らかでない事業に第三セクターを通じて自治体が進出し、赤字を公金で穴埋めをするというルーズな会計支出の典型だったんだろうと思います。  ところが、この事例が今回の法改正案提出の、つまり被告を首長等の個人から機関に変えるという案の動機になっているというふうに言われていますけれども、支出は議会の同意を経ているし、これだけの大金を元市長個人に賠償させるのは無理だという、こんなことも言われておりますけれども、まず初めに、確認ですけれども、この元市長個人の責任について判決の要旨は何と言っているのか、芳山局長からお聞きしたいと思います。
  247. 芳山達郎

    政府参考人(芳山達郎君) ただいまの下関の第三セクターの裁判でございますけれども、下関市の住民が第三セクターの会社の清算に当たりまして、市としては議会の議決を経て行った補助金の支出でありますけれども、それが違法であるということで当時の市長に対して損害賠償を求めた事案であります。  それで、当該裁判については、平成十年六月九日に山口地方裁判所において、清算に当たって支出された補助金が違法であるということで市長に対して八億四千五百万の支払が命じられたわけでございますけれども、第二審、控訴審であります広島高等裁判所におきましては、平成十三年五月二十九日に、前下関市長に対し、補助金支出の中、そのうち第三セクターの借入金整理を目的に支出された部分についてのみ裁量権の逸脱があるとして、前市長に三億四千百万円余りの支払を命ずる判決がなされました。現在、最高裁にこの部分について上告中ということで聞いております。
  248. 又市征治

    ○又市征治君 その高裁の判決では、つまり債務肩代わりについては裁量権の逸脱だとして、また市長個人の責任については、自治省勤務時代に補助金の在り方を自治体指導していた経歴からして過失責任は免れないというふうにしているわけですね。  そこでお伺いをするわけですが、このケースに今度提案をされている改正案を当てはめますと、この後の賠償は一体どういうことになっていくのか。つまり、改正後の新設される第二次訴訟を市が起こすわけでしょうけれども、元市長個人に請求をしていくということになるのか、またそれがなくなるとすれば一体だれを相手に第二次訴訟というのは起こることになるのか、この点をお伺いします。
  249. 芳山達郎

    政府参考人(芳山達郎君) 御指摘の点は、今住民が、支出をした当時の市長に対して高額の損害賠償請求をしておるということであります。  それで、今回の改正案に即して申し上げますと、新四号訴訟において住民が勝訴をした場合においては、判決が確定してから六十日以内に損害賠償金が支払われないときは地方公共団体が訴訟を提起しなければならないという条文を入れております。したがいまして、仮に住民が勝訴し判決が確定した場合には訴訟を提起すべき義務を長が有するわけでございまして、正当な理由がない限り速やかに訴訟を提起しなければならない義務を負うということでございます。そういうことで法文上明らかにしてございます。
  250. 又市征治

    ○又市征治君 いや、そんなことを聞いたんじゃなくて、第二次訴訟を市が元市長に対して起こすわけですかと、こう聞いたわけです。
  251. 芳山達郎

    政府参考人(芳山達郎君) はい。当然、今言いました第二次訴訟としては、支払わなければ当該個人に対して三億、被害金額を請求するということでございます。
  252. 又市征治

    ○又市征治君 次に、憲法の政教分離の原則に違反するとして知事に公金の返還を命じた判例が九七年、最高裁の靖国神社玉ぐし料裁判で、これは愛媛県の問題ですが、出ておりますね。私は今ここで靖国神社問題を論議するつもりはありませんが、金額はわずか十六万六千円ながら、松山地裁はこの支出を憲法が禁止している宗教活動だというふうに断じたわけです。  そして、今回の改正案、つまり長の個人責任との関係でいえば、地裁判決はこう言っています。支出は前知事の強固で明確な意思に基づいて前知事自らが行ったと。実は原告は前知事以下幹部職員七名を訴えていたわけですけれども、裁判所はこういう判断によって前知事一人の判断だ、責任支出だというふうに認定をしたというふうに思います。私は、こういう極めて政治的な支出ですから、幹部の合議というより知事の判断だったんだろうというふうに思います。  こういう場合に、改正後の法律ではどういうふうになるのか。つまり、第一次訴訟は機関を被告とせざるを得ないのでしょうが、第二次訴訟は一体どうなるのか。この場合も知事は既に退任をしているわけですが、どんな格好になっていくのか。
  253. 芳山達郎

    政府参考人(芳山達郎君) 今回の平成九年四月の最高裁判決でございますけれども、玉ぐし料の支出が憲法二十条三項に規定する宗教的活動に当たり、違法な公金の支出であるということで、市長に対する損害賠償請求が認められた事案でございます。  今回の四号訴訟が提起されて住民が勝訴をした場合、勝訴が確定した場合、そしてまた当該元首長さんが損害賠償金を支払わない場合ということでございますけれども、地方公共団体の長が当該元市長に対して個人を訴えることになる、先ほどと同じです。
  254. 又市征治

    ○又市征治君 以下、ちょっと二点、大臣にお伺いをしたいと思いますが、今二つの判例の問題を取り上げさせていただきました。これらの場合、改正案では第二次訴訟という次のステップが生まれることになっていますね。そこには住民は参加ができないで、機関としての自治体が原告になっていくと、こういうことなんだと思いますね。首長や元首長、あるいは自らの職員を訴えるという、こういうことになるわけです。  この点に対して、言わば身内同士の訴訟になるので、殊更低い額で和解するなどなれ合いも可能なんではないかという批判があることも御承知だろうと思います。第二次訴訟において原告は、つまり機関としての自治体ということになりますけれども、この第一次訴訟の結果を受けて、市民を代表して首長らに対して、元首長とか職員に対して損害賠償を要求しなければならないわけですが、こうした原告の公正さはどのように担保されていくことになるんでしょうか。
  255. 片山虎之助

