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2002-03-19 第154回国会 参議院 財政金融委員会 第5号 公式Web版

  1. 会議録情報

    平成十四年三月十九日(火曜日)    午前十時三分開会     ─────────────   出席者は左のとおり。     委員長         山下洲夫君     理 事                 入澤  肇君                 林  芳正君                 若林 正俊君                 円 より子君                 山本  保君     委 員                 上杉 光弘君                 尾辻 秀久君                 金田 勝年君                 鴻池 祥肇君                 清水 達雄君                 中島 啓雄君                 溝手 顕正君                 山下 英利君                 大塚 耕平君                 勝木 健司君                 櫻井  充君                 峰崎 直樹君                 浜田卓二郎君                 池田 幹幸君                 大門実紀史君                 平野 達男君                 大渕 絹子君    国務大臣        財務大臣     塩川正十郎君        国務大臣        (金融担当大臣) 柳澤 伯夫君    副大臣        内閣府副大臣   松下 忠洋君        内閣府副大臣   村田 吉隆君        財務大臣    尾辻 秀久君    大臣政務官        厚生労働大臣政        務官       田村 憲久君        国土交通大臣政        務官       森下 博之君    事務局側        常任委員会専門        員        石田 祐幸君    政府参考人        内閣府政策統括        官        小平 信因君        警察庁長官官房        審議官事務取扱  中村 正則君        金融庁証券取引        等監視委員会事        務局長      渡辺 達郎君    参考人        日本銀行理事   増渕  稔君        日本銀行理事   三谷 隆博君        預金保険機構理        事長       松田  昇君     ─────────────   本日の会議に付した案件 ○政府参考人出席要求に関する件 ○参考人出席要求に関する件 ○財政及び金融等に関する調査  (財政政策等基本施策に関する件)  (金融行政に関する件) ○平成十四年度における財政運営のための公債の  発行の特例等に関する法律案内閣提出、衆議  院送付) ○租税特別措置法等の一部を改正する法律案(内  閣提出衆議院送付) ○関税定率法及び関税暫定措置法の一部を改正す  る法律案内閣提出衆議院送付)     ─────────────
  2. 山下八洲夫

    委員長山下洲夫君) ただいまから財政金融委員会を開会いたします。  政府参考人出席要求に関する件についてお諮りいたします。  財政及び金融等に関する調査のため、本日の委員会内閣府政策統括官小平信因君、警察庁長官官房審議官事務取扱中村正則君及び金融庁証券取引等監視委員会事務局長渡辺達郎君を政府参考人として出席を求め、その説明を聴取することに御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  3. 山下八洲夫

    委員長山下洲夫君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。     ─────────────
  4. 山下八洲夫

    委員長山下洲夫君) 参考人出席要求に関する件についてお諮りいたします。  財政及び金融等に関する調査のため、本日の委員会参考人として日本銀行理事増渕稔君、日本銀行理事三谷隆博君及び預金保険機構理事長松田昇君の出席を求めたいと存じますが、御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  5. 山下八洲夫

    委員長山下洲夫君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。     ─────────────
  6. 山下八洲夫

    委員長山下洲夫君) 財政及び金融等に関する調査を議題とし、財政政策等基本施策に関する件及び金融行政に関する件について質疑を行います。  質疑のある方は順次御発言願います。
  7. 中島啓雄

    中島啓雄君 おはようございます。自民党の中島啓雄でございます。今日は早朝から塩川大臣柳澤大臣始め、関係の皆様に御出席をいただきましてありがとうございます。  まず、九〇年代以降の経済対策効果というようなことについて少し質問させていただきたいと思います。  三月十四日の月例の経済報告では、依然厳しい状況にあるが、一部に下げ止まりの兆しも見られるというようなことで、若干、景気底入れというか、好転の兆しが見えたということかと思いますが、株価の方も多少上がっておりまして、昨日は下がりましたけれども、また今日は一万一千七百円前後というようなことで、この辺で底入れになることを望みたいとは思いますけれども経済成長率ということからいえば相変わらずマイナスということなんで、楽観は決して許されないと。  そこで出てくる話が、常に景気対策として財政出動ということが出てくると思うんですが、どうもここ十年間ぐらいの財政出動というのはどうも余り効いていないんじゃないかという気がしておりますんで、その辺について、若干、数字も含めてお答えをいただければと思いますが。  まず内閣府に、経済対策、九〇年に入って、九二年八月の総合経済対策から、数え方にもよりますが、十一回行われていると思いますが、この辺の事業規模はどのぐらいの規模だったか、お答えいただければと思います。
  8. 小平信因

    政府参考人小平信因君) 一九九〇年以降の経済対策事業規模合計額につきましては、今お話のございました九二年八月の総合経済対策から昨年十二月の緊急対応プログラムまでの経済対策事業規模を単純に合計をいたしますと、約百四十兆円であるというふうに認識しております。
  9. 中島啓雄

    中島啓雄君 続いて、補正予算規模、それから減税規模といったようなことも、分かりましたら教えていただきたいと思いますが、これは財務省の方。
  10. 塩川正十郎

    国務大臣塩川正十郎君) 補正規模は四十二兆円で、約四十二兆円でございまして、減税規模は十八兆六千億、約十九兆円という規模になっております。
  11. 中島啓雄

    中島啓雄君 ありがとうございました。  その間のGDPの動きといったものを、一九九〇年は四百五十一兆円、名目でですね、と思いますが、ちょっとその辺の推移を教えていただければと思いますが、これ、内閣府の方。
  12. 塩川正十郎

    国務大臣塩川正十郎君) GDPは、ちょうど一九九二年当時で見ますと四百八十三兆円となっておりますが、それが二〇〇〇年になりますと、二〇〇一年でございますが、なりますと五百一兆円と、こうなっておりまして、その間に約五十兆円増えているということであります。
  13. 中島啓雄

    中島啓雄君 今お答えがありましたように、経済対策規模は大体百四十兆円規模だと。これはグロスの話ですから、真水は四十二兆といいますか、減税も入れると約六十兆ということになるかと思います。  その間のGDP、一九九〇年をベースにしますと大体五十兆円ぐらいしか増えていないということで、経済対策真水よりも、どうもGDPの伸びの方が少ないというようなことなわけですが、なぜこのような状況で、なかなか経済対策が効かなかったのか。  内閣府というか、昔の経済企画庁の乗数効果の計算では、名目で一・三一とか、実質で一・二二というような数字もあるわけでございますけれども、なかなかそこが現実に合っていなかった理由について少しお聞かせいただければと思いますが、これは内閣府と財務省とどちら、じゃ、内閣府から最初に。
  14. 小平信因

    政府参考人小平信因君) 今の御指摘経済対策効果でございますけれども、私どもといたしましては、今、先生指摘ございましたとおり事業規模は正にグロスでございますので、その中で実際にGDPに直接影響を与えるいわゆる真水との関係議論する必要があるというふうに思いますけれども、いずれにいたしましても、九〇年代、大変民間需要が弱くかつ落ち込んだりいたしておりましたので、それを相殺するという形で、景気がどんどんスパイラル的に落ちていくということを防ぐという意味で、スパイラル的な下降を防止するという意味では効果があったのではないかというふうに認識をいたしております。
  15. 中島啓雄

    中島啓雄君 ありがとうございました。  下支えの効果はあったということであるかと思いますが、やはりなかなか効かなかったということだと思います。  で、やっぱり今後に対する教訓というのは、正に今、小泉内閣が申しておられますように、構造改革によって、やっぱり効率的な予算の使い方、特に公共投資等については効率を重視をしていくという仕組みが必要なんだろうと思います。  で、その効率化に資するための道具というのを、やっぱりきちっと仕組み作りをしていかなくちゃいけないんじゃないかということでございまして、本年の四月から政策評価法が施行をされて、政府のプロジェクトについて政策評価をやるということになっておりますが、特に公共投資についてはやはり定量的に評価をして、それで横並びをして効果の高いものからやると、コスト・ベネフィット・アナリシスというような手法があると思いますので、これが万能ではありませんけれども、そういったことについて財務省予算査定道具としてどういうふうに現在使おうとしておられるのか、その辺、お聞かせいただければと思いますが。
  16. 尾辻秀久

    ○副大臣尾辻秀久君) 昨年の秋の国会でも同趣旨の御質問をいただきまして、そのときもお答えしたのでありますけれども、御指摘のとおり、効果的、効率的な予算編成を行うためには政策評価予算編成過程活用することは重要なことであると考えております。  そこで、平成十四年度概算要求においてでございますけれども、いわゆる重点分野の要望につきまして、費用対効果分析に加え、民間需要創出効果及び雇用創出効果に関する分析提出を各省庁に求めまして、これらの分析参考にしつつ、予算編成を行うよう努めたところでございます。  公共事業の方の例ではございませんけれども、そして今、先生お話しのように定量的な分析が行われているものというのはこれまでなかなか少なかったのでありますけれども、例えて申し上げますと、今申し上げたように御指摘公共事業分野じゃありませんけれどもスクールカウンセラー活用事業といったようなことなどで、今各省庁から出されたものを活用いたしたつもりでございます。  今後とも、こうした政策評価活用により、予算重点化効率化を図り、経済効果の高い予算編成に努めてまいる所存でございます。
  17. 中島啓雄

    中島啓雄君 ありがとうございました。  財務省予算関係のホームページにも、各省庁から提出された政策評価の資料を活用していくということでございますけれども、まだ「定量的分析等については、予算編成過程活用出来たものもあったが、アウトカムベースの達成効果指標となるものが少なく、今後の課題として認識。」というようなことで正直なお話が書いてあると思いますが、是非今後の課題としてこの辺、予算にも政策評価というものを有効に活用していくようにお考えをいただければ有り難いと思います。  では次に、デフレ対策について少し伺わせていただきたいと思います。  二月の二十七日に早急に取り組むべきデフレ対策というのが出されまして、その冒頭には不良債権処理の促進ということが書いてあるわけで、それはそのとおりであろうと思いますが、むしろ私、デフレ不良債権を増加させているのであって、不良債権デフレの原因ではない、逆ではないかというふうに考えておりますけれども、その議論はさておきまして、中期展望なりあるいは柳澤大臣のいろいろなお話の中でも、今後二、三年以内に確実に不良債権集中処理をして、遅くとも三年後には正常化するということを繰り返し述べておられます。  ところが、現実には、例えば都長銀十七行のリスク債権の実績で見ますと、平成十三年三月は十九・三兆円、それが平成十三年九月期には二十一・八兆円というようなことで、数字的には若干増えておるようなことになっておるわけでありますし、大手行の三月期決算の見込みでは、六兆二千億強の不良債権処理をするということが新聞発表されておりますけれども業務純益で見れば四兆円弱ぐらいのところでしょうから、結局二兆円ぐらいは赤字のままだということで、なかなか不良債権処理の道のりというのは平たんではないと思いますが、今三月期の処理も含めて最近の状況についてお聞かせをいただければ有り難いと思います。
  18. 柳澤伯夫

    国務大臣柳澤伯夫君) 中島委員の御指摘は、大体そういう計数を私ども発表させていただいておりまして、御指摘のとおりと申し上げるわけでございます。  ただ、残高の問題と処分損の問題というのがとても複雑で、処分損というのは、これ償却の部分引き当て部分とがあるわけでございます。処理引き当てである限りにおいては残高は減らないわけでございまして、処分損の金額と残高の減というものがストレートには対応していないということでございます。  そこで、いつもこの論議が紛糾というか、なかなか整理しにくい面があるわけですけれども、私どもとしては、不良債権処理ということをやっぱりバランスシートから切り離すということを主に考えるべきじゃないかということで、残高一つ指標として採用して、その残高と全般の貸出しの残高とを比較してその比率でもって正常化というものを考えていきたい、こういうように考えておるわけでございます。  そういうことで申しますと、三月期のことはまだ、その時期もまだ走っている最中ですし、当然決算はできておらないわけで、何かこう予断的なことが言える段階ではございません。ただ、全体として言いますと、どういうことがあるかというと、一つは要管理債権不良債権の仲間に入る入口のものですけれども、要管理債権のところで基準を明確化したのですが、効果としては厳格化したような形になっているものが今年度からむしろ各行に現れるという問題がございます。これは、条件緩和債権というものの考え方というか、それをきちっとしたということで、そのことによって要管理債権が増えるということが一つございます。  それからもう一つは、御案内の特別検査影響でございますけれども、これによっても、大体においては、何というか、不良債権の中の下のランクへの下降ということも多いわけですけれども、中には要注意とかというところからおっこってくるものもあるということで、その辺りをかなり今度は厳しく検査をさせていただいたものですから、そういう意味合いで残高が増えるということがあるわけでございます。  しかし、そこでまた残高が増えたから、それじゃ不良債権処理が進んでいないかというと、メルクマールは一応そうしてありますけれども引き当てということについて言えば、きちっと引き当てが行われる、厳しい債務者区分の下で引き当てが行われますものですから、健全性ということについて何かそこに問題が生じているかというとそうではない。何かぐるぐる回るような議論、大変恐縮ですが、そういうことでございますので御理解を賜りたいと思います。
  19. 中島啓雄

    中島啓雄君 ありがとうございました。  いよいよ四月からペイオフ解禁ということになりますので、大臣はかねてから四月一日には金融機関はすべて健全で信頼されるようなものにしなければならないと、こう言っておられまして、三月十五日の記者会見でも、大体その体制は整ったというようなことを言われておったかと思いますが、その辺の、ペイオフに向けて本当に健全で信頼されるものになったと、こう見てよろしいのかどうかお聞かせいただければというふうに思います。
  20. 柳澤伯夫

    国務大臣柳澤伯夫君) おっしゃいますように、四月の一日からペイオフが凍結解除されるという新しい時代に入っていくわけでございます。そういうことですと、私どもとしては、そこで店を開いて金融機関として仕事をしていくところについては、これはやはり健全金融、当たり前のことですけれども健全金融機関がそろっているというようなことを検査監督両面仕事を通じて実現しておかなければならない、これは当然の責務だろうというふうに私ども考えて、鋭意そういうことで努力をしているところでございます。  まだ、本当のことを申して、最終の姿としてそういうことが確定しているかといえば、まだ実は資本不足で一生懸命増資をしているようなところもないわけではないわけですが、展望として、私どもそうした展望を持つことができるような状況にはなったと、こういうようなことを申し上げたわけでございます。
  21. 中島啓雄

    中島啓雄君 ありがとうございました。  ペイオフ解禁を無事に乗り越えたとしても、まだまだ銀行自己資本というのは必ずしも安定したものでない可能性もあるということで、やはり金融機関がどうしてもリスク回避行動自己健全性維持ばかりを頭に置いてやりますと、貸し渋りというようなことで経済が回復しない、こういうことでございますから、当然、公的資本を注入したらどうかというような議論が出てくるわけでございますが。  そこで、日銀金融庁にお尋ねしたいと思いますが、日銀の方では、昨日の予算委員会でも速水総裁が早めに注入した方がいいんではないかというような趣旨の御発言をされたようでございますし、政府側は必ずしも今そこまで切迫した事態ではないというような御認識のようですが、公的な資本注入論についてどういうふうに考えておるか。  また、強制注入論というのがございますが、これは、自由主義経済の中でよほど緊急な事態が起こらない限りは強制注入というのはいかがなものかと。むしろ、民間銀行側として金融仲介機能を早期回復したいというなら、銀行側から積極的に言い出すべきではないかと。どうも外野の議論が多いんではないかというような気もいたしておりますが、その辺も含めてお答えいただければと思います。
  22. 三谷隆博

    参考人三谷隆博君) お答え申し上げます。  先生指摘のとおり、日本金融システムに対する内外の市場の見方というのは相変わらず厳しいというのが現状でございますし、その背景には不良債権問題があり、これを解決していくのが最大の課題ということも現実であろうと思います。  その不良債権の問題でございますが、私ども考え方を申し上げますと、景気の低迷とか経済構造変化が進む中で既存の不良債権の劣化若しくは新たな不良債権の発生ということが続いておるのが実情でございます。そうしたものに対して適正に対処していくためには、今後、自己資本が毀損する事態も当然念頭に置いておく必要はあるんだろうと思います。  また、このほか、銀行は御承知のとおり多額の株式を持っておりますので、今ちょっと小康状態でありますけれども株価動向によっては資本充実等について大きな問題が生ずることもございます。当然そういう場合には自分で増資をするということも考えられるわけでありますけれども金融機関株式の価格の動向いかんによってはそれも難しいというふうなこともあり得ることだと思います。  そうした状況の下で、日本銀行といたしましては、万が一金融システム全体の安定について疑問が呈されるような場合には、タイミングを失せず、大胆かつ柔軟に対応していくべきだという考え方をかねてから申し上げているつもりでございます。
  23. 柳澤伯夫

    国務大臣柳澤伯夫君) 私どもも、日本銀行とそんなに何か意見が対立しているとか違うとかというようなことはないわけでございまして、今言ったように、万一、正に信用秩序維持に重大な、極めて重大な懸念があるような場合には、法令にのっとって私ども、大胆かつ柔軟にと申しますか、果敢に資本注入を行うということについては、何回も私自身も申しているとおりでございます。
  24. 中島啓雄

    中島啓雄君 ありがとうございました。  デフレ対策に対するスタンスについても、日銀政府とまあそんなに違いはないのかもしれませんが、多少ニュアンスが異なるんじゃないかと。  二月二十七日の政府デフレ対策の中では、最初の前書きの下の方に、「デフレ克服のためには、政府日本銀行一体となった対応が求められている。日本銀行においても、思い切った金融政策を行うよう要請する。」ということで、正に一体となった対応が求められているわけでございますが、日銀政策決定会合のペーパーでは、「迅速な不良債権処理を通じて金融システムの強化・安定を図るとともに、税制改革公的金融見直し規制緩和撤廃等により経済産業面構造改革を進めることが前提となる。この点について、政府および金融機関をはじめとする民間各部門の一段と強力かつ果断な取組みを強く期待したい。」というようなことで、若干日銀政府の間でキャッチボールをしているような感じがないでもないわけであります。  私は、現状は、デフレが先で不良債権が後からだと。要するに、デフレで実質的な債務負担が増えるとか、それに伴って企業収益が当然減少するとかいうマイナスのサイクルが回って、それが不良債権になるということが主たる要因ではないかと思っておりますので、不良債権処理のためには、まずはデフレを退治することが先ではないかと。デフレはやっぱり貨幣的な現象でありますから、金融政策が第一であるというような気もいたしますので、日銀に対しては更に思い切った金融緩和政策が必要ではないかというふうに思っております。  そもそも、今、日銀当座預金残高は十五兆円程度というようなことで、思い切ったことをやっておられるというのはよく分かるわけでありますけれども日銀当座預金残高というのは十五兆円クラスでありますし、マネーサプライは六百六十兆というようなことですから、かなりけたが違うので、仮に日銀当座預金残高マネーサプライに響くというと、十何倍ぐらいの、何十倍かの乗数効果がなければならぬと、こういうようなことであると思いますので、今までの三年間、消費者物価指数が連続してマイナスになっておるというような異常な事態に対処するためにはかなり思い切った施策をやらなければならないのではないかというようなことを感じておりますけれども。  それに引き続いて、今、日銀として、いわゆる税制改革とか公的金融見直しとか規制緩和とか、そういった注文も付けておられますので、日銀としてもう少し具体的に言うとどういうことをしていったらデフレ対策として効いてくるのか、その辺のお考えをお聞かせいただければと思います。
  25. 増渕稔

    参考人増渕稔君) 私から申し上げます。  ただいま日本経済にとっての極めて重要な問題がデフレであるということについては、日本銀行政府と全く思いを同じくしておるところでございます。デフレ脱却のために非常に思い切った金融緩和策を講じておるところでございますので、その点は是非御理解を賜りたいと存じます。  二月二十八日に、更なる金融緩和措置を講じました際の対外公表文の中で先生指摘のようなことを発表させていただきました。思い切った金融緩和策経済全体に浸透していくためには、税制改革公的金融見直し規制緩和撤廃等により経済産業面構造改革を進めることが前提となるということを申し上げたわけでございます。  いずれも、具体的な内容税制改革等の具体的な内容は今後、経済財政諮問会議などの場において検討が進められるものと認識をいたしておりますが、私ども基本線としてどのようなことを考えているかということを申し上げたいと思います。  まず、税制につきましては、これは言うまでもなく、経済活動に大きな影響を与える極めて重要なインフラの一つであると思います。具体的な税制改革を検討するに当たりましては、民間部門の活力をどうやって引き出すか、あるいは経済金融のグローバル化が進んでおりますのでそれにどう対応するのか、そういった観点が重要であるというふうに考えております。  次に、規制緩和に関しましては、昨年十月の改革先行プログラムにおきまして、医療、福祉、教育、環境、都市再生など、いわゆる重点分野を中心とする規制改革の積極的な推進がうたわれているところでございます。まずはそれを着実に実施していくということが出発点であろうと認識いたしております。  その他の諸規制につきましても、民間の自由な活動と創意工夫を促進するという観点から、幅広く検討がなされることを日本銀行として期待しております。  いずれにしましても、私ども思い切った金融緩和策を講じているところでございますが、それが力強い効果を発揮していくためにも、税制その他の構造改革を通じまして、企業や家計の前向きな活動を引き出していくことが不可欠であるというふうに認識をいたしているところでございます。
  26. 中島啓雄

