運営者 Bitlet 姉妹サービス
使い方 FAQ このサイトについて | login

2002-03-29 第154回国会 参議院 災害対策特別委員会 第4号 公式Web版

  1. 会議録情報

    平成十四年三月二十九日(金曜日)    午前十時開会     ─────────────   出席者は左のとおり。     委員長         加藤 修一君     理 事                 岸  宏一君                 宮崎 秀樹君                 谷林 正昭君                 弘友 和夫君     委 員                 大仁田 厚君                 加治屋義人君                 景山俊太郎君                 柏村 武昭君                 小泉 顕雄君                 鶴保 庸介君                 神本美恵子君                 高橋 千秋君                 山根 隆治君                 山本 孝史君                 大沢 辰美君                 大門実紀史君                 山本 正和君    国務大臣        国務大臣        (防災担当大臣) 村井  仁君    副大臣        内閣府副大臣   松下 忠洋君    大臣政務官        内閣大臣政務        官        奥山 茂彦君    事務局側        常任委員会専門        員        杉谷 洸大君    政府参考人        内閣府政策統括        官        高橋 健文君        防衛庁長官官房        審議官      横山 文博君        総務大臣官房技        術総括審議官   石原 秀昭君        消防庁次長    北里 敏明君        外務省中東アフ        リカ局長     安藤 裕康君        文部科学大臣官        房審議官     上原  哲君        厚生労働省社会        ・援護局長    真野  章君        厚生労働省社会        ・援護局障害保        健福祉部長    高原 亮治君        林野庁長官    加藤 鐵夫君        水産庁資源管理        部長       海野  洋君        国土交通大臣官        房審議官     松野  仁君        国土交通省河川        局長       竹村公太郎君        国土交通省河川        局次長      塩島 高雄君        国土交通省道路        局長       大石 久和君        気象庁長官    山本 孝二君        海上保安庁次長  須之内康幸君     ─────────────   本日の会議に付した案件 ○理事辞任及び補欠選任の件 ○政府参考人出席要求に関する件 ○災害対策樹立に関する調査  (最近の山火事発生状況とその対策に関する  件)  (災害被災者の心のケアに関する件)  (治水対策に関する件)  (東海地震強化地域指定に関する件)  (災害避難情報の提供の在り方に関する件)  (アフガニスタン地震状況我が国支援策  に関する件)  (三宅島の復興支援策に関する件)  (災害援護資金弁済負担緩和策に関する件)     ─────────────
  2. 加藤修一

    委員長加藤修一君) ただいまから災害対策特別委員会を開会いたします。  まず、理事辞任についてお諮りいたします。  山本孝史君から、文書をもって、都合により理事辞任したい旨の申出がございました。これを許可することに御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  3. 加藤修一

    委員長加藤修一君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。  この際、理事補欠選任を行いたいと存じます。  理事選任につきましては、先例により、委員長の指名に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  4. 加藤修一

    委員長加藤修一君) 御異議ないと認めます。  それでは、理事谷林正昭君を指名いたします。     ─────────────
  5. 加藤修一

  6. 加藤修一

    委員長加藤修一君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。     ─────────────
  7. 加藤修一

    委員長加藤修一君) 災害対策樹立に関する調査を議題とし、質疑を行います。  質疑のある方は順次御発言願います。
  8. 柏村武昭

    柏村武昭君 皆さん、おはようございます。広島県選挙区選出、自由民主党の柏村武昭でございます。  今国会よりこの災害対策特別委員会委員に加わることになりました。加藤委員長を始め委員先生方には今後よろしく御指導をちょうだいいたしますようお願い申し上げます。  本日は、先般行われました村井防災担当大臣所信表明につきまして、三点ほど質問をさせていただきたいと存じます。  最初は山火事の問題について、次に国際的な防災協力について、そして第三に私の地元でございます広島県における防災対策につきまして、具体的にお伺いいたしたいと存じます。  まず初めに、委員先生方におかれましては先刻御承知のとおり、最近、全国各地山火事が多発いたしております。今月の十九日に発生しました兵庫県の宝塚市の山林火災では、発生から丸一日たっても火が消えず、翌朝のテレビニュースなどでは、山際の住宅地すれすれまで火が迫っている様子がヘリコプターなどの映像で映し出されておりました。これには正直なところ私は大変驚いてしまいました。  山火事といいますと普通は山奥の火事という印象が強かったものですから、今度のように民家の近くで実際に山が燃えている、そんな映像に接しますと、全国各地に広がる新興住宅地のほとんどがこうした山火事の危険にさらされているのではないか、こう思わないわけにはいかないのであります。  ここでお伺いしたいと思います。最近の山火事発生状況について、特にその経済的損害にも具体的に触れていただきながら、消防庁よりのお答えを願います。よろしく。
  9. 北里敏明

    政府参考人北里敏明君) お答え申し上げます。  平成十二年中に起きました林野火災二千八百五件、焼損面積は千四百五十五ヘクタール、損害額は七億八百五十万円という被害発生をしております。また、十四年に入りましてから、今お話ありますように、焼損面積十ヘクタール以上あるいは空中消火実施した大規模林野火災が三月二十七日現在で六十一件と、この数年に比較しますと非常に多くなっているという状況でございます。
  10. 柏村武昭

    柏村武昭君 ありがとうございました。  都市化が進んだ結果、山火事というものは次第に人々記憶から遠のいていってしまったのではないか、そのように私は考えておりますが、しかしながら今年の冬のようにいつ何どき山火事が多発するとも限りません。たった一つ山火事であっても甚大な被害を引き起こす可能性もございます。  先ほど関係当局からお知らせいただきましたように、山火事による国家的あるいは国民的な経済的損害もかなりの額に上るものでございますから、山火事を防ぐための対策というものが大変重要ではないかと思います。何とか山火事を皆無にすることはできないものか、今後の山火事対策について消防庁及び林野庁にお伺いします。
  11. 北里敏明

    政府参考人北里敏明君) お答え申し上げます。  消防庁といたしましては、例年、春の火災運動に合わせまして、林野庁とともに三月当初に全国山火事予防運動というのを実は行っております。ただ、今年に入りましてから林野火災が非常に多発しております状況を踏まえまして、去る三月二十二日付け地方公共団体に対しまして、林野火災予防関係者等への徹底、防災関係機関によります警戒強化、あるいは空中消火の積極的な活用など適切な措置を取るよう緊急に要請をしたところでございます。そういう中でも、火災発生時におきまして空中消火というのが非常に有効であるということもございまして、状況に応じて消防防災ヘリコプター等を他の地方公共団体あるいは自衛隊等要請を行うように求めておるところでございます。  また、このほど林野庁など関係機関とも協力をいたしまして研究会を実は設けることにいたしました。それぞれ今までもやってはおるのでございますけれども、こういう多発の状況を踏まえまして、今後、対策を検討いたしまして、火災予防あるいは発生した場合の拡大防止、そういう対策充実強化に努めてまいりたいと考えております。  以上でございます。
  12. 加藤鐵夫

    政府参考人加藤鐵夫君) 今お話がございましたとおり、山火事につきましては、いったん火災発生すれば大変貴重な森林資源が大面積にわたり焼失する危険があるということでございまして、林野庁としましても予防対策に万全を期していきたいというふうに考えておるところでございますが、消防庁とも連携を取りながら、全国山火事予防運動実施等防火思想普及啓発森林パトロール実施林野火災予防消防組織の育成及び初期消火機材の配備、防火帯としても機能する林内路網整備等に努めているところでございます。  また、広島県におきましては、実は平成十二年度より、林野火災発生危険度情報テレビ等地域に提供するという林野火災予防情報システムというものも新たに導入したところでございまして、今後ともこれらの対策推進によりまして山火事予防に努めてまいりたいというふうに考えております。  また、先ほどお話がございましたとおり、林野庁といたしましても今回の事態に対応いたしまして、改めて都道府県に山火事防止についてお願いをいたしたところでございます。  いずれにしましても、今後とも消防庁等連携を取りながら我々としても努力をしてまいりたいというふうに考えております。
  13. 柏村武昭

    柏村武昭君 どうもありがとうございました。  山林森林というものは、ある意味では国家国民経済的資産という性格を持つものでございますが、一方で、私たちの先祖代々深く刻み込まれている日本の風景の原点でもあると思います。私のふるさと広島県の三次というところも正にそうした山並みに囲まれたところでございまして、私たちをここまでしっかりはぐくんでくれた山、そして森林というものをこれからも大事に守っていくことが必要であると考えます。  ですから、今後は山火事対策というものを単なる防災対策観点からのみ考えるのではなくて、森林保護、そして日本の文化や伝統の保護、そうした観点からもじっくり考えていかなくてはいけないと提言したいと思います。関係省庁皆さんには是非ともその点を十分に御理解いただきますようお願い申し上げます。  次に、大臣所信表明において言及されました国際的な防災協力に関する問題につきましてお尋ねしたいと存じます。  本年一月、インドニューデリーにおきまして国連国際防災戦略アジア会合が開催されました。この会合には我が国から奥山茂彦内閣政務官が派遣されまして、共同議長という重責をお務めになったと伺っております。この会合の模様につきまして、特に日本が積極的に果たした役割について具体的に触れていただきながら、お知らせを願いたいと思います。
  14. 奥山茂彦

    大臣政務官奥山茂彦君) 今年の一月二十四日に開催されました国連国際防災戦略アジア会議大臣の代わりに私が参りましたので、私からお答えをさせていただきたいと思っております。  現在、国連では、世界的な防災活動推進するために、災害に強いコミュニティー作りとして、災害予防重点を置いた国際防災戦略活動推進中であります。我が国はその中心的な役割を果たしているものであります。  この一月二十四日、日本インド、そして国連共同主催によりまして、ニューデリーにおいて国連国際防災戦略アジア会合を開催をされました。アジアを始めとする二十二か国の防災担当責任者等、多くの国連機関が参加をいたしました。日本からは政府を代表して私が出席したのでありますが、インド政府とともに共同議長を務めたものであります。  会議では、アジア地域における国際防災戦略活動推進方策について検討するとともに、特に昨年一月二十六日に発生いたしましたインドグジャラート地震教訓アジア各国共有をしていかなければならないとなりました。私からは、世界被災者の九割が集中しているアジア地域でありますので、防災対策強化各国に共通する最重要課題であります。そして、更なる防災対策に取り組んでいく必要があることもありますので、神戸におきまして、神戸に設立したアジア防災センターを通じて、アジア地域における国際防災協力を積極的に推進することを表明したものであります。
  15. 柏村武昭

    柏村武昭君 どうもありがとうございました。  こうした国際的な防災協力というものは、単にアジアだけではなくて、太平洋全域あるいはグローバルに地球全体で進めていくべきものであり、それが世界平和を現実的に築いていくための第一歩であると私は固く信じております。  この際、世界規模での国際的な防災協力の今後の課題につきまして大臣にお伺いいたしたいと思います。
  16. 村井仁

    国務大臣村井仁君) 二十一世紀における災害のありようというものをいろいろ分析してまいりますと、一番大きな問題として地球温暖化ということがよく言われるわけでございますが、これによりまして気温が一・四度から五・八度くらい上昇するだろうと、こういう推測がございます。こういうことが起こりますと、豪雨による風水害でございますとか、あるいは台風の巨大化ですとか、エルニーニョによる干ばつと洪水と、こんなような問題が起こってくる。  それからまた、海面上昇というのがどうしてもこれ予想されるところでございまして、これもまた随分幅のある話ではございますが、九センチないし八十八センチ程度海面上昇が考えられる。これによりますと、低地に居住する人々にとりましては住んでいるところが水没してしまう、海没してしまう、こういう問題がある。日本の場合ですと、海抜一メートル以下に居住する人口が四百七十五万人と、こう推計されているわけでございまして、それから都市熱ヒートアイランド現象というものがございますけれども、人口一千万以上の巨大都市で雷ですとか集中豪雨、あるいはひょうを伴う特有の気象パターンが現出する、こんなことが言われておりまして、大都市では特に時間雨量が百ミリを超える、あるいはそれ前後の集中豪雨、これになりますと都市排水がほとんど利かなくなる、こんなことが言われております。  こういったような大きな課題が、一つ地球温暖化というものを取り上げましても考えられるわけでございまして、こういった状況対応するためには、災害発生した後の応急対策、これもちろん重要なことでございますけれども、それ以前に開発計画そのものを、これをどういうふうにしていくか、どうやったらその地球温暖化を防ぐような方向にこれからの我々の暮らす環境というものを作っていくかというところまで、発生前の予防重点を置いた対応が必要なんじゃないかと。  そういう意味では、例えば京都議定書の実行というようなことも重要な課題でございましょうけれども、我が国としましては、災害防災先進国という立場から、災害対応力の強いコミュニティーの形成でございますとか災害予防管理における被害の軽減など、こういったことのノウハウを、国連が進めます国際防災戦略活動を積極的に支援するというような形で、今後とも技術協力あるいは防災情報共有化、こんなような形で進めてまいりたい。今後ともよろしく御指導をお願いしたいと存じます。
  17. 柏村武昭

    柏村武昭君 どうもありがとうございました。  ここで私の地元広島県における災害対策について質問をいたします。  皆さん広島県といいますと、大変気候温暖で風光明媚、食べ物もおいしくて住むのには最高ではないかとおっしゃる方多いわけでございますが、ところが、広島県には有り難くないナンバーワンがありまして、急傾斜地が多数存在、その全県域に占める割合は全国随一である、そういうことなんですね。そのため、地震の際はもとより、集中豪雨の際にも必ずと言っていいほど土砂崩れ、落石などの被害発生します。  去る平成十一年の六月に発生した広島梅雨前線豪雨では、死者三十八名、行方不明者一名、負傷者七十八名のほか、住家の全半壊及び一部損壊七百四十三棟、床上浸水三千七百一棟、床下浸水一万六千三百六十八棟という多大な犠牲と被害を被りました。  平成十一年の広島梅雨前線豪雨発生後、今日に至るまでの国の具体的な取組について、特に土砂災害対策につきまして、国土交通省に簡単にお伺いいたしたいと思います。よろしく。
  18. 塩島高雄

    政府参考人(塩島高雄君) 平成十一年広島梅雨前線豪雨発生後の土砂災害対策についてお答えいたします。  当該災害では、危険な区域に新たな宅地等が開発されたこともありまして、大きな災害を受けました。被災した地区につきましては、平成十一年度からおおむね三年間で砂防堰堤整備する砂防激甚災害対策特別緊急事業等によりまして再度災害防止を図っております。また、広島西部山系地域につきましては、平成十三年度から国の直轄砂防事業に着手いたしまして、土砂災害対策を計画的かつ集中的に推進しているところであります。また、平成十一年広島梅雨前線豪雨災害を含めましたこれまでの土砂災害被災教訓を生かしまして、土砂災害警戒区域等における土砂災害対策推進に関する法律平成十二年に制定されましたが、この法律に基づきまして、平成十三年度から広島県においても基礎調査を行っているところであります。  今後、調査結果に基づきまして土砂災害警戒区域等指定を行いまして、当該区域について危険の周知、警戒避難体制整備住宅等新規立地抑制等ソフト対策推進することとしております。  国土交通省といたしましては、事業によるハード対策、それからこのようなソフト対策の両面の実施を支援することによりまして地域住民安全確保を図っていきたいと、このように考えております。
  19. 柏村武昭

    柏村武昭君 どうもありがとうございました。  広島は山が迫って海が近いという地域的な特殊性もあると思うんですが、今度は地震対策についてお伺いいたします。  今月二十四日は芸予地震発生してからちょうど一周年ということでございまして、実は当時、私は地元広島からテレビキャスターとしてこのニュースの第一報を県民の皆様、全国皆さんにお届けしました。阪神淡路大震災記憶が次第に薄れ掛けていたときだけに、この地震は中国、四国地方にお住まいのその皆さんにとっては正に心身ともに激震として受け止められたと思います。  この芸予地震では、死者二名、負傷者二百八十八名という多大な人的被害がありました。また、家屋などの全壊計五十八棟、半壊計四百五棟、住家などの一部破損が四万二百六十六棟もあったほか、停電や断水、携帯電話基地局の停波、臨海部液状化現象といったライフラインの途絶被害がありまして、経済社会的に大変な大きな被害がありました。  ここで、芸予地震発生後一年間における国の実施した具体的な施策、そして今後の取組について内閣府にお伺いいたします。
  20. 松下忠洋