    ○国務大臣片山虎之助君) 団体と機関という関係になりますね。団体が機関のそれぞれに対して損害を賠償すると。それで第一段目の訴訟で、訴訟の判決は原則として今言われた元首長や職員個人に及びますから、ここで住民が勝訴した場合には、元首長や職員個人は二段目の訴訟はやりませんわね。もう勝負は付いていますから、実益がございませんので。そうなると損害賠償を支払うと、こういうことになりまして、しかしこれはもうみんな分かったことですから、そこで損害賠償を負けるとか和解するとかということは私はなかなかなりにくいんではなかろうかと。普通は私は払うケースが多いだろうと。  ただ、それでもまあ訴訟になる場合には、これはもう訴訟を起こさざるを得ません。新しい長が、首長さんがもしやらないと法的な義務違反を問われるわけでございまして、今度は自分に火の粉が降り掛かってきますから、私は、好むと好まざるとにかかわらず訴訟を起こさざるを得ないと、こういうことになるんではなかろうかと、こういうふうに考えております。  大変、お互いの大変こういうふうな関係がややこしくなることは事実でございますけれども、まあこれは訴訟というものはそういうものでございますので、それはやむを得ないのではないかと、こういうふうに思っております。
  256. 又市征治

    ○又市征治君 私も、最初から職員個人の賠償責任を問うという現行法の規定そのものは改めるべきだという、改める点があるだろうと、こういうふうに思ってまいりました。ただ、知事、市長という選挙で選ばれたこういう特別職、圧倒的に大きな権限を持った首長の場合は、ある場合にはその判断の個人責任、政治責任は免れないし、辞職後もそれはもう当然継続をするものだろうと、こう思います。  改正後のこの四号訴訟においては、個人でなく、機関を挙げて組織的に被告となって原告と渡り合うということになるわけですが、このことが首長らの誤った判断あるいはその資質にいたずらに追随をしたり、あるいは裁判所の命令にもかかわらず情報を開示しなかったりすることにならないように、これは是非万全の措置を取っていただきたい、こんなふうに望んでおきたいと思います。  ただ、これに関連して、公務員が自らの組織内の不正に我慢がならないとかあるいは許せないという、こういう場合があるわけですね。こういう場合、これを明らかにするというケースについて少し考えてみたいと思うんですが、これについては現在、刑事訴訟法二百三十九条二項の告発の問題だとか、公務員倫理規程第十二条だとか、あるいは原子炉規制法だとかにちょっとありますけれども、その彼あるいは彼女の身分を守る規定としては極めて不十分なわけですね。  この点に関して、アメリカでは正義の内部告発を保障する法律があって、通称ホイッスルブロアー法、つまり笛を吹く人、警鐘を鳴らす人という意味で呼んでいるそうですけれども、こうした正義感ある公務員の行動を保護する法律というものを新たに制定することも必要ではないか。そういうことを併せ持っていかないと、こうした自治体内でのそうした不正など、こういったものをしっかり正していくということにならないんではないのか。  我が党としても、こうした正義感ある公務員の行動を保護する法律、これも準備してまいりたいと思っていますが、このことについて大臣の見解をお伺いしたいと思います。
  257. 片山虎之助

    ○国務大臣片山虎之助君) 大変難しい問題ですが、できればこういう法律はない方がいいですね。やっぱり組織内やあるいは組織ぐるみや個人のそういう非違行為、犯罪的行為が私はない方がいいと思いますけれども、今、アメリカにはお話のような法制があるようでございますしね、今、日本でもそういう議論現実になされていることも事実でございます。  ただ一方では、公務員は守秘義務がございまして、職務上知り得たことはほかに漏らしたら駄目だと。それが国や地方団体の利益に反するし、個人のプライバシーにも場合によっては触れることになると、こういうことでございまして、それはなかなか難しいことだと思いますけれども、私は、究極的には程度問題で、守秘義務なり内部告発なりのより大きな利益、法益は何かということで考えるべきかなと、こういうふうに思いますけれども、基本的には、国家公務員も地方公務員も全体の奉仕者としての道を踏み外さないようにやると。そういう中での私は守秘義務の遵守であり、あるいは刑事訴訟法上じゃ内部告発を、一種の訓示規定でございますけれども義務付けているわけでございましてね、その辺は正に程度における運用の判断ではなかろうかと。  答えになっていないと自分でも思いながら言っておりますけれども、大変難しい問題で、どちらがどうとは言えませんので、この辺でひとつ御了承いただければ有り難いと思います。
  258. 又市征治

