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2002-09-12 第154回国会 参議院 決算委員会 閉会後第5号 公式Web版

  1. 会議録情報

    平成十四年九月十二日(木曜日)    午前十時開会     ─────────────   出席者は左のとおり。     委員長         中原  爽君     理 事                 岩井 國臣君                 佐々木知子君                 中島 啓雄君                 川橋 幸子君                 谷  博之君                 八田ひろ子君     委 員                 泉  信也君                 加治屋義人君                 柏村 武昭君                 後藤 博子君                 田浦  直君                 藤井 基之君                 三浦 一水君                 朝日 俊弘君                 池口 修次君                 海野  徹君                 神本美恵子君                 辻  泰弘君                 山根 隆治君                 風間  昶君                 遠山 清彦君                 山本  保君                 大沢 辰美君                 岩本 荘太君                 広野ただし君    国務大臣        国務大臣        (内閣官房長官)        (男女共同参画        担当大臣)    福田 康夫君        国務大臣        (沖縄及び北方        対策担当大臣)        (科学技術政策        担当大臣)    尾身 幸次君        国務大臣        (経済財政政策        担当大臣)    竹中 平蔵君        国務大臣        (規制改革担当        大臣)      石原 伸晃君    内閣官房長官        内閣官房長官  安倍 晋三君    副大臣        内閣府副大臣   松下 忠洋君        外務副大臣    植竹 繁雄君    事務局側        常任委員会専門        員        島原  勉君    政府参考人        内閣官房内閣参        事官       新田 秀樹君        内閣官房内閣参        事官       佐々木真郎君        人事院総裁    中島 忠能君        人事院事務総局        勤務条件局長   大村 厚至君        内閣大臣官房        遺棄化学兵器処        理担当室長    岩谷 滋雄君        内閣府政策統括        官        安達 俊雄君        内閣男女共同        参画局長     坂東眞理子君        内閣国際平和        協力本部事務局        長        林   梓君        宮内庁次長    羽毛田信吾君        警察庁生活安全        局長       瀬川 勝久君        警察庁刑事局長  栗本 英雄君        総務省自治行政        局長       芳山 達郎君        公正取引委員会        事務総長     山田 昭雄君        法務省刑事局長  樋渡 利秋君        厚生労働大臣官        房審議官     新島 良夫君        厚生労働省職業        安定局次長    三沢  孝君        厚生労働省雇用        均等・児童家庭        局長       岩田喜美枝君        厚生労働省年金        局長       吉武 民樹君        食糧庁次長    中川  坦君    説明員        会計検査院事務        総局第一局長   石野 秀世君        会計検査院事務        総局第四局長   重松 博之君        会計検査院事務        総局第五局長   円谷 智彦君    参考人        沖縄振興開発金        融公庫理事長   八木橋惇夫君        日本銀行企画室        審議役      山口 廣秀君     ─────────────   本日の会議に付した案件平成十一年度一般会計歳入歳出決算平成十一  年度特別会計歳入歳出決算平成十一年度国税  収納金整理資金受払計算書平成十一年度政府  関係機関決算書(第百五十一回国会内閣提出)  (継続案件) ○平成十一年度国有財産増減及び現在額総計算書  (第百五十一回国会内閣提出)(継続案件) ○平成十一年度国有財産無償貸付状況計算書(  第百五十一回国会内閣提出)(継続案件) ○平成十二年度一般会計歳入歳出決算平成十二  年度特別会計歳入歳出決算平成十二年度国税  収納金整理資金受払計算書平成十二年度政府  関係機関決算書内閣提出) ○平成十二年度国有財産増減及び現在額総計算書  (内閣提出) ○平成十二年度国有財産無償貸付状況計算書(  内閣提出)     ─────────────
  2. 中原爽

    委員長中原爽君) ただいまから決算委員会を開会いたします。  平成十一年度決算外二件及び平成十二年度決算外二件を一括して議題といたします。  本日は、平成十一年度のうち、皇室費内閣総理府本府、経済企画庁、沖縄開発庁及び沖縄振興開発金融公庫並びに平成十二年度のうち、皇室費内閣内閣府本府及び沖縄振興開発金融公庫決算について審査を行います。     ─────────────
  3. 中原爽

    委員長中原爽君) この際、お諮りをいたします。  議事の都合により、これら決算概要説明及び決算検査概要説明の聴取は、いずれもこれを省略して、本日の会議録の末尾に掲載することにいたしたいと存じますが、御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  4. 中原爽

    委員長中原爽君) 御異議ないと認め、さよう取り計らいます。  速記を止めてください。    〔速記中止
  5. 中原爽

    委員長中原爽君) 速記を起こしてください。     ─────────────
  6. 中原爽

    委員長中原爽君) それでは、これより質疑に入ります。  質疑のある方は順次御発言願います。
  7. 佐々木知子

    佐々木知子君 おはようございます。自民党佐々木知子でございます。  私は、自民党国家戦略本部ないしは国家ビジョン策定委員会というところに所属しておりまして、日本の将来ビジョンはどうあるべきかということをかねがね一年にわたって論議しております。まだ結果という形、出ていないのでございますけれども。  どうやら、日本国家として将来どういう姿であるべきかという大きなグランドデザインをかくところがないのではないか。痛みに耐えてということをよく小泉首相は言われますけれども、じゃ痛みに耐えた後どういう国家像があるのかと。五十年後、百年後はどういう日本になっているのか、どこに向かって進んでいるのか、それが分からないがために国民は非常に不安を感じている、だれもが多かれ少なかれ閉塞感を抱いている、そういう状況ではないかというふうに思っております。その観点から質問をしたいというふうに思います。  経済財政政策ですけれども、御案内のように株価が非常に低迷をしております。日欧米世界同時初株安ということで、ついに日経平均株価が八千円台になりました。九千円割れとなったのは一九八三年の十月以降、十九年ぶりということでございます。小泉内閣誕生直後のピーク、二〇〇一年五月七日の一万四千五百二十九円から見ますと、四割台も落ち込んでいるということでございますが、この事態をどういうふうに認識されておられるのか、竹中大臣にお伺いいたします。
  8. 竹中平蔵

    国務大臣竹中平蔵君) 世界的に資産市場が大変不安定な状況に置かれておりまして、その大きなあらしの中に日本もある。さらに、それに加えて、日本には幾つかの独自の要因から株式市場に非常に強い下げ圧力が働いてきている。そういった事態に関しましては、極めて厳しい状況であるというふうに受け止めております。  しかし、株価とはそもそも何であるかと。恐らく、これはやはり日本企業が将来にわたって稼ぎ出すであろう利益を今の時点での価値に表したものであろうということでありますから、何としてもやはり企業そのものがどんどん新たな付加価値を生み出せるような体質を作っていくということしか事態の本質的な解決はないのであろうというふうに思っております。  民間でできることは民間に、地方でできることは地方に、そうした理念の下で構造改革を進めて、規制改革金融改革歳出歳入改革を進めて、正しく構造改革によって経済体質を強くしていく、その中で非常に我慢強く解決していかなければいけない問題であろうかというふうに思っております。  ちなみに、先週一週間、特に株式市場が大きく動いたわけでありますが、例えば先週一週間に限って見ますと、ドイツが約六%下げております、日本が五%下げております、イギリス、アメリカが約三%下げておる、そのような動きの中にあったと認識をしております。したがって、これはやはり極めて世界的な動きであると。  それに加えて、日本が今申し上げたような形で企業部門が新たな価値を生み出していけるような体制をしっかりと整えていく責務があるというふうに思っております。
  9. 佐々木知子

    佐々木知子君 私は、決して一企業経営改善努力の問題や、あるいは、時間がありましたら構造改革規制改革の方にも入っていきたいと思いますが、恐らくその時間はないと思いますが、問題ではないというふうに考えております。  竹中大臣は、この七月十一日に景気底入れ宣言をなさいました。残念ながら、実は国民の多くが景気底入れしたなという感覚は持っていないというのが私は正直な感想だろうと思います。賃金が別に上がったわけではない、失業が減ったわけではない、みんなリストラ不安にあえいでいる、自殺者も増えている、若年失業者も増えていると、こういうような状況であります。景気はもっと悪くなるのではないか、九月中間決算を前に各企業もそういうふうに考えているだろうと思います。  実際、株価がこれほど低迷をしているわけですし、その前に底入れ宣言をされたという根拠は何だったのか、お聞かせ願えますか。
  10. 竹中平蔵

    国務大臣竹中平蔵君) 景気現状認識というのはどういう観点から行うのかということなのだと思います。  これまでも常に景気に関して政府がその時々で判断をしてきたわけでありますけれども、常に景気の、マクロ的な指標から判断される景気判断実感というのはずれるのではないかというような御指摘は常にあったかと思います。そうした認識が今もあるということは、私なりには理解をしているつもりであります。  しかし、これは極めて客観的な幾つかの指標から経済が今どのような動きをしているかということを非常に素直に政府のアナウンスメントとして出すものであるというふうに思っております。これはいろんな指標があります。しかし、私は経済動きがどのようになっているかということを示す最も中心的になる指標は、やはり生産であるというふうに思います。  そうした中で、今年の前半どのような動きが出てきたかといいますと、一つは、やはり幸いにして外需に支えられて輸出が増えてきた。輸出が増えてきたことによって、それに基づいて生産が上がってきた。その中で在庫循環が、明らかに在庫が調整を終えて、そのような意味で申し上げますと、その循環的な意味で、経済にはトレンド循環がありますが、その循環的な意味では明らかに下げ止まったというふうに三月に、下げ止まりつつあるというふうに三月に判断をしまして、それから底入れないしは持ち直しの動きというふうに動いてきている。この循環的な動きをできるだけ正しく伝えるという観点から、この月例報告をしております。  しかし、その月例報告そのものにも書いておりますけれども、依然厳しい状況にあると。これは、依然厳しい状況にあるが、一部に持ち直しの動きということでありますので、そのやはりトレンド部分そのものをしっかりと上げていくことをしないと、これは当然のことながら、国民経済が良くなったというような実感はもう出てこないと思います。循環的な意味ではそのような動きにある。  しかし、この循環動きもまた、アメリカ経済に対する先行きの問題、昨今の市場の不安の状況、その意味ではリスク要因はむしろ高まっているということも同時にこの月例の中で、現状循環的には少し持ち直しの動きがあるけれども、リスク、不確実性は高まっているんだということも的確に示させていただいているつもりでございます。  そのような意味では、今、佐々木委員指摘判断の基準としては、循環的な意味生産を中心とする各種の指標にそのような動きが見られると。しかし、依然としてトレンドとして現状は厳しいし、さらにはリスク要因にも十分な配慮をしなければいけない、それが日本経済現状であるというふうに思います。
  11. 佐々木知子

    佐々木知子君 実は、これは今年三月の実質GDP成長率が高まった、実際年率五・七%ということなんですが、おっしゃったように基本的には外需、つまり輸出伸びが非常に大きかったということで、日本が何か積極的な政策を行った結果ではないということなんですね。国内需要は相変わらず低迷しております。失業率も高いまま。インフレ率は依然としてマイナス。つまり、デフレ状態ということです。日本経済のマクロ的な構造は何一つ変わっていないというふうに考えていいのではないかと思います。  アメリカ景気が再び失速する兆候があるということで、四月―六月期の実質GDP成長率はかなり低下して、株価低迷をしております。アメリカ経済が本格的に減速し始めたら日本もその影響は免れない、これは当然のことかと思います。  なぜここまで日本経済が停滞したのか。八〇年代のバブルに始まりまして、いわゆる失われた十年と言われておりますが、その総括が実は決してなされていない、そこに私は非常に大きな問題点があるというふうに考えております。  翻って、アメリカではペコラ委員会、これは有名な委員会でございますけれども、大恐慌後にペコラ委員会というのを国政調査権を駆使するということで立ち上げまして、一万二千ページに及ぶ報告書が提出されております。これは、金融証券における広範囲な不公正取引実態を情報公開するとともに、個々の経営者取引業者担当者のみならず、節目節目政策決定に携わった政策責任者、これは立法、行政を含みますが、を厳しい責任追及を行ったということで、これがSECの創設にもつながったということは大臣もよく御存じかと思います。  翻って、日本では七十兆円という巨額の国民負担を強いた金融システム危機について、実は何の総括もせずに既に過去のこととして済まそうとしている。これは日本でいう言わば村社会の発想なのかもしれませんが、個々人はこれでいいのかもしれませんが、国家としては決してこれでは済まされないことだというふうに思っています。  この総括がなされていないことについて、竹中大臣はどのようにお考えでしょうか。
  12. 竹中平蔵

    国務大臣竹中平蔵君) 九〇年代の日本経済がある意味で大変な状況に置かれて、その中で政策面でも大いに反省すべき問題がたくさん出てきているというのは御指摘のとおりだと思います。  そうした場合に幾つかの国では、やはりいわゆるインベスティゲーティングコミッティーないしはそれに類するようなものを作って徹底的に問題点を洗い出して総括をする、そのようなことが行われた。アジアの経済危機においても、やはり幾つかの国で、これは特定の省庁かもしれませんが、やはりそのようなことが行われているというふうに思います。  そうした点からいうと、これは専門家と言われる経済分析者も含めてですけれども、日本社会全体でこれだけ大変な問題が起こりながら、九〇年代の一体何が問題であったのかということを包括的に反省したものがないというのは私自身もかねてから思っていることであります。  しからば、しかしそれを一体だれがどのような責任において行うべきなのであろうか。例えば、一つの例でありますけれども、BSEの問題に関して、農水省武部大臣のリーダーシップの下で全く役所とは違う第三者の委員会であれだけのことを調べて、だからこそ農水省の失政というような客観的な反省も出てきた。こういうものは部分的には日本でも行われているのだと思いますが、これを全体としてバブルの形成から崩壊、その後の金融危機に至るまでのものというのは、残念ながら少し問題が大き過ぎて、ちょっとどこから手を付けていいのかなかなかいいアイデアが出ないというのが実態だと思います。これは是非私たちの方でも考えてみたいと思います。  ただ、これまで私たちの部署に関しては、骨太の方針を作り、軌道修正をして、大変に骨太でその具体的な内容をやるということで、どちらかというと前向きのフォワードルッキングな仕事に追われていまして、後ろ向きのなかなか反省に時間が割けないというのが現状でございます。  したがって、幾つかの例を見ますと、やはり議会でそういった委員会を作って追及したという例もあるというふうに思いますので、ここは私たちの方もできるだけどういうことができるか努力をしてみたいと思いますし、先生方におかれましても様々な御議論を積み重ねていただいて建設的な議論をなせるように、それがまた明日の政策に生かせるように是非努力をしたいと思います。
  13. 佐々木知子

    佐々木知子君 現在の日本経済における最大の問題点は何か。最近、これはようやく認識されてきたようでございますが、実はデフレにあるのではないかということでございます。  デフレというものを解消しない限り、当然のことですが、不良債権を幾ら処理してもまた新たな不良債権が発生してきて金融機関の損失は増えていくばかりとなります。銀行自体危機に加えまして貸し渋りは一層激しくなりますし、多数の企業が見放されて倒産、あるいは株安で外資による買収も増大するという負の連鎖が続いていくことになります。日本ではデフレが七年近くも続いているという極めて異例な事態となっておりますが、その原因がどこら辺にあるのか、竹中大臣のお考えを伺いたいと思います。
  14. 竹中平蔵

    国務大臣竹中平蔵君) デフレ克服構造改革の推進に当たって最重要の課題であるという認識は、骨太、「改革と展望」以来、私たちもずっと主張しているところでございます。  委員指摘のように、しかしながら社会全般としては、良いデフレ、悪いデフレというような議論もなされて、デフレはそんなに悪いことではないのではないかというような議論もついこの間までは行われていたと思います。しかし、そうではないという認識が広がってきた。  デフレ要因については、実は昨年の経済財政白書の中でかなり詳細な分析をしております。デフレ要因としては、これは分け方は幾つもあるかもしれませんが、やはり三つぐらいの要因考えておく必要があると思います。  一つ需要側要因需要が不足しているのではないだろうか、だから物の値段が下がるのではないだろうか、これが一つ可能性。  二つ目供給側要因供給側要因は、これは中国で安いものが作られて入ってくる、技術進歩でパソコンの値段が下がると、これも大きな要因であろうというふうに思います。  三つ目金融的な要因お金が、まあマネーサプライが増えないという言葉に集約されますが、いわゆるお金が世の中に出回らなくて、それによって、デフレというのは基本的には金融的な現象であるんだから、この金融面が大きい。それぞれに三つ申し上げたものが重要だと思います。  ただ、この白書の中での、時点での我々の若干のウエート、強弱を申し上げておくと、需要不足というのは確かにあるかもしれないが、一般に言われているほど大きいものではない。これは当時の数字で三%から四%の需給ギャップという数字になっておりますが、私自身もこの分析は非常に実感に近いところではないかと思います。問題はあるけれども、それが基本的な問題ではないだろうと。  二番目の供給側要因というのは、これは大変私は大きいと思います。まず、ちょっと技術的な話になりますが、日本の場合、まずGDPデフレーターが下がり出した、消費者物価卸売物価に先立ってGDPデフレーターが下がり出した。これはいわゆる生産要素賃金を含む生産要素の側に非常に大きなデフレ原因がある。これは正に中国の巨大な労働力を背景にした供給側要因ということを示唆しているんだと思います。しかし、これは日本だけの要因でなかなか解決できる問題でもない。  結局、第三の要因金融的要因を解決するということが当面のデフレ対策としてはやはり極めて重要であると思います。そのためにも、まず不良債権問題を一刻も早く解消して、ちゃんとマネーが増えるような状況を作らなければいけない。中央銀行日本銀行にも引き続き多くの努力をしていただきたい。そうした議論を続けて今日に至っているところでございます。
  15. 佐々木知子

    佐々木知子君 三点お述べになりました。三点目の、ですから金融政策の私はあえて失敗と申し上げていいんではないかと思うんですけれども、景気対策としての財政政策というのは比類ない規模でやってきたというふうに考えられます。ただ、九五年以降、金融政策がほとんど無効になった。当時、日銀はバブルの再発を警戒してなかなか金融緩和政策を行おうとしなかったためにインフレ率がどんどん下落して、結局、金利をほぼゼロにしてもデフレが止まらなくなった。人類史上初のゼロ金利対策を一年半以上継続して、二〇〇〇年八月でやめましたけれども、これ一般には流動性のわなというふうに呼ばれておりますが、これについてはいかがお考えですか。
  16. 竹中平蔵

    国務大臣竹中平蔵君) この金融政策の役割、金融政策の難しさについては、実は専門家の間でも、最先端の専門家の間でも意見が分かれているところだと思います。したがいまして、様々な意見があるということを前提にお話をしなければいけないというふうに思うんですが、私自身はやはり結果としてマネーサプライがある程度増えていくという状況を作っていただかない限り、やはりこれは政策としてはなかなかうまくいっているとは言えないということなのだと思います。  しかし、ここで幾つかの問題が出てくるわけであります。御承知のように、日本銀行はいわゆるベースマネー銀行部門に対して出すお金等々、ベースマネーについては前年に比べて二〇%から三〇%近い増加でお金を出している。しかし、これがマネー全体の伸びマネーサプライ伸びとなると三%とか三・五%になってしまう、銀行貸出しの伸びマイナスの四%とかになってしまう。正しく金融仲介機能がここで非常に著しく打撃を受けていて、銀行部門お金は出るんだけれどもそこから先にお金が行かない。したがってこれは、金融政策といいますか、金融のこのシステムそのものをやはり強くするという、これはもうずっと言われている問題ではありますけれども、ここをやはり機能しない限り、中央銀行だけでなかなか解決できる問題ではないということも一つの重要なポイントだと思います。何よりもしたがって、この不良債権処理というのがやはり急がれるということになると思います。  しかし一方で、金融システム銀行部門がそのような問題を抱えているからこそ、あえてそれを前提中央銀行はもっとそのベースマネーを出すべきではないかという議論も確かにあるわけであります。この辺は現実に何が中央銀行にできるかどうかということも踏まえて中央銀行の方で懸命に検討をしておられるわけでありますけれども、私としては、この日本銀行金融システムを預かる金融庁の努力が積み重なってマネーサプライが安定的に増えていく、そしてそれがデフレ克服に結び付くというような形を作っていく、その道筋を付けることが大変重要であると思っております。
  17. 佐々木知子

    佐々木知子君 経済学では一般失業デフレは不即不離の関係にあると言われているかというふうに考えております。失業問題は今現在非常に深刻でございまして、雇用の安定を欠くがためにこれが消費不況の大きな要因になっているということもまた随分指摘されているところであります。  要するに、失業を止めなければデフレも止まらない、反対にデフレを止めなければ失業も止まらない。基本的にそのデフレを止めるべきだというのが根本的な解決になると思うんですが、先ほど来不良債権をなくしてということをおっしゃっていますけれども、本当にそういうことを幾ら言っていても、今までずっと不良債権をなくそうなくそうと言いながら、ずっと、なくなるどころか実は株安にもなるし、デフレなものですからどんどん増えているというのが私は現実ではないかというふうに思うわけですが。  例えば、この有効な方策について経済学者の間では、インフレ目標、インフレターゲットを導入したらいいのではないかと言う方もおられます。それはもう御案内のとおりかと思います。中央銀行がはっきりこういうふうにインフレをするんだよという約束をして具体的に実行していく、インフレ期待が生まれて貯蓄ではなく消費に回るだろう、実質金利が下がれば企業も今のうちに金を借りて設備投資しようという動きに変化するのではないかと、こういうような考えですが、これについては、大臣、どのようにお考えでしょうか。
  18. 竹中平蔵

    国務大臣竹中平蔵君) 基本的にはデフレというのは貨幣的な要因であると先ほど申し上げましたが、したがって、マネーを増やすことによってある程度のインフレ、デフレを克服して物価上昇率を若干プラスに持っていくことができるならば、それによって名目金利が一定の下では実質金利が下がって経済そのものも活性化する、これはもう全くそのとおりであります。もちろん、技術的にはそのときに名目金利も上がるのではないだろうかと様々な議論はありますが、そのデフレの克服というのはだからこそ実は重要なわけです。  しからば、そのマネーサプライが安定的に増えてデフレを止めるような状況を作るための一つの工夫としてどういうものがあるだろうか。そこで、御指摘のインフレ目標、物価目標ないしはインフレ目標というのが出てくるわけであります。  世界じゅうを見ますと、インフレ目標、インフレターゲティングを取っている国というのは結構ございます。イギリスなどはそれで比較的成功している国ではないかというふうに思う。しかしながら、このインフレターゲティング論を採用した国は基本的にはインフレを抑えるためにこの政策を取ったという経緯がありますので、デフレを抑えるために取ったという国がない。果たしてこういう状況でインフレ目標がうまくいくかどうかというと、甚だ疑わしいと言う専門家も一方ではいるわけです。  先ほど申し上げましたように、この問題は専門家の最先端の人の間でもしたがって意見が分かれている非常に微妙な問題でありますが、私自身はかねてから、これはやはり日銀の独立性を確保しながらデフレを克服するという共通の政府の目標に向かって日銀に協力していただく、そのための目標そのものの在り方についてもやはり議論を深める必要があるのではないかということはかねてから申し上げているところでございます。  現実に日本銀行デフレが克服するまでマネーの量的拡大を行うということを政策決定会合で決定しているわけですから、私の認識によりますと、既に日本銀行は緩やかな、ないしは暗黙のインフレ目標に向かって政策をしているというふうに申し上げてよいのだと思います。  しかし、それをどのようにより明示的なものにすべきかどうか、そのときの問題点は何であるか、それが可能であるか等々についてやはり議論を深める必要があると、そのように認識をしています。
  19. 佐々木知子

    佐々木知子君 議論しているとちょっと時間が尽きないんですが、次の項目がございますのでこのぐらいにいたしまして、また時間がありましたら是非議論をよろしくお願いしたいと思います。  次に、国民の間では景気回復、それから雇用の安定と並んで、あるいはそれ以上に関心があると言われておりますのが治安の悪化ないし治安の維持に対する関心でございます。  私は、総合的な治安対策についてお伺いしたいと思いますが、現在の犯罪情勢と申しますのは、平成七年以降、刑法犯の認知件数、これ業過を除きますけれども、増加を続けておりまして、平成十二年には二百四十四万件と前年比約一三%増加しております。今年度も、上半期一月から六月に全国の警察が認知した刑法犯は、戦後最高を更新した前年度同期よりも五%増加して百三十五万件を超えたという報道がなされております。一方、検挙率は、かつては六九%と世界最高を誇っておりましたが、二〇%という低迷を続けておりまして、このような犯罪情勢の中、国民の体感治安というものが悪化しており、社会の安全に対する信頼が揺らいでおります。  この原因について、関係当局、特に法務省及び警察庁はどのような認識を有しているのか伺います。
  20. 樋渡利秋

    政府参考人(樋渡利秋君) 委員指摘のとおり、近年の犯罪情勢に関しましては、一般刑法犯の認知件数が昨年過去最高を記録するなど、治安の悪化が懸念される状況にありまして、国民の多くの方も強い不安を抱いていられるだろうというふうに思っております。  その原因については、一概に申してみることはできないのでありますが、社会環境の変化、経済情勢や国際化の影響等の様々な要因が複雑に絡み合っていると考えられ、治安を維持していくためには、各般にわたる総合的な施策のほか、防犯等に向けた国民全体の不断の努力も必要であろうというふうに考えておるところでございます。  これらの施策のうち最も基本的な施策は、やはり刑事司法手続におきまして犯罪を的確に摘発し、事案の真相を明らかにした上で刑罰法令を適正かつ迅速に適用して適正な科刑を実現することにあるだろうというふうに考えておりまして、検察当局におきましても、関係機関と緊密に連携し、かかる観点から適切に対応しているところでありまして、今後とも、治安を維持するために努力を重ねていくものというふうに思っております。
  21. 栗本英雄

    政府参考人(栗本英雄君) 委員の御指摘の犯罪情勢がますます厳しくなっておりますし、先ほどの御指摘のように、昨年が残念ながら戦後最多の記録を示す、また本年も同種の傾向が出ているということに対しまして、警察といたしましても、当面のこの情勢を厳しく認識しているところであります。  また、その増加の原因につきましては、ただいまの御説明と同じように、私どもも、経済情勢あるいは社会環境の変化、更には国際情勢の変化とかあるいは社会の規範意識の低下等、いろいろな要因が複雑に絡み合っていると見ておりますし、また、具体的に申し上げますと、いわゆる来日外国人の犯罪の増加や少年非行の多発というものも全体の増加の一因になっていると見ているところでございます。  また、このような情勢を踏まえまして、警察的には、現下の厳しい犯罪情勢への対応策といたしまして、社会の複雑多様化に対応できる優秀な捜査官の育成とか、あるいは科学捜査力の強化を図るとともに、現在国民の中にあります私ども捜査活動へのニーズとかあるいは犯罪情勢の詳細な分析に基づきまして、組織、人員の効率的運用に努めているところでございます。  また、更には入管、税関等の国内の関係機関との連携、更には外国の捜査機関との積極的な連携にも努めているところでございます。  それからまた、多発する犯罪の発生を抑止するためには、国民また地域社会、機関、団体との協力をいたしまして、犯罪に強い社会というものを構築することが不可欠であると考えております。  そのような観点に立ちまして、警察といたしましては、国民に地域安全情報を積極的に提供し国民の自主防犯意識の高揚を図るとともに、国民の自主的な防犯活動に対しまして積極的に支援をするなどの対策を講じているところでございます。
  22. 佐々木知子

    佐々木知子君 現在の犯罪情勢に対していかなる対応策を取っているのか警察当局に伺うのは二番目の質問だったんですけれども、今もうお答えになりましたので次に行かせていただきますが。  今おっしゃったみたいに、来日外国人犯罪が増加している、それから少年犯罪が増加している。こういうのは、家庭の基盤だとかそういう社会のコミュニティーが希薄化しているとか、いろんなこれ問題点がありますので、刑事司法だけの問題ではもちろんないんですが、その社会が今すごい閉塞感があるということを最初の設問で私も申し上げたんですけれども、要するにささいな動機、何でこんなことぐらいでかっとなってこんなふうになっちゃうんだというような犯罪が非常に増えている、了解不能な動機による凶悪重大事犯ということが毎日紙面をにぎわせているというような不安な社会情勢になってきております。  そういうようなものというのは、今までの刑事司法の範疇では恐らく把握し切れないものがもう増えてきたのだろうというふうに考えるわけですが、不法滞在外国人というのは二十五万人を超えるのが現状であると。来日外国人犯罪と言ったときに、国際化ですから外から入ってくる。警察だけではない。これ入管局、これは法務当局がやっております。諸外国を見ますと、御存じのように入管と警察は同じ内務省でやっているという国の方が随分多いかと思いますが、日本ではこれ分かれている。それから海上保安庁、海の方であれば海上保安庁なんです。それに関して、薬物犯罪だということになれば、今度は税関、財務省の問題になってくる。厚生労働省も薬物にはコミットしている。  こういうことで、例えば治安ということで各役所を呼んだら、ずらっと担当者がそろうということなんですね。これは決して私はいいことじゃないと思うんです。こういう有機的に連携してやっておりますと言いますけれども、私はやはりここには効率的ではないものが、やはり縄張意識というのもあるでしょうし、国民の治安に資するという意味では私は決していいことではないというふうに思っております。  それから、今申し上げたように、ささいな動機あるいは了解不能な犯罪というのが増えております。これはやっぱり社会的な問題であり、それから精神病理学的な問題ということもございましょう。犯罪学ということも考えなければいけない。それから警察や、もうこれはまた文部科学省だとか、またあるいは厚生労働省、法務省は矯正保護、いろんなまた別の機関というものが関係して総合的な対策というのを考えていかなければならない、そういう時代に私は入ってきたというふうに考えます。これら社会安全対策のために、なぜならばこれが国民にとって治安を維持するということが喫緊の課題であるからです。  省庁横断的な総合対策としては現在いかなるものがあるのか、これは内閣官房長官がおられないので副官房長官にお伺いいたします。
  23. 安倍晋三

    内閣官房長官(安倍晋三君) 小泉内閣といたしましても、安全な社会を守っていくということは大きな政策の柱の一つでございまして、ただいま委員が御指摘の点でございますが、省庁横断的な総合対策を、政府に様々な本部、連絡会議を設置をして、それを実行していくという考えでございまして、犯罪対策を取り扱うものといたしましては国際組織犯罪等対策推進本部、薬物乱用対策推進本部及び銃器対策推進本部がございます。
  24. 佐々木知子