    ○副大臣松下忠洋君) 柏村先生地元大変土砂災害の多いところです。お生まれになっていませんけれども、昭和二十年には五千人を超える死者が出た呉市の災害がございます。急傾斜地に大量の、たくさんの住宅が密集しているというところで、本当に危険の多いところだということはもうよく承知しております。  ちょうど一年前になりますけれども、三月二十四日の芸予地震発生当日、広島市や呉市ほか一市十町と対岸の今治市に災害救助法を適用して、直ちに避難所の設置とか食料、飲料水支給等実施をいたしました。これは四月二十四日までに完了しております。  それから、被災した公共土木施設災害復旧、これはもう当然直ちに実行いたしましたが、特に集中的に被害が出ました呉市の急傾斜地住宅擁壁崩壊災害、深刻でございましたけれども、これは国土交通省災害関連の緊急急傾斜地崩壊対策事業の特例ということでこれを実施いたしまして、個人の被災しているところの石垣なんかの修理をしていくということで、安全を図る仕事をしていきました。十八カ所、約八億円弱でございます。  それから、被災者に対しまして被災者生活再建支援法を適用いたしました。これは生活再建支援金を支給いたしましたけれども、最高百万円でございますが、四十六世帯に約三千七百万円、平均八十万円でございます。  それから、住宅金融公庫が災害復興住宅融資実施いたしましたけれども、被災程度に応じまして、その払込みの据置き、一年から三年間の据置き、それから金利の引下げ、これは〇・五%引き下げましたけれども、それから返済期間の延長、一年から三年を延ばしていくということで、既存の融資、既に実行している融資返済条件も緩和し変更していくということもいたしました。これは七百二十六件で四十三億円弱を実行しております。  それから、中小企業支援も大事でございまして、中小企業金融公庫、それから国民生活金融公庫商工組合の中央金庫が災害復旧付け既往債務条件変更実施しておりまして、百四十三件、約九億円弱を実施いたしました。  それから、この三月ですけれども、この災害局地激甚災害指定しました。農地等を中心でございますけれども、災害復旧事業等に係る補助の特別措置を講じまして、特別交付税により被災した地方公共団体に対して財政支援実施いたしました。  今後も、予知、予測の研究を重ねながら、警戒避難体制、それから危険地住宅の移転とか、あるいは住宅の補強とか、そういう災害に強い町づくりに努力していきたい、こう考えております。
  21. 柏村武昭

    柏村武昭君 どうもありがとうございました。  今日は村井防災担当大臣所信表明に対して三点の質問を行いましたが、そのほかにも被災者生活再建支援法の改正問題などにつきましても質問したいと思っておりますが、その問題はまた次回とさせていただきます。  今日はどうもありがとうございました。
  22. 大仁田厚

    ○大仁田厚君 おはようございます。  まず初めに、諸先輩にこういう質問の機会を与えていただいたことに誠に感謝しています。よろしくお願いします。  アナウンサーの先輩とプロレスラーが次に来るというのは非常に何かプレッシャーが掛かりまして、何を言っていいのか分からなくなってくるんですけれども、余り原稿を見ないでしゃべるのが好きなものですから余り原稿を見ないんですが。  ちょうど何年か前の阪神大震災なんですけれども、淡路大震災なんですけれども、ちょうど十五のときに何を思ったか進学をやめまして、リュックサックを背負って長崎の県庁前から歩いてたどり着いたところがちょうど神戸でした。それで、あの辺で酒の箱を作ったりなんかしてアルバイトをしていてお金をためていたところがちょうど映っていたものですから。それに、皆さんも覚えていらっしゃると思いますけれども、あれはずっと朝の早朝に静止画像になりまして、あの高速道路の破損した部分がずっと映りながら、死者がどんどんどんどん増えていくんです。ずっと見ている間にどんどんどんどん死者が増えていきまして、それをずっと見ていたんですけれども、あのときに何となく自分の中で災害というものに本当に目を向けた一瞬だと僕は思いました。思い出します。  復興だとか、町を復興させよう、そしてまた、ちょっと見させていただきます、ボランティアという言葉だとか、そしてまた災害に対して日本人が本当にあのとき、確かに関東大震災とかいろんな震災とか災害に見舞われています。だけれども、あのときこそ、あのとき何となく日本じゅうがボランティアという言葉を、何か底辺から持ち上がってきたような、何か感じたようなときだと僕は思っています。  ちょうど僕は、たまたま、時々田舎の高校とかに講演に行っていまして、それでちょうど、広島なんですけれども、広島に赴いたとき、ちょうど柏村先生の田舎なんですけれども、ちょうど行ったときに小さなNPOに行ってきたんです。小さなNPOに行ってきて、その人たちの活動の映像を見たとき、またその子たちが小さな村に、台風後の処理の村に行っているんです。その村に訪れて何をしているのかなといったら、家財道具を出したりその家の中の泥を出したりしているわけです。そしてまた、マンホールじゃないですけれども、浄化槽の中からふん尿なんかが出ていて、そのふん尿なんかを若者や子供たちがちゃんと処理しているんです。  何か僕、それを見たときに、ああ最近の若者はとか、何か根性がないとかいろんなことを言われますけれども、ああこの人たちは自分たちの範囲の中で、国という範囲じゃなくて自分たちの範囲の中でちゃんと活動していらっしゃるじゃないかとある種の感動を覚えまして、そして僕は最後に聞きました。こういう活動費はどこから出ているんですかと僕聞きました。そしたら、高校生の子もいたんですけれども、私たちのお小遣い、そしてまた代表者が会社の会社員ですから、自分たちのお小遣いから自分たちで持ち寄って活動をしているんですと。それを聞いたときに、やっぱり僕は本当に心から感動しました。  それで、ここでお聞きしたいんですが、地域ごとに設置されている自主防災会や災害救助を目的としたNPOなどの連携についてどのようにお考えですか。また、それらの団体が円滑に活動できるようなシステムづくりや財政面でのバックアップについて現状どのようにお考えか、お聞かせください。
  23. 村井仁

    国務大臣村井仁君) 私は、今、大仁田先生お話を伺いながら感じていたことでございますけれども、日本というのは本来非常に、何といいましょうか、自然な形で地域の自発的ないわゆるボランティア活動というのがいろんな形であった。正に地域での助け合い。私どもの地元の言葉では結なんて言葉がございます。結ぶという字を書いてユイと呼びますけれども、そういう助け合いの世界でございますとか、それから全国的な形では消防団なんというのは典型的な例ではなかろうかと思うわけでございますが、そういうものの大切さというものを改めて認識させてくれたのが、一つは私は阪神淡路大震災であったのではなかろうか。あのときに本当に全国からいろいろな形でボランティアの皆さんが集まって、そして神戸で、あるいは淡路で、その周辺でいろんな活動をされたと、もうそのとおりだと思います。  そこで、それをどういうふうに連携、行政との連携あるいは組織間の連携を維持していくかということでございますけれども、これはやっぱり一番大事なのは、それぞれのボランティア団体といいましょうか、それの自主性というものを尊重していくというのが一番大事で、これを行政が妙な形で統制するということになりましたら、ある種の矛盾に多分なるんだろうと思います。  そのことを踏まえながら、政府として考えておりますことは、一つは、政府が作ります防災基本計画で、ボランティア団体がそれぞれ活動される環境の整備、それから受入れについての事項というものを書き込みをいたしました、これは平成七年の七月のことでございますが。それまでは、ボランティア活動というのは余り前提にしないで、何でも地方自治体なりあるいは政府なりが出ていくという感じの書き方になっていたわけでございますが、やっぱりボランティア団体にもそれなりに一定の役割を果たしていただこうということを積極的に書いた、これ、私は一つのポイントだろうと思っております。  それから、災害対策基本法におきまして、同じように防災活動の環境整備に関する事項の実施に努めることということを書きましたこと、さらに、これは平成十年になってのことでございますけれども、いわゆる特定非営利活動促進法の施行によりまして、関係NPOに法人格を付与するというような体制をとった、これ、私は大変大きい出来事であったのではなかろうかと、こんなふうに思っております。  今後とも、いずれにいたしましても、固定的な国あるいは地方自治体、それだけでできる世界ではありません。それぞれ国民の皆さんが本当に自主、自発的にやろうというお気持ちでやっていただいて初めていろいろなことがうまく運ぶんだろうと思いますので、そういうものを大いに促進するような手法をいろいろ工夫してまいりまして、防災活動やあるいは環境の整備に努めてまいりたいと、こんなふうに思うところでございます。  今後とも、よろしく御指導のほどお願いしたいと存じます。
  24. 大仁田厚

    ○大仁田厚君 ありがとうございます。  いや、本当にあれなんですけれども、これ、次の質問でもちょっとは取り上げるんですが、ニューヨークのテロ事件のあの一シーンを見たとき、僕は、またこれも夜なんですけれども、あの一シーンを見たとき、申し訳ないですが、映画の一シーンを思い出しまして。  それから、このときほど、日本にも消防団があり消防士がいるんですけれども、アメリカで言うとファイアマンなんですけれども、僕もたまにファイアーと言ってやっているんですけれども、ここでは使えないなと思いまして。ファイアマンたちがこれほど格好よく見えたことというのは僕今までなかったんです。  格好いいなというのは、人間ってそうじゃないですか、何かに打ち込んでいる人、何か一生懸命やっている人を見ると物すごく感動したり。何かあのとき、あのとき僕思ったんですけれども、ああアメリカってすごいなって。自分たちの国を思い、フラッグを立て、そしてまた、自分たち、大声でみんなでUSA、USAと唱えているんです。あれはすごいなと僕は思いました。そのときに、何か国民がもう団結しているわけです。あのときは、ああこのパワーというのは、これは早く復興するぞという、何かこの国はなかなか負けないぞというような。  それから、ちょっとだけ済みませんが、悲しいというか、ちょっと負けたなと思ったことが一つありまして、最後、確かにアメリカの消防士たちとか格好よく活動しているわけです。その中で、国際的に活動している方々がいて、フランスの災害救助隊が来て、もう赤に白のストライプだったか白に赤のストライプだったか分からないんですけれども、余り格好よくありませんでした。格好よくなかったんですけれども、いち早く二番目に来たのがフランスの災害救助隊だったんです。それがテレビの映像に映されたときに、何となく僕は、この国の人間として、ああ何か先にやられたなというような感じがしまして。  非常に重要なのが、今やっぱり災害のハード面も確かに必要だと思うんですが、心のケアというものがすごく叫ばれていると思うんです。  先日もちょうど、昨年の当選してすぐに、これもまた講演なんですけれども、田舎町に行ってきまして、そのとき、ちょうど台風だったんです。それで、台風で地元の人たちが避難しているところで、その講演が終わって僕は公民館へ行ってきたんです、三つぐらいの公民館。それで、公民館へ行ったときに、人に握手したり、頑張ってください頑張ってくださいと。そこで一生懸命、町内のおばちゃんたちがおにぎりを結んでいるんですね。それで、あんたね、こいば食べんねと言われたときに、そのおにぎりを久々に、その塩だけのおにぎりを食べたんです。そのときには、うまいんですね、これが。これがうまいんです。それで、その周りを見ていると、そのおばちゃんたちがこうやって配っているおにぎりを子供たちが食べているんです。  僕が言いたいのは、災害というのは確かに嫌なことであり、本当に不慮の事故であったり、いろんなことがあるわけです。だけれども、その災害の中で、災害があっても、その周り、地域の人たち一つのところに集まり、こういうことってなかなかないじゃないですか。  一つのところの、公民館なら一つのところに集まり、毛布を分け合ったり、そしてまたおにぎりを食べている姿を見たとき、確かに災害というものは来てはいけないことであり起こってはいけないことかもしれない。だけれども、そういった中で、もう一回、人間の心の触れ合い、心と心の感じ合うもの、そういったものを何か感じて、温かいものを感じたんですけれども。  ここでちょっとお伺いしたいんですが、災害後の心のケア、またそのときの人間の心の触れ合いなんですけれども、災害発生地では道路や鉄道の復旧などのハード面については迅速な対応がそのときに、僕は僕ながら、なされていたと思っています。ですけれども、ソフトへの応対と、つまり被災者、特に小さな子供やお年寄りの心のケアについてどのような取組をなされているか、お聞きしたいと思います。
  25. 高原亮治

    政府参考人高原亮治君) 災害時におきます被災者に対する心のケアは、委員御指摘のとおり、極めて重要なことであると考えておりまして、被災者がより充実した心のケアを受けることができるように、平成十三年度より、医師、保健師、精神保健福祉士などの職種に対しまして、PTSD、心的外傷後ストレス症候群というふうに言われておりますが、それに対応できるような専門家の研修事業実施しております。そして、これらの専門家の方々に、地域精神保健対策の一環といたしまして、救護所、被災家庭の訪問ないしは精神保健福祉センターや保健所、そういったところで電話相談など行っておるところでございます。  また、委員御指摘の兵庫県におきましては、阪神淡路大震災での経験を踏まえて、こういった災害後のトラウマやPTSDと心の問題に関します相談や支援方法などを全国に発信することを目的としたこころのケア研究・研修センターを設立されることとなっておりますが、厚生労働省としても、当該センターの設立に関しまして必要な支援を行ってまいりたい、そういうふうに考えております。
  26. 上原哲

    政府参考人上原哲君) お答え申し上げます。  子供のケアの問題につきましては、先生御指摘のとおりでございまして、私ども非常に重要視しているところでございまして、文部科学省におきましては、事故とか自然災害が起きました場合、例えば阪神・淡路大地震、それから昨年二月のえひめ丸事件、その他六月の、大阪府立大の、池田小学校事件、その他が起きました場合には、すぐ対応いたしまして、心のケアの専門家の派遣、それから心のケアのための教師用の小冊子を作っておりまして、それの配布など、地域の教育委員会連携しながらそういう活動をやってございます。  特に、十四年度以降につきましては、先ほどお話しありましたニューヨークの事件で、お子さんのみならず、保護者の方が非常に不安でどう子供に対応したらいいか分からないということなので、十四年度からは保護者のための、先ほどありましたPTSD対策用の小冊子を作る準備を進めていくとともに、それから関係の養護教諭の方々の研修会、それから特に、日本には今精神科医が約一万一千名、それから臨床心理士、心のカウンセラーを担当いたします臨床心理士が五千七百名ぐらいおると思うんですけれども、そういう方のコーディネーションをやろうということで、今データベース化の事業などを始めているところでございます。  なお、阪神淡路大震災につきましては、非常に大きな災害でございましたので、カウンセリング用の加配措置と申しまして、教師をプラスアルファで付けている措置をやってございまして、地域の要望に応じまして今後ともそういう活動を継続したいと考えておるところでございまして、そんな活動をやっている現状でございます。
  27. 大仁田厚

    ○大仁田厚君 ありがとうございました。  もう時間もないようですので、早めに切り上げさせていただくんですけれども、本当に日本の国も不景気で雇用問題とかいろんな問題を抱えています。  先日もアフガニスタンに行ってまいりまして、アフガニスタンに行ったときうちの、うちのといっても僕のじゃないんですけれども、日本大使館なんですけれども、どうしても外国に行くと、うちのという言葉という、やっぱり自分の国の大使館なんかがあると物すごく力強い何かものを感じるんですけれども。  大使館に寄りましたら、大使とたまたま話していた最中に電気がぼんと消えるんです。自家発電していまして、電力不足で。まだまだそこらじゅうに、カブールから三十キロぐらいの地雷地域にも行ってきましたけれども、そこらじゅうにまだ戦車の残骸があり、また残骸だけじゃなく、まだ現状で使える戦車なんかもごろごろしているわけです。道路には白と青の線が入っていまして、白と赤でしたか、それは青もあるんですけれども、青はちょっと把握していないんですけれども、赤と白がありまして、白のところは入っていいよ、赤のところから入っちゃ駄目だよというふうにこうやって石が置いてあるんですけれども。  そんな折、アフガニスタンの北東部で二十五日夜から二十六日に掛けて発生した大地震なんですけれども、これ最後に質問なんですけれども、死者負傷者の数や、テレビでは僕は把握していますけれども、ちょっとここのところを、済みません、もう時間がないものですから飛ばさせていただけますか。これは一応、かなり今のところ、テレビというものは最近速いものですから大体合っていると思いますので、これをちょっと省かせていただきます。  本当に、阪神大震災などを経験している私たちの国、そしてまた国や国外における防災及び被災者救済に対する役割とか、今後ますます大きくなってくると思うんです。  確かに不景気です。国民の皆さんの間でも僕は言われました、何でアフガニスタンにやるの、それよりか日本で困っている人はたくさんいるじゃないか。確かにそれも一理あるんです。だけれども、なぜ僕たちがやるかといったら、人間、そうなんです、助け合いの心というのは絶対にあると思うんです。このグローバルな社会であり、またそしてグローバルな視点からいろんなことを見ていかなければ、人間同士の付き合いというのは、そうなんです、確かに言葉で付き合うことも必要です。だけれども、人間というのは不思議なことに、ボディーランゲージじゃないですけれども、何かをしてやる、そして何かを感性で感じたときの方が本当に感じるものがあるんです。  この間、たまたま難民キャンプに行ってきたんですけれども──もうちょっとだけ時間をください、これだけで終わりますので、申し訳ありません。一回目のパキスタンの──はい、分かりました、委員長、ごめんなさい。済みませんでした。パキスタンへ行ってきて、一回目、難民キャンプに行ったときに、子供たちがごそっと取るんです、ノートとか鉛筆を。おい、やめろよ、一つずつに分けろと。この間も難民キャンプに行ってきたとき、先生たちが、女子の先生なんですけれども、二人いたんです。教育というのはすごいなと思ったんです。難民の子でも、こうやって渡して多く取ったら、その子供がちゃんと自分のを取って返してきたんです。そういったことというのはあるなと。  だから、その中でも、やっぱり助け合いじゃないですけれども、本当に自分がもらった分だけで結構ですといって渡す教育がなされているというのはすごいなと思いまして、人と人というのは絶対にそういったものを忘れちゃいかぬなと私は考えております。  もうこれで質問を終わらせていただくんですが、本当にそういった部分で、災害、確かにハード面も必要ですけれども、ソフト面も今後考えていかなければいけない重要な問題だと考えております。  今日はありがとうございました。
  28. 高橋千秋

