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2002-04-04 第154回国会 参議院 国土交通委員会 第7号 公式Web版

  1. 会議録情報

    平成十四年四月四日(木曜日)    午前十時三分開会     ─────────────    委員異動  四月三日     辞任         補欠選任      佐藤 雄平君     榛葉賀津也君     ─────────────   出席者は左のとおり。     委員長         北澤 俊美君     理 事                 鈴木 政二君                 脇  雅史君                 藤井 俊男君                 弘友 和夫君                 大江 康弘君     委 員                 荒井 正吾君                 木村  仁君                 北岡 秀二君                 月原 茂皓君                 野上浩太郎君                 野沢 太三君                 松谷蒼一郎君                 森下 博之君                 森山  裕君                 吉田 博美君                 池口 修次君                 榛葉賀津也君                 谷林 正昭君                 藁科 滿治君                 続  訓弘君                 大沢 辰美君                 富樫 練三君                 田名部匡省君                 渕上 貞雄君    国務大臣        国土交通大臣   扇  千景君    副大臣        国土交通大臣  月原 茂皓君    大臣政務官        国土交通大臣政        務官       森下 博之君    事務局側        常任委員会専門        員        杉谷 洸大君    政府参考人        国土交通省鉄道        局長       石川 裕己君        国土交通省航空        局長       深谷 憲一君     ─────────────   本日の会議に付した案件 ○政府参考人出席要求に関する件 ○全国新幹線鉄道整備法の一部を改正する法律案  (内閣提出) ○鉄道事業法等の一部を改正する法律案内閣提  出)     ─────────────
  2. 北澤俊美

    委員長北澤俊美君) ただいまから国土交通委員会開会をいたします。  まず、委員異動について報告をいたします。  昨三日、佐藤雄平君が委員を辞任され、その補欠として榛葉賀津也君が選任されました。     ─────────────
  3. 北澤俊美

    委員長北澤俊美君) 次に、政府参考人出席要求に関する件についてお諮りいたします。  全国新幹線鉄道整備法の一部を改正する法律案の審査のため、本日の委員会国土交通省鉄道局長石川裕己君及び国土交通省航空局長深谷憲一君を政府参考人として出席を求め、その説明を聴取することに御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  4. 北澤俊美

    委員長北澤俊美君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。     ─────────────
  5. 北澤俊美

    委員長北澤俊美君) 全国新幹線鉄道整備法の一部を改正する法律案を議題といたします。  本案の趣旨説明は既に聴取いたしておりますので、これより質疑に入ります。  質疑のある方は順次御発言を願います。
  6. 荒井正吾

    荒井正吾君 おはようございます。自由民主党の荒井正吾でございます。  限られた時間でございますが、全幹法質問をさせていただきます。まず、政府参考人鉄道局長幾つか法の解釈について質問させていただきまして、最後大臣から総括的な御意見所感を賜りたいと思います。  今回の全国新幹線鉄道整備法の一部改正は、建設後半世紀近くになります新幹線鉄道施設改修がいっときに重なりますと事業者ひいては利用者に不均衡な負担が生じるということで、事前工事費用非課税で積み立てて利用者負担平準化を図るという目的でなされているというふうに理解しております。  そこで、幾つ制度趣旨内容について質問をさせていただきます。  制度創設に当たりましては、昨年、税制改正要望が出されまして引当金制度創設が認められました。また、同制度を盛り込んだ租税特別措置法も今国会で既に成立しております。  ところで、昨年の要望の際は、JR東海の持ちます国鉄長期債務償還円滑化のためということが税制改正要望の際強く主張されたわけでございます。今回の改正法には、大規模改修円滑化という法案提出理由は述べられておりますが、国鉄長期債務償還円滑化ということは法文上も述べられておらないわけでございます。  もし長期債務償還円滑化ということが法案の主たる目的であれば、それは国鉄改革スキームの一部見直しであり、それは全幹法ではなく国鉄改革関係法改正で行うべきだという意見もあり得ると思われますが、今回の全幹法改正趣旨を改めてお述べいただきたいと思います。
  7. 石川裕己

    政府参考人石川裕己君) 今回の全幹法改正趣旨でございますが、我が国の基幹的大量高速輸送機関でございます新幹線鉄道について将来にわたり安定的な輸送確保するためには、将来行われる大規模改修に向けて必要な備えを行っていく必要があると。このために、このような交通政策上の必要性から、完全民営化されたJRに対して大規模改修に必要な資金をあらかじめ引き当てさせることにより、将来にわたって新幹線鉄道の安定的な輸送確保するとともに、完全民営化されたJR資金調達リスクの軽減や将来の運賃値上げ幅を抑えることを目的としたものでございまして、必ずしもJR各社債務償還円滑化を直接の目的としたものではございません。  しかしながら、本制度によりまして、巨額な費用を要する大規模改修に備えて内部留保を厚くするという効果が達せられますので、結果的に債務償還円滑化にも資することとなると思います。
  8. 荒井正吾

    荒井正吾君 主たる目的が大規模改修円滑化ということでありましたら、他のJRにも適用が可能な制度のように思われるわけでございます。  今度改正されます全幹法第十五条の所有営業主体指定は、JR東海だけではなく、他のJRについても行われ得るというふうにも解釈できると思いますけれども、可能な指定の範囲や、またどのような基準で行われるかについて御説明をお願いしたいと思います。
  9. 石川裕己

    政府参考人石川裕己君) 今回の全幹法改正趣旨は先ほど申し上げましたとおりでございまして、一言で言えば新幹線老朽化対策ということでもございます。したがいまして、全幹法第十五条の所有営業主体指定につきましては、JR東海だけではなく、将来的には山陽、東北、上越の各新幹線を所有するJR西日本あるいはJR東日本というものもその対象となり得るものと考えております。もっとも、当面は開業から経年年数が最も古い東海道新幹線を所有するJR東海指定対象となるものと考えております。  全幹法第十五条の所有営業主体指定につきましては、個々の新幹線ごと開業からの年数車両走行実績、財務の状況等から、大規模改修必要性、さらには引当金積立て必要性及び妥当性、こういうものを判断して行うものでございます。
  10. 荒井正吾

    荒井正吾君 鉄道施設は大変古いものも多うございますので老朽化のための改修というのは日常要るものだと思いますが、今回の非課税事前積立てが認められますいわゆる大規模改修と、そうでない通常改修との区別をどのようにされるのか。引当金制度になる工事の大規模性というのは、量的に工事が大きいというよりも、いっときに集中するとか、あるいは事業主体体力とか身の丈でありますとか、その引当金事前積立てを認める正当性という点に、ある点、基準が明確にならないといけないと思いますが、その点、いかがでございましょうか。
  11. 石川裕己

    政府参考人石川裕己君) 引当金対象となる大規模改修、これとそれ以外の通常改修工事というものについてどういうふうに区分するのかというお尋ねでございますが、私どもとしては、通常改修工事というものは、短期間で更新が必要となるような設備交換あるいは施設の部分的な補修というものなど、いわゆる施設維持管理というものを目的としたもの、そういう工事だろうと思っております。具体的には、例えばレール交換でありますとか電車線交換あるいは防音壁補修、それから鉄げたの塗装、こういうふうなものだろうと思っております。  一方、今回の引当金対象となるような大規模改修というものは、経年、年の変化それから車両走行により劣化した鉄道施設について、施設の取替え等の通常改修工事を超えた抜本的な対策を行うもの、施設の取替え等の抜本的な対策を行うものでございまして、例えば橋げたの取替えあるいは高架橋の荷重の受け方を変更するような構造変化、トンネルの出入口付近に鋼板を張るなどの補強工事、あるいは地中に埋め込み、盛土を引き締めるような工事、こういうふうな施設の取替え等の通常改修工事を超えた抜本的なものというふうに考えております。
  12. 荒井正吾

    荒井正吾君 通常改修を超えた工事を行うために引当金制度を適用するということなら、改修というのは、今まであるものを老朽化したから替えるというのを抜本的に、今リフォームというのがはやっておりますけれども、大変良くなるというようなための引当金制度だということでありましたら、先日、本委員会弘友議員JRの事故について御質問されましたときに、そのような安全施設というのはなかなか導入できないんだ、財政上の理由があるからということでございましたが、鉄道安全施設工事規模はわずかでございますが、事業者体力にとっては大変大きなものであり、あるいは収益の向上に資さないために導入されないということを、事業者が導入できないから安全に事欠くというんじゃなしに、このような体力のある事業者引当金制度を導入されるんでございますので、力のない事業者に必要な施設を、特に安全施設を導入するような制度創設というものは更に必要だと思われますけれども行政の御当局でいかがでございましょうか。
  13. 石川裕己

    政府参考人石川裕己君) 安全対策に対する投資というのは常日ごろから当然行っていかなければならないものだろうと思っております。  それで、特に、御質問がありましたように、中小民鉄に対して安全投資をどういうふうにサポートしていくかということが大事だろうと思っておりまして、それにつきましては既に近代化補助等で、ATSやCTCの整備、更にはATS補助率の格上げ、補助率の拡充というふうなこと等を現在やってきておるところでございますが、さらに中小民鉄安全施設に対しましては、今後二年間で施設等安全性緊急評価事業というものを実施して、こういうものを受けた上で、中小民鉄についての安全性確保観点から様々な検討を進めてまいりたいと考えております。
  14. 荒井正吾

    荒井正吾君 中小民鉄とか地方鉄道の安全とか設備投資に対する支援措置と今回の大変大きな制度との温かみというか親切さが随分差があるように思うんですけれども是非、力の弱い事業者に必要な制度是非行政の主たる対象にしていただきますようにお願い申し上げたいと思うわけでございます。  また、今回の改正にありますように、また従来の法制度もそうでございますが、施設更新事業者債務円滑化というようなサプライサイドの法制、法スキーム中心であるわけでございますが、利用者のためになる制度創設法改正をもっとしていただきたいというふうに日ごろから考えております。  現行の法スキームでは、特に運賃制度案内表示制度というようなものは、個別の事業者申請チェックする、個別の事業者要望に応じて介入するということが運輸関係法スキーム中心になってきたわけでございますが、東京のように複数事業者が、地下鉄なんか、鉄道があるような地域でありますとか、大規模ターミナル案内表示というのは非常に複雑でございます。  最近、ワールドカップがあるのでソウル地下鉄ナンバリングをするというふうに聞いたわけでございますが、東京地下鉄有楽町線、半蔵門線、丸ノ内線、地方から来た人は全く分からない。しかも、ある地域に存在する地名をその線路の名前にするというのは、事業者の好みによってそのままになっているというような案内表示でございますけれども、例えばナンバリングを、東京の近辺に鉄道駅というのは例えば幾らあるんでしょうか、何百、何千線とあるかもしれませんが、Aの何番、Bの何番、Cの何番というふうにもし表示すれば、どこの、Cの5番に行くにはAの1、Bの3で降りて、Cの5に行ってと、こういうようなデジタルの表示ができて、これは外郭にも案内表示するわけでございますが、今の法スキームではそのような案内表示システムを導入するのは事業者申請を待たないかぬ。しかし、統合して申請するというのはなかなかできないシステムになっているわけでございます。  したがいまして、今の法制度を変えて、ある地域の統合的なサインを作るというような法スキームが必要だと思うわけでございますけれども、そのようなことについての、今の時点でのアイデアでございますけれども行政当局の御感想、所感を伺いたいと思います。
  15. 石川裕己

