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2002-06-04 第154回国会 参議院 財政金融委員会 第18号 公式Web版

  1. 会議録情報

    平成十四年六月四日(火曜日)    午前十時開会     ─────────────    委員異動  五月三十日     辞任         補欠選任      今泉  昭君     櫻井  充君     ─────────────   出席者は左のとおり。     委員長         山下洲夫君     理 事                 入澤  肇君                 林  芳正君                 若林 正俊君                 円 より子君                 山本  保君     委 員                 上杉 光弘君                 尾辻 秀久君                 金田 勝年君                 鴻池 祥肇君                 清水 達雄君                 中島 啓雄君                 溝手 顕正君                 山下 英利君                 大塚 耕平君                 勝木 健司君                 櫻井  充君                 峰崎 直樹君                 浜田卓二郎君                 池田 幹幸君                 大門実紀史君                 平野 達男君                 大渕 絹子君                 椎名 素夫君    国務大臣        財務大臣     塩川正十郎君        国務大臣        (金融担当大臣) 柳澤 伯夫君        国務大臣        (経済財政政策        担当大臣)    竹中 平蔵君    副大臣        内閣府副大臣   村田 吉隆君        財務大臣    尾辻 秀久君    事務局側        常任委員会専門        員        石田 祐幸君    政府参考人        内閣大臣官房        審議官      岡本  保君        金融庁総務企画        局長       原口 恒和君        法務大臣官房審        議官       原田 晃治君        財務省理財局長  寺澤 辰麿君        経済産業省商務        情報政策局長   太田信一郎君    参考人        日本銀行総裁   速水  優君        日本銀行理事   三谷 隆博君        株式会社東京証        券取引所代表取        締役社長     土田 正顕君        株式会社大阪証        券取引所代表取        締役社長     巽  悟朗君     ─────────────   本日の会議に付した案件 ○政府参考人出席要求に関する件 ○参考人出席要求に関する件 ○証券決済制度等改革による証券市場整備の  ための関係法律整備等に関する法律案内閣  提出、衆議院送付)     ─────────────
  2. 山下八洲夫

    委員長山下洲夫君) ただいまから財政金融委員会を開会いたします。  まず、委員異動について御報告いたします。  去る五月三十日、今泉昭君が委員を辞任され、その補欠として櫻井充君が選任されました。     ─────────────
  3. 山下八洲夫

    委員長山下洲夫君) 政府参考人出席要求に関する件についてお諮りいたします。  証券決済制度等改革による証券市場整備のための関係法律整備等に関する法律案審査のため、本日の委員会内閣大臣官房審議官岡本保君、金融庁総務企画局長原口恒和君、法務大臣官房審議官原田晃治君、財務省理財局長寺澤辰麿君及び経済産業省商務情報政策局長太田信一郎君を政府参考人として出席を求め、その説明を聴取することに御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  4. 山下八洲夫

    委員長山下洲夫君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。     ─────────────
  5. 山下八洲夫

    委員長山下洲夫君) 次に、参考人出席要求に関する件についてお諮りいたします。  証券決済制度等改革による証券市場整備のための関係法律整備等に関する法律案審査のため、本日の委員会参考人として日本銀行総裁速水優君、日本銀行理事三谷隆博君、株式会社東京証券取引所代表取締役社長土田正顕君及び株式会社大阪証券取引所代表取締役社長巽悟朗君の出席を求めたいと存じますが、御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  6. 山下八洲夫

    委員長山下洲夫君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。     ─────────────
  7. 山下八洲夫

    委員長山下洲夫君) 証券決済制度等改革による証券市場整備のための関係法律整備等に関する法律案を議題といたします。  本案の趣旨説明は既に聴取いたしておりますので、これより質疑に入ります。  質疑のある方は順次御発言願います。
  8. 山下英利

    山下英利君 おはようございます。自由民主党の山下でございます。  本日議案になっておりますこの法律案につきまして、関係の御当局に対して御質問をさせていただきます。  この法律案関係いたします今の日本の現状を考えますと、関連するポイントとしては大きく二つあると思います。一つは、システムリスクをどう見るか、もう一つは、最近話題になっております国債格付という問題を踏まえた国債信用性というものをこれからどうやって高めなきゃいけないか、この大きな二つ問題点があると私は思っております。  まず最初に、そのシステムについての御質問をさせていただきたいと、そう思っております。  今回、証券市場整備ということで、ペーパーレス化あるいは機械化という流れの中で、G30、ISSAの勧告に基づいて、日本がやはりこのシステム部門で一番遅れているというか、後進国の部類に入っているような状況の中で、一つ一つシステムを直していかなきゃいけない、その中の一環であると私は思っておりますけれども、この社債国債等について決済リスクをまず低減させる。このために、デリバリー・バーサス・ペイメントといいますか、支払とそれから債権の譲渡しと、これを同じにしなきゃいけないという大きな目標があります。そして、そのためのその決済システムペーパーレス化していくというグローバルスタンダードを考えますと、これからますます当局としてのそのチェックチェック管理体制、これをどうしていくかということは大変重要な問題になってくると思います。  実際今、証券と申しましても、先般はコマーシャルペーパーペーパーレス化というような法案も成立をいたしまして徐々にその流れができているんですけれども、それぞれ取り扱っている機関が分かれていると。それと、いわゆる従来の単層構造という形じゃなくて、その下にいわゆる管理機関、あるいは更には投資家という形の多層構造に移り変わっている中でこのシステムがどこかで障害を起こすと、これはもう全体の流れが大きく左右されてしまうという非常に大きな問題があると思います。  私がなぜこのことをお聞きするかというと、やはりそれは、みずほバンクに象徴されるようなシステム障害が一度起きたときにどういう影響が出てくるんだと、それに対してどう対応しなきゃいけないかという正に危機管理の問題であるというところで、柳澤大臣にその辺の御所見、それからこれからの対応についてのお考え、これをお聞かせいただきたいと思います。
  9. 柳澤伯夫

    国務大臣柳澤伯夫君) 山下委員指摘のような、私ども全体としてある種の矛盾の中におるし、その矛盾をどうやって解決していくかということについてはもう不断の努力が必要だということだろうと思うんです。  つまり、今回もそうですけれども、一般にコンピュータライゼーションというか、一つ効率性でありますけれども、同時に、手作業の人力によるよりもより安全のはずであると、こういうような考え方から、安全性効率性の側面からシステムの導入ということで、こうした決済制度あるいは清算制度というようなものを導入するわけですけれども、とにかくコンピューターシステムのある種のまだ発展途上にあるという性格から、全く誤りのないものということは、これはもう至難だと言っていいかと思うんです。だからといって、それではそういうコンピューターシステム化というものを避けたら何か将来が開けるかというと、そうではない。したがって、この関係勧告機関であるところのいろんな国際機関も、要するにオペレーショナルリスクを避けながら効率化を図っていけと、こういうことを勧告している。そのことは正に今私が申したことを表現しているだろうと、こういうように思います。  そういうことで、我々がこの問題についてどういうふうに考えているかということを少し具体的な姿で申し上げますと、基本的には、振替機関というものと、それから口座管理機関と申しますか振替口座を管理する機関というものと、それから清算機関というものが各関係の主体としてあるわけでございまして、これに対してシステム的に我々がどういうふうに監督検査をしていくかという問題だというふうに考えております。  私どもといたしましては、基本のところは振替機関であるという考え方を取っておるわけでございまして、これについては本法に基づく検査監督を行う、こういうことでございます。そしてまた、先ほど申した口座管理機関については、各業法、例えば証券業法とかあるいは銀行法というようなもの、各業法でもってそこに定められた検査監督を行うということであります。それからまた、清算機関については証券取引法に基づいて検査監督を行う、こういうことになるわけでございますけれども、そうすると、少しセグメント化され過ぎちゃって、テキサスリーガーズヒットみたいなことにならないかという問題もあり得るわけですけれども、これについては、振替機関がこれから業務規程というものでこのシステム全体についての業務をいかに進めるかというようなことで、そのシステムとしての統一性というか、そういうものをその業務規程によって確保していこうということでございますので、そこでの検査監督ということをきっちり行うことによって、そうした今、各機関に対する検査監督というもので十分かというようなことについては、私どもとしては、その業務規程の質の確保というか、そういうようなことと、現実検査監督によって今言った安全性効率性確保を図ってまいりたい、このように考えているというわけでございます。
  10. 山下英利

    山下英利君 どうもありがとうございます。  先般起こったみずほのあのシステム障害の問題、根幹的なところを私、個人的に考えますと、やはりシステムということがもうとにかく日進月歩で、とにかくそれがその会社なり組織なりの命運を左右するところまで来ているという、そういう認識を持って対応していかなければいけない問題であると私は思っております。  したがって、例えば、若いころに私はシステムをやっていましたという方が、例えばそのトップになって判断をする、そのときに、昔のイメージがそのまま残っているようではこれは大変な問題になってくるということで、できるだけ情報、下から上がってくるその情報の伝達、これも大変重要でありまして、客観的な情報が上がってきて、それで事前に、火は小さいうちに消すということが大変求められているのがこのシステムに対する対応だと、私はそのように思っておりますので、どうか当局といたしましてもこの辺十分御留意いただいて、それで先ほどの、その業法が分かれているというところのポテンヒット、これをなくさなきゃいけないというのがこれは大きな問題だと。私も同感でございますので、御留意をいただきたいと、そのように思っております。  続きまして、もう一つの私の質問でございますけれども国債についてでございます。  塩川大臣、最近もコメントをされておりましたけれどもムーディーズ日本国債を引き下げた。二段階引き下げて、そして正に途上国並み格付にしてしまったということに対して私も大変異論があるわけです。言ってみれば、大変なODAを出している国が日本であって、そのODAを受け取っている国と格付が同等ないしはそれを下回るというようなところの大きな矛盾点も感じておるわけなんでございます。  ただ、実際、市場においてその格付機関というものがどういう存在なのかということも考えなければいけない。欧米における起債の市場においては、やはり投資家というものが客観的にその情報を得るということがまず大変重要なシステムになっておりまして、そういう意味では、ムーディーズ、スタンダード・プアーズあるいはフィッチといったような大手の格付機関、ここが出す格付というのが投資家投資対象としての判断基準になってくるというのが、もうこれは定着した議論でございまして、また、これに対して、じゃ、民間会社格付がおかしいというような議論をやっても、これは市場の問題でございますので、これは余り私は意味がないのかなというような気もいたしているところなんでございます。  だが一方、翻って言えば、じゃ、日本としてこういった格付を今度引き上げるためには何が必要なのかということを政策として打ち出して、実際にそういった格付機関評価を上げさせる努力、これも必要ではないかなと私は思っているところなんでございますが、正直なところ、現在の塩川大臣のこの格付引下げに対する御所見と、それから政策の面でこの格付機関格付を上げさせるためにやるべきことというのはどういうことであるかということをちょっとお話しいただけますでしょうか。
  11. 塩川正十郎

    国務大臣塩川正十郎君) 山下さんおっしゃるように、格付機関のこの会社存在というものに対してどう認識をするかということがまず第一点の問題だと思いまして、その次は、その会社が今度いたしました格付の実施、実態をどう見るかという二つあると思うんですが。  私は、格付会社の現在のポジションと評価というものですけれども、これはいろいろ見方あるでしょうけれども、これだけ経済が複雑化して、格付をするためのファクターがどんどんと拡大してまいりまして、工学的にこれを組み立てていくとした場合、そこに経済の生に動いておる要素、つまり有機的な要素というものは格付会社はどう評価しているかということ、これは一つの問題だろうと私は思うておるんです。  確かに、静止状態における計数整理を工学的にやった場合はいろんな答えは出てくると思うんですが、経済は生ものですから、それだけで動いておるというだけじゃないと思うんです。  したがって、格付会社も、最近見てまいりますと、例えばエンロンの失敗がございますね。あれなんか大失敗だと思うんですね。それから、アルゼンチンの金融危機アジアに対するアジア危機等も、いろんなの見ました場合、格付会社はそこで何が問題だったかといいましたら、やっぱり経済は生ものであって有機的に動いておるということ、そこをどう評価しておるか、私はその点について疑問を多少は持っておるんです。  けれども、一方、非常にまじめに、真摯に計数整理して指摘している点もあります。その指摘している点は、我々にとってもやっぱりこれは、参考というものはやっぱり考えなきゃいけないという点があります。  そこで、私たちとして見ました場合に、全体として国の力と国債格付というものがそこに正確にバランスが取られておるかといったら、決してそうじゃない、ただ数字だけの評価として出てきておると。その点に対して我々は文句言っておる。それじゃその格付の相互間の国と国との関係バランスをどう見ているかということに異議と言っておるんです、異議を申し立てておると。これに対しましては、もう一つ我々にぴんとくるような答えは来ていない、回答が来ていないと、私はそう思っております。  けれども指摘しておる個々の問題についての要件の中で、二、三やっぱり参考として見るべきものがあると。これを我々も心得て、今後の政策の中で取り入れていくべきものは入れていきたいと、こう思っております。
  12. 山下英利

    山下英利君 どうもありがとうございます。  実際の実態を分析する場合には、いわゆる静態バランスとそれから動態バランスという二つの切り口があると思うんです。  例えばその指標、出てきた指標だけを横並びにした場合に、予算というかその国の規模の違い、そういったものは無視されるところも出てくるでしょうし、例えば国債についても、日本国債を持っている投資家の比率を見ますと、欧米投資家というのは本当に少ない。要するに国内で資金が環流している。そういった状況というのは、要するに外国の場合と随分状況は違うと。  ですが、それは今の現実はそうなんですけれども、じゃこれからどうなんだといったときに、そのお金が国外に流れ出ていってしまうというようなことも、その危険性は考えておかなきゃいけないという部分もあって、実際、今千四百兆円個人金融資産がある。だけれども、そのお金がいつまで日本にあるのか、そういうことも言われるわけでございますので、その千四百兆円のお金がやはり循環していくというふうなシステムにしていかなければいけないと思います。  そのためには、やはり私は景気だと思っているんです。やはり景気に対する施策、これがあってこそ初めて経済というものに血が通ってくるというような状況、これは私は自身として必要なことじゃないかなと思っておるわけです。  また、マーケットで考えますと、そういう意味においては、日本は非常に特殊なマーケットの中で今いるんじゃないかなという気がしております。言ってみれば、日本のこの市場がドメスティックといいますか、鎖国されたような状況にあるような環境にあるということは否めないんで、この日本市場をじゃこれから国際化していって、どんどん海外投資家投資を呼び込んでいくという意味においては、この格付機関というのが無視できない存在だということも言えると思います。  民間会社でございますけれども、そういった静態のところ、それから、先ほど動態と申しましたけれども、じゃ実際そういった特殊なマーケットにおいて日本の国というものがキャッシュフロー上困っているのかというような状況というのを併せて投資家にもきちんと説明をしていかなきゃいけないかなと思います。  そんな中で、実際には日本にも格付会社というのがあるわけです。日本格付機関、これについては、日本国債はもう最上格格付を付けております。私はむしろ、日本マーケット自体がもっと国際化する中で、この日本格付機関というものがもっとしっかりしてほしいなと。国際的にも、日本格付機関格付海外投資家が見て、それで日本状況というものを判断して投資をしてくれるぐらいの格付機関になってほしいと、そう思っておるんですけれども。  国債の場合は政府発行体でございますから、発行体という立場、それから政府として、そういった日本市場国際化を図る、そしてその中において日本格付機関国際的な認知度を高める、これに御努力をいただきたいなと、そう思うんですが、御所見をお聞かせください。
  13. 尾辻秀久

    ○副大臣尾辻秀久君) 今お話しいただいたことは、私どもも全くそのとおりに思っておりますことでありますので、一言で言いますともうそのとおりでありますし、またそのとおりに努力をしてまいります。お答えすれば済むことでありますけれども、いろいろお話しになったこともございますので、先ほど大臣からも御答弁申し上げておりますけれども、改めて私からも少し申し上げてみたいと思います。  このところの海外格付会社との、いろいろ私ども議論をいたしてまいりました。その議論の中身はこれまた先生がお触れになったとおりでありますけれども、とどのつまり私が思いますのは、私どもは、日本全体の経済力を見て判断すべきであろう、定性的とかいろいろ表現しておりますけれども、ファンダメンタルズを見ろとかいろんな表現はするんですが、言うならば日本経済の全体的な力を見ろと、こう言うのに対して、海外格付会社が言うのは、日本財政赤字だけに着目してああいう格付にする、ここのところの議論になっているように感じます。したがって、私ども努力すべきことは、構造改革きっちり努力をしていって、そしてこの財政赤字を解消していかなきゃいけない、基本的な努力をすることもまた一面必要だと、こういうふうに思っております。  ただ、そうした中で、日本格付会社先生お話しのように二社あるわけでありますけれども、これはいずれもトリプルA格付しておるわけでありまして、この日本格付会社格付とでもいいましょうか、世界の中での位置付けがもっと大きくなると、それがまた更に大きな影響を及ぼすということで、そういう意味でも日本市場国際化ということが進んでいけば大変有り難い、そうあるべきだと私どもは思っております。
  14. 山下英利

    山下英利君 どうもありがとうございました。  正に、二〇〇八年に大量の国債償還、これを控えておりますので、国債をいかに市場で消化していくかというところで御当局発行体として御対応を考えていただきたいと、そのように思っております。  それから、次に移らせていただきます。  これちょっと技術的な質問に移るわけでございますけれども、今回のこの証券システムに関して、社債株絡み、いわゆるワラント債であるとか転換社債といった株絡みの債券というものは含まれていないんですけれども、今後この決済システムをどう対応されていくのか、そこら辺のところを御当局からちょっと御説明をいただきたいと思います。
  15. 原口恒和

    政府参考人原口恒和君) 御指摘のように、今回の法律案におきましては社債国債等について統一的な振替決済制度を構築するものでございますが、御指摘ワラント債を含めた株式等につきましては、これは振替口座簿において例えば過大記載に基づく善意取得があった場合の処理といった法律的な問題でございますが、株主権といいますのは、単なる金銭債権を超えまして議決権とかそういういろんな権利を持っております。したがって、これをそういう事故等が起きた場合にどういうふうに帰属させていくか、処理していくかといったようなことを中心に、まだそこら辺の調整につきましてなお慎重な検討が必要であるということで、今回の法案ではまだ措置するに至っておりません。  株式の取扱いにつきましては、現在、法務省、金融庁におきまして市場関係者を交えた検討を行っているところでございまして、今後できるだけ早く、これも含めた統一的な証券決済法制を構築していきたいというふうに考えております。
  16. 山下英利

    山下英利君 ありがとうございました。分かりました。  続きまして、投資家保護策ということからもこの決済システムを考えていかなければいけないと、そういうふうに思いますけれども発行体として、今回のこの制度の中で新たに考えられる清算機関ですね、この清算機関リスク、それから商品としてスワップを導入するというふうなことも盛り込まれておるわけでございます。清算機関リスク及び金利スワップ取引の、これはカウンターパーティーリスク、これについてどのように対応というか、お考えになっていらっしゃるのか、これをお聞かせいただきたいと思います。  カウンターパーティーリスクというのは、相手方の信用という部分もありますけれども、実際には、途中でスワップ取引なんかが相手がやれない状況になったときに、新たに市場からカウンターパーティーを探してこなければいけない、そのときには今度は金利環境も変わっているといったようなリスクだと私は思っておるんですけれども、その辺のところを御当局からちょっと御説明をいただけますでしょうか。
  17. 寺澤辰麿

    政府参考人寺澤辰麿君) お答えいたします。  金利スワップ取引には、取引の相手方が債務不履行に陥るリスク先生おっしゃるカウンターパーティーリスクが伴うことは御指摘のとおりでございます。  カウンターパーティーリスクへの対応につきましては、諸外国では、一定の信用度のある相手方、相手先としか取引を行わない、また必要に応じて担保を徴求するといった対応が取られていると承知しております。こうした例も踏まえまして必要な対応検討してまいりたいと考えております。  なお、金利スワップ取引では、利子相当額の支払を相互に履行する双務契約でございますので、もし万が一取引の相手方に利払いの債務の不履行が発生いたしましても、当方からの利払いをストップすることが可能でございます。いわゆる貸倒れが一方的に起こるということはないと考えているところでございます。
  18. 山下英利

    山下英利君 済みません、それから清算機関リスクについてはいかがでございますか。
  19. 原口恒和

    政府参考人原口恒和君) 清算機関がそもそも各決済当事者に分散している決済リスクを集中的に引き受けるということでございますので、これに対する、これが何か事故等が起きますとシステミックリスクにつながるおそれもございますので、清算機関には十分なリスク管理あるいは損失処理能力が求められるということでございます。  このため、清算機関リスク管理及び損失処理能力を確保し、証券決済における基盤的サービスの提供者としての公共性を確保するための基本的な法整備の枠組みを行ったところでございますが、今後またこれ具体化するということに対応いたしまして、それに対する監督検査等の在り方についても十分慎重に検討していきたいと思っております。
  20. 山下英利

    山下英利君 ありがとうございました。  これが最後の質問でございますけれども、今回、これのスワップ取引を入れるということで、スワップ取引の活用の目的についてもう一回ちょっと御説明をいただきたいということと、それから、実際に金利スワップ取引を実施した場合に、想定元本となる国債の利払いと、それからスワップ契約に係る受け払いとの間に時間的なずれ、いわゆるミスマッチ、これは生ずることはないのか、ちょっと御確認をさせてください。
  21. 寺澤辰麿

    政府参考人寺澤辰麿君) お答えいたします。  今回導入を検討しております金利スワップ取引は、国の負債のデュレーションを調整するために、現実に発行されております国債の利子等につきまして金利の変換を行うものでございます。金利スワップに係ります利子の受け払いと、想定元本となります国債の利払いのタイミングにつきましては、今後、取引方法の詳細を検討する過程で具体化を図ってまいりたいと思いますが、基本的にはその両者のタイミングは合わせる方向で考えているところでございます。
  22. 山下英利

    山下英利君 ありがとうございます。  ミスマッチ、いわゆるポジションを取るという形になると、それだけのリスクが高くなるということでございますので、その辺をきちっと管理し、そして本来の目的に沿った運用をしていただきたいと、そのように思いますので、よろしくお願い申し上げます。  私の質問は以上でございます。どうもありがとうございました。(拍手)
  23. 大塚耕平