    佐々木知子君 国際組織犯罪対策推進本部というものもございますけれども、これはせっかく内閣官房長官を本部長として関係各省庁の副大臣が本部員になっているということでございますけれども、発足後約一年二か月を経てわずか五回しか開催されていないというふうに承知しております。各回の議題を見ましても、国際組織犯罪担当の各省庁が各省庁所管について各々の施策を発表し合っているだけのように正直申し上げて思われ、政府全体としての社会安全対策を企画立案するような仕組みになっていないのではないかと私は懸念しております。  また、同本部の問題点としては、内閣官房が庶務を行っている以外実質的な事務局が存在しないということで、やはり組織を動かすためには恒常的な事務局というものが要るのではないかと、こういう視点に立っております。  その現状の国際組織犯罪対策推進本部で、ある意味治安対策としては十分だというふうにお考えになっておられるのか、これも副長官にお伺いいたします。
  25. 安倍晋三

    内閣官房長官(安倍晋三君) 国際組織犯罪に対する対応につきましても、小泉総理もこの問題に取り組むということは極めて重要であるというお考えでございまして、総理のリーダーシップの下に昨年の七月に内閣に設置をしたものでございまして、官房長官を本部長といたしております。  今、委員から、余り効果が上がっていないんではないかという御指摘でございますが、この同本部の決定により設置をされました自動車盗難等防止に関する官民合同プロジェクトチームの活動によりまして、この盗難の認知件数は本年に入りまして減少をしているということでございますし、また、海上保安庁と警察庁及び中国公安部の連携によりまして、昨年十月には大量の中国人集団密航者及び日中の密航請負組織関係者を摘発をしたという成果も上がっていると思います。  今後とも、各省庁がセクショナリズムに陥ることなく有機的に連携をしながら、同じ目的意識を持って犯罪の摘発また防止に邁進していくことができるように我々も努力をしていきたいと、こう考えております。
  26. 佐々木知子

    佐々木知子君 これ、何度も申し上げますけれども、悪化しているのが犯罪情勢でございます。恐らくは、このまま手をこまねいていれば悪化する一方であろうというふうに思われるわけです。真に有効な対策を講じるためには、セクショナリズムとおっしゃいましたけれども、実際にセクショナリズムに陥る傾向が多々あるわけです。省庁の垣根を越えた実効性ある総合的な体制整備というものをやはりしていかなければいけないのではないか。  例えば、我が国の国際化に伴う来日外国人の激増と、今申し上げている組織犯罪に対しましては、各機関が有機的に連携していくのはもちろん、各機関が有する情報を互いに利用しないといけない、情報の一元化ということもここで非常に問題になってまいります。そして、不良外国人が日本に入ってくるのをもう水際で阻止する、それから不法滞在者の摘発を的確に行っていく必要があるわけです。  何度も申し上げていますけれども、社会の不安定を背景として、ささいな動機あるいは了解不能な動機による凶悪重大事犯が多発しているということで、その原因や発生、再発防止策を講じるためには、独りこれまでの警察や検察といった刑事司法だけでもちろんこれは解決できる範疇を超えておりますので、隣接諸科学やその実践も含めた多角的、総合的な見地からの取組が必要であって、私は現在の体制では不十分であると。  つまり、内閣に社会安全対策のための恒常的かつ総合的な施策の企画を行う事務局を有する恒常的な機関を置いて、関係各省庁にこれを実施させ、国民だれもがいつどこにおいても安心して過ごせる社会の再生を目指すという一元的体制を整備すべき段階に来ているのではないかというふうに考えておりますが、これに対して副長官、いかがお考えでしょうか。
  27. 安倍晋三

    内閣官房長官(安倍晋三君) 確かに、委員指摘のように、社会の変化、また犯罪のボーダーレス化と、大きな変化の中で対応をしていかなければいけないわけでございまして、一省庁、一部局だけでは対応できない。また、その中で、当然情報等を一元的に集めて、その中で判断をしていくということは極めて重要であるということは当然であろうと、このように思うわけでございます。委員もかつて犯罪捜査の現場に身を置かれた先生でございますから、そういう経験の下に御発言をされているんだろうと、このように思います。  御指摘の点でございますが、恒常的な事務局あるいはまた総合的な機関を設置をしてはどうかという御指摘でございますが、行政改革観点も踏まえながら、今後の課題として承らさせていただきたいと、このように思います。
  28. 佐々木知子

    佐々木知子君 是非そのように前向きに取り組んでいただきたいと思います。  内閣府の問題といたしましては、スタッフが各省庁から出向しているということで、正直申し上げて、自分の出向してきた先を向いて執務をしているということをよく指摘されたりもいたします。そういう意味では、例えばフランスの国家行政院のように最初から同じかまの飯を食った上で別の省庁に就職していくというような、そういう抜本的な公務員改革というのも必要ではないかというふうには考えておりますけれども、それにつきましては後日の機会に譲らせていただきまして、この問題についてはこれで終わらせていただきたいと思います。  副官房長官はこれで退席されて結構でございます。
  29. 中原爽

    委員長中原爽君) 副長官は記者会見のお時間でございます。中座されます。
  30. 佐々木知子

    佐々木知子君 じゃ、続きまして、少子高齢化についてお尋ねしたいと思います。  私は、これは内閣府の方で担当されておられるんだというふうに考えてここに持ってきたわけですけれども、厚生労働省だというふうに伺って厚生労働省に来ていただくことになりました。  少子化というのは日本の抱える大きな問題点というふうに指摘されて、これはもう随分久しくなります。少子化そのものがなぜ悪いのかという論議はさておきまして、現在、少子化対策ということで講じられている具体的な施策について厚生労働省にお伺いいたします。
  31. 岩田喜美枝

    政府参考人岩田喜美枝君) 少子化対策につきましては、平成十一年に、政府といたしまして、少子化対策推進基本方針と、その具体的な実施計画として新エンゼルプランを策定いたしまして、関係省庁挙げて取り組んでいるわけでございますが、主な分野としましては、例えば仕事と子育ての両立のための雇用環境の整備といった労働政策の分野、また利用者の多様な需要に対応する保育行政という児童福祉行政の分野、更には子供が夢を持って伸び伸びと生活できるようにという教育行政の分野や子育てを支援するような住宅の普及などの住宅政策など、広範囲にわたりまして政府挙げて取り組んでまいっているところでございます。  特に厚生労働省といたしまして今日重点的に取り組んできておりますのは、一つには、保育所待機児童ゼロ作戦や放課後児童の受入れ体制の整備など、これらは新エンゼルプランの目標値を前倒しして緊急に実施しているところでございますし、二つ目には、それぞれの御家庭でやはり子育て不安、子育ての負担感が強うございますが、子育ての負担や不安の解消や児童虐待などのような極端な問題でございますが、そういったような防止対策など、地域における子育て支援対策も重点的に取り組んでおりますし、三つ目には、昨年の臨時国会で育児・介護休業法を改正していただきましたが、仕事と子育てを両立しやすいような雇用環境の整備に取り組んでおります。  また、先般、小泉総理の方から、新しい人口の将来推計も踏まえまして、少子化の流れを変えるための実効性のある対策を検討するようにという御指示がございました。厚生労働省といたしましては、本年三月から少子化社会を考える懇談会を開催いたしておりますので、その議論も踏まえながら、他省庁の所管事項にもわたって総合的な少子化対策の在り方を早急に取りまとめ、それを実施に移してまいりたいというふうに考えております。
  32. 佐々木知子

    佐々木知子君 幾ら少子化といっても、産むか産まないかというのは本人の選択によるものでございましょうから、産みたくない人にまで産ませることはもちろんできないでしょうけれども、産みたくない人が産んじゃって、また児童虐待だとかいろいろ問題も出てきているわけですが。子供を本当に産んで育てたいんだけれども経済的その他のいろんな事情があってそれができないという人は、やはりそういう事情をできるだけなくしていってあげないといけない、それが私は国家としての役割ではないかというふうに思っております。そのためには、明るい社会を作るということももちろん大きな大前提となるかと思います。  これ、細かい問題になりますけれども、今、不妊治療について保険適用をしてほしいという陳情が参っているかというふうに思いますけれども、不妊治療というのは、本当に産みたくて一生懸命通っている人が、非常に高い、月にもう何十万も掛かるような、そんな額になったりとかするそうなんでございますけれども、そういうものについては、私は、真摯に子供を産もうと考えているわけで、保険適用をしてあげていいんじゃないかなというふうに思います。これについて、厚生労働省、いかがでしょうか。
  33. 岩田喜美枝

    政府参考人岩田喜美枝君) 不妊治療の保険適用問題については、担当の局長が今日参っておりませんけれども、基本的には非常に技術的に進んでおります分野でございまして、それと倫理面との関係をどういうふうに考えるかとか、技術は進んでいるんですけれども成功率はまだまだ低いというような状況もございまして、どういう形で、先生おっしゃいますように、確かに不妊治療に取り組んでおられる方については経済的な負担が多いというお話も伺っておりますので、大変重要な検討課題であるというふうに私は思っております。担当の局の方にも今日の先生のお話をお伝えしておきたいと思います。
  34. 佐々木知子

    佐々木知子君 それと並びまして、私は出産というのももう保険適用の対象にしていいんじゃないかというふうに思っておりますが、担当の局長がおられないということで、これについてはもうお答えは結構でございます。  ところで、少子高齢化というのは実は日本だけではなくて、日本が随分その速度が極めて速いということで注目されているわけですが、すべての先進諸国に共通した問題であると。  高齢化そのものというのは、これは生活や医療水準の向上によって人が長生きできるようになったということで、これ自体は私は決して悪いということはないというふうに思うわけで、また一方、少子化によって人がだんだん少なくなっていきますと人口の過密状態はなくなってくるわけで、住環境が改善されて交通混雑も改善されるのではないかと、こういう見方もできるのではないかと思います。ちなみに、日本の人口は一九〇〇年時には四千三百万人と、日本の今の三分の一ぐらいしかございませんでした。  発想を転換して、少子高齢化というのは果たして絶対的に悪いのかという視点もまた私は必要なのではないかというふうに考えます。要するに、なぜ少子化が悪いかというと、労働性が落ちるからということになりますね、若年労働者が少なくなるから。そうすると、労働生産性を向上させればいいのではないかと。日本の労働生産性というのは、アメリカと比較してもずっと二〇%程度低いというふうに言われております。これは一人当たりのGDPを購買力平価で比較したものですけれども。その要因は、規制の有無、程度の違い、それから労働市場の柔軟性の違い、取引慣行や流通システムの違いなどにあるというふうに言われております。  労働生産性を上げるということは、そういうような規制を取っ払うとか、その様々な意味で可能になってくるわけですけれども、それに加えまして、現在は働いていない女性や高齢者が働くことによって更にこれは豊かにできるものなんですね。  そのためには、女性にとっては、家事や育児と仕事というものを両立できる社会環境、これは最初にお答えになりましたけれども、そういう社会環境を作っていくということ。高齢者にとっては、いつまでも働ける雇用環境を作るということになるわけですが、もっとも、はいどうぞどうぞ働いてくださいといっても、それをすることによって社会に過大なコストを強いるというものであっては、これは社会全体としては非効率になってしまうということで、この兼ね合いが難しいところだと思いますが、女性、高齢者の活用、この施策についてはどのようにお考えでしょうか。
  35. 岩田喜美枝

    政府参考人岩田喜美枝君) 少子高齢化が急速に進展しております中で、日本経済社会の活力を維持していくためには、先生おっしゃいますように、今働いている人たち一人一人の生産性を上げるということと併せて、今は働いておられない女性ですとか高齢者もその能力を発揮していただいて経済社会を支える側に回っていただけるような、そういう対策が重要であるというふうに考えております。  女性や高齢者の就業ニーズ、多様でございますけれども、そういった多様なニーズに対応した就業の機会を作っていくということが基本的には大事かというふうに思いますが、あわせて、女性の就業促進のためには、先ほどの答弁とも若干重なりますけれども、地域において保育所や放課後児童クラブなどの整備を一層進めていくということ、また、育児・介護休業法に基づきまして育児休業や短時間勤務など子育てをしやすいような職場づくりを進めていくということ、そしてまた、育児などを理由にしていったん辞めた方がまた本格的に再就職できるように、そういった再就職希望者に対する支援対策を強化していくというようなことが引き続き大事な課題ではないかというふうに思っております。  また一方、高齢者の就業促進につきましては、定年の延長や継続雇用によりまして六十五歳までは少なくとも安定的な雇用が確保できるように、また、離職を余儀なくされた場合については、そういった高齢者の円滑な再就職の促進が図られるように積極的に取り組んでまいっているところでございます。  今後とも、こういった政策を通じまして、女性や高齢者がその能力を十分発揮できるような、そういう雇用環境の整備に努めてまいりたいと考えております。
  36. 佐々木知子

    佐々木知子君 よく言われることなんですが、若年労働者が減少すれば外国人を雇用してそれで賄えばいいじゃないかという意見ですね。現在の外国人労働者の占める割合、それから今後の見通しについてもお伺いしたいと思います。
  37. 三沢孝

    政府参考人(三沢孝君) お答え申し上げます。  我が国で現在就労しております外国人労働者、これは平成十二年の数字でございますけれども、合法、不法を合わせまして約七十一万人と、こう推計されております。雇用される労働者全体で見ますと約一・三%を占めていると、こういうふうに考えております。  この外国人労働者の方々ですけれども、年々増加しておりまして、最近五年間の増加率を見ますと、年平均で約三・二%の増加となっております。今後の我が国の経済社会のグローバル化等々を考えますと、今後、専門的、技術的分野の外国人労働者の方々を中心として増加していくんじゃないかと、こう考えているところでございます。  ただ、この問題につきましては、我が国で就労する外国人労働者の数の推移でございますけれども、我が国の状況あるいは送り出し国の経済情勢とか社会情勢、そういう様々な要因により変化が予想されますので、今現在、今後の見通しの数を数量的に、具体的に申し上げることは困難ではないかと思っている次第でございます。
  38. 佐々木知子

    佐々木知子君 今ヨーロッパでは外国人移民の問題が非常に大きな、これは政治レベルでの問題になっておりまして、外国人を、安易という言葉がいいかどうか分かりませんが、入れるということは、将来彼らも高齢者になっていくわけで、そういう意味では社会としてのコストというのが一概にいいか悪いかというふうに論じられない問題もございまして、これは私は慎重に臨んでいくべきことだというふうに考えております。  先ほど来から、景気が回復しない、それから失業不安がある、雇用の安定が今保たれていないということ、それが消費不況の大きな原因となっているということも申し上げておりますけれども、それに加えて年金不安ということがございまして、千四百兆円とも言われている個人資産が使われないまま眠っていると、これが不況の大きな原因になっているかというふうに思うわけですけれども、国民の多くが、今、年金を払い込んでも少子高齢化でいずれ制度自体が破綻するのではないかと、払い込んだ年金さえ戻ってこないのではないかという不安を抱いているのは事実でございます。そして、実際、不払者というのも増えているというふうに聞いております。これについてどのようにお答えになりますでしょうか。
  39. 吉武民樹

    政府参考人(吉武民樹君) 委員指摘のとおり、少子高齢化の進行が非常に急速に速くなっております。それからもう一つ経済情勢が非常に厳しい状況にあるという、こういうこともございまして、特に若い世代の方に将来の年金給付に対する不安でございますとか、あるいは給付と負担について御自分たちの世代が非常に割が悪くなるんではないかというような不安がございます。  私ども、保険料の徴収の世界で申し上げますと、厚生年金の場合には、事業主を通じまして給与から徴収させていただきますので非常に高い徴収率でございますが、国民年金はある意味で自主納付的な仕組みになっておりますので、国民年金で申しますと、三十五より若い世代の方の納付はやはり悪い状況でございます。三十五ぐらいに達せられますと、多分御自分の老後の問題なんかを非常に現実味を帯びてお考えになるようでございまして、それからはかなり高まります。  それからもう一つ、納付率と、それから負担力といいますか所得を比較をいたしますと、納付される方よりは納付されない方が若干所得が低いんですが、それほど大変な差はないということでございます。  したがいまして、非常に大事なことは、公的年金制度の意味合いといいますか、このことについてこういう国民の方々によく私どもから御説明をしていく必要があるだろうというふうに思っております。  賦課方式を取っておりますので非常に、要約して申し上げますと、かつては御自分のお父様あるいはお母様あるいはおじいさん、おばあさんをどちらかといいますと家族なりあるいは親戚というそういう形で支えておられたことを年金を通じて共同して支えようというのがこの仕組みでございますので、この仕組みの原理から申し上げますと、正に働いておられる現役の世代の方が保険料を納めていただくことによって、御自分の先輩の世代である父親、母親、あるいはおじいさん、おばあさんの世代の、すべての生活じゃございませんけれども、高齢期の生活の基本を支えようという仕組みでございます。そういう役割を果たしていただいた方が御自分が将来高齢者になられたときに、保険料を納付して高齢者の生活をずっと支えていただいたという実績に応じて、次の現役世代の支払う保険料によって給付を受けるという仕組みでございます。  それから、掛け損ではないかというお話ございます。これは今日ちょっとお時間がありませんので詳しい数字は申し上げるのは控えますが、これから、例えば今年生まれて将来保険料負担がだんだん高くなる世代を計算をいたしましても、基礎年金で申し上げますと、給付の額の方が多いということでございます。私ども、こういうことも含めまして、できるだけ丁寧な周知、広報を進めていきたいというふうに思っております。  少し、例えば二十歳ぐらいの世代、それから三十ぐらいの世代、それから四十ぐらいの世代の方が年金について何をお考えになっておられるかというのは若干違いますので、そういうことに対応したものもやっていきたいと思います。  それから、非常に大事なことだと思いますが、年金受給者の方の七割は日本の年金は非常に高く評価していただいております。逆に、若い世代の方は七割近くの方が不安を持っていただいているという非常に対照的な図でございます。  で、平成十六年に年金制度の改正ということでただいま検討いたしております。これは今年の一月に発表がありました新しい人口推計、これによりまして、実は寿命も延びておりますし、それから少子化の進行もより厳しくなっております。私ども、保険料の計算で申し上げますと、寿命の延び、これは非常にめでたいことでございますが、寿命の延びによりまして多分費用負担は五%ほど従来より増えるだろうというふうに見通しております。それから、中位推計で申し上げますと、少子化の進行によりまして一割程度増えるだろうと。これは歴然たる事実でございますので、この事実を直視をいたしまして、十六年の年金制度改正に向けまして、負担と給付の関係をできるだけ恒久的に安定化できるような、そういう制度改正といいますか、これを目指して検討を進めてまいりたいというふうに思っております。
  40. 佐々木知子

    佐々木知子君 時間がなくなってまいりましたけれども、これまでのような高い年金給付というのはこの少子高齢化を拝見すれば維持できるはずはないわけで、カットすべきという点で論者の意見は一致しているようですが、ただ、カットの幅と維持可能な在り方について諸説があるようでございます。たとえカットされても、制度の永続性が保障される年金になった方が老後の安心はむしろ高まるわけでありまして、必要なのは正しい認識と正しい施策であるというふうに考えております。人口減少が耐え難いと考えるのは人口増加を前提としたシステムを直さないからであって、是非正しい認識を持って、また正しい施策を推進していただきたいというふうに思います。  これでもって、時間が参りましたので終わらせていただきます。
  41. 泉信也

    ○泉信也君 保守党の泉信也でございます。  外務副大臣には御出席いただきまして、ありがとうございます。  まず、中国における遺棄化学兵器の廃棄の問題についてお尋ねをさせていただきます。  化学兵器禁止条約に言うところの遺棄化学兵器の定義について簡単におっしゃっていただけますか。
  42. 植竹繁雄

    ○副大臣(植竹繁雄君) 今、泉委員お尋ねの遺棄化学兵器の定義の点でございますが、これは、一九二五年一月一日以降、「いずれかの国が他の国の領域内に当該他の国の同意を得ることなく遺棄した化学兵器」と、これは老朽した化学兵器もすべて、そういうものを言うわけでございます。
  43. 泉信也

    ○泉信也君 今お答えいただきました当該国の同意を得ることなくということが非常に大きなポイントだと思うんですね。  それで、今私が問題にしようと思っておりますハルバ嶺辺りのあの部分は、ポツダム宣言を受け完全武装解除をされました。当時はソ連軍の司令官に日本軍は武装解除を受けたわけでございます。その際、日本軍が提示した資料の一部が残っておりますが、軍馬、いわゆる馬ですね。馬の馬具といいましょうか、あるいは砲弾その他もろもろのものがきめ細かく提示された資料がございます。しかし、化学砲弾という分類のものは確かにございません。  今日までの外務省の見解は、そういう化学砲弾というものがない。中国が確かに同意をしたという証拠がない。したがって、このたびの条約の当該国の同意を得てないと、こういう見解を述べてこられたわけです。その見解については、今も変わっていないんでしょうか。
  44. 植竹繁雄

    ○副大臣(植竹繁雄君) 今、委員お尋ねの点につきましては、現在も当時から変わっておりません。
  45. 泉信也

    ○泉信也君 私は、あの武装解除を受けたときに、化学砲弾だけは日本軍が持って処理をするというようなそういう余裕があったとは実は思っておりませんで、したがって、この条約に基づく遺棄化学兵器には当たらないということを主張してまいりました。しかし、それは既に条約を批准し、発効され、中国との間で取決めがなされましたので、これ以上このことについては申し上げません。  そこで、一九九九年の七月に中国とこの件に関して覚書が取り交わされております。この覚書の前書きに、「日中共同声明と日中平和友好条約を銘記し、」という言葉がございますが、これはなぜこういう文章が入ったんでしょうか。
  46. 植竹繁雄

    ○副大臣(植竹繁雄君) 私は、この化学兵器遺棄という問題につきましては、これは先般の第二次世界大戦に端を発するものでありますし、これが五十余年たちました今日におきましては、中国の環境や人身の問題、つまりは安全に重大な影響を及ぼす、そういう意味におきましても、正に人道的な問題を考えまして、これを対応するために緊急性を要するということでもありますし、これは日中共同声明あるいは日中平和友好条約の精神を踏まえまして、基本的にこれを処理していかなくちゃならない。  さらに、化学兵器禁止条約におきまして、この化学兵器遺棄の、廃棄に際して必要なものはどうしても日中両国間の協力の内容について両国間で協議を経まして共通の認識を持って対応していくというためにその文書が取り交わされたものでありまして、今お尋ねの日中間の基本的な原則を定める文書として、今お話しの日中共同声明あるいは日中平和友好条約にも言及しているということだと考えます。
  47. 泉信也

    ○泉信也君 この件は、国際条約に基づいて処理をするというのが基本的な立場でありまして、この共同声明とか友好条約なんかを書き込むということが既におかしいわけで、この共同声明も友好条約も何らこの案件処理には必要ない、それがこういうところに入っておるというところに従来からの外務省の姿勢の一端が私はうかがわれると思うんです。これも既に取り交わした文書でございますので、今後の遺棄兵器の処理に当たって基本的なスタンスをもう一回見直していただきたいという思いでこのことを申し上げたわけです。  続いて、一項目に、日本政府は条約に従って遺棄締約国としての義務を負わされております。これは私は当然だと思いますが、二番目に、「中華人民共和国政府は廃棄に対し適切な協力を行う。」と、こういうふうに書いてあります。  本来であれば、これは条約に基づく「領域締約国」という言葉を使うべきである。条約の中にそういう言葉があるわけですから、当然中国に対しては条約に基づくこの位置付けを明確にすべきだったと私は思いますが、なぜ「適切な協力を行う。」というようなあいまいな言葉にしたのか、お尋ねをいたします。
  48. 植竹繁雄

    ○副大臣(植竹繁雄君) 委員お話しのように、化学兵器禁止条約におきましては、廃棄のために遺棄締約国におきましてはすべての資金とか技術、あるいは施設、専門家その他の資源を提供する旨定められております。そして、領域締約国については適切な協力を行うのみ規定しておりますが、この覚書の作成におきまして、これが領域締約国と表現していない理由につきましては、我が国が中国において兵器の廃棄を行うに当たっては、この条約を超えて中国側から幅広い協力を得るという必要がある観点から、中国においてもあえて領域締約国と表記しない案を出し、それで条約したものと思います。  したがいまして、この遺棄条約にはまらないこの領域国につきましては、廃棄義務がこの第一条第二項にも、締約国は、この条約に従い、自国が所有し若しくは占有する化学兵器又は自国の管轄若しくは管理下にある場所にある化学兵器を廃棄することを約束するということを書いてございますが、しかしこれは、日本の場合は、先ほどお話ししました遺棄化学兵器条約には入っておりまして、これを実行するということが決められておりますので、あえて中国側の領域国の締結ということは書いてないと、そういうふうに了解しております。
  49. 泉信也

    ○泉信也君 条約に基づく覚書ですから、当然こういうお互いの国の立場を私は明記すべきだと、領域締約国の立場を超えての協力というふうにおっしゃって、今、副大臣は言われました。もしそうであったといたしましても、条約の定義をきちんとそこに位置付けておく。今、副大臣のお答えになりましたようなことが事実だとすれば、例えば関税はどうなっておるかとか、中国の国内における税制はどうなっておるか、そういう事柄についての配慮を日本側としては期待ができると、そういうふうに理解をして、次に進ませていただきます。  五番目に、実は事故が起きた場合のことが書いてあります。これは、処理の仕方については両国で協議をして方法を定めてやるということでございますので、事故というのは本質的なものではなくて、多分技術の進歩に追い付かなかった、あるいはミスで私起こるものだろうと思うわけですが、事故が起きた場合は「両国政府は直ちに協議を行い、その基礎の上に、日本側として必要な補償を与えるため、双方が満足する措置をとる。」と。私は、「日本側として必要な補償を与えるため、」という文言がなぜ入ったのか。  これは、お互いに協議をし、双方が満足する措置を取るということだけで十二分に相互の、両国の意思は通じるにもかかわらず、「日本側として必要な補償を与えるため、」という文言がなぜ入るのか、大変私は不思議なんですけれども、もし何かお分かりでございましたらお答えをいただきたいと思います。
  50. 植竹繁雄

    ○副大臣(植竹繁雄君) 廃棄の過程におきまして万一事故が発生いたしました場合は、今おっしゃるように両国政府が協議を行い、日本側が補償を与える必要があると判断したとき一定の措置を取る旨表明したということでございます。  しかし、この補償というものが、事故の過程におきまして、この事故の内容が双方が具体的に内容を検討しなくちゃなりません。その場合に、双方で十分検討して、「双方が満足する措置」にあるとおりでございますが、しかし、それを廃棄する過程でなった事故というものは、どういう状態でその事故が起きたかという場合において、あるいはこれは仮定でございますが、日本側じゃなくて向こう側の事故で発生した場合もあるわけであります。  ですから、この補償というものが義務的な補償としているということではないという意味でこういう文章を書いた次第でございまして、不要ではないということでは考えられません。
  51. 泉信也

    ○泉信也君 副大臣には御在任中の話ではないだけに大変申し訳ないお尋ねをしておるわけでございますけれども、最初に申し上げました共同声明、友好条約、こういう事柄も私は過去の質疑の中で条約に基づいてやる、今回の化学兵器禁止条約に基づいてやるんですねということを念を押しておるんですね。しかも、共同声明なんかは、先ほどもちょっと申し上げましたように、内政不干渉であるとか賠償を求めないとか、いろんなそういうたぐいのことしか書いてないわけですから、こんなところに出てくるのがおかしいと。  そして、幾つか申し上げましたことがございます。これは同じ日に、覚書が交わされた日に外務大臣官房報道課が公にした「署名について」ということによりますと、その中には平和条約の話もそれから共同声明のような話も書いてないんですね。国民に向かってはそういうことは言わない。しかし、実態の覚書の中にはそれが位置付けられておるというようなことは、私に言わせますと大変チャイナ・スクールの行き着いた姿ではないかと思えてなりません。  そこはもう覚書についてはそれだけにさせていただきまして、次に移りますが、平成四年から予算を付けてこの作業が始まっておりまして、最終的には七千億とも一兆円とも言われるような大規模なプロジェクトになるわけであります。  そこで、これは内閣府でしょうか、十一年度、十二年度の予算についてどのように使用されたか、概要をお話しください。
  52. 岩谷滋雄

    政府参考人(岩谷滋雄君) お答え申し上げます。  十一年度及び十二年度の予算につきましては、遺棄化学兵器の廃棄処理を行うに当たりましての各種の調査研究、あるいは北安という場所がございますけれども、そこにおきまして約三千発の化学兵器等を発掘しておりますけれども、そういった費用に充てております。
  53. 泉信也

    ○泉信也君 十三年度あるいは十四年度の予算では具体的な施設の整備が一部なされておるように新聞報道で承知をいたしておるわけですが、作業用道路約八キロ余りのものができると、こういうふうに承知しておりますが、この費用は幾らなのか。そして、また新聞ですが、畑の休耕補償などのために五億五千万円が支出されておるようですが、これは事実なのか。お話を下さい。
  54. 岩谷滋雄

    政府参考人(岩谷滋雄君) ハルバ嶺におきます道路の建設でございますけれども、約十億円の費用が充てられております。  それから、休耕補償の問題でございますけれども、これは最近の新聞報道で出ておったかと承知しておりますけれども、御案内のとおり、今月五日から二十七日まで中国の黒竜江省孫呉県におきまして遺棄化学兵器の発掘回収をしておるところでございますけれども、これに要する費用が総額で五億五千万円ということでございます。  ただし、この費用の中には畑を休耕地化するということでの補償といったような費用は含まれておりません。一部敷地、その作業のための敷地として使用しておりますので、その部分につきましては借地料を払っておりますけれども、いわゆる休耕補償というものはございません。たまたまその周辺が大豆畑でございますので、そういうことが行われているのではないかということで報道が行われたというふうに承知しております。  一般的に申し上げますれば、農作物あるいは農作業に影響を及ぼすというような場合には相応の補償が必要になることもあり得るというふうに考えておりますが、今回の場合は今のところそういうことにはなっておりません。
  55. 泉信也

    ○泉信也君 今、道路の費用についてお話がございましたが、およそ一メーター十万円ぐらいの費用になるかと思うんですね。そうしますと、日本の道路の価格、コストからしますと、必ずしも安くはないなというふうに私は思います。  そこで、その道路は十年間使用する道路と、化学兵器処理をする、例えば十年間処理する道路として日本政府が造るのか、あるいは恒久的に例えば五十年使用に堪え得るような道路とするのかによって費用も変わりますし、だれが支出をするのか、日本政府が出すのか中国側が出すのか、随分変わってくると思うんですね。その同じ道路であってもどう考えるかというような判断は、きちんとしていただいておるんでしょうか。
  56. 岩谷滋雄

    政府参考人(岩谷滋雄君) 先生御指摘のとおりでございまして、この道路はハルバ嶺の現地に発掘回収の施設を建設するということで、そのために使用しなければならないという、そういう目的のために建設しておるものでございます。したがいまして、基本的にはいわゆる砂利道ということに仕様もしておる次第でございます。  ただし、非常に多数の車両が通行することになりますし、また、冬期は非常に寒くて凍結するものですから、道路表層部を保護するという意味で、また補修を最小限にとどめるという意味で薄いアスファルトコーティングを行うということになっておりますが、これも含めまして過剰の仕様にはなっておらないというふうに考えております。
  57. 泉信也