    政府参考人石川裕己君) ただいま御紹介のございましたソウル地下鉄の駅のナンバリングというものにつきましては私どもも面白いアイデアだろうと思っておりますし、日本人がソウルに旅行したときにかなり使いやすいものだという話も伺っております。こういう問題につきましては、私どもからも鉄道事業者等に対して、こういう話があるというようなことについて働き掛けをして、また議論をしていきたいと考えております。  ただ、一般的に私どもとして、やはりサービス、今お話があったように、サプライヤーの立場だけではなくて、利用者立場から見た様々なサービス向上ということについて十分考えていくべきだという御指摘だろうと思います。  これにつきましては様々な取組が我々としてもなされていると考えておりまして、例えば駅について言えば、駅の機能をどういうふうに強化をしていくかというふうなこと、それからワールドカップお話がございましたが、例えばワールドカップに向けて言えば、会場の最寄り駅だとか主要駅について案内表示を英語を始めとする外国語を併記するとか、インフォメーションブース設置等準備が、私どもとともに共同して準備を進めているところでございます。  さらに、利用者利便という観点から、あるいは利用者利便の増進という観点からは、私どもとしても重要な課題であるという事柄でございますので、昨年十一月に実は情報提供ガイドラインというものを新たに策定いたしまして、鉄道事業者に対して、利用者へのサービスの水準あるいは安全への取組、こういうことに関して積極的に情報提供を行い、あるいは利用者意見あるいはその意見に対しての対応というものについても情報提供を積極的に行うよう指導を図ったところでございまして、今後ともその周知徹底を図ってまいりたいと考えております。
  16. 荒井正吾

    荒井正吾君 そういう分野での御努力を非常に評価させていただきますし、今後も続けていただきたいと思いますが、事業者に対する働き掛けとかワールドカップがあるから案内表示を変えるとか、そういういっときのことではなくて、継続的に、恒常的に利用者受益者の声を聞くシステムが法的に整備されていないというふうに問題を指摘させていただきたいと思うわけでございます。  運賃料金制度も、今の個別事業者に対する認可制では、申請がないと認可がない、積極的な働き掛けができない、あるいは利用者の声が直接事業者に伝えるシステムがない、それを経常的に、長期的に聴取するシステムがないということでございますので、行政サプライサイドということでなしに、行政利用者事業者という関係を新しい法制度で作っていただきたいというのが趣旨でございます。例えば、今のワールドカップの際に運賃割引をされるということで大変報道されましたので、大変いいことだと思っておりますが、これも働き掛け要望ということじゃないかというふうに思うわけでございます。  かつてサミットのときにサミットパスというのを発行されたわけでございますが、二回発行されました。最初は全事業者が賛同された。二回目は、東京JR東日本だけが反対だということで、真ん中だけ割引というか無料制がなかったわけでございます。これは全事業者が一致しないというと手がないということを経緯が表しているわけでございます。例えば、今後、外人客に対する統合的な割引切符、今ジャパン・レールパスというのがありますが、それは地下鉄も乗れるのか、あるいはバスも乗れるのかという、外客が来たときに、日本語がはんらんする中でもっと便利に移動するということは外客誘致にとても大事なことだと思うわけでございます。  そのようなことを推奨するための法スキームが必要だと考えておるわけでございますので、その点についての御所感を改めてお伺いしたいと思います。
  17. 石川裕己

    政府参考人石川裕己君) ただいま運賃についてのお尋ねがございましたが、運賃につきましては、御案内のとおり、基本的には各鉄道事業者ごとに能率的な経営の下における適正な原価に適正な利潤を加えたものとして、そういう総括原価主義の下で、事業者自主性、主体性を尊重して市場原理の下での競争を促進するという形で、総括原価方式の下での上限価格制という形で様々な低廉な運賃設定あるいは料金設定ということは、鉄道事業者自主性を尊重してかなり広範に自由に行われるようになっていると思います。  ただ、今御質問のように、各事業者をまとめたような形の全体的な広範囲な運賃割引というものをどういうふうに制度設計していくかということについてのお尋ねだろうと思いますが、これにつきましては、現在までのところ、私ども役所がいろんな意味で声を掛けたりしてやってきているわけでございますが、やはりそういう中で利用者利便確保という観点、あるいは一方で利用者負担の公平という観点、こういうふうなものを、様々な観点を勘案しながら私どもとしても努力をしてまいりたいと考えております。
  18. 荒井正吾

    荒井正吾君 最後に、大臣にお聞きしたいと思いますけれども、今、運賃制度個別事業者に対する総括原価主義というのは、全体をまとめるという点とか、事業者の好意にすがらなきゃいけない、利用者の声が直接伝わらないという点で、ある面、弱い面があろうかと思います。タクシーなんかも個別事業者への認可ということになっておるわけでございますが、運賃にしろ案内表示にしろ、鉄道利用者視点に立って交通インフラをよりよく使うというような法スキームがまだ十分開発されていないかというような趣旨でございます。  サイン法でございますとか新運賃法を例えば次期通常国会に提出するとか、そのような検討を進めるとかということを、直接の、今政治家行政介入しちゃいけないというふうにも言われておりますので、大臣を通じてそのような検討をしていただけないかということを公の場でお願いしたいと思うわけでございます。パブリックインボルブメントとかパーラメンタルインボルブメントということもあると、PIというのもそういう意味で公の場での御要望ということもあろうかと思いますが、それとまた、そんな、立法立法府仕事じゃないかということでございましたら、事後チェックというか、内閣が提出される法案チェック立法府が主にやるんじゃなしに、次の国会に提出する立法中身とか在り方立法府が提言したり意見を聞いて次の立法に備えるというような在り方もどうかというわけでございます。  今までの議論をお聞きになった総括的な御所感を伺って、質問を終わりたいと思います。
  19. 扇千景

    国務大臣扇千景君) 大変いろいろな御提言をいただいたり、また委員会として、今後法案整備ということも御指導いただいて、こういう委員会で私たちも多くの御意見を聞いて次期に備えたいと思いますし、今るるお話ございましたように、少なくとも私どもは、交通というものを所管します役所としまして、少なくとも高速性でありますとかあるいは大量性とかあるいは定時性とか、そういう原則に立って安全を確保すると。そういう意味では、大きな仕事を私たちも気を付けながらさせていただいているというのが現状でございますけれども、少なくとも整備新幹線あるいはまた高速鉄道等々、あらゆる面でより高速化をしろとか、あるいはより鉄道のネットワークをしろとか、いろんなことがございますので、今までできなかった点、これも国土交通省としては、結節点でありますとかあるいは乗換時間の短縮でございますとか、あらゆることもみんなで指導していきたいと。  そしてまた、様々な割引も今おっしゃったような大事なことで、特に今年はワールドカップという話を今、委員がおっしゃいましたけれども、このワールドカップにつきましても、私どもは陸海空で特別割引をしようと今指導しております。飛行機も、外国から日本にいらした方は日本じゅうどこへ行っても一万二千六百円とか、少なくとも、外国皆さん方に向けたJRフリー切符でありますとか、あるいは東京圏共通フリーパスとか、あらゆるものを手だてをしておりますけれども、そういういろいろな割引も含めて、何よりも、そのときだけではなく、今仰せのように、通常からそういうものを我々としては頭に置きながら指導していきたいと思いますし、また鉄道行政を推進するために、私たち鉄道利用者の拠点を、国民の視点に立った行動をしていくという今の御指摘どおり、私たちも頑張っていきたいと思っております。  ありがとうございました。
  20. 荒井正吾

    荒井正吾君 ありがとうございました。
  21. 谷林正昭

    谷林正昭君 おはようございます。民主党の谷林でございます。  法案審議質問に入る前に、どうしても気になるもんですから、一点ちょっと質問をさせていただきます。  というのは、三月二日の朝日新聞、産経新聞に同時に載ったんですが、自民党服部三男雄参議院議員のところへ会社役員から告発状が出された。その告発状中身政治資金規正法違反、こういうような内容であります。これ自体は私は余りこういう場で話するつもりはなかったんですが、その内容をよくよく見ていきますと、国土交通省が大きな渦の中に巻き込まれそうになる問題である、そういうふうに私が今認識をいたしましたので、この場で質問をさせていただきます。  というのは、大阪市営地下鉄八号線というのを造っているんですが、その延長を松原市までやってくれという運動が起きました。その中で、なかなかうまくいかないもんですから、自民党有力国会議員秘書紹介服部三男雄参議院議員紹介をされて、その先生に是非国働き掛けをしてもらいたい、こういうお願いをしたところ、月々百万程度の政治献金を約束をした、こういう問題であります。しかも、その中身は、一気に百万円ずつやると問題あるから、小分けにして二万から四万、小分けにしてやってもらえぬか、こういうような話までされたということになっております。  ところが、私の言いたいのはその問題ではなくて、それが大阪市の地下鉄松原市まで延ばしてもらいたいということを国に働き掛けてもらいたいというのがそもそもの問題の発火点だというふうに認識をいたしまして、ここでお尋ねするわけでございますけれども、まずこの大阪市営地下鉄八号線の工事認可について、いつ認可したのか、そしてそのときは松原市までというのはどうなっていたのか、これをまず聞かしていただきたいと思います。
  22. 石川裕己

    政府参考人石川裕己君) 大阪市営八号線につきましては、平成十一年六月十五日に井高野—今里間につきまして特許を行ってございます。その特許に従いまして、平成十一年十二月二十日には主に土木施設に関する工事施行の認可、さらには十二年三月三十日には主に電気施設にかかわる工事施行の認可を行ったところでございます。つまり、井高野—今里間につきまして、既に特許を行い、工事が行われているという現状でございます。
  23. 谷林正昭

    谷林正昭君 現実に今工事が行われまして、そのときは松原市までは全く論外であったというふうな認識をいたしました。  ところが、現地府民あるいは現地住民、そういう方々の中で是非松原市まで延ばしてもらいたい、こういう要望がたくさんあったというふうに私は聞いておりますが、国土交通省としてそういう要望を把握していたかどうか、お聞かせいただきたいと思います。
  24. 石川裕己

    政府参考人石川裕己君) 大阪市営地下鉄八号線でございますが、先ほど申し上げましたように、井高野—今里間を建設中でございます。それで、更に南の方に向かっての話でございますが、運輸政策審議会において整備検討がうたわれている区間としては今里から大阪の湯里六丁目までの延伸、これが運輸政策審議会において整備検討がうたわれている区間でございまして、この今里と湯里六丁目までの間の延伸についてはかねてから地元の大阪市等から私ども要望を受けております。  しかしながら、この答申にうたわれていない湯里六丁目以南といいますか、更にそこから先の松原方面への延伸につきましては、国に対する要望の有無というものについて調べてみましたけれども、そのような要望は確認されておりません。
  25. 谷林正昭

    谷林正昭君 松原市まで延ばす要望もないし、計画もない、そういう認識であったというふうに思いますけれども。  ポイントは、働き掛けをしてもらいたいという人、よし、分かったと言ったかどうか分かりませんが、献金を約束をした、こういうような状況の中で、国土交通省として、今私が申し上げましたような内容事前に御承知なのか、調査をしていたのか、そこら辺りを聞かしていただきたいと思います。初耳なのか、それともこれまでそういう調査をしていたのかどうか、聞かせていただきたいと思います。
  26. 石川裕己

    政府参考人石川裕己君) それは、調査とおっしゃいますと。
  27. 谷林正昭

  28. 石川裕己

    政府参考人石川裕己君) 私どもしては、ここについては、働き掛けについては初耳といえば初耳でございます。
  29. 谷林正昭

    谷林正昭君 初耳といえば初耳とはどういう意味ですか。
  30. 石川裕己

    政府参考人石川裕己君) 済みません。正確でございませんでした。  大阪市八号線の松原市方面への延伸ということに関して、つまりその南の方の延伸ということに関して働き掛けの有無ということについて私どもとしては調査をいたしましたけれども、そのような確認はできませんでした。
  31. 谷林正昭