    ○又市征治君 難しい問題は分かりますが、刑事訴訟法二百三十九条第二項は、今も大臣言われまたけれども、「官吏又は公吏は、その職務を行うことにより犯罪があると思料するときは、告発をしなければならない。」と、こういうことになっているんですが、これをやった場合に、その後の不利益取扱いの問題がこれは出てまいりますから。  したがって、せんだってから外務省の内部の問題いろいろと出ていますけれども、そんなことがずっと隠れたままで、今になってそんなことが出てくるという、こういう問題があるわけで、程度の問題というお話がございましたけれども、できれば、そうした全体的な視野でこんなことも検討是非お願いをしてまいりたいと、こう思っています。これは答弁要りません。  続いて、二つ目に、市町村合併について伺ってまいります。  私、十四日の大臣の所信表明の質疑なりあるいは法案審議で、合併そのものだとかあるいは候補そのものを否定をするというつもりはありませんけれども、ただ、市町村合併をあめとむちで強制するようなやり方、この点は大変問題だということで、具体例も挙げて少し批判を申し上げたわけですが、やはり将来に向かって、その地域の人々がどういう町づくりをやっていくのか、その自主性あるいは自立性というものを是非尊重すべきだというふうに申し上げてまいりました。  そういう立場で、もう少し、残った問題点ただしてまいりたいと思います。これは若松大臣に何点か、幾つかお願いをしてまいりますが、いわゆる合併持参金の問題について伺ってまいります。  今、多くの県で、合併支援特別交付金、合併特例交付金、合併推進交付金、合併市町村交付金などという、いろいろと名前がありますけれども、そうした名目で、私流に言わしていただくならば合併持参金とも言うべき根拠のないつかみ金が大盤振る舞いされているんではないか、こういうふうに思います。  国の合併促進策の一環として、多分総務省が音頭を取っておられるんだろうと思いますが、この県からのつかみ金について、総務省は一体何を法的根拠にして裏打ちをし、奨励をされているんでしょう。
  259. 若松謙維

    ○副大臣若松謙維君) 今の持参金とかつかみ金とか、私どもにとって余り聞き慣れぬ言葉をちょっとお使いになっているわけでありますが、市町村合併は、もとより市町村の主体的な取組の下に進められるものと認識しておりまして、さらに、その円滑な推進に当たりましては、地域の実情を熟知した広域的な地方公共団体であります都道府県の果たす役割が大変重要であると、このように認識しております。  そういった観点から、平成十三年三月に出させていただきました市町村合併推進についての要綱、これを踏まえた今後の取組、いわゆる指針ですね、におきまして、都道府県合併市町村における円滑な行政運営や事業実施を確保するため、合併市町村の行う事業に対する交付金等の交付などの支援策を講ずることが望まれるということになっております。  なお、この指針でありますが、自主的な市町村合併推進するため、市町村合併特例法第十六条第一項に基づく必要な助言を行っているということでありまして、是非とも御理解をいただきたいと思います。
  260. 又市征治

    ○又市征治君 ちょっと余りよく分からないんですが、いわゆる私流に言わしていただくこの合併持参金、全部が県の一般財源なら、それはその県の独自の政策判断ですからとやかく言うべきことでないかもしれません。  しかし、半額を国が地方交付税の特別交付税として裏打ちしているとなれば、大変問題は別と言わざるを得ないわけでありまして、地方交付税法第十五条に、「基準財政需要額の算定方法によつては捕そくされなかった特別の財政需要があること、」、こういう規定がありますけれども、特別交付税そのものをこういう規定に多分基づいてやられているんだろうと思いますが、ある県が、はい、一億円を一合併について出しましょう、いや、うちは二億五千万円出しましょう、いや、うちは向こう五年間で五億円ですよと。こういう格好で、何ら算定根拠のないこういう金を出し、これに国が半額を見ていくというのは、これ一体、特別の需要というようにここで言う、十五条で言う特別の需要というふうに言えるのかどうか。国はどういう根拠でこれを算定できるのか、お伺いしたいと思います。
  261. 若松謙維

    ○副大臣若松謙維君) 都道府県がそれぞれの都道府県内にある市町村合併について、積極的にやっておられる知事もありますし、また消極的な方も現実にいらっしゃいます。  しかし、総務省といたしましては、市町村合併というのは大変重要な施策と認識しておりまして、そのような市町村合併を主体的に都道府県がやっているということに対しては、これ大変支援する必要があると、そういう認識をしているところであります。  したがいまして、現在、都道府県が自主的に交付する合併の交付金に対して、その特別交付税に関する省令、この法律に、省令に基づきまして、合併市町村支援するための交付する額に、先ほど委員も御指摘になった〇・五、二分の一の特別交付税措置を講じているところであります。
  262. 又市征治

    ○又市征治君 億単位のかなり大きい額ですよね。これは必要経費でなくて政策的支出ということに今お伺いをしたわけですが、悪く言えば、札束でほっぺたひっぱたくようなものだと言わざるを得ぬわけであります。  で、今年度はまだ、県の歳出予算ベースでいいますと、全体で十四億円ぐらいというふうに聞いていますが、その半額を持つということで、国の特別交付税ベースでいうと、本年度の予算では三億七千五百万が予算化をされているんだろうと、予定されているんだろうと思いますが、来年度からは合併期間、十七年度末に掛けては、当然これは十倍とか百倍にも増えていくことになるんだろうと思うんですね。  交付税は、あくまで地方財源の偏在をなくして均てん化するということ、つまり弱小団体でも財政的自立ができるように重点的に配分することが目的なんだろうと思うんです。そうしますと、特別交付税だってこの原則には違いはないはずだろうと思うんですが、だのに、合併しない市町村はこの分だけ配分が減らされるということになるわけですよ。そうすると、これ自身がやっぱり差別だというふうに声がやっぱりあるわけですよ。  そしてまた、これを除いても、今申し上げた三億七千五百万を除いても、今年度の予算で言うならば、合併関連の特別交付税は三十億円余り予算措置をされているわけですが、様々な特典をばらまくという格好に今なっている。  その上に、今申し上げたように、県のつかみ金支出、これはもう本当に、それぞれの県がばらばらでしょう。ばらばらなのに、それに半分は見ますよということですから、私、だからつかみ金と、こう申し上げているんですが、ある県は一億円だ、ある県は二億五千万だ、ある県は五億円だと、こういう格好でそれぞればらばらに交付金を出して、これに二分の一を国が特別交付税で出すんですよということになれば、大変な格差あるいは差別。こんな格好で公平を欠くということになるんじゃないでしょうか。  そういう意味では、私は、地方交付税制度の趣旨をゆがめるものとのそしりはやっぱり免れないだろうと、こういうふうに言わざるを得ないわけでありまして、この点についてお考えがあればお聞かせいただきたいと思います。
  263. 若松謙維

