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2002-08-28 第154回国会 参議院 決算委員会 閉会後第2号 公式Web版

  1. 会議録情報

    平成十四年八月二十八日(水曜日)    午前十時開会     ─────────────    委員異動  八月八日     辞任         補欠選任      月原 茂皓君     泉  信也君     ─────────────   出席者は左のとおり。     委員長         中原  爽君     理 事                 岩井 國臣君                 佐々木知子君                 川橋 幸子君                 八田ひろ子君     委 員                 泉  信也君                 加治屋義人君                 北岡 秀二君                 後藤 博子君                 藤井 基之君                 三浦 一水君                 朝日 俊弘君                 池口 修次君                 海野  徹君                 神本美恵子君                 谷  博之君                 辻  泰弘君                 風間  昶君                 遠山 清彦君                 山本  保君                 大沢 辰美君                 岩本 荘太君                 田嶋 陽子君    国務大臣        総務大臣     片山虎之助君    副大臣        総務大臣    若松 謙維君        財務大臣    尾辻 秀久君    事務局側        常任委員会専門        員        島原  勉君    政府参考人        内閣官房内閣審        議官       中城 吉郎君        内閣官房内閣参        事官       壷井 俊博君        内閣男女共同        参画局長     坂東眞理子君        総務省自治行政        局長       芳山 達郎君        総務省自治財政        局長       林  省吾君        総務省自治税務        局長       瀧野 欣彌君        総務省情報通信        政策局長     高原 耕三君        総務省総合通信        基盤局長     鍋倉 真一君        総務省郵政企画        管理局長     團  宏明君        総務省郵政公社        統括官      野村  卓君        公正取引委員会        事務総長     山田 昭雄君        郵政事業庁長官  松井  浩君        外務大臣官房長  北島 信一君        外務大臣官房領        事移住部長    小野 正昭君        財務大臣官房審        議官       加藤 治彦君        国土交通大臣官        房審議官     馬場 耕一君    説明員        会計検査院事務        総局第一局長   石野 秀世君        会計検査院事務        総局第五局長   円谷 智彦君    参考人        公営企業金融公        庫総裁      持永 堯民君     ─────────────   本日の会議に付した案件平成十一年度一般会計歳入歳出決算平成十一  年度特別会計歳入歳出決算平成十一年度国税  収納金整理資金受払計算書平成十一年度政府  関係機関決算書(第百五十一回国会内閣提出)  (継続案件) ○平成十一年度国有財産増減及び現在額総計算書  (第百五十一回国会内閣提出)(継続案件) ○平成十一年度国有財産無償貸付状況計算書(  第百五十一回国会内閣提出)(継続案件) ○平成十二年度一般会計歳入歳出決算平成十二  年度特別会計歳入歳出決算平成十二年度国税  収納金整理資金受払計算書平成十二年度政府  関係機関決算書内閣提出) ○平成十二年度国有財産増減及び現在額総計算書  (内閣提出) ○平成十二年度国有財産無償貸付状況計算書(  内閣提出)     ─────────────
  2. 中原爽

    委員長中原爽君) ただいまから決算委員会を開会いたします。  委員異動について御報告いたします。  去る八日、月原茂皓君が委員を辞任され、その補欠として泉信也君が選任されました。     ─────────────
  3. 中原爽

    委員長中原爽君) 平成十一年度決算外二件及び平成十二年度決算外二件を一括して議題といたします。  本日は、平成十一年度のうち、郵政省、自治省、総務庁及び公営企業金融公庫並びに平成十二年度のうち、総務省及び公営企業金融公庫決算について審査を行います。     ─────────────
  4. 中原爽

    委員長中原爽君) この際、お諮りをいたします。  議事の都合により、これら決算概要説明及び決算検査概要説明の聴取は、いずれもこれを省略して、本日の会議録の末尾に掲載することにいたしたいと存じますが、御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  5. 中原爽

    委員長中原爽君) 御異議ないと認め、さよう取り計らいます。  速記を止めてください。    〔速記中止
  6. 中原爽

    委員長中原爽君) 速記を起こしてください。     ─────────────
  7. 中原爽

    委員長中原爽君) それでは、これより質疑に入ります。  質疑のある方は順次御発言を願います。
  8. 朝日俊弘

    朝日俊弘君 おはようございます。  閉会中の省庁別審査ということで、大変御苦労さまでございます。  今回、私、主として地方財政の問題、そして後半、郵政事業の問題というふうに大きく二つに分けて、やや基本的な問題についてせっかくの機会ですのでお伺いをし、大臣のお考えをお尋ねしたいな、こんな気持ちでおりますので、どうかよろしくお願いを申し上げます。  さて最初に、地方財政現状あるいは状況についてはもう御案内のとおりでございまして、かれこれ十年ぐらい厳しい厳しいというふうに繰り返して指摘がされてきていると思いますが、改めて、今回決算審査の対象となっております平成十一年、十二年、この両年度について、普通会計負担すべき地方借入金残高、これを改めて見直してみました。  平成十一年度で約百七十四兆円、平成十二年度では約百八十一兆円。何か年間十兆円ペースで増加してきているという状況でありまして、ちょっと振り返ってみますと、平成年度末ではたしか六十七兆円前後ということで、まだ二けただったはずであります。十年間でざっと百兆円以上の借入金残高が増え続けてきている。ちなみに、まだこれは見込みでございますが、直近の平成十四年度末の見込みは、地方借入金残高は百九十五兆円に達するであろう、こういうことがもう既に指摘をされています。  繰り返しこのような状況についての御質問がこれまでもあったかと思いますが、改めて、現時点において、この地方財政現状について大臣はどのようにお考えなのか、現状認識をお伺いしたいと思います。
  9. 片山虎之助

    国務大臣片山虎之助君) 今、朝日委員からお話がありましたように、地方財政借入金残高というのは本当に毎年どんどん増加しておりまして、今お話しのように、平成十四年度末の借入金残高は百九十五兆に達すると。国の方もこれ大変なもので四百何十兆ですから、国も地方も今大変な状況にありますが、私は地方財政状況を見ておりますが、毎年度毎年度地方財政計画を組む、地方財政対策をやるときに物すごい穴が空くんですね。交付税だけでも、朝日委員承知かと思いますけれども、入口ベースでは十三兆ぐらいですよ。配るのは二十兆配らないかぬのですからね。だから、もうどうにもならない穴が四兆なり五兆なり空くわけですよ。これを毎年毎年続けていくということは、私個人も大変問題だと思っているんです。  そういう意味では、国も似たような状況でありますけれども、やっぱり行政サービスが過剰なのか、負担が少ないのか、あるいは両方なのか、私はそういうことだと思っておりまして、この今の地方財政状況については大変心配もいたしておるわけでございますので、せんだっての経済財政諮問会議でも、やはり税源移譲を国からしてもらいたいと、それに併せて、地方の主なる収入である地方税に加えて国庫補助負担金地方交付税見直しもやったらどうかと、これが三位一体の改革ということで一年掛かって計画を作ろうと、こういうことになっておるわけでありまして、その発想は、このままでは地方財政もたないと、地方交付税ももたないと、こういうことがあるわけでございまして、そういう意味では大変委員問題意識危機意識は私は共有していると、こういうふうに思っております。
  10. 朝日俊弘

    朝日俊弘君 税財源の移譲問題については後でもう少し詳しくお伺いしたいと思いますが、そこで、こんなふうに地方財政が悪化の一途をたどってきている、一体なぜかという問題だと思います。  今、大臣サービスが過剰なのかというようなこともおっしゃいましたけれども、私はこの間ずっと見てみますと、国が行った累次の景気対策、そのために地方債を相当無理をしてというか、増発をしてきた問題、あるいはこれも景気対策一つと言っていいでしょう、いわゆる恒久的な減税を実施した、このことによる減収などなど、国の景気対策と称した、あるいはそれに付随した財政対策が結果として地方に相当大きな負担になってきていたことはやっぱり明らかだろうというふうに思います。  例えば、平成十一年度以降を見てみますと、先ほどもちょっとお話ございましたけれども、年度当初の時点通常収支分で約十兆円、恒久減税分で約三兆円、トータル十三兆円がもう初めから財源不足という状況になって、しかもこれがほぼこの間、言わば恒常的にというか、毎年続いてきている。こういう状況を毎年毎年続けて、繰り返してきているということについては大変問題だというふうに私は思います。  そこで、幾つかの要因があるわけでしょうが、とりわけ、こうした近年の国の景気対策あるいは恒久的減税、こうした施策地方財政という観点から見ると一体どうだったのか。こういう点について大臣はどうお考えでしょうか、改めてお尋ねします。
  11. 片山虎之助

    国務大臣片山虎之助君) これも委員の言われるとおりなんですよ。それはもう累次の景気対策地方も国と同じように付き合ったというのか、一緒にやってきた。公共事業を増やす、そうなるとこれは地方負担が要りますよね。それから、単独事業を増やす。公共事業がそうは物すごく増やせないから単独事業を増やしてくれという。それから、減税もこれは一緒にやろうと。国税減税は即地方交付税に跳ね返るわけでございますから、御承知のように。地方税減税をやれば、それはそれだけ税収増えます。しかし、それは委員基本的にはバブルの発生と崩壊に至る景気の変動と後退なんですね、低迷。これが基本的にあるものですから、景気立て直しのために景気対策として公共事業単独事業をやる、減税をやると、そういうことが重なってきたわけでありまして、そういう意味では、私は、地方責任だという意見がよくありますけれども、地方責任ももちろんありますよ、あるけれども、もっと国の責任が大きいと私は言っているんです。  そういう意味では、これまた委員と大体考えを同じくしているわけでございまして、そういう意味で、これだけ恒久的に国も地方財政予算を編成するときに穴が空いて、国も三十兆の国債を、赤字国債だけじゃありませんけれども、組まないと予算編成ができない、地方財政計画交付税の大きな穴をどうにか埋めないと地方財政計画を組めないというような状況がずっと続くことがいいのかどうかですね。  そこで、先ほど言いましたように、やっぱり行政の方で、支出の方で無駄があるのかないのか、過剰があるのかないのかという点検も必要だし、これは行革やらなきゃいけませんけれども、あるいは今の国民負担というものが行政サービスと比べて適正かどうか、あるいはよその国と比べてどうかと、こういうことの大きな議論を、すぐに結論出ませんけれども、やっていく必要があるのではなかろうかと思っております。
  12. 朝日俊弘

    朝日俊弘君 それじゃ、どうやら基本的な認識についてはほぼ同じお考えに立っておいでだと思いますから、もう少し具体的な問題について入っていきたいと思います。  もう御存じのとおり、地方借入金借金中身は大きく分けて地方債とそれから交付税特別会計からの借入金、この二つが一番大きいというか、主要な要素だというふうに思います。この両者を合わせた実質的な公債依存率公債依存度はこの間大体一六、一七%前後で推移をしてきておりまして、額的に言いますと、例えば平成十四年度では十三兆四千億円という見込みというふうに言われています。  そこで、少し中身を分けて、まず地方債部分について、地方債残高がどの程度になってきていて、その部分についての償還計画といいましょうか、償還見通しについて現状と今後の見通しについて御説明をいただければと思いますが、よろしいですか。
  13. 林省吾

    政府参考人林省吾君) 御質問いただきました地方債残高についてでありますが、地方債残高公営企業債普通会計分を含めた数字でまず申し上げたいと思いますが、平成十一年度末におきまして百五十二兆円、平成十二年度末におきまして百五十六兆円、平成十三年度末におきます数値は百六十一兆円、平成十四年度末が百六十四兆円と見込まれております。  それぞれの年度におきまして公営企業債のうち普通会計負担分がこの数字の中には含まれておりますが、それにつきましてもお答えをしておきますと、平成十一年度末が二十六兆円、平成十二年度末が二十七兆円、平成十三年度末が二十八兆円、平成十四年度末は二十八・五兆円となっているところであります。  これらの地方債償還についてでございますが、この元利償還に要する経費につきましては、毎年度末の地方財政計画の中で所要経費公債費及び公営企業繰出金という形で計上いたしまして、地方財政対策の場で必要な財源を確保し、これらの償還支障がないようにすることといたしているところでございます。
  14. 朝日俊弘

    朝日俊弘君 まず、地方債の分だけでも今御指摘があったように百六十数兆円、こういうことであります。  それで、支障がないようにいろいろ手当てをしていると、こうおっしゃるわけですが、借金は後で申し上げるようにこれだけじゃなくてほかにも幾つかありますから、そういうのを含めていくと、そう簡単にきちんと手当てをしていますから大丈夫ですというふうに受け取っていいのかどうか、いささか心配になります。  そこで、次に交付税特別会計からの借入金の問題について一、二関連して伺います。  お聞きしますと、平成十三年度からはこの交付税特会からの借入金はやめて臨時財政対策債によって補てんをしようと、こういう方向制度上の変更をされたわけですね。恐らく、これは言葉は良くないかもしれませんが、いつまでもどんぶり勘定的に特別会計から借入していくのはまずいだろうと、こういう御判断もあったのかと思いますが、しかし、それにもかかわらず交付税特会からの借入金残高がだんだん増えてきているんですね。これ、どうもちょっと私の理解不足かもしれませんが、納得いかないんですね。  以前、交付税法改正、あれは昭和五十八年ごろでしたか、があって、これから交付税特会からの新しい借入金というのはもうやめるべきだということも以前から指摘をされてきていて、そういう観点もあって、新たに臨時財政対策債というものを立てて、そこできちっと手当てをしていく、交付税特会からの借入金をずるずると増やしていくということについては一定の見直しを図ろうと、こういうことになったというふうに私は理解しているんですが、その後なお依然として借入金残高が増えてきているということは一体どうなんだろうかということと、さてその交付税特会からの借入金についての今後の償還見通しをどう考えるかという二点について、併せて御説明をいただければと思います。
  15. 林省吾

    政府参考人林省吾君) 御指摘をいただきました交付税特別会計における借入金でございますが、確かに、御指摘いただきましたように、残高はここ数年増えているのは間違いございません。  ただ、事情を申し上げますと、先に数字を申し上げておきますと、平成十四年度末で四十六・一兆円となっておりまして、うち地方分は三十・三兆円と見込まれております。この数字は、平成十三年度はこの四十六兆円は四十二・六兆円であり、平成十二年度は三十八・一兆円でございましたから、確かに交付税特別会計における借入金残高は増えております。  ただ、この増加の内訳でありますが、御指摘のとおり、通常収支分につきましては平成十三年度から特別会計借入金廃止することといたしましたが、平成十三年度におきましては激変緩和措置といたしまして財源不足額の二分の一を借入金で対応するという措置を講じました。この結果、二分の一につきましては借入金が残ることとなったわけでありますし、また平成十四年度につきましては借入措置廃止したいということで地方財政対策も講じたわけでありますが、いろいろな状況の中でやむを得ず四分の一を特別会計借入金補てんせざるを得ないということになりました。その分が借入金増加につながっているわけであります。  ただ、したがいまして、借入金は少しずつ増えてはおりますが、平成十三年度に決めました特別会計借入金廃止するという方向に向かいまして制度改正がなされてきておりますので、通常収支分に係る増加額はだんだんと縮小をしてきているところでございます。ただ、特別会計における借入金のうちもう一つは、恒久的な減税に伴う国税減税からの交付税への影響額につきましては特別会計借入金補てんをするという措置が続いておりまして、これは平成十一年度から恒久的減税影響が出ておりますが、国税減税されますと交付税が減少するわけでありますが、その分につきましては特別会計借入金をすると、こういう措置がありますために、平成十一年度、一兆三千億ほどの恒久的減税に伴う借入措置がありましたが、これが毎年ありますので、十二年度は二兆八千億、十三年度は四兆五千億、十四年度は六兆円、こういう形での増加となっております。  したがいまして、近年は通常収支分に係る借入金廃止方向に向かっておりますので、やむを得ない激変緩和措置として幾分かの増加はあるものの、これは増えない方向になってきておりますが、恒久的減税に伴うものが増えている結果、残高としては今日四十六・一兆円の数字になっていると、こういうことでございますので、御理解をいただきたいと思います。  なお、この特別会計借入金残高のうちの地方負担分が三十兆円でございまして、国負担分が十五兆八千億円程度になっているわけでありますが、このうちの国負担分平成三十年度までに、また地方負担分につきましては平成三十八年度までに、それぞれ法律に基づく年次計画によりまして償還をすることといたしているところでございます。
  16. 朝日俊弘

    朝日俊弘君 ちょっとそれじゃそこのところのもう少し確認したいんですけれども、そうすると、一つは、普通会計に関して平成十三年度から臨時財政対策債によって補てんをする分というのは、激変緩和措置、二分の一、四分の一と来たけれども、今度からはなくなるというふうに理解していいんですかね。そして、残るは恒久的減税分についての借入金だというふうになるというふうに理解してよろしいか。ちょっと確認したいんですが。
  17. 林省吾

    政府参考人林省吾君) 御指摘をいただきました交付税特別会計における借入金措置は、特会借入れ廃止をするということを原則といたしまして毎年度地方財政対策を講じてきているわけでありまして、平成十四年度におきましては、先ほどお答えしましたように、やむを得ず一部特別会計借入れを継続せざるを得なかったわけでありますが、平成十五年度につきましては、平成十三年度制度改正を踏まえまして、恒久的な減税に伴う減収額に係るものを除きまして、交付税特別会計の新たな借入れは行わないことを基本として最大限努力をしてまいる所存でございます。
  18. 朝日俊弘

    朝日俊弘君 最大限努力をするということは、まだ来年度予算をきちんと組んでみないと分からないと、そういう含みでございますか。
  19. 林省吾

    政府参考人林省吾君) 年度末に明年度地方財政対策を講じて財政運営支障が生じないような施策を講ずるわけでありますが、税収の動向によりまして財源不足がどの程度になるのか、そうしますと、国の臨時財政対策加算、また地方臨時財政対策債によりまして賄う規模がどのぐらいになるのか、それによりまして地方団体財政に与える影響等がどうなるのか、この辺を見極めた上で方針を決めなければならないわけでありますが、いずれにいたしましても、平成十三年度制度改正を踏まえて特別会計における借入金廃止するというのを基本として考えてまいらなければならないと考えているところでございます。
  20. 朝日俊弘

    朝日俊弘君 おっしゃる点は分からないわけではないんですが、どうももう少し分かりやすくしてほしいなというふうに思います。  ですから、具体的な来年度予算の中でどのような検討がなされるのか、その時点でまた改めてお尋ねしたいと思いますが、せっかく十三年度から、これはもう、交付税特会からの借入金、ずるずると増えていくことについては一つのけじめ、歯止めを付けようということで制度改正されたと思いますから、そこの制度改正の趣旨をきちんと踏まえた取組を是非していただきたいなと、これは要望をしておきたいと思います。  もう一点、ちょっと確認させてください。  そうすると、恒久的減税に伴う減収が続く限り、この交付税特会からの借入金残高は増え続けるということになりますか。
  21. 林省吾

    政府参考人林省吾君) 平成十一年度以降、恒久的減税国税において続けられているわけでありまして、その国税減税に伴う交付税への影響額につきましては、何らかの形で地方財政対策補てんをしてまいらなければならないというふうに考えております。  現在、その方法といたしまして、特別会計における借入金財源対策をしている形になっておりますので、恒久的減税が続く以上は、こういう借入制度によって財源を確保していかなければならない、やむを得ないのではないかと考えております。
  22. 朝日俊弘

    朝日俊弘君 それじゃ、この点は後でちょっと総括的に大臣にお伺いしますから、その辺どうするのかということも含めてお答えを御準備いただければと思います。  次に、先ほど来話が出ていますように、平成十三年度から臨時財政対策債というものを立てて、従来からの特会からの借入金というのはやめましょうと、こういうことになりましたということなんですが、取りも直さず臨時財政対策債借金であることには間違いはないわけですね。そうすると、今度はこの部分残高がどうなっていって、その償還をどうしていくのかと、こういう課題も出てくると思いますが、その点についてはどういう考え方でやるんですか。
  23. 林省吾

    政府参考人林省吾君) 平成十三年度における地方財政対策見直しによりまして、従来の特別会計借入金方式に変えまして、通常収支に係る財源不足につきましては、地方負担分につきまして臨時財政対策債の発行により対応することを基本といたしたわけであります。平成十三年度は一兆四千四百八十八億円、また今年度平成十四年度は、対策の結果、三兆二千二百六十一億円の臨時財政対策債を発行することになったわけであります。  この臨時財政対策債は三年据置きでありますが、二十年間で償還をしていくこととしているものでございまして、毎年度、その元利償還金に要する経費につきましては、その全額を地方財政運営に支障が生じないよう地方交付税の基準財政需要額に算入をすることといたしております。  また、それに必要な財源につきましては、毎年度地方財政計画の策定に当たりまして、所要額が確保できるように、地方団体財政運営支障が生じないような対策を講ずることといたしているところであります。
  24. 朝日俊弘

    朝日俊弘君 そうすると、今後の位置付けについてちょっと重ねてお尋ねしたいんですが、この臨時財政対策債も、従来から積み上がってきている地方債の一部としてあるいは一つとして位置付けられて、これから償還の対象になっていくという理解でいいんですか。それとは別枠のものというふうに考えているんですか。ちょっと確認させてください。
  25. 林省吾

    政府参考人林省吾君) 地方団体借入金という意味では、地方債と同じ借入金であることは間違いありません。ただ、性格的に申し上げますと、地方財源不足のために発行するものとして地方財政法五条の特例債という形で位置付けられている点は多少の違いはあるかもしれませんが、ただ、将来の元利償還金の負担が出てくる、それについて必要な財源措置を講じなければならないというような点では地方借入金と変わるものではございません。
  26. 朝日俊弘

    朝日俊弘君 だから、結局、何か私、いろいろ話を聞いていると、こちら、つまり特会からの借入金はやらないんだけれども、また別の形態の借金を立てて、そちらから借り入れるようにしようというだけのことであって、何か基本的には全然解決付いていないなというふうに思うんですが、それはもう重々承知だと思います。  そこで、いずれにしても、地方財政の抜本的な改善を図るためには、先ほども大臣おっしゃいましたように、地方税財源の充実確保、これが不可欠であるし、もう待ったなしだと思うんですね。もういつまでも何か、かつて元宮澤大臣は国の財政がもう少し良くなったらみたいなことをおっしゃっていましたけれども、それでずるずるずるずる五年も十年もたってしまったんでは、ますますこれはもう地方はたまったものじゃない。そこで、改めてこの機に、大変国の財政状況も厳しいことは重々承知しつつ、地方税財源の充実確保について何としても具体的な検討を、具体化を図るべきだというふうに私も思います。  そこで、今年の五月に大臣が「地方財政の構造改革と税源移譲について」、いわゆる片山試案というものをお出しになりました。ざっと目を通させていただきましたが、改めて、復習の意味も込めて、大臣の方からこの試案の中身、ポイントについて御説明をいただければ有り難いと思います。
  27. 片山虎之助

    国務大臣片山虎之助君) その前に、今の交付税の話なんですけれども、朝日委員言われるように、今までは交付税特会でまとめて全地方団体のやつを借りてキャッシュで配っておったんですよ。そうなりますと、地方団体でもこれは借金だと思わないんですよ、キャッシュを毎年もらうものだから。それがどんどんどんどんたまって四十六兆でしょう。地方責任を持つものが三十兆、国に持ってもらうものが十六兆ですか。  そこで、それは今までどこに金があったかというと、資金運用部なんですよ、財投資金なんです。これは何だと言うと、郵貯と年金ですよ、簡単に言うと。ところが、財投が去年から改革で御承知のように資金運用部を廃止したんですよね。年金も郵貯も自主運用になっている。そうなって、まとまった金を借りてくるところもなくなった。しかも、いつまでもまとめて借りてキャッシュを配るというやり方は限界があるんですね。そこで、十三年度からはもうそれをやめて、どうせ国は赤字国債をやっているんだから、この際地方も赤字地方債を出してもらって、それはもうちゃんと分かってもらおうと。  それから、資金の手当てもなかなか難しいんですよ。そこで、地方のそういう財源の穴は半分は国の責任、半分は地方責任と、こうやってきていますから、ルールで。国の方は赤字国債を増発してもらって交付税特会に入れてもらうと、キャッシュを。赤字国債でしょう、資金調達のあれ。地方の方の半分はそれぞれの地方団体に赤字地方債を出してもらって、それで財源調達をしてもらうと。その代わり、地方の出した赤字地方債元利償還は丸々交付税の基準財政需要に入れて、そこで手当てをしますと。こういう仕組みにしたわけでありまして、やむを得ないんですね。十四年度からそれを全部赤字地方債にしようと思ったら、今度は国債が三十兆円という去年は御承知のように枠があったでしょう。そこで、四分の一だけ、四分の一だけは借入れを残そうかと、こういうことにしたんです。  だから、十五年度は、今、局長がぐちゃぐちゃ言いましたけれども、分かっていながら余りはっきり言えないから、私としては、十五年度からは借入れはもうしないと、こういうことでいくべきだと思っております。ただ、これから景気状況数字を積み上げてみなきゃいけませんけれども、一年延ばしたんだから、もう一年延ばすなんということはできません。もうできるだけ十五年度からは借入れはしないと、こういうことでやらせていただこうと、こう思っております。  そこで、税源移譲なんですけれども、御承知のように、今、税金を全部を見ると、六割は国が取って四割は地方ですよ。大体国が四十七兆ですよね、ちょっと減って。地方が三十四兆なんですよ。三十四兆を三千三百の地方団体が分けているわけです。ところが、実際使っているのは、御承知のように、地方が六二、三パーで、国が三七、八パーなんですよ。六〇取って、使っているのは三七、八パーですから、そこでその間の差の金が国から地方に流れてきているんですよ。それが二十五兆二千億ぐらいある、二十五兆ぐらい。そのうちの半分が交付税ですよ、半分が国庫補助負担金なんです。  それで、この国庫補助負担金というのはいいところもあるんです。いいところもあるんだけれども、がんじがらめにひもを付けて地方にやらせるということは、地方の自主性、自立性を害するんですよ。本当はやりたいことがあっても、補助金付いた方が優先しますから。私は、県の予算査定やりましたけれども、補助事業の方がまず優先ですよ、事業中身審査するより。良くないんです。良くないけれども、一般財源はわずかでできるんだから。だから、それは大変やっぱり自主性、自立性を阻害する。  それから、無駄が多いとは思いませんけれども、優先順位が低くても補助事業を先にやると、こういうことになるんで、この際、どうしても必要な国の負担金や補助金は残してもらう、しかし、そうでないものはやめると。やめたものをもって地方税に振り替えると。  そこで、この前の、今、朝日委員からお話ありました片山プランというものを経済財政諮問会議へ出しましたのは、取りあえず六対四を五対五にしたいと、国と地方の税収の分け前を。しかし、五対五といっても七兆五千億ぐらい動かさなきゃいかぬと、もう大騒動ですよね。  そこで、一遍にいかないから、第一段階で五兆五千億だけ国から地方に回してくれと。それは国は、それだけですよ、しかし収入が減るんですから、支出の方もそれだけ削らにゃいかぬと。そこで、国庫補助金、負担金を五兆五千億削ると。国庫補助金、負担金が十二兆七千億ある、そのうちの五兆五千億を削ると。特に、奨励的な補助はどうしても必要なもの以外はやめたらどうかと。それから、公共事業や社会保障や教育の国庫負担金の方は、これは中身を見て考えなきゃいけませんけれども、これについても削れるものは削る、こういうことです。  それで、地方の税源で何を増やすかというと、各地方団体で偏在性のない安定的なものがいいものですから、所得税を抑えて個人住民税を増やしてもらうと。そこで約三兆円、所得税を三兆円削って地方の住民税を三兆円増やすと。それからもう一つは、地方消費税というのがありまして、消費税が五パーになったときに一パー地方消費税ということでもらったんですよ、分けてもらった。今、四パーが国が使い、一パーが地方が使っているんですよ。その一パーを二パーにする、国を三パーにして地方を二パーにすると。交付税が大体グロスで二兆五千億ですから、一パー、そこで二兆五千億。それで、三兆の所得税と消費税の二兆五千億を地方の税源に移譲してもらうと五兆五千。それでもなかなか五対五にならないんです。五二、三パー対四七、八パーですから。  それが第一段階で、第二段階は、景気が落ち着いて、交付税が、赤字国債地方債で資金調達しなくても交付税制度が動くようになったら、交付税を減額してその分を地方税にする。こういうことに考えたわけで、第二段階は、だから、交付税の減額、地方税の増強と、こういうことの案を発表したわけでありまして。  それで、経済財政諮問会議は、それはそうだなと、今までは議論だけで具体的な数字を入れた提案はなかったので、それじゃこれを基に検討しましょうということになって、恐らくこれから御質問あると思いますけれども、税源移譲交付税国庫補助負担金の三位一体の見直し、これを例の骨太方針の、第二次骨太方針に書いたわけです。一年掛かって工程表を作って、それを三年か四年で実現しようと、こういうことになったわけでありまして、発想は、いつまでも今のような地方財政では困るし、国の方も、いつまでも国庫補助金や負担金に頼って、地方をコントロールしているわけでもないけれども、ある程度地方のあれするということは、やっぱり地方自治、地方分権、地方の自立性から見て好ましくないと。こういうことで、国、地方を通じる歳出の私は合理化、効率化につながるのではないか、それから同時に、地方のそれが自立性、自主性の強化になると、こういう考えでございます。  済みません、少し長くなりましたが。
  28. 朝日俊弘

