○椎名素夫君 初めはペイオフのことも伺おうと思っていたんですが、今朝方から皆さんがいろいろ
議論なさって、もう余りこれ以上聞いたところで仕方がないと思いますので、それは全くやめます。
一つ伺いたいのは、今、日本の
経済が非常に難しいところに陥っていてどうしようかということで、
政府はどうするか、
日銀はどうするか、
企業はどうするか、
銀行はどうするか、個人はどうするかというようなことでやっているわけですが、この
報告書いただいて、自分でも御苦労なことにと思いましたが、去年からのこの、
政策委員会ですか、これの
概要というのをずっとおしまいまで、どんなことを言っているのか見てまいりました。
そしたら、
新聞などでは、その時々で
日銀の
考えていることと
政府の
考えていることには食い違いがあって、お互いにもどかしく思ったり、あるいは、そんなこと言ったってこっちがやることじゃないよと言っていたりして、それでどうのこうのというような記事が時々出たりして、何でもライバルを作って書くのがああいうところは好きですから、なんですが、これをずっと拝見していると、もう去年からずっとありますね、
政府の方が
出席して、
政府からの発言というのがあります。それ見ていますと、全く、ほとんど同じなんですね。一応注文を付けるわけですが、その後で皆さんが決定をなさる。もうパターンはずっと同じなんで、お一人この間お辞めになった審議
委員の方が一貫してまた同じことをおっしゃって反対をされて、八対一とかなんとかいうのがずっと続くというのは、これはどこを読んでも同じ。それから、
政府の言うこともまた同じなんですね。まあ少しずつ変わっておりますけれ
ども、とにかく潤沢にお金を供給してもらいたいというのは、これは続けてもらいたいというのは言っている。
それから、これどこを見ても、これだけあるんですけれ
ども、全く同じでびっくりするぐらいの話ですが、簡単に言うと、要するに認識は同じであると、ほとんど。しかし、だけれ
ども、双方、「規制
緩和等による需要発掘や不良債権処理の必要性が
指摘されてきたが、双方その必要性を十分認識しつつも、それぞれに難しい問題を抱えるなかで現在に至っている。」というようなことをまず言って、それで言っていることは、「
政府としても新しい
領域に踏み出していく覚悟であるので、
日本銀行には、選択肢をできるだけ広げ、
デフレ阻止に向けて適切かつ機動的な
金融政策をお願いしたい。」と。これはもう毎回出てきます。それから、「
日本銀行におかれては
物価下落を阻止するための
政策論議を深めて頂きたい」、それから、「
デフレ懸念払拭のため、
金融調節にあたり新たな工夫を講じることを含め、
経済により
効果のある
政策を幅広くご
検討頂きたい。」。こういうことが毎回毎回繰り返されて、と書いてある。そして採決をして、八対一でずっとこう推移をして、その間、細かい
対策などは付け加えられたりしておりますが、全く同じなんですね。
おしまい、ちょっと変わっているのが、
内閣府の方が来られて、「
政府としては、」この不良債権の問題、「この問題の終息感が持てるような積極的な対応を行いたい。」というようなことを言っているんですが、その次に、「
構造改革が遅れているとの
指摘があるが、レーガン、サッチャー政権でも、大きな改革を実施するのに数年かけている。わが国の場合、既に一年目で多くの特殊法人改革を決めるなど、決して遅いわけではない。」なんというのが新顔として出てきます。だけど、あとはまた同じで、「幅広くご
検討頂き思い切った対応が採られるようお願いしたい。」と。
報道にかかわらず、もしここに書かれているようなことしか言っていないんだとしたら、こういうことなんでしょうか、本当に。こういうこともどうか、ああいうこともどうかというような具体的な話というのは、こういう審議
委員会では全然出てこないんですか。それをちょっと伺いたいと思うんです。これ、本当にこんな厚いんですが、大体、十ページあって以下同じと書けば大体済んじゃうようなことで。
そうすると、まずそうなっているかどうかを伺いたいんですが、その先を言いますと、どうも日本でうまくいかない、いかないという話が横行しますけれ
ども、いろんな
意味で期待値が少し上がり過ぎちゃっているようなところがある。確かに、バブルの後から
景気が悪くなってきましたけれ
ども、特に小泉さん以来、竹中
大臣などがおっしゃるのに、日本の潜在的な成長力というのは大体三%から四%あるはずだから、ちゃんとやればそうなるんだというようなことをおっしゃって、そうかと思うでしょう。
それから、それにはやっぱり
財政・
金融が大事だと。それで、
政府も何かやるだろうし、
日本銀行も頭のいい方がそろっておられるんだから、専門家でもあるし、何かきっといい手を
考えておられるに違いない。ところが、その相談の中で、こういう非常にあいまいもこたる
言葉で、適切かつ積極的な対応をお願いしたいと。それで、それを聞いて、分かりました、では採決にというようなことを続けているとすると、何か不思議なんですね。結局、みんな何か知恵が出るんだろうと思っているんだけれ
ども、知恵を出し惜しみをしているのか、無能のために出ないのか、あるいは元々そんなものはないのかという辺りがはっきりしないために、みんなが何かうまいことあるんじゃないかというので勝手なことを言い出すと。また、
経済危機突破の秘策なんというような本を書くと、名前によっちゃやたらに売れて、こういう方々だけがもうけるというような話にもなってしまう。
それ、どうなんでしょうか。こういうところには書けないけれ
ども、いろいろ具体的な、こんなことはどうだろうか、あんなことはどうだろうかというようなことは、どこかの会議、これでなくてもいいんですけれ
ども、でやっていらっしゃるのか、やっていらっしゃらないのか。そうでないと、ポテンヒットみたいに、両方で、あなたのところでやることでしょうと、こう言っていると、もうどんどんどんどんヒットを打たれて、ちっともはかばかしいことが起こらないというようなところにどうも陥っているんじゃないかというような感じを持ちますが、いかがでしょうか。