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2002-05-09 第154回国会 参議院 環境委員会 第12号 公式Web版

  1. 会議録情報

    平成十四年五月九日(木曜日)    午後一時開会     ─────────────    委員の異動  五月八日   委員井上裕君は議員を辞職した。     ─────────────   出席者は左のとおり。     委員長         堀  利和君     理 事                 大野つや子君                 佐藤 昭郎君                 清水嘉与子君                 福山 哲郎君                 高橋紀世子君     委 員                 愛知 治郎君                 小泉 顕雄君                 山東 昭子君                 段本 幸男君                 西田 吉宏君                 真鍋 賢二君                 江本 孟紀君                 小宮山洋子君                 谷  博之君             ツルネン マルテイ君                 加藤 修一君                 福本 潤一君                 山下 栄一君                 岩佐 恵美君    事務局側        常任委員会専門        員        山岸 完治君    参考人        福岡大学法学部        教授       浅野 直人君        君津環境部環        境保全課主幹   鈴木 喜計君        社団法人土壌環        境センター運営        委員長      大野 眞里君        大阪市立大学大        学院教授     畑  明郎君     ─────────────   本日の会議に付した案件参考人出席要求に関する件 ○土壌汚染対策法案内閣提出衆議院送付)     ─────────────
  2. 堀利和

    委員長堀利和君) ただいまから環境委員会を開会いたします。  参考人出席要求に関する件についてお諮りいたします。  土壌汚染対策法案審査のため、本日の委員会福岡大学法学部教授浅野直人君、君津環境部環境保全課主幹鈴木喜計君、社団法人土壌環境センター運営委員長大野眞里君及び大阪市立大学大学院教授畑明郎君を参考人として出席を求め、その意見を聴取することに御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  3. 堀利和

    委員長堀利和君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。     ─────────────
  4. 堀利和

    委員長堀利和君) 土壌汚染対策法案を議題とし、参考人から意見を聴取いたします。  本日は、ただいま議決しました四名の参考人に御出席いただいております。  この際、参考人皆様に一言ごあいさつ申し上げます。  皆様には、大変御多用のところ本委員会に御出席いただきまして、誠にありがとうございます。参考人皆様には忌憚のない御意見をお述べいただき、本案の審査参考にさせていただきたいと存じますので、どうぞよろしくお願い申し上げます。  本日の会議の進め方でございますが、まず、浅野参考人鈴木参考人大野参考人畑参考人の順序で、お一人十五分程度で御意見をお述べいただき、その後、委員質疑にお答えいただきたいと存じます。  なお、御発言は、意見質疑及び答弁とも着席のままで結構でございます。  それでは、まず浅野参考人にお願いいたします。浅野参考人
  5. 浅野直人

    参考人浅野直人君) 私は、御紹介いただきました福岡大学法学部浅野でございます。座って発言をさせていただきます。  ただいま御審議されております土壌汚染対策法案につきまして、三つのポイントから意見を申し上げさせていただきます。  まず、土壌汚染に関する環境法の体制についてでございます。  環境基本法第二条三項に規定される公害のうち、土壌汚染についての法体系整備はやや立ち後れの傾向がございました。その理由は、土地土壌汚染原因大気汚染あるいは水質汚濁によることが多く、そちらの方の規制が徹底しますと土壌汚染対策も十分であると考えられがちであったということがございます。さらにまた、汚染の生ずる場と申しますか、それが、大気であるとかあるいは公共用水域であるといっただれの所有にも属さない環境場に生じます大気汚染水質汚濁と違いまして、土地土壌汚染私的財産としての土地汚染が生ずるわけでございまして、その点で様相を異にしていたということがあろうかと思います。  その結果といたしまして、農作物経由での汚染物質の人体への摂取を防止するためのいわゆる農用地土壌汚染対策を除きますと、公共用水域とつながる可能性が大きい地下水汚染防止という観点からの土地土壌汚染防止がこの分野中心ということになってまいりました。また、環境基準出発点とする規制基準地下水汚染を意識したものを中心とするということになってまいったわけでございます。  しかしながら、ダイオキシン類などの化学物質による土地土壌汚染とこれによる健康不安が社会問題化いたしまして、法整備必要性が強く意識されるようになってまいりました。議員立法で成立いたしましたダイオキシン類対策特別措置法は、こういった国民の要請にこたえた緊急避難的な立法であったと言えるわけでございますが、土地土壌汚染を、地下水汚染との関連にとどまらず、より広い観点からとらえた法制度整備の第一歩となったと評価できます。  この立法に先立ちまして、大気汚染防止法による有害化学物質削減への枠組み規制的取組とか水質汚濁防止法規制強化、あるいは廃掃法の相次ぐ強化などを挙げることもできるわけです。  汚染された土、土壌の搬出によって汚染が拡散するということに関しては、現在、中央環境審議会廃棄物リサイクル部会で検討中の廃掃法の見直しの中で解決方法を考えているところでございます。  このほか、現在実施されております環境基本計画の目玉であります戦略的プログラムの中には化学物質管理が取り入れられておりまして、PRTR制度にとどまらず、化学物質総合管理に向けての法制度強化への準備が現在関係審議会などで進められていることも広い意味では土壌汚染防止への施策につながるものと言えるように思えます。  さて、ただいま御審議されております土壌汚染対策法案でございますが、この法案は次の三つの点から注目できますし、その意義を評価することができると考えます。  まず第一は、汚染されてしまった土地土壌への対策強化に資するという点でございます。  土壌環境は、いったん汚染されますと、汚染物質土地土壌中に残存し、地下水汚染公共用水域水質汚濁原因となったり、汚染物質農作物に吸収されて、それが人や動物の口を通して摂取されるというおそれがございます。また、表土が風によって巻き上げられまして、粉じん発生あるいは汚染土地への長期間居住によって様々な汚染物質への暴露ということも考えられるわけでありまして、こういったような汚染が存在するということが人の健康への影響をもたらしたり、生態系への影響をもたらし、環境保全上の支障の原因となるおそれ、すなわち環境への負荷ということになるわけでございます。  ですから、未然防止はもちろん必要でございますけれども、それだけではなく、汚染された土地土壌に関しての適正な対策を講じることが同時に必要になるわけでございます。  これまでは、農用地土壌汚染防止等に関する法律やダイオキシン類対策特別措置法によりまして公共事業としての対策が行われる仕組みになっておりましたけれども、これらは限定的なものにとどまっておりました。土地土壌汚染状況調査やその結果を反映させた汚染区域特定公示、さらには必要な健康被害防止措置実施といった体系的な対策システムが新たに法制度化されるということの意義は極めて大きいものと言うべきでございます。  第二に、本法案土地の特性を勘案した制度体系となっているということに関する評価でございます。  前にも申しましたように、土地所有権対象でございまして、その使用、収益、処分については所有者の意思が優先いたしますことは周知のとおりでございます。そこで、汚染された土壌に関しての適正な対策を行うに当たっては、これまでの大気汚染水質汚濁防止のための規制で用いられておりました法的な枠組み、すなわち汚染者排出者責任主体とするというやり方だけでは十分に成果を上げることができません。汚染された環境の場の原状回復という点では、土地土壌汚染対策と、それから水濁法での地下水汚染浄化命令制度が比較されて論じられることがありますけれども、地下水汚染の場合には、これは汚染された地下水が直接所有権対象になるかどうかということになりますと、法的には必ずしもはっきりしておりませんし、さらに、地下水公共用水域に直接つながっていく可能性が大きいということも言えるわけでありまして、やはり土地土壌汚染とは場合を異にするというわけでございます。  本法案土地所有者管理者占有者調査をさせ、あるいは健康被害防止措置を講じさせる可能性を開いているということは、理論的に見ても適切な方策と言うべきでございまして、この場合に、さらに事後の原因者への求償を支援するために、時効の大幅な手直しを含めた支援を法的に整備しているということもバランスの取れた考え方ではないかと評価いたします。  第三に、化学物質による環境リスク管理の新しい方向を切り開いたという点で法案は評価できると存じます。  化学物質によるリスクをどのような手法でどのレベルまで低減させるかというリスク管理の在り方は、一義的に単一の基準決定することは難しい点がございます。化学物質汚染された土地の用途に応じて幾つもの対策を柔軟に取り入れる余地があるということも、これもあり得る政策であろうと思われるわけです。  これまでは環境基準までは何が何でも浄化するという考え方が支配的でありましたけれども、確かに地下水など人の飲料の用に供される可能性が常にあるようなものについてはこの考え方もしようがないかなということになるわけですが、しかし、土地の場合は利用側の工夫でリスクを低減することも可能でございます。すべての場合にゼロリスクという考え方は社会的なロスを招く場合も生ずるということが指摘されるゆえんでもございます。  ただし、このためには、汚染された土地であること、リスク低減措置がどこまで取られている土地であることなどの情報が的確に新たな土地利用者に伝わる仕組みを伴うことが必要でございまして、これを否定してしまいますならば、これまでのゼロリスクを目指した考え方を否定することは困難になる、このことは認識される必要があろうかと存じます。  そういう意味で、本法案は、調査結果に基づいてリスク管理地として指定した上で弾力的なリスク管理導入を目指したという意味では、リスク管理に新たな方向を切り開くものと評価されるところでございますし、あわせて、リスク管理地であることの公示システム導入することによって、言わば情報的手法を併用してリスク管理を図るという新しい事例を付け加えるものであるとも言えるわけでございます。  環境基本計画は、様々な政策手法の組合せを進めることが今後必要であると言っておりますけれども、本法案はその具体化を図った法案として評価されるべきであると指摘したいと思います。  なお、このように弾力的、機動的にリスク管理を図るというためには、基準等につきまして、ある程度政省令に授権する部分が増えることはやむを得ないということではなかろうかとも存じます。  最後に、今後の課題について申し述べさせていただきます。  まず、科学的な根拠がある基準を設定しなければならないという点でございます。  ダイオキシン類対策特別措置法六条二項にも規定しておりますけれども、化学物質対策について科学的知見に基づいたスタンダードで施策を展開するということは、社会経済システム観点からも重要でございます。法案では、対象物質調査対象土地決定調査方法指定区域指定被害防止措置対象土地など様々の基準が設けられることになっております。言うまでもないことでございますが、こういう場合の基準は、リスク管理についての適切な科学的な知見に基づいて設定されるべきでございます。  次に、十分なリスクコミュニケーションを推進することにより、適正なリスク管理を行うことが必要であるという点でございます。  ただいま申し上げました基準等の設定について、政省令にゆだねられているわけでございますけれども、その決定に際しては、審議会等の場が活用され、関係者の間での十分な情報共有の下での国民各層の合意が図られ進められるということが必要であると考えます。その上で、国民各層の御理解の下で、本法案の重要な特徴である弾力的、機動的なリスク管理手法導入という理想が生かされるよう図られるべきでございまして、どんな場合でもゼロリスクであるとか、環境基準の絶対的達成といった硬直した制度運用になってしまわないように、運用上の特段の配慮が必要であろうかと存じます。  第三に、PRTRデータだけではなくて、過去の情報を公的に収集管理することによって全体としての社会的費用を軽減する努力をする必要があるということでございます。  今後の化学物質環境中への排出量は既に施行されましたPRTR制度データから推定が可能でございますけれども、過去の汚染の蓄積に関しましてはデータが極めて不十分であると思います。事業者の協力も得ながら、過去の製造・使用量データ収集するなど、公的部門でのデータ収集を急ぎまして、リスク管理に関する社会的費用を軽減することが必要であろうかと思います。  最後に、無資力者による対策支援についてでございます。  この点は中央環境審議会部会審議でも多くの時間を費やして論じられたわけでございますけれども、本法案による汚染土壌リスク対策実施に当たっては、無資力者への配慮が特に重要でございます。ただし、この場合、対策が完了いたしました当該土地は引き続き当該土地所有者私的所有に属するということを勘案しながら、適切な配慮をすることも必要ではないかと考えるわけでございます。  以上、私の考えの一端を申し述べさせていただきましたが、様々な点で評価できると思われます本法案が速やかに成立することが我が国における土壌汚染対策の前進につながることであろうかと存じます。  以上で私の意見発言を終わらせていただきます。  どうも御清聴ありがとうございました。
  6. 堀利和