    朝日俊弘君 ありがとうございました。ちょっと更に踏み込んだ御答弁をいただきましたが。  基本的に私は、片山大臣が出されたプラン、試みの案、是非政府の中できちんと議論してほしいなというふうに思っているんですよね。そういう意味では、例えば所得税と消費税に着目をして、国から地方への税源移譲を図る、基本的に大いに検討すべき提案だというふうに思っています。  ただ、大臣の方からも自ら御指摘ありましたけれども、大臣の方から出された試みの案、これをある意味では当然踏まえながら六月の段階で閣議決定されたいわゆる基本方針二〇〇二というのがございますね、「経済財政運営と構造改革に関する基本方針」。この中でそれなりに問題意識を持った形で表現をされています。  ただ、いずれも、例えば、例えばですね、「地方財政改革については、」云々かんぬんとして、年内を目途に結論を出すとか、あるいは、これを踏まえて国庫補助負担金交付税、それから税源移譲を含む税源配分の在り方を三位一体で検討して、今後一年以内を目途に取りまとめるとか、今後の方向を示すにとどまっているわけですね。  さて、これからどうなるんだろうか、非常に注目をしているわけですが、その前に、どうも私、三位一体というのがよく分からないんですよ。本来これはキリスト教神学の中で用いられた用語でありまして、そういう用語を、こういう経済にかかわる、財政あるいは政策の方針の中に使うとますます分かりにくくなるなというふうにやや思っているんですが、その言葉がよく分からないというだけじゃなくて、どうも経済財政諮問会議なりあるいは閣議決定された中身と片山大臣が主張された中身とはどこか違っている感じがするんですね。大臣の方はかなりはっきりと二段階論を打ち出しておられますね。ところが、三位一体というのは、これは漠とした表現ですよね。ここのところがどうも気になるというか、ある意味では着目しているわけです。  もちろん、そうはいっても、何かこう国庫補助負担金の削減の話とか、あるいは交付税の全体の規模の縮小の話とか、こういう話がどうも今の国の予算編成の作業の中ではついつい先行しがちで、下手すると地方税財源の確保の話が一番後に取り残されてしまうという心配もありますから、三つをちゃんと一つの問題としてそれぞれの側面を考えていきますよという意味では、この三位一体という表現は私なりにそれはそれで理解できないわけじゃないんですが、どうも大臣の提案された中身と、それからそれを受け止めての閣議決定の中身とは違いがあるというか、ポイントの置き方にやや違いがあるように思えてなりません。その辺が非常に気になります。  この問題、大臣としては今後どういうふうに決着を図っていくのか、実現の見通しやいかにと。あるいは、具体的な実施時期についてどのようにお考えなのか。これは、ある意味では大臣の決意も含めてお答えをいただければ大変有り難いと思います。
  29. 片山虎之助

    国務大臣片山虎之助君) この三位一体は私が言ったんですよ。それは何でかというと、税源の移譲だけを単発ではやれません、それは。今の国の借金はもう地方よりずっと多いので、四百何十で五百兆に近いんですから。もう、しかも借金を返していく国債費が、御承知のように、二十兆を超えているでしょう。そこで、税源移譲をする場合にはやっぱり国の歳入歳出の構造を見直さなきゃいかぬのですよ。  そこで、国庫補助金を私は減らしていくと。これは地方分権の上からも必要なんで、補助負担金。それから地方交付税見直しということは盛んに言っていますよ、今。特に財務省やあるいは経済界や、交付税が肥大し過ぎている、補助金的ではないかと。だから、これの見直しも盛んに一方では指摘されているんですよね。  そこで、税源移譲と全部を絡めないとこれはとても実現できないなというのが私の認識で、そこで交付税見直しだとか国庫補助金の整理合理化だとか単発じゃ駄目だと言ったんですよ。税源移譲税源移譲だとか。税源移譲なんかできませんよ、三位一体じゃないと。税源移譲をやりたいというのが一番強いあれですから、こちらの考えですから、だから税源移譲国庫補助負担金の整理合理化、地方交付税のこの三つを一緒考えていこうと。ただ、それも、朝日委員、一遍ではとてもいきません、大きな話ですから。  そこで、まず国庫補助金の整理合理化を来年度予算編成で全部でなくても一部を実現しよう、そういうことなんですね。そこで、十月までに、地方分権改革推進会議というのがありますから、そこで国庫補助負担金の整理合理化の案を作ってもらって、その案を基に年末の予算編成で各関係の省庁が大臣のイニシアチブで国庫補助金の整理合理化をやろうと。まず十五年度ですね。それを踏まえて、一年掛かって、六月から一年ですからまだ、来年六月か七月ごろまでに、三位一体の税源移譲交付税見直し国庫補助負担金の整理合理化の三つ一緒の工程表、計画を作ろう、それをやるのは恐らく十六年度から三年か四年かでやっていこうと、こういうことなんですよ。  だから、実際に、議論としてじゃなくて実現するためには、私はこの三つを一緒にするよりしようがないと思っているんです。その三つを一緒にするのも、三年か四年かの計画の中で、まず何をやってどうするかということを決めていかないと、一遍にできませんよ、今までずっとやれていないんですから、昔から言っていて。だから、そういうことで、着実にやっていくということと道筋を付ける、少なくとも考え方を。  今までのような、閣議決定して、三位一体の改革をやるとか税源移譲をやるということを決めたことはありません。議論は一杯あるんですよ。審議会の答申や調査会の答申はありますけれどもね。そういう意味で、閣議の意思決定としてそういうことを決めて、こういうことでやると言ったことは私は大きな前進だと、こう思いますし、小泉さんも、この前ほかのことで話に行ったときに、是非大臣あれやってくださいと、こういう話だったですから、それはやりましょうと。  そこで、実は今日から三日間、経済財政諮問会議で集中審議があるんですよ。トップは私が今日やりますけれども、四時過ぎの。その中で今言ったような国庫補助負担金交付税税源移譲についての基本的な各省の考え方も聞くんですよ。だから、よく今報道されているように、例えば義務教育の給与費の国庫負担金、これについてもどうするかというのが大きな議論になって、これが一番大きいんです、三兆円ありますから、三兆一千億あるから。そういうことも今日からの集中審議で議論をしていこうと。  結論は簡単に出ないと思いますよ。しかし、そういうことは私は方向としては大変な前進だと思うし、是非、こういうことをきちっと進めていくような道筋を付けるし、我が省が推進力にならにゃいかぬなと、こういうふうに思っておるわけです。  しかし、私の方も、地方交付税見直しなんというのは、後ろに三千三百の地方団体がおりますからね。地方交付税でやっているような団体は一杯あるんですから、だから、これも生き死ににかかわるんですよ。しかし、それをやっぱり自らの血を流すということも、税源移譲や国庫支出金の負担合理化のためにはみんなが、みんなで血を流していいものを作っていく、全体として地方を強くしていくと、こういうことのためにはやむを得ないんだと、こう思っているわけでございまして、是非その辺は御理解と御支援をお願いいたしたいと思います。
  30. 朝日俊弘

    朝日俊弘君 先ほども申し上げたように、大臣の試案については私自身も一定の評価をしておりますので。ただ、あえて申し上げれば、何か三位一体という言葉は大臣自身が言い始めた言葉だというお話ですが、多分、これから道筋を付けていく中で三位一体という表現をどう具体的な表現にしていくかということが制度としてどういうものにしていくかということをはっきりさせるということになると思いますので、その辺が課題だなということを認識しつつ、この部分については是非経済財政諮問会議の中でもより具体化に向けて頑張っていただくことをお願いをしたいと思います。また、機会を見て途中の状況などについてもお聞かせいただければ有り難いというふうに思います。  さて、それでは次に、ちょっと各論的な課題になりますが、これも地方財政の問題にとっては大変大きな問題の一つでありますいわゆる地方自治体、地方公共団体が経営参加をしているタイプの第三セクターの問題について一、二、念のためお尋ねをしておきたいと思います。  もう既に新聞報道では、たしか去年の二月のシーガイアの問題などを典型的な例として、いろんな民間の調査機関がいわゆる第三セクターの経営破綻の状況についていろいろ報告をしております。  お聞きしますと、総務省の方も、昨年、この第三セクターの経営状況、とりわけ財政破綻に瀕しているようなところについての実態をお調べになった。どの程度の第三セクターで債務超過に陥っているのかというようなことを調査されたというふうに伺っております。調査の概要も含めて、第三セクターに関する現状と問題点についてできるだけ簡潔に御説明をいただきたいと思います。
  31. 林省吾

    政府参考人林省吾君) 第三セクターの実態調査等についての御質問でございますが、昨年、私どもの方で実施いたしました調査の結果でございますが、地方公共団体が二五%以上出資をいたしております第三セクターの経営状況について調査をいたしたわけであります。  平成十二年度における経営状況でございますが、民法法人で当期正味財産が減少いたしているものが千四百三法人で、全体の三二・九%となっております。また、商法法人で経常赤字を計上しているものが九百七十四法人ございまして、これ全体の三八・七%となっていることが調査の結果、分かっております。さらに、負債が資産を上回るいわゆる債務超過の状況にある法人も全体で四百五十一法人となっておりまして、これは全体の六・六%に当たる状況になってございます。  また、民間の調査機関の調査結果でありますけれども、第三セクターの清算等が行われた数値もございまして、平成十三年度中には四十三社、それから平成十四年度につきましては、まだ七月までの数字でございますが、既に四十社におきまして清算等が行われておりまして、清算等が増加している状況になっているのは事実でございます。  この第三セクターに係る問題点でございますが、バブル経済の崩壊によりまして経済環境が大きく変化したこと等によりまして、全体的に経営状況が大変厳しくなってきているというのが背景にあると思いますが、経営悪化の兆候が見られたにもかかわらず問題を先送りをして経営の悪化を進展させているような例とか、あるいは経営情報の開示とか公的支援の内容の開示が十分ではないような例、こういう例も見られておりまして、私どもといたしましては、この第三セクターの運営の適切な指導監督が必要ではないか、これらの指導監督は地方団体財政であるとか、あるいは地域経済等の観点から地域にとって大変重要な課題であろうと認識をいたしているところであります。  そういうこともございまして、私ども、平成十一年の五月には地方団体に対しましてこの第三セクターに関する指針というものを通知をさせていただいておりまして、適切な対処を要請いたしているところでございます。
  32. 朝日俊弘

    朝日俊弘君 今、現状なり問題点なり、あるいは指針を示して対応していると、こういうお話、御説明がございましたが、そこでこの点についてちょっと大臣にもお考えをお尋ねしたいんですが、さてさて、そういう状況にある第三セクターについて、しかも破綻に瀕しているセクターが少なからずあるという状況について今後どんな対応をお考えなのか。今年の七月の五日に、某紙にこの第三セクターに関する記事が出ておりました。ほかの新聞には余り出ていなかったのである種思い込みもあるのかもしれませんが、この新聞の記事によりますと、総務省は今年度中に第三セクターの破綻処理に関する基準、それから経営情報の積極的な開示などを盛り込んだガイドラインを作る、あるいは関係自治体への財政支援策を取りまとめると、こういう報道がありました。果たして、関係自治体への直接、間接の財政支援策あり得るのかということも含めて、この点についての大臣のお考えをお聞かせください。
  33. 片山虎之助

    国務大臣片山虎之助君) 今、朝日委員が言われた記事なんですが、これはいろいろ聞いてみますと、第三セクターに関する研究会というのをうちの役所の中に作っておりまして、そこの委員さんの一人にどうも新聞の方が取材をして、それを書いたというようなことのようですから、省としての方針だとか研究会の意見だとかということじゃないというふうに御理解賜りたいと、こう思います。  それで、この問題は、十一年の五月に第三セクターに関する指針というのを私どもの方で決めて通知をしているんです。あれからこれで三年ぐらいたちましたから、その間、第三セクターの状況も先ほど自治財政局長が答えたようなことですし、もう一遍あの指針を見直して、我が省としてこうしてほしいということを地方団体に要請する必要があるのかなと、こういうふうに思っております。  それで、十一年の五月のときも、できるだけ経営の状況や、地方団体が公的な支援をしているとすれば、財政的な支援をしているとすればそれを情報開示しろと、こういうことですね。それから、もうどうも先行きうまくいきそうにないものがあったら思い切ってやめることを含めて考えろ、ずるずると引っ張るなと。それから、地方団体が余り財政的に、物によりますけれども、物すごく肩入れするのも、そこはよく考えろと。こういうことが中心なんですね、十一年五月は。  だから、そういうことをもう一遍、そういう基本的な考え方を見直してみて、第三セクターをどうするかということを考える必要があると私も思っておりますが、まだ今、方向としてはこうだということは決めておりませんが、例えば情報公開を更に徹底するとか、あるいは専門の第三者的なところに外部監査的なことをしっかりやってもらうとか、そういうことが必要かなと、こういうふうに思っております。  そこで、今、第三セクターに対する公的支援、財政を中心にした公的支援は地方団体がやっておりまして、総務省が直接やるということにはなかなかならない。ただ、地方団体が支援している場合に、その支援の仕方なり、あるいは支援によって地方団体財政運営影響が出るようなら、それについてちゃんとした理由があるんなら私どもの方で物を考えるということは、まあ二次的に、間接的にあるのかなと、こういうふうに思っております。
  34. 朝日俊弘

    朝日俊弘君 是非、ある時期に一定の考え方を改めてお示しをいただいた方がいいかなというふうに思います。よろしくお願いします。  以上で地方財政にかかわる課題については一区切りをしまして、次に、残された時間、郵政事業についての質問に入らせていただきます。  郵政事業についての決算状況についてお伺いするつもりですが、その前にどうしても伺っておきたい点がございます。それは、本年三月に公表されましたが、いわゆる特定郵便局にかかわる渡切費の不適切な経理の問題についてどうしても伺っておかなければいけません。これは平成十二年、そして一部平成十三年にもかかわっているお話のようであります。今回の決算委員会審査の中で平成十二年における一つの問題点というふうに私は受け止めておりますので、そういう問題意識からこの点について改めてお伺いをいたします。  まず最初に、この問題について郵政監察によって調査、及びその調査に基づいて一定の処分がなされたというふうに新聞で報道されております。その概要についてまず御説明をいただきたいと思います。
  35. 松井浩

    政府参考人(松井浩君) お答え申し上げます。  御指摘の、三月に公表いたしました郵政監察による調査、それからその処分の概要についてでございますが、調査は、総務大臣の指示によりまして、東北管内とそれからその他の管内とちょっと対応を分けた調査をしております。東北管内につきましては、郵政事業庁の本庁の首席監察官室と、それから東北管内で担当しております東北郵政監察局で特別調査チームを編成したところでございます。それから、その他の管内は、それぞれ地方郵政監察局がございますので、それが担当いたしました。  そうして、対象でございますが、全国に二百三十八の特推連の会長局に支給されました渡切費のうち、平成十二年度及び平成十三年度上半期の特推連各局共通の施策経費、その使用について調査を行ったものでございます。  次に、調査方法について申し上げますが、特推連経費につきましては、支給目的に沿って正当な目的に使用されているか、また適正な経理が行われているかどうか、その実態について調査を行ったところでございます。  具体的に申しますと、一定金額以上の、原則としては五万円程度ということでございますが、それ以上の領収書を基に、一件一件の支払について、契約にかかわる購入、それから支払金額、支払月日、それが事実と間違いないか、これにつきまして支払先に対して文書照会を行うとともに、必要に応じて監察官による訪問調査を行ったところでございます。  次に、調査結果でございますが、全国二百三十八の会長局のうち、一部の郵便局で不適正な経理とそれから事務処理上の遺漏が判明しております。  具体的に更に申しますと、まず一つのパターンは、領収書の水増し又は架空領収書による経費の捻出を行うなどの不適正な経理が判明しております。これは十六の郵便局、十六局、その会長局のうち十六局、七十五件、金額にいたしますと三千八百七十二万円でございます。次に、証拠書の亡失等の遺漏が判明したものが四局で四件でございます。そのほか、次は領収書、物品購入受け払い記録簿等の記載不備など事務処理の遺漏、これが四十三局、五十八件でございました。  このような不適正経理で捻出した経費でございますが、じゃ、どういう目的に使われていたのかということでございますが、研修会終了後の懇親あるいは営業打合せ会後の懇親、連絡会、役員会後の懇親、あるいは奨励物品やそれから自治会だとか、あるいは郵便友の会、そういうのとか、預金者の会だとか、いろいろ事業協力者への謝礼物品の購入、こういったものに使用されておりました。  この調査結果に基づきまして、不適正な経理を行った特定郵便局長に対しその金額の返還を求めるということが一つございました。それから、既に退職した者を除いて十一名を停職とか減給等の処分にしております。さらに、これらの者を管理監督する立場にありました地方郵政局の局長とか次長とか財務部長だとか、そういった幹部に対して厳重注意を行っております。十八名でございます、そういう管理監督の立場にあった者としては十八名でございますが、厳重注意を行っております。  これが経過でございますが、その発表を三月にさせていただいたところでございます。  いずれにしましても、この郵政事業の実施を所管する責任者としては誠に遺憾だと申し上げるしかございません。そして、国民の皆様にもおわび申し上げたいということと、それからあと、この再発防止のための努力をしているところでございます。
  36. 朝日俊弘

    朝日俊弘君 概要を今御説明をいただいたわけですが、その後の新聞報道などを見ますと、一体これで本当に一件落着なのと、余りにも身内に甘いんじゃないのという指摘が実は新聞報道などではされているわけですね。  そこで、関連して、今後どうするかということも含めて幾つかお尋ねしておきたいんですが、まず、今回お聞きしましたら、調査は平成十二年度及び十三年度の上半期が対象であったと。しかし、その証拠書類の保存期間について、従来は三年間というふうにされていたのが、平成十二年の九月から一年間でよろしいというふうに短縮された。しかし、今年の二月、十四年の二月に会計検査院からの指摘等もあってまた三年に延ばしたという経緯があって、証拠書類が保存されていない部分もあるやにお聞きします。  一体何でこんなふうに、三年だ、一年だ、三年だというふうに便宜主義的に変わってきたのか、その経過と理由について御説明ください。
  37. 松井浩

    政府参考人(松井浩君) お答え申し上げます。  いろいろそういった御疑念をいただいたことはございますが、率直に経過を申し上げますと、まず平成十二年の九月の時点で通達をもちまして関係書類の保存期間を三年から一年にしたわけでございますが、その背景を申し上げますと、御案内のように、十三年の一月から新省庁になることになりました。当時の郵政省と、それから自治省、それから総務庁ですね、三省庁が合併するという省庁再編が既に決まっておりました。その過程でいろんな見直しをしております。つまり、例えば職員の処遇についてどうするかとか名称をどうするかだとか、いろんなことを見直しを、あらゆる見直しをやりました。それが一つ背景にございます。その一環としてそういった書類の、まあ立案だとかみんなあるんですが、保存期間等の見直しもやっております。  もう一つ、私、前にほかの委員会で答弁させていただきましたときに申し忘れたことがありますが、これは直接的には、特定局で日常に郵便、貯金、保険、大変なお客様がございます。かつ三、四人でやっている、極端な例では二人で、局長一人職員一人と、そういうところもあります。そういう中で、大変事務が頻繁に生ずる中での処理でございますので、局舎も非常に狭い、そういう状況で、事務の簡素化、それからスペースの効率利用を厳しく求められるところでございます、そういう面では。  その背景として、私は当時、郵務局長、郵便担当の郵務局長をやっておりましたが、大変な郵便の事業の赤字が、六百億、五百億という赤字が出る、そういう状況でございました。それは基本的には景気が急激に落ち込んだだとか消費税の部分をのみ込んだだとか、いろいろありますが、いずれにしろ税金をいただかないで独立採算を維持していかなきゃいかぬ郵便事業としては必死な思いで、郵便事業だけで一万五千人の定員をカットする、それからそのときも、物件費だとか電気の節約、通信費の節約、あらゆる節約をやってしのぐしかなかった。そういう中で、労働組合の協力も得ていろいろビジョン作りをしておりました。そういう背景の中で、事務の、権限の委譲もございます、いろいろ図っておりますが、そういう中で各種書類等の保管スペースの確保も重要な問題でございますので、そういう観点から三年を一年にするということをやっております。  そのほかにもまたございますが、これは直接的には会計法上の証拠書類という形にはなっておりませんが、事務的にはいろいろ保存してきたものでございますが、私どもとしては、特定局に対して会計監査だとかそれから監察官による業務考査だとか、こういうことをやっておりますので、毎年一回程度は実施しているということで、保存期間を変更しても特段の支障は出ないんじゃないかというのが当時の判断でございます。  それから、先ほど申しましたように、法令上の帳簿ではなくて事務処理上の補助簿でございますので、そういうこともございました。そういうことで、三年から一年にするという当時の判断がされたものでございます。  あと、先生御指摘の、その後変えたじゃないか、こういう話でございますが、これは御指摘の検査院との関係もございますが、平成十二年度決算検査報告の中で、過去に遡及した、さかのぼった原因究明が必要とされるような会計処理上の問題があった場合に備えてこの保存期間を延長することが望ましいと、つまりさかのぼってやるときに支障が出ることがあるというお話がございました。  その前に、当時、思い起こしますと、十三年の十月二十四日に読売新聞で渡切費の問題について大きく取り上げられたり、それから同じく朝日新聞だとか、ほかの新聞でもそういう話がございました。そういう中での話でございまして、支障があると言われればそれは協力するのが筋である。私、当時は総務省郵政企画管理局長をやっておりましたけれども、そういうふうなことで、それは協力するんだろうというふうに考えまして、一年を三年に延ばした。それが、そういう当時の背景と経過が、つぶさに申し上げていなければ何か便宜主義的にやったように見えるかもしれませんが、その時点時点の判断としては精一杯の判断をしてきたんだと思っております。  いずれにしろ、批判は御批判としてこれからまたきちっとやるわけでございますが、そういうことで、詰めて申し上げますと、私どもの立場で内部監査を行う上では特段の支障はなかったと。しかし、そういうふうに検査院のお立場からしてさかのぼって追及することもあるじゃないかと、これはこれで受け止めなければならぬ、こういうことでございます。
  38. 朝日俊弘

    朝日俊弘君 ちょっと説明が長い。  その内部監察の在り方そのものについて批判も向けられているわけですから、ちょっとそこのところは、弁解に終始するのではなくて、今後どうするのかというところで明確に対応を出していただきたいなと、こんなふうに思います。  そこで、こういうことがありまして、平成十四年度から、ある意味では前倒しのような形で渡切費の制度廃止する、そして新しい、ちょっと私も詳しくはよく分からないんですが、需品費という制度に切り替えてやっていくと、こういう対応をされているようでありますが、具体的にどういう方策に切り替えられたのか、新しい制度なり方策によってこれまで以上に郵政監察がきちんと行われるようになるのかどうか、今後の問題についてお尋ねします。
  39. 團宏明

    政府参考人(團宏明君) 御指摘の渡切費の廃止、それから新しい制度について、制度を担当しておりますので御説明申し上げたいと思います。  御指摘のとおり、これまで特定郵便局それから小規模普通局というものの業務運営経費につきましては渡切費ということで措置してまいりましたけれども、今御指摘のようないろいろな課題が出てまいりましたので、十三年度限りでこれを廃止しまして、本十四年度から、これは一般の普通郵便局の予算科目と同じ需品費というものに統合しまして、こういう小局の扱いはやめまして、同じ扱いにしたものでございます。  そこで、どう違ってくるかということでございますけれども、これは新しい会計処理におきましては、まず個別の支払契約ごとに会計法令に基づき文書処理を行うというふうなことでございます。  渡切費の場合は、まず一括した処理を行って、あと補助簿的に処理をしていくということでございますが、それが違ってまいります。それから二番目に、支払の証拠書類が、そのものを郵便局から共通事務センターという一つの管理機構に送付いたしまして、そのセンターで支払内容をチェックするということになりました。それから三つ目に、支払の証拠書類でございますけれども、これは検査のために会計検査院に提出するというふうなことになりました。  この三点の違いがございまして、これが普通局の一般並みの扱いでございますが、こういう処理によりまして透明性とチェック機能が強化されたというふうに考えております。  なお、小局ということで二名局、三名局もありますので、その事務煩瑣ということもありますけれども、そこは今郵便局の努力によってこれを処理しているという状況でございます。
  40. 朝日俊弘

    朝日俊弘君 それじゃ関連して、この件について会計検査院にお伺いしたいと思います。  平成十二年度決算検査報告に特別検査対象として「郵政官署における渡切費制度について」という報告が掲載されております。  まず、この検査の経過なりあるいはその内容について概要を御説明ください。
  41. 円谷智彦

    説明員(円谷智彦君) 渡切費は予算執行上の特例として認められているものでございます。ただ、この支給額が十二年度までの五年間で年間九百億円を超えるという非常に多額の予算額で推移しておりました。したがいまして、その使途につきましては透明性に十分配慮する要があるということと、もう一つは、その制度自体につきまして在り方そのものがどうなのかという議論が当時なされていたということで、十三年次の検査におきまして、渡切費制度の運用の実態につきまして、北海道郵政局ほか十一郵政局及び十一集中処理局を中心に検査するとともに、特定郵便局等約三十局に実地に赴きまして検査を実施いたしました。  その結果、特定郵便局以外の普通局に対する渡切費支給の実態、あるいはその渡切経費整理簿等の証憑類の保存期限等、今御質問ありましたようなそういう保存期限等の問題、あるいはそのもろもろの制度運用上の問題点、あるいはいわゆる特推連に対する渡切費の支給の実態等につきまして、その検査の状況を特定検査対象ということで昨年度の検査報告に掲記したところでございます。
  42. 朝日俊弘

    朝日俊弘君 それで、平成十二年度決算検査報告に今御説明があったような内容で御報告があったわけですが、私の印象では、それでこの問題一件落着というか、問題点、十分に解明をされ、また具体的な対応策が示されているというふうにには理解できないんですね。ですから、例えば平成十三年度の下半期の部分はどうなっていたのかという課題も残っていると思いますので、その十二年度決算検査報告で報告された中身を踏まえて今後の決算の検査についてどんなふうにお考えでしょうか。  私としては、残された平成十三年度の下半期の課題も含めて、さらには、新しい制度に変わったけれども、そのことによってどうなるのか、フォローアップも含めて取り組んでいただきたいというふうに思っているわけですが、この点について会計検査院のお考えをお聞かせください。
  43. 円谷智彦

    説明員(円谷智彦君) 昨年の検査におきましては渡切費制度の運用が適切に行われているかどうかという観点から検査を実施したところでございますけれども、その後、この渡切費が不適正に使用されているといったような報道がなされたり、先ほど郵政事業庁の方から御報告がありましたように、郵政事業庁の調査におきましても不適正な経理が判明したということでございます。  そこで、本院におきましては、本年の検査におきまして十二年度、十三年度を対象といたしまして渡切費が支給目的に沿って適正に使用されているかどうかについて検査を実施することといたしまして、これまでに特推連の会長局等、いわゆる役員局を主な対象といたしまして、すべての郵政局管内の約四百七十の特定郵便局等につきまして検査を実施したところでございます。  現在、引き続き、支出の相手方でございます納入業者等に直接聞き取りを行うなどして、支出が適正に行われたかどうかの照合、確認作業を行っているところでございます。  郵政官署におきます渡切費につきましては、今お話がありましたように、十四年度から予算廃止されまして、需品費ということになったわけでございますが、この需品費につきましては支出の原則にのっとった経理処理がなされますので、領収書等証拠書類につきましては、計算証明規則に基づきまして、すべて本院に提出されることになっております。したがいまして、今後の検査に当たりましては、これまでの経緯を十分踏まえまして、提出を受けたこれら証拠書類の書面検査を行うなどいたしまして、検査に遺漏のないようにしていきたいというふうに考えております。
  44. 朝日俊弘

    朝日俊弘君 是非、フォローアップ等、必要に応じて再度の報告をいただければというふうに思います。  それでは、この渡切費の問題について最後に大臣の所見を伺いたいと思うんですが、結局、今ずっと御説明をいただいているんですが、率直な印象はいまいちすっきりしてないなという感じがあるんですよね。マスコミ等の論調はもっと厳しくて、やっぱり内部監察、身内に甘い、ちゃんと機能していないんじゃないかという指摘などもされているわけです。是非、そういう意味では、そういう厳しい指摘があるということを踏まえながら、このような問題が起こったこと、そして今後起こらないようにしていくためにどのような具体的な改革に取り組んでいかれようとしているのか、大臣のお考えをお聞かせください。
  45. 松井浩

    政府参考人(松井浩君) 申し訳ありません、大臣答弁の前に一言だけ補足させていただきたいと思いますが、今後の対応の中で、先生御指摘のように、これまでの点検は関係帳簿とか領収書などの書類面のチェックが中心でございまして、支払先までの確認をするという、それが抜けておりました。  それで、今回の経験を踏まえまして、今後の、十四年度からは、渡切費を廃止したのは当然でございますが、実際に郵便局に回ったパトロールの調査の中でも、支払先に対しまして、契約内容が事実と相違ないかを調査する、状況によってはもちろん訪問調査もやる、実地調査もやるということで必ず入れていくということに変えておりますので、大分変わるというふうに思っております。
  46. 片山虎之助

    国務大臣片山虎之助君) この渡切経費についてはいろんな御指摘を国会でもずっといただきまして、そこで私はもう本年度からやめろと、こういうことで十四年度から廃止いたしました。やり方については長官からるるお話がございましたが。  こういうことで国民の皆さんに疑惑を持たれる、信頼性を欠くということは大変遺憾でございますので、今後は是非ないようにいたしたいと。特に、来年度から公社になるわけでございまして、今度は監事というのを作るんですよね、公社の中に。監事が監察をやる。それから、監察というのがありますよね、郵政監察局、これをどういう仕組みにするか今検討中でございますけれども、これもやっぱり機能してもらうと。それから、外部監査も考えておりまして、そういう意味ではかなり厳重にいろんなチェックをしていこうと、こう思っておりますし、この共通事務センターも活用しようと考えておりまして、こういう疑惑を持たれるようなことは二度とないように今後とも適正な体制を取ってまいりたいと考えております。
  47. 朝日俊弘

    朝日俊弘君 是非お願いをしたいと思います。  じゃ最後に、時間も大分なくなってきましたので、ちょっと予定した質問を全部こなし切れないかもしれませんが、郵政事業に係る問題について幾つかお尋ねをしたいと思います。  昨日、今日の新聞を見ますと、郵政の公社化のその先をどうするかの議論が随分とにぎやかに報道されていまして、その話もお伺いしようかと思ったんですが、これはもう少し先の話にちょっと楽しみに取っておきまして、もう少し目前の公社化に向けて、改めて郵政事業の実態というか、あるいは、とりわけ収支決算状況はどうなっているのかという点に絞って幾つかお尋ねをしたいと、こんなふうに思います。  そこで、まず、御存じのとおり、郵政事業、郵便と郵貯と簡保とあるわけですが、郵便事業について決算状況をお尋ねします。  まず、二つのポイントでまとめてお答えください。  一つは、平成十一年、十二年の事業決算の概要、主な特徴について御説明をいただきたいと思います。かなり事前の御説明では厳しい決算状況であるというふうに伺っておりますが、その点について、まず第一のポイントとしてお尋ねをしたい。  そして、その次に、併せてお答えをいただきたいと思いますが、最近、平成十三年度決算が公表されました。私、それを見て、おやというか、少々びっくりしたんですが、予算見込み以上に黒字に転化をしてきているということで、今どきこういう話は珍しいなと思っていたわけですが、その辺、どういう御努力の結果としてこうなったのか。十一、十二の部分、そして十三の部分と、二つのポイントに分けて御説明をいただければと思います。
  48. 團宏明

