運営者 Bitlet 姉妹サービス
使い方 FAQ このサイトについて | login

2002-05-08 第154回国会 参議院 国会等の移転に関する特別委員会 第2号 公式Web版

  1. 会議録情報

    平成十四年五月八日(水曜日)    午後二時一分開会     ─────────────   出席者は左のとおり。     委員長         西川きよし君     理 事                 国井 正幸君                 鈴木 政二君                 江本 孟紀君                 福本 潤一君     委 員                 有馬 朗人君                 大野つや子君                 太田 豊秋君                 河本 英典君                 沓掛 哲男君                 近藤  剛君                 保坂 三蔵君                 伊藤 基隆君                 谷  博之君                 長谷川 清君                 和田ひろ子君                 草川 昭三君                 浜田卓二郎君                 井上 美代君                 渕上 貞雄君    事務局側        常任委員会専門        員        舘野 忠男君    政府参考人        国土交通省政策        統括官        兼国会等移転審        議会事務局次長  徳留 健二君     ─────────────   本日の会議に付した案件 ○参考人出席要求に関する件 ○政府参考人出席要求に関する件 ○国会等移転に関する調査  (国会等移転に関する件)     ─────────────
  2. 西川きよし

    委員長西川きよし君) ただいまから国会等移転に関する特別委員会を開会いたします。  どうぞよろしくお願いいたします。  まず、参考人出席要求に関する件についてお諮りをいたします。  国会等移転に関する調査のため、来る五月十五日、東京都知事石原慎太郎君及び作家・エコノミスト堺屋太一君を参考人として出席を求め、その意見聴取することに御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  3. 西川きよし

    委員長西川きよし君) 異議ないと認め、さよう決定いたします。     ─────────────
  4. 西川きよし

    委員長西川きよし君) 次に、政府参考人出席要求に関する件についてお諮りをいたします。  国会等移転に関する調査のため、本日の委員会国土交通省政策統括官国会等移転審議会事務局次長徳留健二君を政府参考人として出席を求め、その説明聴取することに御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  5. 西川きよし

    委員長西川きよし君) 異議ないと認め、さよう決定いたします。     ─────────────
  6. 西川きよし

    委員長西川きよし君) 国会等移転に関する調査を議題といたします。  この際、委員会が先般行いました実情調査につきまして報告聴取いたします。国井正幸君。
  7. 国井正幸

    国井正幸君 去る二月十八日、西川委員長江本理事福本理事河本委員谷委員和田委員草川委員渕上委員、そして私、国井の九名は、三重県及び滋賀県において国会等移転に関する実情調査を行ってまいりました。また、現地におきましては高橋千秋議員視察概況説明会に参加されました。  三重県、滋賀県を含む三重畿央地域は、平成十一年十二月の国会等移転審議会答申において、将来新たな高速交通網等整備されることになれば移転先候補地となる可能性があるとされた地域であります。同地域は、三重県、滋賀県、京都府、奈良県の四府県にまたがり、畿央一から四までの四エリア三重一、二の計六エリアから成っております。  今回の調査では、まず、立法関係機能及び行政関係機能のうち主に中央省庁関係が配置されることが想定される畿央二エリア視察した後、概況説明会において四府県知事及び関係者から説明意見表明を聞き、意見交換を行い、その後、行政関係機能司法関係機能の配置が想定される畿央一エリア視察いたしました。  以下、その概要を御報告申し上げます。  まず最初に、畿央二エリア視察のため、三重阿山町の玉滝浄水場展望台を訪れ、四府県知事三重県議会議長三重県議会首都機能移転地方分権推進調査特別委員長及び地元自治体の首長の方々と合流し、内保博仁阿山町長より説明を受けました。  畿央二エリアは、三重阿山町を中心に、同県上野市、伊賀町、滋賀県甲南町、信楽町にまたがり、上野盆地の北部に位置する標高二百メートル前後のなだらかな丘陵地帯で、千ヘクタールを超える大規模国有林民間所有地が存在することから、一団の土地の円滑な取得が可能な地域であります。また、位置的にも大阪圏名古屋圏のほぼ中間にあり、名阪国道JR関西線のほか、現在建設中の第二名神高速道路等により両圏の連携、活用が容易な地域であります。  次に、概況説明会について御報告いたします。  まず、北川正恭三重県知事より、三重畿央地域移転先にふさわしい理由として、この地域日本中央にあり、かつ関西圏中京圏結節点にあって、両圏域から独自性を保ちながらも連携して首都機能を担うことができること、関西文化学術研究都市に代表される最先端の学術研究機能が数多く集積しており、これらの知的資源人的資源を生かして高度な政策立案機能を実現できること、京都奈良近江伊勢などの我が国固有歴史文化資源を継承していて、新たな文化を創造できること、古くからアジアとの交流歴史を有しており、関西国際空港中部国際空港活用により国際的交流拠点たり得ること、多様で魅力ある自然環境や景観が広がっており、環境と調和の取れた都市を構築できることの五点を総括的に説明いただきました。  次に、國松善次滋賀県知事からは、日本首都機能所在地移転歴史にかんがみれば、今こそ国家百年の大計に基づいて首都機能移転すべきであること、新しい首都は頭脳的な機能に純化し、日本の顔たる風格を持つべきこと、三重畿央地域関西圏中京圏中間に位置し、周辺に既存都市ネックレス状に存在しているため、これらの都市を生かせばコンパクトな移転が可能であり、かつ京都奈良近江伊勢にある豊富な歴史文化資源を生かすことで世界に対し日本の顔をよりアピールできることなどが述べられました。  次に、荒巻禎一京都府知事が、三重畿央地域文化的、地理的ロケーション東西文化の分かれ目に当たり、両方の文化が混在しているという優れた点があること、大阪などの既存都市による補完が可能であるほか、関西文化学術研究都市では国立国会図書館関西分館が今年十月にオープンの予定であり、また、和風京都迎賓館も本年三月に着工するなど、首都機能を支援するのにふさわしい施設の整備がなされていることなどの点を述べられました。  次に、柿本善也奈良県知事が、首都機能移転において問われているものは東京一極集中是正であり、中央政府在り方、国と地方在り方を見直すことにある、また、日本文化のアイデンティティーが出てくるような、日本の姿が見えるような場所首都機能移転すべきで、それには三重畿央地域がふさわしいなどの意見を述べられました。  この後、地域行政経済界等により設立されております三重畿央新推進協議会関係方々より発言がありました。  まず、近畿開発促進協議会孝石欣一大阪府副知事より、東京一極集中是正あるいは国家セキュリティー観点から首都機能移転が必要であり、移転先には、歴史的、文化的厚みを有し、研究開発拠点が集積し、関西国際空港を始めとしたインフラが活用できる三重畿央地域がふさわしい旨の発言がありました。  次に、関西経済連合会井上義國行政改革委員会委員長より、小泉総理の唱える構造改革においても地方分権中央集権打破が大切であり、欧州と比較しても日本地方分権状況は進んでいない、首都機能移転世界が注目している日本構造改革の象徴ともなり、経済的にも良い影響を与える旨の発言がありました。  最後に、近畿商工会議所連合会高橋宗治郎会長より、東京への一極集中が他の経済圏閉塞感を与えており、三重畿央地域首都機能移転すれば近畿東海の二つの経済圏への大きな刺激となり、地域間競争全国に波及していく旨の発言がありました。  この後、関係方々視察参加者との間で、三重畿央地域での六つのエリアの位置付け、水資源確保の見通し、IT産業の先進地としての畿央地域の特性、名古屋空港活用方策びわこ空港開設への取組状況移転コストの削減と透明性確保地方分権の進捗と首都機能移転との関係移転地域を国の直轄地域にすることなどについて意見交換が行われたほか、移転問題については既に決断の段階である旨の意見表明が何回かございました。  概況説明会終了後、滋賀県水口町、土山町、甲賀町、日野町にまたがり、標高百五十メートルから二百メートルのなだらかな丘陵地帯に位置する畿央一エリア視察し、土山町役場において松山正町長より、この地域は旧東海道である国道一号線が通る古代より文化が栄えた地域で、大阪京都奈良名古屋のいずれの都市にもほぼ等距離という立地である旨の説明を受けました。  以上が調査概要であります。  最後に、四府県知事を始め調査に御協力いただきました関係者皆様に厚く御礼を申し上げて、報告を終わります。
  8. 西川きよし

    委員長西川きよし君) ありがとうございました。  以上で報告聴取は終了いたしました。  それでは、本日は、これよりおおむね午後四時までをめど意見表明及び委員相互間の意見交換を行います。  議事の進め方でございますが、まず国会等移転に関する件について専門員及び政府から合わせて十五分程度説明聴取いたします。次に、大会派順にそれぞれ五分程度で御意見をお述べいただいた後に委員相互間で自由に意見交換を行っていただきます。  まず、専門員より御説明聴取いたします。舘野専門員、お願いいたします。
  9. 舘野忠男

    専門員舘野忠男君) 調査室舘野でございます。どうぞよろしくお願いいたします。  委員皆様には既に十分御承知のことではございますけれども、国会等移転に関する経緯及び委員会活動状況等につきまして、お手元資料に基づき簡単に御説明いたしたいと思います。  お手元に配付されております国会等移転に関する資料の一ページ目に国会等移転に関する経緯の概略が載ってございます。  まず、平成二年に、衆参両院の本会議におきまして、国会等移転に関する決議が採択されております。その内容資料の二ページに掲載してございます。平成三年には、国会等移転に関する調査を行うために、両院国会等移転に関する特別委員会設置をされました。そして、平成四年になりますと、国会等移転調査会設置などを内容とする国会等移転に関する法律議員立法により成立いたしております。  それによりまして、同調査会は約三年間にわたり調査審議を行い、平成七年に移転先地選定基準及び専門的かつ中立的な選定機関設置などを内容とする調査会報告を取りまとめております。この調査会報告を受けまして、平成八年には国会等移転に関する法律の一部改正が行われ、同年、国会等移転審議会設置をされました。  同審議会は、約三年間、調査審議を行い、平成十一年十二月に答申が行われました。同審議会答申は、栃木福島地域又は岐阜愛知地域移転先となるべきものとして選定する、三重畿央地域は他の地域にはない特徴を有しており、将来新たな高速交通網等整備されることになれば移転先候補地になる可能性があるというものでございます。  そして、平成十二年五月には、衆議院国会等移転に関する特別委員会におきまして、二年を目途にその結論を得ることができるよう、早急に検討を進めるべきであるとの決議が行われておりますが、その全文は資料の三ページに掲載してございます。  次に、委員会活動状況等についてでございますが、資料の四ページにその概要が載っております。  委員会は、平成三年の第百二十一回国会において設置をされまして以降、延べ七十八回開会されておりまして、招致した参考人延べ二十三人でございます。また、現地調査のための委員派遣が五回、視察が五回行われておりますが、平成十一年十二月に国会等移転審議会答申が出されまして以降は、平成十二年五月二十二日に岐阜県、愛知県、平成十三年一月十六日から十七日に栃木県、福島県、及び平成十四年二月十八日に三重県、滋賀県の現地調査が行われております。  委員会に招致いたしました参考人は、資料の五ページ及び六ページのとおりでございますが、国会等移転調査会関係者国会等移転審議会関係者学識経験者及び移転先候補地知事さん等でございます。この中で学識経験者は、土木学国際政治学地域政策学等の分野の方々でありまして、地震の問題、東京アジアの諸都市との都市間競争の問題及び地域活性化等がテーマとして取り上げられておりました。  なお、参考資料といたしまして、資料の七ページ以降に国会等移転に関する特別委員会の経過及び国会等移転に関する法律新旧対照表が掲載してございます。  以上、簡単ではございますが、国会等移転に関する経緯及び委員会活動状況等についての説明を終わらせていただきます。  ありがとうございました。
  10. 西川きよし