    中島啓雄君 ありがとうございました。  終わります。
  27. 峰崎直樹

    峰崎直樹君 民主党・新緑風会の峰崎でございますが、昨日の予算委員会も非常に時間が短うございました。大変残念なのは、竹中経済財政担当大臣あるいは日銀総裁も今日は政策決定会合の日だということで、二人欠けてしまったのが誠に残念だなと思っておりますが、また引き続き質問させていただきたいと思います。  ちょっと冒頭、これは塩川財務大臣、事前に質問通告をしておりませんでしたけれども、実業之日本というところから「ライオンは眠れない」という小さなパンフレットが出ているんですが、御存じですか。お読みになったことございますか。
  28. 塩川正十郎

    国務大臣塩川正十郎君) 読みました。  峰崎さん、何かちょっとぴんとこないんですね。何を比喩、問題に、対象にしておるかということも分からぬし、ちょっと何か分かりにくい話でしたね。
  29. 峰崎直樹

    峰崎直樹君 私も読みまして、塩川財務大臣、かつてこの財政金融委員会で、財政再建といいますか、もう七百兆に達するような財政をどうするんですかねというお話をしたときに、実は、終戦直後、新円切替えというのがございましたねという話をなさいましたよね。  私は、あの本を読んだとき、はあ、塩川財務大臣はこんなことも考えられているのかなと思ったんですが、お読みになっていらっしゃらない方がいらっしゃるので、ライオンというのは恐らくあれは、その前に、書いた人は多分あれ、外国人の名前になっているけれどもやっぱり日本人じゃないかなと思うんですが、要するに、ライオンというのは小泉さんのことですわね、あれ、どう読んでもね。ドブネズミ党というんですかね、あれは自由民主党のことじゃないかなと思うんですが、そんな物語が書いてあって、あるとき、今の経済再建を進めるに当たって、実はバンキングホリデー、つまり銀行封鎖をして、預金を封鎖して、新円を切り替えて、デノミをやって、最後は、七百兆とか八百兆とか、一説には一千兆と言われるような国、地方自治体を含めた借金を、一〇〇%の課税を掛けて全部それを没取してチャラにしてしまおうと、こんな話だったと思うんですね。  私もそれを読んであれあれと思ったのは、塩川財務大臣はかつて、いや、第二次世界大戦後、一九四六年でしたか、新円切替えというのがあったと。そして、あのときはインフレーションで一気に何百倍といいましょうか、それによって不良債権といいますか、債権をチャラにしたわけですね。そんなことを読んでいると、どうもやはり財務大臣、そういう形でこの今日の難局を一挙に処理をされるようなスキームを頭のどこかに描いておられるのかな、そんな思いを持ったんですが、これは私のげすの勘ぐりなんでしょうか。
  30. 塩川正十郎

    国務大臣塩川正十郎君) その当時と現在とは経済の構造とかそれから様相、それからテリトリーはもう全然変わっておりますのでちょっとできないと思うんですけれども、私は、バブルの崩壊しました一九九四年ごろにその手を打ってもある程度意味効果があったんじゃないかなと思うたりもしますんですが、しかし、そのときの条件は、根本的に違うやつが一つあります。  戦後の、私らが復員してまいりまして、おやじの会社が戦時補償打切りで旧勘定に入れられてしまったんですね。そのときはずっとインフレでございましたので、インフレの効果があって十年の返済期間というのが七年で終わってしまったという、これはあります。しかし、現在はデフレですから逆になっておりますので、ちょっと状況は難しいなということが、思うことが一つ。  それと、あの当時は何が新円、旧円の境目にしたかというと、要するに終戦ということで経済の破壊というか、政府が軍需資産の勘定が払えなかったと、これがバブルの一番きちっとした一線でしたけれども、一九九〇年代に起こってきたバブルの崩壊というのは何かぐちゅぐちゅとして出てきたものであって、株と土地から起こってきたものですから、限界が、バブルの限界が取りにくかったということがあると、この二つの条件が違っておったと思います。
  31. 峰崎直樹

    峰崎直樹君 また財政の問題は後で議論したいと思いますが、最初金融問題のところから入っていきたいというふうに思います。  そこで、三月の、巷間、三月危機というのがよく言われるんですね。毎年のようにもう、去年もたしか三月危機とか、その前もあったような気いたすんですが、この三月危機はどうやら去ったようだなというふうに巷間言われているわけなんですけれども、実は、二月二十七日でしたか、デフレ対策というのが発表されて随分それが効果があったと、こういうふうに言われているわけでありますが、そのデフレ対策の問題については後にして、ちょっとお聞きしておきたいのは、銀行に対する特別検査というのを今実施している最中だと思いますが、これは公表するということをおっしゃっているんですが、いつ、どういう形態で公表されるのか、この点まず明らかにしていただきたいと思います。
  32. 柳澤伯夫

    国務大臣柳澤伯夫君) 今御指摘のとおり、金融機関に対しての、債務者に着目するという意味で特別な検査をしているところでございます。その結果については、これはもう検査の結果というのは決算に反映するということでよろしいかというふうな考え方もあったのでございますけれども、総理の方から、せっかくやったことがどういう効果を持ったのかということを国民の皆さんに分かりやすく開示するということがあっていいじゃないかと、こういうお話をいただきましたので、私ども、その線に従ってその結果を公表させていただくということを心積もりをいたしておるわけでございます。  時期としては、やはり三月末の時期が過ぎまして、若干の時日を置いて四月の半ばごろぐらいを一つめどにして作業を進めさせていただくということにいたしております。  形ですけれども、形というか内容の点ですけれども、これは、この検査を行うときに、もうかねてから申し上げておりますとおり、やはり対象になった債務者企業にいわゆる風評に基づくマイナス面が出るということは避けなきゃいけないというようなことで、その特別検査効果というものと、今言った債務者企業の風評被害は避けるということの双方の要請を勘案して決めなきゃいけないということでございますので、これは、だんだんこの検査の結果等も詰まってくるに従って、私どもとしてその工夫をして適切な形で発表させていただこうと、このように考えておりますが、現段階のところではこの程度しか申し上げられないという状況でございます。
  33. 峰崎直樹

    峰崎直樹君 風評被害は起きないようにしたい、しかし国民にはできる限り明らかにしたいと。実際にどんな形で出てくるのかわからないんですが、とかくやっぱり日本金融行政に対する信頼がないんだよということを総理おっしゃっているわけで、その点、きちんとやはり特別検査の結果を、ある意味では非常に国民にとってなるほどそうかということを、やっぱり納得できるような形でやっていただきたいなというふうに思うわけですが。  さて、問題は、不良債権の今度は処理の、いわゆるいついつまでに何をするのかということがどうも非常に分かりにくいんですね。分かりにくいというのは何かといいますと、去年、改革工程表の中にもありますが、改革先行プログラム、骨太の方針と、こういう中で必ず一番目に出てくるのが不良債権処理なんです。  ここで、たしか去年、これまでの不良債権について、このときの不良債権は例の破綻先、破綻懸念先のところですね、Ⅲ分類、Ⅳ分類のところだと思いますが、それについては二年のうちに、それから新規に発生したものは三年以内にと、こういうことだったですね。そうすると、今年にもう入っちゃっているということは、もうこれまでのものは一年、それから去年発生した新規についてはあと二年、こういう理解でよろしいんでしょうね。  この点、何だか今年になってもまた二年から三年なんて数字出ると、毎年二年から三年と言ったら永遠にこれはもう解決つかないんですが、その点はどういうふうに理解されていますか。
  34. 柳澤伯夫

    国務大臣柳澤伯夫君) これは、そのときに既存のものであったものについて二年でやってもらいたいということを言っておった。それから新規に発生したものは三年にやってもらいたいと、こういうふうに言っているわけですので、いつまでも二年が残るわけじゃないんです。三年の方は残りますね、新規に発生したものは三年ということになりますので残るわけです。  そういうことをやることによってオフバランス化を進めて、そして私ども指標としている不良債権比率というものについて早く四%近くのところに持っていくということを目指しているということですが、私ども考え方としては、集中調整期間が終わる次の年、この年には、その年の決算ではできるだけその四%に近いところに持っていくようにこれを実現したいと、こういうことを発表させていただいておりまして、この点については何ら変わりはないわけでございます。
  35. 峰崎直樹

    峰崎直樹君 そうしますと、さっき中島委員のおっしゃられたように、デフレが続いていると。地価の下落もまだ続いているようですね。株価は多少、後でまたちょっと株価問題また触れたいと思いますが。そうすると、今年発生したいわゆる不良債権というのは、これから三年間のうちに解決するということなんですか。
  36. 柳澤伯夫

    国務大臣柳澤伯夫君) そういうことを考えているわけでございます。
  37. 峰崎直樹

    峰崎直樹君 そうすると、これはもうとにかくいつまでたっても何かデフレが止まらないといかないということと、どうやったら止まるんだろうな、どうやったら不良債権比率がそのさっき言った四%と、別の指標ですけれども、これがいくのかというのが心配なんですが。  ちょっと新しい視点で、これはちょっと事前通知しておりませんけれども、今の金融庁の持っている検査の基準というのは、これは相当いわゆる厳しいものだと、アメリカ並みだと、こういうふうによくおっしゃっているんですが、それはそういう理解でよろしいんですね。  今の金融検査の基準は、もう金融庁はいろんな意味でしっかりしたものを設けているんだと。何度か、いろんな意味でちょっとまずいんじゃないかとか、Ⅱ分類、Ⅲ分類の関係をおかしいんじゃないかと言ったことがありますが、それはそういう理解でよろしいんですね、再確認をしたい。
  38. 柳澤伯夫

    国務大臣柳澤伯夫君) 基本的にそのとおりでございます。つまり、あの検査マニュアルを策定したときには、バーゼルの委員会での議論、それからFED等の基準、こういうものを参酌して日本の実情に合った表現にした、こういうことでございますので、そのとおりということで結構でございます。
  39. 峰崎直樹

    峰崎直樹君 実は、どうもアメリカのFEDの基準だとかバーゼルの基準だとかということを考えるに当たって、日本ではちょっとそれは考え方を変えなきゃいけない点が一つあるんじゃないかという気がする。何かといいますと、デフレなんですよ。  デフレ下におけるいわゆる検査をした場合、これは一体どういうことになるのかなということで、恐らくもうお読みになっていると思いますが、ここにゴールドマンサックスが昨年十一月十六日に作った「銀行の資産内容を再考察する(保存版)」というのがある。  これを読んでいろんな意味考えさせられたんですが、資産査定の在り方において、非常に日本の場合にゼロ金利状態が続いている。もう日銀の方はおられませんから全然聞けないんですが、ゼロ金利状態が続いているがゆえに短期金利が非常に安くなっている。そうすると、日本ではあたかも金利が、定期的に金利だけは支払われていると、こういう状態が、事実上デフレ下では、本来であれば退出しなければいけないような企業で、普通のインフレというかデフレでない場合には払えないような金利、払えないような企業が、デフレにおいては低金利であるがゆえに継続していると。そうなると、今金融庁の行っている検査の中でこれは要注意でいいですというふうに言っているものは、実は、本当を言えばこれは要管理、あるいはもっと高い破綻懸念先に回さなけりゃいけない、そういうものが要注意の中に含まれているというのが日本の資産査定の中には含まれるんではないかという指摘をしている。  そのことによって物すごい金額のずれが出てくるわけですね。つまり不良債権金融庁の言っているようなレベルじゃないよと、あるいは銀行が自ら言っているようなレベルの不良債権の金額じゃない、百兆を超えている、こういうふうに実は指摘している。  同じような指摘を、これは積み上げ方式ですから、今まで金融庁の皆さん方が、いやそういうのは全部マクロの、GDPの例えば三割が、かつての三割ぐらいが要するにオーバー貸付けなんだと、こういうような算定から出てきたんじゃなくて、この算定は実は一つ一つ企業の実態を積み上げて計算をしておられるんですけれども、そのことはちょっと別にして、これは今日はデータ出していませんから。  いずれにせよ、そういう日本における、デフレ下におけるこの金融資産査定というものが、非常に日本のいわゆる不良債権の要注意というところに、本来ならば破綻懸念先に回ってもいいようなものが実は相当含まれている、こういう認識については金融庁はどのように反論されますか。
  40. 柳澤伯夫

    国務大臣柳澤伯夫君) 私どもは、今のような低金利政策、デフレということと低金利政策、ちょっとそれはまた別の面と考えて、低金利政策というふうに言わせていただきますけれども、それは確かに低金利政策は金融機関を含め企業の側に応援する政策であるということは、これは明白だと思います。  しかし、それはまた、逆に何でそういうことをやっているかというと、経済状況が悪いからそういうことをやっているわけでありまして、経済状況がそういうことをやらなくて済むということだったら経済状況がいいわけですから、そのときはそのときでまた、何と申しますか、その企業は低金利で支えられるんじゃなくて、需要の強さとかなんとかで支えられるということですから、それはどうも、お話を聞いている限りだけの感想ですけれども、一面的な議論だなと、こういうようにお聞き取りいたしました。
  41. 峰崎直樹

    峰崎直樹君 確かに、デフレが解消されるということになると、また別の要因が出てくるだろうと思うんですね。それと同時に、金利が上昇し始めるという局面が出てきたときの、また違った局面が出ると思うんですが、しかし、今我々がずっといろんなこの間のやり取りを聞いていても、どうもやはり日本不良債権処理というものがなかなか進まないという大きな背景というのは、どうもそういうデフレ下における資産査定というものの不十分性というものが、いや、不十分性というのは今申し上げたような観点で、本来であれば、これはやはり退出してなきゃいけない、あるいはもっと厳しいリストラを迫られているのが、こういう形でやはり構造的に温存されているというところが私は非常に大きな問題になっているんじゃないかなというふうに思えてならないわけでありまして、これはまた別途、議論は引き続き進めていきたいと思いますが。  そこで、金融担当大臣にお聞きしたいわけですが、改めて、昨日もちょっとお聞きしました大原一三さんとの二月二十日に会われたときの話で、これは大原さんが一方的におっしゃっていることですから、これはもう是非聞いてみたいと思っているんですけれども、昨日は、一斉注入をしても何の効果ももたらさないとかというところをお話を聞いたんですが、そのことと併せて、実は、「「日銀から金融庁批判を受けていますが、日々、銀行団とのやり取りをしている我々の方が、日本経済現状を厳しく受け止めています。 ただ、私が正直に金融危機を宣言してしまうと、日本経済の底が抜けます。それを回避するためにも、公的資金注入のやり方を慎重に選択しなければなりません」」と、こういうふうに大原さんは柳澤さんが心情を吐露されていたと、こういうふうに述べていらっしゃるんですね。  余り、週刊誌の話ですからいいんですけれども、ただ、非常に問題は重要なんで、これはやっぱり直接、金融担当大臣の御見解をその点についてお聞きしておきたいなと思っております。
  42. 柳澤伯夫

    国務大臣柳澤伯夫君) 昨日もお答えしたと思いますけれども、大原議員は私の尊敬する先輩で、仕事なぞも、特に行革の際には一緒にいろいろ御指導いただきながらしたという間柄でございますので、しばらく会っていないんで、顔見たいよと言ってこられれば、私も時間があればお会いするということでございます。  全く友人間の話としてお話をするわけですけれども、あのときのことを私がこれを言うこともないと思うんですけれども、話の本筋は、柳澤はかたくなかということをみんな考えているんで、おれはそうは思わないとおれはいつも言っているんだよという話をしてこられたわけでございます。要は、私もそんな金融危機のおそれがあるようなときには果断にやるということを言っているとおりで、そのとおりだからみんなに、党内にもそういうことを言っておいてくださいよみたいな、そういう軽口をたたいたというのが話の本筋でございまして、ここに書いてあるようなことは、そういう文脈からは、どうもなかったんじゃないかなと。お互い友人間の話ですから、それは一々は覚えてはおりません。覚えておらないということで、本当は言ったんだろうという、そういう憶測もまた困るんでございますけれども、素直な気持ちでそんなことでございましたので、そういう私のテーマ、二人の話のテーマからいうと、そんなことは僕がまた思ってもいないことですので、出てこなかったということは御理解いただければと思います。
  43. 峰崎直樹

    峰崎直樹君 金融庁長官のお考えというのは、もう何度もやり取りしていますから、不良債権の実態についての認識は私どもとやっぱりずれていると思っているわけです。  これはまたいつか時間があればやりたいと思うんですが、どうもやっぱり私は、金融庁長官は、どうも小手先の再注入じゃもうどうにもならないぐらい日本経済はひどいんだと。だから、そういうことがよく分かっているから、自分としては、本当やるんだったら、もうこれはどんと何十兆もやらないと、我々も指摘しているように、日本経済金融機関の抱えている不良債権の実態はもう十五兆なんというところのレベルではとどまらないと、もう大変な問題なんだと。そういうことが分かっていらっしゃるから、多分私は、金融庁長官は一見かたくなに守っていらっしゃるように見えるんですが、そこら辺はそうじゃないんですか。
  44. 柳澤伯夫

    国務大臣柳澤伯夫君) これは、余り言葉を費やすとかえって誤解を生じますので申し上げませんが、全く違います。
  45. 峰崎直樹

    峰崎直樹君 決して誘導尋問をしようというつもりではありません。ありませんが、本当に金融問題というのは深刻だということで、改革工程表ではもうトップに来ているわけですね。  ただしかし、我々からすると、二月二十七日の経済財政諮問会議柳澤大臣と速水日銀総裁の激論があった。これはどうも、日経新聞も書いている、あるいは先日は朝日新聞も書いていますから、多分恐らくいろんな話を総合するとそうだったんだろうなと。  そうすると、率直に申し上げて、今強制注入を予防的にやるべきじゃないかという意見と、いや、そんなものは必要でないというふうにおっしゃっている、しかも金融政策を担当されている日銀とそれから金融担当大臣がこうまで意見が違うというのは、やはりゆゆしいことじゃないかなというふうに思っているわけでありますが、その後の日銀総裁は、今日はお見えになっていませんが、記者会見でも、いや、そこのところは必要だとおっしゃっているわけですね。  そのいわゆる予防的な、あれはたしか預金保険法百二条ですか、の規定によって要するに予防的に入れることはできるんだということになっているわけでありますけれども、この点については柳澤大臣もそういうことは今やはり必要ないというふうにおっしゃっているんですが、いや、必要ならば必ず決断するよというふうにおっしゃっているんですけれども、その必要でないという根拠というのは、もう一回再確認しますけれども、これはBISのいわゆる八%の基準を今はもう堂々と上回っているんだ、大丈夫だと、このことが中心になるわけですね。これが一点。  実は、それに関連して日銀総裁は、そのほかの多くのエコノミストは、その中で本当の実質的な自己資本比率というのは、いわゆる税の税効果会計ですね、税の繰延債権の、やがて返ってくるということで入れる問題や、あるいは人によっては銀行と生保の間の劣後債、劣後ローンの持ち合いの問題とか、これは本当の意味での資本じゃないんじゃないか、あるいは公的資金と言われているものも数兆円入っているわけですけれども、これも実は本来入れちゃいけないんじゃないか。そういうことを考えたときに、実質的な日本銀行のいわゆる自己資本比率というのは、見掛けは何か膨らんでいるけれども、しかしこれはもう水膨れであって、実態はそういうところではないんだよということをよく指摘されるわけです。  その意味で、その点やはり私は、やっぱり国民にも説明しなきゃいけないし、その点を我々が納得できるような、日本金融機関大丈夫だというふうに私は何となく思えないんでありまして、その辺りを改めて、これは何度も質問している課題ではありますけれども、是非もう一回再確認させていただきたいと思うんです。
  46. 柳澤伯夫

    国務大臣柳澤伯夫君) この問題は、私ども何回もそれこそ御答弁させていただいておりますとおり、自己資本比率で健全性を判断する非常に大きな要素とするということはバーゼルの委員会で決めたことでありまして、やはり我々はそういう国際基準にのっとって判断すべきものだと、このように考えているということは御指摘のとおりでございます。  それから、その際、自己資本の構成というものについて、今、先生三点御指摘になられたかと思うんですけれども、これらについても、それぞれにBISの枠組み、それからまたこちらの会計基準等を守って計算をした結果ということになっておりまして、やはり私は、そのルールに従って行わなければ、急にそのルールと違うことを、ルールに基づく行政ということをうたいながらそんなことを始めたら、これはやはり適切なことではないと、こういうように考えているということでございます。
  47. 峰崎直樹