    委員長堀利和君) 次に、鈴木参考人にお願いいたします。鈴木参考人
  7. 鈴木喜計

    参考人鈴木喜計君) 鈴木でございます。  土壌汚染地下水汚染を始めとする地質汚染問題につきまして、幅広く議論をお与えくださいまして深く感謝を申し上げる次第であります。  着席させていただきます。  お配りしてある私の資料の中で、カラー版のものがお手元にあろうかと思います。まず、これをごらんいただきたいと思います。  私は、千葉県君津市で環境行政を三十年やってまいりました。特に、地下水汚染でありますとか土壌汚染の問題につきましては、二十年間ずっとやってきております。特に、有機塩素系化合物地下水汚染土壌汚染等につきましては、我が国調査手法が全くない時代から取り組んでまいりまして、調査手法浄化手法の多くを開発をしてまいりました。そして、開発した実証技術は、学会等を通じ多くの技術者に伝承してきたところであります。  そういう中から、現場技術者意見として、あるいはこの分野を研究する研究者の一人として、まず土壌汚染地下水汚染について、少しくこの図を使いまして御説明をさせていただきたいというふうに考えるわけであります。  まず、左のカラーの図でございますけれども、これは私の恩師でもあります、あるいは共同研究者でもありますが、茨城大学の楡井の図でございます。  一般的に土壌汚染というような言葉が言われておりますけれども、これは重金属が田んぼに入りまして土壌層汚染して、そしてその汚染された土壌層に根を張った動植物が汚染されて、食物連鎖の頂点にいる人間の健康をむしばむということで、土壌汚染という言葉が生まれたわけであります。  ところが、ここにもありますように、実は我々が暮らしている大地というのは、一番表層部分土壌層でありますけれども、一般に地下には固体として地層が存在するわけであります。地層は、一般的に我々が呼ぶときは、砂層であれば砂層と呼びますし、粘土層あるいは砂利層というような形で自然地層として呼ばれております。  一方、人間廃棄物最終処分場みたいに埋立てをするだとか、あるいは公共用水域埋立てをするというようなことで盛土層だとか埋め土層だとか、人間特定の目的を作り出した人工地層もあるわけであります。  こういうところに様々な有害物質が入っていった場合、一番ラジカルな汚染様態を示すのが有機塩素系化合物でありますので、有機塩素系化合物の例を中心にしてちょっと話をさせていただきますと、まず漏らしたり垂らしたりというような状況がありますと、地下浸透ということですけれども、入っていきまして地層汚染します。一番表層部にある土壌層汚染するわけですけれども、土壌汚染して地層汚染していきます。  そして、実は地下の中にはあるところの深さにいきますと地層間隙が水で一杯になっている、そこから下は地下水があるわけであります。その地下水より上には、地層間隙空気があります。この空気地下空気というふうに定義をいたしました。揮発性物質でありますと、地下空気揮発をしてまいります。そして、地層汚染して、やがて地下水に溶解、懸濁して地下水汚染を発生するわけであります。  これが見えない地下の出来事でありますから、なかなかこのような形で分からないというのが実態であろうかと思いますけれども、汚染物質が入りまして、まず固体を、固層ですね、固体汚染する地層汚染、そして地下水面より上の空気汚染する地下空気汚染、これは同時に発生します。やがて地下水汚染が起きるんだということであります。  そこの部分を右のダイヤグラムに私は一九九二年に著しましたけれども、地層汚染する地層汚染地下水汚染、そして地下空気汚染、そして地下水汚染地層汚染というのは相互の関係にあります。汚染されている地層があれば、きれいな水が来てもまた汚染されてしまう。逆も真なりで、汚い水が流れていきますと、きれいな地層汚染してしまうということであります。  有機塩素系化合物の場合ですと、特に地下空気揮発をしてまいりまして、そしてこれが低気圧の通過の事態になったりしますと、三けたも四けたも高いような形で大気汚染を連動していくということであります。  さきの水濁法改正の中で、水濁法改正の契機となったのは、この地下水汚染由来汚染河川汚染を惹起しているというようなことから水濁法の改正が行われたというふうに認識しておりますけれども、各地河川から地下水汚染由来による表流水汚染というふうな事態も発生しているわけであります。あるいは一方では、地質構造によっては汚染物質地表に飛び出すというような、地層汚染由来地表への流出ということがあるわけであります。  こういうような汚染実態がありますので、単に地層汚染地下水汚染地下空気汚染、これを総称して地質汚染というふうに定義をしておりますけれども、これに飽き足らず大気汚染、表流水汚染地表への流出というようなことでクロスメディア汚染になっていくということでございます。  ですから、こういうような事象になっておりますので、この辺を見極めた上での法制化が必要ではなかろうかというふうに思うわけであります。  さて、もう一枚のお配りした資料の中に、私の申し上げたいことについて要点を何点かかいつまんで、十一点ですけれども、お示しをしておきました。  申し上げましたように、土壌地下水を範疇とする地質環境科学という分野がございますけれども、今申し上げましたようなことで、今回の法案というのはこの辺を非常に軽視しているんではなかろうかというふうに考えるわけでありまして、地質汚染を助長して憎悪させることはあっても、国土保全国民の健康を保護し生活環境を保全するための有効な社会制度とはなり得ないのではなかろうかと懸念する次第であります。  二点目であります。  法案の中で汚染対象となる土壌定義がございません。申し上げましたように、地質汚染でありますとかクロスメディア汚染ということを包含しなければ、有効な法制化とは評価し難いというふうに私は考えております。  三番目でございます。  我が国環境関連法というのは、調査対策未然防止、監視の四つのカテゴリーから作られておるわけでございますが、今回の法案未然防止規定がなく、ちょっとこれは言い過ぎかもしれませんが、環境法としての体を成していないのではなかろうかというふうに考えるところであります。  四番目であります。  法案の中では、使用が廃止された特定有害物質を扱う特定施設のある土地対象としておりますが、操業中の工場等に関する規定がございません。これでは事実上、汚染を拡散することを黙認してしまうということで、地質汚染問題がより無法地帯と化してしまうのではないかと懸念する次第であります。  これは、私はサブワークとしまして昭和の終わりから残土石問題をずっとやってきております。年間日本では三億立方メートルの残土が動きますが、私がサンプルをしました資料の中で、約百点ぐらいサンプルしていますけれども、そのすべてから何らかの有害物質が出てまいりました。ということで、いち早く我々君津市は、残土条例の中に土壌環境基準を盛り込むという制度我が国では一番最初スタートさせたところであります。  さて、五番目ですけれども、地方自治体の関与が希薄であるというふうに考えます。そしてまた、各地地方自治体では、この法案ができた場合に更なる混迷を招くのではなかろうかというふうに懸念するところであります。  六番目であります。  見えない地質圏事象でございますので、情報開示は、何か見てくれということではなくて、より能動的なパブリック・リスクコミュニケーション手法が不可欠だというふうに思慮するところであります。  七番目としまして、調査浄化について多くを省令にゆだねているということがあるわけですけれども、これは不透明ではなかろうかというふうに思いまして、我が国環境政策の根幹は環境基準であったというふうに思うわけであります。  八番目ですけれども、これは実は一昨日確定したわけですけれども、今申し上げましたような地質汚染の概念に基づきまして、環境基準受忍限度として国際社会でも通用するような司法判断が下されております。我が国初地下水汚染損害賠償事件でありますけれども、一昨日に確定しておりまして、福島地裁郡山支部案件でございます。この件につきましては、私が鑑定人を務めた関係で事情を承知しております。  さて、九番目でございますけれども、土地は私権の対象というようなことになろうかと思いますけれども、大深度地下は現在共有物であるというふうな考え方も出てきているように思われます。一方、水質地下水汚染環境基準が示しますように、地下水については公水論水質について公水論という立場に立っておると思いますし、土壌環境基準もある意味で公の立場に立ったのではなかろうかというふうに思うところであります。  さて、十番目でございます。  法案の中の五章、六章ですけれども、最初法案を見せていただいたときに五章、六章は全く要らないのではないかというふうに思ったところでありますけれども、これは政府が進めている行政改革に逆行するのではなかろうかというふうに考えるところであります。五章、特に指定調査機関等でいろんな縛りを加えていきますと、なかなか調査が進まないというのが実態ではなかろうかというふうに思うわけであります。  最後に、本日お配りしておりませんけれども、一九九九年に私、学会で地質環境保全法という名前を付けまして、こういったものの法制度について私案を示しました。その中では、一応十条から成っているわけですけれども、法の目的、定義規定情報開示、責務規定、これは市町村であるとか県であるとか、国あるいは事業者の責務規定規制権限をどうするんであるか、環境基準をベースにしてやっていったらどうだろうか、費用負担、基金制度、財政援助、こういう問題ですと特に遡求効というのが議論されるわけですけれども、そこらも含めて新しい社会制度としてやっていったらどうだろうかというようなことを提案をさせていただいたところであります。  申し上げましたが、地質汚染ということで、土壌汚染地下水汚染というのはそれぞれ個別のものではありませんで一体として起きるんだと、そして地下空気まで汚染していって大気汚染水質汚濁にも連動するんだという事象を見極めた上での法制化というものが、国民の健康を保護し、生活環境を保全し、そして国土を保全する上で一番必要な法制化ではなかろうかというふうに考える次第であります。  以上でございますが、どうも御清聴ありがとうございました。
  8. 堀利和