    高橋千秋君 民主党・新緑風会の高橋千秋でございます。どうかよろしくお願いいたします。  今日は、一時間という時間をいただきましたので、先ほどはキャスターの方、プロレスラーの方々、それぞれ国際的な話がたくさん出ましたが、私は農協職員でございましたのでドメスティックな話をしたいと思います。  まず冒頭に、先日、防災担当大臣の方から所信表明がございまして、中身、いろんなことを網羅されて、確かにこういうことに努力を是非していただきたいと思うんですが、昨日も今日の質問取りということで各省庁たくさんの方が来ていただきました。  部屋に入り切れないぐらい、今日もたくさんの方お見えになっていますが、お見えになって、一時間の質問の割には非常に多いなというふうに思ったんですが、この予算案を見ても各省庁にまたがっておりますから当然そういうことになるのかと思うんですが、ただ、これだけ多いと、本当の災害が起きたときに、緊急時に的確にどこがどういうふうに動くのかというのがはっきり言って分かりづらいというふうに思うんですね。  まず、防災担当大臣としてこの防災に対しての取組の決意みたいなものをお伺いをしたいんですが、先ほどのいろいろな省庁にわたるということも含めてお話をいただければ有り難いなというふうに思うんです。
  29. 村井仁

    国務大臣村井仁君) どういうふうにお答えしたらいいかあれでございますけれども、やっぱり、まず一つ大切なことは、一体何が起きたかということを的確に把握するということであろうかと思います。そして、それに対しまして一体どこがどういうふうに動けるのかというような意味で、その対応につきまして動かせるものをきちんと把握する、これが一番重要なポイントではなかろうか。  何でそんなことを申し上げるかと申しますと、例えば阪神淡路大震災のときには、一体、当時、東京ではどの程度被害が起きたかさえ残念ながら適切な推測ができなかったという経験がございます。それから二番目に、自衛隊を含めまして、災害に対しましてはある程度大きく構えることが必要でございますけれども、そのような対応整備というのも必ずしも十分じゃなかった。  私は、すべてがすべて中央に情報を集中することが不可欠だとは思っておりません。事案によってはもちろんローカルな対応で十分にできることだと思いますけれども、ただ何が起きたかということを私どもとしても掌握しておく必要がある、これはやっぱり一番基本の問題だろうと思っております。  ただ、災害といいましても、実は非常に多種多様でございまして、日本の場合、私いつも感じるのでございますけれども、日本世界にたしか八百くらいございます火山のうちの一割強、八十六が活火山としてあるということ、それから、いわゆるリング・オブ・ファイアと呼ばれる太平洋を巡る火山帯の上に正に乗っかっている、そして東海、東南海等々の地震が起こると言われている。さらには、台風がほとんど毎年のように常時襲来するというような意味では、ある新聞の記事でございましたけれども、我々は何とまあ恵まれない国に生まれたものかという嘆息の記事を、何か随筆、随想みたいなところでございますが、読んだ記憶がございます。そういう意味では多種多様な災害がある。  これに対しまして、国民の生命、財産を守るというのは、それは国政の最も重要な課題でございますから、私どもとしてもそれに備えなきゃいけないわけでございますが、問題は、やっぱりいつ起こるか必ずしも分からないというようなことでございまして、そのコストというものも常に考えておかなきゃならない。  それから、先ほどもちょっと他の委員の御質問に関連して申し上げたことでございますが、二十一世紀になりまして、新しいタイプの災害というものがだんだん出てきている。一つは、地球温暖化に伴う問題、それから、先ほどは触れませんでしたけれども、少子高齢化の進行等によりまして、例えば日本の国土の六割が人の住まないところになっているというような問題。これによりまして、例えば森林の手当てなどが必ずしも適切に行われませんで、いわゆる土砂崩れなどが容易に起こりやすい環境になっている。逆に申しますと、過密な地域ができてまいりまして、余りにもたくさんの人がそこに集まり過ぎて、災害が起きたときの被害が非常に大きくなるというような問題。  こういった複雑な問題につきまして、どういうふうに対処していくか。これは正に本委員会におきまして先生方の御示唆もちょうだいしながら、私どももいろいろ御相談しながらいろいろ対応をしていかなきゃならない大きな課題だと、こんなふうに思っているところでございまして、今後ともよろしく御指導いただければ有り難い、こう思う次第でございます。
  30. 高橋千秋

    高橋千秋君 大臣言われたように、確かに日本というのは非常に災害が多い。それも、台風もありますし、地震もありますし、三宅島のような火山の噴火があったり、本当にその意味では恵まれない国かも分かりません。しかし、そういう災害に対して準備をしていくというのはやっぱり国の責任でありますし、私たち政治家の責任だと思います。  その中で、先ほど私がいろんな省庁にまたがる話をさせていただいたんですが、ちょっと事前通告していないので恐縮なんですが、アメリカにFEMAというのがございます、御存じだと思います。連邦緊急事態管理庁というんですかね。これは、例のロサンゼルス地震の後作られて、今、正職員だけで二千五百人の職員がおられるということで、非常にこれは活躍をして、アメリカの災害なんかでは非常に効果的に活動をしている。この中身を見ますと、それぞれのやっぱり省庁にまたがっている部分をこのFEMAがある程度窓口になって統括しながら、効果的な緊急時にも対応をしているというふうに聞いております。  私は、日本にも、例の阪神大震災の後、このような政策がやっぱりあるべきではないかなというふうに思うんですが、昨日の質問取りを見まして特に私思いまして、大臣、もう一度このことを含めて、FEMAのことも含めて、御所見ありましたらお伺いしたいんですが。
  31. 村井仁

    国務大臣村井仁君) FEMAという組織の評価、そして日本でもそのような組織を整えるべきではないかという御議論を、しばしば当委員会含めて私も御質問を受けるわけでございますけれども、私は、一つは、やはりいわゆる防災対策の、何といいましょうか、基本というのは、地域性がどうしてもある程度ございますから、そういう意味では地方自治体がある程度中心になって対応していただくという面があるのではないかという気がいたします。  そういう意味で、アメリカの場合は、申し上げるまでもなくいわゆる連邦制でございますので、州の権限が日本の自治体よりはるかに強い。そういう意味では、連邦レベルでの調整を行う、そして連邦レベルでの動員あるいは対応、それを行いますためにFEMAという組織を必要としたという側面があるのではないか。  それに比べますと、日本の場合、例えば消防庁による調整あるいは警察による調整、ないしは自衛隊による対応というようなものも、これもある意味では一体的に行えるわけでございまして、地方自治体の長がそれなりの判断をされて出動要請をされるということで、現実には私は、さほどの問題なく運用ができているのではなかろうか。  私ども内閣府の防災担当という立場で申しますと、その間で、何といいますか、ボールの受け手がない状態で終わるというようなことがないようによく注意深く見てまいらなければいけない。そこが一つ課題だろうと思っておりまして、日本日本なりの組織の体制があり、それにもう少し磨きを掛けていくということが当面の課題ではないか、こんなふうに思っておるところでございます。
  32. 高橋千秋

    高橋千秋君 おっしゃられることもよく分かるんですが、これは地方分権のことまでも含んだ話になると思いますので、現状ではそういう話かも分かりませんが、やはり縦割りの弊害はどうしてもあると思いますし、今、支障がないというお話大臣はされましたが、大臣防災担当大臣であって防災専門大臣ではございませんので、やはり私は、これだけ災害が多い日本の中で、そういうことを専門的にやられる長がいてもいいのではないかな、新たに役職を作るということはどうかという論議もあるかも分かりませんが、そういうこともあってもいいのではないかなというふうに思います。  それで、予算を見させていただいて、この防災予算、約二兆一千億ぐらいですか、かなりたくさんの予算があるわけですが、この中を見させていただくと、国土保全が一兆四千億、半分以上ですね。あとの、さっき大仁田委員の方からも話がありましたが、ソフト部分というのがやっぱり少ないようにも思うんですね。これだけ災害の復旧なりいろんなことがあって、予防も含めて堤防をちゃんと整備したりとか、いろんなことで当然それはお金が掛かるのはよく分かりますけれども、やはりソフト部分へのお金の投入というか、ここを見ても科学技術の研究というのが二兆一千億の中で四百億ぐらいしかないんですね。そういういろんな研究を更に深めてほしいと思いますし、この予算についてもどのようにお考えでございましょうか。大臣にお伺いできますか。
  33. 村井仁

    国務大臣村井仁君) 今、委員正に御指摘のように、それぞれの省庁において、例えば国土保全という系統の話で言いますと、例えば砂防でございますとか、あるいは堤防の整備でございますとか、あるいは傾斜地の保全でございますとか、そういうことをきちんとやっておいていただければ、ある程度災害に対して耐える対応ができるわけでございまして、そういう意味で、それぞれのつかさつかさできちんとしたことをやっていただく、ハード面ではそのようなことだと思います。  一方で、ソフトの面でございますけれども、これは私は、確かに御指摘、そのとおりな面があると思いまして、もっともっとソフトの面で配慮をしていかなきゃいけない点があると思います。  例えば、私は、個人的に非常に関心を持っております分野ではロボットの問題がございますけれども、防災関係のロボットの活用なんというのは、日本の技術水準からしましたらもっともっと積極的に考えていかなきゃいけないんじゃないだろうか。これはハードというより正にソフトの話になるだろうと思います。そして、例えば人命救助でございますとか、倒壊した家屋のところで中に人がいるかいないか、これを探知する、そういうような機能でございますとか、あるいは人が近づけないような環境のところへロボットを入らせるとか、日本の技術をもってすればいろんなことが本当はできるんじゃないかという問題意識を持っております。  そういう意味で、科学技術関係の予算などはもっと増やしていくことも考えなければならない課題だろうということは全くそのとおりだと思います。  いずれにいたしましても、防災関係の予算、これは一応各省庁に割り振りましたものを防災関係という横ぐしでずっとくくってみて、今どうなっているかということをお示ししているわけでございまして、私どもはこれで十分だとは必ずしも思っておりませんけれども、できるだけそういう意識で予算が重点的に配分されるよう今後とも努力を重ねてまいりたい、こんなふうに思うところでございます。
  34. 高橋千秋

    高橋千秋君 先ほど大仁田委員だったかと思うんですが、消防団の話もあったかと思うんですが、私も地元の消防団に八年入っておりました。消防団というのは、はっきり言いまして、本番の火事のときにはなかなか役に立たないんですね。洪水のときとか土のう積みだとか、ああいうときには消防団というのが非常に役に立って、私も何度も出動した覚えもあります。  この消防団というのは、地域のそういう消防、私は非常に田舎に住んでおるものですから、消防署がないんですよ、近所に。そうすると、もうまず第一には消防団が行かなきゃいけない。ところが、さっき申しましたように、火を消すというか、ふだん練習もそんなにできないわけで、いざとなってもなかなかできない。訓練、火気訓練だとか出初め式だとか、そういうのはやりますが、なかなか訓練もできない。それに対する教育もなかなかできない。ほとんどが自分たちの持ち出しのお金でやったりだとか、非常に苦労をしているわけですね。  その中で、この予算を見させていただくと、消防庁の予算の中でも余り私は、充実強化という部分で十四億九千六百万ですか、消防団で、これは全国でこれだけのお金でございますので、私は、地域防災ということを考えるともっとこの辺も充実をさせていっていいんではないかなというふうに思うんですが、この消防団の存在についてどのように考えるかということと、この予算についてもお伺いをしたいんですが、いかがでございましょうか。
  35. 北里敏明

    政府参考人北里敏明君) お答え申し上げます。  現在、消防防災につきましては全国で十五万人の常備消防職員がございます。それに約九十五万の消防団員というのが活躍をいただいているわけでございます。  消防団につきましては、今お話がありましたように、地域におきます消防防災活動の重要な役割を持っておりまして、火災時の消火活動あるいは多数の要員を必要といたします水害、地震等、大規模災害時、こういうときに活躍をいただくわけでございます。また、平時でも、独り暮らしの高齢者のおうちへの防火防災の訪問とか応急手当ての普及とか、あるいは地域の行事の警戒、あるいは火災予防の活動の支援とか、非常に地域に密着した幅広い活動をしていただいておりまして、私ども非常に重要な組織であるというふうに思っております。  予算でございますが、御指摘のように額的に厳しい部分もございますが、私どもはその消防団の重要性にかんがみまして、消防団の活動拠点となります施設整備、消防団拠点施設等整備事業、それから消防団の装備とか資機材につきましての補助を行います消防団活性化総合整備事業というものを実施しております。  特に、活性化整備事業につきましては、十四年度一三・五%増というようなことで十四億、先ほど御指摘になりましたような額を確保したわけでございますが、他方、消防ポンプ自動車等に対する補助がございます。これらについても消防団も含めて交付をしておりまして、十三年度には十七億円を補助しておるところでございます。  また、消防団員の処遇改善ということで、十四年度、報酬とか出動手当等の交付税算入額、これを引き上げる。あるいは退職報償金の基準額を改善するというようなことも行っておりますし、また、消防団員が自家用自動車を災害活動現場等に使用してそれで損害を受けましたとき、そういうときの見舞金の支給制度とか、様々な施策を通じまして消防団の充実強化ということをしておりまして、今後とも支援に努めてまいりたいと考えております。
  36. 高橋千秋

    高橋千秋君 私、大分増やしていただいていると思うんですが、まだまだちょっと不十分ではないかなというふうに思いますので、さっきのソフト・ハード論で言えばソフトの部分になると思うんですが、是非充実をさせていただきたいなというふうに思います。  続きまして、先日、三月の二十四日ですか、国土交通省の方から、治水長期計画諮問へという、そういう新聞記事が出まして、治水長期計画の在り方について社会資本整備審議会に諮問するという報道がございました。  昨日、この質問取りをさせていただいたときに、どうもちょっと報道が事実と違うところもあるというふうに聞きました。このポイントを簡単で結構でございますので、御報告をいただけませんでしょうか。
  37. 竹村公太郎

    政府参考人竹村公太郎君) お尋ねございました新聞報道につきまして御説明させていただきます。  私ども、二十一世紀に入りまして、新しい治水事業、新しい社会における治水事業の在り方について全般的に有識者の方々から御意見をいただこうということで、社会資本整備審議会に諮問する予定でございます。長期計画の在り方ということに絞ったわけではございませんで、あくまでも国民の安全を守り、そして新しい国民のニーズを踏まえた新しい時代において、ハード、ソフト両面からどのようなことが考えられるかという幅広い御意見を伺おうというつもりの私ども予定になってございます。
  38. 高橋千秋

    高橋千秋君 平成十二年の末に、当時の建設省の諮問機関の河川審議会が、洪水と共存する治水と、ちょっと表現は違うのかも分かりませんが、川はどうしてもやっぱり多少は、幾ら防災を、堤防を造ってもあふれる可能性は当然あるわけで、それに対して一種、共存というとなかなか語弊があるかも分かりませんが、それはあふれるという前提で治水行政を考えるという答申があったというふうに聞いているんですけれども。  そういうふうに考えると、今まで私の住んでいる家の前にも大きな川がございまして、小さいころしょっちゅうあふれたんですね。木の橋だったものですから、毎年台風のときにその橋が流されまして堤防が決壊する、そういう覚え、小さいころの思い出があるんですが、最近、その堤防も全部コンクリートになりまして、めったにそういうこともなくなってまいりました。  しかし、様々な論議がある中で、コンクリートで全部堤防を、川を造ってしまうのがいいのかどうかという論議もあります。このことも含めて、私も解釈がちょっと違うというふうにも聞いたんですが、この河川審議会の洪水と共存するという治水の在り方、これについて、少し解釈が違うんであれば御説明をいただきたいんですが。
  39. 竹村公太郎

    政府参考人竹村公太郎君) ただいま御指摘の平成十二年の河川審議会の中間答申でございますが、流域での対応を含む効果的な治水の在り方ということについて答申がなされました。  新聞ではかなり刺激的に、河川のはんらんを前提だとか、今、委員御指摘の洪水と共存というような言葉が躍っておりますけれども、水害を受ける方々にとって洪水と共存なんというのはとんでもない言葉でございまして、そういう言葉は使ってございません。  その趣旨をお話しさせていただきますと、近年、非常に気候の温暖化の影響かもしれませんが、気候変動が非常に激しくて、気象が私どもにとったら凶暴化してございます。私ども予定していた、又は計画していた以上の降雨が思わぬときに襲ってくるということでございますが、それに一方、河川改修事業は下流から逐次やっていかなきゃいけません。なぜ下流からと申しますと、上流で早く堤防等を造ってしまいますと、洪水が一気に下流に流れていき、今度は下流に負荷を与えていくということでございますので、どうしても川の改修というのは下流から進んでいかなきゃいけないということでございます。  そうしますと、上流部に住んでいる方々、山間部に住んでいる方々は、いつまでたっても何十年たっても下流からたどり着かないということがございます。  そういうことで、このような被害を放置できないということで、当面、例えば自分たちの住んでいるところだけは輪中堤で囲もう、または自分たちの住んでいるところだけは宅地のかさ上げをしようという方法だとか、または堤防の手法でやってしまいますと山間部で貴重な宅地や畑が全部堤防になってしまうと。私ども、その地域を守るために堤防を造るわけでございますけれども、堤防を造ることによって堤防しか残らないと、そんなばかなことが起きちゃいけないということもございまして、そういうところでは堤防という以外の、先ほど言いましたように宅地をかさ上げしたり輪中をしたり、そういうこともメニューを広げようじゃないかという内容の平成十二年度の審議会の答申でございまして、決して私ども、洪水で、皆さん洪水と一緒に共存してくれということではなくて、様々なメニューを広げていこうという趣旨の答申でございました。
  40. 高橋千秋

