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政府参考人(
佐々木宜
彦君) それでは、また順番にお答えいたします。
一号機の原子炉からの漏えいに関しましては、実はちょうどこの破断事故によって運転を停止していたところでございまして、この間に点検を行っておりました。平成十三年の十一月九日の十五時三十分ごろでございますが、制御棒駆動機構の一本の下部付近から数秒に一滴
程度の漏えいを発見したものでありました。中部電力は、停止後に漏えい監視データの分析評価の結果、実はこの漏えいは平成十三年七月上旬以降あったものとしております。しかしながら、漏えい検知システムの保守不良によりましてデータが正確に把握できずに、これが漏えい発見が遅れた一因となったものと私
ども考えております。
私
どもといたしましては、漏水検知システムの保守管理が適切に行われず、その結果として漏えいについての判断が遅れたことは、
事業者の運転管理上の対応としては不十分であったと思います。
事業者は、今後、データを正確に把握するため、漏えい検知システムの点検強化を行うとともに、運転中に炉水漏えいが
発生した場合にもこれを適切に把握するため、データに異常兆候が認められた場合の社内の
検討体制の強化等を図ることとしております。
二番目の件でございますけれ
ども、今回の漏えいの原因でございますけれ
ども、当該溶接部に応力腐食割れによる亀裂が
発生し貫通したことから漏えい、炉水が漏えいしたと判断をいたしました。
一般的に、応力腐食割れは金属材料、応力及び水質環境の三つの要因が重畳して
発生、進展することが知られております。今回の原因
調査の結果、当該溶接部に使用された金属、実はインコネル一八二というニッケル合金でございますが、
一定の引っ張り応力が存在すると応力腐食割れが
発生する
可能性があること、そして本件のような実は溶接の施工方法では、応力腐食割れが
発生、進展する
可能性のある残留応力が存在したことをモックアップの試験装置により
確認しました。第三に、原子炉水中の溶存酸素濃度は、応力腐食割れの
発生及び進展する
可能性がある炉水環境にありました。以上のことから、応力腐食割れが
発生する
可能性がある条件がそろっていることを
確認をいたしました。
また、当該部から採取いたしました金属片の
調査の結果、亀裂が粒界に沿って折れ曲がりを伴って進展していることなど、この亀裂は粒界型の応力腐食割れの特徴を有していることを
確認をいたしました。
今後の
対策と従業員の被曝についてでございますけれ
ども、本件に関して、格納容器内の点検のために原子炉建屋内に十一月九日に入域した者は三十二名、個人の最大の線量は〇・三ミリシーベルトでございました。翌十日、この点検作業を行った者が建屋内に入域した者四十五名でございましたが、個人の最大の線量は〇・四五ミリシーベルトであったと報告を受けております。それ以降、そしてまた今後の作業に伴います作業員の被曝線量につきましては、法令によりまた
事業者から報告を求めることといたしております。
今後の対応でございますけれ
ども、今回のような亀裂は性質上時間的には緩やかに進展するものでございまして、亀裂が貫通に至っても、的確な漏えい監視体制を図ることによりまして早期に把握ができます。そしてまた、所要の対応を取ることが可能であります。本院といたしましては、沸騰水型の原子炉を有する
事業者において適切な漏えい監視体制が図られていることを既に
確認しております。
また、今回の一連の
調査を通じまして、沸騰水型原子炉につきましては、浜岡一号機と同一の材料、同様の溶接工法を採用している場合に同じような応力腐食割れの
発生の
可能性は否定できないとの知見が得られたところでございます。
したがいまして、
調査をした結果、これに該当する原子炉は浜岡一号機以外に十基あることが明らかになりました。これらにつきましては、浜岡一号機で漏えいが
発生した部位と同じ溶接部の
現状を把握することが必要であると認識いたしております。このうち五基については既に
事業者が点検を行っておりまして、同溶接部に亀裂等の異常がなかったと報告を受けております。これまでに点検実績のない五基につきましては、
事業者に対し、運転計画を勘案し、同溶接部の亀裂の有無について今後点検を行うように指示をいたしたところでございます。
次に、東海地震が
発生した場合、浜岡原子力発電所における地震あるいは津波に対して安全かという御
質問でございます。
浜岡原子力発電所は、マグニチュード八・〇の想定東海地震、あるいはマグニチュード八・四の安政東海地震、更にはマグニチュード八・五の限界的な規模の地震などにも耐え得る設計であることを
確認いたしております。また、津波に対しましても、過去の地震津波の
調査と東海地震をも考慮いたしました地震津波解析の結果、津波水位に対しても敷地前面に十分な高さの砂丘があることを
確認をいたしておりまして、安全であるとの評価をいたしているところでございます。