    峰崎直樹君 財務大臣、ちょっとお聞きします。  財務大臣にもこの質問通告してあるんですが、この二月二十七日の経済財政諮問会議で速記中止になっているところのやり取りがあったと思うんですね。財務大臣は恐らく議論に参加されたかどうか分かりませんけれども、両者の議論ですね、今申し上げたように、日銀総裁の考え方資本注入した方がいいんではないかと。それから柳澤大臣は、今おっしゃったように、いや、やるべきでない。これはお聞きになっていて大臣はどんなふうに考えておられますか。
  48. 塩川正十郎

    国務大臣塩川正十郎君) 今、柳澤大臣が言っておるような内容でございます。  これは、速記停止というのがあったということは、やっぱり本当に本音で話し合ったということでございますから、それだけに、これは公表すべきものじゃないと私は思っています。
  49. 峰崎直樹

    峰崎直樹君 今の日本経済、特に金融問題が非常に深刻だということは、私も先日、実は二十五日からアメリカに行ってきたんですけれども、国際的にも、アメリカも実は注視をしているわけですね。なぜ不良債権処理がやると言って進まないんだろうかとか、デフレが続いているけれどもこの日本は大丈夫だろうかとか、いろんな説がございましたけれども、みんなやっぱり見ているのはそこなんです。  今、本音の議論だからそれはオープンにしない方がいいということではなくて、正にそこのところを我々も、ある意味では政府日銀一体となってやはり今の金融政策について、改革工程表の中で一番最初に出てくることなんですよ、これが一番ある意味では構造改革の中の最大のポイントだというふうにも恐らく考えていることなんですよね。このことが一体どうなっているのかなということに我々は納得いかないというか、政府日銀も余り納得いっていないんじゃないかなというふうに我々ははたから思えるわけです。  そういう意味で、私どもとしては極めて、そのやり取りがオープンにされなかったということと、恐らくされなかったことよりも、本当に本音で話したことで、やっぱり政策としての政権の一体性といいますか、そういったことについてやはりもっともっとここのところできちっとした統一した見解といいますか、日銀も含めた統一した見解をやはりまとめないと、私はやはり、日本経済、大変禍根を残すんじゃないかなというふうに思えてならないわけでありまして、これはこれ以上質問しても仕方ありませんから、それはその点だけにとどめて。  じゃ、二月二十七日のデフレ対策について少しお聞きしたいと思うんですが、最近、何となく三月危機が遠のいたななんて感じは、結果的には、株式市場が何だかとんとんとこのところ約二千円近く上がって、一万二千円の大台まで行くんじゃないかなということで、今変わりつつあるわけですが、この株式市場がこう上がり始めたというのは、これ、金融担当大臣、PKOと空売り規制強化による官製相場というふうに実はよく指摘をされるんですけれども、そういうことは全くございませんでしょうか。
  50. 柳澤伯夫

    国務大臣柳澤伯夫君) 株価というか、株式相場というものは、もういろいろな要因で決まってくるものだというように思っておりまして、マーケットの声の中には今言った空売りの問題であるとかいうのも言われているそうでございますが、そのほかにも、アメリカの経済の回復であるとか、あるいは日本経済も回復の兆しがいろいろなところで見られるというようなこと、そういったことも同時に言われておるということのようでございまして、私どもとしては、株価動向について、これが原因ですと、理由だと考えますというようなことについては、これは我々の立場から申し上げることはできないし、またそういうことは一貫させていただいているということでございます。
  51. 峰崎直樹

    峰崎直樹君 この間一番何か効果があったのは空売り規制じゃないかと、こういうふうに言われているんですよね。  これは、二月八日とそれから二十六日の二回に分けた空売り規制強化というのがあるんですけれども、私、余り証券というか、実際やったことありませんので、株も持っていませんから空売りというのはよく分からないんですが、しかしこれからは、空売りをするにしても、今の基準よりも下で、つまり安いものはもう買わせないというようなことになると、事実上、高いところで空売りする以外にないというようなことになってくる。  いずれにしても、そういうふうに進めていくというこの手法は、あるいはやり方のもう一つ問題は、いわゆる何というんでしょうか、証券会社とかそういう機関投資家なり、ある意味では株を貸したり、信用売りというんですか、そういうふうなことのやり方を、こうしちゃいけない、あるいはこうしなさいという規制を加えていますよね。そうすると、市場というのは、株式市場というのは最も資本主義的なところであって、そういうところにこういう形で、こうやっちゃいけない、ああやっちゃいけないという、かつての護送船団行政じゃありませんけれども、そういうものをそれぞれに対して規制を加えていくというようなやり方というのは、果たしてこれは、市場重視ということを強調されていた柳澤大臣としては本当にこれは本意なんだろうかなと。  こういう形で空売りを止めておいて、そしてそこへもってきてPKOの資金がどんどん入ってきたら、これは一時的に上がるかもしれないけれども、そんなものはこれは長続きできないとなったら、またその反動としてどおんと落ちていくし、世界の投資家たちが、日本株式市場というのはどうも市場として、絶えず何かあればチェック、規制が加えられてくるというふうに見て、どうも信頼感を失ってしまうことの方が、マイナス効果の方が大きかったんじゃないのかなというふうにも思えるわけです。  ただ、三月末は何とか乗り越えるかもしれないけれども、そういう目から見たときに、この空売り規制というのはどうだったのかなと。これはもうもちろん規則に設定されていて、それを破ってしまったことに対しては問題だというふうに思うんですが、そういった点で、この空売り規制に対して金融担当大臣としてはどんな考え方を持っておられるのか、その点もお聞きしておきたいと思います。
  52. 柳澤伯夫

    国務大臣柳澤伯夫君) これは、きっかけは、実は監視委員会と私どもとの共同での証券会社への検査がきっかけでございます。  これは、ローテーションからいってもかなり間が空いてしまったところに、もうこれは放置しておくわけにいかないよということで立入検査をいたしたわけでございますけれども、やはりこの空売りのところで非常にいろいろな、何と申しますか、非違事項というか、違反の事項が見付け出されまして、それで、そういうことについてもこれはきちっと行政処分をさせていただいたわけでございます。  そういうことがきっかけになりまして、やっぱりきちっと空売りと信用売りについてやはりルールも整備をしなきゃいけないということが痛感されましたものですから、その見直しをしたということでございます。  先生の今のちょっと御言及になられたこの値付けのところのルールでございますけれども、これはもうアメリカと同じルールにしたということでございまして、我々は別に空売りを規制しようというようなことでは毛頭ないわけですけれども、空売りというのはどうしても作為的な相場形成の手段に用いられがちだということがございますので、そういうことを排除したいということでアメリカの、アメリカはそういうところは割と先進国でいろんな知恵を使っているわけでございますけれども、それに倣った制度にしたということでございますので、何というか、今先生がおっしゃられるような意味で今回の措置が取られたのではないということでございます。
  53. 峰崎直樹

    峰崎直樹君 また、株式相場の問題については、私も更にアメリカのルールってどんなものかなというのをちょっと勉強しながらまた進めていきたいと思うんですが、いずれにせよ、何だか三月危機が去ったのかななんて言っているわけでありますけれども、しかしやっぱり実態は相当厳しいという認識の下にこれからも金融行政を進めていただきたいと思うんですが。  さて今度は、ペイオフを前にして最近破綻した、中部銀行というのが破綻をしているようですが、これは何が原因で破綻をしたんでしょうか。
  54. 柳澤伯夫

    国務大臣柳澤伯夫君) 中部銀行につきましては、検査の結果、過少資本であるということが分かりまして、その事実に基づきまして早期是正措置ということを発動させていただいておりました。  そして、当該の銀行もそうだということで増資の計画も発表をしたりして、その計画の実現に向けた努力をいたしていたわけですけれども、二度に、二段階ですけれども、一度は外資系のというようなところと話をしているというようなお話でしたが、これが結局実現にならなかった。それから次には、今度は地場の皆さんにお願いした第三者増資ということで、もう少し当初の案よりも小ぶりの増資計画だったんですが、それを発表してその努力をしたんですが、これもまた未達であったというようなことになりまして、そういったことは当然ディスクロージャーを伴って計画し、またその実績を公表するというようなことでございましたので、そうしたことに伴ってやはり預金の流出というようなものが起きたということでございまして、したがって直接的な理由としては、預金の流出というか、流動性の点でこの事業の継続が困難であるということで今回の破綻の申請に至ったと、このように認識をいたしております。
  55. 峰崎直樹

    峰崎直樹君 もうペイオフを前にしているわけですが、ほかにそういう資金繰りに陥っている銀行はないのかなと。うわさでこう聞くのでありますが、東北地方の地域銀行一行、それから関東地方の地域銀行二行、これは経営危機というのがうわさされているようなところがあるやに聞いているんですが、そういう事実はございませんか。ちょっと細かい質問で恐縮です。
  56. 柳澤伯夫

    国務大臣柳澤伯夫君) いずれにせよ、そういう少し、何というか、個別名を省かれたお話であっても、そのものずばりに我々が御答弁申し上げるということは、やはり従来同様、これは避けさせていただきたいと、こう思います。  一般論ですけれども、我々としては、そうした過少資本でいろいろ問題があるというような、そういう銀行が現在あるという認識はございません。
  57. 峰崎直樹

    峰崎直樹君 最近、過剰債務企業ということで、企業を法的あるいは私的な整理をする、例えばダイエーなんというのはもう有名になっていますが、マイカルだ、青木建設だとかフジタだとか、いろいろ出てまいりますね。こういうところで例えば金融支援をまとめたときに債権放棄をするような銀行が出た場合に、それは自己資本不足というふうになる危険性というのはないのかなと、こう思うんですが、それはないというふうに断言できますか。
  58. 柳澤伯夫

    国務大臣柳澤伯夫君) 我々は、総理の御指示もございましたように、もう自己資本であるとか体力であるとかということではなくて、不良債権処理というものをきちっとやるようにということを言われておりまして、そういう御指示の線に沿って私ども銀行をいろいろと督励をしているというのが実情でございます。  現段階でどうかということですけれども、私どもとしては、そのことによって、先ほども申したんですが、BISというか、本当はBISじゃなくてバーゼルの委員会ですけれども、バーゼルの委員会が定める基準というもの等、国内基準行もありますが、そういうようなものを割り込むようなところが出そうだというような認識はただいまのところ持っていないわけでございます。
  59. 峰崎直樹

    峰崎直樹君 持っていらっしゃらないと。  じゃ、ちょっとお聞きしますが、東京都がペイオフ対策ということで取引銀行を限定しようと、こういう動きがあるんですが、それは事実なんでしょうか。
  60. 柳澤伯夫

    国務大臣柳澤伯夫君) 東京都がいろいろな御検討の結果、資本金と格付でございますか、格付等の市場の評価、この両方のメルクマールでもって、解約と書いてありましたでしょうか、そういうような考え方を打ち出していることについては私どもも承知をいたしております。
  61. 峰崎直樹

    峰崎直樹君 相当、そこに入れなかった例えば大手行があるとしたら相当厳しいなというふうに思いますが、ペイオフ関連の問題は、これはもうある意味では来年、普通預金は多分来年からでございますから、いずれにせよ大変大きな衝撃を与えるだろうと思いますが、この点についてまた引き続き議論したいと思いますが、ちょっと事件物といいますか、お聞きしておきたい点ございますので、例の朝銀ですね、朝鮮銀行関連で警察の捜査が入ったやに聞いておりますが、警察庁にお聞きしますが、今どんな状況まで分かってきたのかな。  特に、朝鮮総連との関係とか、北朝鮮への送金疑惑というのがうわさされているわけです。これは先日も拉致問題というのが出始めたり、あるいは不審船の問題等、国民は相当やはりこの問題神経過敏になっていると思いますので、その点、分かる限りでよろしゅうございますので、報告お願いしたいと思います。
  62. 中村正則

    政府参考人中村正則君) お答えいたします。  金融機関が破綻した場合に、破綻に至る過程においてその金融機関役職員に係る犯罪が伏在するとき、警察として厳正に対処してきたところでございます。  破綻した朝銀信用組合については、警視庁及び兵庫県警において昨年秋以降、検査忌避事件を言わば入口事件として鋭意捜査を進め、朝銀東京、朝銀近畿等の元理事長ら二十四人を背任、業務上横領等により逮捕したところであります。  その捜査の一環として、朝銀東京については警視庁において約八億四千万円の業務上横領事件を解明するため、元朝鮮総連財政局長を逮捕するとともに、朝鮮総連中央本部等の捜索を実施しております。  捜査の結果、平成六年から十年に掛けて、当時の朝鮮総連中央本部財政局長が、当時の朝銀東京の役職員と共謀の上、約八億四千万円を着服、横領し、朝鮮総連の借入金の返済やその活動資金等に充てていた事実を解明しておりますが、事案の全貌については、これまで数回にわたり公判が開かれたところでもあり、今後の公判において明らかにされるものと思います。
  63. 峰崎直樹

    峰崎直樹君 これからまだ公判の中で明らかになっていくんだろうと思いますが、こういうことを踏まえても、公的資金投入というこれまでの方針というのは基本的には変わらないと、こういう理解してよろしいんでしょうか。この点、明らかにしていただきたい。
  64. 柳澤伯夫

    国務大臣柳澤伯夫君) たびたびお答え申し上げておりますように、朝銀信用組合と申しますのは我が国の、中小企業等協同組合法に基づく我が国の金融機関でございまして、預金保険法の適用にもなっておるということでございますので、そのような法令の規定するところに従って処分をするという方針は変わりございません。  ただ、あえて付け加えますと、朝銀の中に仮名、借名の預金が相対的に多いというようなこともございまして、特にそういう中に、ちょっとこれは考えにくいし、また事実そういうものが存在するということを確認しているということは全くないのでございますけれども、架空の預金口座というものがあるんではないかというような御指摘もいただいておるようなこともございまして、これらについては慎重な対応が必要だということは考えておる次第でございます。
  65. 峰崎直樹

    峰崎直樹君 はい、分かりました。  それでは次に、金融支援という形で国家的な大企業の救済というものが進んでいるんではないかという、先日、衆議院の予算委員会でもこの点、随分議論されたわけでありますが、先ほど申し上げましたマイカルとか青木建設、これはもう既に倒産をしたり、進んでいるわけでありますが、今大きな問題はダイエーとか、こういう固有名詞はそれ以上もう挙げませんけれども、今、新聞で、巨大な企業というものが非常に今、取引銀行との間である意味では支援を受けたりしているわけでありますが、これは、この金融支援というのは、金融庁というのがどうも実際上は指導しているんじゃないかと、こういうふうに言われているんですが、この点、金融庁はこういったことについては銀行から報告を受けているのかどうか。それから、こういう金融支援というのは金融庁が実際上指導しているんじゃないかと言われていることについて、実態はどうなっているのかなということについて明らかにしていただきたいと思うんです。
  66. 柳澤伯夫

    国務大臣柳澤伯夫君) 金融庁は、監督行政の一環として、銀行の大きな経営判断等が行われた場合にはその報告を受けるということは当然でございまして、受けているというのがお答えでございます。  それから、第二番目の、金融庁が貸出し先企業の整理の仕方について指導しているんではないかというお尋ねかと思いますけれども、それはそういうことはないわけでございます。私どもが申し上げるのは、常にそうでございますけれども不良債権のオフバランスをできるだけ早く進めてもらいたいということ、そしてもしそれが私的な再建計画あるいは経営改善計画というものにのっとるものであるとすれば、その計画自体の実現可能性というものについては厳格な判断をしてくださいということを述べているということにとどまるわけでございます。
  67. 峰崎直樹

    峰崎直樹君 厳格な判断というのをおっしゃいましたけれども、これらの金融支援を検討している支援元といいますか銀行は大半、大手行でいえば三菱東京を除いたら全部これは公的資金が入っているところですね。  そうすると、公的資金の入っているところで実は債権放棄とかそういうものを認めていくということになったときに、そういう銀行による支援を認める場合に、かつて銀行の私的整理のガイドラインというのがございましたですね。こういったものにもある意味では、法的なものは別にして、そういうものにやっぱり従わせるべきじゃないかというふうに考えるんですが、この点は、公的資金を投入している銀行の正に、何というんでしょうか、債権放棄ということになると、税金からそこへ支出された、公的資金からそこへ支出されたということにほかならないような事例が出てくるんだと思うんですね。そういう意味で、その点について見解はどのようにお持ちなのかということについてお聞きしたいと思います。
  68. 柳澤伯夫

    国務大臣柳澤伯夫君) ちょっと先生のおっしゃられたことで私申し上げたいことは、税金を投入したことになるじゃないかということですが、これはもう、何と申しますか、返ってくればそういうことはないということでございますので、少し何というか先を行った御議論ではないかと、こういうことでございます。  それから、債権放棄については、私ども再生委員会の当時に公的資金を注入した銀行の債権放棄については一つのルールを、ルールというか指針を定めておりまして、これは三つでございます。一つはもちろん経済合理性ということでございまして、回収極大化というふうな言い方をしてもよろしいかと思います。それから、当該の貸出し企業が本当に破綻、清算をされるというようなことになった場合の社会的な影響ということが二つ目でございます。それから三つ目は経営者の責任、経営責任の明確化ということでございまして、もちろん「等」というところが書いてありますけれども、基本的にはその三つのことについて、当然、公的資金の注入行であればこれを遵守すべく努めてもらいたいということになっておるわけでございます。
  69. 峰崎直樹

    峰崎直樹君 公的資金を投入している、これは税金じゃないか、それが毀損されるんじゃないかということに対して、いやいやまだこれが毀損されて返ってこないということには限っていないと、やがて増資するかもしれないじゃないか、もうかるかもしれないじゃないかと、いろんな意見があるということはよく知っているわけでありますが、しかし、いずれにせよ今申し上げたように大きな問題になっている。  さて、これで二度目に債権放棄をするような企業がこの中に出てくるんですね。例えば、例えばと名前を挙げたらかえってまずいですから挙げませんけれども、一回債権放棄して、また今度新しく債権放棄するというような、そういう事例がもし出てきた場合には、これは認めるんですかね。この点はどんなふうに考えているのか、そうしてそれを認めたかつての銀行の経営者の責任というのはどう取らせるのかなと。この点、もし分かれば教えていただきたいと思いますが。
  70. 柳澤伯夫

    国務大臣柳澤伯夫君) 私ども、まだそういうケースについて話を聞いているというような事実はございません。したがって、ちょっと仮定の議論になろうかと思うんですけれども、もしそういうことが出てまいりましたら、これは慎重に検討せざるを得ないというふうに思っております。
  71. 峰崎直樹

    峰崎直樹君 しかし、いずれにせよ、軽々しく債権放棄を認めるというふうに私はならないんだろうというふうに思いますが、金融問題、まだまだ株価がこんな状況で何とか三月危機を越えたんじゃないかというような雰囲気が漂っているんですが、どう考えても実体の経済状況は余り変わっていないんじゃないかなというふうに思えてならないわけでありまして、ちょうど資本注入をして三年目になります。  柳澤担当大臣にお聞きしたいんですが、三年前に、一九九九年だったでしょうか三月に注入をされた、資本注入をされた後で、日本のこの不良債権問題はもうこれで峠を越したんだと、こういうふうにおっしゃいました。私どもはそうじゃないんじゃないかということも言い続けてきたわけですが、改めてこの三年間を振り返られて、あの三年前の資本注入というのは一体何だったのかなと。そして、それについて、現時点において不良債権問題はいろいろ言われながら特別検査だとかいうことまで今日来ているわけですが、あの資本注入というのは今考えてみてもやはり正しかったのか。この点、金融担当大臣、同じくあのときも担当大臣でございましたので、どのように考えておられるのかということについてお聞きしたいと思います。
  72. 柳澤伯夫

    国務大臣柳澤伯夫君) あの年に、私ちょっと今データをめくるいとまがないので記憶で申しますけれども大手行で言っても十兆ぐらいの不良債権処理をいたしたわけでございます。その後どういうことになったかというと、大体四兆ぐらいの、四・五兆、四・三兆ぐらいの不良債権処理になっていったわけでございますけれども、今年というか今年度末はもうちょっとこれが増嵩するのではないかということでございますけれども、あのときの十兆台になるなどということは考えられないということでございます。  これは経済状況もあるというふうに存じますけれども、いずれにせよ、別に無駄になったわけでも、十兆円の不良債権処理をしてなお自己資本比率を一定水準以上に維持してきているわけでございますから、それはそれなりに大きな意味のあったことであると、こういうように考えております。  要は、いろいろいろいろ全部を、何というか、傷口のかさぶたが取れるようにすっきり金融だけが良くなるというようなことを考えるのが正しいのかどうか。これはもうほかの経済の各部門が家計以外はほとんど全面的に傷んでいるというのが状況でございまして、そういう中でもし金融だけがぴんぴんしているということになったら、これはかえってメカニズムとしておかしいのではないかと。あえて申せば、そういうこともあり得る議論でございまして、私としては、それぞれに着実にそのときの経済状況に応じた金融機関健全性を目指した努力が行われるということが大事だと、このように考えております。
  73. 峰崎直樹

