○
参考人(草刈隆君)
参考人として
意見を申し述べる
機会を与えていただいたことに、
委員長を始め
委員の
先生方に心から感謝いたします。
私の資料は袋の中に入っておりますので、お手数でございますが、取り出していただきたいと存じます。
まず前半は御説明をさせていただきます。
日本赤十字が血液事業を行うようになったのは第二次大戦以後のことでございます。一九七四年、昭和四十九年には、
採血は実態として日赤のみが実施しております。一九九〇年、平成二年から現在まで、
国内医療のための輸血用血液及び血漿分画製剤の原料の
確保のための
採血は、私
ども日本赤十字が献血者の絶大な
支援の下にやらしていただいております。そして平成三年、一九九一年でございますが、国の要請を受けて
薬害エイズから血友病の
患者さんを守るために血液凝固第Ⅷ因子製剤の献血からの
製造を開始いたしました。
現在、
日本赤十字の血液事業は、全国の二百二十三人の代表である代議員会で、国の進める
国内自給の達成に向けて積極的に協力せよという励ましの下に実施さしていただいております。
一ページをお開けいただきたいと存じます。
この右側にございますのが、ただいま
大平参考人が御紹介を申し上げた血漿分画製剤の方です。これは瓶詰めでございまして、有効成分を抽出いたしますので血の色がなくなっております、血液の色がなくなって白くなっています。粉でございます。
左側にございますのが、実際は十七種類ございます、私
どもで供給しておるのが。その代表的なものを挙げさせていただきました。赤血球から全血まででございますが、ほとんど現在は全血は使われておりません。一番短いもので
採血のために献血者からお預かりした時点から七十二時間で有効期限が切れるというものでございまして、これについては私
どもは正に時間との闘いをさしていただいております。
次のページを、二ページに移らしていただきます。
私
ども、
安全性を高めるために核酸増幅検査の実施をいたしております。まず最初に、献血者の
方々が受付にいらっしゃいますと問診をさしていただきます。大変失礼なことにも取られるような問診をさしていただきまして、献血者の御協力をいただきながら安全な献血をさしていただきたい。この
目的はもう一つ、献血者の健康を守ることにもございます。
採血をさしていただきますが、平成八年九月、一九九六年からすべての献血者の検体をマイナス三十度で保管さしていただきまして、その遡及調査に備えております。以前も行っておりました諸抗原・抗体検査に加えまして、三番目に、三と書いています核酸増幅検査を先ほど申し上げたように
導入いたしました。BとCとI、つまりB型肝炎ウイルス、C型肝炎ウイルス、HIVウイルスの
三つでございます。核酸増幅検査はウイルスの遺伝子を構成する核酸の一部を百万倍以上に増幅することによってウイルスを検出する検査方法でございまして、検査感度、特異性が極めて高いことが
特徴でございます。また、この
三つの検査を全献血者に行っているのは
日本だけでございます。それで、
安全性が可能な限り高められたものを輸血用血液として、先ほど申し上げたように、ページの左側のものとして
医療機関にお届けさしていただいております。
右の原料血漿でございますが、これは更に六か月私
どもはやはり冷凍
保存しておりまして、六か月後にこれは一万人から五千人の人々の原料血漿をプールいたしますので、確認のために、
副作用が起こらないことを確認さしていただきまして、それを
製造に回します。その確認のためのキープ、貯留保管が、六か月の貯留保管は一九九八年、平成十年からやらしていただいております。貯留保管は二か所でございまして、京都の福知山にあります我々の
管理センター、北海道の千歳にございます分画センターの二か所で、それぞれ三十万リットルずつ貯留保管しております。というのは、何か万が一のことがあった場合に
患者さんたちに迷惑を掛けないようにという、我々が自発的にさしていただいております。
それで、それをまた
製造工程に入れますが、
製造工程に入れるのは北海道の千歳でございますが、ウイルスの不活化、除去をさしていただいておりまして、最終
製品に更にBとCとI、パルボ、A型肝炎ウイルスのNAT、核酸増幅検査をして、それが陰性であることを確認して、
患者さんあるいは病院にお届けさしていただいております。
次のページ、三ページに移らしていただきます。
平成十年に、私
ども日本赤十字は営利
企業に原料血漿を売り渡しているというような報道がなされたことからもこういうことをしたわけでございますが、それ以前も我々はこういうことに努力しておりました。
上半分ですが、輸血用血液は献血から輸血へ日赤が直結です。これは、一日の供給件数四千五百件です。四十九年以降一〇〇%
国内の献血によって
我が国の輸血
医療は行われている。赤十字の血液センターは全国津々浦々にある一万六千、当時でございますが、今はやや数が違っておりますが、二十四時間、三百六十五日
体制で供給しております。離島、へき地も踏まえてです。一部供給、つまり運送だけを
お願いしている地域がございます。
下半分、血漿分画製剤は
日本赤十字社血漿分画センター、北海道で造られるほか、製薬メーカーの協力を得ています。これらはすべて献血製剤と明記され、
皆様の善意におこたえいたしております。
三つの箱が書いてございますが、これはそれぞれの製薬メーカーの箱でございますが、献血由来ということが赤で明確に書いてございます。
血友病の
患者さんが、
輸入した血液凝固因子製剤で
エイズウイルスに
感染した悲惨な事実が二度と起こらないよう、国は献血による
国内自給を進めていますと。国の指導により、
日本赤十字社の
製造能力を超える需要には
国内メーカーの協力によっておこたえしています。これらの
製品はすべて献血由来と表示されており、
国内の