    委員長西川きよし君) 御苦労さまでした。ありがとうございました。  引き続きまして、次に徳留政府参考人から説明聴取をいたします。お願いいたします。
  11. 徳留健二

    政府参考人徳留健二君) 国土交通省徳留でございます。  国会等移転につきまして、これまでの経緯等につきまして御報告をさせていただきます。今、舘野さんから御報告のあった部分もございましてダブる部分もございますので、ダブるところは割愛しながら説明をさせていただきたいと思います。  本日、私ども、資料を用意しておりまして、七項目について御説明を申し上げたいと思います。  資料に沿って、まず第一ページでございますが、国会等移転に関する主な経緯、これはもう既に先生方承知のことだと思いますし、今の御説明もございましたので省かしていただきますが、一枚のチャート風にまとめたものでございまして、昭和五十年の二月、新首都問題懇談会、このころから首都機能移転の問題が議論をされるようになったということでございまして、決議あるいは法律調査会審議会等々を経て現在に至っておるということを一枚の紙に表したものでございます。  二ページ目でございますが、国会等移転に関する法律、これは平成四年に議員立法で制定をされまして、平成八年に改正をされたものでございます。  前文のところに、なぜ国会等移転が必要かということの前書きがございまして、略しておりますが、「略」のところには、我が国の現状、政治経済文化等中枢機能東京圏に過度に集中して、その結果、地価の高騰、人口の過密、生活環境の悪化、大規模災害時の危険の増大等状況にあり、他方で、地方における過疎、経済的停滞文化画一化というような問題が生じてきておる。  さらに、平成八年の改正におきまして、阪神淡路大震災の教訓ということで、阪神淡路大震災による未曾有の被害の発生により、大規模災害時において震災対策中枢機能確保することの必要性重要性について改めて認識したところであるというような文言が入りまして、以下、書いてありますような文章になっておるわけでございまして、一極集中を排除し、多極分散型国土形成に資するとともに、地震等の大規模災害に対する脆弱性を克服するため、世界都市としての東京都の整備に配慮しつつ、国会等東京圏外への移転具体化について積極的に検討を進めることということで、あと第一章、アンダーラインを引いておりますが、第一条、国の責務でございます。  国は、国会並びにその活動に関連する行政に関する機能及び司法に関する機能のうち中枢的なもの(以下「国会等」という。)ということでございますが、こういうものを東京圏以外の地域移転するということについて積極的な検討を行う責務を有するということでございました。  第三条におきましては、この移転検討を行うに当たっては、広く国民意見を聴き、その合意形成を図るということでございます。  第三章は国会等移転審議会のことでございまして、審議会は、内閣総理大臣の諮問に応じて候補地選定等について審議をするということでございまして、これは平成十一年の十二月に既に答申総理大臣に出しておるところでございます。総理大臣報告されて、現在国会で議論されているということ。  「第四章 移転に関する決定」でございますが、「審議会答申が行われたときは、国民合意形成状況社会経済情勢の諸事情に配慮し、東京都との比較考量を通じて、移転について検討されるものとする。」、二十二条でございます。二十三条が、移転決定する場合には、移転先について別に法律で定めると、こういうふうに決められておるというところでございます。  第三ページは以上でございます。  四ページは、これは先ほども御説明がございましたが、平成二年の国会決議。それから、下の方に書いておりますのは、これは衆議院の方で平成十二年五月に、二年をめど候補地の絞り込みを行うという決議をされておりますので、参考までに載せております。  それでは、「国会等移転調査会について」、五ページでございますが、調査会報告でございます。これも移転法に、先ほど国会等移転に関する法律に基づきまして調査会設置をされまして、そして、平成五年四月に第一回が開催されてから約二年半にわたりまして精力的な検討が行われまして、平成七年十二月に内閣総理大臣報告が行われております。総理大臣国会報告をされております。  この会長は、関経連、当時相談役の宇野さんでございます。この委員会の任務は、移転対象範囲あるいは時期あるいは移転先選定基準等々の事項について検討するということになっておりまして、委員は三十二人以内でございまして、衆議院先生方八人、参議院先生方六人、それから学識経験者十八人以内ということで、いずれも総理大臣任命をするということになっておりました。  調査会報告平成七年十二月十三日に出されまして、九十五ページほどの大部の報告書でございますが、その内容を簡単にポイントだけ申し上げますと、まず、「首都機能移転意義効果」ということでございます。これにつきましては、規制緩和地方分権等国政全般改革効果がある、それから東京一極集中是正、それから災害に強い国土づくり効果があるというこの三つ。さらに、新たな経済発展人心一新の好機等々が述べられております。  それから、移転対象とは何かということでございますが、立法府におきましては国会衆参両院事務局あるいは法制局等々でございます。それから、行政につきましては内閣中央省庁中央省庁におきましても、政策立案及び危機管理に必要な中枢機能ということが述べられております。それから、司法につきましては最高裁判所ということでございます。  それから、「移転先地選定基準」ということで述べられておりますが、日本列島上の位置、それから東京からの距離東京と一定の距離を置きつつ、また機能面においてある程度連携できる場所ということでございまして、大体一、二時間のおおむね六十キロから三百キロメートル程度範囲。ただし、東京圏との連担を避ける。それから、国際的な空港があるかどうかが必要であるということ。それから、地震災害等に対する安全性。大規模地震が発生した場合に著しい地震被害を生ずるおそれのある地域は避ける。その他の自然災害に対する安全性火山災害、水害、土砂災害等、こういったものに対して安全なところということでございます。あとそのほか、地形が良好であるか、あるいは水の供給が安定的にできるか、あるいは土地取得は容易であるかどうかといったことも選定基準の中に入っております。  移転先選定方法につきましては、権威ある専門的かつ中立的な選定機関設置し、移転先候補地選定し、国会報告する。それから、国会が最終的に移転先地決定というふうなことが提言をされておりまして、専門的かつ中立的な選定機関という意味では、先ほど説明いたしました国会等移転審議会平成八年の法律改正によりまして設置が決まりましたその移転審議会設置をされて、移転先候補地選定をしたということでございます。  「移転の時期の目標」、これは若干報告が、もう時期がずれておりますが、報告後二年程度めど選定して、世紀を画する年までに建設開始目標というふうに書かれております。これは時間的なずれがございます。  それから、「東京整備のあり方」ということで、首都機能移転後も東京我が国の全体の繁栄を牽引していく、言わば経済首都文化首都としてあり続けることが重要であるということでございまして、移転跡地活用等によりまして、生活者重視観点あるいは東京災害対応力強化等観点から活用して東京整備を図っていくべきであるということを述べておられます。  それから、国会等移転審議会、六ページでございますが、これは先ほど申し上げましたように、調査会提言を受けまして法律改正されて設置が決まったものでございますが、平成八年十二月に設置をされました。以後、約三年にわたりまして審議が行われまして、平成十一年十二月に内閣総理大臣答申が行われております。これも当然内閣総理大臣の、委員任命内閣総理大臣が両議院の同意を得て任命をするということになっております。  「検討の主な内容」でございますが、移転先候補地の、「2」の「検討の主な内容」のところでございますが、総合評価対象地域十か所。最初大くくりでいろんな地域候補地として考えたわけですが、最終的に、北東地域それから東海地域三重畿央地域、この三地域の中から更に細分化した対象地域を十か所でございますが選びまして、これを総合評価対象地域といたしまして、この十か所の地域に対しまして十六の評価項目、例えば東京からのアクセス、あるいは全国からのアクセスが容易であるかどうか、地震災害に対する安全性はどうか、水供給安定性があるかどうか等々、十六項目につきまして専門先生方が真剣な検討をされまして、そして最終的にそれぞれの項目について五点満点評価、一点、二点、三点、四点、五点という形で評価をしていただきまして数値化して、そしてそれを最終的にウエート付けをいたしまして、重み付け手法と言っておりますが、そういうことで評価をされまして、五百点満点でございますが、各地域の点数を出されております。  「移転先候補地選定」、三番目の骨子でございますが、候補地としては、ここに書いてありますように、栃木福島地域岐阜愛知地域、それから三重畿央地域は他の地域にはない特徴を有しており、新たな高速交通網等整備されることになれば移転先候補地となる可能性があるとされたということで答申はされましたが、その後、審議会答申後、衆議院及び参議院国会等移転に関する特別委員会理事懇談会におきまして、三地域移転先候補地であると、三地域を同列として移転先候補地とするということを確認をされているというふうに理解をしております。  「首都機能移転意義効果」、これは先ほど調査会報告でも申し上げましたが、再度こういう意義効果確認をされておるということでございます。  それから、「移転費用の試算」も同時に出されておりまして、最大ケース、五十六万人、一番下でございますが、最大ケース、五十六万人、八千五百ヘクタールの面積の首都移転を行う場合、首都機能移転を行う場合に費用が十二・三兆円、公的負担が四・四兆円、民間投資・負担が七・九兆円。それから、第一段階、これはまず国会都市国会中心に移転をすると、大体人口も十万人ぐらいで、面積も千八百ヘクタールぐらいという第一段階の場合には約四兆円の移転費用が掛かる、そのうち公的費用は二兆三千億円というような計算をされております。  それから、七ページでございます。ちょっと時間、申し訳ありませんが、七ページでございますが、「移転費用についての国会等移転審議会試算と東京都試算の対比」というものを出しております。これは昨年の十一月ごろだったと思いますが、東京都が移転費用につきまして試算をされまして、それを発表されました。  「移転費用の試算結果の比較」の棒グラフのところでございます。東京都試算が、右端、二十・一と書いてありますが、二十・一兆円掛かるという試算を発表されました。これは審議会試算、真ん中にあります最大規模十二・三とございますが、これに対応する数値でございまして、約七兆八千億円審議会試算に比べて大きくなるという試算を出しておられました。  これには、いろいろ中身をチェックをしたわけでございますが、下に「以下の特徴を有している。」ということで書いておりますが、施設整備費、これは建物を建てる費用、あるいは基盤整備費、これは土地の造成等でございますが、そういったものについて少しスペックが高いといいますか、高コストな整備手法を使って計算をされておると。例えば、上水道を引く場合に水道管を敷設するわけですが、シールド工法を使うとか、こういったことがございます。それから、用地取得単価につきましても、移転審議会では一万一千円の単価で計算をしておりますが、東京都の試算におきましては四万二千円と非常に単価が高いということでございまして、山林・原野の比率が低い都市計画事業の実績を適用というような、岐阜県内の例を使っておられるというようなことでございます。  これは細かくは次の八ページ目に書いておりますが、これは省略させていただきます。  それから、最後のページでございますが、東京一極集中状況をまとめております。  まず、人口等の集中でございますが、東京圏への人口集中平成六年、七年と一時的には緩和いたしましたが、平成八年以降六年連続して転入超過ということでございます。これは下のグラフを見ていただければ一目瞭然でございます。今後とも東京圏への一極集中は変わらないものと予測と、またその他の諸機能集中も依然として高い水準にありますということでございます。人口の集中状況、国土の三・五%に全国人口の二六%、東京圏集中しているということでございます。  それから、諸機能集中状況につきましても、情報・ネット企業事業所数が四二%、情報サービス業売上高が六六%等々、本社機能も約五七%が東京集中しておりますといったような数値を並べております。  それから、十ページ目は東京圏の過密の状況でございまして、地下鉄混雑率とか、あるいは都心三区への通勤・通学時間が一時間半以上掛かる人の割合とか、住宅面積、公園面積等をお示ししておるところでございます。  簡単でございますが、以上で説明を終わらせていただきます。
  12. 西川きよし