    委員長堀利和君) 次に、大野参考人にお願いいたします。大野参考人
  9. 大野眞里

    参考人大野眞里君) 土壌環境センターの運営委員長をやっております大野と申します。着席して発言させていただきます。  本土壌汚染対策法案について私の御意見を述べる前に、所属する社団法人土壌環境センターについて御紹介させていただきたいというふうに考えます。  土壌環境センターは、これは平成八年四月に設立されましたけれども、その主な設立の目的というのは、土壌汚染地下水対策の技術の向上とか知見の充実、あるいは知識の普及ということを目指し、かつ土壌地下水汚染の回復の推進を図って、国民の健康の保護及び生活の保全に資するようなことを設立の趣旨として掲げております。  主管官庁は環境庁、その当時ですけれども、環境庁が主管官庁でございます。当初の会員数は約七十社ほどでございましたけれども、平成十四年五月一日現在、百三十九社を数えております。主に土壌汚染対策にかかわっております建設会社、ゼネコンさん、それからプラントメーカー、地質調査会社あるいは調査分析会社、それからエンジニア会社、それからコンサルタント会社を主な会員としております。現在、土壌汚染対策に係る社会的な認識とか、あるいは会員の調査対策技術の質の向上を目指しまして、自主的な活動を精力的に行っているところでございます。  この法案関連におきまして、事前の検討会なんかがございましたけれども、そういった報告書に対するパブリックヒアリングなどにつきましてもセンターとして御意見を申し上げたという経過がございます。今回は、法の中身ということよりも、我々土壌汚染にかかわる調査、工事に携わる立場の方から今回の法案について意見を述べさせていただければというふうに考えております。  現在、まだ法案の段階でございますけれども、土壌汚染対策につきましてはここ二、三年急速に増えておりまして、かなり我々の会員会社も実際の工事に携わっているという状況でございます。その件数が増えた主な要因は、平成十一年一月に環境庁より通知されました土壌地下水汚染に係る調査対策指針及び運用基準というものが出されたわけでございますけれども、その指針により土壌汚染地下水対策必要性について社会的な認識がかなり進んだということが直接的な背景になったというふうに考えております。  この指針につきましては、法的な裏付けがない行政指導レベルのものでありましたので、主にその対策についても関係者の自発的な取組にゆだねておりました。このため、関係者の取組についても必ずしも統一性のあるものではなかったということ、それから浄化目標の土壌環境基準まで浄化するには大変コストが掛かるということで対策が進まないという問題などにも直面していたということが挙げられます。  いずれにしても、法的な裏付けのない対策調査・工事であったものですから、余り人目に付かない形で行われるのが常でございましたが、対策調査・工事にかかわる業界としましては、一刻も早く土壌汚染対策に係る法が制定され、周辺住民及びその地元自治体の関係者の理解を得て対策調査・工事を行えるようになることを強く望んでいたところでございます。  こういう背景を踏まえまして、今回の土壌汚染対策法案についての我々の方から考える意義というものについて述べさせていただければというふうに思っております。  その第一の重要な意義につきましては、ルールが決められることによりまして土壌対策調査・工事が公正な手続に行われ、安心してビジネスに取り組むことができるようになるということについて強調しておきたいというふうに思います。  これまで、土壌汚染対策のほとんどは公にされることなく、言わば隠れるような感じで行われてきた感があるわけでございますけれども、また特にその指針に、これまでの環境省の指針に基づいて対策を進めた上では、先ほど述べましたように、幾つか様々な問題があった。特に、対策の終了としたら、どの時点で対策の終了をしたらいいのかという判断に苦しむ場合や、また人によりまして提案による対策工法やコストに大きな違いがあったというような問題、それが発注者に不信感をもたらすというようなこともまたあったと。また、地元自治体やその周辺住民の関係者の理解を得るのにも非常に苦慮をしたというようなことがあったわけでございます。  一方、こういう土壌汚染対策の施工をやっている業者といたしましては、常に工事に対する瑕疵の問題が付きまとっておりまして、その危険性を感じながら、ある意味で不安を持ちながらその対策工事を進めなければいけない状況に置かれていたわけでございますけれども、これらの点は今回の法による明確なルール、今後政省令で客観的な基準が定められることになろうかと思いますけれども、大方は解消されるんではないかというふうに期待しております。  第二点目の意義といたしまして、土壌汚染対策必要性について全国的に認識されるということがまた大きいことだろうというふうに考えてございます。  これは先ほどの指針、環境省の指針以降急速に件数が増えたわけでございますけれども、今のところ圧倒的に首都圏が中心でございまして、近畿で少々、それから中部で少し立ち上がりつつあるというのが現実でございまして、地方圏レベルではほとんど顕在化していないというのが現状でございますが、この法案が成立されることによりまして、大都市圏以外の地方圏、それから東京圏以外のところでも土壌対策必要性の認識が進みまして、対策が普及していくんではないかというふうに考えております。  ちなみに、ここ二、三年で対策工事の件数は倍々で増えているというふうに言われておりますけれども、工事につきましては公表していないのが現実でございまして、正確な件数は把握しておりませんけれども、関係者のヒアリングなどを推定しますと、工事レベルでは百件以上は行われているというふうに考えております。また、総額でも六百億円から七百億円ぐらいの感じでは行われているんではないかというふうに考えてございますが、法制定後、私個人の予想にすぎませんけれども、土壌汚染対策が社会的に認識が定着いたしまして、今後二、三年で件数では三倍、金額面では二倍程度になるんではないかというふうに考えてございます。  それから第三番目でございますけれども、の意義でございますけれども、この法案が成立することによりまして、このルールが定着する、社会的に定着することにより、法の対象とする汚染地以外のところについても幅広く土壌汚染対策が進むことになるというふうに考えております。  法による調査対象につきましては、水濁法の特定施設とか、あるいは都道府県が健康被害を生じるおそれがあると判断した土地ということになっておりますが、それに該当しないような土地につきましてもこのルールを準用した対策が進むのではないかというふうに考えてございまして、とりわけ不動産取引に対して大きな影響をもたらすというふうに予想しておりまして、今後、民民の土地取引については土壌汚染を考慮することは必須事項となりまして、仮に法の調査対象外の土地であっても土壌汚染調査が行われ、さらに、汚染が発見された場合には公正な手続で対策を取るようになるんではなかろうかというふうに考えております。  第四番目の意義としまして、この手続が透明性という、あるいは基準の、客観的な基準が制定されることによりましてビジネスの土俵ができまして、健全なビジネス環境は形成されるんではないかというふうに考えております。  これまで、発注者は対策工事を公にしないで特定の業者を選択して進める傾向がありましたが、法制定後は、対策工事に係る手続の透明性により、多数の対策調査・工事に係る業者の中から適切な業者を選ぶようになるというふうに考えております。こういうふうなビジネス環境が作られることによりまして施工業者は厳しい競争にさらされることになるんではないかというふうに考えております。そういう意味で、質が、きちっと対応できるような業者のみが残っていくんではないかというふうに、そういう意味での市場を作ったということで、今後の土壌対策の質を確保することが可能になるんではないかというふうに考えてございます。  さらに、競争が激しくなることによりまして、今後の、施工業者の方でも安全でコストが掛からない対策工事というものについて真剣に開発していかなければいけないという状況に来ていると思いますので、その辺は今回の法案でも国の役割として規定されておりますけれども、民のみでは研究開発の限界もございますので、今後の国の役割について期待したいと考えております。  それから第六に、法の副次的な効果として土地の流動化が促進されるということについても注意を喚起しておきたいというふうに思っております。  これは、法が浄化対策及びリスク低減措置も含む対策措置の技術基準を定めることになりますので、これまで基準がないために塩漬けされていたような土壌汚染地の対策が進みまして、その利用や取引が進むことが予想されるというふうに考えてございます。  いずれにしても、この土壌汚染対策につきましては施工業者としては非常に瑕疵リスクの大きい工事でございまして、そのリスク防止するためにも、またその周辺住民、地域、地元自治体の関係者の理解を得るためにも、この対策のプロセスにつきましてはできるだけ透明化、オープン化した方が望ましいというのが我々の考え方でございまして、その点につきましては、今法案の中で十分に担保されていくのではないかというふうに考えております。  最後になりますけれども、本法によりましてこれまで放置されていた土壌汚染を通じた国民の健康への被害を未然に防止する対策が確立される、それから環境メディアの中で唯一土壌汚染に関する法律がなかったわけでございますけれども、環境メディアに関する公害対策という関連法案が今回の法律でもって完備するということについての意義は、改めて強調するまでもないことかも分かりませんけれども、大変意義の深いことであるというふうに考えてございます。  以上をもちまして陳述を終わらせていただきたいと思います。  どうもありがとうございました。
  10. 堀利和

