○後藤博子君 後藤でございます。今日はよろしくお願いいたします。
武部大臣の代わりに今日は野間副
大臣ということで、日ごろ敬愛してやまない
先生、よろしくお願いいたします。大変お疲れと思いますので、少し頭を子供のころにちょっと戻していただきたいと思っております。
野間副
大臣、子供のころに食べたトマトやキュウリ、おいしかったですよね。露地栽培で作った野菜をおばちゃんがリヤカーを競って売りに来て、私たちは、私の時代にも井戸水がありましたから井戸水につけて、キュウリやトマトを丸ごとかじって、あのときのその食感、かりっとした味わい、そしてちょっと甘酸っぱいようなおいしさ、そのおいしさを思い出していただきたいと思います。
最近の野菜をあの当時のように食べるんですけれ
ども、見た目は色や形はとてもきれいなんですけれ
ども、あの当時の味がないな、特に私の母はよく申しますが、何でこんなにおいしくなくなったんだろうということを思いながら、私たち主婦といたしましては食材をトントントンとまないたの板で調理することがあります。何かそういうことを見ますと、本当に食というのは豊かになったんだろうか、逆に何か貧しくなってしまったような気がしてなりません。本物の味がないと私は思っております。
また、キュウリやトマトやナス、曲がったものはよくありました。私も子供のころはトマトやキュウリやナスを使って夏休みの工作を作ったような覚えがあります。その食材を見ながら、ああこれはキリンに見えるな、これは何か象に見えるなと言いながら工作を作った覚えがあります。そういう
意味では、私たちの子供のころはすべてが、何かそういうものでさえ
一つ一つが感性が育っていっておりましたし、また想像力や考える力がそういうところから養っていったように思います。今はそういうことがあるでしょうか。子供さんやお孫さんを見ていかがでしょうか。
生きるために私たちは食べていると思いますが、今は、何ですか、悲しいことですけれ
ども、何だか死ぬために食べているような気が、言い過ぎですが思います。遺伝子を組み換えたり、自然に逆らってまで命を犠牲にしていくのでしょうか。体に悪いと分かっていながら、添加物や薬品を使うような食材がなぜ増えていくのでしょうか。
私が知っているあるフグを
養殖している社長なんですけれ
ども、御自分で作っている
養殖のフグは一切口に入れません。天然のものしか食べないんです。ということは、それだけフグが薬漬けにされているということではないかと思っております。
そんなことで、私は生活者の目線から素朴な質問を率直にさせていただきます。よろしくお願いいたします。
平成十一年七月に食料・農業・農村基本法が施行されました。そして、その基本理念の
一つであります食料の安定供給確保の
観点から、自給率を向上させていくため、国際競争に対応しながら
消費者や実需者にえり好みされる品質や価格のものが供給できるよう、生産、流通の両面から構造改革を進めていくことが求められていると思います。また、現在、米政策の見直しや経営所得安定
対策の在り方などいろいろな検討がなされて進められていると思います。
私は、こうした議論を聞いておりまして、少し物足りなさを感じてしまいます。それは、
日本の農業が抱える課題も十分検討しなければならないことは当然なんですが、私は、今後の
農林水産政策をどう進めていくべきかを考えるときに、食の文化、
国民の食に対する認識の変化という視点を十分考慮に入れていくべきではないかと思いますし、それが原点ではないかと思っております。
そこで、世代のワンサイクルと考えられます三十年から三十五年、今からですと、昭和四十年から
平成十二年の
国民の一人一年間当たりの食料消費の変化を食料需給表で見ますと、昭和四十年にはお米は百十一・七キロ、肉類は九・二キロ、牛乳・乳製品は三十七・五キロであったものが、
平成十二年にはお米が六十四・六キログラムで半減しておりますし、肉類が二十八・八キログラムで三倍になっています。また、同じように牛乳や乳製品も九十四・三キログラムで三倍近くになっております。
国民一人当たりの供給たんぱく質を見ますと、動物性たんぱく質が二十五・九グラムから四十七・五グラムになっておりまして、植物性たんぱく質が動物性たんぱく質を下回るといいますか、逆に言いますと動物性たんぱく質の方が植物性たんぱく質を大幅に上回っております。急速に食の洋風化が進んでいると思います。
このように短期間で
国民の食生活、食文化が変化したのは世界に例がないのではないかと思っております。
日本の農業の生産や経営の将来を展望する上においても、単なる食料生産といった視点からのみではなく、食文化の分析なしには本当の真の安定供給は語れないと思っておりますが、
政府は食の文化をどのように分析しているのでしょうか、明らかにしていただきたいと思います。よろしくお願いいたします。