    谷林正昭君 局長、今ちょっと聞き捨てならない言葉がありました。  調査したけれども働き掛けはなかったという意味ですか。確認します。
  32. 石川裕己

    政府参考人石川裕己君) こういうような御質問があるということで、私ども働き掛けがあったかどうかということについて調査をいたしました。その結果、そのような事実は確認できておりません。
  33. 谷林正昭

    谷林正昭君 再確認いたしますが、服部議員から要請がなかったということですか、それともあったかどうかは分からないということですか。なかったということが確認されたということですか、それともあったかなかったかということが分からないということですか。
  34. 石川裕己

    政府参考人石川裕己君) 働き掛けの事実について書面が残っているかどうか調べました。そういう書面はございません。  それからまた、当時の関係者等に対して働き掛けの有無ということについて確認いたしましたところ、そのような事実はないとの回答を得ております。
  35. 谷林正昭

    谷林正昭君 この話ばかりやっておりますと法案審議ができませんので、ここら辺りで取りあえずけじめ付けますけれども、正に大臣、一歩間違えば、というよりもこれから明らかになってくると思いますけれども、政官業癒着の疑惑につながりかねない問題だというふうに私は思います。そういう内容で告発がされているという、そういうものに対する見解、こういうことを、是非大臣の見解をお聞かせいただきたいと思います。
  36. 扇千景

    国務大臣扇千景君) 私もその告発されているというのを今朝初めて伺ったんですけれども、私は、この十一年のことは、平成十一年のことは分かりませんけれども、私のところに服部議員からの働き掛けといいますか御要望というのは、各党から来ています、私もうオールオープンですから。その中で、服部先生から来ているのは明日香村のキトラの記念切手を出したいということだけでございまして、この道路の御陳情は一切私のところへは現段階では来ておりません。十一年のことは私のところへは、まだ就任しておりませんので、私、就任後は来ておりません。
  37. 石川裕己

    政府参考人石川裕己君) 私どももこのような内容について新聞報道以上何も承知してございませんので、私どもとしては何もお答えする立場にはございません。
  38. 北澤俊美

    委員長北澤俊美君) ちょっと私から申し上げますが、質問者は服部議員から鉄道局にそういう要請があったかないかを聞いておるんだけれども、さっきからそれが答弁されていないから。
  39. 石川裕己

    政府参考人石川裕己君) 鉄道局に対して服部議員からそのような要請があった、働き掛けがあったということは、先ほど申し上げているように、調べたところありません。
  40. 谷林正昭

    谷林正昭君 調べたところないというのは、私が昨日通告をした後調べて、ないという意味だというふうに私は取ります。先ほど初耳だとおっしゃいましたから。  ところが、告発問題というのはそう簡単なもんじゃありませんで、やっぱり国民が、多くの国民が朝日新聞や産経新聞を見ます。そういう中にあって、国土交通省としてそのぬれぎぬを払拭するという意味でも私は再度綿密な調査が必要だというふうに思いますし、今短時間でここでやるわけにいきませんが、委員長にお願いをするわけでございますが、この徹底した調査、それを私は必要というふうに考えます。国民の疑惑を晴らすためにも、その調査の徹底とその調査結果の報告を委員会に提出していただくようお取り計らいを委員長にお願いをいたします。
  41. 北澤俊美

    委員長北澤俊美君) ただいまの谷林正昭君の御要請につきましては、理事会で協議をして処置をいたしたいと思います。  局長何か言うことあるんですか。
  42. 谷林正昭

    谷林正昭君 是非よろしくお願いいたします。  それでは、法案審議に入らさせていただきます。  まず、この法律は、見方によっては二通りの見方があるというふうに私は思います。完全民営化に当たりJR東海の方は、多額の債務がある中で完全民営化をやられると非常に苦しい、何か処置をお願いしたい、こういう要望が強かったというふうに私は認識をしております。そして、最終的には、これは密約とは言いませんけれども国土交通省が何らかの措置をしたいと、こういうことを約束をしたというふうに私は認識をしております。その約束事が今の法律になって現れてきたというふうに私は思います。  一方では、国民の中には、あるいは我が党の議員の中にも、完全民営化になったんだから今このときにこういう法律を出すのはおかしい、国が関与したりあるいは国が特例措置を設けるのは好ましくない、こういう意見もあります。そういう中でのこの法案審査、審議だというふうに私は思います。  そういう中での意見として、これから幾つか、そして質問をさせていただきますので、よろしくお願いをいたします。  まず、一点お伺いしたいのは、大規模改修のためにこの措置を講ずるのだという説明でございますが、大規模改修というのは日をまたいで必要になるというふうには思えません。やっぱりずっと計画を立ててしっかりやらなければならないというふうに思いますが、先ほど荒井先生の質問の中にも大規模改修通常改修の違いなども質問がされておりました。私は、大規模改修が必要だ必要だ必要だという話をされていきますと、裏を返せば、国民が本当に新幹線に乗ってもいいんかなと、こういうような心配が出てくるというふうに私は思いました。  そういうことを含めまして、この国民の不安を払拭するという意味からももう少し親切丁寧に、大規模改修というのはどういうものなのか、そして具体的にこういうことをやるんだよ、そのためにこれだけのお金を準備しなきゃなりませんよ、こういう説明が、もっときめ細かいものが必要だというふうに思いますけれども、いかがでしょうか。
  43. 石川裕己

    政府参考人石川裕己君) 現在の鉄道が、先ほど申し上げたように、ふだんからいろいろなメンテナンスをやってございます。ふだんからメンテナンスやってございますから、それ自体が今の鉄道が安全でないとかどうとかということではございません。ただ、時間がたつに従って、どうしても経年変化等々で物が劣化をしていったり、疲労度を増していったりします。そういう意味で、五十年ぐらいたちますと、例えば橋げたそのものを取り替えなければいけなくなると。ふだんでしたら、そこを塗装を塗るとか補修をするとか、そういうことでもつわけですが、ある段階になると、その橋げたそのものを取り替えていかなければならなくなるようなことになる。それで、そういうものに備えていこうというものでございます。
  44. 谷林正昭

    谷林正昭君 どうも通り一遍なような話でありますので、本当にそれで国民の不安が払拭できるのか、私は国民の不安を払拭するために具体的な説明が必要だというふうな思いで今質問をさせていただいておるわけでございますけれども。五十年たったら替えた方がいいよと、そういうような説明では私はなかなか、後で触れますけれども、じゃ幾ら掛かるんだというような話になってくるわけでございますけれども、それはちょっと横へ置きまして、もう少し私は、法律が通った後でも、通るか通らぬか分かりませんよ、通った後でも国民に親切な説明が必要だというふうに私は思います。  次に、質問に入らせていただきますけれども、今ほど言いましたように、一年でここをやろう、あそこをやろう、そこをやろうというわけにいかないと思います。事前にどこを優先してどこからやっていくか、そういうようなことを含めるためにも、そういうようなことを計画するためにも、実態調査、実態把握、こういうものが私は必要だというふうに思います。その工事に先立つに当たっての実態把握の結果が、今度はまた国民にしっかり知らせることが国民の理解を得るということになりますし、安心して新幹線に乗る、こういうことにもつながってくるというふうに思いますので、その実態把握の結果を中立公正な第三者機関、こういうものを通じて情報開示すべきだと思いますけれども、いかがでしょうか。
  45. 石川裕己

    政府参考人石川裕己君) 大規模改修工事に先立って引当金を積み立てる際に、法律上、JRは、実施すべき大規模改修工事費用等を記載した引当金積立計画というものを作成して、国土交通大臣の承認を得ることが必要となってございます。  JRから引当金積立計画の申請があった場合には、国土交通省として、実施すべき大規模改修工事費用の算定根拠について、つまりどういうものをどうやってやるんだということについて厳正な審査を行って承認を行うこととしてございまして、必要に応じて当該審査の結果等を明らかにしてまいりたいと考えております。
  46. 谷林正昭

    谷林正昭君 局長、どうも私の質問の仕方が悪いのか話が悪いのか、ちょっとちぐはぐになっているように思います。実態把握を、どうやって、実態把握、必要でしょうと言ったら、実態把握のことには触れられませんね。計画、申請というふうに話をされますけれども、私の言いたいのは実態把握、どの鉄橋を優先してやるか、この鉄橋の方が古いんだからというふうに優先順位が必要じゃないでしょうか。  じゃ、その優先順位を決めるときに、あるいはやるときにはしっかりした情報公開が必要じゃないかなというふうな考えを私はただしたつもりでおりますので、もう一遍、済みません。
  47. 石川裕己

    政府参考人石川裕己君) 済みません。  私、ちょっと法律上の手続のお話しさせていただきましたけれども、基本的にどういう工事をやるか、どこにどういう工事をやらなければいけないかということについては、まず一義的に当該申請者が整理するもの、実態把握も含めて整理するものでございます。  これを基に、今申し上げたような法律上の手続で私どもの方に内容が上がってまいりますので、私どもとしてもそれをきちっと実態把握も含めて審査をしていきたい、それについて必要に応じてその結果を明らかにしていきたいと、こう申し上げたつもりでございます。
  48. 谷林正昭

    谷林正昭君 是非、そういう問題が大事だというふうに思いますので、よろしくお願いいたします。  次に入ります。  東海道新幹線は、当初作られたときは一日に六十本走らせようじゃないかというようなところが基本になっていたというふうに思いますが、今二百八十数本一日に走っている。もう正に過酷な状況が、線路あるいはその他そこに働いている人たち、携わっている人たちに掛けられているというふうに思っております。  そこで、世界に誇れる新幹線、一度も事故を起こしたことがない、こういうすばらしい新幹線、この安全確保というものに物すごく心を砕いて頑張っておいでになるというふうに私は思います。そのこれまで取ってこられた安全確保に対する対策、主なものをもしよろしかったら聞かせていただきたいと思いますし、こういうところに一義に注意を払っていたんだというようなものがありましたら聞かせていただきたいし、そこにまつわる、掛かる費用、安全費用、そういうものを含めて、通常の維持補修費、これは年間いかほど掛かっておるものか、教えていただきたいと思います。
  49. 扇千景

    国務大臣扇千景君) 今、お話し聞いておりまして、本来は事務的なんでしょうけれども、国民の皆さんの安全という、安心というものを新幹線に抱いていただけないと困ると思いますので、私から事例を申し上げたいと思います。  それは、少なくとも私どもは安全のためにということで、新幹線等々、鉄道施設維持管理のために少なくとも、東海道新幹線東京大阪間五百十一キロで一日に平均約二千五百人が管理に当たっております。そして、山陽新幹線、新大阪—博多間五百五十四キロは一日に千百人がこの管理に当たっております。これも私は皆さん方是非知っていただきたいということでございます。  どういうことをしているかということで、これまでも新幹線等々の安全のために、地震対策で、補修は当然でございますけれども、地震対策でありますとか新自動列車の制御装置の導入でございますとか、駅ホーム等のさくを作るとか、安全対策というものに大体毎年一千億円を超える経費で保全を図っているということだけは是非御理解いただいて、安全であるということの確認を申し上げさせていただきたいと思います。
  50. 谷林正昭

