○緒方靖夫君
日本共産党の緒方靖夫です。
私は、若干の
意見を表明させていただきたいと思います。
まず、
先ほどから話になっている
イスラエル、
パレスチナの紛争の問題なんですけれ
ども、現地からいろいろ話を聞いても、また
外務省から
お話を伺っても、正に戦争状態にあるという大変な事態だと思うんですね。私は、この根本的な問題、それは双方が抹殺論に立たない、これは当たり前のことなんですけれ
ども、これが非常に重要だということを痛感いたします。つまり
共存する、平和的に
共存するということ、その条件と
立場を双方がしっかり持つということが非常に大事だということを痛感するんですね。当然、
パレスチナ側は
イスラエル抹殺論に立たない。それから、
イスラエル側も
パレスチナの抹殺論の
立場に立たない。更に言えば、
パレスチナの自決権を認める、それから
国家の建設を含めた権利を認める、このことが非常に大事だということを思います。
日本共産党について言うと、一九七〇年代から、
イスラエルの
国家を認めるべきである、つまり、
イスラエル抹殺論は誤りであるという
立場を取ってまいりました。
先ほど山崎理事から
お話がありまして、新
左翼あるいは赤軍派というのは結構
パレスチナに食い込んでおりまして、私も学生
時代に国際会議なんかに出ると、あるいは青年のそういう会議に出ますと、
イスラエル国家を認めるべきだと言うと袋だたきに遭うわけですよ、反
アラブの
立場だと。それが
パレスチナにとっても常識の時期がかなり長い間続いたわけですよね。しかし、私
たちはそういう
立場を貫いてきたと。
やはりこれが、この
立場を確固としたものにするということが非常に大事であって、いまだに、前からも言われておりましたけれ
ども、
イスラエルを地中海に追い落とすと、地中海の底に沈めるというスローガンが
アラブの中でもかなりありました。あるいはそれを支持する
勢力なりがありましたけれ
ども、やっぱりそれが根本的に間違っていると、今の
世界ではそういうことは成り立たないという一番自明なことを認めるということが大事かなというふうに思います。
同時に、
パレスチナ側の民間人の殺傷ですね。バスに乗っている市民とか、あるいはカフェで楽しんでいる市民を殺傷するというその
テロ行為は、これは当然成り立たないわけで、ですからその点を明確にするということが非常に大事だということを痛感いたします。
現在の問題でいうと、参議院では、先日、
パレスチナ紛争の即時停止と対話の再開を求める決議、これは全会一致で採択されまして、私は、この決議というのは非常に大事な中身を持っているということを痛感するんですね。それはつまり、
イスラエル政府は
パレスチナ自治
政府を
テロ支援組織として決め付ける、あるいは
パレスチナ人が選んだその指導者であるアラファト議長ですね、それを認めない、さらには敵として位置付ける。かつてはオスロ合意で対話のパートナーとして認めてきたわけですから、そういうことになってきているわけで、そのねらいというのは、つまり
パレスチナ自治
政府とその指導者の否定とかあるいは抹殺にあると思うんですけれ
ども、これこそ私は国際法を踏みにじる無法行為になってしまうと思います。
そういう論理でいくと、今
イスラエル政府が盛んに言っている
テロへの対抗とか自衛というそういう口実、これは結局、そういうことを言っても、つまり
イスラエル自身に
テロ行為を非難する果たして資格があるのかというそういう問題にもなるのではないかと思います。
最近決まったことですけれ
ども、ジェニンへの国連の
調査団の派遣ですね。これは緒方貞子さんも入られるということですので、そういう
調査も非常に大事になってくると思いますけれ
ども、今の
状況を続ける限り、私は
イスラエル政府の孤立化を招くことになるのではないかということを非常に懸念しているところです。
この問題の解決というのは、やはり国連の安保理決議の一四〇二、一四〇三決議で示された方向、つまり、
イスラエル軍が占領している
パレスチナ地区から即時に撤退するというそこに立ち戻るというそこが一番肝心だということを痛感しております。特に私が思うのは、
イスラエル政府の力の信奉ですね、力への信奉、この
立場を放棄しない限り、一般的に言っても、また
中東情勢からいっても、この
立場にしがみつく限り、私は
問題解決は絶対にできないということを痛感いたします。
特にユダヤ民族というのは苦難の民で、やはり歴史的に見ても大変な苦難をなめてきたわけで、抑圧の歴史が大変長いわけです。抑圧されてきた歴史が大変長いわけですよね。ですから、それをやはり今
パレスチナの側にやることがどうかということを非常に強く思うわけです。
それに関連して、私、