    ○泉信也君 今の御答弁で理解をいたしましたけれども、後々、中国側にも使っていただく道路というようなことになれば、当然費用の案分をして、そして、せっかく造る道路が本当に有効的に使っていただけるように考えていただきたいと思います。  そこで、会計検査院にお尋ねをいたしますが、こういう日本側が責任を持って費用負担をして処理をしなければならないこの化学兵器の問題について、検査院としてはどのような姿勢で臨まれるのか、お聞かせください。
  58. 石野秀世

    説明員(石野秀世君) お答えいたします。  本件事業は、今お話しのとおり、内閣府の予算で執行されているというふうに承知しておりますので、当然会計検査院の検査対象ということで考えております。  検査に当たりましては、現在までのところは、契約書等の関係書類等に基づきまして随時担当者から説明を受けるというふうなことで、その予算執行状況を見守っているというふうな状況にございます。今後、どんどんその事業が本格的に実施されていくことが予定されているのだろうと思います。したがいまして、これに応じましてどういった検査を具体的に実施していくか検討していきたいというふうに考えております。  いずれにしましても、そういった多額の国費が使用されるというものにつきましては、今後、遺漏なきよう検査してまいりたいというふうに考えております。
  59. 泉信也

    ○泉信也君 先日の決算委員会で、ODA等に関しても相手国の主権にかかわる問題があって踏み込めない部分があるというようなお話もございましたけれども、本件は正に日本の責務の中で処理をすることでございますので、是非検査院には、過剰な投資になっていないか、あるいは不適正な支出がないか、そうした面は調べていただきたいとお願いをしておきたいと思います。  そういうことから考えますと、今回の処理に当たりまして、プラントの輸入でありますとかあるいは必要物資、輸入というか、持込みでありますとか関連物資の持込み等、非常に大きな輸送が発生するのではないかというふうに私は思っております。その際、例えばハルバ嶺から大連ルートを通るのか、あるいはザルビノ港とかあるいはポシェット港というロシアとの境界線のところの港を通るか、これも全体のコストを考えるときに大変重要なポイントだと思うんですね。  ですから、今国内のルートがどの程度整備されておるか、そういうことは私には分かりませんけれども、どういう要素を考えてルートの選択をされるか。あるいは、ほぼ既にルートが決められておるのであれば、その考え方について、簡単で結構でございますので、お話しください。
  60. 岩谷滋雄

    政府参考人(岩谷滋雄君) 先生御承知のとおり、現在、中国側との間で主たるプラントの処理技術及び処理施設の立地場所につきまして協議を行っておるところでございます。  今後の事業の進捗に伴いまして物資の輸送が発生してくるというふうに考えておりますけれども、どのような物資を運ぶ必要が出てくるのか、その調達先がどこになるのかといったようなことを総合的に勘案いたしまして検討をしていきたいというふうに思っております。また、その際には、あわせまして当室といたしましては、透明性を確保しなければいけない、また経費については最小限に圧縮していくということも念頭に置きまして、最も確実かつ効率的な輸送ルートの確保をしたいというふうに考えております。
  61. 泉信也

    ○泉信也君 先ほど申し上げましたように、一兆円にも達するかもしれないこの処理でございますので、室長、お答えいただきましたように、透明性の確保、そして最小のコストで処理できますよう一層その努力をしていただきたいと思います。  外務副大臣には通告をいたしておりませんでしたけれども、この化学砲弾に絡んで現地の方々から日本に対する補償を求める動きがあるようでございます。このことは私は全く対象にならない、国家補償の対象にならないというふうに理解をいたしておりますけれども、それはそれでよろしいでしょうか。
  62. 植竹繁雄

    ○副大臣(植竹繁雄君) この補償は、補償問題は、これは国家補償の対象にはならないと思います。  なぜならば、確かに中国側から二千人とかなんとか、そういうことはほかの方で聞いておりますけれども、実際に多数いるということは聞いておりますが、具体的にそれは被害状況については確認していないということでございます。  したがいまして、この点について国家的な補償をするということではなく、いかにこの化学兵器を、早く、遺棄化学兵器を処理するかという点が重要だと考えております。
  63. 泉信也

    ○泉信也君 ありがとうございました。  正に共同声明の中にそのことが盛り込まれておりますので、今後その問題が日本政府を悩ますことがないように外務省の姿勢をお聞きしたかったわけでございます。  次に、北朝鮮問題について少しお尋ねをいたします。  十七日に総理が北朝鮮にお出掛けになるということで、我々も北東アジアの安定あるいは朝鮮半島の平和のために御活躍をいただきたいということを期待しておりますが、どうもこのところ、例えば奄美沖の不審船は引き揚げないんだということをどこからか流れてくる、あるいは九月五日の能登沖の不審船も、実は二日前から分かっているんだけれどもEEZの外に出たところから追い掛けたんだというようなことが言われたり、あるいは正に総理が交渉されるシナリオを見てきたかのような情報がマスコミ等に流れます。  私は、こういうことは良くない。海上保安庁であれ自衛隊員であれ現場の人たちが懸命に努力しているときに、また総理が行くまでに北朝鮮との間がやかましくならないようにそっとしておこうなどというふうな情報が漏れることは大変残念な思いでございます。外務省から出ておるとも私は思いませんけれども、政府として是非もう少し厳重な情報管理をしていただきたいということをまず申し上げておきたいと思います。  実は、日本の人たちがなぜ北朝鮮に対してそういう嫌な思いを度々するかというのは、正に拉致問題ということがあるわけですが、過去の北朝鮮に対する日本政府の対応は腰砕けで、全くその国益を思っていないという事例を幾つも知っておるから私は心配をされるんだと思うんですね。  まず、平成十年の十二月から翌年の一月に島根、鳥取、福井へ北朝鮮兵士六遺体が漂着をいたしました。北朝鮮の返還要請に直ちに応じたようでございますが、この件に対して外務省はどういう姿勢を取られておったのか、お聞かせください。
  64. 植竹繁雄

    ○副大臣(植竹繁雄君) 今、委員がおっしゃられました情報の問題につきましては、私、全くこの情報の一般の在り方というものは大変憤りを感ずるところでございます。そのためにいろんな、これは外務省ばかりじゃありませんが、いろんな点においていろんな情報といいますか一般にこれは交差をしまして大変に政策上遂行に当たりまして不備な、不利な点があるということは大変残念であり、この情報のことについて更なる対策、対応をすることは、外務省としても、また委員の皆様におかれましてもこれ御協力いただきまして、これをちゃんとしたそういう報道がなされるように持っていただくよう、と思っておるところでございます。  さて、北朝鮮に総理が参ります。その目的につきましては直接の御質問ではないので今は省きますけれども、例の北朝鮮の遺屍、遺体というものがかつてあったということについては承知しております。これは、赤十字を通じましてこれはそれぞれ送還されたと思います。これはむしろ外務省におきましては、情報としましていろいろ着衣とかそういう問題について調査しまして、それが北朝鮮のものであるらしいということにつきましては知っておりますが、しかしこの遺体の漂着を送り返すということは、日本でいいますと、これは外務省じゃなく、これは厚生労働省かと思いますが、法律が、行旅病人及行旅死亡人取扱法という法律に従いまして、その発見というかその当該場所の自治体において処理されるということになっておりますので、多分先ほど申し上げましたようなことで、北朝鮮といいますか、現地に送り返したものだと考えております。
  65. 泉信也

    ○泉信也君 正に片仮名法律だったと思いますけれども、そういう法律にのっとって処理をしたということを承知いたしております。  しかし、事北朝鮮の問題、平成十年ですから拉致問題も発生しておる、米も何度も送っておる、そういう相手国の兵士の六遺体をそういう今申し上げた片仮名法律で処理をするというような安易なやり方がそもそも私は外務省の責任でもあると思う。断固として、外交問題として取り上げて別の処理の方法があったのではないかというのが第一点です。  それから、十三年五月の金正男の偽造旅券入国事件、これについて外務省はどういう対応をされたか教えてください。
  66. 植竹繁雄

    ○副大臣(植竹繁雄君) その点につきましては、むしろこれは入管局でございまして、むしろ法務省的な、法務省でもってそれを判断すべきでございますが、外務省といたしましては、そういう事実を踏まえましてこれを調査ということでございますが、直接の行動というものは法務省において行動を取ったということでございます。
  67. 泉信也

    ○泉信也君 確かに入管の問題であることはおっしゃるとおりでございます。しかし、この偽造旅券入国をした、そういう案件幾つもある、それはすぐに追い返すんだというふうにお答えをいただいたこともございますけれども、なぜ飛行機のタラップの下まで送り届けて、外務省職員が飛行機に乗って北京まで送り届けるというような、そういうでたらめなことをしたかということが国民にとっては理解できないんですね。私ももちろん理解できません。なぜそんなことまでしなきゃならないか。送り返すならば送り返す通常の処理をすればよかったと私は思います。これはこれ以上聞きません。  そういう積み重ねの中で北朝鮮への米の支援が行われておりますが、平成七年六月、それから十月分、三十五万トンの米を延べ払いで北朝鮮に与えております。これの金利の支払状況について、食糧庁から簡単にお答えいただけますか。
  68. 中川坦

    政府参考人(中川坦君) お答え申し上げます。  平成七年度に北朝鮮に対しまして行いました米の延べ払い輸出の契約によりますと、償還期限は三十年となっておりまして、最初の十年間は利息のみの支払がなされることになっているわけでございますが、実際の利払いにつきましては、一年目の利息については返済をされておりますけれども、二年目以降の利息につきましては支払われていないという状況にございます。  このため、この未納分につきまして、契約の相手方であります北朝鮮国際貿易促進委員会に対しまして毎月督促状を送付をいたしておりますけれども、残念ながらこれまでのところ回答がないという状況でございます。
  69. 泉信也

    ○泉信也君 二年だけ金利分を支払っていただいた、その後は納入がない、督促をしておると。  これは、国民お金をそんなのんきなことでよろしいんでしょうかね。相手がお金を払ってくれなければ仕方がないという言い方かもしれませんけれども、それならば、食糧庁はこれから先あるいはその後の米の支援は行わない、そういう基本的な姿勢でも示していただきたい。こんなでたらめなことで国民お金を垂れ流してもらうということはあってはならないと私は思うんですね。国民はこんなことを怒っておるんですよ。  そこで、会計検査院にお尋ねいたしますが、このような状況を放置しておかれるのか、会計検査院としてはどういう検査をこの件についてなさっておられるか、お答えください。
  70. 重松博之

    説明員(重松博之君) お答え申し上げます。  私ども会計検査院では、食糧庁が実施しております政府米の延べ払い輸出に関しましては、食糧管理特別会計における債権管理が適切に行われているかといった観点から、債権の償還状況等について食糧庁会計実地検査の際に説明を聴取してきているところでございます。  そして、御指摘の北朝鮮に対する政府米の輸出に関しまして、利息の返済が滞っていて回収が図られていないという事態につきましては、私ども会計検査院といたしましても、債権管理の面からその推移につきまして重大な関心を持って検査をしてきているところでございます。  本件につきましては、先ほど食糧庁からもお話がございましたように、督促状を出しても返答がないというようなことで、これまでのところ事態の進展が見られないわけでございますが、本院といたしましては、今後とも、食糧庁において債権の回収に努めているか、適切な対応を取っているかといった点につきまして、先生御指摘の点も含めまして、念頭に置きながら、引き続き検査をしてまいりたいというふうに考えているところでございます。
  71. 泉信也

    ○泉信也君 それぞれのお立場があって、手の届かないところもあるかと思いますけれども、本当にでたらめなんですよね。  今申し上げました米は平成七年の延べ払い、その後平成十年、十二年、十三年には五十万トンというような大きなお米もまた援助をしている。かつて外務大臣が大見えを切ったこともございますけれども、その間に拉致問題は一向に進展していない。本当に日本政府はどうかしておるんではないか。  余談ですけれども、韓国の竹島がいつの間にか公園化される、外務省はどうしておるかとお尋ねしたら、いや抗議をしていますと。毎年、紙切れを出しておられるのかどうか知りませんけれども、こういうことが国民の間で、再三繰り返しますけれども、大変不満のうっせきをしておるということだと思うんです。  そこで、政府米五十万トンを十三年一月から積出しをされたようでございます。幾つぐらいの港から積み出されたのか、そして平均的にその船、在港日数は何日間ぐらいかについて、食糧庁からお答えいただけますか。
  72. 中川坦

    政府参考人(中川坦君) 北朝鮮に対します五十万トンの米支援につきまして、名古屋港あるいは北海道の苫小牧港など全国各地の二十六の港から積出しを行ったところでございます。  また、日本におきますその船の港にいる期間でございますけれども、短ければ大体十日程度、長ければ二十日程度ということで、平均をいたしますと大体二週間程度の滞在日数ではないかというふうに思っております。
  73. 泉信也

    ○泉信也君 過去に大変長く在港した船がありまして、何ゆえに在港しておるのか大変不審に思ったケースもございました。二週間程度であれば大体荷役の日数かなというふうに思います。  私のところに熊本の井上俊輔さんという方からお手紙をいただきまして、日本会議熊本の大橋副理事長という方が、熊本県の八代港からこの米を積み出す状況について一文を記されたものを送っていただきました。これによりますと、八代港に入っておったアムノクガン号というのが仕向け港が分からない、仕向け港は書いていなかったということでございます。  なぜこんなことが起きておるのか、何かお分かりでしたらお答えください。
  74. 中川坦

    政府参考人(中川坦君) 北朝鮮への五十万トンの米支援につきましては、国連の食糧援助の専門機関でございますWFPを通じて実施をいたしております。そのWFPから、各船舶ごとに日本の港への入港日、出港日、それから北朝鮮への到着日、それから到着の港の名前等につきまして毎回報告を受けているところでございます。  先生、今御指摘のございましたこの八代港に接岸をしておりました船舶アムノクガン号についてでございますけれども、WFPから、船積みの完了前に仕向け先が南浦港であるということ、それから、同船が九月の十一日に八代港を出港し、十五日には南浦港に到着をしたということを報告を受けているわけでございます。  ただ、港にその船が着きました時点では、北朝鮮におきます港湾の荷役の状況がまだはっきりしていないということで、出港の時点につきまして、いずれにしましても最終的に仕向けの港が確定をし、私どもの方に通知はされておりますけれども、その途中の段階では仕向け港がまだ決まっていないと、そういう状態があったのかというふうに思っております。
  75. 泉信也

    ○泉信也君 もう一つお尋ねいたしますが、米袋にハングル文字が記されておったと。日本から出ていく米なのに、なぜハングル文字があったのか。ハングル文字が何が書いてあったか分かりませんけれども、どうしてそういうことがなされておるのか。日の丸を付けて送り届ける、それが国民の願いだと私は思うんですけれども、いかがでしょうか。
  76. 中川坦

    政府参考人(中川坦君) 御指摘のとおり、この支援米につきましては、日本からの支援ということをきちっと相手の国民にも知っていただくということが大事だというふうに思っております。したがいまして、日本政府といたしましては、北朝鮮への支援米が日本政府の支援であるということを明確にいたしますために、ハングル文字で日本政府からの支援ということをきちっとその袋の上に書く、それからジャパンと英語でも表記をし、それから日本の国旗を付けたシール、あるいはスタンプを押すというふうな措置を取ったところでございます。
  77. 泉信也

    ○泉信也君 ありがとうございました。  先ほど来繰り返しておりますように、国民が非常に不安というか不信感を持って北朝鮮との関係を見ておるわけでございます。仕向け港は北朝鮮の港の事情で、出港前というか、比較的その近くでないと分からないということも私は理解できないわけではありませんし、日本の日の丸を付けて出していただいておるというようなことは大変有り難いことだと思います。  これからも是非そのことを続けていただきたいということをお願いをいたしまして、北朝鮮問題について、総理の訪問が成果あることをお祈りして、この問題についての質問を終わります。  官房長官、おいでいただきましてありがとうございました。  実は、官房長官の下で靖国神社にかかわるいわゆる平和祈念のための追悼施設を考える懇談会というのが持たれておりますが、五月二十三日の第六回以来、会合が開かれていないのかどうかよく分かりませんし、座長の記者会見もなく、議事要旨も公布されておりません、公表されていないんですが、これはどういうことなんでしょうか。事務局からで結構ですが。
  78. 新田秀樹

    政府参考人(新田秀樹君) お答えを申し上げます。  今、先生お尋ねの追悼・平和祈念のための記念碑等施設の在り方を考える懇談会、これは、本年が我が国日本国との平和条約発効五十年を迎えるということで、何人もわだかまりなく戦没者等に追悼の誠をささげ平和を祈念することのできる施設の在り方について御検討いただくために、昨年十二月に官房長官の下に開催されたものでございまして、今、先生お尋ねのとおり、それから六回にわたって議論をしております。  現在、いろいろな追悼対象とか施設の必要性についていろいろフリートーキングをしていただいているところでございますけれども、五月の二十三日の第六回以降でございますが、官房長官主催の懇談会ということでございますので、なるべく多くの委員の方々にお集まりいただくときに開催をしていただきたいということで、今、日程調整をしているわけでございます。官房長官と多くの方の、委員との御都合がなかなか付かないということで、今ちょっと開催できていない状況です。  ただ、その後、委員の方ではやはりその間でも議論を深めていきたいという御要望が、委員の御意向がございますので、お集まりいただける、御都合の付く委員だけお集まりいただいて、それから三回程度勉強会は開催させていただいております。
  79. 泉信也

    ○泉信也君 手短にお答えをいただきたいと思いますが、昭和六十年の八月のいわゆる靖国懇と今回は何が変わったから設けられた新しい懇談会なんでしょうか。
  80. 新田秀樹

    政府参考人(新田秀樹君) お答え申し上げます。  六十年のいわゆる靖国懇でございますが、これは靖国神社についての総理の公式参拝の在り方等について御議論いただくということでございました。今回御議論いただく趣旨はそれとは全く異なっておりまして、基本的には、昨年の八月十三日に出されました総理の談話の中で、そうした靖国神社あるいは千鳥ケ淵の墓苑に対する国民の思いを尊重しながらも、やはり内外の人々がわだかまりなく追悼の誠をささげるにはどうしたらいいかということを議論する必要があると。こういう談話を踏まえまして、現在ちょうど日本国との平和条約の発効五十年ということも機会がございますので、そうした内外の人がわだかまりなく追悼いただくようなことを御議論いただく時期ではないかということで、こうした懇談会を設けさせていただいたということでございます。
  81. 泉信也

    ○泉信也君 六十年の分は靖国参拝が憲法に違反しないというような結論を出していただいたと理解しております。  今お答えがございましたように、総理は、内外の人々がわだかまりなく追悼の誠をささげるにはどうすればよいかというのが談話だと思うんですね。しかし、官房長官の招集されました趣旨は、内外の人々ではなくて、何人もわだかまりなくと、これは内外も何人も仮に同じだといたしましても、官房長官の懇談会の趣旨は、戦没者等に追悼の誠をささげ、かつ、平和を祈念することのできる記念碑等の国の施設の在り方、国の施設の在り方というふうに、総理の談話とは趣旨が違うというふうに私は思うんですが、これはよろしいわけですか。
  82. 新田秀樹

    政府参考人(新田秀樹君) 今御説明申し上げましたとおり、総理の八月十三日の談話は、ここにありますように、今、先生御指摘のとおり、内外の人々がわだかまりなく追悼の誠をささげるにはどのようにすればよいか、この談話を踏まえましてこの懇談会を設けたわけでございまして、その検討の在り方として、記念碑等、追悼の誠をささげるとともに平和を祈念することのできる記念碑等、国の施設の在り方についてということで、等幅広く議論をすると。  要するに、わだかまりなくそうした思いを表すにはどうしたらいいかということで検討していただくということでございますので、その趣旨というのは基本的には同じというふうに考えている次第でございます。
  83. 泉信也

    ○泉信也君 私は、字面だけを読めば趣旨は同じだとは思えないんですが、それは御回答のとおりでよしとしましょう。  わだかまりというのは何ですか。日本国民にわだかまりがあるというお思いもございましょう。しかし、一番高いときには、率的に見ますと八割の方々が総理が靖国にお参りになることを支持しておられる。低いところでも六割ぐらいの方が支持しておられる。わだかまりというのは何のことなんでしょうか。
  84. 新田秀樹

    政府参考人(新田秀樹君) わだかまりということでございますが、総理の談話にもありますように、現実問題、確かに多くの方々が靖国神社ということで、そうしたアンケートもございますけれども、最近のテレビの世論調査等によりますと、そうした靖国神社への参拝ということと、それから、それとは別にこうした施設を造るというようなことについて、同じような賛成を示されているというようなこともございます。  いずれにいたしましても、すべての人々が何人もわだかまりのない状態で今こうした追悼の誠をささげる場所があるのかということになりますと、そこは必ずしもそうではないというような総理のお考えというようなこともあろうかということで、それを踏まえましてこうした懇談会が設置されたというふうに承知しております。
  85. 泉信也

    ○泉信也君 何人もわだかまりもなくと、そんなことありますか。そんなことあり得るはずないでしょうが。  そこで、全国戦没者追悼式が八月十五日に武道館で行われておりますが、この追悼の対象者はどういう方々でしょうか。率直にお尋ねしますと、いわゆるA級戦犯の方々も対象になっておるんでしょうか。
  86. 新島良夫

    政府参考人(新島良夫君) 全国戦没者追悼式の対象者いかんというお尋ねでございますが、全国戦没者追悼式は、さきの大戦による戦没者について、内地、外地、軍人軍属、一般邦人を問わず、包括的に全国戦没者と全体的な概念をとらえて追悼しているものであります。したがいまして、いわゆる戦犯であるか否かを問わず、個々の戦没者が追悼対象に含まれるか否かについては具体的には識別していないところでございます。  こうした取扱いは、昭和二十七年五月に初めて実施されました全国戦没者追悼式以来、一貫して、現在では定着しているものと考えております。
  87. 泉信也

    ○泉信也君 もう一度お尋ねします。  いわゆるA級戦犯の方は対象になっておりますか。
  88. 新島良夫

    政府参考人(新島良夫君) 追悼式の戦没者の範囲は、日中戦争以降の戦争による死没者とされております。死没者の身分、死没の場所、死没の原因等を問わず、包括的に全国戦没者という全体的な概念でとらえて追悼しているところでございます。
  89. 泉信也

    ○泉信也君 もう一度お尋ねしますが、いわゆるA級戦犯は対象になっておりますか。
  90. 新島良夫

    政府参考人(新島良夫君) 今ほどお答えいたしましたように、身分、場所、原因等を問わずに、包括的に全国戦没者という全体的な概念でとらえて追悼しているということでございます。
  91. 泉信也

    ○泉信也君 答えてくださいね。私は、お尋ねしていることにきちんとお答えをいただきたい。包括的なことを私はお尋ねしておるんではありません。いわゆるA級戦犯が対象になっておるかどうかということをお尋ねしているんです。  もう一つお尋ねしますと、A級戦犯の御遺族の方々に、当時の厚生省はこの慰霊祭、追悼式の招待状を出しておられますね。間違いありませんか。
  92. 新島良夫

    政府参考人(新島良夫君) 追悼式の出席者についてでございますけれども、都道府県の遺族代表、あるいは遺族関係団体、各界代表から成っているところでございます。  遺族の代表者につきましては、国の方から特定をするということではなくて、都道府県に選定をゆだねているというところでございます。そういった意味で、個々人として識別はされていないということでございます。
  93. 泉信也

    ○泉信也君 先ほどの官房長官の下の懇談会でも、招待状を出していたと、こういうふうにお答えになっておりますよね。今のお答えはちょっとニュアンスが違うと思いますが。  それでは、いわゆる外国人も対象になっておりますか。日本と戦って亡くなられた外国人も対象になっていますか。
  94. 新島良夫

    政府参考人(新島良夫君) 旧日本軍の軍人軍属には外国の方も含まれているということがございますので、そういう意味では含まれているというふうに考えております。
  95. 泉信也

    ○泉信也君 今は、旧日本軍の外国の方は含まれておるというふうに明快におっしゃったんですが。  もう一度お尋ねします。いわゆるA級戦犯は含まれていますか、含まれていませんか、お答えください、具体的に。
  96. 新島良夫

    政府参考人(新島良夫君) 繰り返しになりますが、全国戦没者追悼式の対象といたしましては、包括的に全体的な概念でとらえているということでございます。
  97. 泉信也

    ○泉信也君 私は包括的なことは聞いていないと申し上げているじゃないですか。  それでは、厚生労働省は包括的にという答弁をされた。私は、それを受けて、A級戦犯が含まれておるということを、外国を含めて、対外的に話をしてよろしいですか。
  98. 新島良夫

    政府参考人(新島良夫君) 厚生労働省といたしましては、個々人ということではなくて、あくまで包括的に全体的な概念ということで考えております。
  99. 泉信也

    ○泉信也君 委員長に申し上げますけれども、きちんと真正面から答えてほしいんですよ。一部分の外国人は含まれておりますということを答えておきながら、包括的に答えるというのは矛盾しておると私は思うんです。質問ができません。
  100. 新島良夫

    政府参考人(新島良夫君) 一部外国人が含まれておるかということに関しまして、軍人軍属については朝鮮半島あるいは台湾出身ということを、否かを問うていないという意味で申し上げたわけでございます。
  101. 泉信也

    ○泉信也君 私は、それでは全国戦没者追悼式にはA級戦犯が含まれておると、今日の質疑を通してそう理解をいたしますし、それを否定しなかったことも事実でありますので、これから対外的にもそのように申し述べてまいりたいと思います。  そこで、時間があとわずかになりました。多くの国民が靖国神社によって亡くなられた方々の霊をお慰めしたい、また、総理も中心的な施設であると、こういうふうにおっしゃっておられるにもかかわらず、別の施設を造らなければならないのではないかという議論を官房長官のところでしておられますけれども、恐らくこの懇談会の結論は、両論併記どころか三論、四論併記でないとまとまらないんではないかと、私はそう思っております。うまくまとまればよろしいのですが、それは恐らく国民の受け入れるところにはならないんではないかという危惧も持っておるものです。  そこで、官房長官にお尋ねいたしますけれども、この懇談会を最終的にはどういうふうになさろうとしておるのか、お答えをいただきたいと思います。
  102. 福田康夫

    国務大臣(福田康夫君) 先ほど来いろいろと御議論ございました、また内閣事官の方から答弁いたしましたけれども、この懇談会は六月以降、懇談会としては開催していない、しかし勉強会を三回ほどやっております。この勉強会では、いろいろな考え方があり、そしてまた、例えば海外の同種の施設がどういうものがあるか、どういう性格のものであるか、そういったようなものも調べてもらうというような知見を増やしていただく。そして、なるべくいろいろな考え方を皆さんがお持ちになった上で判断をしていただこう、そういうふうなことで三回ほど勉強会をしていただいていると。  こういう状況でありますけれども、今後この議論は続けていくわけでございまして、今議論をしている最中でございます。ですから、意見の取りまとめの時期とか内容については、この懇談会、今後の懇談会における御議論とか各委員の御意見によって決まることになるのでありますけれども、おおむね年内をめどとして取りまとめをいただこうというような考え方をいたしております。  この問題は、いろいろな様々な御意見があろうかと思います。ですから、私どももそういう識者がどういうようなお考え方をされ、そして意見を集約化していくか、こういうことについてはただいま注目をしている、見守っておるというところでございますけれども、そういう途中段階でございますので、私どもといたしまして余り結論染みた着地点のようなことを今の段階で申し上げるべきではないんではなかろうかと。むしろ、自由な意見を述べていただいて、そして集約できれば集約していただきたい。そしてまた、政府といたしましては、この懇談会の意見を踏まえた上で対応を検討すると、こんなふうにしたいと思っておるところでございます。
  103. 泉信也

    ○泉信也君 総理が今年の四月に靖国神社にお参りになりましたときに靖国は戦没者追悼の中心的施設であるということを述べておられますし、また、官房長官の下の懇談会にあっても、総理の靖国参拝とは別物だというような意見の交換もあったようでございます。  それで、私は、もうこの懇談会は閉じていただきたい、そういう思いを持っております。国民の大多数は靖国神社にお参りいただくことを期待しておるわけでございますので、もし官房長官がこの懇談会を続けられるとすれば、それはいわゆる平和祈念のための施設を造ろうと、懇談会の中でもそういう議論があるようです。そして、日本と戦った、更に亡くなった外国人も一緒にそこに入っていただこうというような御意見もあるようですが、そういう施設を造るかどうかの議論であればお続けいただいても結構でございますけれども、靖国神社に代わるような施設を造る、そんなことは全く無意味なことであって、私は日本国民は受け入れない、このように信じておりますので、善処方を是非お願いを申し上げまして、質問を終わりたいと思います。
  104. 福田康夫

    国務大臣(福田康夫君) この際申し上げておきますけれども、小泉総理も靖国神社は靖国神社であると、こういう認識をされておられます。恐らくこの懇談会も、いろんな議論ございますけれども、靖国神社の存在そのものを否定するということは私は今までなかったように思います。これから皆さん、委員の方々が知識を、この問題に関する知識も深めて的確なる答申をしてくださるというように思っておりますんですが、靖国神社は靖国神社なんです。私も靖国神社を否定しようとか、また靖国神社に代わるものを造ろうとか、こういう気持ち、考え方ではない、そのことだけははっきり申し上げておきたいと思います。
  105. 中原爽

    委員長中原爽君) 午前の審査はこの程度とし、午後一時まで休憩をいたします。    午後零時二分休憩      ─────・─────    午後一時開会
  106. 中原爽

    委員長中原爽君) ただいまから決算委員会を再開いたします。  休憩前に引き続き、平成十一年度決算外二件及び平成十二年度決算外二件を一括して議題とし、質疑を行います。  質疑のある方は順次御発言願います。
  107. 神本美恵子