    ○大塚耕平君 民主党の大塚でございます。  塩川大臣柳澤大臣には、連日お呼び立てして誠に申し訳ございません。  先ほど山下委員国債格付の話をしておられたんで、ちょっと触れさせていただきたいんですが、まあ塩川大臣、大層お怒りで、格付機関格付には根拠がないじゃないかと言っておられる。そういう抗弁の仕方もあろうかと思うんですが、格付機関やあるいはBISもそうですけれども、これはかなり政治的な利害が絡んでいて、必ずしもBISのルールにしても格付機関判断にしても客観的じゃないかもしれないなということはもう以前から言われているわけですので、これは私からの御提案ですけれども、余り根拠がはっきりしないというふうに格付機関に抗弁されるよりも、分かりましたと、しからば、日本国よりも格付の高い国にはODAも出さないし、日本国より格付の高い国ほど国連への拠出金は負担しない方向で検討せざるを得ませんとか、そういうことをさらっと言われた方が、じわっと格上げ圧力が掛かると思いますので、格付機関国際世論との対応の仕方というのは、必ずしも真正面から受け止めて反論されるばかりではないということを是非御検討いただきたいなというふうに思います。  で、今日は大変長い名前の法律の審議なんですが、正直言いましてかなりマニアックな法律ですので、私も、いろいろ事務局の皆さんとも大臣とも議論をさせていただきながら理解を深めさせていただきたいと思うんですが。  まず、この法律ですけれども、もう釈迦に説法かとは思いますけれども、大きく二つ部分に分かれておりまして、一つ証券決済インフラを整備しましょうという話と、もう一つは、国債の残高が大変増えていますので、いろんな国債のバリエーションを増やして国債の消化をしやすくしましょうという、この二つ部分に分かれているんですが、まず前者についてちょっとお伺いをしたいんですが、国債の振替決済機関について、これは、現在は日本銀行がやっていることは御承知のとおりだと思いますが、今後、一定の要件を満たす株式会社にも国債の振替決済をさせる可能性があるというような内容になっているんですが、この一定の要件というのはどういうことを想定しておられるのかということについて、大臣でも結構ですし、今日の質疑は適宜政府参考人に立っていただいて一向に構いませんので、まずその一定の要件の具体的内容についてお聞かせいただきたいと思います。
  24. 原口恒和

    政府参考人原口恒和君) 振替機関の指定の要件といたしましては、法令上、株式会社であって、社債等振替法の規定による指定取消処分を受けてから五年を経過しない者、社債等振替法や関連法律違反により罰金刑を受けてから五年を経過しない者、三番目に、役員に一定の拒否事由に該当する者がいるものという客観的拒否要件に該当しない者であって、定款及び業務規程が法令に適合し、振替業を適正かつ確実に遂行するため十分と認められること、十分な財産的基礎を有すると認められること、十分な人的構成を有すると認められることという三つの要件を充足することを定めております。  ただ、この要件につきましては、一般的にCP法で規定していたものと共通するものでございますが、今回国債を加えたということを念頭に置きまして、国債に関しましては、今回の法改正によりまして、日本銀行についても基本的には同様の指定要件を定め、振替機関として指定できることとしております。
  25. 大塚耕平

    ○大塚耕平君 そうすると、昨年制定された法律に記載されている一定の要件を基本的に踏襲しているということでございますよね。  ということは、財務省の御認識は、社債のような民間企業の債券と国の出す国債について、それを運営する振替機関については同じ程度のクレジビリティーでいいというふうにお考えになっているという理解でよろしいですか。
  26. 原口恒和

    政府参考人原口恒和君) 法令上は最低の要件としてそういうものを定めているということでございまして、加えて、国債については特則を設けているということと、それから、実際に法令上、取扱いについては発行者の同意を得て取り扱うということになっておりますので、実際に国債を取り扱うか否かについては、その発行者の同意、すなわち国による同意が必要だという要件を付けておりますので、実際上、国債についてのそれなりの特殊性ということは法令上も認識をしているということかと思います。
  27. 大塚耕平

    ○大塚耕平君 今、国債の特殊性というお話があったんですが、これは冒頭お話しした格付の話とも関係してくるわけですけれども民間格付機関が企業の社債等々を格付するのは、これは民間同士の話ですからいいですけれども、一体、民間格付機関が国の債券、国債格付するのにどのぐらいの根拠があってやっているのかということが正しく今議論になっているわけですから、もし、国債の特殊性ということをおっしゃるならば、この一定の要件を満たす株式会社が出てきたとしても、なかなかそう簡単に、軽々に国債の振決というのは民間企業に任すことができないというふうにお考えだというふうに理解してよろしいですか。
  28. 原口恒和

    政府参考人原口恒和君) 法令上あくまで、そういう振替機関としてきちっとした体制を取っているとか、いろんな拒否要件に当たらないということを定めているわけでございますので、まず、国債を取扱いをするかどうか、一義的にまずその機関判断がございますし、それから、それに対する国の同意というのはございますが、我々当局としては、あくまで法令に従って、申請を待って、指定要件を充足するものであれば、振替機関として指定を行うことになるというふうに考えております。
  29. 大塚耕平

    ○大塚耕平君 お役所の御答弁としてはそういうことになろうかと思うんですが、私もたまたま日本銀行というところにおりまして、正しく国債の振決をやっているシステムにも多少かかわっておりましたので、なかなか民間の組織に簡単にできることではないだろうなと。また、国債の決済の安定性を考えると、これはよほどクレジビリティーの高い組織に任せないと大変だなあと。  結論的に言うと、そう簡単に、じゃ日銀の国債の振決を民間企業にどうぞというふうにできるかというと、難しいんじゃないかと。こんなことを言うと、何か日銀の族議員みたいで、誠にその辺の誤解をされると困るんですけれども、そこの点をどういうふうに考えておられるのか。当面、日銀にやらせようと思っておられるのか、いやいや、この要件を満たす民間組織が出てきたら、これは競争原理を発揮させるために、そこはもう、何というんですか、同じ目線で見ていくということなのか、そこについてのお考えをちょっと聞かせていただきたいんですが。
  30. 原口恒和

    政府参考人原口恒和君) この決済システムについては、今後、民間の当事者あるいは発行体、そういうところを含めていろんな具体的な制度の設計なり議論がされていくということでございますので、我々の法令担当部局としては、あくまでその実態に即応しながら、法律の趣旨に沿って、指定要件を満たしているかどうかということ、その中にはそういういろんな財務的な基盤の問題もございますし、人的な構成もありますが、そういういろんな要素を法律上判断していくということに尽きるかと思います。
  31. 大塚耕平

    ○大塚耕平君 なかなか禅問答の繰り返しですのでちょっと視点を変えますけれども、旧大蔵省さん、今は財務省さんの傘下になるでしょうか、証券保管振替機構というのがございまして、この保振がこの四月から株式会社化されているわけでありますが、この保振に国債の振決をある程度の近未来において任せるということを念頭に置いておられるんでしょうか、その点について御答弁を伺いたいと思います。
  32. 柳澤伯夫

    国務大臣柳澤伯夫君) 何というか、株式会社一つとして現在の保振があって、これが新しい法律に基づいて指定されるということが前提でございましょうけれども、そこに一体国債の振替決済をやらせる意向があるかと、こういうお尋ねかと思いますけれども、これは、私どもの方、今のこの法律で書いてあることからすると、今、原口局長答えたこと以上のことは、これは言えないということでございます。  したがって、むしろ、質問を私がここで方向付けする議長の立場でもありませんけれども、どうも今の大塚委員のお話を聞いておると、その問題はむしろ発行体の選択の問題なのではないかと、こういうように考えるわけです。
  33. 大塚耕平

    ○大塚耕平君 それは、柳澤大臣のおっしゃるニュアンスもよく分かりますので、現時点で今の原口局長の御答弁以上のものをここで何かお伺いしたいということでもございませんので。  これは衆議院でも五十嵐議員がお尋ねしたかもしれませんが、先々こういう要件を満たす株式会社が出てくるにしろ保振がそういう要件を満たす組織になるにしろ、やはり行政のかなり息の掛かった組織で、形式的には株式会社というところがやるということでは困りますので、今、保振の幹部の皆さんは、過去からの連続性があるので暫定的に旧大蔵省出身の方が幹部に就いておられると思いますけれども、保振を株式会社化するときにもたしか附帯決議が付いて、やはり極力そこは天下り先にならないように注意をしてくださいという附帯決議が付いておりますので、保振について、その点についてどういう運営方針でおられるかについてちょっと御所見を伺いたいと思います。
  34. 柳澤伯夫

    国務大臣柳澤伯夫君) これは衆議院の方でも私お答えしておるかと思いますけれども、かなり専門的な分野でもありますし、更に言えば、前向きの取組というようなことについてもしっかりした考え方でやってほしいというのは、私どもそもそもこの法律を作るに当たっても国際競争ということを意識していますから当然でございます。そういうようなことを考えますときに、現在の人間が適格か不適格かといえば、私は責任者として今ここにあるわけですけれども、不適格どころではない、非常に適格性を高く有している人材を充てているという認識でございます。  もちろん、この附帯決議もありまして、何でもどんな人間でもとにかく天下りの先として充てていくんだというようなことは私は全く考えておりませんで、むしろこの機構あるいはシステムというものが本当に円滑かつ発展的に運営されるということを基本に置いて人材を考えていきたい、そういう下での運営を確保していきたいと、こういうふうに考えているわけでございます。
  35. 大塚耕平

    ○大塚耕平君 ありがとうございます。  私も機械的に天下りは何でも駄目だという一刀両断で語ることは必ずしも適切ではないと思っていますので、正しく適材適所でその後の運営がきちっと行われることが重要だと思っておりますので、その点は同感でございます。  今日は日銀総裁にもおいでいただいておりますが、お忙しいところありがとうございます。  日銀総裁にも、しからば、現時点で国債の振決制度を担っている日本銀行がこの国債の振決制度についてどういうお考えでおられるかということについて、総裁、あるいは理事でも結構でございますので、お答えいただきたいと思います。
  36. 三谷隆博

    参考人三谷隆博君) お尋ねの件でございますけれども国債というものは今、金融市場で非常に重要な役割を果たしておりまして、例えば、売買であるとか担保であるとかそういった取引の中で、金融機関の間に行われます大口の資金決済と極めて密接に結び付いておりますことから、私どもとしましては、国債の振替決済業務が円滑に行われるということが、日本銀行の目的であります金融機関間の資金決済の円滑確保という点と強く関連を有しているというふうに考えておりますし、またそのほか、日本銀行は、別の法律によりまして既に国債の発行、利払い、償還その他もろもろの事務を行うこととされておりますので、これらと国債の決済の処理というものを一貫して行うことによりまして、より効率的な事務運行が可能になるというメリットがあると考えております。  さらに、日本銀行では、先ほど先生も御指摘のとおり、一九八〇年以降、契約ベースではありますが、今回の法制と類似の形での振替決済制度を開始するとともに、その後、国債決済の安全性効率性の向上ということに努めてきておりまして、その結果、現在、日本銀行の運営しております国債決済システムは、いわゆるグローバルスタンダードを満たす諸機能を備え、我が国の証券決済システムの中でも最も進んだものになっているというふうに考えております。  こうした実績に基づきまして、マーケット関係者などからも、新しい法律の下でも引き続き日本銀行が国債振替機関として必要なサービスを提供してほしいという要請が強く出されているというものと承知しております。  これらのことを考えますと、今後とも日本銀行が国債の振替決済を行うということは、国債について安全かつ効率的な決済サービスを継続的に供給するという意味で極めて望ましいことであるというふうに考えておりますし、これは同時に、今御審議いただいております新しい法律の考え方にも沿ったものであると認識しております。  こうした考え方の下で、私どもとしましては、この法律成立後も、必要な国債振替決済に関するサービスを提供すべく、必要な検討というものを今進めておるところでございます。
  37. 大塚耕平

    ○大塚耕平君 今、保振と日銀のことだけお伺いしましたが、今日は参考人で東証の社長さんも大証の社長さんも、今はいらっしゃらないかもしれませんが、おいでになると思いますが、ほかにもいろんな機関がありますので、是非お願いしておきたいことは、仮に、今後ずっと日銀がやるのか、あるいは法律に書いてありますような要件を満たす株式会社が出てくるのか、いずれにいたしましても、組織間の言わば縄張争いのような形で、真に利用者の立場に立たないような、マーケットの参加者があきれるような、そういう展開が発生することなく、本当にきちっとした振決制度を是々非々で御議論いただいて、運営していただきたいと思います。そのことをお願いしまして、このインフラ整備に関しては終わらせていただきますので。  次に、国債の新たな発行スキームをいろいろ設けるということで、今回、ストリップス債とか、それから個人向け国債とか、いろいろ盛り込まれておりますけれども、こういう諸施策が盛り込まれた背景と目的について、これは財務省にお伺いをしたいと思います。
  38. 尾辻秀久

    ○副大臣尾辻秀久君) 申し上げるまでもございませんけれども、今般の法案の正式名称は証券決済制度等改革による証券市場整備のための関係法律整備等に関する法律でございまして、社債市場国債市場等の証券市場制度整備を総合的に行うことを目的としているものであります。お話のとおりであります。  そうした中で、これまたお話のとおりに、国債関連の事項につきましては、いずれも国債市場の多様化や国債市場効率性の向上といった国債市場整備を行うものでございまして、我が国証券市場効率性の向上や国際競争力の向上に資するものであることから本法律案で措置させていただいているものでございます。  言わんといたしておりますことは、証券市場の全体の整備でありますから、その一部であります国債市場整備も一緒に御審議をお願いしておる、まあよくこのところ御批判がございますので、率直に申し上げまして、決してどさくさ紛れでこれをお願いしているものではないということを申し上げたところでございます。
  39. 大塚耕平

    ○大塚耕平君 そのように率直に言っていただいた方が議論が面白くなると思いますので。  副大臣、そうはおっしゃいますけれども、ここに、原口局長が三月二十日付けで、恐らく私だけじゃなくて各議員に配った法案説明の頭紙があるんですよ。この証券決済システム改革法案については、「社債国債等について券面を必要としない新たな振替制度を創設する等、決済の迅速化・確実化をはじめとする」、以下中略いたしまして、「「短期社債等の振替に関する法律」等が成立したところですが、今回の法律案は、更に包括的な証券決済制度を創設するものであり、我が国証券市場国際競争力の向上に資するものであります。」と、こう書いてあって、全然国債市場の、国債の新しいスキームを導入するとかという話は一切この段階では触れられていなかったんですけれども、何かこれは、この段階では検討されていなかったということなんでしょうか。
  40. 尾辻秀久

    ○副大臣尾辻秀久君) これは、まさかのときに備えるためにということで、国債発行当局としては絶えずいろんなことを準備しなきゃいけない、備えなきゃいけないということがありますので、そういう意味では、いつもこうしたことも含めて検討していたものであることは間違いございません。  決して言い訳するつもりでもありませんけれども、この御説明のときは、この法律がさっき申し上げたような名前でありますので、どうしても金融庁の所管といいますか、金融庁の方で主たるところとして資料をお作りになり御説明なさる、そうなりますと、財務省所管部分が、先ほどお示しになったところでもその他になっておるわけでありまして、どうしてもそういう扱いを受けてしまった。まあそれが先ほど申し上げたような、何か誤解を招いたもとなのかなと私ども思っておりまして、繰り返し申し上げますが、私どもは極めて素直にこの中だと思って御審議をお願いしておるものでございまして、他意は全くないことを改めて申し上げたいと思います。
  41. 大塚耕平

    ○大塚耕平君 先ほど副大臣は、証券市場整備の法律ですので、その一環としてこの部分についてもというふうにおっしゃったんですが、これは、例えば金利スワップ市場整備するとか個人向け国債市場整備するとかそういうことではなくて、政府の資金調達手段として新たなスキームを導入するということですから、市場整備の一環というふうに御説明いただくとちょっと違和感があるんですけれども。  だから、もう一回冒頭の質問に戻りますけれども、今回こういうスキームがいろいろ盛り込まれた背景と目的について、つまりこれは、客観的に見ると証券市場整備の一環ではなくて、後段の部分政府が新しい発行スキームをいろいろ手にしたいということが書かれている法律ですから、その背景と目的について、それこそ率直にお答えいただいた方が有意義な議論ができると思いますので、よろしくお願いします。
  42. 尾辻秀久

    ○副大臣尾辻秀久君) 先ほど来先生も言っておられますけれども、今度お願いしているものが、具体的に言うと大きく三つございます。  そのうちの二つは、先生も今お話しのようなところで、決して、否定なさるというか、まあおかしいとおっしゃるものではないんじゃないかなと思いますので、金利スワップの方がやや今私が御説明申し上げておることから外れるのではないかなという御趣旨の御質問かと思いますので、そこの部分答えさせていただきたいと思います。  まず、基本的に是非御理解いただきたいと思っておりますことは、これを今回お願いいたしますのは、お願いしてお認めいただいたからといって直ちにやろうというような気は全くございません。それからまた、積極的に、何というんでしょうか、金利スワップ市場に私どもが一プレーヤーとして積極的に乗り出していくというようなことを意図するものでもございません。先ほど申し上げましたように、まさかに備えるといいますか、どうしてもそういう状況になったとでもいいますか、やらざるを得なくなったときのために備えておきたいということでお願いをしておるものでございます。  したがいまして、そういう意味で、国債市場に混乱を引き起こさない、今私が申し上げたような事態というのは国債市場がかなり混乱する危険性を持つ事態でありますから、そういうときに国債市場を混乱させないために手を打っておきたい、一つのツールを持っておきたいということでお願いしておりまして、そういうふうに御理解いただきたいと思うわけであります。
  43. 大塚耕平

    ○大塚耕平君 ありがとうございます。  まさかのときに備えるという、非常に率直な御答弁で有り難いと思います。来週以降ちょっと金融関係の雑誌に私もこの件書かさせていただくんですが、タイトルは正しく、まさかのときだから、これは僕は国債の有事法制だと思っているんですよ。国債の有事法制、だからタイトルもそういうことでやらせていただこうと思っているんですが。今、本物の有事法制がなぜこんなに紛糾しているかというと、有事法制だからきちっと中身を詰めておかないと、もう本当に大変なときになっちゃったら、議論している場合じゃないから、もういいや、とにかく行けということになっては困るから本来の有事法制があれだけ議論になっているわけですね。  だから、この国債の有事法制においても、中身がきちっと詰まっているかどうかということが極めて私は重要だと思っておりまして、そういう視点で、先ほど山下委員質疑の最後の方で寺澤局長原口局長がお答えになっていた話で、例えばカウンターパーティーリスクについては今後どういう対応をするか決めていきたいとか、清算機関についても考えていきたいとか、機関のミスマッチについてもいろいろ海外の例を考えて決めていきたいとかという、それは現時点ではそういうことであろうと思うんですが、やっぱりもうちょっと詰まってから出てきてもいいんじゃないかなという気がして、だから、まさかのときというのが、ひょっとすると、十分にこれから検討する期間を確保して、検討の結果を待てないぐらいのタイムスパンで副大臣大臣がお考えになっているのか、あるいは事務局の皆さんかもしれませんが、だから、そのまさかのときというのは、この内容の検討が、政省令レベルかあるいはもうちょっと下のレベルか分かりませんが、きちっと詰められるまでは起きないとお考えなのか、それとも、きちっと詰まる前でもまさかのことは起きるかもしれないとお考えなのか、そこをお聞かせください。
  44. 尾辻秀久

    ○副大臣尾辻秀久君) 日ごろ御答弁申し上げておりますように、今のところ国債は順調に消化をされておりますから、今のところまさかが起きるというふうには私どもは考えておりません。ただ、やはり備える必要がある。そして、じゃ法律で、きっちり法律に書かれてお認めいただいてから準備するのか、先にきっちり準備してから法律に出してこいよという今の先生のお話、これはどちらもそれぞれの理屈はあろうと思いますが、準備するにはいろいろコストも掛かりますし、やっぱり私どもとしては、はっきり法律に書かせていただいて万全の準備をさせていただきたいと思っておるわけであります。  正しく有事法制というお話がございましたし、私ども認識もそうでございますので、先生お話しになったのでそれにそのままお答えすると、やはり三矢研究はしちゃいけないと私どもは思っておるわけでありまして、やっぱり法律でお認めいただいてから準備をさせていただきたいと考えておりますと、こういうことでございます。
  45. 大塚耕平

    ○大塚耕平君 衆議院の五月十七日の財務金融委員会での御答弁でも副大臣は同じことをおっしゃっておられるので首尾一貫しておられると思うんですが、法案が通ってから準備する方がコストが掛からないというふうにおっしゃったんですね。いや、これは議事録にあるんですよ。あるんですよ。
  46. 尾辻秀久

    ○副大臣尾辻秀久君) それは訂正します。
  47. 大塚耕平

    ○大塚耕平君 ああそうですか。ああそうですか。分かりました。  法案が通ってから準備する方がコストが掛からないというのはどういうことかなと思って実はお伺いしたかったんですが、訂正なら訂正でも結構ですが、ちょっと所感をお伺いしたいんですが。
  48. 尾辻秀久

    ○副大臣尾辻秀久君) もし議事録がそうなっておりましたら、そういうつもりで言ったつもりございませんので、いい機会でありますから訂正させていただきます。  コストも掛かりますという、準備に人も要りますし、じゃその人をどうするんだとか、いろんなコストが掛かりますので、それは法律にもないものを金を掛けて準備するとかというようなことはやはりまずいと思いまして、法律でお認めいただいてからしっかり準備をさせていただきたい。金も決してただで済むことじゃありませんからという意味で申し上げたわけで、是非そのように御理解をください。
  49. 大塚耕平

    ○大塚耕平君 それでは、ちょっと違う切り口から質問をさせていただきたいんですが、これは国債の有事法制ですから、正しく国債をどういうふうにハンドリングしていくかということの一環としていろんなスキームを事務方の皆さんも苦労して作っておられるわけですね。しからば、これは財務省と内閣府にお伺いをしたいんですが、国債管理政策というものをどういう定義で運営しておられるのかということについてお聞かせいただきたいと思います。
  50. 尾辻秀久

    ○副大臣尾辻秀久君) かなり難しい御質問をいただきました。今の国債管理政策ということにつきましては必ずしも一義的な定義はございません。発行当局の立場から申し上げますと、できる限り財政負担の軽減を図りながら、国債が円滑かつ確実に市場に受け入れられるよう、国債の発行、消化、流通、償還の各方面にわたり行われる種々の政策の総称と解しております。これがお答えに申し上げることになります。  もう少し具体的に申し上げますと、かねて国債管理政策の目標として私ども二つ掲げております。すなわち、一つ国債の円滑かつ確実な消化、もう一つが長期的な調達コストの抑制、この二つが目標でありますし、これがまた言葉を換えれば国債管理政策そのものではないかなと、こういうふうに考えております。
  51. 大塚耕平

    ○大塚耕平君 内閣府。
  52. 岡本保

    政府参考人岡本保君) 内閣府は直接的に国債管理を担当しているわけではございませんが、国債管理政策というものについての基本的な考え方というものは、ただいま副大臣から御答弁があったものと同じというふうに考えております。
  53. 大塚耕平