    委員長西川きよし君) ありがとうございました。  以上で説明聴取は終わりました。  それでは、これより大会派順にそれぞれ五分程度でございますが御意見をお述べいただきまして、なお発言は着席のままで結構でございます。  それでは、御意見のある方から順次発言をお願いいたします。
  13. 国井正幸

    国井正幸君 自由民主党の国井正幸でございます。  今日は、同僚議員の御理解をいただきまして意見を述べさせていただきたいというふうに思っております。  今、専門員あるいは政府参考人からこれまでの経過について御説明がありました。これを決して繰り返すわけではありませんが、長い年月を掛けて今日まで来ているというのが皆さんともにお分かりをいただけたんではないかと思っております。  特に、この議論は、いろいろ調べてみますと、昭和三十年代から一部の学者の皆さんが提起をされておったり、あるいは五十二年の第三次全国総合開発計画あるいは六十二年の第四次全国総合計画等にも盛り込まれてずっと今日まで来ていると。議論は、率直に言って私は尽くされたというふうに考えております。  その中で、特に平成七年一月に阪神淡路大震災があって六千四百名余りの尊い人命も失われたと。こういう多大な教訓を得て、やはり危機管理の面等を中心にもっと災害に強い国土づくりというものをしっかり確立をすべきではないのかと、こういう趣旨も盛り込んで、平成八年に、御案内のとおり、国会等移転に関する法律改正が行われて審議会設置をされ、しかも両院の同意人事でもって委員が選任されて今日に来ていると。こういう状況を考えたときに、私ども、やはり今ボールは国会に投げられておるわけでありますから、しっかりと結論を出すべきだろうというふうに思っております。  特に、私も国会に席を得て七年になりますけれども、一貫してこの特別委員会に所属をさせていただいてきておりまして、ここで結論を出すべきだ、こう思いながらも、しかし外に一歩目をやると、率直のところ議論が盛り上がっていない。国民の関心それから国会の議論、これが盛り上がっていないというのは否めない事実としてあるんではないかというふうに私も率直に感じております。  したがって、こういう調査会審議会状況を経て今日来ているという状況、なおかつ危機管理への対応の問題、一極集中是正の問題等々を考えたときに、必要最小限やるべきことがあるんではないかというふうに私は思っています。特に、一〇〇かゼロかという議論で、全部できなけりゃもう全部駄目だ、あるいは全く何もやらぬとか、やるんなら全部だと、こういうふうなことではなくて、今の状況にかんがみて最低限私どもがやらなければならないことは何なのかというふうに私は思っております。  その中で、私は、やはり先日も気象庁の方から東海地震の危険地域のいわゆるエリアの拡大というんでしょうか、強化地域の新たな指定というものも行われたわけでございまして、いろんな有識者の話を聞いても、東南海地震やあるいは東海地震東京の直下型地震、どうしてもやはり我が国は国土の構造上この地震災害を避けては通れないということで、危機が一刻一刻近づいてきているというのは否めない事実なんではないかというふうに思っております。だとすれば、やはりこの中枢機能だけは少なくとも被災を免れるような、バックアップ体制をしっかり取れるような体制だけは私どもは取る責務があるんではないかな、そのように思っております。  したがって、そういう意味で、私どもは、今私どもがやらなければならないこと、必要最小限に絞り込んでも一つの結論を出すべきだろうというふうに思っております。  よその院のことでありますけれども、一部アンケート調査をやったらどうかとかいろんなことがあるようでありますが、私は、少なくとも両院の同意を得てそれぞれの専門家から成る審議会委員の皆さんに三年にも及ぶ審議をしていただいて一つの結論を得てきていると。そして、当委員会においても、先ほど御紹介ありましたように、七十八回にもわたる委員会も開催をして、参考人も呼んでやってきていると。こういう状況を考えたときに、この委員会が責任を持ってしっかりと結論を出すべきだろうというふうに思っております。  もう時間でございますから、最後にまとめたいと思いますが、私は、やっぱり最終的には危機管理、いわゆるバックアップ体制を、一つのところに置いておくというのではなくて分散をして、バックアップ体制だけでもしっかりと確立をする、こういうことで結論を出せればよろしいんではないか、このように考えております。  以上です。
  14. 江本孟紀

    江本孟紀君 民主党・新緑風会の江本でございます。  ちょっと国井先生とダブるかもしれませんけれども、大筋近いような話になるかもしれませんけれども、よろしくお願いします。  今日は一応五分ということですが、大勢の方がいらっしゃるので短めにお話をさせていただきたいと思います。  まず、民主党内では、全議員の皆様にこれまでの経過等のペーパーを配付いたしまして、検討していただくようにお願いをしてあります。そういうことで、今の時点からいいますと、各党の意思の決定というのをなるべく急いでいただいて、方向性というようなものを出していただくというのが今一番急がれるべきことではないかなということで、私なりの意見でございますけれども、今月中に国会等移転先決定するという衆議院特別委員会でのあの決議をどうとらえるかということが今一番大事なことではないのかなと思います。  ここに来て、白紙撤回だとか、規模縮小であるとか、それから対案を出すとかというような議論が出ております。しかし、そのことに対して、この委員会に長く携わってきた議員の一人としては非常に不愉快な思いも多少あります。委員会決議は非常に重いものであるということを我々議員は再認識すべきではないかなというふうに思います。  平成二年の衆参における国会等移転に関する決議以来、今日まで十二年間の歳月をどう考えるのかということであります。  具体的に言えば、衆議院で百三十二回、参議院は本日の質疑を含めて七十九回の委員会を開いているわけでございます。しかも、賛成派、反対派、中立的な考え方などのバランスに配慮をして、参考人として、衆議院で八十四名、参議院では来る十五日のお二人を加えますと二十五名もの方を招致しているということになります。さらに、移転候補地への視察は、衆議院で十四か所、参議院でも九か所実施をしてまいりました。この派遣や視察に要した経費は、調べてもらったんですけれども、大体、概算千四百五十万円ぐらい掛かったそうであります。そして、その都度候補地方々意見交換をし、またそういった視察などを踏まえてそれぞれ委員会で真剣な議論を展開してきたということですから、今までに費やした時間と関係者の労力を考えれば、決して無駄にしてはいけないというふうに思っております。  時計の針を戻す議論というのはもう論外でありまして、国会での十二年間にわたる審議を重く受け止めれば、今果たすべき委員会の役割は、決議に基づき、衆議院での移転候補地決定を受けて参議院でも候補地決定し、その上で東京都との比較考量を粛々と行って、その結果を国民に明らかにする以外ないと思うのであります。そして、その結果、東京都以外に移転先が決まったならば、移転の時期、規模、予算などの具体的なグランドデザインを提示して、タイムスケジュールづくりに着手することが国会での衆参特別委員会の役割であるというふうに思っております。  万が一、国会等移転が白紙撤回という事態を迎えたならば、三つの移転候補地の自治体に何と説明をされるのか。国会の無責任を追及されることはもう火を見るよりも明らかであります。景気が悪いからというような理由などもありますけれども、言論の府である国会にふさわしいものとは言えません。その理由自体が、景気の悪さとかそういったことで非常に短絡的に説明をしても、国会の理由というようなことでは通用しないのではないかと思います。  それからさらに、栃木福島地域が投入してきた誘致のための経費は大体七億一千万、それから三重畿央地域では四億八千万、岐阜愛知地域では七億六千万が全く無駄になってしまいます。もし白紙撤回というような結論になるとしたら、損害賠償を求めるような訴訟に発展するおそれも否定ができないんじゃないかというふうに思います。所管する国土交通省国土計画局首都機能移転企画課では、国会等移転関係する予算に平成五年から十四年度当初予算も含めた累計額で二十八億八千七百万円を計上しております。国、地方ともこれに人件費は含まれませんから、莫大な金額がこの計画に既に投入されているわけであります。  ということを考えますと、これはもう粛々と前に進める以外選択の余地はないのではないかというふうに現在私はそう思っております。  以上でございます。
  15. 福本潤一