    委員長堀利和君) 次に、畑参考人にお願いいたします。畑参考人
  11. 畑明郎

    参考人(畑明郎君) 大阪市立大学の畑と申します。資料をお配りしていますが、それに基づきまして説明いたします。  まず、私は、今回の法案につきましては、本当に効力のある法律にするためにはかなりたくさん問題があると思っております。取りあえず十五項目、附帯決議は衆議院十四項目でしたけれども、十五項目程度挙げさせていただきます。  一つは、土地とか土壌というのは、やはり空気、水と同じように公共の信託財産とやっぱり考えるべきであると思っております。現在の土地所有者が永久に土地所有するわけでもありませんので、それを汚染する権利はないと思われます。いわゆる私有財産制を取っておりますドイツの土壌保護法等でも、土壌影響を及ぼす者はすべて、有害な土壌変更を引き起こさないように行動しなければならないとはっきり目的の方に義務付けております。やはり土地所有はいっときですし、土地は永遠であることを考える必要があると思います。  それから二つ目は、名称が土壌汚染対策法案となっておりますように、今回の法案防止法ではないと思っております。それも、この対策も事後の一部の対策法であると思っております。ドイツやオランダの土壌保護法では、汚染未然防止等、土壌生態系の保全などの予防原則を目的にはっきり明記しておりますし、日本の場合、今回の法案は全くそれは含まれておりません。未然防止に関しては、環境省の答弁等によりますと、衆議院のですけれども、いわゆる水質汚濁防止法等で図ると言われているんですけれども、水質汚濁防止法の地下浸透防止措置、すなわち浄化命令につきましては過去一度も発令されたことはありません。  私、イタイイタイ病の三井金属の神岡鉱山の問題をこの三十年ぐらいずっとやっているんですけれども、そのときも亜鉛電解工場の地下土壌地下水汚染されていまして、排水口から出るカドミウムよりもはるかに大量のカドミウムがその地下に、北陸電力の発電用水路は工場の下、地下十メートルを通っていまして、そこから流れていたわけです、これは裁判後分かったわけですけれども。ところが水質汚濁法は、ここの場合は鉱山ですので鉱山保安法ですが、これは水路に流れて、地下水が浸透しているのはこれは排水口ではないと。はるかに排水基準をオーバーしているんですけれども、環境省とか、通産省ですか、全く対応しなかったわけです。そういうこともあります。したがいまして、今までの水質汚濁防止法の未然防止措置というのはほとんど機能していないと思われます。  それから三番目ですが、先ほども鈴木先生が言われましたけれども、土壌地下水汚染はほとんどセットというか、同時に起こります。ということで、今回の法案を見ますと、地下水汚染防止の視点が非常に弱いと思われます。  地下水汚染についても、いわゆる飲料水にしていなければ地下水汚染については措置する必要がないと。特に都市部は大多数が水道水源に地下水はなっておりませんので放置されております。地下水汚染されますと土壌汚染が更に拡大します。土は動きにくいですけれども、水は非常に動きます。どちらに行くかも分かりませんし。ということで、飲まない地下水についてもやはり環境基準を適用して対策すべきであると思われます。  この一つの事例が、私もかかわっております大阪市此花区の高見フローラルタウンですね。後の資料の方に付けておりますので、いわゆるUSJの近く、USJも土壌汚染されていたんですけれども、その近くの大規模団地です。住んでいる団地で、たくさんの人が住んでいるところで初めて土壌汚染が生じたということでTBSにも紹介されたものです。  それから四番目、ガソリンスタンド等からの油類の漏れですね。これも最近非常に頻発しております。この油類の中にはベンゼン等の発がん物質も入っております。それとやはり硝酸性窒素類等による土壌地下水汚染も多発しておりますので、やはり対象物質を重金属とかVOC等のそういう有害物質に限定せずに、油類とか硝酸性窒素類、そういう生活環境影響項目といいますか、そういうものも対象にすべきだと思っております。  それから五番目ですが、調査対象を第三条で要は廃止された工場等土地というふうに限定しておりますが、やはり残土の捨て場も含めた、不法投棄も含めて廃棄物のそういう埋立地とか軍事基地、軍事基地に関しては最近、日本でも横須賀、それから沖縄、韓国、フィリピン等で米軍基地の跡地等で土壌地下水汚染がたくさん多発しております。そういう基地も含めたすべての土地対象にする必要があると思っております。  例えば東京都の環境確保条例では、工場・事業場の廃止時のみならず、土地の改変時、三千平米以上ですけれども、それとか操業中でも地下水汚染がある場合は調査させるということになっております。したがいまして、この対象工場は二万七千と思われますが、工場の廃止は年間七百ぐらいしかないんですね。だから、非常にその調査の機会も数も少なくなるということです。ですから、この第三条ただし書の、要は工場から工場に変える場合は調査の必要もないという、こういうことはいわゆる工場転がしになって、いつ汚染したか分からなくなりますから、やはり工場から工場に転用する場合でも調査はすべきだと思っております。  それから六番目ですが、第四条の調査対象なんですけれども、都道府県知事が土壌汚染によりそういう健康被害が生ずるおそれがあると認める土地とされておりますが、むしろその付近の住民等から土壌汚染のおそれがあるということでそういうことが市町村長に通報された土地というか、もっと身近な首長の方に連絡があったものについてやはり調査すべきだと思います。それは操業中の工場・事業場であっても、廃棄物埋立地、残土埋立地、軍事基地等も含めて対象とすべきだと思っております。  それからまた、これは日弁連が提案しておりますが、現在のやっぱり汚染実態がよく分からないと。土壌環境センターの推定によりますと数十万か所汚染されているというふうなことも報告されておりますので、全国の汚染実態を正確に把握するために、やはり全国土地履歴調査とか、地下水等では一部の県でやっていますが、業種別の工場・事業場調査等、そういう広く網を掛ける調査をやる必要があるんじゃないかと思っております。  それから七番目ですが、農用地土壌汚染防止法は、これは私有地なんですね、農地は。私有地であっても汚染者負担原則、PPPに基づいて汚染原因者に費用を、要するに土壌復元費用を負担させています。ということで、汚染原因者が不存在、既につぶれた企業とか不明の場合、また負担能力がない場合のみ、基金とか土地所有者が負担するものにすべきだと思います。あくまでやっぱり汚染原因者に責任を取らせるべきだと。これは農用地土壌汚染防止法はそうなっているということです。  それから八番目が指定調査機関の問題ですが、これもやっぱり指定するんじゃなくて、分析能力のある大学とか、それからまた環境計量士の資格のある民間調査機関等でも調査できるように、自由に調査できるようにすべきだと思います。  それから九番目ですが、知事が調査命令、地域指定、措置命令、汚染原因者特定等をすべて行うことになっておりますが、これは非常に知事の負担も多いですし、むしろ市町村長の方が地域に密着しておりますので、いろいろな情報も分かっていますので、住民意見を聴取してこれらを行うように改めるべきだと思います。  また、住民参加の手続が閲覧以外にはほとんどありません。やはり調査措置命令に当たって、住民への情報公開と住民意見が反映する、そういう手続の機会を設けるべきだと思っております。  それから十番目ですが、汚染の除去措置として、いわゆる恒久対策である土壌浄化以外に、ここでは必要かつ合理的な措置が覆土であるという、はっきりとこの資料に書かれていましたけれども、こういう覆土とか舗装とか立入り制限、立入り制限なんかはこれは全く対策にはならないと思います。こういう応急的な対策はその場しのぎでありますし、やはり覆土というのは土地をかぶせる、臭いものにふたをするもので、汚染の問題を、土壌汚染を将来に先送りするだけであると思います。  また、汚染土壌を完全に元に戻すとか完全に封じ込めるということは現在の技術では困難であるということを認識する必要があると思います。例えば東京都の六価クロム事件、いまだに六価クロムが、封じ込めたはずの六価クロムが地上に流出してきているということが起こっています。ということで、やはり汚染未然防止を徹底的に重視しないと土壌汚染は防げないと思っております。  それから十一番目ですが、国と関係業界、この基金の問題です。これは日本の場合、これも土壌環境センターの推定では約十三兆円と推定されていますが、せめて、アメリカのスーパーファンドが約一兆円と聞いておりますが、その程度の規模にする必要があると。わずか十億円では足りないということと、あと、ドイツは現在年間八千億円ぐらいの資金を投入して土壌浄化をやっております。それを十年間ぐらいやる予定と聞いております。ということで、やはり無駄なダム等の公共事業を削り、土壌浄化のように本当に環境を再生する事業にこそ資金を投下すべきだと思っております。  それから十二番目は、最高百万円以下の罰金の問題ですが、この罰金が安過ぎるということです。例えば、最近言われている日本農林規格、JAS法の改正案では、個人の罰金は百万円以下ですが、法人の場合は一億円以下にして、一年以下の懲役刑ということで、これぐらいの厳しい罰則を盛り込まないと、罰金を払って土壌汚染したままにするということが起こりかねないと思います。  それから十三番目ですが、汚染原因者の早期特定のためには、これは企業の内部告発も含む情報提供が不可欠であると思われます。企業関係者情報開示を推奨して、その開示者を、ホイッスルブロアですが、保護する規定を盛り込むべきだと思います。  また、都道府県知事や市町村長は汚染原因者特定に努める必要があるんですが、神奈川県等は衆議院の答弁で一〇〇%、ほとんど特定できると言っているんですけれども、私は、資料付けていますが、滋賀県の、住んでおります滋賀県の地下水汚染の場合、ほとんど汚染源は特定されていません。されないままになっております。ということで、この汚染原因者特定についてはかなり市町村長も含めて努力しないとなかなか困難だと思われます。  それから十四番目ですが、これは省令の問題になりますが、要措置レベルの問題です。カドミウム、鉛、砒素、セレンを一律一五〇ppmにしておりますが、例えばカドミウムで見ますと、自然界値は〇・五ppmですので、三百倍です。ドイツの基準は、これ土地の用途別に一〇から六〇ppmということでなっておりまして、かなりやっぱり日本の基準は甘いと。もちろん、土壌の溶出基準環境基準も、基準自身は私は甘いと思っております。  それから最後に十五番目ですが、農用地の、少しちょっとこの法令の範囲から外れるかもしれませんが、関連ありますので述べますが、土壌復元工法は、埋め込み客土、これは神通川の場合のみです。田んぼの真ん中に数メーター穴を掘り込みまして汚染土壌を埋め込む、その上に新しい土を客土するという形なんです。しかし、その他の地域はほとんど上乗せ客土です。汚染土壌を下に置いたまま、上に三十センチ以上、山の土を乗せるという、こういう方法でしか、要するに汚染土壌の捨場がないんですね。ということで、水田下部に埋め込んでおりまして、これは恒久的な対策ではないんですね。百年もつか、五十年もつか分からないんですね。  それからまた、カドミウムの基準が二重基準になっています。現在、食品衛生法では一ppm、食糧庁の通達では〇・四ppmになっていまして、これはダブルスタンダードになっていますので、この土壌復元は一ppm以上にしかやられていません。〇・四から一の間につきましては、いわゆる何か水をたくさん長い間張るとか、石灰入れるとか、そういう対症療法というか、そういうやり方でやられていまして、最近の食糧庁の産米調査では汚染米も出ていますし、準汚染米、〇・四以上のものですね、流通させてはならない米が全国で百か所以上出ております。  そういうことで、現在、コーデックスの方で国際基準案が〇・二ppmが提案されていまして、日本が反対して遅れていると聞いておりますが、この〇・二ppmに強化一本化すべきでありますし、この〇・二にしますと、日本の米は五%ぐらい、今回の資料にも東京都に入っている米、四%ぐらい超えているんですけれども、普通、工場とか鉱山がなければ、〇・一ppmは超えることはありません。〇・一を超えると何らかの汚染があると見た方がいいんですけれども。  そういうことで、今回の法案に関しても、やはり環境基準をベースにして、環境基準ももっと厳しくする必要あると思いますけれども、覆土のような、臭い物にふたをするような、こういう措置が増えるようでは、後世に負の遺産というか、ツケを残すだけになると思いますので、もっとしっかりした法案にしてほしいと思っております。  以上で終わります。
  12. 堀利和

    委員長堀利和君) 以上で参考人皆様からの意見聴取は終わりました。  それでは、これより参考人に対する質疑に入ります。  なお、各参考人にお願い申し上げます。  御答弁の際は、委員長の指名を受けてから御発言いただくようお願いいたします。また、時間が限られておりますので、できるだけ簡潔におまとめ願います。  質疑のある方は順次御発言願います。
  13. 愛知治郎

    ○愛知治郎君 自由民主党の愛知治郎と申します。  参考人の方々は本日お忙しい中おいでいただきまして、本当にありがとうございます。皆さん専門家だということでありますので、本当に専門的なことをそれぞれの立場から、意見が違う方もおられるかもしれませんけれども、どうか御遠慮なさらずに考えをお聞かせください。  まず最初になんですが、鈴木参考人畑参考人からもお話ありましたけれども、今回の法案の中に土壌汚染未然防止という規定がない、それが不十分だということなんですが、これは浅野参考人にお伺いをしたいんですが、法体系環境法の専門家というお立場上お伺いしたいんですが、我が国における現行の環境法全体の体系から見て、この未然防止、どのように対応することが適当であるとお考えでしょうか。
  14. 浅野直人

    参考人浅野直人君) ただいま愛知先生から御質問でございます。  最初に私が発言の中で申し上げましたように、土壌汚染はその原因大気汚染であったり水質汚濁であったりということがございまして、そちらの方についてはそれぞれの規制法体系というのがあるわけです。ですから、その規制法体系と重ねて同じことを今度は土壌汚染防止対策という形で法令を作るというのは、法体系あるいは法技術的に見て重複してしまうという問題が起こりますし、かえってその対策の一元的な執行ということを難しくする面があると思います。  したがいまして、やはりそもそも土壌汚染されるということに関しての未然防止であれば、これはやはりこれまでの環境法体系の中で確かに御指摘のように若干不備な点はございます。地下水汚染防止について、特定施設というような形に必ずしも限定されていなかったと思います、記憶が定かじゃないんですが。ある程度不備な点があればそこは十分に各法令の中の手当てをするということが必要だと思います。しかし、そもそも土壌汚染が一時的に起こることについて、別にまた新たに法律を作るということになりますと、これは非常に難しいんではないかと思います。  ただし、既に汚染されてしまった土壌があって、それが次の二次的な新たな汚染原因となるという事態を防ぐということは、当然必要なことでございます。それをもって未然防止とか、新たな汚染防止ということを言うことは十分あり得るわけですし、現在の法案はその点を意識した法案であるというふうに私は理解しておりますので、第一次的な汚染防止に関しては他法が十分に手当てしている、それから汚染されてしまった土壌原因となって、そこから次の汚染が出てくるという意味での、そのことに対する未然防止についてはこの法案の中で手当てがされている、そのような体系的な理解を私はしておりますので、是非そのようなことだと御理解をいただければというのが私の意見でございます。
  15. 愛知治郎

    ○愛知治郎君 もう一度なんですけれども、浅野参考人に、具体的にほかの、その法体系全体の中で他の法律というのはどのようなものが適用されるとお考えですか。
  16. 浅野直人

    参考人浅野直人君) 他の法令ということでございますが、例えば大気汚染に関しましては大気汚染防止法がございまして、この中で現在は物を燃やすことによって出てくるばい煙と粉じんというのが主でございますけれども、それ以外に化学物質に関しては、御承知のように大防法の中で化学物質についての枠組み規制というやり方が取られています。  この方法のほかに更に自主的な取組が行われておりますけれども、必要であれば、この現在の大防法の化学物質枠組みのところをもっと広げていくということがあると思いますし、それからそもそも化学物質に関しては、大気、水という枠組みにこだわらず、先ほども申しましたが、化学物質のトータルなマネジメントというシステムが必要でございまして、この点に関しては既に関係各省が現在協議を始めており、また中央環境審議会ではまだ諮られておりませんが、環境省の検討会の報告も出ております。それから、経済産業省では私の知る限りで既に研究会が始まっておりまして、総合的な管理をどうするか、余り環境メディアということだけにこだわらないで、クロスメディアで動くような化学物質管理という議論が行われておりますから、それがきちっと行われることによってこの第一次的な土壌汚染防止にも資する、こういう考え方で整理ができるのではないかと思います。  それから、水濁法も当然これに関連いたしますし、それから廃掃法はいろいろ問題がございますので大幅な見直しが必要だと私も考えておりますけれども、こちらの方はこちらの方の対応があるということでございます。
  17. 愛知治郎

    ○愛知治郎君 ありがとうございました。  ちょっと時間の関係で、もっとお話をお伺いしたいんですが、ちょっとほかの視点に入らせていただきます。  大野参考人にお伺いをしたいんですが、土壌環境センターというところで仕事をなされているということで、特に実務というか実社会の中で、また技術的な分野での専門の専門家だと考えるんですが、その点で、今回の法案土壌汚染による健康被害が生ずるおそれがある場合に、汚染状況に応じて覆土とか舗装、汚染土壌の封じ込め、浄化などの措置を取ることを命令することになると思うんですが、今の土壌汚染対策技術の進展状況からして、この土壌汚染、一番なのが健康被害防止するという観点から、この技術、技術的に十分対応が可能であると考えておられるかどうか、お聞かせください。
  18. 大野眞里

    参考人大野眞里君) 今の愛知先生の御質問でございますが、健康へのリスク防止するということでございますので、それにつきましては、例えば土壌というふうなことで考えていった場合には、主に摂食のことを通じた健康の被害ということと、それと、地下水を経由いたしまして、飲料水などを飲むことによって有害物質を摂取するというような二つの大きな経路があろうかと思いますが、それぞれにつきましてそれぞれのリスクを遮断する方法というのは技術的には十分もう既に可能であるというふうに考えてございます。  先ほど、摂食ということだけでいえば、ある意味で封じ込めとかそういうようなことも十分リスク防止する措置として有効ではないかというふうに考えてございますけれども、それ自身はじゃ将来的なリスクがなくなったのかということになりますとそういうものではないわけでございますので、浄化ではございませんので、その辺は、浄化あるいはそのリスクを低減する措置というものを現実に即しながら、具体的に可能な技術というものは既に十分確立されているというふうに我々は考えております。ただし、コストの安い技術というものを皆さん一生懸命、今努力しているという状態でございます。
  19. 愛知治郎