    峰崎直樹君 今日はちょっと総論的な話しかできませんでしたけれども、また引き続き、金融問題、大変重要な問題だということで、論議をまたしていきたいなというふうに思っております。  そこで、今度は財政問題にちょっと移らせていただきたいと思うんですが、昨日、総理大臣に三十兆円枠のお話をいたしました。塩川財務大臣にお聞きしますが、今年度はこの三十兆円枠を守っていくとおっしゃいました。いろんな方法を通じて進められたわけでありますが、この際、やっぱり二次補正というのは、そうするとこれは実際問題ないというふうに理解してよろしいですね。
  74. 塩川正十郎

    国務大臣塩川正十郎君) 全く今は考えておりません。
  75. 峰崎直樹

    峰崎直樹君 今は考えていないということと、今年度は三十兆という一つの枠を守るんだから、もう財政を小刻みに出しながら景気対策として、景気対策になるのか何対策になるのか別にして、これについては、財政としてはもう限界ですよと、こういう考えだということですか、今はというのは。
  76. 塩川正十郎

    国務大臣塩川正十郎君) 財政経済が良くなるんだったら幾らでもやれると思うんですが、そうではなくして、今じゃもう景気の問題は、財政も一生懸命やっていますけれども民間構造改革が進まないと景気は良くなるものじゃないと。民間の方で、最近やっと切りが付きましてどんどんと活性化してきておりますので、この力が私は夏以降に出てくると思っておりますので、ですから十四年度の経済は大きく激動してくるんじゃないかと思っております。
  77. 峰崎直樹

    峰崎直樹君 財務大臣の、今日は財政、ちょっと金融に入るんでしょうか、年度が替わると経営者が替わるから、これからは景気がどんどん良くなりまっせとおっしゃっている記者会見を読んだことがあるんですね。経営者が替わったら良くなっていくというのは、何か、どういう根拠なんでしょうかね。ちょっとそこは、記者会見のたしか内容を読んだときに、塩川大臣財政じゃ駄目だけれども人が替われば良くなるぞと、そのちょっと根拠を教えていただきたい。
  78. 塩川正十郎

    国務大臣塩川正十郎君) 人が替われば良くなるとは言っておりません。経営が変わると言っておるんです、人が替われば。  今、民間の会社を見ましても古い経営者がごろごろしていますね。こういうようなので、構造改革もやらないし、新規事業にも積極的に取り組もうということが、その気配が薄いですね。これをだんだんと、そういう古い経営者がのいていきまして下がっていって、新しい部長クラスやとか常務クラスがどんどんと経営者の責任になってまいりましたら、積極的に取り組んでいこうと。このような状態でグローバリゼーションのこの状態は駄目だということは皆知っておりますから、しかし、古い経営者はやっぱり過去の因縁があるものだから思い切った構造改革をしなかったんです。だから、先生、見てごらんなさい、去年辺りからどんどんと大企業が合併だ分割だ提携だとやっておるでしょう。この構造改革なんです。これが進んでいかなければ本当に経済は良くならないんです。  ですから、私は、これがどんどん進んでまいりましたので、だから、今年から来年に掛けて思い切り活力が出てくるんじゃないかと思って期待しております。
  79. 峰崎直樹

    峰崎直樹君 私は逆のことを思っていたんですよね。  だって、例えば近畿日本ツーリスト、日本旅行は合併するといったのが御破算になったとか、あるいは朝日生命と東京海上火災が何か提携するといってこれも駄目になったとか、JASとJALは何か、これは独禁法の関係があるんでしょうか。  だから、何となく企業と企業の関係は、信頼の構造じゃなくて不信の構造にだんだんなっていって、かつて日本の企業社会というか、日本の社会の非常に重要な特徴だと言われた信頼構造が崩れ始めているということで、何か今おっしゃった、経営者が替われば経営も変わって企業がどんどん信頼感を増して、ある意味ではベンチャー精神旺盛な、そういうものになりまっせというふうにおっしゃっても、何となく実態はそうではないんじゃないかなというふうに思えるんですが、どうですか、その感覚は。
  80. 塩川正十郎

    国務大臣塩川正十郎君) 合併もできない、あるいは提携もできないような会社は意味がないんですから、こいつは引退してもらうよりしようがないと思います。
  81. 峰崎直樹

    峰崎直樹君 なかなか激しい、すごい提言なんですけれども。もちろん経営者を我々政治家がそれについて、それぞれの問題があるんだろうと思いますが、今の塩川大臣の発言は貴重な提言としてまた聞いておかなきゃいけないんだろうと思うんですが。  それでは、塩川財務大臣財務大臣が替わられて、前の宮澤大臣から大きく、今年度も新しい総理の下で予算編成をされるときに一つ重要なことがございました。  今年度の予算で五兆円削減して二兆円増やすんだと、こうおっしゃったんですが、どうもこの中身を見ると、五兆円削減というのはちょっと分からぬわけでもないんですが、二兆円増やしたという中身も見て、どうもこの中身というのは表紙の書換えにとどまっているんじゃないかなというふうに思えてならないんですが、この点、高らかにうたい上げられた五兆円削減、二兆円の新しい新規投資、本当にそういう意味では、これからこれでしっかり行きまっせと、こういう感じになったんでしょうかね。ちょっとお聞きします。
  82. 塩川正十郎

    国務大臣塩川正十郎君) 削減した方の数ははっきり出てきましたですね。大きいところで、大枠で言いまして、大体ODAで一千数百億円ですか、公共事業で一兆円ちょっと、それから地方行政で一兆ちょっとですか。それなりに削減したところは大きく分かっておるんですけれども、その二兆円の分配がなかなか細かいですから、あっちこっち細かいものですから一挙には分からないと思いますけれども、ずっと集計を取ってきたらやっぱり二兆円になるんじゃないかと思うておりまして、それがどれだけの分かということを、そんな一覧表を作ったことはございませんので、今のところは分かりません。
  83. 峰崎直樹

    峰崎直樹君 一覧表を作らないでも、これ財務省から出た、予算委員会の、提出された資料を見たんですよ。  そうして、例えば少子高齢化対応というので五千億程度と書いてあるんですが、その中身を一つ一つ見ていくと、保育所のは随分増えているんですね。伸び率で保育所は二番目ですよ。倍増なんです。ところが、見てみると、それで二百三十九億円なんですよね、五万人の受入れ児童増を図るための保育所の施設。あと、公共空間のバリアフリー化が九百五十八億、児童扶養手当の制度改正とか。この児童扶養手当の制度改正だとかそういうのも多少、それも一つ対応だといえばそうなのかもしれませんが、どうもこれ足してみても三千億ぐらいにしかならないんですよ。そうすると、残りの二千億というのは何だろうなと。これには出ていない。  これはまだいい方で、科学技術・教育・ITの推進というのは九千億、約一兆円なんですが、具体的な施策で見ると、例えば世界最高水準の大学づくり新規百八十二億、私立大学の教育研究高度化の推進六百四十五億とか、ずっと足していっても何か一千億か二千億ぐらいにしかならないのに九千億と、こう言っているわけですよね。そうすると、何かここへ書いていないものの方は旧来型のものなんだけれども書けないものだから書いてないのかなと思ったりするんです、これ。  あるいは、都市機能の再生なんというところへ行くと、どうもやはり旧来型のものを表現を変えたんじゃないのかな。環境に配慮した地域活性化のところなんかも、例えば新規の統合補助金なんというのは農業集落排水事業、集落排水ですから別にこれは生活基盤の問題だと思いますが、どうもその中身を見ると、新規で出ているものというのは本当にけたが小さい細かいもので、かなり規模の大きいものは何かなと思ったら、どうも今までの何か制度を転換をしたり名称を変えたり、余り自慢できるようなものになっておらぬのじゃないかという気してならないんですが、その点、どんなふうに考えておられますか。
  84. 塩川正十郎

    国務大臣塩川正十郎君) 予算規模は八十一兆円ですからね。その中の二兆円を分配を増やしていったところはどこの箇所かということになりましたら、先ほどおっしゃるように、ちまちましたものが細かいところへ散っておりますから、それを集計すると二兆円になる、削った方は集計していきますと五兆円になるということですから、それは一つ一つどかんと何千億円というようなもので変わっておるものじゃない。そういうものですから、予算規模が八十一兆円ですから、その中の計算をしろというものですから、それはおっしゃるように一つ一つ取ってみたら大した金額じゃありませんけれども、しかしそっちの方向へ、いわゆる政策的にこれが重要だよということでそちらの方へ上積みしていっておるということが政策の成果として出てきておると、こういうことで御理解いただきたいと思っております。
  85. 峰崎直樹

    峰崎直樹君 二兆円というのは、新しい分野に投資したんだという意味で意欲は買うんですけれども、中身はまだまだ本当に不十分じゃないかなというふうに思えてなりませんし、先ほどの考え方でいけば、やはり効果の上がるといいますか、財政支出のありようというのを少し考えなきゃいけない点だろうというふうに思います。  さてそこで、一般会計と特別会計の問題についてちょっと今日お聞きしたいんですけれども、外為特別会計、外為特会の剰余金の前倒し繰入れ問題について、これは先日も本会議で櫻井委員の方から、同僚の櫻井委員が質問いたしましたけれども、なぜ無理やり来年度の予算に計上するんだろうなという意味で、どうも法律が予定している精神を変えてまでやるというのはいかがなものかなというふうに思うんですが、この点が第一点。  それから、もう時間もだんだん少なくなってまいりましたので、じゃ千五百億円というのは一体どういう根拠で千五百億円になったのかなと。特別会計に積立金というのが調べるとあるんですけれども、これは十兆円超えているんですよ。もちろん丸々全部がなるとは言いませんけれども、そういうものの活用というのを考えると、それこそ塩川大臣、またへそくりが見付かりましたでっせと言って、ある意味では補正予算の国債を出さないでもいい財源があちらこちらに何かちりばめられているんじゃないかという感じがしてならないんですけれども、その辺り、ちょっとお聞きしたいと思いますが。
  86. 尾辻秀久

    ○副大臣尾辻秀久君) 御質問、三点あったかと思います。  まず、最初の外為の剰余金のそもそもの話でありますけれども、これはもう一言で言いますと、大変先ほど来御指摘のとおりに財政事情厳しい、したがって歳入を確保するためのぎりぎりの工夫でございます。そのように御理解いただきたいと思います。  それから次に、一千五百億の根拠でございますが、これはその一千五百億という数字そのものに必ずしも根拠があるわけではございませんけれども、本年度の外為の運用益でございますが、運用収入が一兆百九十七億円と見込まれますので、そしてその運用収入というのは、これは一兆百九十七億円と見込んではおりますけれども、流動的な面を持っておりますから、間違っても、間違ってもという表現がいいのかどうか分かりませんが、とにかく確実に見込まれる額として千五百億組んだということでございます。  それから三点目に、積立金を取り崩したらどうかという御質問でございましたけれども、この積立金の方は、一方から為替の評価損、評価益というのがございます。これとの見合いになっておるものですから、外為特会の健全な運営のためには不可欠なものでございまして、この為替の評価損、評価益を吸収する部分とでも申しましょうか、この積立金の部分で吸収しておるものですから、健全な運営のために不可欠なものだと考えておりまして、これは取り崩すことは不適当と考えておりまして、取り崩しておりません。
  87. 峰崎直樹

    峰崎直樹君 なぜそう言うかというと、国土交通省からお見えになっていると思うんですが、財務大臣、取決めがあったはずなんですね。国土交通省、例の自賠責特会の扱いの問題で、今二千億円の返済停止という問題が生じていたと思うんですね。こういうのを約束しておきながら、実はこれをなかなか履行しないという、こういうことなんですが、ある意味ではこの財源、一千五百億じゃなくて、例えば三千億にして、そういうものを約束どおり自賠責の、特に特会というのはたしかこれは自動車ユーザーがお金を払っている問題ですから、これは早く国民に返してあげる、もう返してあげるという形で進めていくべきなんじゃないかと思うんですが、この点はまず国土交通省さん、いかがでございますか。
  88. 森下博之

    大臣政務官(森下博之君) 一般会計から自賠責特会への繰戻しにつきましては、十四年度予算案では一般会計の財政事情が極めて厳しい状況にあること、繰戻しを行わなくても自賠責特会の収支状況等からは同特会の自動車事故の被害者対策事業等の実施に直ちに問題が生ずる状況にはないことから、繰戻しを行わないことといたしております。  今後の取扱いにつきましては、原則として十六年度までの間に繰り戻すとした大臣間覚書に従い、自賠責特会の事業の実施に支障が生じないように繰戻しを措置してまいりたいと考えておるところであります。
  89. 峰崎直樹

    峰崎直樹君 分かりました。もうそれ以上、あれしましょう、もうちょっと時間もなくなりましたので、税制の問題にちょっと最後進めていきたいと思いますので。本来であれば厚生労働省の方からもお聞きしたいと思っていたんですが、ちょっと今日は時間がありませんのであれしたいと思います。  そこで、今日のちょっと新聞見て思ったんですけれども政府税調が何かタウンミーティング、税のタウンミーティングをやったということで、何か聞くところによれば、相当一般の方々から批判が随分出ていたと、こういうことで、つまり石弘光さん、税制調査会の会長は、多分、課税最低限の引下げだとかあるいは法人税、法人企業でも七割は税を納めていないと。要するに課税ベースの問題をおっしゃられたと思うんですが、財務大臣も課税ベースの問題は随分、今の日本税制の中で一番問題は課税ベースが侵食されているんだということをおっしゃっていましたですね。  しかし、どうも今、一回だけのタウンミーティングを聞いていて、これはやはり国民はちょっとお待ちくださいと、政府税調だとかあるいは永田町で税の話を今しておるけれども、本当に今の行政についての切り込みはこれで十分なのかねと。そういう歳出カットの問題だとか、国民は、政治に対する見方、非常に厳しいときに、いわゆる税負担の増大なんてことを中心にした提言をされるというのは、どうもやはり今のタイミングではちょっと早過ぎるんじゃないかなと。課題としては私もあるように思うんですが、財務大臣、どうですか、その点どのように税制についての改革、考えておりますか。
  90. 塩川正十郎

    国務大臣塩川正十郎君) 税という問題は、税の問題は、一般の国民との話合いをしますときには税だけの話をすると絶対駄目です。通じません。やっぱり国の財政とそして我々の生活がどうなるのかということと併せて説明しないと、税は高いのか安いのかと言ったら、もう安いのに限っていますよ。それはもう当たり前なんですよ、そんな話幾らしたって。そこは役人の話なんです。政治家の話はそうじゃありません。  ですから、うまくやっぱり理解してもらうように持っていかにゃいかぬということなんです。ですから、タウンミーティングというのも、やり方ですね。私はそう思っております。  ですから、石先生のおやりになった、どんな形か中身知りませんよ、知りませんけれども、恐らく税は高いか安いかの話されたんだと思うんですよ。それだったら、それは安いのに限りますよ。高い高いと言うのは当たり前ですから。そうやなくて、そうやなくて、我々の生活今こうなっている、それから社会保障の問題もこうなっている、将来はこういう具合にしていかなきゃいけないんだということと併せて税の問題を考えるとどうですかと。そこでいろんな意見が出てくる。私は、今願わくは、意見を聞いてもらうだけで回ってもらったら結構やと思っております。
  91. 峰崎直樹

    峰崎直樹君 そうすると、今の塩川財務大臣の聞いていると、意見を聞いてもらう、いや、国民の皆さんが税に対してどんな疑問を持っているのか、どんな要望を持っているのかを、それを聞くだけでいいんだと。こっちの考え方をある意味では押し付けるというか、今問題がこういうところにあるからこういうふうにしたいというふうな、そういう政策提言は余りしない方がいいと、こういうことなんですか。
  92. 塩川正十郎

    国務大臣塩川正十郎君) 恐らく石先生のおやりになったのもそういうスタンスだったと思います。先生がこうしたい、ああしたいと税のことについて意見は言っておられないと思います。  そうしますと、一般の国民の方も、あれは高い、これは高い、これをこうしろというのは当たり前だと思うんですが、そこを一回謙虚に聞いて、やっぱりどこにそのいろんな問題点が潜んでおるかということ、それを抽出して、そしてその上で、そうか、しかしながら政治全体として、将来の経済の向かう方向を見てならば、こういう具合にしたらどうですかという案を作って、そしてその案を、そしてもう一度やっぱり国民との対話を進めていくと、そういう手順を踏んでいかなきゃならぬので、一発で、これは集会で集まってこられた方なので、一発でそれで意見が分かりましたと、よく分かりましたと、そんな簡単なものじゃないと思います。
  93. 峰崎直樹

    峰崎直樹君 そうすると、財務大臣ですね、税に対するもう最高責任大臣ですから、日本の社会の例えば社会保障をこうしまっせと、こういう問題がありますよ、税はこういうふうにしますよと、その見取図。それから国と地方の関係、こういうものについても、地方自治体との税源をどうするとかいろいろ出てまいりますわね、交付税をどうするかとか。あるいはその前に、行政体制を少し合併しろとかという、これはもう持論でいらっしゃると思うんですが、そういう姿をいつまでに、いつごろまでに作らなきゃいけないんですか。早く作らなきゃいけなんじゃないかと思うんですが、これは経済財政諮問会議の役割なんだということをおっしゃりたいと思うんですが、塩川財務大臣としては、そのタウンミーティングに行ってこういう要するに税を考えていただくのには、こういう社会保障、こういう国と地方の関係、こういう絵姿をいつごろまでに作られようとされているのか、あるいは政府としてはどう考えておられるのか、その辺りは教えていただきたいと思うんですが。
  94. 塩川正十郎

    国務大臣塩川正十郎君) もう既にできていますよ。それは最高の理想の、お釈迦さんの住んでいるような天国の理想のそんなものはできませんけれども、しかし現実の、今の我々が生活している現実の社会で、そこでこの点は改めてこういう具合に良くしていきたいとか、あるいは欠陥は正していきたいというものを、それは絶えずやっています。この委員会でも、それもういつでもその問題が議論されていますからね。  ですから、空想的なものを提示するんじゃなくて、現実の問題に立脚した話を説明をしていく。私はやっぱりそこに、やっぱり政治家の説明とそれからいわゆるペーパーだけの説明とは違ってくると思いますので、私らは、そういう国民対話を進めるのについて十分な措置を講じていきたいと思っております。  先生なんかでやっているのがそうでしょうがな。それは自分では今質問しておるようなことだけでやっていないでしょう。国民とのいわゆる、帰られて支援者の座談会なんかやったってそれは違うでしょう、話が。やっぱりそういうことが心が通じて、それで政治が理解されるんで、そんな一つ一つ断片的に、これはどうだ、これはどうだとやったって、全体が分かるもんじゃありません。
  95. 峰崎直樹

    峰崎直樹君 もう何だか圧倒されてしまうんですけれども。  私、個々の問題を挙げれば、いや、一つ一つ問題が挙がるというのははっきりしているんですよ。問題は、その将来像を、例えばよく租税負担率あるいは国民負担率、私は公的負担率と言っていますけれども、そういう負担率はどのぐらいにするのかとか、あるいは介護や年金や医療の税負担は、今、税投入しているけれども、これは本当に税投入するのがいいのかとか、保険と税の関係どうするかとか、そういうものの全体像というのはまだできていないんじゃないですか。個々の問題で言っているけれども。  だから、国民がやはり、そこのときに対症療法的にやったんでは、これはなるほどなるほどと聞いているけれども、しかしそうはいったって、全体、日本の社会、将来どうなるんだろうねというのはさっぱりまだ分かっていないんじゃないですか。私は寡聞にして、自民党の、いや政府税制調査会の答申というのはよく見ますが、自由民主党というのはそういう税制の将来の日本社会のビジョンというものを、私、あるのかなというのを一遍、あったら是非見せてもらいたいなと思う。  つまり、それをもって国会の中に、政権の中に入っていって、塩川財務大臣も昔、税制調査会の会長やられていたんでしょうから、そういうのがあったら一回我々に見せていただきたいなというふうに思います。  もう時間がないので、最後にそのことを申し上げて、何か感想があればお話ししていただきたい。
  96. 塩川正十郎