    ○副大臣若松謙維君) まず特別交付税でありますが、これはちょうど今月の三十一日支給される予定となっておりまして、その金額の内容が、たしか先週でしょうか、閣議決定がなされたところであります。  御存じのように特別交付税というのは、普通交付税というのは極めて画一的な算定方法で金額が決定されておりまして、この普通交付税では捕捉されない特別の財政需要を算定の対象としておりまして、具体的には、特に新潟の豪雪、そういった、または生活バス路線の運行維持に必要な経費とか、こんな地域的な特別の財政需要を算定の対象としているところであります。  今、委員がお触れになりました都道府県合併支援するということでありますが、御存じのように合併というのもやはり地域事情にかなり差がありまして、急に合併機運が盛り上がってこれは県としては支援しなければいけない、こんな正に特別な事情、そういったところを特別交付税としての算定対象としているところであります。  そういった観点から、都道府県が、合併支援交付金に対する特別交付税措置について、都道府県の支出額の二分の一、これについて支援しているということでありまして、私は、各都道府県に共通のルールで算定しているものでありまして、公平に行わせていただいている、そのように理解しております。
  264. 又市征治

    ○又市征治君 次に、大臣にお伺いをしたいと思いますが、先日も私、富山県の三十五市町村の例を挙げまして、市町村が分権のためには一番大事だというふうに言っているのは何といっても財源の問題、特に是非そういう意味では税財源の移譲を非常に強く求めている、これが全国状況でもあるのではないだろうか、こんなことを申し上げさせていただきました。  大臣は、せんだっての場合に、合併を国の財政支出削減のためなどとは毛頭考えていないと、こういう御答弁をいただいて、削ったものは国だけが助かるんじゃないんだと、そんなことを申されたわけですが、やはり是非こうした努力をしっかりやっていただきたいと思うんですが。  せんだっても問題になりました福島県の矢祭町の例ですね、ここでもこんなふうにこの宣言の中で言われています。「矢祭町は、常に爪に火をともす思いで行財政効率化努力してきたが、更に自主財源の確保は勿論のこと、地方交付税についても、憲法で保障された地方自治の発展のための財源保障制度であり、その堅持に努める。 以上宣言する。」というふうに書かれておるのを見させていただきました。  小さな町村にとっては地方交付税制度の堅持とは一体何なのか。大変、そういう意味では、段階補正が改悪されるとか、合併による需要額が切り詰められる、あるいは赤字地方債による補てん、その他現状の中でのやりくりばかりが出されてくるということに対して大変危機感を小さな町村ほど持っておられるんじゃないか、こういうふうに思うんですけれども、大臣、改めて、この小さな自治体の言ってみれば税財源の移譲を是非強く求めたいというこういう切実な思い、もっと言うならば小さな自治体の大きな理想といいますか、こんなことについても感想を是非お聞かせいただきたいと思います。
  265. 片山虎之助

    ○国務大臣片山虎之助君) 矢祭町のお話もこの前お伺いしました。矢祭町は合併はしないと、こういう宣言をされたようですが、何か最近の情報だと、未確認でございますけれども、町民の皆さんにアンケートを取ってみると、そういうことの努力もされているようでございますが、税源の移譲は我が省の悲願でございまして、これは経済財政諮問会議その他でも強く言っておりまして、是非具体化のための道筋を作っていきたい、こういうふうに思っております。  そこで、我々は合併推進が大きな国策と考えておりますけれども、それはあくまでも実質的な合併で、誘導はいたします、啓蒙はいたします、指導はいたしますけれども、強制はしないと、こういうことで今までもやってまいっておりまして、今後とも是非その努力を続けてまいりたいと。  しかし、その上でもいろんな事情で合併ができない小規模町村が残るということもあり得ると思います。その場合、そういう小規模町村の扱いにつきまして、制度的な面であるいは財政的な面でこれも併せて検討する必要があるんではなかろうかと、こういうふうに思っている次第でございます。
  266. 又市征治

    ○又市征治君 最後に住民投票の問題について指摘をして、時間がありませんので終わりたいと思います。  いずれにいたしましても、合併は新しい自治体を創設するということでありまして、自治の区域の変更ということになってまいります。合併に際しては、自治体の主権者である住民の自己決定権こそ尊重されなければならないし、住民投票で最終決定すべきだろうというのが我が党の考えでございます。  今回、住民発議の合併協議会設置案件が議会で否決された場合に限って住民投票が導入をされることになっておりますけれども、しかしこれは最終段階自治体の主権者たる住民合併そのものの是非を判断するための住民投票とは全く異なるものであるとともに、住民から見ると、合併協議会設置後の新しい自治体づくりを行政と議会に白紙委任するものでしかないんではないのか、合併促進のための抜け道にほかならないという、こういう批判は依然として消えないわけであります。  そういう意味で、先日も申し上げましたけれども、是非、大きな今の流れからいいますと、本当にやっぱり出口での住民投票による合併是非を問うというこういう道も是非早急に御検討いただきたい、こんな立場で、今出されておるものについては残念ながら賛成しかねる、このことを申し上げて、私の討論を終わりたいと思います。
  267. 田村公平