    高橋千秋君 そのことを聞いて若干安心をいたしましたが、先ほどの輪中を造るというところが実際私の地元にもありまして、毎年というか三年に一度床上浸水があるところがあるんですね。そこを輪中にするという計画がありまして、国土交通省の方にもいろいろ御配慮をいただいた部分があるんですが、やはりさっきの話で堤防だけが残ってしまうというような在り方になってしまっては、先ほど話にもありましたけれども、せっかくのこのすばらしい国土を害してしまうことにもなると思います。  それで、さっきの治水長期計画の中でもダムの整備のことが出ております。長野の方では脱ダム宣言というのがあったりとか、国土交通省の方とは少し余りうまくいっていないというふうにも聞いておるんですが、私はこのダムについては、こういう御時世ですのでなかなか大規模ダムを造るというのは難しい時代だとは思うんですが、先ほど広島お話がございましたけれども、私の出身の三重県でも実は鳥羽市という風光明媚なところがございます。  ここの方から先日ちょっと来てほしいということで行ってまいりました。何かなというふうに思いましたら、そこはさっきの瀬戸内海と同じように海なんですね。そうすると、山から海までが物すごく短いんです。ですから、川が非常に急なんです。そこに鳥羽河内地区という、河内音頭のあの同じ字を書くんですが、河内地区というのがございまして、ここの川が何度もはんらんをいたしまして、過去に死者も出ております。それで、地元の方が住民投票をしまして、珍しいんですが、住民の方からダムを造ってくれというお話がございまして、その現地を見てまいりました。  この治水長期計画と絡めまして、今そういう、これは多少計画は進んではいると聞いているんですけれども、これによってそういう見直しがあるのかどうか、それとどういう影響が出てくるのかということと、この鳥羽河内ダムについての進捗状況等について、分かる範囲で結構でございますので、教えていただけますでしょうか。
  41. 竹村公太郎

    政府参考人竹村公太郎君) 私ども、全国北海道から沖縄まで河川を管理しておりますが、その川ごとによって川の様相は全く異なります。河川改修、治水を、安全な川にするというのは、その川ごとに様々考えていかなきゃいけないと思っております。  具体的に申しますと、堤防を造り、またはダム、遊水地、放水路、河床のしゅんせつと、様々な手法を、その川で最も優れている手法はどれかなということをその川ごとに考えていくということが私どもの原則になっております。ですから、長野県知事のように最初からダムを全面的に否定するということは私ども取っておりません。または、すべての川にダムを造るということも取っておりません。その川ごとに一番優れた手法は何かなということを考えてございます。一番の治水の原則は川の水位、洪水時の水位を下げるということでございまして、下げるということでは、ある川におきましてはダムによって洪水をためるという手法が極めて有効な手法になる場合がございます。  そういう意味で、今お尋ねの鳥羽河内ダムでございますが、この三重県の鳥羽河内は、河内と書きますと分かりますように大変洪水の頻発しているところでございまして、山から一気に洪水が押し寄せてくるということでございまして、昭和六十三年に死者を出して、その後平成三年、平成四年と水害が起きております。  私ども、三重県はそのために鳥羽河内ダムを、治水ダムを造ろうということで、平成十三年八月には学識経験者七名によります三重県の事業評価審査委員会におきまして、この事業は必要であるという事業の継続の答申が確定されております。それ以降、治水、地質調査を進めておりましたが、平成十三年の三月にダムの位置、形式が決定しまして、現在、環境調査を継続でございます。十四年度、十五年度二か年で県条例に基づきます環境影響評価を実施しまして、この環境影響評価が終了次第工事に入る次第でございます。  工事に入る段取りになりましたら、国土交通省としても全力を挙げて御協力していきたいと考えてございます。
  42. 高橋千秋

    高橋千秋君 ありがとうございます。  民主党は、すべての公共工事を駄目だと言っているわけではございませんで、必要なものはやはり必要でございますが、無駄なものは見直していくべきだという主張でございます。是非、人命にかかわることでございますし、地元からも大変要望の強いことでございますので、是非進めていただければ有り難いなというふうに思います。  次に、これも私の地元の三重県にかかわることでございますが、昨年いろんな災害がありましたが、昨年は比較的大きな台風というのは余りマスコミには出ませんでした。ところが、私の地元の三重県の南部それから和歌山、紀伊半島辺りですね、非常に被害を受けまして、長雨が続いたりだとか台風がなかなか動かずに紀伊半島にずっといたりしまして、いろんな被害が出ました。  私も三回ほど現地へ行って、約百か所ぐらい、がけ崩れやらいろいろなところを歩いてまいりました。地元の市長さんや町長さんといろいろ現地を見させていただいて、これは大変なことだなというふうなのを実感してまいりました。  三重県で大体その被害が五十億ぐらいだったということなんですけれども、去年の、全国的にはそれほど台風の被害がなかったというふうな感じであったかと思うんですが、このことの実態についてとらえられておられるのか、ちょっと御報告いただければ有り難いなと思いますけれども。
  43. 高橋健文

    政府参考人高橋健文君) 昨年の台風十一号でございますが、八月の二十一日の夜に大型で強い勢力を保ったまま和歌山県の南部に上陸したわけでございますが、その後、本州の太平洋岸を極めてゆっくり進みました。そういったこともありまして、八月二十日から二十三日に掛けて大変長い期間にわたって、四国から北海道に掛けての広い範囲で大変な大雨をもたらしたところでございます。  この台風によりまして、全国では死者が六名、負傷者が三十二名、住家半壊及び一部損壊が四十六棟、床上浸水八十四棟、床下浸水六百三十四棟の被害発生しております。また、三重県におきましては、鉄道会社の保線作業員が風倒木の除去の作業中に感電死したという死者一名を含めまして、負傷者二名、住家の一部損壊が二棟、床上浸水二十八棟、床下浸水四十一棟の被害発生したところでございます。  こういった被害にかんがみまして、政府としましてはこの台風十一号の八月二十日から二十二日までの豪雨及び暴風雨による災害局地激甚災害指定いたしました。三重県内では尾鷲市、熊野市、関町、美里村、美杉村、飯高町、紀宝町、紀和町におきまして農地等災害復旧事業に対しての財政援助を行ったところでございます。
  44. 高橋千秋

    高橋千秋君 私も現地見させていただいて、非常に数が多かったんですね、がけ崩れだとか。それで、聞くところによると千百か所ぐらい、大小合わせて、がけ崩れやら、田んぼに堤防が決壊した泥が入ったりだとか、いろんなことがございまして、是非この辺も国として手助けできるところがあれば助けてやっていただきたいなと思いますし、今御答弁もありましたので、今後もこういうことが発生したとき、是非手助けをしてやっていただきたいなというふうに思います。  この中で、実際にがけ崩れやらそういうことの被害と、もう一つ問題になったことがございました。というのは、この紀南地区というのはミカンの産地なんですね。ちょうど台風のころが出荷なんです。それで、この熊野地区へ行くには国道四十二号線という国道がありまして、これは追越し禁止の非常に狭い、国道なんですが非常に狭いところで、私もそこへ行くのも東京へ来るより遠いんですね。私の実家からそこへ行く方が、同じ県内なんですが、大変時間が掛かります。  ここでミカンの出荷のときに、この国道が大雨で止まってしまったんです。実は、二百五十ミリ以上降ると止めてしまう、かなりもう急な道なものですから。そういうことでミカンが出荷できなくなりました。ミカンだけじゃなくて魚、熊野とかあの辺ですので、尾鷲とか、魚も出荷できなくなる。そうすると、市場というのは安定的な供給が必要ですから、例えば、二、三日それが止まると、よそから取らなきゃいけないんです。よそから取ると、今まで取っていたところはもういいよという話になるんですね、もう新たに出荷ができるようになっても。  だから、地元としては非常に困りまして、これの被害が大体一億ぐらい出たと。この地区では非常に産業がないところでございまして、ほとんどが農業もしくは林業、漁業と、そういう第一次産業に従事されている方が多くて、その中で一億円の被害というのは非常に大きかったんですね。  その後のそのブランドの回復もなかなか難しいということもありまして、第三次被害じゃないかというふうに地元では呼んでいるんですが、これについてどういうふうに思われるかということと、それと、是非こういう地区についての逃げ道をやっぱり作っておかないと同じことが毎回起きるんですね。大きな高速道路を造れとは言いませんが、是非、この三重県に限らず、こういう地区は全国にあると思うんですが、避難できるような、そういう交通網の整備というのはやはり必要だと思うんですけれども、いかがお考えでございましょうか。これはどなたにお聞きしたらいいでしょうか。
  45. 大石久和

    政府参考人大石久和君) 今、先生から御指摘がございましたように、例えば平成十三年八月の台風十一号の降雨によりまして、一般国道四十二号、三重県尾鷲市矢浜におきまして、最大二十四時間の事前通行規制を実施したり、あるいは平成十三年九月三十日には、一般国道三百十一号の三重県熊野市において、九か所ののり面崩壊によりまして、これに伴う通行止めによりまして最大一千四百人が孤立するといったような事態となりました。  道路の改良、防災対策を鋭意進めておるところでございますが、先ほど村井大臣からもお話がございました、我が国の脆弱な国土という状況を見ますると、ほとんどすべての道路が災害の危険にさらされていると言って過言ではない状況でございまして、一般国道で見ますると、現在でも年間に八百件ほどの道路災害発生いたしまして、それによる通行止めの延べ時間は十万時間と、大きな時間となってございます。人、物の物流を妨げることにより、安定的な日常生活、安心できる生活を支える救急活動、さらには地域の経済活動に大きな影響を与えております。  また、降雨による事前通行規制というこの仕組みによりまして、五年に一度よりも高い確率で近隣地区への移動さえ阻害される地域を抱える市町村は、現在全国で一千三百六十六市町村でございます。人口では約百五十万人という方々がそのような危険と隣り合わせに暮らしておられるということでございます。  このようなことから、国土交通省といたしましては、従来は、防災対策といいますと、危険箇所の手当てを順次行っていくと、こういう考え方で行っておったわけでございますが、例えば降雨によりまして五年に一度以上の確率で孤立を生ずるような事前通行規制や災害危険箇所を改善し、あるいは迂回するようなネットワークを形成することによりまして、地域の生命線となる道路を確保するとともに、安全で安心な生活を支える道路の防災性を高める事業推進しておるところでございまして、大きな事業費を充てさせていただいておるところでございます。  特に、一本の道路に生活のすべてを頼るという地区がございます。通勤、通学、通院、あるいは救急搬送、あるいは食料品などの生活必需品が一つの道路に頼らざるを得ないという、我々は今これを生命線道路と言っておりますが、こういったものの改良、あるいはこういった道路の迂回策というものに力点を置いて整備を進めておるところでございます。
  46. 高橋千秋

    高橋千秋君 余り時間がないんで、こればっかりやっているわけにはいかないんですが。  実は、昨年の台風のときに、九月十日、昨年十三年の九月十日ですね、同じ三重県の志摩町という風光明媚なところがあるんですが、ここがやっぱり台風で、片田海岸というところの堤防が亀裂が入りました。それで、堤防がかなりがくがくっとなって、ここの復旧も、ちょうど国土交通省の方から予算をいただいて復旧をしている最中でございますが、実はこの一月の二十一日に大風がございまして、御存じかと思うんですが、同じその亀裂が入ったすぐ近くにメガフロートというでっかい海に浮かぶ飛行場みたいな、あれがワイヤが切れましてたどり着きまして、大変な大騒ぎになりました。  それで、これは韓国の会社が、日本で使っていたのを買い取って、釜山でしたですかね、に運ぶ最中に大風が来まして、ワイヤが切れてたどり着いたと。地元では大騒ぎになりまして、飛行場になるような大きなものでございますから、それが湾岸にたどり着いたと。これはまあ災害と言うべきなのか、何と言っていいのか分からないんですが、やはりもうダブルパンチでこういう災害が来ているんですね。  実は、これまだ韓国へ、何とか引き出すことはできたんですが、今運んでいる最中らしいんですが、潮岬をなかなか越えられないというようなことを聞いているんですけれども、実態は把握されておりますでしょうか、今。
  47. 須之内康幸

    政府参考人須之内康幸君) お答えをいたします。  先生御指摘のように、去る一月の二十一日に志摩町の海岸に漂着をいたしましたフロートにつきまして、海上保安庁におきましては、地元の関係者とも連携の上、所有者等に対して早期に引き下ろしを行うよう強力に指導をいたしました。その結果、三月一日にこのフロートは離礁をいたしまして、所有者手配のタグボートによりまして韓国・釜山向け曳航を開始したところでございますが、このフロートは天候あるいは潮流等の影響もございまして、昨日の現在で申しますと、大王崎の南方海域をタグボートによって曳航中でございます。  現在、海上保安庁におきましては、これらの同種の乗り上げがまた起こることを防止をするために、このフロートの曳航に当たりますタグボートの船長あるいは運航者等に対しまして、気象、海象状況の早期の把握、あるいは荒天が予想されるときの早期避難、あるいは無理のない曳航計画を策定しなさい、それから海上保安庁との定時連絡の励行等につきまして、所要の指導を継続して行っているところでございます。
  48. 高橋千秋

    高橋千秋君 大王崎というのはさっきの志摩町からもうすぐ横なんですよ。それで、まだその辺にいるというのは非常にちょっと心もとないなというふうに思うんですが、もう二十日ぐらいたちますからね。それでこれ、釜山まで着くんですかね。まあ、これは政府としてまだそこまでは考えておられないかも分かりませんが、二次被害が出ないように是非監視もしていただきたいなというふうに思います。  三重県は、何年か前の台風で、私の地元の津の海岸に日本鋼管の船が、台風で固定していたのが外れまして、タンカーが海岸に二そう、どんと乗り上がったんですよ。これも当時のフライデーやらフォーカスやらなどにまで出るような大騒ぎになったんですが、今回のこのメガフロートも大変な大騒ぎでございまして、この志摩町の片田海岸というのは例の海女さんが貝を取ったりする、そういう海なんです。大変そういう被害も、底をえぐりましたので、出ているというふうに聞いています。是非、地元とも連絡を取っていただいてそういう対応についても、政府としても二次被害が出ないように監視を是非していただきたいなというふうに思います。  次に移りますけれども、この同じ志摩町の関連なんですが、つい先日、三月二十三日付け地元の中日新聞の朝刊に東海地震対策のことで記事が出ました。東海地震、ひょっとしたら近日中に起こるんではないか、東南海地震も二十一世紀の早いうちに起きるんではないか、そういう情報が出ておりまして、ただこれ、あした起きるかもわからないと言われてもどうしようもないんですよね。  これについて、まず、この東海地震について、可能性の最新の見解か何かございましたら御報告をいただけませんでしょうか。
  49. 高橋健文

    政府参考人高橋健文君) 東海地震でございますが、これは駿河湾付近を震源として起きますいわゆる海溝型地震でございます。マグニチュード八クラスの巨大地震が大体百年から百五十年ぐらいの間隔で発生しておりまして、前回の一八五四年、安政東海地震発生しましたが、それから既に百五十年近く経過しておりまして、これはいつ発生してもおかしくない状況と言われております。  この海溝型地震といいますのは地球のプレート現象で、海側のプレートが陸側のプレートの下に沈み込むと、その中で陸側のプレートが引きずり込まれるある限界まで来ますとまた跳ね上がるという、専門家の話ですと非常に発生のメカニズムというのがある程度解明されておるという、そういう見解でございます。  そういったことで、前回、昭和五十四年にこの強化地域指定しましていろいろ対策を取ってきたわけでございますが、二十数年発生していないではないかという話もございます。また一方では、地球の四十六億年の歴史からしますと二十数年というのは、本当、一瞬と言えるかどうかと、そういう状況でございますので、専門家の間では本当にいつ起きても不思議はないと、そういうお話でございます。
  50. 高橋千秋

    高橋千秋君 地震、雷、火事、おやじと言いまして、一番怖い地震でございますので、これ、いつ起きても不思議でないと言われても、そこから逃げるわけにもいきませんからこれの対応が必要だと思うんですけれども、どうもいつ起きても不思議でないと言う割にはなかなかその準備が進んでいないようにも思います。もっと対応を急ぐべきではないかなというふうにも思いますし、それから、先ほどの新聞記事の中央防災会議の専門調査会の方で強化指定をするという方針を示したと。この中の記事によりますと、三重県でいえば三町が指定を受けたんですね、志摩町、大王町、阿児町。指定を受けたというか、指定をする方針を示したと。ただ、この地域、同じように入り組んでいまして、今、合併の話も進んでいるんですが、この志摩郡というところで。周辺の浜島町だとか磯部町だとか鳥羽市だとかいろいろあるんですが、この六市町からも強化地域指定を県に求めたいという方針を固めたというふうに聞いております。  この三町だけでなくて、こういう方針が、県から国に指定を求める意見書を出す予定だというふうにも聞いているんですが、そういう要望を出せば国として指定をする予定はあるんでしょうか。いかがでございましょう。
  51. 高橋健文