    ○大塚耕平君 直接関係がないというふうにおっしゃいましたけれども、後で竹中さんおいでになったらお伺いしますけれども、財政政策と金融政策のアコードが必要だという、ホンダの人が喜びそうなことをあっちこっちで言っておられるんですが、こういう発言というのは国債管理政策と極めて重要な接点があって、内閣府が直接は関係がないなんていう御答弁はちょっと承服しかねます。  ただ、基本的には同じ財務省のお考えだということですから、それはそれで結構ですが、寺澤局長はやはり衆議院の審議でこういうことを言っておられます。国債消化の確実化、円滑化並びに長期的な調達コスト抑制を国債管理政策の目的としていると。今の副大臣の御答弁とそうは変わりがないわけなんですけれども、ただ、私がこれは実は秋の臨時国会のときにも塩川大臣にも一回お伺いしたんですね、僕は、国債管理政策について。何といいますか、非常に難しい御答弁をいただいた記憶があるんですが。  今、財務大臣がおっしゃった御答弁や寺澤局長の御答弁というのは、何というんですかね、国債管理政策の目的の表層的な部分で、本来の目的はどこにあるかというのを非常に書生っぽい議論をすれば、国債管理政策って三つあって、一つは、おっしゃるようにコストの最小化、もう一つは、景気対策を念頭に置いて、短期債を発行した方が短期の流動性を供給することになるから、景気対策を念頭に置いたそういう満期構成を考えた国債管理政策。しかし、コスト抑制、あるいは景気対策を念頭に置いた発行と、どちらか片方に偏ると、これは例えば、コスト抑制一方であれば、長期金利の方が低いときには、じゃ長期債だあっと出すと、これは長期債ばかりたまるから、償還期が集中しちゃいますので良くない。  そこで、一はコスト抑制、二は景気対策のための流動性供給、そして三は、その両方を加味して両方の観点から、コストもそうは高くならない、しかし景気にも配慮するという最適満期構成を追求するという、この三つのうちのどれですかということが実はお伺いしたいんですよ。  そういう観点で考えると、国債消化の確実化、円滑化並びに長期的な調達コスト抑制を国債管理政策の目的としているという御答弁は、国債管理政策の、つまりこれは、海外経済政策担当者はみんな今僕が申し上げたような三つの視点から見ているわけですから、そうか、日本景気対策という観点、景気への配慮という点では満期構成は考えていないのかというふうに疑問に思われる方もいるんですけれども、以上、私なりの整理をさせていただきましたが、理財局長でも結構ですし、もう少し突っ込んだ御答弁を聞かしていただきたいんですが。
  54. 寺澤辰麿

    政府参考人寺澤辰麿君) お答え申し上げます。  私ども国債発行当局として、国債管理政策は、あくまでも確実かつ円滑に国債を発行して、国庫の資金をきちっと調達をするということが第一であり、また長期的に見てその調達コストが抑制される、なるべく国民負担を招かないような形で調達をするということではないかと思っております。  先生指摘景気対策の観点からの短期債の発行ということについて、私ども国債管理政策の観点から、そういう観点を加味して議論をしたことはかつてないと思います。ただ、先ほど申し上げました二つの目標を達成するためには、やはり市場において国債が円滑な流通が行われているということが必要でありますし、市場において短期、中期、長期、超長期の国債バランスよく発行されてイールドカーブが非常に正常な形であるということは、先ほど申し上げました目標を達成するためには必要なことでありますので、国債の発行計画の策定等に当たりましては、そういったバランスの取れた発行というようなことも考慮しているところでございます。
  55. 大塚耕平

    ○大塚耕平君 これは、この委員会かほかの委員会かちょっと忘れましたけれども日本の今の政策当局の構造問題は、政策の目的と手段がかなりミスマッチを起こしていたり、あるいは目的が明確じゃなくなっちゃっているところに非常に深いところでの構造問題があると思っていて、これは別に財政政策や金融政策に限らず、ほかの分野でもそうです。  農水省は一体何の目的で彼らが今使っている政策手段を駆使していたのか、外務省は一体どういう目的を果たすために、例えば総領事館とか大使館を置いているのかとか、行政当局の皆さんが一体自分たちの本来の目的は何なのかということがきちっと整理されなくなってきたことが、私は今日の日本のこれはあらゆる分野の政策の混乱の原因だと思っていますので、この国債管理政策についても、一体どういうことを目的にやろうとしていらっしゃるかということについては、今日ここで結論を出すつもりはありませんけれども、私も議論を深めさせていただきたいと思いますが、是非よく整理していただきたいなと思います。  そこで、先ほどの、これ有事法制だから武器の使い方については、火器の使い方についてはきちっとルールを決めておかないといけないという、そういう視点にちょっと戻って幾つか聞かせていただきたいんですけれども、具体的にこの金利スワップ、すぐおやりになるとはおっしゃらなかったんですけれども、どういう取引を具体的に想定しておられるのかと、当面。
  56. 寺澤辰麿

    政府参考人寺澤辰麿君) 私ども金利スワップ取引を今回お願いをしております趣旨は、国債市場状況や国の負債構成等に応じて場合によって金利スワップという手法を用いてやる場合があり得るということでお願いをしているわけでございます。  ただ、先ほど副大臣も答弁されましたように、国の負債構成、負債のデュレーションの管理につきましては、まず第一義的には発行計画における各年限別の国債発行額を適切に設定をしていくということだろうと考えております。金利スワップ取引は、国債発行額の設定では望ましいデュレーションが十分に実現できない場合の補完的な手段というふうに位置付けているところであります。  その具体的な内容でございますが、基本的には、変動金利と固定金利、又は固定金利と変動金利といった金利スワップ、非常にシンプルな取引を念頭に置いているところでございます。
  57. 大塚耕平

    ○大塚耕平君 変動・固定のスワップで長期の払い、短期の受取がベースだということは何度もお伺いしていますが、そういう取引が可能なのは、今日は日銀も来ていただいていますけれども、日銀が量的緩和を行って、TBの金利がLIBORよりも低いという、そういう環境があると、TBがんがん発行して金利は長期のデュレーションを作るということが可能なんですが、これ、環境が変わったらできなくなっちゃうわけですよね。  そうすると、そういう環境が、二つお伺いします、そういう環境、金融環境がなくなったらどういう取引をされるのかということと、逆に、今ずっとこの数か月、そういう取引がメーンだという御答弁を事務方の方もみんなしていますから、ということは、日銀の量的緩和が当分続くというふうにお考えになって、それを前提に法律を出しておられるのか。この二点についてお伺いします。
  58. 寺澤辰麿

    政府参考人寺澤辰麿君) 先ほども御答弁いたしましたが、まず第一義的には発行計画を望ましい形でどうやって設定するかということだろうと思いますが、金融情勢によっては私どもが望ましいと考える発行計画の設定が難しいという場合があるということを前提に金利スワップの手法をお願いしているわけであります。現在の金融情勢を前提として、現在のような金融情勢だからということでお願いしているわけではございません。  なお、先生が今御指摘のように、スワップレートが急上昇しているというような場合でも行うのかということでございますが、私ども、あくまでもデュレーションの管理の補完的手段というふうに考えておりまして、その条件が国にとって余りにも不利になるような場合には実施をしないというふうに考えております。
  59. 大塚耕平

    ○大塚耕平君 じゃ、またちょっと二つお伺いしますけれども、結局、業界用語で大変恐縮なんですけれども、変動・固定のスワップでしかも金利だけだという、プレーンバニラという取引のことばかり言っておられるんですけれども、もう詳しくは申し上げませんが、固定・固定の交換もあれば変動・変動の交換もあるし、金利じゃなくて元本が変動するものもあれば期間が変動するものもあるし、もうオーダーメードなんですよね、金利スワップというのは。そうすると、金利スワップ取引をこの法律で導入すると、マーケットで行われているあらゆる可能性のある取引を行い得るということですか。まず、その一点、お伺いします。
  60. 寺澤辰麿

    政府参考人寺澤辰麿君) 今回私どもお願いしておりますのは、金利のスワップのみできるという法律の規定になっておりますので、先生指摘のいろんな複雑なスワップ取引が、全体ができるというものではございません。
  61. 大塚耕平

    ○大塚耕平君 分かりました。それは今重要な御答弁で、金利だけですね。金利の交換しかこの法律の下ではやらないということでよろしいですね。もう一回そこ、そうですという御答弁をしてください。
  62. 寺澤辰麿

    政府参考人寺澤辰麿君) 御指摘のとおりでございます。
  63. 大塚耕平

    ○大塚耕平君 ありがとうございます。  じゃ次に、先ほど国債の発行計画の中に盛り込むとおっしゃいましたけれども、ただ、それは環境が変わったらできなくなるかもしれないというような御趣旨の御発言がありましたが、国債発行計画の中に盛り込む数字は、これはシーリングですか、それとも、盛り込むけれども使わないかもしれない、つまり、持っていたら必ず発砲する火器なのか、いや発砲しない火器なのか、発砲しないかもしれない火器なのか。
  64. 寺澤辰麿

    政府参考人寺澤辰麿君) 発行計画で定めますのは金利スワップの限度額、想定元本で書くか金利で書くか、ちょっとそこはまだ今後の議論でございますが、限度額というふうに考えておりまして、その限度額を定めますと、金利スワップを行いますためには、支払金利が発生いたしますので予算におきまして利払いを計上する、これも予算上のアッパーリミットといいますか、限度ということになると考えております。
  65. 大塚耕平

    ○大塚耕平君 そうすると、今、局長は、これはシーリングであってオブリゲーションではないということなんですが、発行計画に例えば政府が五千億の金利スワップをやるかもしれないと年度初にどんと出ると、マーケットは、ああそうか、政府にそういう需要があるんだなと思うと、その需要が出てくることを前提に金利が構成されるわけですね。ところが、政府が、いやいや、これはシーリングだから、必ず使わなきゃいけないものじゃないから使わなくてもいいんだと言って、ああ出てこないんだということが分かった途端に、今度はスワップ市場政府が出てくるという需要がなくなったので低下バイアスがだあっと掛かるわけですよ。  そうすると、みすみす、計画に計上した取引を行わなかったばかりに、調達コストを軽減するチャンスを失うという現象が起きるんですけれども、そういうことも起こり得るという理解でいいですね。つまり、コスト最小化、コスト抑制とおっしゃっておられるんですが、これがシーリングなのか、あるいは必ずやるということなのかによって大分得べかりし利益というのが変わってくるわけなんですけれども、そこはどういう御方針で臨まれるおつもりなんですか。
  66. 寺澤辰麿

    政府参考人寺澤辰麿君) 私どもがコストを抑制するという言い方のときには、長期的な調達コストの抑制ということを申し上げておりまして、この金利スワップでいわゆるスペキュレーションを目的とした金利コストを下げるというようなことは考えておりません。  また、金利スワップを実施するに当たりましては、市場に攪乱的な影響を与えることのないように、取引方法についても実施する金額についても十分配慮を払ってまいりたいと考えておりますが、具体的に国債発行計画におきまして年間の実施限度額をあらかじめ公表するということにおいて、市場との関係もある程度節度を持ってできるのではないかというふうに思っているところでございます。
  67. 大塚耕平

    ○大塚耕平君 年間の実施限度額、これから検討されるんでしょうけれども、現時点で想定しておられるのは、後でこれは言質を取ったという対応はしませんので、現時点ではどのくらいだと想定しておられるんですか。
  68. 寺澤辰麿

    政府参考人寺澤辰麿君) 具体的に現在額を念頭に持っているわけではございません。先ほど副大臣の答弁にありましたように、現在、国債は順調に消化されておりまして、今直ちにこの金利スワップを導入しなければならないような状況にはございませんので、今後の国債市場状況を見ながら、その時々の国債の発行の必要性等も考慮しながら検討させていただきたいと存じます。
  69. 大塚耕平

    ○大塚耕平君 ちょっと最初に戻りますが、今直ちに整備しなきゃいけないというものではないなら、どうして今整備するんですか。
  70. 寺澤辰麿

    政府参考人寺澤辰麿君) 金利スワップを行うためには、私ども、人的な体制整備及び物的な体制整備が必要だと思っております。人的な体制整備のためには、職員の研修、それから市場との意見交換をする窓口を作る、そういった組織的な、役所でいいますと機構、定員のようなもの、これも必要でございまして、そういうことを行いますためには、法律が通って予算にきちっと計上するということが役所の通常のルールかと思います。また、物的な体制整備につきましては、こういう取引を行いますために必要なシステム整備でありますとか、もろもろの市場との取引の形態、方法、仕方等を詰めていくというのが必要だと思っておりまして、法律を認めていただきまして、そういう整備を早急にやっていきたいと思っております。
  71. 大塚耕平

    ○大塚耕平君 今の御答弁は理解できます。  だとすると、この間、局長のラインの方と一緒にモルガン証券、一緒に見学させていただいたんですけれども大臣、外資系の証券会社のディーリングルームとか見たことございます、ないですよね。
  72. 塩川正十郎

    国務大臣塩川正十郎君) 小説とか映画で見たことがありますけれども、実際に行ったことはありません。
  73. 大塚耕平

    ○大塚耕平君 これは、私も昔、九〇年代半ばぐらいまでのディーリングルームは知っていますけれども、改めて見せていただいたら、これはもうすごいですよ、インフラというのは。その後、理財局の一応ディーリングルームらしきものも見せていただいたんですけれども、これは今日は国債の有事法制ということで言っていますので、武器に例えると、F15とグライダーぐらいの差がありますね。これは勝負にならない。  理財局長は物理的に整備されると言っておられますが、ということは、金利スワップを導入したら全部自前でおやりになる気なんですか。つまり、物理的にディーリングルームを整備して、そしてスタッフそろえて、自前でやるのかやらないのかについてお答えいただきたいんです。
  74. 寺澤辰麿

    政府参考人寺澤辰麿君) この法律にも、事務体制につきましては、第六条第三項でございますが、この金利スワップに係る事務は「財務大臣ノ定ムル所ニ依リ日本銀行ヲシテ之ヲ取扱ハシム」と書いてございまして、具体的な事務は、国庫金の事務、それから国債に関する事務として行っている日銀に行っていただくのが適当だと考えてこういう規定を置かせていただいておりますが、その前に、私どもは、そういう企画立案をするためのまず負債の構成をきちっと管理するシステムとか、そういったいろいろな準備が必要だと考えておりますので、そういうことをやっていきたいと思っているわけでございます。
  75. 大塚耕平

    ○大塚耕平君 今、日本銀行にお願いするという話が出てきましたが、日銀にお伺いしたいんですが、今るる寺澤局長等が御説明いただいた内容や、これまで法律案をここまで持ってくる過程で事務局レベルで御協議しておられる内容を基に、日本銀行が一体どういうことができるのかについてちょっと御見解をお伺いしたいと思いますが。
  76. 速水優

    参考人速水優君) まだどういうことを御依頼を受けるのか私どもはっきり分かっておりませんので、お答えするのは難しいんですけれども、この制度は諸外国でもやっておることでございますし、新しく提案されております国債整理基金特別会計法の改正案によりますれば、政府金利スワップ取引に係る事務については「財務大臣ノ定ムル所ニ依リ日本銀行ヲシテ之ヲ取扱ハシム」というふうに書かれております。  したがいまして、この法案を前提といたしますれば、日本銀行はこうした定めに従って整々と事務を処理してまいることになると思っております。
  77. 大塚耕平

    ○大塚耕平君 今、総裁の御答弁の中で海外でも例があるというふうに御紹介がありましたが、これは寺澤局長にお伺いしますが、海外で実際にやっているところはどこですか。
  78. 寺澤辰麿

    政府参考人寺澤辰麿君) たしかカナダが一番最初に始めたと思いますが、ヨーロッパ諸国、ドイツ、フランス、ギリシャ等々、ヨーロッパ諸国はかなりやっていると理解しております。
  79. 大塚耕平

    ○大塚耕平君 いや、かなりはやっていないと思いますよ。今お話のあったドイツとフランスとか、カナダはどのくらいやっているか私、定かじゃないんですが、アメリカはやっていないんですよね。アメリカはやっていないんですよ、大臣。アメリカでも持っていない武器を持とうとしているということは、アメリカの国債よりも日本国債の方が有事が近いという理解でいいですね。
  80. 寺澤辰麿

    政府参考人寺澤辰麿君) 備えを行うために早過ぎることはないのではないかと考えております。
  81. 大塚耕平

    ○大塚耕平君 いや、そういう小泉さんのような答弁が、今正しく本来の有事法制で問題になっているわけですよね。  やっぱり現時点では国債の消化は順調に行われていて、すぐ使う必要がないと先ほどから何回も何回も言っておられるわけですから、そういう状況において、まさかのときに備えて、備えあれば憂いなしと言っても説得力ないんですよね。  だから、また最初の話に戻りますけれども、その背景と目的について、いやいや、これは正直言って、日本国債の発行環境がひょっとすると、ムーディーズ格付が正しいかどうかは別にして、そういう外部環境の変化もあり、いつどういうことになるか分からないからあらかじめ準備を、使えるような法制を準備させてほしいというふうにはっきりおっしゃるんだったらそれはそうかなという気もしますけれども、現在は消化されている、まさかのときは当面は来ないと言うんだったら、別に今用意する必要はなくて、もうちょっと一年ぐらいちゃんと検討してやっていただいたら、もう私も質疑に立っても褒めちぎるような質疑をさせていただきますので、一年待っていただきたいなと思うんですけれども、もうちょっとそこを、どうしてこの時期に必要なのかという背景と目的についてもう一回お伺いします。
  82. 寺澤辰麿

    政府参考人寺澤辰麿君) 何度も繰り返しで恐縮でございますが、私どもは確実、円滑な国債の発行をしなければならないという責務を持っております。そのために、今回、法案の中に金利スワップを入れさせていただいているわけでございますが、この法案の施行日は平成十五年の一月でございまして、一月以降になるわけであります、早くても。そのために、この法案が通りましたら十五年度予算において体制整備の予算要求をさせていただきたいということで、実際に予算が執行されて体制整備ができるまでは恐らくあと一、二年は掛かるんではないかというふうに思います。  そういうものでございますので、また人間の、職員の研修もしなければなりませんから、相当先の話なんで、法案を来年以降に出せばいいじゃないかということでございますが、そういう体制整備をきちっとさせていただくためにも今回の法案で是非お認めいただきたいと考えております。
  83. 大塚耕平

    ○大塚耕平君 今、体制整備に一、二年は掛かるという具体的な数字が出てきたんですけれども、有事法制ですから、一体どういう有事を想定しているのかということが大事なわけですね。一、二年後というと二〇〇三年、四年、四年、五年ぐらいですよ。この間、大臣にリャン、ウー、パーの三面待ちの話をさせていただきましたが、新BIS規制、二〇〇六年にどうも導入、一年延びたみたいですけれども、二〇〇五年に新BIS規制が導入されると、格下げもありましたので、いかに政府日本国債と地方債はゼロ%だと言っても、周りの人はそう評価しないわけですよ。特に、自国通貨建ての自国債券はゼロ%だと言っても、そうすると、日本国債を持っている日本の金融機関日本国債幾ら持っていてもリスクアセットに乗ってこないんですけれども日本国債持っている海外の金融機関は乗ってきちゃうわけですから、それは不公平だろうとみんな思うわけですよね。そうすると、このタイミングで導入をして、準備に一、二年掛かるというふうにおっしゃった今の理財局長の御答弁は、具体的な有事としてやはり新BIS規制の導入というのは一つのきっかけになるというふうにある程度想定しておられると理解してよろしいでしょうか。
  84. 寺澤辰麿

    政府参考人寺澤辰麿君) 具体的な、新BIS規制がいつだからとか、そういうことを想定しているわけではございません。今後とも大量の国債発行が続かざるを得ないと見込まれる状況の中で、私どもは確実かつ円滑に国債を発行するためにこういった補完的な手法をきちっと整えておくことが必要だというふうに考えているわけでございます。
  85. 大塚耕平

    ○大塚耕平君 これ以上お伺いしても、ここは堂々巡りですから、ただ、そういう性質のものだということを是非塩川大臣にも御理解いただきたいなと。多分、事務方の皆さんは、いや、もうよその国でもやっているし、こういうスキルがあるとデュレーションを、期間構成をうまく分散できてうまい話なんですわとかと、こういう説明をしておられると思うんですが、そんな単純なものじゃないということさえ是非御理解いただければいいなと思うんですが。  この金利スワップを一定の発行計画の中でやったとしても、これ、ポジション持つとポジションの評価ということが発生するんですよ、やっぱりこの金利スワップにも。金利スワップの時価評価といって、それ何だというふうに思われるかもしれませんが、金利スワップも時価で評価するかどうかというのが非常に大きな問題になっているんですけれども、この評価方法がどうなっているかということについて御説明を伺ったところ、そもそも一九九九年一月二十二日の、金融庁の下で企業会計審議会が決めました意見書によれば、二〇〇〇年四月一日以降は、金融機関の保有する金利スワップを含むその他有価証券には原則として時価会計が適用されることになっていました。しかし、二〇〇〇年の二月十五日の公認会計士協会の策定した監督上の取扱いルールによって、スワップ取引に関しては、二〇〇〇年の四月一日から二〇〇二年の三月三十一日までの間、暫定的に金融機関の行うマクロヘッジという、ちょっとこれも片仮名で恐縮ですが、マクロヘッジに限り時価会計適用の例外とされたと。しかし、そもそも二〇〇〇年一月三十一日の日本公認会計士協会の意見書や実務指針では、一定の要件を満たす取引しかヘッジ会計としての評価損益の繰延べは認められていなかったんですが、ここは財務省のコメントです、多数の金融資産を保有する銀行業の特殊性にかんがみ、その要件を満たさない場合にも当該暫定措置が例外的に認められるとされました。その上、今年の四月一日以降、つまり現在、諸外国の動向もにらみながら日本公認会計士協会が方針を検討することとして引き続き時価会計が適用されないという、こういう紆余曲折があったんですよ。これ、今話聞いてももう混乱しておられると思いますが、非常にデフォルメして申し上げれば、一番最初、九九年に決められた原則からすると、例外の例外の例外の例外扱いなんですよ。だから、こういうところの評価も、一体どういう方針で臨まれるのかなということについて、局長、いかがですか。
  86. 寺澤辰麿

    政府参考人寺澤辰麿君) 今回導入を検討しております金利スワップ取引は、何度も申し上げますが、国の負債のデュレーション管理の手法の一つとして導入するものでございます。  金利スワップ取引を導入した場合に、当該取引について直ちに時価評価を行わなければならないというものではないと考えておりますが、各種の分析手法を用いまして国のリスク管理を多角的に行っていくことの必要性は認識しております。御指摘の点につきましても、このような全体のリスク管理の中で検討してまいりたいと考えております。  なお、企業会計におきまして、リスクヘッジを目的とする金利スワップ取引のうち一定の要件を満たすものにつきましては、金利スワップの特例処理、金利スワップを時価評価せずに、その金銭の受け払いの純額等をヘッジ対象に係る利息に加減して処理する方法が認められていると承知しております。
  87. 大塚耕平

    ○大塚耕平君 有事法制ですから、これを日本政府国債市場における有事の、火器が今使える状態なのか、どのくらい損失を被っているのかということを評価する評価方法について何も決まっていないから、撃とうと思って引き金引いたら暴発するかもしれないとか、例えが正しいかどうか分かりませんが、そういうことなのかなというふうに思っております。  ちょっと話を変えますけれども、今回、買入れ消却も始められるんですけれども、買入れ消却の基本方針について簡単に、これも局長で結構ですが、お伺いしたいんですが。
  88. 寺澤辰麿