    神本美恵子君 どうも、こんにちは。神本美恵子でございます。  今日は男女共同参画社会の形成に向けてということを中心に、もうその一点だけで御質問をさせていただきたいと思います。  これにつきましては、私自身、自分がずっと生まれてこの方、今日に至るまでの間で、この日本社会が男性中心の社会である、あったといいますか、これ今もその傾向が非常に強いという、そういう社会の中に自分自身が生きているということに本当に気付かされたのは、大学卒業しまして実質的に社会に出てからでございました。自分自身が、女性であるがゆえに様々な制限あるいは区別という名で差別をされたり制約を受けて生きているんだということに気付かなかったわけですね。  それは、じゃ子供のうちはそういう差別を受けてこなかったかというと、そうではなくて、非常にそういう女性に対する制限や制約、排除といったような差別は見えにくい問題であるということを、私は大人になって様々な職種で働く女性や、あるいは仕事には出ていない、子育てを一生懸命、あるいは介護に専念している、そういう女性たちと語り合う中でそういうことに気付かされてきました。  初めは、何で女だからこんなに差別されなきゃいけないのかというような憤りを持った女性たちとほとんど怒りを共有し合って、何とかしなければというような議論がずっと続いたんですけれども、よくよく、なぜそうなっているかという今の日本社会の様々な構造議論しながら、分からないながらに手探りで勉強していく中で、よく見ると、こういう男性中心の社会で、では男性は本当に幸せに生きているのか。よく見たら、男性自身も様々な抑圧を受け、プレッシャーを受け、苦しんでいる。そのことは、ここ近年、本当にこの経済不況の中で雇用リストラあるいは倒産といった中で、自殺者がここ三年ほど三万人をずっと超えている。しかも、その多くが、三割以上は中高年の男性であるというような、こういった数字からも見られますように、男性自身も実は幸せな社会ではないということに私自身も本当に身にしみて気付きました。そういった観点から、今、日本が国を挙げてといいますか、この男女共同参画社会を実現しようということで取組を進めていることに私は大変喜びを感じております。  平成十二年まではこの男女共同参画については総理府の大臣官房男女共同参画室というような位置付けでありましたけれども、十三年度から省庁再編によって男女共同参画局が設置をされております。この行革で組織が再編、縮小される中で室が局に拡充されたというようなことは、どれほど日本政府男女共同参画という問題を重要に感じている、考えているのかというようなことを、私はそういうふうに受け止めております。  そういった意味で、男女共同参画局が新設されて一年以上たつわけですけれども、そこの担当大臣として福田官房長官には、省庁再編の前後を通じて担当大臣をなさっているわけですけれども、具体的に室から局に変わって実質、構造改革による効果をどのように感じていらっしゃるのか。細かくは結構ですけれども、その印象なり男女共同参画社会ということについての所感をまず冒頭お伺いしたいと思います。
  108. 福田康夫

    国務大臣(福田康夫君) ただいま委員から御指摘ございました男女共同参画社会の形成、これは我が国社会の在り方を決定する最重要課題の一つであると、こういう認識をしております。  これを促進するために、ただいま御説明ありましたけれども、中央省庁等の改革において、内閣府に新たに男女共同参画会議とそれから男女共同参画局を設置しまして、体制を強化いたしました。これは、そのニーズにこたえてというか、これからの社会をより明るい社会にしなければいけないという、そういう観点から、この点を、この男女共同参画というものを重視した結果であるわけであります。  この男女共同参画会議は、内閣の重要政策に関する会議一つでございまして、男女共同参画社会の形成の促進に関する基本的な方針、また政策、それから重要事項等の調査審議、それから施策の実施状況の監視などを行うこととされておるところでございます。これまでは、仕事と子育ての両立支援策とか配偶者暴力防止法の円滑な施行などについて関係各大臣に提言をするなど、積極的に活動してまいりました。  また、男女共同参画局については、再編の際に新たに付与された総合調整機能、これを発揮しながら、男女共同参画社会基本法とか基本計画にのっとりまして施策を進めていくと、こういうことで今鋭意取り組んでおるというように考えております。  今後とも、これらの体制を活用しながら、男女共同参画社会の形成の促進に向けてしっかりと取り組んでまいりたいという所存でございます。
  109. 神本美恵子

    神本美恵子君 大臣自身も最重要課題ととらえてしっかりと取り組んでいきたいという最初に御決意なり伺いましたので、そのことを踏まえて質問続けさせていただきますが。  十一年当時の内閣官房長官、野中官房長官だったわけですけれども、こちらがこの男女共同参画室の担当として委員会の中で男女共同参画についてどのように考えるかということについて述べていらっしゃることをちょっと御紹介したいんですが、男性と女性がともに支え合い、喜びも責任も分かち合える男女共同参画社会の形成は、我が国の将来を決定する大きなかぎとして、政府が一体となって取り組むべき重要課題の一つ考えております、今国会に男女共同参画基本法案を提出いたしておりますと言って、あと少し述べられているんですが、その翌年の十二年度、当時の内閣官房長官は青木官房長官でした。  青木官房長官がどのようにこの男女共同参画について述べられているかというのをこれもちょっとひもといてみましたら、全く同じ文言なんです。今読んだところまでで一言違うのがあります。それは、重要課題というふうに野中官房長官はおっしゃったけれども、青木官房長官は最重要課題とおっしゃった。「最」が入ったという、これはこの一言でも非常に大きな違いではあると思うんですけれども、その後、審議会の女性委員登用について何%、その促進に努力したいということがどちらもおっしゃっている。  これは、読んでみますと、本当に担当大臣として御自身のその決意のほどが本当に自分の心から発せられた決意というふうにはちょっとどうしても受け取れない、ほとんど同じ文言だということでですね。  そこで、私はやっぱり、もちろんその施策の継続性、連続性という点ではそう大きく違ってはいけないと思うんですが、是非ともこの決意というものを、私は、福田大臣はこう考えるというようなことをお聞かせいただきたいと思うんですけれども、男女共同参画基本法もできましたし、その基本法の中には目指す社会はどういう社会なのかということも書かれておりますし、そういったことも含めて、基本法の理念をどうとらえ、男女共同参画社会の中での男性と女性はどうあるべきかというようなことの官房長官の見解を再度、決意を含めて御自分のお言葉でできたら聞かせていただきたいと思います。
  110. 福田康夫

    国務大臣(福田康夫君) この男女共同参画社会の形成というのは、これは極めて大事な課題なんですね。ですから、前官房長官、前々官房長官が同じ言葉を言ったとして、それはそれだけの重みがあるということだとお考えいただいた方がいいんじゃないかと思います。それから、官房長官が替わって方向が違っちゃうというのも、これも煩わしいことでありますけれども、基本的な考え方というのはこれはもう確立しているものだというように思います。  日本、我が国の場合には、昔は男尊女卑とかですね、そういったような言葉がございました。しかし、そういう時代からもう国民の意識もすっかり変わりまして、やはり男女が社会において同様に活躍をする、そういう場をまた与えられる、またその環境づくりをするということについての重要性というのはもう十分に認識していると思います。しかしながら、さらに、これからの社会をリードしていくという立場からしますると、今でもいろいろ問題があることについてはそれなりに対応していかなければいけない。そして、真に男女が共同参画できるという、そういう社会を築き上げるということが大事なんだろうというふうに思いまして、私どもも鋭意その方向をいろいろと考え、そして対応をしておるところでございます。  この、ただいまの、先ほど申しました男女共同参画会議ですね、これも随分熱心にやってくださっています。そして、具体的な提案をし、そしてそれを施策の中に取り入れていくというようなこともやっております。また、それをこの内閣府の男女共同参画局で実施するための、そういうようないろいろな提案を実施するための方策を考えてくださるというようなことで大変有力なる武器を持っておると、こんなふうに思っております。  そういう意味で、これからますますその問題についての重要性を国民の間にも定着させ、そしてまた、国民考える在り方というものをリードしていくという役割も担わなければいけない、そんなふうにも思っておるところでございます。
  111. 神本美恵子

    神本美恵子君 まあ概括的ですから、もう少し官房長官のお考えをお聞かせいただきたかったんですけれども、ではそういう過去の男尊女卑ではなく、もちろん男尊女卑はもう今の社会でそういう考え方を大きな声で言うことはできないと思います。これは、もう今というよりも本当は戦後、男性も女性も憲法の中で法の下の平等はきちっとうたわれておりますし、そういったことはあり得ないはずなのに、現実にはまだまだ男尊女卑的な考え方、あるいはその考え方をベースにした制度、慣行、そういったもの、あるいは人々の意識の中にしっかりと巣くっているというような問題もあると思うんですけれども、男性も女性もあらゆる分野でその個性と能力が十分に発揮されてこの社会を支えていくというような、そういう男女共同参画社会を官房長官自身も目指していらっしゃるというふうに私は理解をまずしたいと思います。  そういう観点から見ますと、様々な問題を抱えているというふうにおっしゃいましたが、今最も大きな、現状の中で幾つも課題はあるんですけれども、その目指す社会と現実とで大きなギャップを抱えているその問題はどういうふうにおとらえになっていますでしょうか。
  112. 福田康夫

    国務大臣(福田康夫君) この男女共同参画社会基本法、これにおいては、基本理念として、男女の人権の尊重、社会における制度又は慣行に対しての配慮、それから政策等の立案及び決定への共同参画、また家庭生活における活動と他の活動の両立、そして国際的協調、この五つが挙げられておるわけでございます。  そういうようないろいろな、もろもろの観点から日本現状について申し上げれば、例えば国連開発計画、UNDPが発表しております人間開発に関する指標、これによりますと、基本的な人間の能力の平均がどこまで伸びたかということを測りますHDI、これは人間開発指数でございます、御案内のとおりだと思いますが、これは百七十三か国中九位と、世界的に見て上位にあるということが言えるんでありますけれども、それに対して女性が積極的に経済界や政治活動に参加し意思決定に参画できるかどうかを測りますジェンダー・エンパワーメント指数、これはGEMと申しておりますけれども、これは六十六か国中三十二位にとどまっているという、こういう現実もあるわけですね。  ですから、そういう意味で、国会を見ましても女子が少ない、女性が少ないと、こういうようなことは日常見ておるわけでございますけれども、そういったようなこともありますので、日本の社会のこれはやっぱり全体の仕組みとかいろんな問題が絡んでいるんだろうと思いますので、そういうことについて今後どういう対応をしたらいいかということが必要なんだろうというように思います。  また、もう一つ申し上げますと、先日、これは九月七日に公表されました平成十四年の世論調査によりますと、社会全体で見た場合に男性の方が優遇されていると答えた者が男性の七割、女性の八割に上っていると、こういうことなんですね。ですから、こういう認識があるということを踏まえた上での対応、施策が必要であるということであります。先ほど申しました基本的理念と比較しますとまだまだ課題は少なくないと、こういうふうに認識しております。
  113. 神本美恵子

    神本美恵子君 今の男性と女性が社会で優遇されているかという意識調査の結果、私、ちょっとその数字知らなかったんですが、本当にそんなにまだまだこの社会は男性優先といいますか、そういう社会であるということに官房長官も着目をしていらっしゃるということについては、非常に私も心強い感じがします。  そこで具体的に、では、そういう男女共同参画社会形成に向けて幾つか進捗状況出されているのを見せていただいて、もうたくさんの課題を私も感じたんですが、その中で幾つか取り上げさせていただきたいと思います。  一つは女性国家公務員の採用、登用についてということで、これは非常に重要な政策決定過程への女性参画ということで、今、大臣がおっしゃった国会議員の数とか、それから各種審議会、地方自治体への女性の参画を促進するという取組がなされていますけれども、この女性国家公務員の採用、登用についてお伺いをしたいと思います。  昨年の五月に、人事院から、この採用、登用を拡大するということで指針が出されております。この指針を受けて、男女共同参画推進本部が「女性国家公務員の採用・登用等の促進について」というものを決定をいたしました。  各府省が、この指針を受けて、目標設定をしながら計画を出されたわけですけれども、その中を概観してみますと、目標の設定の中で、女性国家公務員の増加、拡大に努めるとしたのが九機関、それからパーセントを挙げて、府省によって違いますが、何%を上回るように努めるというふうにしたのが六機関となっています。また、登用の拡大のためには、目標の設定について、増加、拡大に努めるとしたのが十四機関、登用に努めるとしたのが八機関、それから現在より増加させるよう努めるとしたのが五機関というふうになっております。  こんなふうに、合格者に占める女性の割合を上回るように努めるとか、あるいは大きく上回っている現状があってそれを維持するようにするというふうに、今申し上げた機関以外のところではそういう目標を設定しているところもあるわけですね。  それぞれ三十一政府機関の中で、濃淡はあるものの、目標を設定しているというところでは、人事院の指針もそれなりの効果といいますか、指針が出されたということが、効果があると思うんですけれども、実際にそれではこういった目標で採用者が増えるのか、あるいは女性の登用が進むのかというようなところで、ちょっと私は、こんな目標ではとてもとても、いつになったら本当に大臣おっしゃったような、男女がそれぞれに個性と能力を発揮しながら社会を支えていく、あるいはこの社会の中で生き生きと活躍できるというような社会にするための採用、登用の促進につながらないのではないかと思っているんです。  なぜこれまで採用、登用が進まなかったのか。もちろん、ずっと以前に比べればずっと増加はしてきているんですけれども、ここ数年、ちょっとその伸びが横ばいになっているという面もあるんですね。ですから、その原因考える必要があるのではないかというふうに思います。  国家公務員のⅠ種採用者に占める女性の割合を見ると、昭和五十一年当時の二・二%に比べれば平成六年は一二%というふうに大きく伸びていますが、今は一六%というふうになっているんですね。それから、それに比べると、司法試験の合格者の女性の割合というのは、年によって増減はあるんですけれども、昭和五十一年度の八・四%から平成十三年度には二二・五%というふうに着実に増加しています。  国家公務員のⅠ種試験や司法試験というのは、男性にとっても女性にとっても非常に最難関と言われるところで、同じような学力的には難関を突破していくというところあるんですが、司法試験ではこんなに大きく伸びているんです。それを見ると、単に女性の学力が劣っているとか、そういう問題ではないような気がするんですね。  ですから、例えば国家公務員の採用面接とか、あるいは女性がこういう公務に就くことによって非常に大きな、何といいますか、負担があるというような、女性自身が公務を敬遠しているというような問題もあると思うんですけれども、その辺でどういうふうにこの伸びない理由をとらえていらっしゃるのか、今後どのように取り組んでいかれるのか、お聞きしたいと思います。
  114. 坂東眞理子

    政府参考人坂東眞理子君) お答えいたします。  女性の国家公務員の採用、登用につきましては、御指摘がありましたとおり、人事院の指針が昨年の五月に決定され、また六月には男女共同参画推進本部で決定をしておりまして、平成十年中にすべての府省におきまして女性職員の採用・登用拡大計画が策定されまして、その中身についても、御指摘を受けたとおり、具体的な数値目標を挙げているところあるいはその登用に努力をするというふうな表現にとどまっているところ、大変それぞれの省庁によって取組状況には差がございますが、私どもの男女共同参画推進会議におきましては、平成十三年度の重点的にその実施状況を監視するテーマとして、この国家公務員の採用、登用についてチェックをいたしまして、調査検討を行いまして、本年の七月に開催されました男女共同参画会議で今後の取組に向けた意見を決定をしております。  この意見では、全府省が一体となって現状把握及び分析を行い、課題を認識した上で、目標を掲げて具体的な取組を、始まったことは評価できるけれども、各府省における取組状況が大変様々である、女性国家公務員の採用、登用が進んでいないところは一層の努力が求められるとしております。そして、目標年次における数値目標を掲げて計画的な取組を進めていくゴール・アンド・タイムテーブル方式など分かりやすい具体的な内容を掲げていく、目標を掲げていくということが実効ある取組を進めていく上でも重要であるというふうにしております。  そのほかにも、今、委員から御指摘がありましたように、女性がもっと公務員試験を目指すように努力をすることが必要ではないかとか、勤務環境、職場環境をもっと整備する必要がある。例えば、またその能力評価等々も客観的にしていかなければいけないのではないか等々の様々な提言をいただいておりますが、是非全府省一体となってこうした意見に基づいて取り組んでいくことを私どもも推進していきたいと思っております。
  115. 神本美恵子

    神本美恵子君 今おっしゃったゴール・アンド・タイムテーブルというように、きっちりどこまで、どこにゴールを定めて、そこに向けてどういう計画で参画を進めていくのかというようなことは大変重要な視点だと思います。  それともう一つ、環境整備ということなんですけれども、これは私自身も、私は一応地方公務員で、小学校の教員をしておりました。小学校の教員というのは、もう女性参画という面では非常に進んだ職場だと思うんですね。ところが、その中でも、女性がじゃ参画をして、女性の方が多いような職場なんですけれども、いざ管理職になる、登用されるというような面から見ると、これは本当に様々な課題がありまして、環境整備がいかに重要かということを私自身も学校現場におりますときに感じてまいりました。  その環境整備の一つにもなると思いますが、男性の育児休業取得、これは男性も取れるようになって何年もなるんですけれども、内閣官房政府広報室が今年七月に行われた世論調査によると、夫は外で働き、妻は家庭を守るべきという、いわゆる伝統的な性別役割分業、この考え方に反対という人が四七%となって、前回から一〇ポイントほど高くなっております。これは大変私としてはうれしいなというふうに思っているんですけれども、じゃ男は仕事、女は家庭というような、そういう意識は徐々に変革されていっているとは思いますけれども、実際に一般職の国家公務員の男性育児休業取得者の割合を見ますと、平成十三年度、八月二十二日時点で五十六人と、全体の一%にも満たない〇・三%の取得率だというふうに聞いております。  これでは、女性が社会に参画をしていく、そのことと併せて男性がやっぱり家庭、地域活動にも参画していくということがなければ、それも重要な環境整備の一つだと思うんですけれども、その点について何か積極的な対策をお考えかどうか、お聞かせ願いたいと思います。
  116. 大村厚至

    政府参考人(大村厚至君) 今、先生御指摘のございました男性の育児休業の取得率というのは非常に低うございます。そこで、今年、本年四月に育児休業期間の延長に合わせまして、これ、一年から三年にしたわけでございますが、その際に、夫婦が交互に育児休業を取ることを容易にできるような措置、まずこういうことをした上に、また各府省に対しましては、男性の育児休業の取得促進のために、職員が、育児休業制度というものをよく知らない人たちもいらっしゃいますので、この辺の制度の周知徹底を図る。  それからもう一つ、育児休業の取得しやすい勤務環境の整備等について、これは局長から各府省に通知を出しました。それとともに、各いろんな会議がございますので、そういう場におきまして機会のあるごとにこういう男性の取得促進に努めるように要請をしているところでございます。
  117. 神本美恵子

    神本美恵子君 法律そのものを知らないというのはもう本当に議論以前の話なんで、そこはもう是非是非周知徹底をしていただきたいのと、あと、実際に育児休業を取った、わずかではあるが、五十六人の方たちの話をほかの男性の方にも聞かせていただくとか、それから、復帰後やっぱり様々な面で不利益になるということが女性の育児休業もなかなか取りにくいというような面もあります。それ以上に男性の場合はその不利益がある、特にその後のキャリア形成にマイナスになるというような環境が阻んでいるんではないかと思いますので、そういうところの対策を是非考えていただきたいなというふうに思います。  ちょっともう予定した時間が来てしまったんですが、配偶者控除、配偶者特別控除の見直し、縮小について、これも男女共同参画社会形成に非常に重要な点だと思いますのでお聞きしたいと思います。  今、その見直し、縮小が検討されているんですけれども、どうも法人を中心とした先行減税の穴埋め財源のような印象が、新聞等にもそういったことが書かれたりもしておりますし、そういう誤解をされているような気がします。この配偶者控除、特別控除を縮小、見直しすることは、国民にとっては一種の増税になりますので、その増税分が法人税減税に穴埋めされるというようなとらえ方をされていますけれども。  これについて、そもそもここの見直しが提起されてきたのは、様々な多様なライフスタイルを実現するために、可能とするような性にかかわりない中立的な税制の在り方を考えるということで出てきたと思うんですが、そういった観点から、この増税になった分といいますか、配偶者控除を見直しをした分は、両立支援あるいは男女共同参画を進めるという観点から、そういった社会に転換する、そのために使うということであれば国民の負担感もそういうふうにはならないと思うんですが、その点について、この配偶者特別控除の、あるいは配偶者控除の縮小、見直しということは、家庭と仕事の両立支援というふうに持っていくことが景気浮揚にも好ましいと思うんですが、竹中大臣のお考えをお聞かせ願いたいと思います。
  118. 竹中平蔵

    国務大臣竹中平蔵君) 委員、正に御指摘のとおり、配偶者に関する控除等の問題は、何々のための財源を穴埋めするということでは全くなく、閣議決定された文書にもうそのまま、今御指摘くださったとおりでありますけれども、女性の就業を始めとするライフスタイルの選択に中立的な社会制度を構築するためだと、もうこれに尽きていると思っております。その一方で、同じやはり閣議決定されました骨太第二弾では、予算の重点配分の項目として四つの重点分野を挙げておりますけれども、その中に少子化対策というのを挙げているわけです。  したがって、税の面でも、またお金を使う方でもそれについては最重点項目で、御指摘のような問題意識を反映していこうというのが基本的な姿勢であるというふうに申し上げたいと思います。  特に、今御指摘のありました、むしろ明確な対応関係を付けて特定財源的な使い方という御指摘かと思いますけれども、これはまあ、経済財政諮問会議では、基本的な税制改革の基本的な方向を議論しておりますので、詳細な制度設計を議論しているわけではございませんが、一般論として申し上げますと、一方で財政の硬直化を防ぐために特定財源というようなもの、そのものをやはり見直すべきではないかというその大きな流れがございます。そうした点もやはり十分に考慮しなければいけない点だというふうに私は考えております。  いずれにしましても、制度設計の中で、これに政府税調とかいろんな機関がかかわってまいりますけれども、今後議論が進んでいくというふうに思っております。
  119. 神本美恵子

    神本美恵子君 じゃ、ちょっと時間がありませんので、もう終わらなきゃいけないんですが、もう一つだけ、ドメスティック・バイオレンスの啓発と教育ということについてちょっと一言だけお伺いしたいと思います。  DV法が成立しまして、多分その結果だと思うんですけれども、DVの件数が二一・一%というふうに大幅に増加しております。それで、これに対して、女性に対する暴力の根絶ということで、男女共同参画社会形成の促進の施策の中にも立てられておりますけれども、その施策が被害者の相談、保護、もちろんこれはもう真っ先に行われなければいけないんですが、そのことが主で、例えば被害者を出さない、その防止、DVを防止する観点、あるいは予防するための教育というような観点がちょっと不十分ではないかと思うんですけれども、そのことについては文科省の方に多分教育にかかわりますので申入れなどされているかと思いますが、どのようにされているんでしょうか。
  120. 坂東眞理子

    政府参考人坂東眞理子君) ドメスティック・バイオレンスの防止は大変重要な課題でございますので、今年の十一月十二日から二十五日間、二週間、女性に対する暴力をなくする運動を行うこととしております。これは、昭和三十年代以降、社会の風紀環境を浄化する運動ですとかいろいろ取り組んできたものを、女性に対する暴力をなくするということに目標を決めて、この男女共同参画推進本部全体で取り組むこととしております。  地方公共団体、女性団体、その他の関係団体と連携して、女性に対する暴力というのは許されないことだという認識を広く社会にアピールしていきたいと思っておりますし、また、意識啓発、教育の充実を図るよう努めてまいりたいと思っております。
  121. 神本美恵子

    神本美恵子君 是非、なぜドメスティック・バイオレンスが起こるのかというような観点から、DVをなくすには、人と人の関係、特に男性と女性の関係、あるいは妻と夫の関係といったようなことを、そこにやっぱり力による支配が介在するということでこういうバイオレンス起きると思いますので、そのことを是非とも、子供たち、小さいうちから人と人の関係の在り方というようなことで学校教育の中にも取り入れていくようなことを是非文科省とともにやっていただきたいということをお願いしまして、ちょっと時間オーバーしましたけれども、質問終わりたいと思います。  ありがとうございました。
  122. 辻泰弘

    ○辻泰弘君 民主党・新緑風会、辻泰弘でございます。  平成十一年度、十二年度決算に関連し、国政にかかわる内外諸課題について、官房長官並びに竹中経済財政担当大臣、また日銀の方にもお伺いをさせていただきたいと思っております。  冒頭お伺いしたいと思うんですが、昨日、十五年ぶりに違憲判決というものがございました。郵便事業における損害賠償責任の範囲を制限した郵便法の規定が、国家賠償請求権を定めた憲法十七条に反するかどうかが争われていたということでございますけれども、これにつきまして一部が違憲であるという判断が最高裁によって示されたわけでございます。  郵便事業の公社化に伴って郵便法が一部改正されるけれども、賠償責任の範囲はほぼ同じ規定となるというふうになっているところのようでございまして、明治時代の旧郵便法がそのまま今日に至っているということの御指摘もあるようでございますが。  ところで、十五年前の最高裁の違憲判決を振り返りますと、森林法の共有林分割制限ということだったようでございますが、この折には、四月二十二日に違憲判決が出て、その後、六月二日にそれの対処のための法律が公布されているということでございまして、超特急で開かれていた常会に提出されて、すぐ措置されたと、こういうことのようでございます。  そこでお聞きしたいんですけれども、昨日の違憲判決というものを受けて、郵便法の改正についてどうお取り組みになられるおつもりか、官房長官にお伺いしたいと思います。
  123. 福田康夫

    国務大臣(福田康夫君) 郵便法六十八条、七十三条の規定は現行郵便法の制定時から規定されていたものでございますけれども、今回の最高裁判所の判決を真摯に受け止めまして、法律の改正について早急に取り組んでまいりたいと考えております。
  124. 辻泰弘

    ○辻泰弘君 それは、近く開かれるであろう臨時国会においても含めてということで理解してよろしいでしょうか。
  125. 福田康夫

    国務大臣(福田康夫君) ただいま、どういう課題を取り上げるか、また臨時国会の在り方等についてまだ予定が決まっておりませんので確定的なことは申し上げられない。今申し上げているのは、早急に取り組んでいきたい、こういうことであります。
  126. 辻泰弘

    ○辻泰弘君 小泉総理の北朝鮮訪問についてお伺いしたいと思います。  北朝鮮との国交正常化という問題、また北方領土問題を解決して日ロ国交、平和条約を締結すると。この問題、やはり戦後の残された二つの大きな課題だと思いますし、ある意味ではこの二つが解決されて初めて戦後が終わるとさえ言えるような大きな課題だと思います。そういう意味において、今般のお取組については敬意を表する次第でございます。  振り返りますと、今この委員会で審議されているところの平成十一年、平成十二年には、村山元首相らが超党派で代表団で訪朝されたということがございましたし、また十二年度、二〇〇〇年には国交正常化交渉、第九回、十回、十一回というものが開催されたということがございました。  そこで、今回の小泉総理の北朝鮮訪問についてお伺いしたいんですけれども、事実経過をお伺いしたいと思います。まず、この訪朝計画の進行というもの、当然、外交の機密にかかわることですから、限られたメンバーであることは了解いたしますけれども、この計画の進行を承知していたメンバーはどういう範囲であったかを教えていただきたいと思います。
  127. 福田康夫

    国務大臣(福田康夫君) 今回の総理の訪朝計画を事前に承知していた者は、これは交渉相手のこともございますので、これはお話は差し控えさせていただきたいと思います。  しかし、今回の総理の北朝鮮訪問は、七月末のブルネイにおける日朝外相会談、また先般の局長級協議の実施という、そういうプロセスを経る中で、日朝双方において幾つかある選択肢の一つとしてその可能性について検討がなされてきたものでございまして、そういう意味でいえば、どちらか一方が提案して行うことになったものではありませんけれども、北朝鮮側からかねてから総理の北朝鮮訪問を歓迎するという旨の意向が伝えられておりました。また、実務的な会談という趣旨から今次会談は行うと、こういうことになったものでございます。
  128. 辻泰弘

    ○辻泰弘君 この交渉の進行、交渉といいますか訪朝計画の進行ですけれども、これについて田中前外務大臣には一切報告されていなかったという指摘がございますし、状況から見て、恐らくそうであったんではないかと思うんですが、いかがでしょうか。
  129. 福田康夫

    国務大臣(福田康夫君) 交渉の当初は、これが具体化するかどうかというようなことで外務省内においてこの情報をどういうように取り扱ってきたか、これは私、承知しておりません。そういうことでございますので、ただいまの御質問について正確にお答えすることはできないということであります。
  130. 辻泰弘

    ○辻泰弘君 そうすると、現川口大臣には、いつの時点でお伝えになられたでしょうか。
  131. 福田康夫

    国務大臣(福田康夫君) これも外務省内のことでございますけれども、川口大臣は承知をしていたというように私は聞いております。
  132. 辻泰弘

    ○辻泰弘君 承知していたというのは、いつ、どの時点から承知されていたということでしょうか。
  133. 福田康夫

    国務大臣(福田康夫君) それは私には分かりません。
  134. 辻泰弘

    ○辻泰弘君 お立場上そういうことなのかもしれませんが、私は一言言っておきたいと思いますことは、やはり外務大臣という重責を担われた方でございますから、やっぱりそういう方が中心に入っているのが本来の姿だと思うんですが、どうもそういう姿が見えないのじゃないかと思うわけでございます。また、そういう内閣の布陣自体どうなのかということになろうかと思うわけでございます。  そこで、もう一つお聞きしたいんですが、今度の訪朝の同行者はどういうふうに予定されているでしょうか。
  135. 福田康夫

    国務大臣(福田康夫君) 訪朝の同行者及びその他日程等につきましても、詳細はまだ決定してはおりません。心積もりはございますけれども、最終決定していないということであります。
  136. 辻泰弘

    ○辻泰弘君 八月三十一日の会見において福田官房長官は同行する方について、外務大臣始め閣僚は同行しないと思うと明言されております。この時点で既に外務大臣は行かないという御判断だったと思うんですが、どういう理由でしょうか。
  137. 福田康夫

    国務大臣(福田康夫君) 今回は首脳会談でございますから、必ずしも外務大臣が行かなければいけないということではない。これはほかの首脳会談についても同じでございます。
  138. 辻泰弘

    ○辻泰弘君 今回の首脳会談の場所を第三国ではなくて北朝鮮でとされた理由を教えてください。
  139. 福田康夫

    国務大臣(福田康夫君) これはピョンヤンで行うと、こういうことでございますけれども、このことについては双方の話合いでそういうようになったということでありまして、小泉総理がこの日朝関係を打開しようと、こういう決意を持ってピョンヤンに乗り込むんだと、こういうことでございます。
  140. 辻泰弘

    ○辻泰弘君 そうすると、交渉の過程では、第三国のことも検討されることではあったということですね。そのことも検討された上で決まったということですね。
  141. 福田康夫

    国務大臣(福田康夫君) いろいろな可能性というものは検討したと思いますけれども、私は承知しておりません。
  142. 辻泰弘

    ○辻泰弘君 今度の訪問は日帰りということになっているわけでございますけれども、日帰りにしようという判断をされた要因を教えてください。
  143. 福田康夫

    国務大臣(福田康夫君) これは、今回は実務的な会談である、そういう趣旨から日帰りで行うと、こういうことにしたわけでございます。
  144. 辻泰弘

    ○辻泰弘君 北朝鮮に行かれる要人の方々は、故金日成主席像への献花とか、同主席の遺体が安置されている錦繍山記念宮殿への訪問とか、あるいはマスゲームの見物とか、こういうのはよくあるわけでございますが、今回はそういういわゆる記念施設などへの訪問等の儀礼行事というものを予定されているかどうか、お伺いしたいと思います。
  145. 福田康夫

    国務大臣(福田康夫君) 日程の詳細は、先ほど申しましたように詳細は決定はされておりません。話合いしておりますけれども、決定されていないということであります。
  146. 辻泰弘