    政府参考人高橋健文君) 強化地域につきましては、今、指定の見直しの作業を進めておりまして、現在、中央防災会議の専門調査会での考え方に基づいて強化地域指定見直しの案を関係都県に意見照会をしているところでございます。特に三重県につきましては津波の影響が出ますので、津波の関係で、今、委員御指摘のような地元の声があるということは我々承知してございます。  我々としましては地元の意向も踏まえて対応してまいりたいと思いますが、一方で、この強化地域といいますのは東海地震についての対応でございます。現在、事前予知といいますか、正確に言うと地震現象の早期発見ということになるんですが、そういったことを前提とした東海地震対応のための強化地域でございまして、また別途、例えば東南海とか南海とか、あるいは断層型のいろんな地震とか、現在の状況では事前予知がなかなか難しいといいますか、解明されていないそういういろんな現象もございますので、地震対策を進めなきゃいけないということはいろんな地域で共通でございますが、今回はそういう地震予知を前提とした東海地震対応強化地域である、そういう精神を踏まえながら、一方でまた、それぞれ地域、広域的な防災体制とか近隣の協力関係も大事でございますので、そういった知事の御意見も踏まえて、また中央防災会議の専門調査会で最終的に御審議いただいて対応してまいりたいと思っております。
  52. 高橋千秋

    高橋千秋君 そうすると、その東海地震に対しての指定ということということは、このお隣の、この三町以外のところというのは、この東海地震のことを考えると指定に入らない可能性があるということでございましょうか。
  53. 高橋健文

    政府参考人高橋健文君) 三町以外の周辺のところも東海地震の新たな想定震源域に基づきます津波の影響、相当影響が出ます。ただ、影響はかなり広範囲に広がりますので、今回の場合は一定の基準以上のところに対象を絞ったわけでございまして、その基準というのは必ずしも絶対ではございませんので、今お話があったような事情で地元から強化地域指定をという要望があれば、それはそれで考えていきたいと思っております。
  54. 高橋千秋

    高橋千秋君 是非、地元の要望も強いようでございますので、お願いをしたいというふうに思います。  時間も余りございませんので急ぎたいと思いますが、先ほど予算の関係でソフト面を充実してほしいというお話をさせていただきましたが、一つ、Pi—SARというレーダーがあるんですね、航空機搭載合成開口レーダーという。これはなかなか専門的な話で分かりづらいんですが、通信総合研究所というところが所有をしているレーダーなんですが、これを使えば、例えば大雨のときでも雲の上に飛んで、飛べば下の状況が非常によく分かるレーダーをお持ちなんです、既に通信総合研究所で。  ところが、これは東京の方にございまして、それを載せる飛行機というのが小牧にあるんですね。そうすると、大雨被害が出そうなときに、実際のところ、それを積んですぐ飛ぶというリアルタイムな対応ははっきり言って無理だと。それを宅急便か何かで送って飛行機に載せて、実際飛べるのに一週間ぐらい掛かると、既にそのころにはもう台風も去っているというようなことがございます。  実際のところ、今の状況どうだというふうに聞いたら、これは一応今のところ研究段階ではあるそうなんですが、非常に解析すれば有効な措置が取れる、事前に土砂崩れやそういうことも予測ができる非常にいい機械らしいんですけれども、既にこういうものがあって、やろうと思えばリアルタイムに対応ができるということを聞いているんですけれども、実際の現状では、そのような名古屋まで運んでやらなきゃいけないと。すると、リアルタイムなそういう情報を取るということができないというふうに聞いているんですが、これはやはり是非利用していただきたいと思うんですが、いかがでございましょうか。
  55. 石原秀昭

    政府参考人石原秀昭君) 今御指摘をいただきました航空機搭載合成開口レーダー、Pi—SARにつきましては、独立行政法人の通信総合研究所で研究開発中でございますが、これは天候や噴煙の状況を問わず、地表の画像を鮮明に撮影が可能な優れた装置でございまして、これまでも三宅島や有珠山等の火口付近の画像を撮影をいたしまして、災害対策に一定の貢献をしてきたというふうに認識をしております。  CRLにおきましては、既にこのレーダーを航空機の近く、名古屋空港に移設をしてございまして、実験の利便性の向上を図るとともに、非常時におきましても活用できるようにしてきてございます。  この装置は非常に高度な技術を用いた、世界でもトップクラスのレーダーでございますが、データの分析手法が確立していないなど、まだまだ実用化のためには解決すべき課題を抱えてございまして、現在も研究開発を進めているところでございます。  総務省といたしましても、CRLでの実用化を見据えた研究開発を一層支援をしていくほか、この装置の活用につきまして、今後とも関係各省と連携を図りながら災害対策に寄与してまいりたいというふうに考えてございます。
  56. 高橋千秋

    高橋千秋君 時間がだんだん迫ってまいりましたので、最後に避難のことについてお伺いをしたいと思います。  つい先日、一昨日でしたか、宮古島で地震が起きまして、私、たまたま昼、テレビ、NHKテレビを見ていたときに、津波警報が出ました。そのとき、NHKの「ほんまもん」というテレビをやっている最中でございましたけれども、それをやめまして、宮古島地区に津波警報と、二メートルぐらいの津波が来る可能性がありますと、海岸近くにいる人は至急高いところへ逃げてくださいというのを延々やりました。  これは当然、津波警報でそういう二メーターもの波が来るということになれば、逃げてくださいと、それは当然のことで、非常に適切な対応だったというふうに思います。ただ、実際来たのが数センチだったんですね、波は。というふうに聞いています。  それは幸い被害がなくて良かったんですが、避難をしてもらう、これは津波のときの避難、それから土砂崩れのときの避難とかいろんな避難があるわけです。災害というのは、さっきの洪水と共存ではないですけれども、どうしてもやっぱり、様々な対策をしても、どうしても起きるのはもう避けられない。だけれども、一番目指すものは人命を守るということだというふうに思います。その意味でも、避難というのは非常に重要なことだと思うんです。  その意味で、リアルタイムに情報を流すという必要もありますし、それから、一つアンケートをもらったんですが、避難の決め手となった事項というのがあるんです、これは土砂崩れの場合なんですが。実際に一番多く避難をしているのは、近所で土砂崩れが起きたら逃げると、これが一番になっているんです。実際のところ、死亡事故が起きるもう大分前に土砂崩れというのは起きているんですね。ですから、なるべく早い段階で避難をさせるということが必要だと思うんですが、今回の宮古島のことを見ても、何度もそういうのが出ちゃうと、やっぱり慣れ、オオカミ少年じゃないんですが、なかなか逃げてもらえない。  実際のところ、この避難の情報の出し方、これについてどのように考えておられるのか、そしてもっと効率的に出す方法がないのか、お伺いをさせていただきたいというふうに思います。いかがでございましょうか。
  57. 山本孝二

    政府参考人山本孝二君) お答えいたします。  まず、三月二十六日に発生しました沖縄地方の地震に伴う津波警報の件でございますが、先生御案内のように、我が国周辺の海域で地震発生いたしますと、津波は約数分から二十数分で到達するわけでございます。  気象庁では、海域における地震発生した場合、規模あるいは深さあるいは断層の形、これらを推定するわけでございますが、残念ながら海域で発生して即時に、地震のすべての姿を解明するためには相当の時間が掛かります。そのため、周辺に様々な断層を想定しましたシミュレーションのデータベースによる即時対応ということにするわけでございますが、その結果、今回は最大の場合で二メーターぐらいの津波が発生してもおかしくない規模地震が約深さ十キロくらいのところで起きたということで、津波警報を出したわけでございます。  常々、津波警報につきましては、関係省庁消防庁等と御相談させていただいておりまして、津波警報には、誤差は伴うものの、津波警報が出たときに津波の発生する可能性が非常に高いことから、沿岸における住民の方々の早期避難を呼び掛けているところでございます。  結果として、今回は数センチだったわけでございますが、災害の様態を想定いたしますと、関係省庁との連携を更に強化いたしまして、津波の詳細な姿について更に情報を確度を高めて、有効ある情報として還元することが極めて重要ではないかというふうに考えております。
  58. 村井仁

    国務大臣村井仁君) ただいま気象庁長官からお話のあったとおりでございますが、予測の問題というのは何分にも実験が必ずしも可能ではない天然自然を相手にするものでございまして、その中で精一杯の知見を集積しながら、そのような予報、予測を公にしているということでございまして、人命の尊重という見地から、いささかのところは御海容をいただくことは私はやむを得ないところではないかと思っております。  それから、先ほど例の東海地震強化地域につきまして、三重県の三町村でございましたでしょうか、御指摘がございましたが、あのような強化地域につきましても、これやはりある意味では同じようなことでございますけれども、強化地域指定いたしますと、例えば交通規制でございますとか、様々の規制も加わるわけでございまして、いたずらにそこを広げて果たしてよろしいかどうか、この辺りも地方自治体においてよく御勘案いただきまして私どもに御意見を賜れば有り難い、こんなふうに思っているところでございます。  蛇足でございますが、一言加えさせていただきました。
  59. 高橋千秋

    高橋千秋君 時間が来ましたので、終わりますが、防災担当大臣、担当大臣ということではなくて、冒頭にも述べましたように、専門大臣のつもりで是非頑張っていただきますことをお願い申し上げまして、終わりたいと思います。
  60. 弘友和夫

    弘友和夫君 公明党の弘友和夫でございます。  先ほど、大仁田議員がアフガンの地震の件に触れられて、時間が余りなかったのでなんですけれども、私もこのアフガニスタンの地震について、大変な大きなアフガニスタン北部を襲った、二十五日夜襲った地震ですね。状況がよく分からないというか、報道によると、二千人ぐらい亡くなったんじゃないかとか、二万世帯の被災だとか、そういう本当に大変な地震でございまして、被災された皆様にお悔やみとまたお見舞いを申し上げたいと思うんですけれども、今、カルザイ暫定政権にとって、非常に、今から復興するというこの段階においてこれほどの大変な被害に遭われているということで、まず、状況がなかなかつかみにくいとは思うんですけれども、状況が分かりましたら簡単に御説明いただきたいと思います。
  61. 安藤裕康

    政府参考人安藤裕康君) お答え申し上げます。  ただいまのアフガニスタンの地震でございますけれども、二十五日夜、バグラン県のナハリン地区におきまして発生いたしました。  私どもがアフガニスタンの暫定政権側から受けている説明によりますと、このナハリン地区の約九〇%の建物が崩壊したと、それから死亡者数は八百ないし千人の枠内の数字になると、それから負傷者数は死亡者数の三倍が予想されるという情報を受けております。  ただ、ただいまの死傷者数につきましては、そのほかにもいろいろな情報が報道等でもございまして、私どももなお暫定政権側と話をいたしまして、より正確な情報を把握したいというふうに思っております。
  62. 弘友和夫

    弘友和夫君 それで、大変なこれ被害なんですけれども、政府としてこの震災に対してどのような支援を行おうというふうに考えられているのか。報道によりますと、川口大臣は四十万ドルの緊急無償資金を協力するだとかいうふうに書いております。現在、どう考えられているか、お聞きしたいと思います。
  63. 安藤裕康

    政府参考人安藤裕康君) いずれにいたしましても、相当な数の死傷者数が出ているということ、それから甚大な被害発生しているということは間違いないわけでございまして、ただいま御指摘のとおり、二十六日に川口外務大臣より、犠牲者の御冥福を祈り深い哀悼の意を表しますメッセージを発出いたしました。  さらに、こういう状況を受けまして、二十七日の日に、政府といたしましては、アフガニスタンの暫定政権に対して四十万ドル、約五千万円相当でございますけれども、この緊急無償資金協力を供与するという決定をいたしました。さらに、必要な緊急援助物資につきましても、その供与について現在検討をしているところでございます。  ただ、現地のニーズがどういうふうになっているのか、状況がどういうふうになっているのか、この辺がまだ詳細につかめていない状況もございますので、二十八日の日に早速、その現地での支援活動の調整や、さらに必要なニーズの把握を行うべく東京から外務省及びJICAの職員を現地に派遣したところでございまして、現地ではもちろんNGOの皆様とも連携協力しながら進めていきたいというふうに思っております。  アフガニスタン暫定政権も緊急対策本部を設置いたしまして、カルザイ議長以下、陣頭指揮をしておられるというふうに承知しておりますし、また複数の閣僚が現地入りをしているというふうに承知しております。  したがいまして、我が国といたしましても、今後のアフガニスタンの支援ニーズを十分踏まえまして、しかるべく支援を行っていきたいと、こういうふうに考えております。
  64. 弘友和夫

    弘友和夫君 こうしたときにいつも言われるのは、日本は非常に対応が遅いじゃないかということなんですよね。例えば今回の件についても、国際治安支援部隊に参加しているドイツ部隊というのはもう約百人が四十台の車で現地に行っているとか、それからアメリカもヘリコプター二機で行っているとか、いろいろもうそういうことが行われている。  例えば国際緊急援助隊の派遣ですね、こうしたものを即、私は派遣すべきじゃないかなと思うんですけれども、まず、そういう派遣する考えがあるのかどうか。  そして、もう一つは、その中に、今、テロ支援法に基づいては護衛艦が五そう行って七百名が行っていると。じゃ、そういうのを、派遣されている法律が違うのでそのまま転用できるかどうか、ちょっとそれもお聞きしたいんですけれども、そういうことが可能なのかどうか。例えば、それが駄目であったときに、自衛隊、それは緊急援助隊には自衛隊はもう三回ぐらい行っているわけですから、じゃ、別の部隊でも結構だと思うんですけれども、そういうやはり人的なものが要るんだとかいうことがあると思うんですよ。そういうことが考えられるのかどうかというふうにお聞きしたいと思います。
  65. 横山文博

    政府参考人横山文博君) お答えいたします。  今、先生御指摘の国際緊急援助隊でございますが、防衛庁におきましては、地震とか洪水等の災害に対する国際緊急援助隊の要請に迅速に対応するように、常日ごろから、基本的には陸上自衛隊の医療、輸送、給水等を行う部隊や当該部隊を輸送する艦船、航空機の態勢を整備しております。  それで、御指摘の、今テロ特措法でインド洋に派遣されております海上自衛隊の部隊におきましてはこれを活用できないかという一つ御提議ございましたけれども、これは法的に、国際緊急援助隊にいたしましても命令権者は防衛庁長官でございますので、必要とあれば法的には可能だと考えておりますけれども、この海上自衛隊の部隊におきましては国際緊急援助のための医療活動等を行う要員やあるいは装備を搭載しているわけではありませんので、仮に、自衛隊による国際緊急援助活動の要請があった場合には、一義的には国内において態勢を取っております部隊を派遣することを検討いたしたいと考えておるところでございます。  以上でございます。
  66. 弘友和夫

    弘友和夫君 外務省はまず、その国際緊急援助隊というのを派遣する考えがあるのかどうかです。
  67. 安藤裕康

    政府参考人安藤裕康君) 先生御指摘の国際緊急援助隊でございますが、現在までのところ、アフガニスタン側から我が国に対しまして、その派遣の要請というのはございません。しかし、先ほど申し上げましたように、東京から外務省及びJICAの職員が現地へ行っておりまして、現地側と話をしております。したがって、その話合いの結果を踏まえて我が国としての対応を考えていきたいというふうに考えておる次第です。
  68. 弘友和夫

    弘友和夫君 アフガンにつきましては、東京で先日、アフガニスタンの復興支援国際会議というものを開いておりまして、やはり日本が本当に、この地震あるなしにかかわらず、この復興には力を入れていかなくちゃいけないと。そういうときに起こった地震でございますので、本当に力を入れてやっていただきたいなというふうに要望して、この問題は終わりたいと思います。  次に、先ほども高橋議員の方から出ておりました先日起きました津波のやつですね。これは先ほどお話がありましたように、二十六日昼過ぎ、沖縄石垣島南方沖で地震があったと。気象庁は津波注意報を出したと、結果的には、津波注意報ですから二メートルぐらいの津波があるんだと。  それで、この報道によりましたら、地震規模は、周辺の島にある地震計のデータから計測するが、最も近い何とか、何島っていうの、これ、百二十キロ離れていると。限られた範囲にしかないため精度が落ちるんだと。それで、地震を観測する機械を置いているそういうところが非常に距離があるので精度が落ちると。それで、その地震の監視課長、本当にそう言ったのかどうか分かりませんけれども、津波予報の精度は今後も上げていくが、海洋が多く難しさもあると。現状では、津波の危険があれば空振りも覚悟で警報を出して避難してもらうことが大事だと、こういうふうに言われているわけですね。  確かに、余り空振りがあったらいかぬということを思って出さなかったら、そして実際に津波が起こったら、これは大変なことになるわけです。それはよく分かるわけですけれども、じゃ、だからといって、これは空振り覚悟で、これは出してもしようがないということじゃ、やはり私はちょっと。先ほど大臣も、日本状況というのは非常に災害の起こりやすいというか、そういう中に多種多様な災害、いつ起こるか分からない、そういう日本状況なんだと、こう言われておりましたよね。そのときに、何といいますか、距離が離れている、観測の地点が離れているからこれは精度が落ちるんだとかなんとかでは、私は済まないんだと思うんですよ。じゃ、距離を縮めれば精度が上げられるのであれば、それやるべきだと思うんです、日本地震大国なんですから。  そういう今の技術では全くこれはしようがありませんよというのであれば仕方がないことだと思いますよ。だけれども、観測網をもっと緻密にしてやっていけばできますよということであれば、これは当然やるべきだと思うんですけれども、まずその津波注意報を出したというその経緯、どういうことで、そしてどういうことで外したのか、ちょっとお伺いしたいと思います。
  69. 山本孝二