    政府参考人寺澤辰麿君) 大量な国債発行が続く中で中長期的な観点に立ちまして国の債務の適正な管理を行うためには、先ほども言いましたが、発行面での工夫だけでは足りません。既発債の買入れ消却という制度も活用いたしまして、国債償還の平準化、国債の満期構成の調整等を行うことが有効であると考えております。こうした観点から、今般の法改正において国債証券買入銷却法を改正し、買入れ消却の柔軟かつ機動的な実施を可能としているところでございます。
  89. 大塚耕平

    ○大塚耕平君 買入れ消却を行う際には、金利スワップやストリップス債として発行した元本部分についても買入れ消却をする可能性ありますか。
  90. 寺澤辰麿

    政府参考人寺澤辰麿君) 金利スワップの元本分について買入れ消却をすることは考えておりません。
  91. 大塚耕平

    ○大塚耕平君 ストリップス債についてもそうですね。
  92. 寺澤辰麿

    政府参考人寺澤辰麿君) ストリップス債については、買入れ消却の対象になることはあり得ると考えております。
  93. 大塚耕平

    ○大塚耕平君 分かりました。金利スワップについては、スワップを行った元本部分の買入れ消却は行わない、ストリップス債については、利息部分は残るけれども、元本は、それは買入れ消却の対象になるということもあり得るということですね。  それは聞いて安心しました。今回の改正案の第六条は、金利スワップの計算に当たって、「当該国債ノ元金償還ノ金額ニ付一定ノ」云々と書いてありますから、元金がなくなっちゃったらどうやって計算するのかなと思っていましたので、そこは整合的だと思います。じゃ、それはそういうことで結構でございます。  今、お手元に、今日また提出資料として一枚グラフを付けさせていただきましたが、大臣もお手元にございますでしょうか。  これは、左側は日本国債の流通利回りとスワップレートの推移、右がアメリカです。大臣、よく見ていただくと、似たようなグラフなんですけれども日本の方は、上のグラフでいうと、棒グラフが下の方に線がだっと出ちゃっていますね、下の方に。アメリカの方はずっと棒グラフが上に延びています。同様に、下のグラフを見ていただいても、スワップスプレッドのカーブというのが、日本は長いイールドのところが下に出ています。アメリカは一応全部上に出ています。  こういう状況はどういう状況かということについて、事務方の皆さんで結構ですけれども、これはどういう状況なんでしょうか。これが分からないとスワップ取引できませんよ。
  94. 寺澤辰麿

    政府参考人寺澤辰麿君) この日米のスワップスプレッドの違いを明確に答弁することはちょっとなかなか難しいわけでございますが、市場関係者等の分析によれば、これは我が国国債とそのスワップ信用力の問題ではなくて、むしろ需給の問題、それからマクロヘッジ会計の関係で、時価会計を適用しないスワップの固定レシーブニーズが金融機関に強かったというようなことが、こういう我が国における姿になっているのではないかという分析がございます。
  95. 大塚耕平

    ○大塚耕平君 今、二つの見方があるというふうに御説明くださいまして、大臣、よろしいでしょうか、日本においては企業の持っている債券なんかよりも国債信用の方が低くなっているという一つの見方もあると。これが絶対そうだというふうには言いませんけれども、そういうことなんですよ。  だから、マーケットの皆さんは、こういう状況だから財政当局金利スワップ取引をやると今はもうかりまっせと、そういうチャンスはありますと、だから財務当局もそういうことをやるのもむべなるかなという非常に斜に構えた見方をしている人たちもいるわけですが、これが環境が変わると、グラフの形が変わると、冒頭、今日ずっと議論をしてきましたけれども、今財政当局が想定しておられる例えば短期の受取、長期の支払という取引では意味をなさない環境になっちゃうと。つまり、環境が変わるとどういう取引をするべきかということも大きく変わってくると。要は、非常にこの火器はグライダーと違ってF15のような操縦技術をちゃんと持った人たちが操縦しないと墜落してしまう可能性があるものだということを御理解いただいて、これは幾ら話していても切りがありませんので、今日は竹中大臣にもおいでいただいていますので、金利スワップの話並びに法律案の直接の内容にかかわる部分は以上で終わらせていただきますが、竹中大臣に、五十分までというふうに承っておりますので、簡単にお伺いしたいと思います。大臣、どうもありがとうございます、お忙しいところ。  大臣は、三月五日の閣議後の記者会見で、政府と日銀の間で新しいアコードが要るのではないかというふうに御発言になりました。また、先月の七日に公表された日銀の三月十九日、二十日の政策決定会合の議事要旨を見ても、竹中大臣というふうに特定はされていませんでしたけれども内閣府の出席者ということで、大臣と思われる方が同様のことを述べておられますが、大臣のおっしゃるアコードとはどういうものかということについて御説明を伺いたいと思います。
  96. 竹中平蔵

    国務大臣(竹中平蔵君) 金融政策を直接担当する日本銀行、これは非常に高度な金融に関する技術、知識を要して、非常に更に正確な高度な判断が求められる、その意味政府から独立であらねばならないという、これは各国が経験してきた中で確立された一つの規律のようなものがあるというふうに思います。  しかし、同時に、三月上旬に私がそういうことを申し上げたということは、正にデフレ対応策を出したその直後の時期であったわけでありますけれども、デフレの克服のためにはやはり政府と日銀が一体となって取り組まなければならない、これも多くの方々がその必要性は認めてくださるのではないかというふうに思います。そういった意味での政府と日銀の間の建設的な緊張関係のようなものをいかに作るかというのがどこの国でも大変苦労している問題であろうかというふうに思います。  今回のデフレ等々の問題に関しては、やはり健全な危機意識と政策目標を政府と日銀が共有すべきではないだろうか。しかし、同時に、その政策手段の選択等々については、日銀の専門家としての独立性を最大限尊ばなければならない。そういった意味での役割分担を、先ほど申し上げました建設的な緊張関係に根差した役割分担を明確にしていく必要があるというふうにかねがね考えていたところでございます。そういった意味での役割分担、これを各国等々のことも勉強しながら新しく構築していかなければいけない、そういう趣旨で申し上げた次第であります。
  97. 大塚耕平

    ○大塚耕平君 塩川大臣、ちょっと脱線するようですけれども、野球の世界でミスターといったらだれのことを想像されますか。
  98. 塩川正十郎

    国務大臣塩川正十郎君) 長嶋さんでございます。
  99. 大塚耕平

    ○大塚耕平君 そうなんですよね。済みません、変なことを聞いて。  竹中大臣、もう御承知のとおりだと思いますが、これは議論が混乱しないように是非申し上げておきますが、大臣経済政策の分野で竹中大臣がおっしゃったアコードという言葉は、ミスターといえば長嶋さんというのと同様に、アコードというのはもう固有名詞なんですよ、実は。これは、一九五一年の三月に、アメリカも国債の発行が非常に増えていたので、そのときに公債価格を維持するために、国債の価格を維持するため、発行環境を維持するために金融政策を利用しないということを財務省とFRBが合意をしたことをアコードというんです。これはもうアコードといったらみんなそう思っているんです、海外の人も。  ところが、アコードという言葉は、それは使い方は自由ですから、別に、竹中大臣がそういう意味でお使いになったということであれば、それはよく理解できましたので。ただ、これはきちっと報道される保証がないものですから、海外でこの報道を、竹中大臣がアコードが必要だとおっしゃったことをごらんになる方々は、あれっ、これ意味が反対だぞ、反対かもしれないなというふうにおっしゃる方が結構いますので、これは竹中大臣にお願いですが、デフレ対策のために政府と日銀が一致団結して協力してやるというその精神は私は分かりますけれども、それをアコードという言葉で表現されると、ちょっと海外政策担当者との間でもひょっとすると言葉の定義のそごがあって混乱を来しますので、そこはちょっと今後は違うボキャブラリーで御表現をいただきたいなと思いますが、この点、お約束いただけますでしょうか。
  100. 竹中平蔵

    国務大臣(竹中平蔵君) 非常に貴重な御意見だと思いますので、私の心得とさせていただきたいと思います。ただ、その後、海外の方々ともお話を申し上げておりますが、基本的にはおまえの言うことは分かるというような評価をいただいているというふうに認識をしております。大変貴重な御忠告だというふうに思います。
  101. 大塚耕平

    ○大塚耕平君 どうもありがとうございました。大臣は結構でございますので。  それでは、あと十分ちょっとございますので、特に予告はしてございませんが、みずほグループのシステムトラブルの件に関して、その後どういう状況になっておられるかということを柳澤大臣から御説明をいただきたいと思います。
  102. 柳澤伯夫

    国務大臣柳澤伯夫君) みずほ銀行のシステムトラブルにつきましては、大変国民の皆様に御迷惑を掛けて、金融当局としても極めて遺憾な事態というふうに評価をしたわけでございます。  その後どういう状況かということについては、障害二つの局面、一つはATMの障害、それからまたもう一つは口座振替の障害でございますが、それぞれに現在これらの障害を一応克服して、デイリーな取引において何か支障が生じているというような状況にはないと、このように承知をいたしております。
  103. 大塚耕平

    ○大塚耕平君 今後、最終的な報告、そして一連の混乱に対する責任の所在の明確化、こういうことはどういうスケジュールで行われるんでしょうか。
  104. 柳澤伯夫

    国務大臣柳澤伯夫君) この障害が起きまして、私としてはこれはすぐに二十四条報告を求めたわけですけれども、その報告を聞いて、いろいろ再発防止策、あるいは責任の所在を明確にするといったようなことについて進めるということはやはり適当でないというふうに判断しまして、立入検査をこの問題に限って行うということの措置を取ったわけでございます。その方針は直ちに日本銀行の方にもお伝えしまして、日本銀行の方とも提携をしてこの立入検査を行うということを合意をしておりました。  そして、五月の七日に一応、先ほど言ったような障害の克服といったようなことで一応の安定というものを実現したということの話もございましたので、その翌日から実際の立入りをいたしているわけでございます。この立入りについては、現在もこれを継続しておりますけれども、そう遠くないうちにこれを終了できるという見通しを持っております。これ、オンサイトの検査でございますので、その後、オフサイトでこれはできるだけ早くに検討をして、検査の作業を終了したいと、このように考えております。  責任の所在の明確化あるいは再発防止のためにどのような措置を講ずるかといったようなことについては、この検査の結果を私ども今度は監督の方で子細に検討をして結論を出したい、このように考えておりますが、これもまたそんなに長い時間が許されているとは考えておりません。
  105. 大塚耕平

    ○大塚耕平君 ここに、その五月七日のみずほからの報告要旨がございます。これを見ると、障害の発生の原因については、事前登録を行っていた収納企業等にかかわる情報の誤り、口座振替システム全体としての品質不足、受付事務処理の混乱、収納企業等への事前説明不足等による請求データ不備、これがまず口座振替の事務処理遅延等についての発生原因として書いてあるんですね。それから、ATM取引障害についても、対外接続用グローバルプロセッサーのプログラムの不具合を主な原因とすると、これだけしか書いてないんですよ。  ところが、先般の本席での議論でもある程度認識を共有していただいていると思うんですが、ここに書いてある原因というのは表層的な原因なんですね。なぜそういうことが起きたかという根本的な部分について、きちっと責任の所在、原因をはっきりさせないと皆さん今回は納得しないと思うんですけれども、五月七日にこれが出て、その後、検査に入られて、まず、その表層的な原因についてここに記載してある内容で正しいと金融庁は現時点で、そういう報告を大臣は受けておられるのか。並びに、この表層的な原因の背後にある合併のプロセスにおけるガバナンス上の問題とかそういうことについてどのようにお考えになっておられるのかということと、併せて、先ほどそう時間に余裕はないというふうにおっしゃられましたけれども、一体いつごろはっきりさせられるのかということについてもうちょっと明確な御答弁をいただきたいと思います。
  106. 柳澤伯夫

    国務大臣柳澤伯夫君) そこに書いてある原因というのは、今、大塚委員は表層的というふうにおっしゃられましたけれども、私は現象的なというふうにかねてから受け止めておりました。  通常のことでしたらそういうことなんですけれども、責任の所在を明確にするという視点に立った場合には恐らくそれでは不足なんで、やはりそういう視点からの、それが原因というのか背景というか、そういうものについてはやはり明らかにしていかないと責任の所在は分からないと、このように考えているわけでございます。  したがって、私としては、検査においてはそうしたことも明らかにするように、これは当然のことですけれども、担当の者もそういうことを心得てやってくれているものと、このように承知をしておるわけです。  しからば、そういうようなものについて、オフサイトの検査をまとめる作業、そしてその上に立って、私どもが今度は監督の観点から、あるいは処分というか、責任の所在であるとか、さらには再発防止であるとかというようなことについて、一体いつごろこれが明らかにできるのだと、こういうようなことについては、先ほどそんなに多くの時間が許されているとは思っていないと、こういうように申し上げたことに尽きるわけですけれども、今、いつごろということを言えと言われて、私としてはできるだけ早くしたいということで、今ちょっと明示するまでの準備はございません。
  107. 大塚耕平

    ○大塚耕平君 四月のあの大混乱とその後の国民世論の関心の高さから比べると、現時点の大臣のそういう御答弁は随分違和感があるなという感じなんですね。  私、国会の場はなるべく政策論議に終始したいというふうに思っておりますので、余り根拠のない風評は信じたくはないんですが、もう大臣のお耳にも入っておられるように、巷間、大臣をめぐっていろんなことが雑誌等で言われておりまして、私もじくじたる思いで拝見をしているわけでございますが、ここでみずほグループにきちっとした対応を取らないと、何かきちっとした対応ができない理由があるのかなという根拠のない憶測を呼ぶことになりますので、これは大臣が、やはり大臣の御発言やお取りになる行動がどれだけマーケットや国民の信頼を得ているかということが、不良債権処理にしてもその他の問題にしてもすべての源泉ですので、万が一にも、ああやっぱりなというようなことを言われないような厳粛な対応をしていただきたいと思っているんですが、この点についてちょっと御所見というか、巷間言われていることを念頭に置かれて、お立場をお聞かせいただきたいんですが。
  108. 柳澤伯夫

    国務大臣柳澤伯夫君) 私は、そういうことを大塚委員から言われることも極めて不本意でございます。私は、自分の金融行政について一点、後ろ指を指されるようなことはした覚えもないし、私の心得として、そういうようなことについて何か疑念を差し挟まれるようなことがなかった、そんなものあるはずがないということを申し上げておきたいと思います。  したがって、もちろん今後のことについても、私の行政の判断というものについて、同様、そうした疑念というか、もうそういったものがいささかも入るということがないように心掛けていきたいと、もうそういうことを言いたくないぐらい日ごろから心掛けているつもりであります。
  109. 大塚耕平

    ○大塚耕平君 私も、こんなことをこういう席で聞くこと自体、私も本意ではございませんので、ということは、巷間言われていることは事実無根であり、安心していいというふうに宣言していただけると、こういうことでよろしいですね。
  110. 柳澤伯夫

    国務大臣柳澤伯夫君) 仰せのとおりであります。一点の疑点もないように、疑念も差し挟まれることのない行政をしております。
  111. 大塚耕平

    ○大塚耕平君 分かりました。この件は以上で終わらせていただきます。  お昼ですのでちょっと早いですが終わりにと言いたいところなんですが、最後に一点だけ柳澤大臣にお伺いしたいのは、税効果会計について、日本の金融機関の決算上の税効果会計の算入基準が甘過ぎるんじゃないかということが言われていて、アメリカでは御承知のようにティア1の一〇%までしか入れられないのが日本では非常にたくさん入れていて、かつ、向こう五年間の想定収益の実効税率を掛けたものをベースにという、ややかなりツーマッチに入り過ぎていて、これが決算上デコレーションになっているんじゃないかということが言われているわけですが、この点についての認識と、アメリカの会計基準とそろえるおつもりはないのかということについてお伺いして、最後にさせていただきます。
  112. 柳澤伯夫

    国務大臣柳澤伯夫君) 税効果会計と言われるものは、要するに企業会計基準と税務会計との調整の問題でございます。したがって、勢いこれは、企業会計あるいは銀行の会計ということだけではなくて、要するに税務会計との関係で生じる問題だということでございます。したがって、税務会計は、これはもうそれぞれの国で区々でございますので、それとの調整ということになってもそれは区々にならざるを得ないということでございます。  私の知っているところでは、今の銀行の決算においても、企業会計基準あるいは公認会計士による企業会計基準の実務処理のための指針というものに完全に合致する形で行われておるし、具体的な判断についても、外部監査、監査法人による監査によって皆適合性ありとされていることによってああした決算が行われているということであります。  したがって、これは、将来の課題としては、私としては、税務会計の方が非常に、例えば引当金の損金処理について極めて制約的であるといったようなことについて、今後、税制当局検討を是非お願いしたいと、こういうように思っておりますけれども、現在の処理について何か問題があるかといえば、私はきちっとしたことが行われているというふうに認識をしているということでございます。
  113. 大塚耕平

    ○大塚耕平君 終わります。
  114. 山下八洲夫

    委員長山下洲夫君) 午前の質疑はこの程度にとどめ、午後一時まで休憩いたします。    午後零時四分休憩      ─────・─────    午後一時一分開会
  115. 山下八洲夫

    委員長山下洲夫君) ただいまから財政金融委員会を再開いたします。  証券決済制度等改革による証券市場整備のための関係法律整備等に関する法律案を議題とし、休憩前に引き続き、質疑を行います。  質疑のある方は順次御発言願います。
  116. 山本保

    ○山本保君 公明党の山本保です。  最初に、金融担当大臣の方にお願いしたいんですが、午前中にもお話があったことの繰り返しになると思いますけれども、この法案の金融決済システム改革、またそのほかにもいろんなのが入っておるようでございますが、これについてどういうねらいを持ったものかについてお話しいただけますか。
  117. 柳澤伯夫

    国務大臣柳澤伯夫君) 昨今、金融、特に証券の取引というのは、もう本当にコンピューターシステムの発展でボーダーレス化がどんどん進んでいるということで、証券市場間の国際的な競争というものも非常に激しくなっているわけでございます。そういう中で、緊急の課題というものの中にこの証券決済システム改革というものがございまして、今回私どもとしては、この国際競争を念頭に置いて、日本においてもこの証券の振替制度の創設、あるいは清算機関制度、こういうようなことのいわゆるインフラを整備しまして、決済に伴うリスクの削減あるいは効率化というようなものも行うことにしたということがねらいでございます。  そのほか、山本委員、今ちょっと御指摘になりましたけれども、私どもとしては、証券市場改革ということで、発行市場、流通市場を通ずる改革というものがこの法案の大きなコンセプトでございますので、国債に関する諸措置についても、もろもろこれを取り入れて法案として出させていただいたということでございます。
  118. 山本保

    ○山本保君 それでは、個々少しずつお聞きしていきたいと思いますが、最初に、今大臣もおっしゃった決済リスクの削減等ということで、国際的に大変競争が厳しくなっているというふうにお話がございましたが、各国では、この証券決済システム、どのような形になっているというふうに考えればよろしいでしょうか。
  119. 原口恒和

    政府参考人原口恒和君) これはもう各国におきまして、その対象商品によってまた達成状況が違うものもございますが、主要先進国の中にはもう国際取引におきまして既にTプラス1を実現している国もあります。また、アジア市場におきましても、これは規模の問題もあると思いますが、決済期間についての既にTプラス2を達成している国、これは台湾ですとか香港、韓国等でございますが、そういう国もあるということで、海外においても証券決済システムに係る取組はかなり進んできております。  また、これに係る、証券決済システムに係る国際標準としては、一九八九年に出されましたいわゆるG30の勧告がございますし、また、一九九五年にはISSA、いわゆる国際証券サービス協会がその勧告を修正の上採択しております。  こういった国際的な流れもございますので、我が国においても国際標準の達成度合いを高めるべく、この証券決済システムに係る取組を進めているところでございます。
  120. 山本保

    ○山本保君 今のお話については、まずほぼどなたも御反対はないのかなというふうにお聞きしておりました。  それで、決済期間については後でまたお聞きすることにしまして、最初に、午前中お聞きしましたように、国債も含めて、国の国債ですね、国債ども含めてということで証券システムの中に入れていこうということだそうですけれども、一番ポピュラーな株式ですか、株券、これが入っていないということだそうですが、この辺は今後拡大していくというような形なのでしょうか。今のお話ですと、当然、社債国債だけではなくて、もっと幅広い市場というものが統一的に運営されるようになっていくということが必要ではないかと考えますけれども、いかがですか。
  121. 原口恒和

    政府参考人原口恒和君) 御指摘のように、我が国の証券市場をより効率的なものにしていく、また安全なものにするためには、株券、株式を含めた統一的な有価証券決済システムを構築するということが極めて重要だと考えております。  ただ、株式等につきましては、単なる金銭債権とは異なる取扱いが必要となる場合がございます。例えば振替口座過大記載に基づく善意取得が生じたというようなときに、株主権という金銭債権で割り切れないそういう権利をどういうふうに処理をするかといったようなことについて法制的な検討が必要であるということで、現段階ではまだきちっとした成案を得るに至っていないところでございますが、法務省あるいは関係者とも協議を進めまして、いずれにしろ、できるだけ早期に、株券まで含めたすべての有価証券を対象とする証券決済システムの構築に向けて努力をしてまいりたいと考えております。
  122. 山本保

    ○山本保君 今、法務省の方での担当といいますか、法務省のかかわる法律上の問題があるというお答えございました。今日は法務省から官房審議官おいでいただいておりますけれども、どんなところが問題になって、そしてそれについてどのような今具合で両省で話が進んでいるのかということについてお答えいただきます。
  123. 原田晃治

    政府参考人原田晃治君) 法務省といたしましても、社債国債だけではなく、株式についてペーパーレスの決済制度を導入する必要性があるということ、必要があると考えております。現在、その株式については株券の保管振替という制度がございますが、これを完全なペーパーレスにするという作業が必要であると。  問題点は、ただいま御紹介ありましたとおりでございまして、やはり単なる金銭債権ではない株式につきましては、株主総会が毎年開かれます。そこで議決権を行使するものをどのようにして確定するか。現在、株券保管振替制度におきましては、商法上、会社に対して議決権行使するために株主名簿の書換えが必要であるということがあるものですから、実際の株主をその株主名簿に反映させる仕組みを取っているわけでございます。今回の振替制度につきましても同じような仕組みを取るのかどうか、これも含めて今後検討していかなければいけないだろうと思っております。  既に法務省におきましては、今申し上げましたような問題も含めて検討するということで、法務大臣から法制審議会に諮問をいたしました。今後、関係省庁と協力して、できるだけ早期に株式のペーパーレスの決済制度を実現するよう努力していきたいと、このように考えております。
  124. 山本保

    ○山本保君 私、この辺は素人なので、ちょっとさっきいいお答えをいただいたので、もう少し教えていただきたいんですが。  確かにそうですね、株の場合は、経営というものに入ってくるというのが株主なんですね。だから、こういう社債国債とは違うというお話はなるほどと思いましたが、そうなりますと大変難しいことになってくるなというのと、それからもう一つは、やはり例えば証券会社とか会社とその個人との関係などというのも難しいのかなと思いますが、各国、外国ではこの辺は株も含めてもう制度が整っているんでしょうか。どちらの省でも結構でございますが。
  125. 原田晃治