    政府参考人(團宏明君) お答えいたします。  まず、平成十一年、十二年度の郵便事業事業決算の概要でございます。  簡単に申し上げますが、平成十一年度でございますが、まず、収益につきましてはほぼ横ばいで、〇・三%増ということでございました。一方、費用につきましては、ボーナス支給月数の〇・三月分引下げということ等がございまして、伸び率がほぼゼロであるというようなことでございまして、その結果の損益は五百五十三億円の欠損ということで、前年度よりは七十二億円縮小したというのが十一年度でございます。  十二年度につきましても、収益につきましては、景気が厳しいという状況の中でいろんな努力はいたしましたけれども、収益については前年度並みであったということでございます。費用につきましては、これは定員削減、定員を千二百十一人削減する、そのほかボーナス支給月数の〇・二五月分引下げと、それから専用自動車による郵便物輸送コストの節減など経費全般の節減を図りまして、前年度比二・〇%減、四百六十七億円の減というふうな削減を図りまして、その結果、損益は百億円の欠損というふうになったわけでございまして、この時点で累積利益金が千二百二十六億円となったということが十一年度、十二年度でございます。  続きまして、十三年度決算、発表させていただいておりますが、予算段階では、御指摘のとおり、約三百億円の赤字という見込みでございましたが、結果的には決算は約八十億円の黒字というふうに転化しているわけでございます。  この内容でございますけれども、これにつきましては、収益につきましては二年間横ばいでございましたけれども、やはり景気の一段の悪化によりまして、実は収益は一・六%、約三百四十九億円の減というふうな減収になったわけでございます。  これに対応するために、費用につきまして大幅な削減努力を行っているわけでございます。その内容でございますけれども、大きく分けますと人件費で百九十七億円、物件費で二百八十五億円の前年比の削減を行ったということでございます。  人件費について申しますと、主たるものは定員の削減による基本給の減、それからボーナスの支給月数〇・〇五月分の減とその他の手当の減ということでございます。それから、物件費についてまいりますと、専用自動車の請負料の値下げ、それから用品購入等経費の削減と、こういうものでございまして、集配運送費といったものが八十三億円、用品購入等経費が百二十六億円と、その他、特定局の借料の引下げ等を含めまして、物件費が二百八十五億円の削減を行ったというふうなことでございます。  これによりまして、十三年度の累積利益金は千三百六億円というふうになっております。全般に郵便の収入が伸び悩むないし減収の傾向で、こういうコストの削減によってこの収支のバランスを保つという努力を行ってきた結果でございます。
  49. 朝日俊弘

    朝日俊弘君 細かい点については触れる時間がなかったと思いますけれども、相当コスト削減に向けて頑張られたというか、無理をなさったというか、そんな感じがしてならないんですが。  さて、そこで、御存じのとおり、平成十五年度から公社に移行しますが、今年度平成十四年の収支見通しも見てみないといけないのだと思いますが、十一、十二、十三という収支決算状況、トレンドを踏まえながら、公社へ移行する段階でこの収支の見通しをどんなふうにお持ちなのか。公社化されれば決算処理上新たな課題も出てくるというふうに思いますから、今までと同じようなベースの収支決算という形にはならないとは思いますが、しかし基本的にはこの経営の状況というのは引き継がれていくと思いますので、平成十五年度公社化を見通して、その中に、そこにおける収支見通し、あるいは想定される問題点なり課題なりというのをございましたらお聞かせください。
  50. 松井浩

    政府参考人(松井浩君) お答え申し上げます。  大変、先ほどもちょっと申しましたが、郵便事業の損益というのが、独立採算を旨とする新たな、今もそうですが、新たな公社においてはより厳しく求められるということで心配なところでございます。十四年度の今のベースでの損益では、予算では十億円の黒字を計上させていただいております。ただ、今年に入ってから、この四月以降の数字を見てみますと、収入が思った以上に減収が大きくなっております。  例えば、端的に申しますと、累計ベースで申しますと、対前年で三・九%のマイナス、この四か月分だけで二百四十億円昨年に比べて減っているという状況でございまして、郵便物そのものはこれまで微増で、そして収入が微減というのがこの推移でございました。それを上回る経費削減をしなければならなかったのが今までの郵便事業でございますが、収入ががくんと減ってまいりました。ただ、私どもだけでもないんですが、民間のトラックだとか、あるいは第三次産業だとか、他の数字もそのような、もうちょっと厳しいのもありますが、そういう状況になっております。  そういう意味で、これから収入の増を図る施策とそれから経費の節減を図る施策、これが大変重要になってまいります。そういうことで、見通しとしてはなかなか厳しい、予断を許さない状況になっているなというふうにまず率直に申し上げたいと思います。  それから、さらに、平成十五年度になりますと、新しい公社のスタートでございますが、郵便事業への民間参入が制度的に導入されます。そういう中で、それを控えてもう既に動きは始まっておりますけれども、民間のメール便の一層の伸びだとか、あるいはIT化だとか、あるいは金銭関係のeビリングだとか、そういったものでさらに公社の収入という面で見ますと厳しい状況が予想されます。  そういう中で、独立採算制の下でユニバーサルサービスを提供するという郵便事業の使命を引き続き果たしていくためには、自律的、弾力的な公社の仕組みを生かして、お客様のニーズにこたえる商品サービスの提供あるいは営業体制の強化、そういった施策、それに人件費、物件費の経費の節減ということが必要になってまいると思います。  なお、ベースが現在は発生主義的な要素も取り入れておりますが、公社になりますと完全な発生主義になりますから、御指摘のように、経費の立て方がかなり変わるものが出てまいります。そういう点も踏まえても楽観を許さないという状況でございます。
  51. 朝日俊弘

    朝日俊弘君 ありがとうございました。  時間がなくなってきましたので、ちょっとあとの質問は幾つか省略、取りまとめて質問します。  次にお伺いしたかったのは、郵貯の事業そして簡保の事業、それぞれにお伺いをしたかったんですが、それぞれにお伺いするのは省略をしまして、郵貯と簡保に共通する問題で、現在、事業団に寄託金という形で資金を預託して、例えば株式とか一定の運用に充てているという部分がありますね。これは郵貯の部分からもあるし、簡保の部分からもある。その部分中身を少しく御説明をいただきましたら、時価で計算をし直しますと、相当、特に株式の部分については含み損が生じているということが明らかです。  さて、こういう問題、今後どういうふうに改善をしていくのかということと、事業団に今委託をしている部分について、公社化されて以降はどんなふうにされようとしているのか。そのときには、もしかするともろに含み損が影響してくることになりはしないかというふうにも思いますが、この点について、郵貯と簡保の両事業に共通する課題として、事業団が運用している部分の含み損問題についてどう考えるか、お聞かせください。
  52. 團宏明

    政府参考人(團宏明君) 郵貯、簡保の指定単運用の問題だというふうに思います。  御指摘の寄託金ということでございますけれども、これにつきましては、元々、郵貯、簡保本体が国の事業ということで、株式等への運用は直接やるのは適当でないということで、簡保事業団を通じまして、さらに民間金融機関の運用能力を活用して補完的に実施するというのが指定単の運用でございます。これにつきましては、債券の動きとこういう株式の動きというのは逆に動くということで、ポートフォリオ的にそういうのを分散投資するのが適当だという考え方で始められたものでございます。  その仕組みにつきましては、簡保事業団が信託銀行に対しまして運用資産の種類や割合などの指定を行いまして、その範囲内で信託銀行が自らの投資判断に基づき運用するという仕組みで行ってきているものでございます。  そこの結果でございますが、御指摘のとおり、非常に株式市場の異常な下落傾向ということがありまして、この十三年度末現在で、指定単運用におきましては、郵貯は一兆四千八百六十五億円、簡保は四兆一千六百二億円の評価損を生じておりまして、これは公表しているところでございます。  先ほど申しました分散運用という観点から見ますと評価損ございますけれども、本体運用におきましては債券による評価益というものがございます。さらに、郵貯につきましては積立金及び価格変動金を約二兆円、簡保は価格変動準備金等の内部留保を約三・三兆円確保しておりまして、こういう資産全体の評価の損益と、それからこういう準備金によりまして、郵貯における預金者への貯金の支払、簡保の加入者への保険金の支払については全く支障がないという状況ではございます。  それから、公社化ということになりましたので、先ほど申しました、今度は公社自身がこういうものの直接運用ができるというふうになります。したがいまして、この簡保事業団というものを廃止するということにしておりまして、従来簡保事業団が持っておりました指定単の資産は時価で公社が承継するというふうなことで予定しております。  この結果、指定単の評価損につきましては、公社移行時点におきまして郵貯・簡保資産全体の中でいったん解消されるというふうになりまして、さらにその後、公社が直接委託運用を行うということになるわけでございます。で、今の仕組みは変わりませんので、委託者、これから公社が委託者になりますので、これからも具体的な運用を指図はできないというふうなことの仕組みは変わりませんけれども、しかし、受託者間の競争を促進すると、こういうふうなことによりまして運用のパフォーマンスを上げるという努力が必要じゃないかというふうなことで考えておりまして、具体的には、評価基準というものを設定しまして、委託先の増額、減額、こういうものを含めまして資金の再配分を行うということも公社の体制において検討してまいりたいというふうに考えております。  このような観点から、先般、平成十三年度の各信託銀行の運用実績ということを銀行ごとに公表するというふうなことをやっておりまして、こういうことによりまして受託しております銀行間の競争の促進ということも図ってまいりたいというふうに考えているところでございます。
  53. 朝日俊弘

    朝日俊弘君 時間がなくなりましたので、最後に、十五年、公社化に向けて大臣の御決意を伺いたいと思います。  もちろん、経営の効率化を図っていくという、同時に、やっぱりサービスの質の確保というか、大変難しい課題を背負っての公社化だと思います。想定される問題なども含めて決意を最後にお伺いをして、私の質問を終わりたいと思います。
  54. 片山虎之助

    国務大臣片山虎之助君) 御承知のように、郵政改革関連四法案を通していただいて、来年の四月から公社化に移行すると、こういうことで、候補者になっていただく方も内定いたしましたので早急に正式に発令いたしたいと思いますし、また法律に基づく政省令その他、そういう準備も早急にしなければならないと、こう思っておりますが、委員も言われましたように、公社になってよかったな、公社になってサービスも向上したと、こういうふうに国民の皆さんに言っていただけるような公社を目指したいと。そのために公社というああいう仕組みを採用することにいたしたわけでありますから、その意味ではいろんな努力もしてまいりますけれども、公社に行きます、大部分郵政事業庁の職員が行くわけでありますけれども、意識もしっかりと改革をして、国民の期待にこたえる公社になっていただくように今後とも努力してまいりたいと思っております。
  55. 朝日俊弘

    朝日俊弘君 ありがとうございました。
  56. 遠山清彦

    ○遠山清彦君 公明党の遠山清彦でございます。  本日、決算委員会総務省関係ということで、私、総務省関係の質問は、大臣、初めてさせていただくということで、至らないところあるかもしれませんけれども、どうかひとつよろしくお願いいたします。  現在、我が国の電話利用におきましては、これまでの固定電話中心から、携帯電話でありますとかこういったPHSであるとか、こういう移動系の通信に重心が移ってきてまいりまして、最近では、大臣よく御存じのとおり、インターネット上で音声を送る技術を生かしたIP電話というものが出てまいりまして、そちらへの重心の移行が指摘されているわけでございます。  このうち携帯電話、今日のメーントピックでありますけれども、私の質問の、この利用者数についてはある意味急激に増加をしてきておりまして、総務省が今月発表した数字によりますと、今年の七月末時点での携帯電話加入数は七千百二十四万となっているわけでありまして、子供も含めてではありますけれども、もう国民の約六割が携帯電話を持っている、利用している状況にございます。  平成十二年十一月に携帯電話とPHSを合わせた移動系通信の利用者数が固定電話の利用者数を超えたわけでありますけれども、平成十三年度の末、昨年の末にはその差が、利用者数の差が約一千三百五十万ということになってきておりまして、大変に、もう若者の中には固定電話を持たずに携帯電話オンリーで暮らす方も現われてきているというような状況でございます。  この携帯電話については、最近では迷惑メールでありますとかあるいはワン切りといった問題があるわけでありますけれども、私は、本日はこの携帯電話の通話料金、また接続料金の問題を中心として議論さしていただきたいというふうに思います。  最初の質問でございますけれども、電話の通話料金につきましては、昭和六十年に電気通信への競争が導入されて以降、固定電話の遠距離通話を中心として大幅な料金の低下が進んできていると理解をしております。また同時に、国際電話に関しても競争原理が導入されて、同様に料金の低下が進んできているというふうに理解をしておりますが、携帯電話の通話料金についてはこの間どのように推移してきているのか、概要を簡潔に御説明いただきたいと思います。
  57. 鍋倉真一

    政府参考人(鍋倉真一君) 各携帯電話事業者の通話料金も低下をしてきております。ただ、先生おっしゃるとおり、確かに固定電話だとか、あるいは長距離電話だとかあるいは国際通信に比べると減少幅は少ないかもしれませんが、ちょっと数字で申し上げますけれども、ここ五年間で平均約四割弱ということでございまして、これは平成九年八月とこの十四年の八月で比べてみますと、ほとんどの会社が、いや全部の会社が九年には百三十円であったものが、十四年の八月、今現在で比べてみますと、百円、八十円、七十円ということで、約四割弱の引下げということになっております。
  58. 遠山清彦

    ○遠山清彦君 それで、分かりました、料金の低下、進んできているということなんですけれども。  次の質問は、最近新聞でももう既に報道されている問題でございますけれども、携帯電話の端末から固定電話の端末に電話をした場合と、同じ施設と回線を使って逆に掛けた場合と、通話料金には以前から違いがあるという問題が指摘されております。  平日昼間三分通話した場合で見ますと、私今日ちょっとパネルを持ってまいりましたのでパネルを提示さしていただいてちょっと議論をしたいと思うんですけれども、(図表掲示)NTTドコモの携帯から固定に掛けた場合には、これはちなみに日刊工業新聞の記事から私借用してこのパネル作っているわけでありますけれども、NTTドコモの場合は、携帯から固定に掛けた場合は七十円、固定から携帯に掛けた場合には八十円と、十円の料金の差がございます。さらに、KDDとかJフォンとかツーカーとか他社になりますと、この差、大変に大きいものがございまして、携帯発固定着の場合には、それぞれ若干幅があるわけですけれども、九十円から八十円、まあ時間、場合によっては百二十円ということになるわけでありますけれども、固定電話から携帯に掛ける際には一律で、こちら百二十円ということになっているわけでございます。  これで、私思うんですけれども、固定電話の、マイラインなんかのインターネットを見ますと、固定電話の通話料金は、もう八・五円か八・四円か八・二円かみたいな、円単位以下で競争をして消費者の獲得をしているわけですね。  その中でこの状況は、本当にドコモとそれ以外で四十円の差が固定発携帯着の場合ありまして、また同じ回線を使って、つまり私がこの委員会の外から自分の事務所に携帯電話で掛けた場合と事務所が私の携帯に掛けた場合と料金の差が違うと。同じ施設を使っていて、これはどうしてこういうことになるのかと。また、固定発携帯着の料金を見ますと、八十円と残り全部百二十円ということで、全く競争効果が見られないというふうに思われますけれども、この問題について、まずは、だから同じ回線を使うのに上りと下りで料金が違うということについて御見解をいただきたいと思います。
  59. 鍋倉真一

    政府参考人(鍋倉真一君) ちょっと先ほどのお答えは携帯電話から固定の電話でしたけれども、固定発携帯につきましてもこの五年間で差が非常に下がることは下がってきております。先生これは御承知だろうと思います。  平成九年の八月では二百円でありましたものが、先生今パネルでお示しいただきましたように、八十円、百二十円、百十円ということになってきておりますが、ただ、先生おっしゃるように、携帯発固定と固定発携帯の料金が違うということは、行き、往復で違っていて、施設使うのは同じでございますので、先生のおっしゃることは私どもも非常に重々同じ考えを持っておりまして、そういうことで、実は平成十三年の二月に、この時期ではもっと高くて、八十円、百七十円、百八十円と、こういう状況でございました。ですから、もっと固定発携帯と携帯発固定との差が大きかったわけでございますが、私ども、ドコモがほとんど差がございませんので、ドコモを除きましてほかの三社、非常に格差が大きいということで、十三年の二月に、次の料金改定をするときにはなるべくこの格差をなくすように、縮小するように、あるいは解消するよう取り組むようにという行政指導を行っております。  その結果、本年三月に各社料金改定をやる時期がございまして、その時期になって改定をしたのが今、先生パネルでお示ししたものでございますが、まだ若干差がございます。前よりは差がなくなりましたけれども、差がございますので、引き続き私ども行政指導を継続してまいりたいというふうに思っております。
  60. 遠山清彦

    ○遠山清彦君 是非お願いしたいと思います。  今もう行政指導をされているということだったんですけれども、私もいろいろ調べておりましたら、平成十二年十二月二十一日に、ちょっと長いんですけれども、この名前が、「電気通信事業法の一部を改正する法律附則第十五条を踏まえた接続ルールの見直しについて」の第一次答申という中でこの問題が、要するに往復で料金が違うという問題が指摘されておりまして、この中で、ちょっと引用しますと、「双方の通話について使用設備に差がないことを考え併せると利用者にとって理解しにくい」と、このことがですね、「ことから、今後携帯電話事業者において、固定電話発信・携帯電話着信の料金を引き下げる方向で是正していくことが必要と考えられる。」と。  これ、既にもう今から約一年半前にこういうふうに指摘をされているわけで、それから、局長おっしゃったとおり、改善が見られてきているわけですけれども、まだマイラインで〇・一円とか二円を争っている時代に四十円とか差を付けているというのは、ある意味ユーザー側から見れば非常に言語道断であるというふうに私は思っておりますので、是非そこの手当て大臣のリーダーシップでしっかりやっていただきたいと思います。  それから、またちょっとパネルを出しますが、これじゃないですね、済みません。こちらの先ほどのパネルを見ますと、往復で料金が違うという問題と同時に、携帯電話会社間でも料金が当然違うわけですね。これは固定発から携帯着に限ってちょっと考えたいんですが、ところが、〇九〇で始まる番号を見ても、一般の人はどうも、業界の方は分かるそうなんですけれども、私も含めて一般の人は、携帯電話の相手の番号を見ても相手がどの携帯電話の会社を使っているか分からないんですね。  ということは、固定電話から友人の携帯に掛ける際に、その友人がドコモを使っているのかKDDを使っているのかJフォンを使っているのか分からないまま掛けますから、ということは、都合ですね、一体三分間で幾らの通話料を払いながら自分がしゃべっているのかというのが厳密には分からないと。この問題は、自分たちが使っている固定電話の会社が携帯電話に掛けたときの料金をユーザーに周知徹底していないんではないかというふうに思っているんですけれども、その点の問題について総務省の見解はいかがでしょうか。
  61. 鍋倉真一

    政府参考人(鍋倉真一君) 先生おっしゃるとおり、私もそうですけれども、固定から携帯に掛けます場合に、相手の携帯がどの会社を使っているのかというのは確かに通常意識しないで通話をしております。そういうことで、固定発携帯の料金がなかなか分かりにくいのではないかということでございますが、固定発携帯の料金につきましても、携帯電話会社は契約約款には当然記載しているわけでございますし、ウェブ上でも公表はしております。  ただ、確かにもっと積極的に引き続きその周知活動といいますか、料金が幾ら掛かりますということは周知活動を行っていく必要があるんじゃないかなというふうに私どもも思っております。
  62. 遠山清彦

    ○遠山清彦君 分かりました。非常に前向きな御答弁、ありがとうございます、局長。  それで、次の質問から核心に入ってまいりますので、是非片山大臣お答えいただきたいと思いますが、次の新しいパネルをちょっと出しながら、私の質問を大臣に分かっていただけるように御説明したいと思いますが、(図表掲示)最近新聞で、七月三十一日の朝日とか八月八日の日刊工業、あるいは十六日の日経産業などの各紙で報道されておるんですが、平成電電とかあるいはケーブル・アンド・ワイヤレスIDCなどの会社が、いわゆる固定電話から、この下の段ですけれども、固定電話から携帯に電話をする際の通話料金の設定権に関して、特にNTTドコモさんを念頭に置いているわけですけれども、ドコモの接続約款について裁定の申入れやあるいは変更命令の要請といったような申入れが行われておりまして、これはもう大臣よく御存じのことだというふうに思うんですけれども。  それで、問題はどういうことかというと、要するに、このNTTドコモの契約約款では、携帯電話から固定電話に掛けた場合あるいは携帯電話に掛けた場合、これは上の段ですね、つまり携帯から携帯に掛ける場合も、携帯から固定電話に掛ける場合も、携帯で国際電話、これはちょっといろいろ中身複雑みたいですけれども、ユーザーから見た、一般ユーザーから見た単純な発想でいくと、携帯から携帯、携帯から固定、携帯から国際電話、全部通話料金の設定権は発信側、つまり携帯電話会社側にあるわけです。  固定電話から掛ける場合を見てみますと、固定から固定に掛ける場合、これは発信側ですね、発信事業者。固定から国際電話も発信側。ところが、びっくりしたことに、固定から携帯に電話をする場合には、携帯、つまり着信側である携帯電話会社側が通話料金の設定権を持っているということに現在なっているわけであります。  これはちょっと私は個人的には非常に理解し難いおかしな状況だというふうに思うんですけれども、これはどうも調べますと、NTTドコモだけではなく、他の携帯電話会社も着信の料金も決めているというような状況なんですね。これが業界全体の慣行になっているというふうに私、今理解しておりますけれども、どうしてこういうふうになってしまったのか、大臣に御答弁いただければと思います。
  63. 片山虎之助

    国務大臣片山虎之助君) 私、余り詳しくはないんですが、いろいろ関係の役所の皆さんに聞きますと、コストの大半は携帯電話側なんだそうですよ、コストが。接続して、固定から携帯、携帯から、同じ回線を使いますけれども、そういうことで、恐らく慣行として携帯側にそういう意味での発言権が強いと。だから、料金の設定も事業者間協議で決めりゃいいんですよ。いいんですけれども、やっぱりコストを大半負担する方が尊重されると、こういう慣行ができたんじゃないでしょうかね。  いい悪いは別として、恐らくそういうことじゃなかろうかと、こう思っております。
  64. 遠山清彦

    ○遠山清彦君 大臣、私も確かに事業者同士でそういった合意をしているということは存じ上げているんですけれども、ちょっと認識が違うところが、そもそもこういう携帯電話の場合は着信側が料金設定できるようになった淵源というか起源は、これは日経産業新聞さんがこう書いておるんですね。固定発・携帯着の通話料金は、一九七九年に自動車電話を始めた電信電話公社、電電公社ですね、が料金設定権を社内の移動体部門に持たせて以来、携帯電話会社側が決めるのが慣行になったと書いてあるわけですね。  そうすると、一九七九年、昭和五十四年の段階では、大臣、国内電話はこれはもう電電公社が独占している時代ですから、それは一つの社内の中で移動体部門が電話料金、着信も発信も決めろと、これはある程度分かる話なんですけれども、今日、この携帯電話がここまで発展してきて、他社が参入してきている、電電公社も民営化されている時代に至るまで、ある意味ちょっと乱暴な言い方ですが、一社内の、一公社内の決定がそのまま業界全体の慣行になっているというのは、ちょっと私これは解せないんですけれども、局長、何か。
  65. 鍋倉真一

    政府参考人(鍋倉真一君) 私どもが承知しておりますのは、なぜこういう携帯電話会社の方が料金設定権を持つようになったかということなんですが、実は経緯から申しますと、NTTドコモがNTTから分社しましたのが平成四年でございますけれども、そのときには既に競争の携帯電話会社二グループ、当時IDOとそれからツーカーのグループがございましたが、そこも実は固定発携帯の料金というのはこの二グループの方が設定権を持っておりました。そういうことで、分社時には、ドコモの分社時にはこの先例に従ったというふうに私ども聞いております。ということで、分社前のNTT社内の慣行に従ったというふうには聞いておりません。  ただ、どうしてその後もこういう状態が続いているかと申しますと、大臣が申し上げましたとおり、実は携帯電話の場合には、常に携帯は持っている人は、ユーザーは動きますから、どこにいるのかを常に把握していなければいけないという問題がございます。ということでコストが、圧倒的に携帯電話のサービス部門の方のがコストが掛かります。私が北海道にいようが九州にいようが、それはその位置を常に把握をして、携帯電話会社はそこと通話ができるように常に用意をしていなきゃいけないわけでございますので、そういう意味で、コストが圧倒的に携帯電話の方に掛かるということで、設定権がそっちの方にあるということも聞いております。
  66. 遠山清彦

    ○遠山清彦君 局長、先ほど来コストの話がちょっと出ているので、これ通告してない質問ですけれども確認したいんですが、私は個人的には、今のこの状態というのは、やはり携帯電話会社が発信の料金設定権も着信の料金設定権も両方独占している状態にやっぱり何か大きなメリットがあるんではないかと。私は、NTTドコモ、愛用を長くしておりますので、決してNTTドコモに何らの意趣も持っておりませんが、しかし、NTTドコモさんは、例えば昨年の法人申告所得のランキングでいいますと、ついにトヨタ自動車に続いて二位に昨年なったわけでございます。四千百億円の申告所得があって全企業で二位でございます。  ですから、非常に携帯電話会社は、ある意味、今景気が低迷している日本で牽引力として引っ張っていただいているという面もあるわけでありますけれども、利益もしっかり上げているという状況の中で、携帯電話会社は非常にコストが掛かるから着信してくる値段も独占的に決めていいというのは、私はちょっと全体の状況を見るといま一つ説得力がない。逆に、私は、固定電話会社側が、今、先ほど平成電電とケーブル・アンド・ワイヤレスIDCという名前を具体的に出しましたけれども、例えば先ほどちょっと、パネルがあります、見ていただいたように、固定発携帯着の電話料金というのは八十円、百二十円、百二十円、百二十円と一律なわけですね。  聞くところによれば、さっき私が名前を挙げた会社の中には三分間六十円で携帯に掛けられるサービスを始めたいと言っておるようですが、ところが料金の設定権が携帯電話会社側なのでそういったサービスを提供できないと。そうすると、消費者の利益という観点から見れば、三分間六十円で固定から携帯にサービスを提供できますよと言っている会社が構造的に阻害されている状況に私なっているんではないかというふうに思うんですけれども、この問題について、携帯電話会社がコストが掛かるということと、いや固定電話会社で六十円三分でサービスをやりますよという会社が現れてきているという現実をどう整合性を持って理解したらいいのか、ちょっと専門的な話です、局長、お願いいたします。
  67. 鍋倉真一

    政府参考人(鍋倉真一君) ちょっと周りのお話からさせていただきますと、ドコモの場合には、ちょっとドコモの名前を出しますけれども、ドコモの場合には、一番ユーザーが使っている料金は、携帯発固定、固定発携帯、料金いろんな体系がございますので、先生のパネルは一つのその料金のところをお出しいただいているんですけれども、ドコモのユーザーが一番多い、一番使っている料金体系から見ますと、携帯発固定より固定発携帯の方が実は安くなっております。ただ、トータル的に見ますと、トータル的に見ますといろんな料金体系がございますので、まだまだ加重平均をすると固定発携帯の方が高いのかなというふうには思います。  それと、六十円というお話、私は六十円でできるかどうかというのは私自身もコスト計算をしておりませんのでちょっとお答えできないんでございますけれども、先ほど申しましたのは、要するに携帯電話会社がなぜ設定権があるかといいますと、ほとんどの料金を携帯電話会社の方が掛かるものですから、携帯電話会社は携帯電話会社で競争をしております。ですから、競争によって、携帯電話会社の部分のコストというのは中期的に見れば安くなっていくんだろうと思います。ですから、そこに競争が働いていないわけではありません。ドコモとか各社とは料金が違います。今も申しましたように、ドコモの一番使われているものについてはもう既に固定発携帯の方が安くなっていると。そういう競争をしております。  そういう競争は競争で、携帯電話会社の方で競争してもっと下がっていくんだろうというふうに私どもは思っておりますし、先ほど設定権が携帯電話会社にあると申しましたのは、繰り返しになりますけれども、そういう慣行ができたのは、そういうコストがほとんど携帯電話会社の方が掛かるということで設定をしているんだというふうに聞いているということでありまして、私どもそれがいいとか悪いとかと言っているわけではございません。  私ども、基本的には、ビジネスでございますので、両者が話し合って決める、どちらにするのか決めると。それがいいと思っておりますし、それを尊重したいというのが私どもの姿勢でございます。
  68. 遠山清彦

    ○遠山清彦君 大臣局長は今ビジネスですから、ということは、固定電話会社と携帯電話会社が合意すれば固定電話会社に携帯に固定から掛けた場合の通話料金設定権が行くこともあり得るし、それを妨害というか駄目だと言うつもりは総務省としてないというふうに今の局長の御答弁、解釈私はしておりますけれども。  しかし、大臣にちょっとお伺いしたいんですが、これ、表を見ていただいても、これどう考えても、固定から携帯のところだけ、この赤で書いてありますが、着信側に通話料金の設定権があって、あと全部発信側というのは、私、ちょっとこれどうしても納得ができないんですね。  私の理解では、携帯電話に固定から掛けた際に、確かに携帯電話会社側がいろいろコスト掛かると。しかし、そのコストも含めて、どれぐらいの料金でユーザーにサービスを提供して、例えば固定電話会社側が安い料金でユーザーに同じサービスを提供した際にその利潤をどう確保するかというのは、これは固定電話会社がいろいろ工夫するところであって、別に総務省の立場で接続料とか、いろんな、どこにいるか、持っている人がどこにいるかというのをキャッチするためにコストが掛かるからこれでいいんじゃないというのは、私ちょっとおかしいんではないかと思いますが、大臣、いかがですか。
  69. 片山虎之助

    国務大臣片山虎之助君) 基本的には、それは両当事者の話合いなんですよね。  そこで、話合いの場合に、今言いましたように、力関係で決まるんですよ、力関係で。いやいや、それは固定の方が強ければ固定に料金設定権移りますよ。それはコストも負担しているし、携帯の方が今、日の出の勢いですよね。固定の方が先細りでしょう、簡単に言うと。そういういろんなこともありますし、あるいは今、委員の表で見ると、結局は国際電話なんかの問題じゃなくて、固定と携帯の問題なんですよ、固定と携帯。どっちが発であり、どっちが着であっても、いずれにせよ同じような回線を使う場合には携帯が強いということなんですね。  我々がそれに介入はなかなか、今規制緩和の時代ですから、できるだけ電気通信事業は自由にやらせろと、公は関与するなということですからね。私は、それはともに頑張っていただいて、携帯の方も、固定に決めさせて料金を低くして、中の配分を携帯はずっと厚くしていく、固定に薄くして。料金が少なくなれば、それはそれだけの需要が起きるわけですから、需要が増えるんで、そこは話合いだと思いますね。話合いがどうしても付かなければほかの手だてで争うよりしようがないんで、そこのところは、当方から積極的に入っていって調整するとか関与するとかということは、これはなかなか今の仕組みではできない、しかし、すべきでないと、こういうふうに思っておりますね。ひとつ御理解を賜りたいと思います。
  70. 遠山清彦