    委員長田村公平君) 他に御発言もないようですから、質疑は終局したものと認めます。  本案の修正について松井君及び宮本君から発言を求められておりますので、この際、順次これを許します。松井孝治君。
  268. 松井孝治

    ○松井孝治君 私は、ただいま議題となっております地方自治法等の一部を改正する法律案に対し、民主党・新緑風会を代表いたしまして、修正の動議を提出いたします。その内容はお手元に配付されております案文のとおりでございます。  これより、その趣旨について御説明申し上げます。  まず、修正案の説明を行う前に申し上げたいことがございます。それは、今回、政府提出した地方自治法等の一部改正案には、性質の全く異なる改正案が混在しているということであります。特に、合併に係る改正は対象法律市町村合併特例法と別法であり、なぜこの自治法改正と束ねているのか全く理解できません。政府提出の仕方に根本的な問題があると考えます。このような法律案提出は、国会の審議及び意思表明を阻害するものであり、参議院の審議を軽視するものにほかならず、政府は重大な反省をすべきであります。  本題に入ります。  本改正案の最大のポイントは、住民訴訟制度における訴訟類型の変更にあります。すなわち、被告を、首長、職員等の個人から自治体たる機関へと変更することになっております。確かに、現行の四号訴訟については、団体として行った政策判断の責任まで個人に問われている、一部に乱訴の状況がある、職員等が過度に住民訴訟に反応し行政執行において萎縮する可能性がある、住民訴訟を理由に職員が脅迫される、個人の裁判費用の負担が過大である等、様々な問題があり、これらは実際に地方行政の現場にて奮闘しておられる自治体の首長あるいは職員の皆様にとって大変深刻な問題であると認識しております。  しかし一方で、四号訴訟が談合の防止や不正経理の是正など地方行政の適正化に寄与してきた事実は明らかであります。また、今後、地方分権が進む中で自治体の首長等は大きな権限を有することになり、この執行に関して住民が直接的にチェックできる手段をも確保する必要があると考えています。  加えて、訴訟類型を変更することにより、地方公共団体が有する証拠や資料の提出が停滞する、談合、不正経理問題などに係る被告側の弁護士費用の公費負担の在り方に問題が生じる等の新たな問題が発生することが予想されます。  民主党・新緑風会は、地方分権を最重要政策の一つに掲げておりますが、それは自立した市民によって支えられた地域が、地域としての主権を確立する社会を意味しております。この民主党の理念に照らしたとき、少なくとも現段階において個人を対象とする現行の四号訴訟の類型を変更することには賛成できません。よって修正案を提出することといたしました。  以下に修正案の概要を御説明申し上げます。  最大の問題点は、政府案にあります四号訴訟の類型変更を削除していることであります。したがって、現行四号訴訟の訴訟類型を維持し、結果的に四号訴訟の被告は長又は職員個人のままとしております。  その他は、現行の四号訴訟の問題点を改善する観点からの規定を設けております。  まず、政策判断を対象とする四号訴訟が数多く見られることから、四号訴訟の対象とならない行為の事例を挙げ、四号訴訟は政策判断を争うものでないことを明確にしております。  次に、代位訴訟の被告の限定を規定しております。すなわち、四号訴訟の被告の対象から非管理職職員を除外しております。この除外の関係から、非管理職職員が違法な財務会計行為を行い、団体に損害を与えた際に、首長が監査委員の監査を経て、当該職員に対し賠償命令を行う旨の規定を設けております。  また、職員等が職務を遂行するに際し、善意にしてかつ重大な過失がなかったときの賠償限度額を、職員については年収の四倍、首長の場合は六倍とする旨定めております。  さらに、現在は四号訴訟において長又は職員等が勝訴した場合のみ認められている自治体による弁護士費用の負担の範囲を、原告の訴えの取下げ、原告の請求の放棄及び裁判上の和解まで拡大しております。  その他、職員の賠償責任の転嫁、住民訴訟の迅速な処理、住民訴訟に係る地方公共団体の情報提供等を定めております。  以上がこの修正案の概要であります。委員各位の御賛同をお願い申し上げ、趣旨の説明を終わります。
  269. 田村公平