    ○愛知治郎君 大野参考人にもう一度。その点で、これからどんどん技術開発が進み、コストの低減もこの法律が逆に通ることによって進むとお考えでしょうか。
  20. 大野眞里

    参考人大野眞里君) これは、今までどちらかといいますと少し目に見えないところで仕事をやっていたという関係がございますので、そういう意味でオープンな形ではコスト競争というものが行われていなかったというのが現実でございます。これからは、一つの対策につきましては極めてオープンな形で検討を進めていかなくちゃいけないと、対策を進めていかなくちゃいけないということになりますので、どういう対策が一番適切なのか、あるいはお金の面におきましてもどういうものが一番安く効果的なのかということについては極めて検討する機会が多くなるというふうに考えておりますので、そういう意味で、今後そういう競争というものが激しくなっていきますので、それを値段を下げていくというような努力というのはこれから非常に激しく進んでいくだろうというふうに考えております。
  21. 愛知治郎

    ○愛知治郎君 ありがとうございます。  この技術的なものなんですけれども、先ほど鈴木参考人、実務というか実際にかかわっておられたということで、またこの図も見せていただいたんですけれども、この点、今の大野参考人のお話を踏まえて、鈴木参考人の御意見をお聞かせください。
  22. 鈴木喜計

    参考人鈴木喜計君) 今まで我が国では、この分野汚染浄化するであるとか対策をするという部分では自主的にやられてきたというのが基本的なところだと思います、法律がございませんので。そういう意味で、この法律が仮に成立して施行されるというような話になれば、技術の進歩にとっては後押しになるであろうというふうに考えます。
  23. 愛知治郎

    ○愛知治郎君 ありがとうございます。  いろいろな考え方、問題点が指摘されたりはしていますが、いずれにせよ、ある一つの法律、この法律をきっかけに技術の進展であるとか汚染の場合によっては浄化まで促進をされるという可能性が私自身も期待はしているんですが、その点について、今度また大野参考人にお伺いしたいんですが、この調査対策のビジネス、その点についてもかかわりを持たれていると思うんですが、このビジネスの振興という観点から具体的に、予想なんですけれども、どのような効果があるとお考えでしょうか。
  24. 大野眞里

    参考人大野眞里君) 先ほどの私の陳述の中でもお話をちょっといたしましたけれども、既に調査という段階では非常に多くの件数がもう動いているという感じがいたします。これにつきましては、今回法案がきちっと成立すれば、既にもう数百のオーダーで動いているわけですけれども、それが三倍ぐらいの件数にはなるだろうと、工事量も、工事数も三倍ぐらいにはなるだろうというふうに考えておりまして、それで全体で見積もって、おおよその考え方でいろいろと試算してみますと、大体ここあと二、三年ぐらい、法案成立後二、三年ぐらいで恐らく二千億ぐらいの規模には現実としてなるんではないかというふうにおおよそ関係者の中では議論をしているという状況でございます。
  25. 愛知治郎

    ○愛知治郎君 ありがとうございます。  もう一つ、畑参考人、先ほどの項目の中で、十番目に汚染土壌の完全浄化、完全封じ込めは現在の技術では困難であるというお考えを述べられましたが、今の、先ほどの大野参考人鈴木参考人の話を踏まえて、現在、現実問題という観点からの御意見だと思うんですが、将来的に見てこの技術的な問題どのようにお考えになられているか、御意見をお聞かせください。
  26. 畑明郎

    参考人(畑明郎君) 一つは、先ほどの東京都の六価クロム事件の場合は一九七五年に起こっているんですけれども、実際に廃棄されたのはそれ以前ですけれども、それがいまだに地表流出してきているということですね。それと、いわゆる封じ込めというのは、現在のやり方では、この大阪の資料の中、此花区のを入れていますが、基本的にはコンクリート等でふさぐかアスファルト舗装かシートですね、それから粘土層とか。そういうバリアは入れるんですけれども、基本的に矢板なんかはもう全然すき間がありますし、コンクリートも大体数十年、三十年から五十年ぐらいしかもちません。必ず割れます。これはもうトンネルの最近の事件見てもらったらいいんですけれども。ゴムシートとかプラスチック自体は、もちろんこれは五年から十年もちませんね。アスファルト舗装も大体、せいぜいもっても二十年ぐらいですね。必ず割れます。割れ目が出て地下水が漏れるんですね。一番いいのは、むしろ粘土ぐらいです。僕は重金属の場合しかやっていないんですけれども、粘土層が一番水を通しにくいんですね。一メーターぐらいの粘土でやる方がよっぽどましなんですけれども、ところが、粘土も全く水を通さないわけではないんですね。  ということで、完全な封じ込めというのは、これは非常に、できないと私は思います。非常にコストも、こういうビルでも屋上は必ず防水モルタルとか防水をやらないと、コンクリートの建物は水を、コンクリートは水を通すと考えた方がいいですね。  ということで、完全な封じ込めは難しいということです。一つは、これは三井の神岡鉱山の例ですが、結局、対策としてどうしたかというと、一応、封じ込めも考えたんですけれども、地下に全部連続の壁を、コンクリートの壁を作るということも考えたんですけれども、ほとんど不可能なんですね、実際工場操業していますから。だから、実際にどうしたかといいますと、むしろ汚染された地下水を発電用水路から横にボーリング打ちまして、何本も打ちまして水を抜いたんです。逆に、汚染された地下水抜いてどんどん地上の排水処理施設で処理すると、そういうやり方で成功をしたんですけれども、ということでなかなか封じ込めは難しいことです。  それと、重金属の場合、一度汚染されると、例えば農地の場合、膨大な汚染土壌が今残っているわけですけれども、それを例えば硫酸で洗えば落ちるんです、確かに、重金属だけは。ところが、ほかの栄養分も全部落ちちゃいますので、がすがすの土地になって使い物にならないんですね。台湾でちょっとやっていますけれども、農地汚染土壌を硫酸で洗っているんですよ。金属は落ちるんですけれどもほかの栄養分も全部落ちちゃって、何するか分からないというか、農地土壌としては使い道なくなるんですね。  ということで、やはり汚染された土壌を完全に一〇〇%元に、原状戻すのは難しいということです。幾らお金を掛けても僕は難しいと思っておりますので、やはり汚染しない、させないということが一番大事だと思っております。例えば、排水処理とか排煙ガスの処理でも一〇〇%除去はできないんです。どんな排水処理とか排煙処理でも何%かはやっぱり漏れるんですね。処理できないんです。そういうことを公害防止技術とこういう土壌浄化技術の場合は考える必要があると思っております。  以上です。
  27. 愛知治郎

    ○愛知治郎君 確認なんですけれども、大野参考人最後に。  今、おっしゃられたように、もちろん技術的には十分可能だということでしたけれども、半永久的ということではなくて、健康被害防止を速やかにとにかく急いでやる、これ以上広げないという観点で、暫定的な処置だとは思うんですが、その点、その次、また年数もありますけれども、その先に必ず処置をするという前提の上での話だと思うんですが、その点、最後に御意見だけお聞かせください。
  28. 大野眞里

    参考人大野眞里君) もちろん、封じ込めとかそういうものにつきましては、これは浄化をしたわけではございません。したがって、その汚染された土壌はそこに残るわけでございますので、そういう意味で、望むべくはそういうところまで浄化するのは望ましいということは言えると思いますが、ただし、封じ込めとかそういうものにつきましては、特に土壌の摂食という面での健康リスクについては管理することができると。その経過的な措置につきましては、それが更に新たな摂食に伴うリスクを起こさないように、モニタリングというものを継続的に行うことによってそのリスクというものを管理することができると思いますので、トータルとしてはそういう措置を取ることによって適切な管理ができると。ただ、望ましくは浄化ということが必要だと思いますが、それはお金が非常に掛かりますので、そことの関係ということも考慮しなければいけないだろうというふうに考えております。
  29. 愛知治郎

    ○愛知治郎君 ありがとうございました。
  30. 谷博之

    ○谷博之君 私は、民主党・新緑風会の谷博之でございます。  今日は、大変参考人皆様には貴重なお話をいただきまして、大変ありがとうございます。  先ほどの質問、そしてまた今日までの衆議院における参考人質疑、そして附帯決議等も含めてかなりいろんな議論も出されておりますが、そうしたものも踏まえながら、限られた時間ですが、何点かお伺いをさせていただきたいと思います。  まず最初に、鈴木参考人に早速お伺いしたいんですが、特に冒頭、いろんな説明の中で、技術的な科学的な分野から何点か冒頭からお伺いしたいわけですが、鈴木参考人が今年の三月二十五日の朝日新聞の「私の視点」という欄で「土壌汚染対策法案の充実めざせ」という論文が書かれておりますね。全文長いですから、ポイントだけちょっと読み上げますと、土壌とは表層土壌層から地下水を胚胎する深部の地質を含むとすべきであると、こういう規定をされておりますが、この土壌のいわゆる規定というのは、先ほど説明がありましたように、かなりどこまでという定義をするのは非常に難しいと思うんです。  その定義と同時に、地下水の問題が先ほど重要な話だということで出されましたけれども、またこの地下水についても、これはもう正に公共的なものでありますけれども、その地下水のいわゆる水源から水脈ですね、それがどういうふうに流れてくるかという、この実は状況調査については、残念ながら今、我が国ではされていないと思います。したがって、例えば地下水汚染がされたということになると、その汚染源の特定が非常に難しくなるんだろうと思うんですが、こういう点について、これは私も詳しくは調べているわけじゃないんですが、外国の例として、例えばドイツなどでは地下水保全法のようなものが何かできているような話を聞いておりますが、そこら辺のことがもし分かれば教えていただきたいと思います。
  31. 鈴木喜計

    参考人鈴木喜計君) 幾つか御質問があったと思いますが、まず冒頭、土壌定義でありますけれども、土壌というのは明確に定義がされております。地殻の一番外側にあって、風雨にさらされて、動植物の遺骸が倒れ込んでできた特殊な地層であると。動植物が根の張る範囲であります。ですから、そこの田んぼの土が正に土壌です。これが汚染されたから土壌汚染なんです。ですから、僕は土壌汚染という言葉は行政用語だというふうに理解をしております。  学問的にも土壌学というのがございまして、土壌学をやっておられる方は一番頭しかやっていません。我々地質屋からいいますと、地質学の方では地層と言っています。地層の特殊な形態が土壌層であるというふうに表現をしております。したがいまして、土壌汚染、市街地土壌汚染というのは僕は行政用語だというふうに理解しております。  さらに、地下水の流れなんですけれども、この地下水というのは実は大きく分けて二つございます。一つは地層水、もう一つは裂罅水、我々が利用に供する地下水というのは二つあります。砂粒でありますとか粘土粒、砂利粒、そういうものの間隙に存在するものを地層水と言っております。そういうものが重力でありますとか圧力によって移動をしてまいります。こういうものを地下水と呼んでいます。一方、岩盤地帯なんかに行きますと、岩に割れ目が発達します。その割れ目の中で流れているような水を裂罅水というふうに呼んでおります。  この地下水については、どこに降った雨がどんなふうに地層中に胚胎されてどこで流出していくのか、どこで利用されているのかというのは、地下水管理という手法がございますけれども、地下水管理手法というものが我が国でも二十数年前に学問的に確立されております。全国的にどんな地下水があるかということは分かっております。例えば、ここは関東平野でありますけれども、関東平野の地下は関東地下水盆という入れ物がございます。幾重にも幾重にも地下水の入れ物が重なっているわけですけれども、一番深いところで二千メートルくらいあります。ですから、関東平野はそういう意味でいいますと運命共同体なわけであります。大阪平野もしかりであります。そういうふうな形で、地下水の胚胎、そういうものは学問的にもはっきりしております。  その汚染がどんなふうにどう拡散していくかということについては、最近、諸外国でもむしろ我々が作ってきた調査法を一生懸命勉強してやっているというのが事実であります。法制面では、米国でありますとかEU、特にドイツなんかではかなり社会制度として進んでおります。したがいまして、大きな成果を作っているところでありますけれども、技術論としては僕はまだまだかなと、ちょっと申し訳ないですが、そんなふうに理解をしておるところであります。  いずれにしましても、御質問のありました地下水の流動系であるとか地下水汚染がどんなふうになっているか、汚染機構がどうであるかということは確実に分かります。完璧に分かります。  以上です。
  32. 谷博之

