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今井澄君 実はここのところが非常に大事なところだと思うんです。今こういう不況
状況ですし、非常に厳しい国際競争の中で日本
経済に立ち直ってもらわなきゃならぬと。それが働く人々にとっても、結局これは企業でといいますか、
保険料のもう一方の
負担してくれる相手であります事業主が頑張ってもらわないと困るわけですから、それはそこはお互い認め合わなきゃならないんですが、ただ、私は、日本の
社会保障の財源構成を見る場合に、どうも事業主が事業主
負担というものを逃げてきている、特に最近は国際的なそういう
状況の中で逃げようとしてきていると。私はこれは非常に大きな問題だと思うんですね。
例えば財源の税方式、これは年金にしても
医療にしても介護にしてもいろいろ税方式ということが言われて、私
ども、一部主張していないわけではないんですけれ
ども、しかし問題は、やっぱり事業主も一
国民の
一つとしてのいわゆる法人という形で社会的責任を果たすという形での何らかの
保険料負担という、これから逃げていかれると困ると思うんですが、ただ、これは
社会保障全般の議論にもなりますから今日はここではいたしませんが。
私は、やっぱり三方一
両損ということをもし国の方を今除きまして言うとすると、これは、お金をいただく
医療機関、それからお金を払う、あるいは
保険料を払う
患者、
国民、それともう
一つ国民と一緒になって
保険料を
負担する事業主という、これが社会を構成する大事なものとしての三方だという
認識を私は改めて是非共通のものにしていただければ有り難いと思うわけです。
しかし、そこで、確かに
大岡裁きのことを
考えますと、国というのがどうしても頭から離れないわけですよね。初めから私も実はそう思ってきたんです。特に、これは本
会議質問でも申し上げましたけれ
ども、今度の三割
負担は専ら国の問題なんですよ。健保組合が苦しいのは老人保健の拠出金で苦しいのであって、別に
患者さんの
自己負担が増えるかどうか、
保険料の問題じゃないんですね。国保はもう既に三割なんです。専ら政管健保だけ、この
財政運営を誤った国のしりぬぐいのために三割
負担があるということを私はもう繰り返し申し上げているんですけれ
ども、そうだとすれば正に、だからこそ私は三方一
両損というふうに言われたときにもう疑いもなく、ああ、これは大岡越前も、要するにお金を落とした人、拾った人とは別の関係のない、本来裁きをする立場の国も、ああ一両を出すんだなと思ったわけですよ。
その一両が何かということについてはいろいろ御議論があります。今、
田浦先生の方から、
公費をもっと出したらいいんじゃないかと。
大臣の方から、いや、
公費、これからどんどん比率増えるんですよと。それから、過日も、たしか小池
先生の御質問ですか、
公費をもっと国は責任を持って出すべきじゃないかと。
実は私、民主党の中ではこれは
意見まだまとまっていないんですけれ
ども、やはり
保険方式ということを
考えると、安易に
公費を出すことには私は賛成できないんですよね。特に、老人
医療無料化で
公費をぼんとつぎ込んだり、日本の場合は国保ということで全部を受け皿になるような
保険制度を作った。これは日本のある
意味ですばらしさであり理想であるんだけれ
ども、半分
公費を入れちゃったんですよね。そうすると、国保の中で自営業者がいるんですよ。自営業者、半分
公費が入っているというのは公務員なんですかと聞きたくなるぐらい。所得捕捉ができないとか低所得ということはありますよ。ありますけれ
ども、やっぱり
公費を入れるからには相当根拠を持って入れないと、これは税金なんですよね。だから、我々は、一方で公共事業を問題にするわけです。
確かに、今のような公共事業を削って
医療費や
社会保障に回すべきだと私も十年間ずっと主張し続けてまいりました。そういう
意味では、今三割に増やすよりは、公共事業を減らして
公費で何とかしろという御
意見に私は賛成なんですけれ
ども、ただ、原則論、一般論として、ただ国の責任は、じゃ
公費を入れりゃいいかというと、私は、そんな単純なものじゃない、むしろ
余り安易に
公費は入れるべきでないというふうに
考えています。