    政府参考人原田晃治君) 外国の事情はつまびらかに細かいところまでは承知しておりませんが、基本的には株も含めて振替決済制度が実現しているということでございますし、我が国におきましても、完全なペーパーレスではございませんが、株券保管振替という振替決済制度が現時点で動いているという状況でございます。  一例を申し上げますと、例えば投資家が、株主が会社に対して議決権を行使する際に、投資家が直接議決権を行使するという仕組みにするのか、それとも例えば証券会社などが株主総会における議決権を行使し、投資家はその証券会社などに指図をしてその意思を間接的に株主総会に反映させるのか、こういう具体的な議決権行使の在り方についてもやはり検討が必要であろうと思いますので、そういう点も含めて今後検討してまいりたいと考えております。
  126. 山本保

    ○山本保君 確かに、他の分野で株主訴訟の問題とかいろんなのがあるようです。これは確かに、私最初にお聞きしたのは、単純にもう一つもやればいいじゃないかと思っていたんですが、なかなかそうもいかないかなと思いますが、両省できちんと今検討しているということですので、なるべく早めにそういう結果を出していただきたいと思いますが。  それで、今日、東京証券取引所の社長さんですか、社長さん、おいでいただいていると思いますが、今のような株式券も含めて統一的な決済システムが構築されるということについてはどんなお考えをお持ちなんでしょうか。いいことなのかどうなのか。また、どういうところがメリットがあるのか。また、もしあるのであれば、問題点があるのか。それについてお答えいただけますでしょうか。
  127. 土田正顕

    参考人(土田正顕君) 御説明を申し上げます。  私ども証券決済に携わる仕事をしておるわけでございますが、株券につきましても、この券面の不発行、すなわちペーパーレスを前提として口座振替により決済が完了する制度がもし実現するならば、それはただいまいろいろ話題になりましたような法律的にも様々な課題があるとは存じますけれども、もしそれが実現できますならば、決済の安全性効率性の一層の向上のためには望ましいことであると考えております。  これも話題になりましたが、いわゆるTプラス1と言われますような決済期間の短縮に向けた対応の必要性が議論されておりますが、決済のために券面が物理的に移動し得るような環境下ではこの実現は非常に難しいわけでございまして、ペーパーレス化というのは一つの解決策ではないかと考えております。もっとも、現行制度の下でも証券保管振替制度が大体軌道に乗りまして、預託割合も最近では五割を超えたようでございますけれども、このTプラス1を実現するには、なお一層預託割合を引き上げる必要がございます。  また、実は商法に不所持制度という制度がございますが、これは株主が請求して会社が手続を取るわけでございますけれども、コストがかさむというような事情もございまして、実際問題としては余り行われていないというように承知をしております。  そのほか、やはりこの券面の存在によりまして、証券の発行管理に関係するコストが掛かるということで、事務作業の効率化には限界がございますし、さらに実務上はその偽造、盗難といったいわゆる事故株券の存在がその流通にも悪影響を及ぼす場合があることなどを考えますと、やはりこのペーパーレスを前提とした統一的な有価証券決済システムの構築には多くのメリットがあるものと考えている次第でございます。
  128. 山本保

    ○山本保君 どうも社長さんありがとうございました。  正に今、IT時代ということをこれから進めていこうとするときに、経済の一番基盤であるこの分野がペーパーレス、IT化されていくということは大変意味があることだなということに今お聞きして感じました。  それで、今ちょっとお話にも出たことですけれども、今はTプラス3だというふうにお聞きしておりますが、今後はTプラス1と、次の日ですか、に決済ができるということで。Tプラス0、その日のうちにできるということはこれは無理なんでしょうか。また、ひょっとすると、そうすると何かまた問題があるのかなという気もいたしますけれども、この辺の見通しはどうでしょうか。
  129. 原口恒和

    政府参考人原口恒和君) 今、この法案でいろんな証券の振替システムですとか清算システム等インフラ整備をまず図りたいと考えております。決済期間を短縮する場合、そういう法案、そういう仕組みの整備に合わせまして、また各参加者の事務フロー、あるいはシステムをそれに合わせて変更、再構築していくとか、あるいは機関投資家証券会社等の多くの当事者がすべての処理をいわゆるSTP化、一連の、一回の処理で処理をするというような仕組みにするなど、民間におけるシステム面での対応とか市場慣行の変更も必要となるというふうに考えております。  そういう意味で、本法案はそういう短縮の一定の法制的な基盤を作るものでございますので、それに合わせて、今度、民間におきましてどういうことを目指していくかということの問題になり、それは現在はTプラス1を目指すということで検討が行われていくものと承知しております。  御指摘のとおり、じゃTプラス0まで行けないかという問題がございますが、決済期間を短縮すればするほどいわゆる決済リスクと呼ばれるものについては少なくなるというふうに考えておりますが、一つはそのためのコスト負担の問題、それからもう一つは、オペレーショナルリスクと言われておりますけれども、単純に、例えばシステム障害が生じた場合にそれを復旧させる、あるいはそれを訂正するといったようなことが、逆に言うと、Tプラス0の場合はもう即日ということでその余地がなくなるということで、そういうオペレーショナルリスクが増大するという問題は一方でございます。  そういう意味で、ISSAの二〇〇〇年の勧告におきましても、決済リスクの削減のところで、Tプラス1の決済の採用ということがうたわれる一方で、ただし、オペレーショナルリスクを増加させないような形で行うことという注記も付いておりますので、そういうような観点から考えますと、まずはそのISSA二〇〇〇勧告で示されたTプラス1の実現ということが重要な課題ではないかというふうに考えております。
  130. 山本保

    ○山本保君 それどうしてお聞きしたかといいますと、この前、柳澤大臣に、半分冗談のような話だと言いながら、もっと競馬場とかそんなところで株を売買できないのかというような質問しましたら、いや、真面目に資産運用するのにそんなのはと、ちょっとおしかりを受けましたけれども、私はそういう面もあってもいいんじゃないかなと思っておりましたんですが、やはり今の話で、それはやっぱり、即時にそれが決済といいますか、お金が戻って、リターンがないと、なかなかやっぱり難しいのかなというようなことも今感じました。それで納得したわけなんですけれども。  正にこれからIT社会を目指そうということになってきます。携帯電話が増えたとか、それからパソコン買ったら税控除があるとかいうような段階の話ではどうしようもないなと感じておりましたら、最近特に、この専門の経済産業省の方でも、もっと具体的ないろんな場面に、企業だけではなくて、金融とか様々なところでこのシステム化を進めていくということを応援したいという話を聞いております。正にその分野というのは、金融庁やまた財務省のと言っては申し訳ありませんけれども、そちらでは、言うなら基盤をきちんと作られる。しかし、肝心のソフトの問題となってきますと、これは経済産業省の方の仕事としてもっと連携をきちんと取っていく必要があるんじゃないかなと思います。  今日は経済産業省から局長さんおいでいただいているというふうに思っておりますが、こういう金融分野についてのITというのに対してどのような今考え方を持っているのか、御説明いただきたいと思いますが。
  131. 太田信一郎

    政府参考人太田信一郎君) お答えいたします。  IT全般について、金融分野も含めてどういう状況になっているかということをまず御説明をさせていただきたいと思います。  我が国のIT投資の現状でございますが、やはりこの分野はアメリカが先行しております。アメリカのIT投資額、対GDP比率で約五・五%に達しています。我が国はまだ四%に満たない状況でございます。  肝心なところは、量だけではなく質の面でまだまだ日本の場合アメリカに後れを取っているということでございます。企業における戦略的なIT投資、御議論あるように、金融・保険等の分野でやはり受発注取引コストを削減していくと。製造業の分野でいえば、在庫の減少とか顧客満足度の向上などいろんな利用の仕方があって、それが競争力の強化に大きく資する、それがひいてはIT産業、私どもベンダーという言葉を使っておりますが、ハードメーカーあるいはソフトウエアハウスの力にもつながっていく、それが更には景気全体の回復にもつながっていくというふうに考えております。  私ども、これまで経済産業省としては、例えばITと経営の双方に明るいITコーディネーターを育成するとか、あるいは電子商取引等の促進を図るとか、そういう施策を政府全体の中で協力しながら進めておりますが、IT投資に対する意欲、マインドが最近のいろんな統計等を見ますとやや腰折れ感があるのではないかということも考えております。  ということで、今後、税制等も含めて、企業が金融界等も含めてより効率的な競争力の強化に資するような形でIT投資を図れるような環境関係省庁とも相談しながら進めていきたいと思っております。  それから、ソフトについてでございますが、特に御議論あるようなところでは、正に決済システム等もそうですが、やはり今後ソフトに依存する割合が非常に高くなるのが今後の社会だと思っております。そういう中で私ども、CMMという能力成熟度モデル、ケーパビリティー・マチュリティー・モデル、これはアメリカでは一般的に、ソフト、システムを導入するときに、こういうモデルに従ってどういうソフトを使ったらいいかということをきちんと検討しながらやっております。いずれにしても、そういうCMM等の活用も含めて、ソフトプロセスの改善に是非とも力を入れていきたいと。  政府全体がやっている政府調達も同じでございます。恐らくこういうものは製造業あるいは金融等々すべてに共通しているところかと思っておりますので、関係省庁と協力しながら進めていきたいというふうに考えているところでございます。
  132. 山本保

    ○山本保君 どうしても、企業面とか産業でのITとか今のようなシステムというのを考えますと、経営管理ですとか在庫調整とか、そういうようなことを我々はすぐ考えてしまうわけですけれども、今回ちょうどこの法案が入ってきましたので少し勉強しましたら、やはり国で作るとしてもいいですし、また、事実上、今回の法案は国で全部じゃなくて民間にやらせようということですから、この分野についても是非促進するような形で今後政策を打っていただきたいなと思っておりますけれども塩川大臣、いかがでございますか、今のことについては。  急にお聞きしてあれですけれども、今度、我が党としてもというか与党としても、やはりこの辺のところを、ソフトについて、今までのハード、パソコンを入れればいいというような政策から、中にどういうソフトをしっかり作っていくのかということで応援したいと思っているわけで、その辺御存じだと思いますけれども、その辺について、感想といいますか、御所見をお願いしたいんですが。
  133. 塩川正十郎

    国務大臣塩川正十郎君) この一連の法案の審議をしていただいておりまして、午前中から各委員からの御質問、非常に専門的な分野にわたっておりまして、非常に勉強していただいておるのに私はもう敬意を表しておるところでございます。  今回、国債や販売についてのいろんなアクションを起こしましたのは、一つは、簡単に言いまして、今までシンジケート団で一括して引き受けてもらっておって、大体国債の六五%がシンジケートで引き受けてもらっておったんですが、最近では二〇%ぐらいになって、更にこれがもっと低下していくであろうと。そうしますと、財務省自身の力で販売の方法を多様化して考えていかなきゃならぬだろうと。そのために一つの準備をしておかなきゃならぬということで、午前中に理財局長から何遍もお答えしておりますように、今直ちにこのシステムを活用してどうしようということではございませんで、また、先ほど御質問ございました大塚さんの御質問の中で、下手に巻き込まれてしまって混乱を起こさすようなことをしてもいかぬということ、これはもう十分承知しております。  ですから、このシステムをこれから採用させていただいて、訓練をまずやっていかなきゃいかぬと思って、今までもう国債の販売を護送船団方式でやってきましたけれども、これから自立してやっていかなきゃならぬということを、その心得と同時にいろんな訓練も必要だろうと思っておりまして、そういう意味において、これからのそういうことの手段をいろいろと講じてみたいと、こう思っております。
  134. 山本保

    ○山本保君 大臣おっしゃるとおりだと思うんですけれども、もう一度経済産業省の方にお聞きしますが、こういう分野について既に民間でいろんな形で、ソフトの方が大事だとおっしゃいましたけれども、いいソフトであるとか又は、まあ良くないという言い方はないんでしょうが、その中でのいわゆる評価基準とか、何かいいものを進めるというような仕事は進んでいるんでしょうか。
  135. 太田信一郎

    政府参考人太田信一郎君) 金融部門で私も十分な理解、知識がございませんが、私ども直接担当している製造業の部門では、例えばCRM、カスタマー・リレーションズ・マネジメントということで、顧客が一体何を欲しがっているか、あるいはどういう動機で物を買ったかというのを本当にデータベースにして、それを物の設計から生産、流通まで全部跳ね返していくというソフトは、もうアメリカでは例えば二〇%ぐらいの企業がもう入れていると、日本の場合はまだまだその三分の一ぐらいの程度にとどまっているというようなことが言われます。ということで、世界のそれこそ先頭を行くソフト企業、ソフトハウスは、そういう正に汎用的なソフトを次々と提供しております。  日本の場合も、その中で、なかなか競争は厳しいんですけれども日本のソフトハウスも一生懸命頑張っておると。これからますます競争の中でいいサービス、いいシステムが提供されると。それは、先ほども御答弁申し上げましたように、製造業に限らす、流通業、金融・保険等々の分野にも使われていくことになるというふうに考えているところでございます。
  136. 山本保

    ○山本保君 ありがとうございます。  財務大臣から、今後そういうものについて進めていきたいというようなお話があったものですから、私も、こういう分野でどういうシステムがあるのかな、まだ全くイメージもわきませんけれども、是非、財務省についてもこれから具体的な中身についてもっと検討されるんじゃないかと思っております。  それでは、大阪証券取引所の社長さんにもおいでいただいておりますが、今いろんなお話してきましたけれども、特に全般でもよろしいんですが、決済、先ほど答弁の中でアジア諸国はTプラス2だというようなことで、今度Tプラス1に我々がしていこうというようなことになってきたとき、社長さんのところではこの辺についてどういうお考えをお持ちなのか、お願いできますか。
  137. 巽悟朗

    参考人(巽悟朗君) Tプラス1につきましては、現在鋭意準備中であります。  せっかくの機会でございますので、この決済機関の問題について、将来のこともありますので一言申し述べたいと思いますけれども、この決済機関というのは言うまでもなく公共的インフラでありますので、すべて中立的で公正な組織でなかったら駄目だということを我々はずっと主張しておりますけれども、現在のところ、東証が九割の株を持つ、そしてシステムは東証のシステムを使うということになりますと、東証の傘下に入るというような感じになりますと、市場間競争が行われないと。先ほどのお話にもありましたけれども、やはりこれからは市場間競争というのはもう実に重大な問題なわけです。これが日本経済にも非常に大きな根幹になると思います。  そして、市場間競争につきましては、もう大証では東証の手数料の三分の一まで下げていたわけです。それを今度は三倍に引き上げぬことにはそれが払えないと。それを押してでも、今度は統一清算機関に入らなければ、一般参加者に対して、市場参加者に対して迷惑掛けるという問題が出てくるから準備をしているわけです。  アメリカのDTCCなんかにおきましては、もう完全にその株は市場参加者が持ちまして、常に中立、公正を保とうという努力をしています。この間も話しましたところ、もう一々そういうことに気を遣っているということがありありと分かりました。
  138. 山本保

    ○山本保君 大阪の話が出たので、本当はこれ塩川さんにお聞きしたいんですけれども塩川大臣だと多分肩入れするような話が出るんじゃないかと。今、公正でなくちゃいけないということだったので、柳澤大臣、今のことについてコメントございますか。
  139. 柳澤伯夫

    国務大臣柳澤伯夫君) とにかく私どもとしても、東証と大証の競争関係もさることながら、とにかくアジアの新興工業国というようなところも、まだまだ日本とどうこうという問題ではないんですが、もうその努力たるやすさまじい状況でございます。いつぞやも申し上げましたように、時差が実際、物理的には存在しているにもかかわらず、取引時間というか、そういうものは一致させるとか、そのくらいいろんな面に配慮をして競争しているということでございまして、そういう競争を通じて日本の取引所が強くなる、あるいは市場が強くなるということと同時に、そのことがひいては投資家の利益につながっていくということを私としては希望しているという次第でございます。
  140. 山本保

    ○山本保君 この問題、何か非常に面白い内容だなと思いますけれども、ちょっと本題から外れるようなので、今日はそういうコメントをいただいたということで終わりたいと思います。  それから次に、これも午前中にもお話出ました金利スワップということですが、私など本当にこれ入門書しか読んだことなかったのでちょっと分からないところがあるんです。今日の午前中の答弁にもちょっと分からないところがあるのでちょっと教えていただきたいんですけれども、たしか入門書ではスワップというのは、別にどちらかが得するとか損するとかいうものではないというふうに書いてあったような気がするんですが、今回、雑誌の論文などを読みますと、何か財務省、金融庁ですか、小遣い稼ぎをするチャンスはあっけなく消えるというような厳しい論文をちょっと読んだりしました。見込みが外れるということはあるかもしれないし、うまくいくということがあるかもしれませんけれども、こういうものというのは特にこれでもうけようとかなんとかというものじゃないんじゃないかなというような気もしておるんですね。  今回の新しい制度国債の金利スワップを導入するということについて、午前中のお話もあったと思いますけれども、もう一度改めてどういうスタンスなのかお聞きしたいと思います。
  141. 寺澤辰麿

    政府参考人寺澤辰麿君) お答えを申し上げます。  今回お願いをしております金利スワップ取引は、これは直接的に金利負担を軽減するために行うというものではございません。国の債務のデュレーションを管理する上で、第一義的には国債発行計画を通じてデュレーションを管理する、それでもうまくいかない場合に補完的な手段として導入をさせていただきたいということでございます。  仮にこの金利スワップ取引を行いまして変動金利を固定金利に変換した場合に国にとってどういうことが起こるかということでございますが、国にとりましては最初から固定利付国債で資金調達をした場合と同様の効果があるというふうに考えておりまして、それ以上の金利のリスクは生ずるものではないというものでございます。
  142. 山本保

    ○山本保君 専門的な中身については私もう入りませんので、ここでちょっと政策的なといいますか、そういうことについてお聞きしたいんです。つまり、簡単に言えば新しい国債の種類ができるだけだということだというふうにお聞きしたわけですが、そうすると国債をやっぱり発行しやすくなるだろうというようには思うんですね。  財務大臣にお聞きしたいんですが、ちょうど昨日ですか、財政制度審議会の意見が出て、また新聞などにも、財務大臣、今度、一般歳出を来年度は上げるつもりはないというか同じにしたいんだというようなことを書かれていて、三十兆円というのが今後守られなくてはいけないのかどうかというのは、これは正に政策判断であって、今どうこうということはないと思いますけれども、ちょうどこういうときにわたって国債が出しやすいという形になりますと、何かたくさん出すようなつもりでおられるのじゃないかという懸念も感じます。この辺についてどういうお立場なのか、今の考えをお聞きしたいと思います。
  143. 尾辻秀久

    ○副大臣尾辻秀久君) それでは、私からお答えを申し上げます。  昨日、財政制度審議会から、平成十五年度予算編成の基本的考え方について建議をいただきました。同建議におきましては、十五年度予算でも改革断行予算を継続し、財政規律の堅持、財政の持続可能性に対する信認確保に努めるべきことや、財政に対する信頼回復のためには執行における無駄の排除や政策評価手法の予算編成への活用などが重要であること等の意見が述べられております。  現在、政府は、「改革と展望」における財政運営の在り方を踏まえ、財政構造改革に積極的に取り組んでいるところでございまして、本建議の趣旨も十分に踏まえまして、財政健全化の実現に向けた十五年度の財政運営の在り方について、六月中には政府としての考え方も取りまとめる所存でございます。
  144. 山本保

    ○山本保君 財務大臣はお答えにくいのかもしれませんが、この新聞によりますと、一般歳出の方は何とか今年並みに抑えようと。そうしますと、収入の方で税の方が減った分ぐらいは国債が増えるだろうというふうに、単純に考えるとこういう意味のことを言っておられるのかなという気がするんですが、よろしいですか、そういう意味で。
  145. 塩川正十郎

    国務大臣塩川正十郎君) 昨日も財政制度審議会で私申し上げたんでございますけれども、予算に対する考え方で、ただ緊縮だとかあるいは緩やかな予算とか、そういう考え方をしてもらわないで、是非ひとつこの際に、構造改革の一環として行政コストを見直していくんだという、この観点に立って予算を考えていきたいということを、私は強くそれを主張しておきました。その結果、十三年度、十四年度においてかなりな分についての行政コストを見直してきたけれども、なお十五年度予算において更に一層の見直しをしていきたい、その方向としては、公共事業もあるけれども、社会保障制度、あるいは教育、文教制度等においても行政コストの見直しをしていきたいと、こういうことを申し上げておきました。  そうしたら、三十兆円の枠はどうするのかというお話が当然出てくると思っておりますが、私たちは、必要な経費はやっぱり盛り込んでいかなきゃならぬので、三十兆円というのは一応十三年度、十四年度の予算を貫くところの一つのかんぬきとして入れたんであって、それにこだわるものではない、けれども、その三十兆円の精神というものは十五年度においても確実にそれを実現していきたい。けれども、三十兆という表現ではなくして、対前年度においていかにあるかという、十五年度いかにあるかという、そこに視点をおいて考えていきたいと。  そこで、話がございますのは、それじゃ十四年度よりは上回っていくのかどうかということでございますが、私は、十四年度内における一般歳出予算は十四年度以内に収めていきたいと、こう思うておって、そういう趣旨を申し上げたようなことであります。
  146. 山本保

    ○山本保君 ありがとうございます。  これはこれからまた大変議論になっていくと思います。今おっしゃった社会保障や教育について削減したいということについては、我が党も、また私自身も、これはなかなか厳しいといいますか、それは避けてほしいなというのが本心でありますけれども、ただ、中身についてもっと効果的なものを作っていくということについては全く同感です。ありがとうございます。ちょっと今日の法案とは直接関係なかったかもしれませんですけれども、お聞きしました。  最後のところでもう一つ、では、この法案の中で、個人でしか購入できない国債というんですか、国債の譲渡について制限を設けるという条文があります。こういう国債を作ったとして、本当にそれが売れるんでしょうか。どういう見込みなのかということと、それで、前にも、新聞でといいますか、衆議院では大臣の方から税優遇を少しするというようなことがあったというふうに新聞報道が、この個人向け国債ですね、あったのかどうか。ちょっと私も議事録見ておりませんので申し訳ありませんが、新聞報道だけですけれども、そういう考え方は、郵便貯金から移るぐらいならいいんですけれども、一般的に今、直接投資ということを言っておりますときに、国債の方に引っ張ってくるということがいいことなのかなという気もするわけですが、この個人向け国債という考え方について、繰り返しになるかもしれませんけれども、全体の、これについて少し教えてください。
  147. 塩川正十郎