    谷林正昭君 年間一千億円を超える経費が安全対策費として使われている、すごいなと思います。やはり、それだけ金を掛けなかったら安全は確保されない、そういう意味にも取れますし、私はすばらしいことだというふうに思います。  そこで、この法案中身の具体的内容でありますけれども事前法案説明のときには五千億円を積み立てるんだ、恐らく、恐らくじゃなくて、一兆円掛かるというふうな見通しの中で五千億円を積み立てるんだというふうな事前説明がありました。  私は、その計画作成のとき、あるいは審査、承認のとき、そのときには、いざ十年間掛かって工事をやろうといったときに余り大きな過不足があったら駄目だというふうに私は思います。やはり慎重にしっかりした積算が必要だと思いますが、この五千億、一兆円、ある時期には一兆四千億円必要だということがマスコミに載ったこともございます。そういう経緯もありながら、今なぜ一兆円、積立金が五千億円なのか、その辺の金額の根拠をしっかり聞かせていただきたいと思います。
  51. 石川裕己

    政府参考人石川裕己君) まず最初に、新聞報道等で一兆四千億ということが報道なされたことがあると、それについて今一兆円ということになっているけれどもどういうことだということでございますが、この大規模改修引当金について私ども検討に着手した当初、おっしゃるように、大規模改修に該当する工事、どういうものがあるんだろうかということでいろいろと積算あるいは検討した段階で一兆四千億という数字を見積もっていたときもございますが、その後、引き続き技術的な観点あるいは専門的な見地から検討を深めた結果、大規模改修工事費用としては約一兆円というふうに見込んだところでございます。  この内容につきましては、鉄けた、コンクリートけた、つまり橋げたの交換等の関係で約二千億円程度、それから高架橋関係で約五千億程度、トンネル関係で約二千億程度、盛土関係で約一千億程度というふうに見込んでいるところでございます。それで、更に大規模改修を行うに必要な備えを行う観点から、基本的にJRの自助努力というものも前提としつつ、大規模改修費用の半分程度に当たる五千億程度について引当金として積み立てていくということが適当であろうと考えております。  今後、東海道新幹線について大規模改修工事にかかわる費用及び引当金の積立額ということにつきましては、JR東海が提出するであろう引当金積立計画の内容を審査した上で承認する段階で数字が確定されるものだと思っております。
  52. 谷林正昭

    谷林正昭君 余りにも大ざっぱ過ぎるような気がいたしますが、今の段階では仕方がないのかなというふうにも思いますけれども、一兆四千億円見ていたものが一兆円になった、そこら辺りもう少し私は説明が必要ではないかなというふうに思いますが、これは見方もございますので、私は余りその辺は詳しくございませんので、一兆四千億円が正しいのか一兆円が正しいのかというのはちょっと結論は私は出せませんが、余りにも大ざっぱ過ぎるような気もいたしますけれども、過不足が生じたときには大変だというふうなことだけは言わせていただきたいというふうに思います。  そこで、先ほど安全管理含めた補修について一千億円が掛かるというふうに大臣から答弁がございました。そのほかに、毎年約積立金のために三百億円、三百数十億円を積み立てていくというようなことなど。それから一方では、JR東海というのは非常に大きな債務を持っておりまして、年々一千億円以上返還を、返していかなきゃなりませんし、利息だけでも二千五百億円ぐらい返していくというような話も聞いております。裏を返せば、新幹線というのはそんなにもうかるんかなというふうに思うわけでございますが、それでなおかつ利益を上げなければならない、なおかつそこに働いている人たちの福利厚生もしっかりやっていかなければならない。  そういうことを考えたときに、心配になってくるのは、将来金利が上がっていったり、あるいはその一千億円が、済みません、一兆円が一兆五千億掛かるというようなことになったときに、利用者に対して直接運賃値上げ、これに跳ね返る心配があるというふうに私は思います。  今、この時点でなかなか確約は取れないと思いますけれども、私は、直接運賃値上げに跳ね返らないような担保というものも今この時点で一方では考えておかなければならないのではないかというふうに思いますが、いかがでしょうか。
  53. 石川裕己

    政府参考人石川裕己君) JR東海の経営について、あるいは今後の経営の見通しについてお話ございましたけれども、正に、今後このような東海道新幹線の大規模改修工事が必要となるとなれば、それに対して様々な手当てを講じておかないと、その時点において大幅な運賃の値上げでありますとか、そういうことが必要になるということになろうかと思います。  逆に、むしろ、そういう意味で、今回の引当金制度創設によってあらかじめ引当金を積み立てるということで、そういう意味で、今後の費用回収のための運賃の値上げの幅を小さくできるとか、さらにはその世代間の負担平準化を図るとか、そういうことができるものだと考えております。
  54. 谷林正昭

    谷林正昭君 是非そういう、完全民営化でありますから、苦しかったらいろんな手だてを講じなければならぬというふうには思いますけれども、こういうもの、こういうときだからこそ、そういう運賃値上げに跳ね返らないような話をしておくべきだというふうに思いましたので、触れさせていただきました。  もう一点。今、整備新幹線も作っておりますし、これから大規模改修ということになってくると、私はその工事というものが不正であったり不良であったりしたら駄目だというふうに思います。そういう不正、不良工事を防止するためにもしっかりしたチェックが必要だというふうに思いますので、そういう検修確認ということについて厳正に実施すべきと考えておりますけれども、当たり前のことかも分かりませんけれども、その対策を聞かせていただきたいと思います。
  55. 石川裕己

    政府参考人石川裕己君) 従来から、整備新幹線の建設工事あるいはこのような大規模な改修工事というものにつきましては、御案内のとおり、鉄建公団あるいはJRが監督をして、その監督の下に工事を請け負った建設会社が責任を持って施工すると、こういうやり方でございます。  したがって、従来からこのやり方についてやってきたわけでございますが、残念ながら過去においていろんな例があったわけでございます。そういう例も参考にしながら、このような鉄建公団あるいはJRの施工監督、あるいは工事を請け負った建設会社の責任というものについてなお一層徹底できるように我々としては努力をしてまいりたいと考えております。
  56. 谷林正昭

    谷林正昭君 是非、そういう対策が必要だというふうなことを指摘させていただきます。  時間がなくなりました。最後大臣お尋ねをいたします。  この制度は正にJR三社完全民営化に向けての私は後押しになるのではないかというふうに思いますし、民営化になった以上は、そこに働く人たちと一緒になって、労使協調、労使協力しながら会社の活性化、発展を目指すべきだというふうに私は思います。また一方では、国民にとっては新幹線というのはなくてはならない交通機関でもあるし、財産だというふうに思います。一方、在来線というものもこれまた国民の財産だというふうに私は思っております。そしてまた、その在来線を使いながら、二十一世紀は鉄道貨物というものが非常に国民の期待にこたえられるようにしていくべきだというふうに私は思います。  そういう意味で、この新幹線、在来線、そして鉄道貨物の活性化、これが二十一世紀に欠かせないというふうに思いますので、是非国民の要望にこたえられるようなJRであってもらいたいということを考えながら、大臣最後に所見を聞かせていただきたいというふうに思います。
  57. 扇千景

    国務大臣扇千景君) 二十一世紀の物流の在り方そのものにかかわってくることでございます。温暖化現象が大変話題になっております。現実に地球温暖化というもので、環境問題も今後二十一世紀の大きな課題として取り上げて政治としてもいかなきゃいけない。  そういうときに、これからの制約の要因の克服という、そういう観点から、今おっしゃったように、CO2の排出量が少ないという、これは営業用のトラックの少なくとも排出量は八分の一になります。また、環境面でこれだけ優れているということで、エネルギーの効率も高いということで、営業用のトラックの六分の一で効率が上がるということも現実にございますので、これは輸送として、大量輸送機関である鉄道貨物の輸送、今おっしゃるように、谷林議員がおっしゃるように、これが見直されなきゃいけない、またそれを伸ばしていかなきゃいけないということは、正に二十一世紀型であろうと思っております。  けれども、他方、今おっしゃったように、物流システムそのものが、日本にとっては重要な担い手でございます鉄道貨物輸送の活性化あるいは高度化を支援するという意味で、国土交通省としましても、財政上の支援処置として、山陽線の鉄道貨物の輸送力の増強ということの事業に関する補助、これは補助は三分の一になっております。三割ですね、三割補助もしておりますし、また税制上の支援処置として、高性能の車両、これに係る特別措置法の特別処置をして、その軽減処置、固定資産税の課税、準備、を三分の二に軽減していると。  こういうこともございますので、今後、支援処置を講じて、今後とも必要な諸施策を推進しながら、二十一世紀型のシフト、こういうふうに移動していくということに力を入れていきたいと思っています。
  58. 谷林正昭

    谷林正昭君 ありがとうございました。終わります。
  59. 弘友和夫

    弘友和夫君 私の持ち時間が十五分でございますので、端的にお尋ねしたいと思います。  今の大規模改修にかかわる費用の見積りですね、当初一兆四千億が一兆円だと。今、局長の御答弁では、当初、新聞報道等では一兆四千億だったけれども、細かくやっていけば一兆円になったと、こういう御答弁だったんですけれども、私は新聞報道じゃないと思うんですよね。平成十四年度税制改正要求の中で一兆四千億というのを要求されているんじゃないですか。一兆四千億、大規模改修には必要なんだという要求をされていて、そして財務省は一兆円だと。私は財務省呼べって言ったんですよ。そうしたら、何で一兆四千億が一兆円だと言ったら、いや、それは自主的に国土交通省がしたんだから財務省は関係ありませんという話だったんですけれども。  私、税制改正要求で一兆四千億されているんじゃないかと思うんですけれども、いかがですか。
  60. 石川裕己

    政府参考人石川裕己君) 失礼しました。  先ほど新聞報道で一兆四千億という報道がありましたという事実を申し上げたんでありますが、私どもも主税局に税制改正要望した段階でそのような数字を一時御説明したことは事実でございます。
  61. 弘友和夫

    弘友和夫君 だから、大規模改修で一兆四千億要求しているわけですね。それは全く根拠がないで一兆四千億要求することはないんですよ。それをやはり、これは大規模改修に入らない、いろいろ多分言われた結果、じゃ、こういう考え方に直しましょうといって、さっき言った鉄げたとか高架だとかトンネルだとか盛土だとか、そういう部分だけにしたから一兆円になったんだと思うんですよ。  私、危惧するのは、先ほど荒井議員も言われていた、例えば安全の問題だとか東海大地震のときの対応だとか、そういう部分は大規模改修じゃありませんよといって外されたんじゃないかなと私は思うんです。だから、一兆円が百億少なくなるんだったらまだ分かる、細かくやったらそうだというのは分かりますけれども、一兆四千億が一兆円になるというのはもうとんでもない乖離があるわけですが、そこら辺はどうなんですか。細かく査定したらそうなったという話じゃないと思うんですけれども
  62. 石川裕己

    政府参考人石川裕己君) 最初の段階での数字と、それからさらに我々も含めて精査をした、中身検討を深めていった結果、数字がだんだん小さくなってきたということは事実でございますが、まず一つ申し上げておきたいのは、例えばそういう中で、当初考えていた中でどういうものが落ちたかといいますと、例えば電気設備等につきましては、これは大規模改修工事対象にはしないと。つまり、この大規模改修工事対象とするのは電車の走行によって劣化をしていくような、そういうものを中心にやっていくんだということで整理をしたものでございます。  それから、震災対策でございますけれども、震災対策につきましては、御案内のとおり、JR東海が今まで様々な対策を実施してきてございます。今後、大規模改修で取り替えていく、何かを取り替えていく場合には、それは当然現在の新しい耐震基準にのっとった設計のものに取り替えていくということだと思っております。
  63. 弘友和夫