    ○遠山清彦君 大臣お話も私もよく分かるところがございます。共感するところございます。  それは当然、政府が何でも民間のビジネスに口、事細かに出して規制を掛けたり、これをやっちゃいかぬとかこれをやっていいという時代ではないと私は思っております。  ただ一方で、やはりこの小泉改革の方向性というのは、私は、民間、民営化をして安価で良質なサービスを出させて競わせていくんだというような方向性であると思いますし、また私が今日この質問をさせていただいているのは、決して特定の会社の利益のためとか、そういったことではなくて、あくまでも一般の消費者、一般の携帯電話を使っているユーザーの利益の立場に立ったときに、現状はやや問題があると。先ほど大臣、規制緩和とおっしゃっておりましたけれども、私は、今、規制緩和という言葉を使わないで規制改革という言葉をここ二、三年使い出した理由というのは、何でもかんでも緩和して民間に任せていけばそれでいいかというと、そうでもないと。ですから、消費者の利益を守るために必要な規制とか指導はやっぱり行政の立場からやっていく場合もあるというふうに私は理解しておりますので、私個人としては今回そのケースにやや当たるのではないかと。  ただ、先ほど私が申し上げたいろんな総務省に対して今企業の方から出されている裁定であるとかあるいは意見の要請、具申とか、そういったものに対して総務省さんがこれから検討して、どういう答えを出されるのか、それを私も注視をして、またその出てきた結果を見て、機会を通じて意見を言わさせていただきたいというふうに思っております。  時間も大分なくなってまいりましたので最後に、料金の問題にもちょっと戻りますけれども、IP電話、インターネットプロトコル電話、これ今大変に話題になっているわけでありますけれども、このIP電話の普及について、総務省としては促進していかれるお立場なのか、どのようにお考えなのか、ちょっと聞きたいと思います。
  71. 鍋倉真一

    政府参考人(鍋倉真一君) 最近IP電話というのがかなり話題を呼んでおりますけれども、私どもとしまして、このIP電話、料金も安くなりますし、促進する立場から環境整備をしたいというふうに思っております。例えば、今IP電話には電話番号がございませんけれども、こういった電話番号についても付与する方向で今検討をいたしております。  そういったことで、IP電話につきましてはいろいろな面で環境整備をして、普及促進に私ども側面からそういう整備をしていきたいなというふうに思っております。
  72. 遠山清彦

    ○遠山清彦君 それで、ちょっとしつこくて申し訳ないんですが、このIP電話に絡んで一点だけ懸念が表明されている点があるわけですね。それは今は、局長、たしかIP電話で携帯には掛けられないんでしたっけ、掛けられるんでしたっけ。じゃ、その質問をちょっと最初に。
  73. 鍋倉真一

    政府参考人(鍋倉真一君) 掛けられると言った方が正確かもしれません。掛けられます。
  74. 遠山清彦

    ○遠山清彦君 その際の料金の設定はどちらがやっているんですか、これ。
  75. 鍋倉真一

    政府参考人(鍋倉真一君) 具体的に申しますと、ちょっと掛けられると、実質上掛けられるんですけれども、何というんですか、いわゆる固定と携帯での設定ということではないようでして、ちょっと複雑になるようでして、結論から申しますと、料金は携帯電話の方が携帯の部分は設定しているということだろうと思います。
  76. 遠山清彦

    ○遠山清彦君 それで、そうすると、IP電話がこれから普及していく、総務省も普及しようとしていると。普及していったときに、私、IP電話の売りというのは、今は大分、音質がちょっと悪いとか途中で切れるとか、いろいろ技術的に指摘されていて、これがだんだん改善していくというふうに思いますけれども、ただ、IP電話のやっぱり売りというのは非常に安い通話料金でユーザーにサービスを提供できるということなわけですね。  私が危惧いたしますのは、ほかにもそういう指摘をしている専門家がいるわけですけれども、IP電話がせっかく普及しても、携帯電話会社側に相変わらず着信の通話料金の設定権もあるということになると、IP電話のサービスを提供する会社が非常に安い料金でサービスを提供したくても、携帯電話会社がそれはいかぬということになってその部分だけ料金が高止まってしまうではないかという危惧を持っておりますが、この点、いかがですか。
  77. 鍋倉真一

    政府参考人(鍋倉真一君) 基本的には、大臣答弁されましたように、両者間の協議でこれ設定するものですから、それはIP電話になろうと、私は、やはりそこはそこで尊重しなければならないと思いますのが私どもの立場でございます。  ただ、IP電話が普及して、今はまだ非常に小規模でございますけれども、聞くところによりますと、NTTもこれからは従来の電話網の設備投資はしないで、メンテナンスはしますけれども、すべてIP網への投資をしていくというふうに聞いておりますので、かなり早い時期に全体がIP電話化というか、IP網化していくというのは恐らく間違いないんだろうと思います。  そうなりますと、今はIP電話、非常に小さい会社でございますから、先ほど大臣の御答弁にもありましたように、両者が協議をする場合にもかなりパワーが違うというのはあるのかもしれませんが、固定のところがすべてIP化をしてまいりますれば、またそこはそこで両者間での協議というのは力関係も違ってくるんじゃないかなと、私はそう思っております。
  78. 遠山清彦

    ○遠山清彦君 分かりました。  業者間の話合いにゆだねるというか、またそこにパワーリレーションがあるというお話があったわけですけれども、私は、今日、先ほど申し上げた一番主張したいポイントは、この話の中には強い会社と弱い会社だけがいるんではなくて、そこに電話を使って料金を払っているユーザーがいるという視点は、これ絶対忘れないでいただきたいと。その点から、やはり行政の立場で、国民の血税をいただいて仕事をしている立場からやはりこの状況を見ていって適切な対応を取っていただきたいというふうに思っております。  ちょっとまだ時間あるようですので、通告をした質問で別の質問、ちょっと関連した質問ですけれども、移らさせていただきたいと思いますが、今年の四月、大臣、米国通商代表部が日本とヨーロッパの携帯接続料が高いというような批判を行っているわけですが、その概要と、またこういう主張がアメリカから、以前からこういう主張はあると思うんですけれども、再度今年の四月にこういう主張が行われた背景と理由についてちょっと、いただきたい。じゃ、局長
  79. 鍋倉真一

    政府参考人(鍋倉真一君) ちょっと事実関係でございますので、私の方から御説明させていただきますと、今年の四月三日でございましたけれども、アメリカ通商法の千三百七十七条レビューというのでおきまして、我が国とヨーロッパ、両方でございますけれども、の携帯電話事業者が固定事業者に対してコストを著しく上回る接続料を課していると。携帯事業者が競争的接続、要するに競争的接続料になっていないということで、競争的接続料を課すことを確保するような方策を政府は引き続き取るように要請をするというようなことでございました。これが行われた背景でございますが、背景はよく分かりません。  分かりませんというのは、突如、突如といいますか、従来、固定の接続料についてはずっとアメリカからの要請というのはございましたけれども、接続、携帯につきましては最近こういうことが言われてきているということでございますので、背景は分かりませんが、彼らの主張は、要するにアメリカの事業者、国際事業者ですけれども、国際通話を行う事業者ですが、それと消費者へ負担が増大をしているということが理由になっております。
  80. 片山虎之助

    国務大臣片山虎之助君) ヨーロッパもそうですが、今回アメリカですね、今、委員言われたのは。そんな不正確なことを思い込んで一方的に主張するということがあるんですよ。私のところにも、アメリカのそういう関係の方も、ヨーロッパの方も来るんですけれども、あなた方ちゃんと調べてから言えと言っているんですよ。いや、本当に。  そういう意味で、今、局長が言いましたように、アメリカはいろんなことを言っておりますけれども、それについては全部反論しろと、資料をもって、こう言っておりますから、不正確な、思い込みの向こうの主張については今後とも反論してまいります。事実は、そんな高くない。御承知のとおりであります。
  81. 遠山清彦

    ○遠山清彦君 大臣、力強い決意の言葉でございましたけれども、私も、日本の携帯電話の料金が近年どんどん低下してまいりまして、ヨーロッパの、国際のこの比較表を見ますと、ヨーロッパの一部の国よりは安いところも出てきているというふうに思います。  それが事実だろうというふうに思うんですけれども、もう時間来てまいりますので、最後に、八月二十三日の日経新聞の社説でも、そういった国際比較をする中で日本もかなりユーザーの側に立って料金の低下に努めてきているとしながらも、まだやや日本の方が高い。ここに書いてあるのは、これはもしかしたら総務省反論あるのかもしれませんけれども、携帯電話料金の毎月の支払額は先進国では日本が最も高いというようなことが断言されていて、これを前提に、日本でもこれだけ、七千七百万台に行くまで携帯電話、PHSが普及してきた中にあって、先ほど私ちょっと意地悪な帝国データバンクの法人所得ランキングの話をちょっと言及して、ドコモは二位ですなんて話をしましたけれども、私は、これは電話会社に限ることじゃないんですけれども、電気会社とか水道とかもそうだと思うんですが、やはり今、現代の都市生活では電話なしではやっぱり生きられない。それから、電気もそうですけれども。つまり、電話もやはり非常に公益性の高いサービスを提供する、民間といってもですね、民間ビジネスといってもですね。というものであるだけに、ここまで、もう国民の六割を超える数が携帯電話とかPHSを使う時代に入ってきている中で、やはり公益性の高いサービスを提供して利潤が上がった場合にはやや利用者に還元をするような姿勢というものが必要ではないかというふうに思っておりますので、そういう意味では、今までも、特に近年努力されてきたわけですけれども、更に安くしていくような方向で是非総務省からも善処していただきたいと思うんですけれども、最後に一言、大臣お願いいたします。
  82. 片山虎之助

    国務大臣片山虎之助君) NTTにつきましては、私どもの方も必要最小限度の関与のできる権限ありますよね、計画の認可だとか決算の受取だとか。そういうことの中で、言われたように、もう今電話というのは不可欠ですよね。一種のインフラですよ、完全に。生活インフラでございますので、今、委員が言われたような観点で今後とも対応してまいりたいと思っております。
  83. 遠山清彦

    ○遠山清彦君 以上で終わります。ありがとうございました。
  84. 中原爽

    委員長中原爽君) 午前の審査はこの程度とし、午後一時二十分まで休憩をいたします。    午後零時二十一分休憩      ─────・─────    午後一時二十分開会
  85. 中原爽

    委員長中原爽君) ただいまから決算委員会を再開いたします。  休憩前に引き続き、平成十一年度決算外二件及び平成十二年度決算外二件を一括して議題とし、質疑を行います。  質疑のある方は順次御発言を願います。
  86. 大沢辰美

    ○大沢辰美君 日本共産党の大沢辰美でございます。  私は、今回、市町村の合併問題に絞って質問させていただきたいと思います。  市町村合併に対する片山総務大臣基本姿勢を改めてお伺いしたいと思うんですけれども、私、地元が兵庫県なんですけれども、市町村合併の問題はもう本当に住民の中にも様々な波紋を起こしております。  今年の三月に片山大臣の名前で全国の市町村長と市町村議長に手紙を出されたことも、これ波紋の一つになっているんですよ。この手紙には合併の必要性や様々の優遇制度、そして、つまりあめの内容が書かれていますが、その問題は内容なんですね。私も読ましていただいて、こういうふうに書いていますね。「市町村の合併の特例に関する法律は時限立法であり、その期限は平成十七年三月となっております。残された期間はあと三年となりました。 このことを踏まえれば、私としては、皆様に、できるだけ早期に合併協議会を設置していただきたいと考えています。平成十四年度は、極めて大事な一年であり、いわば正念場の年であると思っています。」と、こういうふうに書いてあるわけですけれども。  私はこの手紙を受け取った関係者の方にお話を聞いたんですよね。これは、手紙が手紙ではなくて督促状だという返答をしておりました。「できるだけ早期に合併協議会を設置していただきたい」とか、今年は「いわば正念場の年」だとか言っているわけですから、確かに私はこれを読んで督促状、いわゆる催促状と受け止めるのは当然だと思いますね。  しかし、片山大臣はこの手紙を出す前まではどう言っていたのかということですね。昨年になりますけれども、小泉内閣が打ち出したいわゆる骨太方針ですね、この中では、規模の小さい町村に対しては地方交付税を厚めに手当てしていると、この段階補正が合理化や効率化への意欲を弱めることがないようにその見直しを図るべきであるということを打ち出していますね。  これを受けて、昨年のこれは十一月十三日の衆議院の総務委員会でしたけれども、我が党の春名議員が、この段階補正が市町村合併の障害になっているから見直せということではないかと。つまり、合併推進に向けてむちを使えということかと質したのに対して、大臣は、経済財政諮問会議で民間委員からそういうことが出されたこと、これに対して私は反対したんですよ、年限を切って合併なんかできるわけがない、この合併は自主的合併なんだと、こういうふうに念を押して答弁されているんですね。  ところが、それが乾かない四か月後にこの督促状たる手紙を出しているわけですから、これは本当にどういうことかと。あくまでも自主的合併だという建前を私は投げ捨てたことになりませんかということをまず基本的に大臣にお伺いしたいと思います。
  87. 片山虎之助

    国務大臣片山虎之助君) 今行われております市町村合併は、これは平成十二年十二月の国の行政改革大綱の中に決められたのがそもそもの公のスタートなんですね。そして、それは自主的な合併とはっきり書いているんです、自主的な合併にすると。今までの昭和の大合併や明治の大合併とは違うというのはそこにあるんですよ。自主的な合併だからといって私が手紙を出して悪いということは一つもないので、十七年の三月までに特例法が切れるんですから、注意を喚起して、よくみんなで考えてくださいよと、こういうことなんで、私の名前がちょっと怖いから、実物よりも。  そういうことで、督促とお受け取りになったところあるかもしれませんけれども、そういう意味では何ででかというと、十七年三月というとあともう三年しかないんですね、三年。そうなると手続がいろいろ要るんです、合併の。そういうことで、やっぱり十四年度、十五年度が大変重要な年なんですから、是非そのための注意を喚起しようと。  我々は市町村を強くするために合併やるんですよ。市町村でできることは全部市町村でやってもらう。そのためには市町村の行財政の基盤を強うせないけません。小さな、財政力もない、行政能力も低い市町村ではいろんなことをやってもらえない。我々もできるだけ市町村でやってもらいたい。市町村にできないことだけ府県がやる、府県もできないことだけ国がやると。こういう今の我が国の行政の仕組みを逆にしていかにゃいかぬと、こう思っておりますので。人も集まると、みんな市町村に。市町村が強くなれば権限の移譲ももっとできる、税財源の移譲ももっともっと納得を皆さんにしてもらえると、こういうことで市町村を強くしよう、大きくしよう、元気にしようということでやっているもので、是非その私は真意を分かってもらいたいと。  それから、今回、自主的な合併ですから、あめといいますか、優遇措置は合併特例法にいろいろ書いていますよ。むちはやりませんよ。段階補正は合併にかかわらず昔から議論があるんです。小さいところほど優遇されているんです。私はそれはしようがないと思う、ある程度は。ある程度はしようがないけれども、程度を超えてはこれは議論があるので一遍調べてみろと、段階補正の状況を。そうすると、十六、七%は段階補正の中でやっぱりちょっとこれは少し適正化した方がいいんではないかという調査の結果が出たものですから。  段階補正というのは一兆二、三千億あるんですよ。そのうちの二千億だけ三年掛けて合理化しようと、こういうことでございまして、ほかのところは小さいほど優遇され過ぎだと。一人当たりの一般財源でも小さいほど得ではないかと。税の十倍以上、場合によっては二十倍も交付税が行っているんですよ。そして、そういう状況は問題だとあちこちで言われているんですよ。そういうことを考えて、我々としては合理的な範囲でやっているんで、現状を全部認めろと、現状が一番いいんだと、世の中の進歩はありませんので、ひとつ御理解賜りたいと思います。
  88. 大沢辰美

    ○大沢辰美君 市町村のためだ、市町村を強くするためだという大臣の見解なんですけれども、この手紙を受け取った市町村長さんや議長さんはどういう立場でこれを受け取ったかということを考えていただきたいと思うんです。全国の様々な町村長、いろいろありますけれども、この交付税の段階補正の見直しを兵糧止め、兵糧攻めという表現も使っているんですよね。これはむちですよ、あめばかりだと言いますけれども。だから、そういうさなかにこのような手紙を出したということは、やはり厳しいですよ、受け取った方は。そこはもうしっかりと受け止めていただきたいと思います。  一つ例なんですけれども、私は兵庫県なんですけれども、四年前に、一九九九年に合併が行われました篠山市というのがありますね。これは、総務省の合併推進の優等生の一つという表現がいいかどうかですが、そういう評価も聞いております。合併前の多紀郡という郡なんですが、これはもう本当にこれまで戦後何回も何回もこの合併協議が繰り返されて、いろんな問題を乗り越えて、そういう歴史をあって今回の合併に、一九九二年からか話合いがあって、年月を掛けて合併している市なんですね。  合併後、ちょうど四年目に入りました。篠山市の状況は、総務大臣の手紙や総務省が発行している市町村合併関係資料で言うような市町村合併のメリットどころか、やはり様々な困難や問題が明らかになってきています。  一つは、やはり市の財政問題ですね。  合併前の、これは四町だったんですが、四町の合計の歳入歳出規模は二百五十億円だったんですね。で、合併後は確かに三百億円になっています。五十億円拡大しました。しかし、自治体財政を見る一つの指標、公債負担比率と起債の制限比率を見ますと、まず公債負担比率ですけれども、合併当時の一九九九年は一六・三%でした。二〇〇〇年度が一七・二%、二〇〇一年度見込みは一八・六%、二〇〇二年度見込みもまた上がって一九・六%になっていますね。で、二〇〇五年度からは危険ラインと言われるいわゆる二〇%を超えた公債負担が続くことになっているんです。いわゆるもう一つのバロメーターである三か年平均の起債制限比率も、合併当時の一九九九年は一〇・七%だったのが、年々上昇して二〇〇五年からは一四%を超える比率になっているんですね。  このような市の財政状況について、現在の篠山市長も危機感を表明して、繰上償還をしないと大変なことになると、こういうふうに言っているほどなんです。  原因は、私はっきりしていると思うんですね。合併前、一九九八年になりますけれども、この四町合併の地方債残高は二百七十五億円だったんです。それが、来年の数字を出しますけれども、五百八億円になっていますね。だから、この合併五年間で一・八五倍、約二倍近く、二百三十三億円も激増しています。  このうちの、私は計算しました、七二%の百六十八億円が合併特例債の発行による増加なんですよ。だから、これは、十年間に限り起債額の七〇%を交付税で埋めてくれるという合併特例債を見込んで、いわゆる箱物と言われる建設事業を短期間に集中して進めた結果です。  ところが、大臣の手紙ではどうなっていますか。現在の市町村を取り巻く厳しい財政状況などをかんがみれば、市町村合併は避けて通れない問題であると言いながら、その一方で、程度の差はあっても自治体負担が避けられない道路とか公共事業の重点投資、地方財政措置の拡充ですね、それが政府の支援策として宣伝して早急な合併を催促していると。一体、どういうことだろうかと。  だから、国も地方も今は膨大な借金を抱えている、大変だと。午前中の審議の中にもありました。この最大の原因は、やはりバブル崩壊後の、私は、景気対策としての公共事業財源を、次から次と国債地方債を発行してきた結果であると。その反省をしないで、またこういう形で特例債の発行ですから。  片山大臣は、この篠山市の財政状況、今、簡単にバロメーターを説明しましたけれども、この合併によって本当にバラ色になっていると思っているんでしょうか。その見解をお聞きします。
  89. 片山虎之助

    国務大臣片山虎之助君) 詳しいことは後で答弁してもらいますが、私は、篠山市は特に財政状況が合併によって悪くなっているとは思っておりません。  なるほど、合併特例債で事業をやったということは、それだけ必要な公共施設の整備が進んでいるんですよ。しかも、それについては交付税で七割は補てんすると、こういうことですから、それは篠山の市長さん、議会や住民の皆さんが相談して必要な事業はそれでやろうと、こういうことですから、一体的な町づくりをやる、必要なことはだから合併特例債でやってもらうし、一向に私は構わないと、このように思っております。
  90. 大沢辰美

    ○大沢辰美君 悪くなっていませんという答弁なんですけれども、七割は確かに交付税で入れるでしょう。だけれども、特例債といっても三〇%はやはり自治体が自力で償還しなければならないわけですから、これは私は合併の誘導策としての、つまり私はあめとしての、売り込むにはやはり問題があると思うんです。  これは、私も篠山市の経済団体の皆さんとも懇談してみたんですけれども、やはり最初に合併があって、あめを配って進めるのは大いに問題がある、特にこの合併特例債は気を付けないと大変なことになるということを言っていましたし、篠山市の合併を推進した市長さんも、今、箱物についてはその効果を見直している、予定どおり、計画どおりやっては大変なことになるから見直していると、合併特例債があるから箱物を造るというのは問題があると、はっきりそういう趣旨のことを言っていました。  だから、総務省は、合併すれば特例債があるからどんどん使いなさいという姿勢なのですか。それとも、市町村合併、資料を見ましたけれども、合併のいいことばかり書いてあるわけですけれども、特例債の目安だとか、市町村に対してのこの特例債の扱いについてどのように知らせて、そしてこれからやっていくのか、具体的に御説明いただきたいと思います。
  91. 林省吾

    政府参考人林省吾君) 合併をされる場合、当然でございますが、合併後の当該地域の一体性の確保とか、あるいは均衡ある当該地域内の発展整備を目指すために新しい事業が出てくると思います。そういう場合に、地方団体財源として合併特例債というものを考え、上限を設けながらではありますけれども、十年間にわたって必要な財源を確保するという制度を用意いたしているわけであります。  もちろん、これは合併をすればどんどん使っていただいていいというものではございませんで、当該団体の財政状況を見ながら、また、当該地域にとって本当に必要なものかどうかという点は、まず第一にそれぞれの市町村、それぞれの地域の皆さん方が判断される必要もあるわけでありますが、そういうお話もお聞きしながら、合併後の地域の、繰り返しになりますが、一体性の確保とか均衡ある整備とかに必要な範囲内でやっていただくものだと思っております。もちろん、その結果、財政収支にどのような影響が出るかということは当該団体において慎重に御検討いただいた上で、この財源を御活用いただきたいと思っているわけであります。  なお、先ほど篠山市の財政状況についてのお話がございました。確かに合併後、合併特例債をお使いになることによりまして投資的な経費が増え、元利償還金も出てまいっておりますが、ただ、この篠山市は財政状況にも十分配慮して、慎重にそういう財政運営を行っていただいているものと承知をいたしておりまして、決算で見ましても、類似団体等に比較いたしまして、経常収支比率で見ても、また起債制限比率で見ましても、さらには積立金の状況等につきましても、類似団体と比較して特に財政状況が悪いというふうに私ども考えておりません。その点を十分配慮しながら財政運営に当たっていただいているものと理解いたしております。
  92. 大沢辰美

    ○大沢辰美君 私は本当に、慎重に指導しているというんですけれども、結果的には、数字を見たらやはり二〇%、公債費率が超えようとしているわけですから、それは心配ないということは言えないと思う、やはり危険水域だと思うんですね。だから、市長もやはり償還を繰上げしてやらないといけないかもしれない、そして箱物についての見直しをやらないといけないというところに今追い込まれているわけですからね。そこは私は重々、今後の在り方としても総務省は行け行けどんどんではいけないなということを強く指摘をしておきたいと思います。  もう一点、私はちょっと大臣にこういう資料、届いていますでしょうか、届いていませんでしょうか。(資料を手渡す)  もう一点は、今お渡ししましたけれども、篠山市の隣の町も今合併の問題が出てきているんですけれども、あえて団体の名前は出しませんけれども、これは合併推進の運動を進めている団体のビラです。「今、合併しなかったら…国、県からもらえるお金が減り、町として成り立たなくなります。」、こういう宣伝文句が書いてあるんですね。これは事実でしょうか。合併しないと削減される地方交付税とは一体何ですかと、総務省は町を成り立たなくするのですかということをお聞きしたいと思います。
  93. 林省吾

    政府参考人林省吾君) 申し上げるまでもありませんが、地方交付税制度は各地方団体が国の法令等で義務付けられました行政事務等一定の行政水準を確保できるよう必要な財源を保障する制度でございます。したがいまして、合併しない場合に減額されるというものではございませんで、各地方団体財政需要に応じて算定されるものでございます。  ただ、しかしながら、御案内のように地方財政を取り巻く環境は大変厳しくなっておりまして、これまでのような地方税収の高い伸びは見込まれず、また地方交付税につきましても、交付税特別会計借入金残高が累増いたしまして、原則として借入れ廃止することといたしましたために、従前のような形でその総額を確保することは極めて困難な状況になってきております。  一方で、少子高齢化やあるいは情報化への対応等の新しい行政課題に地方団体は的確に対応していく必要があるわけでありまして、そのためには適正な団体の規模が求められているものと考えております。  したがいまして、今後の交付税の算定に当たりましても、限られた財源の効率的な使用という観点からもこうした状況の下での新しい行政課題への対応に重点化していかざるを得なくなると考えておりまして、各市町村におかれましても、このような厳しい環境にあることを十分踏まえて、その将来の在り方、すなわち合併の必要性について真剣に検討していただきたいと考えているところでございます。
  94. 大沢辰美

    ○大沢辰美君 はっきりと、合併しないからといって地方交付税が減額されるわけじゃないということをはっきり言われました。総務省が作成した合併自治体に対する財政支援の内容についてもそんな内容は一つも見当たりません。そのことをしっかりと、そういう自治体に対しての、私は、広報というんですか、指導というのをやっていただきたいと思います。  だから、本当に、合併すれば減額されるものが、十年間据え置いて五年間段階的に減額するというものが出てきているわけですけれども、やはりここは、合併すればどうなるか、合併しないとどうなるか、この地方交付税がどうなるかというのは非常に地方自治体にとっては重要な関心の大きな一つですから、このことについては本当に正しく事実を指導していただきたいと思います。  もう一点、その下に書いてありますけれども、合併しなかったら住民サービスが低下するというのも乱暴な書き方ですね。これは、今総務省が懸命に宣伝していらっしゃるのは、合併しても住民サービスは維持できるということをずっと言い続けていますね。ですから、本当にこれは大きな合併をめぐる争点になっていると思います。  ですから、資料を見させていただいたら本当にメリットばかり書いてあるんですけれども、私はこれの反映がここに出ているのではないかと思います。やはり事実をまやかしていると思えてならないんです。ですから私は、今後、この合併のメリット、デメリット、町のあるべき将来像の論議を尽くしていただいて、私はこの問題は取り組んでいただきたいと。だから、十七年三月という期限を切って強硬に推進することはやはり改めていただいて、自主的に地方自治体が自主的方針を進めることを提案をして、私の質問を終わります。
  95. 八田ひろ子

    八田ひろ子君 日本共産党の八田ひろ子でございます。  去る八月五日から第一次稼働が始まりました住基ネットの問題について伺います。  私は三年前の住民基本台帳法改正時にも担当委員会に属していたわけですが、参議院では御承知のように委員会が中断、中間報告という異例な手法で成立が強行されまして、当時から個人情報保護やコード番号の問題が指摘をされ、国民の大きな不安、反対意見がありました。この状況は今でも変わっておりませんし、それどころか、その後、防衛庁が情報公開請求を行った国民の身辺調査をひそかに行ってそのリストを内部で回覧していた事実も明らかになる中で、住基ネット稼働に対する不安と不信というのは更に厳しく大きくなっています。  そこで、住基ネット稼働の現状についてまず伺いたいんですが、現在までに参加していない自治体名と不参加理由、それから住基ネット施行延期の意見書を採択した地方議会の数と延期を要望した自治体の数、それぞれお示しください。
  96. 芳山達郎

    政府参考人(芳山達郎君) ただいまの御質疑で、参加していない団体の状況でございますけれども、現時点で四団体が不参加でございます。一つは福島県の矢祭町でございますけれども、独自の個人保護の条例を制定した段階で参加をしたいということでございます。東京都は二区市でございますが、杉並区でございますけれども、確固とした個人情報保護のための法制度が整備するまでは不参加ということでございます。東京都の国分寺市でございますけれども、個人情報保護法が成立するまでの間は不参加ということでございます。それと神奈川県の横浜市でございますけれども、市長は、住基のネットには参加をするけれども非通知の申出をした者についてはシステムの安全性が、総合的に確認するまでの間は送信しないというようなことを言われております。  以上でございますが、なお、施行延期を採択した地方議会の数でございますけれども、七十五議会でございます。また、市区町村名で施行延期の要望書を総務省の方なり提出した団体は三十九団体となっております。
  97. 八田ひろ子

    八田ひろ子君 大変な数の地方議会、首長からも意見が出、四百万人が不参加ということですね。  これ、大臣、三年間の周知期間、準備期間があって、また政府は、今違法だというふうに指摘されているようですが、最も人口の多い横浜市を始め四つの自治体、参加しないと。不安が非常に大きいということですね。  三年前の審議では、個人情報保護措置が不十分だとして衆議院段階で修正ですね。「この法律の施行に当たっては、政府は、個人情報の保護に万全を期するため、速やかに、所要の措置を講ずるものとする。」、これが加わりました。参議院では、これ九九年六月十日の地方行政・警察委員会の議事録ですが、当時の野田大臣、これは、この所要の措置ということについてですけれども、個人情報保護に関する法整備が第一。第二は、この状況を踏まえて、個人情報保護措置を講ずるための住民基本台帳法の更なる改正、これは二つですね。それから三つ目は、自治省として、当時は自治省だったものですから、個人情報保護に係る地方自治体への指導、こういうふうに言っていまして、小渕総理大臣は、これまでの国会審議を踏まえ、特に住民基本台帳ネットワークの実施に当たりましては、民間部門をも対象とした個人情報保護に関する法整備を含めたシステムを速やかに整えることが前提であると。  行政機関、個人、民間問わず、その当時言われたのは、包括的個人情報保護法が前提、施行の前提と、こういうふうに議論があって、途中で中間報告になったんですが、総務大臣、伺います。このときの国会での約束、これはどうなったんでしょう。
  98. 片山虎之助