    委員長田村公平君) 次に、宮本岳志君。
  270. 宮本岳志

    ○宮本岳志君 私は、日本共産党を代表して、政府提出地方自治法等の一部を改正する法律案に対する修正の動議を提出し、その提案理由及び概要を御説明いたします。  修正案の内容は、お手元に配付されております案文のとおりでございます。  本修正案を提出する理由は、去る十五日の本委員会での参考人質疑でも明らかになったように、政府案には重大な問題があり、このまま本会議に上程されて成立することを看過するわけにはいかないからであります。  その第一は、議会が合併協議会の設置を否決した場合にだけ適用される住民投票制度を作ることが地方自治の本旨に背くものだからであります。これは、住民意思のつまみ食いであり、住民投票制度の拡充を求める声を逆手に取って、国が進める市町村合併押し付けの新たな手段を作るものと言わなければなりません。  その第二は、いわゆる四号訴訟の再構成を行うことが住民の手で個人の責任を明らかにする制度の形骸化をもたらすおそれが大きいからです。それは、訴訟を不必要に複雑化し手続の遅延をもたらすことによって、不正な支出行為を行った自治体首長等の粘り勝ちを許すことにつながるものであります。  以下、本修正案の内容の概要を申し上げます。  第一に、本修正案は、代位訴訟制度の改正部分を削除し、それに代わるものとして必要な最小限の手当てをすることとしております。  具体的には、自治体による訴訟経費の負担の在り方を合理的なものに改めること、訴訟に当たっての自治体による情報提供について努力義務規定を設けること、上司の命令で自らの意に反して行った行為の賠償責任の転嫁を行うことであります。  第二に、合併協議会の設置に関する住民投票制度の創設を削除し、代わって市町村合併の可否そのものについて住民の意見を反映できる制度を設けております。  具体的には、合併の議決に先立つ住民への周知、一定数の有権者による請求があった場合の住民投票の実施の義務付け、投票結果についての首長と議会の尊重義務などを規定するものです。これにより、住民が自らの居住する地方自治体の在り方について投票によって意見表明する権利が保障され、住民自治への拡充へ寄与するものとなります。  以上、修正案の提案理由と内容の概要を申し上げました。何とぞ、委員各位の御賛同をお願いして、提案に当たっての説明といたします。
  271. 田村公平

    委員長田村公平君) これより原案並びに両修正案について討論に入ります。  御意見のある方は賛否を明らかにしてお述べ願います。
  272. 八田ひろ子

    八田ひろ子君 私は、日本共産党を代表して、政府提出地方自治法等改正案に反対、民主党提出の修正案に反対、日本共産党提出の修正案に賛成の討論を行います。  最初に、今回の地方自治法改正案は、市町村合併特例法の改正案とセットとなっており、本来それぞれ慎重に審議を尽くすべき法案をこうした形で提出することは審議を軽視するものであることを指摘しておきたいと思います。  政府提出地方自治法等改正案に反対する第一の理由であります。  住民自治体への直接参政の手段の一つであります住民訴訟制度を改悪するものであるからです。  現行の住民訴訟制度は、住民自治の立場から、自治体に成り代わって住民が損害賠償請求や不当利得返還請求などを長や職員個人を相手に起こすものであります。この現行制度の下では、住民自治体とが敵対関係になることは想定されません。だからこそ、住民自治が保障されます。  ところが、政府案では、訴訟の被告を長や職員個人から自治体の執行機関に変えることで、裁判上、住民の前に自治体が立ちはだかるという対立、敵対関係へと変えてしまうものであります。しかも、自治体は、住民の税金で弁護士を使うことも、職員を業務として裁判に就かせることもできます。現状ですら住民側不利と言われる裁判において、住民側はますますハンディキャップを負うこととなります。  被告を執行機関に変えることによって、自治体保有の資料が裁判で活用できると政府説明をいたします。しかし、本日の審議の中でも示されましたように、都合の悪い資料の存在そのものを含め隠される現実を見るときに、説得力は全くありません。  日弁連の意見書にも、地方公共団体の活動に対する住民の統制機能を著しく後退させることになるので反対、司法改革フォーラムの提言でも、我が国でようやく根付き始めた草の根民主主義を一挙に後退させるものであると反対の意見が表明をされており、国会は責任を持って廃案にすべきものであります。  反対する第二の理由であります。  本来、住民の意向を行政に反映する有効な方法の一つであります住民投票制度を合併促進のためのみに導入しようとしているからであります。  本来、合併市町村の存廃に係る重大問題であり、合併是非住民が判断できる十分な材料を住民に提供した上で、合併そのものについて住民の意思を問う住民投票制度を導入すべきであります。  ところが、政府案は、合併そのものではなく合併協議会の設置に係るもので、しかも協議会設置が議会で否決された場合に限定をされています。住民投票という地方自治を豊かにし、間接民主制を補完する直接民主制の一つの制度が合併推進のためだけに導入される、言わばつまみ食いも同然であり、容認できません。  なお、直接請求に必要な署名数の要件の緩和、地方議会における点字投票の導入、緊急時の監査委員による停止勧告制度の導入などの改正につきましては、住民の声を行政に反映させ、また障害者の政治参加を保障することなど、地方自治の発展に資するものでありますので、賛成です。  民主党の修正案につきましては、代位訴訟制度の見直し部分を削除することにつきましては評価をするものでありますが、提案されている内容について賛同できない部分がありますので、反対であります。  日本共産党提出の修正案は、ただいま説明がありましたように、政府提出法案の欠陥を取り除き、地方自治を豊かにするものであり、賛成であります。  以上で討論を終わります。
  273. 田村公平

    委員長田村公平君) 他に御意見もないようですから、討論は終局したものと認めます。  それでは、これより地方自治法等の一部を改正する法律案について採決に入ります。  まず、宮本君提出の修正案の採決を行います。  本修正案に賛成の方の挙手を願います。    〔賛成者挙手〕
  274. 田村公平

    委員長田村公平君) 少数と認めます。よって、宮本君提出の修正案は否決されました。  次に、松井君提出の修正案の採決を行います。  本修正案に賛成の方の挙手を願います。    〔賛成者挙手〕
  275. 田村公平