    弘友和夫君 一兆四千億が電気設備がなくなったら一兆円になったのかということじゃないと思うんですよね、どう考えても。私は、例えば、今出てきた震災対策は当然日ごろのメンテナンスでやっていますよ、やっているから、じゃ大規模改修に入らないという、そういう解釈で外されたんだったら、これは大変なことだと思うんですよ。やっぱり大規模改修をやるときに震災対策もしっかり入れると。震災対策、新たに余分にこういうことを入れた方がいいということをやった方がいいに決まっているわけですから。それを、やはり一兆四千億が一兆円になったということはどう考えても納得できませんけれども、時間が余りないので。  それでもう一つ、この間質問させていただいた東海道・山陽新幹線。今日のたまたま朝日新聞に、ボルト破損が止まらずと、十年で百十六本、JR、検査周期は延長と、こういうふうに出ております。これでは、この間は、規制改革の一環として要するに周期を延ばして、延ばして、間隔を空けて検査をしますよと、こういう話だったんですけれども、ボルトの破損が止まらないじゃないかと。ここで見ましたら、国土交通省鉄道局の方で、規制緩和したけれども鉄道は安全確保が大前提だ、本当に大丈夫なのかという疑問がぬぐえないと。こういうふうに、これは本当にそう言われたかどうかは分かりませんけれども、どうなんですか、ここら辺の事実関係だけ、ちょっと。
  64. 石川裕己

    政府参考人石川裕己君) 新幹線のボルト破損でございますけれども、前も御議論があったとおりでございます。  それで、私どもとしては、当該ボルトというのは高速で走行している新幹線のブレーキにかかわる重要なところでございますので、本年三月二十二日に、JR東海JR西日本に対しまして、原因の究明と抜本的な対策をできる限り早急に行うとともに、その結果を報告するよう指示してございます。
  65. 弘友和夫

    弘友和夫君 次に移りますけれども、今度はJR東海、これの法案に関していろいろJR東海の葛西社長が言われている中で、たまにはいいことを言うなと思ったのは、ここに、要するに、東京大阪間の航空便を増やした運輸政策にも及んで、収益調整で東海道新幹線利用者は本来の運賃より二〇%高く払っていると。そして、貴重な羽田空港の発着能力は海外や遠距離の便に振り分けるべきだと、こういうふうに言っているわけです。  東京大阪間、今調べてみましたら、関空が十六往復、それから伊丹が二十、だから三十六。このころ、十年前は十五往復だったのが今三十六になっている、増えていっているわけです。これに今度、この間問題になりました神戸、何か造りますと、また必ず東京、羽田便というのはないと空港の余り価値がないというんですから、増えていきますよ。  やっぱり短い、この社長言われるように、東京大阪間というのは、基本的に、モーダルシフトの問題、環境の問題、いろいろな問題を考えると、やっぱり新幹線にお客さんをあれする方が政策的にいいに私は決まっていると思うんですよね。それを何で東京大阪間を便を増やしてやっているのか。その調整の結果、社長は二〇%皆さん高く新幹線に乗っているんですよと、こう言っているんですけれども、まず航空局長、いかがですか、何で増やしているのか。
  66. 深谷憲一

    政府参考人深谷憲一君) 御説明を申し上げます。  今、先生御指摘東京大阪間の問題でございますけれども、この間の航空輸送につきましては、最も最近のデータ、平成十二年度で航空輸送量約六百六十九万人、これは公共交通機関の中での輸送実績のうち約二五%程度になってございます。他方で、JRで移動されている方々のシェアは約七四%程度と承知しておりますけれども。  そういう状況でございますが、そのいわゆる航空事業者がこうした大きなシェアを占めますこの間の鉄道輸送、こういったものと競争しながらサービス向上を図っていくと、こういうことは利用者利便向上、こういうことにつながるものではないだろうかというふうに認識しておりまして、このように、それぞれの輸送機関がその機関同士でサービス競争をしながら、ひいては、その結果、利用者利便がより一層向上していくと、こういうことも一つの大事なことではないだろうかというふうに考えておりますが、先生御案内のとおり、平成十二年の二月に施行されました改正航空法、これで航空自由化の言わば最終仕上げ的な制度改正がなされたわけでございますが、その結果、国内航空路線の設定あるいは増便、これにつきましては各航空会社がそれぞれその経営判断によりまして決定していくということになってございまして、国がその路線などを決定するという仕組みでは今はなっておらないところでございます。  例えて申し上げれば、例えば新幹線整備によりまして、その結果として利用者が航空輸送サービスを選択しなくなったというふうな事例も過去にはございますが、その結果、航空がその区間から撤退していったというふうなこともございます。  交通機関をめぐります様々な環境変化、これが時代とともにいろいろ発生すると思いますけれども、その環境、そういった競争環境を国が直接云々するというよりも、私どもとしては利用者利便観点を大事にしながら政策に当たっていきたいと、かように考えております。
  67. 弘友和夫

    弘友和夫君 今、局長は、要するに、そういうのは航空会社に任せてますよと、私たち口は挟みません、東京大阪がもうかるんだったら全部そこにシフト、例えば、日本航空が、全日空が、東京大阪が一番もうかるんですよと、それで、そればっかりだったらどうなりますか、その航空。ほかの、じゃ航空整備どんどんやっているのと、飛行場は整備するけれども一本も東京、羽田に来るやつがないというんだったらどうしますか、そうしたら。それは全部任せるんですか。そういうことでいいんですか、政策上、ということを尋ねているわけです。ひとつ簡単に言ってください。
  68. 深谷憲一

    政府参考人深谷憲一君) 基本的には、私どもといたしましては、先ほど申し上げましたように、自由化の中で市場それから自己責任、そういう世界の中で、基本的な経営判断に基づきながら各エアラインが判断されていくと。  ただ、他方で、自由化とともに影の部分になるような部分、これについては政策としても対応していきたい、かように考えております。
  69. 弘友和夫

    弘友和夫君 時間がありませんので、またこれは引き続きやりたいと思いますけれども、要するにこれ言われているのは、調整の結果二〇%、ほかの部分ですよ、いろいろ調整して二〇%新幹線の方が高い。本来の、先ほど競争と言った、本来の競争をさせてもらえば、飛行機なんか羽田、東京なんか飛ばないんですよ。羽田と大阪は飛ばないんですよと言っているのは、この社長が言っているわけですから、本来の競争をさせてもらったらという意味なんです、二〇%高いというのは。だから、本来の競争はされていないという運輸行政在り方じゃないかという意味だと思うんですけれども。  最後に、九州新幹線の新八代駅にフリーゲージトレーン用の装置ができたということで、余り時間もございませんけれども、フリーゲージトレーンの実用化に向けての、何というか、時間的な部分と、それから並行在来線、一応おかげさまで決着がある程度付いたみたいですけれども、その並行在来線の維持についてどうなるのかということと、最後大臣の、これも含めての新幹線高速鉄道網の形成に掛ける大臣の意気込み等をお聞きして、質問を終わりたいと思います。
  70. 石川裕己

    政府参考人石川裕己君) それでは、私の方から最初にフリーゲージトレーンの開発状況等につきまして御説明させていただきます。  フリーゲージトレーンにつきましては、御案内のとおり、今現在第一次の試験車両ができてございまして、アメリカで走行実験をやってまいりました。その結果、六十万キロ、最高速度二百四十六キロということが達成できてございます。これの試験車両日本に現在持ち帰っておりまして、平成十三年十月からは山陽新幹線の下関駅付近を基地として、新幹線と在来線、こういうものについての引き続き走行実験を実施してございます。さらに、実用化に向けた第二次試験車両の開発をすることとしてございます。  それから、お話ございましたように、九州新幹線の新八代—西鹿児島間につきましては、現在工事をやってきているところでございまして、平成十五年末の完成を目指して進めているところでございます。これに合わせまして、当該区間の並行在来線につきまして、鹿児島県と熊本県の間で意見が、調整が付きまして、本年二月二十五日に第三セクターの設立について基本的合意ができたところでございます。
  71. 扇千景

    国務大臣扇千景君) お尋ねの、現在建設中の新幹線のうち、御存じのとおり、東北新幹線、青森—八戸間、それが平成十四年の末の開業見込み、そしてまた、九州の今お話出ました新八代—新鹿児島間につきましては平成十五年度の完成を目指しておりますけれども、現段階では工事の進捗率が八八%に既に達しております。そして、主要なトンネルもすべて貫通し、逐次レールの敷地を、施設を、今度入っておりますので、十五年度の完成が見込まれているというのは確実に実行できると思っております。  今後とも、政府・与党、これは申合せで決まったことでございますので、今後とも整備新幹線整備というのを着実に進めて、お約束どおりの開業にこぎ着けたいと思っております。
  72. 弘友和夫

    弘友和夫君 終わります。
  73. 大沢辰美

    ○大沢辰美君 今回の法改正は、大規模改修のための引当金制度が導入されようとしているわけですけれども、今まで東海道新幹線の老朽問題は国会でもしばしば議論がされてきたと思うんです。  そこで、まずお聞きしますけれども、大規模改修は、私は今日、鉄道事業者の経営責任として本来行うべきであると考えますが、そうではないのですか。
  74. 石川裕己

    政府参考人石川裕己君) 大規模改修につきまして、本来は事業者の責任ではないかというお尋ねであると思いますが、これにつきましては、大規模改修工事必要性、こういうことについて御説明をまずさせていただきたいと思いますが、東海道新幹線というのが我が国で初めて建設された大量の最高高速交通機関であるということでございます。そういう意味で、公共性の極めて高いものであるということが第一点だと思います。  そういう中で、更に大規模改修工事が極めて巨額な額になる、先ほど御議論ございましたように、約一兆円掛かるということで、極めて巨額な額になるということで、そういう観点からも支援をする必要がある。ただ一方で、あくまでも事業者の自主的な経営責任というか、自主的な努力というものが大事でございますので、引当金としてはその半分の五千億というものになろうかと思っております。
  75. 大沢辰美

    ○大沢辰美君 しかし、新幹線の譲渡の際にも、当時の国会答弁ですけれども新幹線を保有することになったJRに対して、大規模改修のための国の支援は問題にならなかったのではないかと、それどころか、その必要性について政府は否定していたのではないかと思いますが、その点はどうだったんですか。
  76. 石川裕己

    政府参考人石川裕己君) 東海道新幹線につきましては、いずれは大規模改修工事が必要となるというふうな認識はあったと思います。ただ、どのように、具体的にどうやったらいいんだろうかということについての専門的な検討というものをまつ必要があったわけでございまして、そういう意味で、専門的な検討をしたところ、東海道新幹線の状況の把握、あるいは維持管理在り方、あるいは鋼構造及びコンクリート構造を中心とした土木構造物全体の老朽化対策ということについて専門的な調査検討というものが重ねられてまいったわけでございまして、その結果、開業から五十年程度経過するころに、今から十五年後ごろに大規模な改修が必要であるということが明らかになったということで、今回の法案を提出させていただいているところでございます。
  77. 大沢辰美

    ○大沢辰美君 適切な大規模改修というのは大切であると私たちも思っていますけれども、私は、当時の国会答弁で、新幹線譲渡によって、各社は新幹線資産のうちの償却資産についての減価償却を行い、内部留保を充実できるようになるために自己資金確保が容易になる、総合的に判断したら借入金の返済という側面においてもプラスの効果があると答弁されていますね、これは参議院の運輸委員会ですが。  このように私は、新幹線の修繕やまた債務の問題については私は国の支援策はこの新幹線の譲渡の際にもう既にけりが付いているように思っていますが、その点はどうなんですか。
  78. 石川裕己