    国務大臣片山虎之助君) 一億二千七百万人おる、今人口が。地方団体は三千三百あるんですよ。そこで四団体が、四団体、横浜市はもう参加ですからね、基本的には。ただ、どうしても非通知をしてくれという希望があったらそれは外すと、こういうことですから。そこで、それは私は、圧倒的大部分はみんな参加していると、こういうことなので、その四百万というか、三百四十万は横浜市なので、その辺はひとつ言い方もお考え賜りたいと思いますが。  この法案を通すときに、なるほど、附則の二項に修正がありました。政府は所要の措置を講ずるものとすると。それから答弁も、小渕さんは個人情報保護法を作ることが前提だと認識しておりますと、野田さんも何か答弁されたようですけれども。  そこで、一項は、この法律が公布した後三年以内に施行すると、こう書いているんですよ。二項は、政府は所要の措置を講ずる、これは議院修正なんですよ、衆議院での。それで、政府というのは立法機関じゃありませんから、そこで個人情報保護法を去年の三月に出させていただいて国会で御審議をお願いしたんだけれども、いろんな事情で今日まで来て継続審査になりましたよ。だから、私はこれはできるだけ早く通していただくことが必要だと思いますけれども、政府としての、法律論ですよ、法律論としては所要の措置は法律を国会に出すまででございまして、後、法律をどうするかというのは、これは国会の権限ですから、国会がお決めになることですから。そこで、政府としては法律上所要の措置を講じたことになりますという答弁を、衆議院では私も官房長官もさせていただいて、内閣法制局長官も、法律上はそのとおりです。  ただ、私は政治上はやっぱり早く通した方がいいと。しかし、一項は三年後には施行すると書いているんだから、こっちはやらなかったらストレートな法律違反になっちゃう。そこで、皆さんにいろんな御議論はあるけれどもお願いいたしたいと。不安がある、不安があると言いますけれども、どこがどうだという指摘はないんですよ。将来悪用される。今の時点の四情報について、どこに制度的にも技術的にも、運用面でも不安があるかという指摘は全くないんです。  だから、そういう意味では殊更不安や混乱をあおっているやや傾きがあるんで、そこは我々がよく関係の者が説明をして国民の皆さんに分かってもらうようにしろと、こういうふうに今言っているわけでございまして、言ってくださいよ、具体的にどこが何だという指摘を。四情報ですよ。住基は十三情報あるんですよ。四情報だけコミュニケーションサーバーに抜き出して、ファイアウオールで全部固めて、専用回線で、中の通信を暗号化して、コミュニケーション同士は全部認証するようにして、目的外利用は一切認めない、民間の利用を認めない、名寄せやマッチングは認めない、関係者限定して、もしやったら守秘義務を倍にしているんですよ。具体的な指摘は何にもないんですよ。だから、その辺はよく御理解の上御議論を賜りたいと思います。
  99. 八田ひろ子

    八田ひろ子君 全く理解できませんね。個人情報保護の万全の体制を組んでからスタートすることになっていたんです。それは私がさっき議事録を読み上げたとおりで、国民もそう思っているんです。法律出して、通らないのは私は知らないなんというのは、それは政府の態度じゃないですよ。今、正に国民を愚弄する詭弁だとかっておっしゃる方もあるんですけれども、本当に私そう思います。  今、地方自治体は非常に困っています。私伺った名古屋市でも一か月に五千件、横浜市では三千六百件、市民から声が殺到していて、これは日々増えて、日々ごっごっと増えるというようなことをおっしゃった方もありますが、お手元に、皆さんの、大臣も資料がお届けしてあります。横浜市当局が市議会に提出した市民向けの説明文、これは選択制ということですので、市民のプライバシーを守る立場からと書いてありますけれども、自分の本人確認情報について神奈川県への非通知の申出を受け付け、非通知の申出があった人の本人情報については住基ネットの安全性が総合的に確認されたとき、要するに万全になったときということですね、これは開始しますよと。これは自己の、市民の自己コントロール権を考えるなら当然の措置だと私は思うんですが、どこの自治体にもこういうことを、市が責任を取ってくれるかと責められるものですから。  そこで伺いたいんですけれども、局長、今はログにより履歴を保管してありますが、今度、センターの場合は本人から情報開示、今は情報開示という条例があるところでは全部開示できますけれども、センターはそれにこたえることができるシステムになっていますか。
  100. 芳山達郎

    政府参考人(芳山達郎君) 御質問の趣旨でございますけれども、改正住基法の中で、本人確認情報の提供先ないしは提供目的が別表に法律に書いてございます。また、何人も指定情報処理機関に対して、保有する自己に係る本人確認情報、これについてはその開示を請求することができるという具合に規定されておりますから、今御指摘の趣旨は、多分本人の確認情報の利用提供状況について個別に開示するシステムになっているかということについては、今のことで、当時の御議論もそうでしたけれども、そういう仕組みの中で、現在はそういう必要はないということに法律ではなっております。  ただ、指定情報処理機関から国なり、提供、利用機関に対する本人確認情報の提供状況でございますけれども、その状況は本人確認情報の提供を、報告書を作成するということで、これを公表することとしておりまして、それによりまして住民の皆様が全体としての本人確認情報の提供状況を知ることができるという具合に法律上はなっておるわけでございます。
  101. 八田ひろ子

    八田ひろ子君 オールジャパン、全国民ではなくて、各々の方は自分の情報がどう使われたかを知りたい、今までの情報開示の請求も自分のなんですね。センターが個人情報の開示請求を考えていない、そういうものは必要ないと。結局、個人情報がどのように使われるかは、センターまで行っちゃいますと、要するに国が使うときはどこも分からない。全国センターそのものは情報公開の対象にもなっていませんので、プライバシー権や自己情報コントロール権というのがこのシステムには毛頭ないということですね。  さらに、どんなコンピューターのネットワークシステムでも絶対に情報が漏れないシステムというのは考えられない、これがコンピューター技術者の常識になっておりまして、そのために情報の分散管理というのが世界の流れであることは御承知のとおりです。  そういう中での総務省の対応なんですが、住基ネットに関する総務省の七月十二日付けのQアンドA、ここでセキュリティー管理責任についてですけれども、地方公共団体からの質問に、市町村が個別に責任を負うのですか、それとも国の機関も連帯して責任を負うのでしょうかという質問があります。総務省で検討中です、別途次週以降に回答しますとなっていますけれども、総務省はその後、回答されましたか。
  102. 芳山達郎

    政府参考人(芳山達郎君) ただいまの質疑の内容は、指定情報処理機関のQアンドAの中の言葉でございまして、その後、個別のお尋ねないしは会議をずっと持っておりますけれども、その中でこういうお答えをしております。  既存の住民基本台帳の事務は市町村の自治事務でございます。十三情報。今回住基ネットを張る事務につきましては、市町村の自治事務であると同時に都道府県の自治事務にもなりました。それを委任として、指定情報処理機関に言わば下請機関として委任をするということで、指定情報処理機関も事務として行うものというようなことでございます。  また、受領者であります国の機関ないしは地方団体、これも受領者としての事務を負うということでございますから、万が一事故が起こると、これについては当然三者連携しながら緊急時対応計画とかいろいろやってまいりますけれども、万が一の漏えい等の責任については、市町村のみが責任を負うわけでございませんで、各々それに基づいてその管理の責任を負うという具合に思っております。したがいまして、市町村長においては、市町村が住基のネットで管理するコミュニケーションサーバーというものでございまして、都道府県は都道府県のサーバーないしは全国サーバーというのについて委任をやっております。そしてまた、指定情報処理機関も当然責任を負うということでございます。  また、総務大臣総務省でございますけれども、指定情報処理機関に対して本人確認情報の処理事務の実施に関して法律上監督、命令を行うことができるということになっておりまして、その限りにおいて監督責任を負うという具合に思っております。  そういうことで、このシステム全体は、我々言っていますけれども、地方団体共同のシステムであるという中で各々管理責任を負うという具合に御説明申し上げております。
  103. 八田ひろ子

    八田ひろ子君 今日は時間がございませんのでこれ以上私は質問できませんけれども、住基台帳の第三条では、市町村は義務があるというふうになっているので、皆さん非常に困っているんです。今の御答弁で、ほかのところにも、国、県の責任、漏えいのときですね、こういうふうに言われて、地方の共同のネットワークだというふうに言われると地方自治体というのは担当者が安心して仕事が進められないということで、こういう質問も集中しているわけですよね。  今、私、今日ここに切り抜きを持ってきましたが、新聞の切り抜きでもこんなにたくさん集中的に特集をされていて、国民的な大問題になっています。来年八月からの本格稼働までまだ時間があるんですが、例えば朝日の世論調査では、個人情報保護に八六%が不安、延期は七六%が求めていると。それぞれの社説でも、例えば日経では、自治体に無理強いするななんという社説が立たれていますから、私は個人情報保護というのは憲法十三条に基づく重要な要請で、文字どおり万全の保護が求められるけれども、現状は、今日は二つぐらいしか申し上げませんけれども、国民の合意を得られたという状況でないのは明らかなんですね。無理やり強行する、まだほんのちょっとしか、同意して、いないとおっしゃいますが、こんなのはみんなが同意して、みんなが安心というのじゃなかったらスタートなんかしちゃいけないんですよ。ですから、私は、施行を中止して改めて見直しのための議論をしっかりと行う、大臣に強く申し上げて質問を終わります。
  104. 岩本荘太

    ○岩本荘太君 国連、改革連絡会の岩本荘太でございます。  本日は総務省に対する決算審議ということで、大臣にもお見えいただいておりますが、総務省に対します質問の前に、ちょっとお時間をいただいて、横道にそれさせていただきたい。  その一つは、先般、八月三日から十三日まで、ブラジルの上院議長の御招待といいますか要請で、本岡副議長を団長とする、全党の参加によりましてブラジルに行ってまいったわけですが、私もその一員として参加させていただきまして、そのときの印象といいますか、そのときいろいろお話を伺ったことについて、外務省にお見えいただきまして、ちょっとお答えを願いたいと。  私、ブラジルは三回目なんですけれども、やはりブラジルという国は客観的に見て世界のほかの国とはちょっと違うという認識を持たなきゃいけないなということは、日系移民が百四十万とも百五十万とも言われておりますし、最近では逆に、ブラジルからの出稼ぎですかね、そういう人たちが日本に来ておられるというようなことから、非常に好日的な、日本と非常に仲のいいと言える間柄だと思うんですね。  ましてや資源的にも、農産物資源ばかりじゃない、いろんな鉱物資源にしても、あるいは石油なんかも相当豊富ですし、そういう大変魅力的な国の一つだと私は認識しておりますので、その中で、団長以下、皆さん、今回の国会レベルの訪伯といいますかブラジル訪問というのは二十一年目なんだそうですけれども、ずっと間が空いていると。こんなことではいけないなと、やはりこれからの両国の発展のためには国会議員がイニシアチブを取るというか、そういうことでどんどんやっていかなきゃいけないんじゃないかということで合意も得てきたところでございますが。  そういう報告は別として、その訪問しているときに、一つ、リオデジャネイロの日本人学校を訪問いたしました。いろんな、ああいう日本人学校というのはその時々の経済的な情勢でどんどん変わるようでして、お聞きすると、最盛時には大手の日本企業が来たものですから四百人ほどの規模だったと。今は二十数人になったというような状況でございまして、それはさておき、そこに行きましたら銃弾を見せられるんですね、何発かの、今日写真持ってまいりませんでしたけれども。  それで、お話を聞きましたら、非常に日本人学校としては谷間にあって環境がいいとは思うんですけれども、その谷間の両側に、てっぺんの方に貧民窟と、普通の人は、一般の人は言っておったようですけれども、要するに貧民窟がございまして、その中に犯罪組織が入っていると。麻薬だろうと思うんですけれども、その犯罪組織が相反目して撃ち合うんだそうですね。日本人学校の谷間の上を撃ち合って、その流れ弾が日本人学校に流れてくると。先ほど言いましたように、見せてもらいましたけれども、何といいましたかね、今年の例でいっても、四月一日から六月末、これは学期のおしまいかもしれませんが、これだけで昼間に二十四回の銃撃戦があったと言うんですね。それで、当然多数の流れ弾があったと。昨年は五十二回もあったと。夜になるともっと昼間より激しくそういうことがあると。  私、そこにいてちょっと空恐ろしくなりまして、視察しているときに校庭に連れていってもらいましたけれども、いつ流れ弾が飛んでくるのか気が気でなかったというような、こういう状況でして、こういうところで教育を受けているというか生活をされている方というのは、やはり同じ日本人として何とか考えてあげなきゃいけないんじゃないのかなという印象を持ったのが正直なところでございまして、当然、総領事館、総領事等にいろいろお話をお聞きしました。  日本人学校というのは、ある意味では私学と同じだから、なかなか国から命令するというか、そういうことができないというようなお話がありましたけれども、何か事があったら恐らく外務省が批判の対象になっちゃうんじゃないかなというような感じがしたものですから、東京に帰ってきまして、当然外務省はこのことを御存じだと思うんですけれども、どのような認識をされておられるのか、その辺をまずお聞きしたいと思っております。
  105. 小野正昭

    政府参考人(小野正昭君) お答えいたします。  正に先生御指摘のとおりでございまして、リオデジャネイロの日本人学校の状況でございますが、周辺の環境が非常に悪化してきたということでございまして、非常に深刻な状況であるというふうに考えております。  総領事館においても、日本人学校の運営委員会と緊密に連絡を取りながら、児童に万が一のことがないようにということで様々な安全対策を講じてきているところでございます。それと同時に、移転の可能性も含めて真剣な議論が行われてきているということでございます。  具体的な安全対策といたしましては、外務省としてはもちろんのことですけれども、ガードマン二名、これは通常は一日八時間ということで採用しているわけですけれども、リオデジャネイロにつきましては二十四時間ということで、テレビカメラも設置いたしまして、いつ何どき侵入事件が起こるかも分からないということでモニター等してきております。それから、警察等に対する通報が行えるように非常通報装置の設置というのも行っております。それから、そのような予算措置のために、今年は昨年に比べて六四%、このガードマンの費用等に充てるということで決定をしてきているところでございます。  それから、現地の警察と緊密に連絡を取り合うということが非常に重要だというふうに認識しているわけですが、それ以外にも、緊急時の児童生徒等の安全確保に備えるといういろいろな工夫をしてきていると。  それから、先ほど、流れ弾といいましょうか、そういうものも校舎に当たっているわけでございます。そういうことで、教室の窓の強化ガラスの設置ですとか、飛散防止フィルムの設置等も講じてきているということです。それから、通学に使うスクールバスですけれども、これももちろん各家庭まできちっと送迎を行うということをやっております。  それから、日本人学校にその影響が及ぶような事件が発生する際には現地の警察から直ちに情報提供があるという体制を取ってきておりまして、銃撃戦発生等に際しても緊急退避も策定しているということでございます。  校舎の移転につきましては、学校の運営委員会、これは総領事館の館員もその委員の一人として積極的に参加しているわけですが、現在、移転を含めた安全確保のための対応について検討を進めているということでございます。  いずれにいたしましても、現地の治安状況にかんがみまして、なお一層の安全確保のために最善を尽くしてまいりたいというふうに考えております。
  106. 岩本荘太

    ○岩本荘太君 ありがとうございました。  大変御苦労を掛けていると思うんですが、確かにリオデジャネイロというのは非常に危険なところだというのを私も身にしみてはいますが、それはだんだん危険になってきていますからどこかに移っても駄目なのかもしれませんけれども、ただ流れ弾があるようなところで生活するというのは、学校を置くというのはちょっと何か考えなきゃいけないんじゃないかな、ガードマン幾ら置いても流れ弾は防げませんからね。  その辺をやっぱり考えていただきたいのと、私が聞いた話では、要するに昔の学校で郷愁を感じていると、経営者といいますか運営委員会が。というようなお話もありましたけれども、また別の見方で見ると、学校四百人が二十何人になったら、やっぱりちょっと機動性が欠けるというか、財政的にも動けないというような面もあるんじゃないのかなというような感じがちょっといたしましたので、その辺もよろしく御検討をいただきたいと思います。  それと、これで気が付いたんですけれども、気が付いたと言っちゃおかしいんですが、今、世界じゅう内戦状態が多いですよね。日本人が随分行っていますよね。これだけ国際化ですから、大人一人一人をどこまで安全見るかというのはこれはいろいろ御議論あるところだと思うんですけれども、少なくとも保護されるべき子供、子供の安全というのはしっかり守らなきゃいけないと私は思うんですけれども、世界的視野で見た場合のこの安全対策というのは、外務省、どんなふうに把握されておられますか。
  107. 小野正昭

    政府参考人(小野正昭君) 先生御指摘のとおりに、我が国の、海外で国民が安心して活躍できる環境整備という点からも、日本人学校及びその生徒の安全確保というのは基本的な条件であるというふうに考えております。  全世界で現在、日本人学校八十三校、それから補習校が百九十六校あるわけですが、それぞれ置かれた環境というのは異なるわけでございますが、外務省といたしましては、それぞれの国の実情を踏まえて、学校の置かれた状況に応じて適切、かつ、きめの細かい安全対策を講じなくてはいけないというふうに考えてきているところでございます。  特に、昨年九月の米国の同時多発テロの後、非常に緊張が高まっている地域等がございまして、こういうところにおきましては、在外公館と日本人学校との緊密な協議を行って、改めてその危機管理体制の見直し、いつ何どき社会混乱ですとか暴動が発生するといったことも想定されるわけでございますので、そういうことを行ってきていると。  それから、例えば本年五月にインド、パキスタン情勢、特にカシミールをめぐって非常に緊迫した状況になったわけですが、こういうときにも外務省の危険情報というのは非常に高くなっていって、現地の在留邦人に退避を勧めるというようなことも行ったわけですけれども、そういうときにも、在留邦人との間で緊密な連絡を取って、退避準備、退避経路の確保、例えばいざというときに航空券あるいは現金を事前に準備しておくというようなことも含めて、周知徹底を図ってきたという点がございます。  また、スクールバスなんかにつきましても、特に運転手ですとかあるいはバスに同乗する警備員に、万が一のときのために避難場所あるいは連絡体制の確認ということを徹底してきているということで、インド、パキスタンの危機のときには、このような措置を行った結果だと思いますが、かなりスムーズな退避が行われたというふうに承知しております。  また、そういう緊急事態のみならず、平時の安全確保、誘拐ですとか窃盗ですとか、一般犯罪というのは常時あるわけでございますので、児童生徒等を守って安心した日常の教育活動が行われるような環境を整備するために様々な施策、例えば邦人安全対策協議会というのを各在外公館を中心として日本人学校関係者との間で行っておりますし、それから海外の安全対策ワークショップというのも開催いたしまして、この専門家、コンサルタントを現地に派遣して、在留邦人に対する注意喚起というようなことも行ってきているところでございます。  そういう意味で、予算等もできるだけ確保したいというふうに考えてきているところでございます。今後とも、学校側ニーズを踏まえまして、政府としての支援の内容を充実していきたいというふうに考えているところでございます。
  108. 岩本荘太

    ○岩本荘太君 ありがとうございました。  大分時間が過ぎちゃって、総務大臣の方になかなか行かないで心配なんですけれども、もう一つ外務省関係で、これは地元の要望に近いのかもしれませんけれども、先ほど言いましたように、ブラジルというのは特殊な国で、日系人たくさんおられますよね。ああいう中で、今、外務省改革盛んにやっておられる、実行計画を策定されているということで大変結構なことだと思いますけれども、その一連の作業の中かどうかは知りませんけれども、何かブラジルで総領事館が減らされるという話が流れたんですね。  これに対して非常に敏感に日系人が反応していまして、私は、減らす減らさないはこれは私がどうこう言うあれじゃないんですけれども、やはりそういう改革をして機構等を変える場合に、やっぱりほかの国のみたいに、国レベルといいますか、大所高所からやれるところもあるでしょうし、ブラジルみたいにもうすぐに敏感に反応してくるようなそういうところもありますので、そういうところの説明責任といいますか、そういうものは十分持っていただきたいと。これ要望に近いんですけれども、何かもしお話ありましたら。
  109. 北島信一

    政府参考人(北島信一君) 委員のただいまの御指摘説明責任をきちっと果たすようにという点は十分に承りました。  現状を簡単に御説明申し上げますと、委員指摘のとおり、川口外務大臣が先週、外務省改革の行動計画を発表したわけですけれども、その中で、今後三年間で、設置時の状況の変化を受けて七公館をめどに廃止するということを発表したわけでございます。  今、概算要求を作成中ですが、来年度につきましては、アフリカのリベリア大使館とヨーロッパのラス・パルマス総領事館の廃止を検討したいと思っています。その上で、二年度目、三年度目をどうするかということについては現在省内において検討を行っているところでございますけれども、当然のことながら、相手の理解を得る必要がある、説明責任があるよということを委員正におっしゃったわけですけれども、そういうことがございますので、現段階では具体的な公館名の言及は控えさせていただきたいというふうに思います。  一般的な考え方を申し上げれば、在外公館を設置するときには、我が国在外公館網の整備状況を踏まえて、予算及び定員の効率的な運用を図るという観点から、相手国との関係の政治、経済、文化等の諸分野での緊密度、それから相手先の政治的、経済的重要性、それから在留邦人数、本邦企業の進出状況等、そういったものを総合的に勘案して決めるわけですけれども、廃止するかどうかということを決定するに当たっては、こうした諸点にその後変化があったかどうかということを総合的に勘案して決めるということでございます。
  110. 岩本荘太

    ○岩本荘太君 ありがとうございました。  さすが外務省だと言われるような立派な対応をしていただきたいと。名誉挽回のためにも、言い過ぎかもしれませんが、よろしくお願いいたしたいと思います。  それともう一つ、これは決算委員会そのものについて、これ総括質疑のときに言うべきだったかもしれないんですが、私、今年の平成十二年度決算の審議の始まりの代表質問のときにさせていただきまして、参議院改革というのは我が会派の旗印でございますし、その中でいろんな面がありますけれども、参議院の独自性を持たすためには、一つ、参議院決算重視という、これは私ども、私自身ばかりでなく、私どもの会派ばかりでなく、皆さんそう思っておられると思うんですね。ところが、総論はいいけれども、なかなか具体的に進まない。そのためには個々の問題、どこに問題があるのか、何を直していきたいのか、もう少し突っ込んでいかなきゃいかぬじゃないかなというような気持ちがございまして、私は、この決算委員会というのは本当は衆議院のやる予算委員会の裏側といいますか、そういうような格好で総理大臣以下出てきて集中審議して、予算委員会も分科会をやって集中的に上げますからね、そういうようなやり方がいいんじゃないかなと思っているんですけれども、そういう私のあれがございますけれども。  決算委員会というのは何か、決算審議というのは何かというと、やっぱり一つは次年度予算に反映させると、その審議の結果をですね。それともう一つは、これはなかなかできないんでしょうけれども、僕は、否決されたり何かおかしなところがあったらその責任を取るような、そういう体制を取らなきゃいけないんじゃないかなとかねがね思っていますが、後段の問題はさておいて、前段の、反映させるためには、これはただ口で言っているだけでは駄目で、要するに早く決算書を提出していただかないと駄目だと。私なりの理解でいえば、翌年度予算に反映させるには少なくとも十月か十一月ぐらいに集中審議できるような、そういうような格好にできないかなというような気持ちがあるんですが、そのために決算書の提出を早めることはできないか。  これは代表質問でも質問をさせていただきまして、塩川財務大臣にもたしか前向きな御答弁をいただいたと思うんですが、それを受けてこの辺をちょっとお聞きしたいんですが、まず、我々、決算書というのはどんな仕組みで、決算事務というのはどんな仕組みで来ているものか、まず、理解余りよくできないものですから、その辺をひとつちょっと御説明いただけたらと思います。
  111. 尾辻秀久

    ○副大臣(尾辻秀久君) 現状についてお答えいたします。  四月、五月、六月の動きもありますけれども、これはちょっと省かせていただきまして、七月の三十一日に各省各庁から決算報告書等が財務大臣に送付されますので、それから後のことで申し上げたいと存じます。  財務大臣は、会計検査院立会いの上、七月三十一日に歳入歳出の主計簿を締め切ります。ここで主計簿の締切りになります。その後、財務大臣決算を作成いたしまして、内閣として会計検査院に決算を送付いたします。この送付期限は財政法上では十一月三十日と定められておりますけれども、現状では約二か月繰り上げまして九月下旬には送付いたしておるところでございます。私どもも努力いたしておりますということを申し上げたくて今のことは申し上げたところでございます。  これを会計検査院が検査をいたしまして、検査報告を内閣に送付しておりますけれども、これが現状では大体十一月下旬ということでございます。そして、内閣は会計検査院の検査を経た歳入歳出決算を検査報告とともに、これは常会に提出することが常例とする、常の例とするというふうな定めもございますので、常会に提出をさせていただいておるというのが現状でございます。
  112. 岩本荘太

    ○岩本荘太君 ありがとうございます。  今のをお聞きしますと、結局、各省の事務が七月ぐらいまでにあって、その後が大体検査院と、そんな格好になるわけですかね。だから、結局それぞれの部署が早めなければ早まらない、一つのところでないということはよく分かるんですけれども。  ただ、今のお話で、十一月末と今言っているそれが例えば一月ぐらい早くなれば、私がさっきちょっと持論を言いましたその十一月ぐらいに審査するということも可能なような気がするんですが、そういうもっとこれ以上事務を早める、これは財務省だけの問題じゃないかもしれませんけれども、事務を早めるということが可能か。あるいは、今いわゆるコンピューターを使っておりますからいろんなところで事務の効率化がされているわけで、そういう流れの中で当然もっと早まっていける可能性があるんじゃないかなと思うんですけれども、その辺のお取組あるいは見通し等ございましたら御説明ください。
  113. 尾辻秀久

    ○副大臣(尾辻秀久君) 私も参議院議員の一人でございますし、この決算委員会にも何回も籍を置きましたのでもうおっしゃっておられることは極めてよく承知をいたしておりますし、私の気持ちでもございますけれども、財務省としてお答え申し上げたいと存じます。  今、先生御自身もお述べいただきましたように、かなり限界のある話でもございますけれども、それはそれといたしましても、今後とも、早期提出については今お話ございました決算事務の電算化の推進等工夫を凝らして努力を続けてまいりたい、こういうふうに考えておるところでございます。  今後とも、決算審査の重要性を十分認識し、なお一層の努力をしてまいりたいと存じます。
  114. 岩本荘太

    ○岩本荘太君 昨日お話し聞いたときには何か各省でもLAN形式の枠組みを組むというようなことをちょっとお聞きしましたけれども、副大臣のお立場になりますとなかなかそういうことをお答えいただけないんでしょうけれども、まあ何らかの格好で早めていただきたいなと、こう思っております。  それで、総務省、私、かつて交通・情報通信委員会におりましたので、そのときに郵政省と随分お付き合いいただきましていろいろ勉強させていただいたんですが、その思い出といいますか、そのときにちょっと問題意識を持ったことについて質問をさせていただきたいと思うんですが、通告したのとはちょっと違うんですが、時間が大分迫っていますので、ひとつ大臣に。  私、かねがね、総務大臣というか郵政大臣御新任のときに、いわゆる高度情報化社会、これ大変便利でいいものだとは思いますけれども、この高度情報化社会をそのまま無防備に受け止めておいていいのか、何か障害があるんじゃないかなと。そういう意識が最近大分強まってまいりましたけれども、端的に言って、いわゆる今のIT社会というのは、見ることと聞くことですね、大体。それによってコミュニケーションをやっていますけれども、人間のコミュニケーションというのは五感でやらないと完全なものにはならないんじゃないかと。そういう意味では三感が抜けているわけですね。こういう辺の問題意識を何らかの格好で解決していかないといけないんじゃないか。  それは、言うはやすく、どうしたらいいかというのは大変ですし、総務省といいますか、郵政関係で、通信関係だけでできる問題ではないと思いますけれども、少なくともその担当大臣はその辺の御認識は持っていただきたいなと思ってこういう質問をかねがねしているんですけれども。  まあ、対案があるかどうか分かりませんが、私かつて、NTTが、電話テレビですか、テレビ電話ですかね、それを何かデモンストレーションでやったときに、子供たちは喜々として喜びますわね。ただ、ちょっと嫌みたらしくではありましたけれども、それで喜ぶばかりじゃなくて、将来はお互いの知り合いがどこかで会って、握手してその肌のぬくもりを感じてにおいをかげと、そうでなきゃ完全でないよということを申し上げたことがあるんですが、何かそんな取組も一つはあるんじゃないかと思うんですが、その辺で大臣基本的な、この高度情報化社会に対するその辺の欠陥といいますか、その辺の取組についてお話をお伺いしたいと思います。
  115. 片山虎之助

    国務大臣片山虎之助君) 今、岩本委員が言われましたように、私もかなり共感するんですよ。高度情報化社会というのはどんどんどんどん便利になっていきますね。しかも、その情報というのは与えられるんですね、もうむやみやたらに。しかも、でき上がった情報を断片的に、上辺だけとは言いませんけれども、与えると、物を考える力だとか、お互いのコミュニケーションを努力してやろうというようなことはもうだんだんどこかへ行っちゃうんですよ。私は、本当にこれは大変なあれなんで、情報を検証して、本当の情報を選んで、自分のためになるものだけ取り入れて自分で物を考えるなんということをこれからやらないと、だんだん衰弱すると思いますね、知的水準が。大変そういう気を、受けているんですよ。  テレビがぱっぱぱっぱいろんなものを流すでしょう。ぱっと画像だけ見て、物を、ああ分かったと。新聞はもう見出しだけですよ。中を丁寧に読む人なんか少なくなっているんだから、平均的には。これも、それは常に正しいわけじゃないんですよ。かなりいろんなことがあるんで、そういう意味で私は、高度情報化社会というのは大変そういう意味では問題を起こす社会になってくるんではないかと、そこの影の部分をしっかりと対応しないとおかしいことになると、こういうふうに思いますね。  ユビキタスなんという点もこれからどんどん便利になるんだから、ちょっと操作すれば、クーラーが掛かっているとか御飯が炊けているとか冷蔵庫は自分で管理するとか、人間はいよいよ怠惰になるというふうな私は実は気がしているわけでありまして、かなり古い話だけれども、アルビン・トフラーという人がハイテク・ハイタッチと言いましたよね。どんどんどんどん技術が進むほどタッチ、人間的なですよ、フェース・ツー・フェースを含めて人間的な触れ合い、これが必要になると。私は正にIT社会はそういうことだと思いますね。だから、どうやってハイタッチをこれから確保していくかを考えていく必要があると、こういうふうに思っておりましてね。  また住基の話になるとややこしいのですが、住基なんという、本当に分かっている人は余りいませんよ。今忙しいし、ああいう難しいことはみんなもうほとんど分からぬで済まそうと、こういうことだから。ただ新聞の見出しとテレビだけですよ。新聞、全部同じじゃありませんよ。テレビも同じじゃありませんよ。我々が丁寧にしつこくやったところは限られておりますけれども、そういうことで漠然たる不安を持っちゃうんですね。だから、あれは安心か不安かといったら、みんな不安の方に丸付ける。私は、総務省の職員にアンケートを取ってみろと言ったんです、どれだけ分かっているか。もう私は、たまたま責任者みたいになりましたから、それはそこそこには分かっているんですけれども、そういう時代になるんですね。だから、我々も心してこれからそういう意味では考えていかないといかぬ、対応していかにゃいかぬと思います。
  116. 岩本荘太