先ほどからちょっと議論になっている
日本政府の
対応についてなんですけれ
ども、やっぱりだれから見ても何をしているんだろうと、顔が見えないという、そういう感想というのは持たれると思うんですね。
外交一般ということがあるかもしれませんけれ
ども、特に
中東、今のこの焦眉の問題について、そういう感想、顔が見えないじゃないかということにもなると思います。
私、そこで、ちょっと述べておきたいのは、パウエル国務長官の調停工作のときに、
外務大臣が、やる前から、あるいはやっている最中に支持すると言ったり、あるいは邪魔したくないということを述べたりするわけですけれ
ども、私はそういうことは言うべきじゃないだろうということを思うんですね。
つまり、どういう仲介をするのかという中身を見ないうちにそういうことまで言うことはないだろうと。もちろん、アメリカの調停行為というのは決定的な
役割を持つだろうし、またそれができる国がどこにあるかというと、アメリカの持った
役割は自明ですけれ
ども、やはりその中で
状況を見ながら述べることは述べるということは大事だと思うんですね。
特に、私、今回、アメリカの調停工作の中で非常に大きな問題点を感じたのは、つまり
イスラエル政府に足下を見られたんじゃないかというふうに思うんですね。それは、ワシントンDCですか、あの大きな
イスラエル支持の大集会がありました。そこにアメリカ・ブッシュ大統領が
自分の代表代理として
自分の代理を派遣して、アメリカはいつまでも
イスラエルの側にあるということをわざわざメッセージで伝えた。これはやはり
イスラエル政府を大変勇気付けて喜ばせたわけですけれ
ども、同時に、今の
立場でいいんだということをまた悟らせるという結果にもなったのではないかと思うんですね。
ですから、そういうことにこそやはり
日本として
意見を述べる必要があるのであって、あらかじめアメリカのやることに、まあ部分的に限られていても、パウエルの調停工作に限られているとしても、言わば白紙委任を与えるような形、そういうことをすることがいいのかどうか、そういうことは今後是非
考えていただきたいなというふうに思います。
最後に、もう一点ですけれ
ども、結局、異なる文明の衝突なのか、あるいは異なる文明の平和
共存なのかという、ちょうどこの
委員会で議論している大問題に行き当たると思うんですね。
私は、欧米文明、いわゆる欧米文明ですね、この価値観を、何といいますか、押し付けるとか押し出すとかいう
考え方ではこの
世界は成り立っていかないだろうと。人口的に見ても、欧米
社会の人口を合わせてもやはりそれは半数に満たないわけですから、特に
日本では、サミットでも、あるいはまた幾つかの国の、二国間のそういう共同声明等々においても、アメリカの自由と民主主義の価値観を共有するということが度々言われてきました。これはそういう
意識がないとしても、いわゆるほかの価値観を軽視するとか、あるいは更に悪く言えばそれを否定するというふうに取られかねないような、そういう響きもあったと思うんですね。
例えば、ASEAN諸国などを訪問すると、そこではアジアの価値観ということが盛んに言われます。その概念が何か、定義が何かということは定かではないとしても、やはりアジアの価値観、それで結束しようという動きがある中で、
日本もアジアに地理的には属しているわけですから、やはり少なくともそれを理解しようという
立場が必要だと思うんですね。
イスラム教でいえば、
イスラム教の教えあるいはマホメットの教えでいっても、政教一致ということがあるわけですけれ
ども、しかし、
先ほどから話がありましたように、
国会議員の
役割、位置付け、あるいは
国会の
役割としても国様々ですよね。それからまた、政教一致という教えがあっても、そのままそれを実行するというよりは、それぞれいろんな体制を作りながら、あるいは
民主化の
努力を進めながら進めているというのが今の
イスラム諸国の、一括では言えないような複雑さはありますけれ
ども、そういう
状況だと思います。
ですから、それならばなおさら私は異文化をよく理解するということが非常に大事になってくると思うんですね。
先ほど外務省の
審議官が言われたように、異文化、異宗教への寛容、これは非常に大事なことで、いみじくも正しいこと言われたなと、そういう感じもいたします。
したがって、文明の衝突ではなく、異なる文明の平和
共存を求めていくという、私は恐らくこの
調査会でもそういうことがこの間いろんな形で議論されてきたと思うんですけれ
ども、そのことが非常に大事ではないかと、そんなことを感じているところです。
以上、私の
意見でありますけれ
ども、何かコメントがありましたら、聞く用意があります。
以上です。