    福本潤一君 公明党の福本潤一でございます。  当委員会、十二年間の審議の実績、当委員会七十八回の委員会の実績、十二年間、衆議院も百三十二回やって、今まで私としても、様々な意見を読み、聞き、さらに党内でも意見調整をすべく対応してきたところでございますけれども、公明党の場合、この委員会に所属している三名が、移転候補地一か所、また移転される可能性のある東京都・関東圏一人、また全然縁のない私、福本一人という三人の委員でございますので、もう自由に討議していただいて結構だというお墨付きだけはいただいてこの委員会に臨ませていただいております。  そういう中で、この委員会国会決議は粛々と前進しておるわけでございますけれども、移転の熱意が、バブル崩壊以後十年たちましたし、さらに今年十二年の審議を続けている中で、思ったほど移転の熱意があるのかないのか分からない状態になり掛かっているところもございます。  そういう中で、不況という中で具体的に首都機能を考えるのがどうかという一つの大きなタイムアセスメントみたいなものが必要なような御意見もあったりするわけでございますけれども、私は、これは国家百年の大計でございますし、さらに今後新しい時代を作るためには大変大きな日本の決断にはなるんではなかろうかというふうに思っておりますし、この審議の重要な位置付けを考えますと、そういう現状、景気、不景気等々にかかわらず、計画としてきちっと前進させるべきではないかと。という意味では、先ほど国井委員、また江本委員が言われたことと同様に、審議は尽くされて、いよいよタイムスケジュールにのっけて、今後、国家百年の大計に基づいて規模、予算、計画等々を定めていく段階、実行、決断の段階に来ているのではないかというふうに思います。  不景気のときに、アメリカで一九二九年の大恐慌の後の一九三〇年代に、ルーズベルト大統領がその大恐慌を乗り切るためにニューディール政策というのを行われたわけですけれども、若干参考にお話しさせていただきますと、ニューディール政策、新規巻き直し政策というわけで、そういう不景気なときに、もちろん一本の柱はダムを造ったり、テネシー渓谷開発計画、TVAの計画がありましたし、土木事業中心というようなイメージもありますけれども、もう一方で一つ文化芸術政策を進めていかれたと。  二本柱にして、文化芸術政策と一つの新しい時代を作るための基礎開発もされていったわけですけれども、今回、そういう意味の趣旨で、公明党、こういう不景気のときこそ余り必要でないと言われた芸術文化振興が必要だということで、基本法も提案させていただきましたし、もう一方に当たるのが一つの新しい時代をロマンのある形で作り上げようという目標、方向性だというふうに思います。  そういう意味では、首都機能移転という時代を一つ画するための方向性を作り出すというのは大きな国民に対する鼓舞になっていくというふうに私思いますので、振興する方向、またこの国会審議に基づいて推進する方向で進んでいっていただければと思います。  理由は様々、今言った国民の心機一転ということもございますけれども、現状、日本首都機能移転した背景を眺めてみますと、平安時代、鎌倉時代、室町、安土桃山、江戸、さらに東京時代と、それぞれ首都ということによってその時代を呼ばれておるわけでございますが、平安時代でも最大四百年程度でございましたし、さらに、江戸時代と東京時代合わせてももう四百年を超えている段階が来ております。  そういう意味では、大きな時代の変革期に、大きな一つの国民目標を定めてそちらの方向に進めていくという、変革できるんだと、世の中を変えることができるんだという大きな柱になっていくんではないかと思いますし、この四百年の間に東京一極集中が大変大きな問題になって、むしろ東京都市再生で新しい東京首都を作るというふうになると、先ほど説明になりました首都機能移転の予算よりはるかに大きな予算が要るという試算をしておられる学者も現実にございます。  そういう意味では、逆に地方が人口が過疎になっていくというこの四百年の中での実績、現実がございます。  と申しますのは、近畿地方も含めて中国、四国、九州、そういうところは全部人口減少圏で、関東圏以外はある意味では人口減少圏になっているというのはこの四百年の中の結果だと思いますし、新しい時代の、工業化社会から次の脱工業化社会に行くときの創造性、多様性を発揮するためにはそういう人口の偏在も是正していく必要があるでしょうし、国井委員の言われたように、阪神大震災の後かなり、一極に集中することによるその都市の防災の面での深刻さ、新たなところへ行ったときの、一つの時代を、二か所に中心拠点があるという在り方、アメリカのワシントンとニューヨークというような形の都市形成など、必要な段階に現在来ているんではないかというふうに思います。  そういう意味では、地方都市間競争も一つの文化東京を江戸時代を中心にした一つの文化日本全国に伝播するということではなくて、文化的な多様性が、それぞれ持って、特にIT化社会になっていくわけですから、そういう意味では、情報化もかなりのことが分散していてもできる時代が来るというふうに私自身思います。  そういう意味で、いよいよ決断して新しい時代を、ふさわしい首都機能移転場所と、さらに目標年次が必要ではないかというふうに思います。  この委員会十年間やった中で、三か所の候補地審議会決定していただいているわけでございますが、首都機能移転ターゲット年というのを作り上げて、この年度までには移転するという、これは当面、すぐではないでございましょうし、例えば一九五〇年とか一九四〇年とか、申し訳ありません、今修正してください、二〇三〇年、二〇四〇年という大きなスパンでの目標を定めて、そのスパンに向けて新首都形成していくという方向性で進めていただければと思います。  首都目標地点に関しても決めていかないといけないんでしょうけれども、三候補地それぞれが、様々な優秀な判断でここの地域こそ最適だというふうに考えておられるようでございますし、ただ、日本の中心、地理的な中心という配慮もやはり必要ではないかと。ある意味では、東京は東に偏在若干しておりまして、中心地点でいいますと、標準時を設定している兵庫ぐらいが日本の中心でございましょうし、沖縄の与那国島等の最先端まで入れますともう岡山ぐらいになるのが中心地点だと。そういう中心地点に近い方が人口偏在の意味からいってもいいんではなかろうかという思いが一つあります。  また、これは今後の審議にまちたいと思いますが、最悪、首都機能移転ターゲット年を定めておく必要がある段階に来ているということが私の意見でございます。
  16. 井上美代

    井上美代君 私は、これまでの経過のお話がありました。また調査報告もありました。それらを聞きながら、四点ほどについて国会等移転の問題点について述べたいと、こういうふうに思います。  一つ目の問題なんですけれども、何を指して国会等移転と言うのかという、こういう問題点なんです。  九二年の国会移転法、これは移転するものとして、国会並びに行政及び司法に関する機能のうちの中枢的なもの、これを新首都に移すと、こうなっているわけなんです。それが九六年の改正法では、国会並びにその活動に関連する国政に関する機能及び司法の中枢的なものと、こういうふうに変わりました。  ここに国土交通省が作ったポスターを私、持ってまいりましたけれども、すごく大きなポスターでなかなか立派なものなんです。(資料を示す)  このポスターなんですけれども、これにも、国会等移転では現在の東京が有する機能、ここのところに書いてあるんですけれども、この機能のすべてを移転しようとするものではありませんということがちゃんと言っているわけですね。そして、国会等移転といっても、移転するのは国会国会活動に関連する行政中枢機能及び司法の中枢だというふうに書いてある。それだけなんで、言ってみれば行政国会対策になる部分と、それから司法の中枢だけがこの移転をするというふうにこれではなっているわけです。  このポスターとの関連で言いますと、「国会等移転意義効果」というのがこっちの方に書いてあります。その見出しなんですけれども、「東京への一極集中是正します」というふうにここに書いてあります、囲みが付いていますけれども。そういうふうに書いてありまして、国会等移転審議会の試算でいきますと十二兆三千億円で、数十年後、人口が五十六万人となっていると、こういうふうにされているわけです。数十年後の人口が五十六万人になると、こういうふうに言っているわけなんですけれども、これで一極集中を解消することができるのかということなんです。  およそ集中、この一極に集中しているのを解消するということであれば、そういうままでは駄目だというふうに思いますので、首都はもちろん一千二百万ですけれども、首都圏になりますと三千万からの人口が集中しているんですね。だから、それが五十六万人になったとしても、これ一極集中解消ということにはならない。そうなりましたら、やはり移転推進のスローガン的なものとしかならないのじゃないかというふうに私は思っているわけなんです。  二つ目に申し上げたいのは、十二兆三千億円も使って首都機能移転するということは、壮大な無駄遣いであるというふうに思っております。  現に今、首都東京では立派な国の施設が次々と完成をしているわけなんです。私が資料を取り寄せて改めて分かったことは、衆参両院国会移転に関する決議が行われた一九九〇年から今日の二〇〇二年までの間に、首都圏の建設、建て替え、移転が行われた国の施設は、総理官邸で七百四十九億円です。そして防衛本庁で約四千八百億ですね。そしてまた、中央合同庁舎で二号館六百九十五億円です。同じ六号館では五百六十六億円、そしてさいたま新都心合同庁舎一千六百四億円。そして、合計しますとこれは八千五百七十三億円にも上るわけなんです。  このような膨大な予算で立派な施設を建設しながら十二兆三千億円の予算が必要になる移転をしようというのですけれども、東京都の試算では、先ほども言われておりましたように二十兆三千億円も必要ということになるわけです。国や地方が財政危機のとき、このような壮大な無駄遣いはやるべきではないと私はもう本当に固く思っております。  三つ目は、人口の少ない、東京から離れたところに国会移転することは国会国民から遠ざける、離すというもので、これは、主権者は国民ですからね、だからそういう声が国会に常に反映していかなければいけない、私たちはその代表でもあるわけですから、国会主権の基盤が崩れるのではないかということを感じております。  四つ目には、大地震の問題が先ほども出ておりますけれども、災害対策との関連で言われているけれども、災害対策というのは、国会移転ではなくて、三千万人が集中している首都国民の安全を確保するための震災対策の大型の国家プロジェクトをきちんと立てて、そしてそれをきちんと組み立てて作らなければいけないと、そういうふうに思うわけです。これを首都移転国会移転と一緒にしてはいけないと思います。  つい最近完成した首相の官邸があって、私も一度見に行ってみたいものだと思っておりますけれども、大災害などの際には官邸の全職員が二週間もあそこに寝泊まりして、泊まることができるということなんですけれども、この首相官邸は国会等移転したらどうなるのかということ、これは私、今日、専門家もおいでになっておりますので、どの参考人なりお答えをいただきたいと思いますけれども、一体、あれだけ立派なものができているわけなんですけれども、どういうふうになるのか、移転はしないんだろうというふうに思っているんですけれども、どうかということを是非お聞きしたいというふうに思います。  これら四点を述べましたけれども、私は国会移転には絶対反対であるということを、この四つを述べて結論とします。  以上です。
  17. 渕上貞雄