    ○岩本荘太君 御同意いただきまして、ありがとうございました。  それで、実は、そういうお考えの方はたくさんおると思うんですが、二年前ですかね、IT基本法、いわゆる高度情報通信ネットワーク社会形成基本法ですか、あれの審議のときに、これはたしか参議院交通・情報通信委員会でやったんですけれども、たしか参議院に来たときに附帯決議の一項に、これからやるべきことのいろいろ書いてあるんですが、条件が書いてあるんですが、いわゆる情報化社会を進める、進んでいく中で、「インターネット等の情報伝達手段としての特性にも十分配慮すること。」と、この一項がたしか参議院の審議のときに入ったと思うんですね、皆さんの御同意を得て。  これが、附帯決議ですから当然事務当局としては対応をやられていると思うんですが、これ二年も前ですので、その後こういうことについてどういうような対応をされているか、お話をお聞かせください。
  117. 壷井俊博

    政府参考人(壷井俊博君) お答え申し上げます。  御指摘の点につきまして、我が国では、IT基本法の規定に基づきましてe—Japan重点計画というものを策定いたしまして、IT政策の着実な実施に努めてきておるところでございます。  今、御指摘の点につきまして、例えば、特に人と人とがだれでも地理的、身体的な条件に制約されることなく安心して情報や知識の受発信ができるような社会の実現というものに取り組むとともに、例えば今年まとめましたe—Japan重点計画二〇〇二の中にも明記いたしておりますが、IT教育を推進するに当たりまして、IT化の推進に伴って懸念されております、例えば、個人が孤立化するんではないかとか、人間関係が希薄化するんではないかとか、自然体験とか社会体験が不足するのではないかというような懸念される事態に適切に対応できるように、例えば運動部活動の充実とか学校内外における自然体験、生活体験等体験活動の充実というものを盛り込んで取り組んでおるところでございます。  政府といたしましては、今後とも引き続き御指摘のような点について配慮しつつ、IT化の進展というのが人と人とのコミュニケーションの拡大につながるように取り組んでまいりたいと考えておる次第でございます。  以上でございます。
  118. 岩本荘太

    ○岩本荘太君 端的に言えばさっき大臣言われたハイタッチだろうと思うんですけれども、その辺の具体化をしっかりやっていただきたいなと思います。これからやらなきゃいけない分もたくさんあると思いますが、よろしくお願いいたします。  それと、これ、ちょうど私も二年ぐらい前に郵政関係の委員会におったときからいろいろ話がありました、地上放送のデジタル化ですね。たしか私が委員会にいたころは、正にデジタル放送、BSデジタルが始まったころでして、地上デジタルというのはまだ先の話という感じがあったんですが、そのころお伺いした話では、たしか二〇〇三年ですか、来年が東京、大阪、名古屋、それで二〇〇六年はその他の地域、全国に範囲広げると。それで、たしか二〇一〇年には完全に切り替えるというような、こんな……(「一一年」と呼ぶ者あり)一一年ですか、一年延びたのかもしれませんが、そのころから比べますと。それはそれで、デジタル化のメリットというのは非常に分かりづらいんですけれども、それなりに方向性はいいとして、本当にデジタル化というのが可能かどうかというのは非常に心配。  テレビが出現したときは、これは今までないものを見ましたから、私も子供のころは、商売屋がお金をもうけて店先にテレビが据えられれば行って見ましたから、当然親が金ができればテレビ買ってくれと。だから、最初のテレビはそうやって普及した。カラーテレビも、東京オリンピックのころだと思いますけれども、明らかに見ていいですよね、だからこれはお金ができたら買いたい。  今度のデジタルテレビで、これ、ハイビジョンというんですか、あれにはそれだけの魅力があるのかどうかというのは一つ大きなポイントじゃないかとそのときから思っていたんですが、もう余り時間がありませんので、デジタル化のその後の進捗状況、順調にいっておられるとお考えになっているのか、その辺をちょっと局長
  119. 高原耕三

    政府参考人(高原耕三君) 地上放送のデジタル化でございますが、今、先生おっしゃいましたように、スケジュールは当初のとおりに進んでおります。二〇〇三年末に関東、近畿、中京の三大広域圏において始めますし、二〇〇六年末までにその他地域においてデジタル放送を開始するというスケジュールはそのとおりに進んでおります。具体的には、現在では既に放送の送信設備の方にはもう給付金の支給申請受付を開始しておるところでございます。それから、今年の秋には放送局のデジタル化の免許申請受付を開始する予定でございます。  そういうことで、この間は、七月には、総務大臣のブロードバンド懇談会というのがございます、そこにおきまして行動計画というのを策定いたしまして、放送事業者あるいは地方自治体、それからメーカー、小売業者等々、関係者がこの地上デジタルの推進に向けて一体となって、いつ何をすべきかということを取りまとめたところでございます。順調に進んでおります。
  120. 岩本荘太

    ○岩本荘太君 順調に進んで結構なんですけれども、言葉だけではどうも信頼、信頼といいますか、私は判断しかねるんですけれども。  御存じのとおり、これはさっき三位一体とかいう議論がありましたけれども、いわゆる三者ですね。放送者、視聴者、それと機器メーカーといいますか、それがうまく回転しないといかぬ。特に視聴者が魅力を感じなけりゃいけないと思うんですね。  そういう意味で、BS放送でどのぐらいそういう魅力が訴えられたか、どのぐらい視聴者が増えたか、そういうものも一つの目安になるんじゃないかなと思って質問を準備いたしましたけれども、それと価格の問題、もしできましたら短く簡潔に、その価格の問題もその後どういう推移になっているか、お知らせください。
  121. 高原耕三

    政府参考人(高原耕三君) BSデジタルでございますが、平成十二年十二月に始めまして、今、十四年の七月でございます、この間に三百七万世帯ということになっています。価格は、安いものは十万を切るような価格になっております。それで、満足度も、この二月から三月に掛けて我々やりましたけれども、四〇・四%の方が満足、一四・六%の方が不満足ということでございます。
  122. 片山虎之助

    国務大臣片山虎之助君) あのね、コンテンツなんですよ。もう高品質、高性能になるでしょう、双方向で。ただ、問題は流す中身です。コンテンツをいいものを作るという努力が必要なのと、それからあとは値段ですよ。今、大分安くなってきたけれども、もっと下がらなきゃいけません。それから、どうしてもといったらチューナーを付ければいいんです。これは相当安くなります。
  123. 岩本荘太

    ○岩本荘太君 終わります。ありがとうございました。
  124. 田嶋陽子

    ○田嶋陽子君 社民党の田嶋陽子です。  今日は片山総務大臣がいらっしゃるので住民税のことについてお伺いしたいと思います。  その前に少し、配偶者控除、配偶者特別控除の廃止についてずっと考えておりますけれども、その点について少し考えを述べさせていただきます。  私は、日本の未来の国の在り方は、これからは女性の能力と労働力をどれだけ活用するかに懸かっているように思います。これまで日本がこんなに発展してきたのは、過去五十年間やっぱり男性の方たちが一生懸命働いてくださった結果だと思います。それもなぜ可能だったかといえば、家庭でその男性を支える女性がいたからであって、そういう女性と結婚すれば配偶者控除というものが給与所得者である男性はもらえたわけですね。この配偶者控除と配偶者特別控除、それをされることによって奥さんを養っていて、奥さんを守っているということにもなったわけですけれども、今の女性たちは共働きの人たちが増えてきて、この配偶者控除なるもの、専業主婦の人たちを持っている夫たちに与えられる配偶者控除というものに対して不公平感を持っております。  それと同時に、この専業主婦の方たちも、働きたくてもこの配偶者控除があって、それが足かせになって十二分に働きにくいという、そういう状況一つあります。すなわち、この配偶者控除というのは、男性にとっては得かもしれないけれども、女性にとっては足かせだと。一方で、男性も自分だけが家計を支えなければいけないということで、この不況時には、時には自分の男性性を失って苦しんで自殺する人もいます。  そんな必要はないんですね。男の人も女の人も自由に働けるようになったら男性だけがそんな負担を負うことはないわけで、男性ももう少し労働時間も短縮できて、いわゆる家庭生活もまた復活する可能性があるわけです。  ですから、私の考えとしては、女性を守ると言われてきた、あるいは男性が得だと言われてきたこの配偶者控除、それから配偶者特別控除、それからもう一つ住民税、ここにも配偶者控除と配偶者特別控除、四つあるわけですね。この四つというものをなくしてしまった方がいい。  ところが、今、税調では配偶者特別控除だけをなくそうとしている、所得税の方ですね。ところが、これに関してももうびびっていますね、みんなが増税だといって反論するんじゃないかといって。でも、そんなところでびびられるのは、なぜびびるのかというと、税制度を変えるに当たっての大きな視点がないからですね。だから、国民には単なる増税という印象しか与えていない。私がこのもし四つの配偶者控除、特別控除をなくすなどと言ったら、それこそ反乱が起きてしまうと税調は考えるかもしれないですね。それぐらい増税ということが国民の頭にはあります。  ですけれども、私は、女性を早く鳥かごから解き放ってほしい、女性の足かせを外してほしい、男性も自由になってほしい。その上で十二分に働きたいように働いて、きちんと男も女も税金を支払う。日本では一千二百万人以上の専業主婦が税金を払っていません。しかも、自分の健康保険の掛金も年金の掛金も支払っていません。これは、戦後五十年、男性に働いてもらうためにできた制度の結果、一見得に見えますけれども、今、一生懸命働きたいと思っている女性たちは、低賃金の中、それ以上なかなか働けない状況があって苦しんでいます。パートの問題にもかかわってきます。すべてにかかわってくるんですね。  そこで、私の提案としては、増税ではなくて、よりベターなライフスタイルを作り上げるために、この四つの控除を取り除いてほしい、廃止してほしい、その方向でいってほしい。先ほど片山大臣はとても面白いことをおっしゃいました。三位一体で国と地方との関係のことをおっしゃっていましたが、私は、男と女の関係は国と地方の関係と同じだと思います。さっき片山大臣は、国と地方はフィフティー・フィフティーがいいとおっしゃいました。それから、補助金も交付金もそれから税源移譲の問題も三位一体でやらないと駄目だとおっしゃいました。私も、女性を税制度から解放するためにはこの三位一体でやらなければいけないと思います。  どういうことかというと、一つ目の柱は住民税のこれからお話しする百万円の壁です。それから二つ目は、所得税の実はこれは幻の百三万円の壁です。実際には幻じゃなくて、企業はこの百三万円を境にして家族手当を出したり出さなかったりしているわけですから、実際には幻ではないんですが。もう一つが社会保障制度の百三十万円の壁です。この三つの壁があって、日本の女性は、特に既婚女性は、既婚者は自立ができないでいるんですね。いや、そんな壁は取っ払って思い切って働けばいいじゃないかというけれども、企業もこれをうまく使っていて、女性を安くパートで使うための道具にしています。  私は、要するに住民税は総務省、所得税は財務省、厚生労働省が社会保険制度、健康保険、年金のことですね、その百三十万円の壁ですね。この三つの省庁が三位一体になって、早く女性の足にぶら下がっているこのおもりを解き放ってほしいんです。  今、日本という国が経済的に不況ならば、私はこの日本という国が、船が沈んでしまっては困ると思いますが、もし船が沈みそうなら、なるべく柱に縛り付けている人間たちの鎖を解き放ってほしいんです。そうしたら、その鎖を解き放された女性たちは自分たちの頭で、女の人たちはすき間産業が得意です。男の人たちが箱物を造って大きな大きなことをやろうとしているときに、女たちは落ち穂拾いをします。でも、意外とそれが大きな産業を引き起こします。実際にそういうことをやり始めている女性たちがいるんですが、国からの補助が、援助がありません。そういう女性たちにもっと力をかしてくださったら、そう言っちゃ悪いですけれども、短絡的な、非常に近視眼的な、やれ増税だの、やれどうたらこうたら、見ていると歯がゆくなります。そんなことをしなくても、もっと国力として女の人たちが力を盛り返してきたら男性も元気になると、私はそんなふうに考えています。  そこで、質疑に移ります。  まず、片山総務大臣の税制度の課税単位について、住民税の課税単位について御認識をお伺いします。  この間、塩川財務大臣に日本の課税単位は何かとお聞きしましたら、日本はまだ家族単位だとおっしゃいました。そうしたら、財務省主税局長は慌てて個人単位だとおっしゃいました。このずれが問題だと思います。財務省は、我が国の所得課税は原則個人課税だと。でも、現実には配偶者控除、配偶者特別控除があるために世帯単位になっていると。  ですけれども、ここを何とかして私は、男女共同参画社会に向けて課税単位を元のその個人単位に、世帯単位から個人単位に変える必要があると思います。そうしたら、女の人も男の人ももう少し自由に働けるんじゃないか、自分の人生を生きられるんじゃないか、その方が日本という国はいろんな意味で強くなるんじゃないかと考えておりますが、片山総務大臣はどんなふうにお考えでしょうか。
  125. 片山虎之助

    国務大臣片山虎之助君) これは、既に田嶋委員が御質問して御答弁をお聞きになったように、個人単位課税ですよ、日本は。ただ、世帯というものの考え方も一つあるわけですね。だから、個人単位課税が中心だけれども、世帯課税単位というんでしょうか、そういうことも配慮されている、こういうことでございましてね。  それで今、大変勇ましいと言ったら語弊がありますが、田嶋委員らしい大変いいお話を聞きまして、私もこの前、広島の政府税調の税の対話集会に初めて行ってみたんですよ。それで、やっぱり女の方の大変な関心は配偶者控除、特別控除ですよ。これは相半ばしていますよ。是非、田嶋委員の言われるように、女性にとって足かせだからもうやめてしまえと、男と対等にやりたいと、男性と、こういう意見と、いやいやそんなのじゃ困ると、こういう意見がありまして、これはなかなか難しいですね。私の方の住民税もそうなんですけれどもね。これをどう考えるか。やっぱりある程度国民的な合意要りますね。それから、将来の男女共同参画社会の在り方とも絡んでくる問題で。  それからもう一つは、やっぱり控除制度がたくさんあって、課税最低限が上がって税の空洞化の議論があるんです、我が国は、御承知のように。所得関係税も法人関係税も。だから、この辺も税の空洞化を、どうやってすべての方に広く薄く少しでも持ってもらうかということが必要なんで、法人では七割持っていない、全く、個人では四分の一、二五%持っていないような状況でいいのかどうかというふうに思っております。  若干の所感を申し上げました。
  126. 田嶋陽子

    ○田嶋陽子君 大体どこで意見を聞いても半々ですね。これは、足かせになるというのと、いやそうじゃないという既得権を守る人たちと。  これは、私は申し上げますけれども、私も取りあえず全国回っておりますから分かりますが、この半々ですから幾ら意見聞いても同じだと思うんですよ、申し訳ないですけれども。それですから、やっぱり国はあるべき姿として何か提案をしていただきたいんですね、その上で議論していただきたい。ただ意見を聞いていたら私はらちが明かないと思うんですね。  それともう一つは、年代的なものがあると思います。ずっとこの配偶者控除、特別控除で既得権としてそれを楽しんでといいますか、利用なさってきた方たちはとても不安に感ずると思いますね。ですから、代替案が必要だと思うんですね。  例えば、私なんかはもう子供さんも大きくなって夫と二人だけになられた方にそういうものは必要ないと思うんですが、まだ子供さんがいたり介護をしていらっしゃる人はその税金でもって例えば手当にするとか。だから、一律に専業主婦なら税金を払わないでいいとか、一律ではなくて、やっぱり国が制度として、子供がいる人は三人いたら三人に手当出す、あるいは扶養する人は扶養手当を出す、もしかしたらそういうふうにして、しかも、その手当も妻に付けるんじゃなくて子供に付ける。  今、結構家庭が崩壊しています。子供たちはかえって実の親に虐待されたりして、苦しくなればなるほど親に虐待されます。その子供が動いたときに、その子供の面倒を見てくれる人にその子供が手当をしょっていけるとその子供はいいんですね。だから、子供を面倒を見る人に手当じゃなくて、子供に手当を付けてあげる、例えば。  そんなふうな工夫もできると思いますし、それから、女性が今働きたいと思ってもやっぱり低賃金、パートが非常にひどい状況にありまして、ですから、その女性を訓練する場所が地方にもいろいろあると思うんですが、結構即効性がないんですね。だから、そういう女性たちが、働きたい女性たちが少しでもいいポジションに行けるような、その訓練所をもっと充実させるとか、もう実にこれは方法を考えればいろいろあるんですね。  私は、増税という名目でやるよりは、一人一人の人生を豊かにするために税制度を変える、その結果増税になる部門もあるでしょうし、でも、その増税の部分を使って一人一人の生活、子供の生活、老人の生活が豊かになるような方向にお金を使っていくことを約束なされば、総務省財務省も、そうした場合、私は国民は納得すると思うんですね。だけれども、今のところでは税調も増税の雰囲気しか出していない。代替案がないんですね。そこのところが私は非常に問題だと思うんです。  細かいことがあるんですが、ここで、坂東さんもおいでになっていらっしゃるので、少しその辺、結局、私たちは女性省が欲しいと言ってきたわけですね。でも、女性省ができたって力が弱いから、何の力もないからできないから、結局内閣府に男女共同参画社会があった方がいいという意見があったもので、女性省を作ってと言うのをよしたんですね。だから、内閣府にいらして大変だと思いますが、どのような努力をなさっていらっしゃるのか。なかなか先が見えないので、その辺の苦しみでも楽しみでもありましたら話してほしいんですけれども。よろしくお願いします。
  127. 坂東眞理子

    政府参考人坂東眞理子君) 税制、所得税あるいは住民税にかかわる配偶者控除、配偶者特別控除等に関しましては、ライフスタイルの選択と、今度こうした税制、社会保障制度、雇用システムがどういう影響を与えるのかということを男女共同参画会議の下の専門調査会の方で御検討をいただいておりまして、四月二十四日に中間報告を公表しております。そして、こういうのを公表しただけではそれこそ総合調整の効果を上げませんので、例えば五月十三日の経済財政諮問会議におきまして、男女共同参画担当大臣が税制、社会保障制度、雇用システムについて説明を行うとか、あるいはまた、いろいろな機会を利用しましてこの中間報告の趣旨の実現に向けて働き掛けを行っていくこととしております。  政府税制調査会につきましても、会長に対しまして、あるべき税制の構築に向けた基本方針についてこの専門調査会の会長から意見を述べると。配偶者特別控除だけではなしに全体のバランスを考えて、国民の負担が一方的に増大することがないように、両立支援、あるいは先ほどおっしゃいましたようないろいろな形の支援も配慮して総合的に配慮するようにということを意見を述べるべく、日程等についてはまだ調整中でございますけれども、そういったことを考えております。
  128. 田嶋陽子

    ○田嶋陽子君 たしかそれは七月二十四日の話でしたよね。それからもう一か月以上たっていまして、まだ結果は出ていないんですか。何かすごく焦りますよね。何かもう国は秋にはいろんな方針を出しちゃってまたばんばんと推し進められたらどうしようと思うんですけれども、どうでしょう。
  129. 坂東眞理子

    政府参考人坂東眞理子君) 最終的な日程はまだ調整し切れておりませんけれども、そうしたことが決まる前に、できるだけ早く申入れを行いたいと思っております。
  130. 田嶋陽子

    ○田嶋陽子君 揚げ足を取るわけではありませんけれども、先ほどの国民に大した負担にならないようにというふうなそういう申入れと、またライフスタイルの云々ということもおっしゃいましたが、まだ少し何か弱腰のような気がするんですけれども。もう少し国民の生活を二十一世紀に向けて個人を大事にする生活、家族を大事にするためにはまず個人を大事にしなければいけなくて、先ほども私は片山大臣のお言葉を使わせていただいて、男と女の関係は国と地方の関係と同じ、すなわち対等ではないわけですね。  私は、ずっと女性学をやって、大学で教えてまいりましたけれども、必ず家庭の中の不幸はどうして起きるかというと男と女の力関係の差なんですね。その力関係の差が子供に行って、その子供がいろんな問題を生み出しているんですね。これってみんな見たがらないことなんですが、これは事実なんです。だから、男の人と女の人はけんかしようと何しようと対等になる、少なくとも経済的に女の人が自立するということが実はこの国の基本なんですね。そこがきちんとできていない国はいつまでたっても、要するにきちんと立っていないわけですからぐらぐら揺れて、日本はますますこれから駄目になっていくと私は思っています。  ですから、単に国民の負担を云々ではなくて、もっと日本人がどんなふうに生きたら力強く生きられるのか。私の考えでは、それは男の人と女の人が限りなく自分の経済力を身に付けて対等になることです。その基本を私は税制度で全うしていただきたいと思うんですね。  そこで、片山大臣にお伺いしますけれども、この住民税における配偶者控除と配偶者特別控除、それをどんなふうになさろうとお考えですか。これまでそれは所得税の陰に隠れて見えてこなかったんですね。いつも所得税のことだけ言われてきて、しかも今度税調では配偶者特別控除だけなんです。これだけ取ったって女性は自由にならないんですね、配偶者控除もなくさないと。もっと言うと、地方税の配偶者控除と配偶者特別控除も何とかしないと駄目だというふうに考えているんですね。そこを片山大臣はどんなふうにお考えでしょうか。
  131. 片山虎之助

    国務大臣片山虎之助君) 今まで地方税全体が、国税の付加税でもないんだけれども、そういう感じがややありまして、国税並びが多いんですよ、本当に。  例えば、法人税と法人事業税も似たような税ですよ。だから、法人事業税に外形標準というのは、やっぱり独り立ちさせようと、法人事業税、地方税の方。だから、今まで所得税とこの住民税も本当に似たようなものなんですよ。お神酒どっくりで、向こうはずっと大きいんですけれどもね。  そこで、大体地方の方が負担分にみんなで少しずつ出すという思想があるものだから、この控除でも所得税の方が大きいんですよね、住民税の方が少ない。しかし、扱いはずっと同じにしてきたんですよ。だから、今、国と地方と男と女は一緒だと、こう言われましたので、地方は男かなといったらやっぱり女ですか、弱いから。  そこで、今後、この地方税もやっぱり国税一緒になるところは一緒にする、似たところは似たところにしながら、やっぱり独自の体系というものをこれは立てていただかぬと自立しませんよね、男と女の関係で。自立する地方税の体系ということを考えていかにゃいかぬ。  そういう中で、住民税を、我々は今所得税から住民税にお金を移してもらおうと思っているんですよ。先ほど言ったでしょう、三兆円移してもらうと。そうすると、だんだん住民税が自立してきますからね。自立してきたときに、田嶋委員の言われるように、向こうは控除があってもこっちはないよと、こういうことも一つ考えていきますので、今後の検討課題にさせてください。
  132. 田嶋陽子

    ○田嶋陽子君 片山総務大臣、約束してください。考えてくださいますね、具体的に。具体的に、口約束でなくて、よろしくお願いします。いいですね。大臣、一言。
  133. 片山虎之助

    国務大臣片山虎之助君) 税制は私一人じゃなかなか、御承知のように政府税調、党税調、今は経済財政諮問会議も入っていますから、考え方は自立する地方税の体系ということで、この問題についてもそういう視点を加えながら検討してまいります。
  134. 田嶋陽子

    ○田嶋陽子君 坂東局長、一言熱意のある答弁をよろしくお願いいたします。具体的にどういうふうに切り込んでいらっしゃいますか、政府に。よろしくお願いします。
  135. 坂東眞理子

    政府参考人坂東眞理子君) 私どもも、先ほど申しましたように、そのライフスタイルに忠実に社会の制度をいろいろ検討していかなければならないという視点から、こうした税制ですとか社会保障制度ですとか、そしてその一番根本にある雇用システムに向けて十分見直していくということが必要だというふうに考えております。
  136. 田嶋陽子

    ○田嶋陽子君 これは総雇用システムまで入れなければいけないことは分かります。そうすると、三位一体どころか六位一体とか、そういうことになりますよね。ですから、総合的に大きな視点、一つ考え方を持ってやっていただきたいです。あっちネズミかじり、こっちネズミかじり、ちょこちょこではなくて、よろしくお願いいたします。  終わります。
  137. 北岡秀二

    ○北岡秀二君 大分時間も経過しておりますので、そしてまた、なおかつ今まで各委員からいろんな角度からの質問がございました。多少重複するところがございますので、私はもう簡潔に地方自治体関連で、基本的なこれからの将来のビジョンや在り方についてのところの質問をさせていただきたいと思う次第でございます。  まず、先ほども質問がございましたが、住基ネットについてお伺いをしたいと思います。  もう既に八月の五日から第一次稼働ということで、かなり国民の皆様方が関心を寄せておるわけでございますが、現在に至るまでの稼働状況、そしてまた、なおかつ一部住基ネットのシステムに参加していない市町村があるわけでございますが、この辺りの区市町村に対する対応、総務省としてどういうふうにお考えになっておられるのか、お伺いしたいと思います。
  138. 芳山達郎

    政府参考人(芳山達郎君) 八月五日から住民基本台帳ネットワークシステムが稼働をしております。このシステムは、十一年の八月に住民基本台帳法の一部改正法の成立によりまして、それ以来、市町村及び都道府県を始めとする多くの方々の御尽力によりこれまで構築されてまいりました。八月五日稼働後、今三週間程度経過をしたわけでございますけれども、この間、不正のアクセス等についての報告は受けておりません。一部の団体においてシステムの障害等が発生したとの報告を受けておりますけれども、すべて復旧をしておりまして、現時点においては順調に稼働しているものと認識をしております。  なお、今お尋ねがありました、現時点で四団体が不参加の状況になってございまして、我々としては、改正住基法における法律に基づいて、この団体についてもネットワークシステムの運用が早急に図られますように、関係都、県と連携を取りまして理解を求めておりますし、理解を求めてまいりたいということでございまして、今そういう状況でございます。  なお、途中経緯で、三重県の二団体が始めの五日からは参加がありませんでしたけれども、八月九日から参加をしておるというような状況でございます。
  139. 北岡秀二

    ○北岡秀二君 先ほどの質問にもございましたが、非常にこの住基ネットの問題に関しましては、さきの国会会期中、個人情報保護法案等々のいろいろ審議過程の中で、マスコミを中心として国民の皆様方にいろんな意味でのマイナス情報がかなり流布をされておると。私どもも、国会終わりまして地元でいろんな県民、国民の皆さん方といろいろ意見交換をさせていただくと、非常に住基ネットの問題に関して御不安もあるようでございますし、そしてまた、なおかつ基本的なところを十分に果たして御理解いただいておるのかなと。  私は、今まで、今日の議論もそうでございますが、非常に大きな問題点というのは、非常に今までの議論の過程の中で各論に入り過ぎて、各論の部分のマイナスの部分はかなりな議論されていらっしゃる。私はこれは非常に大事なことだろうとは思うんですが、この住基ネットがそもそもスタートするに当たって、e—Japan構想、これに基づいて電子政府をこれから目指していく、あるいは電子自治体を目指していくと。高度情報化社会に対応した、非常に国民の利便性も含めた合理的な自治体を目指していくんだというような基本的なところ、その辺りが十分に国民の皆様方にいろんな利便性も含めて御理解いただいていない。そしてまた、総務省自体あるいは国自体もその辺りの意気込みというか、はっきりとした姿が、ビジョンが見えないと。私は、この問題に関してここが一番大きな問題の一つじゃなかろうかというふうに認識をさせていただいておるわけでございます。  通常のベースの中で、かなりその方面に関しては大臣を始め省としては大変な御努力はされていらっしゃるだろうと思いますが、いかんせん現実問題として、国民の皆様方に対して、その辺りの基本的なところですら、そしてまたその辺りのメリットですら十分に御承知をいただいていないというような現状、私は是非とも打開をしていただかなければならない問題だろうと思うんです。  大臣に、この件も含めて、今後、第二次の稼働も控えておるということでございますので、政府としてこの制度の意義、国民にとってのメリット、そしてまたプライバシー及びセキュリティー保護の対策についてもっと国民の理解を求める努力をすべきだということに対しての御所見をお伺いを申し上げたいと思う次第でございます。
  140. 片山虎之助