    国務大臣塩川正十郎君) それじゃ、社会保障やとか税だとかあるいは教育だとか、それぞれでございますけれども、この委員会として一番肝心なのは、それじゃ、おっしゃるように税はどうなっているか、税の将来どうするかという一つの方向付けできたやつがございますので、これは財務省でしっかりしたパンフレットできておりますので、先生のところへお届けいたしまして、是非ひとつこれを御検討していただいて、また議論のなににしていただければ結構だと思います。
  97. 峰崎直樹

    峰崎直樹君 自民党のはないんですね。自民党の税……
  98. 塩川正十郎

    国務大臣塩川正十郎君) 自民党はあります。あります。自民党はあります。
  99. 峰崎直樹

    峰崎直樹君 ありますか。
  100. 塩川正十郎

    国務大臣塩川正十郎君) 自民党はどういう格好でやっているんですかね。
  101. 峰崎直樹

    峰崎直樹君 電話帳だけじゃないんですか。
  102. 塩川正十郎

    国務大臣塩川正十郎君) 各部門のことでやっていますし、それをまとめて選挙のたびごとに自民党の政策と言ってやっておりますから、今年の党大会でもやりましたから、それをお届けいたします、それじゃ。
  103. 峰崎直樹

    峰崎直樹君 是非いただきます。
  104. 山下八洲夫

    委員長山下洲夫君) 午前の質疑はこの程度にとどめ、午後一時まで休憩いたします。    午前十一時五十七分休憩      ─────・─────    午後一時三分開会
  105. 山下八洲夫

    委員長山下洲夫君) ただいまから財政金融委員会を再開いたします。  財政及び金融等に関する調査を議題とし、財政政策等基本施策に関する件及び金融行政に関する件について、休憩前に引き続き、質疑を行います。  質疑のある方は順次御発言願います。
  106. 浜田卓二郎

    浜田卓二郎君 それでは、財務大臣金融担当大臣に御質問を申し上げます。  全部で四問準備をしておりまして、時間が三十分でありますので、私もできるだけ短く質問をして、簡潔なお答えを賜りたいと思います。質問の順序は御通告申し上げた順序とちょっと違えておりますけれども、御了承いただきたいと思います。  最初に、今、医療保険制度の改革案がこれから国会にも提案されようとしているわけでありまして、その中身について、そして同時に、特にこの財源問題についてお伺いをさせていただきたいと思います。  私の基本的な考え方をまず申し上げますと、この医療改革案の方向には賛成であります。よって、法案には賛成するつもりでおりますけれども、まず基本的に、高齢者医療制度の適用年齢を七十五歳以上まで持っていく、これは、平均寿命の延びている現状とか、大変皆さん七十を超えても活力のある方々が多いわけですから、この方向にも賛成です。そして、国庫負担を三〇%から五〇%に上げることについても、これも私の持論とも一致するわけでありまして、賛成をしております。  ただ、問題は、この高齢者医療費の問題の基本的な点というのは、これをだれがどういう形で負担するかということに私は尽きると思っておりまして、国庫負担割合を三〇%から五〇%に上げるということは、それは、保険に加入している現役世代の保険料で賄う方向から、より広い層に負担をしていただく税の負担にシフトしていく方向だろうというふうに思うわけでありまして、実はこれには私もかねてからそういう方向がいいんじゃないかと思っておりましたので、賛成をしているわけです。  ところが、今回の改革案では、それでは三〇%から五〇%に負担を上げる、そのために必要な財源をどうするかという議論がはっきりとしておりません。  事務当局のお話を伺いますと、当面の負担増というのは出てこない、少なくとも今審議中の来年度の予算においては負担増は、これによる国庫の負担増というのは予算計上する必要がないということでありますが、ただ、今後の高齢者医療費の推計というものを、これは厚労省が推計したものでありますけれども、見ておりますと、現在大体十一兆円、これが二〇〇五年度には十五兆円、二〇一〇年度には二十兆円、そして二〇一五年には二十七兆円と、大変なテンポで増額を見込んでいるわけでありますから、これの負担をどの財源でやっていくかということは私は明確にすべきだと思うんですね。ですから、本来、改革案が完結したというためには、これについての負担の方向というものを同時に定めることが望ましいのではないかと私は思うわけです。  私の考え方では、これは消費税で負担をしていくのがいいんではないかと思っておりまして、今直ちに消費税を上げろというのは景気動向から見て無理だとしても、少なくとも財源としてはそれをできるだけ早く明確にして、スケジュール的に国庫負担の引き上げに合わせて消費税の税率を変更していくという仕組みをセットするというぐらいの対応は私は国庫当局としては考えるべきではないか、そう思うものですから、塩川大臣の御見解を伺いたいと思います。
  107. 塩川正十郎

    国務大臣塩川正十郎君) 私は、高齢化が進んでいきますと、今、先生のおっしゃるような方向に行かざるを得ないと思うんです。やはり、消費税を中心とした間接税によって広く薄くこれを負担していくということにならざるを得ないと思うんです。今、当面の問題ではないと思っておりますが。  それともう一つは、私は、もっと高齢者に負担させたらいいと思うんですね。ちょっと高齢者の負担というものは今の制度から見まして甘過ぎるんじゃないかと。もう少し高齢者といえども社会的負担をしてもらっていいと思いますね。  というのは、こういう数字がございます。年収五千万円以上といったら、今までだったら大変な数でございましたが、少なかったんですが、今、五千万円以上というのはもう相当数おります。この方々が年金をもらっているのは二七%なんです。この方々のを調べてみますと、ほとんど貯金で、そのままで振り向きもしていないんです。そのままたまっておるんです、郵便局に、郵便局や銀行に。それから、一千万円以上の人、所得、年収一千万円以上で年金をもらっている人、この方が約二〇%おるんです。この人もほとんど年金に出し入れをしていないんです。  こうなりますと、私は、もうこういう方々の、御苦労だけれども、年金は保険ですから約束どおり払わなきゃいけませんけれども、そういう方々は辞退してもらっていいんじゃないかと。そして、それじゃ全く損かというと、そうではなくて、その間、辞退しておる間の合計額の倍額でもいいから相続財産から引いてやると、そういう姿勢があるんじゃないかと。そうすれば、立派に年金が保険の給付にも、年金の補助にもなってくるんじゃないかと思うんです。私は、そこらも考えるべきだと。画一的に、年が来たから年金を当てにするんだと、こんなことではもうもたなくなってくるんじゃないかと私は思います。  かつて、松下幸之助さんが、老人の日に門真市から座布団一枚と五千円持ってきた、そしたら突っ返して、持って帰れと、もう突っ返された。私、そういう精神がやっぱり一般にあると思いますがね。先生、どうですか、こういうのはひとつ野党から提案してもらったらどうでしょうか。私は応じると思いますよ、相当。
  108. 浜田卓二郎

    浜田卓二郎君 私は野党の立場で質問しているわけじゃありませんけれども。  今、質問申し上げた点は、私は、国庫当局としての責任という点でありまして、先ほど峰崎議員からも税についての包括的な御指摘がありましたけれども、やっぱり国の力が落ちているということは、この財源について、税についての議論が十分にできないという、特に税をどうやっていただくかということについて非常に避けて通るようになる、これは取りも直さず国としての力が落ちていることだと、私は実はそう思っているわけでありまして。  今回の医療改革の中でも、私は、もう財源は、これだれが考えても、もちろん異論はあるでしょうけれども、大勢はやっぱり消費税というものを導入してそれをどういうふうに税全体の体系の中で生かしていくかということについてはほぼコンセンサスはでき始めているわけですから、それをやはりきちんと、国庫負担を上げる、何のために上げるか、老人医療費の問題のために上げる、そういう明確なことが行われることに併せて消費税の問題もきちんと位置付けていかないと、それだけ取り出して別の機会にというのは、これはなかなかできない話でありますから、消費税導入のあのときの困難さ、それを克服した国庫当局の努力というものを私は忘れないで、こういうときのこのきちんきちんとした財源論はやっていただきたい、そういう趣旨で申し上げたわけでありまして、これは答弁は要りません。  それから二番目に、今、今日の株価も若干また上がったようでありまして、一進一退はしておりますけれども、ここ数日間大変明るい空気になっております。  私は、今回の補正予算、それから追加的なデフレ対策、これは政府の、大臣はどうおっしゃるかは別にいたしましても、政策転換の現れだと私は受け止めております。去年にここで補正の性格を議論させていただきましたときに、これはセーフティーネットの創設であって、決して景気拡大とかデフレ阻止とかそういうところまで踏み込んだ話ではないという御答弁をいただいた記憶があるわけですが、確かにデフレ阻止ははっきりおっしゃるようになりましたし、これはかなりの政策転換が実現しつつあるなと私は好感をいたしております。そしてマーケットも、私は政府の政策転換を待っているという気がするんですね。  今回のデフレ阻止策というのは、午前中にやはり峰崎議員も指摘されておられましたけれども、例えば空売り規制というのはルールの変更ですから、そういうある種の人為的な手だてによって株価が上がる条件を作ったという面があるわけで、必ずしも実需そのものではない面があります。しかし、デフレ阻止策までは踏み込んだということを私はマーケットが好感しているという点はあると思うんですね。それと同時に、この株価が上がってくるということがいかにいろんな人々のマインドに影響を与えて明るい空気を作るかということも、ここの数日、私自身見せていただいたような気がするわけです。  ですから、私はこれからもう一つ踏み込んだ対策が欲しいなというふうに思っております。やはりデフレが阻止された、そして景気が拡大に転ずるという大前提は、株価が下げ止まった、あるいは反転し始めた、そして同時に土地が下げ止まった、そういうことが明確に認識されて、私は景気の局面というのは変わってくると思うわけですから、その株価の重要性というものを十分認識していく必要があると思うわけです。  それともう一つは、もっと個人投資家に株式マーケットに入ってきてもらう方がいいと、そう思っております。今、間接金融から直接金融というような一つの流れが言われておりますし、政府もそういう方向を目指しておられると思いますけれども、やはり直接金融が本当に一般的に根付いていくためにはもっとこの株式マーケットの厚みというものを増していく必要がある。そのためにも、個人投資家の更なる参加ということは、別の言葉で言えば、個人の金融資産の配分の仕方の中に株式投資というものがもっと安定して入っていくということが必要だと思うんですね。  そういう観点から、私は、この際思い切ってキャピタルゲインについての非課税というのを踏み出して打ち出されたらどうか。まだこれから年度途中の税制改正もあるというふうに言っておられるわけですから、私は、そういう措置でしっかりした株価形成というものを目指していくということが適当ではないかと思うものですからあえて、あの有取税を廃止して譲渡所得課税に一本化してきた過程はよく承知しております。あのころは有取税さえ廃止すれば個人投資家はもっと呼び込まれると我々も思って議論をしてきたわけですけれども、必ずしもそうではない面があります。ですから、やはり、ここは時限措置でもいいですから、思い切ってキャピタルゲイン非課税というのを打ち出されてみたらどうか、それを提案申し上げたいと思いますけれども、御見解を伺いたいと思います。
  109. 尾辻秀久

    ○副大臣尾辻秀久君) 株価対策の一環として税を考えたらどうだろうか、こういうお話でございました。  もう今、先生がよくお分かりになっておられて、お話しになったことの繰り返しみたいな話になってしまいますけれども、基本的には株価というのは市場にゆだねるべきもの、それに対して空売り規制などをいたしまして、それが株価影響が与えたということになりますと、これも先生お話しになりましたように、そして午前中の議論でも出ましたように、官製相場ではないか、こういうお話も出てまいります。  そこで、税でやったらそういうことの御議論にならないのかどうか、そこのところが私どもとしてはまたいろいろ御意見を伺わなきゃならない部分だというふうには思っております。  とはいいながら、昨年秋には証券税制のお願いも、改正の見直しのお願いもいたしまして、これも、私どもは今、これまた先生お話しのとおりに、間接投資から直接投資への切替えということを目的にしてお願いをしたものでございます。  ただ、中身は、もうよく御存じでありますから申し上げませんけれども、今先生お話しになったようなこと、かなり満足している部分もあるのではないかなというふうに思います。  私どもとしても、今このお願いをいたしました件も、公平中立といった税制の基本原則から見て異例の措置と考えておりまして、その中で最大限の配慮を行っていることを御理解いただきたいと存じます。
  110. 浜田卓二郎

    浜田卓二郎君 当局としてお答えになれるのはそんなことかなと思って聞いておりましたけれども、よく頭に入れておいてください。もう株価は大丈夫だというのは間違いですよ。やはりかなり、特に海外からの日本のマーケットに対する見方というのは大変厳しいんですよ。私は、ドイツ人の、ドイツ人じゃなくて、ドイツの金融機関の勤めている友人がおりまして、よく意見交換するんですけれども、そんな楽観しちゃ駄目ですよというのをもう絶えず言いますね。だから、かなり海外の見方はまだ厳しいですよ。  だから、要するに、手続を変えて、ルールを変えて、空売りしていたのを大急ぎで買い戻させて、それが一つの起爆剤になったことは事実ですけれども、もう一歩踏み込めと、私が今日言ったことをひとつよく御記憶をいただきたいと思うんですよ。  ドイツの例で申し上げました、ドイツのことを言いましたから一つだけ例を引きますと、ドイツは今は一年以上の保有株式については一切その譲渡課税も含めて無税になっているんですね。それを導入したのが一九八〇年代、二度にわたって優遇策を導入したんだそうですが、その後、九五年、九九年と個人の金融資産に占める株の比率というのは急速に増えていまして、現在は言うまでもありませんけれども日本では五、六%と言われておりますけれども、かつて二、三%であった間接金融偏重の国のドイツも、現在はもう一三%ぐらいの個人株式保有比率というのが増えているわけですから、逆です、違いますね、個人金融資産に占める株式の比率というのは増えておりますので、そういうことも頭に置きながらひとつ取り組んでいただきたいというふうに思います。  この関連で柳澤金融担当大臣にお伺いいたします。  先般は我が埼玉県の代表団にお会いいただいて、大変ありがとうございました。実は埼玉県、別に地域のことだけ申し上げるわけではありませんけれども、中小企業の町というのは今大変しんどい思いをしております。特に金融面でしんどい思いをしているわけでありまして、銀行が普通だったら貸してくれる、あるいはもう決算期で、月末で、この日に約束をしてくれた、これで生き延びて何とか回復をしようとしている矢先に金融が止まったとか、それでもう目の前で友人が倒産していく姿というのを私はしょっちゅう見ているわけでありまして、そういう思いをこの県会議員の人たちがアンケート調査を取って取りまとめたのを大臣のところへ持っていったわけですが。  一つは、こういう御時世だから、中小零細企業に対する融資についてモラトリアムを出せということでありました。もう一つは、中小金融機関、特に信用金庫、信用組合に対する金融検査のやり方を、大銀行に当てはめる金融検査マニュアルとはちょっと一味も二味も違った、実情を踏まえた検査をやってくれというダブルスタンダードを適用せよという話でありまして、両方ともかなり、特にモラトリアムというわけにはいかないだろうと思います。  しかし、私、景気回復が近いという状況の中で、もう一息頑張れば生き残れる、もう一息時間をもらえれば回復できるという企業はたくさんあるわけです。ですから、本当に駄目になっちゃう企業が、それを、やはりこれは不良債権問題の本質になりますから処理していかなきゃいけないでしょうけれども、私は、やっぱりある程度のそういう弾力的な見方をして、少し例えば金利を払えよと、だけれども、三年で返せよといって期限が来たやつをもう二年延ばしてやる、もう三年延ばしてやる、そういうことでこの苦境を乗り越えられるという面は多々あるというふうに、大変ミクロな話で恐縮ですけれども、地域では実感をしているわけでありまして、そういうことに基づいた県議団の要請だったというふうに私は受け止めておりますので、ちょっと柳澤担当大臣の温情あふるる弾力的な御答弁というのをひとつ聞かせていただきたいと思います。
  111. 柳澤伯夫

    国務大臣柳澤伯夫君) 浜田先生の御熱心なお訴えは、気持ちとして大変私も理解をするわけでございます。  問題は、やはり融資というのは基本的には民間企業たる金融機関と貸出し先の合意に基づいて行われるということでございまして、今おっしゃられたようなことで私どもができるというのは、何かそういうものをブロックするような制度をしいて、それを金融機関に当てはめることによって間接的にそういう結果をどんどん生み出しているんじゃないかということであろうと、こう思うわけです。  そういう観点に立って、私どもはその金融機関が遵守すべきルールというものについてどういうことをやっておるかといえば、それは、中小零細企業というような方々に対しては、もう単に財務諸表でもって数字で判断するんではなくて、もっと立体的に奥行きのところまでよく勘案して判断しろということを、これはもうきっちりと書いてございまして、そういうことを配慮することは何ら問題でないと、こういうことになっておるわけでございます。  今、先生仰せの、特に言及されました元本モラトリアムというか、元本の償還期限の延長の問題も、これは別段できないということを言っているわけじゃなくて、むしろできるということになっておるわけでございます。ただ、その場合に、これは条件緩和の債権に通常なりますから、引当金がたくさん積まれるというようなことになるわけですが、これを回避するのも、実は金利条件でもってそのリスク部分をしっかり上乗せした金利をお支払いいただければ、それはそれでそう別に債務者区分を変えなくてもよろしいということでございますから、いずれにせよ、そこのところが何か制度的に隘路になっていて、そういうことができない仕掛けになっている、そういうインフラになっているということはないということでございます。  私から、釈迦に説法で大変恐縮ですが、申し上げられることは以上でございます。
  112. 浜田卓二郎

    浜田卓二郎君 そこなんですね。柳澤大臣は柔軟な方ですから、頭の中では、同じマニュアルの適用でも、実態をよく見ろということはあると思うんですね。でも、現場において、これは直接確認できている話ではありませんけれども、延期している、少し期限を延ばそうとしているやつはすぐ要注意にされるとか、引き当てを更に積めと言われるとか、そういう非常にしゃくし定規な運営が結果的には、生き長らえていける、また頑張っていける企業にまで引導を渡すような結果につながると。後で共産党さんから厳しい質問があるようですけれども、私の方は、そういう実態というのをよく勘案して、より弾力的にやっていただきたいということを重ねて申し上げておきたいと思います。  最後に、これは塩川大臣の御所見を伺いたいんですが、中国の元の、人民元のレートの話なんですね。私も現場で記憶いたしておりますけれども、昭和四十六年、一九七一年のあのニクソン声明の前後、あのころの日米関係と現在の日中関係というのは酷似していると私は思っているわけです。  当時、基礎的不均衡という言葉が盛んに使われました。日米間には基礎的不均衡がある、よって、日本の輸出攻勢はけしからぬと。それが課徴金の議論になったり、あるいは輸入割当てみたいな話になったり、更にはアメリカの自動車産業のローカルコンテンツという、部品は国内で何%までは調達せよという話になったりということでありまして、アメリカだけじゃなくてヨーロッパ諸国も含めて日本に対する通貨改定の圧力というのは物すごく高まったわけであります。その結果、円切上げになり、そしてそれほど時間を置かずにフロートしたと。そして三百六十円が一時期は百円を割るみたいなところまで行ったわけでありまして、私はそれ以上の基礎的不均衡というのが今、日中間に存在するんではないかというふうに思っております。  これが、護送船団でやっている業界における話ならいろんな議論があり得るんですけれども、製造業ですよね、最も世界で合理化が進み、競争力を誇ってきた製造業が、特に今その下支えをしている下請零細中小の部門でとてつもない空洞化の波に洗われているわけですよ。昨日まで注文があったのにあっという間に中国に生産拠点が移っちゃった、あるいは下請先が中国に持っていかれた、そしてぱたっと受注が途絶える。私は、このまんま行きますと日本の誇る製造業の足腰というのが本当になくなっちゃうんじゃないか。これはかなりの、私の具体的な支持者名が何人でも浮かぶんですけれども、かなりの努力をしていますよ。そういう人たちがもう真っ青になっている。どうやって生きていけばいいんだ。だからそれは、産業構造が変わるということは、どうやって生きていけばいいんだという、生きていく先をみんなが見付けるから徐々に産業構造は変わるんです。私はあの当時のヨーロッパやアメリカというのもそうだったと思うんです。そして、日本に迫った。そして、日本の通貨改定が行われた。そういう、ある種の時間稼ぎかもしれませんけれども、やはりローカルコンテンツ法を出し、それから通貨改定を迫り、そして製造業が徐々に産業構造の位置付けを変えていく、そういう時間的余裕も作ってきているわけですよ。  確かにこの前、事務当局のお話を聞きまして、ストレートになかなか言えない、日本だけが孤立しているというような状況理解できます。アメリカやヨーロッパが必ずしも中国に対して被害者意識を持っていない。それにはやはり日本より進んだ資本主義の段階というのが彼らが実現しているからだろうと思うんです。  私はやはり演説を、なぜかというと、余り細かな話の御答弁はいただけないと思っておりますから、思いのたけだけを先に申し上げまして、最後に財務大臣の御答弁を承りたいんですけれども、私はやっぱり、個々の企業の合理化努力を超えた部分の不均衡というのは、やはり政府がある程度配慮してあげて、時間を作ってあげて、そして産業構造が円滑に変化していく、そういうソフトランディングといいますか、それが政治だと思うんです。ですから、少なくとも、円が百三十円ぐらいになったら中国の当局が、円安はけしからぬと、そんなら元を切り下げるぞと、そういう言い方を放置して、ああそうですかと聞いているような政府であっては、これはもう中小企業、零細企業はもたないという気がするわけです。  ですから、私は、日本が孤独であっても、やはり日本の言うべきことは、やはり元を正常なレートまで戻せ、切り上げろ、そしてできるならばフロートさせよ、そういうことをまず主張すべきであり、それに同調者がいないのであれば、それは、中国がもうWTOにも加盟した。もうIMFの八条国に移行してからももう何年たつんですか、五、六年はたっているわけですから、多くの同じ仲間を作れるような環境整備を私は日本政府としてやるべきであり、それは通貨当局でもある財務大臣のお仕事ではないかなと思いますので、その点についての御所見を伺って、質問を終わります。
  113. 塩川正十郎