    ○辻泰弘君 この計画が公表されて、当初、小泉総理が自民党幹部の方々に政治生命を懸けて行くとおっしゃったという話がございまして、後に町村さんがそういうことはなかったんだと、おわびするとおっしゃいました。その後、福田長官が、説明した方の思い込みだというふうに御説明されつつ、総理は毎日政治生命を懸けていると、このようにおっしゃっているわけでございます。そうすると、やはりこれは政治生命を懸けたことになるんじゃないかと思うんですが、いかがでしょうか。
  147. 福田康夫

    国務大臣(福田康夫君) 総理は毎日、毎日ですね、政治を進める上において真剣に取り組んでいるという、そういう意味です、だと思いますよ、町村議員がもし言われたとすればですね。  そして、私は、総理が、私に委員から総理は政治生命懸けて毎日やっているのかということを言えば、そうだというふうに申し上げてもいいと思います。
  148. 辻泰弘

    ○辻泰弘君 今日、朝日新聞に森前総理のインタビューが出ておりまして、これを小泉総理に引き継いだ、すなわち北朝鮮の交渉は森前総理のころからあったんだというお話の流れの中でございますが、小泉総理に引き継ぐ際の反応は「ううんとか、はあんとか。」と、こういうふうに書いてございまして、要は余り関心がなかったのかというふうなふうに受け止められるわけでございます。  そのこと自体は森さんに聞かないと分からないところもあるのかもしれませんが、お近くで見ておられて、官房長官として、小泉総理が政権を作られたときにこの日朝問題というものをどうとらえておられたのか、関心、興味をお持ちであったかどうかということをお聞きしたいと思います。
  149. 福田康夫

    国務大臣(福田康夫君) 私は、総理がどういうようないろいろなお話をいろいろな方から伺っているか、そういうことは詳細存じ上げません。  ですから、総理がそういうような情報に基づいてどういうふうにお考えになっているか、これは私から説明するわけにいきませんけれども、しかし、この日朝問題というのは、戦後五十年以上たってまだ関係改善されていないというそういうような状況において、これがこの地域の安全保障とかそういう問題に関係するんであれば、なおさらのこと、この関係は改善しなければいけないと、そういうような思いはずっと持っておられるものと思います。
  150. 辻泰弘

    ○辻泰弘君 新聞報道で拝見するわけですけれども、アメリカへの首相訪朝の通告といいますかお伝えになられたのは、八月二十七日にアーミテージ・アメリカ国務副長官とベーカー駐日米大使が来られたときに話されたというふうに伝えられているんですが、この首相訪朝についてのアメリカへの通告の経緯を教えてください。
  151. 福田康夫

    国務大臣(福田康夫君) 政府が対北朝鮮政策を進めるに当たりましては、米韓両国と緊密な連携を図っていくことが極めて重要と考えております。そういう意味で、これまでも両国との間では緊密に意見交換をして、そして北朝鮮との間で対話を進めるということの重要性を確認してまいっております。  そういうような基本的な考え方の下に、今回の訪朝についても総理から直接ブッシュ大統領に事前に電話で説明を行っております。
  152. 辻泰弘

    ○辻泰弘君 その具体的な日付を、八月末とか、ちょっと教えていただけませんですか。
  153. 福田康夫

    国務大臣(福田康夫君) これはいろいろな、対外折衝でありまして、いろいろな関係ございますので、すなわち外交的な配慮ということもございますので、正確に私の口から申し上げていいのかどうか分かりませんので、ただいま差し控えさしていただきます。
  154. 辻泰弘

    ○辻泰弘君 伝えられるところによると、八月二十七日に総理がベーカーさんとアーミテージさんにおっしゃったのが最初だったというふうに言われておりますし、ほぼそうだろうと思うんですが、そのことの御確認はいただけますか。  八月二十七日にベーカーさんとアーミテージさんが首相官邸を訪問されたと、二十七日の午後に。そのときに首相が切り出されたと、これが最初だったというふうに伝えられているわけですが、そのことがどうかということです。
  155. 福田康夫

    国務大臣(福田康夫君) ただいま申し上げましたけれども、それぞれの国との関係がありますので、私の口から申し上げるのは差し控えさせていただきたいと思います。
  156. 辻泰弘

    ○辻泰弘君 日本時間では十三日になるんでしょうか、十二日に小泉総理がブッシュ大統領とお会いになるということになっているようでございます。  そこでお聞きしたいんですけれども、この会談の結果にもよると思いますが、小泉さんが、小泉総理が訪朝されるときにアメリカ大統領のメッセージを伝達されると、このような御予定はおありでしょうか。
  157. 福田康夫

    国務大臣(福田康夫君) 今回の総理の訪米においてブッシュ大統領からメッセージを託されるとか伝達を要請されるとか、そういうような話は私ども承知しておりません。
  158. 辻泰弘

    ○辻泰弘君 米朝対話についてお聞きしておきたいと思うんですけれども、去る九月八日でございましょうか、日米韓三国局長協議というのがございまして、共同声明が発表されているようでございます。その中で、日韓は米朝対話への支持を表明すると、またアメリカは北朝鮮との無条件かつ包括的な対話を行う用意があることを再確認をすると、こういうことがございました。また、八月二十六日でしょうか、日朝局長級協議におきまして、北朝鮮側より、アメリカとはいつでも対話を行う用意がある、日本としてもアメリカに対し対話が再開されるよう働き掛けていただきたい旨の発言があったということが記録としてございます。  そこで、今回のことを一つの契機にして、いわゆる米朝対話というものが進展していくというふうに見ておられるかどうか、お伺いしたいと思います。
  159. 福田康夫

    国務大臣(福田康夫君) 米国は北朝鮮との間で前提条件を付けないで包括的な対話を行う用意があると、こういうふうな立場であると承知をいたしております。そういうような米国の基本的な立場を踏まえまして、今回の小泉総理の訪朝に際しては、総理から金総書記に対し、米国及び韓国との間で対話を促進し問題の解決を図るよう働き掛けを行うと、こういうことになるだろうと思っております。  政府といたしましては、こういうような努力を日朝関係の改善とそれから北東アジア地域に平和と安定を作るための契機としたいというように考えております。同時に、これが米朝対話の進展に資するものとなることを期待もいたしております。
  160. 辻泰弘

    ○辻泰弘君 今回の両首脳会談が開かれて、その後に共同あるいは単独の記者会見というものは予定されているでしょうか。
  161. 福田康夫

    国務大臣(福田康夫君) これも先ほど申し上げているとおり、ピョンヤンにおける日程につきましては現在調整を行っているところでございまして、具体的に決定しているものはございません。
  162. 辻泰弘

    ○辻泰弘君 いわゆる拉致問題についてですけれども、官房長官は、こういう発言ございます。国交正常化交渉ができるかどうか見極める必要がある、日本人拉致問題はその中で包括的に考えるということなんですけれども、一方、田中局長は、アジア大洋州局長ですけれども、田中さんは、拉致問題は消息安否の調査を経て、面会、帰国が実現しないといけない、拉致問題に進展がなければ関係が大きく進む契機になるとは思えないということを語っておられるんです。  そこでお伺いしたいんですが、官房長官が言われる包括的に考える、日本人拉致問題はその中で包括的に考えるという包括的の意味なんですが、これは、ある意味では、個別のことについて不十分といいますか、少し懸案を残しつつも、それは正常化は図っていくんだということなんでしょうか。それとも、改革なくして成長なしみたいな、小泉的フレーズでいくと、拉致問題解決なくして正常化なしと、こういうふうなとらえ方なのか、その辺についてお伺いしたいと思います。
  163. 福田康夫

    国務大臣(福田康夫君) この解決、この日朝関係のですね、日朝関係を改善し、そして正常化交渉ができるかどうか、今回、小泉総理は、訪朝しまして正にそのことは可能かどうかを見極めると、こういうふうなことで行くわけですね。拉致問題というふうに一つのことを取り上げられました場合には、これは包括的というふうに申しますけれども、しかし、そういう包括的ないろいろな問題の中においても、これは極めて大事なことでありまして、この問題は進展なくしてこの包括的解決を図るということはなかなか難しいかなというように私ども思っております。  いずれにしましても、総理、小泉総理が訪朝しまして、その辺のところはしっかりと交渉していただくと、こういうようなことを期待をいたしているところでございます。
  164. 辻泰弘

    ○辻泰弘君 拉致されたと言われておりますところの有本恵子さん、私、実は兵庫県の選出でございますけれども、神戸市にお住まいでございまして、そのお母様に私の事務所のサイドからちょっと今日御連絡をさせていただいたわけなんですが、そこでお母様がおっしゃっていたことは、少なくとも表に出ている、名前が出ている方の安否を絶対聞いてきてほしい、またすぐに帰国にはならないと思うがと、こういうようなことをおっしゃっていた。それから二つ目が、親が元気なうちに帰れるようにしてほしい、家族ができているようであれば家族共々帰れるようにしてほしい、是非お願いしますと、こういう御伝言をいただいているんですが。  そこで、お伺いしたいんですけれども、先般福田長官も、出発前に拉致被害者の家族と総理との面会の機会を作るよう努力するとおっしゃっていただいておりますけれども、この拉致被害家族との面談の場の設定、お願いさせていただきたいと思いますが、いかがでしょうか。
  165. 福田康夫

    国務大臣(福田康夫君) 拉致問題を解決するための議連がございまして、そこの議連の方からただいま委員のおっしゃるような申入れがございました。私どももできるだけのことはしたいと思っております。御家族の方と面会し、御家族の意向を伺い、また気持ちをしっかりと体しまして、小泉総理がその御家族の気持ちを体してしっかりとした交渉をしてくださる、そういうことを期待いたしております。
  166. 辻泰弘

    ○辻泰弘君 今の面談の場を持たれるかどうかについては、はっきりしなかったと思います。実際、行かれるのは十七日でございますから、もうそんなに時間がないわけで、設定されるかどうかについては御判断いただきたいと思うんですが、いかがでしょうか。
  167. 福田康夫

    国務大臣(福田康夫君) 先ほど申しました議連の方々と十六日午前にお会いするという、そういうように了解いたしております。
  168. 辻泰弘

    ○辻泰弘君 ということは、家族の方とは限らないということになるんでしょうか。議連の方というのは議員連盟ということでございますね。
  169. 福田康夫

    国務大臣(福田康夫君) ですから、議員連盟の方がお話を、拉致された家族の方々とお話をされてそういう設定をしてくださっておると、こういう了解をいたしております。
  170. 辻泰弘

    ○辻泰弘君 そのことで、今、総理が被害の家族の方々とじかに面談されることにつながるということでしょうか。
  171. 福田康夫

    国務大臣(福田康夫君) 小泉総理は、時間的な問題もございまして、日程の調整が折り合わず、訪朝前の御家族との面会は見合わせることになりまして、その代わりと言ってはなんですけれども、私が御家族と面会すると、こういうような段取りで進んでいるというふうに理解しております。
  172. 辻泰弘

    ○辻泰弘君 ごめんなさい、要は官房長官がお会いくださるということでございますね、家族の方と直接にというのは。そういうことでございますね。よろしいです。  では、次の質問に移らせていただきます。  今回の日朝の局長会議、これは断続的に開かれたと思うんですが、八月でございましたか、このときの議論の概要というのを外務省でおまとめになっているわけですが、この中で、「北朝鮮側より、「過去の清算」に関し、」「国交正常化の基本問題は、日本による過去の清算(謝罪、補償、文化財、在日朝鮮人)であり、」という指摘があったと。これに対して日本側は、「「過去の清算」については誠意をもって検討する用意はある」と、こういうやり取りがあったというふうに外務省の資料にあるわけでございます。  すなわち、日本としても「過去の清算」について誠意をもって検討する用意があると、こういうことになるわけですが、そこでお伺いしたいんですが、今回訪朝されるに当たって、いわゆる植民地支配についてのコメントというものが出されるのかどうか、それがかつての村山談話に基づくものなのかどうか、この点についてお伺いしたいと思います。
  173. 福田康夫

    国務大臣(福田康夫君) 政府といたしましては、今回の総理訪朝は、戦前戦後にわたります日朝間の諸懸案の解決につながるということとともに、国交正常化に向けての重要な契機となるわけであります。また、ひいては北東アジアの平和と安定に向けた重要な貢献となるということを期待しておるところでございます。  他方、総理が金正日総書記との間で具体的にどういうような話をされるかということについては、最終的には総理の御判断によるわけでございまして、現時点での会談内容を予断するというようなことを申し上げることは差し控えさせていただきたいと思います。
  174. 辻泰弘

    ○辻泰弘君 外務省の田中アジア大洋州局長がインタビューでこのように答えておられるんです。植民地支配の清算は補償でなく経済協力方式を取った日韓国交正常化と同じ形でないとできないと、こういうインタビュー記事が最近ですけれども出ているわけでございます。こういう方針だと考えていいでしょうか。
  175. 福田康夫

    国務大臣(福田康夫君) ただいま申し上げましたように、戦前戦後の問題についていろんな問題があるわけですね。そういう問題について、これから総理が金正日総書記と話合いをするわけでございまして、その個々の内容については、ただいま申し上げたのは、予断をするようなことは今の段階では差し控えるべきであるということを申し上げたわけでございます。
  176. 辻泰弘

    ○辻泰弘君 次に、かつて交渉の過程で、第四回交渉において日本側が基本関係条約を提出した、あるいは北朝鮮側は善隣友好条約案を九一年に第五回交渉で提出したという指摘があるんですけれども、現実の交渉の過程でかつてそれぞれ条約案を出したということがあったのかどうか、教えていただきたいと思います。
  177. 福田康夫

    国務大臣(福田康夫君) 過去の話ですか。
  178. 辻泰弘

    ○辻泰弘君 では、もう一度お伺いさせていただきます。  かつて、九一年に第四回交渉があった、九一年八月に第四回交渉、同年十一月に第五回交渉があったと。そのときに日本側が基本関係条約を提案し、北朝鮮側が善隣友好条約を提案したというふうに言われておりますけれども、このことがあったのかどうかということでございます。
  179. 福田康夫

    国務大臣(福田康夫君) 報道にそのようなものがあったということを聞いておりますけれども、あくまでも報道のことでございまして、国交正常化の際に日朝間でどういう法的な枠組みを整備するか、これは今後の国交正常化交渉において議論する、そういう課題でございまして、その内容を現時点で予断するということは、これは適当でないと思っております。
  180. 辻泰弘

    ○辻泰弘君 今度の小泉総理の訪朝の後、どういう結果になるか分かりませんけれども、今回持たれたピョンヤンの連絡事務所、これを存続していかれるということは検討されているでしょうか。
  181. 福田康夫

    国務大臣(福田康夫君) 今回のピョンヤンの連絡事務所は、今回の小泉総理の訪朝のために、その準備のために開設したものでございまして、先遣隊が既に三日にピョンヤンに入って準備本部を立ち上げております。したがいまして、そういう趣旨からいいまして、この準備本部は訪朝が終了後には撤収するということになっております。
  182. 辻泰弘

    ○辻泰弘君 いわゆる不審船のことでちょっとお聞きしたいと思うんですけれども、九月四日の方の能登半島沖不審船発見の際についてでございますが、この際に防衛庁に深追いするなとの指示が官邸サイドから出たという情報がございますけれども、いかがでしょうか。
  183. 福田康夫

    国務大臣(福田康夫君) どこからという御指摘はありませんけれども、私どもの承知している限りはそういう指示を出したことはございません。
  184. 辻泰弘

    ○辻泰弘君 その際、ヨハネスブルクからでしょうか、小泉総理は日本に帰ってこられる途上にあったかと思うんですが、すなわち政府専用機の中にあったかと思うんですが、そこにお伝えになったと思うんですけれども、そのときの指示はどういう指示だったか、教えていただけるでしょうか。
  185. 福田康夫

    国務大臣(福田康夫君) 総理の指示と申しますか、私が承知していることについて申し上げれば、不審船のこの情報について、これは私は九月四日十六時二分にその不審船の疑いのある船舶を発見したとの報告をこれを初めて聞いたのでありますけれども、そういうように目視されたということであるから、この情報は公開と申しますか公表してもいいのではないかと、こういうような指示があったというように記憶いたしております。
  186. 辻泰弘

    ○辻泰弘君 これは今日の新聞でございますけれども、防衛庁の守屋局長が四日の日本海に現れた不審船に言及されて、実質的にそれは北朝鮮籍だというふうな御認識に立たれた上で、国交正常化をしようという国はそういう行動を控えるのが普通だと、こういう発言を昨日講演の中でされているようでございます。  この発言、どう受け止めておられるでしょうか。
  187. 福田康夫

    国務大臣(福田康夫君) 守屋局長がどういう文脈でそれを言われたのか、私、全文見ておりませんからちょっとそのコメントをするのは難しいのでありますけれども、しかし、いろんな方がいろんな報道というか状況に基づいて言われるということはこれはあるわけでございますので、そういうふうに言われたとしても、それは守屋局長認識だろうなというふうに思っております。
  188. 辻泰弘

    ○辻泰弘君 昨日でしょうか、福田長官は今のような御発言を記者会見でもされているわけですけれども、いろんな人が事実関係の確認なしにいろんなことを言うわけだからいろんな意見は出るだろうと、こういう御発言のように伝えられているわけですが、しかし、いろんな人が事実関係の確認なしにと言われているわけですが、その方は防衛局長でいらっしゃるわけでございまして、いろんな人というわけにもちょっといかないんじゃないかと思うわけでございます。  そしてまた、事実関係の確認というものから見れば、防衛庁がかなり情報に、最先端に触れていると常識的に思うわけでございまして、そういう意味では、いろんな人が事実関係の確認なしにいろんなことを言うということで済ませるものではないのではないかと思うわけでございます。  ここに見えることは、すなわち、いささか国交正常化というものの大義、それはもちろん大事なことなんですが、そこを追われる余りに少しすっ飛ばしている部分があって、事務方からすればそのことが見えて、それではちょっと危なっかしいのではないかと、こういうふうになっているのじゃないかと思うわけでございます。  いかがでしょうか。いろんな人が事実関係の確認なしにいろんなことをおっしゃるわけですが、防衛局長でございます。そういう意味では事の意味は大きいと思うんですけれども、いかがでしょうか。
  189. 福田康夫

    国務大臣(福田康夫君) 防衛局長がその不審船が近海でもって航行しているその真意を承知していたのかどうか、していないと思いますよ。ですから、私、先ほど申しましたように、守屋局長は余りいい加減なことを言うはずはないんですよ。ということは、やっぱり全体の文脈を見て判断すべき問題だと。ですから、そのことについてこうやって議論することは不毛の議論だと思っております。
  190. 辻泰弘

    ○辻泰弘君 では、またその正確なところを見定めて議論をさせていただく機会を持ちたいと思いますけれども、もう一点お聞きしたいと思います。  九月四日の能登半島沖不審船についてですけれども、一時、日本の排他的経済水域内を航行していたとか、この船が北朝鮮の港を出港していたというふうに言われているわけですけれども、この点についてどのようにとらえていらっしゃるでしょうか。どういうふうに、聞いておられるかどうか、判断しておられるかどうか。
  191. 福田康夫

    国務大臣(福田康夫君) 今回の船舶を自衛隊の哨戒機が発見したのは我が国のEEZの外でありました。それ以後、この船舶はEEZの外を航行し続けたということと承知しております。  しかし、それを最初に発見した以前にこの船舶がEEZ内に入っていたかどうか、それは確認はできないわけでありますから、これについては何とも申し上げようがないということです。
  192. 辻泰弘

    ○辻泰弘君 報道では、報道でしかないわけですけれども、報道では官房長官が、EEZ内を航行していたという見方について私は一切聞いていない、北朝鮮の港を出航したことについてもそういう事実は全くないとおっしゃったと言われているんですが、それは事実に反しているわけでしょうか。
  193. 福田康夫

    国務大臣(福田康夫君) これは情報の取得の、何というんですか、手段とかいろんな情報収集の問題がございまして、十六時二分に目視したという以前のことについて情報の有無、それからどういうものだったかということについて申し上げることはこれはできないんです。これはそういう意味で御了解いただきたいと思います。
  194. 辻泰弘

    ○辻泰弘君 では、もう一つの不審船のことをお聞きしますけれども、東シナ海沈没不審船のことですが、昨日引き揚げられたということになっているわけですが、その国籍特定の時期については官房長官幾つか発言されているんですけれども、国籍特定の時期、いつごろと見通していらっしゃいますか。
  195. 福田康夫

    国務大臣(福田康夫君) これは物理的に引揚げをして、そしてそれを鹿児島港に曳航してくる、それからしばらくの間、爆発物がないかどうか、危険物がないかといったような調査をしなければいけない、そういうことでありますので、それがどのぐらいの期間掛かるか分からない。私は、海上保安庁から聞いておりますことは、大体その調査に一週間、曳航に三日間、十日ぐらい掛かるのかなというような感じがいたします。  そういう爆発物とか、そういうような調査が終わってから実際にこの国籍の確定に向けてのまたいろいろな鑑定とか調査が行われる、分析が行われる、こういうことでありまして、それがいつ終わるかということは、これは海上保安庁とそれから宮崎県警の捜査の問題だと、こういうことでございますので、私から──鹿児島県警、鹿児島県警の捜査の問題でありますから、私から断定的に今申し上げることはできないということです。
  196. 辻泰弘

    ○辻泰弘君 確認しておきたいんですが、今度の小泉総理訪朝での首脳会談への影響を考慮されて引揚げを遅らせたことは一切ないと、こういうことで間違いございませんか。
  197. 福田康夫

    国務大臣(福田康夫君) これは今回、この引揚げは本来ならばもっと早く引揚げが完了しているはずだったのであります。しかしながら、この引揚げの実務を始めるころにちょうど大きな台風が何回か襲撃したというようなことがありまして、予定がすっかり狂ったということがございます。それ以外の何か人為的にどうこうしたとかいったようなことを憶測する向きもあるようでありますけれども、そういうことは一切ございません。  まさか台風の時期をずらすとか、そういうことができればそういうことはいいのでありますけれども、そういうことは当然のことながらできませんから、自然的にこうなったんだというようにお考えいただくべきであると思っております。
  198. 辻泰弘

    ○辻泰弘君 昨日の会見でしょうか、官房長官は、不審船の国の特定についてですけれども、仮定の話だろうが慌てなくてもいい、確定してから申し上げればいいと、国籍の特定ができた段階で当該国に対して確定してから申し上げればいいと、こういうような御発言だったと思うんですが、ということは確定した段階で、当該国への対処は確定したら申し上げると、こういうことでよろしいですね。
  199. 福田康夫

    国務大臣(福田康夫君) これは犯罪捜査ということでありますから、そちらの方の判断をこれを差しおいて、私どもからどうこう申し上げるべきことではないんだろうというように基本的には思っております。  したがいまして、これはその成り行きを今現在は見守るということでありますけれども、いろいろな状況もございますから、したがいまして日朝首脳会談においても不審船というような形でもって取り上げる、これは過去においても何回かあったわけでございますので、そういうような形でこの問題も取り上げられる、そういう可能性はあろうかと思いますが、いずれにしましてもこれは総理の御判断でお話を進められることだと思っております。
  200. 辻泰弘

    ○辻泰弘君 昨日、総理、ニューヨークで御発言をされている中で、中国訪問についてですが、中国側が来てほしいということなら私も都合を付けて行きたい、しかし今は歓迎できるような状況じゃないと判断すれば私は行かなくていいという、おっしゃっているんですけれども、中国訪問の予定というものはあるでしょうか。
  201. 福田康夫

    国務大臣(福田康夫君) 今現在、確定したものはありません。
  202. 辻泰弘

    ○辻泰弘君 福田官房長官、九日の記者会見だったでしょうか、イラクの攻撃、アメリカによるイラクの攻撃ということを検討しているということについてですけれども、イラクの姿勢を改めさせるため、国際世論を盛り上げることが必要だ、我が国もその方向に向かって行動すると、このようにおっしゃっております。  そこでお伺いしたいんですが、我が国もその方向に向かって行動するというのはどのような外交努力になるのでしょうか、どういうことをされることになるのでしょうか。
  203. 福田康夫

    国務大臣(福田康夫君) これは、外交、外務省でもって行うことであります。また、総理も、イラクの今の、現在の対応というものに対しては問題がある、そのイラクがもっと開かれた国家になるということが必要なんだという趣旨のことを述べておられると思いますけれども、今現在、攻撃をいつするかといったようなこともありますけれども、それと同時に、いかにしてイラクを、例えば核査察を受け入れさせるとか、それから大量破壊兵器を、この開発を止めさせるかといったようなことが、これは根源的に大事なことなんだろうと思います。  そういう意味においてどういうことを日本がなし得るかということで、外交当局でいろいろと考えておられることと思います。また、それを実行していることではないかと考えております。
  204. 辻泰弘

    ○辻泰弘君 ちょっとテーマを国内に移させていただきますけれども、内閣改造、臨時国会ということが具体的な日程として上ってきているわけですけれども、昨日も、総理大臣、記者会見でおっしゃっているんですけれども、内閣改造も民主党の代表選挙が九月中旬以降にあるのでそれを踏まえてというような御発言、また臨時国会の召集時期についても、民主党代表にだれがなるかということが臨時国会の幅にも影響すると、こういうような御発言がございまして、民主党の代表選挙を非常に高く評価していただいて感謝するような思いもございますけれども、どのようなかかわりがあるのかと、内閣改造と民主党代表選挙は。また、臨時国会の会期幅設定と民主党代表選挙の関係がどういう関係があるのか、教えていただきたいと思います。
  205. 福田康夫

    国務大臣(福田康夫君) 民主党の代表選挙については、これは私どもからすればほかの党のことでございますので、これは何か申し上げるというような立場にはございません。  総理は、民主党内で活発な再生策を検討して将来、政権が担当できるような指導者が党首になることを期待していると、こういうふうなことを述べたということは承知いたしております。
  206. 辻泰弘

    ○辻泰弘君 しかし、官房長官にお聞きするのも申し訳ないようにも思いますけれども、しかし明確に関連付けておっしゃっていることは間違いないわけでございます。ですから、そのことは、そういう、そのことしか言っていない、これ以外は言っていないんだという御説明は、ちょっと事実関係として違うんじゃないでしょうか。
  207. 福田康夫

    国務大臣(福田康夫君) 総理はこの後、ピョンヤンに参りますが、帰国後、またコペンハーゲンでもって、二十一日からこれは出発しまして、ASEMの会議がございます。それが帰ってくるのが二十五日になると思います。ですから、ちょうど、何というんですか、代表、御党の党首選挙とぶつかる、これは二十三日ですからね、ちょうどASEMに行っている間に終わるわけであります。ですから、その後の国会、例えば臨時国会の予定、それから政治スケジュールというようなものを考えるのは結局、帰国した二十五日以降と、こういうことになるわけですね。たまたまタイミングが合ったから、その民主党の選挙をよく結果を見て、その上で判断ができるということなんだろうと思います。  先ほど申したことが我々の考え方でありまして、民主党のことは民主党のことでございますので、これはそのことについて云々申し上げるべきでないということでございます。
  208. 辻泰弘

    ○辻泰弘君 官房長官としての御発言は、それ以上のことはあれでないし、当事者でございませんから、人の責任、人の発言にまでどこまで付き合えるのかということもあるかと思いますのであれですけれども、しかしこれははっきりと総理は意識を持っておっしゃっていると思うんです。民主党代表はだれかが会期幅にも影響すると、こういうふうになっているわけでございまして、これは官房長官とやっていてもあれですけれども、少し違和感があるなと思うわけでございます。  それじゃ、ちょっと別の問題、臨時国会で、近々開かれると予定されているわけですが、そこで提出される予定法案、教えていただけますでしょうか、重要法案。
  209. 福田康夫

    国務大臣(福田康夫君) 臨時国会につきましては現在、与党と御相談をしているところでございますけれども、まず臨時国会開くかどうかということもございますので、もしそうであれば、継続中でございます有事法制関連法案とか、また個人情報保護法案などの早期成立に向けて御審議をお願いしたいと思っております。  また、新たにどういうような法案を提出するかということは、昨今の社会経済情勢を踏まえまして、真に必要な法案に絞って提出するようにという検討をいたしているところでございます。
  210. 辻泰弘

    ○辻泰弘君 各所管大臣は発言されているわけですけれども、預金保険法の改正とか構造改革特区の関連法案、独立行政法人の設置法案等々、こういうことが言われているわけですが、それらもやはり予定されていると理解していいですか。
  211. 福田康夫

    国務大臣(福田康夫君) 目下、与党と協議中でございます。
  212. 辻泰弘

    ○辻泰弘君 デフレ対策についてお伺いしたいと思います。  先般、与党がデフレ対策を出されているわけですが、そこで、時間も限られてきていますので、ちょっと口早になって恐縮ですけれども、まず一つ、減税は一兆円以上の規模をというのが総理の御下命であったと思うわけですが、ここに来て、世界同時株安というようなことも踏まえて、減税規模を拡大してはどうかという御議論がある。GDPの〇・五%ですか、二・五兆円ぐらいどうかと、こういうような話も出てきたりしているわけですが、減税規模の拡大について取り組まれることがあるのかどうか、官房長官にお伺いしたいと思います。
  213. 竹中平蔵

    国務大臣竹中平蔵君) これまでの税制改革の基本方針の決定の過程で、総理からは、少し踏み込んで一兆円を超える先行減税についても議論をするようにというような指示をいただいております。  そうしたことを受けまして、税制全体の制度設計の段階に今議論が至っているわけですが、その入口として、先般の経済財政諮問会議におきまして、民間議員の方から、様々なマクロ的な状況考えて、GDP比〇・五%ないしはそれを上回るような先行減税を行ってはどうかという一つの提案がなされた段階であります。  基本的には、やはり経済財政諮問会議ができたことによって、予算全体の姿、すなわち歳出と歳入の姿を明らかにした上で予算を作っていくというのが正にトップダウンの予算編成のスタイルであろうと思いますので、その歳入の部分のマクロ的な議論として、これから経済財政諮問会議でその規模を含めた議論を今進めていこうとしているところであります。様々な経済指標に注意を払いながら、マクロ的な観点からそうした議論を進めたいと思っております。
  214. 辻泰弘

    ○辻泰弘君 補正予算についてお伺いします。  昨日、総理は、補正予算を組む予定は今のところないと、こういう発言でございます。また官房長官も、先般、株価が下落したときに、株が下がったから補正だとはならないというようなことですが、現時点で補正予算を組むことを考えておられるかどうか、お伺いします。
  215. 福田康夫

    国務大臣(福田康夫君) 今現在、補正予算は予定に上がっておりません。
  216. 辻泰弘

    ○辻泰弘君 竹中大臣にお伺いします。  補正予算についてですが、大臣は、イタリアであったと思いますが、偶発的なことが世界の市場で起こって連鎖的に経済が悪化する状況ではないというコメントをされて、補正予算編成については否定的な見解だというふうに伝えられておりますが、補正予算の必要性についてお伺いしたいと思います。
  217. 竹中平蔵