    ○谷博之君 いろいろありがとうございました。  実は、この法律の名前が土壌汚染対策法という法律ですが、実はこれは私は、今もお話ありましたように、地下水を含むそういう汚染についてどう対応するかという法律で本来はなきゃならぬだろうというふうに思っておりまして、特に水道水の水源になるような、そういうところの地下水についてはこれは極めて重要な意味を持っているんだろうと思っていまして、そういう点では今の鈴木参考人のお話は大変理解をさせていただきました。  続いて、畑参考人にお伺いしたいのでありますが、今、説明をいただきました中で、先ほども質問が出ましたけれども、十番の問題ですね、いわゆる汚染された土壌の問題、あるいはその土地の問題についてでありますけれども。  これは、方法は、撤去する方法から、それから覆土をするとか、あるいは封じ込めるとかいろいろありますけれども、まず最初にお聞きしたいのは、これは私どもの県で一つの例があるんですが、今年に入りまして、栃木県の日光市で古河電工日光事業所が、土壌などから、会社内の土地から毒性の重金属が見つかったということで、これはセレンという重金属、これは基準の四千三百倍、砒素も検出されたということで、こういう記事になっておりますけれども、地元の新聞にですね、これは撤去するんだということで、これは事業所が率先して県などと一緒になってそういう方向を取り組むようでありますが、こういうふうな撤去する土壌土壌というか土砂ですね、これは現在どういうふうに現実的に扱われているんでしょうか。まず、そこからお伺いしたいんですが。
  33. 畑明郎

    参考人(畑明郎君) 私、ちょっと大阪の例しか知らないんですけれども、一つは、USJ、ユニバーサル・スタジオ・ジャパンの汚染土壌につきましては、一応環境基準を超える土壌については搬出、外に出したと聞いております。しかし、どこに持っていったかにつきましては、これは定かではないんです。むしろ、うわさによれば、新日鉄の堺製鉄所の遊休地の中に置いてあるだけだという話もあります。  それで、フェニックスがあるんですけれども、大阪湾のフェニックスの管理処分場には受入れ基準があるんですよね。ある一定以上の濃度のものとかは受け入れないんですね、危ないものは。近畿には遮断型処分場は全くありませんし、管理処分場で受け入れる範囲しかできません。  今回の高見の、此花区高見のフローラルタウンの場合は、これは環境基準の三十倍以上、数百倍超えているものが、砒素、水銀、鉛、一通り出ているんですけれども、それが、今、鴻池組が工事やっていますが、三十倍以上は搬出すると。これは環境庁の運用指針に基づきまして環境基準以下のものは現地の封じ込め、今回資料に入れていますけれども。その搬出の先につきましてもなかなか受け入れてくれるところが少ないと聞いております。だから、ちょっとどこに持っていくのかというようなことも僕も確かめておりません。むしろ、ゼネコンさんに聞かなければ、工事やっている鴻池とか、それに発注している公団、住宅公団ですけれども、大阪市とか、そういうところに聞かないと分からないですね。
  34. 谷博之

    ○谷博之君 これはちょっと参考人の方にお聞きするのもいろいろ問題があるのかもしれませんが、我々自身は率直な疑問としてそういうことを持っておりまして、今お伺いしたわけなんですが。  それで、もう一つは、その封じ込めとか、何というんですか、覆土という話が出ましたけれども、これまた私の方の栃木県の例ですが、県南の野木町というところでマンションの駐車場からベンゼンが検出されまして、元化粧品工場の跡地として、ここはいわゆる地下の、揮発性物質がそこに埋設、埋蔵されておりまして、駐車場が隆起をして問題になっているというところがございます。  これは、あくまでこれは駐車場として土をかぶせたとか、あるいはアスファルトで舗装したかどうか分かりませんが、こういう現象というのは、これは私は一つのそういう汚染された土壌の現実の在り方としてこういうのは結構事例があるんだろうというふうに思っておりまして、そういうことからすると、先ほどの大野参考人の御説明もありましたけれども、こういうふうないわゆる揮発性物質、これは鈴木参考人も御指摘をしておりますけれども、こういうふうな土壌に対して、先ほどのような御説明でこれは対応できるのかどうかということについて重ねて説明していただきたいと思うんですが。
  35. 大野眞里

    参考人大野眞里君) 今の谷先生の御質問でございますけれども、揮発性物質につきましては、御質問のとおり、単なる封じ込めということだけではいろいろと問題がある点はあろうかというふうに我々も考えております。これは、封じ込めというのは、あくまでも接触、土壌との、汚染された土壌との接触に伴いますあるいはリスクということ、健康リスクということを考えておりますので、そういう意味での有効性というのは十分持っているだろうというふうに考えますが、揮発性物質につきましては当然大気中に出てくるという面がございます。この辺につきましては、ある意味では大気汚染防止法の世界の中で本当は扱っていかなければいけない話の一つではないかというふうに考えておりますけれども、実態としては、それが出てきてどれだけ健康被害に、大気を通じた健康被害にどれだけの影響があるのかにつきまして、今後ともまだ検討を重ねていかなければいけない部分ではないかというふうに考えております。
  36. 谷博之

    ○谷博之君 限られた時間ですので、更にちょっとお伺いをしたいところなんですが、最後の質問をさせていただきたいと思いますが。  浅野参考人にお伺いしたいんですが、先ほどの御説明の中で、一番最後の今後の課題というところの中でいわゆる無資力者への配慮というふうなことが御指摘されておりましたけれども、これは個人に限らず、地方自治体やあるいは企業でもそうなんですけれども、例えば今回のこの法案でいいますと、特に費用負担能力の低い中小企業者などに対していわゆる基金を造成するということですけれども、こういうことについて、そういうふうな地方自治体とかいろんな、経団連を始めとするそういう団体の中でも、やっぱり国の補助率をもっと上げてほしいとか、あるいは何で汚染原因と無関係な第三者の負担が、いわゆる経団連辺りもそのような考え方があるようでありますけれども、負担をしなきゃならないんだというふうな議論も内部的にはあるというふうに聞いております。  要するに、こういう土地を持っておられる方々のそういうふうな土壌汚染対策についてのそういったいわゆる支援の在り方、これについて配慮すべきだというふうに説明しておられますけれども、具体的にどのような配慮が必要かということについてもう少し説明をいただきたいと思うんですが。
  37. 浅野直人

    参考人浅野直人君) ただいまの御質問でございます。なかなか短い時間で端的に答えることは難しいわけです。  まず、この問題については、総枠でどの程度の支援のバジェットを用意できるかということが一方の制約要因としてございますから、それ抜きにして無制限にいろんなことを理想的に述べることも難しいかと思います。実際にどの程度の対策が必要で、その対策のためにはどの程度の経費が必要なのかという見通しが立ちませんと全体像を語ることが難しいわけですが、当面申し上げますと、やはり無資力者という場合に特に配慮すべきだと思いますのは、自らが汚染者ではない、しかしながら土地所有者であって、そしてその浄化原因者が明らかでないのでさせられてしまうというような場合、これはある意味では被害者的な要素も出てくるわけです。しかし、それをうまく立法的に整理して仕分けすることが無理なものですから、一応全部網をかぶせるという形になっているんですけれども、こういう被害者型の場合にはやはりある程度の配慮が必要だろうと。  しかしながら、例えば農水系の様々な施策の中でも受益者負担というのがあるわけですから、私は、土地所有者として土地所有権を自ら持っていて、クリーンアップによって土地の地価が回復するという利益があるならば、やっぱりこれは全面的に、全部公費投入とかあるいは基金による投入ということは適切ではないんで、そのところのやっぱりシェアリングというのは必要だと。それを抜きにして、ともかく補助をすればいいとか援助すればいいとか、全額公費負担は基金負担でやるのがいいという考え方にはならないだろうということを考えているわけです。  それ以上に、今度、中小企業者の場合で自らが汚染原因を作り出していて、なおかつクリーンアップをしなきゃいけないというケースの場合には、これはなかなか難しいわけでありますけれども、しかし、それで全く対策が進まないということによる国民の健康に対する危険ということを考えますと、その観点からの公共政策的な配慮で資金を投入するという必要が出てくるわけです。  そして、先ほど御質問の、直接原因者でない者もそれに応分の負担をするということに関する御議論でございますけれども、しかし、やはり経済社会システムというものはどこかでつながっておりますから、直接の汚染者でない者であっても、その者が何ぴとかの製造した汚染物質を購入して使用したということになりますと、その購入して使用したということからその製造元のところに当然行き得るということになりますが、それを一々特定することは難しいわけですから、そこはやっぱり全体としてある意味じゃリジットに、責任原理に基づかないで応分の御負担というような形で基金を作るというのは一つの政策の在り方だというのが私の考え方でございます。
  38. 堀利和

    委員長堀利和君) 時間が参りましたが。
  39. 谷博之

    ○谷博之君 どうも、時間が来ましたので、ありがとうございました。終わります。
  40. 福本潤一

    ○福本潤一君 公明党の福本潤一でございます。  今日は、四名の参考人の方から専門の立場から貴重な御意見、ありがとうございました。私も四名の方全員に御質問したいので、若干短めにお答えいただければと思います。  最初に、浅野参考人鈴木参考人にお伺いしたいと思います。  土地大気と水、これ三つとも規制する法律としてダイオキシン類対策特別措置法を作りました。ダイオキシン類対策特別措置法というのは目的あって人間が作った物質じゃないものでございますが、今回は目的あって作られた物質から環境汚染又は健康被害を及ぼすということで、そういう意味では、土地、水関係、きちっとした汚染される上での科学的実態認識というのが非常に大事になってくると思います。  貴重な御意見をお二人からいただいたので、まず最初にお伺いしたいのは、例えば土地とか土壌とかいいますと、大学でも農学部で学ぶときは土壌物理とか土壌学とかいう形で習いますし、工学部では土質工学という、ある意味では破壊とか崩壊、農学部の方では生態とか含水率とか微生物とか、そういうようなことまで含めて学ぶわけですけれども。  水の考え方ですけれども、地下水も含めていろいろな形での位置付けできると思いますけれども、土地は、浅野参考人から、所有権だと、私的所有権だと。水は、公的用水域だけを取り上げていただきましたけれども、これはどういうふうに考えるのがいいのかと。具体的に水資源開発という言い方ありますから、私的所有権という言い方で私どもは理解しておるわけですけれども、あっ、占有権ですね、私的占有権のものを現実に侵したときの問題、これが水であるから、ある意味では大気と水と土地三つとも性格が違うというふうに思いますけれども、水の公水域における私権、また公有権、公共財等々の考え方について、お二人からお伺いしたいと思います。
  41. 浅野直人

    参考人浅野直人君) 福本先生からの御質問、大変難しい御質問でございまして、実はちょっと答えられないなと思っている面もございます。  ちょっと御質問をはぐらかすような答え方で申し訳ないと存じますが、公共用水域という形で現在の環境法が逃げておりますのは、やはりその問題の難しさを考えて逃げていたんだと思います。ですから、完全に私有地の中にある水であれば、それはもう知らないよと言っておりますので、現実には、例えば水利組合が持っているため池が汚染されても手が出ないなんというような事態がかつてあったわけでございます。これは非常に問題であるわけですね。その点を突破するために、地下水環境基準のときには、あえて見えないということをいいことにして、公共用であるかないかは問わずにもう一律に環境基準をかぶせるということをやってみたわけでありますけれども、これは、実はきちっとした水法というんでしょうか、我が国には水法というようなはっきりした法律がないので、言ってみれば恐る恐るやっているような面がございます。  ですから、むしろ、先生御質問の点は、今後の課題で水についての権利関係どうするかということをはっきりさせなきゃいけない、そして利用ということとの観点での先生の御質問でございますので、これはその観点からの法制度がありますけれども、どこかで全体の整合性を考えなきゃいけないという御指摘だと思います。その点、全く私も同感でございます。
  42. 鈴木喜計