    政府参考人山本孝二君) 日本の場合、日本列島の周りに様々なプレートが潜り込んでいるわけでございまして、そのために海域に発生する地震を把握するために、気象庁では百六十点の地震観測網を整備してございます。これによりまして、大体日本列島を含む三百キロくらいの範囲の海域における地震の把握は可能でございます。  今回起きました八重山諸島におきまして、南西諸島の特徴なんでございますが、地震計が線上に配列しているということから、例えば三陸沖だとか東海に比べると精度は落ちるのは否めないわけですけれども、地震規模を想定することには十分足りる観測網でございます。先ほどお答えしましたが、津波が発生した場合、約数分から二十五分くらいで日本に到達するということから、津波防災の観点から迅速な津波情報の発表が我々に課せられたまず一つの大きな課題でございます。  そういう観点で申しますと、今度の南西諸島におきましては、この発生海域から津波の第一波が到達するのが約二十五分というふうにまず我々は解析いたしました。私どもは、先ほど申し上げましたように、データベースから地震発生後、規模あるいは場所から見てどのくらいの大きさの津波が来るかという最大規模を予測したのが約二メーターという計算結果でございます。しかしながら、今度、結果的に後での解析でございますが、断層の滑り量だとか傾きだとか、それがそのデータベースとやや異なって、幸いにして数センチのものであったということであったわけでございます。  新聞報道で伝えられている観測網の問題だとか空振り覚悟だということではございませんで、私どもは、津波について、常々津波の予測にはある程度の誤差が伴うと、しかしながら日本近海で発生した地震の場合、津波の到達までの時間が短いために被害の未然防止という観点を非常に重要視しておりますと、こういう観点でのコメントを記者会見でしたと聞いております。
  70. 弘友和夫

    弘友和夫君 私は、地震がいつ起きるかというのは推測できる地震もあるしできない地震もあるということだと思うんですよ。  ただ、地震が起きてその津波がどれぐらいになるかというのは、非常に今の何といいますか、気象庁のやつでもこの立派な地震予測システムというものがあるわけですね。これは瞬時に、いろんなデータを入れておいて、津波がどれぐらいの高さでというのができるという、それはやはり十センチと二メートルじゃ相当違うわけですから、それはやはり機械なり何なりをやっぱりきっちりと、これは整備する必要があると思うんですよ。どうですか。
  71. 山本孝二

    政府参考人山本孝二君) まずちょっと訂正させていただきますが、地震観測網は百六十点と先ほど申し上げたんですが、百八十点でございました。  先生御指摘のとおり、津波、地震の波形によって断層の形状というのが推測できるわけでございます。現在の技術ではその地震の波形から断層面を推定するのに早くて三十分、物によっては一時間くらい掛かると。その段階においてはもう既に津波が到達する可能性がございます。私ども、その地震の波形処理の高度化について様々な研究者と意見交換をしておりまして、先生御指摘のとおり、迅速な断層面の断定、これについて鋭意取り組んでいきたいというふうに考えております。
  72. 弘友和夫

    弘友和夫君 やはり避難勧告を出すということは、例えば今までも雲仙・普賢岳のとき、市長さんなり、いろいろ避難勧告出すのは非常にやっぱり決断が要るんですね。もう大変なこれは、住民の皆さんにやはり大きな生活に支障があったり、津波なんか緊急な場合ですけれども、避難勧告を出すというのは非常な、自治体の長にとって大変な重荷になるわけです。そういう中に、やっぱり正確な情報、気象庁なり、それはきっちりとその判断ができる情報を、精度の高いものを出していただくというのが私は大事だと。それが、機械が増えればできるんであれば、これは是非、大臣、予算も増やしていただいてやるべきじゃないかなと思っておりまして。  時間もありませんので、今日来られておる高橋統括官もダメージコントロールというのを書かれておりますけれども、要するに、今いろいろ災害が有珠山にしても何にしても起こっているけれども、人的被害が少なくなってきた。それは、きっちりした観測をして、その体制を組んでそれでやっているから、この間の有珠山でも的確な判断でやって人的被害がなかったわけで、避難も一万人の方がされているわけですけれども、そういうものができるんだというふうに思うんですね。  そういうことで、最後に大臣に、是非こうした問題について御所見をお伺いしたいんですけれども、国民に対して災害防災情報の提供については的確な情報を迅速に提供することが必要だと。災害はいつ起こるか分からないけれども、その災害で生ずる被害をいかに少なくするかという、こういうことはやはり大事じゃないかなというふうに思っておりますので、大臣の御所見をお伺いいたしまして、終わりたいと思います。
  73. 村井仁

    国務大臣村井仁君) 全く弘友委員仰せのとおりでありまして、どうやってその避け難い災害のもたらす被害を極小化していくか、これは私どもの一番の課題だと思っております。  ただ、私も防災担当大臣を仰せつかりましてからいろいろ私なりに勉強させていただきまして感じたことでございますが、災害の起こり方というのは実に千差万別でございまして、例えば有珠山というのは、有珠山のホームドクターと呼ばれる方のお話を私かなりじっくり伺ったことがございますが、これは実に素直な山なんです、こういう状態になれば必ず噴火するんです、そしてそれが収まった後はもう二、三十年絶対に起こらないんですと、こうおっしゃる。この有珠山ほどある意味ではデータがいろいろ蓄積されているケースも比較的少ないのかもしれません。  しかし、そうは言いながら、日本における地震あるいは火山につきましてのいろいろな学問の進歩というのはこれは大変なものでございますから、こういう知見をできるだけ集積いたしまして、ハザードマップを作りますとかいろんなことをいたしまして、あるいは中央防災無線の整備でございますとか、あるいは地震防災情報システムの整備、こういったものを通じまして的確な情報を国民の皆様にきちんと差し上げるということに全力を尽くしてまいりたいと思っております。  ただ、もう一つ先ほど申し上げたことの繰り返しになりますけれども、災害というのは必ずしも、一部は可能なものもありましょうが、必ずしも再現可能なものでないだけに、どのような形で災害が生起しその影響がどのように波及していくか、例えば今の津波の例がいい例でございますけれども、必ずしもメカニズムが明確でない問題もまだあるわけでございまして、こういう面では、今御指摘のように観測機器を増やすのがよろしいのか、あるいはそれなりの研究の経費をもう少し豊かに見ていくことが適当なのか、なお政府部内で十分検討いたしまして、いずれにいたしましても国民の皆様の御期待にこたえるように全力を尽くす所存でございますので、今後ともよろしく御指導をいただきたいと存じます。
  74. 加藤修一

    委員長加藤修一君) 午前の質疑はこの程度にとどめ、午後一時まで休憩いたします。    午後零時九分休憩      ─────・─────    午後一時開会
  75. 加藤修一

    委員長加藤修一君) ただいまから災害対策特別委員会を再開いたします。  休憩前に引き続き、災害対策樹立に関する調査を議題とし、質疑を行います。  質疑のある方は順次御発言願います。
  76. 大沢辰美

    ○大沢辰美君 日本共産党の大沢でございます。  今日は三宅島の問題と阪神・淡路の問題について質問をさせていただきたいと思います。  まず、三宅島の噴火災害が起こって島の人たちが全島避難してからもう一年七か月がたとうとしています。島の人たちは今現在も東京を中心に十八都道府県、五十五の市区町村に分散して、場所としては百三十四か所にも避難をされています。その島へ帰る見通しも立たない状況の中で不安な毎日を送っている、そのことはもう大臣も一番よく知っていらっしゃると思いますが、本当に島の人たちの生活、島で生活をしていたときと違って、今避難している人たちは食代とかいわゆる交通費を始め現金がなければ生活ができないという暮らしをしていて大変だという実態。今、その避難をされている人たちがどんな状況に置かれているか、三宅村が昨年秋に二回目の生活実態調査を行っています。  それによると、生活費が、どのような方法で得ているかについては、給料として収入を得ている人は約三一%、アルバイトが一五%、年金が四一%、預貯金の取崩しで生活をしているという人が一九%となっています。そういう収入の、避難をする前と比べて全く収入がなくなったという人が一六%もいらっしゃるんですね。収入が減ったという人は三六%、避難後には多くの世帯で収入が減少しているのが表れています。  大臣は、この調査を、一回目を終えて、そして二回目をされて、それを踏まえて、今、三宅の人たちの生活の実態をどのようにとらえていらっしゃるか、まずお聞きしたいと思います。
  77. 高橋健文

    政府参考人高橋健文君) 三宅村の生活実態調査の結果についての実態でございますので、ちょっと事実関係を私の方から御報告させていただきます。  委員御指摘のように、昨年の秋に第二回目の生活実態調査が村において行われました。第一回は昨年の三月にやっております。そのときの状況に比べますと、就労者は前回に比べて増加しておりますが、生計の状況といたしましては、避難前と比べて収入が大きく減少したと回答した世帯が三五%、生活が苦しいと回答した世帯が三二%となっておるなど、改めて島民の方々が島を離れて不自由な生活を送られていることが示されたものであると厳しく我々も認識してございます。また、約九割の島民の方が島に帰りたいと回答されております。島に戻って避難前の生活を取り戻したいと思っておられる方がほとんどでございますが、またその一方で、そのうちの四割の方は島での生活のめどが立てばということで、現在まだなかなか帰る状況にはないという、そういう厳しい状況を島民の方も御認識なさっておられることだと思います。  この第二回の調査結果を踏まえまして、現在、東京都におきまして、三宅の島民の方で世帯主が五十歳以上の世帯の方を対象に戸別の訪問調査を今東京都がやっておりまして、そこでそういった訪問調査の結果を受けていろいろ支援策の検討を行っているところでございます。  政府といたしましても、東京都の意向を踏まえまして、今後支援を必要とする方に対して適切な支援ができるよう、いろんな既存の支援制度のより一層の活用も含め、幅広い観点からできる限りの措置が講ぜられるように努めてまいりたいと考えております。
  78. 大沢辰美

    ○大沢辰美君 大臣はどのように認識をされていますか。
  79. 村井仁

    国務大臣村井仁君) ともかく私ども考えてみましても、様々の、自然災害を受けられた方々の事例、先例いろいろ徴しましても、これだけ長きにわたって生活の基盤から全く切り離されておられるという状態というのは非常に異常なことだと感じておりまして、今、政策統括官から、その既存の支援制度の一層の活用を含めて幅広い観点からという趣旨で申し上げましたけれども、既存の施策を活用するのは当然のことでございますけれども、それ以外にも何か方法があるならば、私どもそれも含めて思い切った策を講じなければならない、そういう状況があり得るのではないか。  まずは、しかし東京都が、こういう私は何といいますか調査というのは、いわゆる統計的な把握に必ずしもなじむものではない、やはり個々の実態というものをできるだけ生に把握していただくということが必要ではないかと思うのでございますが、そういう意味で五十歳以上の世帯についての訪問調査を東京都で実施しておられますけれども、その結果をもう一つまたよく吟味させていただきながら、いろいろ政府部内でも相談をしてまいりたいと思っておるところでございます。
  80. 大沢辰美

    ○大沢辰美君 まず実態を把握するというようなことが大事だということで、村の責任において二回調査されたということは、この結果で出てきたわけですが、今御説明をいただいたように、その実態の中で確かに前回より就労してきた方たちが増えている、だけれども生活が苦しくなった人たちはまたそれで増えているということは、収入が増えたという差が少ないということになるわけですね。  そういう仕事を探している世帯は本当におられます、今四百二十九人ですか、探しているという、そういう人たち、生活が苦しいという世帯が今言われたように三割いらっしゃると。公務員の方とか年金生活の方は比較的、四五・四%、この人たちは一定収入が確保されていますが、やはり生活費が不足しているという世帯が三五%に上がっているわけですね。私は、今後のやっぱり生計の見通しがないと、現状ではもう半年か一年ぐらいが限界だということも書いてあるわけなんです。ある人は、一つのラーメンを家族四人で分けてみそ汁代わりにこれを御飯で食べていると、そういう訴えも書いてあるんですよね。  ですから、今言われた、五十歳以上の人たち調査をまた始めたというんですが、村が調査をした内容にも、生活に困っている世帯に対する行政の支援策がほしいという要請をした、特に就労に関する支援、五十歳代では四八%いらっしゃるんですよ。不足する生活費に対する直接の支援を要請したいという人は四十歳代では四〇・九%もあるんですよね。  だから、そういう実態を、もう今までした分も見ていただき、そして東京都が今やられていることももちろん重ねて見て判断していただいて、都がやっていただくこと、そして国が協力してやること、私は一緒になってやっていただきたいと思いますし、大臣が所信で、政府一丸となって、東京都及び三宅村と密接に連携して、できる限りの対策を取ってまいりますという所信を訴えてありますが、本当にこの長期化せざるを得ない今日、継続的な私は生活支援が必要でないかと思いますが、いま少し既存の制度だけじゃなくて、それ以外にもやっぱり思い切った施策が必要じゃないかという、今大臣の答弁を聞いて、ああ、何かやってくれるんじゃないかなという思いをしたんですが、やはりそこまで突っ込んでこの問題については検討していただきたいと。そして、本当に今生活で苦しいという人たちにどう緊急に対応するかという点についてもお聞きしたいと思いますが。
  81. 村井仁

    国務大臣村井仁君) なかなか難しい問題がいろいろあると思いますけれども、これまで都営住宅の無償供与でございますとか、それから被災者生活再建支援法の、支給でございますとか、それから私はこれは大変思い切った、また大変いいやり方だと思ったのでございますけれども、いわゆる三宅島げんき農場の設置でございますとか、そういうような形で随分いろいろ工夫してこれまでもやってきたわけでございまして、こういう支援策をいろいろまた工夫をしていかなければいけないということを感じております。  これといってなかなか、それぞれのニーズがまた千差万別でございますから、これをやればこれで片付くということでもありませんし、やっぱり私も直接避難されている島民の方とお話しさせていただいたことがありますけれども、例えばげんき農場なんかへ参りましたときに感じましたことは、取りあえず、今、大沢委員、生活に苦しんでいるということもおっしゃいましたが、一方ではこうして働く場所があって、そして昔の仲間と一緒に仕事ができる、これはもう大変な喜びだというようなお話もまたございました。いろんなニーズがそれぞれおありになりますので、そういったこともくみ上げながら、いろいろ工夫をしてまいらなければいけない、そういうふうに思っているところでございます。
  82. 大沢辰美

    ○大沢辰美君 本当に、農業というんですか、野菜などを作れる、そういう元気農業ですか、そういうことも一つの私は案だと思います、もうやっていらっしゃるわけですが。  そういうことも私たちは否定するわけじゃないですけれども、現実をもう一度私は大臣に知っていただきたいと思うんですが、そこまでやっていただいているけれども、もう一歩突っ込まなかったら、この人たちは苦しみから解放されないという点で、この村の調査の二回目は、千九百八十二世帯中、返ってきたのは約八割の千六百三世帯が返事が来ているわけですね。そこで、非常に苦しいというのは一四・四%、苦しいというのは一七・六%、合わせて三二%なんですけれどもね。今、生活保護を受けていらっしゃる方は、お聞きしましたら大体四十三世帯ぐらいいらっしゃるそうです。本当に、もっともっと苦しいんだと思いますが。  非常に苦しいという人はどの程度の生活をしているのかという基準なんですが、これも調査で明らかになっています。大体、月一人当たり三万五千円なんですってね。一人当たり月に三万五千円なんです。苦しいという人は大体、月一人当たり五万三千円なんだそうです。そうしたら、私はこのアンケートの中で回収されて、非常に苦しい人は二百三十世帯あることになるんですよね。苦しいという人は二百八十二世帯ぐらい。だから、合わせて五百十二世帯の人たちは、今私も計算してみたんですが、一人年間六十三万六千円で、一応平均ですよ、生活をしていることになるんですよね。これは生活できないですよね。  ですから、今調査している中身だけでも三分の一の方が生活保護基準以下なんですね。こういう人を、私は、災害によって発生した、そしてこの人たちは自分の何かで、原因でこうなったんじゃなくて、災害によって避難せざるを得なかったと。ですから、この日本の東京の大都会に住んでいて、私は災害貧困という言葉を使いたいと思うんですけれども、本当に、月三万五千円、五万三千円で食事代、私は、食事代一日千円使ったらもうあとは使うものがないんですよ。こういうことの状態を都としても国としても放置するわけにいかないと思うんですよ。  だから、元気農村ですか、農業ですか、それを造っていただくのもいい一つの方法です。だけれども、直接、この人たちが生きていく上で最低の生活ですね。この人たちは生活保護基準以下で生活している、この人たちを何とか帰るまで希望の持てるようにやっていただきたいというのが、私は今大臣がおっしゃった、既存の制度以外に何ができるかというところにたどり着くのではないかと思いますけれども、その点で思い切った考え方、施策をお願いしたいと思いますが、いかがでしょうか。
  83. 村井仁