    政府参考人石川裕己君) 今お尋ねの件は、平成三年に当時の新幹線保有機構からJR本州三社が新幹線施設を譲渡を受けたときのお話だろうと思いますが、それについては、それまでは新幹線というものが言わばリースされていたという段階で、それぞれの会社の経理の上で例えば減価償却費が立たないとか、そういう問題があったわけでございますので、そういうことを譲渡をするということによって減価償却を立てて経営の安定化を図るということがされたわけでございます。
  79. 大沢辰美

    ○大沢辰美君 では、具体的にお聞きしたいと思いますけれども、この新幹線鉄道の大規模改修に備えるために引当金制度を今度創設するわけですが、当面、東海道新幹線対象にされています。その大規模改修は、先ほども答弁がありましたけれども、一兆円の見込みと説明されていますね。大規模改修内容とその工事費についても先ほど説明がありましたけれども、この一兆円ですね、二分の一の五千億円を引当金としても認めるという政府の説明ですけれども、いわゆる一兆円の二分の一とした根拠はどういうことなんですか。
  80. 石川裕己

    政府参考人石川裕己君) 二分の一としたあれでございますけれども、基本的に、さっき申し上げましたように、事業者の自助努力ということも前提としていくわけでございます。それで、実は他の、ほかの準備制度につきましても費用の二分の一というふうないわゆる税制上の優遇措置が認められているところでございます。
  81. 大沢辰美

    ○大沢辰美君 しかし、二分の一としていますけれども、今対象と言われているJR東海がもし仮に改修費の全額を積み立てるという計画、一兆円ということになるわけですが、引当金積立計画を出した場合、国土交通大臣が認めれば改修費の半分でなくて改修費の全額をも引き当てるということが法文上では可能になっていますが、その点はいかがですか。
  82. 石川裕己

    政府参考人石川裕己君) 今回のあれにつきましては、今申し上げたように、その規模が一民間会社の努力の範疇を超えるという意味で、公共性、公益性の高い観点ということで政府が支援するものでございますけれども、一方で、企業側の自助努力ということも前提とするものでございます。  そういう意味で、実施すべき大規模改修工事内容、それに要する費用の総額、それから所有営業主体の財務状況等を勘案しながら適切な金額を承認することとしてございまして、指定所有営業主体の言い分どおり承認するものではありません。先ほど申し上げたように、二分の一を承認するつもりでございます。
  83. 大沢辰美

    ○大沢辰美君 そうしたら、全額でもいいということなんですか。ちょっとその辺がはっきりしなかったんですが。可能になるわけですか。
  84. 石川裕己

    政府参考人石川裕己君) 法文上、先ほど申し上げたように、その額が、営業主体の財務の状況その他の状況から判断して限度額が相当であるということを判断するものでございまして、今申し上げたような形で私どもとしては一兆円の工事の中に対してその半分に当たる五千億程度が妥当であると判断をするものでございます。
  85. 大沢辰美

    ○大沢辰美君 何回も申し上げますが、今そういう政府の考え方だけれども、法文上は私はこの改修費の全額を引き上げることも、引き当てることも可能になっているのではありませんかということを聞いているんですが。法文上です。
  86. 石川裕己

    政府参考人石川裕己君) 済みません。  法文上は、申し上げたように、「相当であること。」と、こうなってございます。したがいまして、私ども行政として、先ほど申し上げたような観点を見て判断をさせていただきたいと考えております。
  87. 大沢辰美

    ○大沢辰美君 そうしたら、今の答弁を聞きまして、法文上は相当だという認識を表に出しているわけですから、ということは、金額の移動は半分の五千億円というんじゃなくて、一兆円になっても相当額と認めれば可能になるということになるという法文と言えますね。それはもう今何回も何回も答弁されて同じことを言っていますけれども、逆に言えばそういうことになるではありませんか。私は、幾らでも引当金が膨らむことになる私はこの問題について、先ほども国土交通省が概算要求のときに引当金の限度額を一兆四千億円と要求していたという点から見ても私はこれは明らかなのではないかなという感じをしましたので、この点については一応指摘をさせていただいておきたいと思います。  私は、幾ら会社の収益の一部であったといっても、私は、大臣指定、いわゆるもう命令のようなものですが、引当金を強制的に行わせるのであれば、この引当金の額やその引き当ての対象になる大規模改修工事は、工事の具体的内容を私は事前に、先ほども質問ありましたけれども、国民の前に明らかにすることは政府の責任ではないかと思いますが、その点はいかがですか。
  88. 石川裕己

    政府参考人石川裕己君) 今、前も御説明したとおり、指定の後の引当金の計画の承認という段階で、私どもとしてはJR東海申請者から、例えばJR東海でございますが、JR東海からのどういうものをどういうふうにやるんだということについての具体的な中身について報告を受け、それについてきちっと精査をし、必要があれば公表してまいりたいと考えております。
  89. 大沢辰美

    ○大沢辰美君 私は、必要であればというより、これは本当に前提として事前に国民の前に明らかにすることは、今特別な措置を講じようとしているわけですから、政府の責任ではないかということをもう一度提案をしておきたいと思います。  何千億円と言われるこの引当金の運用についてお聞きしたいと思うんですけれども、これはやっぱり何かの私、制約があるべきだと考えるんです。JR本社三社は完全民営化されて、完全民営化法の附則では、国鉄改革の経緯を踏まえ、当分の間としていますけれどもJRの駅前再開発等による問題、そしてこれが地元中小商店街に侵害するという問題、JRの経済的な、経営的なこの問題についての配慮が課せられています。  このような配慮が、ないがしろにするような引当金の運用は絶対にしてはならないと思うんですが、これは大臣、国民の皆さんに約束できますでしょうか、運用について。大臣
  90. 石川裕己

    政府参考人石川裕己君) ただいまの御質問でございますけれども、まず基本的にその前の前回の会社法の改正のときの指針の問題をお触れになりましたけれども、今回の引当金の問題は、申し上げたとおり大規模改修工事のために引き当てるものでございますが、ただ、引当金の運用ということについていえば、今回の引当金は退職給与引当金などの他の引当金と全く同様のものでございます。したがって、この問題については一般の会計原則に従って処理をされるということになろうかと思います。
  91. 大沢辰美

    ○大沢辰美君 ということは、言ったら、何に使ってもいいということになると思うんです。  大臣、この点については、私、運用、大規模改修のための引当金のこの多額のお金の運用については、今私が述べました他の投資ですか、そして開発などに使われないということを大臣は約束できますでしょうか。大臣に。
  92. 扇千景

    国務大臣扇千景君) この制度は、JR東海としてもう一つの重要な課題でございますけれども、これはJR東海債務償還円滑化にも資すると。まして、安全性にも、新幹線の支援で、改修工事等々にも使えるということで、私はむしろこれによって一石二鳥であるというふうに考えております。
  93. 大沢辰美

    ○大沢辰美君 私は、政府のお墨付きでJR引当金という形で内部留保を行えると。その資金の運用については、言わば、今申し上げましたように、開発なども含めた無秩序な私JR商法、これに投資が行われることになるということは大問題だと思うんですね。  大改修のためとしてJRJR本社三社ですけれども、今後も引当金制度が導入されるのではないかと思いますが、その一方で今本当に、在来線の問題も出ておりましたけれども地域経済等に重大な影響を与えているJR商法について、私は、政府、やはり何ら具体的な有効な規制がないまま今進んでいますけれども、いつまでも私はこの問題を放置するわけにいかないと思います。  今回、私はこの問題が起きると同時に、これまでの国民に対して国鉄の、旧ですね、借金二十八兆円も払い続けている現状がある中で、やはり私これ以上、完全民営化されている今日、更なる優遇措置を大臣の権限で行わせることは良くないと思います。  そのことを述べまして、質問を終わらせていただきます。
  94. 田名部匡省

    田名部匡省君 最初に、新幹線の耐用年数というのは一体どの程度なんですか。
  95. 石川裕己

    政府参考人石川裕己君) 耐用年数という御質問がございましたけれども、先ほど申し上げましたように、新幹線通常のメンテナンスをやってございます。ただ、基本的な橋脚物でありますとか構造物の中で五十年たつと相当劣化をしていく、あるいは老化をしていくということで、場合によってはそれを替えていかなければいけないものもあるということでございます。
  96. 田名部匡省

    田名部匡省君 メンテナンスなんかやると年数は延びると思うんですが、しかしいずれはこれはもう全部改修しなきゃならぬですね。造ったものは、いつかはやっぱり補修したり、最後にはもう造り直さなきゃならぬというのが、いつになったらそういうことになるかなと。  私は、亀井善之大臣のときにこれ質問しているんですよ。大体八十年だと、大体。ということで、いずれこれは東海だけではなくて東北新幹線もやがてやってくるわけですね。  どうして、この新幹線造ったときに、いずれはそうなることが分かっているわけですから、そのときになぜこういう備えというものをしないのか。私はいつも言うんですが、何かやろうやろうと進めるんですけれども、後どうなっていってどういうことをしておかなきゃならぬかというのが、どうも国の政策、これ全般見て泥縄式なんですよ。何かが起きると何かをやると。分かっていることでどうしてやらぬのかなと、こんな気持ちがするんですが、どうですか。
  97. 扇千景

    国務大臣扇千景君) 田名部議員がおっしゃいますように、造ったものは必ずいつか改修しなきゃいけない、また常にメンテナンスしなきゃいけないというのは当然のことでございまして、少なくともこのJR東海、御存じのとおり、外部の専門家を入れまして二十五名の委員会を作りまして、そこで御検討いただいて、この専門的な調査とそれから検討を出していただきました。それによって、御存じのとおり、開業から五十年程度が経過するころから大規模改修が必要であるという、そういう御検討をいただいて、それが判明したわけでございます。  そういう意味で、私たちは、今から十五年後ごろ、今からですね、十五年後ごろからちょうどそういう時期に入るなということで今回の準備をさせていただいたというのが基礎でございます。
  98. 田名部匡省

    田名部匡省君 五十年ぐらいたてばというのは、もうそれは最初から分かっていると思うんですね、五十年だろうが六十年だろうが。それに備えるということをどうしてしないのかということなんですよ。  しかも、私はいつもこの委員会で言うんですけれども、少子化がこれだけ進んでいく中で一体この交通政策というのはどうあるべきかと。あるいは、飛行機にしても高速道路にしても新幹線にしても、そういう考え方の下に次の世代に負担をさせないというのは一体どういうことなのかということからいくと、国鉄、これは民営化した、民営化したときにも私は、NTTの株も、当時大蔵省の篠沢局長と随分やり合ったんですよ。早く株、放出しなさいって。国が何で持っているんですかと。  これは今、新幹線だってそうでしょう。何か、この間新聞見たら、株は手放すんだということ、載っておりましたが、これは遅いんですよ。何で国が、いいときに、あのとき売っておきゃ、あなた、NTTの株だってえらい高いとき、JRはどうなっているか分かりませんが、最悪のときに売るなんという、全くこの損した分はいずれは国民の負担になるんですから、どうしてそういう全く素人が見ても分からぬようなことをやるのかなという気がするんですけれども、株についても、これはだれか分かれば、何で今ごろ売却するのか。
  99. 石川裕己