    参考人鈴木喜計君) 私も法学の部分は専門ではありませんので、ただ常日ごろ思っていることについて述べさせていただきます。  まず、地下水について言うならば、量の問題と質の問題があるんだろうというふうに思います。量の問題については、何も法律が掛かっていない、あるいは条例が掛かっていないということであるならば、これは私水だというふうなことになろうかと思いますが、我が国では地下水二法もございますし、あるいは都道府県における地下水の採取規制というようなものもございます。ですから、一定手続を経た場合に量を確保することができるという考え方があるわけです。そういう場合にはある意味公水論に立っているのかなというふうに考えますし、質については、さっきの地下水汚染環境基準が明らかになったように、私水であるならば公水論に立つ必要はないわけですから、環境基準がかぶさった段階で質についても公水論に立ったのかなという考え方に立っております。  以上です。
  43. 福本潤一

    ○福本潤一君 ありがとうございます。  さらに、大野参考人にお伺いしたいんですが、現場で現実の土壌環境を清浄化するための事業もされておられるようでございます。  私ども、土壌汚染されているものをするときに、覆土という批判されたやり方、また客土、全部入れ替える、さらには、これ今余り現実にやっていないですけれども、微生物で汚染土壌浄化したらどうかということをいろいろなところで提案しているところなんです。  ダイオキシンでも分解する、ある意味でダイオキシンを食べる微生物、光合成菌とか木材腐朽菌等々も研究されているようでございますけれども、現場でこういう微生物による浄化を現実に適用した場合、時間も掛かるというようなこともあるだろうと思いますので、今やられている方法以上に本質的な浄化に向くんではないかというふうに思っていますんですが、その点、取り入れられたときにどういうような問題が起こりそうかという想定をお願いできればと思います。
  44. 大野眞里

    参考人大野眞里君) 今の御質問でございますけれども、なかなかお答えするのもちょっと難しいところもあるのですが、特に有機塩素系化合物でございますね、揮発性物質とか、そういうようなものは生物によって浄化する方法が可能ではあるというふうに考えておりますが、これの技術のやはり一番問題点と申しますのは、どのレベルまで浄化したらそれでその浄化対策の終了というふうにしたらいいのかというところが今の環境基準とのかかわり合いの中で非常に難しいところがある、あるいは技術そのものがどこまで確実性が担保できるのかというようなところがまだまだ、まだ分からないところがあるという点がございまして、依然としてまだ発展途上であるというふうに考えております。  ただし、やはり低濃度のそういう有機汚染につきましては自然の力を使って浄化していくということは非常に重要な面でございますので、今後とも、そこのところは相当関係各社の中で開発努力が進んでおりますので、更にまた発展していくんではないかというふうに考えております。
  45. 福本潤一

    ○福本潤一君 汚染土壌を工場跡地また基地の跡で浄化するときに、大体今までの方法は、大阪でも豊島でも大体焼却処分という形で土壌が再生できないという形になっていますので、その方法の検討も我々推進していく姿勢で臨んでいますので、現場でもよろしくお願いしたいと思います。  さらに、畑参考人にお伺いしたいと思うんですけれども、カドミウム、またイタイイタイ病の現場でも現実に対策方、長年取っておられたようでございます。私ども、敬意払いたいと思いますけれども。  こういう中で今回の法案汚染者負担原則、真っ当に入れ切れているかどうかという問い掛け、大きな問題があると思います。十五番目に書いていただいておる農用地土壌汚染の客土の問題に関しましても非常に重要な提案だとは思います。今回、先ほど農学部と工学部の違いをお話しさせていただいたのは、農用地土壌汚染の場合、様々な形での対策が、食物生育にかかわる土壌ですので、大変大きなものがあるとは思います。  今回の法案で八条、七条で、汚染者負担原則までは行きませんけれども、それを取れる方途は開いていくということを与党前審査のときに入れてはおるんですけれども、ここでなおかつ不足分あるとは思いますけれども、こういう形の中で行政で対応、どういうふうにやっていけれるかという観点から、一点、御質問させていただければと思います。
  46. 畑明郎

    参考人(畑明郎君) 汚染者負担原則の話だと思いますが、実際には今回の法案の場合にはほとんど知事がその汚染源の特定にかかわるというか、最終判断するという形になっておりまして、この場合、非常に県によって、知事の姿勢とかによって変わってくる可能性があると思います。先ほど申しましたように、神奈川県ではほとんど特定できていると、過去の場合。滋賀県ではほとんど特定できていないと。  例えば、滋賀県で最近あったんですけれども、信楽の水道のフェノールの汚染の事件のとき、県はその企業をかばうような調査をやったんですよ。で、内部告発とか、住民の、社員の告発とかあって警察が入ったんですね。その前に県が調査に入ったときには、言わば会社の、企業の言いなりになりまして、言わば排水、工場内でこぼしたと。フェノールをこぼしたけれども、クレゾールなんですけれども、川には流れていなかったということで、県がわざわざ記者会見して、ある新聞社が汚染源はそこだということを言うたんですけれども、金属加工工場なんですけれどもね。ところが、それを否定する、わざわざ記者会見やって否定したんです。その後、また警察が入りまして、今度はもうその企業も一応観念しまして、うちがほとんどまあクロに近い濃厚と、これもはっきり言わないんですけれども、まあクロに近い濃厚な汚染源であるということを認めたんですね。それで今度はまた、県がまた調査に入りまして、それを追認すると。知事がその企業の社長に厳重注意するという形で終わっちゃっているんですね。  非常に、だから、知事の姿勢が大きく響くと思いますし、実際にはもうそれぞれの都道府県で一杯問題が起こっていましたから、それすべてにどれだけ県とか都道府県がその汚染源の特定に手を割けるかという、非常に問題があると思っております。  むしろ、やっぱり土地所有者が第一義的になっていますから、汚染源の特定は結構面倒で、企業はもちろん抵抗して訴訟にも訴えたりしますので、東京都の大田区の例もありますし、ということで、こういう第一義的に土地所有者に責任を持たせると、ほとんど汚染源の特定はされずにほとんど土地所有者対策するという結果になってしまいかねないと思っております。
  47. 福本潤一

    ○福本潤一君 民法上の原則から一歩乗り越えて、七条、八条、改正、また更に発展させていくべき部分だと思います。ありがとうございます。  最初に、まだ時間が若干ありますので浅野参考人に戻りたいと思うんですけれども、法体系全体の中で一つの考え方をするときに、水でもやはり水利権という問題、一つのネックになってくると。土地私的所有が認められておるだけに大きな問題出てくるわけでございますが、この中で特に、先生の参考資料の三番目に、リスクマネジメントの観点ということで、どのレベルまで回避させるべきかを一義的、単一基準では決定し難いということを書いておられます。また、ほかの有識者によりますと、現実にリスクと現実に被害を受けたハザードというのを区分けして考えられる方もおられるわけですね。  そういう場合、土壌汚染、特に今回は農用地土壌ではなくて工業土地、またそういう建物、構造物来るような土地の利用に関するレベルを決定し難いがゆえに、この汚染が進むのをストップできないというのはまた問題ではなかろうかということで法律が今回新たに制定されておるわけですので、この法体系の中でどのレベルまで回避させるべきかと決める基準のようなものはどこらに求められるのかということを法律有識者の浅野先生にお伺いしたいと思いますが。
  48. 浅野直人

    参考人浅野直人君) ただいまの先生の御質問でございます、これは実は大変悩ましい面がございます。リスクマネジメントというサイエンスの世界での発想法からいえば本当にケース・バイ・ケース、かなり弾力的に扱うということが正しい筋道だと思うわけですが、しかし、これは制度の中に入ってまいりますと、下手をすると恣意的にゆがめられるという危険性が出てまいります。  いやしくも法制度としてこれを作る以上は、弾力的にと私は申し上げましたけれども、それは全く行き当たりばったりというか、極端に言えばですね、あるいはそのときの力関係で左右されるようなものを弾力的と申すつもりは毛頭ございません。やはりある種のはっきりしたスタンダード、それはどの場所でもこういう用途でこういうような状況であるならばこれだけのことはやるべきであるというスタンダードがきっちり定められるという必要があると思います。  その意味では私は、地方自治体の関与が重要であるという御指摘はもう毛頭否定するものではございませんけれども、スタンダードに関してはある程度しっかりしたクライテリアを、国のところでしっかり科学的な知見を集め、国民各層の合意を得ながらスタンダードは示しておく、その上で現場の状況でそれをどう当てはめるかという運用になっていくということになろうかと思います。  すなわち、御質問の点から申しますと、やはりある程度しっかりしたクライテリアは作る、しかしそれが余りにも単一で硬直的なものにならないようにということが必要だということを申し上げたつもりでございます。
  49. 福本潤一

    ○福本潤一君 じゃ、最後に。  一つの判例が具体的に福島地裁で出てきたということを鈴木参考人に言っていただきました。この地下水汚染環境被害裁判が確定したという現実を受けて、今回の法律ができたときのこの確定判決が今後どういう形でとらえ直されていくかという問題、ちょっと難しいのかも分かりませんけれども、私、全然素人でございますので教えていただければ。
  50. 鈴木喜計

    参考人鈴木喜計君) この事件は提訴されて結審まで八年半掛かっております。この間に、我が国で初めて提起された地下水汚染損害賠償事件であります。原告は被害者、被告は隣にある工場という形でございまして、私は原告、被告双方求めによる鑑定作業をいたしました。  そういう中で、この汚染というのは、先ほど申し上げましたように、地質汚染という概念ですべてを説明をさせていただきました。判決の中でも地質汚染という概念で判決が出ております。そして、そこにいかなる、損害賠償事件なんですけれども、慰謝料も含めてということがありまして、そこで受忍限度論を出してきておりますが、受忍限度論は何を採用しているかというと、従来の公害裁判では、大気水質、騒音については環境基準値は受忍限度でないというとらえ方をしていると思いますけれども、今回は地下水汚染環境基準というものが、あるいは土壌汚染環境基準というものが受忍限度であるというふうに、地裁ですけれども、判断をされております。そして、四月の十八日でしたか、判決が出ておりますけれども、控訴期限が一昨日でありまして、一昨日、控訴を原告、被告、双方しておりませんもので、判決が確定をしているという事態であります。
  51. 堀利和

    委員長堀利和君) 時間が参りましたが。
  52. 福本潤一

    ○福本潤一君 どうも貴重な御意見をありがとうございました。
  53. 岩佐恵美

    ○岩佐恵美君 日本共産党の岩佐恵美でございます。  今日は、参考人皆様にはお忙しい中ありがとうございます。  最初に、鈴木参考人に伺いたいのですけれども、法案では工場から工場に所有権が移転する場合には調査が義務付けられておりません。このような所有権の移転が繰り返されると、実際に汚染が発見されたときに原因者特定するのが難しくなるのではないか。実際に東京都の大田区で起こりましたPCB汚染土壌汚染の件でそういう事例がございます。  この問題、前回の当委員会環境省とやり取りをしたんですけれども、その際に環境省は、所有権移転の経緯の情報が知事にあるから大丈夫だ、そう説明をしております。実際にその現場で対応をしておられる地方自治体立場から、所有権移転の情報があればその原因者特定に支障がないのかどうか、その点について具体的にお伺いしたいと思います。
  54. 鈴木喜計

    参考人鈴木喜計君) まず、所有権移転を伴った場合の原因の確定ですけれども、結論から申しますと、非常に難しいと思います。サイエンティフィックに考えた場合に、汚染原因行為であるとか汚染原因箇所、これは確実に分かります。どんな物質であっても分かります。特に、最近、自然界に存在する重金属類がたくさん出てきておりますけれども、これについても分かります。いつやったかということも分かります。ただ、所有権移転が次から次へとあった場合に、どの段階かというのは非常に難しいと思います。  それともう一つは、所有権はそのままなんだけれども、占有権というのがありますね。例えば土地を借りちゃって何かやる。特に多いのは残土石の処分地ですね。土地を借りて、そこに汚された土を持ってきて埋め立てて新たなことをやるというようなことをやるわけですけれども、こういうような場合には果たしてだれがやったのかというのは非常に難しいと思います。
  55. 岩佐恵美