    委員長田村公平君) 少数と認めます。よって、松井君提出の修正案は否決されました。  それでは次に、原案全部の採決を行います。  本案に賛成の方の挙手を願います。    〔賛成者挙手〕
  276. 田村公平

    委員長田村公平君) 多数と認めます。よって、本案は多数をもって原案どおり可決すべきものと決定いたしました。  なお、審査報告書の作成につきましては、これを委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  277. 田村公平

    委員長田村公平君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。     ─────────────
  278. 田村公平

    委員長田村公平君) 次に、行政制度公務員制度地方行財政、選挙、消防、情報通信及び郵政事業等に関する調査を議題といたします。  平成十四年度の地方財政計画について、政府から説明を聴取いたします。片山総務大臣
  279. 片山虎之助

    ○国務大臣片山虎之助君) 平成十四年度の地方財政計画の概要について御説明申し上げます。  平成十四年度においては、極めて厳しい地方財政の現状等を踏まえ、歳出面においては、歳出全般にわたり徹底した見直しを行うことにより歳出総額の抑制に努める一方、個性ある地方の活性化、循環型社会の形成、少子高齢化への対応など当面の重要政策課題に適切に対処し、歳入面においては、地方税負担の公平適正化の推進地方交付税の所要額の確保を図ることを基本としております。  また、通常収支における地方財源不足見込額については、国と地方で折半し、国負担分については一般会計からの加算により、地方負担分については特例地方債の発行により補てんすることを基本としつつ、その一部について交付税特別会計借入金により補てんすることにより、地方財政の運営上支障が生じないよう措置するとともに、恒久的な減税に伴う影響額については、国と地方のたばこ税の税率変更、法人税の地方交付税率の引上げ、地方特例交付金及び減税補てん債の発行等により補てんすることとしております。  以上の方針の下に、平成十四年度の地方財政計画を策定いたしました結果、歳入歳出の規模は八十七兆五千六百六十六億円、前年度に比べ一兆七千四百五億円、一・九%の減となっております。  以上が平成十四年度の地方財政計画の概要であります。  以上であります。
  280. 田村公平

    委員長田村公平君) 次に、補足説明を聴取いたします。若松総務大臣
  281. 若松謙維

    ○副大臣若松謙維君) 平成十四年度の地方財政計画につきましては、ただいま総務大臣から御説明いたしましたとおりでありますが、なお若干の点につきまして補足して御説明いたします。  地方財政計画規模は、八十七兆五千六百六十六億円、前年度に比べ一兆七千四百五億円、一・九%の減となっております。  まず、歳入について御説明いたします。  地方税の収入見込額は、三十四兆二千五百六十三億円で、前年度に対し一兆三千二百四十七億円、三・七%の減少となっております。  また、地方譲与税の収入見込額は、総額六千二百三十九億円で、前年度に対し二億円の増加となっております。  次に、地方特例交付金につきましては、九千三十六億円で、前年度に対して十八億円、〇・二%の増加となっております。  地方交付税につきましては、平成十四年度の所得税、法人税、酒税、消費税及びたばこ税のそれぞれ一定割合の額の合計額十二兆七千三百十八億円から平成九年度及び平成十年度に係る精算額のうち平成十四年度分の精算額八百七十億円を減額した額十二兆六千四百四十八億円に、平成十三年度以前の地方財政対策に基づき地方交付税法の定めるところにより平成十四年度に一般会計から加算することとされていた額三千三百六億円、国負担分の臨時財政対策加算額三兆千三百二十六億円、交付税特別会計における借入金三兆五千六百四十九億円を加算する措置等を講ずることにより、十九兆五千四百四十九億円を計上いたしました結果、前年度に対し八千四十九億円、四・〇%の減少となっております。  国庫支出金は、総額十二兆七千二百十三億円で、前年度に対し三千五百三十二億円、二・七%の減少となっております。  次に、地方債につきましては、普通会計分の地方債発行予定額は十二兆六千四百九十三億円で、前年度に対し七千三百八十六億円、六・二%の増加となっております。  また、使用料及び手数料並びに雑収入につきましては、最近における実績等を勘案した額を計上いたしております。  次に、歳出について御説明いたします。  まず、給与関係経費についてでありますが、職員数につきまして、国家公務員の定数削減の方針に準じて定員削減を行うこと等により、全体で一万二千三百九人の減員を見込んでおり、その総額は、二十三兆六千九百九十八億円で、前年度に対し四百八十九億円、〇・二%の増加となっております。  次に、一般行政経費につきましては、総額二十兆八千六十八億円、前年度に対し二千七十四億円、一・〇%の増加となっております。このうち国庫補助負担金等を伴うものは九兆五千八百四十六億円で、前年度に対し二千三百七十三億円、二・五%の増加となっております。  また、国庫補助負担金を伴わないものにつきましては、既定の行政経費を縮減を図る一方、個性ある地方の活性化、循環型社会の形成、少子高齢化への対応等の分野に係る施策に財源の重点的配分を行うこととしており、その額は十一兆二千二百二十二億円で、前年度に対し二百九十九億円、〇・三%の減少となっております。  公債費は、総額十三兆四千三百十四億円で、前年度に対し六千四百十三億円、五・〇%の増加となっております。  維持補修費は、総額一兆百二十四億円で、前年度に対し四十一億円、〇・四%の減少となっております。  投資的経費は、総額二十四兆五千九百八十五億円で、前年度に対し二兆五千七百二十億円、九・五%の減少となっております。このうち、直轄・補助事業につきましては、八兆八千四百八十五億円で、前年度に対し八千二百二十億円、八・五%の減少となっております。  地方単独事業につきましては、国の公共投資関係費と同一の基調により前年度に比し一〇%を減額することとする一方で、地域活性化事業、合併特例事業及び防災対策事業の創設などにより、地域の自立や活性化につながる基盤整備を重点的、効率的に推進することとし、十五兆七千五百億円を計上しております。  公営企業繰り出し金につきましては、地方公営企業の経営基盤の強化、上下水道、交通、病院等生活関連社会資本の整備推進等に配慮し、総額三兆二千百七十七億円を計上しております。  このうち、企業債償還費普通会計負担分は、二兆二千三十三億円で、前年度に対し五百十一億円、二・四%の増加となっております。  最後に、地方交付税の不交付団体における平均水準を超える必要経費については、税収入の状況等を勘案して所要額を計上しております。  以上をもちまして、地方財政計画の補足説明を終わらしていただきます。
  282. 田村公平