    国務大臣村井仁君) なかなか難しい問題の一つでございまして、私自身もいろいろ、とつおいつ悩んでいる問題なんでございますけれども、生活保護水準というのは、私は憲法で保障された最低の生活水準ということで、これを下回るような生活が日本の国であってはいけないということなんだろうと思うのでございますけれども、一方で、御案内のとおり、いわゆる生活保護を適用するにつきましてはいろんな要件がある。そこをどうするかという辺りは御本人のいろいろなお気持ちもおありでございましょうし、それから、あるいはこれまで積み重ねてこられた生活、それに基づく将来の生活設計みたいなものもおありでしょうし、そういう意味ではなかなか一概に割り切れない問題があるんだろうと思います。  そこで、災害でこのような事態になられた方について、何か一工夫、二工夫できないものだろうかという思いは私もかねて持っている一人でございまして、そういう意味でもいろいろ研究をしてもらっているというところが偽らざるところでございます。  ただ、そうは言いながら、生活保護という制度そのもの、相当な歴史的な経過もある、またそれを多くのタックスペイヤーからお支払いいただきました税金で個人の生活を見る、そのときに、どういう基準でどの程度見るべきかというところで今恐らくできてきた一つの考え方なんだろうと思いますが、それとの関連で、どういうふうにそこを整理していったらいいか、結構いろいろ複雑な問題が関係省庁の間であるようにも聞いておりまして、なお私どもとしましても研究させていただきたい。  災害という非常な、災害によって先ほども申しましたように生活の基盤から完全に断絶されて、しかも一年半、これはやっぱりちょっとこれまで例のなかったことでありますだけに、少し頭を柔らかくして考えてまいらなきゃいけない問題だろうということを私自身も感じております。
  84. 大沢辰美

    ○大沢辰美君 私は、是非、生活を断たれたという言い方をしてもいいと思うんですが、そういう人たちの声、そして実態、それを受け止めて、今大臣は一工夫も二工夫もしないといけない、研究していきたいという答弁をされましたので、是非私はその期待にこたえていただきたいと思うんですが、今保護基準、憲法に保障された最低の基準にも満たされない避難者がいるということを数字で私は表していただきましたので、その実態の上に立って私もちょっと提案をさせていただきたいと思います、その研究の上に立って。  昨年の衆議院の災害対策特別委員会のときに参考人として出席された東京大学の廣井教授は、こういうことを言っていますね。災害保護という表現、災害保護という考え方もあるんじゃないかという提案をされています。それは生活保護と違って、災害によって収入の道を失った人に避難生活を続けているその間、一定の継続的な生活費を支給する仕組みを考えたらどうかという提案をこの先生はもうずっと阪神・淡路から、もちろん政府住宅再建検討委員会の会長もされた、災害の問題については政府に対していろんな意見を提案してこられた、私は立派な提案だと思っています。  そういう災害保護という言葉はどういう表現でもいいわけですが、私は今の三宅島の人たちの避難の実態からしたら、この言葉、この制度、こういう在り方というのは最もふさわしいんじゃないかなという思いをいたしていますけれども、そういうことも研究一つとして検討の中に入れていただけますか。
  85. 村井仁

    国務大臣村井仁君) 私は、先ほどのちょっと繰り返しになるかもしれませんが、例えば三宅島から避難された方々に都営住宅の無償提供をいたしておりますこととか、あるいは被災者生活再建支援金の支給をいたしましたことやら、それからげんき農場そのほかの雇用促進策を取りましたことやら、こういったことも一種の災害保護、廣井教授言っておられる災害保護一つの適用例だろうと思っております。  問題は、恐らく生活保護という現在あります制度と等し並みの仕組みとして、端的に申しまして現金支給ということを、災害で避難せざるを得なくなってどこの辺で生活に困窮しているというふうに判断するかという問題ございますけれども、例えば生命保険等々含めて資産の存在ということを、今三宅島の場合、生活保護を受けていらっしゃいます方のケースは三宅島にある資産というものはこれは全部無視をしてそれで適用をしていると、こんなふうに聞いておりますけれども。  私も専門家じゃありませんからちょっと粗っぽい言い方になりますけれども、生活保護を受給する前提になる個人資産の処分というようなことについてどのような条件を、何といいましょうか、免除して、言ってみますと適用するかというような問題辺りが恐らく問題の焦点になるんだろうと委員の御議論を伺っていながら感じていたところでございまして、もう一度申しますと、私ども、今まで既にある意味では廣井教授の言われる災害保護というような発想でこの問題には取り組んできている。取り組んできているが、問題は、現金で生活費を支給するというそのポイントで、一体どこからどういうところで生活保護との切り分けをしていくか、その辺りがこれからもう少し詰めなければならない問題なんじゃなかろうか、そんな気がしております。
  86. 大沢辰美

    ○大沢辰美君 もう一度やっぱり実態を、大臣自身この調査結果をつかみ直していただけたらなと思うんですが、当然、一般のいわゆる平常時の生活保護基準というのはもちろん全国的に守らないといけない基準です。それは私たちも今の法の体系の中ではちゃんと遵守しなければいけないと思うんです。  だけれども、当然、今言われたように、三宅島にある資産については、今回は無視しているというんですか、当然その算定には入っていない。当然のことだと思うんですよね。異常事態なわけですね。ですから、その中でも何人かの方が一応生活保護を受けることができています。それは憲法に保障された基準においてやられています。だけれども、今私が示さしていただいた月三万五千円で生活をしなければならない人たちが今現在で二百三十人いますよと。それだったら食事代だって出ないじゃないですか。こういう人たちは生活保護基準以下なんだけれども、今対象になっていないんですよね。  ですから、私はすべて生活保護にしなさいということを言っているわけじゃないんです。生活保護基準で生活しているという実態をつかんで、じゃその人たちに今言われた一工夫も二工夫もして、どうしたらこの人たちが生きる希望を持つことができるかという点を研究していきたいと大臣も私は言われたように思いますから、その研究一つに、廣井先生がおっしゃったそういう提案も含めて検討の一つにしていただきたいということを重ねて申し上げます、同じ答弁になると思いますが。  そこで、最初の答弁の中で、今東京都が五十歳以上の方たち調査をしていますという、訪問をして作業に入っていますと。その結果を受けて、可能な限り今の既存の制度でどのような制度があるか、どういうふうに適用しているか、これからどうしなければいけないということを考えるであろうということを言われましたけれども、私は、今の三宅村がやった二回の調査、また東京都がこれ、今やっている五十歳以上の、特に世帯主の方たちに絞られると思うんですが、そういう調査を踏まえて、東京都が今この結果についてはやはり支援策を考えなければいけないということをこの三月の本会議でも答弁をされています。  ですから、そういう要請、村からの要請、村の人たちからの要請、東京都からの要請受けましたら、国は、大臣所信表明で言ったように、一丸となってできる限りの対策を取っていく所存でありますということを言われていましたが、その点をしっかりと私は今答弁でいただきたいと思いますが、いかがでしょうか。
  87. 村井仁

    国務大臣村井仁君) 私ども、私自身この点は再三申し上げていることでございますけれども、本当に日本災害対策の歴史の中でまれなケースだろうということを、あるいは未曾有のケースではなかろうかとさえ私も思っておりまして、これだけ長期間生活の基盤から切り離されるという状態、これは三宅島を離島される瞬間どなたもお思いにならなかったんじゃないか。そのままその生活の基盤から切り離されて、これだけの長い時間がたってしまった。しかし、いつ帰れるか分からない。これはもう本当に深刻なプレッシャーだろうということを私も感じております。  これはもう所信でも申し上げましたけれども、いずれにいたしましても、東京都、そして三宅村と十分に連携を取りまして、できるだけの施策を政府部内でもよく意思統一を図りまして進めてまいりたい、そういう決意でございます。
  88. 大沢辰美

    ○大沢辰美君 そこで、いつ帰れるか分からない。今、一時帰島は一巡をいたしました。これからまた荷物を取りに行ける状態を作っていかれるように聞いておりますが、今、留守家屋という表現をしているんですが、そこで破損する被害が相次いでいるわけですね。  一時帰島で帰られた人たちの報告をずっと私も見させていただきましたら、やっぱりトタンがガスでやられていて、中に置いてある、もちろん衣類だとかすべてもう触ったらぽろぽろと落ちるというようなことも報告聞きました。ネズミやシロアリの被害も拡大しているということも聞きました。こういう家屋のひどさ、このままにしていたらやはり家屋全体が崩壊する危険も私はあると思います。やむなく個人が負担をして修理を始めていらっしゃる方もあるようですけれども、やはり今の生活がままならない中で大変だということも訴えられています。  今、三宅村の調査の結果が出ているんですが、今、その実態ですか、被害の実態、家屋を中心に、どうなっているか報告いただけますか。
  89. 高橋健文

    政府参考人高橋健文君) 三宅の留守家屋の被害状況でございますが、一昨年の九月に全島避難を実施いたしましてから一年半の間に、まず泥流によりまして家屋四十三戸が罹災しております。それとまた、その後の二酸化硫黄ガスを含みます火山ガスの影響によりましてトタン屋根の腐食が発生しておりまして、これも三宅村において調査が進められておりますが、現在のところ少なくとも百十五世帯で屋根の修繕を行う予定になってございます。さらに、ドアやベランダなどの金属製の部分の腐食、シロアリによる被害なども発生しておりまして、昨年の十一月から十二月に実施しました第二回実態調査におきましても、五〇%以上の方が補修等が必要であると回答されております。
  90. 大沢辰美

    ○大沢辰美君 では、いわゆるインフラ、道路とか土砂災害とか、そういう実態の復旧事業というんですか復興事業というのは、それはどうなっていますか。
  91. 高橋健文

    政府参考人高橋健文君) 道路を始めとするインフラの復旧でございますが、まず道路につきましては、島を一周いたします都道ですが、これにつきましては十六か所で橋が流失しました。また、のり面崩壊などの被害発生してございます。また、村道や林道でも多数の箇所で通行不能になりました。現在、島を一周いたします都道につきましては、五か所に仮橋を架ける等の復旧を行いまして全線で通行可能となっております。また、村道につきましても、観測機器の維持等に必要な路線につきましては通行可能な状況にまで復旧しております。  ライフライン関係ですが、水道につきましては、送水管十九か所、配水管十二か所が被災してございまして、現在、仮橋に送水管を添え付けるなど仮復旧作業を行いまして、島の北東部のごく一部を除きまして水道の供給が可能な状態となっております。電力や通信の回線につきましては、一部寸断がありましたが、現在は復旧済みでございます。  こういった各ライフラインの寸断や家屋被害の拡大等を防ぐため、十五の砂防ダムの工事に着手しておりまして、うち一つのダムにつきましては昨年十二月に完成してございます。将来的には平成十七年度までに七十五の砂防ダム等を設置する予定でございます。
  92. 大沢辰美

    ○大沢辰美君 道路の開通、そしてインフラ整備は大体、もちろん大事ですけれども、やらないといけないし、それが大体見通しが付いたようにお聞きしたわけですが、私は、道路が良くなってそれが通行できるようになっても、そこに人間が、住む人が、そして島の人たちが帰らなかったら村で成立しないわけですから、そういうやっぱり民宿や漁業や農業やそういう再建のために、私は今、都と国が役割を果たさないといけない。そのためには、今補修をしなければならないという調査も明らかになっています。そして、一部直せば入居できると、そういう人たちも明らかになっています。そういう家屋の被害の実態が大体出てきたわけですが、国とこれは都がどう支援できるかというところが問題だと思いますが、そういう協議はやられていますでしょうか。
  93. 村井仁

    国務大臣村井仁君) まだ三宅島において出ていますガスが一日一、二万トンという水準、依然として変わっていない、時に三、四万トンの水準まで上がるというような状態でございまして、ちょっと帰島の見通しが立っている状態ではないというのがもう御案内のとおり現状でございます。  そういう状況の中で住宅復興の問題にまでまだちょっと議論が及んでいないというのが実情だろうと思いますけれども、ただ、現在の状況というのは政策統括官から御報告を申し上げたような状況でございますけれども、いずれ帰島ができるような状況になりましたら、仰せのようにインフラだけ整備されてもそれはどうしようもないわけで、もちろん人が住めるような状態にならなきゃいかぬわけでございますから、当然、家屋の補修でございますとか復旧でございますとかいうようなことにつきまして、きちんとした手当てをしなきゃならないでしょう。それにつきましては、やっぱり住宅復興のための低利融資などの施策の最大限の活用、それから、そのほか東京都及び三宅村とも協力をしまして、政府としてできます支援を最大限にする努力をしなければいけない、こんなふうに思っているところでございます。
  94. 大沢辰美

    ○大沢辰美君 確かに今は見通しがまだ立っていません。でも、村が、何度も言いますが、二回調査したと。だけど、調査はできるけれども、その後の対策はやはり村では限界があるんだと。国とやはり都で協議をしてその対策を講じてほしいというのが大きな課題なんですね。  今、大臣が見通しがないからとかおっしゃいますけれども、見通しが付いたらちゃんと検討しますよ、ちゃんとしてあげますよと言ってあげたら、どんなに今避難をしている人は安心できるでしょうか。そこを私は、政治に血の通った対策を提案をしていただきたいというのが、今度の大きな調査の結果の果たすべき役割が国にあると思います。  自助努力には限界があります。屋根などの修理に対して公費助成を強く要望しておりますので、それについての私は対応を、これから協議を始めていただきたいということで要請に終わらせていただいて、次に私は、この間、鳥取県の震災、その後の知事の判断、そして住宅再建に三百万円を出しましょう、補修に百五十万円出しましょうと、そういう判断をされた一自治体の責任者の決断、そして横浜市などは個人住宅の耐震の補強に最高五百四十万円は出しましょうというような施策、次から次と、今の災害を受けたところ、またこれからあるかもしれない人たちが頑張っているんですね。  ですから、私は東京都もそして国も、やはり国がその一番方針を出さないといけないときが今来ていると思います。是非このことについても、公的支援ということになるわけですが、決断をすべきときであるということを指摘をさせていただいて、もう一点、ほかの問題でお聞きしたいと思います。  これは今、先ほども阪神淡路大震災の問題が提起されましたけれども、この問題についての一点だけお聞きいたします。  それは、災害援護資金制度というのがございます。御存じのように、これは災害弔慰金法に基づく災害援護資金という形で被災者の生活再建を目的に最高三百五十万円を貸し付ける制度です。この原資は国が三分の二、そして自治体が、また指定都市が被災者に貸し付けるという、返済期間は十年ですけれども、この阪神・淡路については据置き五年を置いておりますから、今支払が始まって一年半が過ぎたところです。  でも、今の不況の中で返したくても返せないという被災者が圧倒的に多く、今現在の調査では、神戸市では約六千名、西宮の数字が出ていますので、ここには千七百名の方が、返すことができないけれども千円でも五千円でも返せるという方たちがいらっしゃいます。そういう制度、そういう運用が今やられています。  そこで、一人の人が、百五十万円借りている人がいるんですが、この人が一か月、年金生活で苦しいから五千円今払っていますと。だけど、年齢は今七十歳ですから、これを払い続けたら九十五歳にならないと払い終わらないわけですね。だけど、年金の中から払って残るのはわずかだけれども、生きている間に返したいと。手元に残るのは一か月四万円だけれども、食事を切り詰めてでも、苦しい生活をやってでも返す、そういう方たちもたくさんいます。  そこで、これは厚生労働省になるんですけれども、今不況で賃金が半分になったという人たちもいます。そして、いわゆる破産宣告をしなければならない人たちも、今の数字だけですけれども約八十人ぐらいいらっしゃいます。行方不明になった方たちもこれは非常に多くて、これも神戸市と西宮市の数字がきちっと出ているんですが、五百名近くいらっしゃいます。そういういろんな一人一人事情が違う中で、十年たてば神戸市の指定都市と兵庫県は国に対して支払を、貸付けですから返さないといけないというその制度なんですが、私は、こういう今の事情の中で返済免除そして返済猶予、今、少額返済がやられているわけですが、そういうことを運用面で拡大して、もっともっとこの人たちに対する対応を拡大をしていただきたいということを一点。  もう時間がありませんのでまとめてお聞きしたいと思いますが、それで、これは抜本的には国の弔慰金制度を改正しなければできないことかもしれませんけれども、やはり返済期間の十年というのは災害規模などで短い、これはやっぱり延長すべきだという点。これも金利三%掛かりますが、これも無利子にすべきだと。そして、保証人制度がありますけれども、災害のときに保証人になってくれたのは、本当にもうその瞬間お互いに助け合いの精神でやっただけで、今、連帯保証人を問われている人たちは本当に苦しんでいます。  そういう制度もやはり変更することを求めたいと思いますが、大変時間の関係上二点に絞りましたが、答弁いただけますか。
  95. 真野章