    国務大臣竹中平蔵君) 予算編成の基本的な考え方が、今年一月に示された「改革と展望」においてこれまでとかなり違ったものになったというふうに我々は考えております。  それは、当初の予算においてマクロ経済と財政の関係を十分に考慮して責任のある予算を編成する、それ以外の問題に関しては、いわゆる財政に組み込まれたビルトインスタビライザー、不況になれば自動的に税収が減るんだし、そうすると結果的に赤字が増えて経済を刺激する、そういったビルトインスタビライザーを活用するというふうな基本方針を示しております。  唯一例外は、予想もできないような大きなショックが起こったときには、これは総理自身も言っておられるように、柔軟かつ大胆にやる、今の状況はそういう状況ではない、決められた線に沿ってビルトインスタビライザーを活用しながら改革をできるだけ速やかに行うことに尽力すべきであるというふうに思います。
  218. 辻泰弘

    ○辻泰弘君 不良債権のことですけれども、昨日、総理が、不良債権を処理するとデフレが進み倒産や失業が増えると言う人がいる一方で、きちんと処理を進めるべきだと言う人もいる、私の答えは覚悟して不良債権処理を加速しないといけないという判断だと。ある意味では今までよりも踏み込んだ御発言をされているんですけれども、具体的に何をしていこうとされているんでしょうか。官房長官にお聞きしたいところですけれども、いかがでしょうか。
  219. 竹中平蔵

    国務大臣竹中平蔵君) 総理と直接お話ししたわけではございませんけれども、先般の第二骨太の中で四位一体の改革というのを強力に主張しております。歳出の改革、歳入の改革、これは税制改革ですね、それと規制改革金融システム改革。  この中で、歳出の改革については幾つかの新しい試みで予算を組んだ。規制改革については特区等々の新しい試みをしようとしている。歳入の改革についても税制改革を進めつつある。そうした中で、相対的に、金融システム改革というのは一生懸命努力はしてきているんだけれども、不良債権が更に増えて、なかなか、相対的に見ると進捗が遅いというような強い認識を私自身も持っておりますし、総理もそのようにお考えではないのかと思います。  そうした認識を踏まえて、よりこれもこれまで議論されてきた枠組みを更に強くして不良債権の処理を進めるというのが総理の御決意であると思います。
  220. 辻泰弘

    ○辻泰弘君 ペイオフの解禁についてですけれども、官房長官が発言されている中に、ペイオフの全面解禁に関して、今、決済性預金の保護ということが言われていて、それに向けての金融機関の準備があるということを前提にしてですけれども、猶予期間を設けるということがあり得るわけですが、そのことについて、その辺も含めて検討するということを官房長官はおっしゃっているわけでございます。  また、総理も同趣旨のお考えを示しておられるわけですが、決済性預金の保護ということを組み込んだペイオフの解禁、四月からというのを少し猶予を置くということは検討されているでしょうか。
  221. 福田康夫

    国務大臣(福田康夫君) ただいま金融庁の方でもって、そういうシステムをどういうように具体化していくかということについて、銀行界から、各銀行からヒアリングをして実情を調べていると、そういう状況でありますので、その結果を待ちたいと思っております。
  222. 辻泰弘

    ○辻泰弘君 与党のデフレ対策の中にあった一つとしまして、ETF、株価指数連動型投資信託というのがございました。伝えられるところによると、官房長官も検討していくというふうなことをおっしゃっているわけですけれども、これについては内閣の中でも複数の大臣が、公的資金を使うのはおかしいんじゃないかと、年金資金等はおかしいんじゃないかと、こういうような発言もあるわけでございます。その中で、竹中大臣は、日銀のオペの対象に組み込むならば可能性は検討していってもいいんじゃないかというような御趣旨の御発言があるかと思うんですが。  そこで、日銀の方からも来ていただきまして恐縮でございますけれども、このETF、この投資信託でございますか、上場の投資信託ですけれども、この購入を日銀が行おうとする場合、効果が三兆とか言われておりますけれども、その場合、日銀法の改正は必要になるんでしょうか。いかがでしょうか。
  223. 山口廣秀

    参考人(山口廣秀君) お答え申し上げます。  お尋ねの件につきましては、日銀法の解釈にかかわる問題ということでございまして、なかなか私どもの立場からは直接お答えするのが難しいということでございます。この点、御理解いただきたいというふうに思います。  ただ、日本銀行法におきましては、日銀がオペにより買い入れることができる資産につきましては、手形あるいは債券に限定されておりまして、日本銀行がお尋ねのETFを買い入れることについては想定されていないというように理解しております。
  224. 辻泰弘

    ○辻泰弘君 竹中大臣は、ETF、日銀のオペの対象にということであれば検討してもいいんじゃないかという御発言と承りますが、その場合は日銀法を改正してでもということになるんでしょうか。
  225. 竹中平蔵

    国務大臣竹中平蔵君) ちょっと誤解のないように是非申し上げておきたいと思いますが、例えば年金等々の資産で、これは年金のために運用しているわけでありますから、その運用のためにもしもETFを買うのが有利であるというふうに判断するのであるならば、これはポートフォリオの一環としてそのようにすればいいと、これはもう当たり前の話であろうかと思います。申し上げたのは、株価を維持するPKO的なことであるならば、これは余りよくないですねということを申し上げたわけであります。  日銀に関する私の発言でありますが、これは政策手段の選択は日本銀行が独立的に、その独立性を保持しながら厳粛に行うべきものであるというふうに思っております。  ただ、マネーサプライ、午前中の議論でもさせていただきましたが、マネーサプライはやはり是非とも増やしていただきたい、その一環としてこういう手段も一つあるのではないのかという議論の素材として提供させていただいたわけでありまして、これについては日本銀行の方でその是非も含めて検討していただければよいというふうに思います。
  226. 辻泰弘

    ○辻泰弘君 竹中大臣は、午前中もおっしゃっていたように、マネーサプライを安定的に増やしていくべきだと、こういうお考えですけれども、その一つの具体的な対応として、長期国債の日銀による購入、月一兆円ということになっておりますが、この増額ということが一つのテーマではあろうと思うんですが、日銀としてその点については御検討でしょうか。
  227. 山口廣秀

    参考人(山口廣秀君) 私どもの金融政策につきましては、御承知のとおり、毎回の金融政策決定会合におきまして、その時々の金融経済情勢について十分検討した上で決定するということになっております。したがいまして、私の立場から先行きの金融政策運営につきましてお答えするのはなかなか難しいと、この点御理解いただきたいというふうに思います。
  228. 辻泰弘

    ○辻泰弘君 官房長官にお伺いしたいんですけれども、昨年、官房長官がこういうことを発言されたと伝えられておりまして、小泉総理の下では景気は良くなりませんから御了解くださいと、こういうことをおっしゃったように伝わっておるんですが、大変本質をとらえて将来を的確に見通された発言だと感服しておるんでございますけれども、福田長官としてこの確信に揺るぎはないでしょうか。
  229. 福田康夫

    国務大臣(福田康夫君) 私がそういう表現をしたことはないと思いますよ。これは確言いたします。本当にそういうマスコミの中でいい加減なことを書くのが多いということでありまして、私が言ってもないようなことが次々と出てくるのでびっくりしております。  そういうことでありますので、私がその御質問にお答えする必要はないかと思っております。
  230. 辻泰弘

    ○辻泰弘君 税制改革についてお伺いしたいんですけれども、小泉総理が経済財政諮問会議において八月六日、「税制については、シャウプ以来の税制改革により、経済活性化に資する「あるべき税制」を構築することが私の基本的な考え方である。」ということがあって、そこから一斉に動いているところがあるわけですが、ここでお聞きしたいんですけれども、シャウプ以来の税制改革によりと、このようになっているわけです。  実は、竹中大臣も五十年来の改革によりということをおっしゃっているんですが、しかし、いわゆるシャウプ税制そのもののいわゆる直接税中心主義という、このことを根本から変えるということがシャウプ以来の税制改革によりということになるんだと思うんですが、現実に行われていることがそのようなシャウプ以来の税制改革という名に値するものかということは、率直に言って非常に疑問に思わざるを得ないわけでございます。  そして、先般の骨太の方針第二弾でございましたが、公平、中立、簡素を公正、活力、簡素でございましたか、そのように読み替えると、こういうこともあったわけですけれども、それもその部分をそのように理解するというふうな非常に訳の分からない対応になっていたわけでございまして、そういう意味でシャウプ以来の税制改革という看板が余りにも大き過ぎるんじゃないかと、何が具体的に言えるのかと。  すなわち、今日までやってきた、昭和六十三年でございますか、あるいは平成六年ですか、これが一つの抜本改革と言われているわけですけれども、間接税を入れたりして、消費税を入れたりして、これを上回るものであって初めてシャウプ税制以来の改革ということに論理的になると思うんですけれども、何を考えておられるのか、教えていただきたいと思います。
  231. 竹中平蔵

    国務大臣竹中平蔵君) 委員指摘のとおり、シャウプ税制というのは包括的所得税の考え方にのっとって非常に整合的な思い切った改革を行った。それ以降、日本は毎年毎年税制というのは真剣に議論はされてきているわけですけれども、それ以降五十年間の改革というのはどういう方向であったのか。どちらかといえば、やはりその時々に必要な政策減税といいますか、一時的な租税特別措置的なものが積み重なって、結果的に当初の包括的所得税の理念がよく見えないような形の継ぎはぎの税制になってしまっているというのが現状ではないかと思います。  今回の目指しているのは、包括的所得税そのものを根本的な理念として覆すということでは必ずしもないのでありますけれども、現実問題としては既に消費税も導入されていることでありますから、そうした現実も踏まえて、民主主義を支える税制としてより広く薄く、様々な継ぎはぎの改革の中で課税ベースが狭くなっている、その狭くなっている分、部分的に税率が厚くなっている、それを広く薄くする、その部分に非常に重点が置かれているわけです。  中立と活力の問題に関しては、基本的には活力、経済成長を最大にするための税制というのは、特別の条件がない限りは資源配分に対して中立的な税制であると。これは覆しようのない真理であるわけであります。しかしながら、現実に中立という言葉が、税収の中立と混同されたり、あたかも何もしないことをもって中立とするというような、そういった偏った使われ方がしている中で、本論に返って経済を活性化させるということを前面に出そうということを申し上げているわけで、その意味では広く薄くということを課税に、また納得できると、納得できる税制ということを目指しているわけで、継ぎはぎの税制ではない抜本的な税制改革ということを目指しているわけでございます。
  232. 辻泰弘

    ○辻泰弘君 日銀の方、審議役さん、どうもありがとうございました。御退室をいただいて結構でございます。
  233. 中原爽

    委員長中原爽君) 山口審議役、御退席いただいて結構でございます。
  234. 辻泰弘

    ○辻泰弘君 そこで、事前にお伝えしておりますので、官房長官、簡単に御見解示していただきたいと思うんです。  無年金障害者対策について坂口厚生労働大臣が私案を出されているということでございまして、前回、私、この場でも財務副大臣に御所見を伺っているんですが、政府としてこの坂口私案に対してどう対処されるかお聞かせください。
  235. 福田康夫

    国務大臣(福田康夫君) 年金を受給していない障害者に対しまして現金給付を行うということにつきましては、拠出制の年金制度を始めとする既存制度との整合性、それからまた給付に必要となる多額の財源確保の見通しというようなことを十分な検討を行わなければいけない、そういう問題だというように認識しております。  いずれにしましても、なかなか難しい問題でございますので、厚生労働省において坂口私案を踏まえて引き続きこのような論点についての検討を進めていくことが必要であると、こう考えております。
  236. 辻泰弘

    ○辻泰弘君 これも事前にお伝えしていることでございますので結論部分を教えていただきたいと思うんですが、私は第九次雇用対策基本計画の改定ということを何度か質問しておるんですけれども、政府としてこの雇用対策基本計画の改定に取り組まれることがあるのかどうか、お伺いしたいと思います。
  237. 福田康夫

    国務大臣(福田康夫君) 雇用対策基本計画は、雇用対策法に基づいて政府の策定する経済全般に関する計画との調和を考慮して策定すると、こういうことになっております。  政府といたしましては、現在の第九次雇用対策基本計画と本年一月に策定いたしました構造改革経済財政の中期展望との間でもって、経済や雇用に関する施策の基本的方向性は一致しているという認識をしておりまして、現状においては本計画を改定する必要はあるとは考えておりません。
  238. 辻泰弘

    ○辻泰弘君 竹中経済財政担当大臣にお伺いいたします。  大臣は、経済活性化策の一環で先端産業や高度医療の特区というものについて、その創設について前向きな御発言をされているんですけれども、このことについての御見解をお伺いしたいと思います。
  239. 竹中平蔵

    国務大臣竹中平蔵君) 御承知のように、骨太第二弾で決められました経済活性化の一環として特区を進めるということは、これはもう既に内閣の方針になっております。推進本部も作られて、推進室も作られまして、特区を進める。その特区の構想そのものは各自治体等々、これは民間企業も含みますが、個々の推進主体に知恵を出していただいて、各地域の特性を出していただくということでありますが、そのうちの一つとして先端医療等々の特区というのは私は大変有望な一つの分野であろうかと思います。  規制は、総論は賛成でありますが、ともすれば各論になると反対が出る。そうした特区でいい成功事例を示すことによって、それが全国的に良い方向に広がっていく、その意味では特区は大変重要であると思いますし、その一つの例として御指摘のような特区は私自身は大変期待を持って見ておりますし、そのような動きは現実にあるというふうに思います。
  240. 辻泰弘

    ○辻泰弘君 税制改革についてひとつ官房長官お教えいただきたいんです。これも通告していることですけれども、法人課税について、経済財政諮問会議で小泉総理が、いろんな役所が高い低い、国際的に高い低いという議論があったという中で、財務省と経産省はよく打合せをしてほしい、誤解を与える、どうして説明が違うのかと。同じ日本政府の役所で違うというのは議論を迷わせる、よく調整してほしいと、こういう議論があったわけでございますが、それを踏まえて現行法人課税というものについて国際的にどうなのかということについて、政府としての言わば統一見解を教えていただきたいと思います。
  241. 竹中平蔵

    国務大臣竹中平蔵君) 基本的にむしろ見解の相違というよりも若干の議論の混乱があるということであろうかと思います。一般的に財務省がよくお使いになる数字はいわゆる実効税率というものでありますけれども、一方で経済産業省等がよくお使いになる、財界もお使いになるのは実効負担率という数字である。これはどの概念で見るのが一番適切なのか。これは概念が違うわけでありますから、その概念について、もちろんこれは概念でありますから一長一短それぞれにあるわけでありますから、今、諮問会議等々でより議論を深めようというふうにしているところでございます。
  242. 辻泰弘

    ○辻泰弘君 竹中大臣にお伺いいたします。こういう御発言をなさっておられるので、それについてお伺いしたいです。  学者が政府内に入ることの明らかなメリットの一つは、こんなことをしたら政治生命が終わりだという発想がないことです、実際私には政治生命は関係ない、私は小泉さんに頼まれたからやっているだけであって、やるべき仕事を終えれば一刻も早く大学に帰りたいと思っていますとおっしゃっているんですが、このことについて真意をお聞かせください。
  243. 竹中平蔵

    国務大臣竹中平蔵君) 何か随分以前にそういう発言をさせていただいたと思いますが、恐らくそれの前後に国会議員になるつもりはありますかというような御質問があったのではないかなと思います。私は先生方のように選挙に立候補するつもりはございません。まあ若干の専門的知見を持った人間としてそれなりに総理のために貢献をさせていただきたいと、そのような趣旨で申し上げたわけでございまして、是非ともそのような立場を貫かせていただきたいと思っております。
  244. 辻泰弘

    ○辻泰弘君 時間が参りましたので、これで終わらせていただきます。
  245. 中原爽

    委員長中原爽君) 竹中大臣、御退席されますか。──経済財政諮問会議平成十五年度の予算の概算要求の審査がおありでございますので、御退席いただきます。ありがとうございました。
  246. 大沢辰美

    ○大沢辰美君 日本共産党の大沢辰美でございます。  今日、私は、今国民が政治に対して切実に問題を解決をしてほしいという大きな一つの問題として、政治と金の問題について小泉内閣の基本姿勢をお伺いしたいと思います。  今年の通常国会は政治と金の問題が次々と噴出しました。北方四島支援事業に絡む鈴木宗男衆議院議員の事件、また加藤紘一自民党元幹事長秘書による口利き事件、井上前参議院議長秘書の口利き事件、いずれも公共事業の受注に絡む汚職腐敗事件です。ここで本当に焦眉の課題となったのが、公共事業の受注企業からの政治献金の禁止の問題です。野党四党は既にこれを禁止する法律を提出しています。その実現に努力しているところです。  これまで企業・団体献金は必要だと繰り返していた小泉首相も、ようやく公共事業の受注企業からの政治献金に対して規制が必要だと、こういうふうな発言をするようになりました。この小泉総理の発言は、国会と国民に対する約束でもあります。公共事業の受注企業からの政治献金の問題に対して、小泉内閣はどのような結論と対策を打ち出したのでしょうか、まずお聞きいたします。
  247. 福田康夫

    国務大臣(福田康夫君) 公共事業受注企業からの献金等につきましては、国民の疑惑を招くことがないよう、法整備を含め、もう一歩踏み込んだ仕組みを考えることが必要であるという総理の意向を受けまして、与党において具体的な検討を進めるよう求めているところでございます。  現在、自民党におきましては、政治資金等に関する有識者懇談会からの提言を受けまして、企業献金の問題も含め様々な議論が行われているところと承知しております。
  248. 大沢辰美

    ○大沢辰美君 経過報告のような答弁でございますけれども、この問題は小泉総理が言っていたように、さきの通常国会中に結論を出すと言っていたのではありませんか。国民は、政治と金の問題で大きな関心と、また抜本的な対策を求めています。  今、政府・与党内では、秋の臨時国会をどうするかで様々な発言が伝えられていますけれども、公共事業の受注企業からの政治献金の問題に対して、小泉内閣としてどのような対策を持って臨もうとしているのか、まずそのことについてもお聞きしたいと思います。
  249. 福田康夫

    国務大臣(福田康夫君) 政治と金をめぐる問題につきましては、さきの国会におきまして、国会議員の私設秘書に罰則を拡大するあっせん利得処罰法改正案やいわゆる官製談合法案が成立しました。一定の前進は見たものと考えております。  また、お尋ねの公共事業受注企業からの献金等につきましては、国民の疑惑を招くことがないよう、法整備を含めもう一段踏み込んだ仕組みを考えることが必要であるという総理の意向を受けまして、与党で具体的な検討を進めるよう求めております。  現在、先ほど申しましたように、政治資金等に関する有識者懇談会からの提言を受けまして様々な議論を行っているところでございます。次期国会に向けてどういうような対策を講ずるかということにつきましては、正に現在議論中でございます。  いずれにしましても、各党各会派から幅広い合意が得られる成案の作成に向けまして、引き続き努力をしてまいりたいと思っております。
  250. 大沢辰美

    ○大沢辰美君 私は、やったと言うけれども、このような事件が次から次と後を絶たないわけですから、本当に一歩を踏み込んでという繰り返しの答弁がこの通常国会でも総理大臣始め、福田官房長官も繰り返されていることは承知のとおりだと思うんです。それでは問題の解決をしないということで、私たちは次期国会をまた願っているわけですけれども、次期国会に臨むということだけであって、もう既に通常国会を終えて、そして自民党の懇談会も開いたということですけれども、そのことを確実に次の国会において提案することを願うわけですけれども。  この経過の中で、この七月十七日に、先ほどもお話がありました自民党の政治と金をめぐる有識者懇談会ですか、これが提言出していますね。私は、この提言の内容とこれまでの小泉総理の発言との関係はどうなるのかということ。この提言の内容は、公共事業の受注企業からの政治献金の問題で小泉総理が求めていた対策と同じということにはなるんでしょうか。それとも、福田官房長官がこの提言をどのように評価しているのか。その点を絡んで、政治と金の問題が解決できるのか、この懇談会の提案で解決できるのか、そして小泉総理が願っている思いとこの懇談会との違いはどうなのか、その点についての御判断はいかがですか。
  251. 福田康夫

    国務大臣(福田康夫君) この自民党の有識者懇談会におきましては、短い期間の中で政治資金をめぐる幅広い論点について提言をいただいたということでございます。個々の提言内容につきましては、現在自民党の中でいろいろな議論が行われているところでございます。  例えば、政治資金の透明化、公共事業関連企業からの入札の適正化、公共事業受注企業からの寄附、また政党支部の在り方、労働組合等の経理の透明性、公務員の政治的行為の制限強化とか、いろいろございますけれども、これについて私の立場で具体的な意見を、今議論中でございますので、申し上げることは差し控えたいと思います。  いずれにしても、政治資金の在り方ということは、民主主義のコストをどのように国民に負担していただくかと、そういう観点から考えて十分な議論を尽くす必要があると考えております。
  252. 大沢辰美

    ○大沢辰美君 提言の中身をるる申し述べられましたけれども、私は、この提言私も見させていただいて、様々な評論をされている方たちの話も聞いたわけですけれども、たった一言、良いことを評価しているのは、企業献金の現金授受の禁止という、インターネットによる政治資金の公開についてだけです。全体としての評価は、やらないよりはましとか、抜け道だらけとか、党内に配慮し過ぎている、全面禁止は回避など、その評価は国民の期待とは大きく離れたものとなっていますので、この点についてはまず指摘をしておきたいと思います。  そこで、私はこの自民党の有識者懇談会の提言の中の内容について二点ほど質問したいと思うんですけれども、この公共事業の受注企業からの政治献金の問題についての提言の一つに、公共工事受注企業からの寄附について、企業寄附意義という点から公共工事受注企業からの寄附を全面的に禁止する条件は設定しない、しかし、昨今の状況にかんがみ、以下の規則は必要であるとしています。入札に関して行政処分を受けた企業、債権放棄を受けている企業等からの一定期間の寄附の禁止です。これを挙げていますね。これは当たり前のことだと思うんですが、企業献金は悪ではないと言い続けている議員でも、私は入札に関しての行政処分を受けた企業からの献金を受けることを堂々と主張できる議員や政党は少ないと思います。政治と金の問題に何かメスを入れたと言えるようなものではありません。  二つ目ですね。公共事業の工事の受注の割合が一定割合を超えた企業は寄附限度額を制限する。例えば例として、当該企業の売上げに占める公共工事の受注が五〇%を超える場合には寄附限度額を五〇%減らすという内容なんですね。果たして、この提言が公共事業の受注企業からの政治献金を制限することにつながるのでしょうか。  今、皆さんのところに資料を配らせていただいております。この資料を見ていただいたら、数字がずらっと並んでおりますけれども、この一ページですね。これは自民党の二〇〇〇年の国民政治協会への主な建設事業企業の献金額と官公需、その比率を表にしてみました。  この表を見ていただくと、公共工事の受注が五〇%を超える場合には寄附限度額を五〇%減とすると言いますけれども、公共工事の割合が五〇%未満の企業が約六割を占めているんですね、これを見ましたら。そして、これの企業は何の制限も受けないことになります。さらに、公共工事の割合が五〇%を超えていたとしても、資本金の額ごとに設定されている政治献金の上限額、これは使い切っている企業はほとんどありません。仮に献金の限度額を五〇%に減らしても、提言どおりですね、ほとんどの企業は影響を受けないことになるんです。ですから、公共事業の受注企業からの政治献金をもらっている政党や政党支部もほとんど影響は受けないんです。  結局、自民党が今、有識者懇談会でやって、短い期間だけれども、提言はしたと言うけれども、この提言では政治と金の問題は解決しない。小泉内閣は、公共事業の受注企業からの政治献金の禁止というこの国民的な課題に対してこのような制限で事足りるということになるんでしょうか。官房長官
  253. 福田康夫

    国務大臣(福田康夫君) まあいろいろ御指摘ありましたけれども、現在、党の方で御議論をいただいているところでございまして、各党各会派からの幅広い合意が得られる成案の作成に向けて引き続き努力をしてまいりたいと考えております。
  254. 大沢辰美

    ○大沢辰美君 今私は、この提言の内容の二つを例に挙げさせていただいたんですね。一つは、やはり債権を受けている人の企業は一定期間の寄附の禁止、これは当たり前のことですけれども、公共工事の受注の割合が一定割合を超えた、いわゆる五〇%を超える企業に対しては寄附限度額を五〇%減らすとか、こういう提案をしているわけです。これに対して、本当にこれで解決できますかという、官房長官の小泉内閣の本当に責任者の一人として、そのことをお聞きしているんですが、何とも思いませんか。これでいけると思いますか。
  255. 福田康夫

    国務大臣(福田康夫君) 要するに、政治資金の在り方と申しますか民主主義のコスト、これをどういうような形で国民に御負担願うかという、こういうことがあるわけですね。ですから、そういうことを含めて、全体的な観点から考えなきゃいけないというふうに思います。  しかし、例えば、政治家によるいわゆる口利き問題が国民の批判を受けているというこういう中でもって、公共事業の受注割合が一定の割合を超えた企業は寄附の限度額を制限すると、こういう案もございます。これも一つ考え方であるというふうに思っております。  いずれにしても、これは各党各会派の合意を得られるような議論をしていただきたいと思っておるところでございます。
  256. 大沢辰美

    ○大沢辰美君 一つ考え方と言いますけれども、私は、こんな、この提案が立派な提案だと言えない。官房長官、私は、やはり今日の政治と金の問題はこれでは解決できないということをお認めになった、そのように考えるんですが、こういう程度の提言では駄目だということを私は繰り返し申し上げて、本当に根本的な、臨時国会に提案するこの公共事業受注企業からの献金禁止を改めて一歩踏み込んだということをずっと答弁繰り返しているわけですから、真の国民に政治と金の問題での解決を求められる制度を確立することを強く求めて、もう一つの質問をさせていただきたいと思います。  もう一つの質問の内容ですけれども、これは政党支部への企業・団体献金も大きな問題になっていると思うんです。  提言では、政党支部から資金管理団体や他の政治団体への寄附を制限すると言っています。鈴木宗男衆議院議員の事件などに照らせば当然の措置でありますが、この政党支部に対する企業・団体献金の問題は、私はもっと根の深い重要な問題を抱えていると思うんです。  次に、配付資料の三ページを見ていただけますか。これは記載しているのは、政党支部は自由民主党群馬県第四選挙区支部ですね。支部長は福田康夫官房長官、あなたです。そして、資金管理団体とは千代田経済懇話会であり、資金管理団体の届出者は福田康夫官房長官、あなたです。  一九九九年には政治家個人の政治団体である千代田経済懇話会に政治献金をしていた企業が、今度は二〇〇〇年には政党支部に軒並みに献金しています。この政党支部は前年の一九九九年にはどこの企業からも献金は一円もありません。すべて政治家個人の資金管理団体から政党支部に変わっています。すなわち、一九九九年までは福田長官の政治家個人としての政治献金だったものが、二〇〇〇年からは政党支部という看板を変えたところへ献金されていることが一目瞭然でお分かりだと思います。  政党支部への企業・団体献金を可能にしたのは、政治家個人の資金管理団体の身代わりとするためだったのですか。福田長官自身の場合はどうだったんですか。選挙区単位の政党支部は私は資金管理団体の身代わりになっている、実質は同じものだということはこの表を見ても明らかですが、その点はお認めになりますか。
  257. 福田康夫

    国務大臣(福田康夫君) これは制度が変わったからこういうふうになっただけでありまして、いずれにしても、私が政治活動を行う上で必要な経費になるわけでございます。この政党支部でもって記入しているものは、これはその政党支部で支出を全部公開しているわけですからね。  ですから、何ら私どもはおかしいことではないと思っております。
  258. 大沢辰美

    ○大沢辰美君 そうなんです。制度が変わったんです。二〇〇〇年一月から政治家の個人の政治団体への企業献金は禁止をして、今度は政党、そして政党支部にそのことを認める法律に変えたわけですよね。御存じのように、国民の多くの皆さんはこの企業、団体の献金を禁止してほしい、そういう形であの一九九四年の政治改革の論議のときに、政治献金を禁止する、この企業献金を禁止するその内容については五年間後に目標にしてやろうということで、一九九九年の十二月に改正はされたけれども、改正された内容がこういう内容で、二〇〇〇年一月一日から実行されたわけでしょう。  だけれども、改正されたけれども、あなたの責任者である個人の政治団体の千代田経済懇話会からそのまま政治団体、いわゆる今度は政党支部に軒並み、もう本当にそのままと言っていいですよね、移されているわけです。だから、改善したけれども、制度を変えたけれども、そのままの、私は一層増幅したと、献金金額を見てもそうじゃないですか。そういう内容を持ったこの改革をいいと思っているんですか。  その点について、福田官房長官は制度が変わったからと言うけれども、この制度自体がそういう意味を持って一九九九年に変えられたわけです。だけれども、中身は、あなたたちは抜け道を作って、企業献金の、その献金の在り方を政党支部に回したという内容にすぎないじゃありませんか。そこは私は実質同じものじゃないかという指摘をしているんですが、福田長官はこの表を見てもお認めにならないんですか。
  259. 福田康夫

    国務大臣(福田康夫君) 私は、この制度改革の前には選挙区で集めるということを実はしていなかった。選挙区ではなるべく集めないようにとしておった。しかし、制度が変わったから、皆さんがそれでいいということなんだから、それはそれでよろしいんじゃないかと。これは、入りも出も明確になっていることだし、何らおかしいところはない。  どこがおかしいのか、ちょっと教えてください。
  260. 大沢辰美

    ○大沢辰美君 だから、今までは個人の政治団体に入れていたと。それがいけないから、あのときに政治献金の禁止ということでみんなが一致して作られたのが、今度は政党支部に入れるようになってしまったと。それは本当に移動しただけであって、この作った内容自体は本当に私はひどい内容だったと思うんです。  そこで、私は企業献金がなぜいけないかということをもう一度官房長官に言いたいと思うんです。  その問題は、やはりこれは政治腐敗の温床になるからなんですよ。この間、ずっとそれがやられたじゃないですか。それを何としても止めてほしいというのが国民の願い、それにこたえるべきだと思うんです。その政治にゆがみを生じた今日の事態です。  企業は営利を目的としていますから、政治に金を出せば、やはりその見返りを期待するのは当たり前じゃないですか。だからこそ、私たちは政治献金、企業、団体の献金は禁止すべきだと考えています。だけれども、当面この公共事業の受注企業からは、せめて政治家に対して、また政党支部に対してもこの献金を禁止すべきだと考えています。  その点について、今あなたたちがやっているこの政党支部に献金を出している、受け取っている、個人から政党支部に移ったら何が悪いんだと、制度が変わったからそうなんだというんじゃなくて、このことが今回の事件を巻き起こしているわけですから、やはりここはしっかりと、公共事業の受注企業から受け取らないという問題、そして全面的に企業献金を禁止するという、そういう法律を私は臨時国会にしっかりと作り上げていただきたいということを申し上げて、終わります。
  261. 福田康夫