    政府参考人石川裕己君) JRの株につきましては、実は既にJR本州三社、東、西、東海でございますけれども、株は売却はやってございます。  御案内のとおり、JR東日本については四百万株のうち三百五十万株を売ってございまして、残り五十万株と。JR西につきましては、約二百万株のうち六十三万四千株が残っていると。JR東海につきましては、八十八万株余が残っているということで、実はこの本州三社の株についてはもう既に市場で出ているわけでございます。  それで、私どもとしては、昨年のJR会社法の改正によりまして、この本州三社が会社法の適用除外されていわゆる純民間会社になりましたので、私どもとしても残った株につきまして放出をするということを考えてございます。  ただ、手続として現在進めておりますのは、JR東あるいはJR西について放出をするための主幹事証券会社の選定というところまで進んでいるわけでございますが、その先どういうふうに、いつ売却をするかということについては未定でございます。
  100. 田名部匡省

    田名部匡省君 もう今言ってもこれはしようのない話ですけれども、すべて民営化していながらそういう大量の株を国が持っているというのは私はおかしいということなんですね。ですから、もうすべてにおいてそういうことが多いんですよ。責任を持たしてやると言うならもう完全に責任を持たしてやればいいと。特に私が問題になるのは、こういうバスであれ飛行機であれ、競争相手といったって、同じもので競争しているというのは、航空の場合は何社かありますけれども、そんなに鉄道なんというのは、競争といったって、競争相手はないわけですね。そういうことを見ておるとなかなか、地方鉄道にしてもバスにしても、もう赤字でどうにもならぬ。もうこういうのなんかは一体どうするつもりなのか。  片一方ではこういう支援の体制を作って、これは補修費でありますけれども、いずれにしても引当金として積み立てることができて、あるいは租特法で損金算入も認めると。これは全体をやっぱり考えてやらぬと、みんなやっぱり努力して、それがなくなると困るところが多いんですね。バスなんかは、特に地方行って、鉄道でもそうですよ、もう廃止したいとかなんと言うと大騒ぎになって、市町村がみんな負担して維持していると。こういう現状というもの、全体をとらえて公平公正になるように私は考えるべきだと、こう思うんです。  時間余りないので。  この租税特別措置法、これはこういうものに、独占的なものに限ってはやむを得ないのかなと思うんですけれども、私は、この租特法というのは、もうこれはいい加減やめた方がいい、全体を。九十ぐらいあるでしょう。そうして、私も自民党時代にあの電話帳というのをやりまして、これをやってから日本の税というのは不公平が出てきたんですよ、やってもらえるところとやってもらえないところと出てくるという。こういうことなんかをもう事業としてやっている限りは、もう自分たちの力でやっぱり頑張ると。だれかがこれ負担することになるんですよ。いつも言うでしょう、この世の中にただというのはないんですよって。だれかが負担してただになっているだけで、そのことを考えると、こういう制度をやってというのは、これは競争相手がないだけに、あるいはいろんなものを考えるとやむを得ないのかなとは思うんですけれども。  どうぞ、全般的に言えることでありますけれども、さっきから安全の問題も出ました。高く飛ぶほど怖いんですよ。飛行機の次は新幹線ですよ。地上を走っている分にはまだ、同じ事故は起きるなと思っても、私はあの新幹線、しょっちゅう乗るんですけれども、あの高いところをこのスピードで走って、何かで脱線でもしたらどれほど飛んでいくかなと、そう思いますよ。だから本当に安全対策というのは、これで十分というのはないだけに、しっかりやっていただきたい。  それにつけても、この大規模改修なんというのは将来一体どうなるのかと。例えば、全線いずれ来るわけですから。そういうことも、一体どのぐらい掛かって、その対策をどうするのか。まさかまたたばこ一本一円値上げなんということはないんでしょうけれども、これどうですか、その辺の見通しというものは。
  101. 石川裕己

    政府参考人石川裕己君) 当面、東海道新幹線老朽化対策ということになりますが、ほかの新幹線についてどうなるかということにつきましては、その時点でちゃんとした検討が要ると思います。東海道新幹線の場合は短期間に同時に造られたという特性がございます。さらに、想定された以上に列車の走行キロが多いというふうな様々な問題がございます。そういう中で、東海道新幹線に対しての引当金を今回やっていくわけでございますが、その他の新幹線についてはまだその時点での検討が必要だろうと思っています。  それから、お話のありました中で、ちょっと申し上げさせていただきますと、今回の引当金制度というのは、法人、これは御案内のとおり、法人税の繰延べでございます。そういう意味で、法人税を免除するものではないということでございます。
  102. 田名部匡省

    田名部匡省君 そのときにやりますというのでは、今から分かっているわけですから。もう東北新幹線だって、仙台までとその先はもう、その次はもっと先になる、ようやく八戸まで開業になりますから。それと、これは青森まで。これはみんな違うんですね。ですから、もうあらかじめ分かっていることですから、何も正確に出せとは言わぬけれども、このぐらいは補修費に掛かっていきますよというぐらいは、これはあなたたちの頭の中にないというのはおかしいんですよ。どうですか。
  103. 石川裕己

    政府参考人石川裕己君) それぞれの新幹線について、現状、それから現状の把握、それからさらに、それぞれの新幹線の今、建設期間が違う、あるいはその走っているその走行キロが違うというようなことがございますけれども、それぞれ今後どういうふうになるかということについては調査を重ねてまいっております。
  104. 田名部匡省

    田名部匡省君 これを造ったときにはもうそういうことは想定されるわけですね、耐用年数あるんですから。そうすると、今どこがどうだということは別としても、大体大ざっぱにこのぐらいは補修費として東北新幹線も掛かっていくと見込まれるという数字ぐらいは持っていないと。それがあれば早めにいろんな対策を打てるでしょうと。例えば、せっぱ詰まってからこういう法律を出すんではなくて、平素から積立てしていく。これは僕は企業に置き換えてみると、これは民営、民間ですから、企業というのはいろんな対策を立てて、無駄に使わない部分と投資する部分というのをちゃんと見ながら全部やっておるんです。  どうぞ、そのぐらいの責任を持って今後対策をしっかりしてほしいと、それが、少子化のことも考えながら、やっぱり対策というものは必要だと私は言っているんです。  もう時間ですから終わりますけれども最後に、大臣、何かあったらどうぞ。
  105. 扇千景

    国務大臣扇千景君) 鉄道の建設については、今おっしゃるように、元々建設後の経営を視野に入れて、なおかつ修理も視野に入れて造るのが鉄建公団としての当然の役割であろうと思っております。そういう意味では、どの鉄道にあるにしろ、日本の鉄建公団が建設しますときに、少なくともその申出があったときに、国土交通省としましても許可申請の際にその収支予測というものを私は十分考慮しなければならないということで、今後そういうことで、収支の予測を事前に十分に精査するという仕組みがございますので、今後は、当然、今おっしゃるようなことと、また今回の引当金によって私は、今おっしゃる国民の、利用される皆さん方の安全と、そして運賃の値上げによらない安全性と保全性と整備をしていくということに私は今回大いに役立つのではないかというふうに思っておりますし、またそれを達成していきたいと思っております。
  106. 渕上貞雄

    ○渕上貞雄君 社民党の渕上です。  整備法の目的と大規模改修問題について、とりわけ全国新幹線鉄道整備法の第一条の目的の中では「高速輸送体系の形成が国土の総合的かつ普遍的開発に果たす役割の重要性にかんがみ、新幹線鉄道による全国的な鉄道網の整備を図り、」となっていることはもう既にお分かりのことだと思いますが、やはり整備法は整備法でありまして、その整備法の目的に中に、今回の場合、改修工事引当金を加えるということについては多少法律的に見て無理があるのではないか。ですから、恐らくここを一部改正するに当たって議論があったであろうというふうに思うんでありますが、その見解についてお伺いしたいと思います。  それから、整備について、その整備の言葉の文言の中に改修というのは含まれるというふうに読めば読めないことはないのでありますけれども、今も同僚議員の方からお話ありましたように、法の目的を考えた場合に、十五年先分かっている話じゃないかというんだったら、改修だって分かっているわけだから、そこのところは明確に法の中に位置付けることの方が、これから先の整備新幹線、とりわけ安全な鉄道網をきちっとしていく、整備していくという立場から考えると、より法を、明確に目的の中に位置付けておいた方がいいのではないかと、こういうふうに考えるんですが、いかがでございましょうか。
  107. 石川裕己

    政府参考人石川裕己君) 全幹法第一条との関係で御質問でございます。  全幹法第一条につきましては、今、先生お話あったとおりでございまして、そういうふうな機能を持っている新幹線、そういうふうな効果を持っている新幹線、この新幹線の大規模改修を行う、これによって新幹線による安定的な輸送が将来にわたって確保されるということでございますので、全幹法第一条にありますように、その「国民経済の発展及び国民生活領域の拡大並びに地域の振興」という新幹線建設の便益が将来にわたって確保されるものであるということで、法一条の目的にかなうものであると考えております。  なお、整備という言葉でございますけれども、これは単に建設だけではなくて改修も含むという解釈でございまして、このような解釈は、例えば道路であり港湾であれ、同じような解釈をしているところでございます。
  108. 渕上貞雄

    ○渕上貞雄君 次に、では、その解釈に基づいてやはり新幹線整備をしていくという場合に、やはりこの制度をどのように具体的に実施するかというところが問題でありますけれども、なぜ、この問題について、官主導でこういうことを制度化するのかという点について明確なお答えをいただきたいわけでありますが、民営・分割されて以降もう十五年が経過しているわけでありますけれども、当然、経営を預かる者としての立場として、安全輸送確保立場から改修工事というのはやらなきゃならないということは先ほどのお話でも明らかでございますし、自立した経営を行っている民間のJRになぜこういう官主導で制度を設けようとしているのか、お考えを明らかにしていただきたい。
  109. 石川裕己

    政府参考人石川裕己君) 事業者指定という形でやる今回の措置でございますけれども、これにつきましては、将来にわたり新幹線の安定的な輸送確保する、そういうためのものでありまして、新幹線という極めて高い公共性にかんがみれば、今、先生のお話のあったような民営化の問題でありますとかあるいはその他の問題を考慮いたしましても、指定という形での必要性が認められると考えております。  加えて、じゃ、すべての、じゃ逆にその所有営業主体が当然に対象となるかどうかということにつきましては、車両走行実績や会社の財務状況等を総合的に勘案して、積立てが必要かつ適当と認められる場合に限ってこれを指定し、引き当てを義務付けるというものでございます。
  110. 渕上貞雄

    ○渕上貞雄君 次に、大規模改修工事費の積立て問題についてお伺いいたしますが、特定都市鉄道整備促進特別措置法に基づく特定都市鉄道整備積立金制度では指定法人に非課税で積立てを行うことになっておりますけれども、今回の制度では引当金はどこに積み立てるんでありましょうか。
  111. 石川裕己

    政府参考人石川裕己君) 今回の制度は、引当金は企業内に積み立てるものでございます。
  112. 渕上貞雄

    ○渕上貞雄君 なぜこの企業内で積み立てて、この特定都市整備基金の方に、制度があるにもかかわらず、積み立てた方が私はより明確になると思うんですが、その点はどうなんですかね。
  113. 石川裕己

    政府参考人石川裕己君) ただいま御指摘のございました特定都市整備準備積立金につきましては外部積立てを行っているところでございます。これは、実はその積立金の原資というものが運賃値上げを通じて利用者から言わば前借りをしていると、こういう形のものでございまして、言わばそういう意味で外部積立てをしているものでございます。そういう意味では、今回の大規模改修引当金とは性格を異にしていると考えております。  また、なお一般的に引当金というものは、退職給与引当金を始め、内部積立て、いわゆる企業内積立てが原則でございまして、外部積立て、企業外積立てにつきましては、事業者等に極めて特殊な事例がある場合に限りなされている例外的な措置でございます。  したがって、今回の引当金につきましては、内部積立ての、原則どおりの内部積立てということでございます。
  114. 渕上貞雄