    国務大臣塩川正十郎君) 本当にいい質問をしていただきまして、ありがとうございました。  いや、私たちは本当にこれは今一番頭の痛い問題の一つでございまして、これは何も日本だけの問題じゃなくて、アメリカも相当苦々しい感じで実は見ておりますし、ASEANプラス3の会議でもこの問題が出てきておる。けれども、面と向かってそれぞれの国の為替に対してくちばしを入れるということはお互い外交上の問題もあって避けておるところですけれども、しかし、これに対する関心は共通の認識を持っているということは事実でございまして、G7に私行きましたときにも、アメリカだけではございません、英国もそのことをはっきり言っていました。それからカナダも、何で中国はあんなにペッグを解かないんだろう、物すごいとにかく為替管理をしているということで、対する非難はしておりました。  けれども、だんだんとそういうことが国際間における声として高まってきておりますので、だんだんと解除をされていくんではないか。特に、WTOに加入しましたので、これから貿易と実取引の間に合わせてそういう問題の解決、いわゆる値段の方で解決してくるということが起こってくるんじゃないかなと思っておりまして、もうしばらくこれ辛抱してみようと。しかし、世論を国際的に、国際的世論を起こそうと思って私たちも努力をしておりますので、お許しいただきたいと。
  114. 浜田卓二郎

    浜田卓二郎君 終わります。
  115. 池田幹幸

    ○池田幹幸君 日本共産党の池田幹幸でございます。信金、信組の破綻の問題について伺いたいと思います。  昨日、私どもの党の大門議員が具体的な例を挙げまして、大阪の例、東京の例挙げて質問しましたので、挙がっておりました大阪相互信金や船橋信金の具体的な例についてはちょっと今日私はお話しするのを省かせていただきながら、省略させていただきながら質問したいと思います。  そこで、昨日、大門議員が取り上げたのが大阪相互信用金庫の受皿である大阪信用金庫、これの問題で、大阪信金の方は、つまり受皿の方ですね、債務が幾らになろうと、ある業種については、区分が正常先だろうが何だろうが、もう一切引き受けないということを預金保険機構の了解をいただいているという文書を流している。その文書もお示ししたと思います。  そこで預金保険機構に伺いたいんですけれども一体預金保険機構というのは、そういった債務者の査定とか区分ですね、分類、それからある業種についてはもう一切引き受けまかりならぬぞと、そんなことを指示したり了解したりする、そういった立場にあるんでしょうか。
  116. 松田昇

    参考人松田昇君) お答えいたします。  昨日も申し上げたことでございますけれども、破綻金融機関の貸出し資産の切り分け作業、これは金融整理管財人、破綻金融機関金融整理管財人と受皿金融機関との協議によって決まるものでございまして、この作業に私どもがくちばしを入れるとかかかわる、そういう立場には全くございません。
  117. 池田幹幸

    ○池田幹幸君 それでは、そういう立場にないと、また実際そういうことはやっていないということだと思うんですね。うなずいておられますが。  そうしますと、何でこの管財人がこんな文書を出したのかということですね。了解するはずのないことを了解済みと言ったと。  結局、管財人というのはやっぱり金融のプロとして送り込まれているわけですね。そういった人が大阪信金の役員の言うがままにこういう文書まで出しているということは、これは誠に不公正なやり方としか言いようがないわけですね。こういう文書を受け取った側は、預金保険機構まで了解している、仕組みなんかみんな知りませんからね、了解しているんだ、ああそうかそうかということで唯々諾々としてそういうやり方をしていくだろう。どんどんどんどん切り捨てをやっていくということになります。こういった切り分け作業ということをやっている管財人、これについて、これは柳澤大臣に伺いたいんですが、こんなのを放置しておいていいでしょうか。
  118. 柳澤伯夫

    国務大臣柳澤伯夫君) 私ども金融機関が破綻をした場合に原則として、国有化というようなことでない限り、この管理を命ずる処分というのを打ちまして、具体的にその仕事をする者として金融整理管財人というものを任命するわけでございます。多くの場合、法律家一名、それから金融精通者一名というのが、特に信用組合というような小規模金融機関の場合にはこういう人選をいたすわけでございますけれども、この方々は当然、法律家でもある、また金融の精通者でもあるという立場からいって、今おっしゃられるのがどういう、何というか、ことを含意されているか、ちょっと池田委員の含意されていることもあれですけれども、どうもそのケースの場合も、最終の姿ではやはりそういうものではないやり方をきちっと取られたということでございまして、そういうような有資格者の方は当然そういうふうに、途中の若干のつまずきみたいなものはあっても、すぐにそれに気が付いて修正なさるということで進んでいるのではないかと、このように考えております。
  119. 池田幹幸

    ○池田幹幸君 ちょっとそれは実態からいって違うんじゃないかと思うんですね。  私、取り上げているのは、今取り上げたのは大阪相互信金の管財人の方のやり方についてお話ししたんです。これは、現実にこういうふうなこと、大阪信金、受皿の方がこういうことを言っているのを一緒になって管財人が連名で出しているんですからね、文書は。ごらんになったとおり、昨日。ですから、これはもうとんでもない話なんですね。うそを言っているんですから、金融のプロが。  こういうふうなことをやってまで、何をやろうとしているかということはこれからお話ししますけれども、やられていることについては、一番はっきりしたのは、先週の十五日に臨時総代会が開催されました、相互信金。これは結局、結論を申し上げますと、総代が抗議をして、結局は事業譲渡の提案は否決された。否決されたわけですね。だから、今の段階では大阪信金に譲り受けできないと、こういうことになるわけですが。今後、裁判とかなんとかあるんでしょうけれども、要するに今の時点はっきりしていることは、総代会でこんなとんでもない大阪信金には譲り受けまかりならぬという結論が出たんですよ。ということは、とんでもない管財人だ、とんでもない受皿機関だということ、そういう判断を持たれたということですよ。そうでしょう。それ持たれた内容は、今日はもう時間ありませんから私の方からお話ししますけれども、私ども調査したところによっても、とんでもないことやられている。  そもそも出発点では、大阪信用金庫と関西さわやか銀行という二つが受皿として手を挙げたんですね。ところが、会議になるとこの大阪信金がどういうわけか知らぬけれども大変なことで、どなり散らし、弁護士の管財人をどなりつけ、ともかくもう大阪信用金庫に基本合意を迫ったわけですね。ということがあるんですよ。そういうことを我々ももう調査でわかったし、組合員の方々もこういうこと聞いているわけです。そういったところで、こんな連中に任せたら大変だということで否決されたんです。  こういうことがあるわけですから、これはもう金融庁としてはこういう管財人選んだ責任あるんですから、直ちにこの管財人、首すげ替えて、きちんとした形でやらせるべきじゃないか。そしてまた、受皿機関についても一からやり直す、選定もやり直すということを直ちにやるべきじゃありませんか。時間はありませんよ。
  120. 柳澤伯夫

    国務大臣柳澤伯夫君) 私も、今、池田委員の触れられた株主総会のことについては報告を受けておりますけれども、その後、その余でいろいろ御言及されたことまでは報告は聞いておりません。  そういうことでございますけれども、私どもとしては、今言ったように法律家、それから金融精通者という者をきちっと選出させていただいておりますので、若干の蹉跌はある、人間ですから、私はあることも可能性としてないわけではないと考えておりますけれども、それは直ちに修正をされて適切な処理をなさってくれるものと、このように御信用を申し上げている次第でございます。
  121. 池田幹幸

    ○池田幹幸君 いや、もう事ここへ来たら、そんな管財人にこういった状態を処理する当事者能力はないですよ。金融庁はきちんと責任を取るべきですよ。できる人にちゃんと替える。選定作業もやり直すということをやるべきだということを申し上げておきたいと思います。  さて、続いて、今度は受皿への、持参金と言ったらまた金融庁、頭にこられるでしょうが、私はあえて言いますが、持参金の問題について伺いたいと思うんですね。今日は資料をちょっと配らせていただきました。  まず、一般論として預金保険機構に伺うんですが、破綻処理の中で結局債務超過がどんどん増えていくということがあります。要するに追加引当金が必要になるということが生じるわけで、そういったことから起こるわけですけれども、そういった追加引当金、これが必要になることによって受皿金融機関に対する金銭贈与、これがどう変化するか。これはもう当然増えていくと思うんですが、そのことを簡単にお答えください。
  122. 松田昇

    参考人松田昇君) 現在のような経済情勢の下では、金融機関の破綻から譲渡までの時間の経過に従って資産劣化が進むと、この傾向はもう顕著なものがあります。したがって、時価が下落するなどによる担保評価の修正の必要など、これはもう当然のことながら増額の原因ということで出てまいります。  また、破綻した後、改めて金融整理管財人が自己査定をやり直すということになっていまして、それをまた公正な第三者の監査法人がチェックをするということで出てくる結果というものを見ますと、往々にして破綻時あるいは破綻前の金融機関自己査定よりは増額になるということもあります。  また、優良貸出し先が取引を他行にシフトすることによる優良資産の抜け出しもありますし、事業譲渡に伴うコスト、これが掛かります。  そういうことが重なりまして金銭贈与額が膨らむと、こういう傾向にあるということでございます。
  123. 池田幹幸

    ○池田幹幸君 そのとおりだと思うんですね。  そこでこの資料を見ていただきたいんですが、これは受皿として手を挙げました東京東信用金庫、これは船橋信用金庫の受皿。東京東信用金庫を例にして、ひがしんと言われるんですね、東京東信用金庫、ひがしん、これを例にしてお話ししたいと思うんです。  これは、仮に一億円の債務者区分、これはランクがこう引き落とされていったという場合を想定しているわけですけれども、そもそも金融庁検査を経て、そして正常先とされていた債務者、これが正常のままなら、私「〇万円」と、ゼロとしました。ゼロじゃないんですけれども、ほとんどゼロですよね。それが要注意先、ここに落とされますと結局三百万円、これ追加引当金が必要になってきます。それが要管理先になると一千万円、破綻懸念先ということになりますと三千万円という、これはもう大体担保を七割と見て大体やったのがこういう数字なんです。これ実際、ひがしんでやられておることなんですね。  こういう状況になって、引当金はそのまま受皿に引き継がれますから、私は持参金というふうにあえて言いたいと思うんですけれども、こうなりますと、結局は国民の公的資金が余分に受皿金融機関に支払われていくということになると思うんですね。こういうことであるとすれば、管財人の債務者区分というものは本当に厳正にやらなければ国民の税金がどんどんどんどん使われちゃうということになると思うんですね。  その点についてまず、その点では認識は一致すると思うんですが、大臣、いかがでしょう。
  124. 柳澤伯夫

    国務大臣柳澤伯夫君) 言わば数学の問題としては全くそのとおりでございまして、管財人というのはどこの財団においても大事な任務を背負っているわけですけれども、殊にこのように公的資金が絡む場合には非常に大きな責任を持っておるということがまず言えるわけでございます。  もう一つは、今、松田預金保険機構理事長のおっしゃられたとおり、預金保険機構が依頼をする形で外部の監査人も監査法人もお願いしておりまして、そのことによってこの資産の査定というものの公正さを期しているという制度になっておることも御理解を賜りたいと思います。
  125. 池田幹幸

    ○池田幹幸君 正にその監査法人を置いてそういうふうにやっているんですけれども、その監査法人に対して、例えばこのひがしんの場合だと、受皿もひがしんの職員と、それからその管財人補佐人、これもまた後でお話ししますけれども、一緒になって、要するに、これはもう正常先じゃないんだ、破綻懸念先にしろという形で強要して、監査法人、この監査法人の職員が困り果てているといった状況がこのひがしんでは起こっているんです、ふなしんの破綻処理では。そういう実態が起きております。  例えば、昨日、大門議員がこのことについても具体的に具体例を示してお話ししたと思うんですけれども、要するに、正常先を二割にしろと。金融庁検査では正常先六割だったんです、ふなしん。その六割を、正常先は二割にしなさいと、四割はもう全部ランク下げなさいということをやったんですね。そういうことについて大門議員が質問したのに対して、柳澤大臣は、そんな事実はないと、補佐人はそんなことは一切していないというふうにお答えになりました。しかし、これは大臣、実際現場を残念ながらお調べになってお答えになったんではないと思うんです。私たちは実際調べました。現実にこれ、やられているんですよ。  ですから、何といいますか、想像で言われたら困るんです。現実の問題なんです。だから、大臣のところに上がってきている報告ではそんなことやっていませんと言っているかもわからぬけれども、もう一回本当に調べてみてください、やっているんですから。私自身も聞いてきました。私たちの調査団が全員このことは確認しています。現場で働いていた人たちがそれをしっかりと経験されたんですから。このことについてはしっかりと事実を調べてもらいたいと思うんですね。  そこで、このことについては調査を私は求めたいと思います。このことについて改めて、昨日の今日ですから答弁は要りません。  そこで、そのことについて私、具体的な証拠といいますか、そのこともお示ししておきたいと思うんです。何もはずみでやっているんじゃない、方針きちんと定めてそれやっているんだということをお話ししたいと思うんです。  ひがしんの事業譲受け作業部会の作業着手に当たっての留意点、こういう文書があるんです。これはひがしんの中で実際に譲受け作業をやる人たちに対する指示文書です。私、手元に今持っておりますけれども、ちょっとこれは余りにも公開するとちょっと問題が起きそうなので公開はいたしませんが、触りの部分については読んでお話ししたいと思うんですね。  もちろんこれ、金融庁調査なさればこれと同じ文書は必ず手に入るはずですからそれをやっていただきたいと思うんですけれども、それの中ではこういうことを言われていますね。譲受け作業は、譲受け金融機関を当てにできないので譲受け金庫が行う覚悟が必要と、まず基本姿勢が書かれている。貸出金の査定は預金保険機構の査定に一任しても構わないが、預保は極力資金援助を少なくするのが基本姿勢なので、多少無理をしてもすべて自らが行うべきだと。  預金保険機構がやるというのはこれは間違いでして、別のところでもこれは勘違いしているんですね。東京信用金庫の別の資産切り分け基準では預金保険機構委託の監査法人の査定と言っていますから、これは監査法人の間違いだと思います。そういう意味で、彼らは監査法人の意味で書いていると思うんですが、監査法人の査定に一任しても構わないけれども、結局は多少無理をしてもすべて自らが行うべきなんだと。その多少の無理が相当な無理だと、無法だと私は思いますけれども、そういうことをやっている。    〔委員長退席、理事円より子君着席〕  それから、ここなんですね。後で私、今日の話の中心部分のことについて先にお話ししておきたいんですが、資金援助申請においては、要注意先、破綻懸念先に対する引当金、必要書類に添付する印紙代、担保の移転登記などの費用が資金援助の対象となると。  したがって、資金援助、この額を増やしていこうと思えば何やるか。これは、印紙代とか移転登記なんて、こんなの増えませんわ。何だといったら、引当金です。ランクどんどんどんどん引き下げれば、それだけ引当金このように積み上がっていくわけですから、正に持参金は増えるわけですから。こういうことをきちんと文書でこう指示しているんですね。基本的な考え方、こうやってやりなさいよと、留意してやりなさいよということでこれやっているわけです。どう思いますか、これ。
  126. 柳澤伯夫

    国務大臣柳澤伯夫君) ちょっと私、聞いただけですから、何というか、受け止め方もちょっと、それを前提にして物を言うことがいかがかと思う戸惑いが、迷いが私、心の中に実はございます。  しかし、今、池田委員が触れられた中で、費用最小原則もあるんでということも十分分かっているわけですね。分かっているようですね。  そうだけれども、できるだけ無理をしてでも自分たちの査定が最終の査定になるようにそこは頑張ってみろみたいな話なんでございますか。  全く余分なことだと思いますね。
  127. 池田幹幸

    ○池田幹幸君 余分なことといいますと。  とんでもないことというふうに受け止めていいと思うんですがね。  それで、そういうことを、さらにその基本姿勢がさっき言いましたようにありまして、要するにどんどんどんどんランク下げていけば増えるからと、こういう考え方を基礎にして、そういう今余分なことやられたんじゃこれたまらぬわけですよね。これは早急に私は調査していただきたいと思うんです。  これ、同じこと、ふなしんでも大阪相互信金と同じようなこと起こりますよ、こんなことやったら。みんな怒って、こんなもの、さっき株主総会とおっしゃったけれども、株主じゃなくて総代会ですね、総代会で同じようなこと起こりますよ、これ。また、起こってしかるべきだと思うんです。そうじゃなかったら地域の中小企業救われないですよ。会員は救われないです。そういうことを強く申し上げておきたいと思うんです。  さらに、まだある。もう一つちょっと伺っておきたいのは、このふなしんの職員、これは住宅ローンをこのふなしんから借りているんですね。その住宅ローンについての債務区分、これが今どうなっているか、これは御存じですか。これは大臣に伺ってもあれですけれども、事務方で分かりますか。分からないでしょうね。債務区分は現在は破綻懸念先になっているんです。住宅ローン、職員の。  ところが、金融庁検査した段階では正常先なんです。正常先が今度、破綻した後、破綻懸念先に変えられちゃった。破綻懸念先というのは普通はもうこれ引き取らないんです、受け皿金融機関は、普通は。破綻懸念先はもうRCCなんです、大体が。ところが、このひがしんでは破綻懸念先についても、これ引き継ぐというんです。  大臣、これ、何でこんなわざわざ破綻懸念先に落として、何で引き継ぐかお分かりですか。想像は付くでしょう。
  128. 柳澤伯夫

    国務大臣柳澤伯夫君) それは、今、池田委員がるる展開された理論、論理からいって想像付きますですね。
  129. 池田幹幸

    ○池田幹幸君 そうなんですよね。だから、結局まず破綻懸念先に落とす、そうすると持参金もらえますと。ここまでは、ここまででもけしからぬですけれども、もっとけしからぬのは、これ六月になったら全員一度退職になるんです、職員は。首になる。何人救われるか、また再雇用されるか分かりませんけれども、ともかく全員一度解雇。そこで退職金を受け取れます。    〔理事円より子君退席、委員長着席〕  退職金を相殺するんですよ、これ、住宅ローンと。だから、もう確実に回収できるんですよ、確実に。それをわざわざ破綻懸念先にする。これはまるで税金のだまし取りじゃないですか。そう思いませんか。
  130. 柳澤伯夫

    国務大臣柳澤伯夫君) 今のお話も池田委員から聞いているだけのお話ですから、それについて私が確定的なコメントをするというのはやっぱりちょっと迷うところがありますけれども、今おっしゃったのだと、形式的にこの人のお勤め先、つまり船橋信用金庫は破綻をしたと、だからこれはそこに勤めている職員もなかなか回収ができないかもしれないというような形式論理がそこにあるのかもしれません。  しかし、今、池田委員が言われたような道行きをたどるということが展望されていれば、それはやはり適切な処理というわけにはまいらない、このように思う次第です。
  131. 池田幹幸