    委員長田村公平君) 以上で説明の聴取は終わりました。     ─────────────
  283. 田村公平

    委員長田村公平君) 次に、地方税法の一部を改正する法律案及び地方交付税法等の一部を改正する法律案の両案を一括して議題といたします。  政府から順次趣旨説明を聴取いたします。片山総務大臣
  284. 片山虎之助

    ○国務大臣片山虎之助君) ただいま議題となりました地方税法の一部を改正する法律案及び地方交付税法等の一部を改正する法律案の提案理由とその要旨について御説明申し上げます。  まず、地方税法の一部を改正する法律案の提案理由とその要旨につきまして御説明申し上げます。  最近における社会経済情勢等にかんがみ、地方税負担の軽減及び合理化等を図るため、特別土地保有税の徴収猶予制度の拡充及び住宅用地に係る不動産取得税の税額の減額措置の要件の緩和等を図るほか、株式譲渡益に係る個人住民税の申告を不要とする特例の創設及び固定資産税における縦覧制度の見直し等を行うとともに、非課税等特別措置の整理合理化等を行う必要があります。  以上がこの法律案を提案いたします理由であります。  次に、この法律案の要旨につきまして御説明申し上げます。  その一は、都道府県民税及び市町村民税についての改正であります。  個人の道府県民税及び市町村民税につきましては、株式等譲渡益課税の申告分離課税への一本化に当たり、申告事務の負担軽減に資するため、一定の場合に申告を不要とする等の措置を講ずることとしております。  その二は、不動産取得税についての改正であります。  不動産取得税につきましては、住宅用地に係る税額の減額措置の適用要件を緩和する等の措置を講ずることとしております。  その三は、固定資産税についての改正であります。  固定資産税につきましては、納税者が自分の土地又は家屋の価格と他の土地又は家屋の価格とを比較できるよう縦覧制度の改正を行う等の措置を講ずることとしております。  その四は、特別土地保有税についての改正であります。  特別土地保有税につきましては、徴収猶予を受けている者が当初の事業計画を変更した場合や土地を譲渡した場合に徴収猶予が継続する等の特例措置の適用要件を緩和する等の措置を講ずることとしております。  以上が地方税法の一部を改正する法律案の提案理由及びその要旨であります。  次に、地方交付税法等の一部を改正する法律案の提案理由とその要旨につきまして御説明申し上げます。  地方財政の収支が引き続き著しく不均衡な状況にあること等にかんがみ、地方交付税の総額の確保に資するため、平成十四年度分の地方交付税の総額について特例措置を講ずるとともに、平成十六年度から平成三十年度までの間における国の一般会計から交付税及び譲与税配付金特別会計への繰入れに関する特例等を改正するほか、各種の制度改正等に伴って必要となる行政経費及び地方団体の行政水準の向上のため必要となる経費の財源を措置するため地方交付税の単位費用を改正する等の必要があります。  以上が、この法律案提出いたします理由であります。  次に、この法律案の要旨につきまして御説明申し上げます。  まず、平成十四年度分の地方交付税の総額につきましては、地方交付税法第六条第二項の額に、法定加算額三千三百六億円、臨時財政対策のための特例加算額三兆千三百二十六億円、交付税及び譲与税配付金特別会計借入金三兆五千六百四十九億円及び同特別会計における剰余金四千八百億円を加算した額から、同特別会計借入金利子支払額五千六百八十九億円及び同特別会計借入金償還額三百九十一億円を控除した額とすることとしております。  また、平成十六年度から平成三十年度までの間における国の一般会計から交付税及び譲与税配付金特別会計への繰入れに関する特例等を改正することとしております。  次に、平成十四年度分の普通交付税の算定に用いる単位費用を改正するとともに、臨時財政対策のため平成十三年度において特別に起こすことができることとされた地方債の元利償還金を基準財政需要額に算入するため、臨時財政対策債償還費を設けることとしております。  以上が、地方交付税法等の一部を改正する法律案の提案理由及びその要旨であります。  何とぞ、慎重御審議の上、速やかに御賛同いただきますようお願い申し上げます。
  285. 田村公平

    委員長田村公平君) 以上で両案の趣旨説明の聴取は終わりました。  なお、地方税法の一部を改正する法律案の補足説明につきましては、理事会において、本日の会議録の末尾に掲載することといたしました。  両案に対する質疑は後日に譲ることとし、本日はこれにて散会いたします。    午後五時十二分散会