    渕上貞雄君 私は、国会移転調査会意義効果については全体一致するところであろう、こういうふうに思います。したがって、議論の段階は終わったのではないか。それは、十六項目評価項目をきちっと評価をした上でそれぞれ地域を選択したということになったわけですから、私はもう判断の段階、物事を一歩前に進めていく段階に来ているのではないか。  そこで、移転意義効果について了解をいただき、判断の時期が来たとすれば、今、国会移転先というところ、ここのところは言葉がちょっと、首都圏と言った方がいいのか国会と言った方がいいのか、ここのところは私、そうこの言葉にこだわっていないわけで、せっかく三つの地域東京以外に選択をいたしました。いずれも甲乙付け難いところだと思っています。  そこで、やはり私は、東京も入れて四か所のやはり再度評価をやるべきではないか、そして一か所に、国会については一か所に選定をしていくべきであろう。あと、せっかくこれまでいろんな調査をしてきた東京以外の三つのところの地域については、これは期待も持たせたでありましょうし、そこの人たちに何らかのやっぱり夢を与えたと思うんですね。だとすると、国会だけではなくて違ったものを、やはりこの「等」というのはそういうことではないかというふうに理解をしますと、例えば、そこの選から漏れるとか漏れないとかという議論をするのではなくて、首都圏賛成とか反対とかではなくて、いかにして我が国意義効果のところについてを十分満たすような形で、移転先は、やはり国会というところを一つ決めた後、東京も含めてあと二か所のところをどのようにしていくかということも含めてやはり考えるべきではないか。  なぜそういうことを言うかというと、やはり国会というところを移転するのかしないかということをはっきり決めてやらないと、あと候補地になったところだって、いつまででもそこはそのままにしておかなくてはならない状況というのが出てくるし、私は、情報化社会、情報技術がこれだけ発展をしてきて、これから先、地方分権は後れていると言われたものの、これから先進んでくると思います。そうすると、必ずしも今の東京でなくてもいいという感じがいたします。  したがって、やはり四か所の中から早急に一か所を決めて、あとの三か所についてどのような対応をするかというのは、これはまた別な委員会を私は設置してもいいと思うけれども、作ってやはりやるべきだと考えます。あと、判断は、経済的判断と政治的な判断は、ここのところはここでやればいいと思います。  あと国民がどのように理解をするかと。膨大な費用を使うわけですから、費用というのは税金のことですから。そうすると、国民がどれだけ負担に耐え得るかということになれば、社会的な評価をどうしていくのかということがこれから先大事なことになっていくのではないか。  したがって、いつまででも議論ばっかりやらずに、そろそろ次の段階へ進んでいく時期に来ているのではないか、こういうふうに思っています。
  18. 西川きよし

    委員長西川きよし君) ありがとうございました。  それぞれに意見の表明をしていただきました。  それでは、これより委員相互間の意見交換を行います。  発言を希望される方は、挙手の上、委員長の指名を待って発言されますようお願いをいたします。  できるだけ多くの委員発言できるように、一回の発言時間は三分程度でお願いをいたしたいと存じます。  また、本日は政府参考人出席いたしておりますので、発言者は必要があれば事実確認のため政府参考人に御説明を求めていただいても結構でございます。  なお、発言先ほども申しましたように着席のままで結構です。  発言のある方は挙手をどうぞ。
  19. 保坂三蔵

    ○保坂三蔵君 済みません、有馬先生もお手を挙げておいででしたけれども、何しろ答申を出していただいた審議会のメンバーですから、その部分は後でまた、でき得ましたら次の機会にお尋ねしたいと思っております。  先ほどお話がありましたんですが、井上先生の壮大な無駄遣い、こういう表現がありましたけれども、平成七年の暮れに、調査会会長でありました関経連の宇野収さんが、新聞記者の前でこういう話しているんですね。ここらで少しは壮大な無駄をして新しい時代に乗り換える弾みを付けたい、壮大な無駄をして新しい時代に乗り換える弾みを付けたいと、こう言っているんですね。私はこれに尽きるんじゃないかと、こう思うんですね。  ですから、いみじくも井上先生が壮大な無駄遣いじゃないかとお話がありましたことは、私は、ある意味では当初からのこの移転計画のねらいとはくしくも合致しているような気がするんですね。  この間、官邸へ行ってまいりましたけれども、これだけお金がないときに造りましてあれだけの規模のものができて、そして、この首都機能移転した場合どうしますかと、総理官邸が移った場合どうしますかと言ったら、あれは別館にするといとも簡単にお話がございました。それで、私は、いや、大したもんだと。公共事業を一〇%カットしたり、二〇〇三年まで財政構造改革集中の凍結期間で、まだ凍結解除されていないんですよね。そういう時代に造って、まあ造った関係者に言わせますと、もうちびってちびって、もうこれしかちびりようがないと、節約しようがないといって七百億円掛かったというんですからね。やはり、私はこういう計算をすると、新幹線が、東海道新幹線が完成した昭和三十九年、第一期の当初計画の倍になりましたからね、倍になりましたから。一千七百億円が三千五百億円になったんですから、当時。それを考えますと、東京都が言っている数字は大ぼらではないと、大ぼらではないと私は考えます。  賛否はともかくとしまして、実は、いい機会ですから、是非聞いていただきたいことがあって私は発言したいんですが、それは、今日も各先生方のお話を聞いておりましたけれども、メンバー、御案内のとおり、例えば長谷川先生も埼玉で、東京に賛成になるか別としまして、首都圏ということでいえば、長谷川先生も浜田先生も埼玉で、私も東京。それで、江本先生も高知だけれども大阪、それから有馬先生も大阪ということで、差し引いていきますと、福本先生の広島とか、沓掛先生の石川と、渕上先生の福岡の三人の先生しか関係者じゃない、関係県じゃない先生方なんですね。歴代こう続いているんですよ。  私は、時には外されたことありまして、反対の東京だからいいだろう、しばらく休めといって外されたんですが、事ほどさように、私は、この委員会が、当初から建設促進委員会あるいは建設協議会みたいな様相を感じてならないんですね。  そこで、議論が尽くされたというお話ありました。確かに十年経て議論してきましたから、あらゆる角度から議論がされたことは認めます。ですから、おっしゃるとおり、候補地方々は、もう監視地域の規制地域に入れていますからね。ですから、そういう点で私権の制限までしているわけですから、早くせいというのは分かりますけれども、掛けた金を損害賠償するというのは、これはちょっとけちな考えで、大阪の市長がオリンピックで失敗して首くくって死んだとは聞いていませんで、やっぱりそれは違うんじゃないですか。掛けてくれとお願いしたこともないしね、我々は。ですから、それは冷静にということで岐阜知事にお願いしたことがあったんですよ。  それで、実は私が申し上げたいのは、国会の役割ですね。国会等移転に関する法律が、これは議員立法平成四年に、暮れにできたわけですけれども、ここで二十二条と二条、済みませんが事務方で御見解を伺いたいんですが、議員立法ですからお尋ねするのはちょっと筋違いのような気がしますが、今までの衆参両院の議会の中で二十二条の解釈を、どう定着されてきたかをお尋ねしたいんです。  ということは、二十二条で、国会は、審議会報告を受けたときは、社会経済情勢の変化と国民合意形成を踏んまえて、移転の合理性について審議すると、これがまず第一項に来るわけですね。移転の合理性について審議する。その二項に、移転の合理性が認められたときは、国会は、候補地東京都を比較考量し、移転の可否を決定すると、こうなっている。三項には、国会移転を可としたときは、移転先は別に法律で定めると、こうなっているわけですが、この二十二条の社会経済情勢の変化と国民合意形成を踏んまえてと、これは先に来ているわけですね。プライオリティーとしては、候補地をどう絞ろうかという前に、移転すべき合理性を審議しなさいよというのが法律の含意ではないか、あるいは法律の趣旨ではないかと私は読んできたわけですが、これはどう御理解いたしていますか。  プライオリティーなくてごちゃごちゃにやって、候補地も一緒にやって、今申し上げたように候補地関係者だけで議論していますから、おれがいい、あれがいいになるわけですね。その二十二条の一項の合理性というのはどういうふうに、今まで十年も掛けてやってきて、最後の段階ではどういうふうに自分たちはこれで決着を付ければいいんでしょうか。
  20. 徳留健二

    政府参考人徳留健二君) 二十二条一項ではない、二十二条そのものでございますか。
  21. 保坂三蔵

    ○保坂三蔵君 国会の役割を行政に聞くというのはちょっとおかしいんですが、議員立法の提案者がここにいないものですからね。今までの経緯でどういうふうに議論してきたかなと。
  22. 徳留健二

    政府参考人徳留健二君) 二十二条はですね、二十二条、「審議会答申が行われたときは、国民合意形成状況社会経済情勢の諸事情に配慮し、東京都との比較考量を通じて、移転について検討されるものとする。」と、こういうふうになっております。
  23. 保坂三蔵

    ○保坂三蔵君 簡単に言いますけれども、合理性を先に、移転をすべきだということを国会で決めなくちゃいけないんじゃないかというふうな判断で来たわけですよね。時点としては同時になったっていいのかもしれませんが、プライオリティーとしては、移転が決まっちゃっていて、国会答申を三候補地に絞ったんだから、三候補地の中から一か所に絞るのだけが国会の役割ですよと読むのか、あるいは三候補地でも、現に衆議院委員会では、三候補地に絞ったけれども、北海道の苫東みたいな遊休資産が空いているところはどうするんだとお尋ねしたとき、実は、三候補地に入っていないけれども、苫東も候補地の該当の地域に入りますということを国土交通省は答弁しているんですね。これは歴然と答弁している。  ですから、そういうことからいうと、移転の合理性というのはどこで我々踏み切ったんでしょうか。ですから、衆議院が昨年の五月に一本化するということを決めました。あの中には、移転をすべきことは既に決まったと。そして、次に三本を一本に絞るとは言ってないんですね。
  24. 西川きよし

    委員長西川きよし君) ちょっと時間が先生、長いようですので、バランスよく。
  25. 保坂三蔵

    ○保坂三蔵君 それじゃ、いいですわ。じゃ、バランスよく最後に。  なぜこのことをお尋ねしたかといいますと、やっぱりはっきり言って私は、ここに書いてある社会経済情勢の変化ということをわざわざ、社会情勢を踏んまえじゃなくて、変化ということが入っているわけですよ。平成二年の国会決議で我々かなり自縄自縛になっていまして、当時の衆議院の在籍していた、平成二年の決議と四年の法律作ったときに在籍した国会議員は、現在在籍している方は三割です。それから参議院ではわずか一割です。それ以外の人はその決議に加わっていないんですね。  ですから、石原さんもいいんですよ、石原さんがはっきりとあのとき、衆議院ではあんた賛成したじゃないかと言われましたけれども、途中から変わったっていいわけですから。  それで、今のところで、それから最後国民合意形成で一つだけ。もう時間、一分でいいです。  国民合意形成というのをどう取るか、委員長に再三私はお尋ねしましたら、合意形成というのは、さっき渕上先生からも国民の理解、それからそのほかの先生方も、江本先生からも国民の、党内での決議はどうするかというところで国民のところも聞きましたけれども、実は、平成九年の世論調査で、内閣府が国会移転の世論調査しているわけですよ。  ところが、そのときの世論調査について国民の間から問い合わせがありまして、閲覧というのがあるんですね。平成十三年度の調査閲覧申込書というのがあるんですが、この中で、実は第一位は、国民生活に関する世論調査というのが二百八件。首都機能移転に関する世論調査に対する資料要求、ゼロ件。ほとんど関心ない。だから、世論形成というのはどこで確認したのかと。そういうものを踏んまえた上で移転の合理性というのが出てくるんじゃないかと私はあえて申し上げたいんで、ほとんど十九対一でしゃべっていますから、時間を取って申し訳なかったんですが、私、初めてなんですよ、この機会。そういう点で御理解いただきたい。
  26. 西川きよし