    国務大臣塩川正十郎君) 現在、国が持っております国債の保有状況を見ますと、四百数十兆円の中で個人が十一兆円しか持ってくれていないんです。これは余りにも私は個人の保有が少ないと思うておりまして、できれば個人が投資と同時に貯蓄の面においても考慮してもらいたいと思っておりまして、そのためには個人が国債を持つについてのインセンティブを何か与えることができないだろうかと。  現在、老人用に何か利息の二〇%を源泉しないで免除していますね。ああいう制度がございますが、今度これを廃止するということになっています。そうすると、そういう手法ではなくて何か特別な、つまり五年とか十年とか長く保有してくれればそれに対する措置を何か考えてみたいということを思っておるんですけれども、しかしこれはなかなか実は、言いましても難しいことだと思っております。けれども、一生懸命勉強してみたいと思って、できればそうしたいという気持ちを持っておるということであります。
  148. 山本保

    ○山本保君 ありがとうございました。  最後に、柳澤大臣に、統一的な証券取引の清算機関についてお聞きするというふうに通知してあったと思いますが、先ほどもうお話があったのかなとも思います。何かあればよろしいんですが、なければこれで終わりたいと思いますが。  じゃ、終わります。
  149. 池田幹幸

    ○池田幹幸君 日本共産党の池田幹幸です。  提案されております法案は、証券決済システム関係国債関係の二本柱から成っております。私も、今日は国債関係、金利スワップ関係質問を予定していたわけなんですけれども、午前中の大塚委員質問で大方はっきりしました。はっきりしたというのは、いいなということじゃありません。極めて漠とした法律だなと、枠だけ作って一体この影響はどうなるのかということについてもはっきりしない。  ともかく、その実施額については国債発行計画でその想定元本をあらかじめ公表して、受け払いの所要額は予算に計上すると、確かにそう言われましたね。言われたけれども、じゃということで、どの程度なんだという大塚委員質問には、全く想定していないということですね、そのときそのときの情勢で考えるんだと、こういうことでした。これでは、本当に漠としたものだな、枠だけ作った法律だなということがはっきりしたとしか言えないなというふうに思っております。  ともあれ、私その点で一点だけこのことについて財務大臣にお伺いしておきたいと思うんですけれども、結局、財務省が金利スワップ市場のプレーヤーになって相場を張るというのが今度の法律ですよね、そういうことができるようになると。国債整理基金による金利スワップ取引というのは、これ事前にちょっと財務省にも伺ったところによりますと、将来の国民負担を軽減することになるんだということでした。  これ、デリバティブですから損することもあれば得することもあるわけで、必ずしも将来の国民負担を軽減するということにはならないと思うんですけれども、もしよしんばそれができたとしましても、国民負担を軽減するというほどの規模の取引がなされるとしたら一体どういうことになるんだろうかということなんです。これは金利スワップ市場にどの程度の影響を及ぼすんだと。  伺ったところによりますと、金利スワップ市場というのは一日平均一兆円規模の市場だそうです。非常に小さなものですね。そこへこのガリバーが現れるということなんですけれども財務大臣、この金利スワップ市場への影響を一体どう考えておられるんですか。
  150. 尾辻秀久

    ○副大臣尾辻秀久君) 今朝ほども繰り返し申し上げましたけれども、これは私どもは、積極的にプレーヤーになる、そういうことでこのことをお願いいたしておるわけじゃございません。どうしてもそういうことが必要になった場合に、そのときの備えのためにと、こういうことでございますし、それからまた、そういう事態になったとしても、そんなに今おっしゃるような大量な規模でこの金利スワップを行う、こういうことはあり得ない、また考えてもいない、こういうふうに私ども判断いたしております。  まず、規模のことで申し上げると、そう大きな規模で行われることはあり得ないというふうに考えておるところであります。
  151. 池田幹幸

    ○池田幹幸君 はっきりしない。  要するに、これ、先ほどの質疑にもありましたけれども、今すぐこれをやる気はないんだと、やろうとしたってできないだろうと。人がいない。それはそうですよね、ディーラーがいないですよね。これからディーラー育てましょうということですからね。これ、どれぐらい先になるのかなということも思いますけれども、そういう状態にあるということですよね。  そこで、一つ指摘しておきたいんですが、先月、QUICKというところで金利スワップ問題を含めた債券特別調査というのをしておられます、御存じと思うんですけれども。四月にそれをやられました。これを見ますと、この調査の回答者は証券会社、銀行、保険会社、それから投信投資顧問など機関投資家の債券担当者になっています。こういう専門家を対象としたアンケートなんですが、それを見ますと、こういうことを言われています。  「国債残高とスワップ市場の規模を考慮すると現実的な効果は期待できない」、こういう人が四四%、財務省・整理基金のスワップ活用について否定的な見方がされているというふうに論評されている。こういう状況なんですね。もうちょっと見ますと、具体的に今回のスキームの問題点としては、スワップ市場は一度に大量の取引が難しいとともに、当局によるイールドカーブ操作を挙げる回答者が五〇%に達していると。当局信用していないんですね。結局、専門家の半数は否定的見解を示しているんです。  塩川大臣、こういったものを無理やりやっていくということについてどうでしょう。問題だと思いませんか。
  152. 尾辻秀久

    ○副大臣尾辻秀久君) 今その調査にお答えになった皆さんがどういうことを想定されて効果が期待できないというふうにお答えになったのか、よく分かりません。ただ、どうも私どもが考えておりますことを御理解いただいていないんじゃないかなという気がしてならないんです。  先ほど来の極めて専門的な御質疑の後で私がいかにも素人っぽく説明いたしますと、何かそういう感が強くなるような気がしますが、素人の説明としてお聞きをいただきたいと思うんです。  私どもが考えておりますのはこういうことなんです。十年債を発行したい、国債当局としては十年債を発行したい。しかし、その十年債の引受手がない状況が生じた。でも、やむを得ず、万やむを得ず短期国債、半年の国債でぐるぐる回さなきゃいけない、そういう事態が生じた。例えばそんなことを考えておるわけです。そのときに、何とかしなきゃいけないから、それはもうやむを得ない、半年の短期国債で回していく。ただ、そうなると、半年ごとの金利がその都度変動しますから、これはもう計算できなくなって大変リスクが大きくなる。そこで、金利スワップを使いたい。  私どもは、その都度の短期の国債は一遍当然国債を買っていただいた方にお払いするわけですが、今度は違う方からその分をいただいて、そしてその方に十年債と同じ長期の国債の金利で、一定の金利で払い続けたい、この交換をさせてくださいということを言っているわけでありますから、私どもから出る分は、短期の国債部分は行ってこいになってここはゼロになるわけですから、国側から出るのは長期の国債で計算した一定の金利でありますから、これはもう固定の金利になる。変動しておるわけですから、ここが格別変化するわけではない。これはもうずっと一定の金利で出し続けるという形になりますので、おっしゃるようなリスクが発生はしないと思いますし、ここをずっとこの金利で払い続けるということは別に問題はないんじゃないかなと。  何かその辺が、正に素人として考えているんですが、支障ないだろうなと思っておりますということを申し上げているわけであります。
  153. 池田幹幸

    ○池田幹幸君 短期金利の発行額と金利スワップのその額が必ず同じになるということではないはずですよ、これは別々に動くわけですからね。だから、そういう教科書に書いてあるとおりの動きはしないだろうと私は思います。だから、事実、専門家の方々が、そういうふうな単純な問題じゃないんだよ、こんな問題起こるんだよと。  先ほどからるる説明のあった問題についてもこんな指摘がありますよ。  財務省が発行年限を管理したい、さっき言っていました、発行年限を管理したいと言っているけれども、発行政策及びバイバックによるべきで、スワップを使うのは邪道だと。たとえよその国でやっているとしても、これは邪道なんだという指摘すらあります、この中にね。そういう問題なんですね。  だから、結局、国債管理と言うけれども、それだって疑わしいと思う上に、多くの問題点を持っておりますこの金利スワップ、こういうものをやることについては私は反対だということを申し上げておきたいというふうに思います。  私、今日は、ずっとこの二年来私取り上げてまいりました証券取引所の問題、特に大証の問題取り上げていきたいと思うんですが。  政府におきましても、昨年来、金融庁が八月に証券市場構造改革プログラムというのを発表されました。これ読んでみますと、非常に重要な指摘も多々ありました。中でも、自主規制機関の在り方、これについては、個人投資家から信頼される市場の構築を目指さなければいけないということが指摘されております。そういう提言もありました。  そういうことですから、自主規制機関たる取引所は、不正な取引を見逃したり、あるいはそれを、そういった取引を助長するようなことがあるとすれば、これはもうとんでもない話で、そういったことは絶対にやらしてはならないと思うんですね。  そこで、相場操縦に対する取引所の取組について伺いたいと思うんです。  今日は、東証と大証からそれぞれ社長が参考人としてお見えになっております。そのことについてお二人に伺っていきたいと思うんですけれども、まず、この相場操縦のこと。  証券取引法百五十九条では、仮装売買の禁止、これを定めております。仮装売買、未然に防止するためにどういったことを会員に対して指導し、注意しているかということについて、簡単にと言ったら本当に失礼なんですけれども、時間の問題もありますので、お二人本当に、できれば二、三分でその骨だけを、こんなことをやっていますという、中身は結構ですから、こういうことをやっていますということを御説明いただきたいと思うんです。  まず、東証の社長、お願いします。
  154. 土田正顕

    参考人(土田正顕君) 御指摘のように、市場の監視というのは、私どもにとりまして非常に重要な課題であると考えております。  そこで、前置きを省略いたしまして、端的に具体的なその御説明を申し上げます。  東証の組織の中で特に市場の監視に関係が深い部門は自主規制部門と言っておりますが、これは具体的には、売買審査部それから証券会社の考査を担当する考査部が中心でございます。東証の現有勢力八百名の中の出向者を除きました本体が六百五十名ほどおると思いますが、その中で、ただいま申し上げました両部門に約百名、さらにそのほかの関連する部分市場監視関係の職員を含めますと、ほぼ二百名近い者が市場の監視に従事をしております。これは、その他の取引所や店頭取引を経営しております証券業協会と比較した場合の東京証券取引所の大きな特色になっていると考えるものでございます。  そこで具体的に、例えばということで一例を申しますと、私どもの売買審査システムはかなり世界的にも優秀なシステムであると思っておりますが、これにつきまして一定の基準を設けまして、価格、売買高の動向その他から、注意すべきであるというような標準に合致したものを自動的に抽出するシステムを採用いたしまして、不自然な形態が認められた場合には、これを拾い上げて更に詳細を分析すると。そのようなことで不公正取引の発見、防止に努めております。それから仮装売買、クロス取引につきましても、詳細は省略させていただきますが、この売買状況と照らし合わせながら、不正な目的がないかどうか調査を行っております。  さらに、いわゆる未然防止という観点から、証券会社の売買管理部門との連絡を取る、ないしは、そのような仕事を担当しております者に対して、研修、講習などの場を通じまして、要は一種の指導を行うということで、好ましくない事件の防止に万全を期しておるというつもりでございます。  ごく簡単に申し上げました。
  155. 巽悟朗

    参考人(巽悟朗君) 相場操縦並びに仮装売買、この仮装売買並びに相場操縦を一連の、一組のそのグループ内でもって操縦するというようなことは、公正性を阻害するものでありますので、大阪の証券取引所ではそういうことは断じて禁止しておりますが、本所では、何のニュースもなく株価が急騰とか急落した銘柄、売買高が急騰したなどの不自然な動きをした銘柄につきましては、その原因を調査するなどして違反行為の防止に努めております。  不自然な動きのあった銘柄につきましては、価格や売買高の動向及び証券会社の手口について調査しており、その中でも更に調査が必要な銘柄につきましては、審査銘柄として更に委託者や売買状況について詳細な調査を行っております。  なお、こうした調査の過程で問題となりました取引につきましては、証券取引監視委員会並びに当取引参加者の売買管理部門などに通知するなどしまして、未然防止に努めております。
  156. 池田幹幸

    ○池田幹幸君 大阪証券取引所では、二年ちょっと前からいろいろと問題起こったことで、この委員会でも取り上げられてまいりました。  不公正な取引ということがあるということで、大阪証券取引所、自主的に調査委員会を作ってその調査をして、その調査結果も報告されてきたという経過があります。もちろんこれ、大蔵省、金融庁の指導がずっと入っておるということも事実なんですけれども、そういうことございました。  この問題について伺っていきたいと思うんですが、巽社長に伺いたいと思います。  これ、二年前に、今申し上げましたその調査委員会の報告書が出されました。巽社長はその当時その委員会のメンバーであったわけですけれども、この報告書発表の記者会見で、廣田調査委員会委員長こう言っています。野口副理事長ら関係者のことに関してなんですけれども。野口副理事長については既に問題あったということで辞任させたわけですけれども、その後、背任、横領等を裏付ける事実は見当たらなかったとして、今後法的な責任を追及する考えはないと、このように記者会見で発表されたわけですね。  ところで、この三月、巽社長はこの問題で野口氏を告訴、告発しました。その理由について新聞ではこう言っていますね、記者会見で。これからの取引所は公正、透明でコンプライアンスを重んじた自主規制機関だ、いろいろ悩んだが、しっかり対応することが信頼を得ることだと考えていると述べられておられました。  かつて問題ないとしたことでも、その後問題ありと、問題が見付かったらしっかり対応しなければならないんだという考え方、私は大いに賛成です。非常に立派だと思います。このことについては、すべての問題でそういう立場を当然貫いていただかなければならない、そのように思っております。  そこで、大証問題なんですけれども、私もこの問題、関連会社問題を含めまして、いまだに問題解決していない、そう思っています。同じ考えです。ですから、これきちんとやっていかなけりゃいかぬということで、きょうは参考人としてお答え願いたいなというふうに思っております。  まず第一の問題なんですけれども、大証の関連会社、ロイトファクスですね、これが九七年七月、平成九年ですけれども、株券オプション取引の開始当初から光世証券を通じて取引をやっておりました。巽社長は、仲立証券争議で大阪地方裁判所の証人として呼ばれて、そのときにこういう証言しているんですね、ロイトファクスと光世証券との間の株券オプション取引について、後から知ったと。当時は知らなかったというふうに証言しています。  それじゃ、一年半にわたってこれ取引していたわけなんですけれども、巽さんは、巽参考人は、ロイトファクスと光世証券が取引をしていたことについて知ったのはいつですか。
  157. 巽悟朗

    参考人(巽悟朗君) 先ほど池田議員がおっしゃいました、この調査委員会が大蔵省によって作られたというのは、これは違います。
  158. 池田幹幸

    ○池田幹幸君 言っていないです。
  159. 巽悟朗

    参考人(巽悟朗君) 三月十五日に……
  160. 池田幹幸

    ○池田幹幸君 そんなこと、言っていないです。
  161. 巽悟朗

    参考人(巽悟朗君) いや、最初のときにそうおっしゃったでしょう。
  162. 山下八洲夫

    委員長山下洲夫君) ちょっと、不規則発言やめてください。
  163. 巽悟朗

    参考人(巽悟朗君) ああそうですか。じゃ、それで結構ですけれども。  それから、その調査報告書の中にありました中に、専門家の委員が、今限られた、物理的にもこれだけ限られた時間で調査は不可能だと、だから、新役員においてはこれを徹底的に解明しなさいと、こういう話があった。
  164. 池田幹幸

    ○池田幹幸君 質問意味、分かっていますか。
  165. 巽悟朗

    参考人(巽悟朗君) 分かっています。これから答えます。
  166. 山下八洲夫

    委員長山下洲夫君) 池田委員に申し上げます。  指名を受けてから発言をお願いします。
  167. 巽悟朗

    参考人(巽悟朗君) それで、そういうただし書があったものですから、あとずっと考査室なんかで調査をしていったわけです。  それから、私が、今おっしゃいました、後で知ったというのは、光世証券にとりまして、このロイトファクスというのは一投資家でしかなかった、何も知らなかったと。調査委員会をやっている最中に、何か公認会計士が、光世証券の名前が出てますよと、それで私、すぐに聞いて、そしていろんな資料を調査委員会に提出したわけです。そこで初めて知ったわけです。
  168. 池田幹幸

    ○池田幹幸君 巽参考人、私、最初に申し上げたように、大阪証券取引所を実質的に作ったと。それは当時の大蔵省、金融庁も、これを指導したことは事実だと言ったんですよ。きちんと聞いてくださいね。  さてそこで、調査委員会の最中にそういう話が出て知ったというお話でした。そこで、それじゃ伺うんですが、当時、光世証券以外にロイトファクスが取引をしていた会社、それはどこか御存じですか。
  169. 巽悟朗

    参考人(巽悟朗君) 名前は出してもいいんですか、それは。大和証券です。
  170. 池田幹幸

    ○池田幹幸君 大和証券なんですね。  ところで、この大証関連会社に関する調査委員会ですね、それの関係者への、これ、ちょっと資料を見ていただきたいと思うんですが、資料の2です。これは、調査委員会が事情聴取をしたわけですね。関係者に聴取したわけです。そのときの聴取記録です。それの三十三ページなんですが、これを見ていただきたいんですけれども、そこでは、野口前副理事長ですね、この方が、株券オプション取引の開始当初に、証拠金としてロイトファクスが五億円程度証券会社に預けたということを言っています。これは、どこの証券会社に預けたということか御存じですか。
  171. 巽悟朗

    参考人(巽悟朗君) ちょっと記憶していません。
  172. 池田幹幸

    ○池田幹幸君 取引したのは光世証券と大和証券とおっしゃいました。だから、それしかないんです。ほかの取引も、あっても本当にわずかなんですね。二大巨頭なんですよ。だから、恐らくこの二つに預けたということは間違いないと思うんですね。それはもう御専門家ですから当然分かると思うんですけれども。  さてそこで、私、大証の五十年史というのをちょっと読ませていただきました。それを見ますと、九六年八月に、株券オプション取引の調査、このために巽社長が団長になって、野口が副団長、大証職員が随行してアメリカに大阪米国証券市場調査団というのを送ったということが記載されています。また、九七年七月十七日、株券オプション取引開始日前日です。このときに大証と巽社長が、これは、協会長をしておられます日本証券業協会大阪地区協会、そこと大証との共催で、更にまたもう一つ、巽さんが会長をしていた先物オプションで世界にという会、その会の共催で大証株券オプション取引を成功させる集いというのを開催している、こういう記載があります。  この翌日から、この成功する集いの翌日から始まった株券オプション取引なんですが、実務的には確かに大証副理事長の、当時副理事長の野口氏が中心になってやったわけですけれども、結局、この五十年史等々の記載からも分かりますように、あなたがこれをリードする立場にあった。これは確かですね。あたかも、調査委員会のメンバーの一人としてあなたは初めて調査委員会に出たときにこのことを知ったんだと、ロイトファクスのことも、ロイトファクスと大和証券の取引のことも知ったんだということですけれども、どうもそうじゃないでしょう。ロイトファクスというのは、前々からあなたは御存じだったんじゃないですか。
  173. 巽悟朗

    参考人(巽悟朗君) 一切知りません。  私が団長で行きましたときはそんな細かい会社もできておりませんし、私は、一九八〇年代から大証の派遣しました、大阪は三団体で三位一体ということでやっていまして、派遣しました調査団、五回ぐらいあったでしょうか。全部団長を務めました。
  174. 池田幹幸

    ○池田幹幸君 それではちょっと見ていただきたいんですが、資料の3ですね。これを見ながらちょっと。全然知らなかったということなんですけれども、この資料の3というのはロイトファクスの総勘定元帳なんです。  野口の証言どおり、これ計算したら分かるんですけれども、七月の合計、借方金額というのがありますが、これが証拠金に当たるんですが、五億一千九百万という記載がありますけれども、大体この値段です。これが書かれております。これは合計しますと、大和証券が二億三千四百万、光世証券が二億八千四百万になります。五億一千九百万ですね。大和証券のことはともかくとして、光世証券がこういった形である顧客から大量に預け金を受け入れているということについては、これはあなた、光世証券の社長ですからね、当時。御存じだったんじゃないですか。
  175. 巽悟朗

    参考人(巽悟朗君) 光世証券は先物オプションに特化して会社の業態を変えてやっておりましたし、そんなことは社長は一々、どこの顧客から何ぼ預かっているとか、そんなものは一切見たことはありません。
  176. 池田幹幸

    ○池田幹幸君 そうですかね。私はそれは非常に不自然だと思うんです。なぜか。当時の有価証券報告書を私、見せていただきましたけれども、あなたのところの。従業員九十二名、受入保証金十七億円弱、十六億八千九百万です。このときに、今申し上げました、受入保証金残高はこの二割弱に当たるんですね。光世証券二億八千四百万。一顧客から、受入保証金の二割弱に当たる、それが短時日の間に、七月の二十二日から三十日、わずか八日間の間ですよ。これだけ預け金が入っているんですよ。そういうことを、おれは社長だから知らないよと。到底考えられませんね。  大和証券が、この程度の額で大和証券の社長が知らないよと言われたら僕もそうかなとも思うけれども、しかし、失礼ながらそういう状況じゃないでしょう。中小証券の社長として苦労して、しっかりと相場にも目を配りながらやっていく、そういうことをやっておられる社長としてはそんなことはないと私は思うんですね。非常にこの点では私は、今言われたことについては疑問に思います。  特に、さらに指摘したいと思うんですけれども、新聞報道、当時のことを見ますと、あなたが、投資家第一の姿勢、コンプライアンスを重視する姿勢と言っておられます。先ほどのときもおっしゃったように、私はそのとおりだと思います。だとすると、当然、社員に対してもそういった指導をしておられたと思いますね。  ロイトファクスの売買については、報告書にもあるとおり、大和証券にもあった。大和証券はこの取引に対してどういう態度を取ったのか。これ、あなた調査委員会のメンバーだから御存じでしょう。大和証券は、これはもうやめているんですよ、この取引、怪しいといって。  どう言っているか。調査報告書の記載にもあります。こう書いてある。大和証券は、ロイトファクスの投資意図は分からない、将来第三者の検査が入ったときに問題として指摘されるおそれがあるので、うまく指導してほしい旨注意を受けたと。更にいろいろと専門的なことが書いてあります、怪しいと思う節の。最後に何と言っているかというと、大和証券売買管理室から、ロイトファクスの商いは通常の売買行為とは考えられない、注文は一時中止せよという指示があったということで大和証券はこれはやめたんです。  大和証券でも、これを見たら分かるんですよ、これは怪しいよと。なぜあなたのところで分からなかったんでしょうね。あなた、あのときは分からなかったと。その後、原因究明しましたか。そしてまた、この行為は正しかったと思っておられますか。
  177. 巽悟朗

    参考人(巽悟朗君) 大和証券がやめましたのは、その報告書の件ですけれども、これは公表しているものではございませんのでコメントを差し控えさせていただきますが、大和証券と光世証券ではいろいろ管理規程が違うと思うんです。私もそういう詳細にわたってやっておりませんけれども、そういうことでございます。  それから、ロイトファクスというのは、光世証券といたしましても後から調べましたところ、顧客として適当かどうかという調査を全部やりまして、そしてやったわけです。そして、ロイトファクスにつきましては今現在八条委員会検査も入っておりますし、これで明らかになりますし、それから私が検察庁に告訴しておりますので、そちらの方で、いろいろコメントをロイトファクスのことにつきましては差し控えさせていただきますが、今おっしゃるような光世証券とロイトファクスが通謀して何々だとか、断じてありません。断言いたします。
  178. 池田幹幸