むしろ、国の責任というのは何なのかというと、
運営責任であり、
説明責任であり、あるいは規制をしているんだったら規制をしていることの責任だし、もし民間にできることや地方にできることがあったら、それはいち早くお譲りしなきゃならない。それを握って権限を離さないことの責任が実は国の責任で、国が
痛みを
感じなければならないとすると、私は今度の
改革においてはそこで
痛みを
感じてほしいと思っていたし、今も思っているんです。
ですから、実はその
大岡裁きをぴんと私はそのとおりと受け取ったのは、
坂口大臣が、たしか九月十三日だったと思いますね、官邸に行かれて
厚生省試案を示されるときに、これだけじゃ駄目なんだということで有名な
坂口メモというものを示されて、そしてそのことが今回の附則にもつながってきていますよね。国もやっぱり
国民に対して
説明責任を果たし、無駄をなくし、スリム化し、やっぱり
痛みを分かち合わなきゃならぬ、こういうふうに言われたと思うんです。
現に今、四方というお話がありましたが、実は新聞を繰ってみますと、二月七日、
総理が官邸で昼間、記者団に対して、いや、三方一
両損じゃなくて四方一
両損だ、国も
痛みを、
厚生労働省も
痛みを分かち合わなきゃならないと、こういうことを言っておられるんですよね。それを八つ当たりというふうに表現している新聞もありますが、あるんですね。思い出してみますと、これには
坂口厚生
大臣が四方と言われたことも
影響があるのかもしれない。
前の晩、私、実は官邸に伺って、三割はおかしい、これは先延ばしできるんじゃないかと。我々も、九月二十五日に
厚生省試案が出てきたときに、このままでいくと政管健保の
保険料を千分の八十八あるいは八十九に上げなきゃならないかもしれないという
説明を聞いたような気がするんです。多分、
総理もそれをお聞きになったんでしょう。だけれ
ども、後、与党との駆け引きで、
診療報酬改定の幅が決まったこともこれありということなんでしょうが、そんなに上げなくて済みますよという話になって、来年四月じゃなくてもいいという話が出てきて、
厚生省が仲介に飛び回ったじゃないですか。そうしたら、
総理はそれに大変激怒されて、
厚生労働事務次官の更迭もあり得るようなことがやっぱり新聞で二月の初旬に流れましたよね。
総理だって悩まされたんじゃないですか、去年の九月にはというお話を私は申し上げてきて、これは工夫次第で三割は来年四月一日実施じゃなくてもできるというお話に行ったんですが、
総理はどうしても頑固で、いや、これをやらないと
改革が進まない、こんなところでくじけないんだということには参ったなと思って帰ってきたんですが。
そのときに私もやっぱり国もこんなに無責任じゃいけないということを相当申し上げたので、翌日になったら、いや、四方一
両損だと言われたので、やっぱり
大岡裁き的に
厚生労働省も、というよりも、
厚生労働省も、私、実は本
会議質問で間違ったことを言ったのでおわびしておかなきゃなりませんが、例の隠れ借金、利子も無利子で国に貸したと。そうじゃない、
厚生労働省も随分頑張って二千八百億を超える運用益を全部、今
年度ですか、昨
年度で返してもらうことにしたようですので、
厚生労働省の
それなりの頑張りは認めますが、しかし、国一体としてやっぱり
国民の金をいい加減に使って政管健保の
財政運営を
破綻させた、この責任は極めて重大なんですよ。それは別にだれの責任というんじゃなくて、やっぱりそういう
運営の責任をはっきり
国民におわびしなきゃならない。ここでやっぱり国は
痛みを分かち合わなきゃならないんです。
同時に、小さい問題かもしれないけれ
ども、社会
保険病院。かつて
保険あって
医療なし、社会
保険、政管健保で
保険料をいただいて
保険証を渡したけれ
ども診る病院がないというときに作った。国保病院も同じですよ。だけれ
ども、役割を果たしたら、やっぱりそういうところにお金をつぎ込むよりはさっさと整理すべきなんですよね。こういうことは各党で今議論が進んでいるわけですが、これを何か権益として持っているということ自身がおかしいので、そういうことも含めてやっぱり国も
痛みを感ずる必要があるんじゃないかと思うんですが、
坂口大臣、その辺いかがでしょう、重ねての確認になりますが。