    国務大臣(福田康夫君) 十把一からげみたいな議論はしない方がいいと思うんですよ。私のどこが見返りを受けています、この中で。見返りを受けているというか、見返りを何か与えて、そしてこの政治献金でもってそれを補っているとかいうようなことあるんですか。そういう議論は、いい加減なこと言わないでください。
  262. 八田ひろ子

    八田ひろ子君 日本共産党の八田ひろ子でございます。  今の議論に私も加わりたいんですが、私の通告は違うので、残念ですが、配偶者からの暴力の防止及び被害者の保護に関する法律、このいわゆるDV対策について今日は議論をしたいというふうに思います。  今年の四月一日からいわゆるこのDV防止法が全面施行となりました。今まで日本国憲法で両性の平等、あるいは男女共同参画社会基本法があるにもかかわらず、被害者の救済が十分に図られてこなかった。法のはざまであるかのごとく、DV、パートナーからの暴力が犯罪であるのに被害者の救済ができないという。DV被害者の多くは女性で、経済的自立が困難である女性に対して配偶者が暴力その他の心身に有害な影響を及ぼす言動を行うことは、個人の尊厳を害し、男女平等の実現の妨げとなっている、こういう認識からDV根絶をするための目的の法律が作られました。  男女共同参画社会の実現は二十一世紀の最重要課題、今日もこの場でその議論がされましたが、その最重要課題の実現のためのDV防止法だという認識は一致をしている、こういう観点で質問をしたいと思います。  さて、DV防止法施行後もDVにかかわる事件は残念ながら続発をしておりまして、報道によりますと、今年八月二日、横浜市内で被害女性の再婚相手に中学一年生の長男と祖父母が刺殺される事件が発生をし、同じく二十二日には、北九州で夫が妻を刺殺して自殺をする事件が起きております。いずれも夫のDVが原因で、離婚調停中の出来事だということでありまして、妻は警察に相談をしたり、DV防止法の保護手続について説明を受けていたということであります。  そこで、警察庁に伺いますが、警察がDV相談に対応した数、またDVによる殺人の現況や接近禁止の発令数、違反数をお示しください。
  263. 瀬川勝久

    政府参考人(瀬川勝久君) 配偶者からの暴力の防止及び被害者の保護に関する法律、いわゆる配偶者暴力防止法が施行されましたのが平成十三年の十月十三日でありますが、それから本年の四月三十日までの間、警察が配偶者からの暴力相談、これは相談以外に援助要求や保護の要求、あるいは被害届、告訴の受理と、こういったものも含まれますが、警察がこういった相談などに対応した件数は八千百四十四件であります。  それから、平成十一年から平成十四年上半期における夫から妻への暴力のうち、殺人事件、未遂も含みますが、検挙件数は四百二十四件というふうになっております。また、このいわゆる配偶者暴力防止法が施行されました平成十三年の十月十三日から本年の四月三十日までの間、警察が裁判所から接近禁止命令を発した旨の通知を受けた件数は三百八十九件、また保護命令違反で警察が検挙した件数は七件となっております。
  264. 八田ひろ子

    八田ひろ子君 大変な数字だと思うんですね。今日、皆さんのお手元に裁判所の方の資料をお届けをしておりまして、それを見ていただいても、保護命令の受付だけで八百九件、保護命令の発令は六百四十八件ですね。これは今年の七月までであります。警察にも半年間で八千件を超える相談、書類が出されたということでありますが、これは顕在化をした、法律ができて顕在化をしたごく一部だというふうに思います。  非常に残念なことは、DV殺人を減らすまでには至っていないということで、お届けしました資料の四枚目にも、これ警察庁の資料ですけれども、先ほど示していただいた数字がありまして、殺人が非常に多いです。  福田官房長官にまず伺いたいというふうに思うんですが、こういった深刻な事態についてどう受け止めておられるのか、現場の悲痛な声が届いているのか、聞こえているのか、またその声をどう施策に生かしていかれるおつもりなのか、伺いたいと思います。
  265. 福田康夫

    国務大臣(福田康夫君) 配偶者からの暴力などの女性に対する暴力は、女性の人権を著しく侵害するという社会的問題でありますと同時に、我が国の男女が置かれている状況などに根差した構造的な問題であるということで、男女共同参画社会を形成していく上で克服すべき重要課題であると認識をいたしております。  平成十四年四月には、これは今御指摘ございましたけれども、配偶者の暴力防止法が全面施行されているところでございますけれども、各都道府県の相談支援センターにはたくさんの相談が寄せられている現状でございます。このように配偶者からの暴力の被害の実態が明らかになっておりまして、政府としては今後とも関係府省庁が連携して暴力の防止及び被害者の保護に最善を尽くしてまいりたいと考えております。
  266. 八田ひろ子

    八田ひろ子君 どんな声が官房長官の心にまで届いているのかということをお示しいただきたかったんですが、現状実態に今対応できているかということが問題、被害者のニーズに合っているのかということなんですね。  先日、私のところに、公的施設が一杯だと断られちゃった、民間シェルターを緊急に紹介してほしいと、こういうお話がありまして、DV法を作るのに参画をしました一人として、本当に胸がつぶれるような思いをしたんです。  DV被害者から公的施設の一時保護の希望があれば、命の危険を感じて助けを求めてきた人、当然いつでも受け入れるのが法の趣旨だと私たちは思っておりますが、実施に当たってもそうあるべきだと思うんですけれども、いかがでしょう。
  267. 坂東眞理子

    政府参考人坂東眞理子君) 配偶者暴力防止法には、一時保護を受け入れる時間については特に規定されておりません。  具体的な規定はされておりませんけれども、被害者の立場からすると、夜であろうと休日であろうと、加害者から逃れなければそれこそ生命にかかわるわけでございますから、日時に関係なく緊急の場合は受け入れることができる体制が理想であると考えております。都道府県の方にもそういったような対応をしてほしいというふうに、立法の趣旨もこのようなものであったというふうに承知しております。
  268. 八田ひろ子

    八田ひろ子君 本当におっしゃるように、命にかかわる問題なんですね。これは原則とか、劇場に行って席がないとか、そういう問題ではなくて、一杯だから今は駄目と、私はこれは言語道断だと思うんですね。こういう対応がどこの地域であってもあってはならない。これは法の理解度や意識の問題も重要ですけれども、それだけではないと思うんです。  私が聞いたところ、またマスコミで報道されたところでも、町部でも地方でも、DV被害者保護のための公的な施設が実際には不足している。そうした中で、民間シェルターの協力を得ること、活動を援助することが被害者保護にとって非常に大事で、私ども立法に当たっても非常に苦心をしてこれを法律に入れました。本来、DV防止と被害者の保護、自立支援というのは国と自治体の責務なんですね。民間シェルターに協力を求めるなら、当然民間シェルターの支援が必要なんです。  男女共同参画白書にも、今年四月の男女共同参画会議から出されました「意見(その二)」というのでも、先駆的な取組を実施している民間シェルターの活動に役立つよう必要な援助が求められるとか、あるいは民間シェルターに対し必要な財政的援助が行われることが望ましいことから民間シェルターに対し従来以上に財政的援助が行われるように、こういう意見が出ているんですね。  私もここに書いてあるとおりだというふうに思いまして、民間シェルターの人件費や家賃など、公立のものなら当然これはそういうものが税金で措置をされている。ところが、それが一杯で入れないわけですよね。だから、民間で受け入れろと言うんだったらそういう基本的なことも私は必要で、DV法二十六条でも民間への必要な援助を求めているわけですが、民間シェルターへの財政的援助を含めた官民の連携が取れるという大きな枠ですね、被害者の命を危険に、そういうことをきちんと受け止めるという、そういう大きな枠をきちんとやっていただかないと駄目なんじゃないかなと。そういうところが非常に不足していると思うんですけれども、官房長官、どうでしょう。
  269. 福田康夫

    国務大臣(福田康夫君) いわゆる民間シェルターは、被害者の保護を積極的に行うということなど、配偶者からの暴力の被害者支援に関して先駆的な取組を実施しているにもかかわりませず、情報や活動資金が必ずしも十分でないということを承知いたしております。  このために、男女共同参画会議から民間シェルターへの財政的援助に向けた環境整備が必要であると、こういう旨の意見を本年の四月に行っておるところでございまして、政府におきましても、地方公共団体による民間シェルターに対する財政的援助を支援するとともに、関係する法律、制度等に関する情報を幅広くかつ継続的に提供するということなど、必要な支援を行ってまいる所存でございます。
  270. 八田ひろ子

    八田ひろ子君 公共でなくて民間シェルターへの支援ですよね。私が聞き間違えて公共と聞こえたんですけれども、民間ですよね。
  271. 福田康夫

    国務大臣(福田康夫君) 民間シェルターです。
  272. 八田ひろ子

    八田ひろ子君 そうですね。本当にそういった大きな枠組みを必要だというふうに思うんです。  先ほど御紹介した事例でも、中学一年生の子供さんがDV加害者に殺されるとか、あるいは先日の報道では、DV被害者と一緒に逃げていた子供さんが加害者に連れ去られるという事件、これ青森、東京、沖縄を舞台にしてあったんですけれども、緊急で危険な場合には子供さんも含めて安全確保が必要、保護命令を掛けることを検討すべきだというふうに思うんですけれども、こういった問題ではどうか。  こういうことを、私、一年ごとに実効性を担保して充実するための調査とか殺人に至ったケースを調べて、行政の対応の不足などの分析、こういうのをきちんとやっていただいてフォローする、国会や国民にもそういうことで報告をしていただく、こういうのを考えていただくのが必要だと思いますけれども、官房長官、そういうふうに枠組みを広げる、こういうお考えを聞きたいと思うんですが。
  273. 坂東眞理子

    政府参考人坂東眞理子君) 配偶者暴力防止法の実施状況、あるいは今御指摘がありましたようなどういう深刻な事態が起こっているか、特に今児童が被害を受けていないか等々の状況につきましては十分にフォローする、この法律の施行状況について注意深くフォローいたしまして、この法律施行後三年を目途に、施行状況を勘案、検討し、その結果に基づいて必要な措置を講ずるというふうに規定されておりますので、その際に十分反映させたいというふうに考えております。
  274. 八田ひろ子

    八田ひろ子君 今日は時間がないので余り議論ができませんが、私は一年ごとにフォローしてきちんと報告をすべきだと思うんですね。三年後の法の見直し規定は無論必要で、法にありますし、この中に被害者の同伴の子供への保護命令とか自立支援のためのステップハウスの問題、精神的被害への対応などやることはたくさんありますし、そのために必要な法改正の議論も視野に入れることが大事だと思うんです。  ただ、私が言いたいのは、現行法の下でも必要なことができるはずなのになかなか進んでいない。だから、さっき官房長官に枠を広げてほしいというふうに言ったんですけれども、民間シェルターの問題もそうですし、あるいは精神的な被害に対する受入れ、これは法律では、これもDVなんですけれども、保護命令の中に入らないんですね。  だから、こういうことをきちんとやっていただいて、被害者の人権、尊厳が守れて自立して生活できること、子供さんや女性が安心して暮らせるということは男性にとっても暮らしやすい社会で、男女共同参画というのは英語で言いますとジェンダーイコールだそうで、ジェンダーイコールの社会へ一歩でも近づく、そのために抜本的な取組の改善をしていただきたいことをお願いを申し上げて、私の質問を終わります。
  275. 広野ただし

    広野ただし君 国会連絡会(自由党・無所属の会)の広野ただしです。  数点についてお伺いをしたいと思います。  先日、HⅡAロケットが大成功いたしました。今まで宇宙開発ロケット、いろいろと低迷状態でございましたけれども、このロケットは特にダブルローンチということで、二つの衛星を同時に打ち上げることができたということで、久々に日本の宇宙開発再上昇の軌道に乗ったんではないかと、こういうふうに思っておるわけですが、官房長官は情報収集衛星の推進委員会委員長ということでございます。  この情報収集衛星、平成十年の十二月に我が国の安全確保に必要な情報収集のためということで閣議決定をして現在推進をしているわけでございます。大体二千五百億円ぐらいを掛けてやろうということでありますが、一つは光学衛星で分解能が大体一メーターぐらいのもの、そしてもう一つは合成開口レーダーということで、こちらから電波を打ってその反射を受けて分解をしていくと。そういう合成開口レーダーを入れて一メートルから三メートルぐらいの分解能ということでありますけれども、これはいつ打ち上げることになるでしょうか。
  276. 福田康夫

    国務大臣(福田康夫君) いわゆる情報収集衛星でございますけれども、これは国際情勢、すなわち外交・防衛などの安全保障の問題でありますけれども、それ以外にも大規模災害への対応、こういうような危機管理に必要な情報を収集すると、こういうことでございまして、我が国の安全の確保という面から極めて重要なものであると、こういう認識をいたしております。  これは、お尋ねの時期につきましては、来年の二月というころを予定をいたしておるところでございます。
  277. 広野ただし

    広野ただし君 特にこの情報収集衛星は、過去、ちょうど今、四年前の平成十年の八月末にテポドンが突然日本列島を飛び越していったということが非常に大きなやはり契機になってこれを推進するということになってきたわけでありまして、非常に大事な衛星だというふうに思います。  そしてまた、これをやることによってIT革命等にも非常にいい影響をもたらすし、宇宙環境というのは極限の技術が必要になってくるということでありますから、これは特に今回の、来年二月ということでありますが、それに続いて、更に後継機、あるいは第二世代の情報通信衛星というものを強力に推進をしていっていただきたいと、こう思いますが、官房長官の決意をお伺いしたいと思います。
  278. 福田康夫

    国務大臣(福田康夫君) 情報収集衛星を打ち上げて我が国独自の情報を収集するということは、こういう方面において我が国が自分の力で情報を集めるということを決意したということでありますので、これは先ほど申しましたような目的を持ってしっかりと対応していきたいと思っております。
  279. 広野ただし

    広野ただし君 特に第二世代になりますと、大体〇・五メーター、五十センチぐらいということになりますから、これは相当な確度でいろんな情報収集、また危機管理にも役立つと、こういうふうに思いますので、是非強力に推進していただきたいと思います。  続きまして、今日、午前中も泉信也先生からありました中国の遺棄化学兵器の処理問題であります。  これは平成九年に化学兵器禁止条約、日本平成七年に批准して平成九年から発効ということでありますが、中国に大体日本の推定では七十万発、そして中国の推定では二百万発と、こういうことであります。そして、そのうち九〇%以上は吉林省ハルバ嶺のところにあるだろうということであります。  これは元々、対ソ連、旧日本軍が対ソ連ということで持っていっていたものを最終的に撤退をしますときに中国に渡してきた、置いてきたというところがあって、中国もそれをいろいろといろんなところへ持ち運んだということがあるわけですね。ですから、日本の情報だけではどこにあるかということが分からない。ですから、中国の協力も必要だということであります。  実際、マスタードガスを主とする黄弾というのと、くしゃみあるいは嘔吐が出てくる赤弾というのとが主力になっておるわけですが、そのことで大変な御努力をされて、平成十二年の九月には黒竜江省の北安市に自衛官を含んで八十名日本から行って、また中国側も全面協力して約二百名が協力をして発掘回収ということをやっておると。去年も南京市の近くでこれは九千発ぐらいを発掘回収したというようなことでありますが、条約によれば、二〇〇七年、平成十九年、二〇〇七年までに廃棄の義務、廃棄期限がそこまでだということなんでありますが、これ、今のような調子で非常に御努力をされて、今年は二百十五億円ですか、そして来年は三百三十六億円の要求のようですが、そういう形でやっておられますが、御努力本当に大変だと思います。その中で、マスクをして、信管もあるわけですから、本当に危険にさらされながら発掘をして回収をしてくると。これは大変な努力なんでありますけれども、どうですか、これは何年ですか、平成十九年、二〇〇七年まで、できますでしょうか、官房長官
  280. 福田康夫

    国務大臣(福田康夫君) 委員指摘のとおりでございまして、我が国は化学兵器禁止条約に基づきまして、原則として平成十九年までに、二〇〇七年でございますね、中国の遺棄化学兵器を廃棄する、そういう義務を負っておるわけでございます。現在、中国側の協力を得ながら着実に事業を推進しているところでございます。  対処すべき主要な課題は、これはもう、これも委員指摘のとおり、最大埋設地でありますハルバ嶺において推定六十七万発の化学砲弾、発掘回収を行うこと、また最適な処理技術を選定の上、プラントを建設してこれらの化学兵器の無害化処理を行うと、こういうことでございます。大量の古い化学兵器を処理するという事業は、これは世界各国に実例が、前例がないんです。また、複雑な問題がいろいろと想定されるのでありますけれども、今後とも引き続き中国側との緊密な協力を図りながら、関係省庁の協力をいただきながら、政府全体として誠実に取り組んでまいりたいと思っております。  これは、全部二〇〇七年までに終わるのかどうかと、こういうことを御質問ございましたけれども、二〇〇七年というこの日限は、これは残された時間としては決して十分なものとは言えません。政府といたしましては、条約上の期限を念頭に置いて処理を進めていくということで、可及的速やかに完結するように真剣に努力をしているところでございます。
  281. 広野ただし

    広野ただし君 これは確かに日本マイナスの過去の遺産と、負の遺産というところでありますが、しかし、これを処理をするという技術を日本がまた持ちますと、湾岸戦争のときの掃海、機雷の掃海じゃありませんけれども、ある意味では非常に大事な技術を日本が持つ、あるいは地雷なんかの場合でも、地雷処理等でも非常に大切なことでありますから、そういう面では少し前向きにやはり対処するということも必要なんではないかと、こう思いますし、先ほど泉委員からもありましたが、余り卑屈になる必要は全くないんで、中国から無理難題を持ち掛けられると、これはとんでもないことで、中国側もそれを活用しようとして持ち運んだということもあるわけですから、私は、それはよく交渉をして、大変な金額を向こうに持っていく必要は更々ないんだと、こういうふうに思います。  しかし、誠意を持ってやはり対処をしていくということは日中の長期的な友好のために非常に大切なことだと思いますので、是非、何かもう随分前の、条約批准のときは非常に騒いだわけでありますけれども、もう大分たちますと、それが風化してきているというようなこともありますので、大いに真剣に、また実際そこの現地に行って御努力される方々、またその交渉に当たられる方々の御努力、大変なものがあると思いますので、是非力を入れてやっていただきたいと、こう思います。  続きまして、平成十二年に沖縄サミットがありました。この沖縄サミット、マスコミ報道では七百億とか八百億円というような大変なお金が掛かったと。非常にお祭り騒ぎ的といいますか、そういう面がちょっとあったんではないかと。サミット自身が非常にショーといいますか、そういうものになっている。  その反省があって、今度カナダの、何ですか、カナディアンロッキーのところにあるカナナスキスですか、で行われたサミットは非常にさしで行えるような、しかもカナディアンロッキーのふもとですから誠にいい雰囲気の中で行われると、こういうことだったと思うんですね。  やはりちょっと、小渕総理の、元総理の沖縄に対する思い入れ、あるいはサミット自身が福岡で蔵相会議、また宮崎で外相会議と非常に広範に行われましたから、それはそれなりのものはあったかと思いますが、ちょっとやはりお金を、そのところでお金を掛け過ぎるという点が、このことが例のホテルのプール金問題だとか、あるいは弁当だとか食事代を何かいろいろとそれで悪さをするという大変な問題にもなったわけでありますので、やはりサミットといえども限度があるんではないかと、こう思いますが、官房長官、いかがでしょうか。
  282. 福田康夫

    国務大臣(福田康夫君) 九州・沖縄サミットの評価のような話でございますけれども、これは確かに経費的にも政府全体では八百十億円掛かったという、そういうことで相当な支出をしたと、こういうことではあります。  しかし、この九州・沖縄サミットは、我が国にとってはもう昔から東京でサミットというのはやるということになっておったものを地方開催をする、初めて地方開催とするということとなったこと、また首脳会合、外相会合及び蔵相会合もございました。これはそれぞれ別の場所で行ったということもございました。各地方で行ったということでございますけれども、通信インフラとか道路などの関連施設の整備費とか、警備費用、それから準備段階を含めた移動の費用などが必要となったというようなことで、その結果がこういう金額になったものでございます。  九州・沖縄サミットは、沖縄IT憲章とか朝鮮半島の情勢についての声明、またG8コミュニケなどを発表しまして、沖縄から明るく力強いメッセージを送る、こういうことができたわけでございます。世界の直面する重要課題についてG8首脳が率直で忌憚のない意見交換を行って、かつ指針を提示するというサミット本来の目的は十分達成されたということでございますので、このサミット自身、大変良かった、内容的には良かったと思っております。
  283. 広野ただし

    広野ただし君 私も、地方で開催すること、非常に炯眼だと思いますし、でありますが、非常にお金を掛け過ぎるというところがやはり問題だというふうに思いますので、ここはやはり工夫をしていくことが大事なんではないかなと思うわけであります。  ところで、ちょっと通告はしておりませんが、北朝鮮の問題でありますが、今度の首相が訪問をされる。これはやはり拉致問題が非常に脚光を浴びておりますけれども、拉致問題は確かに日本の主権を侵害をして連れ去ったということでありますから絶対に解決しなければならない大事なことだと思いますが、しかし、もう一つ忘れてならないのは、北朝鮮の核開発の問題、あるいはテポドン等のミサイル開発の問題、あるいは不審船と、これは正に日本の安全保障に直結をする、また北東アジアにおける安全保障に直結をする大きな問題だと思うんですね。ですから、この点、どのような観点で交渉を進めるのかということは非常に大切なことだと思います。  私は、核の問題あるいはミサイル、大変な安全保障への脅威になるわけですから絶対に許すべきではないという考え方の下に、ですから、もしそういうことの疑惑がある場合は、食糧援助あるいは経済協力はしない、あるいはKEDOに対する協力もしないというくらいの強い態度で交渉に臨んでもらいたいと、こう思うわけでありますが、官房長官、いかがでございますか。
  284. 福田康夫

    国務大臣(福田康夫君) 今回の総理の日朝首脳、出席されます日朝首脳会談においては、これは戦前戦後を通じた様々な日朝間の問題というものが討議されるのではないかと思います。  その中でも大事なことは、やはり安全保障の問題、委員の御指摘のとおりでございまして、拉致問題も安全保障の問題でもあるわけでございます。そのほか、安全保障の問題でいえば核とかミサイル、不審船も入ると思いますけれども、そういうような様々な問題が絡んでいるわけでございまして、そういうものを、これを議論をしないでこの会談は私は成立しないだろうというように考えております。  そのことは総理ももう十分御承知の上でこの決断を、日朝首脳会談をしようという決断をなされたわけでございますから、これについてしっかりとした金総書記との会談がなされるというように私は期待をいたしておるところでございます。
  285. 広野ただし

    広野ただし君 繰り返しますけれども、特に核の問題については、米国とも協力をする、日韓米というのですね、協力をして対応をしなきゃいけないと思いますし、場合によっては中国、ロシアも巻き込んで、核拡散は絶対に許さないというような、これはもう本当に北東アジアの安全保障にとって大きな脅威になるわけですから、強い決意でもって対応をしていただきたい、このように思うわけです。  官房長官、記者会見があるようですから、どうぞ御退席を。
  286. 中原爽

    委員長中原爽君) 福田官房長官、御退席いただいて結構でございます。ありがとうございました。
  287. 広野ただし

    広野ただし君 続きまして、GDP統計の発表が先ごろ、少し早まる、四―六の統計、大体二か月ちょっと遅れで普通は発表ということだったと思いますが、二か月を切って発表をされるということになりました。  これはそれで非常にいいことだと思いますが、しかし国際的に比較しますと、アメリカ等と比較しますと、アメリカは大体、四半期統計、一か月ちょっと、一か月半ぐらい以内に発表をしているように思います。アメリカの場合、日本の面積の二十五倍、そしてまた人口は二倍、大体GDPでも二倍というような規模でありますのに一か月半遅れぐらいで発表をするというところでありますので。  発表スピードだけではなくて、やっぱり正確性の問題等もあります。だけれども、やはり何といっても経済現状認識を数量的に早く把握をする、そして早く対処をするというのは非常に大切なことだと思いますので、この点、竹中大臣、更に早めるということについてはいかがお考えか、お答えいただきたい。
  288. 竹中平蔵

    国務大臣竹中平蔵君) 広野委員指摘のように、GDPの統計というのは、非常に多くの経済統計、ある意味で集約したという意味で大変重要な意味を持っていると思います。この日本のGDPの統計に対して、やはりこれを改良するという方向、二つの点で改良するという方向をずっと我々なりに議論をしてまいりました。  二つの方向の一つは、正に御指摘いただきましたように、もう少し早くできないだろうか。今までは二か月と一週間程度、その四半期が終わってから二か月と一週間程度してから第一次の速報が出るということであったわけですけれども、これを早くできないか。もう一つは、その後に、改定していく過程で、リバイズしていく過程で、残念ながら、数字が正確にはなっていくんだけれども最初の数字と違ってくると。そういう改定した場合の幅がやっぱり小さくなる、つまり、より正確にできないだろうか、そういうことを考えてまいりました。御承知のように、今年の四―六月期の統計から方法を変えました。これは、今まで需要サイドの統計を中心としていたものを更に供給サイドの統計を加えて正確にするということに加えて、幾つかの工夫でこれを早くするということでございます。  実は、八月三十日に公表したわけで、約二か月掛かっているわけでございますけれども、これは実は移行過程で、新しいシステムに移行する過程で試験的に今回そのようになったわけでございまして、次回以降は更に早くなるというふうにお考えいただきたいと思います。従来方式ですと、七―九の統計というのは十二月九日に出ることになりますけれども、今のところ、これを十一月の十三日に公表するというふうに考えておりますので、約一か月、一か月弱ですが、約一か月早くなるということになります。  既に、昨日だと思いますが、この第二次の速報も出ておりまして、第一次から第二次に変わる過程でその改定の幅が非常に小さくて済みました。当初、〇・五%成長と言っていたものが〇・六%成長になったわけで、改定幅も小さくなっていると。  このような、正確にかつ早くという方向で是非とも進めてまいりたいというふうに思っております。
  289. 広野ただし

    広野ただし君 かなり早く発表できるというようなことで、アメリカ並みにだんだんなってくるのかなということで、是非よろしくお願いをしたいと思います。  竹中大臣も何か御用事があるようですので。
  290. 中原爽

    委員長中原爽君) 竹中大臣、御退席いただいて結構でございます。ありがとうございます。
  291. 広野ただし

    広野ただし君 続きまして、石原大臣にお伺いをしたいと思います。  会計検査院も指摘をいたしておるわけなんですが、国が公益法人等に補助金等を交付して設置造成させている資金というのがあります。これは五十六法人、九十四資金、平成十二年度末現在で一兆二千億円強あるわけであります。会計検査院も指摘をいたしておりますが、事業実績がない、又は低調あるいは効果がない、そして使用見込みがない、又は資金が滞留しているというようなものが、詳しくは会計検査院の指摘にありますとおり、それだけで二十四資金あるわけですね。  検査院から指摘をされるというのは、言わば身内が少し口ごもって言っているようなくらいなもので、もっとずばっと言えば、もうやめていいというものだと私は理解をいたしておりますが、そして会計検査院も、サンセット方式にすべしだとか、そういうようなことも言っているわけで、ここは是非思い切ってやめていただいて、直ちにやめていただいて、そうすれば一兆円以上の資金が、財源が出てくるわけですね、戻してもらえば。  そういうようなことで、これは是非やっていただきたいと思いますが、大臣、いかがでございましょうか。
  292. 石原伸晃

    国務大臣(石原伸晃君) ただいま広野委員が御指摘の点は私どもも大変注視している点でございまして、会計検査院の報告を私も見させていただいて、半分近くの法人でほとんど使っていないとか滞留しているとか、とんでもないなという認識を持っております。  一義的には、所管しております各府省が財務省と相談して、それをサンセット方式でもいいですし、仕事をやめていくということが私は重要だと考えております。しかし、これがなかなかなぜできないのかというのが公益法人、特殊法人に共通する問題でございまして、自分たちの仕事を減らすと仕事がなくなりますので自己増殖を図っていくと。そういうところをかいま見ることができるわけであります。  行革サイドとしても、補助金等に係る事業概要、主な使い道、交付先選定理由等々を各府省がインターネットでちゃんとこれから公開しなさいと。各府省の方も、言いましても腰がなかなか重いようでございますので、透明性を確保することによって、今、委員の御指摘の方向で実施されていくように、行革サイドとしてもこれから関係府省庁に引き続いて申し述べていきたいと思っております。  今年の三月の公益法人に関する行政関与の在り方の改革実施計画では、その点について指摘をさせていただいたところでもございます。
  293. 広野ただし

    広野ただし君 これは是非蛮勇を振るってやっていただきたいと思います。というのは、その指摘を受けて今度は、役所の場合は、大いに貸し込もうということをやれば、必ずまた延命、存続できるわけですね。そんなことをやっていては、大変国家財政厳しい中で、しかもいろいろと天下りをしている公益法人というところでありますから、これは思い切って例外なしで戻していただくということを是非やっていただきたいなと、こう思うわけです。  それともう一つ、北方領土問題対策協会というのがあります。昭和四十四年の法律に基づいておるわけでありますが、職員が十九人、そして会長が非常勤、常勤役員二人、本来、役員は十二人も設けてもいいと、こういうようなものであります。これは内閣府に設けられているわけですね。  そのほか、私、小規模法人と言っていいものが幾つかあるわけですけれども、何で特別にそれをまた独立行政法人にするとか、そういう訳の分からぬことをやっていったんでは何の抜本改革にもならないんではないかと。特に、内閣府、隗より始めで、もうそういう小規模法人については、合併、統合するとか、あるいは政府自らが直轄でやるとか、いろいろと、百人以下の特殊法人あります。それを独立行政法人に持っていくとか、あるいは問題先送りで、金融機関については更に検討をするとかということになっていますけれども、本当にどちらかだと思うんですね。国が直轄してやるかあるいは民間にやって、そして本当に政策金融が必要ならば利子補給金を出すという形でやっていけば、そんな特別の法人を設けて、しかもそこに天下りをしてというような、国民の皆さんから大変な反発を買う、そういうことを続けておることがいかにもひどいことだと、こう私は思うわけでありますが、大臣いかがですか。
  294. 石原伸晃