    ○渕上貞雄君 大臣にお伺いしたいと思うんでありますけれども、やはりこういう補修事業をしていく場合に住民等の理解というのは非常に大事なことであると思うんでありますが、その点についてお伺いをしたいんですが。  通常補修それから改修を行っていく場合、鉄道の、何といいましょうか、特殊な問題として、昼間営業しながら夜間になることが大変多いわけでありますけれども、夜間になればなるほど工事が発する騒音問題というのは常に沿線住民との実はトラブルになっておりまして、時々そういう問題が発生をしているわけでありますけれども、今回予定されているようなこの大規模な改修工事となれば、昼夜を問わずやはり作業というのが行われるのではないかというふうに考えられます。  したがいまして、沿線地域住民の理解には、やはり工事を進める上で大変重要なことではないかと思いますし、その点やはり鉄道事業者にとって沿線住民への十分なやはり説明と理解を得ることが私は大変必要なことだと思いますし、その点、住民の声を十分聞くシステム等についてお考えがあるか、また具体的にどのようなことをしようとしているのか、お教えいただきたいと思います。
  115. 扇千景

    国務大臣扇千景君) 今おっしゃいますように、今回の沿線の地元住民への理解と協力を得るようにという、本当に大事なことだと思っております。鉄道事業者からこれを努める、皆さんに説明をするということは当然のことだと思っております。  特に夜間工事の実施、今、議員がおっしゃいますように、地元の住民への十分な説明と理解を得るということで、これはいろんなものございますけれども、こういう地元への説明会でございますとか、あるいは工事説明でございますとか、順序を追って、これちょっと今手元にある過程ですけれども、こういうもので地元の皆さん方に順次説明していくというふうにしておりますし、また特に低騒音タイプの工事用機器という、機械というものができておりまして、それを使用することとか、工事箇所を騒音パネルで取り囲む等のあらゆる処置を講じていくということを今行っておりますし、また御説明をするということで、手順を追って私は地元の皆さんの御理解を得られるように最大限の努力をする、国土交通省としてもそのように鉄道事業者を指導してまいりたいと思いますので、でき得る限りの皆さんの御理解を得て、順次やっていきたいと思っております。
  116. 渕上貞雄

    ○渕上貞雄君 やはり、この種問題でありますから、今言われたようなことを十分地域住民の方に御説明をいただいて、納得の上で工事進めていただくようお願いを申し上げて、質問を終わります。
  117. 北澤俊美

    委員長北澤俊美君) 他に御発言もないようですから、本案に対する質疑は終局したものと認めます。  これより討論に入ります。  御意見のある方は賛否を明らかにしてお述べ願います。
  118. 大沢辰美

    ○大沢辰美君 私は、日本共産党を代表して、全国新幹線鉄道整備法の一部を改正する法律案の反対討論を行います。  反対理由の第一は、政府が進めてきたJR完全民営化の破綻を示すものであるからです。  今回、本法案によって、新幹線の大規模改修のために巨額な引当金を認める形で国が支援をする、そのことは、国鉄分割・民営化してもJRは旧国鉄時代と同様に公的支援を受けるものであり、既に旧国鉄債務約二十八兆円を国民に負担させていながら、新たにJRに対して国が支援することは、今まで政府が進めてきた国鉄分割・民営化、その後のJR完全民営化の破綻を示すものであると考えます。  第二の理由は、JRの経営責任をないがしろにするものであるからです。  新幹線譲渡の際にも、JRに対して大規模改修等の支援を行うことを決めなかったにもかかわらず、あえて今、政府が支援措置を行うことは、JRに経営責任を免ずるものであります。稼ぎ頭の新幹線の大規模改修JRに最大の経営責任であり、その責任を行うものであります。にもかかわらず、法案では新幹線の大規模改修の全額まで引当金を可能にしていることは、JRの経営責任をないがしろにするものであると考えます。  しかも、今、地方ローカル線を始め、幹線まで駅の無人化がやられたり、列車本数の削減もやられたり、JRバス等の廃止等促進させていることは、私は、公共輸送機関の経営責任だけでなく、その役割までも投げ捨てていると言わなければなりません。  第三の理由は、国は言わば強制的に引き当てさせる資金の運用には全くの規制がないことであります。  幾ら引当金事業者の収益の一部であるとはいえ、この資金は公共輸送機関として国民が運賃として支払っているものであります。また、この巨額の引当金は公共輸送機関であるとして国の支援で積立てられながら、一方ではこの巨額な引当金の運用は自由であるとして、特に駅前再開発等の新たな投資資金化がされ、その結果、地域の中小業者等の地域経済にも深刻な影響を与えるようなことは絶対にあってはなりません。  以上、反対の理由を述べて、討論を終わります。  議員各位の御賛同をよろしくお願いいたします。  以上です。
  119. 北澤俊美

    委員長北澤俊美君) 他に御意見もないようですから、討論は終局したものと認めます。  これより採決に入ります。  全国新幹線鉄道整備法の一部を改正する法律案に賛成の方の挙手を願います。    〔賛成者挙手〕
  120. 北澤俊美

    委員長北澤俊美君) 多数と認めます。よって、本案は多数をもって原案どおり可決すべきものと決定をいたしました。  この際、藤井君から発言を求められておりますので、これを許します。藤井俊男君。
  121. 藤井俊男

    ○藤井俊男君 私は、ただいま可決されました全国新幹線鉄道整備法の一部を改正する法律案に対し、自由民主党・保守党、民主党・新緑風会、公明党、国会改革連絡会(自由党・無所属の会)及び社会民主党・護憲連合の各派共同提案による附帯決議案を提出いたします。  案文を朗読いたします。     全国新幹線鉄道整備法の一部を改正する法律案に対する附帯決議(案)   政府は、本法の施行に当たり、次の諸点について適切な措置を講じ、その運用に遺憾なきを期すべきである。  一、所有営業主体指定に必要な土木構造物の実態把握を行い、その結果を公表すること。  二、ライフサイクルコストにも留意した適切な保守、管理等を行うことにより、長期間にわたり土木構造物の適正な利用状態を維持するよう、指導すること。特に、今後予想される大規模地震等の災害に対し、適切な措置を講ずるよう、指導すること。  三、必要かつ十分な新幹線鉄道規模改修引当金積立計画にするため、算定根拠を明らかにして、その審査、承認を行うこと。  四、指定を受けた所有営業主体が、引当金制度を活用し、新幹線鉄道利用者負担の軽減及び平準化に努めるよう、指導すること。  五、現在工事中の整備新幹線及び今後予定される大規模改修工事においては、工事施行責任の一層の明確化を図るとともに、工事終了時には竣工確認を徹底するよう、指導すること。  六、大規模改修工事の実施に当たっては、沿線住民に対し十分な説明を行うとともに、その意見事業者が適切に対応するよう、指導すること。    右決議する。  以上でございます。  何とぞ委員各位の御賛同をお願いいたします。
  122. 北澤俊美

    委員長北澤俊美君) ただいまの藤井君から提出されました附帯決議案を議題とし、採決を行います。  本附帯決議案に賛成の方の挙手を願います。    〔賛成者挙手〕
  123. 北澤俊美

    委員長北澤俊美君) 全会一致と認めます。よって、藤井君提出の附帯決議案は全会一致をもって本委員会の決議とすることに決定をいたしました。  ただいまの決議に対し、扇国土交通大臣から発言を求められておりますので、この際、これを許します。扇大臣
  124. 扇千景

    国務大臣扇千景君) 全国新幹線鉄道整備法の一部を改正する法律案につきまして、本委員会におかれまして熱心な御討議をいただきまして、また今可決されましたことに対して深く御礼申し上げたいと存じます。  今後、審議中にいただきました多くの御高見や、ただいま附帯決議において提起されました引当金積立計画の適正な審査及び承認等につきましては、その趣旨を十分に尊重してまいる所存でございます。  ここに、委員長始め各委員皆さん方の御指導、御協力に心から御礼申し上げます。  ありがとうございました。
  125. 北澤俊美

    委員長北澤俊美君) なお、審査報告書の作成につきましては、これを委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  126. 北澤俊美

    委員長北澤俊美君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。     ─────────────
  127. 北澤俊美

    委員長北澤俊美君) 次に、鉄道事業法等の一部を改正する法律案を議題といたします。  政府から趣旨説明を聴取いたします。扇国土交通大臣
  128. 扇千景

    国務大臣扇千景君) ただいま議題となりました鉄道事業法等の一部を改正する法律案につきまして、その提案理由及び要旨を御説明申し上げます。  貨物鉄道事業、貨物運送取扱事業及び貨物自動車運送事業は、企業活動に不可欠な原料や製品の調達、さらには日常生活に欠かすことのできない生活物資の輸送や宅配便等を含む広範な物流サービスを担っております。経済活動や国民生活の安定を維持していく上で極めて重要な役割を果たしています。  近年、情報通信技術を活用した多様かつ高度な物流サービスが展開されつつあり、また、我が国の経済構造改革に寄与する物流システムの効率化が求められていることから、貨物輸送事業者に対しましても、自らの経営判断により機動的な事業展開を図っていくことが急務な課題となっております。一方、交通安全や環境負荷軽減といった社会的要請が強まりつつあることから、これらの要請にもこたえていく必要があります。  このような状況の変化を踏まえ、事業者の創意工夫を生かした多様なサービスの創出や迅速な事業展開が可能となるよう、貨物運送に係る事業の参入規制や運賃規制の緩和を行い、競争を促進することにより、利用者のニーズに即した物流サービスの実現や物流業の活性化、効率化を図っていくとともに、輸送の安全等に関する社会的規制や、公正な競争及び利用者保護の確保のために、事後チェック制度については充実強化を図っていく必要があります。  このような趣旨から、このたびこの法律案を提案することとした次第でございます。  次に、その要旨を御説明申し上げます。  第一に、貨物鉄道事業及び貨物運送取扱事業の参入規制について、貨物鉄道事業の許可に係る需給調整要件を廃止し、休廃止についての許可制を事前届出制とするとともに、第一種利用運送事業の許可制を登録制とし、運送取次事業の規制を廃止することといたしております。  第二に、貨物鉄道事業、貨物運送取扱事業及び貨物自動車運送事業の運賃及び料金について、事前規制を廃止することといたしております。  第三に、貨物自動車運送事業について、発地及び着地のいずれもが営業区域外に存する貨物の運送を禁止する営業区域規制を廃止することといたしております。  第四に、貨物自動車運送事業者が他の貨物自動車運送事業者を利用して貨物の運送を行う場合について、貨物自動車運送事業法の規制を適用するとともに、実運送を行う貨物自動車運送事業者に対して輸送の安全の確保を阻害する行為を行ってはならないことといたしております。  第五に、地方貨物自動車運送適正化の事業実施機関は、苦情解決その他の事業の実施に必要な限度において、貨物自動車運送事業者に対し、文書若しくは口頭による説明又は資料の提出を求めることができることとしております。  第六に、鉄道事業者は、他の運送事業者との間の貨物の引継ぎ等を円滑に行うための措置を講ずるよう努めなければならないこととしております。  以上が、この法律案の提案理由及び要旨でございます。  この法律案が速やかに成立いたしますよう、御審議をよろしくお願い申し上げたいと存じます。  ありがとうございました。
  129. 北澤俊美

    委員長北澤俊美君) 以上で趣旨説明の聴取は終わりました。  本案に対する質疑は後日に譲ることといたします。  なお、各会派理事の方々には、散会後、理事懇談会を開催いたしますので、よろしくお願いをいたします。  本日はこれにて散会いたします。    午後零時六分散会