○副
大臣(
杉浦正健君) 先生の文芸春秋、読まさせていただきました。先生は、検察官御出身でございますし、また検察官時代に国際的な司法共助の仕事もなさっておられた。また、文人としても有名でございまして、文武両道に秀でた先生でございまして、少年法の
議員立法改正では同志として共同提案者になっていただいたということで、今日は先生からの御
質問があるということで戦々恐々としておりました。
ビザなし渡航につきましては、前向きか後ろ向きかと答えるとすれば、前は向いていると思いますが、後ろは向いていないと思いますけれ
ども、御案内のとおり、サッカーワールドカップの間は、つまり五月十五日から六月三十日までの期間は査証免除を実施いたしました。
それに先立ちまして、一月でございますが、一月一日から査証緩和を行っております。それまでは、観光ビザは三年マルチで一回十五日だったと記憶しておりますけれ
ども、これを五年、有効期間五年マルチ、滞在期間九十日というビザを出せるようにいたしました。条件が付いておりまして、過去に訪日したことがあって、その際、我が国の法令違反がなかったという条件が付いておりますが、そういう方に対しては緩和するという措置を取っております。
先生御案内のとおり、金大統領を始め先方の方がいらっしゃるたびに、韓国はビザなしなのに日本はビザを要求する、何事であるかというおしかりを度々ちょうだい、お見えになるたびに出されている話もございます。
それから、近年、FTA交渉が始まっております。産官学始まりまして、一、二年の間には韓国との間で、これは私の
見通しではまとまるんじゃないかと思いますが、総貿易額の九〇%以上関税なしという自由貿易協定に韓国側が非常に熱心でございますので、進んでおります。
また、ワールドカップを契機にしているわけではございませんが、韓国側が日本文化の解禁を徐々に行う。両国の間が、かつての歴史もあるわけですけれ
ども、大きく和解へ向かって流れができておるという背景もございまして、
外務省としては前向きに考えておるんですが、しかし、先生御案内のとおり、警察は後ろ向きでありますし、法務当局も極めて厳しいという
状況で、
政府としては、先生御指摘のとおり、不法滞在者が全体、今二十二万四千人、
平成十四年一月一日現在、これは統計上の人数でございますが、実際、暗数はもっとあるだろうと言われておりますけれ
ども、その二五%は韓国からの不法滞在だという
状況、しかも九五年以降は国籍別ではずっと第一位を続けておるという事情もございます。犯罪者との経緯では中国が断トツなんですけれ
ども、不法滞在者の方が犯罪行為に出られるあれも強いという事情がございまして、
政府全体としては、こういった今までやりました査証緩和とか今度のワールドカップにおける査証免除の
状況を見極めながら、
関係省庁の間で詳細な分析評価を行った上で、日韓間の人的交流はもっと増えるであろうし、増やしていかなきゃならないという見地から、私は前を向きながら
検討をしてまいることだと思います。
ただ、サッカーの間のビザなし渡航、サッカーの間の期間は実際減ったらしいんですね。というのは、韓国チームは日本に来なかったものですから、韓国の人たちはテレビにくぎ付けで、かえって減ったようであります。
それから、一月一日以降の査証緩和によってどういう影響が出たのか。つまり、韓国の不法滞在が多いのは、要するに十五日ビザで来て、例えば飲食店だとかカラオケバーなんかで手伝って働いて金稼いで帰る、経済格差があるというのが根底にあるんですけれ
ども、十五日瞬く間にたっちゃって不法滞在になるというケースが多かったわけです。
だから、査証期間を延ばしたことによってどういう影響が出るか、今
検討をいたしております。詳細、
検討をして、
関係省庁間で打ち合わせながら、先生御心配の不法滞在者が減る方向でないとこれは査証緩和できないと思います。韓国当局もよく承知しております。日本から行った人は不法滞在ありませんが、韓国はあるということは承知しておりまして、そういった実情を精査しながら
関係省庁間で、顔は前を向きながら協議をしてまいるということだと思います。