    委員長西川きよし君) 申し訳ございません、時間の都合がございまして。
  27. 谷博之

    ○谷博之君 私はこの委員会は昨年の七月から参加させていただいたわけですが、その前の十数年間、いわゆる候補地の県の県会議員としてこの問題がスタートする前からずっと地方でかかわってきた、そういう立場でございました。それで、そういう中で国会審議については選出の国会議員の皆さんからも話を聞いておりましたが、そういう立場ですから、過去のことについて、当然昨年の七月以降のそういう立場になります。しかし、それは関係するそういう立場というものは当然ありまして、そういう思いから発言をさせていただきたいと思っています。  先ほど江本委員から民主党の考え方が出されました。私もそのとおりだと思っていますが、それにちょっと付け加える形で発言をさせていただきたいわけでありますけれども、この国会移転というのは、具体的に候補地の絞り込みということになっていますが、私はもう一つやっぱりとらえておかなきゃならぬことというのは、これは民主党の一つの党の基本的な方針でもあるんですが、現在ある四十七都道府県、そして三千を超える市町村、地方自治体がありますけれども、国も市町村合併を含めていわゆる地方自治体の効率的な再編をしようということで、言うならば、県段階で言いますと、分権型の連邦国家といいますか、そういうふうなものを私は将来目指していく必要があるんじゃないか。  特にこれからの国家というのは、いわゆる国の基本的な事務とか、あるいは外交・安全保障とか司法とか通貨とか、そういうふうな問題をやはり国は考えるべきであって、それに対して地方というのは、それをきちっと、住民との間の中できちっと担保していくための言うならば教育や福祉や医療や町づくりといったそういうところに力を入れていく、正にそういうふうな体制がこれからの二十一世紀の新しい私は国家づくりではないかと思っています。  具体的に、じゃその連邦型国家というとどうなんだということですが、これは将来の議論がありますけれども、できれば衆議院のブロックの十一ぐらいのそういう連邦制にするとか、いろんな議論はありますけれども、ただ私は、そういうふうな大きな流れの中にこの国会移転については位置付けるべきだというふうに考えておりまして、そういうことを考えてプロセスをやっぱり作っていく。  そしてもう一つは、十万だ三十万だという議論もありますけれども、私は二つの理由があると思いますが、一つは、国会が、先ほど申し上げましたように地方で受皿として我々やってきたそういう感覚からすると、それはそれとして、やはりきちっとしたその方向性を出すべきだし、もう一つは、例えばもう今日のあしたにも災害が起きるかもしれないという、そういうふうなことが例えばあるとすれば、やっぱりこの結論というのは今の時点できちっと国会が出すべきだ。それは当然政党もそうであるし、国会もそうであるというふうに思っています。  そういう点で、最後に申し上げますけれども、私は、今言ったような形で皆さん方の意見のとおり結論をできるだけ早く出して、そして、出した後具体的なスケジュールを、そしてまた、先ほど申し上げたような大きな日本のいわゆる新しい国づくりといいますか、そういう議論の中にこの国会移転を位置付けていくべきだと、このように考えております。  以上、意見です。
  28. 有馬朗人

    ○有馬朗人君 有馬でございますけれども、先ほど保坂委員がおっしゃったように、私は国会等移転審議会でずっと議論をしていた中心的な人物であったわけでありまして、会長になる直前に参議院の方へ出ちゃったものですから会長は森亘先生にお願いをしたんですけれども、一つここで、私がその議論を通じて感じていたことは、平成二年の国会等移転に関する決議がなされた時期とそれから今日とでやっぱり事情が変わっている。この点は保坂委員が御指摘になられたことでありますが、そこをもう一度我々考えなくちゃならないんだろうと思うんです。  ですから、どれだけその決議をしたときと今とでどんな条件が変わっているか、この辺について一度きちっと反省をしておく必要があると思います。しかし、国会等首都機能というのは単なる景気の変動によって決まることではないので、もっと深い理念的な理由があればやはり進めていかなきゃならないだろうと思います。  私は今になって、あの国会等移転審議会で三つにすることをやめればよかったと思うんです。一つにすればよかったと。私は大変反省しているんです、私の意見で三つにしようと言ったので。惜しかったと思うんです。一つにしておけば皆さんを煩わさなくて済んだ、申し訳ないと。  ただ、私は、だから、ここに報告が出た以上、三つから一つは選ばなきゃいけないと思う。そこで一つを選んだ上で東京との比較を真剣にやるべきだと。ですから、まず第一は、条件が変わっていないでしょうか、経済情勢が変わっていないでしょうか、平成二年と今とはどういう変化があったでしょうか、その変化にもかかわらず国会等移転をすべき理念を持っているんでしょうかということを率直に反省する。その上でさらに、移転をすることが良いとなるならば、即刻ここで三つのうちの一つに決める、そして東京都との比較を真剣に行うべきだと私は思います。  そこで、一つ参考人にお聞きしたいのですけれども、私がまだ会長代理をしていたときだと思いますけれども、金額を先ほど報告あったように評価しましたよね。東京都の方の評価と随分食い違っているということ、先ほどお話がありましたけれども、この審議会での評価から既にもう相当の時間がたっている。現在、国土交通省として再評価をするならばどういうふうな金額が出てくるか。この辺について、今お答えくだされば有り難いし、なければまたいつかお教えいただきたいと思います。  以上です。
  29. 徳留健二

    政府参考人徳留健二君) 今、有馬先生おっしゃったことにつきまして、今、国土交通省としては再評価をしておりません。ただ、その後の状況からしてそれほど価格は上がってはいないんじゃないかというか、印象を持っておりますが、正確な数値は計算しておりませんので今お話しすることはできません。御容赦ください。
  30. 和田ひろ子

    和田ひろ子君 民主党の和田ひろ子でございます。  私はこの議論が、法律とかいろいろのことを言われますが、基本は衆参の決議そのものだというふうに思っています。何で国会等移転をしなければいけなかったか、その決議をもう一度皆さんで見直して、その決議がどんなものであったか、この決議によっていろんな法律が出てきたわけですから、この決議を基本的にもう一回考えていただきたい。今日もここの二ページに出ておりますけれども、やっぱり地方に住んでいる者にとって、一極集中されてしまったこの東京都、また地方状況をどんなものだと皆さんが思っておられるかということをよく考えていただきたいということがまず一つです。  そして、国会決議をするときに私たちの大半はいなかったんだという御議論が今ありましたが、そんなこと言ったら法律というのは、私の生まれる前からの法律をみんな守っているわけで、そういうのは議論にはならないんでないかということを申し上げたいと思います。  そして、時代が変化したということをおっしゃいます。そして、東京との比較考量ということが有馬先生のお話によってよく分かりました。平成二年度のときのことの時代と今の時代がどう違うか、だから比較考量しなくちゃいけないんだというふうにおっしゃったんですが、私は東京都との比較考量は絶対必要ないというふうに思っていました。  ただ、今、先生が、バブルの時代というか、そういう時代の比較考量だからしなくちゃいけないという意味がよく分かったんですが、例えば、今こんな時代、こんなに経済が疲弊している時代、だからいろいろよく考えなさいということなんですけれども、じゃ政府というのはこんな状況が長くずっと、未来永劫疲弊した状況が続く、続かせるというふうに思っていらっしゃるのかという疑問があります。だから、いい時代にするためにみんな努力をしているのであって、災害とは全然別な問題なんですね。そして、この決議にある内容とも全然、経済状況というのを一緒に考えるのはおかしいというふうに私は思っています。だから、経済を良くする一つの方向と、一極集中是正して地方にも同じ、文化でも、そういうものを一緒にするということを全然別の軸で考えていただきたいということを申し上げます。  そして、今、先国会、今国会都市の再生ということがいろいろ議論になっております。例えば、ビルの上に植栽して温暖化を防ごうとか、樹木を植えてなるべく東京都の温度を下げようとか、そういうことです。大深度法なんて地下鉄の下にまた地下鉄を造ろうじゃないかなんという話だとすれば、東京都の人が本当に喜ぶ法律なんでしょうか。そんな危険なことがこの東京都に行われて東京都の人は果たして喜ばれるんでしょうか。もっともっと安全な東京都を造るべきであり、安全な市民生活ができる都市を造るべきだというふうに思いますので、私は福島県の議員でありますけれども、福島とかそういうことではなしに、この国会決議こそが一番の問題点だということを御指摘をして、終わります。
  31. 沓掛哲男

    ○沓掛哲男君 少し基本的な話もさせていただきたいんですが、首都というのは、やっぱり単にその地域の振興だけじゃなくて、国全体のリーダーとして国の発展に大きく貢献してもらうところじゃなきゃならないと思います。  そういう点で、首都の中と、それから他地域への影響という二点から考えてみて、まず都心の中、地域ということについてはもう皆さんも十分議論されたし、ただ、私一点で申し上げれば、昭和三十七年の全国総合開発ができたときから既に首都圏というのは規模の利益を超えて集中の弊害が発生しているということで、その後三十年ほど私も省庁、建設省にいて、それをなくするために全力を挙げてやってきました。お金はもう糸目を付けないでもやれということでやってきましたが、進みません。今おっしゃったようなことがもうあるんです。  ですから、ある程度、私、東京にどうしても反対だという人にも、では、このままあなた二十年も三十年も五十年も東京都はこのままでいいの、これから何をやろうとしてもできませんよ、いいんですかと言うと、みんなそうですねと言われるんです、保坂さんはどう考えているかあれだけどね。そう言われるし、まあそれが一つ。  それから、全国的に見れば、やっぱり首都が置かれればその地域は振興するんですよ、それは当然過去の歴史が示しているので。そういう点での、もう東京都自身は全国を引っ張っていくにも限界が来たし、自分の中にも、私は限界が来たなという、そういう思いがいたします。  ですから、それとともに、私は、平成二年から今までの中で非常に大きな問題というのは、国際的な視点だと思います。  昨日も石原さんが経済新聞に論説を出していました。それは、あの人はシンガポールへこの間行かれて、シンガポールは今ハブ空港として、アジアの南の方の、東南地域のものを一手に引き受けているんです。しかし、自分の中で使うものはわずか〇・六%。九九・何%は全体の地域のハブ空港で、いや港湾です。ですから、これからハブ空港やハブ港湾という時代ですから、石原さんは東京港をいわゆるアジア地域のハブ港湾にしたいと、こう言っておられるんですよ。  私は、それはもう東京都は是非やればいいし、かといって、じゃ何でもできるかといえば、それはそれはなかなかいかないわけですから、やっぱり東京都も含めて、私は今、先ほど渕上さんはいろいろな意見をおっしゃったけれども、この三候補地をこれから一・五か一つにか絞って、そしてまた東京都と比較考量するといったって、そんなことはもう大変です。  それよりも、やっぱり私は法律を直してでも、もう十数か所の候補地から三候補地に絞られたんですから、この三候補地東京を入れて、そして全体として日本の国の振興、あるいはまたその地域全体の生活水準やいろんなものを上げていくにはどうしたらいいかという、この三候補地で一挙に解決してしまうという方法でないと、三候補地をまたここで一か所絞って、そしてまた東京都と比較考量してと、これはもうますます難しくなるなというふうに思いますので、そういう点で、まあ法律議員立法ですから変えてでもしないと、このままの法律でやっていくとすると非常に難しいなということを強く思います。  それから、私は、東京のところと、私は石川県ですけれども、石川県の能登なんかへ行くと、小さい子供が手を振るとにこにこにこと笑顔ですよね。東京都の子供に手を振ったら走って逃げるわね。私もずっと東京に住んでいるんですが、そういう心の問題もあるなと。  だから、東京は大事にしてもらわなきゃなりませんし、世界経済都市として、私はやっぱりハブ港湾やハブ空港的なものをアジア太平洋地域の中心核としてやってもらわにゃいかぬけれども、じゃ、そのほかのものまでもというと、やっぱり限界が来ているなというふうに思います。保坂さん、いかがですか。  まあそんなところです、委員長
  32. 草川昭三