    ○池田幹幸君 まだ私、通報して云々とか通牒して云々とは言っていなかったんだけれども、そちらの方からおっしゃったから言いますが、私はそう感じてはおりますよ、腹の中ではね。後からもそのことについては証拠を示してお話ししたいというふうに思いますが、この商いが正しかったと思っていますかという私の問いに対してはお答えになっていませんね。
  179. 巽悟朗

    参考人(巽悟朗君) それにつきましては、現在、八条委員会並びに官房検査、それから検察庁で明らかにさせていただきますので、私はコメントを差し控えます。
  180. 池田幹幸

    ○池田幹幸君 投資家の信頼が第一だとおっしゃっているあなたが、こういった商い、法律に触れているかどうかということが最終的に決まる、それは告訴しているから云々あるでしょう。しかし、あなた自身が、こういった商いがあなたが社長をしていた光世証券とロイトファクスの間でやられた。今、私、指摘しました。わずかの間にこれだけの預け金を入れてやってきた。それを、そういったことが正しかったのかということを聞いているんですよ。そう思っているのかと。
  181. 巽悟朗

    参考人(巽悟朗君) 証拠金云々、大証、これはもう関係ないと思います。  それから、私が個人的にここで申し上げられることは、私が社長をしていた、現在もそうですけれども、光世証券はいまだかつてそういうことで指摘されたことはありません。
  182. 池田幹幸

    ○池田幹幸君 そうですか。指摘されたことがない、だからこういうことをやってきた、正しかったということでしょうね。
  183. 巽悟朗

    参考人(巽悟朗君) 違います。
  184. 池田幹幸

    ○池田幹幸君 だったら、何で正しかったと思っているんですかということにお答えにならないんですか。
  185. 山下八洲夫

    委員長山下洲夫君) ちょっとお待ちください。  速記を止めてください。    〔速記中止〕
  186. 山下八洲夫

    委員長山下洲夫君) 速記を起こしてください。  委員長から池田委員と巽参考人に申し上げます。  法案に関する質疑でございますので、お互いに冷静に、沈着に御発言をいただきますよう、お願いを申し上げます。
  187. 池田幹幸

    ○池田幹幸君 最初に申し上げておりますように、これは構造改革フォーラムの一環として進められてきている法律でしょう。その基盤には正に信頼がなければいけないということでずっと言ってきたし、お互いにそのことは確認し合ってやってきたことですから、この問題は本来ならばもっと早く片付けられていかなければならなかった問題ではあるんです。ここまで引き延ばされてきた問題で、今日は幸いに大証の社長が出ておられるし、調査委員会のメンバーの一人でもあった方ですから、そういう形で是非きちんとしたことを明らかにしていただきたいなというふうに思います。  さて、それではちょっと角度を変えてといいますか、調査委員会のことについてちょっと伺っていきたいと思うんですけれども、この調査委員会報告書を見てみますと、巽社長は委員の一人としましてなかなか積極的に発言しておられます。調査委員会の中心的な存在だということがこの記録からも私はうかがわれたわけなんですけれども、ところがこのロイトファクスの件になりますと、調査委員会の最中に知ったということをおっしゃっていますけれども、一言も発言しておられませんね。これ自身、私は非常に不自然なことだなというふうに思っておるんですけれども。  結局、調査委員会報告書には、ロイトファクスの相手方としての大和証券日本電子証券、名前出てきます。大和証券日本電子証券も名前が出ます。ところが、光世証券の名前は出てこない。これまた非常に不自然なことだというふうに私はこの報告書を読んで思った。結局のところ、光世証券については委員会の報告書からも外したといいますか、委員会の段階で調査することをやめたのじゃないかなというふうに私は感じるんです。  私たちの調査では、ロイトファクスを通じて売買を行っていた大証とあなたの光世証券ですね、これ双方がこれは了解、双方了解した上で、この株券オプション取引が繁盛しているように見せ掛ける、そういったことをするために取引したとしか思えない。そうじゃないですか。
  188. 巽悟朗

    参考人(巽悟朗君) 先ほども申しましたように、その報告書は公表していないものでありますからそれについてのコメントは差し控えますけれども、野口副理事長に対しましては、私は別室、別室というよりも別の席で何回も問い詰めました、三時間を三回。なぜロイトファクスは関連会社やということを僕に言わなかったかということを言いました。  それから、今おっしゃったような、ですから、意図的にも何も、その調査委員会に出ているか出てへんかは知りませんけれども、全部資料は調査委員会に差し出したわけです。これは、光世証券だけが出したと、こういうふうに思っています。
  189. 池田幹幸

    ○池田幹幸君 結局、資料の2で既にお示ししましたけれども、野口さんがこう言っているんですね。例の五億円のことを聞かれたときの説明なんですけれども、東証が二十銘柄、大証が六十銘柄取り扱っていたと。東証と大証の共通銘柄がソニーと日本興業銀行とその他で六銘柄、その六銘柄について、それが良いことか悪いことか知りませんが、ある意味マーケットメーク的な取引がない、あるいは大証がメーン市場としての役割を持たせるという意味合い、そこに出ているロイトファクスを設立して取引させたと。だから、大証が東証よりもたくさん商売やっているんだよ、メーン市場になるんだよということを見せ掛けるために、最初からロイトファクスを作って、そして取引させたと副理事長が言っている。その目的のためにやられたということはもうはっきりしているんですよ。そうでしょう。  この時点でもうはっきり、あなた、問い詰めるも何も、明確に言っているじゃないですか、ロイトファクスのことについて野口氏は。ここでもうはっきりしていたんですよ。それと取引していたんだから、光世証券は。もう今となって考えたら、悪いことだと、先ほど悪いことだと思っていないと言うけれども、悪いこと、悪い商いをやったんだということじゃないですか。
  190. 巽悟朗

    参考人(巽悟朗君) ただいま申し上げていますのは、最初にそういうことを言って、なぜ言わなかったかと言うている。これはもう調査委員会が行われたときにはもう分かってから後の話ですから、それは全然違うんです。このことについてコメントは、私は、公表したものでありませんから、どこから手に入れられたか分かりませんからコメントしませんけれども、この問題につきまして一般論として今おっしゃったようなことを言いますと、大証がメーン市場としての役割を持った市場に育てたいとの意向を彼が強く持っていたとしても、そういう不公正なことは不適切であると私が知っていた場合は、そういう取引は一切やめます。
  191. 池田幹幸

    ○池田幹幸君 そうなんですよね。そう言わないと本当は良くないと思うんです。  そこで、光世証券の取引は平成十一年です、九九年、一九九九年一月二十七日。二十六日ですぱっと止まって、二十七日以降は全くゼロになるんです。それ以後は、調査報告書にも出ているように、日本電子証券、ここにロイトファクスの取引が全部移ったということを意味していると思うんですが、これはそういうことですよね。
  192. 巽悟朗

    参考人(巽悟朗君) そういうことでしょうね。
  193. 池田幹幸

    ○池田幹幸君 今度は、その日本証券と光世証券のことについて伺うんですが、ここで告訴、告発なさった。その内容、新聞によりますと、大証はロイトファクスを通じて日本電子証券に九千六百万円もの割高で不要な支出、というより手数料を支払ったとして問題にしています。これは問題ですよ。光世証券にも電子証券と同じように手数料払ったはずなんです。じゃ、その方は問題にならないのかと。光世証券に相当の手数料入っていたと思うんです。これは、今は社長じゃないけれども、自主規制機関の大証の社長ですから、光世証券にどれぐらい手数料入ったんだということは調べさせることができるでしょうね。やる気おありでしょうか。
  194. 巽悟朗

    参考人(巽悟朗君) 調べさせますけれども、そんな大変な金額じゃありませんし、光世証券はKBSから皆経営について分担金を相当な金額出しておりますから、そういうことも考え併せて一々お話しいただきたいというふうに思います。
  195. 池田幹幸

    ○池田幹幸君 じゃ、やっぱり、この光世証券が受け取っていた手数料も、大した額ではないかもしらぬが、これはやっぱり問題だということついてはあなたもお認めになるわけですか。
  196. 巽悟朗

    参考人(巽悟朗君) 先ほども申しましたように、一般投資家から手数料いただくのは当然のことでありまして、それが悪いとかええとか、そんなことは一切思っておりません。
  197. 池田幹幸

    ○池田幹幸君 あのね、ちょっと話の順序をよく考えてくださいね。一般投資家とあなたはおっしゃった。しかし、もう調査委員会の段階で一般投資家じゃないということはっきりした。今ここでも指摘したように、繁盛に見せ掛けるためにわざわざ作った会社ですよ。一般投資家じゃないんですよ。しかも大証の子会社で。  大体、あなた、公正中立であるべき大阪証券取引所が子会社作ってこんなことをやらせたと。とんでもないことですよ。そういう会社と取引したんですから、大証に結局は損害を与えたわけですから、今となって商いが正しかったとは言えないでしょう、今の時点では。何で今でもそんなこと言い張られるんですか。
  198. 巽悟朗

    参考人(巽悟朗君) 簡単にそうおっしゃいますけれども、取引が全部終わりましてからそういう判断を軽々に下せるような現在ではありません。やはり補てんの問題とかいろいろございます。ましてや、ちゃんとしたあれの下に、正規のルートでやっていましたし、その取引の最中にこれが大証の関連会社であるということはにおいもしなかったということであります。
  199. 池田幹幸

    ○池田幹幸君 ですから、最中、そのときはにおいもしなかったかもしらぬけれども、後で調べたらそうだったんですよ。あなたは、二年前に調査委員会がこれはもう問題なしとした、告訴、告発しませんとしたその人をこの三月、告訴、告発したんですよ。やっぱり調べてみたら問題があった、これはたださなければ一般投資家の信頼得られないと非常に立派なことをおっしゃったじゃないですか。その立場を私は最初に申し上げた、貫いていただきたい、私それ大賛成だと。今の時点でどうだと私は伺っているんだから。
  200. 巽悟朗

    参考人(巽悟朗君) 告訴、告発をします一つの条件に、この三月決算、来年の株式会社化も控えて、全部損金、特別損失を落としたうち、十億落としましたけれども、そのうちの八億がこの関連会社の損であったわけです。そういうことも踏まえて、いろいろなことから関連して告訴、告発したわけであります。  告訴、告発している現在、そんなことを私の個人の考えで、これは正しいとか、これはどれやとか言うて、そういう軽々薄々な動きをやりたくありません。あくまでも司直の判断によって私は善処するということを申し上げております。
  201. 池田幹幸

    ○池田幹幸君 ちょっと取り違えておられるんですね。その告訴、告発した問題について私言っているんじゃなしに、何もしなかった問題について、何にも手を打たなかった問題、不問に付した問題、しかし調べてみたら、これ問題あるじゃないか、その問題についてもきちんとしなければ市場の信頼得られませんよ、投資家の信頼得られませんよと言っているんですよ。どうも混同されたら困ります。あなた自身の問題なんです。
  202. 巽悟朗

    参考人(巽悟朗君) 混同はいたしておりません。その手数料を返したからいうて、それは何もなかったということになるわけじゃないし、それが解決だというようなことでは考えておりません。あくまでも、何回も申しておりますように、今、検査も入っておりますし、告訴、告発しているわけですから、その結果を待って私はいろいろと善処したいというふうに考えております。
  203. 池田幹幸

    ○池田幹幸君 先ほども言いましたけれども、調査委員会の報告書でも、結局、あなた自身がかかわっている光世証券の問題ですね、これ、社長ですからね。そういった都合の悪い問題については一切この報告書からはないんですよ、消えちゃっているんです。非常に私はその点不思議に思う。だから、これ、るる聞いていって、おかしいじゃないのと。結局あなたは、今の時点でも、この商いが間違っていたということはお認めになろうとはしないわけですね。そうなりますと、ますます不信は私は広がっていくと思うんです。  そこで、時間が余りございません。そこで、もう一点伺いたいと思うんですね。  この資料の4ですね。これは、八月一日、ロイトファクスに対する光世証券の取引報告書です。ここでは、例えばソニーのオプション、これ九月物、同じ価格で同じ数量、百単位ですね、売りと買いが同時になされているんです。コールオプションが、売りと買い、同時になされているんです。しかも、同じ銘柄、同じ数量、同じ額なんですね。  これはどういうふうに見るかといいますと、私も素人ですから教えてもらいました。資料4の一ページ目、下から三段目が、「ソニーC一二〇〇〇」というのはコールです。コールで一万二千円ですか、値段の株です。下に「売 大阪」とありますけれども、これはコールを売るというやつですね。これがずっと幾つか続きまして、次のページの三段目までがそれなんです。その四段目からは今度は買いになるんです。ちょっとコピーが消えておりますけれども、四段目からは「C一二〇〇〇」、下は一番左側が「買」になります。これ合計しますと、売りと買いがぴったり同じ百単位になるんですね。これ、わざわざ手数料払って、売りと買い全く同じですから、損も得もしません。  何でこんなにたくさんの取引を、どういう意味でこんなことをやったのか。どう思いますか。
  204. 巽悟朗

    参考人(巽悟朗君) そういうことにつきましては後で聞きましたけれども、何回もそういうことは、これは、手数料もったいないぞという注意をロイトファクスにしたという話は聞きました。
  205. 池田幹幸

    ○池田幹幸君 注意なさったわけですが、おかしいなと思ったから注意したんでしょう。何でおかしいと思われました。
  206. 巽悟朗

    参考人(巽悟朗君) 私があれじゃなくして、社員が、その係の社員が注意したらしいということを後で聞いたわけです。
  207. 池田幹幸

    ○池田幹幸君 つまり、その社員の方も、これはおかしいなと、こんな売りと買い、意味のない売りと買いやるのはおかしいと思ったから注意したんだと思うんですよ、間違いなく。繁盛に見せ掛けるためじゃないかと思ったんじゃないですか。
  208. 巽悟朗

    参考人(巽悟朗君) それは商いのことでありますから、私は詳細に把握しておりませんので言えませんけれども、そういう、これはおかしいということじゃなくして、手数料がもったいないぞという注意をしたということであります。
  209. 池田幹幸

    ○池田幹幸君 これは素人の私たちから考えても、今の参考人説明は全く納得いきませんよ。そんな、手数料もったいないぞと。そんな、あなた、プロ同士の話でそんなことあり得ない。でも、そういうふうに言っても聞かないんだったら、それでもなおかつやるんだったら、これはおかしいと言って先ほどの大和証券のようなことになるはずじゃないですか。これはやめておけ、もうこれ、取引やめようとなるはずじゃありませんか。
  210. 巽悟朗

    参考人(巽悟朗君) 証券取引というのはそういうふうに単純に考えてやれるものなら苦労しないわけですよ。もし違う方向に行ったらどうなるかと。両建てして片落としやる場合もあるわけです。そういう池田議員のように単純に考えて、後講釈と申すんですけれども、それは簡単ですけれども、そんな単純なもんやないと。それで顧客の立場に立って物を考えるという習慣が付いているわけです。  最後に私はもう一回申し上げますけれども、いまだかつてそういうことは指摘されたことはありません。
  211. 池田幹幸

    ○池田幹幸君 これは大変なことですね。金融庁についても、いまだかつてこのことについては一切聞きもしなかったということですから、私は恐るべきことだと。この二年来指摘してきたことを金融庁は何にもしなかったのかなということを非常に、今知りまして、大変なことだなというふうに思います。金融庁の責任は私は非常に大事だと思いますね。  さてそこで、今度の問題について、少なくとも、今までるる伺ったら、巽参考人は知らなかったと、当時知らなかったということでずっと話を進めてこられたんですけれども、知らなかったにせよ、この光世証券とロイトファクスのこういった取引が行われていたということはもう否定できない事実です。取引形態からすれば、当然のことながら、証券取引法百五十九条で禁じておる仮装売買の疑いが持たれて当然なんですね。  今、私はるる説明しました。あなたは私が単純だと言われたけれども、私の単純な頭で見ればそうだし、単純でない方から見てもそうなんですよ。専門家の方々に見てもらっても。  ともあれ、自主規制機関たる大証としてやってはならないことをやってきた、このこともまた事実なんです。これを受け入れてきた光世証券の元の社長です、あなたは、当時の社長です。そういったことからしても、これは今日もずっと否定されてこられたけれども、私は、静かに考えて、あなたは自分の責任ということをこれは大きいなということを感じられて当然だと思うんですがね。  大証の社長として、この問題、これからどのように扱っていかれますか。
  212. 巽悟朗

    参考人(巽悟朗君) 大証の社長として、これを司直の手でいろいろ解明していただいて、やはりこれがそういうような、先生のおっしゃるような、そういうような仮装売買のようなものであれば、そういう不公正なものは一切なくすべく努力いたします。  現在、大証では、コンプライアンス・コミッティーというのも作りまして、徹底してやっております。
  213. 池田幹幸

    ○池田幹幸君 司直の手でとおっしゃるけれども、光世証券とロイトファクスの問題は、これは告訴しているわけじゃないでしょう。これは、もう幾ら司直の手にゆだねていてもこの問題は解決しませんよ。どうなんですか。
  214. 巽悟朗

    参考人(巽悟朗君) 光世証券とロイトファクスの問題、ロイトファクスの問題については司直の手であれすると。光世証券とロイトファクスの問題は、一切そういうなれ合いはございません。天に誓って一点の曇りもありません。
  215. 池田幹幸

    ○池田幹幸君 私は、そのことを具体的事実を挙げてお話ししたんです。  これは、金融庁に申し上げておきます。徹底的に調査していただきたい。これは司直の手にゆだねたって駄目なんです、この問題は。もう二年来私は言ってきている問題です。この点については、柳澤大臣に、もうこれは、ここで参考人を前にして決意をお伺いするというやぼなことを私はしませんが、要請しておきたいと思います。  さて、時間もない、もう迫ってまいりましたのであれなんですけれども、私、この問題ずっと追及してまいりました。この問題を取り上げるきっかけになったというのが、仲立証券をつぶすという、そういった問題がきっかけになったわけなんですけれども、当初、これ金融庁も、これは関連会社問題と仲立問題は関係ないという答弁でした。しかし、実際やってみますと、この調査報告書の中にも仲立問題はずっと取り上げられておりますし、事実、聴取されていますね。  要するに、清算予定の仲立証券、仲立証券清算する、清算会社ですね、清算会社となる予定の仲立証券株式を買い取る目的で設立された有限会社北浜水明会、これに大証が資金を貸し付けて株券を買った。この後に、この水明会を大証が孫会社にしているんですね、孫会社に。こういうことも報告書で明らかになっているし、聴取記録を見ますと、仲立証券のその仲立争議、争議ですね、労働争議、これを弱体化するために支払われた顧問料、これ顧問を雇っているんですね。顧問料について、調査委員から背任行為ですなと指摘されているんです。こうまでして大証は仲立証券つぶしをやってきたということはもう明らかなんですね。  また、この点で言えば、今日の参考人の巽さんも、当時は大阪団体業務検討委員会というところ、これは通称リストラ委員会と言われているそうなんですけれども、そこで仲立証券のリストラ問題を進言するという、これは委員会としての進言ですが、そういうことにかかわってきておられます。結局、そういった進言がもとになって仲立証券の解散が早まったと、現地ではこう言われております。  私、この大阪証券取引所、これ今、昨日の報道でも、ナスダック問題ですね、新たな問題が生じております。非常に難局に直面しておられると思うんですよ。しかし、投資家の信頼がなければ何もできないわけですから、そのことを改めてやっぱり私は肝に銘じていただきたいと思うんです。関連会社問題にしても、巽さん自身がかかわった問題にしても、すべて明らかにして、そのことによって投資家の信頼を回復していくんだ、そういう立場に改めて立ってもらいたいということを要請しておきたいというふうに思います。もしそれができなければ、私はやっぱり自主規制機関の長としての資質が問われるんだと。  私は、今日の質問で、参考人質問で、いろいろと私自身の言っていないことについて言われたことについては、これはこれで仕方ない、置いておきますけれども、やはり静かに振り返って、何のために私がここで聞いているかという真意について参考人に考えていただきたいということをお願いいたしまして、質問を終わりたいと思います。
  216. 山下八洲夫

    委員長山下洲夫君) 巽参考人、御発言ございますか。どうぞ。
  217. 巽悟朗

    参考人(巽悟朗君) 仲立問題も、これ係争中でございまして、大阪地裁で私どもの全面勝訴ということになりました。それから、団交しろということについては中労委にやっております。  これはつぶしたわけでも何でもなくて、仲立証券の社員に対しては、五十五の方には四千万円支払いまして、途中退職していく方につきましては、それに六百万円積み増して四千六百八十万円支払って解決しておるわけであります。その後、KBSなんかに十八人、そこで働いておる人もありましたけれども、その人の就職も、これ関連会社関係で全部つぶしましたけれども、私は全部口を利いて入れました。そういう努力はしております。しかし、残っている方は、これをもう一回再雇用せいというのは、取引所の職員ではないわけなんです。その点だけ申し上げて、終わります。
  218. 山下八洲夫

    委員長山下洲夫君) 委員長から申し上げます。  土田参考人、巽参考人、御多忙のところ当委員会に御出席いただきまして、ありがとうございました。  以上をもちまして御退席いただいて結構でございます。
  219. 平野達男

    ○平野達男君 国会改革連絡会の平野達男でございます。  前回、政府系金融機関に関連しまして、財投機関債と財投債に質問をさせていただきました。時間がもうしり切れトンボになって足りませんでしたので、その続きを今日やらせていただきたいと思います。  お手元に「新たな財政投融資の仕組み」ということでペーパー一枚配らせていただきました。もうおなじみのペーパーであると思いますので今更説明は要らないと思いますが、若干これに触れさせていただきながら質問をさせていただきたいと思います。上がいわゆる旧財投の仕組みでありまして、御承知のように二〇〇一年の四月にこれが廃止になりました。代わって今の下のような仕組みになっております。特殊法人等と書いてございまして、この中に政府系金融機関が含まれることは申すまでもありません。  それで、この政府系金融機関の資金調達法でございますけれども、財投機関債ということで、自ら証券を発行して資金を調達する。それから、もう一つは財投債、これは国債の一種であります。国債の一種でありまして、国が自ら資金調達して、それを特殊法人、政府系金融機関に融資をするという、主にこの二つの方策があるというふうに理解しております。  ちなみに、前回も申し上げましたけれども、この図に書いてございませんが、そのほかに、一般会計から利子補給あるいは出資金なんかもここの中に入っていると、こういう仕組みでございます。  そこで、改めてお伺いしますけれども、この財投債と財投機関債、これ政府系金融機関ということで今日は話を進めますけれども、資金調達をするときに、各々どういう考え方で財投機関債の枠を決めておるのか、あるいは財政融資資金特別会計からの融資を決めておるのか、その基本的な考え方をちょっとお伺いしたいと思います。
  220. 寺澤辰麿