    ○岩佐恵美君 ありがとうございます。  それで、今の残土処理にもかかわるんですけれども、法案では指定区域以外は土の運び出しの際に汚染調査は義務付けられていないんですね。先ほどもお話がありましたけれども、君津の市内でも残土処分地がたくさんあるということでありましたけれども、その実態がどうなっているのか、そして汚染された残土の持込みについて防止することができるのかどうか、その点について伺いたいと思います。
  56. 鈴木喜計

    参考人鈴木喜計君) 今、先生、君津の中にたくさんあるとおっしゃいましたけれども、君津はほとんどないというのが実態でありまして……
  57. 岩佐恵美

    ○岩佐恵美君 周辺ですか、済みません。
  58. 鈴木喜計

    参考人鈴木喜計君) どういうことかと申しますと、実は残土問題と汚染問題がどういうふうな形でリンクしていくかといいますと、実は、ちょっとデータは古いんですけれども、我が国ではおよそ三億立方メートルの土砂が年間に発生しております、建設工事に伴いまして。ちなみに、ドイツではちょうど半分の一・五億立方メートル程度であります。ところが一方では、我が国で土を汚されているのか汚されていないのかということを事前にスクリーニングするという仕掛けがございません。そのために、特に厚生省、当時の厚生省ですけれども、これは廃棄物処理法で言ういわゆる十三号基準でございますけれども、これを超えているのかいないのかということで、十三号を超えていなければ残土処分できるよという形で動いております。したがいまして、現実的には管理処分場に入れるべき、あるいは管理処分場に入ってもおかしくないような土というのが実は我が国を流通しているということであります。  ただし、我が国のごみというものは二十種類に分類されております。十九が国内で出るもので、二十番目がバーゼルごみです。ですから、土というのは二十種類のごみの中に分類がございません。したがって、残土という形で流れてしまうということであります。  ちなみに、三億立方メートルの残土ですけれども、バーゼルの関係がありまして、スコップ一杯たりとも国外に出ていないというのが私の認識であります。
  59. 岩佐恵美

    ○岩佐恵美君 そこで、ちょっと全参考人に伺いたいんですけれども、法案対象は工場跡地で、廃棄物処分場の跡地、これは対象にしていないんですね。でも、現に私もごみ問題であちこち全国、処分場跡地だとかあるいは現在稼働している処分場だとか、そういうところを見て歩いているんですけれども、本当に深刻な事態にあると思います。  処分場跡地を公園にするなどという例もありますし、処分場跡地についても当然汚染調査をしていく、そういう必要があるというふうに思うのですけれども、その点についてお答えをいただきたいと思います。
  60. 浅野直人

    参考人浅野直人君) 廃棄物処分場の跡地問題につきましては、以前に廃掃法改正の段階で、廃棄物処分場の供用終了というんでしょうか、処分場としてはそれを使用しなくなって、処分場でなくなるときにそれをどうするかという問題がございまして、現行法上、確かに先生御指摘のように、処分場である間は、最終処分場である間は環境基準の適用がないわけですが、処分場でなくなりますと、途端に環境基準の適用があることになりますから、そうすると恐らく大混乱が起こるんではないかということが問題でございました。  現在では、廃止の段階での手続を相当厳しくしておりまして、危険性の高いものについては容易には廃止をさせないという措置が講じられておりますので、事実上、運用上、その問題は多少解消しているとは思うんですけれども、確かに問題は残っていると思います。  しかしながら、これは現在の土壌汚染対策法との関連で申しますと、もうそこはある意味じゃ汚染されているということは極めて明らかな土地でありますから、はっきり言えば廃掃法の方でもっとちゃんと手当てをすべきだというふうに考えておりますし、仮に民間の最終処分場であって、どこかから、だれかから借りた土地処分場にしていて許可を受けていた、これが最後廃止されてもう一回所有者の手に戻るという事態が起こった場合には、これは本来は所有者が責任を持たなきゃいけないことだと思うんですが、現在の廃掃法はその段階でもなお行為者、原因者のところで全部責任を持たなきゃいけないような構造になっておりますが、そのこととこの法律との整合性は確かに問題だと思います。  ですから、むしろ私は廃掃法の側により多くの問題ありという認識を持っておりますが、余りこれは大きい声で言うといろいろ問題がありますので、これくらいにさせていただきます。
  61. 鈴木喜計

    参考人鈴木喜計君) 僕も浅野先生と同じような見解でありますけれども、最近の最終処分場については問題がやや軽減してくるかと思います。  私自身、国内外で四十を超える現場を浄化してきました。その中で必ずぶつかるのがミニ処分場であります。必ずぶつかります。窒素汚染原因というのは何かと言いますと、大気汚染水質汚濁をコントロールしていく過程で出てきた有害物質を自社処分場をミニ処分場と言って埋めた行為なんです。実はこれが原因行為なんです。さらに、私自身、欧米あるいはアジアも含めて三百を超える現場を見ております。ほとんどのところが最終処分場絡みの汚染であります。  したがって、最終処分場については、今回の法案の中でどうこうという話ではないんですけれども、別建てできちっと考える必要があるというふうに理解をしております。  以上です。
  62. 大野眞里

    参考人大野眞里君) 私の方も、浅野参考人がお話ししたとおり、同じ考え方を持っております。これにつきましては、おっしゃるとおり問題でございますので、これは廃掃法の中でその廃棄物跡地の問題について今後きちっとした対応ができるような検討が必要ではないかというふうに考えております。
  63. 畑明郎

    参考人(畑明郎君) 私は、例えばドイツの土壌保護法では廃棄物埋立地の跡地も対象に入れておりますし、それからこういう廃棄物を正式に入れたという処分場以外に、例えば大阪の豊中の野村不動産のマンションの例がありましたように、いつかだれかが残土廃棄物を何かくぼ地に入れた、それで汚染されていたと。そういう不法な投棄に近いものとか、正式に残土を埋めた処分地もあると思いますけれども、そういうものもすべて含めて、やはり土壌汚染については変わりはないんですから、今回の法案のやっぱり対象にすべきだと思っております。
  64. 岩佐恵美

    ○岩佐恵美君 そこで、畑参考人に伺いたいんですが、畑参考人の陳述の十四番目でございますけれども、環境省の土壌の含有量リスク評価検討会の報告では、措置を要する土壌汚染レベルについて、総水銀では一キロ当たり九ミリグラム、カドミウム、鉛、砒素は百五十ミリグラム、そして六価クロムは九百ミリグラムとしているわけです。
  65. 畑明郎

    参考人(畑明郎君) 百五十です。
  66. 岩佐恵美

    ○岩佐恵美君 百五十。  ドイツなどの基準と比べて極めて緩いと思われますけれども、その点いかがでしょうか。
  67. 畑明郎

    参考人(畑明郎君) カドミウム、鉛、砒素、セレンについては一律百五十ですね。クロムが九百、水銀が九とかいう今回の要措置レベルの提案なんですけれども、僕の場合は主にカドミウム汚染のことを中心にやっていましたので、カドミウムでいうと、ここにも書いてありますように、この辺りの普通の汚染されていない土壌でもカドミウムは〇・五ppmぐらい土壌に含まれています。いますけれども別に問題はありませんが、今回一五〇ppm。こういう元素によってかなり影響が違うんですね、普通、カドミウムと鉛の人体影響、砒素についても。これが同じような数字になるというのは非常におかしいと思いますし、実際にドイツの場合はカドミウムの場合は一〇から六〇とかいうことで設定していますので、それに比べるとかなり緩いんじゃないかということですね。  それと、付け加えますと、土壌の溶出基準もカドミウムでいきますと、現在は土壌環境基準は一〇ppbです。〇・〇一ppmですね。これはどういうレベルかといいますと、現在、神通川の水質は鉱山の上流も下流も今〇・一ppbレベル以下になっています。非常に水はきれいになったんですね。ほとんど鉱山の影響を無視できるんですけれども。その〇・一ppbが川の水の、この水のカドミウムのレベルなんです。それの百倍あるんです、日本の環境基準は。だから溶出基準土壌環境基準の溶出基準についても百倍、非常に緩いということを言わざるを得ないんですね。  こういう一〇ppbの水で農地にかんがいしますと、ほぼ十年で一ppm以上の汚染米が出るという農学関係研究者の報告も出ておりまして、現在の環境基準レベルを守るだけでは駄目であり、さらに、僕はもう一けたぐらい下げることは可能と思っています。例えば、今の神岡鉱山から出ている排水のレベルは一ppbレベルまで落として流しているんですね。そこまで技術的にできるんですね。だから、現在の環境基準を排水基準ぐらいにして、環境基準は更にもう一けた下げるという、それぐらいが環境面から見て安全なレベルであると思っております。
  68. 岩佐恵美

    ○岩佐恵美君 私は、水銀の問題とかカドミウムの問題とかについて、消費者団体にいるころにちょっと取り組んだことがあるんですけれども、日本人の水銀の摂取量あるいはカドミウムの摂取量は高い、だから、基準を決めるときには、やっぱり日本人の実態をよく調べて、そして決めていくべきだという主張がありましたし、私もそう思っているのですけれども、その点について、日本人特有の何かそういう問題について御意見があれば伺いたいと思います。
  69. 畑明郎

    参考人(畑明郎君) 水銀については僕は余り詳しくないんですけれども、カドミウムに関して言いますと、日本の米がやっぱり一部汚染されていると。それが、やはり全体に日本人の腎臓中のカドミウム濃度、それから摂取量、カドミウムの一日摂取量が大体欧米の三倍ぐらいあります、現在でも平均で。やはり〇・一ppmを超える、本来コーデックスの最初の提案は〇・一ppmだったんです。日本とアメリカが反対して〇・二に緩められたんですけれども、本来〇・一で設定すべきなぐらいなんですけれども。だから、今のような〇・四とか一ppmというのは国際基準に比べると五倍ぐらい、五倍以上緩いんですね。  ということは、僕の資料の東京都の資料にもちょっと入っていますように、現在でも、東京都に入る米ですね、十四ページにちょっと日経新聞のやつがありますが、東京都に入る米で〇・二ppmを超えるものがやっぱり入ってきているんですね。やっぱり少し汚染された米が混じっているということでね。それが全体を押し上げているということです、摂取量を。
  70. 岩佐恵美

    ○岩佐恵美君 最後、ちょっと時間が詰まってまいりましたけれども、大野参考人に伺いたいんですけれども、汚染調査浄化汚染原因者ではなくて土地所有者等の責任とされていることについてどう考えられるか。  つまり、処理費用の原因者への請求というのは知事の命令に基づく処理だけに限定されていくわけですけれども、自主的な調査だとか浄化の障害にならないかどうか、その点、いかがですか。
  71. 大野眞里

    参考人大野眞里君) 今の御質問についてちょっとお答えするのが少し難しい感じをいたしますけれども、実際の現場におきまして、まず土地所有者がそういうところで第一次的な責任が入ってくるということになれば、そこでその問題についてきちっとやらなくちゃいけないということになりますので、当然、それ自身がその調査についての障害になるということは余りないんではないかというふうに考えております。  その後の実質的な負担とかそういうものにつきましては、この法案の中では求償できる構造になっておりますので、そういった問題は解消できるんではないか、その負担の、原因者が分からないという、原因、負担のところでその調査が進まないというようなことはほとんど生じないんではないかというふうに考えております。
  72. 岩佐恵美

    ○岩佐恵美君 終わります。ありがとうございました。
  73. 堀利和

    委員長堀利和君) 以上で参考人に対する質疑は終わりました。  参考人皆様に一言ごあいさつ申し上げます。  本日は長時間にわたり大変貴重な御意見をいただきまして誠にありがとうございました。委員会を代表して厚く御礼申し上げます。ありがとうございました。  本日はこれにて散会いたします。    午後三時二分散会