    草川昭三君 もう私はごく簡単に要望だけ、選定に当たっての要望なんですが、候補地移転先選定基準の中に国際的な空港というのがございます。それで、欧米主要各国の元首専用機等が発着可能な滑走路を有し、四十分程度以内で到達可能というのが一つあると思うんです。非常にまあこれはポイントだと思うんです。  それで、翻りまして、その候補地の、二つあるんですが、いわゆる岐阜愛知、それからもう一つは畿央ですね、この前も皆様方に参加していただいたんですが。実は、現在、名古屋空港というのがあるんです。ところが、地元の方では、もう御存じのとおり、中部国際空港というものに対して一元化しようということで現在進行中でございまして、この点について、名古屋空港をもし生かすとするならば、岐阜愛知はもう全くこの三十分で到達をするいわゆるゾーンになるわけです。それから、畿央の方もせいぜい四十分ぐらいで、現在のハイウエーを使えば十分対応できるという。ところが、この名古屋空港というのは将来中部国際空港という新しい空港に一元化するという大きな一つの条件になっておりまして、両候補地とも非常に遠慮をされてみえるわけです。  まあたまたま過日の畿央の視察のときに知事さんにそういうことを私質問をしましたら、非常に含みのある発言で、先ほど調査室の方から報告がありましたように、名古屋空港の利用についても検討するという報告になっておる。  私は、是非候補地選定等については、せっかく現在稼働している名古屋空港ということを念頭に置きながら、今後のまた問題点にしていただきたいと。ですから、結論から言いますと、私はなお調査をする余地がありますよということを申し上げて、終わりたいと思います。
  33. 近藤剛

    ○近藤剛君 私は、昨年からこの委員会の議論に参加をさせていただいております。参加させていただくに当たりまして、原点に立ち返ることが重要だろうと、そう思いました。  そして、平成二年十一月七日の決議をもう一度私は見てみたわけでございます。この趣旨は基本的には二つあろうかと私は解釈をしております。一つが、一極集中を排除する。そしてもう一つが、二十一世紀にふさわしい政治行政機能を確立をするということであります。  そして、この十年前、十年前の日本にありましては、その答えが首都機能国会及び政府機能移転であろうかと、そういう結論であったんだろうと思います。しかしながら、この十年間で世界、そして日本経済情勢、そして財政情勢も大きく変わったことは御承知のとおりでございます。  今日、冒頭、国井理事、それから江本理事からお話がございましたように、国会のこの決議、非常に重いものがある、そして委員会が積み重ねてきた議論にも大変重いものがある。それは全く同感でございます。しかしながら、最も重いのはこれから我々が行おうとしている決定であります。したがいまして、今までのいきさつに余りにもとらわれて所期の目的を忘れてはならない、そのように思うわけであります。  結論だけ申し上げますと、私は全国比例代表でございますので、できるだけ地方日本全国の皆さんの声を聞くということを大切にしたいと思っておりまして、できるだけ地方に出掛けるようにしております。そして、出掛けた場合には必ずこの国会等移転の問題についてのお話を伺うようにしております。最近まで、昨年から今年に掛けてのそのような意見を集約してみますと、とても今我々がこの平成二年に行った国会決議に沿った形での結論を出すコンセンサスはないと、そのように思います。  より具体的に申し上げますと、決定をこれから我々が行うに当たって考えなければいけないことは三つほどあるんだろうと思うんです。  今申し上げましたように、民意がまだそこまで到達をしていない、またある意味では十年前の民意とは大きく今変わっている現実があることを我々は直視をしなければいけない。それが第一です。  そして、第二が、世界の情勢が大きく変わった、そして特に日本経済、そして財政事情が十年前とは様変わりであります。我々はそのことから目を背けてはいけないと思うわけであります。  そして、もう一つは、新しい状況が生まれてきているということも我々は十分に考慮しなければいけないと思います。  その一つが、今議論が始まっております構造改革の一環としての中央から地方へと、その動きであります。地方分権あるいは地方主権の議論がこれから高まろうとしているその矢先であります。そしてまた、もう一方で、e—Japan、eガバメントといいますか、政府の電子化の動きがございます。このような新しい状況も踏まえて我々はこれからの議論を進めていかなければいけない、そのように思うわけであります。  結論をもう一度申し上げますと、平成二年の決議に沿った結論を出す今、時期ではないのではないか、そのように私は思うわけであります。しかしながら、最後に一つだけ付け加えさせていただきたいのが、全く新しい今までと違った首都圏のバックアップ機能が必要になってきたと、こういう状況であります。冒頭、国井理事が言われたとおり、私も全くそのように思うわけであります。  具体的に申し上げますと、阪神・淡路の大震災があった、あるいは九・一一、ニューヨークあるいはワシントンの惨劇があった、このような状況を踏まえて我々は、緊急事態に対応する首都機能のバックアップ、それがどうあるべきかと、そういう視点での議論が改めて必要だろうと思っております。  ありがとうございました。
  34. 長谷川清

    ○長谷川清君 私は、この議員立法のときは退場していました。東京都連に所属していたということもあって、当時は公明党さんとも一緒でしたから一緒にざっと退場しましたが。  前回のときに私は、有馬先生に、審議会が三つも出してきたから、だからこんなふうになっちゃうんだと言って非難めいたことを申しましたが、先ほどのお話で、これが本当に一本に絞られていればもっとシンプルな議論ができたかもしれませんが、しかし、事さように、審議会でも一つに絞り得なかったぐらいに大変な作業だったんだと思います。  結論からいきますと、私は、有馬先生の言われた三つのこと、同感でございます。この十年の間、今もお話がありましたが、私は、一番変わったのは、あの十年前、これを議員立法で我々が審議したときは、今のような構造改革とかそういうものがほとんどテーマには上っておりませんでした。  したがって、先ほどもちょっとございましたような連邦制であるとか道州制であるとか、例えばニュージーランドはいわゆる一つの町の、都市の人口を五十万で設定して成功しておりますが、それをそのまま導入はできないにしても、三千三百市町村、四十七都道府県、このありよう自体、これは五十万組織、人口が一番サービスと効率がいいと仮にするなら三百で集約できることになる。そういったひょろ長い島国の、山脈が中央に走っている我が国固有のそういった構造の改革というものも、小泉さんになってやっと今みんな、国民の中にも火が付いてきていると。  だから、したがって、今そういう状況の変化の中で、有馬先生がしょっぱな言っていた十二年間のこの間の変化というもの、単純に私はどこか、東京なら東京になればいいやと思って言っているんではございません。本当の意味で日本が、これからの五十年、百年に向かって、いわゆる戦後の五十数年、この五十数年は成功したと思います。しかし、そのシステムが逆の弊害になっているんですから、新しいものへというものの中の首都移転というのがあるという位置付けで見るべきであると、このように思います。  先ほどの議論のような、私は、さっきの有馬先生の三つ、二つ目は、三つに絞っていないから、分かれているからこれを一つに絞る作業というのがありました。私はそれは同感です。今言ったような大きな構造というふうなもの、構造改革が必要だという認識の上に立って、それは十年前なかったことです。しかし、そういうものも新しい価値を加えながらこの問題はスタートを切ってここまで来ていますから、そういうものも含めて全部検証ができるはずです。三つの新しい候補を一つに絞らなきゃなりません。絞って初めて東京との比較がある。そのことが、この十年前の決議にもそれを書いてあるわけです。まず絞り込むこと、三か所出たから、その上に立って東京との比較考察をしなさいと。決議でもそうなっているし、法案の先ほどの二十二条もそれをうたっていると思います。  したがいまして、どこから見ても、これまでのものを全部捨て去ろうというんじゃなくて、せっかくここまで来ていますから、我々が今やるべきことは、三つをどう絞るか、その前に、十何年の間のいわゆる変化というものをどう認識するか、とらえるのか、非常に大事なポイントがあるという、そういう視点に立って、残された時間、英知を絞るべきだと。そうすれば、結果して、最後にやはり、皆さんがいろいろとチェックポイントで、もう何百もあるでしょうね、世論という問題もあるでしょう、経済的な問題もあるでしょう、あらゆる問題、クリアしなきゃいけない問題は、その作業の最後に残ったところ、これがやはり世論に支持される最後の答えになるのではないか。これまでを捨て去るのでもなく、しかし新しい価値をそこに、物差しをもってこの三つを一つに絞る作業と東京との比較を真剣に行うべきだ、私はそう思います。
  35. 太田豊秋