医療に届けられておりますと。こういうふうに我々は、全国の献血者あるいは献血団体にお配りさしていただきました。
次のページを繰っていただきます。四ページでございます。
これは平成十二年の
国内自給の在り方です。クロスエイトMというのが、私
ども日本赤十字が献血によって造らしていただいている第Ⅷ因子製剤、二六%のシェアでございました。コンファクトというのは熊本にございます化血研さんがお造りになっているもので七%。ですから、これを足しますと、三三%が
国内の献血に基づく製剤でございます。
その残り、ブルーとやや空色で書いてございます遺伝子組換え製剤、これはすべて
輸入でございます。足しますと六六%。このうちの四三%の製剤が平成十三年の三月から
輸入停滞をいたしました。それで、私
ども千歳の分画センターでは二倍の増産に励んだわけでございますが、献血者の御協力のおかげで今日までそれほど悲惨な欠品問題は起こらないでいますが、薄氷を踏む思いでおります。
それでは、遺伝子組換え製剤というのを次の五ページで、右側が献血由来、左側は遺伝子組換えのⅧ因子というのを対比させていただきました。培養工程というのがブルーの方にございます。これは同じように、ハムスター等の幼弱細胞で遺伝子を組み込まれた細胞を培養いたします。その培養の中から、液の中からⅧ因子を抽出いたします。その培養液の中には、人の血漿たんぱく又は牛の血清アルブミンが含まれているというのでございます。
私
どもの右の方は、問診や自己申告、検査の履歴をやりまして、献血血液を血清学的検査をやり、また核酸増幅検査をやり、貯留保管をやったもの、しかも、検体はマイナス三十度で十年間保管しているものをプールして原料血漿といたしております。右と左を対比していただきますと、左は培養液、右はプール原料血漿というものでございます。
その後の工程、ずっと見ていただきますと、ウイルスの不活化S/D処理あるいはイオン交換クロマトグラフィー、ウイルス除去膜というのが違いますが、ほぼ同じような
製造工程。しかも、私たちはフィルターを使っているというところが一つ違います。バルクというのは両方ございますが、その中に第一世代ではアルブミンを右の方は使っていまして、第二世代としてはお砂糖、蔗糖のスクロースを使っております。そういうものもバルクとして出ております。その後の工程、小分け
製品というものはほぼ同じでございます。最後に、私
どもは、右の方の下にございますが、先ほど申し上げたように、最終
製品に核酸増幅検査をやって陰性であるかどうか確かめて、お届けさせていただいております。
私
どもの主張としては、同じ効能で同じ
患者さんに同じ、静脈でございますが、静脈の経路で投与される製剤は、
行政の措置は同じであってほしいというのが願いでございます。
次に、六ページに移ります。
自分の命を支えるために自分の体の中で造られたもの、二度とよみがえることのないたった一つの命を支えているもの、それが血液です。それを、今血液が必要としている方に輸血をいたします。本当にその
現場は、ほっとするのは、医師であり、また
医療技術者である
先生方の中では実感なさっていることがあると思います。献血というのは、だれか見知らぬ人のたった一つしかない命の支えに、自分のための血液を分かつことであるということになります。
開けていただきますと、去年の十月十三日、
大臣も渋谷の駅頭に立って成分献血を訴えていただきました。
国内自給が達成されていないからでございます。
大臣と、それから
裁判で原告と被告として争った花井、
大平の両氏が同じフロアに立って国民に献血を呼び掛けたということは、我々にとっては大きな感動でございました。
最後に、七ページに移りますが、「皆さまへ」という感謝でございます。現在、このピンチは乗り切りつつあります。まだあります、ピンチでございます。善意、無償の献血者の
皆様、そしてその推進に御協力いただいた
皆様に感謝いたします、
患者さんの
方々に御不自由を掛けずに済みましたということでございます。
最後に、お手元にJMSという雑誌を、この間、沢
委員が御紹介申し上げたものを配らせていただいております。これは、献血団体全国協議会の会長であります三星
委員が講演で得た謝金を
先生方のために提供してくれということでございます。三十四ページに
大平参考人のお話が載っています。三十九ページには大阪の花井氏が載っています。それから、六十二ページには三星
委員が、
委員じゃございません、失礼しました、献血推進協議会の会長の三星
委員が載っています。これは五十三団体、
日本医師会と
日本歯科医師会もそのメンバーに入っている団体の会長でございます。それが、どうか総理を中心とする献血推進対策本部を作っていただきたいという悲願でございます。
さらに、七十八ページには、
薬害エイズ後、前、それからすべてを味わっている長尾
先生が血友病の
患者さんの母親の詩をもって紹介、詩というのはうたでございますが、どうか我が子を苦しませないでくれという悲願を言っております。八十七ページには、離島、へき地にある私
どもの鹿児島の血液センターの所長の輸血事情。それから最後に、八十九ページの、突然始まる生体肝移植のときの需要にこたえた京都の横山所長の文が載っていますので、後ほど御
参考いただきたいと思います。
その次に、我々の
要望といたしましては、五項目、これだけはというのを挙げておきました。
「国、地方
行政等こぞって全国民の理解協力のもとでの
国内自給を」というのと、九月十一日の危機
管理体制は本当に我々冷やっとしました。どうか危機
管理体制をやっていただきたい。それから、「
行政救済を」というのは、特に献血車でございます。それから、「献血由来分画製剤原料の配分等についての国の直接関与を」。さらに、五番目としては、内外格差、
安全性の格差についての解消を
お願いしたいということでございます。
どうも失礼いたしました。