    ○池田幹幸君 これ、額も結構なものなんですよね。十億円だというんですよ、住宅ローン。十億円といいますと、これでいきますと大体三億円が労せずしてひがしんに入っちゃうということになるわけで、これはもう本当にどう考えてもこれは許せないですね。  特に、首を切られる職員にとってはたまったものじゃないですよ、一生懸命地域のために尽くしてきて。特に船橋信用金庫、あの地域でふなしんというのは本当に人気あるんですから、御存じだと思いますけれども。本当に地域に愛されている信用金庫だったんですね。特にそういうところですから、これ、問題はもう本当に大きくなるというふうに私は思うんです。何としてもこれは具体的な事実を調査していただきたいと思うんです。こういうことをやっていることについては調査した後、これはとんでもないということになれば、当然金融庁として、金融担当大臣として取るべき道があるだろうと、そういったことをやっていただきたいということを申し上げておきたいと思うんです。  もう一つ。そこで、今度は一般論の方に戻るんですが、結局、切り分け作業と切り分け基準の問題なんですけれども、破綻をしたと。そこで、改めて管財人が査定をする。今度はその査定をしたやつを受皿引き取るわけですけれども、そのときにやる切り分け作業はまた別だと。これは受皿の方が選択権がありますということでやるわけですが、しかし、昨日の大門議員と柳澤大臣議論を見ておりますと、要するに選択権は受皿金融機関にあるんだからと、最終的にはということですね。しかし、それを言ってしまうと、じゃ果たして、破綻後の管財人のいわゆる分類作業は一体何だったんだというふうになりますね。もちろん非常に冷静な、公正な、そういう立場で受皿金融機関がやるならいいですよ。そうじゃなしに、この大阪相互とかひがしんのように、ともかく税金の二重取りまでしようかというふうな姿勢でやるようなところが出てくれば、これはそんなもの任しておられない、何のための管財人か、何のための分類作業かということになってしまいます。そこで、やはり基準としてはきちんとしたものをやっぱり作らにゃいかぬと思うんです。  そこで、何もないのかというと、そうじゃないですよね。現実に、今度は承継銀行が四月から生まれますね。ここではきちんとした基準を作っているじゃありませんか、ちゃんと。ここでは、これは昨年三月に告示されているわけですけれども、そこの切り分け基準といいますか、何というんですかね、長い名前で出ておりますけれども、単純に切り分け基準というふうに言わせてもらいますが、その告示の中の二番目が「承継銀行の保有する資産として適当であることの確認を行うための基準を定める件」と、これは切り分け基準ですね。それを見ますとこうあるんですね。再生委員会のときの基準とこれは同じになっていまして、五千万円未満の債務者は、きちんと元利金を返済している限り、債務内容を問わずすべて引き取られると。それで住宅ローンも守られます。受皿方式でも、この告示に沿って債務者の切り分けを行えば、客観的にできるということになるわけですね。  これは、こういう基準は金融庁自身が作られたわけですよ。これを受皿銀行に対しても適用するということ、これが今必要になっているんじゃないかと思うんですが、大臣、いかがでしょう。
  132. 柳澤伯夫

    国務大臣柳澤伯夫君) まあこれは、非常にいろいろな力関係がこの取引の中には働いているということが事実でございます。  今の池田委員の立論の中でも、できるだけ国費というか、公的な負担というものを最小化しなさいと。むしろ厳しくない査定をあえて言っちゃえばして、引当金はできるだけ少なくして、国損はできるだけ少なくしますが、他方、そうしておいて、受皿に対してはできるだけひとつ引き受けさせたらどうですかと。この二つだけ考えても、なかなかすっとはいかない話だということがお分かりいただけるだろうと思うのでございます。  つまり、何というか、できるだけ早くにその受皿金融機関にこれを譲渡しなきゃいけない、そういう時間の要素も働いているというのがこの取引に掛かっているベクトル、力の方向なんですね。そういうことをどの辺を、何というか、ねらって落として、話として落着させていくかということなのでございます。  この基準を作ることも大事だということはもちろん十分理解できるわけですけれども、最終のところは別に強制できるわけではありません。我々も、言わば国では、当事者では、国の機関ではありますが、しかし、あくまでもその取引というのは対等な者同士の間の合意を形成していくということでしかないわけでございまして、御意見は御意見としてよく拝聴しておきますけれども、いろいろなファクターが働いていると、しかもそれは必ずしも同じ方向で働いているわけではない、そういうところの中でどの辺を一体一番適切な結論として出していくか、なかなか難しいところだということを申し上げております。
  133. 山下八洲夫

    委員長山下洲夫君) 時間になっていますので、簡潔にお願いします。
  134. 池田幹幸

    ○池田幹幸君 最後に。今言われたやつについて、できるだけ緩い査定をしてと、そんなこと私、言っていないし、私が申し上げたのは、金融庁の基準でと言っているんですから。もしそれが緩いというんだったら、柳澤大臣、何か自己撞着に陥ってしまいますよ。  そうじゃなしに、そういった基準でやればいいじゃないかと。
  135. 柳澤伯夫

    国務大臣柳澤伯夫君) 引き当てを少なくしろと、そういうことだったと……
  136. 池田幹幸

    ○池田幹幸君 いや、基準のことを言っているんです、私は。その基準を銀行にも適用したらどうかということを申し上げているんで、何もそんな無理はないと思いますね。  最後に、私、今日は証券監視等委員会委員長をお願いしておったんですが、申し訳ございません、時間がなくなりました。お許し願いたいと思います。  終わります。
  137. 平野達男

    ○平野達男君 国連(自由党)の平野達男です。  RCCに関して何点か御説明いたします。  財務大臣には質問行かないと思いますので、もしなんであれば結構でございますけれども。  先般、早急に取り組むべきデフレ対策案、対策ということ、対応策ということで方針が出されまして、全体がたしか三つか四つ、空売り規制とか何か含めて項目があったと思います。あります。その中で、「RCCによる積極的な不良債権買取り」という項目がございまして、これはもう御承知のように、昨年に金融再生法の改正をやりまして、RCCによる不良債権の買取り、いわゆる時価の買取りを認めたというような改正をやっています。そのときの状況と、これを何か早急に取り組むべきデフレ対応策の中で、その状況と比べて、この対応策を作ったときの状況、余り変わっていないように思うんですけれども、これをわざわざ項目立てて「RCCによる積極的な不良債権買取り」と入れたというのは、何か大きな背景でもあるんでしょうか。
  138. 柳澤伯夫

    国務大臣柳澤伯夫君) 別段、背景というか特段のことが何かあるということではございませんが、そのくだりに書かせていただいておりますように、丸の一番目によりますと、債権買取推進本部というものを作って、五十三条買取りを積極的に行う体制を作ろうというようなことがございますし、丸の二つ目には、五十三条買取りでこれまで得た回収益というものを財源として活用するということも念頭に置いてよろしいですよ等々のことがそこに掲げられるというようなことがあって、改めてそこにもまた取り上げさせていただいたということでございます。
  139. 平野達男

    ○平野達男君 正に今、大臣がおっしゃられた、万一の二次ロスのリスクに備えて、五十三条買取りに係るこれまでの回収益を財源として活用することとしという項目を起こしているんですね。これはもう昨年の金融再生法のときには、二次ロスは絶対出しませんと。ましてや、二次ロスが出た場合の回収益なんという話は一言も出ていませんでした。それがここの早急に取り組むべきデフレ対応策の中に堂々と出てきている。これはどういうことなんでしょうか。
  140. 柳澤伯夫

    国務大臣柳澤伯夫君) いや、別段この二次ロスの問題についての私ども考え方が変わったということではありません。そうではなくて、何と申しますか、従来は非常に低い買取り価格というもので、しかもそれは一本一本について損失を生ぜしめないというようなことで取り運んでまいりましたので、どうしても組織としてはそちらの方に気持ちが傾いて、堅めにというようなことがあるんではないかというようなこともおもんぱかりまして、もちろん、二次ロスを幾らでも出していい、この百五十億円ちょっとの財源も使っていいですよというようなことで言っているわけじゃなくて、そういうようなことも念頭に置いて、そう一つ一つのことにロスを出さないということで神経質にならないで、少し弾力的に、積極的にやってくださいよということがその趣旨でございます。
  141. 平野達男

    ○平野達男君 ですから、もうその答弁自体が金融再生法の議論と大きく変わっているんですよね。あのときは、ここのときの議論は二次ロス出ませんかという議論が一杯出ました。出さないように、出さないように適正な価格でやると言ったんです。二次ロスが出た場合の財源なんというのは一言も言っていないんです、政府は。議論していない話が何でここで出るかという話なんです、ここは。  そうしますと、何か新しいことがありましたかと言ったらないと言いましたけれども、私は、ここの中で一番新しく出たのは、二次ロスの財源をここで作りましたという宣言したというのが、この対応策の中ではあの金融再生法の議論の中では出なかった新しい項目なんですよ。これが要するに早急に取るべきデフレ対応策の新しい項目になっているという、これがおかしいじゃないですかと言っているんです。御答弁をお願いします。
  142. 柳澤伯夫

    国務大臣柳澤伯夫君) 二次ロスを出さない、あるいは出すまいという気持ちにおいて何らの変わりもありません。特に鬼追社長におかれてはそういう決意を非常に強くお持ちなんです。これはもう御答弁で何回も社長御自身がお答えになられたとおりで、今それも変わっておりません。  ただ、あえて内輪話として申しますと、要するに鬼追さんにしても、私ども百五十三億もうけたじゃないかと。これ五十三条買取りなんですよ。もうけたじゃないかと。そういうものをさっさとまた、松田事長に言わせるとしかられるかもしれませんが、預保が取っていって、一銭も使わせないというのもきつい話じゃないかと。こういう言わば、何と申しますか、常識的な話があって、それでは鬼追社長がお稼ぎになったこれも一つ頭に置いていただいてよろしゅうございますよという程度の話で、これを何でも使えと、これを使うまではもう自由に買っていい、そんなことを言っているのでは毛頭ない。したがって、その意味ではこの金融再生法の改正の御審議のときと我々の気持ちは変わっていないと、こういうことです。
  143. 平野達男

    ○平野達男君 お気持ち、気持ちは変わっていないというのはよく分かるんですけれども、ただ、言いたいことは、あのときには、二次ロスは出ません、その財源の話も全然出ていない。これがここで、対応策の中でこういう形で三行で出てきている。こういう形でなし崩し的に変わっていくということが、やっぱりこちらから、私のサイドから見るとやっぱり怖いなと。  これが出ますと、結局、価格設定に万が一、ひょっとしたら、手心とは言いませんけれども、やっぱり二次ロスが出てくることはありますということを宣言したということなんですよね。万が一、二次ロスが出た場合にはここの財源はありますということで宣言しているわけですから。だから、そこが今までの議論の中とはちょっと違うし、ここで半歩、一歩出て踏み出して、これが宣言なき要するに政策変更というか、なし崩し的に変わっているということに対しては、きちっとしたやっぱり歯止めを掛けていかなくちゃならないんじゃないかという趣旨です。  もう一点あります。これは結局駄目になってしまったんですけれども、山崎幹事長が、債権回収機構のときに、簿価で買い取ったらいいでしょうかという話が正にぼかっと出てきたということですけれども、あれは、本当に結局はやめて、先ほど言ったように政府内の、あるいは党内での議論で結局やめたんですが、何であんな話が出てきたのかなという話が一つありますし、実は、あの話が出てきたことによって、私は大きな影響が二つあると思っています。  一つは、まず市場に与える影響。これひょっとしたら、黙っていたら簿価に行くんじゃないかと。幹事長が言った言葉ですからね。黙って要するに不良債権こう持っていて待っていればいつの間にか、やっぱりこれは時価じゃ駄目だと、簿価で行くんじゃないかといって、まず出し渋るんじゃないかというのが話が一つ。  それから、これは鬼追社長に、今日は来ていませんから大変失礼ですけれども、RCCの中でも、どうせ簿価だって幹事長だって言っているんだと、要は買えばいいんだろうという、価格査定の中で甘い要素に働くんじゃないかという、これはないというふうに私は思いますけれども、ただ、前半の、市場に与える影響というのは、これは私、少なからずあったと思うんです。  まず、幹事長が何であんなことを言ったのかというのを、これは幹事長に聞ければ一番いいんですけれども柳澤大臣、あの発言の影響、これはやっぱりきっちり分析しておく必要があると思うんですが、どうでしょうか。
  144. 柳澤伯夫

    国務大臣柳澤伯夫君) 今の御議論は、簿価という言葉が一度吐かれたので、債権の売買市場で売買価格が上がるという影響が出たんではないかと、こういうことかと思いますけれども、まあ何というか、債権のあえて市場ということになれば、そんなことはあり得ない。つまり、金融機関とRCCの間にはそれはそういうようなことがあったって、今度はRCCは売る先では困っちゃいますからね、そんな高い値段で買ったら。  要するに、ここで働いているのは、もう市場価格、マーケットフェアバリューしか働かないということでございますので、まして委員がおっしゃられたように市場価格への影響ということになると、そんなものが影響するとは到底考えません。
  145. 平野達男

    ○平野達男君 市場価格というよりは、不良債権を持っている金融機関です。先ほどの話では、山崎幹事長の発言は軽いから余り影響がないよという声もありますけれども、まあ一応幹事長のあれですから。簿価だというふうに出して、そういった案もあるよということを今のこの時期に出したわけですよね。金融機関がどのように取るでしょうかという話なんです。  これはやっぱり金融担当大臣としてしっかり、おかしいじゃないかという声をやっぱり幹事長なりなんかには上げたとは、言ったとは思うんですが、そういった対応を取ったかということよりは、金融機関がどのように取ったかということに対する柳澤大臣分析というか、見方というか、それをちょっと教えていただきたいということです。
  146. 柳澤伯夫

    国務大臣柳澤伯夫君) 大変難しいお話でございますけれども、他方、私どもは、先ほどどなたかからちょっと、二年、三年がずっと続くのかなんというお話もありましたけれども、三年ですね、その期限を切ってオフバランスを進めるようにということを申しているわけですから、よし、じゃ与党の幹事長が簿価と言ったら簿価もいずれ実現するだろう、それまでオフバランス化を待っていようと、こういうことが許されない状況に立たされているということを御指摘させていただいて、御答弁に代えさせていただきます。
  147. 平野達男

    ○平野達男君 いずれあの影響というのは、私、少なからずあると思いますし、まだまだ、私、魑魅魍魎ということを一回夢で出てきたという話ししましたけれども、やっぱり魑魅魍魎はいるのかなという感じがちょっとしました。  ちょっと話、別な質問に移りますけれども、債権回収会社がいろいろ銀行系とか管理組合系とかあるいは信金とか外資系とかあるようですが、これは平成十三年六月三十日現在のデータを見ますと、取扱債権額三十六兆だそうです。その中で外資系が二十二兆円。外資系は、取扱件数は実は少なくて一件当たりが物すごい高いという、件数が非常に大口のものを扱っている。しかも、三十六兆のうちの二十二兆ですから相当のシェアを占めている。  この債権市場というのは、こんなに何だか外資系が非常にもう席巻しているという感じがするんですが、これについては柳澤大臣はどのような感じを持っておられるでしょうか。
  148. 柳澤伯夫

    国務大臣柳澤伯夫君) これは、私もそういう傾向にあることは承知をいたしております。もういい加減、本邦系というか、日本系の債権回収会社が数を増やし、また取扱量を増やしていい時期ではないかと、こういうように思っているんですけれども、何と申しますか、どうも今の日本人というのはリスクテークの気持ちが少ないというんでしょうか、ちょっと私などもやきもきしているというのが実情でございます。  ただ、一点指摘させていただきますと、私、アメリカのFDICの総裁であったシードマン氏としばしばお会いするわけですけれども、シードマンさんも言っているのは、やっぱり不良債権の売買市場で、本当に最初のころ特にそうなんだけれども、お金を用意して買いに来てくれるのは、アメリカの場合でも、例えばアラブ系の方々なぞアメリカにとっては外の方々であったと、それが私の経験ですよというようなことも私におっしゃって、私の気持ちを少しは楽にしてくれたということがございますが、同じお話をここで御披露させていただきます。
  149. 平野達男

    ○平野達男君 こんな話が本当かどうか分かりませんけれども、私もどっちかというと国粋主義者のつもりですけれども不良債権市場、こんなに外資系に荒らされたらたまらないと。何とかして日本金融機関でどんどんどんどん買えないかという、そういった背景の中に簿価論みたいなのも出てきたのかなというような感じも、これは別な夢かもしれません、そんな印象も持っています。  ただし、そういう中で、先ほどの買取り価格の問題じゃないですけれども、こういう例えば外資系のこういった影響があるとか、そういった仮に要素があったとしても、やっぱり価格の設定というのは厳密にやるべきだし、他方、この不良債権市場を見ますと、外資系というのはやっぱり不安ですから、不良債権市場の日本企業の育成というのをどんどんやってもらいたいなというふうに思います。  さらに、このRCCに関しまして、もう一つあるのは企業再建ファンドなんですが、これはたしか平成十三年度中に設立しましょうということで、日本政策投資銀行から五百億、これはもう予算措置したと思うんですが、やっていますけれども、今はマネジメント会社が二社、それからファンドが一つということで、かなり進捗が遅いんではないかというような感じがします。平成十三年度中といいますともうあと何日かですね。  で、これはまず、遅いのではないかということに対する認識と、他方、やっぱりいわゆる債務の株式化というデット・エクイティー・スワップですか、それを基本とした取引をやるということで、それがまだ日本の市場の中できちっと受け入れられていないのかなというような感じもするんですが、その辺も含めて、柳澤大臣の御所見をお伺いします。
  150. 柳澤伯夫

    国務大臣柳澤伯夫君) 企業再生ファンドの設立の状況というのは、大体今、平野委員が御指摘になられた状況かと思います。  ただ、いろいろな動きが実はございまして、一つは、何と申しますか、今御指摘になられたのはいずれも汎用の企業再生ファンドなのでございます。つまり、いろんな会社の企業再生に取り組むということを目的としたファンドでございまして、我々想定するのはもう一種類、実は個別に企業の再生についてファンドとして対処していこうと、こういうものも考えられるし、むしろそっちの方が、例えばそのファンドの受益権というものは、正にその当該の企業の再生の成果によってその受益権がキャピタルゲインを生むかどうかが決まってくるという意味で、非常にこの対応関係が明確なんですね。  そういう意味では、個別対応のそういうファンドの方が私なんかはちょっとすとんと腑に落ちる面が多いわけでございまして、そういうようなものも今いろいろなところで考えられているということでございますので、汎用ファンドの設立が今二つにとどまっているということで、企業再生ファンドはちょっと望みのないスキームじゃないかと言うのはちょっと時期尚早ではないかと、このように考えております。  で、デット・エクイティー・スワップについては、企業再生ファンドの場合には、ほとんどデット・エクイティー・スワップが行われ、そしてその現物の株が現物出資されるというスキームになると思いますので、先ほど言った企業再生ファンドが、特に個別の、個別対応の企業再生ファンドができるのに応じて、それと並行した形で今後とも導入されるというか、利用されることが期待されるんではないかと、このように考えております。
  151. 平野達男

    ○平野達男君 今回のRCCのもう一つの柱は企業再生だったと思います。  企業再生委員会を作って、その中で企業再生についてのいろんなアドバイスをする、あるいは計画を作るということだったと思うんですが、企業再生の中には、民事再生法あるいはその私的ガイドラインによれば一番いいんですが、法的整理の中では民事再生法あるいは会社更生法という二つの方法があって、一義的には企業再生委員会に話が行く前に当該会社と恐らく金融機関が話をするということが原則ではないかと思うんですが、私は企業再生委員会の中では今回いろんな働きをするであろうというのを期待しているんですが、その原則は、やはり法的整理に走るときは、やっぱり原則は会社の経営者責任を問うのが原則じゃないかなという感じを持っております。  今、預金保険機構の中では、企業再生委員会のそういった企業再生に向けた方針あるいは位置、スタンス、いろんな形で議論されていると思うんですが、特にこの会社更生法あるいは民事再生法の適用に当たっての基本的な考え方、もし何か決まっていれば教えてもいただきたいんですが。教えてください。
  152. 松田昇

    参考人松田昇君) 先生指摘のとおり、企業の再生、四つあると思いますね。ガイドラインに沿った私的整理、ガイドラインによらない私的整理、法的整理でも民事再生法、会社更生法と、こうあります。もし仮に、旧経営者の責任を追及して、原則として排除する、退任いただくということが最も強烈にできるのは会社更生法であることは間違いありません。  ただ、私ども預保、RCCで取り扱っております企業再生ができるような案件というのはいろいろ様々でございまして、どれが一番我々にとっていいことなのか。二次ロスをできるだけ出さないように、回収効率が上がり、しかも社会的にも納得が得られる、それから再生することが、企業再生することがまた社会にも貢献できるという、こういう要素を全部考えながらやらざるを得ませんので、具体的にはあくまでもケース・バイ・ケースということになります。  特に、RCCが取り扱っております債務者企業の中には中小企業が多うございますので、本来でありますと、その経営者を排除することが原則でしょうけれども、排除しますとむしろ企業再生ができなくなる、その人がいるからできるということもございますので、そういうときにはやむを得ず再生法を使うというようなケースもございまして、一概にどれということじゃなくて、いろんな要素を組み合わせながら一つ一つ個性に合わせて判断をしていくと、こういう考え方で運用いたしております。
  153. 山下八洲夫