    ○太田豊秋君 皆さん、それぞれ各党の代表の方々、そしてまたそれぞれ先生方からいろいろな意見を出されたわけでありますが、私は、基本的にこの問題というのは、まず考えなければならないのは、衆議院が五月中に一つの結論を出すということを委員会決議として言い切っているということ、ここと私ども参議院委員会としての整合性をどういうふうにするのか。向こうは向こうで勝手に出すんだから、こっちはこっちで結論が出るまでの間議論をしていこうじゃないかというふうなことに理事会の中で持っていかれているのか、これが私はこれからの議論の中で非常に大きな問題になるんじゃなかろうかなと、こんなふうに一つ思っております。  それからもう一つは、法律を作るときに、各党がそれぞれ各党の立場で党内のいろいろな議論をしてきたと思います。そして、これが議員立法として法案として出され、なおかつ、最終的に決議をするとき、東京との比較考量という問題があのときに初めて出てきまして、それで、じゃ、どこかと出たときにはそこと比較考量をするんだから東京都の方々もひとつ納得してほしいという形で、私は、本会議でこれが成立していったというふうに思うんですよね。  それで、当然、審議会で、先ほど有馬先生から、三か所のやつ出しちゃってごめんなさいというふうな、非常に何か我々、大先輩からあのようなお言葉をお聞きして申し訳ないと思うぐらい恐縮しているのでありますが、ある意味では、審議会は、国会に三か所のうちから一つに絞ってくださいということで我々が任されてしまったというふうなことが、一つここで我々は荷物を持ったなというふうな考え方が出てくるわけですよね。  それからもう一つには、確かに平成二年とかいろんな問題からの、社会的、経済的情勢とかあるいは国内の情勢、国際的情勢がどうなったか、そういったことはあるにしても、基本的には、あのときの決めた、首都機能移転をしなければならないのは、これから東海地震を含めて大災害都市圏に起こったときに日本の安全保障というものをどうするんだ、安全の危機管理をどうするんだということがあのときの問題として議論になって、それが基本でこの法律が私はできてきたと思うんですよね。変わっていないのは、この安全の問題、危機管理の問題、この問題については、十年たとうが百年たとうが私は変わってきていないというふうに思うんですよね。  それで、我々は、やっぱり法律を自分たちの手で作って、国会で、そして国会審議の中で決めていくんだということであるならば、今現在与えられているこの法律の中で議論をする場合には、当然にしてこの三つの中から一つに絞っていくという作業もまた我々の責務だというふうに思うんですね。そこで、絞ったところで法律にのっとって東京都との比較考量をしていくんだという、こういう考え方をこれから我々はしていかなければならないというふうに、私個人はそのように考えてこの委員会出席をさせていただいております。  もしこれが駄目なんだということであるならば、これは国会としてどうするのか、法律改正する方向で各党が作っていくのか、こういったことをもっと別な次元に立って議論をしていかないと、今与えられている法律で我々は議論しているわけですから、この法律の問題をどうするのかを、そうであるならば、もう一度なかったことにして議論をし直さないと、ゼロに返ってし直さないと、今のような議論にはなっていかないだろうと、このように思うんですが、この辺のところを我々はもう一度責任というものを自覚する必要があるんじゃないかと、こんなふうに思いますので、ひとつ衆議院側との関係と、この法律にのっとって我々がこれからも議論をするのかどうなのか。  それから、十年たっても変わっていないというのは、あの当時の議論の、法律を作った原点である危機管理の問題、安全保障の問題、こういったことでこの法律が仕上がってきたんだということは我々は忘れてならない。この部分のやっぱり言及というものを今までちょっとお聞きしている中では余りなかったものですから、そのところをちょっと私は申し上げて、これからの議論の中身に御批判をいただいていけばと、こう思います。
  36. 浜田卓二郎

    浜田卓二郎君 正直に申し上げて、埼玉県であるということが理由かどうか、余り切迫した問題意識が実はないんですよね。  これは私だけのことではなくて、先ほど来いろいろな方も、意見が、国民の世論というか、なかなか集約され切れていないという御発言がありますけれども、そうだと思うんですね。どうしてもこうしなきゃいけないという、そういう動機が社会全般に必ずしもでき上がっていない。  ところが、問題意識はあるんですよ。つまり、過度の集中というのは事実ですし、高いビルから東京を見たら、これは空恐ろしくなりますよね。世界じゅうの都市を見て、これぐらい集中している都市はないでしょう。近藤さん、ニューヨークなんかよりもよっぽど東京の方が空恐ろしくなりますよね。高速道路をどこまで走っても密集地でしょう。だから、これ以上集中させていいとは思わないし、このまま放置していってもいいとは思わない。そういう一般的な問題意識があるんだと思うんですね。  だけれども、それがどうも集約化され切れていない。十年議論してきても、私は十年前の空気はよく知りませんけれども、この委員会だってすぐには決まらないよというような、何となくそういう前提がありますよね。だから、この会期中に衆議院がどういう結論を出すのか、それが一か所に絞ってここでというような話にはそれはなりっこないだろうとみんな思っているわけですから、私は、問題意識というものをもっと集約化する方法を考えなきゃいけないというふうに思うんですよね。  だから、実は今の国会というのは増税一つ決め切れない国会ですよね。今はもうだれが見たって三十兆を放置していっちゃいけないと言いながら、増税のスケジュールなんというのはもう、幸い景気が悪いからそんなことを議論しなくても免罪されているわけですから、気楽になっている面はありますけれども。  つまり、この首都移転を決めるなんというのは物すごい政治的リーダーシップと、それを可能にする物すごい社会的状況とか、あるいは緊迫感とか、世論の集約とかいうのがなきゃできないわけですから、私は、このまま時間を延長していってこういう議論で、平場で議論していったって決まりっこないと思うんです。  特に、有馬先生じゃありませんけれども、三か所でその問題を国会にゆだねたのは誤りだったとおっしゃっていますけれども、三か所を一か所に絞るのが国会の場では無理ですよ。できっこないんですよ。特に、今のように権威もガバナビリティーみたいなものも物すごく落ちている状況ですからね。役所も権威がないでしょう、役所だって傍観しているわけだし。国会の中でみんなお国の代表でわあわあ議論したって、これ百年議論したってこの平場じゃ結論出ないですよ。  これが言ってみれば、私の言い訳じゃないけれども、この委員会に配属されたけれども、余り鮮明な問題意識になっていないという理由なんで、私がずるずるしゃべってもしようがないから、決めるんだったら決められる方法を決めるべきですよ。  だから、その潜在的なニーズというのは私は否定しませんよ。やっぱりそれができれば、今、日本はみんな新しくしたいですよ。だから、その象徴として首都移転する。景気が悪いから時期が悪いというのは逆であって、景気悪いから逆に、それはニューディールだって同じですけれども、景気悪いからやればいいという面も実はあるわけですから、というのが私の意見です。
  37. 鈴木政二

    ○鈴木政二君 もう大体これで最後になると思いまして、時間内に早まったからしゃべらせていただきます。  基本的に、私の恩師でありました村田敬次郎先生がこの首都機能、私は秘書をやっておりましたから、引き続いてこれをさせていただいて、入ってずっとこれで八年目ですけれども、最終的に国会で議員が決められないから審議会で決めて絞ってくれというような雰囲気を、そうは言いませんけれども、そういう雰囲気の中で審議会が結論をして、それがさっき有馬先生言ったように、三つ出してきたということに私は非常にこれは残念に思っているわけです。  いろんな議論を今日ずっと聞かせていただいて、当時、最初に入った平成七年と大分変わってきました、議論の中で。最終的に、これ国会等と書いてあるけれども、国民の皆さんは首都という感覚で恐らく見られている方が大多数だと思うんです。首都というと、三権分立の中でそれこそ立法、行政司法。そして、もう一つ私が前から言っているのは天皇陛下のお住まいというか、その土地というものに非常に日本の場合は、国民の象徴である天皇陛下のお住まいというのは非常に重たい私はものを持っていらっしゃると思っております。  結論からいいますと、今現在で国会等で何ら、さっき浜田先生最後にちょっと言われたけれども、今、国会でそんなに緊急を要する話じゃない、東京都にあっても別に今は本当に問題があるかどうか、変えなきゃいけない緊急性があるんだろうかというのがここ七年、八年の私の感覚であります。  ただ私は、新しい時代、さっきいろんな方が言っていらっしゃいましたけれども、国際的にもいろんな部分で二十一世紀に新しい気分でこの閉塞感を、四百年続いた東京都で本当にいいのかどうなのか、そして気分を新たに、国際的な感覚の中で国会首都を変えていくのは私は大変大事なことだと個人的にそう思っているから、この委員会に入りいろんな議論をさせていただきましたけれども、結論からいうと、私は、さっき言いましたように、審議会が三つぶつけてきた。国民のコンセンサスがどうのこうのという話がありますけれども、首都移転するのは時の権力者が常に強引にやってきたのが今までの歴史であります。  しかし、こういう民主主義の社会の中であって、国民の合意というのは、我々議員が代表して出てきているんですから、最終的に絞り方は私たちが勇気を持ってこれを決めなきゃならない結論だと私は思います。これは選挙で問うのか何で問うのか分かりませんけれども、私ども議員がやはり決めるのが国民の私は民意だというふうに、議員代議制でありますから、私は腹を据えて決めていくべきだと思います。  もう一つ、参議院衆議院決議が違う。これは一つの技術的な方法でありますけれども、私は、この特別委員会というのはある部分では衆参一緒の特別委員会でもいいんじゃないかと。その方がより国会というものの中で、一つの考え方でありますけれども、これは一つにしてもいい特別委員会ではないかというふうに私個人は思っていますし、そういう部分では、これは御協議、議会運営の御協議をいただいて、一つの特別委員会として衆参が合同の審議をしていく。これで、私ども議員が責任を持って結論をしていく。  そして、もう一つ、三つ候補地を決めました。審議会が決めました。決められなかったと言った方がいいかもしれません。だったら、もう一つ、御意見国会議員の中で、議員さんたちの中であるならば、東京都も一つの考え方として入れて、もう一遍議論をして、はっきりと結論を出していくという作業を早急に進めるべきではないか、こんなふうに私は思っております。  ちょうど四時になりました。
  38. 保坂三蔵

    ○保坂三蔵君 委員長最後に進行について、いいですか。もう鈴木理事が締めくくってくれたんでいいんですが。
  39. 西川きよし

    委員長西川きよし君) はい。じゃ、手短にお願いいたします。
  40. 保坂三蔵

    ○保坂三蔵君 さっきから心配しているのは、衆議院が跛行的にどんどん進めているわけですよ。決議もした。うちはしていない。それから、石原衆議院委員長は、全国会議員にアンケートを取るという発言もされた。我々はそんな議論もしていない。  そういうことで、浜田先生がおっしゃるとおり、時間掛けてといいましても、向こうが進めてきたとき一体どうするんだということがありますので、恐れ入りますが、どういう手順でこれから、絞る絞り方だとか、アンケートはどうするんだとか、国民の世論形成はどうするんだとか、あるいは衆議院決議は我々は、参議院はどう受け止めるのか。これは、委員長の見解をできればお示しいただきたいんですよね。
  41. 西川きよし

    委員長西川きよし君) これからの進め方は、理事会の方でまたみんなで協議をさせていただきます。  ちょうど時間になりましたので、ありがとうございました、貴重な御意見をたくさんちょうだいいたしまして。  本日の調査はこの程度にとどめまして、本日はこれにて散会をいたします。    午後四時二分散会