    政府参考人真野章君) 災害援護資金でございますが、先生今御説明がございましたように、その原資を公費で原資といたしておりまして、いろいろ御事情あろうかと思いますけれども、私どもといたしましては、確実に御返済をいただきたいというふうに思っております。  ただ、今回の阪神・淡路の震災に対しましては大変な状況であったということでございまして、平成十二年の九月から返済が始まっておりますけれども、まずその償還が円滑に行われますように、通常は年賦又は半年賦でございますが、月払による償還又は少額の償還を可能にすると。それから、やむを得ない事情がある場合には支払を猶予するというようなことで、私ども、運用面で取り得る最大限の工夫をしてきていると考えております。  このような災害援護資金の現在の償還の状況でございますが、平成十三年の九月三十日現在では兵庫県全体で約五二%の償還率となっております。兵庫県、神戸市とも協力しながらこの状況を御努力をいただきまして、私どもとしてはその償還の状況を注意深く見守っていきたいというふうに考えております。
  96. 大沢辰美

    ○大沢辰美君 現状での運用、そして解釈を本当に一定、広げた形での対応はしてくださっていることは私も認識をしておりますが、一層、今日のこの経済状態の中で、やはりこの問題についての対応を拡大していただきたいということを一点。  そして、抜本的な改正をこれから私たちも、提案を今しましたけれども、政府に対して申入れをしたいと思いますので、その点については是非、今後の改善すべき点は改善するという対応をこれからの政府の在り方として私は検討していただきたいということを指摘をしまして、最後、これはもう質問ではございませんけれども、私、昨年の十一月に大臣に、阪神淡路大震災の問題で、国連の社会権規約の討議の中で、政府に対して、昨年の八月でしたけれども、被災者住宅の問題等に関して最も効果的な措置を迅速に取ることを日本政府に勧告をしましたと、そのことについての、政府に私は質問をいたしましたけれども、その勧告を尊重するように、そういうふうに私は大臣質問いたしました。そうしたら、その当時、大臣は、国連の勧告は事実誤認が含まれているので、国連の担当事務局長に申入れをしたという答弁をされていました。  でも、この申入れたるものは、日本政府の、私は、公式の申入れじゃなくて、たまたま別件でジュネーブに出張した内閣府の参事官が単なる意見交換したものであったということを後で知りました。だから、私は、これを申入れと称して政府の正式な見解表明であるように大臣質問のときに答弁されたことは、私は欺瞞であると思うんです。だから、このような答弁は許せないということを指摘し、やはり政府国連の勧告の内容を、被災地におけるその実態を検証して問題点を明らかにして、勧告を真摯に受け止め、対策を講じることこそ求められるということを指摘をしまして、質問終わります。
  97. 村井仁

    国務大臣村井仁君) 政府がどういう意思を表明するかと、表明の仕方はいろいろあるわけでございまして、私は、政府の責任ある職員が日本政府の立場をそういう形、口頭であれ何であれ表明するということは、十分に日本政府の意思を表明したことになると思っておりますし、もう一つ国連サイドの例の決議につきましてのコメントというものも、国連として、こう言ってはなんでございますけれども、何といいましょうか、いろいろ問題を含むものだということを、勧告した彼ら自身が時間が限られていたこともあり等々の発言を含めて肯定しているということも、この機会にちょっと申し上げておいた方がよろしいかと存じます。
  98. 大沢辰美

    ○大沢辰美君 委員長、いいですか。
  99. 加藤修一

    委員長加藤修一君) いや、もう時間が。  それでは、次の質問者、お願いいたします。
  100. 山本正和

    山本正和君 大変熱心に議論されて、持ち時間をオーバーされた方々もおられるぐらい熱心でございまして、大変私も感銘して聞いておりましたが。  大臣の所信の中で、私も非常にうれしく思ったのは、国民の生命、身体及び財産を守ることは国政の最も重要な責務であると、こういうことを強く主張しておられるんですね。  実は、私は時々、どこの委員会でも言うんですが、私が、最後の徴兵検査を受けたいわゆる戦中派が、最後になるわけですけれども、そういう者の仕事は、役割は何かといったとき、その体験をできるだけこの議会の場でも申し上げて、そしてとにかく新しい二十一世紀の日本づくりに頑張っていただきたい、そんな気持ちを持っていつも言っておるものですから、つい昔話になるんですが、これは委員皆さんも役所の皆さんもひとつ御了解願いたいと思うんですが。  私が、ちょうど昭和十九年に南海大地震、大震災がありまして、我が国の三重県の南部から和歌山県に至るまで、あるいはもう少し静岡の方に至るまで大変な大津波があって、高さ十メートルの津波ですから大変な津波ですね。それで、三重県だけで死者が千名前後というぐらいの津波があった。そして、そのことは実は戦争の真っ最中ですから秘密ということで、実は役所の方にも資料ないかと聞いたら、大変資料の方を集めるのに苦労しておられたようですね。それでもまあ残っているわけですが。  そのときに、そうはいっても日本人ですから、同じ日本人ですからお互い守り合ったんですね。守り合って、しかもあの戦争で食べ物のないときに。しかし、そのときの知事が、災害を受けた皆さんに対して、まあ戒めの言葉というか励ましの言葉というか、これを言っているんです。それをちょっと私読んでみて、今の日本の国民が見たらどう思うだろうかというふうなことも思ったんですが、そのことはまたちょっと後ほど申し上げますけれども。  私自身の体験でいうと、昭和三十四年ですね、一九五九年、伊勢湾台風があった。このときも、阪神大震災に匹敵するぐらいの大災害で、五千名近い人が死んだ。当時、私は三重県の教職員組合で仕事していたものですから、超過勤務もへったくれもあるかと泊めさせたというのでですね、組合指令も出して。というのは、超過勤務ですから県教委は指令出せないわけですよね、夜の夜中は。それで、そうしたら、みんなボートに乗って、いやボートじゃない、小舟に乗ったりあるいはいかだを組んだりして、子供を助けに夜の夜中まで走り回った。警察官も役場の職員の皆さんも自治体もみんな総出で助け合いをしたんですね。この記録は大分きちっと残っておるわけですね。ですから、昭和十九年のときと昭和三十四年のときとそれだけ大きく違いができた。十五年間ですね。  それから、その後、いろいろと我が国災害がありました。最近では、今の三宅島、あるいは阪神、あるいは有珠山と、こうありますね。そうしたら、国が責任を持って災害を受けた人たちを助けようと、どういうふうに再建していくかということを国家の責任としてはっきりうたうようになったわけです。不十分なところはたくさんありますね。  例えば、ちょっとこれ途中で質問になりますが、大臣御承知かどうか分かりませんけれども、こういう災害が起きたときに、様々なお金が要りますね、予算措置。その予算措置をするのに災害担当大臣が統括するのかしないのか。どうです。各省庁がそれぞれになっていろんな要求を聞いて、さあどうするかというふうな議論はするけれども、本部長としての例えば災害対策担当大臣がやると、これはやっていないんですか。ちょっとここだけ先に聞いておきたいんですけれどもね。
  101. 高橋健文

    政府参考人高橋健文君) 少し制度の実務的な話でございますので、私の方から御説明させていただきます。  大災害が起きた応急対応ということになりますと、災害対策基本法に基づきまして、非常に大災害ですと総理を本部長とする緊急対策本部ができますし、それほどでもないが政府全体として取り組むべき場合には防災担当大臣が本部長として政府全体で災害対策本部を開きます。  そういう中で、それぞれ具体の事業ですとか復旧あるいは被災者の支援、それぞれ各省がいろんな制度を持っていますから、そういう既存の制度をフルに活用して政府全体として一体的な対応を取り組みますが、それぞれ必要な事項は、そういう非常災害対策本部の調整を踏まえて、各省がそれぞれの所管の制度あるいは所管の予算をフルに活動して対応していくことになるというのが現実でございます。
  102. 山本正和

    山本正和君 ということだと私も承知しておるんですよ。ですから、まず、各省庁がそれぞれ取り組まなきゃいけないことになっていくんですよ。  ところが、現実にばあっと起こると、大津波が起こると、その場で物すごくいろんなものがどんどこどんどこ要るわけですね。それに対してどうするかということになったら、私は率直に言いますけれども、例えば、災害対策部長が指令をして、実務を指令をしてもう金を付けてしまうと、逆に言えば。あるいは、こういう現場のいろいろな声を全部受けると。そして、その受ける中で、これをどうしなきゃいけないかということはその場で判断する。後の処理は各省庁でちゃんと、それは国の行政機関ですから、行政機関の秩序に基づいて処理してもらわなきゃいけないにしても、そうしなきゃいけないような場合がたくさんあると思うんですね。  そんなようなことをちょっと思っているものですから、これは一遍閣議辺りで、これは各省庁で議論してもらったら駄目になると思うけれども、総理なりを中心とした、要するに、災害にどう構えるかというようなことを政治の課題として閣議の中で一遍議論をしていただいたらどうかというふうに私は思っているんです。  これはお返事は要りませんけれども、そういうのを含めて議論しなければ間に合わないような事件、例えば先ほど高橋委員質問しておった三重県のメガフロートの問題でも、ずっと上へ上がっていくとそれぞれ各省庁ありまして、これは農水省だ、これはどこそこだと、こうなってなかなか大変なんですよ。また、各省庁も善意でもって一生懸命やってくれるんだけれども、それぞれのあれがありますからなかなか処理しにくい、こういうことだろうと思うんですね。  ですから、一遍、そんなことについて国の責任としてやっていくときに、この災害の問題をどう構えるかということは一遍抜本的に構造改革の中で議論していただく、こんなことを大臣にひとつお耳に入れておきますから、御検討の中に入れてください。  そこで、ちょっと私、皆さん方に御紹介しておきたいと思って、昔の日本人が災害のときにどんな思いで何をしておったかということについてのあれですけれども、南海大地震です。これはそのときに、町長さんの言葉ですよ、「昭和大津波記録」、こういうやつです。紀元二千六百四年と、こういくんですよね。これはこの辺で言ってもちょっと皆さんぴんとこないかもしれませんけれども。要するに、大変な波が来たと。波の中で家が崩れてどうにもならなくなってきたと。そして、お父さん、お母さんと子供は離れていると。お父さん、お母さん、山におる、あるいはお父さん、お母さんってほとんどもう兵隊に行けないような弱い人ばっかりですよ。そして、ほとんどいないという中で、その  為ニ子供ハ父母ヲ呼ヒ父母ハ子ヲ捜シ夫ハ妻ヲ妻ハ夫ヲ求メテ叫ブ声、又漂流セル住家ノ屋根ニ或ハ船ニ或ハ流材ニ取リ縋リ湾内湾外ニ救ヒヲ求メテ声ヲ嗄ラシ叫ブモノ実ニ阿鼻叫喚此世宛ラノ生地獄ヲ現出シ其ノ状景全ク物凄ク町民ハ各々高所ニ手ヲ拱キテ只呆然タルモノ多ク或ハアレヨアレヨト許リ指差シ哀レヲ喚メキ立ツルモノ又蒼然トシテ戦慄シ右往左往セルモノ等其惨胆タル状景ハ言語ニ絶シ其儚ナサ云ハン方ナカリキ と、こういうふうな形でもって記録されているんです。  私は、テレビよりもこっちの方が心にじんとくるんですよ。テレビでやると、カメラマンがだっといろいろ映しますけれども、だけれども、本当に町長という人がもう必死の思いでその情景を写そうと思ってこう書くんですね。こういう行政の姿、つくづく思います。我々が災害のことをいろいろ言うときに、何か知らないけれども、テレビを見て、数量的にしか物事を判断せぬということの情けなさを感じるんですね。  これはとにかく大変な津波の中で、そしてまた、そのときに今度は知事から県民に頑張れという激励の文書も出ているんですけれどもね。戦争遂行の最中だから、みんなで必死になってこれを克服して、戦争遂行のために戦おうと、こう言うんですよね。  要するに、こういう時代における中でも国が災害に対していろいろなことを思ってやっておる。しかし、そういうことからいったら、今のこの日本国は、大臣がこうやって国民の生命、身体及び財産を守ることが国政の最も重要な責務の一つだと、こう宣言をして取り組んでいくという今の政治の姿というのは、私は極めていい方向へ向かっていると思うんですね。不十分なところはたくさんあります、直さなきゃいけないところ、もっと良くしていかなきゃいけませんね。  そんなようなことを思ったものですから、ちょっと今のところ、初めに、質問の冒頭に申し上げておきたいんですけれども。  そこで次に、南海大地震のことについての対策ですが、これは、先ほどのやつはこれは昭和十九年ですけれども、その前に、もう先ほどお話がありましたけれども、百年間隔ぐらいで、もうマグニチュード八ですから大変な地震ですよね、これが来ている。  そういう来ている中で、この前の地震対策のあの表を見たら、名古屋市の辺までちょこっと書いてある、今緊急を要する地域指定があって、そして三重県は志摩半島のちょっと先の方だったかな、ちょこっと入っているような枠がありましたね。  ところが、実際の話、予知学者の中では当面はあそこは大丈夫だと、こう言っているんだけれども、歴史的に見たら紀伊半島のあの付近に強く出ていると。その辺のことについては一体どういうふうな議論がされておったんでしょうかね、ちょっとそこだけ聞いておきたいんだけれども。
  103. 高橋健文

    政府参考人高橋健文君) 今回の大都市の震災法に基づく強化地域指定東海地震対応ということでございまして、海溝型の地震につきましては、東海地震、それからずっと名古屋、紀伊半島へ行きます東南海、南海とこう続きまして、メカニズムとしては全く同じなんですが、東海地震の場合は想定震源域が非常に陸域に近いということもありまして、ひずみ計だとか観測のいろんな装置が十分に配備できます。そういったことから、地震の事前予知といいますか、正確に言いますと地震の一番最初の早期現象を直ちにつかんで事前の対策を取ろうと、それが東海地震でございます。  今、先生御指摘のように、例の三重県だとかあの辺に行きますと、今回も東海地震想定で津波の影響が一部出るだろうということで強化地域の対象に一部、今三重県知事の意見をお伺いしていますが、あと東南海とか南海地震につきましては、全体的にいろいろ大津波の影響が出るだろうということは言われておりますが、まだ東海地震と同じような事前予知対応ができないわけでございまして、今回の強化地域の話は東海地震対応強化地域であると。  ですから、これは我々も強化地域見直しに当たって改めて国民の皆さんにもよく御説明しなきゃいけないと思いますが、この東海地震強化地域から外れたからといってほかの地震で、今御指摘の例えば東南海地震で大丈夫だとか、そういう話ではないということでございます。  ですから、ある意味で、今現在、東海地震が極めて、事前予知がある程度できる可能性があるということで、そういうことを前提とした対応を取っておりますので、東海地震の固有の措置でございます。ですから、東南海あるいは南海、あるいはほかの地震あるいは津波に対して強化地域から外れたからといって安全だということではないということを、私どももあらゆる機会を通じてよく御説明していきたいと思っております。
  104. 山本正和

    山本正和君 私の方で調べた資料では、十年以内に起こる確率、あるいは何十年以内と確率ありますね。そうすると、東南海も、それから今の静岡を中心にしたあの付近のやつも全く一緒になっているんだけれども、この数字は間違いないでしょう。
  105. 高橋健文

    政府参考人高橋健文君) 今、御指摘ありました東南海、南海について、何年以内に何パーセントというのは、これは政府の中でも文部科学省に地震調査研究推進本部というのがございまして、そこでは、どっちかといいますと、極めて学術的な研究といいますか、そういう長期的な確率論としてはそういうことも言えるのかなという感じはございます。  ただ、東海のように、具体の観測データに基づいて直前にそういう現象をつかんで警戒態勢を取れるとか、そういう段階には東南海、南海はまだ至っていないと、そういうことでございます。
  106. 山本正和

    山本正和君 要するに、何といいますか、先ほどの議論の中で住民に不安を与えてはいけないというふうな配慮、そういう行政の配慮、これは当然だと思うんですけれどもね。ただ、こういう数値については正確にみんなに告知させておいて、そしてその中でやっぱり住民の中の声を受けていくべきだろうと、こういうふうに思うんですけれどもね。  私は、もう皆さんが大分熱心にやられたもので、私はそれじゃ、なるべく二時に終わるように委員長協力したいと思うんで、あとひとつ三十秒ほど申し上げて終わりたいと思いますが、私は率直に言って、日本の国の何ですか、有事即応か、有事態勢というのが、盛んに議論しますね。私は、有事というのは災害だと思うんですよ、一番大きなやつはね。災害にどう対応できるかという態勢を我が国が作るためにどうするかということについては、これは政府が本気になって考えにゃいけない。  それから、もっと私怖いのは、アメリカがスリーマイル島でやったけれども、これも黙っておるけれども、あっちこっちでこれ、アメリカでも事故は起きているんですよね。もし原子炉のところが何か起こった場合どうなるかというふうな、そういう問題も含めてね。だから、正に国民の生命、財産を守るということの一番問題は私は災害だろうと。  それは、テロだとか侵略ももちろん災害ですから、これは来たら戦わにゃいかぬと私は思いますよ。私らはもう、一遍兵隊へ行って死に損なったやつだから、何なら老兵が一番弾よけに出てもいいぐらい思うけれどもね、役に立たぬけれども。  だけれども、一番大切なことは、国の、国民の平和と安全を守るという一番根っこは災害問題だというところに重点を置いた政策を進めていただくと。内閣の中でも、ひとつ災害担当大臣ということを、特に強調していただくように要請いたしまして、私の質問を終わりたいと思います。
  107. 加藤修一

    委員長加藤修一君) 本日の調査はこの程度にとどめ、これにて散会いたします。    午後二時二分散会