    国務大臣(石原伸晃君) 広野委員が今、政策金融全般につきまして、また個別の小さい北方領土問題対策協会についての御意見でございますが、私も、やはり国が直轄してやるものは政策的に意義があるものですから、必ずあると思います。それ以外を民間に任せられるものは任せるという考えは論理的に正しいと思いますし、私も賛同いたします。その一方で、北方領土協会というのは極めて特異でございまして、もう委員御承知のとおり、これ戻ってまいりましたら、必然的に存在は他の法人等々から他の業務をやってもらうという形でなくなるものだと承知しております。  今回の特殊法人改革では、実は、道路公団の民営化とか住宅金融公庫の廃止とかいったその組織形態論ばかりが実はクローズアップされているんですけれども、昨年の計画の中では、やはり今、委員が御指摘されましたような、前段にも公益法人でありましたような、実体がないもの、すなわち事業の仕組みや事業の実施方法や手段等々の整理縮小、統廃合ということを実は念頭に置いて改革の方針というものを示したわけでございます。  そんな中で、この北方協につきましては、委員指摘のような、その融資については市町村資金を廃止しろということを、はっきりと業務内容を削れということを明確化させていただきましたし、先ほどもお答えしましたように、助成事業については国が明確な政策目標を定めて、あわせて、当該目標が達成されたときにはこの助成措置というものはもちろんやめますとともに、独法として、北方領土が返還されたときには廃止すると、そういう整理をさせていただきましたので、単体で存続していると。  方向としては、やはり業務がダブっている、そして天下り先の数を確保するためにあるような存在というものは限りなく減らしていくという方向で整理をしていくべきだと考えております。
  295. 広野ただし

    広野ただし君 独立行政法人というのは、民間のいいところ、国のいいところと、こう言いますけれども、特殊法人も最初そうでした、民間のいいところと国のいいところを併せ持つんだと。ところが、往々にしてそういう機関というのは国の悪いところと民間の悪いところが出て、もう本当に親方日の丸で、民間努力民間的な努力がないということでありまして、独立行政法人に持っていくことは一つも、何の改革にもならないというふうに私は思っております。  特にこういう小規模特殊法人ですね、業務をよく見ていただきますと、政府ができるものとどこかに任していいものとあるわけで、これは是非また再考してもらいたいなと思っておりますが、改めてお伺いをいたします。
  296. 石原伸晃

    国務大臣(石原伸晃君) 委員が御指摘されましたような、独法が抱えるのではないかと懸念されている問題点、すなわち、委員うまい言い方をされましたが、パブリックの悪いところとプライベートの悪いところだけを併せ持った法人になってはならない。  この点につきましては、昨日開かれました特殊法人等の推進本部の下に設けられました参与会議でも大きなテーマになりまして、やはりガバナンスというものがしっかりと保たれなければならないということで、参与会議でも、適切に整理合理化計画の指示どおり本当になっているのか、委員の御指摘のような点がちゃんとクリアされているのかということをしっかりと注視していって、直すべきものは直していこうと、そういう意見が多数出されたということを御報告させていただきたいと思います。
  297. 広野ただし

    広野ただし君 終わります。
  298. 遠山清彦

    ○遠山清彦君 公明党の遠山清彦でございます。  まず最初に、尾身大臣……
  299. 中原爽

    委員長中原爽君) 石原大臣、御退席いただきます。ありがとうございました。
  300. 遠山清彦

    ○遠山清彦君 まず最初に、尾身大臣の方に沖縄の問題について二点ほどお伺いをしたいと思っております。  公明党は近年、大臣御案内のとおり、国連機関を沖縄に誘致するということを提唱いたしまして、尾身大臣にも前向きに御理解をいただいているということで感謝をしているところでございますけれども、先日尾身大臣にお会いしたときも、国連機関となると、国連が日本に、私ども沖縄へ是非ということを言っているわけですけれども、機関を設置するかどうかということを国連が主体的に判断する問題ですから、国連のニーズが大事ですねというお話を大臣からもいただいたところでありますけれども、去る今年の七月二十九日に、私とまた公明党の他の二人の議員でアメリカのニューヨークの国連本部に参りまして、アナン事務総長を訪ねて直接この問題で要望を申し上げました。  国連の方も大変に財政状況が厳しいということでございまして、ただ、我々の趣旨を理解をしていただいて、十分に検討したい、英語でフルコンシダレーションを与えるという前向きの御返答をいただいたところであるわけでありますけれども、先ほど申し上げたとおり財政状況が厳しいということで、特に国連の場合、通常予算と特別予算とプロジェクト予算というのがあるようでございまして、通常予算は今大変厳しいと。特別予算はPKOにかなり取られていると。こういった中で、短期的あるいは中期的にこういった国連機関のオフィスの誘致を実現しようとすれば、個別の国連機関が持っているプロジェクト予算などを活用した形で、そこに日本も国際金拠出ということで貢献をしているわけでありますけれども、そういった方向性も検討してはどうかということを現地で助言を受けたりをしてまいりました。  そこで、内閣府として、今後のことになりますけれども、沖縄を国際拠点都市にしていきたいという方向性は内閣府としても沖縄振興の一環として打ち出しているわけでありますけれども、是非この国連機関あるいは国連がかかわったプロジェクトを沖縄に誘致をする、これは内閣府の立場としては沖縄振興あるいは沖縄を国際化する事業の中の一環としてとらえていただきたいと思うんですけれども、今後、このような方向で内閣府としてどういうふうに取り組まれていくのか、ちょっとお聞きしたいと思います。
  301. 尾身幸次

    国務大臣(尾身幸次君) 沖縄に国連の機関を置きたいというお考えにつきましては、私も基本的に賛成でございまして、沖縄一つの国際交流拠点にするという考え方から、いろんな困難はあると思いますが、可能性を検討してまいりたいと考えている次第でございます。  去る七月十日に政府が決定いたしました沖縄振興計画におきましても、国連機関を含む国際機関等の沖縄への誘致の可能性を検討するということを振興計画の内容に盛り込んでいるわけでございまして、これを踏まえまして、内閣府といたしましても来年度の沖縄特別振興対策調整費を活用いたしまして、国連機関等の誘致の可能性を含めた国際交流拠点形成調査を行う方向で今検討を進めている次第でございます。
  302. 遠山清彦

    ○遠山清彦君 ありがとうございます。  是非この調査費、予算を付けていただいて、真剣に検討を始めていただければというふうに強い期待を持っておりますので、大臣、よろしくお願いをいたします。  そこで、次に提案がございます。  これは外務省から概算要求に関連して私も伺っておるんですけれども、明年の四月から六月の時期に日本において第三回の太平洋・島サミットが開催される予定であります。ただ、日本で開催することは決まっているんですが、開催地が未定だということでございます。  このサミットは、平成九年に第一回が東京でございまして、平成十二年に宮崎で第二回があったサミットでありますけれども、日本とオーストラリア、ニュージーランドを含む南太平洋の島嶼国を中心とした十六か国の政治指導者が一堂に会して太平洋地域が抱える様々な問題について意見交換をするという、私は、余り目立ってはおりませんけれども、日本の外交的な役割として大変に重要な会議ではないかというふうに思っているわけでありますけれども、このフォーラムを来年、第三回まだ開催地未定ということもありますので、是非沖縄に誘致をしてはどうかというふうに私思っております。  沖縄も、御存じのとおり、太平洋の島嶼県でございまして、サミットもあったわけでありますけれども、国際会議の開催にも非常に適している、実績もあるということでありますので、これは尾身大臣が言い出すというのは立場上適当であるかどうかということはあるかと思いますけれども、是非沖縄県の方と連携の上でこの方向性を考えていただきたいと思いますけれども、大臣の見解をあるいは感想をいただきたいと思います。
  303. 尾身幸次

    国務大臣(尾身幸次君) 今、太平洋・島サミットにつきましては、お話しのとおり既に二回開催をしているわけでございまして、我が国として大変大事な外交の成果だというふうに考えております。  今お話のございましたように、沖縄は島嶼県でございまして、アジア太平洋地域における国際交流の拠点にしたいという考え方は前からございます。そういう点を考えますと、第三回日本でやるとすれば、私は沖縄を開催地とするということは大変妥当な考え方であるというふうに考えておりまして、これは所管は外務省でございますが、私どもの方としても外務省に対しまして沖縄で開催する方向で今後しっかりと働き掛けてもらいたいと、このように考えている次第でございまして、また御支援をどうぞよろしくお願いを申し上げます。
  304. 遠山清彦

    ○遠山清彦君 再び大変前向きな御答弁、ありがとうございます。私どもも私どもの立場でしっかりこのことが実現するようにまた努力をしてまいりたいというふうに思っております。  さて次に、内閣官房の方に難民問題を最初中心にお伺いをさせていただきたいというふうに思っております。  本年八月七日になりますけれども、閣議了解が出されまして、政府は従来の難民政策の見直しの重要な第一歩をこの閣議了解でしるしたんではないかと、私、個人的には大変高く評価をさせていただいているところでございます。この閣議了解に基づいた具体的な施策の早期実施を求めるとともに、そこにまだ含まれていない、我が公明党は他の政党に先駆けまして十二項目にわたる具体的な難民政策の見直し提言を通常国会の最中させていただいたわけですが、この閣議了解に含まれていないことも、改善策も今後検討していただきたいと思っているところでございます。  まず最初にお聞きしたいのは、この閣議了解の中で関係行政機関という表現で、難民として日本に、日本で認められたいわゆる条約難民に対する各種の定住支援事業を実施するように求めております。具体的に明記されているのでちょっと指摘をしたいんですが、条約難民として日本で認められた人の日本語習得支援、これ一つ目ですね。それから二つ目が職業紹介及び職業訓練。三番目は、これ似ているんですが、就労あっせん、就労先の確保に努めるという表現で書いてあるわけですけれども、こういった日本語の習得支援であるとかあるいは職業紹介、また職業訓練、それから就労先の確保、支援ですね、こういったことをする際の関係行政機関というのは具体的にどのような機関を念頭に置かれているのか、御答弁いただきたいと思います。
  305. 佐々木真郎

    政府参考人佐々木真郎君) 関係行政機関はどこかというお尋ねでありますが、まず日本語習得のための便宜供与につきましては文部科学省、職業紹介又は職業訓練については厚生労働省を指しております。また、インドシナ難民に対する定住支援策を実施している国際救援センターの運営予算、言わば衣食住にかかわる部分についてでございます。これは閣議了解には明示はされておりませんが、そういう国際救援センターの運営予算につきましては外務省が担当しております。
  306. 遠山清彦

    ○遠山清彦君 分かりました。  それで、御案内のとおり、日本が現在受け入れている条約難民の数というのはそれほど多くございません。ただ、これは日本で難民申請をしている母数の数が同様に少ないということがありますので、あえてここでは受け入れる数、難民の数の問題は取りあえずわきに置きまして、この閣議了解に示されているような各種の定住支援事業、これ今、参事官がインドシナ難民に対して品川の救援センター、私も現地視察してまいりましたけれども、でやっている事業を条約難民まで対象を拡大してやろうということなのかなというふうに今のお話を伺っていてこちら思ったんですけれども、ただ、今まで、具体的に言うとラオス、カンボジア、ベトナムという三か国から来ていたインドシナ難民を支援する定住支援事業とこの条約難民を定住支援する事業というのはいろんな質的に違う要素が出てくるんではないかと。  これは、一つは今申し上げたとおり、インドシナ難民の場合は、三か国という限定された国々から来て同じ地域から来た難民が多いわけですから、ある意味集団的に日本語習得をさせたりとか職業紹介とか職業訓練も今までのやり方でいいかもしれませんけれども、条約難民の場合は、例えばミャンマーから来られている人とか中東の地域から来られている人、またアフリカから来られている人というふうに出身国が多種多様であると。人数は少ないんですけれども多種多様であると。また、日本での定住の在り方自体もちょっと多様なところがありますので、現在、この品川の救援センターでやっている枠組みをそのまま拡大してやれるかどうかということは、今私が申し上げた若干の条件を考えても、いろいろ問題が生ずる可能性があるというふうに思っておりますけれども、またもう一方で、人数は少ないけれどもより多種多様だということは、これは行政コストの問題も出てくると思うんですね。  そういった観点も含めて、政府としては、この条約難民に支援事業を拡大するのは私歓迎しているんですけれども、ただ、インドシナ難民にやっていたことをそのまま、はい、そちらもどうぞということでやることはちょっと問題の種を抱えたままいってしまうんではないかと思うんですが、それについてはいかがでしょうか。
  307. 佐々木真郎

    政府参考人佐々木真郎君) 委員指摘されましたように、私ども、新たに今回定住支援策を講ずることになりました条約難民につきましては、当面は品川にあります国際救援センターにおいてインドシナ難民と同様に処遇をする予定でございます。しかしながら、今御指摘されましたように、条約難民はインドシナ難民と異なりまして多種多様であるという面がございます。一方、インドシナ難民の新規受入れの事業も恐らく数年以内には終了するというふうに考えられております。  そこで、将来的な条約難民に対する定住支援策の実施の在り方につきましては、条約難民が多種多様である点とか、あるいは行政コストの観点をも踏まえつつ、国際救援センターの再整備又は代替施設等の手当て、更には定住支援策の業務委託の在り方、具体的にはアジア福祉教育財団を中核として民間の難民支援団体を活用することができないかどうかなど、今後の難民対策連絡調整会議におきまして検討を行いたいというふうに考えております。
  308. 遠山清彦

    ○遠山清彦君 分かりました。  今、NGOとかNPOのことを念頭に置いた御発言もされまして、私、次の質問でそれをちょっと聞こうと思っていたんですが、それに関連をして、私、今年の八月中旬にニュージーランドに行ってまいりまして、ニュージーランド政府の難民政策を調査をしてきました。大変に大きな刺激を受けて帰ってきたわけであります。  当然、ニュージーランドは移民の国でございまして、ですから、ニュージーランドと日本はおのずと歴史とか国情が違いますので、私が見てきたすべてが日本に適用できるというふうには思っていないわけでありますけれども、しかし非常に参考になることも私はあるというふうに思っております。  実はその一つが、今話題にも出ましたNGOと政府の難民政策における連携の在り方なんですね。具体的に申し上げますが、ニュージーランドのオークランドの近郊にニュージーランド政府の入国管理局が管理するマンゲレ難民受入れセンターというところがございます。このセンターは条約難民の社会適応支援というものが中心でありまして、ただ、去年の九・一一のテロが起こった後は、認定の結果を待っている庇護申請者も一時的に収容するようになったというふうに現地で説明を受けたわけでありますけれども、驚いたのは、この政府が、官が管理をしているセンターの中に、ニュージーランドのNGOで難民支援をしている最大のNGOでリフュージー・アンド・マイグラント・サービスという、RMSというNGOがあるんですけれども、そのNGOの事務所がこの政府が運営しているセンターの中に堂々とありまして、私が見た限りで十名近くのスタッフが中にいて活動をしていたということです。つまり、官がメーンで運営をしているわけですけれども、ある意味官民共同で、NGOの事務所もその敷地の中に置かせて、官のやっていることとコンフリクトしない限りにおいて民のNGOの活動もある程度自由にさせるというようなことをやっていたわけでございます。  私は、このような支援の在り方というのは、日本のスタンダードでいうとかなり踏み込んでいるわけですけれども、行政コストの軽減につながるというメリットも行政府の立場から見ればありますし、またNGOのオフィスが中にあるということで、もうそのことだけで自動的に市民社会から見たら非常に透明性の高いことをしているというふうになるんではないかなというふうに思っているわけでございまして、こういったことを今後政府も参考にして、日本も、これからの難民支援の在り方を考えていくべきではないかというふうに思いますが、いかがでしょうか。
  309. 佐々木真郎

    政府参考人佐々木真郎君) 国によりまして難民受入れの歴史的背景とかNPO、NGOの組織力等が同一ではありませんので、他国の制度を我が国に活用するに当たりましては、その十分な研究、検討が必要かとは思いますが、行政コストの低減、そして行政の透明性の確保の観点は我が国の行政においても大変重要なことだと考えております。  そこで、今後、国際救援センターの再整備又は代替施設等の手当て、さらには難民申請者を処遇する保護施設の要否について検討するに当たりましては、ニュージーランドを始めとする諸外国の事例等を参考にしたいと考えております。また、我が国におきましても、インドシナ難民、それから条約難民等に対しまして各種の支援活動を行う民間の支援団体がたくさんあるということは我々も承知しております。  今後、定住支援策を条約難民に対して講じていくに当たりまして、引き続きアジア福祉教育財団を業務実施の中核としつつも、必要に応じてNPO、NGOの活用の可能性を検討してまいりたいと考えております。
  310. 遠山清彦

    ○遠山清彦君 それで、今度は安倍副長官にお聞きしたいと思いますけれども、今の話のちょっと延長というか、具体的な提案になるんですけれども、この八月七日の閣議了解でも連絡調整会議というのが官房に設けられて、その連絡調整機能の中の三番目の項目には、「議長は、」、これ、議長は内閣官房長官、事務方になるんですかね、と思いますけれども、「議長は、必要があると認めるときは、構成員以外の関係行政機関の職員その他関係者に出席を求め、その意見を聴くことができる。」というふうに書かれておりまして、私は非常に勝手に個人的に、「その他関係者」の中に、強引に拡大解釈をすれば民間NPOの難民支援関係者も含まれるのかなというふうに、読み方によってはそう思っているわけでありますけれども、ともあれ、今、参事官からお話ありましたが、私は、この連絡調整会議が今後難民政策をずっと長い間やっていく、調整していく中で、是非NPOとかNGOあるいはボランティアグループの意見をこの連絡調整会議で吸い上げるようなシステムを制度化をしていただきたいというふうに思っているんですけれども、いかがでしょうか。
  311. 安倍晋三

    内閣官房長官(安倍晋三君) 先般、ヨハネスブルクで行われましたWSSDにおきましても、NGO、NPOの皆様が政府代表として参加をされたわけでございますし、外務省におきましてもNGO、NPOとの連絡の担当の大使も置きまして、そうしたNPOの御意見も十分に反映されるように努力をしてきたところでございます。特に、難民対策におきましても、NGOまたNPOの活躍というのは極めて重要であろうと、このように考えております。  その中で、ただいま委員が御指摘されました難民対策連絡調整会議でございますが、この「構成員以外の関係行政機関の職員その他関係者に出席を求め、その意見を聴くことができる。」と、このように定められているわけでございますが、これは委員がおっしゃったように、当然NPOの意見も聴くことということに私はなるんではないかと、このように思っております。  いずれにいたしましても、NPO、NGOの活動、またいろんな経験を踏んだ上での意見も十分に参考にしながら、また活動を行っていただきながら連携して難民に対応していくということは、大変私は今後私どもが考えていかなければいけない重要な方向であろうと、このように思っております。
  312. 遠山清彦

    ○遠山清彦君 官房副長官、大変に前向きな御答弁、ありがとうございます。  次の質問は、ちょっと答弁要らないんですけれども、是非参考に聞いていただきたいと思うんですが、私先ほど申し上げたニュージーランドのRMSという難民支援のNGOの代表のコットンさんという方と直接お会いしまして、二時間ほどお話を聞きました。話を聞いて私が確信をいたしましたのは、ニュージーランド政府というのは毎年千人もの条約難民を受け入れている人道大国として有名なわけでありますけれども、しかしそのニュージーランドでも、このRMSというたった一つのNGOが存在しなければ彼らの難民政策というのはもう事実上実施が不可能だというような、そこまでこのRMSの役割というのが大きいということが分かったわけでございます。  もし、だれでもニュージーランドに行きますと町のあちこちでこのRMSのパンフレットを見ることができるわけですけれども、これは何かと申しますと、このNGOは、ニュージーランドに政府が認めて受け入れた条約難民が政府責任で社会適応指導を受けた後にニュージーランド社会に住んでいく中で、生活上で、どこのスーパーマーケットへ行ったらこれが手に入るかとか、どこのお医者さんへ行ったらいいかとか、あるいは英語を勉強するのにどこへ行ったらいいかとか、なかなか難民の一家は分かりませんから、そういった身近な生活情報を教えるアドバイザーとして、このNGOが市民を、ボランティアを公募しまして、面接をして適性を判断した上で六週間のトレーニングプログラムを与えて、その上でボランティアワーカーとして六か月間、二人から三人のチームになって特定の難民一家を六か月間助けるというような活動をしておりました。  このRMSの代表が言うには、一九七六年からこの活動を始めて今日までに、二万人の難民がニュージーランド社会にスムーズに溶け込めるような支援を市民と一緒になってやってきたと。  ちなみに、毎年どれぐらいのニュージーランド市民がこのRMSにボランティアとして働きたいと言ってくるかというと、四、五百名いるということでございまして、私も政府に対して難民政策の、難民支援の充実化をずっと求めてきたわけでありますけれども、やはり今、官が丸抱えでやる時代じゃないなということをニュージーランドで強く感じたわけでございまして、是非、民間の活力というか、ボランティアグループだとかNPOの力もお互いに育て合いながら、またパートナーとして対等な立場でやりながら、官民でこういった人道問題にやっぱり対応していくことが日本でも求められているんではないかということを指摘をしたいというふうに思います。  続きまして、PKOに関連をして、やはり内閣府と、また内閣官房にも是非、安倍副長官にもお伺いしたいことがあるのでお伺いさせていただきたいと思いますが、私、ニュージーランドに行った後に東チモールに行って視察をさせていただきました。私、二年半前に個人的に東チモールに行っていた関係もございまして、二年半たって、非常に今、東チモールが復興しているということで深い感銘を受けたわけでございます。  とりわけ東チモールの場合は、日本政府の関係者だけでなく、NGOや、またJICAの専門家の活動により、もう本当に日本の顔の見える援助がされているなということを感じました。また、PKOにも六百九十名の自衛隊の隊員の方が参加しているわけでありますけれども、ある意味、汗だくの貢献というか、もう北海道の部隊が酷暑の東チモールに行って六か月間やられていたということで、非常に過去に例を見ないような成果を上げているんではないかというふうに思っております。  また、東チモールの国連機関にも、副代表が長谷川さんという日本人でございまして、ほかにもスタッフ十名ぐらい、お会いしましたけれども、本当に二十一世紀最初の独立国東チモールのために日本が、日本人がこれだけ日夜奔走しているということに心からの敬意と感謝の意を持った次第でございます。  ところで、この東チモール滞在中、私、UNMISET、国連の支援団の機関ですけれども、この軍事部門のPKFの司令部の海外の要員とお話をさせていただきました。そこでも、日本の自衛隊の部隊、また司令部要員の方々について大変高い評価をノルウェーとニュージーランドとフィジーの将校三人から直接私聞いたわけでありますけれども、やはり実践の中でこそ日本の自衛隊も、国連平和活動の在り方、その中でどういう貢献をしていくかということを学べるなということを強く感じたわけでありまして、現在、日本が参加しているPKOはゴラン高原とこの東チモール二か所しかないわけでありますけれども、将来のことは分かりませんが、私個人としても今後も積極的にこの司令部要員を日本がPKOに参加したときには出していくという方向が大事なんではないかと思いますけれども、この点についていかがでしょうか。これは副長官、お願いします。
  313. 安倍晋三

    内閣官房長官(安倍晋三君) 我が国は、平成四年の国際平和協力法の施行以降、国連モザンビーク活動に司令部要員を派遣したほか、現在ゴラン高原の国連兵力引き離し監視隊及び国連東チモール支援団に司令部要員を派遣をしているところでございます。司令部要員の派遣はそれ自体が重要な国際平和協力であるのみならず、国連平和維持活動のための業務遂行に際して、司令部との意思疎通を一層緊密にする観点から有意義であると、このように考えております。  今後とも司令部要員の派遣を含め、PKO活動に積極的に寄与をしていきたい、このように思っておるところでございます。
  314. 遠山清彦

    ○遠山清彦君 ありがとうございます。  それで、今回の東チモールにおけるPKO、日本の部隊の主力は施設部隊になるわけでありますけれども、私、現地でブリーフィングを受けて感銘したことの一つが、この部隊の首脳が、幾ら橋や道路を整備しても、その後の維持管理あるいは修復する技術が現地になければ、いずれは自衛隊が造った道路や橋も壊れてしまうというような危惧を持っておりまして、実は、これは元々想定されていた任務ではないというふうに聞いておりますけれども、東チモールの現地政府の職員にそういった重機器の技術を残すための指導プログラムというのを立ち上げて、今現在も技術指導をしているというようなことを伺いました。  これに関しては、東チモールの政府首脳並びに国連の支援団の幹部も大変に歓迎をしておりまして、さらに、国連の幹部の方は私に直接言ってきたんですが、是非自衛隊の部隊に現地人に技術を残していただいて、その上で、日本の自衛隊が任務を終了して日本に帰国する際に、自衛隊が持ってきた機材、これを是非東チモールに寄附をしていただきたいというような声があったわけでありますけれども、これに対して政府の見解はどういうものか、お聞きしたいと思います。
  315. 松下忠洋

    ○副大臣(松下忠洋君) 遠山委員にはこの夏にわざわざ東チモールまでお出掛けいただいて、現地の調査、視察をいただきました。大変有り難く、感謝申し上げる次第でございます。  もう御承知のとおりに、この三月に派遣されまして、第一次隊、九月までということで、九月になりましたらまた新しく交代要員が行くということで、先週、総理官邸で総理も入って新しい第二次隊の壮行会をやらせていただきました。元気で行ってもらうように激励したところでございますけれども、御承知のように機材をかなりたくさん持ち込んでおります。現地の作業にどうしても必要だということでございますけれども、機材が、トラック等の車両が約二百台をちょっと超えますし、いろいろな施設等が八十組を超えるぐらいだと思いますけれども、相当持ち込まれております。  それらの任務終了後のこの機材をどのように扱えばいいのかということでございますけれども、これは向こうの政府等のいろんな要請とか要望等もよくお聞きして、その上で検討して判断したいというふうに思っております。十年ほど前のカンボジアのときにも施設等を、あそこにありますプレハブ等の住宅を、これを向こうに譲渡してきたということもございますので、そういう先例等も参考になるかと、こう思っております。そのときにしっかり検討してもらいたい、こう思っております。
  316. 遠山清彦

    ○遠山清彦君 まあそれほどの機材を持っていくときには大変だったみたいで、「おおすみ」か何かを持っていって、また持って帰るとなるとまた「おおすみ」を派遣しなきゃいけないということで、そのコストの面からも是非置いていっていただきたいと私、個人的に思っておりますが。  また、もう一つ現地で自衛隊の皆さんとお話をして感銘を受けたことがありまして、それは実はPKOに参加している自衛隊員が、任務外の休暇時間にボランティアで、ボランティアで日本のNGOと協力して様々な支援事業に参加をしていたということを知ったことでございます。  例えば、具体的には日本のNGOが整備をした市場ですね、市場の美化運動に五十名ほどの自衛隊員が行って、具体的にはごみ拾いをして、現地の人たちにごみを拾うのは大事だということを教える作業に参加をしたりとか、あるいは孤児院を、あの争乱のときに親を亡くされた子供が東チモールたくさんいるということで孤児院があるそうですけれども、孤児院の支援にボランティアでやはり自衛隊の隊員の方、参加をして、女性隊員が今回六、七名いたかと思うんですけれども、女性隊員は女子専用の孤児院に激励に行くというようなことをしていたということで、実は私、この自衛隊と連携をしたNGOの側にも個別に意見を聞いたんですね。そしたら、やはり偶然こういう連携ができたそうなんですけれども、やはり、任務外で何らかの東チモールのために復興支援をしたいけれども、現地、どこで何をしたらいいか分からない、現地の事情に明るくない自衛隊と、現地の事情に精通はしているけれども人手が足りないNGOが絶妙な連携をした、日本の海外援助では非常に珍しいケースだったんではないかというふうに私思っております。  ただ、私は、これ自衛隊員とNGOの方というのは立場全然違うわけでありますけれども、しかし向こうに行っている方々の根本目的は東チモールの自立支援、復興支援ということで共通でありまして、そういう意味では本当に自然で健全な姿だったんではないかなというふうに思うわけでありますけれども、当然、自衛隊が組織として強制的にこういうことをさせることはできないんですが、私は、今後、海外で日本の自衛隊とNGOが同じ現場でやっているときに、こういった、あくまでも自衛隊の方はボランティアということで協力するような事例が増えていってもいいんではないかというふうに思いますが、いかがでしょうか。
  317. 安倍晋三

    内閣官房長官(安倍晋三君) ただいま委員に御指摘をいただきましたように、現地で自衛隊の皆さんは各種のボランティア活動に積極的に、もちろん自由意思で参加をしております。自衛隊の活動、別途極めて重要であるわけでございますが、ただ、やはり現地の住民の皆さんが自衛隊の皆さんの活動をよく理解をして、そして支持し、また自衛隊自体も現地の住民の皆さんの中に溶け込んでいくということは大変私は重要ではないかと思うわけでございますし、そのように政府としても考えている次第でございます。  そういう中で、自衛隊の皆さんが、今御紹介いただきましたようにボランティア活動に励んでいるわけでございます。自衛隊の皆さんは若く、そして体力もございますし、また貢献をしようという強い意思もあるわけでございますから、本来の業務に支障のない範囲で積極的に参加をしていただきたいと、このように思っております。
  318. 遠山清彦

    ○遠山清彦君 最後の質問をさせていただきます。  今後も日本がPKOに積極的に参加していくということを念頭に、若干センシティブな問題でありますけれども、PKF参加に関連して、武器使用基準に関する政府の見解というものを伺いたいと思います。  私、実は東チモールを訪れたときに、中谷防衛庁長官と同時期でございまして、長官は現地での記者会見で、PKFへの部隊派遣に関して、武器使用基準の緩和の必要性を示唆をいたしました。これがないとなかなかPKFのいわゆる安全確保のための警護任務に就けないということであるというふうに思うんですけれども、これに関しては、昨年のPKO法の改正でもいろいろ議論ありましたけれども、この武器使用の能動性と憲法規定の関係など様々な論点があるというふうに承知をいたしております。  しかし、先ほど副長官おっしゃったとおり、もし日本がこれからも司令部要員を出して積極的にPKOに参加していこうとすると、この武器使用基準の問題というのは避けて通れないというふうに思うんですが、これについて安倍副長官どうお考えか、お聞きしたいと思います。
  319. 安倍晋三

    内閣官房長官(安倍晋三君) 自衛隊の皆さんも、海外で活動している以上、またその中で他の国の部隊とも一緒に活動をするわけでございますし、今御指摘のように、司令部要員は各国から出てきた人たちが混然一体となって活動をしている、集団で事態に当たっているということでございますから、そこには一定のグローバルスタンダードもあるというわけでございます。  そういう中で、今御指摘の武器使用の基準でございますが、我が国の憲法とのかかわりもございます。そういう中で国会で議論がなされてきたところでございます。特に論点は、今私が申し上げましたように、グローバルスタンダードがある中で、私どもの部隊だけが全く別の基準で果たしてあり得るかどうかという議論もあったのも事実でございます。  政府といたしましては、国際平和協力法の武器使用規定の在り方につきましては、国連PKO活動の実態や国会等でのいろいろな御議論も踏まえまして今後とも必要に応じて検討をしていきたいと、このように考えております。
  320. 遠山清彦

    ○遠山清彦君 以上で終わります。
  321. 中原爽

    委員長中原爽君) 他に御発言もないようですから、平成十一年度のうち、皇室費内閣総理府本府、経済企画庁、沖縄開発庁及び沖縄振興開発金融公庫並びに平成十二年度のうち、皇室費内閣内閣府本府及び沖縄振興開発金融公庫決算についての審査はこの程度といたします。  次回の委員会は来る二十五日午前十時に開会することとし、本日はこれにて散会いたします。    午後四時三十二分散会