○松井孝治君 私は、ただいま議題となっております
地方自治法等の一部を改正する
法律案に対し、民主党・新緑風会を代表いたしまして、修正の動議を
提出いたします。その内容はお手元に配付されております案文のとおりでございます。
これより、その趣旨について御
説明申し上げます。
まず、修正案の
説明を行う前に申し上げたいことがございます。それは、今回、
政府が
提出した
地方自治法等の一部改正案には、性質の全く異なる改正案が混在しているということであります。特に、
合併に係る改正は対象
法律も
市町村合併特例法と別法であり、なぜこの自治法改正と束ねているのか全く
理解できません。
政府の
提出の仕方に根本的な問題があると考えます。このような
法律案の
提出は、
国会の審議及び意思表明を阻害するものであり、参議院の審議を軽視するものにほかならず、
政府は重大な反省をすべきであります。
本題に入ります。
本改正案の最大のポイントは、
住民訴訟制度における訴訟類型の変更にあります。すなわち、被告を、首長、職員等の個人から
自治体たる機関へと変更することになっております。確かに、現行の四号訴訟については、団体として行った政策判断の責任まで個人に問われている、一部に乱訴の
状況がある、職員等が過度に
住民訴訟に反応し
行政執行において萎縮する
可能性がある、
住民訴訟を理由に職員が脅迫される、個人の裁判費用の負担が過大である等、様々な問題があり、これらは実際に
地方行政の現場にて奮闘しておられる
自治体の首長あるいは職員の皆様にとって大変深刻な問題であると
認識しております。
しかし一方で、四号訴訟が談合の防止や不正経理の是正など
地方行政の適正化に寄与してきた事実は明らかであります。また、今後、
地方分権が進む中で
自治体の首長等は大きな権限を有することになり、この執行に関して
住民が直接的にチェックできる手段をも確保する必要があると考えています。
加えて、訴訟類型を変更することにより、
地方公共団体が有する証拠や資料の
提出が停滞する、談合、不正経理問題などに係る被告側の弁護士費用の公費負担の在り方に問題が生じる等の新たな問題が発生することが予想されます。
民主党・新緑風会は、
地方分権を最重要政策の
一つに掲げておりますが、それは自立した市民によって支えられた
地域が、
地域としての主権を確立する社会を
意味しております。この民主党の理念に照らしたとき、少なくとも現
段階において個人を対象とする現行の四号訴訟の類型を変更することには賛成できません。よって修正案を
提出することといたしました。
以下に修正案の概要を御
説明申し上げます。
最大の問題点は、
政府案にあります四号訴訟の類型変更を削除していることであります。したがって、現行四号訴訟の訴訟類型を維持し、結果的に四号訴訟の被告は長又は職員個人のままとしております。
その他は、現行の四号訴訟の問題点を改善する観点からの規定を設けております。
まず、政策判断を対象とする四号訴訟が数多く見られることから、四号訴訟の対象とならない行為の事例を挙げ、四号訴訟は政策判断を争うものでないことを明確にしております。
次に、代位訴訟の被告の限定を規定しております。すなわち、四号訴訟の被告の対象から非管理職職員を除外しております。この除外の
関係から、非管理職職員が違法な財務会計行為を行い、団体に損害を与えた際に、首長が監査
委員の監査を経て、当該職員に対し賠償命令を行う旨の規定を設けております。
また、職員等が職務を遂行するに際し、善意にしてかつ重大な過失がなかったときの賠償限度額を、職員については年収の四倍、首長の場合は六倍とする旨定めております。
さらに、現在は四号訴訟において長又は職員等が勝訴した場合のみ認められている
自治体による弁護士費用の負担の範囲を、原告の訴えの取下げ、原告の請求の放棄及び裁判上の和解まで拡大しております。
その他、職員の賠償責任の転嫁、
住民訴訟の迅速な処理、
住民訴訟に係る
地方公共団体の情報提供等を定めております。
以上がこの修正案の概要であります。
委員各位の御賛同をお願い申し上げ、趣旨の
説明を終わります。