    政府参考人寺澤辰麿君) お答え申し上げます。  財投編成におきましては、財投改革の趣旨、行財政改革の趣旨を踏まえまして、民間ではできない分野、事業に特化する等、対象分野、事業の重点化を図るとともに、時々の社会経済情勢を踏まえまして、例えばセーフティーネットの構築等、真に政策的に必要と考えられる資金需要に的確に対応するとの考え方で編成しているわけでございます。  その際、各財投機関業務が民業補完のために実際に必要なものかどうか、将来の国民負担を推計した政策コスト分析も考慮いたしまして、また償還確実性等を精査しているところであります。  このような過程で、考え方を踏まえた財投につきまして、各財投機関の資金調達をどういうふうに審査しているかということがお尋ねでございますが、その資金につきましては、財投機関債の発行により自己調達をしていただくための最大限の努力検討を行っていただくということをお願いをしておりまして、財投機関債による資金調達では必要な資金需要を満たすことができない、困難な機関について、財投債によって調達をした資金を貸付けをするという考え方でございます。
  221. 平野達男

    ○平野達男君 原則、財投機関債でできるだけ資金調達をしてくださいと、それで駄目な場合は財投債で、財政融資資金特別会計から融資をしましょうと、そういうお考えだったと思います。  そこで、財投機関債を発行する場合に、前回も御質問しましたけれども格付をやってもらっているということでありました。その格付に当たって、前回、寺澤局長はこのように答えています。財投機関業務に対する、政府がそれにどの程度の支援を与えようとしているのかという姿勢、業務の公共性などを総合的に判断して格付をしているというようなことで、民間格付会社格付をしているんだという答弁でございました。  そこで、ちょっと疑問なんですけれども、こういった、政府がそれにどの程度の支援を与えようとしているのかという姿勢とか公共性というのは、これは民間会社がこういうふうに判断できるものなんでしょうか。
  222. 寺澤辰麿

    政府参考人寺澤辰麿君) お答えいたします。  一般的に申し上げまして、格付というのは、各機関の発行する債券の元本、利息が約定どおりに支払われる確実性の程度をいろんな符号を用いまして段階的に表示したものでございまして、これは各発行体の債務返済能力を表わすもの、裏返して言いますとデフォルトリスクを表わしているものということでございます。したがって、各格付会社におきましては、各財投機関債の格付に当たって、各機関の債務返済能力を分析をしているわけでございます。  各社がいろいろその格付考え方等を発表しておりますけれども一つ考え方は、それぞれの財務内容、事業内容を審査して、その機関単体での資金収支の見通し、債務返済能力を分析、評価すると。もう一つは、その事業に対する出資金、補助金等の政府支援及び緊急時に政府が直接介入する可能性等を評価に加えることで、その将来の資金収支、債務返済能力を総合的に分析、評価をするというふうに発表しております。  このような民間格付会社の行う格付判断が適切であるかどうか、これは一般の社債と同じく、財投機関債におきましても最終的には市場判断するというものだと理解しております。一般的に、格付会社格付に応じて応募者利回りが決まるなど、財投機関に対する格付市場において投資行動を判断するに際しての一つの重要な参考資料となっているものと考えております。
  223. 平野達男

    ○平野達男君 今の答弁の中の後段の部分の、政府がそれにどの程度の支援を与えようとしているかと、そういった判断は、これはもう正に政治判断政策判断だと思います。これを民間の金融機関判断をゆだねてそれで評価をするということについては、ちょっとこれは私は大いに疑問があるというふうに思っています。特に、政策金融というのは、市場に任せられないから政策金融があるというわけでありまして、それで、市場に任せられない部分のそれを担っている政策金融機関市場判断をゆだねるという、そこにも大きな矛盾があるような感じがちょっとしていますが。  今のこの格付に関連して、先ほど寺澤局長が言われましたように、格付が悪くなると当然財投機関債の金利に上乗せが出てまいります。そうしますと、金利に上乗せが出てきたときに、金利が高くても財投機関債を発行させるように動くのか、もう一方で、先ほどのこの図でございますけれども、財投債という一つの道がございます。そうしますと、格付が高くなったときには、民間の金融機関の場合には、格付が高いというのはそこの財務内容が非常に悪いということですから、いろいろその運営の中で、例えば人件費を削減するとかあるいは審査をもっと厳しくするとか、そういった方向に働くと思います。  ところが、政府系金融機関はある一定の、要するに融資枠が決まっていますから、財投機関債の中で資金を調達しますよということで、仮にその枠が達成できない場合は、次年度の融資計画が決まっていれば恐らく財政融資資金特別会計の方で融資に走れると。それからもう一つは、格付機関格付を下げた場合には、先ほど言いましたようにスプレッド、国債とのスプレッド、利差が大きくなりますから、それを別な目で見ますと、コスト、利子補給の部分が、ある一定の融資条件を設定するためには利子補給が増えてまいります。  そういった意味で、この格付というのが実際に今やられているんですけれども政府系金融機関の中においては、これは格付をやった後に何にどのように利用されているんでしょうか。具体的にちょっと教えていただきたいんですが。
  224. 寺澤辰麿

    政府参考人寺澤辰麿君) お答えいたします。  財投機関債を発行する際に、投資家がその格付参考に、投資家がその機関債を買うかどうか等、またどういう条件で買うのかという際に格付機関格付参考にしているものでありまして、私ども財投を編成する立場から、格付によっていろいろ、格付がどうであるかどうかということでその枠をどういうふうに、例えば融資枠とか全体の規模を決めているものではございません。
  225. 平野達男

    ○平野達男君 ですから、市場の原理にのっとって資金調達を行うと言っておるようです、片一方で。しかしやっぱり、その一方で、財投機関債が発行できなければ、民間機関であれば、それで資金調達してお金ができなければ次の年の資金計画が狂ってくるわけです。だけれども政府系金融機関の場合は、その枠が調達できなければ、財政融資資金、これを活用できる。それから、仮に格付が下がったとしても利子補給をどんどん増やせれば何も問題もない。政府系金融機関は、こういう格付によって財投機関債を発行して経営上にどのような要するにインセンティブを与えるのかということをお聞きしているわけです。
  226. 寺澤辰麿

    政府参考人寺澤辰麿君) 正に先生指摘の点が財投改革の際の議論のポイントでございました。  従来、特殊法人、先生は今政府系金融機関のお話をされておりますので、政府系金融機関の事業、分野の見直しを行う際に、従来は資金運用部に郵貯資金、年金資金が入っておりまして、その資金を活用して政策金融機関に融資をするということといたしておりましたが、特殊法人の見直し、財投改革の際の議論は、政策金融機関である個別の財投機関の事業の見直しを、いわゆる民主主義のプロセスに基づく政治判断で事業規模を決めるという従来のやり方がいいのか、あるいはある程度市場原理を導入して市場がその事業、分野についてのいろんな判断をするというのを入れた方がいいのか、二つ考え方がありまして、その最終的な議論としては併用でいこうと。一部、財投機関債もやり財投債も入れようということで財投改革が結論が出たというふうに理解をしております。
  227. 平野達男

    ○平野達男君 当然、冒頭申しましたように、これは二〇〇一年に改正になりましたから、その中で相当の議論があったと思うんです。一応その議論を踏まえた上で私もやっているつもりなんですけれども、要は、繰り返しますけれども市場の原理をできるだけ入れましょうと言いながら、実際に見えるような形で政府系金融機関の中でこの財投機関債を発行して、しかもなおかつ格付ももらって、これが今どのような形で実際の運営の方に反映されているかという具体的なイメージを教えてもらいたいというふうに聞いているんです。概念論じゃありません、実際論です。
  228. 寺澤辰麿

    政府参考人寺澤辰麿君) 繰り返しになりますが、格付機関は、それぞれの政策金融機関格付に当たっては、その政策金融機関財務状況、事業内容をチェックするとともに、その機関に対する政府の支援ないし政策としての政府のサポートを総合評価しているわけで、それが、市場がそれぞれの政策金融機関評価したということになっているということを我々は見ているということでございます。
  229. 平野達男

    ○平野達男君 ですから、今の御答弁でいけば、見ていてどうしているかということをお聞きしているんです。
  230. 寺澤辰麿

    政府参考人寺澤辰麿君) それは、先ほど申しましたが、格付機関格付で私どもはそれぞれの財投機関の融資枠を決めているわけではございません。ございませんが、それが、先生指摘のように、それぞれの機関のコストの一部に反映をしている、そのことによって、最終的には補助金とかそういうものに影響があるということはあります。
  231. 平野達男

    ○平野達男君 影響があるというのは、どの程度の影響かというのは聞きたくなりますが、ちょっと抽象論に行ってしまいますので。  もう一歩言いますと、もう一つは、今のお話は私非常に重要だと思いますのは、この財投債は一種のこれは国債でありまして、発行するときは通常の国債と同じく発行されますということで、政府系金融機関、特殊法人、今回は政府系金融機関に話を限定させていただきますけれども、コスト最小化ということがやっぱり大原則にあると思います。それだけを考えますと、財投機関債なんか発行しなくて財投債を発行した方がずっといいわけですね。そうしますと、財投機関債と財投債との間の中での差分がこれ政策コストになっているわけです。この政策コストに見合う分のメリットがどこにありますかということをお聞きしているわけです。  そのメリットというのは、つまり、今のこれを入れたことによって財投機関債の運営がこのように変わりました、見方がこうなりましたと。少なくとも、財投機関債を発行するときに、農林漁業金融公庫なら農林漁業金融公庫、どこでもいいですけれども、これを発行する人にまず、やったことないですから、市場に要するに働き掛けるまず研修も必要でしょうし、人も雇わないかぬ。それだけのコストも掛かっている。それから、繰り返しになりますけれども、さっき言った利差のスプレッドありますよね。それが全部コストとして跳ね返ってきているはずなんです。そのコスト分に見合う良さがどこに反映されていますかということをお聞きしているわけです。
  232. 寺澤辰麿

    政府参考人寺澤辰麿君) 財投改革が財投機関債を発行させて何を期待したかということは、財投機関債を発行するためには、その発行体市場に対して、投資家に対して説明をしなきゃいけません。我々の仕事はこういう仕事をしています、こういう重要な仕事をしています、またこの仕事によってこういう政策的な効果がありますというようなことを説明をする、いわゆるIR活動と言っておりますけれども投資家に対してそういう活動をして、その結果、どういうマーケット評価を受けて、条件がどういう条件になるかということになるわけで、マーケットにおいてその発行体の発行いたします財投機関債が評価を受けないということは、発行体にとっては業務の見直しを自ら進める必要があるということにつながるんではないかというようなことを期待していると思います。
  233. 平野達男

    ○平野達男君 実際に本当にそのように動くんでしょうか。  私は、いずれにせよ、これも議論し尽くされた話だと思うんですが、原点に立ち返りますと、もう市場に任せられないから政策金融というのはありますよというところからスタートしていますので、それでその中で、それが政治的に必要だかどうかという、あるいは公共性の問題というのは、もうひとしく政治の問題、政策決定だと思います。それを市場判断していただいたからといって、この間の柳澤大臣検査の話じゃないですけれども、破綻懸念先以下に区分された政策金融機関があれば、評価は多分これ二つの方向に行くかもしれないんですね。一つは、融資条件が甘いんじゃないか、それからもう一つは、ああ一生懸命やってリスクをしょってくれていますね、借り手の立場に立ってくれていますねというような。それで、政府系金融機関ならばその二つのどっちかにでも流れるような判断があると思うんです。  今回の場合は、ちょっと今話がわき道にそれましたけれども、要は、わざわざ財投機関債を発行して、それでそこに新たなコストをしょって、それで資金調達をしていると。そのメリットが見えないということで、見えないというか、見えないということであれば、これは政策金融機関の全体の見直しの一環として、本当にこれが必要かどうかというのをまた原点に立ち返って検討してもいいんじゃないかなというふうに思うんですが、塩川財務大臣、どうでしょうか、今までの話を聞いていただきまして。
  234. 塩川正十郎

    国務大臣塩川正十郎君) 財投機関債の問題とそれから政府系金融機関の問題だけですか。それとも公社、公団全体、特殊法人全体ですか。
  235. 平野達男

    ○平野達男君 そうですね、財投機関債、特に政府系金融機関。特殊法人はちょっと別だと思いますので。
  236. 塩川正十郎

    国務大臣塩川正十郎君) 財投機関債全体ですね。  それじゃ、私は、財投機関債はそれぞれの希望の法人が希望するものなんです。財投債は、これはやっぱり政府がコントロールきつくするだろうと思っております。そこで、今度この財投債の配分等につきましては、必ずこれは予算との関係で公示されていきますので、国会等においてももちろん審議の対象になるだろうと思っております。  そこで、それだけの、先ほど平野さんが質問しておられるような意義は、その審議の場で議論されて生かされてくるんではないかなと思っておりまして、それでは、ただ漠然と財投債を政府の恣意的なもので配分するかといったらそうじゃなくて、政府としては、それぞれの機関存在理由なりあるいは事業計画というものを提出させて、それによって財投債を配分していくと思っております。それが多いか少ないかは、国会等の審議等を通じて判断されるべきものであると私は思います。  財投機関債は、財投機関の、いやいやその機関の実力で取るんでございますから、これはそれなりに市場評価によって決定すればいいんじゃないかと思います。
  237. 平野達男

    ○平野達男君 いずれ、政府系金融機関というのは政府保証がばっちり後ろに付いていますし、そこで発行するその財投機関債に対して市場金利、市場のうちの評価を仰ぐということのそれ自体は理解しないわけじゃないですけれども、繰り返しになりますけれども、そうやってどうするんだということの、その後の姿がちょっと具体的に見えていないんじゃないかなという感じが強くしています。  それで、ちょっと次に移らせていただきますけれども政府系金融機関の必要性ということで、前回のこれまた続きになるんですけれども、これからいろんな形で見直していくということだと思うんですが、三つぐらいの視点があるんではないかというふうに思っています。  政策金融というのは、何といっても資金の調達コストが小さい、それから補給金も受けられる、それから財投機関債を発行する場合には政府保証もあるということで、こういった特質を勘案して、市場に任せておいては設定できない、設定されないような有利な条件、市場で設定されるよりも借り手にとって有利な条件を設定しなければある特定の政策目的に支障が生ずるということだから、ということで存在しているんだろうと思うんですが、一点目は、それが本当にそうかどうかということをやっぱり説明しなければならないと思います。  前回、竹中大臣は、税制の問題でありますとか、補助金があるとか、いろんな観点があるというふうにおっしゃっていましたけれども、基本的に、政策金融というのがなぜ必要かということを客観的、定量的にやっぱりこれ説明する必要があるというふうに思います。  次に、それがクリアされたときにどのような形でじゃ政策金融のサービスを提供していくかということで、これが私は一番核になるんじゃないかなと思います。農林漁業金融公庫は農業近代化資金というのがあって、短期に及ぶものについては系統資金に対して利子補給をやっています。長期に及ぶものについては自分たちで審査をして融資をしていると。それから、住宅金融公庫については、御承知のように五年以内に廃止なんですけれども、長期、低利、固定というのは残しておいて、別な形で形を変えて政策金融を実施していきましょうということになっていますけれども、こういったことからいいますと、各々のすべての政策金融機関に対して当該金融サービス、政策金融を実施するときに、行政コストとして今のような形がいいのか、あるいは利子補給がいいのか、別な形がいいのかということをすべて私はこれ数値として提供していただきたいというふうに思っています。要するに、行政コストとしてのコスト比較です。  それから、その場合には当然、民間金融に任せるときには審査能力があるかどうかという問題も出てくるんでしょうが、審査能力に不足があるとすれば、どれだけの研修期間が必要だ、コストがどれだけだとか、そのための部分はどれだけ民間機関に必要なので、コストがどれだけ掛かりますと、そういったことを具体的に是非示していただきたいというふうに思います。  それから、あと三つ目は、政策コストの議論がずっとありますけれども政策コストも、私もこれの数字を出したということは非常に有意義だと思うし、非常に大きな一歩だと思うんですが、まだこれが何に使われているかということがよく分からないんです。政策コストというのは、当該政策金融に対する政府がどれだけコミットをするか、コミットメントをするか、どれだけ将来一般国費を出していくかというトータルの額でありますけれども、これをどのように使うか。例えば、キャップ制をしいて、シーリングをしいて、何千億以上はもう一切出しませんというようなことをやるのか。そういったことも含めてコミットメント、政府がコミットメントするというのはどこまでやるかというようなことを三つ目として検討していただきたいなというふうに思うんですが、時間がないからだらだらとしゃべってしまいましたけれども財務大臣、コメントをいただければ有り難いと思いますが、どうでしょうか。
  238. 塩川正十郎

    国務大臣塩川正十郎君) 三つの条件をお述べになりましたが、我々、十分その条件等を考慮しながらでも運営していきたいと思います。
  239. 平野達男

    ○平野達男君 時間が迫っていますので、早口で済みませんでした。  いずれにせよ、是非そういうことで、政府系金融機関については引き続き私もよく見ていきたいと思いますので、よろしくお願いしたいと思います。  あと、柳澤大臣質問したかったんですが、ワールドサッカーが待っていますので、ここで終わらせていただきます。  どうもありがとうございました。
  240. 山下八洲夫

    委員長山下洲夫君) 他に御発言もないようですから、質疑は終局したものと認めます。  本案の修正について峰崎直樹君から発言を求められておりますので、この際、これを許します。峰崎直樹君。
  241. 峰崎直樹

    峰崎直樹君 私は、民主党・新緑風会を代表して、本案に対し修正の動議を提出いたします。その内容は、お手元に配付されております案文のとおりでございます。  これより、その趣旨及び内容の概要について御説明申し上げます。  日本一ダーティーな政治家と言われる鈴木宗男議員に代表される利権政治家が税金を私物化し、ばらまき財政を続けた結果、六百七十五兆円という途方もない額の借金の山が築かれることになりました。国債残高も、今年度中の早い段階で四百兆円を突破することが確実です。  しかしながら、財政破綻が目前に迫っているにもかかわらず、小泉総理は財政健全化への道筋を示すどころか、会計操作や粉飾に手を染め、財政規律崩壊にますます拍車を掛けています。  最近、欧米の有力格付機関が相次いで日本国債格付を引き下げておりますが、小泉総理のこうした姿勢こそが最大の原因であることは、火を見るより明らかです。  政府原案には、これまでの国債大量発行の失政を取り繕うために、国債管理に関する幾つかの施策が盛り込まれています。しかし、そもそも、証券決済システム改革法案という性格の異なる法案に、このような施策を目立たないようにこっそりと盛り込むこと自体、こそくな手法だと言わざるを得ません。  とりわけ、金利スワップ取引の導入については非常に多くの問題があります。まず、現在の財務省が、国民に無用な損失を与えないようなリスク管理体制を整えているとは思われません。また、この取引を悪用すれば、見掛け上国債の利払いを減らすという会計操作さえできます。財政規律を捨て去り、会計操作や粉飾に手を染めた小泉内閣には、このような法改正を認めるわけにはまいりません。  以上のような考え方に基づき、修正案では、政府原案の第十一条に定める金利スワップ取引を削除することといたしました。議員各位の賛同をお願いして、私の説明を終わります。(拍手)
  242. 山下八洲夫

    委員長山下洲夫君) これより原案並びに修正案について討論に入ります。  御意見のある方は賛否を明らかにしてお述べ願います。
  243. 大塚耕平

    ○大塚耕平君 私は、民主党・新緑風会を代表しまして、ただいま峰崎委員から御提案のありました修正案に賛成するとともに、本委員会に付託された証券決済制度等改革による証券市場整備のための関係法律整備等に関する法律案に反対する立場から討論を行います。  この法案は、審議の中でも整理しましたように、二つ部分から構成されています。一つは、証券決済のインフラ整備にかかわる内容であり、もう一つは、国債消化の促進を企図して、個人向け国債や新たな発行スキームを設けるというものであります。  前者については私どもも賛成の立場であり、関係省庁におかれては、本法律案の趣旨に沿って、証券決済インフラの整備を鋭意推進していただきたいと思います。ただし、その際には、既存の証券決済インフラにかかわる組織間の利害対立に拘泥することなく、真に利用者の立場に立った、国際的にも遜色のない効率的なインフラを構築することをお願いしておきます。  一方、後者については、ストリップス債の導入、個人向け国債の導入、買入れ消却の実施等については、各々法律案の趣旨にそれなりに沿うものであり、私どもとしても賛成の立場であります。今後も検討を深め、それぞれ適切な内容で実現を図っていただきたいと思います。ただし、個人向け国債については、結果的に国債マーケットリスクを個人部門に過大に負わせることのないよう、十分に注意を払っていただくことをお願いしておきます。  こうした中で、金利スワップ取引の導入に関しては、去る五月十七日の衆議院財務金融委員会及び本日の本席での質疑で明らかになりましたように、それを手掛けることに伴って政府部門が抱える可能性のある潜在的リスクの大きさに比べて、現時点での財政当局検討が不十分な点が多く、準備不足、時期尚早の感は否めません。金利スワップ取引にかかわる部分は本法律案のごく一部にすぎませんが、ただいま申し上げました点に警鐘を鳴らす意味を込めて、峰崎委員の修正案に賛成をするとともに、残念ながら私どもとしては原案には反対せざるを得ないものと考えております。  なお、仮に原案が可決された場合でも、財政当局におかれましては、金利スワップ取引の運営について十分な検討と準備並びに細心の注意を払っていただくことを要請して、私の討論を終わります。
  244. 大門実紀史

    大門実紀史君 私は、日本共産党を代表して、本法案に反対、民主党提案の修正案に賛成の討論を行います。  本法案が進めようとしている決済システム改革は、大手金融機関主導の改革を一方的に促進しようというもので、巨額のシステム開発費用を負担できない中小証券会社は淘汰されるか、あるいは大手金融機関の傘下に統合されるかであり、いずれにせよその存立を脅かされることになります。  また、国債整理基金特別会計の金利スワップ市場への投資は、デリバティブ取引そのものであり、相手方金融機関等の信用リスクを抱え込む等の問題点があり、認めることはできません。  以上の理由から、本法案に反対するものです。  なお、民主党修正案は、今指摘した金利スワップ取引を認めないとする内容であり、賛成いたします。  以上です。
  245. 山下八洲夫

    委員長山下洲夫君) 他に御意見もないようですから、討論は終局したものと認めます。  それでは、これより証券決済制度等改革による証券市場整備のための関係法律整備等に関する法律案について採決に入ります。  まず、峰崎君提出の修正案の採決を行います。  本修正案に賛成の方の挙手を願います。    〔賛成者挙手〕
  246. 山下八洲夫

    委員長山下洲夫君) 少数と認めます。よって、峰崎君提出の修正案は否決されました。  それでは次に、原案全部の採決を行います。  本案に賛成の方の挙手を願います。    〔賛成者挙手〕
  247. 山下八洲夫

    委員長山下洲夫君) 多数と認めます。よって、本案は多数をもって原案どおり可決すべきものと決定いたしました。  なお、審査報告書の作成につきましては、これを委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  248. 山下八洲夫

    委員長山下洲夫君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。  本日はこれにて散会いたします。    午後三時八分散会