    国務大臣片山虎之助君) 北岡委員の言われるとおりなんですよ。二年前に法律が通りまして、事務的には粛々と私はやってきたと思うんですけれども、PRの方が、やったんだろうけれども余り効果的ではなかったんですね。私は、だから事務的じゃ駄目だと言っているんですよ。今はもっといろんな形での国民の皆さんの理解を求める努力をせにゃいかぬのですよ、これだけ情報がはんらんする情報化社会、IT時代ですから。そういう意味でのなるほど努力は少し足りなかったことは私を含めてみんな反省しておりますので、今後どういう形になるのか分かりませんが、いろいろ、いわゆる予算による広報を含めまして、いろんなことを考えてまいりたいと、こういうふうに思っております。  それから、運が悪いことは、一つは個人情報保護法と並びになっちゃったんですよ。個人情報保護法についての議論が全部転移されてきて、それを一部のマスメディアの皆さんや特定の方がやや不安をあおったこともありますね。大変、反対は情緒的ですよ、具体的に技術上のここが問題だとか何にもないんですよ。制度の面のここがということはないんです。将来悪用されるとか、悪い人だけが連帯でネットワークを組んだらどうの、逆なことを言っているんです。だから、そういうことについて一つ一つ反論していって分かってもらう努力を私はすべきだと、こう思いますが、事柄が割に難しくて専門的なんですよ。コミュニケーションサーバー、ファイアウオールなんて分かりますか。通信文を暗号化するんですよ。  だから、いろんなことがかなり分かりにくいということも事実なんだけれども、しかし将来にとって私は正しい方向だと思うので、どんな技術だって破られるという意見はありますよ、破られたらもう一つ上の技術を開発していったのが人間の歴史なんですよ。破られるから、一億分の一の可能性があるからやらないなんということは今の時代に合わないんですよ、そういう議論なんですよ。みんな、各役所の連中は名寄せなんか全く認めないんだから、目的外利用も。しかも、みんなが一、二、三で五十人か六十人が連携をして、みんな悪人で、それで名寄せをやったらどうなるか。それは頭の体操の話なんですよ、実は。  そこで、この制度面でも技術面でも運用面でもこうだということをもっと詳しく徹底して国民の理解を求めるようにしてまいろうと、こういうふうに思っておりますが、メリットは、これから電子政府や電子自治体を行う場合のこれは基礎になるんですよ、基礎になる。例えば、今の行政機関が本人確認を一々御本人から添付書類を出してもらい、住民票の、あるいは届出を出してもらってやっているのを、今度はインターネットでオンライン化するんなら、本人確認をその添付だけ紙を持っていくようじゃこれはオンラインじゃありませんからね。本人確認を住基ネットにしてもらったら、それでもう本人確認が済んで、本人は何にもしなくて済むと。  ただ、本人に情報が行かないじゃないかという先ほどの話がありましたが、アクセスログというんですよ。これについては、私はどういうこと、方法があるか検討してくれと、こう言っておりますので、そういうことを含めて、まずそういうことが九十三事務で本人のそういう負担がなくなる。さらに今、国会に出している法律が参議院で継続審査になっておりますが、あの法律が通ればプラス百七十一事務になる。これは我々が勝手に決めたんじゃないですよ。地方団体や関係省庁の意見を聞いて精査して決めた事務なんです。その事務については全く国民の皆さん負担がなくなる、手間もお金も掛からなくて済むようになる。  それから、住民票の手続が今二回ですけれども、一回になるんですね。それから、日本じゅうのどこでも、どこの市町村でも自分の住民票の写しが取れる、これも一つあります。  それから、来年の八月からは、住民の皆さんが希望して市町村に申し出れば必ず住民基本台帳カードをもらえる。それで、そのカードは住基のために使うんだけれども、住基の空き部分については市町村が条例で、例えば福祉をそれで受ける、給付を受けるとか医療の給付を受けるとか、あるいはいろんな証明をもらう、印鑑証明や納税証明をもらう、そのカードを持っていったらすぐできるようになる、生涯学習も受けれるんですね。あるいはいろんな公共施設の予約ができる、そういうこのカード。そして、ここは住基の方とは全くこれは情報を遮断してやると。それで、写真でも張ればまあこれは身分証明書にもなる。それは住民が申し出て、市町村が条例でどういうことをやるかということを決めてから使ってもらう。  さらに、一番基本は、公的な個人認証がなきゃこれから電子納税なんてできないですよ。お金のやり取り、契約のやり取り、電子商取引、そういうことのための公的な個人認証。それが片山だとかですよ、それが北岡だとかですよ、そういうことがこの住基ネットによって常に認証の確認をすることによって個人認証システムというのは動くんですよ。これがないと、Eコマースだ何だって何もできなくなる。そういうことのために基盤になるので、今後ともそういうことについての、まだいろいろありますけれども、我々としては理解を求めていきたい。  当面は、申請手続をオンライン化する、二か年で。その後は電子調達、電子入札。その後は電子申告、電子納税。あるいはもう既に電子投票というのは今年の六月に新見というところで始まりまして、昨日もシンポジウムがあって私行ってきましたけれども、物すごい人が集まっている。来年の統一地方選もありますけれども、自分のところはやりたいという人も、やりたいという市も、市町村も幾つか出てきておりますので、そういう大きな、何というか、IT革命というんでしょうか、IT化の流れの中で、やっぱり住基ネットが公的な居住確認の、本人確認の基盤になるんです。これを何もせずにおいていろんなことを言っても、それは乗り遅れるということになるし、国民の皆さんがそういう便益を受けられないことになる、経済の活性化も遅れる、こういうことでございますので、今後とも理解を得る努力をいろいろとやってまいりたいと、こう考えております。
  141. 北岡秀二

    ○北岡秀二君 往々にして、行政にいろんな事務手続を一般国民が取りに行くときには非常に煩雑で、そしてまた、なおかつ手間が掛かるというのが一般的な認識、その辺りを何とか打開しようというような一つの流れでもございますし、先ほど私が申し上げましたように、ごく一般国民の中には十分にその辺りの意図、もう本当に単純な部分の、その辺りより便利になるんですよ、そしてまた、いろんな意味行政の上での事務手続が複雑なのを簡素化していこうとしているんですよと、本当に根本的なところの部分が私はまだまだ十分に御理解をいただいていない。  今、大臣お話をいただきました。各地域で非常に思い入れを込めて熱心にその辺りを説かれていらっしゃるということでございますので、私は本当に思いが伝わるように、これから更にいろいろな意味で今後制度的にも充実をさせていくということでございますので、スタートの段階から行政に対するその辺りの信頼関係を損ねるようなスタートというのは非常に私は問題があるだろうと思っておりますので、是非とも万全を尽くしながら、その辺りの周知徹底をしていただきたいと思う次第でございます。  この辺りはこれで終えておきまして、もう一つ地方自治体にとりまして非常に大きな関心事、これも先ほど質問がございましたが、私どもこれまた休会中に地元へ帰って田舎の町村長あるいは行政関係の皆様方にお話をお伺いすると、最大の関心事は、町村合併どうなっておりますかと。それぞれの地域はどういう思いであるか、あるいは住民の皆様方がどの程度認識をいただいておる、あるいはプラス問題マイナス問題等々のいろんな議論がもう本当に日常茶飯事、あいさつがてらに非常に大きな問題として執り行われております。  私は、これはある意味で申し上げると、十年、十五年前までは町村合併というとちょっとなかなか表に出して言いづらい、町村合併とかその辺りを言おうものなら、政治的な立場で発言をすると袋だたきにされるような状況がございました。しかし、今申し上げましたとおり、もうやらなきゃならないんだということを前提に、それなりの意識改革と申し上げますか非常なその熟度がある程度のレベルに私は達しておるように感じております。  もう既にいろんな諸制度、あるいは平成十七年の三月末に向かって具体的にかなりの取組がなされておるということでございます。今現在の町村合併の取組状況、どういうふうに総務省としてとらえておられるのか、まずお聞き申し上げたいと思います。
  142. 芳山達郎

    政府参考人(芳山達郎君) 全国の市町村の合併の取組の状況でございますけれども、一つは合併特例法に基づく法定協議会の数でございますが、現在、百二の地域、構成市町村数四百八の市町村で法定協議会という法律に基づく協議会が設置されておりまして、四月時点の調査時点に比べて五割以上の増加になってございます。これも含めまして、十四年七月一日現在の法定協議会、任意協議会、また合併の検討をしている研究会は全国で六百十八の地域で設置をされておりまして、構成市町村は二千四百九十五ということでございますから、全国三千二百十八の市町村ございますけれども、その大体八割というところで先ほどの状況になっておるということでございまして、これも十四年四月一日に比べて二百七十余りの市町村が増えております。  そういうことでございまして、大体四十三都道府県におきまして半数を超える市町村が合併を検討しているようなことでございまして、ここ一、二年非常に急速に合併の動きが盛り上がっているという具合に思います。  先ほど大臣から御答弁ありましたが、十七年三月が合併特例法の期限でございまして、いろいろ協議会の運営等を考えますと、今年から来年に掛けてが法定協議会なり、そういう任意協議会から法定協議会に盛り上げていくというような重要な時期だという具合に認識しておりまして、県、市町村、連携取りながら、この動きについて省としては御助言してまいりたいという具合に思っております。
  143. 北岡秀二

    ○北岡秀二君 合併の必要性に関しましては、もうかなりの認識がございます。  これはもう申し上げるまでもなく、昭和の大合併、昭和三十年前後、町村合併がかなりなされました。その当時の社会背景を考えてみますと、確かにまだまだ一般住民からすると車社会でなかった。そういう面での一般生活の行動範囲というのは非常に今から比べると狭い範囲の中で社会生活をされていらっしゃった。ところが、今現在はもう非常に社会基盤の整備等々も含めて大変広い行動範囲の中で生活をされていらっしゃる。そのこと自体がもう既に、人的な交流とかそういう行動範囲ということを考えてみますときに、自治体の機能自体が過去に想定しておった枠をもう既に突破をしていると。  さらに、最近の住民のニーズやあるいは地域振興ということを考えてみたときに、今の単体の自治体で、あるいは役場組織の人材面も含めて十分に対応し切れない状況が出てきておる。そしてまた、これはもう一番の関心事ではございますが、財政問題。さらには、都市部の自治体ということを考えてみると、過去にあったような自治体に対する帰属意識がなくなってきておる。  自治体の帰属意識がなくなってきておる中のあるべき姿の自治体はどういうスタイルがいいんであろうかというようなもろもろのことが考えられるだろうと思うんですが、そういう観点から申し上げても、目標は千ぐらいというような目標数値も立てておるようでございますし、大臣自身も会見の中で千台には十七年三月末には達成できる、千台に達成できるんじゃなかろうかというような発言もされていらっしゃいます。  しかし、先ほどから御報告いただきました法定協議会が結成されるムードがかなり熟度は増しておるということでございますが、現実問題として役場をどこへ持っていくだとか、あるいはいろんな具体細部の検討に入っていったときにまだまだ、私ども身近に肌で感じておるんですが、ゴールはまだまだ先のような感じをいたしておるのが正直なところでございます。  大臣に、今更途中でまた新たなということはちょっと非常に難しい状況だろうとは思うんですが、こういう基本的な熟度が増してきておる中で、もうあと一つ後押しというのは私は必要だろうと思うんです。それに関して、更なる促進をする措置というのはお考えをお持ちであるかどうか、その辺りをお伺いしたいと思います。
  144. 片山虎之助

    国務大臣片山虎之助君) ムードは盛り上がっていますよ、全国的に。しかし、それは簡単にいきませんよね。結婚や企業の合併と同じで、いざとなるといろんなことを、意見が出たり、なかなか私も簡単にいかないと思いますがね。  しかし、始めたのが十二年十二月ですから、一年九か月ぐらいでこれだけ全国的に大きな流れになったというのは、私は潜在的にそういうニーズがあったんだろうと、こういうふうに思っておりまして、できるだけ、千というのは与党三党が言われているんです、政府は言っているわけじゃないんです。ただしかし、与党三党のせっかくの御提案ですから、そういうお考えを踏まえてできるだけそれに近い数字を出していくと、こういうことが必要じゃなかろうかと、こういうふうに思っております。  ちょうど昭和の大合併が今から五十年前ですよ。車社会に変わるとき。五十年後の今はIT社会に変わるときですよ。それから、明治の大合併がちょうど百十年前ですよ。日本が近代的国家になるときですよ。国会ができて、憲法ができて、地方制度ができたときですよ。明治二十二年。だから、そういう意味では、五、六十年ごとには大きなそういう波が来ているんですね。  だから、是非、この二十一世紀に本当の地方の時代にするためには、一番基礎的な市町村に強くなってもらって、市町村を大きくして、元気にして、都道府県制度をその上でどう変えていくかということを考える必要があると、こういうふうに考えておりますが、今、北岡委員言われるように、今の特例法も相当いろんな優遇を書いているんですよ。もう腹一杯書いてある。その上に、各省庁も大変協力的で、五十七、今、支援プランがあるんです。  これを今度の合併支援本部でもっと増やしたいと思っておりますが、一つのあれは、例えば地方債の累積というのかな、借金が市町村によってばらばら、たくさん借金あるところと少ないところと。あんな借金の多いところと一緒になるのは嫌だというような意見もあるんですよ。  だから、合併前までにその借金を少し減らすんなら、減らす努力をするんならそれについては若干応援してやろうかとか、あるいは合併は後だけれども合併前にこういう施設整備をしてみたいと。例えば、庁舎は話が付いたらあらかじめ造っておきたいなんというようなことがあれば、そういうことについても応援できる余地があるのかどうか。あるいは、私どもの方のITの関係、道路の関係、そういうことについて今検討しておりまして、まとまれば、恐らく来月になるんでしょうけれども、合併支援本部を開きまして、内閣の、そこで支援プランの追加をいたしたいと、こういうふうに考えております。
  145. 北岡秀二

    ○北岡秀二君 それに合わせてかなり、私ども徳島県でも法定協議会づくりに向かって大分地盤が整いつつございますが、果たして十七年三月三十一日までに間に合うのかなというような心配もございます。これはもう各地域から要望もあるだろうと思うんですが、この十七年三月三十一日、三月末に設定しておる期日を多少なりとも延ばしていくというようなお考えは、延長する考えはないかどうか、お伺いしたいと思います。
  146. 片山虎之助

    国務大臣片山虎之助君) 今言いましたように、今の特例法はもう一杯あめを書いているんですよ。こんなものはエンドレスで続けるということは、やっぱり世の中いびつになりますよ。これはある程度時間を限って、期間を区切ってやるんならそれだけの優遇は特別にしましょうと、普通のときはしないんですから。だから、これをずるずるずるずる延ばすというのは、これは、なかなかそれは私はそういうわけにいかないと思う。  ただ、十七年三月過ぎて合併するのは一向に構わないんですよ。合併するのは一向に構わない。だから、それはその時点でもう一遍考えなければいけませんが、合併する上においての障害があればそれは除去する、今まで基本的にはそうですから。合併しても不利にならないような、そういう措置はずっと講じてきたんですよ。ただ、この期間は、特に合併をやったらこれだけ特別の待遇をいたしますよということを今メニューで書いているわけですから、これはなかなかエンドレスでは延ばせないと。こういうことで、是非ひとつ、合併はもうずっとやってください、もう十七年だろうが二十七年だろうが三十七年だろうが、ずっとやってもらえる、ただ優遇は、特例法の優遇は一区切りさせていただくと、こういう考えであります。
  147. 北岡秀二

    ○北岡秀二君 はい、分かりました。  もう一つ、私は大事なのは、これはどこまで国が考えたらいいのか、その辺りの、国と地方のあるべき姿ということからすると多少悩むところもあるんですが、合併後の基本的に日本国内における地方自治体のあるべき姿というのもある程度ビジョンがなければならないだろうと思います。  今、単純に三千二、三百の市町村、自治体を人口で割りますと三万からそこらでしょう。それが千台になるということになれば、平均的な数字というのは、十万前後が標準的なものになるかどうか知りませんが、本当の意味での日本国内における地方自治体の標準的な姿というその基準というか、その辺りの持ち方も変えていかなければならないんじゃなかろうかなというふうに思うんですが、合併後の自治体のあるべき姿、どういうふうにとらえていらっしゃるのかも所感としてお伺いしたいと思います。
  148. 芳山達郎

    政府参考人(芳山達郎君) 市町村合併で各県に、各都道府県に合併のパターンということで、知事さん方に各県のパターンを作っていただきました。  それで、そのパターンの最大の構成数というのは千百ぐらい、最小になると六百余りということで、大体三千のが三分の一ないしは五分の一ぐらいになるというパターンでございますが、十七年三月までどういう形で今後進むかですけれども、中にやはり一島一村の地域とか山間奥地の地域とかというのを含めてなかなか合併に至らない地域もあるのではなかろうかという具合に思いますが、そういうような小規模市町村の在り方、また広く基礎的自治体の在り方というのは十七年三月をにらんだ形でその後の課題になるだろうと我々も思っております。  この点について、昨年六月の経済財政諮問会議の骨太の方針の中で、団体の規模に応じて仕事や責任を変える仕組みを更に検討する、力の、例えば人口三十万以上の自治体には一層の仕事と責任を付与するとか、小規模町村については仕事と責任を小さくするというような例示を挙げながら、去年、骨太方針の閣議決定がなされましたけれども、現在二十七次の地方制度調査会で、そこを含めて二十一世紀における地方自治の姿ということで御論議をいただいております。七月一日に論点の整理がなされました。  その中で、今申し上げました仕事については、地方のできることはできるだけ地方にゆだねるという考え方の下で、小規模市町村の在り方を含めた基礎的自治体の在り方、また合併が進捗した場合に都道府県の機能についても変わっていくという都道府県の在り方、またそれとの関連で、政令都市、大都市の在り方ということが項目に挙げられておりまして、今後、期間は二年ですけれども、その審議がなされるというようなことでございまして、そういうことで、今後、市町村合併の進展に応じた新たな地方自治制度の仕組みについて行財政制度も含めて幅広く論議が進められるということで、我々もそういう方向で対処していきたいという具合に思っております。
  149. 北岡秀二

    ○北岡秀二君 今、地方自治体ということを考えてみますと、非常に活力を失いつつあるように感じます。これはもう財政的な側面も大きく影響しておることだろうと思いますし、いろんな意味での人口構造、少子化現象等々に伴う問題等もあるだろうと思うんですが、ある意味でいうとこれからの将来の地方分権がどんどんどんどん進んでいく中での地方自治体のあるべき姿というのを大きくこれから模索していくという流れの屋台骨でございますので、是非とも抜かりなきように取組をしていただきたいなと思う次第でございます。  これに関連して、地方自治体、財政面等々も絡めての話なんですが、最近の公共事業の問題で、国の公共事業予算も今年度予算は一〇%カット、あるいは来年度は三%カットの方針で進行しておると。特に、地方自治体、地方の経済あるいは社会を考えてみますときに、好むと好まざるにかかわらず公共事業が社会経済というか社会全体の屋台骨になってしまっておる地域、過疎地域を中心にたくさんそういう地域があると。公共事業削減等々によりまして、地方経済、過疎地域を中心とした地方経済やあるいは社会的ないろんな場面において非常に大きな影響がもう既に出てきておりますし、これから更に更にその辺りが進行していくことが予測をされておるわけでございます。  私は、総務省として地方自治体をいろんな意味で指導をしていく、あるいはお互いに相談をしながらより良き方向を見出していくという立場ということを考えてみましたときに、国の立場で、その辺りの公共事業が削減されていく過程の中で、いろんな社会の枠組みや経済体制が大混乱を来しておることに対する影響というのをどういうふうに認識をされていらっしゃるのか、そしてまたなおかつ、総務省としてその辺りの対応をどういうふうにお考えなのか、お伺いをしたいと思います。
  150. 片山虎之助

    国務大臣片山虎之助君) 今、北岡委員言われるように、地方の経済というのは、いい悪いは別ですよ、公共事業依存型なんですよ、良くも悪くも。そういう意味で、公共事業が削減されていく、地方単独事業も全体として抑制していくと、こういうことになると、大変一般的な景気が悪い上に活力を失っているということは私事実だと、こう思います。  しかし、いつまでも、これは麻薬みたいな、麻薬じゃありませんよ、麻薬的なところもあるので、公共事業単独事業をやり続けるということは。だから、そこはやっぱり地域の経済の構造改革ということに着手をしてもらわぬと、すぐはできないにしても。そういうことが必要だと思いますけれども、しかし、それはそんなこと言っても一遍にいかないので、その間、私は、やっぱり必要な公共事業地方に配分するし、地方がお望みになるんなら地方単独事業をやってもらうと。それについては我々の方では、例えば過疎地域ならば過疎債の活用というのもありますし、それから、十四年度から地域活性化事業債というのを作りましたので、こういうものを使って、それには財政力に応じてある程度交付税補てんをしますので、こういうものをうまく使ってやっていただくと、こういうことですが。  やっぱりそれぞれの地方の首長さん、議会が、あるいはいろんな団体の皆さんが集まって、やっぱりこの地域経済をどう変えていくか、どうやって将来性のあるものに変えていくかという努力をしてもらわぬと、地方はこれからは自立なんですよ。国の言うことだけ聞いて日本じゅう同じになろうという均衡ある発展の時代はもう終わったんですよ。これからはそれぞれが個性を競争するような地域間の競争の時代になるので、是非ひとつそういう意味でも頑張っていただきたい。頑張るために基盤が強くなきゃいかぬのですよ。だから、我々は市町村合併と言っているんですよ。自立できる、自主的に自分で立てるそういう基盤を持ってもらいたい、行財政の。それがやっぱりある程度の人口、ある程度行政能力、ある程度財政力がなきゃ駄目ですよ。だから、是非そこをお考えいただいて、地域経済をひとつ構造改革をやっていただきたい。特に徳島県からそのモデルをやっていただくと。是非ひとつよろしくお願いいたします。
  151. 北岡秀二

    ○北岡秀二君 私ら徳島の場合、大臣たまたま今お話をいただきましたので、非常に民間経済基盤が弱い。  最近私ども、徳島の立場で非常に心配しておるのは、経済の原理原則というのは合理性であったり競争の原理であったり、過疎地域、まあ徳島から過疎地域というふうに変えますが、過疎地域というのはやっぱり、すべてがすべてではございませんが、相対的に競争力がない。そしてまた、合理性ということを考えてみると、企業の立地条件やあるいは人的な問題もあろうかとは思うんですが、いろんな意味でどうしても経済力が高ぶる要件がない。ここに我々は大変な苦心をするわけでございまして、最終的にこれから地方分権が進んでいかれる過程の中で、今、大臣おっしゃられましたとおり、地方地方でどういうふうにして自立していくんだという努力と同時に、ある程度の、まだまだ力が足りない分だけのその指導というのも必要でございますので、是非ともその辺りは考えていかなければならないんじゃなかろうかなというふうに私は感じております。  これはもう手前みそで、まあ御理解をいただきたいことの一つなんですが、そこの一つの視点として、都市と地方の役割分担というのがあるだろうと思うんです。  私ども自民党の中で、私も中心になってやらせていただいておる一人なんですが、総務省にも御協力をいただいております。都市と農山漁村の共生・対流ということで、いろんな意味で、いかにして共生をさせていくか、いかにして対流をさせていくかということで、これから具体的な問題というのは提起をしていこうかとは思うんですが、先ほどからどこかの質問でも出ておりましたが、国民自体のライフスタイルを変えていこうと。ライフスタイルを変えていく過程の中で、田舎の持つ、地方の持つ特性というのをどんどんどんどん御理解をいただきながら、それがひいては最終的には、これもう具体個々に申し上げると時間が足りませんから結論だけ申し上げますが、内需拡大につなげるような地方独自の経済振興をしていこうというような切り口で、総務省にも参加をしていただいて、今日もちょっと来ておりますが、農林水産省あるいは厚生労働省や文部科学省等々と連携しながら、国民運動を本格的に盛り上げていこうじゃないかというような思いもございますので、これは答弁要りませんが、是非とも大臣としてもその辺り十分に御理解をいただいた上で、今後その辺りの施策について総務省内部で徹底して進行していただきたいと思う次第でございます。  最後に、これ単体でもう一件お伺いを申し上げたいんですが、住民投票について。これは地方分権がどんどんどんどん進行していく過程の中で、地方自治体のあるべき姿にも非常に関係があることだろうと思います。  以前から住民投票についてはいろんな議論がございます。これもまた徳島の話でございますが、私どもは、もう皆さん方御承知のとおり、吉野川第十堰の問題であの住民投票が行われてああいう結果に終わったということで、大変な経験を、貴重な経験をさせていただいたわけでございますが、これはもう個人的な見解ということになるかも分かりませんが、あのときに私は痛切に感じておったのは、国民、県民の生命、財産にかかわる問題を果たして住民投票で決していいんであろうかと。  確かに、住民投票自体は法的な拘束力も何もないという表向きのうたい文句ではございますが、いざ実際、住民投票で一つの意思が決定されると、それを乗り越えるというのはこれは並大抵のものではございません。その住民投票の結果に相反するような行動をもし仮に政治、行政で執り行おうものなら大混乱が起こるだろうと思います。結果的には、私はこの住民投票というのは一つの大きな方向を決定付ける大事な意思決定になっていっておると。  話が後先になりますが、例えばあの第十堰のようなその是非というのは、大体施行する側での考えというのは、百年から百五十年、五十年、百年、百五十年の単位の中で大災害が起こったときの危機管理的な物の発想でいろいろな理屈を組み立てていく。果たして、住民投票の中で、百年、百五十年のサイクルの中でどこまで県民、国民の皆様方が御理解をいただきながら判断をしていただけるであろうかと。  確かに、あの住民投票があって以降もそうですが、もう一切大きな被害もないし災害もないし、別にあれはあれで良かったんじゃなかろうかと思っていらっしゃる方も大勢いらっしゃるだろうと思います。ただ、これは行政責任や政治の責任ということを考えてみたときに、それこそ、これはもう一つの例えでございますが、百年に一回の危機的な状況を想定した上で、その万が一のときを想定した中での対応というのが必要になってくると。果たして、私はあのときに、住民投票というのはどこまでがなじむんだろうかなと、本当に政治に携わる者の一人として素朴な疑問を感じた者の一人でございます。  これから地方分権が進行していく、そしてまた、住民意識がどんどんどんどんいろんな意味で高揚していく過程の中で、住民投票の必要性あるいはその選択をどんどんどんどん幅を広げていこうというような流れもございます。  しかし、私は、今申し上げましたとおり、どこまでこの間接民主主義の中で直接民主主義のその理屈がまかり通るんであろうか。その辺りの区分けというか、ある程度なじむものとなじまないもの、今、地方制度調査会でその辺りの議論もされていらっしゃるだろうと思いますが、私は総務省としてその辺りの見解を出すわけにはいかぬだろうと思うんですが、大臣の個人的な所見でも結構でございますので、この辺りの所見をお伺い申し上げて、多少時間的には余裕残しましたが、大臣出ていかれるということでございますので、これで質問を終わらせていただきたいと思います。よろしくお願い申し上げます。
  152. 片山虎之助

    国務大臣片山虎之助君) 住民投票というのが県でも行われましたし、幾つかの市町村で行われたことは事実ですね。しかも、それは大抵迷惑施設が来るのをいいか悪いかなんです。だから、それは嫌だという方がもう圧倒的に勝つ。  そこで、今の北岡委員言われるように、地方自治制度は間接制民主主義なんですよ、議会制民主主義で。直接制じゃなくて、皆さんの代表を議員さんという形で選んでいただいて、議員さんに意思決定をしてもらう、こういうことなんですが、今の地方自治法でも直接制民主主義を入れているんですよ、ある程度は。住民発案だとかリコールだとか、首長さんの解職請求だとか、そういうものは認めておりますけれども、基本的には間接制民主主義なんですよ、議会が団体の意思決定をやると。  そこで、もし住民投票をこれ認めるとすれば、私は今の仕組みの中では補完にとどまるんで、ただ、今言いましたように、政治的には、一遍住民投票をやるとそれはもう大変な拘束力を持ちますよ、事実上の。それと反対のことをやるというのは相当な決意じゃなきゃいかぬし、今度は次の選挙で負けちゃうわね。  そこで、これを今どこで仕切れる、ふさわしいもの、ふさわしくないものと、それは簡単にいきませんよ。簡単にはいかない。今は迷惑施設的なものが来ることについて、産廃をどうする、原子力発電所をどうする、何をどうするですよ、基地をどうするとか。だから、そこは私は、将来もっといろんな議論が進んでくるんなら、住民投票を認めるんなら法的な根拠を検討する必要があるんではなかろうか。それはやっぱり間接制民主主義と直接制民主主義が調和する形で、どこまでを住民投票で意思決定してもいいと。今もあるんですよ、先ほど言いましたように。だから、それを広げるとすればどこまで広げる、それで残りはやっぱり議会制民主主義、間接制民主主義でやる、こういうことの検討が是非要ると思いますので、地方制度調査会等で御検討いただくことではないかと思います。  かつて、第二十六次の地方制度調査会で合併を、合併は今、議会ですからね、決めるのは。ただ、これは住民投票でやったらどうかという意見があったんですが、最終的にはこれは制度化しない、こういうことになったんですね。まだまだそこまでは行かないと。合併協議会を作る発案を住民投票でやらせることができる、合併そのものはあくまでも議会でやってもらうと。昭和の大合併のときは、合併そのものも住民投票にかけたんですよ、あのときは、特別法作って。  ただ、今回はそこまではやっぱり行くべきではないだろうという意見が多数を占めたようでございまして、今後とも、どこまで住民投票、直接制民主主義をやるかというのは、私は大きな議論ではなかろうか、大変検討を要するテーマではなかろうかと思っております。
  153. 北岡秀二

    ○北岡秀二君 終わります。
  154. 加治屋義人

    加治屋義人君 自由民主党の加治屋でございます。  私の大好きな片山大臣、お元気でございましょうか、まずお伺いいたします。
  155. 片山虎之助

    国務大臣片山虎之助君) 大変いい質問していただきまして、相当くたびれておりますが、元気でやっております。
  156. 加治屋義人

    加治屋義人君 朝からの質問で二重、三重に重なってしまって大変やりづらい面が多いのでありますが、私なりに質問をさせていただきたいと思います。  夏の恒例の全国高校野球、御承知のとおり、今年は高知県の明徳高校が優勝して熱戦の幕を閉じました。それにしても、甲子園の高校野球はなぜ国民的な感動を呼ぶのでしょうか。かつて、私も甲子園球場でプレーをした高校球児の一人でありましたけれども、私が思うに、甲子園の高校野球が試合をする者にもそれを見る者にもすがすがしい感動を与えるのは、甲子園という舞台と共通のルールの下で、つまり同一の競争基盤の上で試合が展開されるので、真に力のある者がその持てる力をすべて発揮できたときに最後まで勝ち進むというはっきりした共通の認識があるからだと思っています。全国各地の代表校が同じ競争条件の下で試合をするから、時の運もありますが、勝っても涙、負けても涙、すがすがしいのだと思っています。  よく言われますように、地方自治にも厳しい地域間競争があります。しかし、地方自治の場合は四十七都道府県、三千二百余の市町村、それぞれ競争条件は全く異なるのでありまして、社会的、経済的インフラもライフラインも産業技術の蓄積もマンパワーも、競争の基盤となる条件は全く異なるその中で競争をさせられているのであります。競争条件の整備が遅れた地域、自治体からは不平不満が出てまいります。甲子園でやるようなすがすがしい競争ができないのであります。その不平不満は政府に向けられ、政治家に向けられます。  我が国は、人口が多い割には国土は広くないのに極端な過密と過疎という問題を抱えておりますが、私は、これは結局政治の貧困という問題に帰するのではないかと考えています。今、地方分権の大義の下で、地方にできることは地方にやらせようとしておりますが、これまで過密や過疎という極めて具体的な目の前の課題を抱えながらこれを解決できずに来た、つまり地方における均衡の取れた競争条件の整備をできずに来た政府、政治に果たして実効ある手が打てるのか、疑問に思えてなりません。  まず、このような疑問に明快にお答えいただきたいと思います。
  157. 片山虎之助

