○椎名素夫君 今お示しいただいた方向というのは、誠にもうそのとおりであると思うんですね。分権、それから財源の配分、それから役割分担というのは。それを本当に早くやれば、こんなものほとんど要らなくなってしまうんじゃないかと。
例えば、東京大都市で、都市で集めた税金をよそにみんなやっちまうのは悔しいというふうな話をしていますが、離島振興法というのはまたこれ東京都でも利用しているんですね、島がありますから。もう複雑怪奇で、とにかく一か所に立ってみると、
自分のところは過疎で中山間地で何とかで何とかでというような話で、何か一体、元の原則というのは、言わばばんそうこうを張り付けてしまったために見えなくなっちゃっている。是非ともこれは、作業に掛かっていただいているというのは心強い限りですが、そういうことはもうやめるということをどこかでおっしゃらないと、これ、止まりませんですよ。是非
お願いをいたします。
ついでにというか、それと同じようなことが税制にもあるんだろうと思います。
この間から、今はまだ解決着いていないかと思いますが、税の三原則の中の真ん中のところは、中立であるかあるいは活性化であるかというふうなことで、大いにその原則の哲学が違うというふうなことを言っている。だけれ
ども、
考えてみるとこれにも特例があって、租税特別措置法というのがあって、それで通則から外れたことをとにかく積み重ねてやっているわけですね。幾つあるか知りませんが、大分整理したとおっしゃるけれ
ども、本当にどれだけになっているのか、いろいろ読んでみたけれ
ども分からない。分からないけれ
どもたくさんあります。
今、大変に
日本の経済が危機で、これは経済構造を変えていかなきゃいかぬというわけで、しかしそれのためにもこのデフレみたいなことはどこかで止めなきゃいけない、景気を良くしなきゃもう話が始まらないということで、幾つか税の
議論をなさるところはお持ちのようですが、そこで全体を見通したその骨組みみたいなものを作ろうという努力をしておられる。しかし、これはある
意味では、私は
日本はこのままつぶれるということはないと思いますので、少したって正常なところに戻ったときに、本当にどういうような税制にするかという
一つの
ビジョンというものがなきゃいかぬのでしょうね。
そうすると、そのときに、やっぱり活性化なんて話じゃないと思うんですね。これは、
日本は市場主義で経済を運営するとしたら、やっぱり中立というのはそのときには非常に重要な原則になる。しかし、今この状態で中立中立と言っていると大変に硬直しちゃってどうにもならぬという声が非常に大きいから、
財政諮問
委員会ですか、あそこでも、何とかの減税やれとか、こういう特別措置をやってくれとかいう話が出てくる。しかしそれは、さっきの地域指定と同じように、一回入れてしまうと居座るものだから、通則に対する特別措置じゃなくて、通則そのものになって居座ってしまうおそれがあるということをまじめな方はお
考えになるために、中立だと、もうあくまでも、そんな税制を活性化とか景気対策に使うなんてもってのほかだというような
議論になっちゃう。
ですから、これ
二つを概念としてきちっと分離してお
考えになるということはできないものかと思うんですね。やっぱり、特例という言葉にはどういうことがあるかというと、あくまでも原則があって、それから外れる特別の例だということの、ニュアンスとしては臨時特別。したがって、あるところである効果が上がったらやめるというものだと思うんです。そうでなかったら、みんな租税の通則を全部改正してしまうのと同じことですから。ですから、どうもその
二つの間の区別をしないで一緒くたにして
議論しておられるので、理念の違いとか皆さんがおっしゃるようなことが出てきているんじゃないかという気がするんですね。そこを少し整理していただけないか。どれがどうだかそんな分からなくなっちゃう。例えば、景気が直ればこれはもうやめる。しかし、今は危急の場合であるからこの特別措置は設けるけれ
ども、デフレ脱却のための目的でこれはやりますとか、あるいは景気回復のための目的でやる。ですから、その進歩の度合いをどこかにターゲットを設けて、ここまで来たらやめますとか。
何となしにこの時限立法というのは、さっきも申し上げたようなことで永遠に生き続けますので、それが分からないと、ばんそうこうを張った中身は観音様なのかお釈迦様なのか全然わけが分からぬと。
日本の税制ってどうなっているんだというと、何かばんそうこうを張ったようなものがどんと置かれる。それから予算というのはどう作るんだと、これもまたばんそうこうを張ってある。そこのところはその下地が見えるような形に説明をなされるように整理していただきたい。これは是非
お願いをしたいと思いますが、御感想があれば、これでおしまいにいたします。