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国務大臣(
塩川正十郎君) 私は、
構造改革の中で
ソフトと
ハードと両面があると思っております。
まず第一に、一番改めるべき
構造改革はやっぱり
精神構造だと思っておるんです。
このことは、私はなぜかと申しまして、一九九〇年で
東西冷戦が終わりました。それ終わりましたら
世界の
経済は根本的に変わるべきもので、今までの
経済というものはやっぱり戦争による
緊張感が
世界の
経済を支えてきたんですけれども、その
緊張感がなくなると、どうしてもやっぱり
デフレ化していくのは当然の傾向なのであります。
そこへもってきて、
技術革新というものも、
東西冷戦時代と
冷戦後においてはもう
技術革新が全く違ってきておりまして、それに対する
対応が
日本は後れた、
アメリカはそれに適応に乗っていった、ヨーロッパはそれに対して少しは後れたけれども、やっぱりそれに順応していったところでございますが、
日本は、五十年にわたる長い
高度経済成長のその余韻の上に、
成功例に酔っておってその
意識が全くなかったということが、それが
日本の現在の非常に深刻な
不況状態に陥ってきておる根本はそこにあると思っております。
したがって、その
意識、つまり
状況認識というものをもっとシビアにシリアスに認識しなければ
構造改革への取組の意欲が出てこないと思ってまいりまして、それが最近になってやっと
民間の
人たちがここに気が付いてきた。今までの
甘えの
構造、
高度経済成長に慣れてきた
病院船というところに入院しておったらこれはあかんと。やっぱりそこから飛び出して
自分たちで
活力を取らないかぬということをやっと気が付いてまいりましたので、ここ一、二年の間に。
したがって、私は、これからどのような
構造改革を
小泉政権が打ち出していっても、言わば
経済界なり
国民が受け入れてくれると、こう思っております。今までは、それを言い出しましても、
甘えの
構造が残っておりますから、あるいはまた何とかなるという安易な
気持ちがありますから、受け入れようとはしなかった。そこが一番問題でございます。今は
構造改革を受け入れようとしております。
それの一番の
構造改革の具体的な
ハードの面について申しますと、やっぱり
設備投資というものをやり替えていかなきゃならないんではないかと思っておりまして、今回の
税制改革を検討するに当たりまして、私はそのような
法人活動がより積極的に展開できるような
税制に変えるべきだと。
それは
一つは、
設備によりますところの
過剰設備というものをどうして廃却して新しい
設備に
重点を置いていくかという、この
構造改革に積極的に取り組むということが
一つだと思っております。
それからもう
一つは、
金融のやっぱり
在り方というものを変えていかなきゃならぬと思いまして、
日本の
金融はどうしても
企業金融になっておりますが、これは
プロジェクト金融にやっぱり変えていかなければならないのではないかと。それと同時に、もっと
企業が直接融資を取る、直接
資本充実の方法を取るという、そういう
制度に
改革していかなきゃならぬのではないかと思っております。
したがって、昨年は
財政構造の
改革を
一つのきっかけにいたしまして
経済界に対する警鐘を鳴らしてまいりました。したがってこれからは、
政府としてやらなきゃならぬのは、民の
事業は民で、官は官で責任を持つというそういう行政と、それから
民間企業との
差異面というものを
整理する、いわゆる
特殊法人の
整理でございますが、そして民業をもっと刺激するということが
一つございますことと、それを誘導していくための
税制の
改正が必要であると思うことと、それと同時に、
企業活動が新しい
時代に転換でき得るような、そういう
法人を
中心とした、あるいは
個人の
所得税でもそうでございますが、
中心とした
税制の
改革という、こういうものがこの十四年度から十五年度に掛けて取り組まなきゃならぬ課題であろうと思っております。