    国務大臣片山虎之助君) いや、加治屋委員が甲子園球児だったという、もう謹んで敬意を表したいと、こう思いますね。やっぱりあれが大変見て楽しいのは、平等だし、オープンだし、フェアだし、審判がどういう判定しても文句言いませんよね。みんな守備に付くともう走っていく、帰るときも走っていく。それから終わった後もいいですね。そういう意味で、本当に私もあれを一生懸命見せていただきましたが。  そこで、今の地域間競争あるいは過密過疎の、今、国土の条件は過密過疎だ、これは政治の貧困ではないかと。私は、政治の貧困もあるんですけれども、やっぱり経済ですね。過密のところにはそれだけの経済力があって、就業機会があるんですね。だからみんな人が集まる、所得もそれだけ得られるし。過疎の方は経済力がないですから、若い人がそこにいても仕事がないということで、いろんなまた都市的な環境もありませんから、そういう意味では過疎というところは今まで経済的に過密だったんですよ。だから人が出ていった。過密の方はむしろそれだけの経済力の吸引力があったんで、過疎じゃありませんけれども、そういう状況になって、もう長い間、過密過疎をどうやって解決するかというのが国土政策の柱だったんですね。  しかし、なかなかこれは政治の力では私は限界があると思いますね、限界がある。そういうことの中で今の高速道路や新幹線の考え方ができてきたんです、大分前ですけれどもね。  そこで、やっぱりこれからは、地域の経済というものをどうやって活性化して振興していくか、構造改革をどうやってやるかということを考えていく必要があると思うんですが、これは私個人の意見ですけれども、やっぱりそういう意味では、地方分権を徹底して、例えば九州が、これが一つの国なら国になったら私はもっと違ってくると思いますよ。北海道が独立して一つの国になる、連邦になっちゃう、日本も。そういうことになると、意思決定が北海道や九州で完結するんですよ。  だから九州でも、九州の中の知事さんのある方が、是非九州を一つの州としてやりたいと、こういうことを盛んに言っておりますけれども、九州はアジアと仲よくすればいいんですよ。北海道はロシアやアラスカと仲よくすればいいんで、東京はアメリカかヨーロッパと仲よくする。そういうふうに、もっともっと地方の主体性、意思決定の力を強くすることがやっぱりその地域の経済力を上げることに一つなるんではなかろうかと。  そういう意味では、道州制だとか連邦制というのも簡単にいきませんけれども、そういうことのために我々はまず最初の第一段階で市町村合併やっているんですよ。市町村の再編が終わったら私は府県制度を変えるべきだと思っております、私個人は。百三十何年もたった府県制度をいつまでも維持することはない。そうなると高校野球が困るんですよね、あれ府県単位で出ていますから。そのときに、そこはどうやるのかまたいろいろな知恵を出さにゃいけませんけれども。  そういうことで、みんなでやっぱり地域の経済を活性化していく、地域の経済を強くしていくということにどういう知恵を出すかを考えていくことが過密過疎の解決の私はネックではなかろうかと。公共事業を幾ら配分しても、それだけでは私はなかなか限界がある。もう相当地方の公共施設の整備、進んでいますよ。まだ末端の生活道路や下水道は遅れておりますけれども、それは昔に比べると相当良くなっている。しかし、過密過疎は直らないですね。そこを是非我々も知恵を出して頑張っていくべきではなかろうかと思っております。
  158. 加治屋義人

    加治屋義人君 片山総務大臣試案について伺いたいと思うんですが、朝の朝日委員がもうすべて御質問なさって大変やりづらいんですけれども、私なりに角度を変えて質問してみたいと思います。  この試案が出されてすぐ、全国知事会会長がコメントをされました。一つに、税源の国から地方への移譲について、片山大臣がいち早く踏み込んでこの道筋を示された、大変敬意を表する。二つ目には、国税地方税の比率を一対一にする方向で是非進めてほしいんだと。それから、国庫補助負担金の整理合理化について、国と地方の役割分担をしっかりしなさいよと。そして、この廃止、縮減を図っていく必要がありますよと。それから、財政力格差の是正は大切なので、財政調整機能を果たす地方交付税制度を堅持する必要がありますよ。また、もう一つには、財政構造改革を進めるには、地方公共団体も痛みを伴うものであっても、行政改革が一層進められるとすれば、地域でも痛みを受ける必要があるのではないか、そういうこの片山試案に大変好意的な反応を示されています。  しかし、片山試案の全体像はまだ見えませんよと、何か落とし穴があるようですよ、具体的に欠けるんではありませんか、あるいはいま一つ説得力に欠けるのではありませんか、朝からの質問もそういう内容の質問だったやに思いますが。  例えば、地方財政の構造改革の基本考え方として、地方歳出に対する国の関与の廃止、縮減とか、あるいは地方税中心の歳入体系の構築、そして市町村合併、地方行革の一層の推進、あるいは国、地方を通じた歳出の削減、効率化、こういうことをうたっておられますけれども、一体いつのことになるのか、あるいはその裏はどのような仕掛けで担保されることになるのかよく分からないのであります。そこは専門家に任せてほしいとおっしゃるのかもしれませんけれども、しかし、いつまでに何をどうするぐらいのことは説明欲しいと思うのでありますが、いかがでございましょうか。  特に、地方税の拡充ということで、税収が安定的でかつ財源の偏在性が少ない地方税体系の構築ということ、具体的にどのようなことをイメージされておられるんでしょうか。地方公共団体の関係者にも理解できるようにお示しいただきたいと思います。あわせて、国庫支出金の削減の手順、地方交付税見直しのやり方についてもお示しいただきたいと思います。  さらに、地方での現下の最大の関心事は、北岡委員や大沢委員からも質問がありましたけれども、これら三位一体の改革と市町村合併との関係であります。合併したら財政的にどのようなメリットがあるんだろうか、合併しなかった場合には財政的にどのようなデメリットになるんだろうか、こういういろいろの質問が出ました。  平成の大合併と言われる今回の合併促進の理由について、私の鹿児島県では、住民の生活圏が広域化、多様化しているとか、あるいは地方分権への対応とか少子高齢化への対応、脆弱化する財政への対応などを挙げておりますが、片山試案の中では三位一体の改革と市町村合併との関連をどのように考えておられるのか。さきの質問で、国は国の都合で合併を強行しようとしているのではないかとか、あるいはあめとむちの仕掛けについての質問もございました。しかし、とにかく地方自治体は自治体間の財政格差が拡大することになるなどを危惧し、戸惑い、不安を抱いているのであります。地方自治を守るという観点から三位一体の改革を推進していただきたいし、国庫補助負担金地方交付税の本来の機能は堅持してほしい、そういう声を聞くのでございます。  これらについてのお考えを、いま一度分かりやすく御説明いただきたいと思います。
  159. 片山虎之助

    国務大臣片山虎之助君) 全部質問を言っちゃっていただいているから答えるのが大変難しいんですが、あと各論については若松副大臣局長もおりますのでまた詳しく聞いていただければいいんですが。  まず、片山プランというんでしょうか、三位一体のことが本当にできるのかと。今までは評論ばかりだったんですよ。いろんな議論はありましたが、具体的なアクションにはつながらなかった。今回は経済財政諮問会議でそういうことを発表して、それを取り上げて例の骨太方針第二弾の中でちゃんと書いたんですよ。一年掛かって三位一体の改革の工程表を作る、計画を作ると。それを三年か四年かでやると。  まず最初に、国庫補助負担金の整理合理化については、今年の十月までに地方分権改革推進会議がたたき台を作って、それに基づいて年末の予算編成で実行すると。それから、その各論については今日から始まる経済財政諮問会議で三日間で集中審議をやって、七人の大臣に総理から宿題が出ているわけですよ。宿題と言うが、経済財政諮問会議で議論した大きなテーマですよ。例えば私のところなら地方歳出の見直しだとか、それから総人件費の抑制だとか地方交付税の算定方法の見直しだとか、あるいは旧郵政関係のテレコミュニケーションの規制緩和だとか、いろんなことがありますけれども、そういうのが具体に全部出ているんですよ。そういう意味では、今まで言うだけだったものがやっぱり着手して実行の段階に入ったことは大変な前進だと、こういうふうに思っております。  そこで私は、五兆五千億は国庫補助金、負担金を五兆五千億削れと言っているんですよ。十二兆七千億、今国から地方に行っている補助金や負担金を五兆五千億は削れと。一遍じゃないですよ、工程表を作って、三年か四年かで削るんですよ。削って、その分は地方税を増やせと。国税を削って地方税を増やしてくれと。所得税を三兆円減らして住民税を、地方の住民税を三兆円増やしてくれと。消費税の一%は今、地方消費税でもらっておりますけれども、これを二%にしてくれと、これが二兆五千億ですから。所得税から来るのが三兆円で、税を、住民税を増やして、地方消費税を増やして、その代わりに国の補助金、負担金を削ってくれ、具体に提案しているんですよ。ただ、固有名詞を挙げると各省で大変なあれが起こりますから、それは今、地分権改革推進会議が議論をしているんです。  それから、交付税は、今は赤字地方債を、交付税と見合いの赤字地方債を出さないと地方財源なかなか埋まらないんですよ。国に赤字国債を出してもらって、交付税特別会計、入れてもらっていますから、これが落ち着くまでは今の交付税は減額できませんけれども、算定方法は見直していますと。いわゆる段階補正は去年から見直しています、今年から。十三年度、十四年度から。それから、事業費補正という、公共事業をやればやるほど交付税が増えるというのも、これも半分にしました。  さらに、今回は留保財源率といって、ちょっとややこしくなるんですけれども、自由に使える交付税に算定しない財源の率を、比率、引き上げようと、それによって税収確保のインセンティブを与えようと、こういうことを考えておりまして、やっているんですよ、全部。それは是非御理解いただきたい。  交付税の算定方法はもう現実に今年からやっていますから、やっているから、例えば段階補正を切るのはけしからぬとか、事業抑制がどうだとか、いろんな議論が起こっておるんです、現実に。そういう意味では、私は、道筋が付きつつあると、これをきっちり付けて何か年かでやることが必要じゃなかろうかと、こういうふうに思っております。  この税源移譲と三位一体の改革と合併は直接関係ありません。ありませんが、地方の自立を強めるという意味では、市町村が大きくなってくれるということが非常にいいので、そのためには合併をして、一つの地域づくり、町づくりをやるためにお金が要るのなら合併特例債というのを認めますと。ただ、何でも事業をやればいいという時代じゃないんですよ、昔と違って。だから、それは合併するところも本当に必要な事業しかやりません、七割交付税補てんがあっても三割は自分で返さないかぬのですから。そういう意味で、人口段階で上限を付けておりますけれども、合併特例債に。この合併特例債を使ってくださいと。あるいは、ほかでいろんな優遇を、今五十七決めておりますけれども、これも増やしていきますと。もう具体の議論なんですよ。  今まではこういう議論は評論だけだったんです。そこが今回の私は大きな前進だと思うし、評価していただくとしたらそこなんですよ。そこで、いろいろなことを言っていただく方は、また全体のことについて余り御存じない方がそうかもしれませんけれども、こういうことで着実に進めていきます。それはもうみんな、そういう意味では、進んでやるのかやむなくやるのかは別にして、やらざるを得ないということは各省庁も大変な認識になっていると、こういうふうに今思いますので。  細かい質問がございましたら、私がおる時間なら私答えますが、後は副大臣や皆さんが答えさせていただきます。
  160. 加治屋義人

    加治屋義人君 大臣が時間がないということで、もうまとめて質問させていただいて、少し御迷惑を掛けたのかなと思います。大臣には、大切な時期、勇気を持って改革に取り組んでいただきたい。心を込めて期待を申し上げたいと思います。委員長大臣の退席。
  161. 中原爽

    委員長中原爽君) それでは、大臣、日程を伺っておりますので、御退席をしていただいて結構でございます。ありがとうございました。
  162. 若松謙維

    ○副大臣(若松謙維君) いただいた質問、一気に質問いただいて、そして大臣がばらばらと答えられまして、その補完をするのは大変難しい、これも難しい作業なんですが、まず、片山試案の内容につきましては、これもやはり詳しく説明した方がよろしいですか。
  163. 加治屋義人

    加治屋義人君 いいえ、大体で結構です。
  164. 若松謙維

    ○副大臣(若松謙維君) よろしいですね。ということで、その決意は今、大臣から、何としても実現すると、そういう一端が披露されました。  そして、二点目の、どちらか、過疎過密問題の解決のお話ですね。これにつきましては、まず国と地方の役割分担の在り方につきましては、地方にできることは地方にゆだねると、この原則がございまして、これに基づきまして国と地方が対等、協力の関係となるように分権型行政システムを構築することが不可欠であると、このように認識をしております。  また、今後の地域振興に当たりましては、歴史や伝統など各々の地域が有する特性を十分に生かしながら、都市基盤等の整備を進めるとともに、過疎地域を活性化させるなど、全体として多様な国土の形成を推進する必要があると、総務省としては理解しております。  また、地方分権改革推進会議におきましては、今年の六月に行われました中間報告におきまして二点ございました。一点目が補完性の原則に基づきまして国と地方の役割分担を適正化する、これが一点です。二点目は縦割り行政から脱却して地域におきます行政の総合化を推進するという必要性があるということで、基本的な改革の方向性が今二点述べさせていただきました。  総務省といたしましては、地方分権改革推進会議の中間報告を踏まえまして、同会議の調査、審議を更に見守りながら、国と地方の役割分担を見直して適正化が図れるよう最大限努力するとともに、個性ある地方づくりを積極的に推進してまいりたいと考えております。  それと税源移譲、国庫支出金、交付税の三位一体の改革、これもかなり出たわけでありますが、もう一度詳しくやった方がよろしいですか。
  165. 加治屋義人

    加治屋義人君 いえ、もう大体分かりました。
  166. 若松謙維

    ○副大臣(若松謙維君) そうですか。ということでこの三位一体、いずれにしても、年内に出される国庫支出金の具体的な項目、さらに来年六月までの税源移譲、国庫支出金、交付税の三位一体、やはりこの数か月というのは大変重要な時期になるわけでありまして、私どもは小泉構造内閣をしっかり進める、特にこの地方分権、国と地方の役割の見直しという面では総務省は大変重要な役割を担っておりますので、是非とも地方税の拡充もしっかりにらみながら、それらの改革を着実に進めてまいりたいと考えております。  また、あと合併した場合の財政的なメリット等につきましては、これは自治行政局長の方から答弁をさせていただきます。
  167. 芳山達郎

    政府参考人(芳山達郎君) お尋ねがありました合併における財政のメリットなりまたデメリットという御質疑がございましたけれども、市町村合併につきましては、合併特例法、十一年の改正におきまして合併特例債を創設をいたしました。また、合併した場合の普通交付税の合併算定替えの期間の延長ということをしておりまして、まあそこらを含めて法律上における財政措置は規定上講じております。  また、市町村合併支援本部を昨年三月に設置して、昨年の八月に総務省のみならず関係省庁連携した合併支援のプランということで各省庁の連携施策を取りまとめたところでございますけれども、それにつきましては法律だけではなく、運用上の措置についてもプランを盛り込んでおります。これの拡充策も近く本部でもって議論していただこうという具合になっております。  そういうことで、市町村合併は市町村や地域の皆様方が主体的、自主的に取り組むということでございまして、合併をしないことを理由にむちを行うとかデメリットを与えるというようなことを考えているわけではございませんけれども、いずれにせよ、市町村合併は規模なり能力の強化を図ることが地方行政の構造改革を進める上でも重要だという具合に認識しておりまして、引き続き関係省庁、連携を取りながら、市町村の支援に向けて努力してまいりたいという具合に思っております。
  168. 加治屋義人

    加治屋義人君 細かく御答弁いただいてありがとうございました。答弁書をしっかり熟読をして理解を深めていきたいと、そういうふうにも思ったりいたしております。  次の質問に入りますが、執行部の方はどうなんでしょうか、委員長。よろしいんですね。  それでは次の質問に入らせていただきますが、六月二十五日に閣議決定された経済財政運営と構造改革に関する基本方針二〇〇二についてであります。この基本方針は、当面、政府各府省庁が取り組むべき課題等について網羅的に記載した方針集であり、情報を共有化する、そういう意味で大変意義のあることだと、そういうふうに思います。  この第二部、経済活性化戦略の中に六つの戦略、三十のアクションプログラムという項目がございます。六つの戦略として、人間力、技術力、産業発掘、地域力、グローバル戦略について、これまで見られなかった新たな切り口で政府の取組方針、意気込みが書き込まれており、大変興味を持っております。  私は、今日はこのうちの地域力戦略に関してお尋ねいたします。  ここには、大都市が国際競争力を保ち、地方では個性ある発展を遂げるよう、各地域の潜在的な経済力を最大限に発揮させ、このために知恵と工夫の競争により地域経済を活性させる。このためには、国と地方の役割分担を見直し地方でできることは地方に任せることが重要であるとの政府基本的な考え方が述べられております。そして、構造改革特区の導入という新たな概念が述べられております。進展の遅い分野の規制改革を地域の自発性を最大限尊重する形で進めるために、構造改革特区の導入を図る。地域限定の構造改革を行うことで、地域の特性が顕在化したり、特定地域に新たな産業が集積するなど、地域の活性化にもつながる。構造改革特区については、内閣官房に推進のための組織を設け、地方公共団体の具体的な提案等を踏まえて制度改革の内容等の具体化を推進する。こういうふうに推進の手順が述べられております。  この短い記述の中に幾つかの私が危惧する隠された部分があるように思いますので、質問をさせていただきます。  まず、各地域の知恵と工夫の競争により地域経済を活性化するという点、地域の自発性を最大限尊重するという点、さらに地方公共団体の具体的な提案等を踏まえてという点、要するに地方任せという感がいたします。地方でできることは地方に任せるということなのでしょうが、我が国には産業面でも技術面でも人間力の面でも競争条件が整備されていない地方がたくさんあるということをよく考えていただきたい、そう思います。  三助の教えというのがあります。三つの助けと書きますが、公助、互助、自助の三つの助けであります。公助はお上、つまり政府の補助ということです。互助は地域コミュニティーにおける相互の努力、自助は文字どおり自分自身による自助努力であります。地域おこしはこの三助がそろって初めてできるものであって、特に社会的インフラは公助なしには整備できません。  私の選挙区の鹿児島は名立たる農業県でありますけれども、例えば農地の基盤整備率はようやく六〇%。機械化ができない農地が多く残されています。機械化もできないような農業で国際競争をせよというのはいかにも酷であります。農業の競争基盤は国土そのものでありますから、きちんと競争条件を整備した上で、競争せよ、頑張れよと言うのが政治の仕事ではないんでしょうか。  知恵とか工夫とか地域の自発性とかいっても一様にはいきません。だから、地方自治体の提案にもおのずから温度差があり限界があると思っています。そこのところをよくよく御理解いただいた上で構造改革特区でなければ、単なる思い付きの寄せ集めでは所期の成果は期待できないのではないか、懸念をいたします。  そこでお尋ねいたしますが、構造改革特区構想では具体的にどのようなイメージを描いておられますか。地域の思い付きや寄せ集めでいいのですか。どのような提案が寄せられているのですか。どのような必要十分条件や指標が考えられておりますか。だれが地域の指定をされますか。地域によっては特色のある産業が集積して既に特化係数の高い特異な産業分野を持った事例もあるわけでありますが、そのような地域はどのように評価をされるのですか。これらについて、政府考え方をお聞かせいただきたいと思います。
  169. 中城吉郎

    政府参考人(中城吉郎君) お答え申し上げます。  先生御質問のように、構造改革特区というのは、地方公共団体の自発的な立案によって当該地域の特性に応じて規制の特例措置を導入しまして、その地域での構造改革を推進する制度でございます。  この構造改革特区を推進することによりまして、特定地域における構造改革の成功事例を示すことにより、全国的な規制改革を加速させ、我が国全体の経済が活性化すること、そしてまた、地域特性が顕在化し、その特性に応じた産業の集積や新規産業の創出等により地域経済が活性化することというものが期待されるわけでございます。  今回の構造改革特区につきましては、従来の地域振興政策では国があらかじめモデルを示して国の基準に当てはめて地域を指定するというものが多かったわけでございますが、今回の構造改革特区では、従来型の地域振興策とは異なりまして、地方公共団体や民間事業者などの自発的な立案によりまして地域特性に応じた規制の特例を導入しようというものでございます。  したがいまして、構造改革特区の推進によりまして、これまでのような全国画一的な発展ではなく、地方がそれぞれの地域特性に応じた個性ある発展を遂げて、地域の潜在的な経済力が最大限に発揮されるものになると考えております。  どのような提案が寄せられているかという御質問でございますが、現在、八月三十日を期限といたしまして、すべての地方公共団体、民間事業者等を対象といたしまして構造改革特区の提案を募集しているところであり、まだ正式な提案については取りまとめておりませんけれども、これまでの総合規制改革会議や当室でヒアリングしたところによりますと、例えば教育の多様化や知的インフラの充実に関する特区、福祉、保育等の生活空間の創造に関する特区、国際交流、対内投資の促進に関する特区、人材の流動化の促進に関する特区、港湾等国際物流機能の強化に関する特区など、いろいろな特区について現在地方公共団体で検討されているというふうに認識しております。  そして、構造改革特区を指定するためのどのような必要条件や指標が求められるかということでございますが、具体的な制度につきましては八月三十日の地方公共団体等からの提案を踏まえまして検討することといたしておりますが、具体的な要件について、その提案を待って検討していくことになりますけれども、例えば当該地域の自然的、歴史的な特性や、施設や技術、機能の集積状況等を生かした規制の特例措置を導入することによって、当該地域が活性化し、ひいては我が国経済全体の活性化につながるものであるということ、それから規制の特例を設けても自然的、社会的な弊害が生じないような適切な代替措置が講じられていること、そして具体的な民間企業の参入が想定されるなど、計画の熟度、実現可能性が高いものであること、そういったことが要件として想定されるところでございます。  それから、構造改革特区の地域指定はだれが行うのかという御質問でございますけれども、この具体的制度につきましても八月三十日の地方公共団体等からの提案を踏まえて今後検討することとしておりますけれども、七月二十三日に出されました総合規制改革会議の「中間とりまとめ」においては、内閣官房に設けられました推進母体において、申請を最大限尊重しつつ、特区制度を推進する観点から認定することが指摘されております。また、地方公共団体等からも、特区の認定に当たっては、関係省庁と個別に協議し調整するのではなく、窓口の一本化を図ってほしいというような要望も出されているところでありまして、こうした点を踏まえまして、構造改革特区の申請窓口や地域の決定の具体的な方向につきましては今後検討してまいりたいと考えております。  それからまた、特色ある産業が集積している地域、こういったものが構造改革特区になることについてどのように評価するかという御質問だったと思いますが、この点につきましては、構造改革特区というのは地方公共団体の自発的な立案によって当該地域の特性に応じた規制改革を行うということで、特区になることによって地域特性が顕在化し、その特性に応じた産業の集積や新規産業の創出が図られて地域経済が活性化するということを目的としているわけでございますので、したがって、一般論といたしまして、特色ある産業が集積しているような、いわゆる特区化係数の高い地域のような地域特性のある地域がその地域特性に応じた潜在的な経済力というものを最大限発揮するための特区構想というものを提案されるということは正に構造改革特区の目的とするところでございまして、そのような提案が様々な地域から出されることを私どもとしては期待しているところでございます。  以上でございます。
  170. 加治屋義人

    加治屋義人君 特区については私どもも大変期待をさせていただいておりますので、しっかりお願いを申し上げたいと思います。  以上、地方の立場で質問をさせていただきましたけれども、どうぞ地方分権の確立、そして都市と地方との共生、国土の均衡ある発展、そういうものに是非頑張っていただきますように御期待申し上げたいと思います。  次に、奄美本土復帰五十周年を迎えるに当たりまして、この際、鹿児島県奄美群島についてその歴史と現状を申し上げて、奄美群島に対する国の認識と今後の対応について伺いたいと思います。  よろしいんでしょうか。──いや、おいでになっていただけばそれで結構でございます。まとめて質問をさせていただきますので、お許しいただきたいと思います。  奄美群島は、昭和二十八年十二月二十五日、長年の悲願でありました日本復帰がされました。甚大な戦災と、それに引き継ぐ米国軍政下に置かれた本土との往来、交易の道が断たれ、本土政府からの補助も切断され、戦災の復興は進まず、年々受ける台風災害、復帰当時の荒廃した姿は悲しみそのものでございました。  復帰の翌年、昭和二十九年六月、議員立法で奄美群島の急速な復興と住民の生活の安定に資するとして奄美群島復興特別措置法が制定され、昭和三十九年あるいは昭和四十九年には奄美群島振興開発特別措置法と名称を変えながら延長を重ねて今日に至っております。  その間、法の下で諸政策が実施され、おかげさまで交通基盤の整備、生活環境の整備、農林水産業の振興など、大きな成果を見ております。  しかしながら、奄美群島は鹿児島本土から一番近い島で三百八十キロあります。一番遠い島で六百キロという、正に隔絶した外海に点在する島々で、孤立性が強く、交通アクセスが全く不便であることや、台風の常襲地帯で毎年甚大な被害を受けるなど、厳しい地理的自然的条件下にあるのは御承知のとおりであります。  また、高等教育機関もないことから、若者の人口流出で高齢化が進み、市町村財政は極めて脆弱であって、活力ある地域社会を維持する上で多くの課題を抱えております。  一方では、亜熱帯性気候に恵まれ、農業水産の生産基地として大きな可能性を持っています。豊かな大自然、奄美の島うたに見るように独特の文化の宝庫でもあります。長寿世界一の島でもあります。今、我が国の子供の出生率が大きな社会問題となっておりますが、厚生労働省の平成十一年度の発表では、全国上位五位までこの奄美群島の町村で占めておりまして、産み育てる環境は全国のモデルとして高く評価されています。  このような奄美群島は様々な特性を持った夢の島だと、そういうふうに思っておりますが、そこで伺いますけれども、奄美群島の特殊事情なり特性についてどのように認識をされておられますか、まず伺いたいと思います。
  171. 馬場耕一

    政府参考人(馬場耕一君) お答え申し上げます。  奄美群島につきましては、戦後、米軍の施政下に置かれたという歴史的な経緯、また本土から遠く隔絶した外海離島、また台風の常襲地帯という厳しい自然条件下にあるなどの特殊事情から、本土との間に所得格差を始めといたしまして様々な格差がいまだに残っているというふうに思っております。また、地域社会におきましても、若年層を中心とする人口の流出や高齢化が進むなど、活力ある地域社会を維持する上で課題を抱えているというふうに考えております。しかしながら、奄美群島は、広大な海域にまたがって亜熱帯地域に位置することから、恵まれた自然環境や個性豊かな伝統文化など、奄美固有の自然的、社会的特性を有しております。  今後、奄美群島の自立的発展と群島住民の福祉の向上を図っていくためには、これらの地域特性を踏まえ、奄美群島の地域の資源を活用し、その発展可能性を最大限発揮させていくことが重要であり、このことが我が国の経済の発展と国民福祉の向上に資するものというふうに認識しております。  国土交通省といたしましては、以上の認識の下に、現在第三次の奄美群島振興開発計画に基づきまして、奄美の主要産業でございます農業の振興や国道五十八号線を始めとした道路、また名瀬港等の港湾、そして下水道等の生活環境施設等々の社会基盤の整備を総合的に推進しているところでございます。  また、個性豊かな地域社会を実現いたしますために、温暖な気象条件を活用したスポーツイベント、そして奄美の踊りや島うたなどなどの異文化交流の事業、そしてまた他の地域の青少年の参加によります自然体験交流事業等々に見られますように、奄美固有の地域資源を活用して交流人口を拡大させ、定住人口の増加につながるような施策を推進してきたところでございます。  今後とも、社会基盤の整備とともに、人に着目した地域特性を踏まえ地域資源を活用した交流推進事業を積極的に推進することによりまして、活力のある地域社会の実現を目指していくということが重要だというふうに考えております。  以上でございます。
  172. 加治屋義人

    加治屋義人君 奄美島民の思い、そして現状、よく御理解いただいておりますことを大変うれしく思っています。  本土復帰に伴い今日まで奄美を支えてきた奄美群島振興開発特別措置法は、御承知のとおり五十年目の節目を迎えます。平成十六年三月でその期限が切れるわけでありますが、今、鹿児島県では、本年度、奄美群島振興開発総合調査を実施いたしておりまして、奄美群島の自立的発展を基本に、ソフト的施策の実施など、これまでの特別措置法の成果を生かす、生かしていくことが求められているだけに官民一体となって促進しようという固い決意が見られるのであります。  国としても、特別措置法の延長を含めて奄美群島の自立的発展が図られるように一層の施策の充実に努めるべきだと思いますけれども、特別措置法の見解と奄美群島に対する国の今後の基本的な考え方を伺いたいと思います。
  173. 馬場耕一

    政府参考人(馬場耕一君) お答え申し上げます。  奄美群島につきましては、先生の方からもお話がございましたように、昭和二十八年の本土復帰以来、名前はいろいろと変わってきておりますが、現在の名前で言いますと奄美群島振興開発特別措置法、この下におきまして総合的な奄美群島振興開発計画を策定いたしまして、これに基づく事業を推進する等の措置を講ずることによりましてその基礎的条件の改善と地域の振興開発を推進してきたところでございます。  現行の特別措置法につきましては、平成十一年三月に五年間の延長が行われまして、現在、この特別措置法に基づく第三次の奄美群島振興開発計画によりまして、社会資本の整備、また所得水準の向上を図るための各種振興施策を推進しているところでございます。  御承知のとおり、特別措置法は平成十六年三月に法期限を迎えることになりますけれども、今年度、先生の方からも御紹介がございましたように、鹿児島県におきまして、奄美群島の社会経済の現状や課題、また振興開発の成果などを総合的に調査検討をし、自立的発展を可能とする基礎的条件の分析や今後の振興開発の方向及び方策を明らかにするために、奄美群島振興開発総合調査及び奄美群島振興開発意向調査というものが実施されているというふうにお伺いしております。  国土交通省といたしましても、本法有効期限以降の制度及び各種施策の在り方につきましては、これまでの振興開発事業の成果を検証し、その結果を踏まえつつ、また、鹿児島県が現在調査を行っておられますが、その調査等を通じまして地域の実情なり地方公共団体等の御意向を十分に把握するということ、そしてさらに、奄美群島振興開発審議会を始めといたしまして各方面の方々にいろいろな御議論、十分なる御議論をいただく等々の結果を踏まえまして適切な対応をしてまいりたいというふうに考えております。  以上でございます。
  174. 加治屋義人

    加治屋義人君 御丁寧な御答弁いただいて、ありがとうございました。  やはり、今後は地方分権というこの大きな流れの中で奄美の自立が求められ、当然自助努力も更に促進しなければいけない、そういうふうに思っています。この自立の実現のためにも、いま少しの時間とそして国のサポートがどうしても必要だと思っています。奄美が自立してこそ特別措置法の役割が果たせられるのではないか、そういうふうに思います。奄美自立のために国による特段の御配慮をお願いいたしたいと思っています。  それから、委員長、私、最後の質問者であったものですから一問一答を避けてまとめて質問させていただいたこともあって、答弁者に大変、特に副大臣には御迷惑をお掛けしたことをお許しをいただきたいと思います。  以上で終わりたいと思います。ありがとうございました。
  175. 中原爽

    委員長中原爽君) それでは、他に御発言もないようですから、平成十一年度のうち、郵政省、自治省、総務庁及び公営企業金融公庫並びに平成十二年度のうち、総務省及び公営企業金融公庫決算についての審査はこの程度といたします。  次回の委員会は明二十九日午前十時に開会することとし、本日はこれにて散会いたします。    午後四時二十九分散会