    委員長山下洲夫君) 時間でございますので、簡潔にお願いします。
  154. 平野達男

    ○平野達男君 まとめます。  いずれ、今回、RCCが株式を持てば株主になるわけですから、株主として発言しやすいのはやっぱり会社更生法適用、会社更生法が一番発言しやすい。それからあと、今いろんな会社を整理するときに、やっぱりどうも私的ガイドライン、次に民事再生法、で、最後はぎりぎりで会社更生法だという、そういった何か順序付けがあるような感じがします。  でも、やっぱりせっかく企業再生委員会を作って、企業再生はこうあるんだということであれば、本当に株主としての発言をきっちりやる、本当に今までのそういった通常の流れに流されないようにやっぱり会社更生法をきっちり使うと。そこでこれがモデルだというようなことを、できるだけというのも変なんですけれども、そういった意識でやっていただければいいんじゃないかなというふうに思っています。  時間になりましたので、また明日ありますので、よろしくお願いします。
  155. 大渕絹子

    ○大渕絹子君 私は、今日は、政治経験も人生経験も大変豊かでいらっしゃいまして小泉内閣のかなめを務めていらっしゃいます塩川財務大臣に、私が日ごろ思っていることをちょっと議論をさせていただきたいなと思います。よろしくお願いいたします。  柳澤金融担当大臣には質問の準備がございませんので、御退席いただいて結構でございます。  それではまず、今、鈴木宗男さんとか加藤紘一さんの問題があり、自民党を離党されて事件を一件落着をさせたいというような方向で流れておりますけれども、これは離党という問題だけでは解決がしないのではないかというふうに思っておりますけれども、政官業の癒着の構造とよく言われますけれども、歴史的に見てもずっと続いてきているというふうに思うんですよね。  例えば、田中角栄氏のロッキード事件に始まりまして、リクルート事件では大変中曽根元総理を始め多くの議員たちがこの問題にはかかわってまいりましたし、あるいは竹下総理あるいは細川元総理は佐川急便事件で失脚をしていくという状況がございました。KSDの問題もごく最近起こったことで、議員が二名辞職をするというようなことも続いておりますし、今回は外務省報償費疑惑に端を発した一連の鈴木宗男さんの問題、また加藤さんの元秘書の問題ということで、ずっと続いてきているんですね、これ。そのたびごとに政治改革が叫ばれて、そして法案の整備が必要だということが言われてきながら、相も変わらず同じことが繰り返されていく。  この状況というのは、自民党政権、今はマスコミ等々は、派閥を形成をする、その派閥に議員を集めてくるためには、親分、子分の関係を金で配ることによって構築をしてくるという構図があって、その金を集めるために危ない橋も渡らざるを得ないんだというようなことが盛んに言われているわけですけれども、これは自民党的体質なのか、あるいは政権を長い間維持していくためにはどうしてもこういう構造になっていってしまうのかと。ここのところ、塩川大臣はどんなふうにお考えになるのか、お聞かせをいただきたいと思います。
  156. 塩川正十郎

    国務大臣塩川正十郎君) えらい難しいことをお聞きになりますな。  これは私は、最近の政治家は余り、以前のようではないですけれども、やっぱりそれでも余り金に関心を持ち過ぎとると思いますね。やっぱり明治以降ずっと日本の政治、近代政治を見ていまして、政治スキャンダルが多かったこともありましたけれども、しかしそれは特異な人で、例えば山県有朋なんというのは物すごく金を集めてやっていましたけれども、しかしそういうのは特異な例だったと思うんですね。ところが、最近になってきたらもう恒常的に、おっしゃるように、何かちょくちょくちょくちょく、それで大したことはやらないでちょこっとした金をこちょこちょやっていますね。私は、この際に、政治家が本当に金がそんなに要るんだろうかということを、政治活動としてどうなんだろうと私は最近ちょっと考えるようになっておるんですよ。  というのは、今まで派閥のときは、これは私も派閥と関係したことがございますので、新人発掘のために金が要るんです。ですから、もう当選してきて二回、三回と代議士やっている人にはそんなに金使っていないんです。ところが、派閥で新人を一人発掘して当選さすためには、これはもう大変なやっぱり金を面倒を見てやらぬととてもできないものだから、ですから派閥の親分というのは時々刑務所の塀の上を走っているようなことをしているんですね。これはやっぱり非常に無理だったと思います。  しかし、最近はもうそんなことはほとんどなくなってきたんですね。そうなのに、そうなのに、何か金が要る、金が要ると言っていますが、本当にどんなところで金を使っているのかなと思うて、私も一回、本当に政治家が、本当にどの程度、何で金が要るのかということを一回よく党内でも考えてみる必要があるだろうと、私はそう思うておるんです。  歳費にいたしましても、衆議院と参議院は同じですわな。年間四千万円近くあるでしょう。あなたももらっておられるでしょう、それ。そうなのに、なおかつ金がもう足らぬというのは、一般に何に要るのかなと思うんですけれども、その点がちょっとどうかと思っております。  ついては、自民党の中でもその反省というものは相当あるように思っておりますので、これからはやっぱり襟を正してやるんじゃないかと思いますが。
  157. 大渕絹子

    ○大渕絹子君 長く政権を維持すると政官業が今度癒着をしてこういう事態になるのだという考え方もあるんですけれども、そこはどうでしょうか。
  158. 塩川正十郎

    国務大臣塩川正十郎君) それは人間によると思いますよ。だって、野党の人でも時々変なの出てきますよ。
  159. 大渕絹子

    ○大渕絹子君 制度的に、私たちは、企業・団体献金を禁止をし、あっせん利得罪のもう罪を大変重くして、政治家が金を受け取れるような状況をもうしっかりと制度的にカットをしていかなければ駄目だということをこの間ずっと訴え続けてまいりましたけれども、今の塩川大臣お答えですと、そういうことも必要だというふうにお考えになっているというふうに受け止めてよろしゅうございますでしょうか。
  160. 塩川正十郎

    国務大臣塩川正十郎君) 私はこういうことを言われたことを、福田先生ですけれども、政治資金というものは絶対井戸を掘ってくみ上げたらいかぬ、そういうやり方はしてはいかぬと。山清水がずっと流れてくるのを自然に受けて、たまったらそれを使うと。その程度のことをしなけりゃ続かないということをおっしゃったことを、私はそれは非常にいい言葉だと思っておるんです。  私自身のことを申して恐縮ですが、私は後援会がございまして、そこで、やっぱり人件費、一番大きいのは人件費ですが、秘書の人件費をそこで賄っておるんですが、これは会費制でやっています。月まあ五千円とかいう、それは会費制でやっておりますから。  そういうので、私は大方の国会議員はそうだろうと思いますけれども、それで足らぬのだけはパーティーやって、高いパーティーやって、やっておるんですけれども、そんな程度のことであれば、私は必要な金の問題であると思いますが、それ以外に、金の力でもって政治を動かすなんて考えること自体がもう間違いです。政治の力で人の心を買おうなんというのも間違いです、そんなことできる時代じゃありませんので。  しかしながら、政治用の事務所を持っていますとそういう必要経費はどうしても要ります。その分に相当するものを集めるぐらいはいいんじゃないかと思いますけれども、そこを行き過ぎるといろんな問題が起こってくると。
  161. 大渕絹子

    ○大渕絹子君 このたびも鈴木宗男さんのことが大変大きな問題になって、三百万、四百万もらった方たちがもうたくさん出てこられて、名前まで挙げられているという実態ですが、この鈴木さんの事件が公にならなければ、このもらった事実も全然分からない中で葬られていって、もらいっ放しになっているんだろうというふうに思うんですね。だから、そういう、お金をもらえば、その人に対して何となくやっぱり応援をするというような構図があるんですね、情けないことだと思いますけれども。そういう状況があるだろうと思いますので、ここはやっぱり法律的にきっちりと枠をはめていかなければ、こういうことはまた起こってくるのではないかなというふうに思われます。  また、私がもう一つ不思議でならないのは、法的に逮捕されて有罪判決を受けても、控訴し続けて選挙に立候補しますね。そういう方は、当然私の市民感情からすれば、選挙のときにはもう落ちる、有権者が当選させないという、そういう選択があっていいと思うのですけれども、ところが不思議なことに、そういう有罪判決を受けた人でも、牢獄から立候補をしても、有権者は大変、多少悪いことをしても地元の地域に利益を還元したんだからこれは大切な政治家だという意識が働いて、またそこに当選をさせてしまうという、この有権者の認識というのは私は大変困ったものだなというふうに思うんですね。  だから、日本の民主主義が今この状況でとどまってしまっていたら大変なことになるのではないかなというふうに思うんですけれども、そのこと自体を有権者に向かって、私たち野党側の議員もなかなか有権者の意識がここにとどまっているんだというようなことは有権者に向かっては言えない。自分自身も選挙で勝たなければならないという、そういうジレンマがあって、その有権者批判がなかなかできないところに今の日本の民主主義が余り進歩してこないで、こういう形で有罪判決を受けた人までがまた当選してきて長い間政治活動を続けていく。衆議院にはまだたくさんいらっしゃいますよね、永年表彰を受けられた方もいらっしゃるわけですけれども。  そういうことがあるんではないかと思いますけれども、この有権者の意識と民主主義の前進というようなことについて、大臣はどんなふうに考えられますでしょうか。
  162. 塩川正十郎

    国務大臣塩川正十郎君) これはもう私答えるのはどうかと思いますけれども、やっぱりまだ日本の民主主義の歴史は浅いんじゃないですか。私は戦前の民主主義も知っていますけれども、これは作られた民主主義でしたね。私のおやじなんかも選挙やったりしていましたけれども。しかし、戦後、本当の民主主義というのは戦後ですよ。まだ五十年ですからね。日は浅いし若いですよね、主義が。  ですから、日本の国民全体がそういう政治訓練をまだ受けている度合いが低いと思います。ヨーロッパ等においてはもう何百年の歴史を経て今日の民主主義が確立しておるんですから。私は、もう少し時間掛かったら日本だって選挙は全く違う基準で、本当に個人個人が本当に自分の政治的な判断で選ぶと思いますけれども、今はやっぱり多少政治的要件以外の問題で、例えば人的つながりだとか同窓会だとか、そういう政治以外の要件で支配されているということも相当僕はあるんじゃないかなと思いますがね。  そういうふうなことを言いますと、さっきおっしゃるその問題の人なんかでも、いや、そうは言うけれども、おれのところの先輩なんでしようがないんだ、あいつしか、やったらんとかわいそうだとかいう、そういう感情が働いて選挙で動いていることは、これは確かにありますね。私はもうそんな票大分もらっていると思っておるんですけれども、それはやっぱり民主主義はまだ若いという現象じゃないでしょうか。
  163. 大渕絹子

    ○大渕絹子君 そのことと、自民党さんが、まあここ委員会の場所でこんなことを申し上げていいかどうか分かりませんけれども、有罪で捕まった議員あるいは今回のように自民党を離れた議員に選挙協力をするという事態があるというふうに思うんですね。個々にもずっとありましたけれども。  例えば今回の場合でも、新聞報道では、鈴木宗男さんが無所属になったことによって、北村直人議員ですかね、あそこの選挙区、北海道十三区、そこのところは今度は北村さんをコスタリカ方式で比例区に上げて、鈴木宗男さんは無所属でも単独でそこで立候補できるような形を取るのではないかというようなことが、報道が先行していますので、これはどういうふうな選択をなさるのか、私は自民党さんのことですので分かりませんけれども、こういうことが過去にも随分とあったというふうに思うんですね。  こういうことをやっている限り、有権者の選択は非常に狭められてしまって、またぞろ罪を犯した人が受かってくるという構図を自民党自らが作っているんじゃないかと私は思いますけれども大臣はいかがですか。
  164. 塩川正十郎

    国務大臣塩川正十郎君) それは逆でして、先ほど言っていますように、有権者がそういうところをしっかりと選択されるというのが選挙の、民主選挙の本髄じゃないかと思いますがね。それは、言っておられるのは、僕、逆だと思います。
  165. 大渕絹子

    ○大渕絹子君 いえ、私はそうでないと思うんですよ。  住民は今の現職の方を小選挙区で出しておられるわけなんですね。ところがその現職の、小選挙区の現職を降ろして、無所属になった方をその選挙区に登載をする、容認をするということになれば、当然その現職を入れた方たちも、自民党支持というところから、いやが応でも鈴木さんに入れなければならないという構図になってしまう、その選択肢を非常に狭めるというところでは問題があるのではないかと思いますけれども
  166. 塩川正十郎

    国務大臣塩川正十郎君) 鈴木さんのことについては、まだ将来のことですから何とも言えませんけれども、昨日予算委員会でその話が出ておりまして、この今日御出席いただいておる先生の中にもそのときの予算委員会におられた方、あると思うんですが、小泉総理は、そんなことはあり得ないと。そんなことというのは、何ですね、コスタリカ方式でやるという、そういうことはあり得ないと、こう言っていましたので。ですから、鈴木さんがたとえ無所属で出ても自民党するというふうなことはあり得ないと、そういう意味だと私は解釈しております。  それで二番目の問題として、たとえそういうことで出たとしても、選挙民の目がきちっと行き届いておれば、それは選挙の結果がきちっと出てくるんじゃないかと思いますが。
  167. 大渕絹子

    ○大渕絹子君 小泉さんは、総理になったときに、自民党を解体をさせて再生をさせるために自分は総理大臣になるということを言われて、政治改革の旗を鮮明にして頑張っておられたというふうに思うのですけれども、やっぱりもろもろの問題が発生をしてきたときに、自民党の政権においては、過去において六十年もずっとやってこられた自民党の路線を変えることというのは本当に難しいのではないかというふうに思います。  それはなぜかというと、戦後復興の時代に本当に自民党的な政治手法によって日本はこれだけ豊かになってきましたし、そのことは私たちもずっと認めているわけですけれども、そうすると、その自民党の政治によってずっと成長してきたところを今度は改革をしなければならない、全く逆な政策を実現をしなければ改革につながっていかないというときに、今までやってきたことと全く違う手法で政治をやることが同じ政権でできるはずはないというふうに私は思うんです。ですから、ここはひとまず引いていただいて政権交代をするということの選択がなければ、大臣がおっしゃった民主主義の前進というのは全く私は望めないと、こういうふうに思っているんですよ。  ここを国民がどう理解してくれるかということは選挙のときの勝負になるわけなんですけれども、私は、同じ手法でやってこられた政権が幾ら改革をする、ぶち破るといっても、無理に無理が出てくるんだろうというふうに思っておりまして、塩川大臣やそれから小泉総理大臣の御苦労は分かるわけですけれども、ここはひとまず政権交代なくして政治改革というのはあり得ないんじゃないかということを強く申し上げて、終わりにさせていただきたいと思いますが、この件で何かございましたら、お願いします。
  168. 塩川正十郎

    国務大臣塩川正十郎君) そうですね、社会民主党を中心としてそれだけの勢力を作っていただくようにお願いいたしたいと思いまして、そのことは期待いたしますけれども、しかし、これはやはり選挙民が選んできた結果としての政治勢力の分布があるわけでございますので、そこらどうぞごせいぜいのほど期待しております。
  169. 大渕絹子

    ○大渕絹子君 ありがとうございます。
  170. 山下八洲夫

    委員長山下洲夫君) 本件に対する質疑はこの程度にとどめます。     ─────────────
  171. 山下八洲夫

    委員長山下洲夫君) 平成十四年度における財政運営のための公債の発行の特例等に関する法律案租税特別措置法等の一部を改正する法律案並びに関税定率法及び関税暫定措置法の一部を改正する法律案の三案を一括して議題といたします。  政府から順次趣旨説明を聴取いたします。塩川財務大臣
  172. 塩川正十郎

    国務大臣塩川正十郎君) ただいま議題となりました平成十四年度における財政運営のための公債の発行の特例等に関する法律案租税特別措置法等の一部を改正する法律案及び関税定率法及び関税暫定措置法の一部を改正する法律案につきまして、提案の理由及びその内容を御説明申し上げます。  まず、平成十四年度における財政運営のための公債の発行の特例等に関する法律案につきまして御説明申し上げます。  平成十四年度予算は、改革断行予算として、五兆円を削減しつつ重点分野に二兆円を再配分するとの方針の下、歳出の一層の効率化を進める一方、予算配分を少子高齢化への対応、科学技術、教育、ITの推進等の重点分野に大胆にシフトするとともに、特殊法人等への財政支出については、事務事業の抜本的見直しの結果等を反映し、一般会計、特別会計合わせて一兆一千億円を超える削減を実現しております。  これらの歳出面における努力や歳入面における税外収入の確保などにより、国債発行額三十兆円以下との目標を守り、限られた財源を無駄遣いしない体質へ改善するとともに、将来の財政破綻を阻止するための第一歩を踏み出すことといたしました。  本法律案は、以上申し上げましたように、当面の財政運営を適切に行うため、公債の発行の特例に関する措置等を定めるものであります。  以下、この法律案内容につきまして御説明申し上げます。  第一に、平成十四年度の一般会計の歳出の財源に充てるため、財政法第四条第一項ただし書の規定による公債のほか、予算をもって国会の議決を経た金額の範囲内で公債を発行することができることといたしております。  第二に、平成十四年度において、外国為替資金特別会計から、外国為替資金特別会計法第十三条の規定による一般会計への繰入れをするほか、千五百億円を限り、一般会計に繰り入れることができることといたしております。  第三に、日本中央競馬会は、平成十四事業年度について、既定の国庫納付金のほか、特別積立金のうち五十億円を平成十五年三月三十一日までに国庫に納付しなければならないことといたしております。  第四に、地方交付税法等の一部を改正する法律附則第三項の規定により一般会計に帰属した借入金のうち、平成十三年度の末日においてまだ償還されていないものについて、国債整理基金特別会計法第二条第四項の規定は適用しないこととし、これを定率繰入れの対象とすることにしております。  次に、租税特別措置法等の一部を改正する法律案につきまして御説明申し上げます。  政府は、社会経済情勢の変化や厳しい財政状況を踏まえつつ、構造改革に資する等の観点から、中小企業関係税制及び金融・証券税制等につき所要の措置を講ずることとし、本法律案提出した次第であります。  以下、この法律案内容につきまして御説明申し上げます。  第一に、中小企業関係税制について、同族会社の留保金課税の特例の拡充、交際費の損金不算入制度に係る定額控除限度額の引上げ等を行うこととしております。  第二に、金融・証券税制について、老人等の少額貯蓄非課税制度を障害者等を対象とした制度に改組するほか、特定口座内の上場株式等の譲渡等に係る申告不要の特例制度の創設等を行うこととしております。  第三に、社会経済情勢の変化に対応するため、中高層耐火建築物等の所有権等の移転登記に対する登録免許税の税率の軽減措置、金融業務特別地区における認定法人に係る所得の特別控除制度の創設等沖縄の経済振興のための措置等を講ずることとしております。  その他、製品輸入額が増加した場合の特別税額控除制度の廃止等既存の特別措置の整理合理化を行うとともに、特別国際金融取引勘定に係る利子の非課税制度等期限の到来する特別措置についてその適用期限を延長する等所要の措置を講ずることとしております。  次に、関税定率法及び関税暫定措置法の一部を改正する法律案につきまして御説明申し上げます。  政府は、最近における内外の経済情勢の変化に対応する等の見地から、関税率、関税の減免税制度等について所要の改正を行うこととし、本法律案提出した次第であります。  以下、この法律案内容につきまして御説明申し上げます。  第一は、関税率の改正であります。  本年四月一日からの塩の輸入自由化に伴い関税措置を導入する等の改正を行うこととしております。  第二に、関税の減免税制度等の改正であります。  加工再輸入減税制度及び沖縄に関連する関税特例措置の拡充等の改正を行うこととしております。  第三は、国際協定に基づく特別な緊急関税制度の導入であります。  中国のWTO加入議定書に基づく対中国経過的セーフガード制度及び日本・シンガポール新時代経済連携協定に基づく対シンガポール二国間セーフガード制度について、国内法の整備を行うこととしております。  第四は、平成十四年三月三十一日に適用期限の到来する暫定関税率等について、その適用期限を延長することとしております。  以上が、平成十四年度における財政運営のための公債の発行の特例等に関する法律案租税特別措置法等の一部を改正する法律案及び関税定率法及び関税暫定措置法の一部を改正する法律案の提案の理由及びその内容であります。  何とぞ、御審議の上、速やかに御賛同くださいますようお願い申し上げます。  ありがとうございました。
  173. 山下八洲夫

    委員長山下洲夫君) 以上で趣旨説明の聴取は終わりました。  三案に対する質疑は後日に譲ることとし、本日はこれにて散会いたします。    午後二時五十六分散会